説明

パック化粧料

【課題】塗布後洗い流すことが不用で長時間塗布しておくことが可能なパック化粧料であり、のびの良さ、べたつきのなさや撚れがない優れた使用感を持ち、紫外線による炎症を防ぎメラニン産生を抑制する美白効果に優れ、さらに美白成分およびスキンケア成分の浸透を高めて使用後の肌に持続性の高い保湿効果を付与するパック化粧料を提供する。
【解決手段】
下記成分(A)〜(D)を含有することを特徴とするパック化粧料。
(A)水溶性高分子
(B)L−アスコルビン酸及びその塩、L−アスコルビン酸リン酸エステル塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル塩、L−アスコルビン酸配糖体からなる群より選択される少なくとも一種の水溶性アスコルビン酸誘導体
(C)30℃において固体または半固体のワックス
(D)多価アルコール

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布後のふき取りや洗い流すことが不用なパック化粧料に関し、詳しくは、のびの良さ、べたつきのなさや撚れがない優れた使用感を持ち、紫外線による炎症を防ぎメラニン産生を抑制する美白効果に優れ、さらに美白成分およびスキンケア成分の浸透を高めて使用後の肌に持続性の高い保湿効果を付与するパック化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パック化粧料は、ローション、乳液などの化粧料に皮膜形成剤を配合して固形の皮膜を形成させたり、コットンなどの不織布に含浸させたりして、皮膚を覆った後に剥がして使用される。このように皮膜や不織布による閉塞効果により、皮膚にスキンケア成分や水分を深く浸透させることが期待される化粧料である。このようなパック化粧料には、塗布後乾燥して皮膜を形成させたのち剥離する剥離型パック化粧料、シートを顔面に密着させ一定時間後に剥がすシートマスク化粧料、拭き取り若しくは洗い流しタイプの化粧料など様々なものがある。
【0003】
剥離型パック化粧料は、塗布面積を自由に調節でき、乾燥後に剥がして除去する使用方法のため、簡便なパック化粧料である。剥離型パック化粧料は皮膜形成剤を主成分として、これに保湿剤、アルコール類、防腐剤、香料、粉体等を配合して調製されている。皮膜形成剤としては、一般にポリビニルアルコールが使用されている(例えば、非特許文献1参照。)。剥離型パック化粧料は、肌に塗布した後に物理的に剥離するために、水を蒸発させて皮膜を形成する必要があり、乾燥して剥離可能な状態となるまでに時間がかかり、また、水分蒸散等を伴うことから保湿性に劣り、しっとりしないという欠点があった。これらの欠点を改良するために、例えば油剤を配合して閉塞性を高めることが試みられている。しかし、一般に皮膜形成剤と油剤との相溶性が悪く、製剤の長期安定性に劣る等の欠点があった。そこで、種々の新たな高分子化合物を皮膜形成剤として利用し、油剤と相溶性を高めた試みがなされている(例えば、特許文献1又は2参照。)。しかしながら、これら試みにおいても、皮膚に潤いを付与する効果が不十分であり、特に皮膚と接着している時間が短いために、スキンケア成分の浸透効果が十分満足すべきレベルに至っていない。また、水溶性アスコルビン酸誘導体を配合した場合、皮膜形成剤の高分子化合物の撚れが生じて、均一に塗布することが難しく使用感として満足できるレベルに至っていない。
【0004】
また、シートマスク化粧料は、不織布シートを顔面に付着させ、10〜20分後に剥がし、洗い流す必要のない簡単に使用できるパック化粧料であることから、現在最も利用されている。このシートマスク化粧料は、一般に水溶性高分子と多価アルコールを含有する化粧液を不織布に含浸させてなるもの(例えば、特許文献3参照。)、またより潤いを持続させる試みとして、非イオン性界面活性剤、保湿剤、油剤を含有する乳液をシートに含浸させたパック化粧料(例えば、特許文献4参照。)、多価アルコール、高級アルコール、油剤、乳化剤、水を含有する乳化組成物を保持させたシート状パック化粧料(例えば、特許文献5参照。)などが提案されている。これらの試みに拠って、密着感を高め一時的に潤いを付与することはできるものの、その効果の持続性について満足しうるものではない。また、使用感においても皮膜感やべたつき感などが生じるといった問題があった。
【0005】
これらの剥離型パック化粧料およびシートマスク化粧料などの従来技術においては、いずれも皮膚との接着時間が短いために、スキンケア成分や有効成分の浸透性が不十分であり、特に長時間施術した場合には、皮膚を閉塞することによる皮膚に対する刺激について十分な検討がなされておらず、長時間皮膚を閉塞する様な使用方法が不可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−69991号公報
【特許文献2】特開2007−269712号公報
【特許文献3】特開平10−279429号公報
【特許文献4】特開2003−342125号公報
【特許文献5】特開2004−35459号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】光井武夫編、「新化粧品学」、南山堂、1993年1月12日発行、第367頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術は、いずれもパック化粧料として一定の改善がなされているが、美白成分や有効成分の浸透性、持続的な保湿効果に限界があり、長時間使用することが不可能であり、満足できる特性を十分に得られなかった。そのため本発明の目的は、塗布後のふき取りや洗い流すことが不用なパック化粧料で、のびの良さやべたつきのない優れた使用感を持ち、美白成分や有効成分の浸透性を高め、使用後の肌に持続性の高い保湿効果を付与し、肌のキメを整えて滑らかな肌質にすることができるパック化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、水溶性高分子、水溶性アスコルビン酸誘導体、30℃で半固形〜固形状の油剤、多価アルコールを含有することで、塗布後のふき取りや洗い流すことが不用で付けっ放しが可能であり、のびの良さ、べたつきのなさや撚れがない優れた使用感を持ち、紫外線による炎症を防ぎメラニン産生を抑制する美白効果に優れ、さらに美白成分およびスキンケア成分の浸透を高めて使用後の肌に持続性の高い保湿効果を付与する効果を見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明は、(A)水溶性高分子、(B)L−アスコルビン酸及びその塩、L−アスコルビン酸リン酸エステル塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル塩、L−アスコルビン酸配糖体からなる群より選択される少なくとも一種の水溶性アスコルビン酸誘導体、(C)30℃において固体または半固体のワックス、(D)多価アルコールを含有することを特徴とするパック化粧料である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパック化粧料は、塗布後のふき取りや洗い流すことが不用で付けっ放しが可能であり、のびの良さ、べたつきのなさや撚れがない優れた使用感を持ち、紫外線による炎症を防ぎメラニン産生を抑制する美白効果に優れ、さらに美白成分およびスキンケア成分の浸透を高めて使用後の肌に持続性の高い保湿効果を付与する効果を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成について詳述する。本発明で使用する成分(A)水溶性高分子は、粘性を有することにより化粧料の安定性を高め、また使用時ののびや使用感を改善し、特に成分(C)の乳化剤としての効果や乳化安定性の目的で配合される。水溶性高分子の具体例を例示すると、アラビヤガム、トラガカントガム、カラヤガム、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、ジェランガム、ネイティブジェランガム、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミドや、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアン
モニウムクロライド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−iso−ブトキシアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、またはこれら重合性モノマー原料と他の重合性モノマーとの共重合体、あるいは、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラギーナン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、コラーゲン、キチン誘導体、ペクチン、ゼラチン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体およびこれらの塩等が挙げられる。本発明のパック化粧料には、これらの水溶性高分子の中から1種又は2種以上を組み合わせて使用される。これら水溶性高分子の中でも特に好ましいものは、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリルアミドから選ばれる合成高分子1種以上と、カードラン、キサンタンガム、タマリンドガム、ジェランガム、プルランから選ばれる天然高分子を1種以上とを組み合わせたものであり、使用時ののび、塗布時に撚れが無いなど使用感が好ましい。
【0013】
成分(A)水溶性高分子の含有量は、好ましくは全組成中0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.1〜5質量%である。0.01質量%未満では、十分な粘性付与効果が得られない場合があり、10質量%を超えると、粘性が高くなりすぎて製剤ののびの悪さやべたつきを生じて使用感を損なう場合がある。
【0014】
本発明で使用する成分(B)水溶性アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン酸及びその塩、L−アスコルビン酸リン酸エステル塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル塩、L−アスコルビン酸配糖体が挙げられる。具体的には、L−アスコルビン酸及びそのナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパンノールアミン塩;L−アスコルビン酸−2−リン酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパンノールアミン塩;L−アスコルビン酸−2−硫酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパンノールアミン塩;L−アスコルビン酸−2−O−グルコシド等が挙げられる。本発明のパック化粧料には、これらの水溶性アスコルビン酸誘導体の中から1種又は2種以上を組み合わせて使用される。これら水溶性アスコルビン酸誘導体の中でも特に好ましいものは、L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸−2−O−グルコシドである。
【0015】
成分(B)水溶性アスコルビン酸誘導体の含有量は、好ましくは全組成中0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。この範囲内であれば充分な美白効果が得られると共に、使用性及び保存安定性に優れ、好ましい。
【0016】
本発明で使用する成分(C)30℃において固体または半固体のワックスは、本発明のパック化粧料を皮膚に塗布した時に、固形または半固形の状態で皮膚表面に密着して、シートマスクの不織布と類似の働きを示すものである。具体的にはロウ類、炭化水素類、油脂類であって、30℃において固形または半固形(ペースト状)の形状を示すものである。ロウ類としては、カルナバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、セラック、ラノリン、鯨ロウ、サトウキビロウ、パームロウ、羊毛脂、ミツロウ等が挙げられる。炭化水素類としては、オゾケライト、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。油脂類としては、水素添加パーム核脂肪酸グリセ
リル、水素添加パーム脂肪酸グリセリル、水添ヤシ油脂肪酸グリセリル、水添大豆脂肪酸グリセリル、カカオ脂、パーム油、パーム核油、モクロウ、牛脂、シアバター、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ジリノレイル(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、分岐またはヒドロキシル化した脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド等が挙げられる。本発明のパック化粧料には、これらの30℃において固体または半固体のワックスの中から1種又は2種以上を組み合わせて使用される。尚、30℃において固形の形状を示すセチルアルコール等の高級アルコール類は、本発明の目的を達成できないことから、本発明の成分(C)には該当しない。これら30℃において固形または半固形状のワックスの中でも、経時での匂いの変化やべたつきの無さの点で、特に好ましいものは、水素添加パーム核脂肪酸グリセリル、水素添加パーム脂肪酸グリセリル、水添ヤシ油脂肪酸グリセリル、シアバター、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジリノレイル(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリドである。
【0017】
成分(C)30℃において固体または半固体のワックスの含有量は、好ましくは全組成中1〜30質量%であり、更に好ましくは5〜20質量%である。1質量%未満では、十分な皮膜効果が得られない場合があり、30質量%を超えると、製剤ののびの悪さやべたつきを生じて使用感を損なう場合がある。
【0018】
本発明で使用する成分(D)多価アルコールは、パック化粧料を肌に塗擦した時に凝集して撚れることを防止する目的で配合され、また成分(C)の分散剤としての効果、形成した皮膜を長時間わたって柔軟性を持たせるものである。多価アルコールの具体例を例示すると、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が1000以下)、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジプレピレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、トレハロース、グルコシルトレハロース、キシリトール、フルクトース、ラクトース、トリメチルグリシン、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。本発明のパック化粧料には、これらの多価アルコールは1種又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0019】
成分(D)多価アルコールの含有量は、好ましくは全組成中5〜50質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。5質量%未満では、保湿の向上が十分に発揮されず、50質量%を超える場合は、べたつき感が生じ好ましくない。
【0020】
また、本発明のパック化粧料においては、あらかじめ融点以上の温度で加温溶解させた成分(C)を成分(A)、(B)又は(D)、あるいはこれらの混合物に分散してから配合することができ、この方法は通常の乳液やクリームなどのように高温での乳化工程を要せず、常温にて製造することができ、製造工程において効率性が高い利点も有している。
【0021】
本発明のパック化粧料の剤型は、特に限定されるものではないが、液状、乳液状、クリーム状、油状、ゲル状、エアゾール、固形状、スティック状、エアゾール状などが挙げられる。
【0022】
本発明のパック化粧料は、上記の必須成分に加えて必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で通常使用されている任意の成分を使用することが出来る。これらの成分としては
、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、油分、紫外線吸収剤、防腐剤、保湿剤、ポリマー類、アミノ酸誘導体、糖誘導体、香料、水、アルコール、増粘剤、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、薬剤、香料等が挙げられる。
【実施例】
【0023】
次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、これに限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0024】
使用時ののび、つき、べたつきのなさ:
(評価方法)専門パネラー10名により、各化粧料を使用したときののび、つき(撚れがなく均一に伸びてむらにならない)、べたつきのなさについて、1点から5点の5段階の官能評価を行い、その平均点を求め、以下の基準で判定した。
(判定基準)
◎ :平均点が4.5以上
〇 :平均点が3.5以上、4.5未満
△ :平均点が2.5以上、3.5未満
× :平均点が1.5以上、2.5未満
××:平均点が1.5未満
【0025】
皮膚色明度回復試験:
(評価方法)
被験者5名の背部皮膚にUV−B領域の紫外線を最小紅斑量の2倍照射し、化粧料塗布部位と非塗布部位を設定して各々の皮膚の基準明度(V値,V0’値)を測定した。引き続いて塗布部位には各化粧料を1日2回ずつ3週間連続塗布した後、塗布部位及び非塗布部位の皮膚の明度(V値,Vn’値)を測定した。下記の評価点を算出し、皮膚色の回復を評価した。尚、皮膚の明度(マンセル表色系V値)は高速分光色彩計で測定して得られたX,Y,Z値より算出した。また評価は被験者の評価点の平均値を求め、以下の基準で判定した。
ΔV …塗布部位の回復値(V−V
ΔV’…非塗布部位の回復値(Vn’−V0’
評価点…塗布・非塗布による回復値の差(ΔV−ΔV’)
(判断基準)
◎ :ΔV−ΔV’≧0.12
○ :0.12>ΔV−ΔV’≧0.08
△ :0.08>ΔV−ΔV’≧0.04
× :0.04>ΔV−ΔV’≧0
××:0>ΔV−ΔV’
【0026】
連用後の美白効果、保湿感:
(評価方法)
専門パネラー10名により、各化粧料を3週間連用し、美白効果、保湿感について、1点から5点の5段階の官能評価を行い、その平均点を求め、以下の基準で判定した。
(判断基準)
◎ :平均点が4.5以上
〇 :平均点が3.5以上、4.5未満
△ :平均点が2.5以上、3.5未満
× :平均点が1.5以上、2.5未満
××:平均点が1.5未満
【0027】
実施例1〜9、比較例1〜4
表1に示した処方のパック化粧料を調製し、上記各試験を実施した。その結果を表1に併せて示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1より明らかなように本発明の成分を用いた実施例のパック化粧料はいずれも優れた性能を有していた。一方、必須成分のいずれかを欠いた比較例では、使用時ののび、つき、べたつきのなさ、皮膚色明度回復試験、連用後の美白効果、保湿感のいずれかの面で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0030】
以下、本発明パック化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。尚、いずれの処方量も単位は質量%(単に%と表記)である。これらの実施例のパック化粧料についても、上記の使用時ののび、つき、べたつきのなさ、皮膚色明度回復試験、連用後の美白効果、保湿感について各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有して
おり良好であった。
【0031】
実施例10(クリーム状パック)
(1)カルボキシビニルポリマー 0.5%
(2)アクリル酸・メタアクリル酸アルキル共重合体 0.3%
(3)キサンタンガム 0.2%
(4)L−アスコルビン酸−3−O−グルコシド 2.0%
(5)水素添加ヤシ油脂肪酸グリセリル 5.0%
(6)トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸) 1.0%
(7)グリセリン 10.0%
(8)ジプロピレングリコール 10.0%
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0%
(10)水酸化カリウム 0.8%
(11)流動パラフィン 2.0%
(12)N−アセチルグルコサミン 0.1%
(13)ヒアルロン酸ナトリウム 0.2%
(14)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1%
(15)水溶性コラーゲン(F) 0.2%
(16)コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.2%
(17)グリコシルトレハロース 0.5%
(18)D−パントテニルアルコール 0.2%
(19)エデト酸二ナトリウム 0.01%
(20)フェノキシエタノール 0.2%
(21)エチルヘキシルグリセリン 0.05%
(22)香料 0.01%
(23)精製水 残 部
【0032】
(製法)
(5)、(6)、(11)を50℃に加温し、(7)〜(9)の混合物に分散する。(1)、(2)、(3)、(10)および(23)の一部を用いて調整したゲル状溶液に加え、ホモミキサーにて分散する。ついで(4)、(12)〜(22)及び(23)の残部を加えて均一に混合し、ポンプミスト容器に充填してクリーム状パックを調整した。
【0033】
実施例11(ゲル状パック)
(1)カルボキシビニルポリマー 0.8%
(2)キサンタンガム 0.1%
(3)L−アスコルビン酸−3−O−グルコシド 1.0%
(4)L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム 1.0%
(5)水素添加パーム脂肪酸グリセリル 5.0%
(6)ジグリセリン 5.0%
(7)ジプロピレングリコール 3.0%
(8)ポリオキシエチレンメチルグルコシド 1.0%
(9)水酸化カリウム 0.9%
(10)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン 0.5%
(11)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.2%
(12)シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール 0.1%
(13)メチルシクロポリシロキサン 5.0%
(14)ヒアルロン酸ナトリウム 0.2%
(15)蓮種子乳酸菌醗酵液 0.2%
(16)ヨクイニンエキス 0.1%
(17)レモンエキス 0.2%
(18)N−アセチルグルコサミン 0.2%
(19)ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム 0.02%
(20)フェノキシエタノール 0.3%
(21)精製水 残 部
【0034】
(製法)(5)を50℃に加温し、(6)〜(8)の混合物に分散する。(1)、(2)、(3)、(9)および(21)を用いて調整したゲル状溶液に加え、ホモミキサーにて分散する。ついで(4)、(10)〜(20)を加えて均一に混合し、ジャー容器に充填しゲル状パックを調整した。
【0035】
実施例12(美容液パック)
(1)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.5%
(2)キサンタンガム 0.1%
(3)L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム 1.0%
(4)(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル 5.0%
(5)水添マカデミアナッツ油 1.0%
(6)グリセリン 5.0%
(7)ジプロピレングリコール 5.0%
(8)1,3−プロパンジオール 10.0%
(9)水酸化ナトリウム 0.1%
(10)スクワラン 2.0%
(11)コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.05%
(12)N−アセチルグルコサミン 0.1%
(13)ヒアルロン酸ナトリウム 0.2%
(14)エデト酸二ナトリウム 0.01%
(15)精製水 残 部
【0036】
(製法)
(4)、(5)を50℃に加温し、(6)〜(8)の混合物に分散する。(1)、(2)、(3)、(9)および(15)の一部を用いて調整したゲル状溶液に加え、ホモミキサーにて分散する。ついで(10)〜(14)を加えて均一に混合し、ボトル容器に充填して美容液パックを調整した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(D)を含有することを特徴とするパック化粧料。
(A)水溶性高分子
(B)L−アスコルビン酸及びその塩、L−アスコルビン酸リン酸エステル塩、L−アスコルビン酸硫酸エステル塩、L−アスコルビン酸配糖体からなる群より選択される少なくとも一種の水溶性アスコルビン酸誘導体
(C)30℃において固体または半固体のワックス
(D)多価アルコール

【公開番号】特開2012−36149(P2012−36149A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179765(P2010−179765)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】