説明

パッシブマトリクス駆動型の表示素子パネル、その製造方法及び表示装置

【課題】表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる配線構造を備えた、パッシブマトリクス駆動型の表示素子パネル、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材1上にストライプ状の第一電極2を形成する工程と、第一電極2を覆うとともに、第一電極2上の画素となる位置に表示層用開口部21を有する絶縁層3を形成する工程と、絶縁層3が有する表示層用開口部21内に表示層4を形成する工程と、表示層4上に、第一電極2に交差するようにストライプ状の第二電極5を形成する工程と、各第一電極2に接続するとともに、第二電極5と交互に並ぶストライプ状の接続配線23を形成する工程と、を有する製造方法により、表示素子パネルを製造する。このとき、絶縁層3は第一電極2上に位置する接続配線用開口部22を有し、接続配線23は接続配線用開口部22で第一電極2と接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブマトリクス駆動型の表示素子パネル及びその製造方法、並びにその表示素子パネルを備えた表示装置に関する。さらに詳しくは、パッシブマトリクス駆動型の有機EL表示素子パネル及びその製造方法、並びにその有機EL表示素子パネルを備えた有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及び電子ペーパー等の表示装置は、より一層の薄型化・フレキシブル化・大画面化が検討されている。それら表示装置を構成する表示素子パネルも同様、薄膜化・フレキシブル化・大画面化が検討されている。こうした表示素子パネルには、画素をON/OFFさせるための駆動素子又は駆動用電極が設けられている。画素をON/OFFさせる駆動方式として、パッシブマトリクス駆動方式とアクティブマトリクス駆動方式とがあり、いずれの駆動方式とするかは、コスト、表示性能、表示面積、電流、スイッチング速度等、様々な要素を加味して選択されている。
【0003】
パッシブマトリクス駆動方式とアクティブマトリクス駆動方式のいずれも、表示素子パネルの縦横に配線が設けられている。例えば、パッシブマトリクス駆動方式は、各表示装置において、X配線(走査線)とY配線(データ線)との間に液晶層、有機EL層又はマイクロカプセル層を挟むと共に、両配線が直交する形態となっている。また、アクティブマトリクス駆動方式は、液晶ディスプレイと電子ペーパーでは、TFT素子と画素電極とを備えた基板にX配線(走査線)とY配線(データ線)が縦横に配線された形態となっている。一方、有機ELディスプレイでは、TFT素子と有機EL素子とを備えた基板にX配線(走査線)及びY配線(データ線、電流供給線の2本)が縦横に配線された形態となっている。
【0004】
パッシブマトリクス駆動方式は、アクティブマトリクス駆動方式のように画素毎に薄膜トランジスタを形成する必要がなく、また、電流供給線を別途設けることも要せず、構造が簡単で低コスト化を実現できる点で有利である。こうした利点は、特に有機ELディスプレイで有利である。
【0005】
図9は、パッシブマトリクス駆動方式の有機EL素子パネル100の一例を示す斜視図である。図9に例示する有機EL素子パネル100は、基材101と、基材101上に設けられ且つX方向にストライプ状に並設されている走査線102と、そのストライプ状の走査線102の上に積層された有機EL層104と、走査線102及び有機EL層104からなるストライプ状積層体111の間に設けられた絶縁層103と、ストライプ状の積層体111と絶縁層103との上に設けられ且つY方向にストライプ状に並設されているデータ線105と、そのデータ線105を覆うように設けられた封止層106とを有している。この有機EL素子パネル100においては、走査線102とデータ線105とがそれぞれ直交(90°前後でほぼ直交している場合も含む。)しており、各配線102,105はそれぞれ延びる方向の辺に向かってストライプ状に設けられている。なお、図9に記載の走査線102とデータ線105は上下逆又はX・Y方向逆に設けられていてもよい。
【0006】
図10及び図11は、有機EL素子パネルの配線構造の例を示す平面図である。図10は、各配線102,105がそれぞれ延びる方向の辺110A,110Bに取出電極108,109が設けられている一例である。一方、図11は、配線105が延びる方向の辺110Bの取出電極109,109’を引き回した例である。図11の例では、同一の辺110Aに、走査線102の取出電極108と、データ線105の取出電極109,109’とが設けられている。なお、図10及び図11では封止層106を省略している。
【0007】
図12と図13はモノクロの有機EL素子パネルの製造方法を示す工程図であり、図14と図15はフルカラーの有機EL素子パネルの製造方法を示す工程図である。
【0008】
図12は、図10に示す配線構造のモノクロ有機EL素子パネル100Aの製造方法を示している。先ず、基材101上に、X方向の一辺110Aに向かって延びるストライプ状の走査線102(取出電極108を含む。)を所定間隔で並設するとともに、Y方向の一辺110Bの周縁部にデータ線105の取出電極109を所定間隔で並設する(図12(A)参照)。次に、有機EL層を設けるための開口部112を開けた絶縁層103を設ける(図12(B)参照)。次に、その開口部112に有機EL層104を設ける(図12(C)参照)。最後に、Y方向の一辺110Bに向かって延びるストライプ状のデータ線105を所定間隔で並設するとともに、予め設けてある取出電極109に接続する(図12(D)参照)。こうして、X方向の一辺110AとY方向の一辺110Bに取出電極108,109をそれぞれ有する有機EL素子パネル100Aが製造される。
【0009】
図13は、図11に示す配線構造のモノクロ有機EL素子パネル100Bの製造方法を示している。上記した図12の製造方法との違いは、図13(A)においては、Y方向の一辺110Bの周縁部に設ける取出電極(109,109’)を、X方向の一辺110Aに向かうように引き回した点である。それ以外は図12の製造工程と同じである。
【0010】
図14は、図12と同様の配線構造を基本構造として持つフルカラー有機EL素子パネル100Cの製造方法を示している。上記した図12のモノクロ有機EL素子パネル100Aとの違いは、図14においては、絶縁層103に3色の有機EL層に対応する3つの開口部112を設け、且つその3つの開口部112にそれぞれ赤色有機EL層104R、緑色有機EL層104G、青色有機EL層104Bを設け、さらに、Y方向の一辺110Bに向かって延びて各取出電極109R,109G,109Bにそれぞれ接続するストライプ状のデータ線105R、105G,105Bを設けた点にある。それ以外は図12の製造工程と同じである。
【0011】
図15は、図13と同様の配線構造を基本構造として持つフルカラー有機EL素子パネル100Dの製造方法を示している。上記した図13のモノクロ有機EL素子パネル100Bとの違いは、図15においては、絶縁層103に3色の有機EL層に対応する3つの開口部112を設け、且つその3つの開口部112にそれぞれ赤色有機EL層104R、緑色有機EL層104G、青色有機EL層104Bを設け、さらに、Y方向の一辺110Bに向かって延びて各取出電極109R,109G,109Bにそれぞれ接続するストライプ状のデータ線105R、105G,105Bを設けた点にある。それ以外は図13の製造工程と同じである。
【0012】
なお、関連する技術としては、特許文献1にはタイリングディスプレイが提案されているが、後述の本発明に係る技術については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002−62826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
有機ELディスプレイも液晶ディスプレイと同様に、より大画面化に向けた技術開発が行われているが、液晶ディスプレイほど大画面化を実現できていない。そのため、小さいサイズの表示素子パネルをタイル状に配列する「タイリング」による大画面化が検討され、一部実現されている。
【0015】
しかしながら、従来は、図12〜図15に示すように、各有機EL素子パネル100A〜100Dの周縁部(一辺又は二辺)には比較的大きな面積を要する取出電極108,109が設けられており、そうした取出電極108,109がタイリング時に非表示部として目立つという問題があった。そのため、そうした取出電極が設けられたパネル周縁部の面積を極力小さくすることが望ましい。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる配線構造を備えた、パッシブマトリクス駆動型の表示素子パネル、及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そうした表示素子パネルをタイリングしてなる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための本発明に係るパッシブマトリクス駆動型の表示素子パネルは、基材上に並設したストライプ状の第一電極と、前記第一電極を覆うとともに、該第一電極上の画素となる位置に表示層用開口部を設けた絶縁層と、前記絶縁層が有する表示層用開口部内に設けた表示層と、該表示層上に、前記第一電極に交差するように並設したストライプ状の第二電極と、前記各第一電極に接続するとともに、前記第二電極と交互に並設したストライプ状の接続配線と、を有することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、各第一電極にストライプ状の接続配線が接続されているが、その接続配線は、第一電極上の表示層を横断する第二電極と交互に並設されているので、接続配線と第二電極とが表示素子パネルの同一辺に向かって平行に形成されている。その結果、その同一辺の周縁部で外部回路と接続することができるので、他の辺での引き回し配線が不要となり、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる。こうした表示素子パネルを複数用いてタイリング(タイル状に配列すること。)した場合、非表示部が目立たない大画面の表示装置とすることができる。なお、この発明において、第一電極と第二電極はそれぞれ走査線とデータ線のいずれであってもよい。
【0019】
本発明に係る表示素子パネルにおいて、前記絶縁層が、前記第一電極上に位置する接続配線用開口部を有し、前記接続配線が、該接続配線用開口部で前記第一電極と接続している。
【0020】
この発明によれば、絶縁層が第一電極上に位置する接続配線用開口部を有するので、その後に第二電極と並設される接続配線は、その開口部をコンタクトホールとして第一電極に接続する。その結果、第一電極を引き回す必要がなく、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる。
【0021】
本発明に係る表示素子パネルにおいて、前記基材と前記第一電極との間には、前記基材上に設けた前記接続配線と、該接続配線を覆うとともに、該接続配線上に位置する接続配線用開口部を設けた第二絶縁層と、が設けられている。
【0022】
この発明は、接続配線を絶縁層上に設けるのではなく、基材上に設けた場合の接続構造である。この発明によれば、基材上に接続配線と第二絶縁層とを積層し、その第二絶縁層には、接続配線上の位置に接続配線用開口部を設けているので、その開口部をコンタクトホールとしてその後に設ける第一電極を接続配線に接続することができる。その結果、第一電極を引き回す必要がなく、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる。
【0023】
本発明に係る表示素子パネルにおいて、前記表示素子パネルの同一辺には、前記接続配線に接続して外部回路に接続する第一取出電極と、前記第二電極に接続して外部回路に接続する第二取出電極とが設けられている。
【0024】
上述した第一電極に接続した接続配線と、第二電極とが表示素子パネルの同一辺に向かって交互に並設態様で配線されるが、この発明によれば、その同一辺の周縁部に、接続配線に接続して外部回路に接続する第一取出電極と、第二電極に接続して外部回路に接続する第二取出電極とが設けられていることにより、複数の辺に取出電極を設けた場合に比べて、表示素子パネルの非表示部となる周縁部の面積を極力低減できる。
【0025】
本発明に係る表示素子パネルにおいて、(1)前記第一取出電極が、前記接続配線からなる、又は、前記接続配線とは別に設けられている、ように構成してもよいし、(2)前記第二取出電極が、前記第二電極からなる、又は、前記第二電極とは別に設けられている、ように構成してもよい。
【0026】
本発明に係る表示素子パネルにおいて、前記表示層が、モノクロ有機EL層、又は赤色EL層、緑色EL層及び青色EL層からなるフルカラー有機EL層であるように構成してもよい。
【0027】
この発明によれば、表示層がモノクロ有機EL層の場合であっても、少なくとも3色の有機EL層からなるフルカラー有機EL層の場合であっても、表示素子パネルの非表示部となる周縁部の面積を極力低減できる配線構造とすることができる。
【0028】
上記課題を解決するための本発明に係る表示装置は、上記本発明に係る表示素子パネルをタイリングしてなることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、周縁部の面積を極力低減した表示素子パネルを用いたので、その表示素子パネルをタイル状に配列(タイリング)して大画面の表示装置とすることができる。
【0030】
上記課題を解決するための本発明に係る表示素子パネルの製造方法は、基材上にストライプ状の第一電極を形成する工程と、前記第一電極を覆うとともに、該第一電極上の画素となる位置に表示層用開口部を有する絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層が有する表示層用開口部内に表示層を形成する工程と、前記表示層上に、前記第一電極に交差するようにストライプ状の第二電極を形成する工程と、前記各第一電極に接続するとともに、前記第二電極と交互に並ぶストライプ状の接続配線を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0031】
この発明の接続配線形成工程では、各第一電極にストライプ状の接続配線を接続し、且つその接続配線と、各第一電極上の表示層を横断する第二電極とを交互に並設するので、接続配線と第二電極とを表示素子パネルの同一辺に向かって平行に形成することができる。その結果、その同一辺の周縁部で外部回路と接続するように構成できるので、他の辺の周縁部での引き回し配線が不要となり、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる。こうして製造された表示素子パネルを複数用いてタイリング(タイル状に配列すること。)した場合、非表示部が目立たない大画面の表示装置とすることができる。なお、この発明において、第一電極と第二電極はそれぞれ走査線とデータ線のいずれであってもよい。
【0032】
本発明に係る表示素子パネルの製造方法は、前記絶縁層の形成工程において、前記絶縁層には、前記第一電極上に位置する接続配線用開口部を形成し、前記接続配線の形成工程において、前記接続配線を、前記接続配線用開口部で前記第一電極と接続する。
【0033】
この発明を構成する絶縁層形成工程では、第一電極上に位置する接続配線用開口部を絶縁層に形成し、接続配線形成工程では、その接続配線用開口部で接続配線と第一電極とを接続する。つまり、接続配線用開口部をコンタクトホールとしてその後に設ける接続配線を第一電極に接続する。その結果、第一電極を引き回す必要がなく、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる。
【0034】
本発明に係る表示素子パネルの製造方法は、前記第一電極の形成工程前に、前記基材上に前記接続配線を形成する工程と、前記接続配線を覆うとともに、該接続配線上に位置する接続配線用開口部を設けた第二絶縁層を形成する工程とを有し、該第二絶縁層の形成工程後に、該第二絶縁層上に前記第一電極を形成する。
【0035】
この発明は、前記発明のように接続配線を絶縁層上に設けるのではなく、第一電極形成工程前に、前記基材上に接続配線と第二絶縁層とを積層し、第二絶縁層を形成した後に第一電極を形成する方法である。形成した第二絶縁層には、接続配線上の位置に接続配線用開口部を設けているので、その開口部をコンタクトホールとしてその後に設ける第一電極を接続配線に接続することができる。その結果、第一電極を引き回す必要がなく、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる。
【0036】
本発明に係る表示素子パネルの製造方法は、前記表示素子パネルの同一辺に、前記接続配線に接続して外部回路に接続する第一取出電極と、前記第二電極に接続して外部回路に接続する第二取出電極とを形成する工程を有する。
【0037】
上述した第一電極に接続した接続配線と、第二電極とを表示素子パネルの同一辺に向かって配線するが、この発明によれば、その同一辺の周縁部に、接続配線に接続して外部回路に接続する第一取出電極と、第二電極に接続して外部回路に接続する第二取出電極とを設けることにより、複数の辺に取出電極を設けた場合に比べて、表示素子パネルの非表示部となる周縁部の面積を極力低減できる。
【0038】
本発明に係る表示素子パネルの製造方法において、(1)前記第一取出電極を、前記第一電極と同時に設ける、又は、前記接続配線と同時に設ける、ように構成してもよいし、(2)前記第二取出電極を、前記第一電極と同時に設ける、又は、前記第二電極と同時に設ける、ように構成してもよい。
【0039】
本発明に係る表示素子パネルの製造方法において、前記表示層を、モノクロ有機EL層として設ける、又は、赤色EL層、緑色EL層及び青色EL層からなるフルカラー有機EL層として設ける。
【0040】
この発明によれば、表示層がモノクロ有機EL層の場合であっても、少なくとも3色の有機EL層からなるフルカラー有機EL層の場合であっても、表示素子パネルの非表示部となる周縁部の面積を極力低減できる配線構造とすることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係るパッシブマトリクス駆動型の表示素子パネルによれば、各第一電極に接続するストライプ状の接続配線と、各第一電極上の表示層を横断するように設けられた第二電極とが、表示素子パネルの同一辺に向かって交互に並設した形態で形成されているので、その同一辺の周縁部で外部回路と接続することができる。その結果、他の辺での引き回し配線が不要となり、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる。つまり、本発明は、パネルの一辺に向かうように走査線とデータ線とを並列に配置し、その一辺のみを配線に使用する構造とした点に特徴があり、これにより残りの三辺の額縁部を極力狭くした表示素子パネルとすることができる。こうした表示素子パネルを複数用いてタイリング(タイル状に配列すること。)した本発明に係る表示装置は、非表示部が目立たない大画面の表示装置とすることができる。
【0042】
本発明に係る表示素子パネルの製造方法によれば、上記構造の表示素子パネルを特別な工程を加えなくても製造することができる。特に、本発明の接続配線形成工程では、各第一電極にストライプ状の接続配線を接続し、且つその接続配線と各第一電極上の表示層を横断する第二電極とを交互に並設するようにしたので、接続配線と第二電極とを表示素子パネルの同一辺に向かって平行に形成することができる。その結果、その同一辺の周縁部で外部回路と接続するように構成できるので、他の辺での引き回し配線が不要となり、表示素子パネルの周縁部の面積を極力低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るパッシブマトリクス駆動型の表示素子パネルの一例を示す模式的な斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る表示素子パネルの製造工程を示す模式的な平面図である。
【図3】図2で製造された第1実施形態に係る表示素子パネルの模式的な断面図である。
【図4】第2実施形態に係る表示素子パネルの製造工程を示す模式的な平面図である。
【図5】図4で製造された第2実施形態に係る表示素子パネルの模式的な断面図である。
【図6】第3実施形態に係る表示素子パネルの製造工程を示す模式的な平面図である。
【図7】図6で製造された第3実施形態に係る表示素子パネルの模式的な断面図である。
【図8】本発明に係る表示素子パネルをタイリングしてなる表示装置の一例を示す模式的な平面図である。
【図9】従来のパッシブマトリクス駆動方式の有機EL素子パネルの一例を示す斜視図である。
【図10】従来の有機EL素子パネルの配線構造の一例を示す平面図であって、各配線がそれぞれ延びる方向の辺に取出電極が設けられている例である。
【図11】従来の有機EL素子パネルの配線構造の一例を示す平面図であって、一の配線が延びる方向の辺の取出電極を引き回して一つの辺に取出電極を設けた例である。
【図12】図10に示す配線構造のモノクロ有機EL素子パネルの製造方法を示す工程図である。
【図13】図11に示す配線構造のモノクロ有機EL素子パネルの製造方法を示す工程図である。
【図14】図12と同様の配線構造を基本構造として持つフルカラー有機EL素子パネルの製造方法を示す工程図である。
【図15】図13と同様の配線構造を基本構造として持つフルカラー有機EL素子パネルの製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に、本発明に係るパッシブマトリクス駆動型の表示素子パネル及びその製造方法並びに表示装置について、図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
【0045】
[表示素子パネル及びその製造方法]
(基本構成)
本発明に係る表示素子パネル10は、図1〜図7に示すように、パッシブマトリクス駆動型の有機EL素子パネル等の表示素子パネルであって、基材1上に並設したストライプ状の第一電極2と、その第一電極2を覆うとともに、その第一電極2上の画素となる位置に表示層用開口部21を設けた絶縁層3と、その絶縁層3が有する表示層用開口部21内に設けた表示層4と、その表示層4上に、前記第一電極2に交差するように並設したストライプ状の第二電極5と、前記各第一電極に接続するとともに、前記第二電極5と交互に並設したストライプ状の接続配線23と、を有する。なお、図1中の符号6は封止層であるが、図2〜図7では省略している。また、符号11は第一電極2と表示層4とからなるストライプ状積層体である。
【0046】
(製造方法)
本発明に係る表示素子パネル10の製造方法は、基材1上にストライプ状の第一電極2を形成する工程と、その第一電極2を覆うとともに、その第一電極2上の画素となる位置に表示層用開口部21を有する絶縁層3を形成する工程と、その絶縁層3が有する表示層用開口部21内に表示層4を形成する工程と、その表示層4上に、前記第一電極2に交差するようにストライプ状の第二電極5を形成する工程と、各第一電極2,…,2に接続するとともに、前記第二電極5,…,5と交互に並ぶストライプ状の接続配線23,…,23を形成する工程と、を有する。
【0047】
本発明の配線構造は、図2及び図3に示す第1実施形態のモノクロ有機EL素子パネル10Aと、図4及び図5に示す第2実施形態のフルカラー有機EL素子パネル10Bとに適用できる。この第1,第2実施形態に係る表示素子パネル10A,10Bは、絶縁層3の形成時に表示層用と接続配線用の開口部(スルーホール)21,22を同時に形成し、その後、第二電極5の形成時に第二電極5と接続配線23とを交互に並設する態様で同時に又は前後して形成して構成される。このとき、接続配線23は、接続配線用開口部22を介して第一電極2に電気的に接続する。こうして、同一辺(11A)の周縁部7のみに走査線とデータ線の取出電極(8,9)を有する表示素子パネルとすることができる。
【0048】
また、本発明の配線構造は、図6及び図7に示す第3実施形態に係るフルカラー有機EL素子パネル10Cに対しても適用できる。この第3実施形態に係る表示素子パネル10Cは、接続配線23を予め形成した後に、接続配線用開口部24を有する第二絶縁層25を形成し、その後に、その第二絶縁層25上に第一電極2を形成する。このとき、接続配線23は接続配線用開口部24を介して第一電極2に電気的に接続する。その後、第1、第2実施形態と同様に絶縁層3と第二電極5を形成する。こうして、同一辺(11A)の周縁部7のみに走査線とデータ線の取出電極(89R,9G,9B)を有する表示素子パネルとすることができる。
【0049】
こうした本発明に係る表示素子パネル10によれば、各第一電極2,…,2に接続するストライプ状の接続配線23,…,23と、各第一電極2上の表示層4を横断する第二電極5,…,5とが、表示素子パネ10ルの同一辺11Aに向かって交互に並設した形態で形成されているので、その同一辺11Aの周縁部7で外部回路と接続することができる。その結果、従来例のような他の辺11Bでの引き回し配線が不要となり、表示素子パネル10の周縁部7の面積を極力低減できる。つまり、本発明は、パネル10の一辺11Aの周縁部7のみに走査線とデータ線を並列に配線し、その周縁部7のみを外部回路との接続領域とした点に特徴があり、これにより残りの三辺の額縁部を狭くした表示素子パネルとすることができる。こうした表示素子パネル10を複数用いてタイリング(タイル状に配列すること。)した表示装置30は、図8に示すように、非表示部が目立たない大画面の表示装置とすることができる。
【0050】
また、本発明に係る製造方法によれば、上記構造の表示素子パネル10を特別な工程を加えなくても製造することができる。特に、本発明に係る製造方法を構成する接続配線形成工程では、各第一電極2,…,2にストライプ状の接続配線23,…,23を接続配線用開口部(22又は24)を介して接続し、且つその接続配線23,…,23を第二電極5,…,5と交互に並設するので、接続配線23と第二電極5とを表示素子パネル10の同一辺11Aに向かって平行に形成することができる。
【0051】
本願において、「並設」とは、文字通り、並んで設けられていることであって、図1や図2等に示すように、同じ方向に向かって平面視で平行に並んで設けられているという意味である。「ストライプ状」とは、図2(A)の第一電極2、図2(D)の第二電極5、図4(D)の第二電極5R,5G,5B、図2(D)等の接続配線23、のように、一定の幅を有した直線状の電極又は配線の態様であって、短冊状ということもでき、隣り合う電極又は配線との間に隙間を有して設けられている態様の意味である。「覆う」とは、例えば「第一電極2を絶縁層3が覆う」という場合には、絶縁層3を第一電極2上に設けるとともに、第一電極2が設けられていない部分の上にも同時に設ける場合も含む意味である。ただし、図2(B)に示すように、X方向の上下両端の覆っていない部分のように、実質的に覆う必要がない部分も含めて「覆う」という意味ではない。「交差」とは、90°の角度で直交する場合はもちろん、90°を中心にした所定の角度範囲(45°〜135°)で交差する場合も含む意味である。「交互」とは、接続配線23と第二電極5とを平面視で順に設けた形態の意味である。なお、図4と図6のフルカラーの表示素子パネルの場合には、接続配線23と、3つの第二電極5R,5G,5Bを一体としたものが平面視で順に設けられている意味である。「同一辺」とは、接続配線23と第二電極5とが延びる方向の辺が同じであるという意味である。「周縁部7」とは、第一取出電極8と第二取出電極9(9R,9G,9Bを含む)とが設けられた部分であり、基材1の一辺11Aから取出電極8,9までを含む範囲の意味であって、表示層4が実質的に設けられていない非表示部のことである。「外部回路」とは、本願では図示しないが、本発明に係る表示素子パネルにプリント配線基板で接続された駆動回路や論理回路等のことである。また、「第一電極」と「第二電極」はそれぞれ走査線とデータ線のいずれであってもよいし、方向(X方向、Y方向)も図2等の逆であってもよい。
【0052】
以下、第1実施形態〜第3実施形態に係る表示素子パネルの製造方法の各工程について詳しく説明するとともに、得られた表示素子パネルの各構成について説明する。
【0053】
[第1実施形態]
図2は、第1実施形態に係る表示素子パネル10Aの製造工程を示す模式的な平面図である。図3は、得られた表示素子パネル10AのA−A断面図である。
【0054】
(第一電極形成工程)
先ず、図2(A)に示すように、基材1上にストライプ状の第一電極2を形成する。同図では、第一電極2とともに第一取出電極8と第二取出電極9とを第一電極2と同時に又は前後して形成しているが、この第一取出電極8と第二取出電極9は、第一電極2と同時に又は前後して形成しなくてもよく、図2(D)に示す第二電極5や接続配線23の形成工程時に、その第二電極5や接続配線23を辺11A近傍にまで延長した態様で一体として形成してもよい。なお、「同時に」とは、第一取出電極8及び第二取出電極9と第一電極2とを同じ材料で同じ成膜手段で同時に形成するという意味であり、「前後して」とは、第一取出電極8及び第二取出電極9と第一電極2のいずれか一方を先に形成し、その後の絶縁層3を形成する前にもう一方を形成するという意味である。
【0055】
基材1の材料、透明性、厚さ等は特に限定されず、用途に応じた必要な性質を有するものを任意に採用できる。例えば石英、ガラス等の無機材料、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)等の高分子材料を挙げることができる。透明基材であるか不透明基材であるかは、表示素子パネルでの光の取り出し側が第一電極側か第二電極側かあるいは両側かで任意に選択することができる。また、基材1として、必要に応じて水分、酸素等のガスを遮断するガスバリア性を有する基材を用いてもよいし、そうしたガスバリア機能を持つガスバリア層を予め設けた基材であってもよい。また、その他の機能層、例えばハードコート層、保護層、帯電防止層、防汚層、防眩層等が設けられたものであってもよい。
【0056】
基材1の厚さも特に限定されず、各種の厚さのものを適用できる。例えば、10μm以上2mm以下を例示できる。特に薄いものはフレキシブル性があり、厚いものは剛性があり、それぞれ利点がある。また、基材1の形状も特に限定されないが、本発明に係る表示素子パネルは、タイリングして大画面化を可能にする点に特徴があるので、通常は長方形、正方形又は平行四辺形等の四角形の基材であることが好ましい。
【0057】
第一電極2は、基材1上にストライプ状で複数設ける。図2(A)の例では、X方向の辺11Bに向かって、所定の幅と厚さからなるパターンで形成している。第一電極2の構成材料は特に限定されないが、後に形成する表示層4が有機EL層である場合には、第一電極2が陽極であるか陰極であるかで好ましい構成材料が選択される。さらに第一電極2が光の取り出し側であるか否かでも好ましい構成材料が選択される。そうした構成材料としては各種のものが選択して採用される。
【0058】
例えば、第一電極2が有機EL層に正孔を供給する陽極である場合、第一電極2の形成材料としては、金属単体、合金、導電性金属酸化物(透明導電膜)、導電性無機化合物、導電性高分子等を挙げることができる。これらの材料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2層以上の層を積層させてもよい。なお、第一電極2に透明性をもたせて第一電極2側からも光を取り出すような場合には、透明導電膜であるITO、IZOが特に好ましく用いられる。
【0059】
第一電極2の厚さは特に限定されるものではなく、用いる導電性材料に応じて適宜設定される。第一電極2の成膜手段としては、例えば化学的気相成長法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法が挙げられる。
【0060】
ストライプ状の第一電極2は、基材1上の全面に前記の成膜手段で第一電極層を形成し、その後にフォトリソグラフィでパターニングするか、或いは、基材1上にレジストパターンを形成し、その後にレジストパターンを含む全面に前記の成膜手段で第一電極層を形成し、リフトオフさせてパターニングする。ストライプ状の第一電極パターンのピッチは、等間隔であることが好ましい。なお、パターン幅は、画素の大きさ、ディスプレイサイズや解像度によって、任意の値に設定する。また、平面視における第一電極間の隙間の幅も、画素の大きさ、ディスプレイサイズや解像度によって任意に設定する。
【0061】
この工程では、図2(A)に示すように、第一電極2の形成と同時に又は前後して、第一取出電極8と第二取出電極9を所定のパターンで設けることが好ましい。第一取出電極8は、後述するように、接続配線用開口部22を介して第一電極2に接続する接続配線23が接続することになる電極である。一方、第二取出電極9は、後述するように、表示層4上を横断するように設けられる第二電極5が接続することになる電極である。
【0062】
なお、第一取出電極8及び第二取出電極9のパターン形状は、図2等においては後述する接続配線23及び第二電極5の幅と同じ幅で模式的に表しているが、通常は、接続配線23及び第二電極5の幅よりもそれぞれ細く、また、隣り合う第一取出電極8と第二取出電極9との間隔やピッチも狭いことが好ましい。第一取出電極8及び第二取出電極9をこうしたパターン形状とすることにより、それらに接続するプリント配線基板等の接続部材(図示しない)を全体的に小さくでき、且つ接続を容易にすることができる。ここで、隣り合う第一取出電極8と第二取出電極9との間隔やピッチが狭くなると、第一取出電極8及び第二取出電極9のパターン形状は、図2(A)のような単純な直線状ではなくなり、例えば、プリント配線基板の大きさに合わせるように、辺11Aの一部領域に集束又は窄(すぼ)むような配線パターンで形成される。これらは、後述する第2実施形態及び第3実施形態の場合も同様である。
【0063】
第一取出電極8と第二取出電極9の電極材料は、第一電極2の形成材料が導電性の良い金属又は合金材料である場合はその材料と同じであることが好ましいが、第一電極2の形成材料が導電性金属酸化物(透明導電膜)、導電性無機化合物、導電性高分子等である場合には、第一取出電極8と第二取出電極9は第一電極2と同時に形成せず、導電性の良い金属や合金を形成材料として、第一電極2の形成前又は形成後に前後して形成することが好ましい。その理由は、第一取出電極8と第二取出電極9は、プリント配線基板(図示しない)等にハンダ接続又はコネクター接続されるので、接点電極として高い導電性が必要であるからである。なお、この第一取出電極8と第二取出電極9は、この段階で図2(A)に示すように設けなくてもよく、図2(D)に示す接続配線23と第二電極5の形成時にそれぞれ設けてもよい。
【0064】
(絶縁層形成工程)
次に、図2(B)に示すように、絶縁層3を形成する。絶縁層3は、第一電極2を覆うとともに、第一電極1上の画素となる位置に表示層用開口部21を有する形態で形成する。この例では、表示層用開口部21とともに、接続配線用開口部22も併せて形成する。接続配線用開口部22を併せて形成する点は、後述の第3実施形態の場合での絶縁層3とは異なる。
【0065】
絶縁層3の形成材料としては、ノボラック系樹脂、ポリイミド、アクリレート等を挙げることができる。絶縁層3は、それらの樹脂材料を全面に塗布して形成される。その後、フォトリソグラフィ等で、所定形状の表示層用開口部21と接続配線用開口部22をパターニングし、図2(B)に示す形態の絶縁層3を形成する。なお、絶縁層3を必要とする部分以外は、フォトリソグラフィ等で任意に除去してもよい。図2(B)の例では、第一取出電極8と第二取出電極9を設けた辺11Aの周縁部7は絶縁層3を除去している。また、それ以外の3辺も、僅かではあるが絶縁層3を除去している。なお、絶縁層3の厚さは特に限定されず、下限としては少なくとも絶縁性を確保できる厚さで、上限としては全体としての平坦性を著しく阻害しない厚さであればよい。
【0066】
絶縁層3に形成する表示層用開口部21は、パッシブマトリクス駆動型の表示素子パネルの画素となる部分に対応するものであるので、第一電極2上に所定の画素パターンとなるように設ける。上記した第一電極2もその画素の大きさを考慮して形成されているので、この表示層用開口部21も、図2(B)に示すように、ストライプ状に設けられた第一電極2の幅(Y方向幅)からはみ出ない幅で規則的に形成する。また、表示層用開口部21の、第一電極2の長手方向(X方向)における幅も、その画素の大きさを考慮して形成する。
【0067】
絶縁層3に形成する接続配線用開口部22は、一つの第一電極2に一つ形成する。図2(B)の例では、接続配線用開口部22は、左上から右下に向かって各第一電極2に一つ形成されている。接続配線用開口部22は、画素に対応した表示層用開口部21とは異なり、図示のように画素を区分けする画素間の絶縁層領域に細長い形状で形成されている。このように細い形状で形成すれば、画素間の絶縁層領域を広くする必要がなく、画素の大きさを小さくすることもない。具体的には、接続配線用開口部22の細長い方向の幅(長さ)は、ストライプ状に設けられた第一電極2の幅(Y方向幅)からはみ出ない幅であればよい。一方、接続配線用開口部22の短い方向の幅(長さ)は、ディスプレイの精細度や画素の大きさに基づいた必要な抵抗値によって接続配線の幅を任意に変更することから一概には規定できないが、一例としては、画素間の絶縁層領域の幅の10〜80%程度の幅とすることができる。後述する接続配線の形成工程では、この接続配線用開口部22をスルーホールとして、接続配線23と第一電極2とが接続することになる。
【0068】
なお、図3に示すように、表示層用開口部21と接続配線用開口部22のいずれも、絶縁層3をフォトリソグラフィ等で開口させて設けるので、所定の厚さの絶縁層3をくり抜くように下まで貫通した態様になっている。
【0069】
(表示層形成工程)
次に、図2(C)に示すように、絶縁層3が有する表示層用開口部21内に表示層4を形成する。表示層4として有機EL層を設け、この表示素子パネル10Aを有機EL素子パネルとすることができる。この第1実施形態は、モノクロ有機EL素子パネルの例であるが、後述する第2実施形態のようなフルカラー有機EL素子パネルとすることもできる。
【0070】
有機EL層は少なくとも発光層を有するものであればよく、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子注入輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層等を任意に選択し、さらに任意の積層形態で適用できる。これらの各層の構成材料は、特に限定されず、公知の各種の材料から任意に選択して用いることができる。また、第一電極2が陽極であるか陰極であるかにより層構成も、選択される材料も異なる。これらの有機EL層は、塗布法、蒸着法、CVD法等、各種の手段で形成できる。
【0071】
なお、有機EL層以外の表示層としては、液晶材料を用いた液晶層等を挙げることができる。
【0072】
(第二電極及び接続配線の形成工程)
次に、図2(D)に示すように、第二電極5と接続配線23とを、第一電極2に交差する方向にストライプ状に形成する。このうち、第二電極5は、各第一電極2の上に設けられた表示層4上を横断するように、ストライプ状に形成する。一方、接続配線23は、第二電極5と同時に形成し、絶縁層3に設けられた接続配線用開口部22をコンタクトホールとして第一電極2に接続した態様で形成する。こうして形成された第二電極5と接続配線23は、それぞれ交互に並ぶように設けられている。
【0073】
第二電極5は、図2(D)の例では、Y方向の辺11Aに向かって、所定の幅と厚さからなるパターンで形成する。表示層4が有機EL層である場合には、第二電極5が陽極であるか陰極であるかで好ましい構成材料が選択される。さらに第二電極5が光の取り出し側であるか否かでも好ましい構成材料が選択される。そうした構成材料としては各種のものが選択して採用される。
【0074】
例えば、第二電極5が有機EL層に正孔を供給する陽極である場合、第二電極5の形成材料としては、金属単体、合金、導電性金属酸化物(透明導電膜)、導電性無機化合物、導電性高分子等を挙げることができる。これらの材料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよく、2層以上の層を積層させてもよい。なお、第二電極5に透明性をもたせて第二電極5側からも光を取り出すような場合には、透明導電膜であるITO、IZOが特に好ましく用いられる。
【0075】
第二電極5の厚さは特に限定されるものではなく、用いる導電性材料に応じて適宜設定される。第二電極5の成膜手段としては、例えば化学的気相成長法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法が挙げられる。
【0076】
ストライプ状の第二電極5は、表示層4を設けた後の全面に前記の成膜手段で第二電極層を形成し、その後にフォトリソグラフィでパターニングされるか、或いは、表示層4を設けた後の全面にレジストパターンを形成し、その後にレジストパターンを含む全面に前記の成膜手段で第二電極層を形成し、リフトオフさせてパターニングされる。ストライプ状の第二電極パターンのピッチは、等間隔であることが好ましい。なお、パターン幅は、表示層4が形成された画素の大きさ、ディスプレイサイズや解像度によって、任意の値に設定される。また、平面視における第二電極間の隙間の幅も、画素の大きさ、ディスプレイサイズや解像度によって任意に設定する。
【0077】
接続配線23は、接続配線用開口部22をスルーホールとして第一電極2に接続した態様で、第二電極5と平行になるようにストライプ状に形成する。接続配線23と第二電極5とを同じ材料で形成する場合には同時に形成するが、異なる材料で形成する場合には、第二電極5の形成後又は形成前に形成する。その形成は、第二電極5の場合と同様、全面に成膜した後にフォトリソグラフィ等でパターン形成する。
【0078】
接続配線23は、図2(D)に示すように、表示層4上に設けられることはなく、画素を区画する絶縁層3上に接続配線用開口部22の短尺幅と同じ幅又はほぼ同じ幅で形成される。また、接続配線用開口部22は一つの第一電極2に一つ形成されている。図2(D)に示すように、接続配線23は、形成された接続配線用開口部22の部位から、第一取出電極8側に向かって形成されていればよく、Y方向の全幅に形成されていなくてもよい。
【0079】
接続配線23の形成材料は特に限定されず、第二電極5と同じ材料で形成する場合には、第二電極5と同時に形成することができる。好ましい形成材料としては、接続配線23が画素間の細い絶縁層3上に設けられることから、金属や合金等の導電性の良い材料を挙げることができる。したがって、例えば第二電極5側が光の取り出し側であるために第二電極5を透明導電材料で形成する場合には、透明導電材料からなる第二電極5を形成した後に、接続配線23を金属又は合金で形成することが好ましい。接続配線23は細い絶縁層3上に設けられるので、接続配線23の幅は細く、第二電極5側が光の取り出し側であったとしても、接続配線23で透過性が阻害されることはない。なお、接続配線23はディスプレイサイズや画素サイズによって必要な抵抗値が設定されることになるが、その抵抗値は接続配線23の材料、幅及び厚さで任意に設定される。一般的なディスプレイサイズでは、導電性のよい金属材料で形成した接続配線の幅は10〜200μm程度になる。また、接続配線23の線幅を細くする場合は、接続配線23の厚さで抵抗を調整できる。一般的な厚さは、50nm〜500nm程度である。
【0080】
第一取出電極8と第二取出電極9は、図2の例では(A)の工程で第一電極2と同時に既に形成しているが、図2(A)の工程で形成せずに、接続配線23と第二電極5の形成と同時に又は前後して形成してもよい。特に、接続配線23を金属や合金等の導電性の良い材料で形成する場合には、この図2(D)の工程で接続配線23とともに形成することが好ましい。また、第二電極5の形成材料が導電性の良い金属又は合金材料である場合は、この図2(D)の工程で第二電極5とともに形成することが好ましい。
【0081】
その後においては、必要に応じて、例えば封止材を設けてもよいし、封止材を介して透明基材を設けてもよい。その場合の封止材としては、エポキシ樹脂等を挙げることができる。また、透明基材としては、上記した基材1のうち、特に透明性の高いガラス、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
【0082】
こうして第1実施形態に係る表示素子パネル10Aを形成することができる。特に接続配線形成工程では、接続配線用開口部22を介して各第一電極2にストライプ状の接続配線23を接続し、且つその接続配線23を第二電極5と交互に並設するので、接続配線23と第二電極5とを表示素子パネル10Aの同一辺11Aに向かって平行に形成することができる。その結果、その同一辺11Aで外部回路と接続するように構成できるので、他の辺11Bでの引き回し配線が不要となり、表示素子パネル10Aの周縁部7の面積を極力低減できる。
【0083】
形成した表示素子パネル10Aは、図2(D)及び図3に示すように、基材1上に並設したストライプ状の第一電極2と、第一電極2を覆うとともに、その第一電極2上の画素となる位置に設けられた表示層用開口部21及びその第一電極2上の画素以外の位置に設けられた接続配線用開口部22を有する絶縁層3と、絶縁層3が有する表示層用開口部21内に設けた表示層4と、各第一電極2上の表示層4を横断し、前記第一電極2に交差するように並設したストライプ状の第二電極5と、前記各第一電極2に前記接続配線用開口部22を介して接続するとともに、前記第二電極5と交互に並設したストライプ状の接続配線23と、を有する。さらに、この表示素子パネル10Aの同一辺11Aには、接続配線23に接続して外部回路に接続する第一取出電極8と、第二電極5に接続して外部回路に接続する第二取出電極9とが設けられている。
【0084】
こうして構成された表示素子パネル10Aは、絶縁層3が第一電極2上に位置する接続配線用開口部22を有するので、その後に第二電極5と並設される接続配線23は、その開口部22をコンタクトホールとして第一電極2に接続する。その結果、第一電極2を引き回す必要がない。
【0085】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る表示素子パネル10Bの製造工程を示す模式的な平面図である。図5は、得られた表示素子パネル10BのA−A断面図である。この表示素子パネル10Bは、表示層4を有機EL層とした有機EL素子パネルの例であって、且つその表示層4を、赤色有機EL層4R、緑色有機EL層4G及び青色有機EL層4Bの3色で構成した例である。したがって、第1実施形態では、一つの画素に対応した表示層4は一つであったが、この第2実施形態では、一つの画素に対応した表示層は3つ有機EL層4R,4G,4Bで構成され、各色の有機EL層を横断するように第二電極5が設けられている。それ以外の構成は、第1実施形態の場合と基本的に同じである。以下では、第1実施形態の場合と異なる点を中心に説明する。
【0086】
図4(A)の第一電極形成工程では、第一電極2とともに形成する第二取出電極9の形成パターン9R,9G,9Bを、後述の図4(D)で形成するストライプ状の第二電極5R,5G,5Bの形成パターンに対応した細長い3本のストライプ状パターンとしている点のみが第1実施形態の場合とは異なっている。この工程でのそれ以外の構成は、第1実施形態の場合と同じである。
【0087】
図4(B)の絶縁層形成工程では、フルカラーを構成する少なくとも3色の有機EL層4R,4G,4Bで表示層4を構成できるように、その3色の有機EL層4R,4G,4Bを形成する3つの表示層用開口部21R,21G,21Bを設けている点のみが第1実施形態の場合とは異なっている。このとき、第一電極2に交差して周縁部7の第二取出電極9に向かう方向(Y方向)には、同じ色の有機EL層(4R,4G又は4B)を形成することになる表示層用開口部(21R,21G又は21B)が直線状に並んで設けられている。この工程でのそれ以外の構成、例えば接続配線用開口部22等については、第1実施形態の場合と同じである。
【0088】
図4(C)の表示層形成工程では、絶縁層3に形成された3つの表示層用開口部21R,21G,21Bに、それぞれの色の有機EL層(4R,4G又は4B)を設けて、3色からなる画素を形成している点のみが第1実施形態の場合とは異なっている。この工程でのそれ以外の構成は、第1実施形態の場合と同じである。なお、第一電極2に交差して周縁部7の第二取出電極9に向かう方向(Y方向)に直線状に並ぶ各表示層用開口部(21R,21G又は21B)には、同じ色の有機EL層(4R,4G又は4B)が設けられる。各色の有機EL層4R,4G,4Bは、それぞれの色を発光する発光層及びその他の層を任意に選択し、任意に積層して構成する。
【0089】
図4(D)の第二電極及び接続配線の形成工程では、周縁部7の第二取出電極9に向かう方向(Y方向)に直線状に並設された同一色の有機EL層(4R,4G又は4B)の上を横断するように、第二電極(5R,5G又は5B)が設けられる。それぞれの第二電極5R,5G,5Bは、対応した第二取出電極9R,9G,9Bにそれぞれ接続するように設けられる。この工程でのそれ以外の構成は、第1実施形態の場合と同じである。
【0090】
こうして、各画素が少なくとも3色の有機EL層4R,4G,4Bで構成された第2実施形態に係るフルカラー有機EL素子パネル10Bを形成することができる。特に絶縁層形成工程で3色の有機EL層4R,4G,4Bを設けるための表示層用開口部21R,21G,21Bを形成したことにより、その後の表示層形成工程で各色の有機EL層4R,4G,4Bを設け、さらに第二電極形成工程で、周縁部7に向かう方向(Y方向)に直線状に並設された同一色の有機EL層(4R,4G又は4B)の上を横断する第二電極(5R,5G又は5B)を設けることができる。
【0091】
3本の第二電極5R,5G,5Bは、個々の画素に対応した一体の第二電極5(5R,5G,5B)とみなせるので、第1実施形態の場合と同様、一体の第二電極5(5R,5G,5B)と接続配線23とが交互に並設した態様となっている。その結果、接続配線23と第二電極5(5R,5G,5B)とを表示素子パネル10Bの同一辺11Aに向かって平行に形成することができ、その同一辺11Aで外部回路と接続するように構成できるので、他の辺11Bでの引き回し配線が不要となり、表示素子パネル10Bの周縁部7の面積を極力低減できる。
【0092】
形成した表示素子パネル10Bは、図4(D)及び図5に示すように、基材1上に並設したストライプ状の第一電極2と、第一電極2を覆うとともに、その第一電極2上の画素となる位置に設けられて少なくとも3色の有機EL層4R,4G,4Bに対応する少なくとも3つの表示層用開口部21R,21G,21B及びその第一電極2上の画素以外の位置に設けられた接続配線用開口部22を有する絶縁層3と、絶縁層3が有する表示層用開口部21R,21G,21B内にそれぞれ設けた表示層4R,4G,4Bと、同一色の表示層4R,4G,4Bの上を横断し且つ前記第一電極2に交差するように並設したストライプ状の第二電極5R,5G,5Bと、前記各第一電極2に前記接続配線用開口部22を介して接続するとともに、前記第二電極(5R,5G,5B)と交互に並設したストライプ状の接続配線23と、を有する。さらに、この表示素子パネル10Bの同一辺11Aには、接続配線23に接続して外部回路に接続する第一取出電極8と、第二電極5R,5G,5Bに接続して外部回路に接続する第二取出電極9R,9G,9Bとが設けられている。
【0093】
こうして構成された表示素子パネル10Bは、絶縁層3が第一電極2上に位置する接続配線用開口部22を有するので、その後に第二電極5R,5G,5Bと並設される接続配線23は、その開口部22をコンタクトホールとして第一電極2に接続する。その結果、第一電極2を引き回す必要がない。
【0094】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係る表示素子パネル10Cの製造工程を示す模式的な平面図である。図7は、得られた表示素子パネル10CのA−A断面図である。この表示素子パネル10Cは、第2実施形態と同様、表示層4を有機EL層とした有機EL素子パネルの例であって、且つその表示層4を、赤色有機EL層4R、緑色有機EL層4G及び青色有機EL層4Bの3色で構成した例である。さらに、この表示素子パネル10Cの製造においては、第一電極2の形成工程前に、基材1上に接続配線23を形成する工程と、その接続配線23を覆うとともに接続配線23上に位置する接続配線用開口部24を設けた第二絶縁層25を形成する工程とを有しており、その第二絶縁層25の形成工程後に、該第二絶縁層25上に上記第1,第2実施形態と同様の第一電極2を形成する工程を有している点に特徴がある。それ以外の構成は、第2実施形態の場合と基本的に同じである。以下では、第2実施形態の場合と異なる点を中心に説明する。
【0095】
図6(A)の接続配線形成工程では、基材上1上に接続配線23を形成する。この接続配線23は、辺11Aの周縁部7に向かって延びる形態でストライプ状に設ける。第3実施形態は、接続配線23を第二電極5とともに絶縁層3上に設ける第1、第2実施形態とは異なり、接続配線23を最初に設ける。
【0096】
接続配線23の形成位置や形成材料等については、第1、第2実施形態の場合と同様である。詳しくは、図6(A)に示すように形成された一の接続配線23は、接続配線23上の第二絶縁層25が有する接続配線用開口部25を介して対応する一の第一電極2に接続することになる。すなわち、一の接続配線23は、対応する一の第一電極2に接続することができる長さでストライプ状に設けられていればよく、そのため、図示のように、各接続配線23はY方向の長さが異なっている。なお、図示した接続配線23の長さは、必要十分な長さで設けたものであるが、全ての接続配線23を図6(A)に示す最も長い接続配線23と同じ長さにしても構わない。全ての接続配線23を同じに長さにできることは、上記した第1,第2実施形態の場合も同じである。
【0097】
なお、この例では、接続配線23は表示層用開口部21R,21G,21Bを有する絶縁層3の上に設けないので、接続配線23の短い方の幅は、第1,第2実施形態の場合のような制限、すなわち続配線用開口部22の短い方向の幅を、画素間の絶縁層領域の幅の例えば10〜80%程度の幅とすること等の制限はあまり受けない。したがって、第1,第2実施形態の場合よりもやや幅を広くしても構わない。ただし、そのままの幅で第一取出電極8に接続することになると、第一取出電極8の幅を拡大しなければならず、その結果、第二取出電極9R,9G,9Bのパターン形状にも影響して周縁部7でのパターン形状を複雑にする。そのため、第二取出電極9が設けられていない第二絶縁層25の下では、接続配線23の幅(X方向の幅。)を広くして低抵抗にして導電性を高めておき、第一取出電極8と第二取出電極9R,9G,9Bが設けられている周縁部7の手前で、接続配線23の幅を第一取出電極8の幅と同じ幅にして接続してもよい。
【0098】
この図6(A)の接続配線形成工程では、第2実施形態の図4(A)の場合と同様、接続配線23とともに、第一取出電極8と第二取出電極9R,9G,9Bを形成する。第一取出電極8と第二取出電極9R,9G,9Bの形成に関しては、第2実施形態の場合と同様である。
【0099】
図6(B)の第二絶縁層形成工程では、接続配線23を覆うとともに、接続配線23上に位置して第一電極2に接続することになる接続配線用開口部24を設けた第二絶縁層25を形成する。この第二絶縁層25は、表示層用開口部21を設けない以外は第1,第2実施形態での絶縁層3と同じものとすることができる。すなわち、絶縁層3の材料、厚さ、形成手段、パターニング手段、接続配線用開口部24(第1、第2実施形態では符号22。)についても、第1、第2実施形態の場合と同様である。
【0100】
図6(C)の第一電極形成工程では、第1,第2実施形態で基材1上に第一電極2をストライプ状に形成する場合と同様、第二絶縁層25上に第一電極2をストライプ状に形成する。なお、第1,第2実施形態では、第一電極2と同時に又は前後して第一取出電極8と第二取出電極9R,9G,9Bを形成できるとしているが、上記したように、第一取出電極8と第二取出電極9R,9G,9Bは図6(A)の接続配線形成工程で形成した方が好ましいので、ここでは、第一取出電極8と第二取出電極9R,9G,9Bの形成は通常は行わない。この工程でのそれ以外の構成は、第1,第2実施形態の場合と同じである。
【0101】
図6(D)の絶縁層形成工程では、第2実施形態の場合と同様、フルカラーを構成する少なくとも3色の有機EL層4R,4G,4Bで表示層4を構成できるように、その3色の有機EL層4R,4G,4Bを形成する3つの表示層用開口部21R,21G,21Bを設けている。このとき、第一電極2に交差して周縁部7の第二取出電極9に向かう方向(Y方向)には、同じ色の有機EL層(4R,4G又は4B)を形成することになる表示層用開口部(21R,21G又は21B)を直線状に並んで設けている。この工程でのそれ以外の構成は、第1,第2実施形態の場合と同じである。
【0102】
なお、この工程では、接続配線用開口部は設けない。接続配線用開口部24は、図6(B)の工程で既に設けており、図6(C)で形成した第一電極2の形成時に、第一電極2はその接続配線用開口部24を介して接続配線23に接続されている。
【0103】
図6(E)の表示層形成工程では、第2実施形態の場合と同様、絶縁層3に形成された3つの表示層用開口部21R,21G,21Bに、それぞれの色の有機EL層(4R,4G又は4B)を設けて、3色からなる画素を形成している。この工程でのそれ以外の構成は、第1,第2実施形態の場合と同じである。なお、第一電極2に交差して周縁部7の第二取出電極9に向かう方向(Y方向)に直線状に並ぶ各表示層用開口部(21R,21G又は21B)には、同じ色の有機EL層(4R,4G又は4B)が設けられる。各色の有機EL層4R,4G,4Bは、それぞれの色を発光する発光材料を任意に選択して構成する。
【0104】
図6(F)の第二電極形成工程では、第2実施形態の場合と同様、周縁部7の第二取出電極9に向かう方向(Y方向)に直線状に並設された同一色の有機EL層(4R,4G又は4B)の上を横断するように第二電極(5R,5G又は5B)を設ける。それぞれの第二電極5R,5G,5Bは、対応した第二取出電極9R,9G,9Bにそれぞれ接続するように設けられる。この工程では、接続配線23は設けない、それ以外の構成は、第1,第2実施形態の場合と同じである。
【0105】
この第3実施形態に係る表示素子パネル10Cの製造方法は、前記した第1、第2実施形態の場合のように接続配線23を絶縁層3上に設けるのではなく、第一電極形成工程前に、基材1上に接続配線23と第二絶縁層25とを積層し、第二絶縁層25を形成した後に第一電極2を形成する点に特徴がある。形成した第二絶縁層25には、接続配線23上の位置に接続配線用開口部24を設けているので、その開口部24をコンタクトホールとしてその後に設ける第一電極2を接続配線23に接続することができる。その結果、第一電極2を引き回す必要がなく、表示素子パネル10Cの周縁部7の面積を極力低減できるという効果がある。
【0106】
また、上記の第2実施形態の場合と異なり、接続配線23を第二電極5と共に設けることはせず、第一電極2よりも早い段階で設けているので、第一電極2を覆うように設ける絶縁層3に、表示層用開口部21とともに接続配線用開口部を設ける必要がない。絶縁層3上に接続配線用開口部を設けないということは、接続配線23の幅を広くしたりできる等の自由度が増すという利点がある。また、表示層5(5R,5G,5B)間の隙間を狭くすることも可能となる。
【0107】
なお、この第3実施形態では、フルカラー有機EL素子パネルで説明しているが、図2に示すようなモノクロ有機EL素子パネルにも適用できる。
【0108】
この製造方法で得られた表示素子パネル10Cは、図6(D)及び図7に示すように、基材1と第一電極2との間に、基材1上に設けた接続配線23と、その接続配線23を覆うとともに接続配線23上に位置する接続配線用開口部24を設けた第二絶縁層25とが設けられている点が第2実施形態とは異なる。
【0109】
詳しくは、表示素子パネル10Cは、基材1上に、辺11Aの周縁部に向かって延びる形態で設けたストライプ状の接続配線23と、その接続配線23を覆うとともに、接続配線23上に位置して第一電極2に接続することになる接続配線用開口部24を設けた第二絶縁層25と、第二絶縁層25上に、前記接続配線23に交差するように並設したストライプ状の第一電極2と、第一電極2を覆うとともに、その第一電極2上の画素となる位置に設けられて少なくとも3色の有機EL層4R,4G,4Bに対応する少なくとも3つの表示層用開口部21R,21G,21Bを有する絶縁層3と、絶縁層3が有する表示層用開口部21R,21G,21B内にそれぞれ設けた表示層4R,4G,4Bと、同一色の表示層4R,4G,4Bの上を横断し且つ前記第一電極2に交差するように並設したストライプ状の第二電極5R,5G,5Bと、を有する。さらに、この表示素子パネル10Bの同一辺11Aには、接続配線23に接続して外部回路に接続する第一取出電極8と、第二電極5R,5G,5Bに接続して外部回路に接続する第二取出電極9R,9G,9Bとが設けられている。なお、接続配線用開口部25は、有機EL層4R,4G,4Bが設けられる画素以外の位置に形成される。
【0110】
[表示装置]
本発明に係る表示装置30は、図8に示すように、上記本発明に係る表示素子パネル10A〜10Cをタイリングしてなることを特徴とする。この表示装置30によれば、周縁部の面積を極力低減した表示素子パネルを用いたので、その表示素子パネルをタイル状に配列(タイリング)して大画面の表示装置とすることができる。なお、各表示素子パネルの配置構成は、図8の形態に限らず、任意に変更可能である。
【実施例】
【0111】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明の範囲は以下の実施例に限定されない。
【0112】
図2及び図3に示す第1実施形態に係るパッシブマトリクス駆動型の有機EL素子パネル10Aを作製した。先ず、厚さ0.7mmのガラス基材(日本電気硝子株式会社製)を準備した。その後、そのガラス基材上に厚さ150nmのITO膜を成膜した後にパターニングしてストライプ状(帯状)の第一電極2を形成した。第一電極2はY方向幅700μmで、Y方向にピッチ750μmで並設した。第一電極2を形成した後に、厚さ150nmのクロム膜を成膜し、パターニングして、辺11Aの周縁部7に、Y方向長さ3mm、X方向幅110μmの第一取出電極8と、Y方向長さ3mm、X方向幅600μmの第二取出電極9とを形成した。第一取出電極8と第二取出電極9の間隔は40μmとした。なお、ガラス基材1の一辺11Aから2mmの幅の内容領域を「周縁部7」とした。
【0113】
次に、第一電極2上に、ポリイミドからなる厚さ1μmの絶縁層3を成膜し、パターニングして、表示層用開口部21と接続配線用開口部22とを開口した。表示層用開口部21はX方向幅570μmでY方向幅670μmであり、接続配線用開口部22はX方向幅130μmでY方向幅670μmである。X方向の表示層用開口部21,21間の絶縁層幅は180μmであり、さらに表示層用開口部21と接続配線用開口部22との間の絶縁層幅は25μmである。なお、接続配線用開口部22の幅は、X方向の表示層用開口部21,21間の絶縁層幅の72%である。
【0114】
次に、絶縁層3で形成された表示層用開口部21内の第一電極2上の全面に、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−[4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル]ベンジジンを真空加熱蒸着法により成膜し、厚さ60nmの正孔注入層を形成した。次に、その正孔注入層上の全面に、ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン(α−NPD)を真空加熱蒸着法により成膜し、厚さ20nmの正孔輸送層を形成した。次に、1−tert−ブチル―ペリレン(TBP)を発光性ドーパントとして含有し、2−メチル−9,10ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン(MADN)をホストとして含有した発光材料を真空加熱蒸着法により成膜し、厚さ40nmの発光層を形成した。次に、発光層を覆うように、電子輸送層としてAlq3を厚さ20nm、電子注入層としてLiFを厚さ0.5nmで、それぞれ真空加熱蒸着法により積層成膜した。
【0115】
次に、Alを真空加熱蒸着法にて100nmの厚さで成膜し、パターニングして、X方向幅580μmの第二電極5を第二取出電極9に接続するように形成するとともに、接続配線用開口部22を介して第一電極2に接続したX方向幅140μmの接続配線23を第一取出電極8に接続するように形成した。
【0116】
最後に、封止材としてエポキシ樹脂を塗布し、その上からガラス基板を載せ、紫外線を照射してエポキシ樹脂を硬化させて封止を行った。こうして、有機EL発光素子パネルを作製した。ここでは、第一電極2を走査線とし、第二電極5をデータ線として表示回路に接続し、発光を確認したところ、走査線、データ線を表示素子パネルの一辺から取り出した構造にて所望の表示が確認できた。
【0117】
こうして作製した表示素子パネルをタイリングして、図8に示す態様の表示装置30を構成した。第一取出電極8と第二取出電極9が設けられた周縁部7が一の辺11Aにしか存在しないので、非表示部の面積の小さい表示装置を構成できた。
【0118】
また、上記の実施例と同様にして、第2実施形態及び第3実施形態の有機EL素子パネルを作製し、同様の表示確認と、タイリングして表示装置を作製した。いずれの場合においても、パネルの一辺に向かうように走査線とデータ線とを並列に配置し、その一辺のみを配線に使用する構造としたので、残りの三辺の額縁部を極力狭くした表示素子パネルとすることができた。この有機EL素子パネルを複数用いてタイリングした表示装置は、非表示部が目立たない大画面の表示装置とすることができた。
【符号の説明】
【0119】
1 基材
2 第一電極(走査線又はデータ線)
3 絶縁層
4,4R,4G,4B 表示層(有機EL層)
5,5R,5G,5B 第二電極
6 封止層
7 周縁部
8 第一取出電極
9,9R,9G,9B 第二取出電極
10,10A,10B,10C,10D 表示素子パネル
11 ストライプ状積層体
11A 辺(Y方向の一辺)
11B 他の辺(X方向の一辺)
21,21R,21G,21B 表示層用開口部
22 接続配線用開口部
23 接続配線
24 接続配線用開口部
25 第二絶縁層
30 表示装置
【0120】
100 有機EL素子パネル
101 基材
102 走査線
103 絶縁層
104,104R,104G,104B 有機EL層
105,105R,105G,105B データ線
106 封止層
107 周縁部
108,109,109’,109R,109G,109B 取出電極
110A,110B 辺
111 ストライプ状積層体
112 有機EL層用開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に並設したストライプ状の第一電極と、前記第一電極を覆うとともに、該第一電極上の画素となる位置に表示層用開口部を設けた絶縁層と、前記絶縁層が有する表示層用開口部内に設けた表示層と、該表示層上に、前記第一電極に交差するように並設したストライプ状の第二電極と、前記各第一電極に接続するとともに、前記第二電極と交互に並設したストライプ状の接続配線と、を有することを特徴とするパッシブマトリクス駆動型の表示素子パネル。
【請求項2】
前記絶縁層が、前記第一電極上に位置する接続配線用開口部を有し、前記接続配線が、該接続配線用開口部で前記第一電極と接続している、請求項1に記載の表示素子パネル。
【請求項3】
前記基材と前記第一電極との間には、前記基材上に設けた前記接続配線と、該接続配線を覆うとともに、該接続配線上に位置する接続配線用開口部を設けた第二絶縁層と、が設けられている、請求項1に記載の表示素子パネル。
【請求項4】
前記表示素子パネルの同一辺には、前記接続配線に接続して外部回路に接続する第一取出電極と、前記第二電極に接続して外部回路に接続する第二取出電極とが設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子パネル。
【請求項5】
前記第一取出電極が、前記接続配線からなる、又は、前記接続配線とは別に設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子パネル。
【請求項6】
前記第二取出電極が、前記第二電極からなる、又は、前記第二電極とは別に設けられている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示素子パネル。
【請求項7】
前記表示層が、モノクロ有機EL層、又は赤色EL層、緑色EL層及び青色EL層からなるフルカラー有機EL層である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示素子パネル。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子パネルをタイリングしてなることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
基材上にストライプ状の第一電極を形成する工程と、
前記第一電極を覆うとともに、該第一電極上の画素となる位置に表示層用開口部を有する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層が有する表示層用開口部内に表示層を形成する工程と、
前記表示層上に前記第一電極に交差するようにストライプ状の第二電極を形成する工程と、
前記各第一電極に接続するとともに、前記第二電極と交互に並ぶストライプ状の接続配線を形成する工程と、を有することを特徴とする、パッシブマトリクス駆動型の表示素子パネルの製造方法。
【請求項10】
前記絶縁層の形成工程において、前記絶縁層に、前記第一電極上に位置する接続配線用開口部を形成し、前記接続配線の形成工程において、前記接続配線を、前記接続配線用開口部で前記第一電極と接続する、請求項9に記載の表示素子パネルの製造方法。
【請求項11】
前記第一電極の形成工程前に、前記基材上に前記接続配線を形成する工程と、前記接続配線を覆うとともに、該接続配線上に位置する接続配線用開口部を設けた第二絶縁層を形成する工程とを有し、該第二絶縁層の形成工程後に、該第二絶縁層上に前記第一電極を形成する、請求項9に記載の表示素子パネルの製造方法。
【請求項12】
前記表示素子パネルの同一辺に、前記接続配線に接続して外部回路に接続する第一取出電極と、前記第二電極に接続して外部回路に接続する第二取出電極とを形成する工程を有する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の表示素子パネルの製造方法。
【請求項13】
前記第一取出電極を、前記第一電極と同時に設ける、又は、前記接続配線と同時に設ける、請求項9〜12のいずれか1項に記載の表示素子パネルの製造方法。
【請求項14】
前記第二取出電極を、前記第一電極と同時に設ける、又は、前記第二電極と同時に設ける、請求項9〜13のいずれか1項に記載の表示素子パネルの製造方法。
【請求項15】
前記表示層を、モノクロ有機EL層として設ける、又は、赤色EL層、緑色EL層及び青色EL層からなるフルカラー有機EL層として設ける、請求項9〜14のいずれか1項に記載の表示素子パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−32471(P2012−32471A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170040(P2010−170040)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】