説明

パッチ中間転写記録媒体、及びそれを用いた偽造防止媒体

【課題】
画像をインクジェット方式で画像が滲まず、乾燥が早く印画でき、被転写体に容易に転写でき、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有するパッチ中間転写記録媒体、及びそれを用いた偽造防止媒体を提供する。
【解決手段】
(1)透明基材11の一方の面に、電離放射線硬化樹脂と蛍光発光性の希土類錯体とを含み、かつ前記電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域が前記蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域と異なるホログラム層15、反射層17及び、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含み、かつインクジェット方式で情報が印画できる受容層23からなる転写材10の転写部をハーフカット処理を施してパッチ21とし、該パッチ21が支持基材31へ剥離性樹脂層33を設けた支持材30の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッチ中間転写記録媒体に関し、さらに詳しくは、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用しないインクジェット方式で画像を印画でき、転写後は耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光を有し、意匠性とセキュリティ性に優れる蛍光発光性のホログラム層を有するパッチを転写性よく転写できるパッチ中間転写記録媒体、及びそれを用いた偽造防止媒体に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「エクストルージョンコーティング」は「EC」、「印字」は「印画」の略語、同意語、機能的表現、通称、又は業界用語である。また、「ホログラム」は「ホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明のパッチ中間転写記録媒体を用いて、パッチの受容層へ個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用しないインクジェット方式で画像を印画した後に、該パッチを被転写体へ転写した偽造防止媒体の主なる用途としては、社員証、会員証、学生証などのIDカード、ギフト券、入場証、通行証、サービスポイントなどの、一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体へ適用できる。
しかしながら、インクジェット方式で画像を印画し、特異な意匠性やセキュリティ性に優れるホログラム層を転写性よく転写でき、転写後は耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光を有する用途であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)従来、上記の用途の媒体、例えば、一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体が増加している。該媒体は一定の経済的価値や効果を持つため、有効期間や区間、氏名、年齢などの個別情報が改竄されて、不正に偽造、変造、不正使用することが絶えず、種々の改竄防止策が提案され、セキュリティ性の向上が図られている。優れた美観、意匠性とともに、高いセキュリティ性を持つホログラム転写箔を用いて、ホログラムを媒体へ転写することが知られている。ホログラム転写箔は、基本的には基材フィルム上に、剥離層または、離型層と保護層、ホログラム形成層、ホログラム効果層および接着層を設け、カードなどの被転写材の転写領域に対向させて接着し、接着後に基材フィルムを剥離して、カードなどの被転写材の表面にホログラム層を転写する。上記ホログラム転写箔は、ホログラム層の変造や偽造が困難であることから、被転写物品の偽造、変造が有効に防止されているが、各種模倣、偽造、変造技術の向上によりさらに優れた偽造防止性、変造防止性が要求されるようになってきた。
これらの要求に応えるために、通常の白色光源下においては目視不能であるが、赤外線または紫外線照射下で可視領域の蛍光を生じる蛍光顔料からなる蛍光潜像の画像などをカードなどの表面に形成することが考えられる。しかしながら、上記蛍光顔料からなる画像は容易に書き換え可能であるとともに、身分証明書やキャッシュカードなどはその使用頻度が高くまたカードリーダーなどにより表面に多くの摩擦力が加えられることから、蛍光顔料印刷層が容易に剥落してしまうという課題がある。また、蛍光を形成する方法として、各種の画像を簡単に形成できる為、簡便な熱転写法が広く用いられている。蛍光像は、熱転写層に蛍光剤を含有させてなる熱転写箔を用いて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱手段により、カード等の被転写体に記録することができる。従来、蛍光像は蛍光染料又は蛍光増白剤を用いており、耐熱性、耐光性や耐候性などの耐久性に欠ける当欠点がある。
【0005】
一方、カード類などには所有者の個人情報を表示するが、この個人情報の漏洩を防止し、かつ、使用時における外力に対する耐久性が必要である。個人情報の表示方法として、熱転写法による印画(表示)が広く使用される様になっている。これらの熱転写方法では、各種の画像が簡便に形成されるので、印刷枚数が比較的少なくてもよい印刷物、例えば、身分証明書等のIDカードの作成等に利用される様になっている。又、顔写真等の如くカラー画像が好ましい場合には、連続した基材フイルム上に、例えば、イエロー、マゼンダ及びシアン(更に必要に応じてブラック)の着色熱転写層を面順次に繰返し多数設けた長尺熱転写フイルムを用いる熱転写方法が行なわれている。この様な熱転写フイルムは溶融転写タイプと、昇華タイプの熱転写フイルムとがあるが、いずれも、専用のインクリボンを用いて印画するので、印画されて抜けた部分があるインクリボンが排出され、該排出インクリボンの抜け部分は秘密にしたい個人情報などであり、該個人情報などが廃棄されるインクリボンから容易に知られてしまうという危険性があった。
また、インクリボンを使用せず、インクジェット方式で画像を形成する中間転写記録媒体もあるが、インクジェット方式による画像では乾燥が遅いため画像形成速度が遅くなったり、また印画が滲んだり、さらに画像形成後の乾燥も遅いので、直ちに被転写体へ転写できないという問題点もあった。
従って、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、パッチ中間転写記録媒体のパッチ部分へ、個人情報を印画できて、印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、かつ、カードなどの媒体(被転写体)へ容易に転写できるパッチ中間転写記録媒体が求められ、転写後の媒体(偽造防止媒体)においては、パッチが保護層となって、多数回の繰り返し使用などの過酷な使用条件においても、偽造防止媒体の表面を保護して耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、セキュリティ性に優れ、かつ、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有する偽造防止媒体が求められている。
【0006】
(先行技術)従来、蛍光染料又は蛍光増白剤を形成又は転写したカードが知られている(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかしながら、従来の蛍光染料又は蛍光増白剤では耐熱性、耐光性や耐候性などの耐久性に欠けるという欠点がある。
また、本出願人は、基材フィルム上に、剥離層または、離型層と保護層、ホログラム形成層、ホログラム効果層および接着層からなるホログラム転写箔において、上記剥離層または、離型層と保護層と、ホログラム形成層との間、または上記ホログラム効果層と接着層との間に無色または白色の蛍光顔料を含む蛍光顔料印刷層が設けられていることを特徴とするホログラム転写箔を開示している(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、従来の蛍光顔料では耐光性や耐候性などの耐久性に欠け、かつ、ホログラム効果層と蛍光顔料印刷層の2層とせねばならず、製造が複雑で高コストとなるという問題点がある。
さらに、多種の物品に、転写箔やラベルによって形成することができる識別マークとしては、光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層を有する識別マークであって、該希土類錯体がジアステレオ選択性を有する配位子を持つ。前記光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層が、特定波長領域で円偏光性の蛍光を放出するため、左右円偏光の強度の差、またはg値を測定することによって真偽判定をおこなうことができる識別マークが知られている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、仮支持体フィルム上に、光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層(識別マーク)、及び接着剤層をこの順に積層したことを特徴とする転写箔であって、媒体の表面へ転写されて最表面となり、多数回の繰り返し使用されると、耐擦傷性や耐溶剤性などに欠けて、耐久性に欠けるという欠点がある。
さらにまた、本出願人は樹脂層を設けたシート基材と、ホログラム形成層と受容層を設けた透明シートが積層され、ホログラム形成層及び受容層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施され、樹脂層と透明シートの間で剥離する中間転写記録媒体を開示している(例えば、特許文献5〜6参照。)。しかしながら、ホログラムのみで、蛍光発光層がなく、セキュリティ性に欠けるという欠点がある。
さらにまた、受像層に昇華性熱転写、溶融性熱転写、インクジェット、または電子写真により画像形成し、基材上に熱転写により転写されたカードが知られている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、インクジェットによる画像は文字などの画像であり、特段のセキュリティ性は有していないという問題点がある。
さらにまた、支持体上の片面に、剥離層、ホログラムパターンを有する第1のホログラム形成層、透過性薄膜層、前記第1のホログラム形成層とは異なるホログラムパターンを有する第2のホログラム形成層、反射性薄膜層、接着層を順次積層してなるホログラム転写箔において、前記透過性薄膜層及び前記第2のホログラム形成層の間に当該透過性薄膜層の少なくとも一部を覆うように印刷層を形成し、前記印刷層は少なくとも一部が蛍光インキで印刷されているホログラム転写箔が知られている(例えば、特許文献8参照。)。しかしながら、蛍光インキはインクジェット方式ではなく、公知の印刷によるもので少ロット対応できず、ましてや、個人情報やオンデマンドで可変情報である画像の印画は極めて困難であるという欠点がある。
さらにまた、本出願人は、樹脂層を設けたシート基材と、受容層とホログラム形成層が積層されている設けた透明シートが積層され、受容層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施され、樹脂層と透明シートの間で剥離する中間転写記録媒体の、受容層に転写画像を形成し、該画像形成された部分のみを被転写体へ再転写して画像を形成する画像形成方法が知られている(例えば、特許文献9参照。)。しかしながら、画像は溶融転写又は昇華タイプの熱転写インクリボンを用いる熱転写方法による転写画像であって、残渣インクリボンに個人情報などの痕跡が残り、セキュリティ性に劣るという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】特開平3−159796号公報
【特許文献2】特開平3−159795−号公報
【特許文献3】特開2006−1212号公報
【特許文献4】特開2005−111704号公報
【特許文献5】特開2002−274060号公報
【特許文献6】特開2004−284096号公報
【特許文献7】特開平10−244788号公報
【特許文献8】特開平7−199781号公報
【特許文献9】特開2002−274060号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、パッチ中間転写記録媒体のパッチ部分へ、個人情報を印画できて、印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、かつ、カードなどの媒体(被転写体)へ容易に転写できるパッチ中間転写記録媒体を提供し、該パッチ中間転写記録媒体を用いた転写後の媒体(偽造防止媒体となる)においては、パッチが保護層となって、多数回の繰り返し使用などの過酷な使用条件においても、偽造防止媒体の表面を保護して耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有するセキュリティ性に優れる偽造防止媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わるパッチ中間転写記録媒体は、(1)透明基材、該透明基材の一方の面にホログラム層、反射層及び受容層からなる転写材と、(2)支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されているパッチ中間転写記録媒体において、前記ホログラム層が電離放射線硬化樹脂と蛍光発光性の希土類錯体とを含み、前記電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域が前記蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域と異なり、前記受容層が少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含み、該受容層へインクジェット方式で情報が印画できるように、したものである。
請求項2の発明に係わる偽造防止媒体は、請求項1に記載のパッチ中間転写記録媒体のパッチが被転写体へ転写された偽造防止媒体において、前記パッチの受容層にインクジェット方式で印画された情報印字層103を有するように、したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の本発明によれば、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、パッチ中間転写記録媒体のパッチ部分へ、個人情報をインクジェット方式で印画ができ、印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、かつ、カードなどの媒体(被転写体)へ容易に転写でき、セキュリティ性に優れ、かつ、使用時耐久性即ちハードコート性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有するパッチ中間転写記録媒体が提供される。
請求項2の本発明によれば、個人情報がインクジェット方式で印画され、かつ、パッチが保護層となって、多数回の繰り返し使用などの過酷な使用条件においても、偽造防止媒体の表面を保護して耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有するセキュリティ性に優れる偽造防止媒体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示すパッチ中間転写記録媒体の断面図である。
図2は、本発明のパッチ中間転写記録媒体を用いて転写した本発明の1実施例を示す偽造防止媒体の断面図である。
【0012】
(パッチ中間転写記録媒体)本発明のパッチ中間転写記録媒体20は、図1に示すように、パッチ21が支持材30の剥離性樹脂層33面へ剥離可能に積層されている。パッチ21は転写材10の転写部をハーフカット処理して、パッチ状としたものである。転写材10は(1)透明基材11と、該透明基材11の一方の面にホログラム層15、反射層17及び受容層23からなり、支持材30は(2)支持基材31へ剥離性樹脂層33を設けてある。ホログラム層15は蛍光発光性の希土類錯体を含ませる。
【0013】
(偽造防止媒体)本発明の偽造防止媒体100は、図2に示すように、本発明の上記パッチ中間転写記録媒体20を用いて、転写材30の転写部をハーフカット処理してパッチ状となっているパッチ21を、支持材30から剥離させて、被転写体101へ転写してある。パッチ21は透明基材11、蛍光発光性の希土類錯体を含むホログラム層15及び受容層23からなっており、受容層23にはインクジェット方式で画像が印画されたている。
【0014】
パッチ中間転写記録媒体20は、次のような効果を奏することができる。(1)パッチ中間転写記録媒体20からパッチ21を被転写体101へ転写する際には、パッチ21はハーフカット処理されているので、容易に支持材30から剥離して、転写性よく転写することができる。(2)従来の蛍光発光剤は結晶粒子が大きく、ホログラム層15への配合ができなかったが、分子量1500程度の希土類錯体を用いることで、容易に均一に分散することができる。(3)ホログラム層15へ耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性の希土類錯体を含ませることで、従来の耐熱性や耐光性に劣る蛍光染料や発光増白剤を含む蛍光層と比較して、格段に優れた耐熱性や耐光性を有する蛍光発光性が得られる。(4)ホログラム層15へ耐熱性に優れる蛍光発光性の希土類錯体を含ませることで、ホログラムを賦型する際の熱で蛍光発光剤が劣化せず、蛍光発光性が維持される。(5)また、蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域が電離放射線硬化性樹脂の吸収波長領域と異なっているようにすることで、ホログラム層15の電離放射線硬化性樹脂の硬化を、蛍光発光剤が阻害しないので、充分に硬化させることができる。(6)ホログラム層15が蛍光発光性のホログラムとなって、ホログラムと蛍光発光の両発現をもたらす。(7)蛍光発光性のホログラム層15が、蛍光発光する時には、エンボス(ホログラム)の輪郭でも発光するために、この界面での蛍光発光しない部分との光量差からエッジが際立って光るという効果もあり。セキュリティ性が向上する。(8)受容層23は少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含むので、インクジェット方式で個人情報などの画像が印画でき、しかも、印画する際には画像が滲まず、乾燥が早い。
【0015】
また、偽造防止媒体100は、次のような効果を奏することができる。(1)偽造防止媒体100にはパッチ21(透明基材11、ホログラム層15及び受容層23からなる)が転写され、偽造防止媒体100の最表面はパッチ21の透明基材11となり、該透明基材11は一旦フィルム用に高強度に成膜されたものであので、多数回の繰り返し使用でも、耐擦傷性や耐溶剤性などの耐久性に優れ、従来の塗布された樹脂による保護層に比較して、媒体の表面を強固に保護することができる。該透明基材11としては、2軸延伸されたフィルムが好ましい。(2)受容層23に印画された情報印字層103はインクジェット方式での印画であるので、該画像は溶融転写又は昇華タイプの熱転写インクリボンを用いる熱転写方法による転写画像と異なって、インクリボンを使用しないので、個人情報などの痕跡が残らず、セキュリティ性に優れる。(3)かつ、偽造防止媒体100は、ホログラム層15を含むパッチ21が転写されるので、ホログラムと蛍光発光性とを有し、ホログラムのセキュリティ性と、従来の蛍光層に比較して、耐熱性や耐光性に格段に優れる蛍光発光性の両効果を発現する。
【0016】
(転写材)転写材10は透明基材11、該透明基材11の一方の面にホログラム層15、反射層17及び受容層23からなっている。
【0017】
(透明基材)透明基材11/ホログラム層15/反射層17/受容層23からなる転写材10は、ハーフカット処理で切断された部分がパッチ21となって、被転写体101へ転写され、保護層として機能する。透明基材11としては、透明性、耐候性、耐摩擦性、耐薬品性等の耐久性を有するものであれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン系樹脂、セロファンなどのセルロース系フィルムなどが例示できる。該透明基材11は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。
【0018】
また、該透明基材11は、延伸又は未延伸のフィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。厚は、通常2.5〜50μm程度が適用できるが、2.5〜25μmが好適である。該透明基材11は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えてもよい。2軸延伸ポリエチレンテレフタレートのフィルムが、耐熱性、機械的強度がよいため好適に使用され。
【0019】
(ホログラム層)ホログラム層15としては、蛍光発光性の希土類錯体とを含ませ、バインダ樹脂としては電離放射線硬化樹脂を主成分とし、必要に応じてフィラーなどの添加物を含ませてもよい。
【0020】
(希土類錯体)蛍光発光性の希土類錯体とは、蛍光発光する光学活性希土類錯体で、光学活性部位を持つ希土類錯体のことをいい、光学活性部位を持つ配位子が配位している希土類錯体か、もしくは希土類錯体の正四角反柱型の配位構造の、希土類金属原子周辺の絶対配置に関して存在する2種の立体異性体(Δ体、Λ体)のうち、一方が過剰に含まれている状態の希土類錯体をいう。このような構造の希土類錯体は、発光特性に優れ、半値幅の狭いシャープな発光スペクトルを示すものである。特に、希土類イオンLn3+がEu3+、Tb3+、Yb3+、Nd3+、Er3+、Sm3+、Dy3+、Ce3+、のいずれかである希土類錯体は弱い励起光でも強い発光をする強発光性の希土類錯体であり、好ましく用いられる。例えば、一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)などがある。また、希土類錯体には<−Cn2n+1(nは1〜22の整数)>基を含むことが耐熱性や安定性の点で好ましい。具体的には、ルミシス(登録商標、総販売元:セントラルテクノ社製、製造元:株式会社日生化学工業所)R−600、G−900、YB−1200などが例示できる。詳しくは、WO2005/044770号公報、特開2006−249075号公報、特開2005−97240号公報、に記載されている。
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

(式中、Dは重水素原子、ハロゲン原子又は水素原子を含まないC1〜C22の脂肪族基を示す)
【0023】
【化3】

(式中、XはC−RまたはNを表し、Rは水素原子または置換基を表す)
【0024】
【化4】

【0025】
発光効率のよい希土類錯体を用いることで、バインダ樹脂である電離放射線硬化性樹脂樹脂に含有させる蛍光発光性の希土類錯体の割合は質量基準で、0.01〜10%程度、好ましくは0.1〜5%である。この範囲未満では蛍光発光の強度が小さく、この範囲を超えても蛍光発光の強度は充分過ぎて、高コストとなってしまう。
【0026】
(波長領域)さらに、バインダ樹脂である電離放射線硬化性樹脂としては、前記樹脂系のうち、蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域、及び蛍光発光波長領域に吸収がないか、吸収が小さいものが好ましい。蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域に吸収があると、電離放射線硬化性樹脂へ電離放射線を照射して反応(硬化)させて蛍光層15を形成する際に、希土類錯体が電離放射線の1部を吸収してしまい、反応(硬化)不良をきたし耐久性不足となったり、又は多大な照射量を要して高コストとなってしまうのである。この点で、前記のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂系が好ましく、該樹脂系は波長250nm以下の紫外領域の照射でも硬化させることができる。また、蛍光発光性の希土類錯体の蛍光発光波長領域に吸収があると、蛍光層15/受容層23が転写された媒体へ、蛍光発光させるとために、例えば紫外線を照射した際に、電離放射線硬化性樹脂が紫外線の1部を吸収してしまい、発光不良をきたし蛍光の輝度不足となったり、又は多大な照射量を必要として蛍光発光装置の高出力によって大型化、高コストとなってしまうのである。なお、硬化前の電離放射線硬化性樹脂と硬化後の電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域は同様である。
【0027】
該電離放射線硬化性樹脂としては、好ましくは、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂を用い、好ましくはポリエチレンワックスを含ませて、塗布し乾燥して電離放射線で硬化させて、電離放射線硬化樹脂とすればよい。
【0028】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では電離放射線硬化性樹脂組成物Mと呼称する)は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂などが例示できる。具体的には、MHX405ニス(ザ・インクテック(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)、ユピマーUV・V3031(三菱化学(株)製、電離放射線硬化性樹脂商品名)が例示できる。
【0029】
(ホログラム層の形成)ホログラム層15の形成は、上記の電離放射線硬化性樹脂、蛍光発光性の希土類錯体、必要に応じてフィラー、光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥して、ホログラムを賦型後に電離放射線で反応(硬化)させればよい。ホログラム層15の厚さは、通常、1〜10μm程度、好ましくは2〜5μmである。
【0030】
発光効率のよい希土類錯体を用いることで、バインダ樹脂である電離放射線硬化性樹脂樹脂に含有させる蛍光発光性の希土類錯体の割合は質量基準で、0.01〜10%程度、好ましくは0.1〜5%である。この範囲未満では蛍光発光の強度が小さく、この範囲を超えても蛍光発光の強度は充分過ぎて、高コストとなってしまう。
【0031】
(ホログラム)本発明の転写材10では、ホログラム層15の受容層23側の表面に、光回折性の微細な凹凸を形成してホログラム層15とし、微細な凹凸面に反射層17を設けることで、ホログラムの持つ高意匠性及び偽造防止性を付与することができる。
【0032】
(ホログラム)次に、ホログラム層15の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定の微細な凹凸(レリーフ構造)を賦型し、硬化させる。ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
【0033】
ホログラム層15面へ、レリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
【0034】
また、ホログラム層15に形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。ホログラム層15は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、紫外線や電子線などの電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(微細な凹凸=レリーフ構造=ホログラム)となる。
【0035】
(反射層)反射層17は、所定のレリーフ構造を設けたホログラム層15面のレリーフ面へ、反射層17へ設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム層15の反射率のより高れば、特に限定されない。該反射層17としては、真空薄膜法などによる金属薄膜などの金属光沢反射層、又は透明反射層のいずれでもよいが、金属光沢反射層は部分的に設け、透明反射層は被転写体へ形成されている画像の面へ転写しても、画像が観察できるので好ましい。透明反射層としては、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム層15よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したもの等が例示できる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム層15のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。
【0036】
(受容層)透明反射層層17面へ、必要に応じてプライマー層を介して、受容層23を設け、該受容層23はパッチ中間転写記録媒体10の最表面となり、該受容層23にはインクジェット方式によって画像が印画される。受容層23としては、公知のものでよいが、好ましくはカチオン性ウレタン系樹脂とカチオン性フィックス剤とフィラーとを含むようにする。
【0037】
カチオン性ウレタン系樹脂としてはカチオン性基を有するポリカーボネート系ポリウレタン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール系ポリウレタン、ポリエステルエーテル系ポリウレタン、ポリブチレンアジペート系ポリウレタン、ポリメチルペンタンアジペート系ポリウレタン、ポリノナンジオールアジペート/ポリオクタンアジペート系ポリウレタン、ポリメチルペンタンアジペート系ポリウレタンなどのウレタン系樹脂で、好ましくは自己乳化性又は水性で、カチオン性親水基を有するポリカーボネート系又はポリエステル系のポリオールと脂肪族イソシアネートの反応物が好ましい。カチオン性基としては1〜3級アミン或いは4級アンモニウム塩基などが例示できる。
カチオン性フィックス剤としては、ポリアミン誘導体や第4級アンモニウム塩などの染料固着剤が例示できる。
フィラーとしては、箔切れ性を良くし、透明性を害さない程度に含有させ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等で、マイクロシリカが好ましい。
【0038】
カチオン性ウレタン系樹脂とカチオン性フィックス剤とマイクロシリカの割合が質量基準でカチオン性ウレタン系樹脂:カチオン性フィックス剤:マイクロシリカ=100:5〜20:1〜10である。カチオン性フィックス剤の含有割合が上記範囲未満では定着性が悪く、上記範囲を越えると洗濯中に溶出して堅牢性を低下させる。マイクロシリカの含有割合が上記範囲未満ではインキ定着性と箔キレ性が悪く、上記範囲を越えると透明性が低下し画像が見えにくくなる。
【0039】
カチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーを溶剤に溶解または分散させて、適宜添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ1〜30μmの受容層23とすればよい。
【0040】
(定着性)従来の受容層はポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を主体とするもので、耐水性は著しく悪く、また、多孔質のフィラーを用いたり、受容層塗工液の溶媒として良溶媒と貧溶媒を用いて、乾燥中に相分離、ゲル化させて多孔質の網目構造とさせたり、していたが、画像の定着性が充分でなく、洗濯時に画像が淡くなる問題点もあった。本発明で用いる受容層23によれば、インクジェット方式によって印画された情報印字層103でも高画質で定着性がよく、洗濯堅牢度も向上する。定着性と洗濯堅牢度の両立は定かではないが、カチオン性ウレタン系樹脂とカチオン性フィックス剤とフィラーとを含むことで、塗膜の表面が微細な凹凸状となったり、塗膜自身の凝集状態も密ではなくかなり粗状になっているために、画像成分の浸透性や密着性が向上し、また、画像を構成する染料などがカチオン性ウレタン系樹脂やカチオン性フィックス剤と反応し不溶化するため、と推測される。本発明の偽造防止媒体100における情報印字層103は、転写材10と被転写体101との間に挟まれるが、断面は露出しており、断面からの浸水による耐水性にも優れている。
【0041】
(支持材)支持材30は支持基材31へ剥離性樹脂層33が設けられている。
【0042】
(支持基材)支持基材31としては、特に限定されず、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、またはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、コート紙、合成樹脂またはエマルジョン含浸紙、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、アクリル系樹脂、イミド系樹脂、ポリアリレートなどのエンジニアリング樹脂、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン系樹脂、セロファンなどのセルロース系フィルムなどのフィルムが例示できる。上記の支持基材31上に後述さる剥離性樹脂層33を設ける際に、接着性を向上させるために、支持基材31表面をコロナ放電処理したり、プライマー層を設けてもよい。
【0043】
支持材30は10μm〜100μmの厚みのものが好ましく、シート基材が薄すぎると得られるパッチ中間転写記録媒体20のいわゆるコシがなくなり、熱転写プリンターで搬送できなかったり、パッチ中間転写記録媒体20にカールやシワが発生したりする。一方、支持材30が厚すぎると、得られるパッチ中間転写記録媒体20が厚くなりすぎ、熱転写プリンタで搬送駆動させる力が大きくなりすぎて、熱転写プリンタに故障が生じたり、正常に搬送できなかったりする。
【0044】
(剥離性樹脂層)剥離性樹脂層33としては、粘着剤層や簡易接着層やエクストルージョンコーティング(EC)層により形成する。
【0045】
粘着剤層は、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴムなどのゴム系樹脂などが挙げられる。粘着剤層の塗工量は、約8〜30g/m2(固形分)が一般的であり、従来公知の方法、すなわち、グラビアコート、ロールコート、コンマコート等の方法で、塗布し乾燥して粘着剤層を形成する。また、粘着剤層の粘着力は、透明基材11と粘着剤層との剥離強度で、JIS Z0237準拠の180°による剥離方法において、5〜1,000g程度の範囲にすることが望ましい。以上の如き粘着剤の種類や、塗工量は、前記支持基材31上に粘着剤層を形成する際に、その剥離強度が前記範囲になるように、選択して使用することが好ましい。また、支持基材31上に粘着剤層を設け、透明基材11と粘着剤層を積層するには、粘着剤層のドライラミネーションやホットメルトラミネーション等の方法が採用できる。
【0046】
簡易接着層は、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)やポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂のラテックスや、ゴム系レジン、ワックス類及びそれらの混合物を用いて、支持基材31上に従来公知の塗工方式で形成し、透明基材11と簡易接着層とを加熱しながらドライラミネーションして積層すればよい。そして、透明基材11と支持基材31を剥がした後の簡易接着層は、粘着性が低下し、再度、透明基材11と支持基材31を貼り合わせることはできない。このような簡易接着層を用いる場合、支持基材31と簡易接着層との間にプライマー層を設けてもよい。
【0047】
また、剥離性樹脂層33として、支持基材31上にEC層で設けてもよい。EC層を形成する熱可塑性樹脂は透明基材11には本質的に接着せず、EC加工特性のある樹脂であれば特に限定されないが、透明基材11に一般的に利用されるPETフィルムに対して、本質的な接着性を有さず加工性も優れる、ポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。具体的には、LDPE、MDPE、HDPE、PP樹脂等を使用できる。これらの樹脂をEC加工する際の冷却ロールをマットロールを使用して、EC層表面にマット面が転写されて凹凸形状を賦形して不透明としたり、ポリオレフィン系樹脂に炭酸カルシウム、酸化チタン等の白色顔料を練り混んで、不透明としたり、してもよい。また、該EC層は単層でも、複数層でもよい。透明基材11からの剥離強度は、EC加工時の加工温度、樹脂種によって調整することができる。このように、支持基材31上にEC層をEC加工と同時に、いわゆるECラミネーションで支持基材31と透明基材11をEC層を介して積層させればよい。
【0048】
(耐熱滑性層)パッチ中間転写記録媒体20では、必要に応じて、支持基材31の剥離性樹脂層33面と反対面に耐熱滑性層を設けてもよい。パッチ中間転写記録媒体20を用いて被転写体101へ再転写はサーマルヘッドやヒートロール等の熱転写プリンタが用いるので、その熱によるスティッキングやシワなどの悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けてもよい。耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0049】
また、耐熱滑性層に添加、又は上塗りする滑り性付与剤としては、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添加することがより好ましい。耐熱滑性層は、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、支持基材31の背面に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等で塗布し乾燥して形成すればよい。
【0050】
(パッチ)パッチ中間転写記録媒体20は支持材30面にパッチ21が剥離可能に積層されている。パッチ21は透明基材11/ホログラム層15/反射層17/受容層23からなる転写材10の転写部をハーフカット処理してパッチ状であり、支持基材31/剥離性樹脂層33からなる支持材30面に剥離可能に積層されている。
【0051】
(ハーフカット)ハーフカット処理法としては、カッター刃を取り付けた上型と台座の間に、カット前の積層状態のパッチ中間転写記録媒体20を挿入して、上型を上下動させる方法や、シリンダータイプのロータリーカッター方法、レーザー加工手段により熱処理加工方法等、ハーフカットできる方法であれば特に制限はない。パッチ21部分とそれ以外部分を除去しなくてもよいが、図1に示すパッチ中間転写記録媒体20の断面のように、ハーフカットしてパッチ21部分のみを残して、それ以外部分を予め剥離し除去しておく(当業者はカス取りという)のが好ましい。被転写体へパッチ21を転写する際に、ハーフカット処理された部分で透明基材11部が切断されることがなく、確実に転写することができる。
【0052】
なお、ハーフカットは、一般的には、パッチ21の回り一周分単位で連続的にカットを施す、四隅等の部分的にアンカット(全くカットがない)部分、ミシン目部分を設けたりして、熱転写プリンター搬送中等取扱で、ハーフカットの部分が剥離するトラブルを防ぐことができる。なお、支持材30の少なくとも1部はカットされず連続状にしておく。ハーフカット処理で切断の深さが深過ぎると、支持基材31まで切断されて、プリンター搬送中にハーフカット加工部で切断され、搬送トラブルが発生しやすくなる。
【0053】
パッチ21の形状としては、特に限定されないが、例えば矩形、楕円形、丸形、ドーナッツ形などが例示できる。ハーフカット処理されたパッチ21部分が被転写体の転写される全面の大きさよりも小さくてもよく、また、パッチ21部分が、被転写体に対して、部分的に抜けている部分があってもよく、さらに、パッチ中間転写記録媒体20の全幅が、被転写体の転写される面の幅よりも広くてもよい。
【0054】
(パッチ中間転写記録媒体)本発明のパッチ中間転写記録媒体20は、支持基材31/剥離性樹脂層33からなる支持材30面に、透明基材11/ホログラム層15/反射層17/受容層23からなる転写材10の転写部をハーフカット処理したパッチ21が、剥離可能に積層されている。
【0055】
(偽造防止媒体)本発明の偽造防止媒体100は、図2に示すように、本発明のパッチ中間転写記録媒体20を用いて、転写材30の転写部をハーフカット処理してパッチ状としたパッチ21を、支持材30から剥離させて、被転写体101へ転写してある。パッチ21は透明基材11、蛍光発光性の希土類錯体を含むホログラム層15及び受容層23からなる。受容層23にはインクジェット方式で情報印字層103が印画されている。
【0056】
(転写方法)被転写体への転写する転写方法としては、公知の転写法でよく、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる転写、サーマルヘッド(感熱印画ヘッド)によるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などの公知の方法が適用できる。また、パッチ21の形状に合わせて加熱し転写してもよい。
【0057】
(被転写体)被転写体101としては、特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等いずれのものでもよく、用途によって、適宜選択すればよい。また、被転写体101の媒体はその少なくとも1部が、画像、着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
【0058】
(情報印字層)受容層23への画像としては、特に限定されないが、文字、数字、顔写真などのような画像が形成される。画像の形成法としては、インクリボンの残渣が残る熱熔融転写方式、熱昇華転写方式ではなく、インクジェット方式を用いる。受容層23は少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含むので、インクジェット方式で印画しても画像が滲まず、乾燥が早い。
【0059】
インクジェットプリンタで、パッチ中間転写記録媒体20の受容層23へ画像となる情報印字層103を印画し、引き続き同一プランタ内のインライン方式で、該情報印字層103を含むパッチ21を転写してもよく、印画と転写とを1回の走行で処理できるので、極めて効率的である。情報印字層103は耐久性に欠けるが、パッチ21で画像が保護され各種耐久性に優れ、かつ、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有する高度なセキュリティ性に優れる偽造防止媒体100となる。このようにして、パッチ中間転写記録媒体20を用いた偽造防止媒体100は、情報印字層103上に耐久性の高いパッチ(透明基材11が保護層となる)を形成し、過酷な使用条件においても、熱転写画像の各種耐久性に優れ、また、パッチは被転写体101へ容易に転写でき、転写された媒体においては、セキュリティ性に優れ、かつ、使用時耐久性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有する。
【0060】
(耐久性)多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護し、機械的化学的な損傷から長期間にわたって保護できるので、極めて過酷な環境で使用されるガソリンスタンドカードや工事現場カード、及び、使用期限がなかったり、長期にわたる入退室カードやポイントカード、金融機関などの多数のセキュリティ管理された部屋への入退室を繰り返す入退室カードなどにも好適に使用することができる。
【0061】
また、ホログラム層15の蛍光発光性のホログラムが形成され、意匠性とセキュリティ性が発現する。さらに、ホログラム層15の蛍光は、蛍光発光性の希土類錯体による発光であり、耐熱性や耐光性に優れる。ホログラム層15の蛍光は、通常の可視光では観察できず、特定波長光の照射により可視光を発光するものが好ましく、光源としては紫外領域の波長が好ましく、紫外LED、ブラックライト、キセノンランプ、短波長半導体レーザーなど例示できる。
【0062】
ホログラム層15に用いた蛍光発光性の希土類錯体の耐熱性は、約250°Cにも耐え、ホログラム層15でも200℃環境下に1時間放置しても、発光輝度に著しい変化はなかった。また、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定した耐候性試験は、500時間の照射後における印刷物の色の変化を照射前と比較して目視で評価したが、500時間後でも著しい変化はなかった。このように、カードなどの媒体(被転写体)へ箔切れがよく容易に転写でき、転写された媒体においては、セキュリティ性に優れ、かつ、使用時の耐久性を有し、多数回の繰り返し使用でも、媒体の表面と保護する耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有している。
【実施例】
【0063】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。なお、溶媒を除き、各層の各組成物は固形分換算の質量部である。
【0064】
(実施例1)透明基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、下記のホログラム層組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた。
・<ホログラム層組成物>
MHX405ニス(ザ・インクテック社製、電離放射線硬化性樹脂、商品名)
25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社製、赤発光性の希土類錯体商品名)
0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
次に、該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。
該ホログラム層15のレリーフ面へ、厚さ50nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して、透明反射層17とした。
該透明反射層17面へ、下記のプライマ層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が0.5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた後に、該プライマ層面へ下記の受容層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、受容層23を形成して、透明基材11/剥離層13/ホログラム層15/透明反射層17/プライマ層/受容層23の層構成からなる転写材10を得た。
・<プライマ層組成物途工液>
ポリエステル樹脂 20部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1)40部
・<受容層組成物>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 20部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)2部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1部
溶媒(水) 80部
別途、支持体31として厚さ38μmのPETフィルムを用い、該支持体31と先に製造した転写材10とを積層する。支持体31面へ下記剥離性樹脂層組成物を、乾燥後の塗布量が3μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた後に、転写材10の透明基材11面とを加圧するドライラミネーション法により積層品を得た。
・<剥離性樹脂層組成物(簡易接着層タイプ)>
アクリル系樹脂ラテックス(日本ゼオン(株)製、LX874) 30部
溶媒(水:イソプロピルアルコール=1:1) 70部
上記の積層品に対して、転写材10部分に角丸の矩形状のカッター刃を取り付けた上型と台座とのプレス方式でハーフカット処理を行い、カス取りを行って、パッチが剥離可能に積層された連続巻取状の実施例1のパッチ中間転写記録媒体20を得た。
【0065】
(実施例2)ホログラム層組成物中のルミシスR−600の代わりに、ルミシスG−900(セントラルテクノ社製、緑発光性の希土類錯体商品名)を用いる以外は、実施例1と同様にして、実施例2のパッチ中間転写記録媒体20を得た。
【0066】
(実施例3)ホログラム層15の代わりに、下記のハードコート層組成物、及び赤発光性のホログラム層組成物、緑発光性のホログラム層組成物、青発光性のホログラム層組成物を用いた。
まず、透明なハードコート層組成物を用いて、グラビアリバースコーターで乾燥後の塗布厚さが6μmになるように塗工し100℃で乾燥させて、ハードコート層を形成した。
該ハードコート層面へ、赤発光性のホログラム層組成物、緑発光性のホログラム層組成物、青発光性のホログラム層組成物を用いて、グラビア印刷法で顔写真を印刷した後に、該層面へ、立体の社章の2光束干渉法によるホログラムから、2P法で複製した絵柄(立体の社章像を再生するレリーフ)と、該絵柄毎にホログラムマークが設けて一対とし、該一対を複製の流れ方向へ順次羅列して複数絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3のパッチ中間転写記録媒体20を得た。
・<ハードコート層組成物>
MHX405ニス(前出) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
・<赤発光性のホログラム層組成物>
MHX405ニス(前出) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社製、赤発光性の希土類錯体商品名)
0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
・<緑発光性のホログラム層組成物>
MHX405ニス(前出) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
ルミシスG−900(セントラルテクノ社製、緑発光性の希土類錯体商品名)
0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
・<青発光性のホログラム層組成物>
MHX405ニス(前出) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
ルミシスYB−1200(セントラルテクノ社製、青発光性の希土類錯体商品名)
0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
【0067】
(比較例1)ホログラム層15のホログラム層組成物として、下記の組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、比較例1のパッチ中間転写記録媒体20を得た。
・<ホログラム層組成物>
MHX405ニス(ザ・インクテック社製、電離放射線硬化性樹脂、商品名)
25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15部
蛍光増白剤 0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
【0068】
(実施例4〜6、比較例2)実施例及び比較例のパッチ中間転写記録媒体20のそれぞれの受容層23面へ、600dpiのカラーインクジェットプリンターを用いて、会社名、氏名及び顔写真の画像を印画した。次に、画像が形成された受容層23面へ、被転写体101としてポリ塩化ビニール製のクレジットカード仕様のカードを用い、FARGO製のカード用プリンタHDP820で重ねて、被転写体101の全面に転写し支持材30を剥離し徐去して、実施例4〜6及び比較例2の偽造防止媒体100を得た。
【0069】
(評価試験)評価は被転写体へ転写し、転写性、転写後の表面の硬度、スクラッチ性、及び蛍光層の耐光性で評価した。
【0070】
(評価結果)実施例1〜3の硬化前のホログラム層はいずれも指乾状態であり、巻取りができ、以降の工程もロールツーロール加工ができた。紫外線で硬化後のホログラム層面を、鉛筆硬度試験を、JIS−K−5400に準拠して測定したところ、2H以上の硬度を有しており、ホログラム層へ蛍光発光性の希土類錯体を含ませても、蛍光発光剤の吸収波長によって、電離放射線硬化性樹脂の硬化を阻害せず、充分に硬化できたことを示している。
実施例1〜3及び比較例1のパッチ中間転写記録媒体20は、転写時の剥離性もよく、正常に転写することができた。実施例4〜6の偽造防止媒体100のインクジェット方式での会社名、氏名及び顔写真の画像は、滲みもなく、正常に印画できていた。
耐光性に関しては、実施例1〜3及び比較例1のパッチ中間転写記録媒体20、並びに実施例4〜6及び比較例2の偽造防止媒体100を用いて、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定を行い、500時間の耐光性試験後における蛍光画像の色の変化を照射前と比較して目視で評価した。耐光性試験500時間後の実施例1〜3のパッチ中間転写記録媒体20、実施例4〜6の偽造防止媒体100に、波長365nmのブラックライトで紫外線を照射すると、耐光性試験前と著しい変化はなく、良好に蛍光発光し、ホログラム画像の輪郭も見え、良好な耐光性であった。このことは、ホログラム層へ含ませる蛍光発光剤の材料を希土類錯体と限定することで、得られた耐光性であり、意匠性やセキュリティ性の向上を図ることができた。
しかしながら、耐光性試験500時間後の比較例1のパッチ中間転写記録媒体、及び比較例2の偽造防止媒体では、波長365nmのブラックライトで紫外線を照射すると、耐光性試験前の蛍光画像と比較して極めて弱く蛍光発光するのみで、蛍光層の蛍光増白剤の劣化が著しく、不良であった。また、ホログラム画像の輪郭も認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の1実施例を示すパッチ中間転写記録媒体の断面図である。
【図2】本発明のパッチ中間転写記録媒体を用いて転写した本発明の1実施例を示す偽造防止媒体の断面図である。
【符号の説明】
【0072】
10:転写材
11:基材
15:ホログラム層
17:反射層
20:パッチ中間転写記録媒体
21:パッチ
23:受容層
30:支持材
31:支持基材
33:剥離性樹脂層
100:偽造防止媒体
101:被転写体
103:情報印字層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)透明基材、該透明基材の一方の面にホログラム層、反射層及び受容層からなる転写材と、(2)支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されているパッチ中間転写記録媒体において、前記ホログラム層が電離放射線硬化樹脂と蛍光発光性の希土類錯体とを含み、前記電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域が前記蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域と異なり、前記受容層が少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含み、該受容層へインクジェット方式で情報が印画できることを特徴とするパッチ中間転写記録媒体。
【請求項2】
請求項1に記載のパッチ中間転写記録媒体のパッチが被転写体へ転写された偽造防止媒体において、前記パッチの受容層にインクジェット方式で印画された情報印字層103を有することを特徴とする偽造防止媒体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−251357(P2009−251357A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100307(P2008−100307)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】