説明

パネル付き柵

【課題】柵の横ビームの長手方向と同方向に移動する通行人等から表示パネルを容易に認識することが可能であり、加えて横ビームの任意の位置に表示パネルを取付けることが可能なパネル付き柵を提供する。
【解決手段】支柱1の間に取付けられた横ビーム2に表示パネル3が設けられ、表示パネル3は横ビーム2の側方に突出して取付けられると共に、表示パネル3の表示面31が横ビーム2の長手方向に向けられるようにパネル付き柵を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等の屋外の敷地において敷地境界部に設置されたり、敷地を適宜大きさに区画するためや、駐輪場等で駐輪場所を区画するために設けられたりする柵に関するものであり、特にパネル付きの柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、店舗等の屋外の敷地において敷地境界部に設置されたり、敷地を適宜大きさに区画するためや、駐輪場等で駐輪場所を区画するために設けられたりする柵は、支柱間に複数の横ビームを架設したものや、この横ビームの間に縦ビームを接続した縦格子状のものが用いられている。更に、歩行者や自転車等に乗った通行人等に対して目印や案内するために表示パネルが取付けられた柵も用いられており、このパネルの取付方法には様々なものが提案されている。
【0003】
例えば、デザインパネルを挟んで平行に設けられた一対の横桟と、この一対の横桟を連結する複数本の連結桟とを備えており、前記デザインパネルが、透明の合成樹脂板と、この合成樹脂板に貼り付けられて所定のデザインを形成している有色透明の合成樹脂フィルムとを備えた防護柵が提案されている。この防護柵は、防護柵に対して水平斜め方向からの見通しがきき易いので、従来の防護柵に比べてその透視効果を向上させることができるものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
又、道路に沿って設置されているガードレールの支柱に立て看板を取付けるための立て看板の取付金具であって、取付金具を構成する垂直部材に固定された板材と、U字ボルトの間で前記支柱を挟持するようになされた取付金具が提案されている。この取付金具は、立て看板をガードレールの支柱に簡単に着脱することが可能であり、立て看板が不要となって取り外した後にも支柱に傷が残ることがないものである。(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2501941号公報
【特許文献2】登録実用新案第3033605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者の防護柵は、一対の横桟を連結する連結桟のために、デザインパネルを後付けするには不向きであり、又、防護柵の長手方向と同じ方向に移動する通行人や自転車、自動車等の運転手からはデザインパネルが認識しにくいものであった。又、後者の立て看板の取付金具は、支柱のみに立て看板を取付けるものであり、支柱と支柱との中間位置等に立て看板を取付けることが困難であり、ガードレールの長手方向への立て看板の取付位置にかなりの制約を受けるであった。
【0007】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、柵の横ビームの長手方向と同方向に移動する通行人等から表示パネルを容易に認識することが可能であり、又横ビームの任意の位置に表示パネルを取付けることが可能なパネル付き柵を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわちこの発明に係るパネル付き柵は、適宜間隔をおいて立設された支柱の間に取付けられた横ビームに表示パネルが設けられ、該表示パネルは横ビームの側方に突出して取付けられると共に、表示面が横ビームの長手方向に向けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るパネル付き柵において、横ビームを上下に間隔をおいて支柱の間に複数取付け、表示面が設けられたパネル部材を、平板状のパネルとその上下に配置されパネルを支持するフレームとを備えるように構成し、上フレームが接続部材を介して上方の横ビームに取付けられ、下フレームが接続部材を介して下方の横ビームに取付けられるように構成してもよい。
【0010】
又本発明に係るパネル付き柵において、上下の支持フレームにおいて、もう一方の端部どうしを連結し、この連結部を、パネルの側端部から離れる方向に張り出した略横U字状に形成した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、適宜間隔をおいて立設された支柱の間に取付けられた横ビームに表示パネルが設けられ、該表示パネルは横ビームの側方に突出して取付けられると共に、表示面が横ビームの長手方向に向けられているので、横ビームの任意の位置から側方に向けて表示パネルを取付けることが可能であり、しかも横ビームの長手方向と同方向に進行する歩行者等は表示パネルの表示面を容易に視認することができる。
【0012】
本発明に係るパネル付き柵において、前記横ビームを、上下に間隔をおいて支柱の間に複数取付けられ、前記表示パネルは、表示面が設けられた平板状のパネルと、その上下に配置されパネルを支持する上下のフレームとを備え、前記上フレームの一端は、接続部材を介して上方の横ビームに取付けられ、前記下フレームの一端は、接続部材を介して下方の横ビームに取付けられるようにすれば、フレームによりパネルを強固に支持することが可能であり、又横ビームに対し、柵の設置後であっても表示パネルの追加で取付けたり、取り外したり、或いは取付位置の調整したりすることが可能である。
【0013】
又、本発明に係るパネル付き柵において、上下のフレームを、もう一方の端部どうしが連結されると共に、前記連結部は、パネルの側端部から離れる方向に張り出された略横U字状に形成されるようにすれば、通行人等が張り出し部を掴んだ際にパネルの側端部に接触することなく、歩行等の支持に利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0015】
すなわち、図1は本発明に係るパネル付き柵の第一の実施形態を示す斜視図、図2は図1の正面図、図3は図1の側面図、図4は図3の主要部の部分拡大図、図5は図4の主要部の分解説明図、図5は図4の接続金具の拡大説明図、図6は本発明に係るパネル付き柵の第二の実施形態を示す説明図である。
【0016】
図1〜5は、本発明に係るパネル付き柵Pの第一の実施形態を示す説明図である。本形態に係る柵Pは、適宜間隔をおいて地表に複数立設された支柱1と、支柱1の間に取付けられた横ビーム2と、横ビーム2に設けられた表示パネル3とを備えている。
【0017】
図1は本形態に係る柵Pの斜視図であり、図2は図1の主要部の正面図である。先ず、支柱1は、一般には断面が円形状や矩形状で、アルミニウム合金、ステンレス鋼や鋼材からなる金属管により作成され、その表面にはめっきや塗装等の表面処理が施されている。そして支柱1の頂部にキャップ11が取付けられている。続いて、横ビーム2は、支柱1の間に上下に間隔をおいて2個取付けられたものであり、支柱1と同様に、一般には断面が円形状や矩形状で、アルミニウム合金、ステンレス鋼や鋼材からなる金属管により作成され、その表面にはめっきや塗装等の表面処理が施されている。
【0018】
次に、表示パネル3は、横ビーム2の側方に突出して取付けられると共に、表示面31が横ビーム2の長手方向に向けられているものであり、表示面31が形成されたパネル32とパネル32の周囲に配置されパネル32を支持するためのフレーム4とを備えている。パネル32は、一般には金属板や樹脂板等の平板状のものが用いられ、平板の少なくと一方の面に塗装やシール材等の貼付により記号、名称、案内、標識等が表示されたものである。
【0019】
図3及び図4は、表示パネル3の構造及び、横ビーム2に対する表示パネル3の取付構造を示すものであり、図3は図2のA−A断面における縦断面図、図4は図3の主要部の拡大図である。先ず、表示パネル3の支持構造について詳しく説明する。パネル32は、平板状に形成され一方の面に表示面31が形成されると共に、パネル32の上端部が上フレーム41に支持され、パネル32の下端部が下フレーム42に支持されている。本形態では、上フレーム41の外周面から下フレーム42に向けて上支持片43が垂下され、下フレーム42の外周面から上フレーム41に向けて下支持片44が立設され、上下の支持片43,44が、パネル32の表示面31が形成された面とは反対側の面にそれぞれ当接され、ボルトB1、及びナットN1により締結されて、パネル32がフレーム4に支持されている。尚、上下の支持片43,44はパネル32の長さや高さ等の寸法やパネル32の重量に応じて必要な個数を形成すればよい。又、パネル32の支持方法は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、上下のフレーム41,42の円周方向に沿ってバンド状の支持部材を配置し、この支持部材の両端部の間にパネル32を挟み、ボルト・ナット等で挟持固定するようにしてもよい。
【0020】
表示パネル3の表示面31を両面に形成する場合は、1個のパネル32の両面に表示面31を形成したものを用いてもよく、2個の表示パネルを重ね表示面31がそれぞれ外側に配置されるように重ねて用いてもよい。後者において、パネル32をフレーム4に取付ける場合は、この2個のパネル材32を前後に配置して上下のフレーム41,42の上下支持片43,44の挟み、2個のパネル材32と上下の支持片43,44をボルトB1及びナットN1によりそれぞれ締結してもよい。こうすれば、上下の支持片43,44が外観上目立たず、意匠性を損なうことを防ぐことができる。
【0021】
これら構造により、横ビーム2の長手方向と同方向に移動する歩行者や自転車や自動車の運転手等の通行人は表示パネル3の表示部31を容易に認識することができる。又、柵Pを自転車等の駐輪場として利用する場合、横ビーム2の長手方向と垂直方向に自転車等を駐輪する場合は、駐輪した人が駐輪場に戻ってくる場合は表示面31の表示に基づいて駐輪場所の認識が可能となり、加えて、横ビーム2が仕切りとして利用することができるので、駐輪した自転車が横倒しになっても表示パネル3が仕切りとなって、表示パネル3を跨いで自転車が連続的に横倒しになることを防ぐことができる。更に、図1に示すように、表示パネル3が横ビーム2の両側方に突出して取付けられれば、前記の効果に加えて、歩行者が横ビーム2の側方のいずれに位置していても表示パネル3の表示部31を容易に認識することができる。
【0022】
加えてフレーム4は、連結部45がパネル32の側端部から離れる方向に張り出された横U字状に形成されている。これにより、通行人等が連結部45を掴んで、歩行等の支持に利用することが可能となる。
【0023】
次に、横ビーム2とフレーム4との接続構造について詳しく説明する。フレーム4の上フレーム41は接続部材5を介して上横ビーム2に取付けられ、下フレーム42は接続部材5を介して下横ビーム2に取付けられると共に、上下のフレーム41,42は上下の横ビーム2に対し直交して、且つ水平に取付けられている。尚、横ビーム2が上下に3個以上配置されている場合は、上フレーム41を上方の横ビーム2に取付け、下フレーム42は下方の横ビーム2に取付ければよい。更に、2個以上配置された横ビーム2に対して表示パネル3を複数個取付ける場合は、隣合う表示パネル2が同じ高さに配されるように取付けてもよいが、隣合う表示パネル2おいて、表示内容や、表示に必要な高さが異なる場合は、必要に応じて表示パネル2を異なる高さに配されるようにしてもよい。
【0024】
接続部材5は、横ビーム2の任意の位置に固定するための横ビーム支持部51と、フレーム4を固定するためのフレーム支持部52とを備え、横ビーム2とフレーム4とを接続するものである。本形態では、接続金具5は、横ビーム2が挿通可能であり且つ横ビーム2の外周面に沿って円筒状に形成された横ビーム支持部51と、その外周面から直角に突出し、上フレーム41又は下フレーム42の側端部が挟持される円筒状のフレーム支持部52とを備えた上下に半割状で二個一対の接続金具53,54とからなる。この接続金具53,54は、半円筒状の横ビーム支持部51の一端どうしが嵌合されて円筒状となされ、その内側で横ビーム2を挟持し、横ビーム2に接続部材5を固定するものである。又、上下に対向する半円筒状のフレーム支持部52の間に上フレーム41又は下フレーム42の側端を挟持して、表示パネル3を横ビーム2に取付けるものである。
【0025】
図5は、接続金具53どうしが嵌合されて接続部材5が形成された状態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。横ビーム支持部51の嵌合箇所においては、一方の端部から嵌合する他方の端部に向けて先端側が幅広の突起55が設けられ、他方の端部には、突起55に対応する位置に、奥部が幅広となされた嵌合凹部56が設けられている。そして、突起55を嵌合凹部56に嵌合させることによって円筒状の横ビーム支持部51が形成される。
【0026】
突起55は、その内側面が横ビーム2の外周面に沿って円弧状に形成されているので、凹部56と嵌合された際に、横ビーム2の長手方向や円周方向に移動させた際に、横ビーム2の外周面に引っ掛かって傷が生じたりするような不具合は起こりにくくなる。又、横ビーム支持部51の外側面と突起55の外側面とは、前記嵌合された際に略面一となされている。これにより、突起55に作業者の作業着等が引っ掛かることはなく、又、外観上、嵌合部が目立ちにくくなり好ましい。
【0027】
又図5の(c)に示すように、フレーム支持部52は間隔Kをおいて略円筒状に形成されている。このフレーム支持部52にフレーム4を内挿し、フレーム支持部52を上下に貫通するボルトB1及びナットN1によって間隔Kを狭めて、挿入されたフレーム4を挟持することにより、フレーム4を固定する。この際、横ビーム支持部51において、嵌合箇所は円周方向に沿って互いに離れる方向に力が作用するので、円周方向に生じている嵌合箇所の隙間や、嵌合するための寸法の遊び等が吸収され、突起55と凹部56とがより強固に嵌合され、且つ横ビーム支持部51に挿通された横ビーム2をより強固に挟持することができる。
【0028】
これらの構造により、横ビーム2の任意の位置に接続部材5を介して表示パネル3を取付けることが可能となり、柵Pを設置した後でも、接続部材5の取り外しや取付けが容易であるため、表示パネル3の取付け、取り外し、取付位置の変更等を容易にすることができる。加えて、横ビーム2に取付孔等を設けるような作業は必要なく、接続部材5の取付場所を変更あるいは取り外した場合、その場所の取付孔等を隠蔽する作業は必要なく、外観を損なうことがない。
【0029】
尚、歩行者等が横ビーム2に対して、比較的遠方から接近する場合は、表示パネル3を認識しづらい場合もあるので、表示パネル3が上下方向を軸として斜め方向に配置したものを用いてもよく、通行者の目の高さを考慮して、表示パネル3が左右方向を軸として傾斜した状態のものを用いてもよく、これらの表示パネル3と、前記の表示パネル3とを適宜組み合わせたものを用いてもよい。この際、表示パネル3のパネル32を適宜角度に配置したものをフレーム4で支持する形態でもよく、フレーム4を適宜角度に曲折させたものでもよく、或いは接続部材5のフレーム支持部52の形成方向を適宜調整した形態でもよく、これらを組み合わせた形態でもよい。
【0030】
図6は、本発明に係パネル付き柵Pの第二の実施形態を示すものであり、(a)は主要部の側面図、(b)は主要部の拡大平面図である。本発明に係る柵Pは、図1に示された柵Pと比べて、表示パネル3が横ビーム2を挟んで同じ位置に取付けられ、この両側の表示パネル3のフレーム4を支持するための接続部材5が設けられている点が異なるものであり、他の構成は図1に示された柵Pと同様である。
【0031】
すなわち、本形態においては、接続部材5は、横ビーム2の外周面に沿って半円筒状に形成された横ビーム支持部51の両端から、垂直方向に突出した半円筒状のフレーム支持部52が横ビーム2及び両側のフレーム4を上下から挟むように配置されると共に、両側の上下のフレーム支持部52をそれぞれ上下に貫通するボルトB2にナットN2が締結されることにより、横ビーム2及び両側のフレーム4を挟持すると共に、横ビーム2に対して両側のフレーム4をそれぞれ固定するものである。
【0032】
尚、横ビーム2に対して、表示パネル3を取付ける方法は前記実施形態に限られるものではない。例えば、横ビーム2の側方から水平方向に貫通するようにフレーム4を取付けた形態でもよく、横ビーム2の側面にフレーム4の端部を溶接等で固定した形態でもよく、或いは、横ビーム2の上面或いは下面にフレーム4を配置し、ボルト・ナット等の締結具を用いて取付けた形態でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係るパネル付き柵の第一の実施形態を示す斜視図である
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図3の主要部の部分拡大図である。
【図5】図4の接続部材の説明図である。
【図6】本発明に係るパネル付き柵の第二の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 支柱
2 横ビーム
3 表示パネル
31 表示面
32 パネル
4 フレーム
41 上フレーム
42 下フレーム
5 接続部材
51 横ビーム支持部
52 フレーム支持部
53、54 接続金具
55 突起
56 凹部
B1、B2 ボルト
N1、N2 ナット
K 隙間
P パネル付き柵
S 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適宜間隔をおいて立設された支柱の間に取付けられた横ビームに表示パネルが設けられ、該表示パネルは横ビームの側方に突出して取付けられると共に、表示面が横ビームの長手方向に向けられていることを特徴とするパネル付き柵。
【請求項2】
前記横ビームは、上下に間隔をおいて支柱の間に複数取付けられ、前記表示パネルは、前記表示面が設けられた平板状のパネルと、その上下に配置されパネルを支持する上下のフレームとを備え、前記上フレームの一端は、接続部材を介して上方の横ビームに取付けられ、前記下フレームの一端は、接続部材を介して下方の横ビームに取付けられていることを特徴とする請求項1に記載のパネル付き柵。
【請求項3】
前記上下のフレームは、もう一方の端部どうしが連結されると共に、前記連結部は、パネルの側端部から離れる方向に張り出された略横U字状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のパネル付き柵。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−7327(P2010−7327A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166738(P2008−166738)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】