説明

パネル接合構造

【課題】パネル部材がせん断変位を受けた場合に該パネル部材と骨格部との接合が確保されるパネル接合構造を得る。
【解決手段】車体フロア構造10は、フロアパネル12における該フロアパネル12に接合された枠状骨格部の内側部分が矩形パネル部12Aとされている。フロアパネル12とアンダリインフォースメント18とを複数のスポット溶接点Sで接合する内側縦スポット溶接列28は、矩形パネル部12Aがせん断変形した場合に角度が小さくなる角部12FOから略45°の方向に位置する特定範囲Aにおいて、該特定範囲A以外の範囲Bよりもスポット溶接点Sの密度が疎とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨格部に対しパネル部材を接合したパネル接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フロアパネルにおける左右のフロアフレームの少なくとも一方側から、車幅中央に向かって、斜め後方に延びる複数のビードを車体前後に並べて形成することで、衝突時にフロアパネルに皴が生じることを抑制し接合部の接合状態を確保するようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−67491号公報
【特許文献2】特開2007−320501号公報
【特許文献3】特開平9−207826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術では、ビードを形成することでフロアパネルの面形状が変わるため、フロアの共振周波数やフロア下の風流れに影響を与えることが懸念される。
【0004】
本発明は、パネル部材がせん断変位を受けた場合に該パネル部材と骨格部との接合が確保され易いパネル接合構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係るパネル接合構造は、パネル部材と、四辺を有する矩形枠状を成す骨格構造体と、前記骨格構造体の四辺のそれぞれと前記パネル部材とを、前記骨格構造体における並列する二辺が長手方向に相対変位した場合に角度が小さくなる特定の角部から該相対変位の方向に対し略45°を成す方向に位置する特定部分での接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、該骨格構造体の各辺においてそれぞれの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した接合部と、を備えている。
【0006】
請求項1記載のパネル接合構造では、パネル部材は、骨格構造体との矩形枠状の接合部位の内側に位置する部分が略矩形板状を成している。骨格構造体の並列する二辺が長手方向に相対変位を生じると、パネル部材の上記矩形状部分(パネル部材の全部であっても良い)は、一対の対角は角度が小さくなり、他の一対の対角は角度が大きくなるようにせん断変位される。このせん断変位が大変位の場合、角度が小さくなる角部に近いほどパネル部材と骨格構造体との接合点で、作用するせん断応力が大きくなる。
【0007】
ここで、本パネル接合構造では、上記せん断により角度が小さくなる角部から略45°の方向において接合点の密度が低いため、上記角部の接合点に対し大きな引張方向の荷重を支持し得る接合点の数が少ない。このため、本パネル接合構造では、上記角部近くの接合点に作用するせん断荷重が緩和される。
【0008】
このように、請求項1記載のパネル接合構造では、パネル部材がせん断変位を受けた場合に該パネル部材と骨格部(骨格構造体)との接合が確保され易い。
【0009】
請求項2記載の発明に係るパネル接合構造は、請求項1記載のパネル接合構造において、前記接合部は、前記骨格構造体における前記特定の角部の対角となる角部を成す二辺の何れか一方における長手方向の端部間に前記特定部分が位置しており、該特定部分での接合点の密度が前記二辺の何れか一方における他の部分での接合点の密度よりも疎とされて構成されている。
【0010】
請求項2記載のパネル接合構造では、上記角部の対角となる角部を挟む二辺の何れか一方の長手方向端部間に上記特定部位が位置し、該特定部位が位置する一辺は、特定部位以外の接合点の密度に対し特定部位の接合点の密度が疎とされている。このため、パネル部材がせん断変位を受けた場合に該パネル部材と骨格構造体(上記角部)との接合が確保され易い。
【0011】
請求項3記載の発明に係るパネル接合構造は、パネル部材と、所定方向に沿って並列されると共に該並列方向に離間して配置された第1骨格部材及び第2骨格部材と、前記第1骨格部材と前記パネル部材とを該第1骨格部材の長手方向に離間した複数の接合点で接合し、該第1骨格部材における前記第2骨格部材に対し長手方向に相対変位する際の先頭側に位置する接合点が端部接合点とされた第1接合部と、前記第2骨格部材と前記パネル部材とを、前記端部接合点から前記第1骨格部材の長手方向に対し略45°の方向に位置する特定部分での接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記第2骨格部材の長手方向に離間した複数の接合点にて接合した第2接合部と、を備えている。
【0012】
請求項3記載のパネル接合構造では、パネル部材は、並列する第1、第2骨格部材間に位置する部分が略矩形板状を成している。これら第1、第2骨格部材が互いの長手方向に相対変位を生じると、パネル部材の上記矩形状部分(パネル部材の全部であっても良い)は、矩形状部分における一対の対角は角度が小さくなり、他の一対の対角は角度が大きくなるようにせん断変位される。このせん断変位が大変位の場合、角度が小さくなる角部に近いほどパネル部材と骨格構造体との接合点で、作用するせん断応力が大きくなる。
【0013】
ここで、本パネル接合構造では、第1接合部における端部接合点が上記したせん断変形に伴い角度が小さくなる角部の一方に位置することとなる。そして、この角部から略45°の方向において接合点の密度が低いため、該角部近くの接合点に対し大きな引張方向の荷重を支持し得る接合点の数が少ない。このため、本パネル接合構造では、上記角部近くの接合点に作用するせん断荷重が緩和される。
【0014】
このように、請求項3記載のパネル接合構造では、パネル部材がせん断変位を受けた場合に該パネル部材と骨格部(各骨格部材)との接合が確保され易い。
【0015】
請求項4記載の発明に係る車体フロア構造は、フロアパネルと、車体における車幅方向外端で車両前後方向に延在されたロッカと、前記ロッカに対する車幅方向内側で車両前後方向に延在された前後メンバ部材と、車幅方向に延在され、前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第1クロスメンバと、車幅方向に延在され、前記第1クロスメンバに対する車両前後方向の後側で前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第2クロスメンバと、前記フロアパネルと前記ロッカとを、該ロッカの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した外辺接合部と、前記前後メンバ又は前記第2クロスメンバと前記フロアパネルとを、前記外辺接合部における最前の接合点から車両前後方向に対し略45°の方向に位置する特定部分の接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記前後メンバ又は前記第2クロスメンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した内辺又は後辺接合部と、を備えている。
【0016】
請求項4記載の車体フロア構造では、外辺接合部においてロッカに接合されると共に内辺又は後辺接合部において前後メンバ及び第2クロスメンバの何れか一方に接合されたフロアパネルは、ロッカ、前後メンバ、第1、第2クロメンバとの矩形枠状の接合部位の内側に位置する部分が略矩形板状を成している。例えば前後メンバに後向きの変位が入力されると、フロアパネルの上記矩形状部分(フロアパネルの全部であっても良い)は、せん断変形される。このせん断変形によって、フロアパネルの上記矩形状部分は、ロッカと第1クロスメンバとの角部、及び前後メンバと第2クロスメンバとの角部は角度が小さくなる。このように角度が小さくなる角部におけるフロアパネルと骨格構造体との接合点では、せん断変位が大変位である場合に、作用するせん断応力が大きくなる。
【0017】
ここで、本車体フロア構造では、上記せん断により角度が小さくなる角部のうちロッカと第1クロスメンバとの角部に近い外辺接合部の最前の接合点から略45°の方向において内辺又は後辺接合部の接合点の密度が低いため、外辺接合部の最前の接合点に対し大きな引張方向の荷重を支持し得る接合点の数が少ない。このため、本車体フロア構造では、外辺接合部の各接合点、特に最前の接合点に作用するせん断荷重が緩和される。
【0018】
このように、請求項4記載の車体フロア構造では、パネル部材がせん断変位を受けた場合に該フロアパネルと骨格部(少なくとも1つの車体骨格部材)との接合が確保され易い。
【0019】
請求項5記載の発明に係る車体フロア構造は、フロアパネルと、車体における車幅方向外端で車両前後方向に延在されたロッカと、前記ロッカに対する車幅方向内側で車両前後方向に延在された前後メンバと、車幅方向に延在され、前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第1クロスメンバと、車幅方向に延在され、前記第1クロスメンバに対する車両前後方向の後側で前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第2クロスメンバと、前記フロアパネルと前記前後メンバとを、該前後メンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した内辺接合部と、前記ロッカ又は前記第1クロスメンバと前記フロアパネルとを、前記内辺接合部における最後の接合点から車両前後方向に対し略45°の方向に位置する特定部分の接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記ロッカ又は前記第1クロスメンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した外辺又は前辺接合部と、を備えている。
【0020】
請求項5記載の車体フロア構造では、内辺接合部において前後メンバに接合されると共に外辺又は前辺接合部においてロッカ及び第1クロスメンバの何れか一方に接合されたフロアパネルは、ロッカ、前後メンバ、第1、第2クロメンバとの矩形枠状の接合部位の内側に位置する部分が略矩形板状を成している。例えば前後メンバに後向きの変位が入力されると、フロアパネルの上記矩形状部分(フロアパネルの全部であっても良い)は、せん断変形される。このせん断変形によって、フロアパネルの上記矩形状部分は、ロッカと第1クロスメンバとの角部、及び前後メンバと第2クロスメンバとの角部は角度が小さくなる。このように角度が小さくなる角部におけるフロアパネルと骨格構造体との接合点では、せん断変位が大変位である場合に、作用するせん断応力が大きくなる。
【0021】
ここで、本車体フロア構造では、上記せん断により角度が小さくなる角部のうち前後メンバと第2クロスメンバとの角部に近い内辺接合部の最後の接合点から略45°の方向において外辺又は前辺接合部の接合点の密度が低いため、内辺接合部の最後の接合点に対し大きな引張方向の荷重を支持し得る接合点の数が少ない。このため、本車体フロア構造では、内辺接合部の各接合点、特に最後の接合点に作用するせん断荷重が緩和される。
【0022】
このように、請求項5記載の車体フロア構造では、パネル部材がせん断変位を受けた場合に該フロアパネルと骨格部(少なくとも1つの車体骨格部材)との接合が確保され易い。
【0023】
請求項6記載の発明に係る車体フロア構造は、フロアパネルと、車体における車幅方向外端で車両前後方向に延在されたロッカと、前記ロッカに対する車幅方向内側で車両前後方向に延在された前後メンバと、車幅方向に延在され、前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第1クロスメンバと、車幅方向に延在され、前記第1クロスメンバに対する車両前後方向の後側で前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第2クロスメンバと、前記前後メンバ又は前記第2クロスメンバと前記フロアパネルとを、前記ロッカと前記第1クロスメンバとの角部における前記フロアパネルとの接合点から車両前後方向に対し略45°の方向に位置する特定部分の接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記前後メンバ又は前記第2クロスメンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した内辺又は後辺接合部と、前記ロッカ又は前記第1クロスメンバと前記フロアパネルとを、前記前後メンバと前記第2クロスメンバとの角部における前記フロアパネルとの接合点から車両前後方向に対し略45°の方向に位置する特定部分の接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記ロッカ又は前記第1クロスメンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した外辺又は前辺接合部と、を備えている。
【0024】
請求項6記載の車体フロア構造では、内辺又は後辺接合部において前後メンバ及び第2クロスメンバに接合されると共に外辺又は前辺接合部においてロッカ及び第1クロスメンバの何れか一方に接合されたフロアパネルは、ロッカ、前後メンバ、第1、第2クロメンバとの矩形枠状の接合部位の内側に位置する部分が略矩形板状を成している。例えば前後メンバに後向きの荷重が入力されると、フロアパネルの上記矩形状部分(フロアパネルの全部であっても良い)は、せん断変形される。このせん断変形によって、フロアパネルの上記矩形状部分は、ロッカと第1クロスメンバとの角部、及び前後メンバと第2クロスメンバとの角部は角度が小さくなる。このように角度が小さくなる角部におけるフロアパネルと骨格構造体との接合点では、せん断変位が大変位である場合に、作用するせん断応力が大きくなる。
【0025】
ここで、本車体フロア構造では、ロッカと第1クロスメンバとの角部から略45°の方向において内辺又は後辺接合部の接合点の密度が低いため、該角部の接合点に対し大きな引張方向の荷重を支持し得る接合点の数が少ない。また、前後メンバと第2クロスメンバとの角部略45°の方向において外辺又は前辺接合部の接合点の密度が低いため、該角部の接合点に対し大きな引張方向の荷重を支持し得る接合点の数が少ない。これらにより、本車体フロア構造では、外辺又は前辺接合部の各接合点及び内辺又は後辺接合部の各接合点、特に、上記せん断に伴い角度が小さくなる各角部の接合点に作用するせん断荷重が緩和される。
【0026】
このように、請求項6記載の車体フロア構造では、パネル部材がせん断変位を受けた場合に該フロアパネルと骨格部(各車体骨格部材)との接合が確保され易い。
【0027】
請求項7記載の発明に係る車体フロア構造は、請求項4〜請求項6の何れか1項記載の車体フロア構造において、前記接合部の各接合点は、スポット溶接による接合点である。
【0028】
請求項7記載の車体フロア構造では、せん断により剥がれが生じ得るスポット溶接による接合点は、上記の如くせん断荷重の大きくなり易いロッカと第1クロスメンバとの角部、及び前後メンバと第2クロスメンバとの角部の少なくとも一方から略45°方向の接合点の密度を疎にすることで、接合が効果的に確保(維持)され易い。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明に係るパネル接合構造は、パネル部材がせん断変位を受けた場合に該パネル部材と骨格部との接合が確保され易いという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の一実施形態に係るパネル接合構造としての車体フロア構造10について、図1〜図2に基づいて説明する。なお、図中に適宜記す矢印FRは車両前後方向の前方向を、矢印INは車幅方向内側を、矢印OUTは車幅方向外側をそれぞれ示す。
【0031】
図2には、車体フロア構造10の要部が模式的な平面図にて示されている。この図に示される如く、車体フロア構造10は、パネル部材としてのフロアパネル12が車体骨格の一部を成す骨格構造体14に接合されて構成されている。
【0032】
この実施形態における骨格構造体14は、車体下部(フロア部)における車幅方向外端で車両前後方向に延在する第1骨格部材としてのロッカ(サイドシル)16と、骨格構造体14に対する車幅方向内側で車両前後方向に延在する第2骨格部材又は前後メンバとしてのアンダリインフォースメント18とを備えている。また、骨格構造体14は、それぞれ車幅方向延在された第1クロスメンバとしてのトルクボックス20、第2クロスメンバとしてのフロアクロスメンバ22を備えている。トルクボックス20は、ロッカ16とアンダリインフォースメント18との前端間を架け渡しており、フロアクロスメンバ22は、ロッカ16の前後方向中間部とアンダリインフォースメント18の後端部とを架け渡している。
【0033】
以上により、骨格構造体14は、平面視で略矩形枠状を成す枠状骨格部14Aを構成している。また、アンダリインフォースメント18の前端は、前端が図示しないバンパリインフォースメントに連結されたフロントサイドメンバ24の後端に連結されている。したがって、バンパリインフォースメントへの前面衝突が生じた場合、アンダリインフォースメント18にはフロントサイドメンバ24を介して後向きの変位Dcが入力されるようになっている。
【0034】
そして、フロアパネル12は、後に詳述する如く、枠状骨格部14Aの四辺を構成するロッカ16、アンダリインフォースメント18、トルクボックス20、フロアクロスメンバ22のそれぞれに対し、それぞれの(各辺の)長手方向に沿って配置された複数の接合点にて接合されている。図2に想像線にて示す如く、フロアパネル12における枠状骨格部14Aに接合された(接合部の内側の)略矩形平板状の部分を矩形パネル部12Aということとする。この実施形態では、矩形パネル部12Aは、車幅方向に対し車両前後方向に長い矩形状を成している。
【0035】
以下、主に矩形パネル部12Aと枠状骨格部14Aとの接合構造について、具体的に説明する。なお、矩形パネル部12Aにおける前外(ロッカ16とトルクボックス20との間)、後内(アンダリインフォースメント18とフロアクロスメンバ22との間)の角部をそれぞれ12FO、12RIとする。また、矩形パネル部12Aにおける後外(ロッカ16とフロアクロスメンバ22との間)、前内(アンダリインフォースメント18とトルクボックス20との間)の角部をそれぞれ12RI、12FOとする。
【0036】
図1には、フロアパネル12から切り出してみた矩形パネル部12Aが平面図にて示されている。この図に想像線にて示される如く、矩形パネル部12Aは、アンダリインフォースメント18に後向きの変位Dcが入力された場合、ロッカ16には反力Rが作用し、該アンダリインフォースメント18とロッカ16との車両前後方向(長手方向)の相対変位によって、対角を成す角部12FO、12RIは、せん断変位により角度が小さくなり、別の対角を成す角部12FI、12ROは、せん断変位により角度が大きくなるように変形する構成とされている。
【0037】
矩形パネル部12Aとロッカ16とは、複数のスポット溶接点Sが車両前後方向に沿って配置された外側縦スポット溶接列26にて接合されている。矩形パネル部12Aとアンダリインフォースメント18とは、複数のスポット溶接点Sが車両前後方向に沿って配置された内側縦スポット溶接列28にて接合されている。矩形パネル部12Aとトルクボックス20とは、複数のスポット溶接点Sが車幅方向に沿って配置された前側横スポット溶接列30にて接合されている。矩形パネル部12Aとフロアクロスメンバ22とは、複数のスポット溶接点Sが車幅方向に沿って配置された後側横スポット溶接列32にて接合されている。
【0038】
上記の通り車両前後方向に長い矩形パネル部12Aにおいては、前側横スポット溶接列30、後側横スポット溶接列32は、複数のスポット溶接点Sが略等間隔では位置されて構成されている。
【0039】
一方、外側縦スポット溶接列26、内側縦スポット溶接列28は、それぞれの特定範囲Aにおける長手方向に隣り合うスポット溶接点Sの間隔D1が、特定範囲以外の範囲Bにおけるスポット溶接点Sの間隔D2に対し大とされている。換言すれば、外側縦スポット溶接列26、内側縦スポット溶接列28は、特定範囲Aにおいて他の範囲よりも複数のスポット溶接点Sの密度が低い(疎である)構成とされている。
【0040】
外側縦スポット溶接列26における特定範囲Aは、矩形パネル部12Aの角部12RIに近接するスポット溶接点S、具体的には内側縦スポット溶接列28の最後端に位置する最後スポット溶接点Stから、該内側縦スポット溶接列28(アンダリインフォースメント18)すなわち車両前後方向との成す角が略45°の方向に位置する部分を含む範囲とされている。より具体的には、外側縦スポット溶接列26における特定範囲Aは、最後スポット溶接点Stから車両前後方向との成す角が45°となる仮想直線IL1が内側縦スポット溶接列28上に沿った仮想直線IL2に交差する点C1に対し、前後両側にそれぞれ所定長さに亘り設定されている。
【0041】
一方、内側縦スポット溶接列28における特定範囲Aは、矩形パネル部12Aの角部12FOに近接するスポット溶接点S、具体的には外側縦スポット溶接列26の最前端に位置する最前スポット溶接点Sfから、該外側縦スポット溶接列26(ロッカ16)すなわち車両前後方向との成す角が略45°の方向に位置する部分を含む範囲とされている。より具体的には、内側縦スポット溶接列28における特定範囲Aは、最前スポット溶接点Sfから車両前後方向との成す角が45°となる仮想直線IL3が内側縦スポット溶接列28上に沿った仮想直線IL4に交差する点C2に対し、前後両側にそれぞれ所定長さに亘り設定されている。
【0042】
特定範囲Aの設定長さ、スポット溶接点S間の間隔D1、D2は、後述する如く、フロントサイドメンバ24に作用することが想定される前後方向の最大変位(設計変位)、スポット溶接点Sのせん断に対する強度、枠状骨格部14A(骨格構造体14)とフロアパネル12との接合構造全体として要求されるせん断剛性等に応じて適宜設定されるようになっている。
【0043】
なお、この実施形態では、外側縦スポット溶接列26、内側縦スポット溶接列28は、各スポット溶接点Sの間隔を等間隔とした比較例の構成で得られる前後方向のせん断剛性が確保されるように、特定範囲A以外の範囲Bにおけるスポット溶接点Sの間隔D2を上記比較例における間隔Dよりも小としている。すなわち、車体フロア構造10における隣り合うスポット溶接点Sの間隔は、比較例における間隔Dとの関係では、D1>D>D2となる構成である。
【0044】
以上説明した車体フロア構造10においては、外側縦スポット溶接列26、内側縦スポット溶接列28が本発明における接合部に相当する。また、外側縦スポット溶接列26は、本発明における第1接合部及び第2接合部の何れか一方に相当し、内側縦スポット溶接列28は、第1接合部及び第2接合部の他方に相当する。したがって、最前スポット溶接点Sf、最後スポット溶接点Stが本発明における端部接合点に相当する。さらに、外側縦スポット溶接列26は本発明における外辺接合部に、内側縦スポット溶接列28は内辺接合部に相当する。
【0045】
次に、実施形態の作用を説明する。
【0046】
上記構成の車体フロア構造10が適用された自動車等の車両では、前面衝突に至ると、バンパリインフォースメント、フロントサイドメンバ24を経由してアンダリインフォースメント18に車両前後方向後向きの変位Dcが入力される。この変位Dcによってフロアパネル12の矩形パネル部12Aは、内側縦スポット溶接列28にてアンダリインフォースメント18に接合された部分(以下、「内辺12B」という)が後向きに、すなわち外側縦スポット溶接列26にてロッカ16に接合された部分(以下、「外辺12C」という)が相対的に前向きに変位することでせん断(図1の矢印参照)を受け、図1に想像線にて示される如く変形される。
【0047】
すなわち、矩形パネル部12A変形前の形状を図1に示す矩形(長方形)とする場合、対角を成す角部12FO、12RIが鋭角に(角度が小さく)なると共に、これらとは別の対角を成す角部12FI、12ROが鈍角に(角度が大きく)なる略平行四辺形状に変形される。そして、外側縦スポット溶接列26、内側縦スポット溶接列28、前側横スポット溶接列30、後側横スポット溶接列32の各スポット溶接点Sには、せん断荷重が作用する。
【0048】
ここで、車体フロア構造10では、外側縦スポット溶接列26における特定範囲Aでのスポット溶接点S間の間隔D1が該特定範囲A以外の範囲Bでの間隔D2に対し大であるため、上記のせん断荷重に対し内側縦スポット溶接列28の各スポット溶接点S、特に最後スポット溶接点Stに作用する荷重が緩和され、該最後スポット溶接点Stにおける接合が維持され易い。同様に、車体フロア構造10では、内側縦スポット溶接列28における特定範囲Aでのスポット溶接点S間の間隔D1が該特定範囲A以外の範囲Bでの間隔D2に対し大であるため、上記のせん断荷重に対し外側縦スポット溶接列26の各スポット溶接点S、特に最前スポット溶接点Sfに作用する荷重が緩和され、該最前スポット溶接点Sfにおける接合が維持され易い。
【0049】
以下、このメカニズムについて、図3〜図8を参照しつつ補足する。なお、外側縦スポット溶接列26と内側縦スポット溶接列28とでは、最前スポット溶接点Sf、最後スポット溶接点Stの接合維持メカニズムは共通する(外側縦スポット溶接列26と内側縦スポット溶接列28とが相補的に機能する)ので、以下、主に外側縦スポット溶接列26の最前スポット溶接点Sfについて接合が維持されるメカニズムについて説明することとする。
【0050】
図5には、スポット溶接点Sの間隔Dが一定である比較例に係る外側縦スポット溶接列100、内側縦スポット溶接列102にて枠状骨格部14Aに接合された矩形パネル部12Aについて、複数の帯板34にて構成したモデルとして考える帯板モデルが示されている。図5の例では、矩形パネル部12Aを、外側縦スポット溶接列26の特定のスポット溶接点Spと他のスポット溶接点Sがそれぞれ帯板34にて結ばれたものと仮定している。このモデルでは、特定のスポット溶接点Spに作用するせん断荷重は、各帯板34の荷重(ベクトル)の和として把握することができる。なお、図5に破線で示す帯板34は、上記した矩形パネル部12Aのせん断により圧縮される34を示し、実線にて示す帯板34は、上記した矩形パネル部12Aのせん断により引張られる34を示している。
【0051】
ところで、矩形パネル部12Aは、微小変形をする場合には、変形に伴い圧縮される帯板34、引張られる帯板34のそれぞれからの荷重を受ける。一方、矩形パネル部12Aは、上記した衝突に伴うせん断により大きく変形される場合には、圧縮側の帯板34は弛んで(座屈して)発生する圧縮荷重は極端に小さくなる(このことは、実際の衝突でフロアパネル12において皺が発生することに対応している)。このため、矩形パネル部12Aの上記せん断に伴う大変形の際には、特定のスポット溶接点Spに作用するせん断荷重は、圧縮側の帯板34からの荷重を無視し、引張側の帯板34からの荷重の合力(ベクトル)として考えることができる。
【0052】
そして、図5からは、アンダリインフォースメント18(内辺12B)がロッカ16(外辺12C)に対し相対的に後方に変位するせん断変形の際には、外側縦スポット溶接列26の各スポット溶接点Sは、前方(相対変位方向の先頭側)に位置するものほど引張側の帯板34の連結数が多くなる(連結された帯板34のうち引張を受けるものの数が多くなる)ことが判る。すなわち、外側縦スポット溶接列100では、相対変位方向の先頭に位置する最前スポット溶接点Sfにおいて引張側の帯板34の連結数が最大となり、作用するせん断荷重が最大になる。
【0053】
図6(A)、図6(B)は、図5の帯板モデルを外側縦スポット溶接列26の各スポット溶接点Sに適用して算出した、該外側縦スポット溶接列26の各スポット溶接点Sに作用するせん断荷重であり、図6(A)は平面視でのベクトルを、図6(B)は車両前後方向荷(X方向)の荷重Fx、車幅方向(Y方向)の荷重Fy、及びこれらの合力Fを示す線図である。この図からも、外側縦スポット溶接列26では、前方に位置するスポット溶接点Sほど作用するせん断荷重が大きくなることが判る。
【0054】
図7は、外側縦スポット溶接列26の最前スポット溶接点Sfに複数の帯板34が連結されたモデルを示している。この図に示される如く、最前スポット溶接点Sfに連結された帯板34は、全て最前スポット溶接点Sfに引張荷重を作用させることとなる。これら複数の帯板34のうち、何れの帯板34が最前スポット溶接点Sfに作用させる荷重が大きいのかについて検討する。
【0055】
図8は、最前スポット溶接点Sfと内側縦スポット溶接列28の各スポット溶接点Sとを連結した帯板34毎の歪(すなわち荷重)を、図7の帯板モデルにて計算した結果を示している。図8の横軸は、外側縦スポット溶接列26と内側縦スポット溶接列28との車幅方向に沿った距離Lw(図7参照)に対する、最前スポット溶接点Sfからの車両前後方向に沿った離間距離Xを示している。この図から、X/Lw=1の場合、すなわち最前スポット溶接点Sfから車両前後方向に対し45°方向に延在する帯板34が、最前スポット溶接点Sfに作用させる荷重が最大であることが判る。
【0056】
この点につき補足すると、図9(B)に示される如く、最前スポット溶接点Sfと該最前スポット溶接点Sfから前後方向に距離Xだけ離間したスポット溶接点Sとを連結する帯板34は、上記した矩形パネル部12Aのせん断変形に伴ってスポット溶接点Sが後方にdXだけ変位すると、その長さがLからL+dLに伸びる。この伸びに伴う歪(L+dL)/Lが最大となる帯板34が最大の荷重を最前スポット溶接点Sfに作用させるところ、図9(A)にも示される如く、X/Lw=1となる点に位置するスポット溶接点Sにつながる帯板34が上記せん断変形に伴うひずみが最大となる。また、X/Lw=1となる点から前後に遠ざかるほど最前スポット溶接点Sfに作用する荷重が低減されることが判る。
【0057】
ここで、車体フロア構造10では、内側縦スポット溶接列28における最前スポット溶接点Sfから略45°方向のスポット溶接点Sの密度が疎であるため、換言すれば、最前スポット溶接点Sfへの作用させる荷重が大きい45°付近の帯板34が間引かれたものと捉えることができるので、最前スポット溶接点Sfに作用するせん断荷重を低減させることができる。
【0058】
図3(A)は、この効果を検証する車体フロア構造10の検証モデルを示しており、図3(B)は、上記した比較例に係る外側縦スポット溶接列100、内側縦スポット溶接列102が適用された車体フロア構造のモデルが示されている。そして、図4(A)は、図3(A)の検証モデルを用いた帯板モデルにて外側縦スポット溶接列26の各スポット溶接点Sに作用するせん断荷重を計算した結果である。一方、図4(B)は、図3(B)の比較例モデルを用いた帯板モデルにて外側縦スポット溶接列100の各スポット溶接点Sに作用するせん断荷重を計算した結果である。図4(A)と図4(B)とでは、縦軸、横軸とも同じスケールとされている。
【0059】
これら図4(A)と図4(B)との比較から、車体フロア構造10においては、外側縦スポット溶接列26の最大せん断荷重、すなわち最前スポット溶接点Sfのせん断荷重が比較例に対し10%強ほど低下していることが判る。
【0060】
したがって、本発明の実施形態に係る車体フロア構造10では、適用された車両の前面衝突に伴い矩形パネル部12Aがせん断を受けた場合に、最前スポット溶接点Sfに作用するせん断荷重(応力)が緩和され、該最前スポット溶接点Sfを含む外側縦スポット溶接列26の各スポット溶接点Sでの接合が維持され易い。同様に、車体フロア構造10では、適用された車両の前面衝突に伴い矩形パネル部12Aがせん断を受けた場合に、最後スポット溶接点Stに作用するせん断荷重(応力)が緩和され、該最後スポット溶接点Stを含む内側縦スポット溶接列28の各スポット溶接点Sでの接合が維持され易い。
【0061】
また、車体フロア構造10では、外側縦スポット溶接列26及び内側縦スポット溶接列28のそれぞれにおける特定範囲A以外の範囲Bでのスポット溶接点Sの間隔D2が比較例に係る外側縦スポット溶接列100での間隔Dよりも小であるため、該比較例と同等以上の弾性域でのせん断剛性を確保することができる。
【0062】
この点につき補足すると、図9(A)に示される如く、最前スポット溶接点Sfにつながる各帯板34の前後方向の荷重Fxは、X/Lwが1〜2の間に位置するスポット溶接点Sにつながる帯板34について最大となることが判る。したがって、X/Lw>1の部分を含む上記範囲Bでスポット溶接点Sの間隔D2を小さくする(スポット溶接点Sを密に配置する)ことで、せん断剛性の向上に寄与する。この実施形態では、比較例に対し最大せん断荷重を低減させる効果を得る一方、同等以上の前後方向のせん断剛性が得られることが確認されている。
【0063】
以上まとめると、本実施形態に係る車体フロア構造10では、外側縦スポット溶接列26の最前スポット溶接点Sfから略45°方向に位置する、内側縦スポット溶接列28の特定範囲Aでスポット溶接点Sの密度を疎にしたため、前面衝突の際に外側縦スポット溶接列26の最前スポット溶接点Sfに作用するせん断荷重を緩和し、接合を維持することができる。同様に、内側縦スポット溶接列28の最後スポット溶接点Stから略45°方向の特定範囲Aに位置する、内側縦スポット溶接列28の特定範囲Aでスポット溶接点Sの密度を疎にしたため、前面衝突の際に内側縦スポット溶接列28の最後スポット溶接点Stに作用するせん断荷重を緩和し、接合を維持することができる。
【0064】
また、車体フロア構造10では、外側縦スポット溶接列26及び内側縦スポット溶接列28における特定範囲以外の範囲Bでスポット溶接点Sの密度を密にしたため、所要のせん断剛性を確保することができる。
【0065】
そして、車体フロア構造10では、フロアパネル12の矩形パネル部12Aにビードを形成したり補強部材を接合したりすることなく、該フロアパネル12と骨格構造体14との接合が確保される。すなわち、車体フロア構造10では、フロアパネル12の形状変更により共振周波数や床下の風流れ等に影響を与えることなく、フロアパネル12と骨格構造体14との接合が確保される。
【0066】
なお、上記した実施形態では、矩形パネル部12Aが車幅方向に対し車両前後方向に長い矩形状である例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図10に示される如く車幅方向に長い矩形状の矩形パネル部50に対し本発明を適用しても良い。この場合、最前スポット溶接点Sfに対し45°方向の特定範囲Aは、後側横スポット溶接列32に設定され、最後スポット溶接点Stに対し45°方向の特定範囲Aは、前側横スポット溶接列30に設定されることとなる。この変形例に係る構成においても、上記実施形態と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。この変形例においては、前側横スポット溶接列30、後側横スポット溶接列32が本発明における接合部に相当する。また、前側横スポット溶接列30が本発明における前辺接合部に相当し、後側横スポット溶接列32が本発明における後辺接合部に相当する。
【0067】
また、上記した実施形態では、矩形パネル部12Aの四辺がそれぞれ枠状骨格部14Aに接合された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図11に示される如く車両前後方向に長い矩形パネル部12Aにおいては、外側縦スポット溶接列26、内側縦スポット溶接列28を必須要件とし、前側横スポット溶接列30、後側横スポット溶接列32を必須要件として考慮しなくても良く、実際に前側横スポット溶接列30、後側横スポット溶接列32を有しない構成とすることも可能である。すなわち、本発明におけるパル部材は、矩形枠状の骨格構造体に接合されたものと把握されるのには限られず、また、パネル部材における並列された一対の骨格部材間の位置する矩形状部分に本発明を適用することができる。
【0068】
さらに、本発明は、ロッカ16、アンダリインフォースメント18、トルクボックス20、フロアクロスメンバ22で構成された骨格構造体14にフロアパネル12を接合する車体フロア構造10に適用されることに限定されることはなく、各種部位に適用可能である。
【0069】
またさらに、上記した実施形態では、複数の接合点がスポット溶接点Sである例を示したが、本発明はこれに限定されず、複数の接合点の一部又は全部をスポット溶接点Sに代えて、ボルトやリベット等の締結手段とした構成としても良い。
【0070】
また、上記した実施形態では、外側縦スポット溶接列26、内側縦スポット溶接列28、前側横スポット溶接列30、後側横スポット溶接列32は、スポット溶接点Sが一直線状に配置された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、スポット溶接点Sがジグザグに配置されたり、複数列配置されたりした構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態に係る車体フロア構造を模式的に示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車体フロア構造の概略全体構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車体フロア構造の数値計算用の検証モデルを示す図、(B)は、比較例の計算用モデルを示す図である。
【図4】(A)は、本発明の実施形態に係る車体フロア構造における外側縦スポット溶接列の各スポット接合点に作用する荷重を示す線図、(B)は、比較例に係る車体フロア構造における外側縦スポット溶接列の各スポット接合点に作用する荷重を示す線図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車体フロア構造における外側縦スポット溶接列の各スポット接合点に作用する荷重を計算するための帯板モデルの概念図である。
【図6】図5に示す帯板モデルを用いた数値計算結果を示す図であって、(A)は各スポット接合点の荷重ベクトルを示す図、(B)は各スポット接合点の荷重レベルを示す線図である。
【図7】特定のスポット溶接点につながる複数の帯板の引張荷重を計算するための帯板モデルの概念図である。
【図8】図5に示す帯板モデルを用いて各帯板に作用する荷重を計算した結果を示す線図である。
【図9】(A)は、図8よりも広い範囲で帯板に作用する荷重を計算した結果を示す線図、(B)は帯板の変形を模式的に示す図である。である。
【図10】本発明の実施形態の第1変形例に係る車体フロア構造を模式的に示す平面図である。
【図11】本発明の実施形態の第2変形例に係る車体フロア構造を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0072】
10 車体フロア構造(パネル接合構造)
12 フロアパネル(パネル部材)
14 骨格構造部
16 ロッカ(第1骨格部材、第2骨格部材)
18 アンダリインフォースメント(第2骨格部材、第1骨格部材)
20 ダッシュクロスメンバ
22 フロアクロスメンバ
26 外側縦スポット溶接列(接合部、第1接合部、第2接合部、外辺接合部)
28 内側縦スポット溶接列(接合部、第2接合部、第1接合部、内辺接合部)
30 前側横スポット溶接列(接合部、前辺接合部)
32 後側横スポット溶接列(接合部、後辺接合部)
50 矩形パネル部(パネル部材)
S スポット溶接点(接合点)
Sf 最前スポット溶接点(端部接合点)
St 最後スポット溶接点(端部接合点)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル部材と、
四辺を有する矩形枠状を成す骨格構造体と、
前記骨格構造体の四辺のそれぞれと前記パネル部材とを、前記骨格構造体における並列する二辺が長手方向に相対変位した場合に角度が小さくなる特定の角部から該相対変位の方向に対し略45°を成す方向に位置する特定部分での接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、該骨格構造体の各辺においてそれぞれの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した接合部と、
を備えたパネル接合構造。
【請求項2】
前記接合部は、前記骨格構造体における前記特定の角部の対角となる角部を成す二辺の何れか一方における長手方向の端部間に前記特定部分が位置しており、該特定部分での接合点の密度が前記二辺の何れか一方における他の部分での接合点の密度よりも疎とされて構成されている請求項1記載のパネル接合構造。
【請求項3】
パネル部材と、
所定間隔で並列して配置された第1骨格部材及び第2骨格部材と、
前記第1骨格部材と前記パネル部材とを該第1骨格部材の長手方向に離間した複数の接合点で接合し、該第1骨格部材における前記第2骨格部材に対し長手方向に相対変位する際の先頭側に位置する接合点が端部接合点とされた第1接合部と、
前記第2骨格部材と前記パネル部材とを、前記端部接合点から前記第1骨格部材の長手方向に対し略45°の方向に位置する特定部分での接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記第2骨格部材の長手方向に離間した複数の接合点にて接合した第2接合部と、
を備えたパネル接合構造。
【請求項4】
フロアパネルと、
車体における車幅方向外端で車両前後方向に延在されたロッカと、
前記ロッカに対する車幅方向内側で車両前後方向に延在された前後メンバ部材と、
車幅方向に延在され、前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第1クロスメンバと、
車幅方向に延在され、前記第1クロスメンバに対する車両前後方向の後側で前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第2クロスメンバと、
前記フロアパネルと前記ロッカとを、該ロッカの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した外辺接合部と、
前記前後メンバ又は前記第2クロスメンバと前記フロアパネルとを、前記外辺接合部における最前の接合点から車両前後方向に対し略45°の方向に位置する特定部分の接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記前後メンバ又は前記第2クロスメンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した内辺又は後辺接合部と、
を備えた車体フロア構造。
【請求項5】
フロアパネルと、
車体における車幅方向外端で車両前後方向に延在されたロッカと、
前記ロッカに対する車幅方向内側で車両前後方向に延在された前後メンバと、
車幅方向に延在され、前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第1クロスメンバと、
車幅方向に延在され、前記第1クロスメンバに対する車両前後方向の後側で前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第2クロスメンバと、
前記フロアパネルと前記前後メンバとを、該前後メンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した内辺接合部と、
前記ロッカ又は前記第1クロスメンバと前記フロアパネルとを、前記内辺接合部における最後の接合点から車両前後方向に対し略45°の方向に位置する特定部分の接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記ロッカ又は前記第1クロスメンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した外辺又は前辺接合部と、
を備えた車体フロア構造。
【請求項6】
フロアパネルと、
車体における車幅方向外端で車両前後方向に延在されたロッカと、
前記ロッカに対する車幅方向内側で車両前後方向に延在された前後メンバと、
車幅方向に延在され、前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第1クロスメンバと、
車幅方向に延在され、前記第1クロスメンバに対する車両前後方向の後側で前記ロッカと前記前後メンバとを架け渡す第2クロスメンバと、
前記前後メンバ又は前記第2クロスメンバと前記フロアパネルとを、前記ロッカと前記第1クロスメンバとの角部における前記フロアパネルとの接合点から車両前後方向に対し略45°の方向に位置する特定部分の接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記前後メンバ又は前記第2クロスメンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した内辺又は後辺接合部と、
前記ロッカ又は前記第1クロスメンバと前記フロアパネルとを、前記前後メンバと前記第2クロスメンバとの角部における前記フロアパネルとの接合点から車両前後方向に対し略45°の方向に位置する特定部分の接合点の密度が他の部分での接合点の密度よりも疎となるように、前記ロッカ又は前記第1クロスメンバの長手方向に離間した複数の接合点にて接合した外辺又は前辺接合部と、
を備えた車体フロア構造。
【請求項7】
前記接合部の各接合点は、スポット溶接による接合点である請求項4〜請求項6の何れか1項記載の車体フロア構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−70100(P2010−70100A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240846(P2008−240846)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】