パネル開閉機構およびこのパネル開閉機構を用いた音響装置。
【課題】ガタ付き低減、コネクタ嵌合の安定化、挿入口の狭いコネクタ挿抜が容易かつ異音発生防ぐパネル開閉機構、このパネル開閉機構を用いた音響装置を提供すること。
【解決手段】操作パネル130の開閉を行うパネル開閉機構11であり、コネクタの一方側が本体部20に取り付けられ、他方側が操作パネル130に取り付けられ、操作パネル130は第1の支持部材により回動自在に支持され、かつリリース部材により閉じ状態を維持し、該リリース部材の回動によりスライドが許容される。また、操作パネル130は、第2の支持部材により他端側をスライド自在に支持され、本体部20から手前側に向かうスライドがガイドされる。さらに、操作パネル130は、係合部材により、スライド中において起立状態が維持され、所定位置までスライドした場合に、上述の起立状態が解除され傾倒を許容される。
【解決手段】操作パネル130の開閉を行うパネル開閉機構11であり、コネクタの一方側が本体部20に取り付けられ、他方側が操作パネル130に取り付けられ、操作パネル130は第1の支持部材により回動自在に支持され、かつリリース部材により閉じ状態を維持し、該リリース部材の回動によりスライドが許容される。また、操作パネル130は、第2の支持部材により他端側をスライド自在に支持され、本体部20から手前側に向かうスライドがガイドされる。さらに、操作パネル130は、係合部材により、スライド中において起立状態が維持され、所定位置までスライドした場合に、上述の起立状態が解除され傾倒を許容される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル開閉機構およびこのパネル開閉機構を用いた音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーオーディオのような音響装置の中には、可倒式の操作パネルを備えるタイプのものがある。このタイプの音響装置の構成の一例を、図27に示す。音響装置1のマザー基板2上には、ドータ基板3が設けられていて、このドータ基板3には、コネクタ4のメス側4aが実装されている。また、ドータ基板3に近接してサブパネル5が設けられていて、このサブパネル5からアーム部材6が手前側に向かって突出している。アーム部材6には、軸受6aが設けられていて、この軸受6aに操作パネル7の支持軸7aが回転自在に取り付けられる。それにより、軸受6aによって操作パネル7が回動自在に支持されている。
【0003】
また、操作パネル7には、コネクタ4のオス側4bが取り付けられている。このオス側4bは、操作パネル7が閉じた状態においては、コネクタ4のメス側4aに嵌まり込む。それにより、コネクタ4のメス側4aとオス側4bとは、通電状態となる。また、図28に示すように、操作パネル7が支持軸7aを中心に回動して倒れると、その動作に伴なってコネクタ4のオス側4bがメス側4aから抜ける。
【0004】
なお、このような音響装置1に類似する、操作パネル7が倒れる構成の例としては、特許文献1および特許文献2に記載されているものがある。
【0005】
【特許文献1】特開平9−321449号公報(段落番号0036、図1、図2参照)
【特許文献2】特開平10−16654号公報(段落番号0025、図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の音響装置1においては、次のような課題がある。すなわち、図29に示すように、現状の音響装置1においては、支持軸7aとオス側4bのA部分(図29においてオス側4bの左側かつ上方側の部位)との間の縦方向(上下方向)の距離aがさほど長くなく、また横方向の距離bがさほど短くない。そのため、操作パネル7が回動する場合、A部分は、支持軸7aに対する高さ位置が一度高くなるような軌跡を描く(図中の一点鎖線で示す軌跡)。そのため、当該A部分がメス側4aの内部にぶつからないように、メス側4aの挿入口4cの寸法cを大きくして、メス側4a内部上方に空間を形成する必要がある。
【0007】
しかしながら、メス側4aの挿入口4cが広くなると、メス側4aとオス側4bとの間の位置ずれが起こり易く、そのため位置ずれによる接点不良という問題が発生し易くなる。また、挿入口4cが広くなる場合、メス側4aとオス側4bとを確実に接触させるために、板バネを用いることが多い。しかしながら、板バネを用いる構成の場合、操作パネル7には、その開閉時に常に約1kgの負荷が掛かり、抜き差しが難しくなる。また、特に板バネを用いる構成においては、オス側4bの抜き差し時に異音が発生し、ユーザに対する製品イメージが悪化する(安っぽい等)、といった問題も発生している。
【0008】
なお、かかる問題は、特許文献1に開示されている構成においても、同様に生じる。また、特許文献2に開示されている構成では、距離aが、より短くなる方向に支持軸が回動する。このため、特許文献2においても、かかる問題が顕著に生じている。
【0009】
ここで、本出願人は、特願2004−44875の出願を行い、かかる問題の解決を図るよう、努めている。この出願に開示されている発明によれば、上述の問題の解決を図ることが可能ではあるが、その解決のために用いる部品点数が多くなっている。すなわち、スライドアーム部材が前後方向にスライドし、操作パネルの片押し状態でのスライドを実現する動作と、操作パネルの傾倒を行う動作とが存在している。
【0010】
これら2つの動作の動作ロックを行うために、サブパネルにレールガイド部を設けている。加えて、スライドアーム部材、リリースレバー、プッシュレバー、ロック部材等、多数の部材を設けている。しかも、特にリリースレバー、プッシュレバー等は、サブパネルに対して、スライドアーム部材を介在させた状態で間接的に取り付けられている。また、スライドアーム部材は、ロック部材を介して、サブパネルに対して間接的にロックされる状態となっている。このため、各部品のガタ付き(遊び)が累積することにより、全体として大きなガタ付き(遊び、いわゆるガチャつき等)が生じることがあり、ユーザに対して安っぽい等の印象を与える場合がある。
【0011】
また、ガタ付きが累積して大きくなる場合、コネクタ4の嵌合も安定しなくなる。そのため、仮に上述の板バネを省く構成を採用すると、接触不良等が生じがちになる。
【0012】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、ガタ付きを低減させると共に、コネクタの嵌合を安定化させることが可能であり、かつ挿入口が狭いコネクタにおいても抜き差しが行い易く、異音等が生じないパネル開閉機構およびこのパネル開閉機構を用いた音響装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、操作パネルの回動により、本体部に対する該操作パネルの開閉を行うことが可能なパネル開閉機構において、本体部に取り付けられているコネクタの一方側と、操作パネルに取り付けられていると共に、コネクタの一方側との間で嵌合するコネクタの他方側と、操作パネルの一端側を回動自在に支持する第1の支持部材と、操作パネルの他端側をスライド自在に支持すると共に、この他端側が本体部から離間する手前側に向かうスライドをガイドする第2の支持部材と、操作パネルの閉じ状態を維持すると共に、回動により操作パネルの手前側に向かうスライドを許容可能なリリース部材と、第2の支持部材と共にスライド可能に設けられていて、操作パネルのスライド中には、該操作パネルの起立状態を維持すると共に、所定位置までスライドした場合に、操作パネルの起立状態を解除し傾倒を許容する係合部材と、を具備するものである。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、操作パネルには、該操作パネルを手前側に向けて押し出すための押し出し部材が付勢されるものである。
【0015】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、リリース部材は、本体部に対して固定的に設けられている支持軸を中心に回動自在に設けられるものである。
【0016】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、第2の支持部材には、第1の付勢手段により手前側に向かう付勢力が与えられるものである。
【0017】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、係合部材には、第1の係合部が設けられていて、操作パネルには、この第1の係合部と係合することにより該操作パネルの開放を阻止する第1の被係合部が設けられていると共に、第2の支持部材と係合部材との間には、カム手段が存在していて、このカム手段の存在により、係合部材は、手前側にスライドするにつれて、第1の係合部が第1の被係合部に対する係合状態を解除する方向に回動させられ、操作パネルの傾倒を許容するものである。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、カム手段は、リリース部材を回動自在に支持する支持軸と、係合部材に形成され該支持軸が挿通されるカム孔と、を有すると共に、係合部材は、第2の支持部材に対して、回動軸を介して回動自在に取り付けられているものである。
【0019】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、リリース部材には、第2の係合部が設けられていて、操作パネルには、この第2の係合部と係合することにより該操作パネルの開放を阻止する第2の被係合部が設けられていると共に、リリース部材には、第2の付勢手段により、第2の係合部が第2の被係合部と係合させる向きに向かう付勢力が与えられていて、押し出し部材には、第2の係合部の先端部分と干渉可能な突出部が設けられていて、該押し出し部材の押し出し動作に際して、突出部が第2の係合部に干渉し、第2の係合部と第2の被係合部との間の係合を解除させる向きにリリース部材を回動させるものである。
【0020】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、コネクタの一方側および他方側は、第1の支持部材よりも第2の支持部材に近接して設けられているものである。
【0021】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、コネクタの一方側は、本体部の内部に設けられている回路基板に実装されているものである。
【0022】
また、他の発明は、上述のパネル開閉機構に係る各発明を、音響装置に適用したものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、操作パネルの開閉に伴ってコネクタの抜き差しが為される場合において、挿入口が狭いコネクタにおいても抜き差しが行い易くなる。また、コネクタの抜き差しに際して、異音等が生じるのを抑制することが可能となる。さらに、部材間のガタ付きを低減させることが可能となり、しかも、コネクタの嵌合を安定化させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係るパネル開閉機構およびこのパネル開閉機構を用いた音響装置について、図1から図26に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る音響装置10のうち、パネル開閉機構11に係る部分を示す分解斜視図である。また、図2は、パネル開閉ユニット50とプッシュレバー110の配置関係を示す分解斜視図である。また、図3は、パネル開閉ユニット50が組み立てられた状態を示すと共に、プッシュレバー110の配置関係を示す斜視図であり、図4は同じく正面図を示す。また、図5は、パネル開閉ユニット50の側面図である。
【0025】
なお、以下の説明においては、手前側とは、閉じ状態にある操作パネル130(図1等参照)が開く側(外部ケース20から離間する側)を指し、奥側とはこれとは逆の閉じる側を指す。また、奥行き方向とは図1の矢示Y方向を指し、上下方向(縦方向)とはマザー基板21(図21等参照)の法線方向(図1の矢示Z方向)を指し、横方向とは閉じ状態にある操作パネル130の長手方向(図1の矢示X方向)を指す。また、サブパネル30を例にとって説明すると、下側とは、サブパネル30のうち後述するディスク挿入口31からコネクタ挿通孔32に向かう側を指し、上側とは、これとは逆側を指す。
【0026】
図1に示すように、音響装置10のパネル開閉機構11は、外部ケース20と、サブパネル30と、パネル開閉ユニット50と、プッシュレバー110と、固定アーム部材120(図24参照)と、操作パネル130と、を主要な構成要素としている。これらのうち、パネル開閉ユニット50は、図2に示すように、リリース部材60と、スライドアーム70と、スライダフック80と、支持軸90と、を構成要素としている。
【0027】
外部ケース20は、本体部に対応し、この外部ケース20には、マザー基板21(図21他参照)が取り付けられている。マザー基板21には、音響装置10の制御回路(図示省略)が設けられている。制御回路は、後述する操作パネル130のボタン部からの信号を受信してディスク再生機構に駆動信号を送信したり、操作パネル130に設けられているディスプレイに対して、所定の文字/画像等を表示させるための表示信号を送信している。また、制御回路は、記録媒体の搬入/搬出を行うための駆動源の駆動を制御する制御信号を、当該駆動源に送信可能としている。
【0028】
なお、マザー基板21に設けられる制御回路が、所定の文字/画像等の表示を行わなくても良く、例えば後述するサブパネル30に制御回路を設け、かかるサブパネル30上の制御回路にて、所定の文字/画像等の表示を制御するようにしても良い。同様に、記録媒体の搬入/搬出を行わせるための制御回路を、マザー基板21とは別途の基板に設けるようにしても良い。
【0029】
図21他に示すように、マザー基板21の手前側の端部には、サブパネル30が近接して配置されている。サブパネル30は、外部ケース20の手前側の開口部分を塞ぐように、該外部ケース20に対して略垂直を為して取り付けられている。また、図1に示すように、サブパネル30は、操作パネル130と対向する前面部30aと、操作パネル130の閉じ状態において該操作パネル130の側面と対向する側面部30bと、を有している。
【0030】
図1に示すように、サブパネル30の前面部30aには、ディスク挿入口31が設けられていて、該ディスク挿入口31を介して、外部ケース20の内部に記録媒体が挿入可能となっている。なお、ディスク挿入口31は、1つであっても複数設けられていても良い。また、図1に示すように、前面部30aの所定部位には、コネクタ挿通孔32が設けられている。コネクタ挿通孔32は、サブパネル30の長手方向において、後述するパネル開閉ユニット50の方が、後述の固定アーム部材120よりも近くなるように設けられている(図24等参照)。コネクタ挿通孔32には、後述するコネクタ40のメス側40a(図21他参照)が挿通される。
【0031】
また、前面部30aにはユニット挿通孔33が設けられている。ユニット挿通孔33は、後述するパネル開閉ユニット50およびプッシュレバー110を手前側に向かって突出させるための部位である。さらに、サブパネル30の裏面側には、該サブパネル30の下面から延伸する軸受部34(図6参照)が設けられている。軸受部34は、後述するプッシュレバー110を回動自在に軸支する部位である。なお、軸受部34は、サブパネル30の下面からではなく、サブパネル30の裏面から延伸する構成としても良い。
【0032】
また、図21他に示すように、上述のマザー基板21のうち、手前側の端部には、コネクタ40のメス側40a(コネクタ40の一方側に対応)が実装されている。メス側40aは、マザー基板21よりも手前側に向かって突出していて、その先端側は上述のコネクタ挿通孔32に挿通されている。それにより、メス側40aの端面に存在する挿入口41(図22参照)は、サブパネル30よりも手前側に位置している。なお、上述したコネクタ挿通孔32と同様に、コネクタ40のメス側40aは、サブパネル30の長手方向において、後述するパネル開閉ユニット50の方が、後述の固定アーム部材120よりも近くなるように設けられている。
【0033】
また、図2〜図5等に示すように、パネル開閉ユニット50は、リリース部材60を具備している。リリース部材60は、上方ロック部61と、下方ロック部62と、内方柱脚部68と、外方柱脚部69とを具備している。これらのうち、上方ロック部61と下方ロック部62とは、上下方向に所定の高さ寸法だけ離間している。しかしながら、上方ロック部61と下方ロック部62とは、上方から見た場合に、互いに重なるように設けられている。すなわち、上方ロック部61と下方ロック部62とは、上方から見た平面形状が同一となっている。
【0034】
また、内方柱脚部68と外方柱脚部69は、上方ロック部61と下方ロック部62とを連結している。しかも、これら内方柱脚部68と外方柱脚部69とは、後述するスライドアーム70およびスライダフック80の側面に当接することにより、これらが奥側に位置するときに、時計回りに向かって回動するのを規制している。
【0035】
なお、以下の説明においては、上方ロック部61、下方ロック部62、内方柱脚部68および外方柱脚部69で囲まれた部分を、アーム空間部Pと呼ぶ(図2参照)。
【0036】
上方ロック部61および下方ロック部62は、上下方向に所定の厚みを有するロッド部63を具備しており、このロッド部63の手前側には、フック部64が設けられている。フック部64は、操作パネル130の閉じ状態を維持するための部分である。このフック部64には、奥行き方向に対して傾斜しているテーパ面64aと、該テーパ面64aよりも奥側に位置する係止面64bと、が設けられている。これらのうち、テーパ面64aは、奥行き方向に所定の角度だけ傾斜して設けられているが、上下方向には沿うように設けられている。このテーパ面64aの傾斜角度は、手前側かつ固定アーム部材120側を向くように設定されている。
【0037】
また、係止面64bは、奥行き方向に略垂直に設けられている。この係止面64bは、後述するように、操作パネル130の係合部133に入り込んで、該係合部133の当接面132aに当接する。それによって、操作パネル130の開放を阻止する。また、ロッド部63の中途部分には、該ロッド部63を上下方向に貫くように、挿通孔65が設けられている。挿通孔65には、支持軸90が挿通され、この支持軸90を支点として、リリース部材60は回動可能に設けられている。なお、ロッド部63の幅寸法が十分でないため、本実施の形態では、ロッド部63のうち挿通孔65が設けられている部分は、幅寸法が膨らむように設けられている。
【0038】
なお、本実施の形態では、フック部64は、第2の係合部に対応する。また、後述する係合部133は、第1の被係合部に対応すると共に、第2の被係合部にも対応する。
【0039】
ここで、内方柱脚部68と外方柱脚部69とは、幅方向に所定の寸法だけ離間して設けられている。この寸法は、スライドアーム70と、スライダフック80との配置に対応させている。すなわち、上方ロック部61と下方ロック部62の間のアーム空間部Pには、スライダフック80と、スライドアーム70とが配置されるが、かかる配置に際して、スライダフック80とスライドアーム70の長手方向が奥行き方向と略一致するように、内方柱脚部68と外方柱脚部69とは、所定の寸法だけ離間した状態となっている。
【0040】
なお、かかる寸法は、種々設定可能であるが、本実施の形態では、ロッド部63の長手方向を奥行き方向に略一致させた場合、内方柱脚部68と外方柱脚部69との幅方向において離間している寸法は、スライダフック80およびスライドアーム70の幅寸法よりも大きく設けられている。かかる内方柱脚部68および外方柱脚部69の配置を実現するため、本実施の形態では、ロッド部63の奥側の先端から内方側(固定アーム部材120側)に向かい内方突出部66が設けられている。これと共に、ロッド部63のうち手前側かつフック部64よりも奥側の部位から外方側に向かい外方突出部67が設けられている。また、内方柱脚部68および外方柱脚部69の存在により、スライドアーム70およびスライダフック80の回動範囲は、規制される状態となる。
【0041】
また、アーム空間部Pのうち、下方側(図2の丸囲い文字Bの部位)には、第2の支持部材に対応するスライドアーム70が配置される。スライドアーム70は、奥行き方向に沿ってスライドすることが可能となっている。そのため、スライドアーム70は、本実施の形態では、その長手がリリース部材60の長手よりも長く設けられている。また、スライドアーム70のうち、奥側から手前側寄りの所定位置までの部位には、幅広部71が設けられていて、かかる幅広部71に連続する状態で、幅広部71よりも幅寸法の小さな幅狭部72が手前側に向かって延伸している。これらのうち、幅広部71の奥側の先端部分には、フック支持部73が設けられている。フック支持部73は、幅広部71よりも上方に向かって突出して設けられている。そして、このフック支持部73の上面では、スライダフック80が載置可能に設けられている。
【0042】
このフック支持部73には、回動軸74が設けられている。回動軸74は、フック支持部73の上面から上方側に向かって突出して設けられている。この回動軸74は、後述するスライダフック80の軸孔83に挿通される。それによって、スライダフック80は、スライドアーム70に対して回動自在に設けられる。
【0043】
また、スライドアーム70の幅広部71には、長孔75が設けられている。長孔75は、スライドアーム70のスライド範囲を規定するための部分である。そのため、本実施の形態では、長孔75は、操作パネル130が閉じ状態にあるときに、長孔75の手前側の端部75aが該支持軸90に当接すると共に、操作パネル130が手前側にスライドした状態、または開放して倒れた状態にあるときに、長孔75の奥側の端部75bが支持軸90に当接する。なお、本実施の形態では、長孔75は、幅広部71のうち外側に片寄るように設けられている。
【0044】
また、幅広部71には、バネ係止部76および三角突起77が設けられている。バネ係止部76は、後述するバネ101(図14他参照)の一端側を掛け止めする部分である。そのため、バネ係止部76は、幅広部71の外側の側面からさらに外方に向かって突出していると共に、所定だけ突出した後に奥側に向かって折れ曲がっている。また、幅広部71の外側の側面のうち、バネ係止部76よりも手前側の部位には、三角突起77が設けられている。三角突起77は、上述したフック部64と類似する部分であり、テーパ面77aと、係止面77bとを具備している。
【0045】
ここで、テーパ面77aおよび係止面77bには、外方柱脚部69が当接する。そのため、テーパ面77aは、フック部64のテーパ面64aとは異なり、正面からみて内方側(固定アーム部材120側)ではなく外方側(固定アーム部材120が存在する側とは逆側)を向く状態で傾斜している。それによって、テーパ面77aが外方柱脚部69に当接すると、支持軸90を支点として、リリース部材60を図8等に示すRA方向に回動させることが可能となる。また、係止面77bは、スライドアーム70の戻り止めとして機能する。すなわち、スライドアーム70が手前側に十分スライドし、支持軸90が端部75bに当接する状態で、操作パネル130が寝かされたまま奥側に向かう外力を受けると、スライドアーム70も奥側に向かって進もうとする。しかしながら、係止面77bが外方柱脚部69に衝突し、係止される状態となることにより、スライドアーム70が奥側に向かうのが規制される。それにより、操作パネル130が寝かされた状態で奥側に戻るのが防止される。
【0046】
また、幅狭部72は、幅広部71よりもさらに手前側に向かって突出している。この幅狭部72には、支持軸78が設けられている。支持軸78は、後述する操作パネル130の支持孔136(図24等参照)に挿入される部分であり、そのため、この支持軸78は、内側に向かって突出している。
【0047】
また、アーム空間部Pのうち、スライドアーム70の上方(図2の丸囲い文字Aの部位)には、係合部材に対応するスライダフック80が配置される。このスライダフック80には、上述のスライドアーム70と同様に、幅広部81および幅狭部82が設けられている。しかしながら、上述のスライドアーム70のフック支持部73のような、上方側に向かって突出する部分は設けられていない。幅広部81のうち、奥側には、軸孔83が設けられている。この軸孔83は、上述の回動軸74を挿通させるための部分である。それにより、スライダフック80は、スライドアーム70に対し、この軸孔83を中心として回動する。
【0048】
なお、スライドアーム70とスライダフック80の間には、不図示のスペーサが設けられている。このスペーサには、例えば貫通孔が設けられていて、この貫通孔を支持軸90が挿通するように構成されている。それにより、フック支持部73とスペーサとにより、スライダフック80が支持される。しかしながら、他の部材をこれらの間に配置することで、スライドアーム70に対してスライダフック80を支持するように構成しても良い。
【0049】
また、幅広部81には、カム孔84が設けられている。このカム孔84は、上述のスライドアーム70における長孔75とは異なり、長手の中途部分から折れ曲がっている。また、カム孔84には、長孔75と同様に支持軸90が挿通される。このカム孔84は、手前側に位置する縦孔部84aと、縦孔部84aよりも奥側に位置し縦孔部84aに連続する曲折孔部84bとを有している。縦孔部84aは、スライダフック80の長手に沿うように設けられていると共に、上述の長孔75と同様に、幅広部81のうち外側(固定アーム部材120が存在する側とは逆側)に片寄るように設けられている。また、この縦孔部84aの長さ寸法は、長孔75の略半分程度となっている。また、曲折孔部84bは、縦孔部84aおよびスライダフック80の長手方向に対して、奥側に向かうにつれて徐々に内側(固定アーム部材120側)に片寄るように、所定の角度だけ傾斜して設けられている。
【0050】
なお、かかる縦孔部84aと曲折孔部84bとから構成されるカム孔84は、長手方向に沿う長さ寸法が、長孔75と略同一となっている。また、カム孔84が存在するスライダフック80、回動軸74と長孔75が存在するスライドアーム70、および支持軸90によりカム手段が構成される。
【0051】
かかるカム孔84に支持軸90が挿通された状態で、スライダフック80が手前側に向かってスライドすると、縦孔部84aに支持軸90が位置しているときは、スライダフック80の長手が奥行き方向と略一致している。しかしながら、スライダフック80がスライドして、曲折孔部84bに支持軸90が入り込み、その状態で手前側に向かうスライドが進行すると、スライダフック80は、支持軸90を支点として、図13のFB方向に回動される構成となっている。
【0052】
また、スライダフック80の幅狭部82は、上述の幅狭部72よりも幅広に設けられている。この幅狭部82の手前側には、上述したリリース部材60のフック部64と同様なフック部85が設けられている。すなわち、フック部85は、テーパ面85aと、係止面85bとを備えた構成となっている。なお、かかるフック部85の構成は、上述したフック部64と同様であるため、その詳細についての説明を省略する。また、フック部85は、第1の係合部に対応する。
【0053】
また、上述したリリース部材60、スライドアーム70およびスライダフック80は、支持軸90によって、全体的に回動自在に軸支されている。この支持軸90は、その上下の両端側において、サブパネル30または外部ケース20(図4には、サブパネル30に軸支される例を図示)に軸支される。そのため、支持軸90は、操作パネル130のスライド/傾倒とは無関係に、奥行き方向へ移動しない状態となっている。なお、かかる支持軸90の軸支を行うために、サブパネル30または外部ケース20には、支持軸90の一端側(上端側)および他端側(下端側)を入り込ませるための、軸孔(図示省略)が設けられている。
【0054】
また、支持軸90の下端側には、他の部分よりも小径の止め輪嵌合部91が設けられていて、この部分にE型止め輪92(図2参照)が嵌合される。それにより、支持軸90がサブパネル30または外部ケース20の軸孔から抜け落ちるのが防止される。
【0055】
また、支持軸90には、第2の付勢手段に対応するバネ100(図2参照)が挿通されている。このバネ100は、その一端側が外方柱脚部69に当接している(図示省略)と共に、その他端側がサブパネル30または外部ケース20等の固定的な部位に取り付けられている(図示省略)。そして、バネ100の一端側が外方柱脚部69に当接し、その部位で付勢力が与えられることにより、リリース部材60には、上方から見て反時計回り(図7における矢示RB方向)の付勢力が与えられる。また、上述したバネ係止部76にも、第1の付勢手段としてのバネ101の一端側が掛け止めされる。このバネ101は、その他端側がサブパネル30の裏面の掛け止め部35(図14等参照)に係止される。それにより、スライドアーム70には、手前側に向かう付勢力が与えられる。
【0056】
また、図1〜図3、図6等に示すように、パネル開閉ユニット50に隣接する状態で、押し出し部材に対応するプッシュレバー110が配置されている。このプッシュレバー110は、長片111と、この長片111と略平行を為す状態で対向する短片112とを有しており、また、これら長片111と短片112とを連結する連結部113を具備している。それにより、プッシュレバー110は、その外観が数字の「7」に類似する形状に設けられている。なお、連結部113は、長片111と短片112のそれぞれ一端側(上端側)で、これらを連結している。
【0057】
図6等に示すように、長片111の他端側(下端側)には、レバー軸114が設けられている。レバー軸114は、サブパネル30の軸受部34に回動自在に取り付けられる部分である。このレバー軸114が軸受部34に取り付けられることにより、プッシュレバー110は、サブパネル30に対して回動自在に軸支される。なお、レバー軸114は、プッシュレバー110のうち下方側でサブパネル30に軸支される。
【0058】
また、プッシュレバー110には、突出部115が設けられている。突出部115は、本実施の形態では、長片111の一端側(上端側)であって、連結部113に差し掛かる状態で設けられている。軸受部34にプッシュレバー110が軸支されている場合、突出部115は、パネル開閉ユニット50に向かって突出している。そして、このプッシュレバー110が回動すると、突出部115は、上方ロック部61のフック部64に当接する。すなわち、突出部115は、プッシュレバー110の回動に際して、フック部64に衝突可能な位置に設けられている。
【0059】
なお、突出部115のうち、手前側の部位には、手前側およびパネル開閉ユニット50を向く状態で奥行き方向に対して傾斜しているテーパ面115aが設けられている。それにより、操作パネル130の開放に際して、突出部115がフック部64に衝突しても、このフック部64を外方側に向けて滑らかに押しのける状態で、リリース部材60を回動させることが可能となる。
【0060】
また、プッシュレバー110は、不図示のバネ部材による付勢力を受けている。この付勢力により、短片112は、操作パネル130に対して、該操作パネル130を押し込む(倒す)向きに向かう付勢力を与えている。
【0061】
図24〜図26に示すように、サブパネル30の他方の端部側(図24等において右側)には、第1の支持部材に対応する固定アーム部材120が設けられている。固定アーム部材120のうち、上述の支持軸78(操作パネル130)と対向する側面には、上述と同様な支持軸121が設けられている。すなわち、操作パネル130は、これら2つの支持軸78,121によって回動自在に支持される。
【0062】
操作パネル130は、そのパネル面130aに、各種操作ボタンおよびディスプレイ(共に図示省略)を有している。また、図1、図7〜図13等に示すように、操作パネル130には、窪み部131が設けられている。窪み部131は、操作パネル130の裏面から手前側に向かうように窪んでいる。しかも、この窪み部131のうち、図7等において、操作パネル130の右側から左側に向かうように、フック係止部132が設けられている。
【0063】
ここで、窪み部131の壁面131aとフック係止部132とで囲まれた部分(以下、この部分を係合部133とする。)には、操作パネル130の閉じ状態の際に、フック部64が入り込むことを可能としている。このとき、リリース部材60には、バネ100により反時計回り(図7におけるRBの向き)の付勢力が与えられ、かつ操作パネル130には、スライダフック80を介して、バネ101により手前側(図15におけるBAの向き)に向かう付勢力が与えられる。そのため、操作パネル130の閉じ状態においては、フック部64の係止面64bがフック係止部132の当接面132aに対して、付勢力が与えられた状態で当接し、ガタ付きが抑えられる状態となる。
【0064】
なお、本実施の形態では、係合部133は、上下方向に長く設けられていて、スライダフック80のフック部85も、上述のフック部64と同様に、この係合部133に入り込むことを可能としている。また、操作パネル130のうち、スライドアーム70に対応する部位には、係合部133が設けられていないものの、それよりも下方の、下方ロック部62に対応する部位にも、係合部133が設けられている。かかる下方側の係合部133に下方ロック部62のフック部64を入り込ませることにより、スライドアーム70がバネ101の付勢力によって手前側にスライドし、操作パネル130の下方のみが手前側にスライドして傾くのを防ぐことが可能となる。ここで、上方側の係合部133を長くせずに、フック部85を入り込ませるだけの上下方向に短い孔形状を操作パネル130の裏面に形成し、そこからフック部85を差し込むように構成しても良い。
【0065】
また、操作パネル130の表面には、各種操作ボタンが存在しているが、その中の1つには、図1、図7等に示すリリーススイッチ134がある。リリーススイッチ134は、操作パネル130のうち、フック部64を押し込むことが可能な部位に設けられている。リリーススイッチ134は、奥側に向かうピン部分134aを具備している。このピン部分134aの先端は、フック部64のテーパ面64aを押し込むことが可能となっている。ピン部分134aがテーパ面64aを押し込むと、リリース部材60の時計回り(図8のRA回り)に向かう回動が、バネ100の付勢力に抗しながら実現され、フック部64による、操作パネル130の閉じ状態の維持が解除される。それにより、バネ101の付勢力を受けて、スライドアーム70が手前側に向かって突出し、操作パネル130の開き動作を実行することができる。
【0066】
また、図21〜図23に示すように、操作パネル130は、その内部に回路基板135を有していて、当該回路基板135には光源等が実装されると共に、各種操作ボタンに対応したスイッチ(図示省略)が実装されている。また、回路基板135には、該光源を発光させるための光源用回路、および各種操作ボタンに対応した操作信号を制御回路に送信するためのボタン用回路が設けられている。また、図24〜図26に示すように、操作パネル130のうち、長手方向の一端及び他端に存在する両側面の下方側には、各1つずつの支持孔136が設けられている。各支持孔136は、上述の支持軸78,121が夫々嵌まり込んで、操作パネル130を回動自在に軸支する部分である。
【0067】
また、図21〜図26に示すように、操作パネル130の裏面側には、コネクタ40のオス側40b(コネクタ40の他方側に対応)が取り付けられていて、このオス側40bは回路基板135に実装されている。コネクタ40のオス側40bは、上述したコネクタ40のメス側40aへの嵌まり込みに対応した部位に設けられている。すなわち、コネクタ40のオス側40bは、操作パネル130の長手方向において、固定アーム部材120との距離よりもスライドアーム70との距離の方が小さい位置に設けられている。
【0068】
なお、操作パネル130は、例えば1DIN、2DINのサイズ等、横長のサイズとなっていて、該横長の長手の両端側に、それぞれスライドアーム70および固定アーム部材120が配置される構成となっている。すなわち、操作パネル130の正面形状は、略長方形状(一側辺の方向が他側辺の方向よりも長い矩形状)となっていて、この長方形状の長手方向の両端側に、スライドアーム70および固定アーム部材120が夫々取り付けられている。
【0069】
以上のような構成を有するパネル開閉機構11、およびこのパネル開閉機構11を用いた音響装置10の動作について、以下に説明する。
【0070】
図7等に示すような、操作パネル130の閉じ状態において、ユーザがリリーススイッチ134を押下すると、操作パネル130の開き動作が開始される。この場合、ピン部分134aがテーパ面64aに当接し、さらにピン部分134aテーパ面64aを押し込む。すると、リリース部材60は、図8に示すように、バネ100の付勢力に抗しながら支持軸90を中心として時計回り(RA回り)に向かって回動させられる。かかる回動が為されると、係止面64bがフック係止部132と対向しなくなり、両者の係合状態が解除される。
【0071】
ここで、スライドアーム70は、バネ101により手前側に向かう付勢力を受けている。このため、上述の係合状態が解除されると、バネ101のバネ力により、スライドアーム70は、手前側(図15のBAの向き)に向かって押し出される。また、スライダフック80は、回動軸74を介してスライドアーム70に取り付けられており、さらに操作パネル130は、支持軸78を介してスライドアーム70に回動自在に取り付けられている。このため、スライドアーム70のスライドに伴なって、スライダフック80および操作パネル130も手前側に向かってスライドする(図12、図15参照)。
【0072】
なお、操作パネル130等が手前側に向かってスライドするにつれて、プッシュレバー110も不図示のバネ部材による付勢力を受けて図9、図19等におけるLAの向きに回動する。この場合、図9に示すように、フック部64の先端部分がテーパ面115aに当接することにより、リリース部材60は、時計回りに回動可能となっている。
【0073】
ここで、スライダフック80が手前側に向かってスライドする場合、縦孔部84aに支持軸90が入り込んでいる状態では、フック部85は係合部133に入り込んだままとなっている。このときのスライド動作を上方から見ると、図11に示す状態から図12に示す状態となり、側方から見ると、図18に示す状態から図19に示す状態となる。この状態では、操作パネル130が手前側に押されると共に、固定アーム部材120は飛び出さないため、操作パネル130は片押しされて、図25に示すようにXの向きに回転して、前面部30aに対して斜めに傾いた状態となる。このとき、コネクタ40のオス側40bは、コネクタ40のメス側40aから抜き取られる。また、操作パネル130は、パネル面130aが手前側に平行に押されるのみで、手前側に倒れていない。
【0074】
ここで、図10、図13および図16に示すように、スライドアーム70およびスライダフック80が手前側に向かってさらにスライドすると、支持軸90は曲折孔部84bに入り込む。そして、支持軸90は、曲折孔部84bの奥側に向かって進行する。ここで、スライドアーム70は、バネ101により手前側(図15に示すBAの向き)に向かって付勢されており、支持軸90を中心として反時計回りの付勢力を受けているため、時計回りに向かって回動し難くなっている。しかも支持軸90は、サブパネル30に固定的に設けられている。そのため、回動軸74と支持軸90の幅方向(操作パネル130の長手方向)の寸法は、ほとんど変化しない。それにより、スライダフック80は、曲折孔部84bを奥側に進むにつれて、時計回り(図13に示すFBの向き)に回動させられ、フック部85が外側に向かって移動し、係合部133から徐々に離れる。
【0075】
そして、フック部85と係合部133との間の係止状態が解かれると、不図示のバネ部材により、プッシュレバー110は図19および図20において反時計回り(LAの向き)に回動させられ、操作パネル130をPCの向きに押す。その結果、該操作パネル130は、そのパネル面130aが隠れる状態で寝かされる(倒される)。以上のようにして、操作パネル130が記録媒体の挿入の邪魔とならない部位に位置し、ディスク挿入口31(図1参照)が出現する。そして、ユーザは、このディスク挿入口31から記録媒体を挿入したり、排出後の記録媒体を抜き取ったりすることが可能となる。
【0076】
なお、操作パネル130が倒れている状態においては、三角突起77の係止面77bと外方柱脚部69とが係合している(図17参照)。そのため、操作パネル130が倒れている状態のままで、操作パネル130が奥側に向かって移動しないように構成されている。
【0077】
また、ユーザが操作パネル130の閉じ動作を行う場合、ユーザは図17、図20、図23および図26に示される状態にある操作パネル130を手で把持して、該操作パネル130を指で持ち上げる。それにより、操作パネル130はPCの向きとは逆の向きに回動する。ここで、操作パネル130の閉じ動作を行うと、プッシュレバー110が操作パネル130によって押されて、図20において反時計回りに回動させられる。かかる回動が進行すると、突出部115の隅角部Q(図10参照)がフック部64のテーパ面64aに当接する。
【0078】
この状態で、さらに操作パネル130を持ち上げると、リリース部材60は、バネ100の付勢力に抗しつつ、時計回り(RA回り)に回動させられる。それにより、三角突起77の係止面77bと外方柱脚部69とが係止している状態が解除され、スライドアーム70、操作パネル130等の奥側に向かう移動が可能となる。
【0079】
さらに、ユーザが操作パネル130を図19および図20において時計回りに回動させると、フック係止部132の先端部分がテーパ面64aに当接する。さらに、操作パネル130を奥側に向かって押し込むと、フック係止部132の先端部分がテーパ面64aを押し込んで、リリース部材60を時計回り(RA回り)に回動させ、フック部64が係合部133に入り込む(図7等参照)。それにより、操作パネル130の手前側に向かうスライドがロックされ、操作パネル130の閉じ状態を維持可能となる。
【0080】
ここで、図24に示すように、操作パネル130が傾斜する前の閉じ状態においては、コネクタ40のオス側40bのうち、最も奥側かつ左側の側面部30bに近接している部分(オス側40bのB部分)と支持軸121との間には、サブパネル30(閉じ状態にある操作パネル130)の長手方向に沿って、距離pが存在している。また、コネクタ40のオス側40bのB部分と支持軸121の間には、サブパネル30の法線方向に沿って、距離qが存在している。この距離p,qと、上述した従来例における、距離a,b(図29参照)との関係について述べる。
【0081】
従来における距離aは、操作パネル130の短手方向における距離aであると共に、本実施の形態における距離pは、閉じ状態にある操作パネル130の長手方向における距離pである。また、図24〜図26に示されるように、コネクタ40は、固定アーム部材120よりもスライドアーム70に近接して設けられている。このため、例えばカーオーディオのような音響装置10において、特に横方向に比較して縦方向(上下方向)の寸法の小さな1DIN等のサイズの場合には、距離pの方が、距離aよりも圧倒的に大きな値となる。また、2DINのサイズにおいても、距離pが距離aよりも大きいことは明らかである。
【0082】
また、距離bと距離qについては、共に、サブパネル30(操作パネル130)の法線方向のうち、支持軸121の中心部分からコネクタ40のオス側40bの奥側までの距離であり、両者の値は等しくなっている。そのため、B部分(図24参照)が描く軌跡は、従来におけるA部分(図29参照)が描く軌跡よりも、円弧の半径が大きい。すなわち、B部分は緩やかなカーブの、曲率の小さな円弧を描きつつ回動する。
【0083】
このような構成のパネル開閉機構11、およびこのパネル開閉機構11を用いた音響装置10によれば、スライドアーム70等のスライドにより、コネクタ40のメス側40aとオス側40bとの間の嵌合が外れる。すなわち、図24に示すように、B部分と支持軸121との間に距離pが存在し、この距離pは、従来の距離aよりも大きくなる。特に、コネクタ40は、固定アーム部材120よりも、パネル開閉ユニット50等に近接して設けられていることにより、距離pは距離aよりも大きくなる。このため、距離Bの回動により描く軌跡は、曲率の小さな緩やかなものとなる。それにより、B部分が、支持軸121から離間する方向に向かう移動距離を低減でき、当該B部分はコネクタ40のメス側40aの内壁面と干渉するのを抑えることができる。
【0084】
そのため、メス側40aの挿入口41の寸法を大きくする必要がなくなり、当該挿入口41の広い特殊なコネクタを用いずに済む。それにより、汎用の安価なコネクタ40を用いることが可能となり、コストの削減を図ることが可能となる。
【0085】
また、挿入口41の広いコネクタ40を用いる必要がなくなるため、挿入口41の広いコネクタ40を用いていた場合に生じる、オス側40bの位置ずれが生じなくなる。それにより、位置ずれによる接点不良、といった問題も生じなくなる。さらに、挿入口41の広いコネクタ40を用いずに済みため、挿入口41の広いコネクタ40を用いる場合に必要となる、板バネを用いずに済む。それにより、操作パネル130の開閉時に負荷されていた、例えば1kg前後といった荷重が、操作パネル130に付与されずに済み、コネクタ40の抜き差しがし易くなる。また、コネクタ40の挿入口41を狭くすることが可能となるため、コネクタ40の小型化を図ることが可能となる。
【0086】
また、荷重の負荷が大幅に軽減されるので、オス側40bの抜き差し時に異音が生じなくなり、ユーザに対する製品イメージを向上させることが可能となる。すなわち、製品に対して高級感を持たせることが可能となる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、サブパネル30にレールガイド部等を設ける必要がなくなり、しかも操作パネル130の戻り等を規制するためのロック部材も不要となる。そのため、操作パネル130の片押し状態でのスライドと、操作パネル130の傾倒との2つの動作を行う場合の、部品点数を少なくすることが可能となる。
【0088】
さらに、本実施の形態のリリース部材60は、支持軸90により直接的にサブパネル30等の固定部位に取り付けられている。このため、リリース部材60が、他のアーム部材等を介して間接的に取り付けられる構成と比較して、該リリース部材60のガタ付き(遊び)を低減することが可能となる。すなわち、間接的に取り付けられる構成と比較して、各部品のガタ付き(遊び、ガチャ付き)が累積されるのを防止することが可能となる。それにより、操作パネル130の閉じ状態におけるガタ付きを低減することができ、音響装置10の品質を向上させることが可能となる。
【0089】
また、本実施の形態では、操作パネル130と共にスライドする部品を、スライドアーム70とスライダフック80の2点に抑えている。それにより、操作パネル130のスライドに際して、多数の部品のスライドが伴なう構成と比較して、スライド動作が軽くなる。これと共に、各部品の遊びにより、スライドに際してそれぞれが衝突する(ガチャ付く)等によって引き起こされる不快な異音が生じるのを、極力抑えることが可能となる。
【0090】
また、本実施の形態では、プッシュレバー110も、サブパネル30に直接軸支されている。このため、サブパネル30に対して間接的にプッシュレバー110が取り付けられる構成と比較して、該プッシュレバー110に生じるガタ付き(遊び)を低減することが可能となる。また、ガタ付き(遊び)を低減させることにより、コネクタ40の嵌合も安定させることが可能となる。それにより、コネクタ40において、接触不良が生じるのを低減させることが可能となる。
【0091】
また、コネクタ40のメス側40aが、マザー基板21に実装されている。そのため、従来のように、メス側40aの実装のためのドータ基板が不要となる。それにより、部品点数およびコストを削減することが可能となる。
【0092】
また、スライドアーム70には、バネ101により手前側に向かう付勢力が与えられている。このため、ユーザがリリーススイッチ134を押下して、操作パネル130の閉じ状態が解除されると、操作パネル130を自動的にスライドさせることが可能となる。さらに、プッシュレバー110を設けているため、操作パネル130が十分にスライドした後に、該プッシュレバー110および不図示のバネ部材によって操作パネル130が倒される。すなわち、ユーザの手による操作によらずとも、自動的に操作パネル130を倒すことが可能となる。なお、スライドアーム70、バネ101、プッシュレバー110および不図示のバネ部材により、操作パネル130の閉じ状態が解除されると、最初は操作パネル130の片押しでのスライド動作のみが為され、少し時間をおいて(時間差を有する状態で)操作パネル130を倒す動作が実現される。そのため、操作パネル130の動きに、高級感を奏させることが可能となる。
【0093】
また、スライダフック80には、フック部85が設けられていて、このフック部85は、操作パネル130の係合部133に入り込む。それにより、操作パネル130がスライドする場合でも、フック部85が操作パネル130が倒れるのを防ぐため、操作パネル130の良好なスライド動作を実現することができる。
【0094】
また、リリース部材60には、バネ100により反時計回り(図7におけるRBの向き)の付勢力が与えられ、かつ操作パネル130には、スライダフック80を介して、バネ101により手前側(図15におけるBAの向き)に向かう付勢力が与えられている。そのため、操作パネル130の閉じ状態においては、フック部64の係止面64bがフック係止部132の当接面132aに対して、付勢力が与えられた状態で当接する。それによって、両者の間のガタ付きが抑えられ、操作パネル130の閉じ状態におけるガタ付き(ガチャ付き等)が生じるのを抑えることが可能となる。
【0095】
また、スライドアーム70とスライダフック80、支持軸90によりカム手段が構成されている。そのため、両者が共に手前側に向かってスライドすると、スライダフック80を回動させることができ、フック部85の係合部133に対する係止状態を解除することができる。それにより、スライドアーム70、スライダフック80および操作パネル130が十分にスライドした後に、操作パネル130を良好に倒すことが可能となる。
【0096】
さらに、本実施の形態では、フック部64が係合部133に入り込むことを可能としている。それにより、操作パネル130の閉じ状態を良好に維持可能となる。加えて、本実施の形態では、突出部115がフック部64と干渉可能に設けられている。それにより、操作パネル130を手で把持して閉じ方向に回動させれば、フック部64に突出部115を衝突させ、該フック部64を図10のRA回りに回動させることが可能となる。そのため、外方柱脚部69と係止面77bとが係合している状態を解除することが可能となり、操作パネル130が倒れたまま奥側にスライドするのを規制する状態を解除して、操作パネル130を閉じる動作を行うことが可能となる。
【0097】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0098】
上述の実施の形態では、リリース部材60側に凸状のフック部64を設けると共に、操作パネル130側に凹状の係合部133を設けている。しかしながら、これらの間の凹凸関係を逆にしても良い。すなわち、リリース部材60側に凹状の係合部を設け、操作パネル130側に凸状のフック部を設けるようにしても良い。同様に、スライダフック80のフック部85と係合部133との間の凹凸関係を逆にしても良く、スライダフック80側に凹状の係合部を設け、操作パネル130側に凸状のフック部を設けるようにしても良い。
【0099】
また、上述の実施の形態では、プッシュレバー110およびバネ部材を具備し、このプッシュレバー110とバネ部材により操作パネル130が倒れる動作を実現している。しかしながら、例えばフック部85に、操作パネル130を押圧するバネ部材を設ける等すれば、操作パネル130が倒れる動作を実現可能となるため、かかるプッシュレバー110およびバネ部材を省略する構成を採用しても良い。また、ユーザ自身の操作により操作パネル130を倒す構成を採用する等すれば、フック部85にバネ部材を設ける構成を省略することも可能となり、このような構成を採用しても良い。さらに、例えば、サブパネル30の前面部30aにバネ機構を設け、かかるバネ機構によって操作パネル130に対して倒す方向に付勢力を与えても良い。
【0100】
また、上述の実施の形態では、バネ101の付勢力により、操作パネル130が手前側に向かうスライドを実現しているが、かかるバネ101を省略する代わりに、別途、モータ等の駆動手段を設け、操作パネル130をモータ等の駆動手段で生じる駆動力でスライドさせるようにしても良い。
【0101】
また、上述の実施の形態では、コネクタ40のメス側40aをマザー基板21に実装すると共に、コネクタ40のオス側40bを操作パネル130の回路基板135に実装している。しかしながら、コネクタ40のメス側40aとオス側40bとの関係を逆にしても良い。すなわち、コネクタ40のオス側40bをコネクタ40の一方側、コネクタ40のメス側40aをコネクタ40の他方側としても良い。
【0102】
また、上述の実施の形態では、本体部として外部ケース20を用いると共に、操作パネル130を用いた場合について説明している。しかしながら、本体部としては、例えば外部ケース20に対して移動するシャーシ部分等を用いても良い。また、操作パネル130に代えて、該操作パネル130以外のパネル部材、蓋部材等を用いるようにしても良い。また、緩衝部材を操作パネル130に取り付けて、該操作パネル130の増速を防ぐようにしても良い。
【0103】
また、上述の実施の形態では、第1の支持部材として固定アーム部材120、第2の支持部材としてスライドアーム70を用いた場合について説明している。しかしながら、第1の支持部材としては、上述のスライドアーム70と同様な、スライド可能なアーム部材としても良い。また、第2の支持部材としては、スライドするアーム部材以外の構成として、伸縮可能なアーム部材としても良い。
【0104】
また、上述の実施の形態では、支持軸90を中心に回動するリリース部材60を用いた場合について説明している。しかしながら、リリース部材60以外のリリース部材を用いるようにしても良い。例えば図1の矢示X方向(幅方向)にスライド可能なリリース部材を設け、そのリリース部材の幅方向の動作により、操作パネル130の開閉を切り替えるようにしても良い。また、例えば、リリース部材60の下方にピニオンギヤを取り付けると共に、それと対向するサブパネル30または外部ケース20の底面にラックギヤを取り付け、所定位置までスライドアーム70が飛び出した場合にラックギヤとピニオンギヤが噛み合い、リリース部材60が回動される構成を採用しても良い。
【0105】
また、上述の実施の形態では、パネル開閉機構11が、音響装置10に適用された場合について説明している。しかしながら、パネル開閉機構11が用いられる装置は、音響装置10には限られない。音響装置10以外の装置としては、例えば、映像または映像および音楽等の再生を行う、ビデオ再生装置、DVD再生装置、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、電話/ファックス等の通信機器等があり、各種の電気機器に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の音響装置およびパネル開閉機構は、自動車用の音響装置関連の分野において利用することができる。また、パネル開閉機構は、各種電気機器の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一実施の形態に係る音響装置のうち、パネル開閉機構に係る部分を示す分解斜視図である。
【図2】図1の音響装置において、パネル開閉ユニットとプッシュレバーの配置関係を示す分解斜視図である。
【図3】図1の音響装置において、パネル開閉ユニットが組み立てられた状態を示すと共に、プッシュレバーの配置関係を示す斜視図である。
【図4】図1の音響装置において、パネル開閉ユニットが組み立てられた状態を示すと共に、プッシュレバーの配置関係を示す正面図である。
【図5】図1の音響装置において、パネル開閉ユニットを示す側面図である。
【図6】図1の音響装置において、プッシュレバーの形状を示すと共に、軸受部を示す斜視図である。
【図7】図1の音響装置において、リリース部材と操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルの閉じ状態を示す図である。
【図8】図1の音響装置において、リリース部材と操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、リリーススイッチが押下された状態を示す図である。
【図9】図1の音響装置において、リリース部材と操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルが所定だけ片押しされた状態を示す図である。
【図10】図1の音響装置において、リリース部材と操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルの押し戻しの際にフック部と突出部とが係合する状態を示す図である。
【図11】図1の音響装置において、スライダフックと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルの閉じ状態を示す図である。
【図12】図1の音響装置において、スライダフックと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルが所定だけ片押しされた状態を示す図である。
【図13】図1の音響装置において、スライダフックと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、曲折孔部に支持軸が入り込んで、フック部と係合部との係合状態が解除された状態を示す図である。
【図14】図1の音響装置において、スライドアームと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルの閉じ状態を示す図である。
【図15】図1の音響装置において、スライドアームと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルが所定だけ片押しされた状態を示す図である。
【図16】図1の音響装置において、スライドアームと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、スライドアームが十分にスライドされて、外方柱脚部に係止面が係止している状態を示す図である。
【図17】図1の音響装置において、スライドアームと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルが倒れた状態を示す図である。
【図18】図1の音響装置において、操作パネルが閉じている状態を示す部分的な側面図である。
【図19】図1の音響装置において、操作パネルの他端側が手前側に片押しされた状態を示す部分的な側面図である。
【図20】図1の音響装置において、パネル面を隠すように操作パネルが倒れた状態を示す部分的な側面図である。
【図21】図1の音響装置において、操作パネルが閉じている状態を示す側断面図である。
【図22】図1の音響装置において、操作パネルの他端側が手前側に押し出され、操作パネルが回動した状態を示す側断面図である。
【図23】図1の音響装置において、パネル面を隠すように操作パネルが倒れた状態を示す側断面図である。
【図24】図1の音響装置において、操作パネルが閉じている状態を示す平面図であり、所定高さで切断した断面図である。
【図25】図1の音響装置において、操作パネルの他端側が手前側に押し出されて回動した状態を示す平面図であり、所定高さで切断した断面図である。
【図26】図1の音響装置において、パネル面を隠すように操作パネルが倒れた状態を示す平面図であり、所定高さで切断した断面図である。
【図27】従来の音響装置のパネル開閉機構の構成を示す側断面図であり、操作パネルが閉じている状態を示す図である。
【図28】図27の音響装置において、操作パネルが回動している状態を示す側断面図である。
【図29】図27の音響装置において、コネクタのオス側のA部分と操作パネルの支持軸との間の距離の関係を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0108】
10…音響装置
11…パネル開閉機構
20…外部ケース(本体部に対応)
21…マザー基板
30…サブパネル
33…ユニット挿通孔
40…コネクタ
40a…メス側(一方側に対応)
40b…オス側(他方側に対応)
50…パネル開閉ユニット
60…リリース部材
64…フック部(第2の係合部に対応)
70…スライドアーム(第2の支持部材に対応;カム手段の一部に対応)
73…フック支持部
74…回動軸
75…長孔
80…スライダフック(係合部材に対応;カム手段の一部に対応)
84…カム孔
85…フック部(第1の係合部に対応)
90…支持軸(カム手段の一部に対応)
100…バネ(第2の付勢手段に対応)
101…バネ(第1の付勢手段に対応)
110…プッシュレバー(押し出し部材に対応)
120…固定アーム部材(第1の支持部材に対応)
130…操作パネル
131…窪み部
132…フック係止部
133…係合部(第1の被係合部および第2の被係合部に対応)
134…リリーススイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル開閉機構およびこのパネル開閉機構を用いた音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーオーディオのような音響装置の中には、可倒式の操作パネルを備えるタイプのものがある。このタイプの音響装置の構成の一例を、図27に示す。音響装置1のマザー基板2上には、ドータ基板3が設けられていて、このドータ基板3には、コネクタ4のメス側4aが実装されている。また、ドータ基板3に近接してサブパネル5が設けられていて、このサブパネル5からアーム部材6が手前側に向かって突出している。アーム部材6には、軸受6aが設けられていて、この軸受6aに操作パネル7の支持軸7aが回転自在に取り付けられる。それにより、軸受6aによって操作パネル7が回動自在に支持されている。
【0003】
また、操作パネル7には、コネクタ4のオス側4bが取り付けられている。このオス側4bは、操作パネル7が閉じた状態においては、コネクタ4のメス側4aに嵌まり込む。それにより、コネクタ4のメス側4aとオス側4bとは、通電状態となる。また、図28に示すように、操作パネル7が支持軸7aを中心に回動して倒れると、その動作に伴なってコネクタ4のオス側4bがメス側4aから抜ける。
【0004】
なお、このような音響装置1に類似する、操作パネル7が倒れる構成の例としては、特許文献1および特許文献2に記載されているものがある。
【0005】
【特許文献1】特開平9−321449号公報(段落番号0036、図1、図2参照)
【特許文献2】特開平10−16654号公報(段落番号0025、図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の音響装置1においては、次のような課題がある。すなわち、図29に示すように、現状の音響装置1においては、支持軸7aとオス側4bのA部分(図29においてオス側4bの左側かつ上方側の部位)との間の縦方向(上下方向)の距離aがさほど長くなく、また横方向の距離bがさほど短くない。そのため、操作パネル7が回動する場合、A部分は、支持軸7aに対する高さ位置が一度高くなるような軌跡を描く(図中の一点鎖線で示す軌跡)。そのため、当該A部分がメス側4aの内部にぶつからないように、メス側4aの挿入口4cの寸法cを大きくして、メス側4a内部上方に空間を形成する必要がある。
【0007】
しかしながら、メス側4aの挿入口4cが広くなると、メス側4aとオス側4bとの間の位置ずれが起こり易く、そのため位置ずれによる接点不良という問題が発生し易くなる。また、挿入口4cが広くなる場合、メス側4aとオス側4bとを確実に接触させるために、板バネを用いることが多い。しかしながら、板バネを用いる構成の場合、操作パネル7には、その開閉時に常に約1kgの負荷が掛かり、抜き差しが難しくなる。また、特に板バネを用いる構成においては、オス側4bの抜き差し時に異音が発生し、ユーザに対する製品イメージが悪化する(安っぽい等)、といった問題も発生している。
【0008】
なお、かかる問題は、特許文献1に開示されている構成においても、同様に生じる。また、特許文献2に開示されている構成では、距離aが、より短くなる方向に支持軸が回動する。このため、特許文献2においても、かかる問題が顕著に生じている。
【0009】
ここで、本出願人は、特願2004−44875の出願を行い、かかる問題の解決を図るよう、努めている。この出願に開示されている発明によれば、上述の問題の解決を図ることが可能ではあるが、その解決のために用いる部品点数が多くなっている。すなわち、スライドアーム部材が前後方向にスライドし、操作パネルの片押し状態でのスライドを実現する動作と、操作パネルの傾倒を行う動作とが存在している。
【0010】
これら2つの動作の動作ロックを行うために、サブパネルにレールガイド部を設けている。加えて、スライドアーム部材、リリースレバー、プッシュレバー、ロック部材等、多数の部材を設けている。しかも、特にリリースレバー、プッシュレバー等は、サブパネルに対して、スライドアーム部材を介在させた状態で間接的に取り付けられている。また、スライドアーム部材は、ロック部材を介して、サブパネルに対して間接的にロックされる状態となっている。このため、各部品のガタ付き(遊び)が累積することにより、全体として大きなガタ付き(遊び、いわゆるガチャつき等)が生じることがあり、ユーザに対して安っぽい等の印象を与える場合がある。
【0011】
また、ガタ付きが累積して大きくなる場合、コネクタ4の嵌合も安定しなくなる。そのため、仮に上述の板バネを省く構成を採用すると、接触不良等が生じがちになる。
【0012】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、ガタ付きを低減させると共に、コネクタの嵌合を安定化させることが可能であり、かつ挿入口が狭いコネクタにおいても抜き差しが行い易く、異音等が生じないパネル開閉機構およびこのパネル開閉機構を用いた音響装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、操作パネルの回動により、本体部に対する該操作パネルの開閉を行うことが可能なパネル開閉機構において、本体部に取り付けられているコネクタの一方側と、操作パネルに取り付けられていると共に、コネクタの一方側との間で嵌合するコネクタの他方側と、操作パネルの一端側を回動自在に支持する第1の支持部材と、操作パネルの他端側をスライド自在に支持すると共に、この他端側が本体部から離間する手前側に向かうスライドをガイドする第2の支持部材と、操作パネルの閉じ状態を維持すると共に、回動により操作パネルの手前側に向かうスライドを許容可能なリリース部材と、第2の支持部材と共にスライド可能に設けられていて、操作パネルのスライド中には、該操作パネルの起立状態を維持すると共に、所定位置までスライドした場合に、操作パネルの起立状態を解除し傾倒を許容する係合部材と、を具備するものである。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、操作パネルには、該操作パネルを手前側に向けて押し出すための押し出し部材が付勢されるものである。
【0015】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、リリース部材は、本体部に対して固定的に設けられている支持軸を中心に回動自在に設けられるものである。
【0016】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、第2の支持部材には、第1の付勢手段により手前側に向かう付勢力が与えられるものである。
【0017】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、係合部材には、第1の係合部が設けられていて、操作パネルには、この第1の係合部と係合することにより該操作パネルの開放を阻止する第1の被係合部が設けられていると共に、第2の支持部材と係合部材との間には、カム手段が存在していて、このカム手段の存在により、係合部材は、手前側にスライドするにつれて、第1の係合部が第1の被係合部に対する係合状態を解除する方向に回動させられ、操作パネルの傾倒を許容するものである。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、カム手段は、リリース部材を回動自在に支持する支持軸と、係合部材に形成され該支持軸が挿通されるカム孔と、を有すると共に、係合部材は、第2の支持部材に対して、回動軸を介して回動自在に取り付けられているものである。
【0019】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、リリース部材には、第2の係合部が設けられていて、操作パネルには、この第2の係合部と係合することにより該操作パネルの開放を阻止する第2の被係合部が設けられていると共に、リリース部材には、第2の付勢手段により、第2の係合部が第2の被係合部と係合させる向きに向かう付勢力が与えられていて、押し出し部材には、第2の係合部の先端部分と干渉可能な突出部が設けられていて、該押し出し部材の押し出し動作に際して、突出部が第2の係合部に干渉し、第2の係合部と第2の被係合部との間の係合を解除させる向きにリリース部材を回動させるものである。
【0020】
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、コネクタの一方側および他方側は、第1の支持部材よりも第2の支持部材に近接して設けられているものである。
【0021】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、コネクタの一方側は、本体部の内部に設けられている回路基板に実装されているものである。
【0022】
また、他の発明は、上述のパネル開閉機構に係る各発明を、音響装置に適用したものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、操作パネルの開閉に伴ってコネクタの抜き差しが為される場合において、挿入口が狭いコネクタにおいても抜き差しが行い易くなる。また、コネクタの抜き差しに際して、異音等が生じるのを抑制することが可能となる。さらに、部材間のガタ付きを低減させることが可能となり、しかも、コネクタの嵌合を安定化させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係るパネル開閉機構およびこのパネル開閉機構を用いた音響装置について、図1から図26に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る音響装置10のうち、パネル開閉機構11に係る部分を示す分解斜視図である。また、図2は、パネル開閉ユニット50とプッシュレバー110の配置関係を示す分解斜視図である。また、図3は、パネル開閉ユニット50が組み立てられた状態を示すと共に、プッシュレバー110の配置関係を示す斜視図であり、図4は同じく正面図を示す。また、図5は、パネル開閉ユニット50の側面図である。
【0025】
なお、以下の説明においては、手前側とは、閉じ状態にある操作パネル130(図1等参照)が開く側(外部ケース20から離間する側)を指し、奥側とはこれとは逆の閉じる側を指す。また、奥行き方向とは図1の矢示Y方向を指し、上下方向(縦方向)とはマザー基板21(図21等参照)の法線方向(図1の矢示Z方向)を指し、横方向とは閉じ状態にある操作パネル130の長手方向(図1の矢示X方向)を指す。また、サブパネル30を例にとって説明すると、下側とは、サブパネル30のうち後述するディスク挿入口31からコネクタ挿通孔32に向かう側を指し、上側とは、これとは逆側を指す。
【0026】
図1に示すように、音響装置10のパネル開閉機構11は、外部ケース20と、サブパネル30と、パネル開閉ユニット50と、プッシュレバー110と、固定アーム部材120(図24参照)と、操作パネル130と、を主要な構成要素としている。これらのうち、パネル開閉ユニット50は、図2に示すように、リリース部材60と、スライドアーム70と、スライダフック80と、支持軸90と、を構成要素としている。
【0027】
外部ケース20は、本体部に対応し、この外部ケース20には、マザー基板21(図21他参照)が取り付けられている。マザー基板21には、音響装置10の制御回路(図示省略)が設けられている。制御回路は、後述する操作パネル130のボタン部からの信号を受信してディスク再生機構に駆動信号を送信したり、操作パネル130に設けられているディスプレイに対して、所定の文字/画像等を表示させるための表示信号を送信している。また、制御回路は、記録媒体の搬入/搬出を行うための駆動源の駆動を制御する制御信号を、当該駆動源に送信可能としている。
【0028】
なお、マザー基板21に設けられる制御回路が、所定の文字/画像等の表示を行わなくても良く、例えば後述するサブパネル30に制御回路を設け、かかるサブパネル30上の制御回路にて、所定の文字/画像等の表示を制御するようにしても良い。同様に、記録媒体の搬入/搬出を行わせるための制御回路を、マザー基板21とは別途の基板に設けるようにしても良い。
【0029】
図21他に示すように、マザー基板21の手前側の端部には、サブパネル30が近接して配置されている。サブパネル30は、外部ケース20の手前側の開口部分を塞ぐように、該外部ケース20に対して略垂直を為して取り付けられている。また、図1に示すように、サブパネル30は、操作パネル130と対向する前面部30aと、操作パネル130の閉じ状態において該操作パネル130の側面と対向する側面部30bと、を有している。
【0030】
図1に示すように、サブパネル30の前面部30aには、ディスク挿入口31が設けられていて、該ディスク挿入口31を介して、外部ケース20の内部に記録媒体が挿入可能となっている。なお、ディスク挿入口31は、1つであっても複数設けられていても良い。また、図1に示すように、前面部30aの所定部位には、コネクタ挿通孔32が設けられている。コネクタ挿通孔32は、サブパネル30の長手方向において、後述するパネル開閉ユニット50の方が、後述の固定アーム部材120よりも近くなるように設けられている(図24等参照)。コネクタ挿通孔32には、後述するコネクタ40のメス側40a(図21他参照)が挿通される。
【0031】
また、前面部30aにはユニット挿通孔33が設けられている。ユニット挿通孔33は、後述するパネル開閉ユニット50およびプッシュレバー110を手前側に向かって突出させるための部位である。さらに、サブパネル30の裏面側には、該サブパネル30の下面から延伸する軸受部34(図6参照)が設けられている。軸受部34は、後述するプッシュレバー110を回動自在に軸支する部位である。なお、軸受部34は、サブパネル30の下面からではなく、サブパネル30の裏面から延伸する構成としても良い。
【0032】
また、図21他に示すように、上述のマザー基板21のうち、手前側の端部には、コネクタ40のメス側40a(コネクタ40の一方側に対応)が実装されている。メス側40aは、マザー基板21よりも手前側に向かって突出していて、その先端側は上述のコネクタ挿通孔32に挿通されている。それにより、メス側40aの端面に存在する挿入口41(図22参照)は、サブパネル30よりも手前側に位置している。なお、上述したコネクタ挿通孔32と同様に、コネクタ40のメス側40aは、サブパネル30の長手方向において、後述するパネル開閉ユニット50の方が、後述の固定アーム部材120よりも近くなるように設けられている。
【0033】
また、図2〜図5等に示すように、パネル開閉ユニット50は、リリース部材60を具備している。リリース部材60は、上方ロック部61と、下方ロック部62と、内方柱脚部68と、外方柱脚部69とを具備している。これらのうち、上方ロック部61と下方ロック部62とは、上下方向に所定の高さ寸法だけ離間している。しかしながら、上方ロック部61と下方ロック部62とは、上方から見た場合に、互いに重なるように設けられている。すなわち、上方ロック部61と下方ロック部62とは、上方から見た平面形状が同一となっている。
【0034】
また、内方柱脚部68と外方柱脚部69は、上方ロック部61と下方ロック部62とを連結している。しかも、これら内方柱脚部68と外方柱脚部69とは、後述するスライドアーム70およびスライダフック80の側面に当接することにより、これらが奥側に位置するときに、時計回りに向かって回動するのを規制している。
【0035】
なお、以下の説明においては、上方ロック部61、下方ロック部62、内方柱脚部68および外方柱脚部69で囲まれた部分を、アーム空間部Pと呼ぶ(図2参照)。
【0036】
上方ロック部61および下方ロック部62は、上下方向に所定の厚みを有するロッド部63を具備しており、このロッド部63の手前側には、フック部64が設けられている。フック部64は、操作パネル130の閉じ状態を維持するための部分である。このフック部64には、奥行き方向に対して傾斜しているテーパ面64aと、該テーパ面64aよりも奥側に位置する係止面64bと、が設けられている。これらのうち、テーパ面64aは、奥行き方向に所定の角度だけ傾斜して設けられているが、上下方向には沿うように設けられている。このテーパ面64aの傾斜角度は、手前側かつ固定アーム部材120側を向くように設定されている。
【0037】
また、係止面64bは、奥行き方向に略垂直に設けられている。この係止面64bは、後述するように、操作パネル130の係合部133に入り込んで、該係合部133の当接面132aに当接する。それによって、操作パネル130の開放を阻止する。また、ロッド部63の中途部分には、該ロッド部63を上下方向に貫くように、挿通孔65が設けられている。挿通孔65には、支持軸90が挿通され、この支持軸90を支点として、リリース部材60は回動可能に設けられている。なお、ロッド部63の幅寸法が十分でないため、本実施の形態では、ロッド部63のうち挿通孔65が設けられている部分は、幅寸法が膨らむように設けられている。
【0038】
なお、本実施の形態では、フック部64は、第2の係合部に対応する。また、後述する係合部133は、第1の被係合部に対応すると共に、第2の被係合部にも対応する。
【0039】
ここで、内方柱脚部68と外方柱脚部69とは、幅方向に所定の寸法だけ離間して設けられている。この寸法は、スライドアーム70と、スライダフック80との配置に対応させている。すなわち、上方ロック部61と下方ロック部62の間のアーム空間部Pには、スライダフック80と、スライドアーム70とが配置されるが、かかる配置に際して、スライダフック80とスライドアーム70の長手方向が奥行き方向と略一致するように、内方柱脚部68と外方柱脚部69とは、所定の寸法だけ離間した状態となっている。
【0040】
なお、かかる寸法は、種々設定可能であるが、本実施の形態では、ロッド部63の長手方向を奥行き方向に略一致させた場合、内方柱脚部68と外方柱脚部69との幅方向において離間している寸法は、スライダフック80およびスライドアーム70の幅寸法よりも大きく設けられている。かかる内方柱脚部68および外方柱脚部69の配置を実現するため、本実施の形態では、ロッド部63の奥側の先端から内方側(固定アーム部材120側)に向かい内方突出部66が設けられている。これと共に、ロッド部63のうち手前側かつフック部64よりも奥側の部位から外方側に向かい外方突出部67が設けられている。また、内方柱脚部68および外方柱脚部69の存在により、スライドアーム70およびスライダフック80の回動範囲は、規制される状態となる。
【0041】
また、アーム空間部Pのうち、下方側(図2の丸囲い文字Bの部位)には、第2の支持部材に対応するスライドアーム70が配置される。スライドアーム70は、奥行き方向に沿ってスライドすることが可能となっている。そのため、スライドアーム70は、本実施の形態では、その長手がリリース部材60の長手よりも長く設けられている。また、スライドアーム70のうち、奥側から手前側寄りの所定位置までの部位には、幅広部71が設けられていて、かかる幅広部71に連続する状態で、幅広部71よりも幅寸法の小さな幅狭部72が手前側に向かって延伸している。これらのうち、幅広部71の奥側の先端部分には、フック支持部73が設けられている。フック支持部73は、幅広部71よりも上方に向かって突出して設けられている。そして、このフック支持部73の上面では、スライダフック80が載置可能に設けられている。
【0042】
このフック支持部73には、回動軸74が設けられている。回動軸74は、フック支持部73の上面から上方側に向かって突出して設けられている。この回動軸74は、後述するスライダフック80の軸孔83に挿通される。それによって、スライダフック80は、スライドアーム70に対して回動自在に設けられる。
【0043】
また、スライドアーム70の幅広部71には、長孔75が設けられている。長孔75は、スライドアーム70のスライド範囲を規定するための部分である。そのため、本実施の形態では、長孔75は、操作パネル130が閉じ状態にあるときに、長孔75の手前側の端部75aが該支持軸90に当接すると共に、操作パネル130が手前側にスライドした状態、または開放して倒れた状態にあるときに、長孔75の奥側の端部75bが支持軸90に当接する。なお、本実施の形態では、長孔75は、幅広部71のうち外側に片寄るように設けられている。
【0044】
また、幅広部71には、バネ係止部76および三角突起77が設けられている。バネ係止部76は、後述するバネ101(図14他参照)の一端側を掛け止めする部分である。そのため、バネ係止部76は、幅広部71の外側の側面からさらに外方に向かって突出していると共に、所定だけ突出した後に奥側に向かって折れ曲がっている。また、幅広部71の外側の側面のうち、バネ係止部76よりも手前側の部位には、三角突起77が設けられている。三角突起77は、上述したフック部64と類似する部分であり、テーパ面77aと、係止面77bとを具備している。
【0045】
ここで、テーパ面77aおよび係止面77bには、外方柱脚部69が当接する。そのため、テーパ面77aは、フック部64のテーパ面64aとは異なり、正面からみて内方側(固定アーム部材120側)ではなく外方側(固定アーム部材120が存在する側とは逆側)を向く状態で傾斜している。それによって、テーパ面77aが外方柱脚部69に当接すると、支持軸90を支点として、リリース部材60を図8等に示すRA方向に回動させることが可能となる。また、係止面77bは、スライドアーム70の戻り止めとして機能する。すなわち、スライドアーム70が手前側に十分スライドし、支持軸90が端部75bに当接する状態で、操作パネル130が寝かされたまま奥側に向かう外力を受けると、スライドアーム70も奥側に向かって進もうとする。しかしながら、係止面77bが外方柱脚部69に衝突し、係止される状態となることにより、スライドアーム70が奥側に向かうのが規制される。それにより、操作パネル130が寝かされた状態で奥側に戻るのが防止される。
【0046】
また、幅狭部72は、幅広部71よりもさらに手前側に向かって突出している。この幅狭部72には、支持軸78が設けられている。支持軸78は、後述する操作パネル130の支持孔136(図24等参照)に挿入される部分であり、そのため、この支持軸78は、内側に向かって突出している。
【0047】
また、アーム空間部Pのうち、スライドアーム70の上方(図2の丸囲い文字Aの部位)には、係合部材に対応するスライダフック80が配置される。このスライダフック80には、上述のスライドアーム70と同様に、幅広部81および幅狭部82が設けられている。しかしながら、上述のスライドアーム70のフック支持部73のような、上方側に向かって突出する部分は設けられていない。幅広部81のうち、奥側には、軸孔83が設けられている。この軸孔83は、上述の回動軸74を挿通させるための部分である。それにより、スライダフック80は、スライドアーム70に対し、この軸孔83を中心として回動する。
【0048】
なお、スライドアーム70とスライダフック80の間には、不図示のスペーサが設けられている。このスペーサには、例えば貫通孔が設けられていて、この貫通孔を支持軸90が挿通するように構成されている。それにより、フック支持部73とスペーサとにより、スライダフック80が支持される。しかしながら、他の部材をこれらの間に配置することで、スライドアーム70に対してスライダフック80を支持するように構成しても良い。
【0049】
また、幅広部81には、カム孔84が設けられている。このカム孔84は、上述のスライドアーム70における長孔75とは異なり、長手の中途部分から折れ曲がっている。また、カム孔84には、長孔75と同様に支持軸90が挿通される。このカム孔84は、手前側に位置する縦孔部84aと、縦孔部84aよりも奥側に位置し縦孔部84aに連続する曲折孔部84bとを有している。縦孔部84aは、スライダフック80の長手に沿うように設けられていると共に、上述の長孔75と同様に、幅広部81のうち外側(固定アーム部材120が存在する側とは逆側)に片寄るように設けられている。また、この縦孔部84aの長さ寸法は、長孔75の略半分程度となっている。また、曲折孔部84bは、縦孔部84aおよびスライダフック80の長手方向に対して、奥側に向かうにつれて徐々に内側(固定アーム部材120側)に片寄るように、所定の角度だけ傾斜して設けられている。
【0050】
なお、かかる縦孔部84aと曲折孔部84bとから構成されるカム孔84は、長手方向に沿う長さ寸法が、長孔75と略同一となっている。また、カム孔84が存在するスライダフック80、回動軸74と長孔75が存在するスライドアーム70、および支持軸90によりカム手段が構成される。
【0051】
かかるカム孔84に支持軸90が挿通された状態で、スライダフック80が手前側に向かってスライドすると、縦孔部84aに支持軸90が位置しているときは、スライダフック80の長手が奥行き方向と略一致している。しかしながら、スライダフック80がスライドして、曲折孔部84bに支持軸90が入り込み、その状態で手前側に向かうスライドが進行すると、スライダフック80は、支持軸90を支点として、図13のFB方向に回動される構成となっている。
【0052】
また、スライダフック80の幅狭部82は、上述の幅狭部72よりも幅広に設けられている。この幅狭部82の手前側には、上述したリリース部材60のフック部64と同様なフック部85が設けられている。すなわち、フック部85は、テーパ面85aと、係止面85bとを備えた構成となっている。なお、かかるフック部85の構成は、上述したフック部64と同様であるため、その詳細についての説明を省略する。また、フック部85は、第1の係合部に対応する。
【0053】
また、上述したリリース部材60、スライドアーム70およびスライダフック80は、支持軸90によって、全体的に回動自在に軸支されている。この支持軸90は、その上下の両端側において、サブパネル30または外部ケース20(図4には、サブパネル30に軸支される例を図示)に軸支される。そのため、支持軸90は、操作パネル130のスライド/傾倒とは無関係に、奥行き方向へ移動しない状態となっている。なお、かかる支持軸90の軸支を行うために、サブパネル30または外部ケース20には、支持軸90の一端側(上端側)および他端側(下端側)を入り込ませるための、軸孔(図示省略)が設けられている。
【0054】
また、支持軸90の下端側には、他の部分よりも小径の止め輪嵌合部91が設けられていて、この部分にE型止め輪92(図2参照)が嵌合される。それにより、支持軸90がサブパネル30または外部ケース20の軸孔から抜け落ちるのが防止される。
【0055】
また、支持軸90には、第2の付勢手段に対応するバネ100(図2参照)が挿通されている。このバネ100は、その一端側が外方柱脚部69に当接している(図示省略)と共に、その他端側がサブパネル30または外部ケース20等の固定的な部位に取り付けられている(図示省略)。そして、バネ100の一端側が外方柱脚部69に当接し、その部位で付勢力が与えられることにより、リリース部材60には、上方から見て反時計回り(図7における矢示RB方向)の付勢力が与えられる。また、上述したバネ係止部76にも、第1の付勢手段としてのバネ101の一端側が掛け止めされる。このバネ101は、その他端側がサブパネル30の裏面の掛け止め部35(図14等参照)に係止される。それにより、スライドアーム70には、手前側に向かう付勢力が与えられる。
【0056】
また、図1〜図3、図6等に示すように、パネル開閉ユニット50に隣接する状態で、押し出し部材に対応するプッシュレバー110が配置されている。このプッシュレバー110は、長片111と、この長片111と略平行を為す状態で対向する短片112とを有しており、また、これら長片111と短片112とを連結する連結部113を具備している。それにより、プッシュレバー110は、その外観が数字の「7」に類似する形状に設けられている。なお、連結部113は、長片111と短片112のそれぞれ一端側(上端側)で、これらを連結している。
【0057】
図6等に示すように、長片111の他端側(下端側)には、レバー軸114が設けられている。レバー軸114は、サブパネル30の軸受部34に回動自在に取り付けられる部分である。このレバー軸114が軸受部34に取り付けられることにより、プッシュレバー110は、サブパネル30に対して回動自在に軸支される。なお、レバー軸114は、プッシュレバー110のうち下方側でサブパネル30に軸支される。
【0058】
また、プッシュレバー110には、突出部115が設けられている。突出部115は、本実施の形態では、長片111の一端側(上端側)であって、連結部113に差し掛かる状態で設けられている。軸受部34にプッシュレバー110が軸支されている場合、突出部115は、パネル開閉ユニット50に向かって突出している。そして、このプッシュレバー110が回動すると、突出部115は、上方ロック部61のフック部64に当接する。すなわち、突出部115は、プッシュレバー110の回動に際して、フック部64に衝突可能な位置に設けられている。
【0059】
なお、突出部115のうち、手前側の部位には、手前側およびパネル開閉ユニット50を向く状態で奥行き方向に対して傾斜しているテーパ面115aが設けられている。それにより、操作パネル130の開放に際して、突出部115がフック部64に衝突しても、このフック部64を外方側に向けて滑らかに押しのける状態で、リリース部材60を回動させることが可能となる。
【0060】
また、プッシュレバー110は、不図示のバネ部材による付勢力を受けている。この付勢力により、短片112は、操作パネル130に対して、該操作パネル130を押し込む(倒す)向きに向かう付勢力を与えている。
【0061】
図24〜図26に示すように、サブパネル30の他方の端部側(図24等において右側)には、第1の支持部材に対応する固定アーム部材120が設けられている。固定アーム部材120のうち、上述の支持軸78(操作パネル130)と対向する側面には、上述と同様な支持軸121が設けられている。すなわち、操作パネル130は、これら2つの支持軸78,121によって回動自在に支持される。
【0062】
操作パネル130は、そのパネル面130aに、各種操作ボタンおよびディスプレイ(共に図示省略)を有している。また、図1、図7〜図13等に示すように、操作パネル130には、窪み部131が設けられている。窪み部131は、操作パネル130の裏面から手前側に向かうように窪んでいる。しかも、この窪み部131のうち、図7等において、操作パネル130の右側から左側に向かうように、フック係止部132が設けられている。
【0063】
ここで、窪み部131の壁面131aとフック係止部132とで囲まれた部分(以下、この部分を係合部133とする。)には、操作パネル130の閉じ状態の際に、フック部64が入り込むことを可能としている。このとき、リリース部材60には、バネ100により反時計回り(図7におけるRBの向き)の付勢力が与えられ、かつ操作パネル130には、スライダフック80を介して、バネ101により手前側(図15におけるBAの向き)に向かう付勢力が与えられる。そのため、操作パネル130の閉じ状態においては、フック部64の係止面64bがフック係止部132の当接面132aに対して、付勢力が与えられた状態で当接し、ガタ付きが抑えられる状態となる。
【0064】
なお、本実施の形態では、係合部133は、上下方向に長く設けられていて、スライダフック80のフック部85も、上述のフック部64と同様に、この係合部133に入り込むことを可能としている。また、操作パネル130のうち、スライドアーム70に対応する部位には、係合部133が設けられていないものの、それよりも下方の、下方ロック部62に対応する部位にも、係合部133が設けられている。かかる下方側の係合部133に下方ロック部62のフック部64を入り込ませることにより、スライドアーム70がバネ101の付勢力によって手前側にスライドし、操作パネル130の下方のみが手前側にスライドして傾くのを防ぐことが可能となる。ここで、上方側の係合部133を長くせずに、フック部85を入り込ませるだけの上下方向に短い孔形状を操作パネル130の裏面に形成し、そこからフック部85を差し込むように構成しても良い。
【0065】
また、操作パネル130の表面には、各種操作ボタンが存在しているが、その中の1つには、図1、図7等に示すリリーススイッチ134がある。リリーススイッチ134は、操作パネル130のうち、フック部64を押し込むことが可能な部位に設けられている。リリーススイッチ134は、奥側に向かうピン部分134aを具備している。このピン部分134aの先端は、フック部64のテーパ面64aを押し込むことが可能となっている。ピン部分134aがテーパ面64aを押し込むと、リリース部材60の時計回り(図8のRA回り)に向かう回動が、バネ100の付勢力に抗しながら実現され、フック部64による、操作パネル130の閉じ状態の維持が解除される。それにより、バネ101の付勢力を受けて、スライドアーム70が手前側に向かって突出し、操作パネル130の開き動作を実行することができる。
【0066】
また、図21〜図23に示すように、操作パネル130は、その内部に回路基板135を有していて、当該回路基板135には光源等が実装されると共に、各種操作ボタンに対応したスイッチ(図示省略)が実装されている。また、回路基板135には、該光源を発光させるための光源用回路、および各種操作ボタンに対応した操作信号を制御回路に送信するためのボタン用回路が設けられている。また、図24〜図26に示すように、操作パネル130のうち、長手方向の一端及び他端に存在する両側面の下方側には、各1つずつの支持孔136が設けられている。各支持孔136は、上述の支持軸78,121が夫々嵌まり込んで、操作パネル130を回動自在に軸支する部分である。
【0067】
また、図21〜図26に示すように、操作パネル130の裏面側には、コネクタ40のオス側40b(コネクタ40の他方側に対応)が取り付けられていて、このオス側40bは回路基板135に実装されている。コネクタ40のオス側40bは、上述したコネクタ40のメス側40aへの嵌まり込みに対応した部位に設けられている。すなわち、コネクタ40のオス側40bは、操作パネル130の長手方向において、固定アーム部材120との距離よりもスライドアーム70との距離の方が小さい位置に設けられている。
【0068】
なお、操作パネル130は、例えば1DIN、2DINのサイズ等、横長のサイズとなっていて、該横長の長手の両端側に、それぞれスライドアーム70および固定アーム部材120が配置される構成となっている。すなわち、操作パネル130の正面形状は、略長方形状(一側辺の方向が他側辺の方向よりも長い矩形状)となっていて、この長方形状の長手方向の両端側に、スライドアーム70および固定アーム部材120が夫々取り付けられている。
【0069】
以上のような構成を有するパネル開閉機構11、およびこのパネル開閉機構11を用いた音響装置10の動作について、以下に説明する。
【0070】
図7等に示すような、操作パネル130の閉じ状態において、ユーザがリリーススイッチ134を押下すると、操作パネル130の開き動作が開始される。この場合、ピン部分134aがテーパ面64aに当接し、さらにピン部分134aテーパ面64aを押し込む。すると、リリース部材60は、図8に示すように、バネ100の付勢力に抗しながら支持軸90を中心として時計回り(RA回り)に向かって回動させられる。かかる回動が為されると、係止面64bがフック係止部132と対向しなくなり、両者の係合状態が解除される。
【0071】
ここで、スライドアーム70は、バネ101により手前側に向かう付勢力を受けている。このため、上述の係合状態が解除されると、バネ101のバネ力により、スライドアーム70は、手前側(図15のBAの向き)に向かって押し出される。また、スライダフック80は、回動軸74を介してスライドアーム70に取り付けられており、さらに操作パネル130は、支持軸78を介してスライドアーム70に回動自在に取り付けられている。このため、スライドアーム70のスライドに伴なって、スライダフック80および操作パネル130も手前側に向かってスライドする(図12、図15参照)。
【0072】
なお、操作パネル130等が手前側に向かってスライドするにつれて、プッシュレバー110も不図示のバネ部材による付勢力を受けて図9、図19等におけるLAの向きに回動する。この場合、図9に示すように、フック部64の先端部分がテーパ面115aに当接することにより、リリース部材60は、時計回りに回動可能となっている。
【0073】
ここで、スライダフック80が手前側に向かってスライドする場合、縦孔部84aに支持軸90が入り込んでいる状態では、フック部85は係合部133に入り込んだままとなっている。このときのスライド動作を上方から見ると、図11に示す状態から図12に示す状態となり、側方から見ると、図18に示す状態から図19に示す状態となる。この状態では、操作パネル130が手前側に押されると共に、固定アーム部材120は飛び出さないため、操作パネル130は片押しされて、図25に示すようにXの向きに回転して、前面部30aに対して斜めに傾いた状態となる。このとき、コネクタ40のオス側40bは、コネクタ40のメス側40aから抜き取られる。また、操作パネル130は、パネル面130aが手前側に平行に押されるのみで、手前側に倒れていない。
【0074】
ここで、図10、図13および図16に示すように、スライドアーム70およびスライダフック80が手前側に向かってさらにスライドすると、支持軸90は曲折孔部84bに入り込む。そして、支持軸90は、曲折孔部84bの奥側に向かって進行する。ここで、スライドアーム70は、バネ101により手前側(図15に示すBAの向き)に向かって付勢されており、支持軸90を中心として反時計回りの付勢力を受けているため、時計回りに向かって回動し難くなっている。しかも支持軸90は、サブパネル30に固定的に設けられている。そのため、回動軸74と支持軸90の幅方向(操作パネル130の長手方向)の寸法は、ほとんど変化しない。それにより、スライダフック80は、曲折孔部84bを奥側に進むにつれて、時計回り(図13に示すFBの向き)に回動させられ、フック部85が外側に向かって移動し、係合部133から徐々に離れる。
【0075】
そして、フック部85と係合部133との間の係止状態が解かれると、不図示のバネ部材により、プッシュレバー110は図19および図20において反時計回り(LAの向き)に回動させられ、操作パネル130をPCの向きに押す。その結果、該操作パネル130は、そのパネル面130aが隠れる状態で寝かされる(倒される)。以上のようにして、操作パネル130が記録媒体の挿入の邪魔とならない部位に位置し、ディスク挿入口31(図1参照)が出現する。そして、ユーザは、このディスク挿入口31から記録媒体を挿入したり、排出後の記録媒体を抜き取ったりすることが可能となる。
【0076】
なお、操作パネル130が倒れている状態においては、三角突起77の係止面77bと外方柱脚部69とが係合している(図17参照)。そのため、操作パネル130が倒れている状態のままで、操作パネル130が奥側に向かって移動しないように構成されている。
【0077】
また、ユーザが操作パネル130の閉じ動作を行う場合、ユーザは図17、図20、図23および図26に示される状態にある操作パネル130を手で把持して、該操作パネル130を指で持ち上げる。それにより、操作パネル130はPCの向きとは逆の向きに回動する。ここで、操作パネル130の閉じ動作を行うと、プッシュレバー110が操作パネル130によって押されて、図20において反時計回りに回動させられる。かかる回動が進行すると、突出部115の隅角部Q(図10参照)がフック部64のテーパ面64aに当接する。
【0078】
この状態で、さらに操作パネル130を持ち上げると、リリース部材60は、バネ100の付勢力に抗しつつ、時計回り(RA回り)に回動させられる。それにより、三角突起77の係止面77bと外方柱脚部69とが係止している状態が解除され、スライドアーム70、操作パネル130等の奥側に向かう移動が可能となる。
【0079】
さらに、ユーザが操作パネル130を図19および図20において時計回りに回動させると、フック係止部132の先端部分がテーパ面64aに当接する。さらに、操作パネル130を奥側に向かって押し込むと、フック係止部132の先端部分がテーパ面64aを押し込んで、リリース部材60を時計回り(RA回り)に回動させ、フック部64が係合部133に入り込む(図7等参照)。それにより、操作パネル130の手前側に向かうスライドがロックされ、操作パネル130の閉じ状態を維持可能となる。
【0080】
ここで、図24に示すように、操作パネル130が傾斜する前の閉じ状態においては、コネクタ40のオス側40bのうち、最も奥側かつ左側の側面部30bに近接している部分(オス側40bのB部分)と支持軸121との間には、サブパネル30(閉じ状態にある操作パネル130)の長手方向に沿って、距離pが存在している。また、コネクタ40のオス側40bのB部分と支持軸121の間には、サブパネル30の法線方向に沿って、距離qが存在している。この距離p,qと、上述した従来例における、距離a,b(図29参照)との関係について述べる。
【0081】
従来における距離aは、操作パネル130の短手方向における距離aであると共に、本実施の形態における距離pは、閉じ状態にある操作パネル130の長手方向における距離pである。また、図24〜図26に示されるように、コネクタ40は、固定アーム部材120よりもスライドアーム70に近接して設けられている。このため、例えばカーオーディオのような音響装置10において、特に横方向に比較して縦方向(上下方向)の寸法の小さな1DIN等のサイズの場合には、距離pの方が、距離aよりも圧倒的に大きな値となる。また、2DINのサイズにおいても、距離pが距離aよりも大きいことは明らかである。
【0082】
また、距離bと距離qについては、共に、サブパネル30(操作パネル130)の法線方向のうち、支持軸121の中心部分からコネクタ40のオス側40bの奥側までの距離であり、両者の値は等しくなっている。そのため、B部分(図24参照)が描く軌跡は、従来におけるA部分(図29参照)が描く軌跡よりも、円弧の半径が大きい。すなわち、B部分は緩やかなカーブの、曲率の小さな円弧を描きつつ回動する。
【0083】
このような構成のパネル開閉機構11、およびこのパネル開閉機構11を用いた音響装置10によれば、スライドアーム70等のスライドにより、コネクタ40のメス側40aとオス側40bとの間の嵌合が外れる。すなわち、図24に示すように、B部分と支持軸121との間に距離pが存在し、この距離pは、従来の距離aよりも大きくなる。特に、コネクタ40は、固定アーム部材120よりも、パネル開閉ユニット50等に近接して設けられていることにより、距離pは距離aよりも大きくなる。このため、距離Bの回動により描く軌跡は、曲率の小さな緩やかなものとなる。それにより、B部分が、支持軸121から離間する方向に向かう移動距離を低減でき、当該B部分はコネクタ40のメス側40aの内壁面と干渉するのを抑えることができる。
【0084】
そのため、メス側40aの挿入口41の寸法を大きくする必要がなくなり、当該挿入口41の広い特殊なコネクタを用いずに済む。それにより、汎用の安価なコネクタ40を用いることが可能となり、コストの削減を図ることが可能となる。
【0085】
また、挿入口41の広いコネクタ40を用いる必要がなくなるため、挿入口41の広いコネクタ40を用いていた場合に生じる、オス側40bの位置ずれが生じなくなる。それにより、位置ずれによる接点不良、といった問題も生じなくなる。さらに、挿入口41の広いコネクタ40を用いずに済みため、挿入口41の広いコネクタ40を用いる場合に必要となる、板バネを用いずに済む。それにより、操作パネル130の開閉時に負荷されていた、例えば1kg前後といった荷重が、操作パネル130に付与されずに済み、コネクタ40の抜き差しがし易くなる。また、コネクタ40の挿入口41を狭くすることが可能となるため、コネクタ40の小型化を図ることが可能となる。
【0086】
また、荷重の負荷が大幅に軽減されるので、オス側40bの抜き差し時に異音が生じなくなり、ユーザに対する製品イメージを向上させることが可能となる。すなわち、製品に対して高級感を持たせることが可能となる。
【0087】
また、本実施の形態によれば、サブパネル30にレールガイド部等を設ける必要がなくなり、しかも操作パネル130の戻り等を規制するためのロック部材も不要となる。そのため、操作パネル130の片押し状態でのスライドと、操作パネル130の傾倒との2つの動作を行う場合の、部品点数を少なくすることが可能となる。
【0088】
さらに、本実施の形態のリリース部材60は、支持軸90により直接的にサブパネル30等の固定部位に取り付けられている。このため、リリース部材60が、他のアーム部材等を介して間接的に取り付けられる構成と比較して、該リリース部材60のガタ付き(遊び)を低減することが可能となる。すなわち、間接的に取り付けられる構成と比較して、各部品のガタ付き(遊び、ガチャ付き)が累積されるのを防止することが可能となる。それにより、操作パネル130の閉じ状態におけるガタ付きを低減することができ、音響装置10の品質を向上させることが可能となる。
【0089】
また、本実施の形態では、操作パネル130と共にスライドする部品を、スライドアーム70とスライダフック80の2点に抑えている。それにより、操作パネル130のスライドに際して、多数の部品のスライドが伴なう構成と比較して、スライド動作が軽くなる。これと共に、各部品の遊びにより、スライドに際してそれぞれが衝突する(ガチャ付く)等によって引き起こされる不快な異音が生じるのを、極力抑えることが可能となる。
【0090】
また、本実施の形態では、プッシュレバー110も、サブパネル30に直接軸支されている。このため、サブパネル30に対して間接的にプッシュレバー110が取り付けられる構成と比較して、該プッシュレバー110に生じるガタ付き(遊び)を低減することが可能となる。また、ガタ付き(遊び)を低減させることにより、コネクタ40の嵌合も安定させることが可能となる。それにより、コネクタ40において、接触不良が生じるのを低減させることが可能となる。
【0091】
また、コネクタ40のメス側40aが、マザー基板21に実装されている。そのため、従来のように、メス側40aの実装のためのドータ基板が不要となる。それにより、部品点数およびコストを削減することが可能となる。
【0092】
また、スライドアーム70には、バネ101により手前側に向かう付勢力が与えられている。このため、ユーザがリリーススイッチ134を押下して、操作パネル130の閉じ状態が解除されると、操作パネル130を自動的にスライドさせることが可能となる。さらに、プッシュレバー110を設けているため、操作パネル130が十分にスライドした後に、該プッシュレバー110および不図示のバネ部材によって操作パネル130が倒される。すなわち、ユーザの手による操作によらずとも、自動的に操作パネル130を倒すことが可能となる。なお、スライドアーム70、バネ101、プッシュレバー110および不図示のバネ部材により、操作パネル130の閉じ状態が解除されると、最初は操作パネル130の片押しでのスライド動作のみが為され、少し時間をおいて(時間差を有する状態で)操作パネル130を倒す動作が実現される。そのため、操作パネル130の動きに、高級感を奏させることが可能となる。
【0093】
また、スライダフック80には、フック部85が設けられていて、このフック部85は、操作パネル130の係合部133に入り込む。それにより、操作パネル130がスライドする場合でも、フック部85が操作パネル130が倒れるのを防ぐため、操作パネル130の良好なスライド動作を実現することができる。
【0094】
また、リリース部材60には、バネ100により反時計回り(図7におけるRBの向き)の付勢力が与えられ、かつ操作パネル130には、スライダフック80を介して、バネ101により手前側(図15におけるBAの向き)に向かう付勢力が与えられている。そのため、操作パネル130の閉じ状態においては、フック部64の係止面64bがフック係止部132の当接面132aに対して、付勢力が与えられた状態で当接する。それによって、両者の間のガタ付きが抑えられ、操作パネル130の閉じ状態におけるガタ付き(ガチャ付き等)が生じるのを抑えることが可能となる。
【0095】
また、スライドアーム70とスライダフック80、支持軸90によりカム手段が構成されている。そのため、両者が共に手前側に向かってスライドすると、スライダフック80を回動させることができ、フック部85の係合部133に対する係止状態を解除することができる。それにより、スライドアーム70、スライダフック80および操作パネル130が十分にスライドした後に、操作パネル130を良好に倒すことが可能となる。
【0096】
さらに、本実施の形態では、フック部64が係合部133に入り込むことを可能としている。それにより、操作パネル130の閉じ状態を良好に維持可能となる。加えて、本実施の形態では、突出部115がフック部64と干渉可能に設けられている。それにより、操作パネル130を手で把持して閉じ方向に回動させれば、フック部64に突出部115を衝突させ、該フック部64を図10のRA回りに回動させることが可能となる。そのため、外方柱脚部69と係止面77bとが係合している状態を解除することが可能となり、操作パネル130が倒れたまま奥側にスライドするのを規制する状態を解除して、操作パネル130を閉じる動作を行うことが可能となる。
【0097】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0098】
上述の実施の形態では、リリース部材60側に凸状のフック部64を設けると共に、操作パネル130側に凹状の係合部133を設けている。しかしながら、これらの間の凹凸関係を逆にしても良い。すなわち、リリース部材60側に凹状の係合部を設け、操作パネル130側に凸状のフック部を設けるようにしても良い。同様に、スライダフック80のフック部85と係合部133との間の凹凸関係を逆にしても良く、スライダフック80側に凹状の係合部を設け、操作パネル130側に凸状のフック部を設けるようにしても良い。
【0099】
また、上述の実施の形態では、プッシュレバー110およびバネ部材を具備し、このプッシュレバー110とバネ部材により操作パネル130が倒れる動作を実現している。しかしながら、例えばフック部85に、操作パネル130を押圧するバネ部材を設ける等すれば、操作パネル130が倒れる動作を実現可能となるため、かかるプッシュレバー110およびバネ部材を省略する構成を採用しても良い。また、ユーザ自身の操作により操作パネル130を倒す構成を採用する等すれば、フック部85にバネ部材を設ける構成を省略することも可能となり、このような構成を採用しても良い。さらに、例えば、サブパネル30の前面部30aにバネ機構を設け、かかるバネ機構によって操作パネル130に対して倒す方向に付勢力を与えても良い。
【0100】
また、上述の実施の形態では、バネ101の付勢力により、操作パネル130が手前側に向かうスライドを実現しているが、かかるバネ101を省略する代わりに、別途、モータ等の駆動手段を設け、操作パネル130をモータ等の駆動手段で生じる駆動力でスライドさせるようにしても良い。
【0101】
また、上述の実施の形態では、コネクタ40のメス側40aをマザー基板21に実装すると共に、コネクタ40のオス側40bを操作パネル130の回路基板135に実装している。しかしながら、コネクタ40のメス側40aとオス側40bとの関係を逆にしても良い。すなわち、コネクタ40のオス側40bをコネクタ40の一方側、コネクタ40のメス側40aをコネクタ40の他方側としても良い。
【0102】
また、上述の実施の形態では、本体部として外部ケース20を用いると共に、操作パネル130を用いた場合について説明している。しかしながら、本体部としては、例えば外部ケース20に対して移動するシャーシ部分等を用いても良い。また、操作パネル130に代えて、該操作パネル130以外のパネル部材、蓋部材等を用いるようにしても良い。また、緩衝部材を操作パネル130に取り付けて、該操作パネル130の増速を防ぐようにしても良い。
【0103】
また、上述の実施の形態では、第1の支持部材として固定アーム部材120、第2の支持部材としてスライドアーム70を用いた場合について説明している。しかしながら、第1の支持部材としては、上述のスライドアーム70と同様な、スライド可能なアーム部材としても良い。また、第2の支持部材としては、スライドするアーム部材以外の構成として、伸縮可能なアーム部材としても良い。
【0104】
また、上述の実施の形態では、支持軸90を中心に回動するリリース部材60を用いた場合について説明している。しかしながら、リリース部材60以外のリリース部材を用いるようにしても良い。例えば図1の矢示X方向(幅方向)にスライド可能なリリース部材を設け、そのリリース部材の幅方向の動作により、操作パネル130の開閉を切り替えるようにしても良い。また、例えば、リリース部材60の下方にピニオンギヤを取り付けると共に、それと対向するサブパネル30または外部ケース20の底面にラックギヤを取り付け、所定位置までスライドアーム70が飛び出した場合にラックギヤとピニオンギヤが噛み合い、リリース部材60が回動される構成を採用しても良い。
【0105】
また、上述の実施の形態では、パネル開閉機構11が、音響装置10に適用された場合について説明している。しかしながら、パネル開閉機構11が用いられる装置は、音響装置10には限られない。音響装置10以外の装置としては、例えば、映像または映像および音楽等の再生を行う、ビデオ再生装置、DVD再生装置、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、電話/ファックス等の通信機器等があり、各種の電気機器に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の音響装置およびパネル開閉機構は、自動車用の音響装置関連の分野において利用することができる。また、パネル開閉機構は、各種電気機器の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の一実施の形態に係る音響装置のうち、パネル開閉機構に係る部分を示す分解斜視図である。
【図2】図1の音響装置において、パネル開閉ユニットとプッシュレバーの配置関係を示す分解斜視図である。
【図3】図1の音響装置において、パネル開閉ユニットが組み立てられた状態を示すと共に、プッシュレバーの配置関係を示す斜視図である。
【図4】図1の音響装置において、パネル開閉ユニットが組み立てられた状態を示すと共に、プッシュレバーの配置関係を示す正面図である。
【図5】図1の音響装置において、パネル開閉ユニットを示す側面図である。
【図6】図1の音響装置において、プッシュレバーの形状を示すと共に、軸受部を示す斜視図である。
【図7】図1の音響装置において、リリース部材と操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルの閉じ状態を示す図である。
【図8】図1の音響装置において、リリース部材と操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、リリーススイッチが押下された状態を示す図である。
【図9】図1の音響装置において、リリース部材と操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルが所定だけ片押しされた状態を示す図である。
【図10】図1の音響装置において、リリース部材と操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルの押し戻しの際にフック部と突出部とが係合する状態を示す図である。
【図11】図1の音響装置において、スライダフックと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルの閉じ状態を示す図である。
【図12】図1の音響装置において、スライダフックと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルが所定だけ片押しされた状態を示す図である。
【図13】図1の音響装置において、スライダフックと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、曲折孔部に支持軸が入り込んで、フック部と係合部との係合状態が解除された状態を示す図である。
【図14】図1の音響装置において、スライドアームと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルの閉じ状態を示す図である。
【図15】図1の音響装置において、スライドアームと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルが所定だけ片押しされた状態を示す図である。
【図16】図1の音響装置において、スライドアームと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、スライドアームが十分にスライドされて、外方柱脚部に係止面が係止している状態を示す図である。
【図17】図1の音響装置において、スライドアームと操作パネルとの位置関係を示す平面断面図であり、操作パネルが倒れた状態を示す図である。
【図18】図1の音響装置において、操作パネルが閉じている状態を示す部分的な側面図である。
【図19】図1の音響装置において、操作パネルの他端側が手前側に片押しされた状態を示す部分的な側面図である。
【図20】図1の音響装置において、パネル面を隠すように操作パネルが倒れた状態を示す部分的な側面図である。
【図21】図1の音響装置において、操作パネルが閉じている状態を示す側断面図である。
【図22】図1の音響装置において、操作パネルの他端側が手前側に押し出され、操作パネルが回動した状態を示す側断面図である。
【図23】図1の音響装置において、パネル面を隠すように操作パネルが倒れた状態を示す側断面図である。
【図24】図1の音響装置において、操作パネルが閉じている状態を示す平面図であり、所定高さで切断した断面図である。
【図25】図1の音響装置において、操作パネルの他端側が手前側に押し出されて回動した状態を示す平面図であり、所定高さで切断した断面図である。
【図26】図1の音響装置において、パネル面を隠すように操作パネルが倒れた状態を示す平面図であり、所定高さで切断した断面図である。
【図27】従来の音響装置のパネル開閉機構の構成を示す側断面図であり、操作パネルが閉じている状態を示す図である。
【図28】図27の音響装置において、操作パネルが回動している状態を示す側断面図である。
【図29】図27の音響装置において、コネクタのオス側のA部分と操作パネルの支持軸との間の距離の関係を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0108】
10…音響装置
11…パネル開閉機構
20…外部ケース(本体部に対応)
21…マザー基板
30…サブパネル
33…ユニット挿通孔
40…コネクタ
40a…メス側(一方側に対応)
40b…オス側(他方側に対応)
50…パネル開閉ユニット
60…リリース部材
64…フック部(第2の係合部に対応)
70…スライドアーム(第2の支持部材に対応;カム手段の一部に対応)
73…フック支持部
74…回動軸
75…長孔
80…スライダフック(係合部材に対応;カム手段の一部に対応)
84…カム孔
85…フック部(第1の係合部に対応)
90…支持軸(カム手段の一部に対応)
100…バネ(第2の付勢手段に対応)
101…バネ(第1の付勢手段に対応)
110…プッシュレバー(押し出し部材に対応)
120…固定アーム部材(第1の支持部材に対応)
130…操作パネル
131…窪み部
132…フック係止部
133…係合部(第1の被係合部および第2の被係合部に対応)
134…リリーススイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネルの回動により、本体部に対する該操作パネルの開閉を行うことが可能なパネル開閉機構において、
上記本体部に取り付けられているコネクタの一方側と、
上記操作パネルに取り付けられていると共に、上記コネクタの一方側との間で嵌合する上記コネクタの他方側と、
上記操作パネルの一端側を回動自在に支持する第1の支持部材と、
上記操作パネルの他端側をスライド自在に支持すると共に、この他端側が上記本体部から離間する手前側に向かうスライドをガイドする第2の支持部材と、
上記操作パネルの閉じ状態を維持すると共に、回動により上記操作パネルの手前側に向かうスライドを許容可能なリリース部材と、
上記第2の支持部材と共にスライド可能に設けられていて、上記操作パネルのスライド中には、該操作パネルの起立状態を維持すると共に、所定位置までスライドした場合に、上記操作パネルの起立状態を解除し傾倒を許容する係合部材と、
を具備することを特徴とするパネル開閉機構。
【請求項2】
前記操作パネルには、該操作パネルを手前側に向けて押し出すための押し出し部材が付勢されていることを特徴とする請求項1記載のパネル開閉機構。
【請求項3】
前記リリース部材は、前記本体部に対して固定的に設けられている支持軸を中心に回動自在に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のパネル開閉機構。
【請求項4】
前記第2の支持部材には、第1の付勢手段により手前側に向かう付勢力が与えられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項5】
前記係合部材には、第1の係合部が設けられていて、前記操作パネルには、この第1の係合部と係合することにより該操作パネルの開放を阻止する第1の被係合部が設けられていると共に、
前記第2の支持部材と前記係合部材との間には、カム手段が存在していて、このカム手段の存在により、前記係合部材は、手前側にスライドするにつれて、上記第1の係合部が上記第1の被係合部に対する係合状態を解除する方向に回動させられ、前記操作パネルの傾倒を許容することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項6】
前記カム手段は、前記リリース部材を回動自在に支持する支持軸と、前記係合部材に形成され該支持軸が挿通されるカム孔と、を有すると共に、
前記係合部材は、前記第2の支持部材に対して、回動軸を介して回動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項5記載のパネル開閉機構。
【請求項7】
前記リリース部材には、第2の係合部が設けられていて、前記操作パネルには、この第2の係合部と係合することにより該操作パネルの開放を阻止する第2の被係合部が設けられていると共に、
前記リリース部材には、第2の付勢手段により、上記第2の係合部が上記第2の被係合部と係合させる向きに向かう付勢力が与えられていて、
前記押し出し部材には、上記第2の係合部の先端部分と干渉可能な突出部が設けられていて、該押し出し部材の押し出し動作に際して、上記突出部が上記第2の係合部に干渉し、上記第2の係合部と上記第2の被係合部との間の係合を解除させる向きに前記リリース部材を回動させる、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項8】
前記コネクタの一方側および他方側は、前記第1の支持部材よりも前記第2の支持部材に近接して設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項9】
前記コネクタの一方側は、前記本体部の内部に設けられている回路基板に実装されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のパネル開閉機構を備えることを特徴とするパネル開閉機構を用いた音響装置。
【請求項1】
操作パネルの回動により、本体部に対する該操作パネルの開閉を行うことが可能なパネル開閉機構において、
上記本体部に取り付けられているコネクタの一方側と、
上記操作パネルに取り付けられていると共に、上記コネクタの一方側との間で嵌合する上記コネクタの他方側と、
上記操作パネルの一端側を回動自在に支持する第1の支持部材と、
上記操作パネルの他端側をスライド自在に支持すると共に、この他端側が上記本体部から離間する手前側に向かうスライドをガイドする第2の支持部材と、
上記操作パネルの閉じ状態を維持すると共に、回動により上記操作パネルの手前側に向かうスライドを許容可能なリリース部材と、
上記第2の支持部材と共にスライド可能に設けられていて、上記操作パネルのスライド中には、該操作パネルの起立状態を維持すると共に、所定位置までスライドした場合に、上記操作パネルの起立状態を解除し傾倒を許容する係合部材と、
を具備することを特徴とするパネル開閉機構。
【請求項2】
前記操作パネルには、該操作パネルを手前側に向けて押し出すための押し出し部材が付勢されていることを特徴とする請求項1記載のパネル開閉機構。
【請求項3】
前記リリース部材は、前記本体部に対して固定的に設けられている支持軸を中心に回動自在に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のパネル開閉機構。
【請求項4】
前記第2の支持部材には、第1の付勢手段により手前側に向かう付勢力が与えられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項5】
前記係合部材には、第1の係合部が設けられていて、前記操作パネルには、この第1の係合部と係合することにより該操作パネルの開放を阻止する第1の被係合部が設けられていると共に、
前記第2の支持部材と前記係合部材との間には、カム手段が存在していて、このカム手段の存在により、前記係合部材は、手前側にスライドするにつれて、上記第1の係合部が上記第1の被係合部に対する係合状態を解除する方向に回動させられ、前記操作パネルの傾倒を許容することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項6】
前記カム手段は、前記リリース部材を回動自在に支持する支持軸と、前記係合部材に形成され該支持軸が挿通されるカム孔と、を有すると共に、
前記係合部材は、前記第2の支持部材に対して、回動軸を介して回動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項5記載のパネル開閉機構。
【請求項7】
前記リリース部材には、第2の係合部が設けられていて、前記操作パネルには、この第2の係合部と係合することにより該操作パネルの開放を阻止する第2の被係合部が設けられていると共に、
前記リリース部材には、第2の付勢手段により、上記第2の係合部が上記第2の被係合部と係合させる向きに向かう付勢力が与えられていて、
前記押し出し部材には、上記第2の係合部の先端部分と干渉可能な突出部が設けられていて、該押し出し部材の押し出し動作に際して、上記突出部が上記第2の係合部に干渉し、上記第2の係合部と上記第2の被係合部との間の係合を解除させる向きに前記リリース部材を回動させる、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項8】
前記コネクタの一方側および他方側は、前記第1の支持部材よりも前記第2の支持部材に近接して設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項9】
前記コネクタの一方側は、前記本体部の内部に設けられている回路基板に実装されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のパネル開閉機構。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のパネル開閉機構を備えることを特徴とするパネル開閉機構を用いた音響装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2006−294647(P2006−294647A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109028(P2005−109028)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
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