説明

パルスディテクタ

【課題】プラズマを発生させるようなQ値の高い負荷が接続され、パルス幅変調において高周波信号が出力される場合、信号レベルの減衰が遅くとも、サンプルホールド信号を発生させ、高周波信号の信号レベルをホールドするパルスディテクタを提供する。
【解決手段】本発明は、高周波信号の電圧の包絡波形の電圧レベル信号を出力する電圧レベル検出部と、電流の包絡波形の電流レベル信号を出力する電流レベル検出部と、電圧と電流の位相差を求める位相差検出部と、包絡波形が一端途切れ、その後出力される包絡波形の立上りを、包絡波形の信号レベルと設定された閾値とを比較して検出し、立上り信号を出力する入力検出部と、立上り信号の入力後にサンプルホールド信号を出力する制御部と、電圧レベル信号、電流レベル信号及び位相差信号の信号レベルをホールドするサンプルホールド回路を有し、閾値は、直前の包絡波形の信号レベルの設定された割合の数値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波電源と負荷との間に設けられるインピーダンス整合器がインピーダンスを制御するために必要な信号として、インピーダンス整合器の入力側における高周波電源から供給される高周波信号の電圧値と、電流値と、電圧値及び電流値の位相差を示す検出信号を検出して出力するパルスディテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)やLCD(Liquid Crystal Display)などの半導体製品を製造する際、プラズマを用いたエッチング、スパッタリング及びPCVD(Plasma Chemical Vapor Deposition)等のプロセスを用いている。
このとき、上記プロセスを安定的に行うため、高周波電源から製造装置のチャンバに対し、プラズマ発生の電力を効率的に供給することが必要である。
したがって、高周波電源の出力インピーダンスとチャンバの負荷の入力インピーダンスとの間においてインピーダンスの整合をとる必要がある。
このため、RF発生器(高周波電源)と上記チャンバの負荷との間にインピーダンス整合器が介挿され、RF発生器とチャンバの負荷との間のインピーダンス整合が取られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記インピーダンス整合器は、例えば、可変コンデンサ及びインダクタを内部に有し、この可変コンデンサの容量値を制御することにより、RF発生器の出力インピーダンスと負荷の入力インピーダンスとの整合処理を行っている。
パルスディテクタは、チャンバの負荷にRF発生器からインピーダンス整合器の入力端子に供給される高周波信号の電圧値、電流値とともに、電圧及び電流の位相差を検出する。そして、インピーダンス整合器は、上記電圧値及び電流値の絶対値の比、及び位相差から、自身の入力端子からチャンバ側の負荷を見たインピーダンスを検出し、このインピーダンスをRF発生器の出力インピーダンス(通常50Ω)に一致させ、かつ高周波電圧及び位相差が「0」となるように、上記可変コンデンサの容量を調整する。
【0004】
しかしながら、図4に示すように、高周波信号がCW(Continuous Wave)の場合、電圧値及び電流値と、電圧及び電流の位相差を継続的に測定すれば良かったが、図5に示すように高周波信号にパルス変調をかける用途が増加している。
この場合、高周波信号が途切れた区間の測定値が不定であるため(すなわち、インピーダンス整合器の制御に使用できないデータとなるため)、例えば、図1に示すようなサンプルホールド回路14を用いたパルスディテクタ1が用いられている。
【0005】
電圧レベル検出部11は、RF発生器200の出力する高周波信号の電圧を、電圧検出センサ102から入力し、図5における破線で示すように、高周波信号の交流パルスの+側の波形包絡を検出して包絡波形を出力する。
同様に、電流レベル検出部13は、RF発生器200の出力する高周波信号の電流を、電流検出センサ101から入力し、図5における破線で示すように、高周波信号の交流パルスの+側の波形包絡を検出して包絡波形を出力する。ここで、電圧レベル検出部11が包絡波形として電圧レベル信号S1を出力し、電流レベル検出部13が包絡波形として電流レベル信号S3を出力している。図5において、高周波信号が出力されている状態をパルスON状態とし、高周波信号が出力されていない状態をパルスOFF状態とする。
【0006】
位相差検出部12は、電圧及び電流の位相差を電圧値にて出力、例えば、位相があっていれば「0(V)」であり、電圧が電流より位相が早ければ+の電圧、電圧が電流より位相が遅ければ−の電圧を、位相信号S2として出力する。
【0007】
上記電圧レベル信号S1、位相信号S2及び電流レベル信号S3の信号レベルを検出して、インピーダンス整合器300に対して継続的に出力するために、電圧レベル信号S1、位相信号S2及び電流レベル信号S3各々の信号レベルをサンプリングして、この信号レベルをホールドしてインピーダンス整合器300へ出力する目的で、図1に示すサンプルホールド回路14を設けている。
サンプルホールド回路14は、インピーダンス整合器300に対して、上記電圧レベル信号S1の信号レベルをホールドして電圧出力信号S4として出力し、上記位相信号の信号レベルをホールドして位相出力信号S5として出力し、上記電流レベル信号S6の信号レベルをホールドして電流出力信号S6として出力する。
【0008】
また、サンプルホールド回路14は、電圧レベル信号S1及び位相信号S2のサンプリングタイミングと、電流レベル信号S3のサンプリングタイミングを、制御部15から入力されるサンプルホールド信号により決定する。
入力検出部16は、図6の波形図に示すように、電圧レベル検出部11から入力される電圧レベル信号S1と、電流レベル検出部13から入力される電流レベル信号S3との立ち上がりを検出して、立ち上がり検出信号として制御部15に出力している。
そして、制御部15は、入力検出部16から入力される上記立ち上がり検出信号が入力されてから立ち上がってから設定された時間経過後(例えば数μ秒から数m秒)にサンプルホールド信号をサンプルホールド回路14に出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−130198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、サンプルホールド回路14は、電圧レベル信号S1、位相信号S2及び電流レベル信号S3の各々の信号レベルをサンプリングして、サンプリングした信号レベルをホールドする。
上記入力検出部16は、図7に示すように、電源と接地点との間に直列に接続された抵抗R1及びR2と、オペアンプAMP1とから構成された検出回路を有している。この検出回路は、電圧レベル信号S1と電流レベル信号S3とのそれぞれに独立に設けられている。抵抗R1とR2との抵抗比により、電源の電圧が分圧された固定電圧を閾値として、オペアンプAMP1の反転入力端子(−)に入力され、非反転入力端子(+)に入力される信号レベルと比較する。すなわち、オペアンプAMP1はコンパレータとして形成されている。上記閾値としての電圧値は、高周波電源の電圧値(絶対値)及び電流値(絶対値)の最低出力に対してより低い数値に設定されており、高周波信号の電圧値及び電流値が最低出力の場合であっても、信号レベルを検出することができる。
【0011】
しかしながら、図8に示すように、プラズマを発生させるチャンバの負荷M(L、CRから構成されている負荷)のようにQ値が高い負荷の場合、パルス変調された高周波信号が入力されない状態となってから、発振状態となって徐々に減衰していくため、レベル信号(電圧レベル信号及び電流レベル信号)の信号レベルが徐々に低下していくことになる。
そのため、次の高周波信号が入力されるタイミングとなってもで、信号レベルが閾値以下に低下しない状態となる。
この結果、信号レベルが閾値より低下しないため、高周波信号が出力されたとしても、新たに閾値を跨ぐことが無いため、立ち上がり検出信号のレベルに変化がないため、制御部15は立ち上がりが検出を認識することができず、サンプルホールド信号を出力しない。
【0012】
このため、図6に示すように、入力レベル信号のレベルが変更された場合、サンプルホールド後におけるサンプルホールド回路14から出力されるDC出力信号(電圧出力信号S4、位相出力信号S5、電流出力信号S6)のレベルも変化しなければならないが、図8に示すように、サンプルホールド信号が制御部15に入力されないため、上記DC出力信号はホールドされたままとなる。
すなわち、パルス変調された高周波信号の電圧値及び電流値が変化したとしても、ホールドされた信号レベルにより、インピーダンス整合器300がインピーダンス制御するため、負荷Mに対応したインピーダンス調整が行われないことになる。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、プラズマを発生させるようなQ値の高い負荷が接続された際、パルス変調において高周波信号が出力される場合、パルスOFF状態の信号レベルの減衰が遅くとも、包絡波形の信号レベルをサンプリングするサンプルホールド信号を発生させ、高周波電源から出力される高周波信号の信号レベルをサンプルホールドするパルスディテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のパルスディテクタは、高周波信号の電圧波形の波形包絡を検出し、包絡波形として電圧レベル信号を出力する電圧レベル検出部と、前記高周波信号の電流波形の波形包絡を検出し、包絡波形として電流レベル信号を出力する電流レベル検出部と、前記高周波信号の電圧波形と電流波形との位相差を求めて、位相差信号を出力する位相差検出部と、前記包絡波形が一端途切れ、その後出力される包絡波形の立ち上がりを、その包絡波形の信号レベルと、設定された閾値とを比較し検出し、立ち上がり検出信号を出力する入力検出部と、前記立ち上がり検出信号が入力されてから、予め設定された時間後に、サンプルホールド信号を出力する制御部と、前記サンプルホールドにより、前記電圧レベル信号、前記電流レベル信号及び位相差信号の信号レベルをサンプリングしてホールドするサンプルホールド回路とを有し、前記入力検出部が、直前に入力された包絡波形の信号レベルの予め設定された割合の数値を前記閾値として用いることを特徴とする。
【0015】
本発明のパルスディテクタは、前記入力検出部が直前に入力された前記包絡波形の信号レベルを、抵抗分圧により所定の割合の数値とすることを特徴とする。
【0016】
本発明のパルスディテクタは、前記入力検出部がダイオード及びコンデンサを有しており、前記抵抗分圧により生成した閾値の電圧を前記ダイオード及び前記コンデンサにより保持することを特徴とする。
【0017】
本発明のパルスディテクタは、上記コンデンサの一端と接地点との間に抵抗をさらに有し、当該抵抗の抵抗値と前記コンデンサの容量値とで決まる時定数が、最も長いパルスOFF時間よりも十分長く設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、プラズマを発生させるようなQ値の高い負荷が接続されている場合でも、包絡波形の信号レベルの判定を行う閾値が、直前の包絡波形の信号レベルより逐次設定し直されるため、包絡波形が減衰しながら徐々に下がったとしても、閾値をまたぐことになるため、パルス変調において高周波信号が出力された際、従来のようにサンプルホールド信号が生成されない状態を防止し、高周波信号のパルスON/パルスOFF状態の変化を検出して、サンプルホールド信号を発生させ、確実にその時点において出力される高周波信号の信号レベルをサンプルホールドするパルスディテクタを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態によるパルスディテクタを用いた高周波装置の構成例を説明するブロック図である。
【図2】図1における入力検出部16の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1のパルスディテクタの動作を説明する波形図である。
【図4】RF発振器200からCW出力状態にて出力されている高周波信号の波形図である。
【図5】RF発振器200からパルス幅変調されて出力されている高周波信号の波形図である。
【図6】本発明に関連するパルスディテクタにおける入力検出部の動作を説明する波形図である。
【図7】本発明に関連する入力検出部の構成を示す概念図である。
【図8】本発明に関連するパルスディテクタにおける入力検出部の動作を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態によるパルスディテクタについて説明する。図1は、本発明の一実施形態によるパルスディテクタの構成例を示すブロック図である。
本発明に関連するパルスディテクタと同様な構成については、同一の符号を付して説明を省略する。以下、本発明に関連するパルスディテクタと異なる本実施形態の構成及び動作について説明する。
異なる点として、本実施形態の入力検出部16は、図2に示すように、抵抗R3、R4及びR5と、ダイオードD1と、コンデンサC1と、オペアンプAMP1とからなる検出部を有している。
抵抗R3は、一端にレベル信号(電圧レベル信号あるいは電流レベル信号)が入力され、他端が抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4は、他端が接地され、一端にダイオードD1のアノードが接続されている。ダイオードD1は、カソードが抵抗R5を介して接地されている。コンデンサC1は、ダイオードD1のカソードと接地との間にて抵抗R5と並列に接続されている。ここで、ダイオードD1、抵抗R5及びコンデンサC1にて保持回路が形成されている。
この検出部は、電圧レベル信号S1及び電流検出信号S3の各々に対してそれぞれ独立に設けられている。
【0021】
また、オペアンプAMP1の反転入力端子(−)に対して印加される閾値の電圧値は、抵抗R3及び抵抗R4で構成された分圧回路の抵抗比により、レベル信号の信号レベルが分圧された電圧値である。抵抗R3と抵抗R4との抵抗比は、予め設定した割合α(<1)、例えば閾値が信号レベルの1/3、あるいは1/2となる値に設定される。この閾値の電圧は、ダイオードD1を介してコンデンサC1において蓄積される。そして、抵抗R5の抵抗値とコンデンサC1の容量値とで決まる時定数は、パルス変調された際に最も長いパルスOFF時間よりも十分長く設定されている。これにより、次の包絡波形に対する閾値の電圧を、保持させることができる。
ここで、電流レベル信号も電流値に対応した電圧値を有する電圧波形の電流レベル信号として出力される。したがって、電圧レベル信号の電圧値の検出と同様に、閾値も電圧値としてオペアンプAMP1に対して出力される。
【0022】
次に、図1及び図3を用いて本実施形態によるパルスディテクタの動作を説明する。図3は本実施形態によるパルスディテクタの動作例を示す
パルス変調された高周波信号がパルスOFF(高周波信号が出力されない)状態から、パルスON(高周波信号が出力される)状態となると、電圧レベル検出部11は、高周波信号が入力されることにより電圧レベル信号S1を立ち上げる。同様に電流レベル検出部13は、高周波信号が入力されることにより電流レベル信号S3を立ち上げる(時刻t2)。
【0023】
このときの閾値の電圧値V1は、時刻t1以前の直前のレベル信号の信号レベルから、図2の分圧回路が閾値を生成し、この閾値が保持回路に設定されている。
そして、入力検出部16は、電圧レベル信号S1の信号レベルが閾値を超えると、制御部15に対して、電圧レベル信号S1が閾値を超えたことを示す立ち上がり検出信号を出力する。同様に、入力検出部16は、電流レベル信号S3の信号レベルが閾値を超えると、制御部15に対して、電流レベル信号S3が閾値を超えたことを示す立ち上がり検出信号を出力する(時刻t2)。ここで、入力検出部16は、レベル信号の信号レベルが閾値を超えたことを検出すると、立ち上がり検出信号を、「L」レベルから「H」レベルにて変化する
【0024】
電圧レベル信号S1及び電流レベル信号S3それぞれの立ち上がり検出信号が入力されると、制御部15は、「L」レベルから「H」レベルの変化により、電圧レベル信号S1、電流レベル信号S3の立ち上がりを検出し、電圧レベル信号S1及び電流レベル信号S3それぞれの立ち上がり検出信号のいずれか入力が遅い方の立ち上がり検出信号の立ち上がりから、予め設定した時間T1の経過後に、予め設定したパルス幅のサンプルホールド信号を生成して、サンプルホールド回路14に対して出力する(時刻t3)。
上記サンプルホールド信号が入力されることにより、サンプルホールド回路14は、電圧レベル信号S1、位相信号S2及び電流レベル信号S3各々をサンプリングし、ホールドし(保持し)、それぞれ電圧出力信号S4、位相出力信号S5、電流出力信号S6として、インピーダンス整合器300に対して出力する。
【0025】
そして、インピーダンス整合器300は、入力される電圧出力信号S4と、電流出力信号S6との比及び位相出力信号S5から、インピーダンス整合器300の入力端子からみたチャンバー側の負荷のインピーダンスを検出する。
このとき、インピーダンス整合器300は、検出結果に基づき、このインピーダンスが予め設定された値、例えば50Ωとなるように、内部の可変コンデンサ等の調整を行う。
【0026】
また、入力検出部16におけるオペアンプAMP1の反転入力端子に入力されている閾値の電圧は、現在入力されているレベル信号の信号レベルにより変化する。例えば、保持回路に保持される電圧は、電圧値V1から電圧値V2に変化する。
【0027】
次に、パルス幅変調によりRF発生器200から出力される高周波信号がパルスOFF状態となると(時刻t4)、電圧レベル信号S1及び電流信号S3とはQ値に対応して、徐々に減衰し、閾値の電圧値を下回る(時刻t5)。これにより、入力検出部16は、設定されている閾値より、電圧レベル信号S1の信号レベル、電流レベル信号S3の信号レベルが低下するため、立ち上がり検出信号を「H」レベルから「L」レベルとして、制御部15に出力する。
【0028】
そして、RF発生器200から新たに高周波信号が出力されると、電圧レベル検出部11は電圧レベル信号S1を高周波信号の入力とともに立ち上げる。同様に、電流レベル検出部13は、電流レベル信号S3をを高周波信号の入力とともに立ち上げる(時刻t6)。
【0029】
このときの閾値の電圧値V2は、時刻t6以前の直前のレベル信号の信号レベルから、図2の分圧回路が閾値を生成し、この閾値が保持回路に設定されている。
そして、入力検出部16は、電圧レベル信号S1の信号レベルが閾値を超えると、制御部15に対して、電圧レベル信号S1が閾値を超えたことを示す立ち上がり検出信号を出力する。同様に、入力検出部16は、電流レベル信号S3の信号レベルが閾値を超えると、制御部15に対して、電流レベル信号S3が閾値を超えたことを示す立ち上がり検出信号を出力する(時刻t7)。
【0030】
電圧レベル信号S1及び電流レベル信号S3それぞれの立ち上がり検出信号が入力されると、制御部15は、「L」レベルから「H」レベルの変化により、電圧レベル信号S1、電流レベル信号S3の立ち上がりを検出し、電圧レベル信号S1及び電流レベル信号S3それぞれの立ち上がり検出信号のいずれか入力が遅い方の立ち上がり検出信号の立ち上がりから、予め設定した時間T1の経過後に、予め設定したパルス幅のサンプルホールド信号を生成して、サンプルホールド回路14に対して出力する(時刻t8)。サンプルホールド回路14は、入力されたサンプルホールド信号により、サンプルホールドすることにより、DC出力信号が更新される。
上述した、時刻t1から時刻t8までの処理が繰り返されることになる。
【0031】
また、上述した本実施形態の処理は、パルス変調されてRF発生器200から出力される場合を説明した。
一方、RF発生器200からCW状態にて高周波信号が途切れずに連続して出力される場合、電圧レベル検出部11は、動作の開始時に、RF発生器200から高周波信号が出力される際に、電圧レベル信号を高周波信号とともに立ち上げる。同様に、電流レベル検出部13は、動作の開始時に、RF発生器200から高周波信号が出力される際に、電流レベル信号を高周波信号とともに立ち上げる。
【0032】
このとき、入力検出部16は、電圧レベル信号の立ち上がりを検出し、立ち上がり検出信号を「L」レベルから「H」レベルに変化させ、以降、高周波信号が連続するため「H」レベルのままとなる。同様に、入力検出部16は、電流レベル信号の立ち上がりを検出し、立ち上がり検出信号を「L」レベルから「H」レベルに変化させ、以降、高周波信号が連続するため「H」レベルのままとなる。これにより、制御部15は、RF発生器200は、高周波信号の出力開始時においてのみサンプルホールド信号を出力する。
したがって、サンプルホールド回路14には、最初に入力された高周波信号の電圧波形の波高値の電圧、高周波信号の電流波形の波高値の電圧及び位相信号の信号レベルを継続して、インピーダンス整合器300に対して出力することになる。
【0033】
このため、本実施形態においては、制御部15は、最初のサンプルホールド信号を出力させて、予め設定された時間内において、入力検出部16からの立ち上がり検出信号が「L」レベルから「H」レベルへの変化が無ければ、予め設定した周期にてサンプルホールド信号を周期的に出力する。この周期は、パルス変調を行った際、高周波信号が途切れる最も長い時間に比較して長く設定されている。
これにより、本実施形態は、RF発生器200からの高周波信号の出力がCW状態の場合においても、パルス変調が行われている場合にも、負荷Mのインピーダンス変動に対応して、インピーダンス整合器300はインピーダンス整合の処理を行うことができる。
【0034】
また、電流検出センサ101及び電圧検出センサ102が検出した検出値をデジタルデータとしてパルスディテクタ1へ出力し、パルスディテクタ1においてデジタルデータによる演算を行うように構成することで、パルスディテクタ1をコンピュータを用いて構成することができる。この場合、インピーダンス整合器300も入力されるデジタルデータにより、インピーダンスの整合処理を行う。
したがって、図1におけるパルスディテクタ1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより干渉波除去の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0035】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0036】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1…パルスディテクタ
11…電圧レベル検出部
12…位相差検出部
13…電流レベル検出部
14…サンプルホールド回路
15…制御部
16…入力検出部
200…RF発生器
300…インピーダンス整合器
AMP1…オペアンプ
C1…コンデンサ
D1…ダイオード
R3,R4,R5…抵抗
M…負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号の電圧波形の波形包絡を検出し、包絡波形として電圧レベル信号を出力する電圧レベル検出部と、
前記高周波信号の電流波形の波形包絡を検出し、包絡波形として電流レベル信号を出力する電流レベル検出部と、
前記高周波信号の電圧波形と電流波形との位相差を求めて、位相差信号を出力する位相差検出部と、
前記包絡波形が一端途切れ、その後出力される包絡波形の立ち上がりを、その包絡波形の信号レベルと、設定された閾値とを比較し検出し、立ち上がり検出信号を出力する入力検出部と、
前記立ち上がり検出信号が入力されてから、予め設定された時間後に、サンプルホールド信号を出力する制御部と、
前記サンプルホールドにより、前記電圧レベル信号、前記電流レベル信号及び位相差信号の信号レベルをサンプリングしてホールドするサンプルホールド回路と
を有し、
前記入力検出部が、直前に入力された包絡波形の信号レベルの予め設定された割合の数値を前記閾値として用いることを特徴とするパルスディテクタ。
【請求項2】
前記入力検出部が直前に入力された前記包絡波形の信号レベルを、抵抗分圧により所定の割合の数値とすることを特徴とする請求項1記載のパルスディテクタ。
【請求項3】
前記入力検出部がダイオード及びコンデンサを有しており、前記抵抗分圧により生成した閾値の電圧を前記ダイオード及び前記コンデンサにより保持することを特徴とする請求項2に記載のパルスディテクタ。
【請求項4】
上記コンデンサの一端と接地点との間に抵抗をさらに有し、
当該抵抗の抵抗値と前記コンデンサの容量値とで決まる時定数が、最も長いパルスOFF時間よりも十分長く設定されていることを特徴とする請求項3に記載のパルスディテクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−258605(P2010−258605A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104347(P2009−104347)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】