パルス型胃滞留性製剤
胃への治療剤の遅延放出およびパルス放出のための剤形が記述される。剤形は、胃滞留性剤形であり、それは投与後、薬剤の胃および上部胃腸管への放出を達成する。剤形は、プロトンポンプ阻害剤などの酸に不安定な活性薬剤の投与において、そして、胃食道逆流症(GERD)や夜間酸分泌(NAB)などの胃酸分泌を治療する際に、特に使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年7月27日に出願された米国仮特許出願番号第60/952,501号および2007年9月5日に出願された米国仮特許出願番号第60/967,717号の利益を主張する。両方の出願は、引用することによりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明の対象は、一般に、治療剤を胃または上部胃腸管に1つまたは複数のパルスで送達する胃滞留性製剤に関し、そこでは、パルスの1つまたは両方が、剤形の摂取から隔たった時間に送達される。より詳しくは、その主題は、第1パルス放出および第2パルス放出で薬剤を送達する胃滞留性製剤に関し、そこでは、少なくとも第2パルス放出が、剤形の摂取から隔たった時間で起こり、薬剤の2つのバースト放出を胃または上部胃腸管に提供する。
【背景技術】
【0003】
薬剤の有効性は、一般に、希望の時間に所望の治療レベルを達成するために、そして希望する期間、所望の治療レベルを維持するために、十分な量でその標的または作用部位に到達する薬剤の能力に依存する。いろいろな剤形が、薬剤の治療効果を最適化するために開発されてきた。特定の薬剤のための最適剤形は、いろいろな要因(例えば、薬剤の生物学的利用能、代謝の範囲と機序、および吸収部位など)に基づいて選択されるか、または設計される。薬剤の即時放出(すなわち、薬剤が摂取直後に、またはすぐに剤形から放出される場合)を提供する経口剤形は、薬剤送達のための一般的なアプローチである。剤形からの薬剤の放出が、摂取後すぐに始まり、長期間にわたり続く持続性または徐放性の剤形は、これまた一般的なアプローチである。薬剤が摂取後一定時間経過後に放出される放出遅延型剤形は、下部胃腸(GI)管での薬物放出の利益を受ける薬剤の用途また条件を見出す。
【0004】
経口投与薬剤は、上部GIの毛細管と静脈への薬剤の吸収および肝臓への門脈輸送によって、摂取後ヒトの全身循環に入る。一部の薬剤については、吸収が、胃液中での低いpHと酵素活性により制限されるが、胃液は特定の薬剤を不活性化し、剤形からの薬剤の放出に否定的に影響を与え、またはいったん放出された薬剤の吸収を妨げる。腸溶性コーティングは、この問題の解決を提供するが、それはコーティングが十分に耐酸性であり、小腸のより塩基性の環境(そこではコーティングが分解され、薬物が放出され、次いで小腸に吸収される)に移動するまでカプセル化された薬剤を保護する限りにおいてである。
【0005】
上部GI管または小腸の近位領域に優先的に吸収される薬剤(例えば、プロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2−受容体拮抗剤など)については、薬剤摂取の時間から離れた時間で患者に有効用量を送達する際にはさらなる障害がある。そのような薬剤について、剤形が上部GI管で保持されないならば、摂取の時間から離れた時間での剤形からの薬剤の放出は、下部GI管で起こるようであり、そこでは、それは限られた治療効果を有するか、あるいは治療効果を全く有しないであろう。
【0006】
消化器系による経口投与薬剤の吸収の後で、それは肝門脈系に入る。それは、体の残りに達する前に、それは門脈を通って肝臓に運ばれる。肝臓と腸壁は、多くの薬剤をしばし少量の活性薬剤だけが、肝臓から残りの循環系に現れる程度までしばしば代謝する。肝臓および腸壁を通るこの初回通過は、医学分野では初回通過効果、または初回通過代謝と呼ばれる。経口投与薬剤は、肝臓または腸壁で初回通過代謝を受けて、胆汁に排出されるか、または治療的な利益を提供しない薬理学的に不活性な代謝物質に変換される。そのような薬剤は、したがって、初回通過効果を受けない薬剤に比べて、減少した生物学的利用能を有するが、その理由は、投与された薬剤が薬剤作用部位に到達するのがより少ないからである。初回通過効果は、肝臓の代謝能力を上回る十分な量で剤形から薬剤が放出されるように、薬剤を投与することにより克服される。これは非線形の薬剤動態をもたらすが、その理由は、当初、体循環での薬剤の量は、初回通過効果のない投与から生じるであろうものよりも低いからである。さらに、初回通過代謝は、異なる個体と集団での肝臓酵素の多形により、多様な薬剤吸収をもたらす。一旦肝臓の代謝能を越えると、血流の薬剤濃度は、著しく、急激に増加する。
【0007】
初回通過効果は、上部GI管で優先的に吸収される薬剤の徐放性を非常に問題とする。第1に、初回通過効果を克服するために必要な薬剤の量の徐放性は、単に非常にたくさんの薬剤または薬剤の可変的な吸収を必要とする場合があり、望まれない副作用を引き起こす血中レベルをもたらす可能性がある。第2に、たとえ、第1の問題が解決されることができるとしても、剤形があまりに速く消化管を通過すると、薬剤は上部GI管で放出され、そこで優先的に吸収される。さらに、伝統的な経口の徐放性製剤(一次または平方根の時限放出率などを有するものなどの連続した放出プロファイルを示す)の場合は、剤形から放出される活性薬剤の量は、投与後の時間の経過につれて減少する。初回通過効果は、薬剤レベルが減少するにつれて、薬剤の任意の治療効果も除くことができる。活性薬剤のボーラス送達(大量瞬時投与)またはバースト送達(急激な放出送達)は、初回通過効果を克服することができたが、上部GI管で剤形を維持しながら、剤形の摂取の時間からかなり立った時間で、そのようなボーラスまたはバーストを送達することができる有効な剤形は全く存在しない。
【0008】
初回通過効果を受ける経口投与薬剤のために開発された薬剤送達システムは、即時薬剤放出ができる毎日3〜4回投与に適した製剤、および即時薬剤放出および徐放薬放出ができる1日1回の投与に適した製剤を含む。好ましいのは、後者の製剤であるが、その理由は、1日1回投与を含む処方薬剤療法の場合の服用遵守が、毎日1回より多い投与を含むものよりも実質的に大きいからである。初回通過効果の影響を受ける薬剤を投与することができ、上部GI管で優先的に吸収される新しい剤形に対する必要性が残されている。
【0009】
例えば、胃食道逆流症(GERD)は、胃酸還流、または胃から食道への逆流の疾患である。GERDは、上部小腸で優先的に吸収され、初回通過効果の制約を受ける薬剤で治療される。GERDは一般的な病気であって、米国内では、症状が断続的に出る場合が成人の約40%、症状が毎日出る場合が数十%である(参照:Johnsonらの米国特許第6,098,629号、これは引用により本明細書に取り込まれる)。GERDは、食道内腔の酸性胃内容物に対する異常で長い曝露によって特徴づけられる(Hunt,Ailment Pharmacol Ther.9(Supp.1):37(1995))。多くの要因が、GERDの発症に寄与していると考えられ、それは一過性の下部食道括約筋緩和、減少した下部食道括約筋の休止緊張、胃内容物排出遅延、および無効な食道クリアランスを含む。
【0010】
GERDの一般的症状は、胸骨または胸骨の後の胸やけ、灼熱感または不快感である。GERDの他の症状は、不全失語症、嚥下痛、出血、呑酸、胸焼けおよび肺症状(例えば、喘息、咳または胃酸吸引による断続的な喘鳴)を含む。GERDに罹患している患者は、食事時と就寝時に一般的にこれらの兆候に悩まされる。多くのGERD患者によって経験された状態は、夜間酸分泌、すなわち「NAB」(Peghiniら、Am.J.Gastroenterol.93:763−767(1998))であるが、それは胃酸分泌が日中で変化して、夜間に最も著しい場合があるからである。胃の酸性度の急上昇は、午前2時頃が一般的である。
【0011】
GERDの管理は、生活様式の変化(例えば、体重減少、特定の食物と過度の屈曲の回避、および夜間の逆流を防ぐために患者のベッドの頭の位置を上げること、および手術(例えば、胃底皺襞形成術、Collis−Nissen胃形成術、下部食道括約筋を増大させること、食道を制限すること、および肥満治療など)を含むことができる;薬剤治療は、しばしば選択の余地の処置である。
【0012】
GERDを治療するのに用いられる薬剤は、H2−受容体拮抗剤(それは、基礎状態で胃酸分泌をコントロールする)とPPIs(それは、基礎的な酸分泌および食事で刺激された酸分泌の両方をコントロールする)を含む。両方の種類の薬剤は、異なった持続時間の間、胃内部のpHを約4より大きく上げることができる。薬剤の種類が。薬剤のPPIクラスは、PPIが投与される際、活性なすべてのプロトンポンプを永久に閉鎖することができるが、しかし、不活性なプロトンポンプは影響を受けないままであり、そして、新しいプロトンポンプが連続的に生成される(特に夜間の間に)。したがって、PPI療法のGERD患者は、特にPPIsが食事時にまたは朝に1日1回投与されるので、夜の間にGERDの症状に苦しむ。
【0013】
オメラゾール(5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール;Lindbergらの米国特許第5,877,192号を参照)は、PPIであり、H+K+−ATPase阻害剤と呼ばれる場合もある。他のPPIsは、ランソプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、テナトプラゾールとレミノプラゾールを含む。これらの化合物は通常、胃酸分泌抑制剤として有効であるが、酸に不安定であり、初回通過効果の影響を受けて、小腸で優先的に吸収される。オメプラゾールと他のPPIsは、放出制御型の送達を問題とする吸収特性がある。PPIsは、酸で不安定であるので、有効な送達は、胃の酸性環境からの保護のために薬剤の周りの腸溶性コーティングまたは薬剤の保護のために、薬剤製剤で塩基を一般的に必要とする。オメプラゾールは、腸溶性コーティングの酸性度からさえ保護する必要がある場合がある;そのような保護は、サブコーティング層で一般に提供される。さらに、オメプラゾールは、著しい初回通過代謝をこうむり、一般に、食事、通常朝食の前の30〜60分に1日1回投与される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
初回通過代謝に影響されやすい薬剤を投与する、胃の酸性条件によって分解される、そして小腸で優先的に吸収される剤形に対する必要性が残っている。さらに、剤形およびGERDを治療する方法に対する必要性、およびNABの発生を低下、防止または除去するような方法でのGERDを治療する方法の必要性が残存する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
開示の概要
第1の態様では、実質的に経口投与直後に剤形から放出される薬剤の第1用量と、実質的に経口投与直後に剤形から放出される薬剤の第2用量とを含む剤形が提供される。薬剤の第2用量は、胃液中の水分を吸収することにより、第2用量の実質的にすべての放出のための摂食状態での胃滞留性を達成するのに十分な大きさまで膨潤する送達ビヒクル中に含まれている。1つの実施形態では、送達ビヒクルは、胃での酸性条件への曝露により第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分から成る。
【0016】
1つの実施形態では、薬剤の第1用量は、剤形の摂取後約60分未満で剤形から放出される。別の実施形態では、薬剤の第2用量は、剤形の摂取後約2〜6時間で剤形から放出される。
【0017】
1つの実施形態では、送達ビヒクルは水中で制限を受けない大きさまで膨潤する親水性ポリマーから成る。
【0018】
さらに別の実施形態では、送達ビヒクルは、水中で大きさが制限されないで膨潤する親水性ポリマー中に分散された複数のビーズから成り、各ビーズは、(a)コア;(b)コアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のコーティング;および(d)第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分としての腸溶性コーティングから成り、そこでは、複数のビーズは、薬剤の第2用量を提供するのに十分な量を含む。
【0019】
さらに別の実施形態では、送達ビヒクルが、中心に空洞を有するポリマー挿入物から成り、該挿入物は、水中で制限を受けない大きさまで膨潤し、該空洞は薬剤の第2用量を含む。
【0020】
別の実施形態では、複数のビーズは、薬剤の第2用量を提供するのに十分な薬剤の量を含み、各ビーズは、(a)コア;(b)コアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のサブコーティング;および(d)第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分としての任意の腸溶性コーティングから成る。
【0021】
さらに別の実施形態では、剤形は、第2のポリマー挿入物から成り、そこでは、第2の挿入物は薬剤の第1用量を含む空洞を含む。
【0022】
好ましい実施形態では、第1および第2挿入物が、カプセル内に含まれ、そこで、第1挿入物端は、第2挿入物の開口部に係合し、経口投与後の挿入物の膨潤は、第1挿入物端と第2挿入物の開口部との間にインシチュで封緘(シール)を生成し、第2挿入物中に含まれる複数のビーの放出を遅らせる。
【0023】
さらに別の実施形態では、薬剤の第2用量を含む送達ビヒクルが、第2用量を保護する成分によって囲まれた薬剤コアから成り、それは水中で制限を受けない大きさまで膨潤する親水性ポリマーにより囲まれている。
【0024】
薬剤コアは、別の実施形態では、薬剤と少なくとも1つの賦形剤から成り、ここで、第2用量を保護する成分が錠剤コア上に配置された腸溶性コーティング層であり;親水性ポリマーは、腸溶性コーティング層に配置された層を形成し、第1用量は、親水性ポリマー層上に配置された即時放出成分である。
【0025】
さらに別の実施形態では、送達ビヒクルが、(a)複数のビーズとマトリックスから成る錠剤コア(ここで、ビーズは、薬剤の第2用量を含む);および(b)錠剤コア上に配置された胃滞留性層から成る。
【0026】
任意の上記実施形態では、第2用量を保護する成分は、塩基性化合物および腸溶性コーティングから選択される。
【0027】
任意の上記実施形態では、薬剤の第1用量と薬剤の第2用量は、同じ薬剤または異なる薬剤であることができる。好ましい実施形態では、両方の用量は、プロトンポンプ阻害剤である。好ましいプロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾールである。
【0028】
別の態様では、胃食道逆流症(GERD)および/または夜間酸分泌(NAB)を治療する方法が提供される。この方法は、PPIの初回パルスを送達するためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)の第1用量を提供し;PPIの第2パルスを送達するためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)の第2用量を提供し;ここで第1パルスは、第1用量の実質的に摂取直後に患者の胃の中で放出され、第2パルスは、第2用量の実質的に摂取後に患者の上部胃腸管で放出されることを含む。
【0029】
1つの実施形態では、第1および第2用量は、単一剤形である。
【0030】
別の実施形態では、剤形は夕食とともに摂取される。
【0031】
さらに別の実施形態では、第1および第2用量は、第1および第2剤形であり、ここで第2剤形は、胃滞留性剤形である。
【0032】
別の実施形態では、第1および第2剤形は、夕食で同時にまたは順番に摂取される。
【0033】
別の実施形態では、第1剤形は、夕食で同時に摂取され、そして、第2剤形は夕食後、しかし就寝前に摂取される。
【0034】
さらに別の実施形態では、第2剤形は、胃液中に存在する水分を吸収することにより、第2用量の実質的にすべてを放出するための摂食状態で、胃の中での滞留を達成するのに十分な大きさまで膨潤する送達ビヒクルを含み、ここで該送達ビヒクルは、胃での酸性条件への曝露により第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分を含む。
【0035】
さらに別の態様では、第1薬剤の治療有効量を含むコアと、コアを囲むシェルとを含む剤形が提供される。シェルは、胃液中に存在する水分を吸収することにより、摂食状態で胃滞留性を達成するのに十分な大きさまで膨潤する親水性ポリマーから成り、ここでシェルは、胃での治療有効量の実質的にすべての放出を達成するために、実質的に摂取後の一定期間、第1用量の放出を遅らせる。
【0036】
1つの実施形態では、剤形は胃での酸性条件への曝露により薬剤が不活性化するのを保護する成分をさらに含む。代表的な保護成分は、コアとシェルまたは前記薬剤と混合された塩基性賦形剤との間に配置された腸溶性コーティングを含む。
【0037】
別の実施形態では、薬剤用量の放出のための摂取の後の期間は、約3〜6時間の間にある。
【0038】
さらに別の態様では、胃食道逆流症(GERD)および/または夜間酸分泌(NAB)を治療する方法が提供され,この方法は、即時放出型剤形と組み合わせて、上記の方法に従い、遅延放出型剤形を提供することを含み、そこでは、前記の剤形は、プロトンポンプ阻害剤を含む。
【0039】
別の態様では、薬剤が摂取の時間から離れた時間で放出され、上部GI管に吸収されるような薬剤の治療投与に適した経口用剤形が提供される。1つの実施形態では、薬剤は酸に不安定であり、剤形は摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックスにそれ自身が含まれる腸溶性コーティング中の薬剤を含む。1つの実施形態では、薬剤はPPIである。
【0040】
別の態様では、剤形中の薬剤の一部が、投与後すぐに第1パルスで放出され、剤形中の薬剤の残りの部分が剤形摂取の時間から離れた時間で第2パルスにより放出されるような薬剤の治療投与に適した経口用剤形が提供される。1つの実施形態では、薬剤は酸に不安定であって、初回通過効果の影響を受け、そして、剤形は2つの異なった部分、1方は摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックスにそれ自身が含まれる腸溶性コーティング中にある薬剤と、他方は腸溶性コーティング中に存在するが、胃の中に滞留するマトリックス中には含まれない薬剤から成る。1つの実施形態では、薬剤はPPIである。
【0041】
別の態様では、GERDを治療する、およびNABを予防する方法であって、この方法は、患者が夕食によるGERDから保護され、そしてまた就寝時に患者がNABから保護されるように、夕食で同時にPPIを投与することから成る。本方法の1つの実施形態では、患者はオメプラゾールなどのPPIの剤形を投与され、それは、NABからの保護を提供するために、摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックス中に含まれる腸溶性コーティング中の薬剤を含む。1つの実施形態では、剤形はまた、胃で保持されない腸溶性コーティングされたPPIを含み、そのため、剤形は薬剤の2つのパルス、1つは摂取直後、または摂取後比較的にすぐ後であり、他方は、剤形の摂取後4〜6時間から8時間以上まで放出されない。したがって、1つの実施形態では、患者は1日1回、同時に夕食で、2つの異なった部分から成る剤形、1方は摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックスにそれ自身が含まれる腸溶性コーティング中にあるPPIと、他方は腸溶性コーティング中に存在するが、胃の中に滞留するマトリックス中には含まれないPPIから成る。別の実施形態では、患者は、PPI(例えばPRILOSEC)の標準用量を夕食とともに投与されて、就寝時には別の標準用量を投与されるか、あるいは就寝時PPIの胃滞留性剤形が就寝時に投与される。
【0042】
上記の代表的な態様と実施形態に加えて、さらなる態様と実施形態は、図面を参照し、以下の記述を検討することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】1つの実施形態に従う胃滞留性剤形の横断面図の理想化された図である。
【0044】
【図2】本明細書で記述された、遅延放出型の胃滞留性剤形の成分としてのビーズの横断面図である。
【0045】
【図3A】担体マトリックス中の複数のビーズから成る剤形コアの横断面図(図3A)と、複数のビーズから成るコアを囲む胃滞留性層を有する剤形の横断面図(図3B)である。
【図3B】担体マトリックス中の複数のビーズから成る剤形コアの横断面図(図3A)と、複数のビーズから成るコアを囲む胃滞留性層を有する剤形の横断面図(図3B)である。
【0046】
【図4A】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【図4B】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【図4C】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【図4D】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【図4E】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【0047】
【図5A】他の実施形態に対応する、錠剤形状の剤形の長軸方向断面図である。
【図5B】他の実施形態に対応する、錠剤形状の剤形の長軸方向断面図である。
【0048】
【図6A】単一パルスの遅延放出型剤形(図6A)および薬剤の第1即時放出パルスと薬剤の第2遅延型放出パルスを提供する剤形(図6B)のモデル放出プロファイルである。
【図6B】単一パルスの遅延放出型剤形(図6A)および薬剤の第1即時放出パルスと薬剤の第2遅延型放出パルスを提供する剤形(図6B)のモデル放出プロファイルである。
【0049】
【図7A】18:00時に食事とともにオメプラゾール20mg用量と22:00時にオメプラゾールの第2の20mg用量で処置した被験者における、ng/mL(点線)での血漿濃度と時間の関数としての胃内pH(実線)のプロットである。
【図7B】18:00時に食事とともにオメプラゾール20mg用量と22:00時にオメプラゾールの第2の20mg用量で処置した被験者における、ng/mL(点線)での血漿濃度と時間の関数としての胃内pH(実線)のプロットである。
【0050】
【図8】シェル/コア構造を有する胃滞留性遅延型放出剤形のインビトロでの溶解性プロファイルである。
【0051】
【図9】別の代表的な胃滞留性遅延型放出剤形のインビトロでの溶解性プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
読者の便宜のために、詳しい説明は以下のセクションに分けられる:I.定義;II.剤形;およびIII.投与に適した薬剤と使用方法。これらのセクションの後に、実施例といろいろな実施形態が続く。
【0053】
I.定義
「制御放出」は、それからの薬物の放出が即時性ではない製剤、剤形、またはそれらの部位を指し、すなわち、「制御放出」剤形の場合、投与は、有益な薬剤の即時放出を生じない。この用語は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第19版(Easton,PA:Mack Publishing Company,1995)で定義されるように「非即時性」と互換性を持って使用される。一般に、用語「制御放出」は、徐放性剤形および持続性放出剤形を含む。
【0054】
治療剤に関しての「有効量」は、望ましい有益な効果を提供するための薬剤の無毒ではあるが、十分な量を意味する。「有効である」との薬剤の量は、個人の年齢、体重、一般的な健康状態と他の要因に依存し、個人によって変動し得る。任意の個体における適切な「有効」量は、常套的な実験を使用して当業者が決定することができる。薬剤の「有効量」は、治療的に有効である量か、または予防的に有効である量か、あるいは両方の量を意味することができる。
【0055】
「粒子」、「ペレット」および「ビーズ」は、治療薬剤を含む小さくて、物理的な、しばしば球体の構成単位を指すのに互換的に使用される。そのような多くの構成単位が通常、単一剤形に組み入れられる。
【0056】
剤形成分に関しての「医薬的に許容される」は、生物学的にまたは他の点でも有害でない成分を指す。つまり、成分は医薬製剤に配合され、何らの重大な望ましくない生物学的影響を引き起こすことなく、あるいはそれが含まれる製剤の他の成分のいずれとも有害な方法で相互作用を引き起こすことなく患者に投与される。用語「医薬的に許容される」は、賦形剤を言及するのに使用されるときは、成分は毒物試験および製造試験の要求される規格を満たし、および/または米国食品医薬品局のInactive Ingredient Guide(不活性成分ガイド)に含まれる。
【0057】
「薬理学的に活性な」誘導体または類似体に関しての「薬理学的に活性な」(または「活性な」)は、類似体または誘導体が関連する化合物(「親化合物」)と同じタイプの薬理学的活性を有する誘導体または類似体(例えば、塩、エステル、アミド、抱合体、代謝物、異性体、断片、他)を指す。
【0058】
患者の疾患または望ましくない生理学的事象に関しての「予防」は、障害および/またはその症状の根本原因に関連した症状の発生を予防する、または著しく減らすことを特に指す。
【0059】
「予防的に有効な量」は、望まれない生理的障害またはその障害の症状の重症度を防止するか、少なくするために有効である量を指す。特定の薬剤の予防的に有効な量は、治療される障害または疾患の種類や重症度、ならびに患者の年齢、性別、体重、および他の要因に関して一般に変わるであろう。
【0060】
「徐放性」(「持続放出」と同義)は、薬理学的に活性な薬剤の長時間にわたるゆっくりとした放出を提供する製剤、剤形、またはその領域について言及するその従来の意味に使用される。いくつかの実施形態では、徐放性製剤の目的は、薬理学的に活性な薬剤の長時間にわたる実質的に一定の血中レベルを提供することである。
【0061】
「治療剤」および「薬理学的に活性な薬剤」は、生理的に活性な薬剤化合物、およびそのような化合物のプロドラッグを指すのに互換的に使用される。そのような化合物は、有益な治療効果を与える目的で投与されて、小分子薬剤、巨大分子(例えば、タンパク質、DNAおよびRNAなど)を含む。
【0062】
「治療的に有効な量」は、治療剤に関して、所望の治療効果を達成するために有効である量を指す。特定の薬剤の治療的に有効な量は、治療される障害または疾患の種類や重症度、ならびに患者の年齢、性別、体重、および他の要因などの要因に関して一般的に変動するであろう。
【0063】
「治療する」および「治療」は、症状の重症度および/または頻度の減退、症状および/または根本原因の除去、症状および/または根本原因の発生の予防、ならびに損傷の改善また治癒を指す。
【0064】
本明細書で使用されるように、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「それ(the)」は、文脈が他に明確に示さない限り、複数形への言及を包含する。従って、例えば、「プロトンポンプ阻害剤(a proton pump inhibitor)」は、単数のプロトンポンプ阻害剤のみならず、2つ以上の組み合わされたプロトンポンプ阻害剤をも意味し、「賦形剤(an excipient)」との言及は、1つの賦形剤と同様に、2つ以上の賦形剤の組み合わせの両方を包含する。
【0065】
本明細書で使用されるように、フレーズ「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「例えば(such as)」、および「含む(including)」は、より一般的な主題を説明するための例示を紹介することを意味する。これらの例示は、開示を理解するための援助としてのみ提供され、決して如何なる方法でも制限することを意味するものではない。
【0066】
他に明示されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的なすべての用語は、本明細書の主題に属する当業者により通常理解される意味を有する。
【0067】
本明細書に記載のすべての特許、特許出願および刊行物は、引用によりその全体が本明細書に取り込まれる。しかし、明確な定義を含む特許、特許出願および刊行物は、それらが見られる、取りこまれた特許、特許出願または刊行物に適用されるが、本発明の開示またはその請求項には適用されないことを理解すべきである。
【0068】
II.代表的な遅延放出、胃滞留性剤形
本明細書に記述される剤形は、経口投与を目的としており、いろいろな治療薬剤の投与に適している。その剤形は、特に上部GI管で優先的に吸収される薬剤の投与のために、および/または上部GI管での条件によって不活性化されるか、または分解される薬剤の投与のために適している。剤形は、特に初回通過効果の影響を受ける薬剤の投与にも適している。剤形のいろいろな実施形態は、図1〜4(今、後述する)を参照して記述される。
【0069】
最初の実施形態では、剤形の実質的に摂取後の時間に胃で薬剤の用量を放出するように剤形は設計されている。その活性薬剤の遅延放出を提供する1つの代表的な胃滞留性剤形は、図1に示される。剤形10は、ポリマーシェル14で囲まれるか、または中に入れられている薬剤コアから成る。任意の保護層16は、薬剤コアとシェルの間に配置されることができ、薬剤が胃の条件によって分解されるか、または不活性化されるとき、例えば酸に不安定な薬剤の場合、剤形の中に通常含まれる。シェル14は、寸法的に制限されることなく水中で、例えば胃液の存在する水中で、膨潤するポリマーから成る。シェル14の膨潤は、摂食状態での胃の中での滞留性に関して十分な大きさのサイズまで、すなわち、摂食状態での幽門括約筋の開口のサイズと同等であるか、または大きいサイズまで、剤形のサイズを増加させる。摂食状態での幽門の直径は、0.9〜1.4cmの間であり、平均して約1.2cmである。
【0070】
コア12の薬剤は、例えば、シェル14の浸食、または、シェル14の浸食とシェル14を横断する薬剤の拡散の組み合わせにより、剤形10から放出される。好ましい実施形態では、シェル14は、剤形の摂取後に浸食され、単一の「パルス」またはボーラス用量で、送達の徐放性または持続性放出タイプとは対照的に、コア12中の薬剤の放出を達成する。シェル14の特性(例えば、それが作られるポリマー、任意の添加物や賦形剤の存在、およびその厚さ)は、浸食と膨潤の速度を決定し、当業者は、これらのパラメータを変えることへのアプローチを理解できる。シェル14は、望ましくは、親水性で浸食性のポリマーであり、そして、代表的なポリマーは以下に記載される。
【0071】
剤形10中のコア12は、活性薬剤または薬剤と任意の他の望ましい賦形剤を含む。これらは、固形粉または顆粒として一般的に混合され、圧縮されて活性コアを形成する。コアは一般的に、活性薬剤がコア中で均等に分配されるように実質的に均一である。適切な賦形剤は、例えば、不活性担体などを含む。
【0072】
この実施形態の胃滞留性の剤形は、一般的に、約5mm〜約20mmの範囲内、より一般的に約5mm〜約15mmの、または約5mm〜約12mmの、または約7mm〜12mmの範囲内にある膨潤前の直径を有する。また、約1mmから約8mm、または約1mmから約5mm、または約2mmから約5mmの範囲内の直径を有するミニ錠剤を調製することができる。一旦GI管に投与されると、剤形は胃液と接触し、胃滞留性を提供する一般的には投与前の剤形のサイズの少なくとも1.5〜2倍の直径まで膨潤する。いくつかの実施形態では、剤形の膨潤形態は、約10mmから約25mmまたは約10mmから約20mmの範囲内である。
【0073】
剤形のサイズの増加の達成に加えて、剤形の外側のポリマーシェルの膨潤は、薬剤の用量が剤形の実質的に摂取後の時間に胃の中で放出されるように、剤形からの薬剤の送達または放出をもたらす。「実質的に摂取後(substantially after ingestion)」とは、摂取後2〜6時間、より望ましくは3〜5時間、さらにより望ましくは3〜4時間、なおさらに望ましくは2〜5時間または2〜4時間の間に放出された剤形に含まれる薬剤の用量を意図する。さらに、薬剤の用量は、徐放性または持続性放出とは対照的に、薬剤のバーストまたはパルスとして放出される。
【0074】
以上のように、剤形10中のコア12は、コアを形成するために1つまたは複数の賦形剤で圧縮された固形形態、例えば、圧縮固形薬剤の従来の錠剤の薬剤から成ることができる。別の実施形態では、コア12はコアを形成するために圧縮された複数の粒子またはビーズから成り、そして、理想とされる典型的な粒子またはビーズは、図2に図示される。
【0075】
図2で見られるように、ビーズ20は、ビーズコア22、ビーズコアを囲む薬剤コーティング24、任意のサブコート層26、および任意の保護コーティング28から成る。ビーズコアは支持基体として機能し、好ましくは、不活性な医薬的に許容される材料(例えば、澱粉、糖、微結晶セルロース、など)から成る。適切な材料の例は、ノンパレル(nonpareils);SUGLETS(登録商標)(NP Pharm(France)によって供給されて、92%以下のスクロースと(残りは)トウモロコシ澱粉から成る);およびCELPHERE(登録商標)(旭化成(日本)によって供給されて、微結晶セルロースから成る)が挙げられる。ビーズコアのサイズは、例えば、約300〜1200μm、望ましくは、約355〜425μm、約600〜710μm、そして約1000〜1180μmである。
【0076】
薬剤層24は、活性薬剤または薬剤および場合によっては任意の所望の医薬的に許容される賦形剤を含む。典型的な医薬的に許容される賦形剤は、例えば、担体[例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC(一般にヒプロメロースと呼ばれている)]、界面活性剤(例えばTWEEN(登録商標)80(ポリエチレングリコール・ソルビタンモノオレエート)、および本明細書で記述された、およびまたは当該分野で公知の他の賦形剤を含む。層の厚みは、製造プロセス・パーセンテージ重量増加仕様で一般に測定されるが、例えば、約100〜250μmの範囲内とすることができ、ビーズコアの大きさによって異なる場合がある。この層の一般的な質量は、ビーズコアの大きさに応じて、ビーズコア質量の10〜50%である。
【0077】
任意のサブコート層26は、薬剤層の薬剤を保護層成分から保護することが望ましいとき、一般に使用される。例えば、腸溶性コーティングとして機能する保護層は、酸性成分を含むことが可能であり、任意のサブコートは、そのような酸性成分から薬剤を保護するために含まれことが可能である。一旦保護層が取り除かれると、サブコート層は、薬剤層の比較的迅速な放出を可能とするはずである。サブコート層のための適切な材料の例は、OPADRY(登録商標)YS−1−19025−A−ClearおよびOPADRY−03K(Colorcon(Pennsylvania)によって供給される)を含む。サブコート層は、また、アルカリ性化合物(例えば塩基、塩類、など)と同様に、任意の本明細書の他の場所で説明したものを含むさらなる賦形剤を含んでもよい。サブコート層の厚みは、製造プロセス・パーセンテージ重量増加仕様で一般に測定されるが、例えば、約10〜50μmの範囲内とすることができる。この層の典型的質量は、ビーズコア質量の3〜5%である。
【0078】
保護コーティング28は、随意的な層であり、例えば、薬剤が酸に不安定で、剤を使用の環境から保護すること、あるいは薬剤を安定させることが望まれるときに含まれる。含まれる場合、好ましい実施形態では、保護コーティングは、胃酸による分解から薬剤を保護する腸溶性コーティング層である。腸溶性コーティング層を形成するのに用いられる材料の例は、ACRYL−EZE(登録商標)(メタクリル酸共重合体、Colorcon(Pennsylvania)によって供給される)である。このコートの塑性特性は、EUDRAGIT L30 D−55(酸性の保護のために)とEUDRAGIT NE 30 D(可塑剤)(EUDRAGITは、Degussaによって市販されている)の混合物と共に、またはそれなしでのクエン酸トリエチル(TEC)など(これらに限定されない)を含む可塑剤を加えることによって最適化することができる。腸溶性コーティング層は、反粘着性の薬剤(例えば、タルクなど)または消泡剤(例えば、シメチコン・エマルジョンなど)などのさらなる賦形剤を有することができる。層の厚みは、製造プロセス・パーセンテージ重量増加仕様で一般に測定されるが、例えば、約100〜250μmの範囲内とすることができ、ビーズコアの大きさにより変動し得る。この層の典型的質量は、一般的にビーズコアの質量の最低30%である。コーティングされる表面の単位面積当たりのEUDRAGITポリマーの典型的質量は、4〜6mg/cm2である。
【0079】
浸食の速度によって定義された時間で、薬剤がバーストまたはパルスとして放出されるような制御された速度で浸食するコーティングとすることができることもまた考えられる。例えば、保護層は浸食するポリマーであって、保護層の厚さは、薬剤の放出を達成する摂取後の定義された時間内で侵食されるように選択される。
【0080】
保護コーティングは、剤形に添加される安定化成分(例えば塩基性化合物など)であり得ることもまた考えられる。
【0081】
それぞれの層24、28、および任意の層26は、溶液、懸濁液、または乳液、そして望ましくは水溶液の形態でビーズコアに適用されてもよい。一般的に、最終的な剤形では、製造プロセスで使用された水および/または任意の有機溶剤の全てまたはほとんどは、各層から取り除かれた。
【0082】
別の実施形態では、先に述べたように、ビーズよりはむしろ、薬剤ペレットが製造される。薬剤ペレットは、例えば、好ましくは1〜99%の重量パーセント(例えば20〜80%の薬剤の間で)の薬剤を含むペレットを生成するために薬剤を結合剤(すなわち、微結晶セルロース)と混合し、混合物を押し出し、球状化して調製される。押出し物は、腸溶性コーティングなどの保護コーティング剤で、および薬剤ペレットと保護コーティングの間に配置された任意のサブコートで被覆することができる。
【0083】
一旦形成されると、ビーズまたは薬剤ペレットは、単独で、または適切な賦形剤と共に、図1に示されるように、剤形に使用するためのコアに圧縮されることができる。ペレットまたはビーズは、また、他の剤形を製造するのに使用することができ、そして、これらの実施形態は、今度は、図3〜4を参照して記述される。
【0084】
図3Aは、複数のビーズ、例えばビーズ32、34から成る、マトリックス36中に分散された胃滞留性剤形30を例示する。1つの実施形態では、マトリックス36は、胃液中の水分を吸収することにより、摂食状態で幽門括約筋のその通過を阻害する大きさまで、寸法的に制限されないで膨潤するような、水中で膨潤する親水性ポリマーから成る高分子マトリックスである。そのような剤形は、胃での滞留性を提供し、胃での複数のビーズにおける薬剤の放出、および遅延放出を達成する。遅延放出は、ポリマーマトリックスならびに摂食後のその浸食の速度と程度の適切な選択により達成される。その浸食の速度と程度は、体液がポリマーマトリックスに分散された各々のビーズの保護コーティングに達する速度、保護コーティングの可溶化、および各々のビーズの薬剤層の薬剤の最終的な放出を決定する。
【0085】
図3Bは、図2に示されるビーズなどの複数のペレットまたはビーズを配合する別の代表的な胃滞留性剤形40を図示する。この実施形態では、ビーズ(例えばビーズ42、44など)は、マトリックス46に分散される。この実施形態のマトリックス46は、1つまたは複数の賦形剤で圧縮されたビーズから成る。マトリックス46は、膨潤性で浸食性の親水性ポリマーから成るポリマーコーティング48によって囲まれる。親水性ポリマーは、摂食状態で胃の幽門括約筋のその通過を阻害する大きさまで寸法的に制限されないで膨潤するように水中で膨潤する。そのような剤形は、胃滞留性を提供して、胃での複数のビーズにおける薬剤の放出、および遅延放出を達成する。遅延放出は、ポリマーコーティング中のポリマーならびに摂食後のその浸食の速度と程度の適切な選択により達成される。その浸食の速度と程度は、体液がマトリックス46に達してマトリックス中の各々のビーズ上の保護コーティングを可溶化する速度を決定し、各ビーズの薬剤層の薬剤の放出を提供する。胃滞留性の特性はまた、胃滞留性コーティング層で各ビーズをコーティングすることにより達成されると理解され、よって各活性ビーズは独立して胃滞留性の特徴を持つ。
【0086】
ここで使用に適している水膨潤性の浸食性ポリマーは、水と接触して寸法的に制限されない方法で膨潤するものであり、時間とともに徐々に浸食される。そのようなポリマーの例は、セルロースポリマーおよびそれらの誘導体を含み、それらには、非限定的に、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース;多糖類およびそれらの誘導体;ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール、特に高分子量ポリエチレングリコールなど);キトサン;ポリ(ビニルアルコール);キサンタンガム;無水マレイン酸共重合体;ポリ(ビニルピロリドン);澱粉および澱粉系ポリマー;マルトデキストリン類;ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン);ポリ(エチレンイミン);ポリウレタン;ヒドロゲル;架橋ポリアクリル酸;ならびに前述したもの任意の組み合わせまたは混合物が挙げられる。
【0087】
さらなる例は、共重合体であって、それらはブロック共重合体およびグラフト重合体を含む。共重合体の特定の例は、PLURONIC(登録商標)およびTECTONIC(登録商標)であり、それは、BASF Corporation,Chemicals Div.,Wyandotte,Mich.,USAから入手可能なポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド・ブロック共重合体である。さらなる例は、加水分解された澱粉ポリアクリロニトリル・グラフト共重合体であり、これは。一般に「Super Slurper」として知られており、Illinois Corn Growers Association,Bloomington,Ill.,USA.から入手可能である。
【0088】
本明細書で記述される剤形の胃滞留性の部分を形成するのに適した好ましい膨潤性で浸食性の親水性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリ(エチレンオキシド)とヒドロキシプロピルメチルセルロースの組み合わせである。ポリ(エチレンオキシド)は、非置換エチレンオキシドの線形ポリマーに言及するために、本明細書で使用される。ポリ(エチレンオキシド)ポリマーの分子量は、約9×105ダルトンから8×106ダルトンにわたることができる。好ましい分子量のポリ(エチレンオキシド)ポリマーは、約5×106ダルトンであって、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から商業的に入手可能であり、SENTRY(登録商標)POLYOX(登録商標)水溶性樹脂、NF(国民医薬品集)級のWSR凝固剤と呼ばれる。そのポリマーの25℃における1%水溶液の粘度は、好ましくは4500から7500センチポアズの範囲である。
【0089】
薬剤の遅延型の胃滞留性放出を提供する剤形のさらに別の実施形態は、図4A〜4Eに例示される。剤形50は、第1部分52aと第2部分52bを有するカプセル52から成り、それは、図4Dの分解図と外層52aの一部が取り除かれている図4Bの図で最もよく見える。第1および第2部分52a、52bは、第2部分が第1部分に取り外し可能に挿入できるように大きさを設定され、内部の空洞54を有するカプセル52を形成する。
【0090】
カプセルの内部空洞には、図4C〜4Dで見える挿入物56、58などの1つの、2つの、3つの、またはそれより多くが含まれている。各々の挿入物は、浸食性で膨潤性の親水性ポリマーから成り、隣接した挿入物と適合またはぴったり合わさる配置となるように成形される。示された実施形態では、挿入物56は第1端部60と第2端部62と壁64を有する。第1端部60は、厚さl(エル)の縁部66を有し、それは空洞68の内径を定め、それは図4Eに示される挿入物56の断面図で見える。挿入物56の端部62は、挿入物58などの隣接した挿入物に封緘係合または挿入するための大きさに設定された突出部70を有する。図4Eで最もよく見えるように、縁70は、挿入物58の端部に差し込まれ、挿入物58の端部74上の縁部72は、挿入物56上の端部62の斜角端部76に対合する。以下で議論するように、隣接した挿入物の係合と特に第1挿入物の縁部と第2挿入物の端部への係合は、使用の環境から挿入物内で空洞を閉鎖するシールを生成する。そして、しばらくの間、空洞の内容物の放出を遅らせる。図4Eの実施形態では、挿入物58の空洞80の内容物は、隣接した挿入物56との係合によってシールされて、空洞80内の内容物の放出を遅延させる。
【0091】
図4A〜4Eの剤形の胃滞留性および遅延放出特性は、経口投与後の事象を記述することによって最も理解される。図4A〜4Eで表される剤形は、第1挿入物と第2挿入物を含むように調製される。各々の挿入物の空洞は、薬剤ペレットの形態の薬剤で、または、好ましい実施形態では、図2で示すビーズの形態の薬剤で充填される。薬剤を詰められた挿入物は、胃液との接触の際、溶解するか、浸食するか、さもなければ崩壊する圧入ゼラチンカプセルなどのカプセル内に挿入される。剤形は経口で摂取され、胃の中での胃液との接触で、カプセルは溶解し、そして、挿入物を胃環境に曝す。用語「摂取される」とは、剤形が口によって体の中に取りこまれることを意図する。図4Eを参照して上で示したように、第1および第2挿入物は、ぴったり合わされた配置にあり、外側のカプセルの溶解により、第1挿入物の空洞が環境に曝され、第2挿入物の空洞は、隣接するぴったり合わされた挿入物の端部により、シールされたまま残る。第1挿入物の空洞に含まれる第1薬剤の用量は、第1パルスまたはボーラス用量として胃に放出される。カプセルの溶解が摂取のときに急速であるので、この第1薬剤用量は、基本的に即時放出用量である。このように、薬剤の第1用量は、実質的に経口投与後、すぐに患者に送達される。「実質的にすぐに(substantially immediately)」によって、剤形摂取後の60分未満、好ましくは30分未満、およびより好ましくは20分未満、そしてさらにより好ましくは、10〜30分間が意図される。
【0092】
一旦カプセルのシェルが溶解するか、さもなければ崩壊するならば、浸食性の挿入物は、周囲の液体(例えば、患者の胃の中の胃液)に曝される。水の吸収は、浸食性の挿入物が胃液または他の水環境への曝露の後で重合もつれを経る融合を引き起こし、一定期間胃で保持されるサイズまで膨潤する。つまり、挿入物は、インシチュで空洞のうちの1つを閉じ、一定期間その内容物の放出を妨げるシールを生成する。この期間中、胃滞留性の浸食性挿入物は、浸食し始め、そして、特定の期間の後、浸食性挿入物の浸食は、空洞内に含まれるどんな材料でも剤形から周囲の環境(例えば、胃)へと排出するのを可能にする。シールを破るのに必要な期間は、いろいろな要因(例えば、浸食性挿入物の壁の厚み、浸食性挿入物が作られる材料、挿入物を浸食する液体のpH、環境の機械的乱流量、および他の要因など)に依存する。そのような要因と変数を考慮して望ましい放出時間を得るための壁厚の材料と最適化についての選択は、本開示および本明細書で引用された文献に照らして、当業者の能力の範囲内である。
【0093】
特に、そして、図4Eに関して、挿入物の寸法と挿入物が製造されるポリマーは、第2挿入物に含まれる薬剤の第2用量の最終的な放出のための時間に影響する。特に、図4Eの挿入物58の縁72などの、空洞の開口を囲む縁72の厚みl、および斜角端部76の寸法、同様に挿入空洞の寸法、挿入物の全体的な大きさの寸法は、第2挿入物の空洞の内容物の放出を達成するのに十分な範囲の挿入物の浸食に必要である時間に影響を及ぼす。挿入物は、胃滞留性を達成するサイズまで膨潤するので、第2空洞の内容物の放出は、胃で起こり、その結果、胃に送達された薬剤は2パルスとなる。
【0094】
上記の剤形は、主に親水性の膨潤性ポリマーで製造された層または成分による胃滞留性である。胃滞留性成分は、また、本明細書では送達ビヒクルとも称され、そして、そのような送達ビヒクルは、特に図1と図3Bの剤形のポリマーシェル、図3Aの高分子マトリックス、および図4A〜4Eの挿入物によって具体的に例示される。
【0095】
上記のパルス型遅延放出剤形は、単なる例示的なものであり、そして、多種多様な剤形構成が考えられ、当業者により容易に設計されることができることは理解される。さらに典型的な剤形構成は、図5に図示される。図5は、錠剤の形態の剤形80の長手軸方向の断面図を表す。錠剤は、第1隔壁84に閉じ込められた第1薬剤の用量82と第2隔壁88に閉じ込められた第2薬剤の用量86から成る。錠剤マトリックス90は、第1および第2隔壁、84、88を分離し、膨潤性で浸食性の親水性ポリマーから成る。
【0096】
第1薬剤の用量82は、剤形の外面92への露出のために位置が定められる。第2薬剤用量86は、それが錠剤マトリックスによって囲まれるか、または入れられるように位置が定められる。理解できるように、薬剤用量のこの位置決めは、所望のパルス型放出プロファイルを達成する。第1薬剤の用量が錠剤面に曝されていて可溶化と放出がしやすいので、剤形80の摂取により、第1薬剤用量82は、本質的には直ちに胃に放出される。錠剤マトリックス90は、胃液の水との接触で膨潤し、そして、今、膨潤した高分子マトリックスで完全に囲まれた第2薬剤隔壁からの薬剤の放出を妨げる。錠剤マトリックスは、摂食状態のとき、剤形が幽門括約筋を通過するのを妨げるのに十分な程度にまで膨潤する。第2隔壁からの薬剤の放出は、マトリックス中のポリマーや他の材料、マトリックスの厚み、胃の状態、および他の要因により一部は決定される一定期間、遅延する。薬剤の第2用量は、第2薬剤用量を胃環境に曝すのに十分な程度の錠剤マトリックスの浸食により胃で放出される。第2用量の放出は、バーストまたはパルスとして起こる。
【0097】
第1および第2薬剤の用量は、固形薬剤および任意の賦形剤(例えば、酸に不安定な薬剤のための塩基または他のpH安定剤)から成ることができる。第1および第2薬剤の用量のどちらか、または両方は、また、上記したビーズから成ることができ、そこでは、所望の用量を提供するのに十分な複数のビーズが、単独でまたは任意の望ましい賦形剤と共に、錠剤製造プロセスの過程で、第1および第2隔壁に圧縮される。また、剤形の全体または一部は、外側の腸溶性コーティングか追加の薬剤コーティングによりコーティングできることが理解されるであろう。
【0098】
図5Bは、2重パルス放出を提供する剤形錠剤の別の実施形態と薬剤の任意の即時放出パルスを例示する。剤形100は、第1および第2薬剤の用量を含む第1隔壁104と第2隔壁106を有する錠剤マトリックス102から成る。第1および第2隔壁の各々の薬剤の用量は、錠剤マトリックス、錠剤中の各隔壁の大きさや位置により少なくとも一部は決定される時間で剤形から放出される。各々の隔壁の大きさと位置の調節、ならびにマトリックスを形成するポリマーの選択および第1と第2隔壁の各々を囲む隔壁の厚さは、マトリックスの浸食に必要とされる時間および第1と第2隔壁での薬剤用量の放出のために必要とされる時間に影響する。剤形の外面108は、摂取により薬剤の即時放出を提供する薬剤コーティングを場合により含むことができる。
【0099】
図6A〜6Bは、上記の剤形からの薬剤の放出を例示する。図6Aは、単一パルスの遅延放出送達プロファイルを示し、そこでは、薬剤のボーラスが、時間t2で送達され、そして、それは時間t1での剤形の摂取から実質的に離れた時間である。時間t2は、望ましくは2、3、4、5、もしくは6時間であるか、または、剤形摂取後の2〜3時間、2〜4時間、もしくは2〜5時間である。図1と図3A〜3Bで例示される各剤形は、胃への単一パルスの遅延放出送達を提供する。さらに、図4A〜4Eで示される剤形は、第1挿入物の空洞を空のままにして、挿入物の膨潤によりインシチュで第2挿入物の薬剤の第1用量を提供することによって、薬剤の単一パルスの遅延放出を提供することもできる。
【0100】
図6Bは、薬剤のパルス放出送達プロファイルを例示し、そこでは、薬剤の第1パルスが時間t1で送達され、薬剤の第2パルスが時間t3の剤形から放出される。時間t1は、剤形摂取後の実質的に直後であり、例えば、摂取後10〜30分である。時間t3は、剤形の摂取から離れた時間であり、好ましくは2、3、4、5、もしくは6時間、または、剤形摂取後の2〜3時間、2〜4時間、もしくは2〜5時間である。剤形の胃滞留性の性質は、薬剤の第2パルスが胃および上部GI管で投与されるのを確実にし、したがって、患者の胃に送達される第1パルスと第2遅延パルスを提供する。図1と図3A〜3Bの剤形は、剤形の外面に即時放出薬剤層を含むように製造できることが理解されるし、その即時放出薬剤層は、薬剤の第1パルス用量を提供する。このように、上記の剤形の各々は、第1および第2パルス薬剤放出を提供するために製造することができる。
【0101】
上記したように、いくつかの実施形態では、剤形は複数のビーズを含み、そこでは、大多数が薬剤の望ましい用量を含む。即時に放出される薬剤の第1用量は、第1複数ビーズと関係し、そして、薬剤の第2またはそれ以降の用量は、第2とそれ以降の複数のビーズと関係する。1つ以上の複数のビーズ中のビーズのサイズは、同じであるか、または異なることができると考えられる。例えば、時間の狭い制限枠での第1の複数ビーズ(すなわち、図6Bのt3とt4の間の短い時間)からの剤形のボーラス放出を達成するために、約2mmまたはそれ未満、好ましくは1mmまたはそれ未満の範囲の外径を有するビーズの集合が好まれる。下限の外径サイズは、製造規制、およびビーズコア材の利用し得るサイズによって決定される。典型的な最小限のサイズは、0.1mm、または0.2mm、または0.5mmのオーダーである。より小さいサイズのビーズは、時間の狭い制限枠での薬剤の用量の放出を提供する。遅延薬剤パルスに含まれるビーズは、2mmより大きくすることができ、4mm以上の、好ましくは約4mmから約8mmの間での最小限の外径サイズに膨潤する高分子マトリックスに好ましくは含まれ、そのため、ビーズ集合のサイズは、摂食状態で約1.2cmの平均幽門直径より大きく、摂食状態でのビーズの集合の滞留性を促進する。
【0102】
再び図4A〜4Eの剤形を参照して、剤形の各浸食性挿入物は、形状が同一であるか、または形状がその用量において他の1つまたは複数の浸食性挿入物と異なる(例えば、「上」と「下」の挿入物)ことが理解される。1つの実施形態では、浸食性挿入物は、雄端と雌端を有する形状を有し、別の実施形態では、各浸食性挿入物は、一方の側に雄構成要素および反対側に雌構成要素の両方を含む。雄連結部分と雌連結部分は、先細りしていて、段階状、ねじ状(例えば、螺旋状)、またはそれらの組み合わせであってもよい。1つの実施形態では、1つの浸食性挿入物の雄端または側面を別の浸食性挿入物の雌端または側面への接合は、遅延パルスで放出される薬剤の所望量を含むのに十分大きな空隙を生み出す。
【0103】
遅延パルス薬剤貯留室は、先に記述したものなどのビーズと同様に適切な任意の所望の賦形剤を含む腸溶性薬剤含有ビーズから成ることができる。あるいはまた、遅延パルス薬剤貯留室は、薬剤含有コアおよび適切であるならば、腸溶性コーティング層を含むミニ錠剤を含んでもよい。薬剤コアの周りの外側の膨潤性ポリマーコーティングのための要件を不要にするが、そのようなミニ錠剤は、上の図1の剤形と類似しており、そして、ミニ錠剤(複数を含む)が挿入物の空洞に配置されるとき、ミニ錠剤は胃滞留性コーティング層なしで調製することができる。
【0104】
好ましい実施形態では、上記の遅延パルス剤形は、プロトンポンプ阻害剤化合物(例えばオメプラゾール)から成る。例えば図1および3Bで図示される剤形などの、腸溶性コーティングと胃滞留性コーティングを有するコアに配合されたオメプラゾール粒子が検討される。酸保護の胃滞留性錠剤コアは、即時放出粒子または即時放出コーティング層で場合によりさらにコーティングされることができる。あるいはまた、オメプラゾール粒子の各々は、腸溶性コーティングと胃滞留性コーティングを有することができ、そして、そのような粒子は、オメプラゾールの初回パルスと任意の適切な賦形剤と共に、錠剤に圧縮されるか、またはカプセルに充填されることができる。また、初回パルスは、即時放出粒子の形態で、あるいはオメプラゾールと賦形剤(および、場合により、塩基)とのより均一な混合物の形態で存在してもよい。
【0105】
好ましい実施形態では、図4A〜4Eで表される剤形は、挿入物の第1空洞でおよび/または挿入物とカプセルの間の空隙スペースの中で含まれる即時放出用オメプラゾールの第1用量で調製される。即時放出オメプラゾールは、塩基性物質などの保護成分を用いて、または、腸溶性コーティング(図2で例示されるように)を有する薬剤ペレットまたはビーズの形態で処方される。あるいはまた、即時放出パルスは、浸食性挿入物上のコーティングとして存在する場合がある。オメプラゾールの第2用量の遅延パルス放出は、剤形の摂取の十分に後の時間での放出のために、第2挿入物の第2空洞内に含まれる。
【0106】
さらに別の代替の実施形態では、即時放出層と遅延放出層から成る2重層錠剤が調合される。2重層錠剤は、当該分野で公知であり、当業者は、一般に利用できる方法とともに本明細書で開示された方法を使用して、それらの製造をすることができる。遅延放出パルスを即時放出パルスに取り込むための他の代替法は、本開示を考慮すれば、当業者には明らかとなるであろう。
【0107】
薬剤放出の2つより多いパルスを提供する剤形が検討され、当業者は、第3、第4、またはそれより多い薬剤用量パルスを提供するために、上記の剤形の修正を理解するであろう。多重パルスは、本明細書に記述された実施形態のバリエーションを使用して可能である。浸食性挿入物を用いた剤形については、複数のパルスは、剤形で2つ以上の同一であるか、または異なる浸食性挿入物を用いて得ることが可能であり、そこでは、異なる挿入物は異なる浸食時間を提供する。錠剤コアおよび/またはビーズから成る剤形については、追加パルスは、活性薬剤を含む層と交替された複数の胃滞留性層を使用して得ることができる。
【0108】
任意の実施形態について、薬剤の任意の初期(すなわち、即時放出)パルスは、任意の方法で遅延放出パルスと組み合わせることができる。一般に、薬剤の初期パルスは、投与により急速に胃で放出される。活性薬剤の第2(すなわち、遅延)パルスは、任意の時間での投与に続き、当業者が本明細書での開示を考慮して、放出の望ましい時間をどのようにして提供すべきかについて理解する。例えば、胃滞留性の挿入物の壁の厚みを増やすことは、剤形の投与と薬剤の遅延パルスの放出との間の時間の遅れを増加させる。剤形投与と遅延パルスの放出との間の最適時間遅れは、多くの要因(例えば、処置される状態、身体的な特徴、および治療される患者の日課など)に依存する。
【0109】
いろいろな実施形態では、遅延パルスは、剤形の投与の後の約2〜12時間以内に、例えば、約3〜9時間以内に、または、例えば、約4〜6時間以内に患者の十二指腸と小腸に活性薬剤を放出する。遅延放出パルスの放出は、剤形の投与後、約3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間を目標とすることができる。さらなる例として、遅延放出パルスの放出は、剤形の投与後、約2〜4時間、または約3〜5時間、または約5〜7時間、または約6〜8時間の間を標的としてもよい。
【0110】
通常、初期パルス(存在するとき)は、遅延パルスで存在する活性薬剤また薬物の用量の約0.25〜20倍の間にある活性薬剤または薬物の用量を放出する。比率として測定されて、遅延パルスに対する初期パルスの薬剤の用量比は、約0.25〜4、または0.5〜2、または0.75〜1.25であってよく、そして1:1とすることができる。製剤の活性薬剤の量は、製剤の総重量に基づいて、一般的に、約0.05重量%〜約95重量%の範囲である。例えば、活性薬剤の量は、約0.05重量%〜約50重量%、または、約0.1重量%〜約25重量%、または、約1重量%〜約15重量%の範囲であってよい。あるいは、製剤の活性薬剤の量は、投与の際の所望の用量、濃度、血漿レベルなどを達成するために測定される場合がある。活性薬剤の量は、活性薬剤の特定の用量(すなわち、患者の単位重量当たりの活性薬剤の単位重量)を達成するために計算されるかもしれない。さらに、治療計画は、活性薬剤の予め定められた全身的なレベルを維持するように設計される場合がある。例えば、製剤と治療計画は、成人に対して約0.001mg/kg/日から約100mg/kg/日の範囲の活性薬剤の量を提供するように設計されてもよい。さらなる例として、活性薬剤の量は、約0.1mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約25mg/kg/日、または約1mg/kg/日〜約10mg/kg/日の範囲であってよい。用量は患者の身体的な特徴と治療計画の期間を含む様々な要因に依存して変動するかもしれないことを当業者は認識するであろう。
【0111】
本明細書に記述される剤形を製造するのに有用な多数の材料は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition(Lippincott Williams&Wilkins,2000)およびAnselらの、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,6th Ed.(Media,PA:Williams&Wilkins,1995)に記載されている。医薬的に許容される添加物または賦形剤としては、結合剤(例えば、エチルセルロース、ゼラチン、ガム類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、澱粉、糖類、ワックス類)、崩壊剤、着色剤、希釈剤(例えば、硫酸カルシウム、セルロース、リン酸ジカルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、澱粉、スクロース)、香料、滑走剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素、タルク)、および滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、水素化植物油、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ベヘン酸ステアリル、タルク)、甘味料、ポリマー、ワックス類、および溶解性遅延物質などが挙げられる。本明細書に記述される剤形は、湿式造粒、流動床造粒、乾式造粒、直接圧縮、その他を含む当該分野でよく確立した技術によって作られる。
【0112】
1つの実施形態では、薬剤は酸に不安定であり、剤形は摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックスにそれ自身が含まれる腸溶性コーティング中の薬剤を含む。剤形中の薬剤の一部が、投与後すぐに第1パルスで放出され、剤形中の薬剤の残りの部分が剤形摂取の時間から離れた時間で第2パルスにより放出されるような薬剤の治療投与に適した経口用剤形が提供される。したがって、これらの2つの異なる剤形は、薬剤放出の2つの異なる「パルス」、つまり、摂取後、相対的にすぐに来る第1と時間にして大分遅れる第2(「遅延パルス」)を送達する点で異なる。
【0113】
投与すべき薬剤が、酸に不安定であるか、または胃および/または小腸での出を標的とすることを想定した最初の例では、初期パルスは、剤形に組み込まれた酸保護された即時放出粒子の層から生じる。酸保護された即時放出粒子の層は、例えば、興味のある薬剤と医薬的に許容される担体とを即時放出コアに含む粒子であることができ、そこでは、即時放出コアが腸溶性コーティングでコーティングされて、コアを胃の酸性条件から保護する。代わりに、または、塩基を即時放出コアの中に配合して、酸性の状況からの保護を提供することができる。腸溶性粒子は、それらが投与後急速に放出されるように、剤形に取り込まれる。例えば、粒子(浸食性ポリマーなどの他の医薬的に許容される賦形剤と共に)は、剤形の最外層に配合することができる。剤形の投与により、最外層は、急速に溶解して、浸食するか、さもなければ分解して、そして、上部GI管に第1パルスの粒子を放出する。第2の例では、初期パルスは、即時放出コーティング層から生じ、それは活性薬剤または薬物、任意の塩基、および浸食性ポリマーなどの任意の医薬的に許容される担体との非粒子混合物から成る。投与により、即時放出薬剤層は浸食するか、胃で溶解し、それによって活性薬剤の第1パルスを放出する。
【0114】
剤形から放出された薬剤の遅延パルスは、薬剤を胃滞留性のマトリックスに取り込むことによって提供される。投与される薬剤が、酸感受性であるならば、そのときには、初期パルスで送達される薬剤に関しては、遅延パルスで送達される薬剤は、例えば、腸溶性コーティングを使用することにより酸保護されるか、および/または塩基と共に処方される。
【0115】
剤形は、経口投与を目的とする。好ましい経口剤形は、錠剤、カプセルおよび同様のものを含む。錠剤は、例えば、圧縮ラクトース、スクロース、およびアカシアまたはトラガカントなどの風味基剤、ならびに活性薬剤の有効量を含んでもよい。錠剤は、一般に医薬製剤を製造する当業者によって実施されている、周知の混合、粉砕、および製造ステップを含む通常の錠剤化方法により調製することができる。そのような技術の例は、以下の通りである:(1)適切な回転式錠剤圧縮機に一般的に適合した、適切な杵と臼を使用する直接圧縮法;(2)注入または圧縮成型;(3)流動床造粒、低または高せん断力造粒、またはローラー圧縮後の圧縮造粒;(4)型への、または押出し物への、一定の長さに切断されるペーストの押し出し;(5)パンコーティング、流動床コーティングや下部噴霧法(bottom spray methods)(Wurster)および他のフィルムコーティング方法;ならびに(6)粉末積層法。
【0116】
錠剤が直接圧縮によって作られるとき、滑沢剤の添加は役に立つ場合があり、圧力が減ったとき、粉流を促進して、錠剤の破壊を防ぐのにしばしば重要である。典型的な滑沢剤の例は、ステアリン酸マグネシウム(粉末混合物中、0.25重量%から3重量%、好ましくは約1重量%またはそれ未満)、ステアリン酸(0.5重量%〜3重量%)、および水素化植物油(約1重量%から5重量%、最も好ましくは約2重量%での水素化および精製ステアリン酸およびパルミチン酸のトリグリセリド)である。さらなる賦形剤が、造粒助剤(例えば、2〜5重量%の低分子量HPMC)、結合剤(例えば、微結晶セルロース)、および粉末流動性、錠剤硬度、および錠剤の摩損度を強化するための、そして臼の壁への接着を下げるための添加剤として加えてもよい。他の充填剤および結合剤は、ラクトース(無水物または1水和物)、マルトデキストリン類、糖類、澱粉類および他の一般的な医薬用賦形剤を含むが、これらに限定されるものではない。これらのさらなる賦形剤は、錠剤の1重量%から50重量%を構成し、そして、ある場合には、それ以上を構成してもよい。
【0117】
上記の成分に加えて、いろいろな任意の添加物(例えば、薬剤送達、貯蔵寿命および患者の承諾を改善する成分)を配合することが、場合によっては必要である場合があるか、望ましい場合がある(例えば、投与の特定組成物または方法に依存して)。適切な添加物は、酸、酸化防止剤、抗菌物質、緩衝剤、着色剤、結晶成長抑制剤、消泡剤、希釈剤、緩和剤、充填剤、風味剤、ゲル化剤、芳香剤、滑沢剤、推進剤、浸透圧調整剤、増粘剤、塩類、溶媒、界面活性剤、他の化学安定化剤、またはそれらの混合物を含む。これらの添加物の例は、例えば、M.Ash and I.Ash,Handbook of Pharmaceutical Additives(Hampshire,England:Gower Publishing,1995)で見られ、その内容は、引用により、本明細書に取り込まれる。
【0118】
ある種の薬剤や一般にPPIsの酸に対する不安定性のために、上記したように、剤形によって送達される薬剤の製剤に塩基を配合することは、望ましい場合がある。製剤に塩基を含ませるための任意の適切な方法を使用することができる。例えば、塩基は、図1、2、3A〜3Bに関して上記した剤形のサブコーティング層に配合されることができる。理解されるように、塩基の有効利用は、場合によっては、腸溶性コーティングの必要性を減らすことができるか、または除くことができる。適切な塩基は、当該分野で公知であり、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物の金属およびまたはアルカリ塩を含むことができる。そのような塩類のための適切な陽イオンは、アルミニウム、ビスマス、マグネシウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびそれらの組み合わせを含む。
【0119】
本開示の剤形の投与のためのガイダンスが、ここに提供される。しかし、それは、用量、投与計画などに対する修正が必要とされるかもしれないし、患者ごとの基準で開業医により最もよく決定されることは、当業者は理解する。熟練した開業医は、一般に利用できる知識に基づいて、そのような修正をすることができるであろう。剤形は、1日当たり1回、経口投与のために通常使用される。
【0120】
本明細書に記述される製剤は、貯蔵寿命を増やすために、単位用量の形態で、または、任意の防腐剤による複数投与用容器で提示されることができる。また、本明細書に記述される任意の状態または本明細書に記述される剤形を使用して治療され得る任意の状態の治療のためのキットもまた、想定される。キットは単回投与用容器または複数投与用容器中のいずれかでの剤形を含み、服用量または服薬についての指示書、添付文書などをさらに含むことができる。
【0121】
本明細書に記述される製剤と剤形は、パルス送達から利益を得るどんな状態でも治療するのに使用することができる。例えば、材料と方法が、以下のセクションで説明されるように、胃酸分泌に関する状態(GERDおよびNAB、ならびに他の疾患を含む)の治療において使用することができる。
【0122】
III.治療方法および投与に適した薬剤
第1態様では、GERDを治療する方法が提供される。胃食道逆流(GER)の症状は、米国成人人口の約45%に少なくとも月に1回影響を及ぼし、28%が1週間に1回それを経験し、そして、10%が毎日、胸やけとGERの他の症状を発症する。毎週および毎月の胃食道逆流症の患者は、プロトンポンプ阻害剤(PPIs)で最も治療されそうな患者である。PPIsまたは他の酸抑制療法中の夜間酸分泌(NAB)と関連する胃食道逆流症(GERD)は、一般的な事象である。最近の研究において、NABはPPIsを服用しているGERD患者の70%で観察されたが、一方、食道(逆流)への酸性曝露は、NABを有するこれらの患者の33%で観察された(Katz P.O.ら、Aliment Pharmacol Ther.,12:1231−4(1999))。これは、エソメプラゾールを用いた研究で確認されたが、そこではGERD患者のわずか50%だけが、夜間の胸やけから軽減された。オメプラゾールの様々な投与療法を調べる別の研究では、1日2回(BID)の服用(朝食と夕食の前の20mg)は、胃(pH>4、その時間の80%)の夜間のpHコントロールに対して最も有効であったが、一方、夕食前の40mgでは、中程度(pH>4、その時間の69%)であったし、朝食(承認された時間)前の40mg服用では、最も効果が少なかった(pH>4、その時間の24%)。全ての昼間のデータが、投与計画の間で異なるというわけではなくて、最小限だった点に留意する必要がある。これらのデータは、夜の間の酸生産のコントロールについて満たされないニーズがあることを示す。
【0123】
したがって、別の態様では、NABの発症を治療する、予防する、または減少させる方法が提供される。別の態様では、GERDを治療する方法および同時にNABの発症を治療する、予防する、または減少させる方法が提供される。これらの方法では、上記のタイプの剤形が提供され、そこでは1つ以上のパルス用量がPPIの剤形から放出される。別の実施形態では、剤形の服用のうちの1つはPPI(例えばオメプラゾール)であり、そして、他の服用は非ステロイド性の抗炎症剤(例えば、サリチル酸塩、アリールアルカン酸、2−アリールプロピオン酸、N−アリールプロピオン酸、ピラゾリジン誘導体、オキシカム、またはCOX−2阻害剤など)である。特に好ましい化合物は、アスピリン、イブプロフェン、およびナプロキセンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0124】
制酸剤、ヒスタミン2受容体拮抗剤(シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、およびニザチジン)、およびPPIは、GERDを治療するのに現在用いられているが、しかし、PPIsは通常、最も有効であると思われる。GERDにおける有効性は、すべてのPPIsについて同じであるので、オメプラゾールは、他のPPIs(エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾール)に勝る特定の利点を有しない。2005年には、経口固形制酸剤のために書かれた1億800万の処方箋があった;そして、そのうち、8100万の処方箋がPPIsのために書かれた。
【0125】
上記したように、GERD患者がPPIsで1日2回(BID)処置されているときでも、NABは患者の約20%で起こる。それらが夕食(午後5〜6時)の前に投与されるので、これはPPIsの夕方の用量のタイミングのためであるようである。夕食の約4〜6時間後にNABが起こるとき、PPIは、その短い半減期のため、もはや有効な濃度で存在しない。PPIの初期用量では、プロトンポンプの60〜75%は不活性化され、そして、25〜40%の残りに分泌能力をもたらす。さらに、新しいポンプの新規合成(主に夜、起こる)は、さらに25〜30%を加える。2日目の朝の服用で、残りと再生されたポンプの60〜75%は、阻害される。このプロセスは、まだ約35%の酸分泌能力がある定常状態に達するまで続く。しかし、新しいポンプは主に夜に再生されるので、胃のpHは日中高いままであるが、新しいポンプが合成され、活動するにつれて夜に減少する(Sachs G.,Eur J Gastroenterol Hepatol.,13(Suppl 1):S35−41(2001))。
【0126】
夜のGERまたはNABは、持続放出オメプラゾール製剤で克服出来るのでないかと人が推量したかもしれない間に、研究によれば、絶食状態でオメプラゾールと比較して、オメプラゾールのシミュレーションされた制御放出で相対的な生物学的利用能(61±15%)の減少を示した。減少した生物学的利用能は、初回通過代謝によるもののようであり、その問題の効果は、持属性製剤で増幅される。本明細書に記述される剤形は、2つのパルスシステムを提供することによって、初回通過代謝を記述するNABの問題の解決を提供する。単位用量形態は、夕食と一緒に取られ、そして、第1パルスは摂取直後に放出される。このパルスは、食事によって活性化されたプロトンポンプを阻害する。NABが起こるとき、製剤の第2遅延パルスは、胃で保持されて、4〜6時間後に第2パルスを放出する。これは、プロトンポンプが夜に活性になると、存在するオメプラゾールの有効濃度をもたらす。
【0127】
このように、1つの実施形態では、遅延パルスを与え、GERD患者、特に強調されるのは、PPIsで治療されているが夜間の逆流を有する患者を標的とするオメプラゾールの単位用量形態が提供される(他の実施形態では、他のPPIの単位用量形態が提供される)。この単位用量形態は、夕食で投与される1日1回の経口の投薬製剤を提供する。1つの実施形態では、単位用量形態は、オメプラゾールの20mg(または別のPPIの等価用量)がすぐに放出され、第2の20mgが4〜6時間後に放出される、2−パルス遅延放出製剤を提供する。この単位用量形態の治療的な利点は、プロトンポンプが夜の間に活性となるとき、薬剤が存在するということであり、したがってそれらは阻害されるであろう。
【0128】
NABが起こるとき、現在、市場に出ている遅延放出製剤およびPPIsの短い血漿半減期(0.5〜2時間)の場合、この時間の間に活性となるプロトンポンプを阻害する系に残存する薬剤はない。現在、市場化された遅延放出製剤で行うことができる、NABの発症を予防し、または減少させながらGERDを治療する方法が考慮される。この実施形態では、患者は夕食でオメプラゾールの20mg用量(または別のPPIの等価用量)が投与され、そしてオメプラゾールの少なくとも20〜40mg用量(または別のPPIの等価用量)が就寝時に投与される。
【0129】
他の実施形態では、複数単位剤形が提供され、そこにおいて、2つのパルスは2つの別々の剤形で送達される。腸溶性ビーズ/顆粒は、胃で薬剤の酸による分解から保護するために、両方で利用される。各々のパルスのための成分は、1つのカプセル内に包装されるか、または1つの単位包装(ブリスターカード)下の別々の剤形(カプセルまたは錠剤)として提示されることができる。第1パルスは、腸溶性ビーズ/顆粒または腸溶性ビーズ/顆粒を配合している急速崩壊錠剤により提供される。第2パルスは、投与4〜6時間後に薬剤を送達するために胃での十分な滞留を確実にする、膨潤性の浸食性マトリックス錠剤である。別の実施形態では、単一の単位剤形が提供され、そこでは、2層錠または3層錠などの2−パルスシステムが単一の単位剤形で送達される。第1活性層は、投与してすぐにオメプラゾールの20mgを送達する。第2活性層(膨潤性で浸食性)は、4〜6時間後に、別の20mgを送達する。両方の活性層は、薬剤の腸溶性ビーズ/顆粒を含む。3層錠について、第3層(膨潤性で浸食性)が、2つの活性層の間にあり、それは第2パルスが送達される前に、胃滞留性を提供するだけのためのポリマーから成る。
【0130】
A.オメプラゾールと他のプロトンポンプ阻害剤(PPIs)
別の態様では、消化不良および他の関連病態(一部の患者での胃酸分泌の有害な影響に関連したGERDと他の病態を含む)を治療するのに適した治療剤の投与方法が提供される。そのような方法による送達に適した活性薬剤は、例えば、PPIsおよびH2−受容体拮抗剤を含む。これらの化合物は、優先的に上部GI管で吸収され、結腸では吸収されず(または最小限、吸収される)、そして肝臓での実質的な初回通過代謝に影響されやすい。
【0131】
本明細書に記述された方法を用いて、投与されるのに適したプロトンポンプ阻害剤は、下記構造式(I)を有するものを含む。
【化1】
[式中、XはCHおよびNから選択され、R1、R2、R3、およびR4は、H、C1−C12アルキル、およびC1−C12ヘテロアルキルから独立して選択される。さらに、適切な場合には、R1、R2、R3、およびR4の各々は、置換されているか、または非置換であり、そこでは、置換基は、ハロ、C1−C12アルキル、部分的に、または、完全にハロゲン化されたC1−C12アルキル、C1−C12ヘテロアルキル、および部分的に、または、完全にハロゲン化されたC1−C12ヘテロアルキルから選択される。式(I)の好ましい実施形態は、例えば、オメプラゾール(X=N、R1=CH3、R2=OCH3、R3=CH3、R4=OCH3)、パントプラゾール(X=N、R1=H、R2=OCH3、R3=OCH3、R4=OCHF2)、ランソプラゾール(X=N、R1=H、R2=OCH2CF3、R3=CH3、R4=H)、ラベプラゾール(X=N、R1=H、R2=OCH2CH2CH2OCH3、R3=CH3、R4=H)、およびレミノプラゾール(X=CH、R1=H、R2=H、R3=N(CH3)CH2CH(CH3)2、R4=H)を含む。単一の鏡像異性体(例えば、エソメプラゾールなど)、および式(I)の構造を有する化合物のラセミ混合物は、また、本開示の範囲内である。さらに、テナトプラゾールの構造などの関連した構造を含む他の構造のPPIs、および無関係な構造のPPIsは、本開示の範囲内である。また、本明細書に記述された剤形に取り込まれ得る他の化合物については、米国特許第5,753,265号(引用によって本明細書に取り込まれる)を参照されたい。さらに一般的には、剤形は初回通過代謝を受け、結腸での吸収が劣るどんな薬剤(例えば、H2拮抗剤)にでも適用できる。
【0132】
プロトンポンプ阻害剤(PPIs)は、初期診療現場での薬物治療で最も一般的に処方されるクラスのうちの1つとなった。1980年代後期のそれらの導入以来、PPIsは、胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍および非ステロイド性抗炎症剤誘発の胃疾患を含むいろいろな、酸による消化性障害の治療を改善した。胃酸関連障害を患う患者の治療でのPPIsの使用は、これらの患者の生活の質の向上、生産性、および全体的な福祉をもたらした。
【0133】
プロトンポンプ阻害剤は胃酸を抑えて逆流物のpHの増加を引き起こすことによるGERDを伴う胸やけの症状の軽減を提供する。このように、GERDの薬物療法の結果は、薬剤の酸抑制効果に依存する。オメプラゾール(置換ベンズイミダゾールのクラスの化合物)は、胃酸分泌を抑制する。オメプラゾールの作用メカニズムは、選択的に体壁の細胞膜酵素(H+、K+)−ATPアーゼ(「プロトンポンプ」)を阻害することである。健常なボランティアと患者での試験結果は、20mg用量で投与されたオメプラゾールは、投薬後2〜6時間で基礎酸分泌量において78%の減少と、投薬後24時間で基礎酸分泌量において50〜80%の減少とを示した。
【0134】
オメプラゾールは、進行中の十二指腸潰瘍の短期治療、進行中の良性胃潰瘍の短期治療、びらん性食道炎の短期治療;GERD関連胸やけと他の症状の治療;びらん性食道炎の治癒の持続;病理学的な分泌過剰状態の長期の治療;およびクラリスロマイシンまたはクラリスロマイシンとアモキシシリンとの併用によるH.pyloriと十二指腸潰瘍疾患を有する患者の治療に対して、市販することが米国では承認されている。
【0135】
徴候的なGERD患者の中には、彼らが日中ほとんど徴候を経験しないが、夜の胸やけに苦しむという点で、PPI療法に部分的に応答性である。基礎酸分泌の減少は、服用してからの時間に依存するので、これらの部分的に応答性の患者は、本明細書に提供される代替の投薬計画から恩恵を受けるべきである。具体的には、患者のGERDを治療する方法が提供され、その方法は、患者にオメプラゾールまたは別のPPIの2−パルス療法(そこでは、剤形が夕食で同時に投与され、そして、第1パルスが剤形摂取後すぐに放出され、第2パルスが剤形摂取後の4から6〜8時間またはそれ以上で放出される)を提供する単一単位用量を患者に投与することを含む。一般的に、オメプラゾールの各々のパルスは、約20mgであり、そして、この剤形の投与は、夕食の30〜60分前に服用される40mgのオメプラゾールの投与などの代替的投与療法と比較して、夜間酸分泌と夜間酸逆流の発生を減少させるはずである。臨床試験におけるこの投薬方法の利点は、以下の実施例1で説明される。
【0136】
GERD治療に関して、本明細書で開示されたパルス型剤形は、1日1回投与を可能にする。例えば、治療を希望する患者は、夕食で1日1回パルス型剤形を服用することができる。初期(すなわち、即時放出)パルスは、夕食の間、およびその直後に、胃酸分泌をコントロールする活性薬剤の医薬的に有効な量を提供する。次に、遅延パルスは、夜の間に活性薬剤の医薬的に有効な量を提供し、それによって夜の胃酸分泌を維持するのを助ける。したがって、遅延パルスは、GERDを治療し、NABを予防または抑制するのを助ける。一般に、PPI療法からの最大限の利益は、PPIsが食事の15〜30分前に服用され、そして、プロトンポンプの食事によって誘発された活性化と多数のポンプの影響の時点での薬剤の最適血中濃度を可能とするときに達成される。1つの実施形態では、活性薬剤はオメプラゾールであり、そして、各剤形のオメプラゾールの総用量は、約1mgと500mgの間であるか、または、約10mgと80mgの間である。
【0137】
オメプラゾールは、結腸では吸収されないか、または最小限、吸収される。さらに、初回通過代謝は、非常に大きいので、生物学的利用能が従来の持続性剤形では本質的に減少する。したがって、本明細書に記述される剤形は、上部GI管で活性薬剤のパルス送達を提供するように設計されている。好ましくは、活性薬剤は、胃の中にある間、および/または胃を離れる直後まで腸溶性コーティングによって保護され、それは十二指腸と小腸で放出される。
【0138】
具体的には、胃滞留性の剤形が好まれる。胃滞留性の特徴は、食物の存在下での錠剤または粒子のサイズに基づく。胃滞留性は、最初に十分に大きいか、あるいは滞留を促進するサイズに膨潤する剤形を有することによって達成される。膨潤はポリエチレンオキシドまたはHPMCなどの親水性ポリマーを用いることにより達成され、そしてまた、膨潤を促進するか、または浮力を増加させるようにガスを発生させる薬剤を必ずしも必要ではないが含んでもよい。
【0139】
場合により、剤形は粒子(例えば、ビーズまたはペレット)形で、酸保護されたオメプラゾールの初期パルスを放出する。酸の保護は、腸溶性コーティングまたは遅延放出コーティングから、または塩基を初期放出製剤に含ませることにより生じる。通常、初期パルスは、活性薬剤の即時放出を提供し、そして、PPIの即時放出投与のための任意の適切な方法が使用されてもよい。オメプラゾールおよび他のPPIの酸に対する不安定な性質は、初期パルスを処方するとき、考慮されなければならない。当業者により理解されるように、いくつかの異なる方法が、活性薬剤の初期(すなわち、即時性の)パルスを得るために使用されてもよい。前のセクションで、そして、下記の実施例で記述される剤形は、GERDの治療のためと、NABの発生の頻度を予防または減少させるためのオメプラゾールと他のPPIsの投与のために理想的に適している。
【0140】
B.他の薬剤
本明細書に記述される投与方法と剤形は、また、PPIs以外の治療剤(GERDと関連した病態以外の病態の治療にふさわしい薬剤と活性薬剤を含む)にも適していると当業者に認識されるであろう。そのような治療剤は、経口経路によって一般に投与されるもの、経口投与が望ましい場合のもの、そして経口経路によって以前に投与されなかったが、本明細書に記述される方法および剤形を使用する経口経路を経る送達から利益を得るものを含む。
【0141】
1つの実施形態では、本明細書に記述される剤形は、初期通過代謝による、下部GI管での減少した吸収と減少した生物学的利用能を有する薬剤に対して使用される。肝臓代謝は、これらのやや溶けにくい薬剤を、腎クリアランスを経由してそれらを排除するためにより極性とし、薬剤の劣った溶解度は、上部GI管での適切な吸収には余りにも不足するので、やや溶けにくい薬剤は、特に、こうした吸収の問題の両方に悩まされる。やや溶けにくい、下記に記載した実施例中の任意の剤形は、本明細書に記述された剤形での投与から恩恵を受けることが想定される。
【0142】
本明細書に記述される剤形に用いられる活性薬剤は、抗菌剤、抗糖尿病薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗けいれん薬、CNSおよび呼吸刺激薬、神経弛緩薬、催眠薬および鎮静薬、抗不安薬および精神安定薬、抗悪性腫瘍剤を含む他の制ガン剤、抗高脂血症薬、抗高血圧薬、循環器官用製剤、抗ウイルス剤、性ステロイド、ムスカリン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、および高分子活性薬剤(例えば、DNA、RNA、タンパク質、およびペプチド系薬剤)を含む。これらの活性薬剤のいくつかの例を以下に提供する。
【0143】
本明細書で記述される剤形で有用な鎮痛薬は、例として、非オピオイド系鎮痛薬(例えば、アパゾン、エトドラク、ジフェンピラミド、インドメタシン、メクロフェナメート、メフェナム酸、オキザプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、およびトルメチンなど);およびオピオイド系鎮痛薬(例えば、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ドロコード、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、スフェンタニル、およびトラマドールを含む。本明細書で記述される剤形での使用について考慮されるさらなる鎮痛薬は、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)を含む。剤形に有用な、適切な市販のオピオイド系鎮痛薬剤の例としては、PERCOCET(登録商標)(オキシコドン;Dupont Merck Pharmaceuticals,Wilmington,DE)、ULTRACET(登録商標)(トラマドール;Johnson&Johnson,New Brunswick,N.J.)、およびCLONOPIN(登録商標)(クロナゼパム;Hoffmann−LaRoche,Nutley,N.J.)が挙げられる。鎮痛薬の組合せは、単一剤形で、例えば、非オピオイド系鎮痛薬との併用によるオピオイド系鎮痛薬を使用することができることは理解されるであろう。ヒドロコドンまたはヒドロモルフォンと、イブプロフェンまたはアセトアミノフェンとの組み合わせは、そのような併用の代表例である。
【0144】
剤形に役立つ抗悪性腫瘍剤を含む抗ガン剤は、例として、パクリタキセル、ドセタキセル、カンプトテシンならびにその類似体および誘導体(例えば、9−アミノカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、10−ヒドロキシ−カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、20−O−β−グルコピラノシルカンプトテシン)、タキサン類(バッカチン類、セファロマンニンおよびそれらの誘導体)、カルボプラチン、シスプラチン、インターフェロン−α2A、インターフェロン−α2B、インターフェロン−αN3およびインターフェロンファミリーの他の薬剤、レバミゾール、アルトレタミン、クラドリビン、トレチノイン、プロカルバジン、ダカルバジン、ゲンシタビン、ミトタン、アスパラギナーゼ、ポルフィマー、メスナ、アミフォスチン、有糸分裂阻害薬(例えば、テニポシドおよびエトポシドなどのポドフィロトキシン誘導体を含む)およびビンカアルカロイド類(例えば、ビノレルビン、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含む)が挙げられる。
【0145】
剤形に有用な抗けいれん薬(抗てんかん薬)としては、例として、アセタゾラミド(azetazolamide)、カルバマゼピン、クロナゼパム、クロラゼプ酸塩、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、ラモトリジン、メフェニトイン、メフォバルビタール、フェニトイン、フェノバルビタール、プリミドン、トリメタジオン、ビガバトリン、トピラマート、およびベンゾジアゼピン類が挙げられる。ベンゾジアゼピン類は、よく知られているように、不安、不眠、および悪心を含む多数の適応症に有用である。剤形に有用な適切な市販品の抗痙攣薬の例としては、TEGRETOL(登録商標)(カルバマゼピン;Novartis,Summit,N.J.)、DILANTIN(登録商標)(Pfizer Inc.,New York,N.Y.)およびLAMICTAL(登録商標)(ラモトリジン(GlaxoSmithKline,Philadelphia,PA)が挙げられる。
【0146】
剤形に有用な抗うつ薬は、例として、3環系抗うつ薬LIMBITROL(登録商標)(アミトリプチリン;Hoffmann−LaRoche,Nutley,N.J.)、TOFRANIL(登録商標)(イミプラミン;Tyco Healthcare,Mansfiled,MA)、ANAFRANIL(登録商標)(クロミプラミン;Tyco Healthcare,Mansfiled,MA)、およびNORPRAMIN(登録商標)(デシプラミン;Sanofi−Aventis,Bridgewater,N.J.)を含む。
【0147】
剤形に有用な抗糖尿病薬は、例として、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリクラジド、グリピジド、グルカゴン、グリブリド、ミグリトール、ピオグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トリアムプテリン、およびトログリタゾンが挙げられる。
【0148】
剤形に有用な抗高脂血症薬は、例として、脂質低下剤または「高脂血症」薬を含み、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、およびセリバスタチンなど)、ならびに他の脂質低下剤(例えば、クロフィブレート、フェノフィブレート、ゲムフィブロジルおよびタクリンなど)が挙げられる。
【0149】
剤形に有用な抗高血圧薬は、例として、アムロジピン、ベナゼプリル、ダロジピン、ジルチアゼム、ドキサゾシン、エナラプリル、エポサルタン、エスモロール、フェロジピン、フェノルドパム、フォシノプリル、グアナベンズ、グアナドレル、グアネチジン、グアンファシン、ヒドララジン、ロサルタン、メチロシン、ミノキシジル、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、フェノキシベンズアミン、プラゾシン、キナプリル、レセルピン、テラゾシン、およびバルサルタンが挙げられる。
【0150】
剤形に有用な抗炎症薬は、例として、プロピオン酸誘導体などの非ステロイド系抗炎症剤(例えば、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ベノキサプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、ブチブフェン、およびフェンブフェン;アパゾン;ジクロフェナク;ジフェンピラミド;ジフルニサル;エトドラク;インドメタシン;ケトロラク;メクロフェナメート;ナブメトン;フェニルブタゾン;ピロキシカム;スリンダク;およびトルメチンなど)、およびステロイド系抗炎症剤[例えば、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン−21−モノエステル類(例えば、ヒドロコルチゾン−21−アセテート、ヒドロコルチゾン−21−ブチレート、ヒドロコルチゾン−21−プロプオネート、ヒドロコルチゾン−21−バレレートなど)、ヒドロコルチゾン−17,21−ジエステル類(例えば、ヒドロコルチゾン−17,21−ジアセテート、ヒドロコルチゾン−17−アセテート−21−ブチレート、ヒドロコルチゾン−17,21−ジブチレートなど)、アルクロメタゾン、デキサメタゾン、フルメタゾン、プレドニゾロン、およびメチルプレドニゾロンなど]が挙げられる。
【0151】
剤形に有用な抗菌薬は、例として、以下が挙げられる:テトラサイクリン系抗生物質および関連化合物(クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、ロリテトラサイクリン);マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、およびアジスロマイシン);ストレプトグラミン系抗生物質(例えば、キヌプリスチンおよびダルフォプリスチン);β−ラクタム系抗生物質{ペニシリン類(例えば、ペニシリンG、ペニシリンVK)、抗ブドウ球菌ペニシリン類(例えば、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、およびオキサシリン)、広域抗菌スペクトルペニシリン類[例えば、アミノペニシリン類(例えば、アンピシリンおよびアモキシリンなど)、および抗緑膿菌ペニシリン類(例えば、カルベニシリンなど)]、およびセファロスポリン類(例えば、セファドロキシル、セフェピム、セファレキシン、セファゾリン、セフォキシチン、セフォテタン、セフロキシム、セフォタキシム、セフタジジム、およびセフトリアキソンなど)、およびカルバペネム類(例えば、イミペネム、メロペネム、およびアズトレオナム)を含む};アミノ配糖体系抗生物質(例えば、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、およびネオマイシンなど);グリコペプチド系抗生物質(例えば、テイコプラニンなど);スルホンアミド系抗生物質(例えば、スルファセタミド、スルファベンズアミド、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメチゾール、およびスルファメトキサゾールなど);キノロン系抗生物質(例えば、シプロフロキサシン、ナリジクス酸、およびオフロキサシンなど);抗マイコバクテリア薬(例えば、イソニアジド、リファンピン、リファブチン、エタンブトール、ピラジンアミド、エチオナミド、アミノサリチル酸、およびサイクロセリンなど);全身性抗真菌剤(例えば、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、およびアンホテリシンBなど);抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル、ファムシクロビル(famcicylovir)、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、ビダラビン、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アマンタジン、インターフェロンα、リバビリン、およびリマンタジン);ならびに種々雑多の抗菌剤(例えば、クロラムフェニコール、スペクチノマイシン、ポリミキシンB(コリスチン)、バシトラシン、ニトロフラントイン、マンデル酸メテナミン、および馬尿酸メテナミンなど)。
【0152】
剤形に有用な抗ウイルス剤は、例として、抗ヘルペス剤(アシクロビル、ファムシクロビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、およびビダラビンなど);抗レトロウイルス剤(ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、およびジドブジンなど);および他の抗ウイルス剤(例えば、アマンタジン、インターフェロンα、リバビリンおよびリマンタジンなど)が挙げられる。
【0153】
剤形に有用な抗不安薬および精神安定薬としては、例として、ベンゾジアゼピン類(例えば、アルプラゾラム、ブロチゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、デモキセパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルマゼニル、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラムなど)、ブスピロン、クロルジアゼポキシド、およびドロペリドールが挙げられる。
【0154】
剤形に有用な、利尿薬と併用できる心臓の薬剤は、例として、アミオダロン、アムロジピン、アテノロール、ベプリジル、ビソプロロール、ブレチリウム、カプトプリル、カルベジロール、ジルチアゼム、ジソピラミド、ドフェチリド、エナラプリラート、エナラプリル、エンカイニド、エスモロール、フレカイニド、フォシノプリル、イブチリド、イナムリノン、イルベサルタン、リドカイン、リシノプリル、ロサルタン、メトロプロロール、ナドロール、ニカルジピン、ニフェジピン、プロカインアミド、プロパフェノン、プロプラノロール、キナプリル、キニジン、ラミプリル、トランドラプリル、およびベラパミルが挙げられる。
【0155】
剤形に有用な心血管薬は、例として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、強心配糖体、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬、抗不整パルス薬、心臓保護薬、およびアンジオテンシンII受容体遮断薬を含む。薬剤の前記クラスの例としては、以下のものを含む:例えば、エナラプリル、1−カルボキシメチル−3−1−カルボキシ−3−フェニル−(1S)−プロピルアミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−(3S)−1−ベンズアゼピン−2−オン、3−(5−アミノ−1−カルボキシ−1S−ペンチル)アミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−3S−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸または3−(1−エトキシカルボニル−3−フェニル−(1S)−プロピルアミノ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−(3S)−ベンズアゼピン−1−酢酸1塩酸塩;強心配糖体(例えば、ジゴキシンおよびジギトキシンなど);変力剤(例えば、アムリノンおよびミルリノンなど);カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニモジピン、ベプリジル、アムロジピンおよびジルチアゼムなど);β遮断薬(例えば、アテノロール、メトプロロール;ピンドロール、プロパフェノン、プロプラノロール、エスモロール、ソタロール、チモロール、およびアセブトロールなど);抗不整パルス薬(例えば、モリシジン、イブチリド、プロカインアミド、キニジン、ジソピラミド、リドカイン、フェニトイン、トカイニド、メキシレチン、フレカイニド、エンカイニド、ブレチリウムおよびアミオダロンなど);および心保護剤(例えば、デクスラゾキサゾンおよびロイコボリンなど);血管拡張薬(例えば、ニトログリセリンなど);およびアンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、ロサルタン、ヒドロクロロチアジド、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エポサルタン、およびバルサルタンなど)。
【0156】
剤形に有用なCNSおよび呼吸刺激薬は、例として、キサンチン類(例えば、カフェインおよびテオフィリンなど);アンフェタミン類(例えば、アンフェタミン、塩酸ベンズフェタミン、デキストロアンフェタミン、硫酸デキストロアンフェタミン、レバンフェタミン、塩酸レバンフェタミン、メタンフェタミン、および塩酸メタンフェタミンなど);および種々雑多の刺激薬(例えば、メチルフェニデート、塩酸メチルフェニデート、モダフィニル、ペモリン、シブトラミン、および塩酸シブトラミンなど)が挙げられる。
【0157】
剤形に有用な催眠剤および鎮静薬は、例として、クロメチアゾール、エチナメート、エトミデート、グルテチミド、メプロバメート、メチプリロン、ゾルピデム、およびバルビツレート類(例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール(apropbarbital)、ブタルビタール、メフォバルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、チオペンタールを含む。
【0158】
剤形に有用なムスカリン受容体作動薬および拮抗薬は、例として、以下のものを含む:コリンエステル類[例えば、アセチルコリン、メタコリン、カルバコール、ベタネコール(カルバミルメチルコリン)、塩化ベタネコール、コリン模倣性天然アルカロイドおよびそれらの合成類似体(ピロカルピン、ムスカリン、McN−A−343、およびオキソトレモリンを含む)]。ムスカリン受容体拮抗薬は、一般には、ベラドンナアルカロイド類またはそれらの半合成もしくは合成類似体(例えば、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ホマトロピンメチルブロマイド、イプラトロピウム、メタンテリン、メトスコポラミン、およびトリトロピウムなど)。
【0159】
剤形に有用な神経弛緩薬は、例として、抗うつ薬、抗躁薬、および抗精神病薬が挙げられ、ここで、抗うつ薬としては、(a)3環系抗うつ薬(例えば、アモキサピン、アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、およびトリミプラミンなど)、(b)セロトニン再取り込み阻害剤(シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、およびベンラファキシンなど)、(c)モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、フェネルジン、トラニルシプロミン、および(−)−セレギリンなど)、ならびに(d)他の「異型の」抗うつ薬(例えば、ネファゾドン、トラゾドン、およびベンラファキシンなど)が挙げられ、そしてここで抗躁薬および抗精神病薬としては、(a)フェノチアジン類(例えば、アセトフェナジン、マレイン酸アセトフェナジン、クロルプロマジン、塩酸クロルプロマジン、フルフェナジン、塩酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、メソリダジン、ベシル酸メソリダジン、ペルフェナジン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、トリフルオペラジン、および塩酸トリフルオペラジンなど)、(b)チオキサンテン類(例えば、クロルプロチキセン、チオチキセン、および塩酸チオチキセンなど)、ならびに(c)他の複素環式薬(例えば、カルバマゼピン、クロザピン、ドロペリドール、ハロペリドール、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、モリンドン、塩酸モリンドン、オランザピン、ピモジド、ケチアピン、リスペリドン、およびセルチンドールなど)が挙げられる。
【0160】
剤形に有用なペプチド系薬剤は、例として、ペプチド系ホルモンを含み、それは、アクチビン、アミリン、アンジオテンシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、カルシトニンN末端フランキングペプチド、毛様体神経栄養因子(CNTF)、コルチコトロピン(副腎皮質刺激ホルモン、ACTH)、コルチコトロピン放出因子(CRFまたはCRH)、上皮成長因子(EGF)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ガストリン、ガストリン阻害ペプチド(GIP)、ガストリン放出ペプチド、ゴナドトロピン放出因子(GnRFまたはGNRH)、成長ホルモン放出因子(GRF、GRH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCH)、インヒビンA、インヒビンB、インスリン、黄体化ホルモン(LH)、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)、α−メラニン細胞刺激ホルモン、β−メラニン細胞刺激ホルモン、γ−メラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、モチリン、オキシトシン(ピトシン)、膵ポリペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)、胎盤性ラクトゲン、プロラクチン(PRL)、プロラクチン放出阻害因子(PIF)、プロラクチン放出因子(PRF)、セクレチン、ソマトトロピン(成長ホルモン、GH)、ソマトスタチン(SIF、成長ホルモン放出阻害因子、GIF)、サイロトロピン(甲状腺刺激ホルモン、TSH)、サイロトロピン放出因子(TRHまたはTRF)、サイロキシン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、およびバソプレシンを含む。他のペプチド系薬剤は、サイトカイン類、例えば、コロニー刺激因子4、ヘパリン結合神経栄養因子(HBNF)、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンα−n3、インターフェロンβなど、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6など、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子−α、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子、ミッドカイン(MD)、およびサイモポイエチンである。本発明のシステムを用いて有利に送達され得るさらに他のペプチド系薬剤としては、以下のものが挙げられる:エンドルフィン類(例えば、デルモルフィン、ダイノルフィン、α−エンドルフィン、β−エンドルフィン、γ−エンドルフィン、σ−エンドルフィン、[Leu5]エンケファリン、[Met5] エンケファリン、サブスタンスP)、キニン類(例えば、ブラジキニン、ポテンシエータB、ブラジキニンポテンシエータC、カリジン)、LHRH類似体(例えば、ブセレリン、デスロレリン、フェルチレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ロイプロリド、ルトレリン、ナファレリン、トリプトレリン)、および凝固因子(例えば、α1−アンチトリプシン、α2−マクログロブリン、アンチトロンビンIII、第I因子(フィブリノーゲン)、第II因子(プロトロンビン)、第III因子(組織プロトロンビン)、第V因子(プロアクセレリン)、第VII因子(プロコンベルチン)、第VIII因子(抗血友病グロブリンまたはAHG)、第IX因子(クリスマス因子、血漿トロンボプラスチン成分またはPTC)、第X因子(Stuart−Power因子)、第XI因子(血漿トロンボプラスチン前駆体またはPTA)、第XII因子(Hageman因子)、ヘパリン補因子II、カリクレイン、プラスミン、プラスミノーゲン、プレカリクレイン、プロテインC、プロテインS、およびトロンボモジュリンならびにそれらの組み合わせ。
【0161】
剤形に有用な性ステロイド類は、例として、プロゲストーゲン類(例えば、アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、シプロテロン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ジヒドロゲステロン、ジメチステロン、エチステロン(17α−エチニルテストステロン)、2酢酸エチノジオール、酢酸フルロゲストン、ゲスタデン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、3−ケトデソゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、ノルメチステロン、およびプロゲステロン)を含む。また、この一般的なクラスには、エストロゲン類例えば、エストラジオール(すなわち、1,3,5−エストラトリエン−3,17β−ジオール、または「17β−エストラジオール」)およびそのエステル(エストラジオールベンゾエート、エストラジオールバレレート、エストラジオールシピオネート、エストラジオールヘプタノエート、エストラジオールデカノエート、エストラジオールアセテート、およびエストラジオールジアセテートを含む);17α−エストラジオール;エチニルエストラジオール(すなわち、17α−エチニルエストラジオール)、ならびにそれらのエステルおよびエーテル(エチニルエストラジオール3−アセテートおよびエチニルエストラジオール3−ベンゾエートを含む);エストリオールおよびコハク酸エストリオール;ポリエストロールホスフェート;エストロンならびにそのエステルおよび誘導体(酢酸エストロン、硫酸エストロン、および硫酸ピペラジンエストロンを含む);キネストロール;メストラノール;および結合型ウマエストロゲン)を含む。アンドロゲン剤(これもまた、性ステロイドの一般的なクラス内に含まれる)は、天然に存在する以下のアンドロゲン類などの薬剤である:アンドロステロン、酢酸アンドロステロン、プロピオン酸アンドロステロン、安息香酸アンドロステロン、アンドロステンジオール、アンドロステンジオール−3−アセテート、アンドロステンジオール−17−アセテート、アンドロステンジオール−3,17−ジアセテート、アンドロステンジオール−17−ベンゾエート、アンドロステンジオール−3−アセテート−17−ベンゾエート、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA:「プラステロン」とも呼ばれる)、デヒドロエピアンドロステロン硫酸ナトリウム、4−ジヒドロテストステロン(DHT:「スタノロン」とも呼ばれる)、5α−ジヒドロテストステロン、ドロモスタノロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エチルエストレノール、ナンドロロンフェンプロピオネート、ナンドロロンデカノエート、ナンドロロンフリルプロピオネート、ナンドロロンシクロヘキサンプロピオネート、ナンドロロンベンゾエート、ナンドロロンシクロヘキサンカルボキシレート、オキサンドロロン、スタノゾロールおよびテストステロン;テストステロンおよび4−ジヒドロテストステロンの医薬的に許容されるエステル類、代表的なエステルは、C−17位に存在するヒドロキシル基から形成され、以下を包含するが、これらに限定されない:エナンテート、プロピオネート、シピオネート、フェニルアセテート、アセテート、イソブチレート、ブシクレート、ヘプタノエート、デカノエート、ウンデカノエート、カプレート、およびイソカプレートエステル;およびテストステロンの医薬的に許容される誘導体(例えば、メチルテストステロン、テストラクトン、オキシメトロンおよびフルオキシメステロン)。
【0162】
適切である場合は、本明細書で記述された任意の活性薬剤は、塩、エステル、アミド、プロドラック、抱合体、活性代謝物、異性体、断片、類似体、または同様のものの形態で投与されてよい。但し、塩、エステル、アミド、プロドラック、抱合体、活性代謝物、異性体、断片、または類似体が、本文脈中で、医薬的に許容され、そして薬理学的に活性である限りにおいてである。薬剤の塩、エステル、アミド、プロドラック、抱合体、活性代謝物、異性体、断片、または類似体は、有機合成化学の分野の当業者に公知の標準的手順、およびJ.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure,5th Edition(New York:Wiley−Interscience,2001)に記載された標準的手順により製造することができる。例えば、適切である場合は、本明細書に記述された任意の化合物は、プロドラックの形態であってもよい。プロドラックは、活性薬剤への変換を必要とする。そのような変換は、例えば、酸によるプロトン化を含むことができる。ほとんどのPPIsは、壁細胞によって分泌された後の小管の酸性環境で活性型に変換されるプロドラックである。
【0163】
適切である場合は、本明細書で記述された任意の化合物は、医薬的に許容される塩の形態であってよい。医薬的に許容される塩は、任意の医薬的に許容される有機酸もしくは塩基、任意の医薬的に許容される無機酸もしくは塩基、またはそれらの組み合わせであってよい。塩を製造するのに使用される酸または塩基は、天然に存在するものであってよい。
【0164】
酸付加塩を製造するための適切な有機酸としては、例えば、C1−C6アルキルおよびC6−C12アリールカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、グリコール酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、サリチル酸、フタル酸、およびテレフタル酸)、ならびにアリールおよびアルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸など)が挙げられる。酸付加塩を製造するための適切な無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、および燐酸などが挙げられる。酸付加塩は、適切な塩基との処理により遊離の塩基に再変換することができる。
【0165】
塩基付加塩を製造するための適切な塩基としては、例えば、1級、2級および3級アミンを含み、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N、N−ジベンジルエチレンジアミン、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、およびポリアミン樹脂、環状アミン(例えば、カフェイン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、およびプリンなど)、ならびにアミン類の塩(例えば、ベタイン、コリン、およびプロカインなど)が挙げられる。塩基付加塩を製造するための適切な無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、鉄(III)、鉄(II)、アルミニウム、リチウム、マグネシウム、または亜鉛由来の塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)が挙げられる。塩基付加塩は、適切な酸との処理により遊離の酸に再変換することができる。
【0166】
活性薬剤の他の誘導体と類似体は、有機合成化学の当業者に知られている標準的方法を使用することで製造されるか、または適切な文献を参照して推定することができる。さらに、キラル活性薬剤は、異性体的に純粋な形態であるか、またはそれらは、異性体のラセミ混合物として投与されてもよい。
【0167】
本明細書で記述される任意の化合物は、本明細書で記述されるような製剤中の活性薬剤とすることができる。製剤は、活性薬剤および本明細書で記述された薬剤の1つ、2つ、3つ、または3つより多くを含むことができ、また、本明細書で列挙されていない1つ以上の活性薬剤を含むこともできる。
【0168】
剤形または方法が、別の薬剤(例えば、第2の鎮痛剤、抗けいれん剤、抗うつ剤など)の投与と組み合わせて使用するか、または実施されるときは、さらなる薬剤は、さまざまな剤形(例えば、錠剤、カプセル、経口懸濁液、およびシロップ)の商業ソースから得ることができる。さらなる薬剤は、分離した剤形として投与することが可能であり、またはさらなる薬剤を含む本発明の胃滞留性剤形が、使用されてもよい。
【0169】
多くの代表的な態様と実施形態が上に記載されてきたが、当業者は、特定の変更、順序の変更、追加、およびそれらの下位の組み合わせを認識するであろう。したがって、添付の請求項および以下に紹介される請求項は、そのようなすべての特定の変更、順序の変更、追加、およびそれらの下位の組み合わせが、それらの本当の精神と範囲の中にあるものとして含まれるものと解釈されることを意図するものである。
【実施例】
【0170】
以下の実施例は、本来例示的なものであって、決して制限することを意図するものではない。
【0171】
実施例1
GERDの治療方法およびNABの予防または減少方法
オメプラゾールの制限された結腸吸収を証明するため試験が実施された。9人の健常な被験者が、少なくとも6人の被験者は治療を終了するという意図をもって試験に参加した。試験は、以下の投与用量での4通りの交差試験であった:(i)模擬制御放出(SCR):20mgのオメプラゾールは、17用量に分割され、摂食状態で、30分間隔(送達の8時間)で投与された;(ii)摂食状態での20mgのオメプラゾール;(iii)絶食状態での20mgのオメプラゾール;および(iv)20mgのオメプラゾールがENTERION(登録商標)カプセルによって上行結腸に送達された(薬物の放出を制御する放射能制御カプセル;GI管の位置は、シンチグラフィで測定される)。ウォッシュアウト(休薬期間)のための少なくとも4日の期間が、投薬の間で認められた。
【0172】
7人の被験者が、試験を完了した。表1は、投薬期間の間に採取した血液サンプルからの血漿薬物濃度から決定された薬物動態学的パラメータの平均±SDを記載する。
【表1】
【0173】
表1に見られるように、絶食状態のときに、薬剤用量を服用した患者に比べて、結腸に送達されたとき、またはSCRでは、オメプラゾールの生物学的利用能に統計学的に有意な減少があった。対照的に、オメプラゾールが摂食状態で患者に投薬されたときは、絶食状態と比べて、統計学的に有意な差はなかった。実際、もし被験者のうちの1人が解析から取り除かれるならば、摂食状態の相対的な生物学的利用能は、絶食状態と比較して、96±7%であった。ENTERIONカプセルは、被験者のうちの1人で、回腸終末部で活性化され、したがって、この被験者は、結腸吸収試験パラメータに包含されなかった。しかし、絶食状態と比較した相対的な生物学的利用能は、この被験者で58%であり、これは回腸終末部でのオメプラゾールの良好な吸収を示した。
【0174】
この試験の成績は、オメプラゾールは結腸で実質的に吸収されないので、オメプラゾールの送達は、小腸を標的としなければならないことを示す。SCR投薬集団において達成されるように、制御放出療法でのオメプラゾールの投与は、生物学的利用能を低下させた。これは初回通過代謝によるもののようであり、そして、オメプラゾールの徐放性製剤がNABを抑制するために十分なレベルを提供しそうにないことを示す。絶食と摂食の薬物動態学的パラメータは、有意に差はなかったが、これは、オメプラゾールをどちらの状態でも与えることができることを示した。データは、NABがオメプラゾールの2−パルス送達を提供する剤形で抑制されることができるという結論を支持する。そのような剤形は、好ましくは夕食と一緒に服用され、そして、第1パルスがすぐに放出される。このパルスは、食事によって活性化されるプロトンポンプを阻害する。剤形の全体または一部は、剤形の摂取の4〜6時間後に、第2パルスの放出のために胃の中に保持される。このように、NABが起こるとき、オメプラゾールの有効濃度は、プロトンポンプが夜に活性となる時間に提供される。
【0175】
実施例2
GERDおよび/またはNABの治療方法
PPIsを服用した後、少なくとも3ヵ月間、夜間の逆流を有する患者を含む18才から65才の間のGERD患者の無作為化オープンラベル(非盲検試験)の2期クロスオーバー(交差)試験が実施されてGERDおよび/またはNABを治療するための2−パルス投薬療法の有効性を証明した。GERDの病歴を有する16人の患者(プロトンポンプ阻害剤を服用している間、その患者全員は少なくとも3ヵ月の間、再発する夜間逆流を経験した)が登録された。試験は、オープンラベルのクロスオーバー試験であったが、そこでは、16人の患者のうちの14人が、休薬期間により分離された2つの治療集団の各々に参加した。1つの治療集団では、患者は6日間、夕食の30分前に、40mgのオメプラゾールを投与された。他の治療集団では、患者は6日間、夕食で20mgのオメプラゾール、4時間後にさらに20mgのオメプラゾールを投与された。携帯式で24時間、胃のpHが記録され、そして、血液サンプルが6〜7日目にPK分析のために採取された。7日間の休薬期間の後、患者は代替治療に交差された。NABは、22:00時と06:00時(午後10時00分と午前6時00分)の間の1時間より長時間、胃内のpHが<4であると定義された。
【0176】
患者から採取された血液サンプルは、オメプラゾール濃度について分析された。データは、試験の2つの用量集団を完了した14人の患者のうちの9人が、薬剤の摂取後すぐにオメプラゾールの最初の20mg用量を吸収し始めたことを示した。図7Aで見られるように、これらの9人の患者も4時間間隔でオメプラゾールの2用量の投与と一致したオメプラゾール吸収プロファイルを示した。患者のうちの9人全て(100%)は、NABの抑制を経験した。
【0177】
図7Bで見られるように、14人の患者のうちの5人(36%)は、最初の20mg用量の投与後の4〜5時間までは、オメプラゾールの吸収を始めなかった。それらの患者のうちの5人すべてが、NABを経験した。血漿オメプラゾール曲線下面積(AUC)(下記の表2で示される)により測定されたオメプラゾールへの曝露が、図7Aの吸収プロファイルと図7Bの吸収プロファイルを有する患者で同等であったので、後者の患者群ではオメプラゾールのペレットを排出することの遅れ(すなわち、NABを経験した5人の被験者)があったように見える。実際に、最近の研究は、GERD患者の約40%(これは、2パルスPKプロファイルを示さなかった患者で観察されたのと類似した割合(36%))が、胃排出を遅らせたことを示した(Neurogastroenterol Motil,18:894(2006))。
【表2】
【0178】
40mgの単回投与治療集団では、試験を完了した全14人の患者は、摂取後すぐに単回40mg用量を吸収し始めた。患者のうちの3人は、NABを経験した。
【0179】
要約すると、2パルス吸収プロファイルを示した9人の被験者すべてが、NABを経験しなかった。したがって、2パルス用量(夕食時の第1用量と4〜6時間後の第2用量)として送達されたオメプラゾールは、酸の逆流と結果として生じるNABをコントロールした。オメプラゾールのペレットは、1.3±0.1mmの平均±SD直径を有する。胃排出遅延がある被験者では、食事の大部分が排出されるまで、このサイズは保持されるであろう。したがって、胃排出遅延を有するGERD患者で2パルスを送達するために、0.5〜0.7mmの直径を有するオメプラゾールビーズが好まれる。
【0180】
試験の目的は、夕食でのオメプラゾールの用量と夕食後4時間での第2用量が、NAB(それは、一般的に晩遅く、そして早朝の時間に起こる)の発生率を減らすかどうかを測定することであった。最初の治療手段では、2パルス送達メカニズムをシミュレーションするために、患者は、夕食と共にオメプラゾールの20mgを服用し、4時間後に第2用量の20mgを服用した。これらの患者のうちの9人は、オメプラゾールの両方の用量から血中レベルを達成し、このように、この2パルスのプルーフ・オブ・コンセプト試験について有用なデータ、つまりNABを誰も経験しなかったことを提供した。試験の比較集団では、患者は夕食の30分前に、40mgのオメプラゾールを服用した。この治療群において、3人の患者がNABを経験し、そして、彼らのうち3人すべてが、オメプラゾールの血中レベルの検出不能なレベルまでの低下を午前2時から午前3時の間で有した。このように、試験の両方の集団からの結果は、NABを阻害するためには、オメプラゾールの十分な血中レベルを維持することの必要性を証明している。
【0181】
オメプラゾールのS−鏡像異性体(エソメプラゾール)の胃滞留性製剤は、予想通り摂取のおよそ4時間後に、オメプラゾールを送達することができる。したがって、NABを防ぎながらGERDを治療する方法が考えられる。1つの実施形態では、本方法は、エソメプラゾールを含むPRILOSECなどの即時放出剤形、または別のPPIの等価の剤形を夕食で同時に患者に投与することにより、そして就寝時にオメプラゾールのS−鏡像異性体の胃滞留性形態または等価のPPIを投与することにより実施することができる。別の実施形態では、本方法は、夕食で同時に2パルス(1つは、夕食の間または夕食後にGERDから保護し、他方は、夜間のNABから保護するために剤形の摂取から離れた時間に胃まで送達される)を提供する剤形を投与することによって行われる。
【0182】
実施例3
シェル/コア錠剤
1つの実施形態では、剤形が遅延後(摂取の時間と比較して)のパルス(場合により、薬剤は酸保護されたPPIである;酸保護されたPPIは、腸溶性または遅延放出コーティングされた粒子、ビーズまたはペレット、あるいはまた塩基を含むビーズまたはペレットであることができる)で薬剤を放出するような、コーティングまたはシェルで囲まれた薬剤を含む錠剤またはペレットにより生じる薬剤放出の遅滞パルスを提供する剤形が提供される。この剤形は、「圧縮コーティングされた」錠剤または「シェル/コア」錠剤と呼ぶことができる。この実施例は、約1時間から12時間の間で予め選ばれた期間の間、薬剤の胃貯留を促進し、薬剤の放出を遅らせるように設計された浸食性で膨潤性の層で囲まれた薬剤含有コアから成る剤形を説明する。剤形中の薬剤がオメプラゾールまたは別の酸に不安定な薬剤であるならば、そのときには、薬剤含有粒子は、胃に存在する酸性条件から、腸溶性の保護ポリマーコーティングで保護することができる。この実施例で例示される剤形では、薬剤含有コアは、浸食性で膨潤性のコーティングの浸食の後ですぐに放出(即時放出(IR)の様式で)され、次いで、薬剤含有の腸溶性コーティングされた複数のビーズ(例えば、図2に関して記述されたビーズ;これは医薬賦形剤のマトリックス中のコア錠剤に圧縮された)を使用することによって、薬剤は、剤形からのこの即時放出バースト後まもなく胃から放出される。
【0183】
パルス送達に加えて、薬剤を膨潤性で浸食性のポリマーと共にコア中に配合することにより、典型的な徐放性様式で薬剤を送達することができる剤形を提供することも、また、想定される。シェルが膨潤するにつれて、薬剤は、シェルから拡散するか、またはポリマーが浸食されるにつれて、薬剤の水への溶解度に依存して放出される。
【0184】
剤形に水分をもたらすそれらの能力について選択された多価アルコール賦形剤(特にXylitab 300(顆粒化キシリトール、Danisco A/S、コペンハーゲン、デンマーク))を含む製剤を用いて、圧縮されていないオメプラゾールを含有するビーズの耐酸性をコアに圧縮されたビーズと比較する試験では、より高い薬剤損失(オメプラゾール遅延放出カプセルに対するUSP研究論文に記載された耐酸性の導出により試験されるように)が、何ら圧縮されなかったものよりも、コア錠剤に圧縮された製剤に関して観察された。これらの試験は、いくらかの腸溶性の保護が、圧縮の過程で失われたことを示した。この損失は完全なものではなかったし、そして、圧縮形態を意図した目的のためにまだ使用することができたが、その後の仕事は、(1)コア錠剤圧縮によるひび割れから、ビーズ上の腸溶性コーティングを保護する、(2)適切な硬度(3キロポンド(kp))の最適・最小限)を供給する、(3)USP崩壊試験器を使用して、測定されるような即時放出(30分未満で溶解する錠剤)を示す、および(4)シェルをコアに圧縮する際の、浸食性で膨潤性のシェルのひび割れを引き起こさない、賦形剤の混合物を見つけることに集中した。
【0185】
錠剤は、典型的な錠剤圧縮機(例えば、Saint Charles,MOのNatoli Engineeringなどによって供給された)を使用して製造され、典型的な錠剤プレス(例えば、Carver Autopress C(Fred Carver,Inc.Wabash,IN)など)を使用して圧縮された。最初の仕事は、コアを囲むポリマーPolyox(ポリエチレンオキシド、Dow Chemicals,Midland,MI)に焦点を合わせた。この仕事は、コアと同じ形の、しかし全ての側面で1〜2mmの厚さを可能とする全ての側面で2〜4mm長い機械設備のセットを必要とした。最初の仕事は、高分子量(MW)Polyox(すなわち、コアの周りの薄い(1mm)層のPolyox WSR 303であり、これは、薬剤放出の遅れを提供する1mmの層を維持するために中心に置かれた)に焦点を合わせた。これらのコア/シェル錠剤は、USP装置III試験器を使用して、薬剤放出について試験された。
【0186】
このように、ポリエチレングリコールとポリエチレンオキシドなどの中心的な賦形剤は、高濃度で、崩壊(DS)時間を遅らせる。スーパー崩壊剤(すなわち、Polyplasdone XL(クロスポビドン、International Specialty Products Corporation,Wayne,NJ)、多価アルコール、糖類、および希釈剤など)などの添加剤は、DS時間を短縮する。これらの賦形剤の一部は、硬度を減少させ、そして、結合剤(例えば、Plasdone K29/32(ポビドン、ISPによるUSP)は、硬度を増やすために加えることができる。
【0187】
高MWポリマーの薄い層は、放出の遅れを提供したが、しかし、薬剤はその後、簡略化された制御放出様式で放出され、オメプラゾールがその遅れの後に放出されるために1〜2時間かかった。オメプラゾールに関しての最適オメプラゾール放出は、およそ30分である。ポリマーの分子量を減らすことは、遅れと遅れの後の薬剤放出の速度の両方を調整したが、最適IRバーストを提供しなかった。ラクトース、ポリプラスドン、および多価アルコール類(すなわちPEARLITOL 300 DC(マンニトールUSP,Roquette,Lestrem,France))を含むポリマーへの添加物は、即時放出(IR)バースト特性を改善した。シェル層の最適厚みは、コアを囲む1.6mmであり、これはシェルの幅がコアより合計で3.2mm広いことを意味する。
【0188】
特に、多価アルコール類は、ポリマーにより提供される遅れの後でのIRバーストを促進するのに非常に効果的であると分かった。ポリ(エチレンオキシド)(POLYOX(登録商標))の水和、膨張、および浸食は、水がモノリシックポリマーマトリックス中に浸透するにつれて、水和の表面で起こり、それは、添加物を含まない高分子量ポリ(エチレンオキシド)を有するシェルを使用して、観察された制御放出に貢献する可能性がある。多価アルコール類の添加は、このプロセスがポリマーモノリスで典型的な連続した性質とは対照的に、高められた透水のためにポリマー内で一気に起こるようなこの水和、膨張、および浸食プロセスを、それらの高い浸透ポテンシャルで促進することができる。これはシェルの壊滅的な機能の停止を許容し、適切な遅れに続き、シェル/コア剤形からの内容物の望ましいIRバーストを促進する。
【0189】
ビーズは、以下の通りに製造された:NP Pharmからの355〜425μmのサイズの糖球は、順番に(1)オメプラゾール・コート:87.1%のオメプラゾール、12.2%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.7%のTWEEN 80;(2)サブコート:OPADRY Clear YS−1−19025−A;および(3)腸溶性コート:80.4%のEUDRAGIT L30D55、16.6%のPlasACRYL、2.9%のクエン酸トリエチルでコーティングされた。
【0190】
剤形コアは、ビーズから以下のように製造された。ビーズは、30%のビーズ、59.5%のCarbowax(ポリエチレングリコール)、7%のXylitab 300(キシリトール)、3.5%のPovidone K29/32(ポビドン))のブレンドで共造粒された。ブレンドの250mgは、0.3236インチの直径を有する、平坦な丸い斜角を付けられた縁取り用機で打錠された。
【0191】
シェルは、70%のPolyox 1105 LEO NF等級(ポリエチレンオキシド)、29.5%のPearlitol 300 DC(マンニトール)、および0.5%mgのステアリン酸塩のブレンドから製造された。500mgはコアのまわりで圧縮され、それは錠剤の中央に置かれた。機械設備は、a.4500インチの深い凹面であった。
【0192】
インビトロでの放出は、米国薬局方(USP)Apparatus III往復シリンダの使用で特徴付けられた。37℃でpH11のリン酸緩衝液の250mLが、このpHでのオメプラゾールの安定性のために、放出媒体として選択された。結果は、表3と図8に示される。
【表3】
【0193】
実施例4
カプセル挿入物
1つの実施形態では、(1)水和状態での膨張により胃滞留性である、および(2)薬理学的に望ましい時間で分けられた活性医薬成分(APIまたは薬剤)の複数用量を即時放出様式で単一剤形から送達する薬剤の剤形が提供される。この実施例は、図4A〜4Eで例示される剤形を説明し、それは少なくとも2つの圧縮成型(または成型された)されたモジュラープラグ(「挿入物」と呼ばれる)から成り、該モジュラープラグは、少なくとも1つの膨潤性で浸食性のポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド)から成り、これは市販の医薬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)に、例えば、オメプラゾールなどの少なくとも1つの活性薬剤と共に挿入される。これらの剤形は、胃に導入されると、最初に膨潤し、次に、薬理学的に望ましい時間(例えば、3〜5時間)にわたり浸食され、それから薬剤を即時放出様式で放出する。この例示的な実施形態における挿入物は、形状が同一で、円筒形であり、1端には先細りの壁の深いカップ(またはポケット)を有し、他端には平底と挿入物の反対側の先細りの壁の角度と同じ角度の先細りを有する。この形状は、挿入物を「積み重ねること」を可能とし、その一方で、薬剤を含ませるためにそれらの間でポケットを残して置く。
【0194】
この例示的実施形態では、第1パルスは、服用直後に放出されるように設計されている。薬剤のオメプラゾールは、腸溶的に保護された糖衣球の形態で、カプセルが溶解したあと、第1パルスが放出されるように挿入物の外側のカプセルに加えられる。薬剤の第2またはそれ以降の用量は、モジュラー挿入物によってつくられるポケットに挿入される。胃へ導入されると、ゼラチンカプセルは、溶解して薬剤の第1パルスが剤形から放出されるのを可能とする。ゼラチンカプセルの溶解と同時に、重ねられたポリマー挿入物は、水和し、膨潤し、そのように、各挿入物間の接合部をシールして、第2パルスを、挿入物間のポケットにシールする。パルス間の遅れの時間は、使用されるポリマーの分子量、および/または浸食時間を延長するように設計された他の確立した製剤実務を変えることによってコントロールすることができる。挿入物が挿入物の外壁に積重なるとき、実施例の構成は内側の部屋から〜1.4mmの最低限の壁厚を提供する。積み重ねられた挿入アセンブリのこの最も薄い部分を通る浸食が、挿入室内で捕捉された第2パルスビーズの放出を提供するである。
【0195】
薬剤の複数のパルスは、複数用量を1つの剤形に加え、そして複数の成形挿入物を加えることによってパルスを物理的にそして時間的に分離することによって提供されることができる。他の剤形は、パルス送達に加えて、典型的な徐放性様式で、薬剤を膨潤性で浸食性のポリマーと共に挿入物に取り込むことによって、薬剤を送達することができる。挿入物が膨潤するにつれて、薬剤は外へ拡散し、または薬剤の水への溶解度に依存して、ポリマーが浸食されるにつれて放出される。
【0196】
この実施例は、市販の設備機器を使用して典型的な回転式圧縮打錠機で製造するために設計された挿入物について説明する。この実施例では、機器は、Natoli Engineeringを通して得られた。以下に記載する製剤挿入物の選別に続いて、適切な製剤は、Piccola RLC 10−ステーション輪転機(Riva Corp,Argentina)で製造された。膨潤性で浸食性のポリマーの使用は、胃滞留性を提供し、腸溶性コーティングされたビーズを含むオメプラゾールの放出を遅らせる。多価アルコールなどの賦形剤(すなわちマンニトール)の包含は、シェルの適切な遅れに続いてシェルの壊滅的な破裂を促進し、ビーズのIRバーストを提供する。この教示はまた、実施例3に記述された例示的なシェル/コア剤形にも当てはまる。Polyox 1105(MW=900,000 AMU)などの低MWポリマーは、Pearlitol 300 DCなどの多価アルコールとステアリン酸マグネシウム、USP(Mallinckrodt Corp.Hazelwood,MO)などの滑沢剤と共に、許容される遅れを提供し、低MWポリマーは、許容できる遅れを提供して、ビーズ含有腸溶性オメプラゾールの形態でIRバーストを送達する。
【0197】
典型的なカプセル挿入物製剤は、70%のPolyox 1105、29.5%のPearlitol 300 DC、および0.5%mgステアリン酸塩から成る。
【0198】
インビトロでの放出は、米国の薬局方(USP)Apparatus III溶出試験器によって特徴づけられた。放出媒体は、37℃でのpH11のリン酸緩衝液であり、それはオメプラゾールがpH11で安定であることが示されたという事実のために選択された。結果は、下記の図9および表4に示される。
【表4】
【0199】
溶出試験で、ビーズのいくつかが、互いにおよびポリマー挿入物に接着し、それは、剤形からオメプラゾールの放出を遅延させることができたことが観察された。30分以内に各々のパルスに対する20mgのペイロード(有効積載量)の完全な放出を確実にするために、多くのの添加物が調べられた。おそらくその疎水性のために、タルク(USP)(Spectrum Chemicals,New Brunswick,NJ)の低いパーセンテージ(〜0.5〜5%)は、溶出性を改善したようには見えなかったし、ビーズの放出をさらに遅延させることができた。剤形からの放出によりビーズの分散を改善することができる他の賦形剤と添加物は、Pearlitol、Polyplasdone XL、および界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム(Spectrum Chemicals)を含む。
【0200】
実施例5
カプセル中のIRコアを囲む乾燥ポリマー床
カプセルの中にあり、そして、そこでは底部が不溶性ポリマー(例えば、エチルセルロースなど)を含む、乾燥ポリマー床(例えばポリエチレンオキシド)に入れられた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって放出される遅延パルス薬剤(カプセルの中にあり、そして、そこでは底部が不溶性ポリマー(例えば、エチルセルロースなど)を含む)が同様に提供される。例えば、遅滞パルスは、酸保護されたPPIを含むコア即時放出錠剤によって放出されることができ、この錠剤はカプセルの底部に置かれた小さなカップに入れられ(コアを受けて、コアが確実にカプセルの中央に垂直に残るように)、そして、その側面と先端は、乾燥ポリマー床(例えばポリエチレンオキシド)で満たされている。
【0201】
したがって、調剤のコアとシェルの実施形態の利点は、カプセル形態で提供できる。カプセル形態は。また、薬剤放出の遅延パルスに加えて薬剤の即時放出パルスを提供する便利な手段を提供する。1つの例示的実施形態では、実施例1で記述したコアとシェルと同じ製剤のコアが使用され、しかし、コアはカプセル本体の内側に適合するように独特に形成される。例えば、円筒形の錠剤は、カプセル本体とコアのシェルとして同様の構成の乾燥充填ポリマー床の中心に置かれ、そしてシェルは、円筒形のコアを四方で囲んでいる。コア/シェル剤形と同様に、遅れと胃滞留性は、膨潤性で浸食性のポリマーマトリックスに由来するが、しかし、ポリマー囲いの厚みは、コアに関して、浸食タイミングにとって重要であり、コアのすべての側面で同程度の粉末床の厚さを確実にするための工程を取ることができる。このバリエーションを最小にするための1つの実施形態では、半分のコアは、不溶性のマトリックス(非浸食性ポリマー)で囲まれて、そして、ポリマーの半分だけが、浸食されて遅延放出時間の変化を減らす。
【0202】
試験は、カプセル中の乾燥充填剤POLYOXが、十分に速く水和してポリマーがゲル化し、望ましい時間(2〜6時間)の胃滞留性を促進することを示した。しかし、放出データは、変わりやすく、いくつかのカプセルでは、1時間以内にコア内容物を放出し、そして、同じロット内の他のものでは4時間内に放出した。ETHOCEL(Dow Chemicalsによるエチルセルロース)が、不溶性の囲いとして検討されたが、カプセルに充填された場合、最初の崩壊試験の間、最適にともに残存しなかった。KLUCEL(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、Hercules,Welmington,ISPによるPOVIDONE)などのポリマー賦形剤は、高分子量で、5%から35%までのいろいろな重量%で加えられた。最適ブレンドは、80%のETHOCEL STD 100、15%のPOLYOX 303微粒子、5%のPOVIDONEから成り、適切な時間の間、元のままであった。PoOLYOXは、POLYOX/ETHOCELブレンドジャンクション(junction)で元のままであり、一方、非POLYOX系ETHOCELブレンドは、カプセル本体の溶出直前にその接合部で割れる傾向を示した。
【0203】
さらなる第1パルスは、2つのパルスの送達ために、このカプセルの丁度上部に加えられた。第1パルスのブレンドは、ポリマー床にまたはお互いに接着するのを防止するためにXYLITABとビーズから成るものであった。2つのパルスは、これらの剤形から、〜2−4時間離れて送達された。そのようなカプセルは、カプセル内容物の移行(これはコアの周囲に好ましくない空隙を生成する)を避けるために完全に詰められていることが望ましい。
【0204】
実施例6
製造プロセス
試験は、いろいろなバッチサイズ(0.7〜1.8kg)の粒子に対する流動床コーティングプロセスと2つの異なる噴霧分散:20%Opadry II Blue(偽薬または試験専用のサブフィルム)および20%AcrylEZE MP(腸溶性フィルム)に対する材料とプロセス条件を評価することであった。活性医薬成分は、この仕事のためには使用されなかった。粒子の流動床コーティングは、比較的制御された方法で、噴霧スプレー領域を通り抜けるコア粒子の反復移動を含む。移動の各サイクルは、湿潤に続く乾燥サイクルを含む。これらのサイクルのバランスは、製品の適切な品質と一貫性を提供する。パラメータ関係の理解は、フィルムコーティングプロセスについての予測ツールを提供する。
【0205】
この実施例では、流動床フィルムコーティングプロセスは、Wurster隔壁を有するVector FL−M−1流動床上で行われた。Wurster隔壁は、床内での粒子の移動を高めた。噴霧ノズルは、流動ガスと同一方向となるように、分配プレートの一番下の中心に置かれた。偽薬ビーズ製造プロセス条件は、この実施例で記載もされているように、活性ビーズ製品の製造に使用された。偽薬ビーズ試験と製造のために使用される設備は、以下のものを含んだ:Vector FL−M−1,Barnant Mixer,Watson Marlow 505 DU/RL Pump,Mettler Balances,HR 73 Halogen Moisture Analyzer,Leica Microscope,W.S.Tyler Vibratory Sieve ShakerおよびVankel Tap Density Tester。
【0206】
最初に、コアが選択された。コアは、理想的には形状は球形であり、良い流動性を確保するために滑らかな表面を有する。糖球の形状と表面は、顕微鏡を使用して視覚的に評価することができる。湿気レベルは、糖球の微生物成長のしやすさの評価における重要な要因である。糖ビーズの湿気レベルは、HR 73 Halogen Moisture AnalyerでLODを測定することによって評価することができる。バルク密度とタップ密度は、以下の通りに情報目的のために測定することができる。メスシリンダは、材料(82〜88g)の特定量で満たされ、そして、容量が材料のバルク密度を決定するために記録された。タップ密度は、材料を1試験あたり100タップに曝し、新たな用量を記録して、タップ密度試験器の助けを借りて測定することができた。糖粒径分布は、コーティング材料の均一な塗布を確実にするために理想的には狭い範囲であり、分級技術によって評価することができる。例えば、100gの材料サンプルは、篩振盪器で5分間、分級することができ、そして、画分は粒径分布を評価するためにMettler balanceで秤量される。上で説明されたものなどの評価の後に、選択された糖コアまたは球は、NP Pharm SUGLETS(登録商標)(NP Pharm、製品コードPF008(ロット番号606C、ビーズサイズ600/710μm)であった。評価された他の糖球(Paulaur)は、より広いサイズ分布範囲を有し、より球形でなくて、それほど滑らかではなかった。両方のメーカー(NP PharmとPaulaur)からの球についてのLODとバルクおよびタップ密度値は同様であったが、300/425μmのサイズについては、含水量は、Paulaur球の方が高いように見える。
【0207】
Vector Fluid Bed FL−M−1での噴霧プロセス開発作業は、2種類の噴霧分散液(20%のOpadry II Blueと20%のAcrylEZE MP)と2つのWurster隔壁サイズ:6インチと8インチ(異なるバッチサイズに対して)を用いて行われた。この開発作業の目標は、高い噴霧率を使用することによってプロセス時間を最小にしながら、35±2℃の低製品温度でフィルムコーティングプロセスを確立することであった。開発作業は、一定の製品温度を維持しながら、いろいろな気流レベルと異なる噴霧率で流動床の品質を評価することに焦点を合わせた。
【0208】
Opadry II Blue噴霧分散のための賦形剤の情報と処方は、Opadry II Blue(Colorcon、製品コードY−22−10564、ロット番号WP612148、20%w/wの量で)および精製水USP(Ricca Chemical Co.,製品コード9190−5、ロット番号1508075/1408632、80%w/wの量で)であった。Opadry II Blue分散液の調製手順は、以下の通りである。水を混合容器に入れて、できるだけ容器の底に近い中心にある羽根車で液体に空気を通すことなく渦巻を形成するように攪拌する;次いで、Opadry II Blue粉をその渦巻きに加え、液体表面での粉の浮遊を避けて、約60分間攪拌する。Opadry II Blue(Colorcon)のメーカーは、同様の噴霧プロセスに関して≧40℃の作業温度を推奨したが、活性ビーズ材を製造する際に使用される活性成分(オメプラゾール)の温度感受性のために、35±2℃の低い製品温度が選択された。35±2℃の低温は、製品安定性を確実にするために選択された。
【0209】
最適フィルムコーティングプロセス条件を確認するのに用いられる要因は、以下の通りであった:良好な流動床流;設備内部(Wurster隔壁、排気フィルタまたは容器側面)でのビーズ材の蓄積がないこと;および均一なコーティングの指標として、集塊(小さい、2,3の集塊を含む)およびフィルムの良好な着色の均一性(Opadry II Blueは、良いコントラストを白糖コアに提供する)を確実にするプロセスを通して採取されたサンプルの顕微鏡下の目視検査。
【0210】
20%のOpadry II Blue分散液(ステンレス鋼製ビーカーに含まれる)は、噴霧プロセスの間、穏やかに攪拌された。ビーカーは、経時的に噴霧率をモニターするために、Mettler SG 8001 Balance上に置かれた。Watson Marlow 505DU/RLポンプが、Vector FL−M−1 Fluid Bedシステムへの分散液の流れを制御するのに用いられた。
【0211】
重要なコーティング・パラメータは、9つの偽薬の製造の過程で評価された。広いパラメータ範囲は、上に記述された基準に基づき、最適プロセス条件を決定するために調べられた。パラメータ値のいくつかは、設備メーカーからの規格アプリケーションまたは推奨に基づく開発作業の間、一定に保たれた。20%のOpadry II Blueを用いたコーティングプロセス開発作業の過程で評価されたコーティング・パラメータの範囲は、以下の通りであった:(i)Wurster隔壁、範囲0.125〜0.5インチ(6インチWurster)と0.75〜1インチ」(8インチWurster);(ii)噴霧率、範囲4〜12g/分;(iii)気流、範囲45〜60CFM;および(iv)バッチサイズ(コーティングプロセス工程の開始時、範囲0.7〜1.5kg(6インチWurster)と1.8kg(8インチWurster)。20%のOpadry II Blueでのコーティングプロセス開発作業の間、一定に維持されるパラメータは、入口空気温度52±2℃、製品温度35±2℃、ノズル圧32psi、加速器気圧30psi、ミキサー設定2.0、ノズル延長とスペーサ1/16インチ、およびテフロン(登録商標)分布プレート100FP。
【0212】
Opadry II Blueによるコーティング作業からの重要な観察は、以下の通りであった:Wurster隔壁が0.125〜0.25インチの高さであると、良質の流動床の形成を危うくする;最適なWursterの高さは、0.375〜0.5インチ(6インチWurster)と0.75〜1インチ(8インチWurster)の範囲である;噴霧率が0.7〜1.3kgのバッチに対して≦10g/分および1.3〜1.8kgのバッチに対して≦12g/分であるとき、流動床の湿潤/乾燥サイクルの良いバランスを達成することができる;32psiのノズル圧は、上質の噴霧パターンをこのアプリケーションに提供する;排気フィルタ上に蓄積される物質が、50CFMを上回る気流値に対して発生する。上記の条件は、プロセスを通して異なる時点に採取されるサンプルの顕微鏡下の視覚試験から検出されるように、均一なビーズ層を提供する。
【0213】
AcrylEZE MP腸溶性コートは、以下のものから成る:AcrylEZE MP(Colorcon、製品コード93O18508、ロット番号WP603787、20%w/wの量で);30%のシメチコンエマルジョン、USP Dow Corning、製品コード3125424、ロット番号0002410491、0.1%w/wの量で);および精製水、USP(Ricca、上記のように、79.9%w/wの量で)。AcrylEZE MP分散液を製造する手順は、以下の通りである。30%のシメチコンエマルジョンを混合用器に入れ、そして、水を加えて、攪拌し、できるだけ容器の底に近い中心にある羽根車で液体に空気を通すことなく渦巻を形成する。次いで、AcrylEZE MP粉をその渦巻きに加え、液体表面での粉の浮遊を避けて、約60分間攪拌する。分散混合液をコーティングプロセスの前に250μmの篩に通す。20%のAcrylEZE MP分散液(ステンレス鋼製ビーカーに含まれる)は、噴霧プロセスの間、穏やかに攪拌された。ビーカーは、経時的に噴霧率をモニターするために、Mettler SG 8001 Balance上に置かれた。Watson Marlow 505DU/RLポンプが、分散液のVector FL−M−1 Fluid Bedシステムへの分散液の流れを制御するのに用いられた。
【0214】
このフィルムコーティングプロセスのために使用される品質基準は、Opadry II Blueコーティングプロセスに対して定義されたものと同じである。重要なプロセスパラメータは、9つの偽薬作業の過程で評価された。より高い製品温度(35〜40℃)が、この開発作業の初期に使用された。AcrylEZE材料は、高温でより粘着性に見えるので、製品温度は30±2℃に後で変えられた。>7g/分(初期の開発作業で使用された)の噴霧率は、凝集を引き起こすように見えた。一旦噴霧率が5〜7g/分の値に調整されると、プロセスの全体的な品質は大幅に改善された。ノズル圧が32psiに維持されたとき、噴霧ノズルの先端上にAcrylEZE材料の蓄積が起こったが、ノズル圧が36psiに維持された場合には、起こらなかった。
【0215】
20%のAcrylEZE MPを用いたコーティングプロセス開発作業の過程で、評価されたコーティング・パラメータ範囲は、以下の通りであった:噴霧率は、5〜14g/分;気流、範囲40〜70CFM;ノズル圧、範囲32〜36psi;入口空気温度、範囲40〜59℃;製品温度、範囲30±2℃〜40±2℃;およびバッチサイズ(コーティングプロセス工程の開始時)、範囲0.7〜1.3kg(6インチWurster)と1.3〜1.4kg(8インチWurster)。20%のAcrylEZE MPを用いたコーティングプロセス開発作業の過程で一定に保たれたパラメータは、以下の通りであった:Wurster隔壁の高さ、範囲0.375〜0.5インチ(6インチWurster)と1インチ(8インチWurster);加速器気圧30psi、ミキサー設定2.0、ノズル延長とスペーサ1/16インチテフロン(登録商標);分布プレート100FP。AcrylEZE MPによるコーティング作業からの重要な観察は、以下の通りであった:最適なWursterの高さは、0.375〜0.5インチ(6インチWurster)と0.75〜1インチ(8インチWurster)の範囲である;噴霧率が0.7〜1.3kgのバッチに対して≦5g/分および1.3〜1.8kgのバッチに対して≦7g/分であるとき、流動床の湿潤/乾燥サイクルの良いバランスを達成することができる;36psiのノズル圧は、上質の噴霧パターンをこのアプリケーションに提供する;および50CFMを上回る気流値は、排気フィルタ上に物質の蓄積をもたらす。
【0216】
この開発作業は、Vector Fluid Bed FL−M−1上で偽薬がコーティングされた糖球に対する製造プロセスパラメータは、主にバッチサイズとコーティング分散液の種類に依存することを示した。バッチサイズは、Wurster隔壁(6インチまたは8インチ);Wurster隔壁の高さ;および噴霧率を決定する。コーティング分散液のタイプは、入口空気温度、ノズル圧、および噴霧率に関するプロセス値を決定する。噴霧コーティングプロセスの重要なパラメータは、Wurster隔壁高さ、噴霧率、気流と入口空気温度であると決定された。活性ビーズの製造のプロセス条件の開発のために使用されるパラメータは、以下の通りであった。20%のOpadry II Blueプロセスについては、Wurster隔壁サイズ(インチ)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して6であり、バッチサイズ1.3〜1.8kgに対して8であった;Wurster隔壁サイズの高さ(インチ)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して0.375〜0.5であり、バッチサイズ1.3〜1.8kgに対して0.75〜1であった;入口空気温度は、望ましい製品温度より高い15±2℃であった;気流(CFM)は、50であった;ノズル圧(psi)は、32であった;ならびに最大噴霧率(g/分)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して10±1およびバッチサイズ1.3〜1.8kgに対して12±1であった。
【0217】
20%のAcrylEZE MPプロセスについては、Wurster隔壁サイズ(インチ)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して6であり、バッチサイズ1.3〜1.8kgに対して8であった;Wurster隔壁サイズの高さ(インチ)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して0.375〜0.5であり、バッチサイズ1.3〜1.8kgに対して0.75〜1であった;入口空気温度は、望ましい製品温度より高い10±2℃であった;気流(CFM)は、50であった;ノズル圧(psi)は、36であった;ならびに最大噴霧率(g/分)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して5±1およびバッチサイズ1.3〜1.8kgに対して7±1であった。
【0218】
2つの活性ビーズバッチは、以下の通りの設計(内側から外側へ)を有する:600〜710ミクロンのサイズの糖球のビーズコア;オメプラゾール(20〜40%の増量)の活性コート;Opadry(3〜5%の増量)のサブコート;AcrylEZE(25〜40%の増量)の腸溶性コート。ビーズは、厳しい活性薬剤含有量の範囲(STD<1%)と望ましい耐酸性特性を有した。上記バッチの全ては、Vector FL M−1で<2kgの作業で製造された。355/425μmの糖コアを有するビーズは、同じ設備と同様のビーズ処方で製造することができる。より小さいサイズのビーズは、挿入物のスペースにうまく適合するような挿入物設計を有するカプセルを意図する。
【0219】
流動床システムにおけるビーズの製造は、また、微結晶セルロース(MCC)コア(Celphere CP 305およびCelphere CP 507)を含むビーズを使用して行うこともできる。Opadry(登録商標)コートは、活性オメプラゾール・コート上でこれらのビーズに適用される。6kgまでのバッチサイズは、ベクトルFL−M−15流動床システム(Bector Corporationでのプロセス・ラン)で製造することができる。
【0220】
押出し(MCC系コア)による粒子の製造法は、押出しプロセス(Emerson Resources,Inc.;LCIからのドーム押出機、モデルDG−L−1および2mmのプレートを備えている230mmのスフェロナイザを使用して)を用いて、0.5mmと0.7mmのサイズを有するオメプラゾール粒子を製造するのに用いることができる。プロセスの第1段階は、35〜50%のオメプラゾール(ompeprazole)と残りMCCを含んだ粒子の押出しであった。他のランでは、これらの粒子は、クエン酸トリエチル(TEC)を可塑剤(最終的なコートで2〜10%)として含んだ腸溶性コート(EUDRAGIT L30D55ポリマー)で、直接コーティングされた。コーティングプロセスは、Vector FL−M−1上で行われた。これらの粒子は、非常に均一な薬剤含量(STD≦1%)を示して、望ましい耐酸性の特質を有した。
【0221】
コア/シェル構成を有する剤形は、1kgのバッチサイズで稼働する回転式錠剤圧縮機(Manesty Betapress)で製造することができる。20〜60%の混合ビーズ量を有する活性製剤が調合された。活性薬剤の均一性は、コア錠剤において増加したビーズ含有量により増加する(STD% 1〜5;60%ビーズコア処方のために達成された1%)。コアとシェルの製造は、また、ここに提供されるガイダンスに基づく委託製造業者(Patheon/MOVA(登録商標))で行うこともできる。1つの例示的な実施形態では、コアは、括弧で示された範囲内(賦形剤は、「そのまま」使用されるか、または従来の製薬造粒プロセスにより、あるいはそれらの任意の組み合わせによる造粒で使用されてもよい)の以下の成分から成る:糖−澱粉球(コアの25%);ポリエチレンオキシド(10〜20%);ポリエチレングリコール(15〜35%);POVIDONE(ポリビニルピロリドン、3〜6%);クロスカルメロース・ナトリウム(3〜5%);デンプングリコール酸ナトリウム(2〜5%);CROSPOVIDONE(架橋ポリビニルピロリドン、3〜15%);微結晶セルロース−微粒子(5〜25%);微結晶セルロース−粗粒子(10〜20%);α化澱粉(15〜40%);ステアリン酸マグネシウム(0.5〜2%);およびタルク(0.5〜4%)。
【0222】
1つの例示的な実施形態では、シェルは、括弧で示された範囲内(賦形剤は、「そのまま」使用されるか、または従来の製薬造粒プロセスにより、あるいはそれらの任意の組み合わせによる造粒で使用されてもよい)の以下の成分から成る:XYLITAB(登録商標)キシリトール(シェルの20〜30%);ポリ(エチレンオキシド)(典型的には、タイプ1105、約900,000の分子量を有し、流動学的に決定される、70〜80%);ポリエチレングリコール(10〜20%まで);架橋ポリビニルピロリドン(10〜20%まで);微結晶セルロース(10〜20%);ステアリン酸マグネシウム(約1%);および場合により結合剤(例えば、ポリ(ビニルピロリドン)(POVIDONE)、架橋ポリビニルピロリドン(COPOVIDONE)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)(3〜8%)。
【0223】
図5A〜5Bに示される剤形は、Kikusuiからの打錠機で製造することができる。
【0224】
実施例7
他の実施形態
1つの実施形態では、遅延パルスは、カプセル内にある乾燥ポリマー床(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)などの)に入れられた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって引き起こされる。
【0225】
1つの実施形態では、遅延パルスは、ぴったりと収まるカップに入れられた、酸保護された顆粒、ペレットまたはビーズをカプセルに配置することによって引き起こされ、そして、その先端は、詰められたPEO粉、または予め作られた(圧縮または射出成形によって)PEOプラグもしくはキャップとしてのポリ(エチレンオキシド)(PEO)でシールされ、そして次にカプセルの先端(腸溶性コーティングされていない)は、カプセルをシールするためにカプセルの底部に配置される。
【0226】
1つの実施形態では、遅延パルスは、1パルスで酸保護されたPPIを放出する浸食性コーティングを有するコア錠剤によって引き起こされ、そこでは、酸保護されたPPIは、腸溶性かまたは遅延放出コーティングされた粒子、ビーズまたはペレットであることができ、あるいはまた、塩基を含む粒子ビーズまたはペレットであることができ、そこでは、コーティングは、従来のパンコ−ティング技術により塗布されて、「シェル/コア」錠剤を生成する。
【0227】
1つの実施形態では、遅延パルスは、1パルスで酸保護されたPPIを放出する浸食性コーティングを有するコア錠剤によって引き起こされ、そこでは、酸保護されたPPIは、腸溶性かまたは遅延放出コーティングされた粒子、ビーズまたはペレットであることができ、あるいはまた、塩基を含む粒子ビーズまたはペレットであることができ、そこでは、コーティングは、粉末積層法により塗布される。
【0228】
1つの実施形態では、遅延パルスは、錠剤と端部を挟む2枚のシートがシールされるように押出し加工されたポリマー(必要に応じて充填剤と他の賦形剤とともに)によって囲まれた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって引き起こされる。錠剤コアは、別に作られ、そして押し出された膨潤性で浸食性のポリマーの2つのリボンの間に置かれる。シール/切断機械は、剤形を完成させるのに用いられる。
【0229】
1つの実施形態では、遅延パルスは、圧縮成形または射出成形によりPEOから作られたカプセルに入れられた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって引き起こされ、カプセルをシールするためにカプセル先端を追加することによって、またはその先端の端部を圧縮(加熱して、または加熱することなく)してシールされる。
【0230】
1つの実施形態では、遅延パルスは、シール用の突出部を有するハマグリ状シェルの「半錠」カップ中に置かれた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって引き起こされ、そして、次に第2「半錠」カップは、上に置かれ、そして、2つは、加熱しながら、または加熱することなく、リップエッジ(コア錠剤は、2つの圧縮サイクルを受けない)のまわりのみの圧縮によりシールされる。関連した実施形態では、ハマグリ状シェルの前半は、フラットシートでシールされて、そして、次に、酸保護されたPPIを含む後半−錠剤に付着させ、そこでは、後半部が前半部より非常に速く浸食される。「半錠」カップは、典型的(またはわずかに変更された)錠剤圧縮ツールを使用して製造することができる。2つのカップは、コアと共に内側に置くことができ、そして、別のツールは、2つのカップを一緒にシールするために周辺部を圧縮することができた。
【0231】
1つの実施形態では、遅延パルスは、腸溶性コーティングでコーティングされた、腸の下部に置かれる酸保護顆粒、ペレットまたはビーズによって引き起こされる。それから、PEO乾燥粉末のPEOプラグは、底部に置かれ、そして、IRビーズが先端で加えられる。それから、カプセル先端(腸溶性でない)は、カプセル底部の上に置かれる。
【0232】
1つの実施形態では、遅延パルスは、腸溶性コーティングでコーティングされた、腸の下部に置かれる酸保護顆粒、ペレットまたはビーズによって引き起こされる。それから、圧縮されたPEOのPEOプラグは、底部に置かれ、そして、IRビーズが先端で加えられる。それから、カプセルをシールするために、カプセル先端(腸溶性でない)は、カプセル底部の上に置かれる。
【0233】
1つの実施形態では、遅延パルスは、酸保護されたPPIの酸保護された顆粒、ペレットまたはビーズ[これらは、腸溶性コーティングされ、そしてまた、崩壊剤の腸溶性コーティングの溶出がマトリックス(これは、錠剤または2層錠の1層であり得る)の壊滅的な機能停止につながるように崩壊剤および/また他の賦形剤を含む顆粒、ペレットまたはビーズを同様に含むポリマーマトリックスに入れられた]を入れることによって引き起こされる。
【0234】
1つの実施形態では、遅延パルスは、PEOまたは他のポリマー(粉末積層化または他の技術によって)でコ−ティングされている酸保護されたPPIを含む複数(2以上)のペレットの組み合わせによって引き起こされ、そして、即時放出は、同じカプセルに置かれる両方の種類のペレットでの、崩壊剤を含む複数(2以上)のペレットによって生成する。
【0235】
1つの実施形態では、酸に安定な薬剤に適した2重放出剤形は、薬剤の胃滞留性剤形の外側を、急速な浸食用に適した賦形剤と混合された薬剤の層でコーティングすることにより提供される。
【0236】
1つの実施形態では、2重放出(初期に加えて遅延パルス薬剤放出)剤形は、薬剤を含有する胃滞留性のコア/シェル仕上げ錠剤を、ホッッパー供給コア/シェル機械に入れ、さらなる薬剤含有層を上記の2層錠の場合のようにその上に適用し、そこでは、錠剤の2分の1はコアとシェルであり、そして、残り半分は、腸溶性のPPIsを含む粒子を含有している薬剤の圧縮されたマトリックスである。
【0237】
1つの実施形態では、2重放出剤形は、コア/シェル錠剤をカプセル内に置くことによって提供される。該カプセル内には、さらに別の薬剤含有ユニット、つまり、腸溶性コーティングされたビーズが加えられる。次に、カプセルは、シールされ、そして遅延放出を提供する錠剤と初期パルスを送達するビーズを含む。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年7月27日に出願された米国仮特許出願番号第60/952,501号および2007年9月5日に出願された米国仮特許出願番号第60/967,717号の利益を主張する。両方の出願は、引用することによりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
本発明の対象は、一般に、治療剤を胃または上部胃腸管に1つまたは複数のパルスで送達する胃滞留性製剤に関し、そこでは、パルスの1つまたは両方が、剤形の摂取から隔たった時間に送達される。より詳しくは、その主題は、第1パルス放出および第2パルス放出で薬剤を送達する胃滞留性製剤に関し、そこでは、少なくとも第2パルス放出が、剤形の摂取から隔たった時間で起こり、薬剤の2つのバースト放出を胃または上部胃腸管に提供する。
【背景技術】
【0003】
薬剤の有効性は、一般に、希望の時間に所望の治療レベルを達成するために、そして希望する期間、所望の治療レベルを維持するために、十分な量でその標的または作用部位に到達する薬剤の能力に依存する。いろいろな剤形が、薬剤の治療効果を最適化するために開発されてきた。特定の薬剤のための最適剤形は、いろいろな要因(例えば、薬剤の生物学的利用能、代謝の範囲と機序、および吸収部位など)に基づいて選択されるか、または設計される。薬剤の即時放出(すなわち、薬剤が摂取直後に、またはすぐに剤形から放出される場合)を提供する経口剤形は、薬剤送達のための一般的なアプローチである。剤形からの薬剤の放出が、摂取後すぐに始まり、長期間にわたり続く持続性または徐放性の剤形は、これまた一般的なアプローチである。薬剤が摂取後一定時間経過後に放出される放出遅延型剤形は、下部胃腸(GI)管での薬物放出の利益を受ける薬剤の用途また条件を見出す。
【0004】
経口投与薬剤は、上部GIの毛細管と静脈への薬剤の吸収および肝臓への門脈輸送によって、摂取後ヒトの全身循環に入る。一部の薬剤については、吸収が、胃液中での低いpHと酵素活性により制限されるが、胃液は特定の薬剤を不活性化し、剤形からの薬剤の放出に否定的に影響を与え、またはいったん放出された薬剤の吸収を妨げる。腸溶性コーティングは、この問題の解決を提供するが、それはコーティングが十分に耐酸性であり、小腸のより塩基性の環境(そこではコーティングが分解され、薬物が放出され、次いで小腸に吸収される)に移動するまでカプセル化された薬剤を保護する限りにおいてである。
【0005】
上部GI管または小腸の近位領域に優先的に吸収される薬剤(例えば、プロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2−受容体拮抗剤など)については、薬剤摂取の時間から離れた時間で患者に有効用量を送達する際にはさらなる障害がある。そのような薬剤について、剤形が上部GI管で保持されないならば、摂取の時間から離れた時間での剤形からの薬剤の放出は、下部GI管で起こるようであり、そこでは、それは限られた治療効果を有するか、あるいは治療効果を全く有しないであろう。
【0006】
消化器系による経口投与薬剤の吸収の後で、それは肝門脈系に入る。それは、体の残りに達する前に、それは門脈を通って肝臓に運ばれる。肝臓と腸壁は、多くの薬剤をしばし少量の活性薬剤だけが、肝臓から残りの循環系に現れる程度までしばしば代謝する。肝臓および腸壁を通るこの初回通過は、医学分野では初回通過効果、または初回通過代謝と呼ばれる。経口投与薬剤は、肝臓または腸壁で初回通過代謝を受けて、胆汁に排出されるか、または治療的な利益を提供しない薬理学的に不活性な代謝物質に変換される。そのような薬剤は、したがって、初回通過効果を受けない薬剤に比べて、減少した生物学的利用能を有するが、その理由は、投与された薬剤が薬剤作用部位に到達するのがより少ないからである。初回通過効果は、肝臓の代謝能力を上回る十分な量で剤形から薬剤が放出されるように、薬剤を投与することにより克服される。これは非線形の薬剤動態をもたらすが、その理由は、当初、体循環での薬剤の量は、初回通過効果のない投与から生じるであろうものよりも低いからである。さらに、初回通過代謝は、異なる個体と集団での肝臓酵素の多形により、多様な薬剤吸収をもたらす。一旦肝臓の代謝能を越えると、血流の薬剤濃度は、著しく、急激に増加する。
【0007】
初回通過効果は、上部GI管で優先的に吸収される薬剤の徐放性を非常に問題とする。第1に、初回通過効果を克服するために必要な薬剤の量の徐放性は、単に非常にたくさんの薬剤または薬剤の可変的な吸収を必要とする場合があり、望まれない副作用を引き起こす血中レベルをもたらす可能性がある。第2に、たとえ、第1の問題が解決されることができるとしても、剤形があまりに速く消化管を通過すると、薬剤は上部GI管で放出され、そこで優先的に吸収される。さらに、伝統的な経口の徐放性製剤(一次または平方根の時限放出率などを有するものなどの連続した放出プロファイルを示す)の場合は、剤形から放出される活性薬剤の量は、投与後の時間の経過につれて減少する。初回通過効果は、薬剤レベルが減少するにつれて、薬剤の任意の治療効果も除くことができる。活性薬剤のボーラス送達(大量瞬時投与)またはバースト送達(急激な放出送達)は、初回通過効果を克服することができたが、上部GI管で剤形を維持しながら、剤形の摂取の時間からかなり立った時間で、そのようなボーラスまたはバーストを送達することができる有効な剤形は全く存在しない。
【0008】
初回通過効果を受ける経口投与薬剤のために開発された薬剤送達システムは、即時薬剤放出ができる毎日3〜4回投与に適した製剤、および即時薬剤放出および徐放薬放出ができる1日1回の投与に適した製剤を含む。好ましいのは、後者の製剤であるが、その理由は、1日1回投与を含む処方薬剤療法の場合の服用遵守が、毎日1回より多い投与を含むものよりも実質的に大きいからである。初回通過効果の影響を受ける薬剤を投与することができ、上部GI管で優先的に吸収される新しい剤形に対する必要性が残されている。
【0009】
例えば、胃食道逆流症(GERD)は、胃酸還流、または胃から食道への逆流の疾患である。GERDは、上部小腸で優先的に吸収され、初回通過効果の制約を受ける薬剤で治療される。GERDは一般的な病気であって、米国内では、症状が断続的に出る場合が成人の約40%、症状が毎日出る場合が数十%である(参照:Johnsonらの米国特許第6,098,629号、これは引用により本明細書に取り込まれる)。GERDは、食道内腔の酸性胃内容物に対する異常で長い曝露によって特徴づけられる(Hunt,Ailment Pharmacol Ther.9(Supp.1):37(1995))。多くの要因が、GERDの発症に寄与していると考えられ、それは一過性の下部食道括約筋緩和、減少した下部食道括約筋の休止緊張、胃内容物排出遅延、および無効な食道クリアランスを含む。
【0010】
GERDの一般的症状は、胸骨または胸骨の後の胸やけ、灼熱感または不快感である。GERDの他の症状は、不全失語症、嚥下痛、出血、呑酸、胸焼けおよび肺症状(例えば、喘息、咳または胃酸吸引による断続的な喘鳴)を含む。GERDに罹患している患者は、食事時と就寝時に一般的にこれらの兆候に悩まされる。多くのGERD患者によって経験された状態は、夜間酸分泌、すなわち「NAB」(Peghiniら、Am.J.Gastroenterol.93:763−767(1998))であるが、それは胃酸分泌が日中で変化して、夜間に最も著しい場合があるからである。胃の酸性度の急上昇は、午前2時頃が一般的である。
【0011】
GERDの管理は、生活様式の変化(例えば、体重減少、特定の食物と過度の屈曲の回避、および夜間の逆流を防ぐために患者のベッドの頭の位置を上げること、および手術(例えば、胃底皺襞形成術、Collis−Nissen胃形成術、下部食道括約筋を増大させること、食道を制限すること、および肥満治療など)を含むことができる;薬剤治療は、しばしば選択の余地の処置である。
【0012】
GERDを治療するのに用いられる薬剤は、H2−受容体拮抗剤(それは、基礎状態で胃酸分泌をコントロールする)とPPIs(それは、基礎的な酸分泌および食事で刺激された酸分泌の両方をコントロールする)を含む。両方の種類の薬剤は、異なった持続時間の間、胃内部のpHを約4より大きく上げることができる。薬剤の種類が。薬剤のPPIクラスは、PPIが投与される際、活性なすべてのプロトンポンプを永久に閉鎖することができるが、しかし、不活性なプロトンポンプは影響を受けないままであり、そして、新しいプロトンポンプが連続的に生成される(特に夜間の間に)。したがって、PPI療法のGERD患者は、特にPPIsが食事時にまたは朝に1日1回投与されるので、夜の間にGERDの症状に苦しむ。
【0013】
オメラゾール(5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾール;Lindbergらの米国特許第5,877,192号を参照)は、PPIであり、H+K+−ATPase阻害剤と呼ばれる場合もある。他のPPIsは、ランソプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、テナトプラゾールとレミノプラゾールを含む。これらの化合物は通常、胃酸分泌抑制剤として有効であるが、酸に不安定であり、初回通過効果の影響を受けて、小腸で優先的に吸収される。オメプラゾールと他のPPIsは、放出制御型の送達を問題とする吸収特性がある。PPIsは、酸で不安定であるので、有効な送達は、胃の酸性環境からの保護のために薬剤の周りの腸溶性コーティングまたは薬剤の保護のために、薬剤製剤で塩基を一般的に必要とする。オメプラゾールは、腸溶性コーティングの酸性度からさえ保護する必要がある場合がある;そのような保護は、サブコーティング層で一般に提供される。さらに、オメプラゾールは、著しい初回通過代謝をこうむり、一般に、食事、通常朝食の前の30〜60分に1日1回投与される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
初回通過代謝に影響されやすい薬剤を投与する、胃の酸性条件によって分解される、そして小腸で優先的に吸収される剤形に対する必要性が残っている。さらに、剤形およびGERDを治療する方法に対する必要性、およびNABの発生を低下、防止または除去するような方法でのGERDを治療する方法の必要性が残存する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
開示の概要
第1の態様では、実質的に経口投与直後に剤形から放出される薬剤の第1用量と、実質的に経口投与直後に剤形から放出される薬剤の第2用量とを含む剤形が提供される。薬剤の第2用量は、胃液中の水分を吸収することにより、第2用量の実質的にすべての放出のための摂食状態での胃滞留性を達成するのに十分な大きさまで膨潤する送達ビヒクル中に含まれている。1つの実施形態では、送達ビヒクルは、胃での酸性条件への曝露により第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分から成る。
【0016】
1つの実施形態では、薬剤の第1用量は、剤形の摂取後約60分未満で剤形から放出される。別の実施形態では、薬剤の第2用量は、剤形の摂取後約2〜6時間で剤形から放出される。
【0017】
1つの実施形態では、送達ビヒクルは水中で制限を受けない大きさまで膨潤する親水性ポリマーから成る。
【0018】
さらに別の実施形態では、送達ビヒクルは、水中で大きさが制限されないで膨潤する親水性ポリマー中に分散された複数のビーズから成り、各ビーズは、(a)コア;(b)コアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のコーティング;および(d)第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分としての腸溶性コーティングから成り、そこでは、複数のビーズは、薬剤の第2用量を提供するのに十分な量を含む。
【0019】
さらに別の実施形態では、送達ビヒクルが、中心に空洞を有するポリマー挿入物から成り、該挿入物は、水中で制限を受けない大きさまで膨潤し、該空洞は薬剤の第2用量を含む。
【0020】
別の実施形態では、複数のビーズは、薬剤の第2用量を提供するのに十分な薬剤の量を含み、各ビーズは、(a)コア;(b)コアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のサブコーティング;および(d)第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分としての任意の腸溶性コーティングから成る。
【0021】
さらに別の実施形態では、剤形は、第2のポリマー挿入物から成り、そこでは、第2の挿入物は薬剤の第1用量を含む空洞を含む。
【0022】
好ましい実施形態では、第1および第2挿入物が、カプセル内に含まれ、そこで、第1挿入物端は、第2挿入物の開口部に係合し、経口投与後の挿入物の膨潤は、第1挿入物端と第2挿入物の開口部との間にインシチュで封緘(シール)を生成し、第2挿入物中に含まれる複数のビーの放出を遅らせる。
【0023】
さらに別の実施形態では、薬剤の第2用量を含む送達ビヒクルが、第2用量を保護する成分によって囲まれた薬剤コアから成り、それは水中で制限を受けない大きさまで膨潤する親水性ポリマーにより囲まれている。
【0024】
薬剤コアは、別の実施形態では、薬剤と少なくとも1つの賦形剤から成り、ここで、第2用量を保護する成分が錠剤コア上に配置された腸溶性コーティング層であり;親水性ポリマーは、腸溶性コーティング層に配置された層を形成し、第1用量は、親水性ポリマー層上に配置された即時放出成分である。
【0025】
さらに別の実施形態では、送達ビヒクルが、(a)複数のビーズとマトリックスから成る錠剤コア(ここで、ビーズは、薬剤の第2用量を含む);および(b)錠剤コア上に配置された胃滞留性層から成る。
【0026】
任意の上記実施形態では、第2用量を保護する成分は、塩基性化合物および腸溶性コーティングから選択される。
【0027】
任意の上記実施形態では、薬剤の第1用量と薬剤の第2用量は、同じ薬剤または異なる薬剤であることができる。好ましい実施形態では、両方の用量は、プロトンポンプ阻害剤である。好ましいプロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾールである。
【0028】
別の態様では、胃食道逆流症(GERD)および/または夜間酸分泌(NAB)を治療する方法が提供される。この方法は、PPIの初回パルスを送達するためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)の第1用量を提供し;PPIの第2パルスを送達するためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)の第2用量を提供し;ここで第1パルスは、第1用量の実質的に摂取直後に患者の胃の中で放出され、第2パルスは、第2用量の実質的に摂取後に患者の上部胃腸管で放出されることを含む。
【0029】
1つの実施形態では、第1および第2用量は、単一剤形である。
【0030】
別の実施形態では、剤形は夕食とともに摂取される。
【0031】
さらに別の実施形態では、第1および第2用量は、第1および第2剤形であり、ここで第2剤形は、胃滞留性剤形である。
【0032】
別の実施形態では、第1および第2剤形は、夕食で同時にまたは順番に摂取される。
【0033】
別の実施形態では、第1剤形は、夕食で同時に摂取され、そして、第2剤形は夕食後、しかし就寝前に摂取される。
【0034】
さらに別の実施形態では、第2剤形は、胃液中に存在する水分を吸収することにより、第2用量の実質的にすべてを放出するための摂食状態で、胃の中での滞留を達成するのに十分な大きさまで膨潤する送達ビヒクルを含み、ここで該送達ビヒクルは、胃での酸性条件への曝露により第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分を含む。
【0035】
さらに別の態様では、第1薬剤の治療有効量を含むコアと、コアを囲むシェルとを含む剤形が提供される。シェルは、胃液中に存在する水分を吸収することにより、摂食状態で胃滞留性を達成するのに十分な大きさまで膨潤する親水性ポリマーから成り、ここでシェルは、胃での治療有効量の実質的にすべての放出を達成するために、実質的に摂取後の一定期間、第1用量の放出を遅らせる。
【0036】
1つの実施形態では、剤形は胃での酸性条件への曝露により薬剤が不活性化するのを保護する成分をさらに含む。代表的な保護成分は、コアとシェルまたは前記薬剤と混合された塩基性賦形剤との間に配置された腸溶性コーティングを含む。
【0037】
別の実施形態では、薬剤用量の放出のための摂取の後の期間は、約3〜6時間の間にある。
【0038】
さらに別の態様では、胃食道逆流症(GERD)および/または夜間酸分泌(NAB)を治療する方法が提供され,この方法は、即時放出型剤形と組み合わせて、上記の方法に従い、遅延放出型剤形を提供することを含み、そこでは、前記の剤形は、プロトンポンプ阻害剤を含む。
【0039】
別の態様では、薬剤が摂取の時間から離れた時間で放出され、上部GI管に吸収されるような薬剤の治療投与に適した経口用剤形が提供される。1つの実施形態では、薬剤は酸に不安定であり、剤形は摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックスにそれ自身が含まれる腸溶性コーティング中の薬剤を含む。1つの実施形態では、薬剤はPPIである。
【0040】
別の態様では、剤形中の薬剤の一部が、投与後すぐに第1パルスで放出され、剤形中の薬剤の残りの部分が剤形摂取の時間から離れた時間で第2パルスにより放出されるような薬剤の治療投与に適した経口用剤形が提供される。1つの実施形態では、薬剤は酸に不安定であって、初回通過効果の影響を受け、そして、剤形は2つの異なった部分、1方は摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックスにそれ自身が含まれる腸溶性コーティング中にある薬剤と、他方は腸溶性コーティング中に存在するが、胃の中に滞留するマトリックス中には含まれない薬剤から成る。1つの実施形態では、薬剤はPPIである。
【0041】
別の態様では、GERDを治療する、およびNABを予防する方法であって、この方法は、患者が夕食によるGERDから保護され、そしてまた就寝時に患者がNABから保護されるように、夕食で同時にPPIを投与することから成る。本方法の1つの実施形態では、患者はオメプラゾールなどのPPIの剤形を投与され、それは、NABからの保護を提供するために、摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックス中に含まれる腸溶性コーティング中の薬剤を含む。1つの実施形態では、剤形はまた、胃で保持されない腸溶性コーティングされたPPIを含み、そのため、剤形は薬剤の2つのパルス、1つは摂取直後、または摂取後比較的にすぐ後であり、他方は、剤形の摂取後4〜6時間から8時間以上まで放出されない。したがって、1つの実施形態では、患者は1日1回、同時に夕食で、2つの異なった部分から成る剤形、1方は摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックスにそれ自身が含まれる腸溶性コーティング中にあるPPIと、他方は腸溶性コーティング中に存在するが、胃の中に滞留するマトリックス中には含まれないPPIから成る。別の実施形態では、患者は、PPI(例えばPRILOSEC)の標準用量を夕食とともに投与されて、就寝時には別の標準用量を投与されるか、あるいは就寝時PPIの胃滞留性剤形が就寝時に投与される。
【0042】
上記の代表的な態様と実施形態に加えて、さらなる態様と実施形態は、図面を参照し、以下の記述を検討することによって明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】1つの実施形態に従う胃滞留性剤形の横断面図の理想化された図である。
【0044】
【図2】本明細書で記述された、遅延放出型の胃滞留性剤形の成分としてのビーズの横断面図である。
【0045】
【図3A】担体マトリックス中の複数のビーズから成る剤形コアの横断面図(図3A)と、複数のビーズから成るコアを囲む胃滞留性層を有する剤形の横断面図(図3B)である。
【図3B】担体マトリックス中の複数のビーズから成る剤形コアの横断面図(図3A)と、複数のビーズから成るコアを囲む胃滞留性層を有する剤形の横断面図(図3B)である。
【0046】
【図4A】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【図4B】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【図4C】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【図4D】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【図4E】膨潤性で浸食性の挿入物を含む遅延放出型の胃滞留性剤形の図である。
【0047】
【図5A】他の実施形態に対応する、錠剤形状の剤形の長軸方向断面図である。
【図5B】他の実施形態に対応する、錠剤形状の剤形の長軸方向断面図である。
【0048】
【図6A】単一パルスの遅延放出型剤形(図6A)および薬剤の第1即時放出パルスと薬剤の第2遅延型放出パルスを提供する剤形(図6B)のモデル放出プロファイルである。
【図6B】単一パルスの遅延放出型剤形(図6A)および薬剤の第1即時放出パルスと薬剤の第2遅延型放出パルスを提供する剤形(図6B)のモデル放出プロファイルである。
【0049】
【図7A】18:00時に食事とともにオメプラゾール20mg用量と22:00時にオメプラゾールの第2の20mg用量で処置した被験者における、ng/mL(点線)での血漿濃度と時間の関数としての胃内pH(実線)のプロットである。
【図7B】18:00時に食事とともにオメプラゾール20mg用量と22:00時にオメプラゾールの第2の20mg用量で処置した被験者における、ng/mL(点線)での血漿濃度と時間の関数としての胃内pH(実線)のプロットである。
【0050】
【図8】シェル/コア構造を有する胃滞留性遅延型放出剤形のインビトロでの溶解性プロファイルである。
【0051】
【図9】別の代表的な胃滞留性遅延型放出剤形のインビトロでの溶解性プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
詳細な説明
読者の便宜のために、詳しい説明は以下のセクションに分けられる:I.定義;II.剤形;およびIII.投与に適した薬剤と使用方法。これらのセクションの後に、実施例といろいろな実施形態が続く。
【0053】
I.定義
「制御放出」は、それからの薬物の放出が即時性ではない製剤、剤形、またはそれらの部位を指し、すなわち、「制御放出」剤形の場合、投与は、有益な薬剤の即時放出を生じない。この用語は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第19版(Easton,PA:Mack Publishing Company,1995)で定義されるように「非即時性」と互換性を持って使用される。一般に、用語「制御放出」は、徐放性剤形および持続性放出剤形を含む。
【0054】
治療剤に関しての「有効量」は、望ましい有益な効果を提供するための薬剤の無毒ではあるが、十分な量を意味する。「有効である」との薬剤の量は、個人の年齢、体重、一般的な健康状態と他の要因に依存し、個人によって変動し得る。任意の個体における適切な「有効」量は、常套的な実験を使用して当業者が決定することができる。薬剤の「有効量」は、治療的に有効である量か、または予防的に有効である量か、あるいは両方の量を意味することができる。
【0055】
「粒子」、「ペレット」および「ビーズ」は、治療薬剤を含む小さくて、物理的な、しばしば球体の構成単位を指すのに互換的に使用される。そのような多くの構成単位が通常、単一剤形に組み入れられる。
【0056】
剤形成分に関しての「医薬的に許容される」は、生物学的にまたは他の点でも有害でない成分を指す。つまり、成分は医薬製剤に配合され、何らの重大な望ましくない生物学的影響を引き起こすことなく、あるいはそれが含まれる製剤の他の成分のいずれとも有害な方法で相互作用を引き起こすことなく患者に投与される。用語「医薬的に許容される」は、賦形剤を言及するのに使用されるときは、成分は毒物試験および製造試験の要求される規格を満たし、および/または米国食品医薬品局のInactive Ingredient Guide(不活性成分ガイド)に含まれる。
【0057】
「薬理学的に活性な」誘導体または類似体に関しての「薬理学的に活性な」(または「活性な」)は、類似体または誘導体が関連する化合物(「親化合物」)と同じタイプの薬理学的活性を有する誘導体または類似体(例えば、塩、エステル、アミド、抱合体、代謝物、異性体、断片、他)を指す。
【0058】
患者の疾患または望ましくない生理学的事象に関しての「予防」は、障害および/またはその症状の根本原因に関連した症状の発生を予防する、または著しく減らすことを特に指す。
【0059】
「予防的に有効な量」は、望まれない生理的障害またはその障害の症状の重症度を防止するか、少なくするために有効である量を指す。特定の薬剤の予防的に有効な量は、治療される障害または疾患の種類や重症度、ならびに患者の年齢、性別、体重、および他の要因に関して一般に変わるであろう。
【0060】
「徐放性」(「持続放出」と同義)は、薬理学的に活性な薬剤の長時間にわたるゆっくりとした放出を提供する製剤、剤形、またはその領域について言及するその従来の意味に使用される。いくつかの実施形態では、徐放性製剤の目的は、薬理学的に活性な薬剤の長時間にわたる実質的に一定の血中レベルを提供することである。
【0061】
「治療剤」および「薬理学的に活性な薬剤」は、生理的に活性な薬剤化合物、およびそのような化合物のプロドラッグを指すのに互換的に使用される。そのような化合物は、有益な治療効果を与える目的で投与されて、小分子薬剤、巨大分子(例えば、タンパク質、DNAおよびRNAなど)を含む。
【0062】
「治療的に有効な量」は、治療剤に関して、所望の治療効果を達成するために有効である量を指す。特定の薬剤の治療的に有効な量は、治療される障害または疾患の種類や重症度、ならびに患者の年齢、性別、体重、および他の要因などの要因に関して一般的に変動するであろう。
【0063】
「治療する」および「治療」は、症状の重症度および/または頻度の減退、症状および/または根本原因の除去、症状および/または根本原因の発生の予防、ならびに損傷の改善また治癒を指す。
【0064】
本明細書で使用されるように、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」および「それ(the)」は、文脈が他に明確に示さない限り、複数形への言及を包含する。従って、例えば、「プロトンポンプ阻害剤(a proton pump inhibitor)」は、単数のプロトンポンプ阻害剤のみならず、2つ以上の組み合わされたプロトンポンプ阻害剤をも意味し、「賦形剤(an excipient)」との言及は、1つの賦形剤と同様に、2つ以上の賦形剤の組み合わせの両方を包含する。
【0065】
本明細書で使用されるように、フレーズ「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「例えば(such as)」、および「含む(including)」は、より一般的な主題を説明するための例示を紹介することを意味する。これらの例示は、開示を理解するための援助としてのみ提供され、決して如何なる方法でも制限することを意味するものではない。
【0066】
他に明示されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的なすべての用語は、本明細書の主題に属する当業者により通常理解される意味を有する。
【0067】
本明細書に記載のすべての特許、特許出願および刊行物は、引用によりその全体が本明細書に取り込まれる。しかし、明確な定義を含む特許、特許出願および刊行物は、それらが見られる、取りこまれた特許、特許出願または刊行物に適用されるが、本発明の開示またはその請求項には適用されないことを理解すべきである。
【0068】
II.代表的な遅延放出、胃滞留性剤形
本明細書に記述される剤形は、経口投与を目的としており、いろいろな治療薬剤の投与に適している。その剤形は、特に上部GI管で優先的に吸収される薬剤の投与のために、および/または上部GI管での条件によって不活性化されるか、または分解される薬剤の投与のために適している。剤形は、特に初回通過効果の影響を受ける薬剤の投与にも適している。剤形のいろいろな実施形態は、図1〜4(今、後述する)を参照して記述される。
【0069】
最初の実施形態では、剤形の実質的に摂取後の時間に胃で薬剤の用量を放出するように剤形は設計されている。その活性薬剤の遅延放出を提供する1つの代表的な胃滞留性剤形は、図1に示される。剤形10は、ポリマーシェル14で囲まれるか、または中に入れられている薬剤コアから成る。任意の保護層16は、薬剤コアとシェルの間に配置されることができ、薬剤が胃の条件によって分解されるか、または不活性化されるとき、例えば酸に不安定な薬剤の場合、剤形の中に通常含まれる。シェル14は、寸法的に制限されることなく水中で、例えば胃液の存在する水中で、膨潤するポリマーから成る。シェル14の膨潤は、摂食状態での胃の中での滞留性に関して十分な大きさのサイズまで、すなわち、摂食状態での幽門括約筋の開口のサイズと同等であるか、または大きいサイズまで、剤形のサイズを増加させる。摂食状態での幽門の直径は、0.9〜1.4cmの間であり、平均して約1.2cmである。
【0070】
コア12の薬剤は、例えば、シェル14の浸食、または、シェル14の浸食とシェル14を横断する薬剤の拡散の組み合わせにより、剤形10から放出される。好ましい実施形態では、シェル14は、剤形の摂取後に浸食され、単一の「パルス」またはボーラス用量で、送達の徐放性または持続性放出タイプとは対照的に、コア12中の薬剤の放出を達成する。シェル14の特性(例えば、それが作られるポリマー、任意の添加物や賦形剤の存在、およびその厚さ)は、浸食と膨潤の速度を決定し、当業者は、これらのパラメータを変えることへのアプローチを理解できる。シェル14は、望ましくは、親水性で浸食性のポリマーであり、そして、代表的なポリマーは以下に記載される。
【0071】
剤形10中のコア12は、活性薬剤または薬剤と任意の他の望ましい賦形剤を含む。これらは、固形粉または顆粒として一般的に混合され、圧縮されて活性コアを形成する。コアは一般的に、活性薬剤がコア中で均等に分配されるように実質的に均一である。適切な賦形剤は、例えば、不活性担体などを含む。
【0072】
この実施形態の胃滞留性の剤形は、一般的に、約5mm〜約20mmの範囲内、より一般的に約5mm〜約15mmの、または約5mm〜約12mmの、または約7mm〜12mmの範囲内にある膨潤前の直径を有する。また、約1mmから約8mm、または約1mmから約5mm、または約2mmから約5mmの範囲内の直径を有するミニ錠剤を調製することができる。一旦GI管に投与されると、剤形は胃液と接触し、胃滞留性を提供する一般的には投与前の剤形のサイズの少なくとも1.5〜2倍の直径まで膨潤する。いくつかの実施形態では、剤形の膨潤形態は、約10mmから約25mmまたは約10mmから約20mmの範囲内である。
【0073】
剤形のサイズの増加の達成に加えて、剤形の外側のポリマーシェルの膨潤は、薬剤の用量が剤形の実質的に摂取後の時間に胃の中で放出されるように、剤形からの薬剤の送達または放出をもたらす。「実質的に摂取後(substantially after ingestion)」とは、摂取後2〜6時間、より望ましくは3〜5時間、さらにより望ましくは3〜4時間、なおさらに望ましくは2〜5時間または2〜4時間の間に放出された剤形に含まれる薬剤の用量を意図する。さらに、薬剤の用量は、徐放性または持続性放出とは対照的に、薬剤のバーストまたはパルスとして放出される。
【0074】
以上のように、剤形10中のコア12は、コアを形成するために1つまたは複数の賦形剤で圧縮された固形形態、例えば、圧縮固形薬剤の従来の錠剤の薬剤から成ることができる。別の実施形態では、コア12はコアを形成するために圧縮された複数の粒子またはビーズから成り、そして、理想とされる典型的な粒子またはビーズは、図2に図示される。
【0075】
図2で見られるように、ビーズ20は、ビーズコア22、ビーズコアを囲む薬剤コーティング24、任意のサブコート層26、および任意の保護コーティング28から成る。ビーズコアは支持基体として機能し、好ましくは、不活性な医薬的に許容される材料(例えば、澱粉、糖、微結晶セルロース、など)から成る。適切な材料の例は、ノンパレル(nonpareils);SUGLETS(登録商標)(NP Pharm(France)によって供給されて、92%以下のスクロースと(残りは)トウモロコシ澱粉から成る);およびCELPHERE(登録商標)(旭化成(日本)によって供給されて、微結晶セルロースから成る)が挙げられる。ビーズコアのサイズは、例えば、約300〜1200μm、望ましくは、約355〜425μm、約600〜710μm、そして約1000〜1180μmである。
【0076】
薬剤層24は、活性薬剤または薬剤および場合によっては任意の所望の医薬的に許容される賦形剤を含む。典型的な医薬的に許容される賦形剤は、例えば、担体[例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC(一般にヒプロメロースと呼ばれている)]、界面活性剤(例えばTWEEN(登録商標)80(ポリエチレングリコール・ソルビタンモノオレエート)、および本明細書で記述された、およびまたは当該分野で公知の他の賦形剤を含む。層の厚みは、製造プロセス・パーセンテージ重量増加仕様で一般に測定されるが、例えば、約100〜250μmの範囲内とすることができ、ビーズコアの大きさによって異なる場合がある。この層の一般的な質量は、ビーズコアの大きさに応じて、ビーズコア質量の10〜50%である。
【0077】
任意のサブコート層26は、薬剤層の薬剤を保護層成分から保護することが望ましいとき、一般に使用される。例えば、腸溶性コーティングとして機能する保護層は、酸性成分を含むことが可能であり、任意のサブコートは、そのような酸性成分から薬剤を保護するために含まれことが可能である。一旦保護層が取り除かれると、サブコート層は、薬剤層の比較的迅速な放出を可能とするはずである。サブコート層のための適切な材料の例は、OPADRY(登録商標)YS−1−19025−A−ClearおよびOPADRY−03K(Colorcon(Pennsylvania)によって供給される)を含む。サブコート層は、また、アルカリ性化合物(例えば塩基、塩類、など)と同様に、任意の本明細書の他の場所で説明したものを含むさらなる賦形剤を含んでもよい。サブコート層の厚みは、製造プロセス・パーセンテージ重量増加仕様で一般に測定されるが、例えば、約10〜50μmの範囲内とすることができる。この層の典型的質量は、ビーズコア質量の3〜5%である。
【0078】
保護コーティング28は、随意的な層であり、例えば、薬剤が酸に不安定で、剤を使用の環境から保護すること、あるいは薬剤を安定させることが望まれるときに含まれる。含まれる場合、好ましい実施形態では、保護コーティングは、胃酸による分解から薬剤を保護する腸溶性コーティング層である。腸溶性コーティング層を形成するのに用いられる材料の例は、ACRYL−EZE(登録商標)(メタクリル酸共重合体、Colorcon(Pennsylvania)によって供給される)である。このコートの塑性特性は、EUDRAGIT L30 D−55(酸性の保護のために)とEUDRAGIT NE 30 D(可塑剤)(EUDRAGITは、Degussaによって市販されている)の混合物と共に、またはそれなしでのクエン酸トリエチル(TEC)など(これらに限定されない)を含む可塑剤を加えることによって最適化することができる。腸溶性コーティング層は、反粘着性の薬剤(例えば、タルクなど)または消泡剤(例えば、シメチコン・エマルジョンなど)などのさらなる賦形剤を有することができる。層の厚みは、製造プロセス・パーセンテージ重量増加仕様で一般に測定されるが、例えば、約100〜250μmの範囲内とすることができ、ビーズコアの大きさにより変動し得る。この層の典型的質量は、一般的にビーズコアの質量の最低30%である。コーティングされる表面の単位面積当たりのEUDRAGITポリマーの典型的質量は、4〜6mg/cm2である。
【0079】
浸食の速度によって定義された時間で、薬剤がバーストまたはパルスとして放出されるような制御された速度で浸食するコーティングとすることができることもまた考えられる。例えば、保護層は浸食するポリマーであって、保護層の厚さは、薬剤の放出を達成する摂取後の定義された時間内で侵食されるように選択される。
【0080】
保護コーティングは、剤形に添加される安定化成分(例えば塩基性化合物など)であり得ることもまた考えられる。
【0081】
それぞれの層24、28、および任意の層26は、溶液、懸濁液、または乳液、そして望ましくは水溶液の形態でビーズコアに適用されてもよい。一般的に、最終的な剤形では、製造プロセスで使用された水および/または任意の有機溶剤の全てまたはほとんどは、各層から取り除かれた。
【0082】
別の実施形態では、先に述べたように、ビーズよりはむしろ、薬剤ペレットが製造される。薬剤ペレットは、例えば、好ましくは1〜99%の重量パーセント(例えば20〜80%の薬剤の間で)の薬剤を含むペレットを生成するために薬剤を結合剤(すなわち、微結晶セルロース)と混合し、混合物を押し出し、球状化して調製される。押出し物は、腸溶性コーティングなどの保護コーティング剤で、および薬剤ペレットと保護コーティングの間に配置された任意のサブコートで被覆することができる。
【0083】
一旦形成されると、ビーズまたは薬剤ペレットは、単独で、または適切な賦形剤と共に、図1に示されるように、剤形に使用するためのコアに圧縮されることができる。ペレットまたはビーズは、また、他の剤形を製造するのに使用することができ、そして、これらの実施形態は、今度は、図3〜4を参照して記述される。
【0084】
図3Aは、複数のビーズ、例えばビーズ32、34から成る、マトリックス36中に分散された胃滞留性剤形30を例示する。1つの実施形態では、マトリックス36は、胃液中の水分を吸収することにより、摂食状態で幽門括約筋のその通過を阻害する大きさまで、寸法的に制限されないで膨潤するような、水中で膨潤する親水性ポリマーから成る高分子マトリックスである。そのような剤形は、胃での滞留性を提供し、胃での複数のビーズにおける薬剤の放出、および遅延放出を達成する。遅延放出は、ポリマーマトリックスならびに摂食後のその浸食の速度と程度の適切な選択により達成される。その浸食の速度と程度は、体液がポリマーマトリックスに分散された各々のビーズの保護コーティングに達する速度、保護コーティングの可溶化、および各々のビーズの薬剤層の薬剤の最終的な放出を決定する。
【0085】
図3Bは、図2に示されるビーズなどの複数のペレットまたはビーズを配合する別の代表的な胃滞留性剤形40を図示する。この実施形態では、ビーズ(例えばビーズ42、44など)は、マトリックス46に分散される。この実施形態のマトリックス46は、1つまたは複数の賦形剤で圧縮されたビーズから成る。マトリックス46は、膨潤性で浸食性の親水性ポリマーから成るポリマーコーティング48によって囲まれる。親水性ポリマーは、摂食状態で胃の幽門括約筋のその通過を阻害する大きさまで寸法的に制限されないで膨潤するように水中で膨潤する。そのような剤形は、胃滞留性を提供して、胃での複数のビーズにおける薬剤の放出、および遅延放出を達成する。遅延放出は、ポリマーコーティング中のポリマーならびに摂食後のその浸食の速度と程度の適切な選択により達成される。その浸食の速度と程度は、体液がマトリックス46に達してマトリックス中の各々のビーズ上の保護コーティングを可溶化する速度を決定し、各ビーズの薬剤層の薬剤の放出を提供する。胃滞留性の特性はまた、胃滞留性コーティング層で各ビーズをコーティングすることにより達成されると理解され、よって各活性ビーズは独立して胃滞留性の特徴を持つ。
【0086】
ここで使用に適している水膨潤性の浸食性ポリマーは、水と接触して寸法的に制限されない方法で膨潤するものであり、時間とともに徐々に浸食される。そのようなポリマーの例は、セルロースポリマーおよびそれらの誘導体を含み、それらには、非限定的に、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース;多糖類およびそれらの誘導体;ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール、特に高分子量ポリエチレングリコールなど);キトサン;ポリ(ビニルアルコール);キサンタンガム;無水マレイン酸共重合体;ポリ(ビニルピロリドン);澱粉および澱粉系ポリマー;マルトデキストリン類;ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン);ポリ(エチレンイミン);ポリウレタン;ヒドロゲル;架橋ポリアクリル酸;ならびに前述したもの任意の組み合わせまたは混合物が挙げられる。
【0087】
さらなる例は、共重合体であって、それらはブロック共重合体およびグラフト重合体を含む。共重合体の特定の例は、PLURONIC(登録商標)およびTECTONIC(登録商標)であり、それは、BASF Corporation,Chemicals Div.,Wyandotte,Mich.,USAから入手可能なポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド・ブロック共重合体である。さらなる例は、加水分解された澱粉ポリアクリロニトリル・グラフト共重合体であり、これは。一般に「Super Slurper」として知られており、Illinois Corn Growers Association,Bloomington,Ill.,USA.から入手可能である。
【0088】
本明細書で記述される剤形の胃滞留性の部分を形成するのに適した好ましい膨潤性で浸食性の親水性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリ(エチレンオキシド)とヒドロキシプロピルメチルセルロースの組み合わせである。ポリ(エチレンオキシド)は、非置換エチレンオキシドの線形ポリマーに言及するために、本明細書で使用される。ポリ(エチレンオキシド)ポリマーの分子量は、約9×105ダルトンから8×106ダルトンにわたることができる。好ましい分子量のポリ(エチレンオキシド)ポリマーは、約5×106ダルトンであって、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から商業的に入手可能であり、SENTRY(登録商標)POLYOX(登録商標)水溶性樹脂、NF(国民医薬品集)級のWSR凝固剤と呼ばれる。そのポリマーの25℃における1%水溶液の粘度は、好ましくは4500から7500センチポアズの範囲である。
【0089】
薬剤の遅延型の胃滞留性放出を提供する剤形のさらに別の実施形態は、図4A〜4Eに例示される。剤形50は、第1部分52aと第2部分52bを有するカプセル52から成り、それは、図4Dの分解図と外層52aの一部が取り除かれている図4Bの図で最もよく見える。第1および第2部分52a、52bは、第2部分が第1部分に取り外し可能に挿入できるように大きさを設定され、内部の空洞54を有するカプセル52を形成する。
【0090】
カプセルの内部空洞には、図4C〜4Dで見える挿入物56、58などの1つの、2つの、3つの、またはそれより多くが含まれている。各々の挿入物は、浸食性で膨潤性の親水性ポリマーから成り、隣接した挿入物と適合またはぴったり合わさる配置となるように成形される。示された実施形態では、挿入物56は第1端部60と第2端部62と壁64を有する。第1端部60は、厚さl(エル)の縁部66を有し、それは空洞68の内径を定め、それは図4Eに示される挿入物56の断面図で見える。挿入物56の端部62は、挿入物58などの隣接した挿入物に封緘係合または挿入するための大きさに設定された突出部70を有する。図4Eで最もよく見えるように、縁70は、挿入物58の端部に差し込まれ、挿入物58の端部74上の縁部72は、挿入物56上の端部62の斜角端部76に対合する。以下で議論するように、隣接した挿入物の係合と特に第1挿入物の縁部と第2挿入物の端部への係合は、使用の環境から挿入物内で空洞を閉鎖するシールを生成する。そして、しばらくの間、空洞の内容物の放出を遅らせる。図4Eの実施形態では、挿入物58の空洞80の内容物は、隣接した挿入物56との係合によってシールされて、空洞80内の内容物の放出を遅延させる。
【0091】
図4A〜4Eの剤形の胃滞留性および遅延放出特性は、経口投与後の事象を記述することによって最も理解される。図4A〜4Eで表される剤形は、第1挿入物と第2挿入物を含むように調製される。各々の挿入物の空洞は、薬剤ペレットの形態の薬剤で、または、好ましい実施形態では、図2で示すビーズの形態の薬剤で充填される。薬剤を詰められた挿入物は、胃液との接触の際、溶解するか、浸食するか、さもなければ崩壊する圧入ゼラチンカプセルなどのカプセル内に挿入される。剤形は経口で摂取され、胃の中での胃液との接触で、カプセルは溶解し、そして、挿入物を胃環境に曝す。用語「摂取される」とは、剤形が口によって体の中に取りこまれることを意図する。図4Eを参照して上で示したように、第1および第2挿入物は、ぴったり合わされた配置にあり、外側のカプセルの溶解により、第1挿入物の空洞が環境に曝され、第2挿入物の空洞は、隣接するぴったり合わされた挿入物の端部により、シールされたまま残る。第1挿入物の空洞に含まれる第1薬剤の用量は、第1パルスまたはボーラス用量として胃に放出される。カプセルの溶解が摂取のときに急速であるので、この第1薬剤用量は、基本的に即時放出用量である。このように、薬剤の第1用量は、実質的に経口投与後、すぐに患者に送達される。「実質的にすぐに(substantially immediately)」によって、剤形摂取後の60分未満、好ましくは30分未満、およびより好ましくは20分未満、そしてさらにより好ましくは、10〜30分間が意図される。
【0092】
一旦カプセルのシェルが溶解するか、さもなければ崩壊するならば、浸食性の挿入物は、周囲の液体(例えば、患者の胃の中の胃液)に曝される。水の吸収は、浸食性の挿入物が胃液または他の水環境への曝露の後で重合もつれを経る融合を引き起こし、一定期間胃で保持されるサイズまで膨潤する。つまり、挿入物は、インシチュで空洞のうちの1つを閉じ、一定期間その内容物の放出を妨げるシールを生成する。この期間中、胃滞留性の浸食性挿入物は、浸食し始め、そして、特定の期間の後、浸食性挿入物の浸食は、空洞内に含まれるどんな材料でも剤形から周囲の環境(例えば、胃)へと排出するのを可能にする。シールを破るのに必要な期間は、いろいろな要因(例えば、浸食性挿入物の壁の厚み、浸食性挿入物が作られる材料、挿入物を浸食する液体のpH、環境の機械的乱流量、および他の要因など)に依存する。そのような要因と変数を考慮して望ましい放出時間を得るための壁厚の材料と最適化についての選択は、本開示および本明細書で引用された文献に照らして、当業者の能力の範囲内である。
【0093】
特に、そして、図4Eに関して、挿入物の寸法と挿入物が製造されるポリマーは、第2挿入物に含まれる薬剤の第2用量の最終的な放出のための時間に影響する。特に、図4Eの挿入物58の縁72などの、空洞の開口を囲む縁72の厚みl、および斜角端部76の寸法、同様に挿入空洞の寸法、挿入物の全体的な大きさの寸法は、第2挿入物の空洞の内容物の放出を達成するのに十分な範囲の挿入物の浸食に必要である時間に影響を及ぼす。挿入物は、胃滞留性を達成するサイズまで膨潤するので、第2空洞の内容物の放出は、胃で起こり、その結果、胃に送達された薬剤は2パルスとなる。
【0094】
上記の剤形は、主に親水性の膨潤性ポリマーで製造された層または成分による胃滞留性である。胃滞留性成分は、また、本明細書では送達ビヒクルとも称され、そして、そのような送達ビヒクルは、特に図1と図3Bの剤形のポリマーシェル、図3Aの高分子マトリックス、および図4A〜4Eの挿入物によって具体的に例示される。
【0095】
上記のパルス型遅延放出剤形は、単なる例示的なものであり、そして、多種多様な剤形構成が考えられ、当業者により容易に設計されることができることは理解される。さらに典型的な剤形構成は、図5に図示される。図5は、錠剤の形態の剤形80の長手軸方向の断面図を表す。錠剤は、第1隔壁84に閉じ込められた第1薬剤の用量82と第2隔壁88に閉じ込められた第2薬剤の用量86から成る。錠剤マトリックス90は、第1および第2隔壁、84、88を分離し、膨潤性で浸食性の親水性ポリマーから成る。
【0096】
第1薬剤の用量82は、剤形の外面92への露出のために位置が定められる。第2薬剤用量86は、それが錠剤マトリックスによって囲まれるか、または入れられるように位置が定められる。理解できるように、薬剤用量のこの位置決めは、所望のパルス型放出プロファイルを達成する。第1薬剤の用量が錠剤面に曝されていて可溶化と放出がしやすいので、剤形80の摂取により、第1薬剤用量82は、本質的には直ちに胃に放出される。錠剤マトリックス90は、胃液の水との接触で膨潤し、そして、今、膨潤した高分子マトリックスで完全に囲まれた第2薬剤隔壁からの薬剤の放出を妨げる。錠剤マトリックスは、摂食状態のとき、剤形が幽門括約筋を通過するのを妨げるのに十分な程度にまで膨潤する。第2隔壁からの薬剤の放出は、マトリックス中のポリマーや他の材料、マトリックスの厚み、胃の状態、および他の要因により一部は決定される一定期間、遅延する。薬剤の第2用量は、第2薬剤用量を胃環境に曝すのに十分な程度の錠剤マトリックスの浸食により胃で放出される。第2用量の放出は、バーストまたはパルスとして起こる。
【0097】
第1および第2薬剤の用量は、固形薬剤および任意の賦形剤(例えば、酸に不安定な薬剤のための塩基または他のpH安定剤)から成ることができる。第1および第2薬剤の用量のどちらか、または両方は、また、上記したビーズから成ることができ、そこでは、所望の用量を提供するのに十分な複数のビーズが、単独でまたは任意の望ましい賦形剤と共に、錠剤製造プロセスの過程で、第1および第2隔壁に圧縮される。また、剤形の全体または一部は、外側の腸溶性コーティングか追加の薬剤コーティングによりコーティングできることが理解されるであろう。
【0098】
図5Bは、2重パルス放出を提供する剤形錠剤の別の実施形態と薬剤の任意の即時放出パルスを例示する。剤形100は、第1および第2薬剤の用量を含む第1隔壁104と第2隔壁106を有する錠剤マトリックス102から成る。第1および第2隔壁の各々の薬剤の用量は、錠剤マトリックス、錠剤中の各隔壁の大きさや位置により少なくとも一部は決定される時間で剤形から放出される。各々の隔壁の大きさと位置の調節、ならびにマトリックスを形成するポリマーの選択および第1と第2隔壁の各々を囲む隔壁の厚さは、マトリックスの浸食に必要とされる時間および第1と第2隔壁での薬剤用量の放出のために必要とされる時間に影響する。剤形の外面108は、摂取により薬剤の即時放出を提供する薬剤コーティングを場合により含むことができる。
【0099】
図6A〜6Bは、上記の剤形からの薬剤の放出を例示する。図6Aは、単一パルスの遅延放出送達プロファイルを示し、そこでは、薬剤のボーラスが、時間t2で送達され、そして、それは時間t1での剤形の摂取から実質的に離れた時間である。時間t2は、望ましくは2、3、4、5、もしくは6時間であるか、または、剤形摂取後の2〜3時間、2〜4時間、もしくは2〜5時間である。図1と図3A〜3Bで例示される各剤形は、胃への単一パルスの遅延放出送達を提供する。さらに、図4A〜4Eで示される剤形は、第1挿入物の空洞を空のままにして、挿入物の膨潤によりインシチュで第2挿入物の薬剤の第1用量を提供することによって、薬剤の単一パルスの遅延放出を提供することもできる。
【0100】
図6Bは、薬剤のパルス放出送達プロファイルを例示し、そこでは、薬剤の第1パルスが時間t1で送達され、薬剤の第2パルスが時間t3の剤形から放出される。時間t1は、剤形摂取後の実質的に直後であり、例えば、摂取後10〜30分である。時間t3は、剤形の摂取から離れた時間であり、好ましくは2、3、4、5、もしくは6時間、または、剤形摂取後の2〜3時間、2〜4時間、もしくは2〜5時間である。剤形の胃滞留性の性質は、薬剤の第2パルスが胃および上部GI管で投与されるのを確実にし、したがって、患者の胃に送達される第1パルスと第2遅延パルスを提供する。図1と図3A〜3Bの剤形は、剤形の外面に即時放出薬剤層を含むように製造できることが理解されるし、その即時放出薬剤層は、薬剤の第1パルス用量を提供する。このように、上記の剤形の各々は、第1および第2パルス薬剤放出を提供するために製造することができる。
【0101】
上記したように、いくつかの実施形態では、剤形は複数のビーズを含み、そこでは、大多数が薬剤の望ましい用量を含む。即時に放出される薬剤の第1用量は、第1複数ビーズと関係し、そして、薬剤の第2またはそれ以降の用量は、第2とそれ以降の複数のビーズと関係する。1つ以上の複数のビーズ中のビーズのサイズは、同じであるか、または異なることができると考えられる。例えば、時間の狭い制限枠での第1の複数ビーズ(すなわち、図6Bのt3とt4の間の短い時間)からの剤形のボーラス放出を達成するために、約2mmまたはそれ未満、好ましくは1mmまたはそれ未満の範囲の外径を有するビーズの集合が好まれる。下限の外径サイズは、製造規制、およびビーズコア材の利用し得るサイズによって決定される。典型的な最小限のサイズは、0.1mm、または0.2mm、または0.5mmのオーダーである。より小さいサイズのビーズは、時間の狭い制限枠での薬剤の用量の放出を提供する。遅延薬剤パルスに含まれるビーズは、2mmより大きくすることができ、4mm以上の、好ましくは約4mmから約8mmの間での最小限の外径サイズに膨潤する高分子マトリックスに好ましくは含まれ、そのため、ビーズ集合のサイズは、摂食状態で約1.2cmの平均幽門直径より大きく、摂食状態でのビーズの集合の滞留性を促進する。
【0102】
再び図4A〜4Eの剤形を参照して、剤形の各浸食性挿入物は、形状が同一であるか、または形状がその用量において他の1つまたは複数の浸食性挿入物と異なる(例えば、「上」と「下」の挿入物)ことが理解される。1つの実施形態では、浸食性挿入物は、雄端と雌端を有する形状を有し、別の実施形態では、各浸食性挿入物は、一方の側に雄構成要素および反対側に雌構成要素の両方を含む。雄連結部分と雌連結部分は、先細りしていて、段階状、ねじ状(例えば、螺旋状)、またはそれらの組み合わせであってもよい。1つの実施形態では、1つの浸食性挿入物の雄端または側面を別の浸食性挿入物の雌端または側面への接合は、遅延パルスで放出される薬剤の所望量を含むのに十分大きな空隙を生み出す。
【0103】
遅延パルス薬剤貯留室は、先に記述したものなどのビーズと同様に適切な任意の所望の賦形剤を含む腸溶性薬剤含有ビーズから成ることができる。あるいはまた、遅延パルス薬剤貯留室は、薬剤含有コアおよび適切であるならば、腸溶性コーティング層を含むミニ錠剤を含んでもよい。薬剤コアの周りの外側の膨潤性ポリマーコーティングのための要件を不要にするが、そのようなミニ錠剤は、上の図1の剤形と類似しており、そして、ミニ錠剤(複数を含む)が挿入物の空洞に配置されるとき、ミニ錠剤は胃滞留性コーティング層なしで調製することができる。
【0104】
好ましい実施形態では、上記の遅延パルス剤形は、プロトンポンプ阻害剤化合物(例えばオメプラゾール)から成る。例えば図1および3Bで図示される剤形などの、腸溶性コーティングと胃滞留性コーティングを有するコアに配合されたオメプラゾール粒子が検討される。酸保護の胃滞留性錠剤コアは、即時放出粒子または即時放出コーティング層で場合によりさらにコーティングされることができる。あるいはまた、オメプラゾール粒子の各々は、腸溶性コーティングと胃滞留性コーティングを有することができ、そして、そのような粒子は、オメプラゾールの初回パルスと任意の適切な賦形剤と共に、錠剤に圧縮されるか、またはカプセルに充填されることができる。また、初回パルスは、即時放出粒子の形態で、あるいはオメプラゾールと賦形剤(および、場合により、塩基)とのより均一な混合物の形態で存在してもよい。
【0105】
好ましい実施形態では、図4A〜4Eで表される剤形は、挿入物の第1空洞でおよび/または挿入物とカプセルの間の空隙スペースの中で含まれる即時放出用オメプラゾールの第1用量で調製される。即時放出オメプラゾールは、塩基性物質などの保護成分を用いて、または、腸溶性コーティング(図2で例示されるように)を有する薬剤ペレットまたはビーズの形態で処方される。あるいはまた、即時放出パルスは、浸食性挿入物上のコーティングとして存在する場合がある。オメプラゾールの第2用量の遅延パルス放出は、剤形の摂取の十分に後の時間での放出のために、第2挿入物の第2空洞内に含まれる。
【0106】
さらに別の代替の実施形態では、即時放出層と遅延放出層から成る2重層錠剤が調合される。2重層錠剤は、当該分野で公知であり、当業者は、一般に利用できる方法とともに本明細書で開示された方法を使用して、それらの製造をすることができる。遅延放出パルスを即時放出パルスに取り込むための他の代替法は、本開示を考慮すれば、当業者には明らかとなるであろう。
【0107】
薬剤放出の2つより多いパルスを提供する剤形が検討され、当業者は、第3、第4、またはそれより多い薬剤用量パルスを提供するために、上記の剤形の修正を理解するであろう。多重パルスは、本明細書に記述された実施形態のバリエーションを使用して可能である。浸食性挿入物を用いた剤形については、複数のパルスは、剤形で2つ以上の同一であるか、または異なる浸食性挿入物を用いて得ることが可能であり、そこでは、異なる挿入物は異なる浸食時間を提供する。錠剤コアおよび/またはビーズから成る剤形については、追加パルスは、活性薬剤を含む層と交替された複数の胃滞留性層を使用して得ることができる。
【0108】
任意の実施形態について、薬剤の任意の初期(すなわち、即時放出)パルスは、任意の方法で遅延放出パルスと組み合わせることができる。一般に、薬剤の初期パルスは、投与により急速に胃で放出される。活性薬剤の第2(すなわち、遅延)パルスは、任意の時間での投与に続き、当業者が本明細書での開示を考慮して、放出の望ましい時間をどのようにして提供すべきかについて理解する。例えば、胃滞留性の挿入物の壁の厚みを増やすことは、剤形の投与と薬剤の遅延パルスの放出との間の時間の遅れを増加させる。剤形投与と遅延パルスの放出との間の最適時間遅れは、多くの要因(例えば、処置される状態、身体的な特徴、および治療される患者の日課など)に依存する。
【0109】
いろいろな実施形態では、遅延パルスは、剤形の投与の後の約2〜12時間以内に、例えば、約3〜9時間以内に、または、例えば、約4〜6時間以内に患者の十二指腸と小腸に活性薬剤を放出する。遅延放出パルスの放出は、剤形の投与後、約3、4、5、6、7、8、9、10、11または12時間を目標とすることができる。さらなる例として、遅延放出パルスの放出は、剤形の投与後、約2〜4時間、または約3〜5時間、または約5〜7時間、または約6〜8時間の間を標的としてもよい。
【0110】
通常、初期パルス(存在するとき)は、遅延パルスで存在する活性薬剤また薬物の用量の約0.25〜20倍の間にある活性薬剤または薬物の用量を放出する。比率として測定されて、遅延パルスに対する初期パルスの薬剤の用量比は、約0.25〜4、または0.5〜2、または0.75〜1.25であってよく、そして1:1とすることができる。製剤の活性薬剤の量は、製剤の総重量に基づいて、一般的に、約0.05重量%〜約95重量%の範囲である。例えば、活性薬剤の量は、約0.05重量%〜約50重量%、または、約0.1重量%〜約25重量%、または、約1重量%〜約15重量%の範囲であってよい。あるいは、製剤の活性薬剤の量は、投与の際の所望の用量、濃度、血漿レベルなどを達成するために測定される場合がある。活性薬剤の量は、活性薬剤の特定の用量(すなわち、患者の単位重量当たりの活性薬剤の単位重量)を達成するために計算されるかもしれない。さらに、治療計画は、活性薬剤の予め定められた全身的なレベルを維持するように設計される場合がある。例えば、製剤と治療計画は、成人に対して約0.001mg/kg/日から約100mg/kg/日の範囲の活性薬剤の量を提供するように設計されてもよい。さらなる例として、活性薬剤の量は、約0.1mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約25mg/kg/日、または約1mg/kg/日〜約10mg/kg/日の範囲であってよい。用量は患者の身体的な特徴と治療計画の期間を含む様々な要因に依存して変動するかもしれないことを当業者は認識するであろう。
【0111】
本明細書に記述される剤形を製造するのに有用な多数の材料は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition(Lippincott Williams&Wilkins,2000)およびAnselらの、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,6th Ed.(Media,PA:Williams&Wilkins,1995)に記載されている。医薬的に許容される添加物または賦形剤としては、結合剤(例えば、エチルセルロース、ゼラチン、ガム類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、澱粉、糖類、ワックス類)、崩壊剤、着色剤、希釈剤(例えば、硫酸カルシウム、セルロース、リン酸ジカルシウム、カオリン、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、澱粉、スクロース)、香料、滑走剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素、タルク)、および滑沢剤(例えば、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、水素化植物油、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ベヘン酸ステアリル、タルク)、甘味料、ポリマー、ワックス類、および溶解性遅延物質などが挙げられる。本明細書に記述される剤形は、湿式造粒、流動床造粒、乾式造粒、直接圧縮、その他を含む当該分野でよく確立した技術によって作られる。
【0112】
1つの実施形態では、薬剤は酸に不安定であり、剤形は摂取後持続した期間の間、胃で保持される周囲マトリックスにそれ自身が含まれる腸溶性コーティング中の薬剤を含む。剤形中の薬剤の一部が、投与後すぐに第1パルスで放出され、剤形中の薬剤の残りの部分が剤形摂取の時間から離れた時間で第2パルスにより放出されるような薬剤の治療投与に適した経口用剤形が提供される。したがって、これらの2つの異なる剤形は、薬剤放出の2つの異なる「パルス」、つまり、摂取後、相対的にすぐに来る第1と時間にして大分遅れる第2(「遅延パルス」)を送達する点で異なる。
【0113】
投与すべき薬剤が、酸に不安定であるか、または胃および/または小腸での出を標的とすることを想定した最初の例では、初期パルスは、剤形に組み込まれた酸保護された即時放出粒子の層から生じる。酸保護された即時放出粒子の層は、例えば、興味のある薬剤と医薬的に許容される担体とを即時放出コアに含む粒子であることができ、そこでは、即時放出コアが腸溶性コーティングでコーティングされて、コアを胃の酸性条件から保護する。代わりに、または、塩基を即時放出コアの中に配合して、酸性の状況からの保護を提供することができる。腸溶性粒子は、それらが投与後急速に放出されるように、剤形に取り込まれる。例えば、粒子(浸食性ポリマーなどの他の医薬的に許容される賦形剤と共に)は、剤形の最外層に配合することができる。剤形の投与により、最外層は、急速に溶解して、浸食するか、さもなければ分解して、そして、上部GI管に第1パルスの粒子を放出する。第2の例では、初期パルスは、即時放出コーティング層から生じ、それは活性薬剤または薬物、任意の塩基、および浸食性ポリマーなどの任意の医薬的に許容される担体との非粒子混合物から成る。投与により、即時放出薬剤層は浸食するか、胃で溶解し、それによって活性薬剤の第1パルスを放出する。
【0114】
剤形から放出された薬剤の遅延パルスは、薬剤を胃滞留性のマトリックスに取り込むことによって提供される。投与される薬剤が、酸感受性であるならば、そのときには、初期パルスで送達される薬剤に関しては、遅延パルスで送達される薬剤は、例えば、腸溶性コーティングを使用することにより酸保護されるか、および/または塩基と共に処方される。
【0115】
剤形は、経口投与を目的とする。好ましい経口剤形は、錠剤、カプセルおよび同様のものを含む。錠剤は、例えば、圧縮ラクトース、スクロース、およびアカシアまたはトラガカントなどの風味基剤、ならびに活性薬剤の有効量を含んでもよい。錠剤は、一般に医薬製剤を製造する当業者によって実施されている、周知の混合、粉砕、および製造ステップを含む通常の錠剤化方法により調製することができる。そのような技術の例は、以下の通りである:(1)適切な回転式錠剤圧縮機に一般的に適合した、適切な杵と臼を使用する直接圧縮法;(2)注入または圧縮成型;(3)流動床造粒、低または高せん断力造粒、またはローラー圧縮後の圧縮造粒;(4)型への、または押出し物への、一定の長さに切断されるペーストの押し出し;(5)パンコーティング、流動床コーティングや下部噴霧法(bottom spray methods)(Wurster)および他のフィルムコーティング方法;ならびに(6)粉末積層法。
【0116】
錠剤が直接圧縮によって作られるとき、滑沢剤の添加は役に立つ場合があり、圧力が減ったとき、粉流を促進して、錠剤の破壊を防ぐのにしばしば重要である。典型的な滑沢剤の例は、ステアリン酸マグネシウム(粉末混合物中、0.25重量%から3重量%、好ましくは約1重量%またはそれ未満)、ステアリン酸(0.5重量%〜3重量%)、および水素化植物油(約1重量%から5重量%、最も好ましくは約2重量%での水素化および精製ステアリン酸およびパルミチン酸のトリグリセリド)である。さらなる賦形剤が、造粒助剤(例えば、2〜5重量%の低分子量HPMC)、結合剤(例えば、微結晶セルロース)、および粉末流動性、錠剤硬度、および錠剤の摩損度を強化するための、そして臼の壁への接着を下げるための添加剤として加えてもよい。他の充填剤および結合剤は、ラクトース(無水物または1水和物)、マルトデキストリン類、糖類、澱粉類および他の一般的な医薬用賦形剤を含むが、これらに限定されるものではない。これらのさらなる賦形剤は、錠剤の1重量%から50重量%を構成し、そして、ある場合には、それ以上を構成してもよい。
【0117】
上記の成分に加えて、いろいろな任意の添加物(例えば、薬剤送達、貯蔵寿命および患者の承諾を改善する成分)を配合することが、場合によっては必要である場合があるか、望ましい場合がある(例えば、投与の特定組成物または方法に依存して)。適切な添加物は、酸、酸化防止剤、抗菌物質、緩衝剤、着色剤、結晶成長抑制剤、消泡剤、希釈剤、緩和剤、充填剤、風味剤、ゲル化剤、芳香剤、滑沢剤、推進剤、浸透圧調整剤、増粘剤、塩類、溶媒、界面活性剤、他の化学安定化剤、またはそれらの混合物を含む。これらの添加物の例は、例えば、M.Ash and I.Ash,Handbook of Pharmaceutical Additives(Hampshire,England:Gower Publishing,1995)で見られ、その内容は、引用により、本明細書に取り込まれる。
【0118】
ある種の薬剤や一般にPPIsの酸に対する不安定性のために、上記したように、剤形によって送達される薬剤の製剤に塩基を配合することは、望ましい場合がある。製剤に塩基を含ませるための任意の適切な方法を使用することができる。例えば、塩基は、図1、2、3A〜3Bに関して上記した剤形のサブコーティング層に配合されることができる。理解されるように、塩基の有効利用は、場合によっては、腸溶性コーティングの必要性を減らすことができるか、または除くことができる。適切な塩基は、当該分野で公知であり、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物の金属およびまたはアルカリ塩を含むことができる。そのような塩類のための適切な陽イオンは、アルミニウム、ビスマス、マグネシウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびそれらの組み合わせを含む。
【0119】
本開示の剤形の投与のためのガイダンスが、ここに提供される。しかし、それは、用量、投与計画などに対する修正が必要とされるかもしれないし、患者ごとの基準で開業医により最もよく決定されることは、当業者は理解する。熟練した開業医は、一般に利用できる知識に基づいて、そのような修正をすることができるであろう。剤形は、1日当たり1回、経口投与のために通常使用される。
【0120】
本明細書に記述される製剤は、貯蔵寿命を増やすために、単位用量の形態で、または、任意の防腐剤による複数投与用容器で提示されることができる。また、本明細書に記述される任意の状態または本明細書に記述される剤形を使用して治療され得る任意の状態の治療のためのキットもまた、想定される。キットは単回投与用容器または複数投与用容器中のいずれかでの剤形を含み、服用量または服薬についての指示書、添付文書などをさらに含むことができる。
【0121】
本明細書に記述される製剤と剤形は、パルス送達から利益を得るどんな状態でも治療するのに使用することができる。例えば、材料と方法が、以下のセクションで説明されるように、胃酸分泌に関する状態(GERDおよびNAB、ならびに他の疾患を含む)の治療において使用することができる。
【0122】
III.治療方法および投与に適した薬剤
第1態様では、GERDを治療する方法が提供される。胃食道逆流(GER)の症状は、米国成人人口の約45%に少なくとも月に1回影響を及ぼし、28%が1週間に1回それを経験し、そして、10%が毎日、胸やけとGERの他の症状を発症する。毎週および毎月の胃食道逆流症の患者は、プロトンポンプ阻害剤(PPIs)で最も治療されそうな患者である。PPIsまたは他の酸抑制療法中の夜間酸分泌(NAB)と関連する胃食道逆流症(GERD)は、一般的な事象である。最近の研究において、NABはPPIsを服用しているGERD患者の70%で観察されたが、一方、食道(逆流)への酸性曝露は、NABを有するこれらの患者の33%で観察された(Katz P.O.ら、Aliment Pharmacol Ther.,12:1231−4(1999))。これは、エソメプラゾールを用いた研究で確認されたが、そこではGERD患者のわずか50%だけが、夜間の胸やけから軽減された。オメプラゾールの様々な投与療法を調べる別の研究では、1日2回(BID)の服用(朝食と夕食の前の20mg)は、胃(pH>4、その時間の80%)の夜間のpHコントロールに対して最も有効であったが、一方、夕食前の40mgでは、中程度(pH>4、その時間の69%)であったし、朝食(承認された時間)前の40mg服用では、最も効果が少なかった(pH>4、その時間の24%)。全ての昼間のデータが、投与計画の間で異なるというわけではなくて、最小限だった点に留意する必要がある。これらのデータは、夜の間の酸生産のコントロールについて満たされないニーズがあることを示す。
【0123】
したがって、別の態様では、NABの発症を治療する、予防する、または減少させる方法が提供される。別の態様では、GERDを治療する方法および同時にNABの発症を治療する、予防する、または減少させる方法が提供される。これらの方法では、上記のタイプの剤形が提供され、そこでは1つ以上のパルス用量がPPIの剤形から放出される。別の実施形態では、剤形の服用のうちの1つはPPI(例えばオメプラゾール)であり、そして、他の服用は非ステロイド性の抗炎症剤(例えば、サリチル酸塩、アリールアルカン酸、2−アリールプロピオン酸、N−アリールプロピオン酸、ピラゾリジン誘導体、オキシカム、またはCOX−2阻害剤など)である。特に好ましい化合物は、アスピリン、イブプロフェン、およびナプロキセンを含むが、これらに限定されるものではない。
【0124】
制酸剤、ヒスタミン2受容体拮抗剤(シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、およびニザチジン)、およびPPIは、GERDを治療するのに現在用いられているが、しかし、PPIsは通常、最も有効であると思われる。GERDにおける有効性は、すべてのPPIsについて同じであるので、オメプラゾールは、他のPPIs(エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、およびパントプラゾール)に勝る特定の利点を有しない。2005年には、経口固形制酸剤のために書かれた1億800万の処方箋があった;そして、そのうち、8100万の処方箋がPPIsのために書かれた。
【0125】
上記したように、GERD患者がPPIsで1日2回(BID)処置されているときでも、NABは患者の約20%で起こる。それらが夕食(午後5〜6時)の前に投与されるので、これはPPIsの夕方の用量のタイミングのためであるようである。夕食の約4〜6時間後にNABが起こるとき、PPIは、その短い半減期のため、もはや有効な濃度で存在しない。PPIの初期用量では、プロトンポンプの60〜75%は不活性化され、そして、25〜40%の残りに分泌能力をもたらす。さらに、新しいポンプの新規合成(主に夜、起こる)は、さらに25〜30%を加える。2日目の朝の服用で、残りと再生されたポンプの60〜75%は、阻害される。このプロセスは、まだ約35%の酸分泌能力がある定常状態に達するまで続く。しかし、新しいポンプは主に夜に再生されるので、胃のpHは日中高いままであるが、新しいポンプが合成され、活動するにつれて夜に減少する(Sachs G.,Eur J Gastroenterol Hepatol.,13(Suppl 1):S35−41(2001))。
【0126】
夜のGERまたはNABは、持続放出オメプラゾール製剤で克服出来るのでないかと人が推量したかもしれない間に、研究によれば、絶食状態でオメプラゾールと比較して、オメプラゾールのシミュレーションされた制御放出で相対的な生物学的利用能(61±15%)の減少を示した。減少した生物学的利用能は、初回通過代謝によるもののようであり、その問題の効果は、持属性製剤で増幅される。本明細書に記述される剤形は、2つのパルスシステムを提供することによって、初回通過代謝を記述するNABの問題の解決を提供する。単位用量形態は、夕食と一緒に取られ、そして、第1パルスは摂取直後に放出される。このパルスは、食事によって活性化されたプロトンポンプを阻害する。NABが起こるとき、製剤の第2遅延パルスは、胃で保持されて、4〜6時間後に第2パルスを放出する。これは、プロトンポンプが夜に活性になると、存在するオメプラゾールの有効濃度をもたらす。
【0127】
このように、1つの実施形態では、遅延パルスを与え、GERD患者、特に強調されるのは、PPIsで治療されているが夜間の逆流を有する患者を標的とするオメプラゾールの単位用量形態が提供される(他の実施形態では、他のPPIの単位用量形態が提供される)。この単位用量形態は、夕食で投与される1日1回の経口の投薬製剤を提供する。1つの実施形態では、単位用量形態は、オメプラゾールの20mg(または別のPPIの等価用量)がすぐに放出され、第2の20mgが4〜6時間後に放出される、2−パルス遅延放出製剤を提供する。この単位用量形態の治療的な利点は、プロトンポンプが夜の間に活性となるとき、薬剤が存在するということであり、したがってそれらは阻害されるであろう。
【0128】
NABが起こるとき、現在、市場に出ている遅延放出製剤およびPPIsの短い血漿半減期(0.5〜2時間)の場合、この時間の間に活性となるプロトンポンプを阻害する系に残存する薬剤はない。現在、市場化された遅延放出製剤で行うことができる、NABの発症を予防し、または減少させながらGERDを治療する方法が考慮される。この実施形態では、患者は夕食でオメプラゾールの20mg用量(または別のPPIの等価用量)が投与され、そしてオメプラゾールの少なくとも20〜40mg用量(または別のPPIの等価用量)が就寝時に投与される。
【0129】
他の実施形態では、複数単位剤形が提供され、そこにおいて、2つのパルスは2つの別々の剤形で送達される。腸溶性ビーズ/顆粒は、胃で薬剤の酸による分解から保護するために、両方で利用される。各々のパルスのための成分は、1つのカプセル内に包装されるか、または1つの単位包装(ブリスターカード)下の別々の剤形(カプセルまたは錠剤)として提示されることができる。第1パルスは、腸溶性ビーズ/顆粒または腸溶性ビーズ/顆粒を配合している急速崩壊錠剤により提供される。第2パルスは、投与4〜6時間後に薬剤を送達するために胃での十分な滞留を確実にする、膨潤性の浸食性マトリックス錠剤である。別の実施形態では、単一の単位剤形が提供され、そこでは、2層錠または3層錠などの2−パルスシステムが単一の単位剤形で送達される。第1活性層は、投与してすぐにオメプラゾールの20mgを送達する。第2活性層(膨潤性で浸食性)は、4〜6時間後に、別の20mgを送達する。両方の活性層は、薬剤の腸溶性ビーズ/顆粒を含む。3層錠について、第3層(膨潤性で浸食性)が、2つの活性層の間にあり、それは第2パルスが送達される前に、胃滞留性を提供するだけのためのポリマーから成る。
【0130】
A.オメプラゾールと他のプロトンポンプ阻害剤(PPIs)
別の態様では、消化不良および他の関連病態(一部の患者での胃酸分泌の有害な影響に関連したGERDと他の病態を含む)を治療するのに適した治療剤の投与方法が提供される。そのような方法による送達に適した活性薬剤は、例えば、PPIsおよびH2−受容体拮抗剤を含む。これらの化合物は、優先的に上部GI管で吸収され、結腸では吸収されず(または最小限、吸収される)、そして肝臓での実質的な初回通過代謝に影響されやすい。
【0131】
本明細書に記述された方法を用いて、投与されるのに適したプロトンポンプ阻害剤は、下記構造式(I)を有するものを含む。
【化1】
[式中、XはCHおよびNから選択され、R1、R2、R3、およびR4は、H、C1−C12アルキル、およびC1−C12ヘテロアルキルから独立して選択される。さらに、適切な場合には、R1、R2、R3、およびR4の各々は、置換されているか、または非置換であり、そこでは、置換基は、ハロ、C1−C12アルキル、部分的に、または、完全にハロゲン化されたC1−C12アルキル、C1−C12ヘテロアルキル、および部分的に、または、完全にハロゲン化されたC1−C12ヘテロアルキルから選択される。式(I)の好ましい実施形態は、例えば、オメプラゾール(X=N、R1=CH3、R2=OCH3、R3=CH3、R4=OCH3)、パントプラゾール(X=N、R1=H、R2=OCH3、R3=OCH3、R4=OCHF2)、ランソプラゾール(X=N、R1=H、R2=OCH2CF3、R3=CH3、R4=H)、ラベプラゾール(X=N、R1=H、R2=OCH2CH2CH2OCH3、R3=CH3、R4=H)、およびレミノプラゾール(X=CH、R1=H、R2=H、R3=N(CH3)CH2CH(CH3)2、R4=H)を含む。単一の鏡像異性体(例えば、エソメプラゾールなど)、および式(I)の構造を有する化合物のラセミ混合物は、また、本開示の範囲内である。さらに、テナトプラゾールの構造などの関連した構造を含む他の構造のPPIs、および無関係な構造のPPIsは、本開示の範囲内である。また、本明細書に記述された剤形に取り込まれ得る他の化合物については、米国特許第5,753,265号(引用によって本明細書に取り込まれる)を参照されたい。さらに一般的には、剤形は初回通過代謝を受け、結腸での吸収が劣るどんな薬剤(例えば、H2拮抗剤)にでも適用できる。
【0132】
プロトンポンプ阻害剤(PPIs)は、初期診療現場での薬物治療で最も一般的に処方されるクラスのうちの1つとなった。1980年代後期のそれらの導入以来、PPIsは、胃食道逆流症(GERD)、消化性潰瘍および非ステロイド性抗炎症剤誘発の胃疾患を含むいろいろな、酸による消化性障害の治療を改善した。胃酸関連障害を患う患者の治療でのPPIsの使用は、これらの患者の生活の質の向上、生産性、および全体的な福祉をもたらした。
【0133】
プロトンポンプ阻害剤は胃酸を抑えて逆流物のpHの増加を引き起こすことによるGERDを伴う胸やけの症状の軽減を提供する。このように、GERDの薬物療法の結果は、薬剤の酸抑制効果に依存する。オメプラゾール(置換ベンズイミダゾールのクラスの化合物)は、胃酸分泌を抑制する。オメプラゾールの作用メカニズムは、選択的に体壁の細胞膜酵素(H+、K+)−ATPアーゼ(「プロトンポンプ」)を阻害することである。健常なボランティアと患者での試験結果は、20mg用量で投与されたオメプラゾールは、投薬後2〜6時間で基礎酸分泌量において78%の減少と、投薬後24時間で基礎酸分泌量において50〜80%の減少とを示した。
【0134】
オメプラゾールは、進行中の十二指腸潰瘍の短期治療、進行中の良性胃潰瘍の短期治療、びらん性食道炎の短期治療;GERD関連胸やけと他の症状の治療;びらん性食道炎の治癒の持続;病理学的な分泌過剰状態の長期の治療;およびクラリスロマイシンまたはクラリスロマイシンとアモキシシリンとの併用によるH.pyloriと十二指腸潰瘍疾患を有する患者の治療に対して、市販することが米国では承認されている。
【0135】
徴候的なGERD患者の中には、彼らが日中ほとんど徴候を経験しないが、夜の胸やけに苦しむという点で、PPI療法に部分的に応答性である。基礎酸分泌の減少は、服用してからの時間に依存するので、これらの部分的に応答性の患者は、本明細書に提供される代替の投薬計画から恩恵を受けるべきである。具体的には、患者のGERDを治療する方法が提供され、その方法は、患者にオメプラゾールまたは別のPPIの2−パルス療法(そこでは、剤形が夕食で同時に投与され、そして、第1パルスが剤形摂取後すぐに放出され、第2パルスが剤形摂取後の4から6〜8時間またはそれ以上で放出される)を提供する単一単位用量を患者に投与することを含む。一般的に、オメプラゾールの各々のパルスは、約20mgであり、そして、この剤形の投与は、夕食の30〜60分前に服用される40mgのオメプラゾールの投与などの代替的投与療法と比較して、夜間酸分泌と夜間酸逆流の発生を減少させるはずである。臨床試験におけるこの投薬方法の利点は、以下の実施例1で説明される。
【0136】
GERD治療に関して、本明細書で開示されたパルス型剤形は、1日1回投与を可能にする。例えば、治療を希望する患者は、夕食で1日1回パルス型剤形を服用することができる。初期(すなわち、即時放出)パルスは、夕食の間、およびその直後に、胃酸分泌をコントロールする活性薬剤の医薬的に有効な量を提供する。次に、遅延パルスは、夜の間に活性薬剤の医薬的に有効な量を提供し、それによって夜の胃酸分泌を維持するのを助ける。したがって、遅延パルスは、GERDを治療し、NABを予防または抑制するのを助ける。一般に、PPI療法からの最大限の利益は、PPIsが食事の15〜30分前に服用され、そして、プロトンポンプの食事によって誘発された活性化と多数のポンプの影響の時点での薬剤の最適血中濃度を可能とするときに達成される。1つの実施形態では、活性薬剤はオメプラゾールであり、そして、各剤形のオメプラゾールの総用量は、約1mgと500mgの間であるか、または、約10mgと80mgの間である。
【0137】
オメプラゾールは、結腸では吸収されないか、または最小限、吸収される。さらに、初回通過代謝は、非常に大きいので、生物学的利用能が従来の持続性剤形では本質的に減少する。したがって、本明細書に記述される剤形は、上部GI管で活性薬剤のパルス送達を提供するように設計されている。好ましくは、活性薬剤は、胃の中にある間、および/または胃を離れる直後まで腸溶性コーティングによって保護され、それは十二指腸と小腸で放出される。
【0138】
具体的には、胃滞留性の剤形が好まれる。胃滞留性の特徴は、食物の存在下での錠剤または粒子のサイズに基づく。胃滞留性は、最初に十分に大きいか、あるいは滞留を促進するサイズに膨潤する剤形を有することによって達成される。膨潤はポリエチレンオキシドまたはHPMCなどの親水性ポリマーを用いることにより達成され、そしてまた、膨潤を促進するか、または浮力を増加させるようにガスを発生させる薬剤を必ずしも必要ではないが含んでもよい。
【0139】
場合により、剤形は粒子(例えば、ビーズまたはペレット)形で、酸保護されたオメプラゾールの初期パルスを放出する。酸の保護は、腸溶性コーティングまたは遅延放出コーティングから、または塩基を初期放出製剤に含ませることにより生じる。通常、初期パルスは、活性薬剤の即時放出を提供し、そして、PPIの即時放出投与のための任意の適切な方法が使用されてもよい。オメプラゾールおよび他のPPIの酸に対する不安定な性質は、初期パルスを処方するとき、考慮されなければならない。当業者により理解されるように、いくつかの異なる方法が、活性薬剤の初期(すなわち、即時性の)パルスを得るために使用されてもよい。前のセクションで、そして、下記の実施例で記述される剤形は、GERDの治療のためと、NABの発生の頻度を予防または減少させるためのオメプラゾールと他のPPIsの投与のために理想的に適している。
【0140】
B.他の薬剤
本明細書に記述される投与方法と剤形は、また、PPIs以外の治療剤(GERDと関連した病態以外の病態の治療にふさわしい薬剤と活性薬剤を含む)にも適していると当業者に認識されるであろう。そのような治療剤は、経口経路によって一般に投与されるもの、経口投与が望ましい場合のもの、そして経口経路によって以前に投与されなかったが、本明細書に記述される方法および剤形を使用する経口経路を経る送達から利益を得るものを含む。
【0141】
1つの実施形態では、本明細書に記述される剤形は、初期通過代謝による、下部GI管での減少した吸収と減少した生物学的利用能を有する薬剤に対して使用される。肝臓代謝は、これらのやや溶けにくい薬剤を、腎クリアランスを経由してそれらを排除するためにより極性とし、薬剤の劣った溶解度は、上部GI管での適切な吸収には余りにも不足するので、やや溶けにくい薬剤は、特に、こうした吸収の問題の両方に悩まされる。やや溶けにくい、下記に記載した実施例中の任意の剤形は、本明細書に記述された剤形での投与から恩恵を受けることが想定される。
【0142】
本明細書に記述される剤形に用いられる活性薬剤は、抗菌剤、抗糖尿病薬、鎮痛薬、抗炎症薬、抗けいれん薬、CNSおよび呼吸刺激薬、神経弛緩薬、催眠薬および鎮静薬、抗不安薬および精神安定薬、抗悪性腫瘍剤を含む他の制ガン剤、抗高脂血症薬、抗高血圧薬、循環器官用製剤、抗ウイルス剤、性ステロイド、ムスカリン受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、および高分子活性薬剤(例えば、DNA、RNA、タンパク質、およびペプチド系薬剤)を含む。これらの活性薬剤のいくつかの例を以下に提供する。
【0143】
本明細書で記述される剤形で有用な鎮痛薬は、例として、非オピオイド系鎮痛薬(例えば、アパゾン、エトドラク、ジフェンピラミド、インドメタシン、メクロフェナメート、メフェナム酸、オキザプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、およびトルメチンなど);およびオピオイド系鎮痛薬(例えば、アルフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ドロコード、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、スフェンタニル、およびトラマドールを含む。本明細書で記述される剤形での使用について考慮されるさらなる鎮痛薬は、非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)を含む。剤形に有用な、適切な市販のオピオイド系鎮痛薬剤の例としては、PERCOCET(登録商標)(オキシコドン;Dupont Merck Pharmaceuticals,Wilmington,DE)、ULTRACET(登録商標)(トラマドール;Johnson&Johnson,New Brunswick,N.J.)、およびCLONOPIN(登録商標)(クロナゼパム;Hoffmann−LaRoche,Nutley,N.J.)が挙げられる。鎮痛薬の組合せは、単一剤形で、例えば、非オピオイド系鎮痛薬との併用によるオピオイド系鎮痛薬を使用することができることは理解されるであろう。ヒドロコドンまたはヒドロモルフォンと、イブプロフェンまたはアセトアミノフェンとの組み合わせは、そのような併用の代表例である。
【0144】
剤形に役立つ抗悪性腫瘍剤を含む抗ガン剤は、例として、パクリタキセル、ドセタキセル、カンプトテシンならびにその類似体および誘導体(例えば、9−アミノカンプトテシン、9−ニトロカンプトテシン、10−ヒドロキシ−カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、20−O−β−グルコピラノシルカンプトテシン)、タキサン類(バッカチン類、セファロマンニンおよびそれらの誘導体)、カルボプラチン、シスプラチン、インターフェロン−α2A、インターフェロン−α2B、インターフェロン−αN3およびインターフェロンファミリーの他の薬剤、レバミゾール、アルトレタミン、クラドリビン、トレチノイン、プロカルバジン、ダカルバジン、ゲンシタビン、ミトタン、アスパラギナーゼ、ポルフィマー、メスナ、アミフォスチン、有糸分裂阻害薬(例えば、テニポシドおよびエトポシドなどのポドフィロトキシン誘導体を含む)およびビンカアルカロイド類(例えば、ビノレルビン、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)を含む)が挙げられる。
【0145】
剤形に有用な抗けいれん薬(抗てんかん薬)としては、例として、アセタゾラミド(azetazolamide)、カルバマゼピン、クロナゼパム、クロラゼプ酸塩、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、ラモトリジン、メフェニトイン、メフォバルビタール、フェニトイン、フェノバルビタール、プリミドン、トリメタジオン、ビガバトリン、トピラマート、およびベンゾジアゼピン類が挙げられる。ベンゾジアゼピン類は、よく知られているように、不安、不眠、および悪心を含む多数の適応症に有用である。剤形に有用な適切な市販品の抗痙攣薬の例としては、TEGRETOL(登録商標)(カルバマゼピン;Novartis,Summit,N.J.)、DILANTIN(登録商標)(Pfizer Inc.,New York,N.Y.)およびLAMICTAL(登録商標)(ラモトリジン(GlaxoSmithKline,Philadelphia,PA)が挙げられる。
【0146】
剤形に有用な抗うつ薬は、例として、3環系抗うつ薬LIMBITROL(登録商標)(アミトリプチリン;Hoffmann−LaRoche,Nutley,N.J.)、TOFRANIL(登録商標)(イミプラミン;Tyco Healthcare,Mansfiled,MA)、ANAFRANIL(登録商標)(クロミプラミン;Tyco Healthcare,Mansfiled,MA)、およびNORPRAMIN(登録商標)(デシプラミン;Sanofi−Aventis,Bridgewater,N.J.)を含む。
【0147】
剤形に有用な抗糖尿病薬は、例として、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、シグリタゾン、グリクラジド、グリピジド、グルカゴン、グリブリド、ミグリトール、ピオグリタゾン、トラザミド、トルブタミド、トリアムプテリン、およびトログリタゾンが挙げられる。
【0148】
剤形に有用な抗高脂血症薬は、例として、脂質低下剤または「高脂血症」薬を含み、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、ロバスタチン、およびセリバスタチンなど)、ならびに他の脂質低下剤(例えば、クロフィブレート、フェノフィブレート、ゲムフィブロジルおよびタクリンなど)が挙げられる。
【0149】
剤形に有用な抗高血圧薬は、例として、アムロジピン、ベナゼプリル、ダロジピン、ジルチアゼム、ドキサゾシン、エナラプリル、エポサルタン、エスモロール、フェロジピン、フェノルドパム、フォシノプリル、グアナベンズ、グアナドレル、グアネチジン、グアンファシン、ヒドララジン、ロサルタン、メチロシン、ミノキシジル、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン、フェノキシベンズアミン、プラゾシン、キナプリル、レセルピン、テラゾシン、およびバルサルタンが挙げられる。
【0150】
剤形に有用な抗炎症薬は、例として、プロピオン酸誘導体などの非ステロイド系抗炎症剤(例えば、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ベノキサプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、ブチブフェン、およびフェンブフェン;アパゾン;ジクロフェナク;ジフェンピラミド;ジフルニサル;エトドラク;インドメタシン;ケトロラク;メクロフェナメート;ナブメトン;フェニルブタゾン;ピロキシカム;スリンダク;およびトルメチンなど)、およびステロイド系抗炎症剤[例えば、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン−21−モノエステル類(例えば、ヒドロコルチゾン−21−アセテート、ヒドロコルチゾン−21−ブチレート、ヒドロコルチゾン−21−プロプオネート、ヒドロコルチゾン−21−バレレートなど)、ヒドロコルチゾン−17,21−ジエステル類(例えば、ヒドロコルチゾン−17,21−ジアセテート、ヒドロコルチゾン−17−アセテート−21−ブチレート、ヒドロコルチゾン−17,21−ジブチレートなど)、アルクロメタゾン、デキサメタゾン、フルメタゾン、プレドニゾロン、およびメチルプレドニゾロンなど]が挙げられる。
【0151】
剤形に有用な抗菌薬は、例として、以下が挙げられる:テトラサイクリン系抗生物質および関連化合物(クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、ロリテトラサイクリン);マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、およびアジスロマイシン);ストレプトグラミン系抗生物質(例えば、キヌプリスチンおよびダルフォプリスチン);β−ラクタム系抗生物質{ペニシリン類(例えば、ペニシリンG、ペニシリンVK)、抗ブドウ球菌ペニシリン類(例えば、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、およびオキサシリン)、広域抗菌スペクトルペニシリン類[例えば、アミノペニシリン類(例えば、アンピシリンおよびアモキシリンなど)、および抗緑膿菌ペニシリン類(例えば、カルベニシリンなど)]、およびセファロスポリン類(例えば、セファドロキシル、セフェピム、セファレキシン、セファゾリン、セフォキシチン、セフォテタン、セフロキシム、セフォタキシム、セフタジジム、およびセフトリアキソンなど)、およびカルバペネム類(例えば、イミペネム、メロペネム、およびアズトレオナム)を含む};アミノ配糖体系抗生物質(例えば、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、およびネオマイシンなど);グリコペプチド系抗生物質(例えば、テイコプラニンなど);スルホンアミド系抗生物質(例えば、スルファセタミド、スルファベンズアミド、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメタジン、スルファメチゾール、およびスルファメトキサゾールなど);キノロン系抗生物質(例えば、シプロフロキサシン、ナリジクス酸、およびオフロキサシンなど);抗マイコバクテリア薬(例えば、イソニアジド、リファンピン、リファブチン、エタンブトール、ピラジンアミド、エチオナミド、アミノサリチル酸、およびサイクロセリンなど);全身性抗真菌剤(例えば、イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、およびアンホテリシンBなど);抗ウイルス剤(例えば、アシクロビル、ファムシクロビル(famcicylovir)、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、ビダラビン、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、アマンタジン、インターフェロンα、リバビリン、およびリマンタジン);ならびに種々雑多の抗菌剤(例えば、クロラムフェニコール、スペクチノマイシン、ポリミキシンB(コリスチン)、バシトラシン、ニトロフラントイン、マンデル酸メテナミン、および馬尿酸メテナミンなど)。
【0152】
剤形に有用な抗ウイルス剤は、例として、抗ヘルペス剤(アシクロビル、ファムシクロビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、イドクスウリジン、ソリブジン、トリフルリジン、バラシクロビル、およびビダラビンなど);抗レトロウイルス剤(ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、およびジドブジンなど);および他の抗ウイルス剤(例えば、アマンタジン、インターフェロンα、リバビリンおよびリマンタジンなど)が挙げられる。
【0153】
剤形に有用な抗不安薬および精神安定薬としては、例として、ベンゾジアゼピン類(例えば、アルプラゾラム、ブロチゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、デモキセパム、ジアゼパム、エスタゾラム、フルマゼニル、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラムなど)、ブスピロン、クロルジアゼポキシド、およびドロペリドールが挙げられる。
【0154】
剤形に有用な、利尿薬と併用できる心臓の薬剤は、例として、アミオダロン、アムロジピン、アテノロール、ベプリジル、ビソプロロール、ブレチリウム、カプトプリル、カルベジロール、ジルチアゼム、ジソピラミド、ドフェチリド、エナラプリラート、エナラプリル、エンカイニド、エスモロール、フレカイニド、フォシノプリル、イブチリド、イナムリノン、イルベサルタン、リドカイン、リシノプリル、ロサルタン、メトロプロロール、ナドロール、ニカルジピン、ニフェジピン、プロカインアミド、プロパフェノン、プロプラノロール、キナプリル、キニジン、ラミプリル、トランドラプリル、およびベラパミルが挙げられる。
【0155】
剤形に有用な心血管薬は、例として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、強心配糖体、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬、抗不整パルス薬、心臓保護薬、およびアンジオテンシンII受容体遮断薬を含む。薬剤の前記クラスの例としては、以下のものを含む:例えば、エナラプリル、1−カルボキシメチル−3−1−カルボキシ−3−フェニル−(1S)−プロピルアミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−(3S)−1−ベンズアゼピン−2−オン、3−(5−アミノ−1−カルボキシ−1S−ペンチル)アミノ−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−3S−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸または3−(1−エトキシカルボニル−3−フェニル−(1S)−プロピルアミノ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−(3S)−ベンズアゼピン−1−酢酸1塩酸塩;強心配糖体(例えば、ジゴキシンおよびジギトキシンなど);変力剤(例えば、アムリノンおよびミルリノンなど);カルシウムチャンネル遮断薬(例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニモジピン、ベプリジル、アムロジピンおよびジルチアゼムなど);β遮断薬(例えば、アテノロール、メトプロロール;ピンドロール、プロパフェノン、プロプラノロール、エスモロール、ソタロール、チモロール、およびアセブトロールなど);抗不整パルス薬(例えば、モリシジン、イブチリド、プロカインアミド、キニジン、ジソピラミド、リドカイン、フェニトイン、トカイニド、メキシレチン、フレカイニド、エンカイニド、ブレチリウムおよびアミオダロンなど);および心保護剤(例えば、デクスラゾキサゾンおよびロイコボリンなど);血管拡張薬(例えば、ニトログリセリンなど);およびアンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、ロサルタン、ヒドロクロロチアジド、イルベサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン、エポサルタン、およびバルサルタンなど)。
【0156】
剤形に有用なCNSおよび呼吸刺激薬は、例として、キサンチン類(例えば、カフェインおよびテオフィリンなど);アンフェタミン類(例えば、アンフェタミン、塩酸ベンズフェタミン、デキストロアンフェタミン、硫酸デキストロアンフェタミン、レバンフェタミン、塩酸レバンフェタミン、メタンフェタミン、および塩酸メタンフェタミンなど);および種々雑多の刺激薬(例えば、メチルフェニデート、塩酸メチルフェニデート、モダフィニル、ペモリン、シブトラミン、および塩酸シブトラミンなど)が挙げられる。
【0157】
剤形に有用な催眠剤および鎮静薬は、例として、クロメチアゾール、エチナメート、エトミデート、グルテチミド、メプロバメート、メチプリロン、ゾルピデム、およびバルビツレート類(例えば、アモバルビタール、アプロバルビタール(apropbarbital)、ブタルビタール、メフォバルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、チオペンタールを含む。
【0158】
剤形に有用なムスカリン受容体作動薬および拮抗薬は、例として、以下のものを含む:コリンエステル類[例えば、アセチルコリン、メタコリン、カルバコール、ベタネコール(カルバミルメチルコリン)、塩化ベタネコール、コリン模倣性天然アルカロイドおよびそれらの合成類似体(ピロカルピン、ムスカリン、McN−A−343、およびオキソトレモリンを含む)]。ムスカリン受容体拮抗薬は、一般には、ベラドンナアルカロイド類またはそれらの半合成もしくは合成類似体(例えば、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ホマトロピンメチルブロマイド、イプラトロピウム、メタンテリン、メトスコポラミン、およびトリトロピウムなど)。
【0159】
剤形に有用な神経弛緩薬は、例として、抗うつ薬、抗躁薬、および抗精神病薬が挙げられ、ここで、抗うつ薬としては、(a)3環系抗うつ薬(例えば、アモキサピン、アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、およびトリミプラミンなど)、(b)セロトニン再取り込み阻害剤(シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン、およびベンラファキシンなど)、(c)モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、フェネルジン、トラニルシプロミン、および(−)−セレギリンなど)、ならびに(d)他の「異型の」抗うつ薬(例えば、ネファゾドン、トラゾドン、およびベンラファキシンなど)が挙げられ、そしてここで抗躁薬および抗精神病薬としては、(a)フェノチアジン類(例えば、アセトフェナジン、マレイン酸アセトフェナジン、クロルプロマジン、塩酸クロルプロマジン、フルフェナジン、塩酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、メソリダジン、ベシル酸メソリダジン、ペルフェナジン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、トリフルオペラジン、および塩酸トリフルオペラジンなど)、(b)チオキサンテン類(例えば、クロルプロチキセン、チオチキセン、および塩酸チオチキセンなど)、ならびに(c)他の複素環式薬(例えば、カルバマゼピン、クロザピン、ドロペリドール、ハロペリドール、デカン酸ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、モリンドン、塩酸モリンドン、オランザピン、ピモジド、ケチアピン、リスペリドン、およびセルチンドールなど)が挙げられる。
【0160】
剤形に有用なペプチド系薬剤は、例として、ペプチド系ホルモンを含み、それは、アクチビン、アミリン、アンジオテンシン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、カルシトニン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、カルシトニンN末端フランキングペプチド、毛様体神経栄養因子(CNTF)、コルチコトロピン(副腎皮質刺激ホルモン、ACTH)、コルチコトロピン放出因子(CRFまたはCRH)、上皮成長因子(EGF)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ガストリン、ガストリン阻害ペプチド(GIP)、ガストリン放出ペプチド、ゴナドトロピン放出因子(GnRFまたはGNRH)、成長ホルモン放出因子(GRF、GRH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCH)、インヒビンA、インヒビンB、インスリン、黄体化ホルモン(LH)、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)、α−メラニン細胞刺激ホルモン、β−メラニン細胞刺激ホルモン、γ−メラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、モチリン、オキシトシン(ピトシン)、膵ポリペプチド、副甲状腺ホルモン(PTH)、胎盤性ラクトゲン、プロラクチン(PRL)、プロラクチン放出阻害因子(PIF)、プロラクチン放出因子(PRF)、セクレチン、ソマトトロピン(成長ホルモン、GH)、ソマトスタチン(SIF、成長ホルモン放出阻害因子、GIF)、サイロトロピン(甲状腺刺激ホルモン、TSH)、サイロトロピン放出因子(TRHまたはTRF)、サイロキシン、血管作動性腸管ペプチド(VIP)、およびバソプレシンを含む。他のペプチド系薬剤は、サイトカイン類、例えば、コロニー刺激因子4、ヘパリン結合神経栄養因子(HBNF)、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンα−n3、インターフェロンβなど、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6など、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子−α、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子、ミッドカイン(MD)、およびサイモポイエチンである。本発明のシステムを用いて有利に送達され得るさらに他のペプチド系薬剤としては、以下のものが挙げられる:エンドルフィン類(例えば、デルモルフィン、ダイノルフィン、α−エンドルフィン、β−エンドルフィン、γ−エンドルフィン、σ−エンドルフィン、[Leu5]エンケファリン、[Met5] エンケファリン、サブスタンスP)、キニン類(例えば、ブラジキニン、ポテンシエータB、ブラジキニンポテンシエータC、カリジン)、LHRH類似体(例えば、ブセレリン、デスロレリン、フェルチレリン、ゴセレリン、ヒストレリン、ロイプロリド、ルトレリン、ナファレリン、トリプトレリン)、および凝固因子(例えば、α1−アンチトリプシン、α2−マクログロブリン、アンチトロンビンIII、第I因子(フィブリノーゲン)、第II因子(プロトロンビン)、第III因子(組織プロトロンビン)、第V因子(プロアクセレリン)、第VII因子(プロコンベルチン)、第VIII因子(抗血友病グロブリンまたはAHG)、第IX因子(クリスマス因子、血漿トロンボプラスチン成分またはPTC)、第X因子(Stuart−Power因子)、第XI因子(血漿トロンボプラスチン前駆体またはPTA)、第XII因子(Hageman因子)、ヘパリン補因子II、カリクレイン、プラスミン、プラスミノーゲン、プレカリクレイン、プロテインC、プロテインS、およびトロンボモジュリンならびにそれらの組み合わせ。
【0161】
剤形に有用な性ステロイド類は、例として、プロゲストーゲン類(例えば、アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、酢酸アナゲストン、酢酸クロルマジノン、シプロテロン、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ジヒドロゲステロン、ジメチステロン、エチステロン(17α−エチニルテストステロン)、2酢酸エチノジオール、酢酸フルロゲストン、ゲスタデン、ヒドロキシプロゲステロン、酢酸ヒドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシメチルプロゲステロン、酢酸ヒドロキシメチルプロゲステロン、3−ケトデソゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロゲストン、酢酸メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、ノルメチステロン、およびプロゲステロン)を含む。また、この一般的なクラスには、エストロゲン類例えば、エストラジオール(すなわち、1,3,5−エストラトリエン−3,17β−ジオール、または「17β−エストラジオール」)およびそのエステル(エストラジオールベンゾエート、エストラジオールバレレート、エストラジオールシピオネート、エストラジオールヘプタノエート、エストラジオールデカノエート、エストラジオールアセテート、およびエストラジオールジアセテートを含む);17α−エストラジオール;エチニルエストラジオール(すなわち、17α−エチニルエストラジオール)、ならびにそれらのエステルおよびエーテル(エチニルエストラジオール3−アセテートおよびエチニルエストラジオール3−ベンゾエートを含む);エストリオールおよびコハク酸エストリオール;ポリエストロールホスフェート;エストロンならびにそのエステルおよび誘導体(酢酸エストロン、硫酸エストロン、および硫酸ピペラジンエストロンを含む);キネストロール;メストラノール;および結合型ウマエストロゲン)を含む。アンドロゲン剤(これもまた、性ステロイドの一般的なクラス内に含まれる)は、天然に存在する以下のアンドロゲン類などの薬剤である:アンドロステロン、酢酸アンドロステロン、プロピオン酸アンドロステロン、安息香酸アンドロステロン、アンドロステンジオール、アンドロステンジオール−3−アセテート、アンドロステンジオール−17−アセテート、アンドロステンジオール−3,17−ジアセテート、アンドロステンジオール−17−ベンゾエート、アンドロステンジオール−3−アセテート−17−ベンゾエート、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA:「プラステロン」とも呼ばれる)、デヒドロエピアンドロステロン硫酸ナトリウム、4−ジヒドロテストステロン(DHT:「スタノロン」とも呼ばれる)、5α−ジヒドロテストステロン、ドロモスタノロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エチルエストレノール、ナンドロロンフェンプロピオネート、ナンドロロンデカノエート、ナンドロロンフリルプロピオネート、ナンドロロンシクロヘキサンプロピオネート、ナンドロロンベンゾエート、ナンドロロンシクロヘキサンカルボキシレート、オキサンドロロン、スタノゾロールおよびテストステロン;テストステロンおよび4−ジヒドロテストステロンの医薬的に許容されるエステル類、代表的なエステルは、C−17位に存在するヒドロキシル基から形成され、以下を包含するが、これらに限定されない:エナンテート、プロピオネート、シピオネート、フェニルアセテート、アセテート、イソブチレート、ブシクレート、ヘプタノエート、デカノエート、ウンデカノエート、カプレート、およびイソカプレートエステル;およびテストステロンの医薬的に許容される誘導体(例えば、メチルテストステロン、テストラクトン、オキシメトロンおよびフルオキシメステロン)。
【0162】
適切である場合は、本明細書で記述された任意の活性薬剤は、塩、エステル、アミド、プロドラック、抱合体、活性代謝物、異性体、断片、類似体、または同様のものの形態で投与されてよい。但し、塩、エステル、アミド、プロドラック、抱合体、活性代謝物、異性体、断片、または類似体が、本文脈中で、医薬的に許容され、そして薬理学的に活性である限りにおいてである。薬剤の塩、エステル、アミド、プロドラック、抱合体、活性代謝物、異性体、断片、または類似体は、有機合成化学の分野の当業者に公知の標準的手順、およびJ.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure,5th Edition(New York:Wiley−Interscience,2001)に記載された標準的手順により製造することができる。例えば、適切である場合は、本明細書に記述された任意の化合物は、プロドラックの形態であってもよい。プロドラックは、活性薬剤への変換を必要とする。そのような変換は、例えば、酸によるプロトン化を含むことができる。ほとんどのPPIsは、壁細胞によって分泌された後の小管の酸性環境で活性型に変換されるプロドラックである。
【0163】
適切である場合は、本明細書で記述された任意の化合物は、医薬的に許容される塩の形態であってよい。医薬的に許容される塩は、任意の医薬的に許容される有機酸もしくは塩基、任意の医薬的に許容される無機酸もしくは塩基、またはそれらの組み合わせであってよい。塩を製造するのに使用される酸または塩基は、天然に存在するものであってよい。
【0164】
酸付加塩を製造するための適切な有機酸としては、例えば、C1−C6アルキルおよびC6−C12アリールカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、グリコール酸、クエン酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、サリチル酸、フタル酸、およびテレフタル酸)、ならびにアリールおよびアルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸など)が挙げられる。酸付加塩を製造するための適切な無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、および燐酸などが挙げられる。酸付加塩は、適切な塩基との処理により遊離の塩基に再変換することができる。
【0165】
塩基付加塩を製造するための適切な塩基としては、例えば、1級、2級および3級アミンを含み、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N、N−ジベンジルエチレンジアミン、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、およびポリアミン樹脂、環状アミン(例えば、カフェイン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、およびプリンなど)、ならびにアミン類の塩(例えば、ベタイン、コリン、およびプロカインなど)が挙げられる。塩基付加塩を製造するための適切な無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、鉄(III)、鉄(II)、アルミニウム、リチウム、マグネシウム、または亜鉛由来の塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)が挙げられる。塩基付加塩は、適切な酸との処理により遊離の酸に再変換することができる。
【0166】
活性薬剤の他の誘導体と類似体は、有機合成化学の当業者に知られている標準的方法を使用することで製造されるか、または適切な文献を参照して推定することができる。さらに、キラル活性薬剤は、異性体的に純粋な形態であるか、またはそれらは、異性体のラセミ混合物として投与されてもよい。
【0167】
本明細書で記述される任意の化合物は、本明細書で記述されるような製剤中の活性薬剤とすることができる。製剤は、活性薬剤および本明細書で記述された薬剤の1つ、2つ、3つ、または3つより多くを含むことができ、また、本明細書で列挙されていない1つ以上の活性薬剤を含むこともできる。
【0168】
剤形または方法が、別の薬剤(例えば、第2の鎮痛剤、抗けいれん剤、抗うつ剤など)の投与と組み合わせて使用するか、または実施されるときは、さらなる薬剤は、さまざまな剤形(例えば、錠剤、カプセル、経口懸濁液、およびシロップ)の商業ソースから得ることができる。さらなる薬剤は、分離した剤形として投与することが可能であり、またはさらなる薬剤を含む本発明の胃滞留性剤形が、使用されてもよい。
【0169】
多くの代表的な態様と実施形態が上に記載されてきたが、当業者は、特定の変更、順序の変更、追加、およびそれらの下位の組み合わせを認識するであろう。したがって、添付の請求項および以下に紹介される請求項は、そのようなすべての特定の変更、順序の変更、追加、およびそれらの下位の組み合わせが、それらの本当の精神と範囲の中にあるものとして含まれるものと解釈されることを意図するものである。
【実施例】
【0170】
以下の実施例は、本来例示的なものであって、決して制限することを意図するものではない。
【0171】
実施例1
GERDの治療方法およびNABの予防または減少方法
オメプラゾールの制限された結腸吸収を証明するため試験が実施された。9人の健常な被験者が、少なくとも6人の被験者は治療を終了するという意図をもって試験に参加した。試験は、以下の投与用量での4通りの交差試験であった:(i)模擬制御放出(SCR):20mgのオメプラゾールは、17用量に分割され、摂食状態で、30分間隔(送達の8時間)で投与された;(ii)摂食状態での20mgのオメプラゾール;(iii)絶食状態での20mgのオメプラゾール;および(iv)20mgのオメプラゾールがENTERION(登録商標)カプセルによって上行結腸に送達された(薬物の放出を制御する放射能制御カプセル;GI管の位置は、シンチグラフィで測定される)。ウォッシュアウト(休薬期間)のための少なくとも4日の期間が、投薬の間で認められた。
【0172】
7人の被験者が、試験を完了した。表1は、投薬期間の間に採取した血液サンプルからの血漿薬物濃度から決定された薬物動態学的パラメータの平均±SDを記載する。
【表1】
【0173】
表1に見られるように、絶食状態のときに、薬剤用量を服用した患者に比べて、結腸に送達されたとき、またはSCRでは、オメプラゾールの生物学的利用能に統計学的に有意な減少があった。対照的に、オメプラゾールが摂食状態で患者に投薬されたときは、絶食状態と比べて、統計学的に有意な差はなかった。実際、もし被験者のうちの1人が解析から取り除かれるならば、摂食状態の相対的な生物学的利用能は、絶食状態と比較して、96±7%であった。ENTERIONカプセルは、被験者のうちの1人で、回腸終末部で活性化され、したがって、この被験者は、結腸吸収試験パラメータに包含されなかった。しかし、絶食状態と比較した相対的な生物学的利用能は、この被験者で58%であり、これは回腸終末部でのオメプラゾールの良好な吸収を示した。
【0174】
この試験の成績は、オメプラゾールは結腸で実質的に吸収されないので、オメプラゾールの送達は、小腸を標的としなければならないことを示す。SCR投薬集団において達成されるように、制御放出療法でのオメプラゾールの投与は、生物学的利用能を低下させた。これは初回通過代謝によるもののようであり、そして、オメプラゾールの徐放性製剤がNABを抑制するために十分なレベルを提供しそうにないことを示す。絶食と摂食の薬物動態学的パラメータは、有意に差はなかったが、これは、オメプラゾールをどちらの状態でも与えることができることを示した。データは、NABがオメプラゾールの2−パルス送達を提供する剤形で抑制されることができるという結論を支持する。そのような剤形は、好ましくは夕食と一緒に服用され、そして、第1パルスがすぐに放出される。このパルスは、食事によって活性化されるプロトンポンプを阻害する。剤形の全体または一部は、剤形の摂取の4〜6時間後に、第2パルスの放出のために胃の中に保持される。このように、NABが起こるとき、オメプラゾールの有効濃度は、プロトンポンプが夜に活性となる時間に提供される。
【0175】
実施例2
GERDおよび/またはNABの治療方法
PPIsを服用した後、少なくとも3ヵ月間、夜間の逆流を有する患者を含む18才から65才の間のGERD患者の無作為化オープンラベル(非盲検試験)の2期クロスオーバー(交差)試験が実施されてGERDおよび/またはNABを治療するための2−パルス投薬療法の有効性を証明した。GERDの病歴を有する16人の患者(プロトンポンプ阻害剤を服用している間、その患者全員は少なくとも3ヵ月の間、再発する夜間逆流を経験した)が登録された。試験は、オープンラベルのクロスオーバー試験であったが、そこでは、16人の患者のうちの14人が、休薬期間により分離された2つの治療集団の各々に参加した。1つの治療集団では、患者は6日間、夕食の30分前に、40mgのオメプラゾールを投与された。他の治療集団では、患者は6日間、夕食で20mgのオメプラゾール、4時間後にさらに20mgのオメプラゾールを投与された。携帯式で24時間、胃のpHが記録され、そして、血液サンプルが6〜7日目にPK分析のために採取された。7日間の休薬期間の後、患者は代替治療に交差された。NABは、22:00時と06:00時(午後10時00分と午前6時00分)の間の1時間より長時間、胃内のpHが<4であると定義された。
【0176】
患者から採取された血液サンプルは、オメプラゾール濃度について分析された。データは、試験の2つの用量集団を完了した14人の患者のうちの9人が、薬剤の摂取後すぐにオメプラゾールの最初の20mg用量を吸収し始めたことを示した。図7Aで見られるように、これらの9人の患者も4時間間隔でオメプラゾールの2用量の投与と一致したオメプラゾール吸収プロファイルを示した。患者のうちの9人全て(100%)は、NABの抑制を経験した。
【0177】
図7Bで見られるように、14人の患者のうちの5人(36%)は、最初の20mg用量の投与後の4〜5時間までは、オメプラゾールの吸収を始めなかった。それらの患者のうちの5人すべてが、NABを経験した。血漿オメプラゾール曲線下面積(AUC)(下記の表2で示される)により測定されたオメプラゾールへの曝露が、図7Aの吸収プロファイルと図7Bの吸収プロファイルを有する患者で同等であったので、後者の患者群ではオメプラゾールのペレットを排出することの遅れ(すなわち、NABを経験した5人の被験者)があったように見える。実際に、最近の研究は、GERD患者の約40%(これは、2パルスPKプロファイルを示さなかった患者で観察されたのと類似した割合(36%))が、胃排出を遅らせたことを示した(Neurogastroenterol Motil,18:894(2006))。
【表2】
【0178】
40mgの単回投与治療集団では、試験を完了した全14人の患者は、摂取後すぐに単回40mg用量を吸収し始めた。患者のうちの3人は、NABを経験した。
【0179】
要約すると、2パルス吸収プロファイルを示した9人の被験者すべてが、NABを経験しなかった。したがって、2パルス用量(夕食時の第1用量と4〜6時間後の第2用量)として送達されたオメプラゾールは、酸の逆流と結果として生じるNABをコントロールした。オメプラゾールのペレットは、1.3±0.1mmの平均±SD直径を有する。胃排出遅延がある被験者では、食事の大部分が排出されるまで、このサイズは保持されるであろう。したがって、胃排出遅延を有するGERD患者で2パルスを送達するために、0.5〜0.7mmの直径を有するオメプラゾールビーズが好まれる。
【0180】
試験の目的は、夕食でのオメプラゾールの用量と夕食後4時間での第2用量が、NAB(それは、一般的に晩遅く、そして早朝の時間に起こる)の発生率を減らすかどうかを測定することであった。最初の治療手段では、2パルス送達メカニズムをシミュレーションするために、患者は、夕食と共にオメプラゾールの20mgを服用し、4時間後に第2用量の20mgを服用した。これらの患者のうちの9人は、オメプラゾールの両方の用量から血中レベルを達成し、このように、この2パルスのプルーフ・オブ・コンセプト試験について有用なデータ、つまりNABを誰も経験しなかったことを提供した。試験の比較集団では、患者は夕食の30分前に、40mgのオメプラゾールを服用した。この治療群において、3人の患者がNABを経験し、そして、彼らのうち3人すべてが、オメプラゾールの血中レベルの検出不能なレベルまでの低下を午前2時から午前3時の間で有した。このように、試験の両方の集団からの結果は、NABを阻害するためには、オメプラゾールの十分な血中レベルを維持することの必要性を証明している。
【0181】
オメプラゾールのS−鏡像異性体(エソメプラゾール)の胃滞留性製剤は、予想通り摂取のおよそ4時間後に、オメプラゾールを送達することができる。したがって、NABを防ぎながらGERDを治療する方法が考えられる。1つの実施形態では、本方法は、エソメプラゾールを含むPRILOSECなどの即時放出剤形、または別のPPIの等価の剤形を夕食で同時に患者に投与することにより、そして就寝時にオメプラゾールのS−鏡像異性体の胃滞留性形態または等価のPPIを投与することにより実施することができる。別の実施形態では、本方法は、夕食で同時に2パルス(1つは、夕食の間または夕食後にGERDから保護し、他方は、夜間のNABから保護するために剤形の摂取から離れた時間に胃まで送達される)を提供する剤形を投与することによって行われる。
【0182】
実施例3
シェル/コア錠剤
1つの実施形態では、剤形が遅延後(摂取の時間と比較して)のパルス(場合により、薬剤は酸保護されたPPIである;酸保護されたPPIは、腸溶性または遅延放出コーティングされた粒子、ビーズまたはペレット、あるいはまた塩基を含むビーズまたはペレットであることができる)で薬剤を放出するような、コーティングまたはシェルで囲まれた薬剤を含む錠剤またはペレットにより生じる薬剤放出の遅滞パルスを提供する剤形が提供される。この剤形は、「圧縮コーティングされた」錠剤または「シェル/コア」錠剤と呼ぶことができる。この実施例は、約1時間から12時間の間で予め選ばれた期間の間、薬剤の胃貯留を促進し、薬剤の放出を遅らせるように設計された浸食性で膨潤性の層で囲まれた薬剤含有コアから成る剤形を説明する。剤形中の薬剤がオメプラゾールまたは別の酸に不安定な薬剤であるならば、そのときには、薬剤含有粒子は、胃に存在する酸性条件から、腸溶性の保護ポリマーコーティングで保護することができる。この実施例で例示される剤形では、薬剤含有コアは、浸食性で膨潤性のコーティングの浸食の後ですぐに放出(即時放出(IR)の様式で)され、次いで、薬剤含有の腸溶性コーティングされた複数のビーズ(例えば、図2に関して記述されたビーズ;これは医薬賦形剤のマトリックス中のコア錠剤に圧縮された)を使用することによって、薬剤は、剤形からのこの即時放出バースト後まもなく胃から放出される。
【0183】
パルス送達に加えて、薬剤を膨潤性で浸食性のポリマーと共にコア中に配合することにより、典型的な徐放性様式で薬剤を送達することができる剤形を提供することも、また、想定される。シェルが膨潤するにつれて、薬剤は、シェルから拡散するか、またはポリマーが浸食されるにつれて、薬剤の水への溶解度に依存して放出される。
【0184】
剤形に水分をもたらすそれらの能力について選択された多価アルコール賦形剤(特にXylitab 300(顆粒化キシリトール、Danisco A/S、コペンハーゲン、デンマーク))を含む製剤を用いて、圧縮されていないオメプラゾールを含有するビーズの耐酸性をコアに圧縮されたビーズと比較する試験では、より高い薬剤損失(オメプラゾール遅延放出カプセルに対するUSP研究論文に記載された耐酸性の導出により試験されるように)が、何ら圧縮されなかったものよりも、コア錠剤に圧縮された製剤に関して観察された。これらの試験は、いくらかの腸溶性の保護が、圧縮の過程で失われたことを示した。この損失は完全なものではなかったし、そして、圧縮形態を意図した目的のためにまだ使用することができたが、その後の仕事は、(1)コア錠剤圧縮によるひび割れから、ビーズ上の腸溶性コーティングを保護する、(2)適切な硬度(3キロポンド(kp))の最適・最小限)を供給する、(3)USP崩壊試験器を使用して、測定されるような即時放出(30分未満で溶解する錠剤)を示す、および(4)シェルをコアに圧縮する際の、浸食性で膨潤性のシェルのひび割れを引き起こさない、賦形剤の混合物を見つけることに集中した。
【0185】
錠剤は、典型的な錠剤圧縮機(例えば、Saint Charles,MOのNatoli Engineeringなどによって供給された)を使用して製造され、典型的な錠剤プレス(例えば、Carver Autopress C(Fred Carver,Inc.Wabash,IN)など)を使用して圧縮された。最初の仕事は、コアを囲むポリマーPolyox(ポリエチレンオキシド、Dow Chemicals,Midland,MI)に焦点を合わせた。この仕事は、コアと同じ形の、しかし全ての側面で1〜2mmの厚さを可能とする全ての側面で2〜4mm長い機械設備のセットを必要とした。最初の仕事は、高分子量(MW)Polyox(すなわち、コアの周りの薄い(1mm)層のPolyox WSR 303であり、これは、薬剤放出の遅れを提供する1mmの層を維持するために中心に置かれた)に焦点を合わせた。これらのコア/シェル錠剤は、USP装置III試験器を使用して、薬剤放出について試験された。
【0186】
このように、ポリエチレングリコールとポリエチレンオキシドなどの中心的な賦形剤は、高濃度で、崩壊(DS)時間を遅らせる。スーパー崩壊剤(すなわち、Polyplasdone XL(クロスポビドン、International Specialty Products Corporation,Wayne,NJ)、多価アルコール、糖類、および希釈剤など)などの添加剤は、DS時間を短縮する。これらの賦形剤の一部は、硬度を減少させ、そして、結合剤(例えば、Plasdone K29/32(ポビドン、ISPによるUSP)は、硬度を増やすために加えることができる。
【0187】
高MWポリマーの薄い層は、放出の遅れを提供したが、しかし、薬剤はその後、簡略化された制御放出様式で放出され、オメプラゾールがその遅れの後に放出されるために1〜2時間かかった。オメプラゾールに関しての最適オメプラゾール放出は、およそ30分である。ポリマーの分子量を減らすことは、遅れと遅れの後の薬剤放出の速度の両方を調整したが、最適IRバーストを提供しなかった。ラクトース、ポリプラスドン、および多価アルコール類(すなわちPEARLITOL 300 DC(マンニトールUSP,Roquette,Lestrem,France))を含むポリマーへの添加物は、即時放出(IR)バースト特性を改善した。シェル層の最適厚みは、コアを囲む1.6mmであり、これはシェルの幅がコアより合計で3.2mm広いことを意味する。
【0188】
特に、多価アルコール類は、ポリマーにより提供される遅れの後でのIRバーストを促進するのに非常に効果的であると分かった。ポリ(エチレンオキシド)(POLYOX(登録商標))の水和、膨張、および浸食は、水がモノリシックポリマーマトリックス中に浸透するにつれて、水和の表面で起こり、それは、添加物を含まない高分子量ポリ(エチレンオキシド)を有するシェルを使用して、観察された制御放出に貢献する可能性がある。多価アルコール類の添加は、このプロセスがポリマーモノリスで典型的な連続した性質とは対照的に、高められた透水のためにポリマー内で一気に起こるようなこの水和、膨張、および浸食プロセスを、それらの高い浸透ポテンシャルで促進することができる。これはシェルの壊滅的な機能の停止を許容し、適切な遅れに続き、シェル/コア剤形からの内容物の望ましいIRバーストを促進する。
【0189】
ビーズは、以下の通りに製造された:NP Pharmからの355〜425μmのサイズの糖球は、順番に(1)オメプラゾール・コート:87.1%のオメプラゾール、12.2%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.7%のTWEEN 80;(2)サブコート:OPADRY Clear YS−1−19025−A;および(3)腸溶性コート:80.4%のEUDRAGIT L30D55、16.6%のPlasACRYL、2.9%のクエン酸トリエチルでコーティングされた。
【0190】
剤形コアは、ビーズから以下のように製造された。ビーズは、30%のビーズ、59.5%のCarbowax(ポリエチレングリコール)、7%のXylitab 300(キシリトール)、3.5%のPovidone K29/32(ポビドン))のブレンドで共造粒された。ブレンドの250mgは、0.3236インチの直径を有する、平坦な丸い斜角を付けられた縁取り用機で打錠された。
【0191】
シェルは、70%のPolyox 1105 LEO NF等級(ポリエチレンオキシド)、29.5%のPearlitol 300 DC(マンニトール)、および0.5%mgのステアリン酸塩のブレンドから製造された。500mgはコアのまわりで圧縮され、それは錠剤の中央に置かれた。機械設備は、a.4500インチの深い凹面であった。
【0192】
インビトロでの放出は、米国薬局方(USP)Apparatus III往復シリンダの使用で特徴付けられた。37℃でpH11のリン酸緩衝液の250mLが、このpHでのオメプラゾールの安定性のために、放出媒体として選択された。結果は、表3と図8に示される。
【表3】
【0193】
実施例4
カプセル挿入物
1つの実施形態では、(1)水和状態での膨張により胃滞留性である、および(2)薬理学的に望ましい時間で分けられた活性医薬成分(APIまたは薬剤)の複数用量を即時放出様式で単一剤形から送達する薬剤の剤形が提供される。この実施例は、図4A〜4Eで例示される剤形を説明し、それは少なくとも2つの圧縮成型(または成型された)されたモジュラープラグ(「挿入物」と呼ばれる)から成り、該モジュラープラグは、少なくとも1つの膨潤性で浸食性のポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド)から成り、これは市販の医薬カプセル(例えば、ゼラチンカプセル)に、例えば、オメプラゾールなどの少なくとも1つの活性薬剤と共に挿入される。これらの剤形は、胃に導入されると、最初に膨潤し、次に、薬理学的に望ましい時間(例えば、3〜5時間)にわたり浸食され、それから薬剤を即時放出様式で放出する。この例示的な実施形態における挿入物は、形状が同一で、円筒形であり、1端には先細りの壁の深いカップ(またはポケット)を有し、他端には平底と挿入物の反対側の先細りの壁の角度と同じ角度の先細りを有する。この形状は、挿入物を「積み重ねること」を可能とし、その一方で、薬剤を含ませるためにそれらの間でポケットを残して置く。
【0194】
この例示的実施形態では、第1パルスは、服用直後に放出されるように設計されている。薬剤のオメプラゾールは、腸溶的に保護された糖衣球の形態で、カプセルが溶解したあと、第1パルスが放出されるように挿入物の外側のカプセルに加えられる。薬剤の第2またはそれ以降の用量は、モジュラー挿入物によってつくられるポケットに挿入される。胃へ導入されると、ゼラチンカプセルは、溶解して薬剤の第1パルスが剤形から放出されるのを可能とする。ゼラチンカプセルの溶解と同時に、重ねられたポリマー挿入物は、水和し、膨潤し、そのように、各挿入物間の接合部をシールして、第2パルスを、挿入物間のポケットにシールする。パルス間の遅れの時間は、使用されるポリマーの分子量、および/または浸食時間を延長するように設計された他の確立した製剤実務を変えることによってコントロールすることができる。挿入物が挿入物の外壁に積重なるとき、実施例の構成は内側の部屋から〜1.4mmの最低限の壁厚を提供する。積み重ねられた挿入アセンブリのこの最も薄い部分を通る浸食が、挿入室内で捕捉された第2パルスビーズの放出を提供するである。
【0195】
薬剤の複数のパルスは、複数用量を1つの剤形に加え、そして複数の成形挿入物を加えることによってパルスを物理的にそして時間的に分離することによって提供されることができる。他の剤形は、パルス送達に加えて、典型的な徐放性様式で、薬剤を膨潤性で浸食性のポリマーと共に挿入物に取り込むことによって、薬剤を送達することができる。挿入物が膨潤するにつれて、薬剤は外へ拡散し、または薬剤の水への溶解度に依存して、ポリマーが浸食されるにつれて放出される。
【0196】
この実施例は、市販の設備機器を使用して典型的な回転式圧縮打錠機で製造するために設計された挿入物について説明する。この実施例では、機器は、Natoli Engineeringを通して得られた。以下に記載する製剤挿入物の選別に続いて、適切な製剤は、Piccola RLC 10−ステーション輪転機(Riva Corp,Argentina)で製造された。膨潤性で浸食性のポリマーの使用は、胃滞留性を提供し、腸溶性コーティングされたビーズを含むオメプラゾールの放出を遅らせる。多価アルコールなどの賦形剤(すなわちマンニトール)の包含は、シェルの適切な遅れに続いてシェルの壊滅的な破裂を促進し、ビーズのIRバーストを提供する。この教示はまた、実施例3に記述された例示的なシェル/コア剤形にも当てはまる。Polyox 1105(MW=900,000 AMU)などの低MWポリマーは、Pearlitol 300 DCなどの多価アルコールとステアリン酸マグネシウム、USP(Mallinckrodt Corp.Hazelwood,MO)などの滑沢剤と共に、許容される遅れを提供し、低MWポリマーは、許容できる遅れを提供して、ビーズ含有腸溶性オメプラゾールの形態でIRバーストを送達する。
【0197】
典型的なカプセル挿入物製剤は、70%のPolyox 1105、29.5%のPearlitol 300 DC、および0.5%mgステアリン酸塩から成る。
【0198】
インビトロでの放出は、米国の薬局方(USP)Apparatus III溶出試験器によって特徴づけられた。放出媒体は、37℃でのpH11のリン酸緩衝液であり、それはオメプラゾールがpH11で安定であることが示されたという事実のために選択された。結果は、下記の図9および表4に示される。
【表4】
【0199】
溶出試験で、ビーズのいくつかが、互いにおよびポリマー挿入物に接着し、それは、剤形からオメプラゾールの放出を遅延させることができたことが観察された。30分以内に各々のパルスに対する20mgのペイロード(有効積載量)の完全な放出を確実にするために、多くのの添加物が調べられた。おそらくその疎水性のために、タルク(USP)(Spectrum Chemicals,New Brunswick,NJ)の低いパーセンテージ(〜0.5〜5%)は、溶出性を改善したようには見えなかったし、ビーズの放出をさらに遅延させることができた。剤形からの放出によりビーズの分散を改善することができる他の賦形剤と添加物は、Pearlitol、Polyplasdone XL、および界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム(Spectrum Chemicals)を含む。
【0200】
実施例5
カプセル中のIRコアを囲む乾燥ポリマー床
カプセルの中にあり、そして、そこでは底部が不溶性ポリマー(例えば、エチルセルロースなど)を含む、乾燥ポリマー床(例えばポリエチレンオキシド)に入れられた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって放出される遅延パルス薬剤(カプセルの中にあり、そして、そこでは底部が不溶性ポリマー(例えば、エチルセルロースなど)を含む)が同様に提供される。例えば、遅滞パルスは、酸保護されたPPIを含むコア即時放出錠剤によって放出されることができ、この錠剤はカプセルの底部に置かれた小さなカップに入れられ(コアを受けて、コアが確実にカプセルの中央に垂直に残るように)、そして、その側面と先端は、乾燥ポリマー床(例えばポリエチレンオキシド)で満たされている。
【0201】
したがって、調剤のコアとシェルの実施形態の利点は、カプセル形態で提供できる。カプセル形態は。また、薬剤放出の遅延パルスに加えて薬剤の即時放出パルスを提供する便利な手段を提供する。1つの例示的実施形態では、実施例1で記述したコアとシェルと同じ製剤のコアが使用され、しかし、コアはカプセル本体の内側に適合するように独特に形成される。例えば、円筒形の錠剤は、カプセル本体とコアのシェルとして同様の構成の乾燥充填ポリマー床の中心に置かれ、そしてシェルは、円筒形のコアを四方で囲んでいる。コア/シェル剤形と同様に、遅れと胃滞留性は、膨潤性で浸食性のポリマーマトリックスに由来するが、しかし、ポリマー囲いの厚みは、コアに関して、浸食タイミングにとって重要であり、コアのすべての側面で同程度の粉末床の厚さを確実にするための工程を取ることができる。このバリエーションを最小にするための1つの実施形態では、半分のコアは、不溶性のマトリックス(非浸食性ポリマー)で囲まれて、そして、ポリマーの半分だけが、浸食されて遅延放出時間の変化を減らす。
【0202】
試験は、カプセル中の乾燥充填剤POLYOXが、十分に速く水和してポリマーがゲル化し、望ましい時間(2〜6時間)の胃滞留性を促進することを示した。しかし、放出データは、変わりやすく、いくつかのカプセルでは、1時間以内にコア内容物を放出し、そして、同じロット内の他のものでは4時間内に放出した。ETHOCEL(Dow Chemicalsによるエチルセルロース)が、不溶性の囲いとして検討されたが、カプセルに充填された場合、最初の崩壊試験の間、最適にともに残存しなかった。KLUCEL(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、Hercules,Welmington,ISPによるPOVIDONE)などのポリマー賦形剤は、高分子量で、5%から35%までのいろいろな重量%で加えられた。最適ブレンドは、80%のETHOCEL STD 100、15%のPOLYOX 303微粒子、5%のPOVIDONEから成り、適切な時間の間、元のままであった。PoOLYOXは、POLYOX/ETHOCELブレンドジャンクション(junction)で元のままであり、一方、非POLYOX系ETHOCELブレンドは、カプセル本体の溶出直前にその接合部で割れる傾向を示した。
【0203】
さらなる第1パルスは、2つのパルスの送達ために、このカプセルの丁度上部に加えられた。第1パルスのブレンドは、ポリマー床にまたはお互いに接着するのを防止するためにXYLITABとビーズから成るものであった。2つのパルスは、これらの剤形から、〜2−4時間離れて送達された。そのようなカプセルは、カプセル内容物の移行(これはコアの周囲に好ましくない空隙を生成する)を避けるために完全に詰められていることが望ましい。
【0204】
実施例6
製造プロセス
試験は、いろいろなバッチサイズ(0.7〜1.8kg)の粒子に対する流動床コーティングプロセスと2つの異なる噴霧分散:20%Opadry II Blue(偽薬または試験専用のサブフィルム)および20%AcrylEZE MP(腸溶性フィルム)に対する材料とプロセス条件を評価することであった。活性医薬成分は、この仕事のためには使用されなかった。粒子の流動床コーティングは、比較的制御された方法で、噴霧スプレー領域を通り抜けるコア粒子の反復移動を含む。移動の各サイクルは、湿潤に続く乾燥サイクルを含む。これらのサイクルのバランスは、製品の適切な品質と一貫性を提供する。パラメータ関係の理解は、フィルムコーティングプロセスについての予測ツールを提供する。
【0205】
この実施例では、流動床フィルムコーティングプロセスは、Wurster隔壁を有するVector FL−M−1流動床上で行われた。Wurster隔壁は、床内での粒子の移動を高めた。噴霧ノズルは、流動ガスと同一方向となるように、分配プレートの一番下の中心に置かれた。偽薬ビーズ製造プロセス条件は、この実施例で記載もされているように、活性ビーズ製品の製造に使用された。偽薬ビーズ試験と製造のために使用される設備は、以下のものを含んだ:Vector FL−M−1,Barnant Mixer,Watson Marlow 505 DU/RL Pump,Mettler Balances,HR 73 Halogen Moisture Analyzer,Leica Microscope,W.S.Tyler Vibratory Sieve ShakerおよびVankel Tap Density Tester。
【0206】
最初に、コアが選択された。コアは、理想的には形状は球形であり、良い流動性を確保するために滑らかな表面を有する。糖球の形状と表面は、顕微鏡を使用して視覚的に評価することができる。湿気レベルは、糖球の微生物成長のしやすさの評価における重要な要因である。糖ビーズの湿気レベルは、HR 73 Halogen Moisture AnalyerでLODを測定することによって評価することができる。バルク密度とタップ密度は、以下の通りに情報目的のために測定することができる。メスシリンダは、材料(82〜88g)の特定量で満たされ、そして、容量が材料のバルク密度を決定するために記録された。タップ密度は、材料を1試験あたり100タップに曝し、新たな用量を記録して、タップ密度試験器の助けを借りて測定することができた。糖粒径分布は、コーティング材料の均一な塗布を確実にするために理想的には狭い範囲であり、分級技術によって評価することができる。例えば、100gの材料サンプルは、篩振盪器で5分間、分級することができ、そして、画分は粒径分布を評価するためにMettler balanceで秤量される。上で説明されたものなどの評価の後に、選択された糖コアまたは球は、NP Pharm SUGLETS(登録商標)(NP Pharm、製品コードPF008(ロット番号606C、ビーズサイズ600/710μm)であった。評価された他の糖球(Paulaur)は、より広いサイズ分布範囲を有し、より球形でなくて、それほど滑らかではなかった。両方のメーカー(NP PharmとPaulaur)からの球についてのLODとバルクおよびタップ密度値は同様であったが、300/425μmのサイズについては、含水量は、Paulaur球の方が高いように見える。
【0207】
Vector Fluid Bed FL−M−1での噴霧プロセス開発作業は、2種類の噴霧分散液(20%のOpadry II Blueと20%のAcrylEZE MP)と2つのWurster隔壁サイズ:6インチと8インチ(異なるバッチサイズに対して)を用いて行われた。この開発作業の目標は、高い噴霧率を使用することによってプロセス時間を最小にしながら、35±2℃の低製品温度でフィルムコーティングプロセスを確立することであった。開発作業は、一定の製品温度を維持しながら、いろいろな気流レベルと異なる噴霧率で流動床の品質を評価することに焦点を合わせた。
【0208】
Opadry II Blue噴霧分散のための賦形剤の情報と処方は、Opadry II Blue(Colorcon、製品コードY−22−10564、ロット番号WP612148、20%w/wの量で)および精製水USP(Ricca Chemical Co.,製品コード9190−5、ロット番号1508075/1408632、80%w/wの量で)であった。Opadry II Blue分散液の調製手順は、以下の通りである。水を混合容器に入れて、できるだけ容器の底に近い中心にある羽根車で液体に空気を通すことなく渦巻を形成するように攪拌する;次いで、Opadry II Blue粉をその渦巻きに加え、液体表面での粉の浮遊を避けて、約60分間攪拌する。Opadry II Blue(Colorcon)のメーカーは、同様の噴霧プロセスに関して≧40℃の作業温度を推奨したが、活性ビーズ材を製造する際に使用される活性成分(オメプラゾール)の温度感受性のために、35±2℃の低い製品温度が選択された。35±2℃の低温は、製品安定性を確実にするために選択された。
【0209】
最適フィルムコーティングプロセス条件を確認するのに用いられる要因は、以下の通りであった:良好な流動床流;設備内部(Wurster隔壁、排気フィルタまたは容器側面)でのビーズ材の蓄積がないこと;および均一なコーティングの指標として、集塊(小さい、2,3の集塊を含む)およびフィルムの良好な着色の均一性(Opadry II Blueは、良いコントラストを白糖コアに提供する)を確実にするプロセスを通して採取されたサンプルの顕微鏡下の目視検査。
【0210】
20%のOpadry II Blue分散液(ステンレス鋼製ビーカーに含まれる)は、噴霧プロセスの間、穏やかに攪拌された。ビーカーは、経時的に噴霧率をモニターするために、Mettler SG 8001 Balance上に置かれた。Watson Marlow 505DU/RLポンプが、Vector FL−M−1 Fluid Bedシステムへの分散液の流れを制御するのに用いられた。
【0211】
重要なコーティング・パラメータは、9つの偽薬の製造の過程で評価された。広いパラメータ範囲は、上に記述された基準に基づき、最適プロセス条件を決定するために調べられた。パラメータ値のいくつかは、設備メーカーからの規格アプリケーションまたは推奨に基づく開発作業の間、一定に保たれた。20%のOpadry II Blueを用いたコーティングプロセス開発作業の過程で評価されたコーティング・パラメータの範囲は、以下の通りであった:(i)Wurster隔壁、範囲0.125〜0.5インチ(6インチWurster)と0.75〜1インチ」(8インチWurster);(ii)噴霧率、範囲4〜12g/分;(iii)気流、範囲45〜60CFM;および(iv)バッチサイズ(コーティングプロセス工程の開始時、範囲0.7〜1.5kg(6インチWurster)と1.8kg(8インチWurster)。20%のOpadry II Blueでのコーティングプロセス開発作業の間、一定に維持されるパラメータは、入口空気温度52±2℃、製品温度35±2℃、ノズル圧32psi、加速器気圧30psi、ミキサー設定2.0、ノズル延長とスペーサ1/16インチ、およびテフロン(登録商標)分布プレート100FP。
【0212】
Opadry II Blueによるコーティング作業からの重要な観察は、以下の通りであった:Wurster隔壁が0.125〜0.25インチの高さであると、良質の流動床の形成を危うくする;最適なWursterの高さは、0.375〜0.5インチ(6インチWurster)と0.75〜1インチ(8インチWurster)の範囲である;噴霧率が0.7〜1.3kgのバッチに対して≦10g/分および1.3〜1.8kgのバッチに対して≦12g/分であるとき、流動床の湿潤/乾燥サイクルの良いバランスを達成することができる;32psiのノズル圧は、上質の噴霧パターンをこのアプリケーションに提供する;排気フィルタ上に蓄積される物質が、50CFMを上回る気流値に対して発生する。上記の条件は、プロセスを通して異なる時点に採取されるサンプルの顕微鏡下の視覚試験から検出されるように、均一なビーズ層を提供する。
【0213】
AcrylEZE MP腸溶性コートは、以下のものから成る:AcrylEZE MP(Colorcon、製品コード93O18508、ロット番号WP603787、20%w/wの量で);30%のシメチコンエマルジョン、USP Dow Corning、製品コード3125424、ロット番号0002410491、0.1%w/wの量で);および精製水、USP(Ricca、上記のように、79.9%w/wの量で)。AcrylEZE MP分散液を製造する手順は、以下の通りである。30%のシメチコンエマルジョンを混合用器に入れ、そして、水を加えて、攪拌し、できるだけ容器の底に近い中心にある羽根車で液体に空気を通すことなく渦巻を形成する。次いで、AcrylEZE MP粉をその渦巻きに加え、液体表面での粉の浮遊を避けて、約60分間攪拌する。分散混合液をコーティングプロセスの前に250μmの篩に通す。20%のAcrylEZE MP分散液(ステンレス鋼製ビーカーに含まれる)は、噴霧プロセスの間、穏やかに攪拌された。ビーカーは、経時的に噴霧率をモニターするために、Mettler SG 8001 Balance上に置かれた。Watson Marlow 505DU/RLポンプが、分散液のVector FL−M−1 Fluid Bedシステムへの分散液の流れを制御するのに用いられた。
【0214】
このフィルムコーティングプロセスのために使用される品質基準は、Opadry II Blueコーティングプロセスに対して定義されたものと同じである。重要なプロセスパラメータは、9つの偽薬作業の過程で評価された。より高い製品温度(35〜40℃)が、この開発作業の初期に使用された。AcrylEZE材料は、高温でより粘着性に見えるので、製品温度は30±2℃に後で変えられた。>7g/分(初期の開発作業で使用された)の噴霧率は、凝集を引き起こすように見えた。一旦噴霧率が5〜7g/分の値に調整されると、プロセスの全体的な品質は大幅に改善された。ノズル圧が32psiに維持されたとき、噴霧ノズルの先端上にAcrylEZE材料の蓄積が起こったが、ノズル圧が36psiに維持された場合には、起こらなかった。
【0215】
20%のAcrylEZE MPを用いたコーティングプロセス開発作業の過程で、評価されたコーティング・パラメータ範囲は、以下の通りであった:噴霧率は、5〜14g/分;気流、範囲40〜70CFM;ノズル圧、範囲32〜36psi;入口空気温度、範囲40〜59℃;製品温度、範囲30±2℃〜40±2℃;およびバッチサイズ(コーティングプロセス工程の開始時)、範囲0.7〜1.3kg(6インチWurster)と1.3〜1.4kg(8インチWurster)。20%のAcrylEZE MPを用いたコーティングプロセス開発作業の過程で一定に保たれたパラメータは、以下の通りであった:Wurster隔壁の高さ、範囲0.375〜0.5インチ(6インチWurster)と1インチ(8インチWurster);加速器気圧30psi、ミキサー設定2.0、ノズル延長とスペーサ1/16インチテフロン(登録商標);分布プレート100FP。AcrylEZE MPによるコーティング作業からの重要な観察は、以下の通りであった:最適なWursterの高さは、0.375〜0.5インチ(6インチWurster)と0.75〜1インチ(8インチWurster)の範囲である;噴霧率が0.7〜1.3kgのバッチに対して≦5g/分および1.3〜1.8kgのバッチに対して≦7g/分であるとき、流動床の湿潤/乾燥サイクルの良いバランスを達成することができる;36psiのノズル圧は、上質の噴霧パターンをこのアプリケーションに提供する;および50CFMを上回る気流値は、排気フィルタ上に物質の蓄積をもたらす。
【0216】
この開発作業は、Vector Fluid Bed FL−M−1上で偽薬がコーティングされた糖球に対する製造プロセスパラメータは、主にバッチサイズとコーティング分散液の種類に依存することを示した。バッチサイズは、Wurster隔壁(6インチまたは8インチ);Wurster隔壁の高さ;および噴霧率を決定する。コーティング分散液のタイプは、入口空気温度、ノズル圧、および噴霧率に関するプロセス値を決定する。噴霧コーティングプロセスの重要なパラメータは、Wurster隔壁高さ、噴霧率、気流と入口空気温度であると決定された。活性ビーズの製造のプロセス条件の開発のために使用されるパラメータは、以下の通りであった。20%のOpadry II Blueプロセスについては、Wurster隔壁サイズ(インチ)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して6であり、バッチサイズ1.3〜1.8kgに対して8であった;Wurster隔壁サイズの高さ(インチ)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して0.375〜0.5であり、バッチサイズ1.3〜1.8kgに対して0.75〜1であった;入口空気温度は、望ましい製品温度より高い15±2℃であった;気流(CFM)は、50であった;ノズル圧(psi)は、32であった;ならびに最大噴霧率(g/分)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して10±1およびバッチサイズ1.3〜1.8kgに対して12±1であった。
【0217】
20%のAcrylEZE MPプロセスについては、Wurster隔壁サイズ(インチ)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して6であり、バッチサイズ1.3〜1.8kgに対して8であった;Wurster隔壁サイズの高さ(インチ)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して0.375〜0.5であり、バッチサイズ1.3〜1.8kgに対して0.75〜1であった;入口空気温度は、望ましい製品温度より高い10±2℃であった;気流(CFM)は、50であった;ノズル圧(psi)は、36であった;ならびに最大噴霧率(g/分)は、バッチサイズ0.7〜1.3kgに対して5±1およびバッチサイズ1.3〜1.8kgに対して7±1であった。
【0218】
2つの活性ビーズバッチは、以下の通りの設計(内側から外側へ)を有する:600〜710ミクロンのサイズの糖球のビーズコア;オメプラゾール(20〜40%の増量)の活性コート;Opadry(3〜5%の増量)のサブコート;AcrylEZE(25〜40%の増量)の腸溶性コート。ビーズは、厳しい活性薬剤含有量の範囲(STD<1%)と望ましい耐酸性特性を有した。上記バッチの全ては、Vector FL M−1で<2kgの作業で製造された。355/425μmの糖コアを有するビーズは、同じ設備と同様のビーズ処方で製造することができる。より小さいサイズのビーズは、挿入物のスペースにうまく適合するような挿入物設計を有するカプセルを意図する。
【0219】
流動床システムにおけるビーズの製造は、また、微結晶セルロース(MCC)コア(Celphere CP 305およびCelphere CP 507)を含むビーズを使用して行うこともできる。Opadry(登録商標)コートは、活性オメプラゾール・コート上でこれらのビーズに適用される。6kgまでのバッチサイズは、ベクトルFL−M−15流動床システム(Bector Corporationでのプロセス・ラン)で製造することができる。
【0220】
押出し(MCC系コア)による粒子の製造法は、押出しプロセス(Emerson Resources,Inc.;LCIからのドーム押出機、モデルDG−L−1および2mmのプレートを備えている230mmのスフェロナイザを使用して)を用いて、0.5mmと0.7mmのサイズを有するオメプラゾール粒子を製造するのに用いることができる。プロセスの第1段階は、35〜50%のオメプラゾール(ompeprazole)と残りMCCを含んだ粒子の押出しであった。他のランでは、これらの粒子は、クエン酸トリエチル(TEC)を可塑剤(最終的なコートで2〜10%)として含んだ腸溶性コート(EUDRAGIT L30D55ポリマー)で、直接コーティングされた。コーティングプロセスは、Vector FL−M−1上で行われた。これらの粒子は、非常に均一な薬剤含量(STD≦1%)を示して、望ましい耐酸性の特質を有した。
【0221】
コア/シェル構成を有する剤形は、1kgのバッチサイズで稼働する回転式錠剤圧縮機(Manesty Betapress)で製造することができる。20〜60%の混合ビーズ量を有する活性製剤が調合された。活性薬剤の均一性は、コア錠剤において増加したビーズ含有量により増加する(STD% 1〜5;60%ビーズコア処方のために達成された1%)。コアとシェルの製造は、また、ここに提供されるガイダンスに基づく委託製造業者(Patheon/MOVA(登録商標))で行うこともできる。1つの例示的な実施形態では、コアは、括弧で示された範囲内(賦形剤は、「そのまま」使用されるか、または従来の製薬造粒プロセスにより、あるいはそれらの任意の組み合わせによる造粒で使用されてもよい)の以下の成分から成る:糖−澱粉球(コアの25%);ポリエチレンオキシド(10〜20%);ポリエチレングリコール(15〜35%);POVIDONE(ポリビニルピロリドン、3〜6%);クロスカルメロース・ナトリウム(3〜5%);デンプングリコール酸ナトリウム(2〜5%);CROSPOVIDONE(架橋ポリビニルピロリドン、3〜15%);微結晶セルロース−微粒子(5〜25%);微結晶セルロース−粗粒子(10〜20%);α化澱粉(15〜40%);ステアリン酸マグネシウム(0.5〜2%);およびタルク(0.5〜4%)。
【0222】
1つの例示的な実施形態では、シェルは、括弧で示された範囲内(賦形剤は、「そのまま」使用されるか、または従来の製薬造粒プロセスにより、あるいはそれらの任意の組み合わせによる造粒で使用されてもよい)の以下の成分から成る:XYLITAB(登録商標)キシリトール(シェルの20〜30%);ポリ(エチレンオキシド)(典型的には、タイプ1105、約900,000の分子量を有し、流動学的に決定される、70〜80%);ポリエチレングリコール(10〜20%まで);架橋ポリビニルピロリドン(10〜20%まで);微結晶セルロース(10〜20%);ステアリン酸マグネシウム(約1%);および場合により結合剤(例えば、ポリ(ビニルピロリドン)(POVIDONE)、架橋ポリビニルピロリドン(COPOVIDONE)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)(3〜8%)。
【0223】
図5A〜5Bに示される剤形は、Kikusuiからの打錠機で製造することができる。
【0224】
実施例7
他の実施形態
1つの実施形態では、遅延パルスは、カプセル内にある乾燥ポリマー床(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)などの)に入れられた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって引き起こされる。
【0225】
1つの実施形態では、遅延パルスは、ぴったりと収まるカップに入れられた、酸保護された顆粒、ペレットまたはビーズをカプセルに配置することによって引き起こされ、そして、その先端は、詰められたPEO粉、または予め作られた(圧縮または射出成形によって)PEOプラグもしくはキャップとしてのポリ(エチレンオキシド)(PEO)でシールされ、そして次にカプセルの先端(腸溶性コーティングされていない)は、カプセルをシールするためにカプセルの底部に配置される。
【0226】
1つの実施形態では、遅延パルスは、1パルスで酸保護されたPPIを放出する浸食性コーティングを有するコア錠剤によって引き起こされ、そこでは、酸保護されたPPIは、腸溶性かまたは遅延放出コーティングされた粒子、ビーズまたはペレットであることができ、あるいはまた、塩基を含む粒子ビーズまたはペレットであることができ、そこでは、コーティングは、従来のパンコ−ティング技術により塗布されて、「シェル/コア」錠剤を生成する。
【0227】
1つの実施形態では、遅延パルスは、1パルスで酸保護されたPPIを放出する浸食性コーティングを有するコア錠剤によって引き起こされ、そこでは、酸保護されたPPIは、腸溶性かまたは遅延放出コーティングされた粒子、ビーズまたはペレットであることができ、あるいはまた、塩基を含む粒子ビーズまたはペレットであることができ、そこでは、コーティングは、粉末積層法により塗布される。
【0228】
1つの実施形態では、遅延パルスは、錠剤と端部を挟む2枚のシートがシールされるように押出し加工されたポリマー(必要に応じて充填剤と他の賦形剤とともに)によって囲まれた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって引き起こされる。錠剤コアは、別に作られ、そして押し出された膨潤性で浸食性のポリマーの2つのリボンの間に置かれる。シール/切断機械は、剤形を完成させるのに用いられる。
【0229】
1つの実施形態では、遅延パルスは、圧縮成形または射出成形によりPEOから作られたカプセルに入れられた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって引き起こされ、カプセルをシールするためにカプセル先端を追加することによって、またはその先端の端部を圧縮(加熱して、または加熱することなく)してシールされる。
【0230】
1つの実施形態では、遅延パルスは、シール用の突出部を有するハマグリ状シェルの「半錠」カップ中に置かれた酸保護PPIを含むコア即時放出錠剤によって引き起こされ、そして、次に第2「半錠」カップは、上に置かれ、そして、2つは、加熱しながら、または加熱することなく、リップエッジ(コア錠剤は、2つの圧縮サイクルを受けない)のまわりのみの圧縮によりシールされる。関連した実施形態では、ハマグリ状シェルの前半は、フラットシートでシールされて、そして、次に、酸保護されたPPIを含む後半−錠剤に付着させ、そこでは、後半部が前半部より非常に速く浸食される。「半錠」カップは、典型的(またはわずかに変更された)錠剤圧縮ツールを使用して製造することができる。2つのカップは、コアと共に内側に置くことができ、そして、別のツールは、2つのカップを一緒にシールするために周辺部を圧縮することができた。
【0231】
1つの実施形態では、遅延パルスは、腸溶性コーティングでコーティングされた、腸の下部に置かれる酸保護顆粒、ペレットまたはビーズによって引き起こされる。それから、PEO乾燥粉末のPEOプラグは、底部に置かれ、そして、IRビーズが先端で加えられる。それから、カプセル先端(腸溶性でない)は、カプセル底部の上に置かれる。
【0232】
1つの実施形態では、遅延パルスは、腸溶性コーティングでコーティングされた、腸の下部に置かれる酸保護顆粒、ペレットまたはビーズによって引き起こされる。それから、圧縮されたPEOのPEOプラグは、底部に置かれ、そして、IRビーズが先端で加えられる。それから、カプセルをシールするために、カプセル先端(腸溶性でない)は、カプセル底部の上に置かれる。
【0233】
1つの実施形態では、遅延パルスは、酸保護されたPPIの酸保護された顆粒、ペレットまたはビーズ[これらは、腸溶性コーティングされ、そしてまた、崩壊剤の腸溶性コーティングの溶出がマトリックス(これは、錠剤または2層錠の1層であり得る)の壊滅的な機能停止につながるように崩壊剤および/また他の賦形剤を含む顆粒、ペレットまたはビーズを同様に含むポリマーマトリックスに入れられた]を入れることによって引き起こされる。
【0234】
1つの実施形態では、遅延パルスは、PEOまたは他のポリマー(粉末積層化または他の技術によって)でコ−ティングされている酸保護されたPPIを含む複数(2以上)のペレットの組み合わせによって引き起こされ、そして、即時放出は、同じカプセルに置かれる両方の種類のペレットでの、崩壊剤を含む複数(2以上)のペレットによって生成する。
【0235】
1つの実施形態では、酸に安定な薬剤に適した2重放出剤形は、薬剤の胃滞留性剤形の外側を、急速な浸食用に適した賦形剤と混合された薬剤の層でコーティングすることにより提供される。
【0236】
1つの実施形態では、2重放出(初期に加えて遅延パルス薬剤放出)剤形は、薬剤を含有する胃滞留性のコア/シェル仕上げ錠剤を、ホッッパー供給コア/シェル機械に入れ、さらなる薬剤含有層を上記の2層錠の場合のようにその上に適用し、そこでは、錠剤の2分の1はコアとシェルであり、そして、残り半分は、腸溶性のPPIsを含む粒子を含有している薬剤の圧縮されたマトリックスである。
【0237】
1つの実施形態では、2重放出剤形は、コア/シェル錠剤をカプセル内に置くことによって提供される。該カプセル内には、さらに別の薬剤含有ユニット、つまり、腸溶性コーティングされたビーズが加えられる。次に、カプセルは、シールされ、そして遅延放出を提供する錠剤と初期パルスを送達するビーズを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に経口投与直後に剤形から放出される薬剤の第1用量;および
実質的に経口投与後に剤形から放出される薬剤の第2用量
を含む剤形であって、そこでは、薬剤の第2用量が、胃液中の水分を吸収することによって第2用量の実質的にすべての放出のための摂食状態で、胃の中での滞留を達成するのに十分な大きさまで膨潤する送達ビヒクル中に含まれてなる、剤形。
【請求項2】
送達ビヒクルが、水中で制限を受けない大きさまで膨潤する親水性ポリマーから成る請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
前記送達ビヒクルが、胃での酸性条件への曝露により第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分をさらに含む請求項1または請求項2に記載の剤形。
【請求項4】
送達ビヒクルが、水中で大きさが制限されないで膨潤する親水性ポリマー中に分散された複数のビーズから成り、各ビーズは、(a)コア;(b)コアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のコーティングから成る請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
送達ビヒクルが、中央の空洞を有するポリマー挿入物から成り、該挿入物は水中で大きさが制限されないで膨潤し、薬剤の第2用量は前記空洞内に含まれる請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
複数のビーズが、薬剤の第2用量を提供するのに十分な量を含み、そこでは、各ビーズは、(a)コア;(b)コアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のサブコーティング;および(d)胃での酸性条件への曝露により第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分から成る請求項5に記載の剤形。
【請求項7】
第2ポリマー挿入物をさらに含み、前記第2挿入物が、薬剤の第1用量を含む空洞を含む請求項6に記載の剤形。
【請求項8】
前記第1および第2挿入物が、カプセル内に含まれ、そこで、第1挿入物端部は、第2挿入物の開口部に係合し、経口投与後の挿入物の膨潤が、第1挿入物端部と第2挿入物の開口部との間にインシチュでシールを生成し、前記第2挿入物中に含まれる複数のビーズの放出を遅らせる請求項7に記載の剤形。
【請求項9】
薬剤の第2用量を含む送達ビヒクルが、第2用量を保護する成分によって囲まれた薬剤コアから成り、それは水中で大きさが制限されないで膨潤する親水性ポリマーにより囲まれている請求項1に記載の剤形。
【請求項10】
薬剤コアが、薬剤と少なくとも1つの賦形剤から成り、第2用量を保護する成分が、錠剤コア上に配置された腸溶性コーティング層であり;親水性ポリマーが腸溶性コーティング層上に配置された層を形成し、第1用量が親水性ポリマー層上に配置された即時放出型成分中に含まれる請求項9に記載の剤形。
【請求項11】
送達ビヒクルが、(a)複数のビーズとマトリックスから成る錠剤コア(ここで、ビーズは、薬剤の第2用量を含む);および(b)錠剤コア上に配置された胃滞留性層から成る請求項1に記載の剤形。
【請求項12】
第2用量を保護する成分が、塩基性化合物および腸溶性コーティングから選択される請求項3に記載の剤形。
【請求項13】
薬剤の第1用量と薬剤の第2用量が、同じ薬剤である任意の先行請求項に記載の剤形。
【請求項14】
薬剤がプロトンポンプ阻害薬剤である請求項13に記載の剤形。
【請求項15】
薬剤がオメプラゾールである請求項13に記載の剤形。
【請求項16】
薬剤の第1用量と薬剤の第2用量が、異なる薬剤である請求項1〜12のいずれかに記載の剤形。
【請求項17】
第1薬剤が、プロトンポンプ阻害剤であり、第2薬剤が、非ステロイド系抗炎症剤である請求項16に記載の剤形。
【請求項18】
プロトンポンプ阻害薬剤がオメプラゾールである請求項17に記載の剤形。
【請求項19】
薬剤の第1用量が、第1の複数ビーズと関連し、薬剤の第2用量が、第2の複数ビーズと関連する請求項1に記載の剤形。
【請求項20】
第1および第2の複数のビーズが、異なる平均外径を有する請求項19に記載の剤形。
【請求項21】
第1の複数ビーズが、0.1〜2mmの間の平均ビーズ外径を有する請求項20に記載の剤形。
【請求項22】
薬剤の第1用量が、経口投与後60分未満で剤形から放出される請求項1に記載の剤形。
【請求項23】
薬剤の第2用量が、経口投与後2〜6時間で剤形から放出される請求項1に記載の剤形。
【請求項24】
第1薬剤の治療有効量を含むコア、およびコアを囲むシェルから成る剤形であって、前記シェルは、胃液中に存在する水分を吸収することにより、摂食状態で、胃の中での滞留を達成するのに十分な大きさまで膨潤する親水性ポリマーから成り、前記シェルは、経口投与後、少なくとも約2〜6時間の間、第1薬剤の放出を遅らせる、剤形。
【請求項25】
胃での酸性条件への曝露により薬剤が不活性化するのを保護する成分をさらに含む請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
前記成分が、コアとシェルまたは前記薬剤と混合された塩基性賦形剤との間に配置された腸溶性コーティングである請求項25に記載の剤形。
【請求項27】
前記親水性ポリマーが、大きさが制限されないで膨潤する請求項24に記載の剤形。
【請求項28】
前記コアが、複数のビーズから成り、そこで、各ビーズが、(a)ビーズコア;(b)ビーズコアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のサブコーティング;および(d)第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分としての腸溶性コーティングから成る請求項24に記載の剤形。
【請求項29】
前記ビーズコアが、医薬的に許容される賦形剤から成る請求項28に記載の剤形。
【請求項30】
前記医薬的に許容される賦形剤が、糖である請求項29に記載の剤形。
【請求項31】
胃食道逆流症(GERD)および/または夜間酸分泌(NAB)の治療のための組成物であって、該組成物は、PPIの第1パルスを送達するためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)の第1用量と;PPIの第2パルスを送達するためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)の第2用量とを提供する剤形から成り;前記第1パルスは、第1用量の実質的に経口投与直後に患者の胃の中で放出され、前記第2パルスは、第2用量の実質的に経口投与後に患者の上部胃腸管で放出される、組成物。
【請求項32】
前記第1用量および第2用量が、単一剤形である請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記剤形が、夕食とともに投与される請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記第1および第2用量が、第1および第2剤形であり、第2剤形が、胃滞留性剤形である請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記剤形が、夕食とともに同時または順番に投与される請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
第1剤形が、夕食とともに投与され、第2剤形が、夕食後、就寝前に投与される請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
単一剤形が、請求項1〜23のいずれか1項に記載の剤形である請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
胃食道逆流症(GERD)および/または夜間酸分泌(NAB)の治療のための医薬組成物であって、該組成物は、即時放出型剤形と組み合わせた、請求項24〜31のいずれか1項に記載された剤形を含み、前記剤形の少なくとも1つが、プロトンポンプ阻害剤を含む、医薬組成物。
【請求項39】
前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾールである請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記提供が、夕食で前記剤形を提供することをさらに含む請求項38に記載の組成物。
【請求項1】
実質的に経口投与直後に剤形から放出される薬剤の第1用量;および
実質的に経口投与後に剤形から放出される薬剤の第2用量
を含む剤形であって、そこでは、薬剤の第2用量が、胃液中の水分を吸収することによって第2用量の実質的にすべての放出のための摂食状態で、胃の中での滞留を達成するのに十分な大きさまで膨潤する送達ビヒクル中に含まれてなる、剤形。
【請求項2】
送達ビヒクルが、水中で制限を受けない大きさまで膨潤する親水性ポリマーから成る請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
前記送達ビヒクルが、胃での酸性条件への曝露により第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分をさらに含む請求項1または請求項2に記載の剤形。
【請求項4】
送達ビヒクルが、水中で大きさが制限されないで膨潤する親水性ポリマー中に分散された複数のビーズから成り、各ビーズは、(a)コア;(b)コアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のコーティングから成る請求項1に記載の剤形。
【請求項5】
送達ビヒクルが、中央の空洞を有するポリマー挿入物から成り、該挿入物は水中で大きさが制限されないで膨潤し、薬剤の第2用量は前記空洞内に含まれる請求項1に記載の剤形。
【請求項6】
複数のビーズが、薬剤の第2用量を提供するのに十分な量を含み、そこでは、各ビーズは、(a)コア;(b)コアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のサブコーティング;および(d)胃での酸性条件への曝露により第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分から成る請求項5に記載の剤形。
【請求項7】
第2ポリマー挿入物をさらに含み、前記第2挿入物が、薬剤の第1用量を含む空洞を含む請求項6に記載の剤形。
【請求項8】
前記第1および第2挿入物が、カプセル内に含まれ、そこで、第1挿入物端部は、第2挿入物の開口部に係合し、経口投与後の挿入物の膨潤が、第1挿入物端部と第2挿入物の開口部との間にインシチュでシールを生成し、前記第2挿入物中に含まれる複数のビーズの放出を遅らせる請求項7に記載の剤形。
【請求項9】
薬剤の第2用量を含む送達ビヒクルが、第2用量を保護する成分によって囲まれた薬剤コアから成り、それは水中で大きさが制限されないで膨潤する親水性ポリマーにより囲まれている請求項1に記載の剤形。
【請求項10】
薬剤コアが、薬剤と少なくとも1つの賦形剤から成り、第2用量を保護する成分が、錠剤コア上に配置された腸溶性コーティング層であり;親水性ポリマーが腸溶性コーティング層上に配置された層を形成し、第1用量が親水性ポリマー層上に配置された即時放出型成分中に含まれる請求項9に記載の剤形。
【請求項11】
送達ビヒクルが、(a)複数のビーズとマトリックスから成る錠剤コア(ここで、ビーズは、薬剤の第2用量を含む);および(b)錠剤コア上に配置された胃滞留性層から成る請求項1に記載の剤形。
【請求項12】
第2用量を保護する成分が、塩基性化合物および腸溶性コーティングから選択される請求項3に記載の剤形。
【請求項13】
薬剤の第1用量と薬剤の第2用量が、同じ薬剤である任意の先行請求項に記載の剤形。
【請求項14】
薬剤がプロトンポンプ阻害薬剤である請求項13に記載の剤形。
【請求項15】
薬剤がオメプラゾールである請求項13に記載の剤形。
【請求項16】
薬剤の第1用量と薬剤の第2用量が、異なる薬剤である請求項1〜12のいずれかに記載の剤形。
【請求項17】
第1薬剤が、プロトンポンプ阻害剤であり、第2薬剤が、非ステロイド系抗炎症剤である請求項16に記載の剤形。
【請求項18】
プロトンポンプ阻害薬剤がオメプラゾールである請求項17に記載の剤形。
【請求項19】
薬剤の第1用量が、第1の複数ビーズと関連し、薬剤の第2用量が、第2の複数ビーズと関連する請求項1に記載の剤形。
【請求項20】
第1および第2の複数のビーズが、異なる平均外径を有する請求項19に記載の剤形。
【請求項21】
第1の複数ビーズが、0.1〜2mmの間の平均ビーズ外径を有する請求項20に記載の剤形。
【請求項22】
薬剤の第1用量が、経口投与後60分未満で剤形から放出される請求項1に記載の剤形。
【請求項23】
薬剤の第2用量が、経口投与後2〜6時間で剤形から放出される請求項1に記載の剤形。
【請求項24】
第1薬剤の治療有効量を含むコア、およびコアを囲むシェルから成る剤形であって、前記シェルは、胃液中に存在する水分を吸収することにより、摂食状態で、胃の中での滞留を達成するのに十分な大きさまで膨潤する親水性ポリマーから成り、前記シェルは、経口投与後、少なくとも約2〜6時間の間、第1薬剤の放出を遅らせる、剤形。
【請求項25】
胃での酸性条件への曝露により薬剤が不活性化するのを保護する成分をさらに含む請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
前記成分が、コアとシェルまたは前記薬剤と混合された塩基性賦形剤との間に配置された腸溶性コーティングである請求項25に記載の剤形。
【請求項27】
前記親水性ポリマーが、大きさが制限されないで膨潤する請求項24に記載の剤形。
【請求項28】
前記コアが、複数のビーズから成り、そこで、各ビーズが、(a)ビーズコア;(b)ビーズコアの外側表面に配置された薬剤;(c)薬剤上に配置された任意のサブコーティング;および(d)第2用量の少なくとも一部が不活性化するのを保護する成分としての腸溶性コーティングから成る請求項24に記載の剤形。
【請求項29】
前記ビーズコアが、医薬的に許容される賦形剤から成る請求項28に記載の剤形。
【請求項30】
前記医薬的に許容される賦形剤が、糖である請求項29に記載の剤形。
【請求項31】
胃食道逆流症(GERD)および/または夜間酸分泌(NAB)の治療のための組成物であって、該組成物は、PPIの第1パルスを送達するためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)の第1用量と;PPIの第2パルスを送達するためにプロトンポンプ阻害剤(PPI)の第2用量とを提供する剤形から成り;前記第1パルスは、第1用量の実質的に経口投与直後に患者の胃の中で放出され、前記第2パルスは、第2用量の実質的に経口投与後に患者の上部胃腸管で放出される、組成物。
【請求項32】
前記第1用量および第2用量が、単一剤形である請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記剤形が、夕食とともに投与される請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記第1および第2用量が、第1および第2剤形であり、第2剤形が、胃滞留性剤形である請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記剤形が、夕食とともに同時または順番に投与される請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
第1剤形が、夕食とともに投与され、第2剤形が、夕食後、就寝前に投与される請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
単一剤形が、請求項1〜23のいずれか1項に記載の剤形である請求項32に記載の組成物。
【請求項38】
胃食道逆流症(GERD)および/または夜間酸分泌(NAB)の治療のための医薬組成物であって、該組成物は、即時放出型剤形と組み合わせた、請求項24〜31のいずれか1項に記載された剤形を含み、前記剤形の少なくとも1つが、プロトンポンプ阻害剤を含む、医薬組成物。
【請求項39】
前記プロトンポンプ阻害剤が、オメプラゾールである請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記提供が、夕食で前記剤形を提供することをさらに含む請求項38に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2010−534721(P2010−534721A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519222(P2010−519222)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/009139
【国際公開番号】WO2009/017716
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(502202937)ディポメド,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/009139
【国際公開番号】WO2009/017716
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(502202937)ディポメド,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】
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