説明

パレット搬送装置

【課題】パレットの載せ換えが不要で構成が簡単であり、コストが掛からず、効率良く設置できるパレット搬送装置を提供する。
【解決手段】ワーク12が載せられ屈曲可能なパレット14と、一対のコンベア用ギア22間に掛け渡された搬送用ベルト20を備えた搬送用コンベア16を有する。一対のコンベア用ギア22と同軸に一体的に回転可能に設けられ、パレット12を搬送用コンベア16の上下反対側に送る一対のパレット移送ギア24を有する。搬送用コンベア16の両端の各コンベア用ギア22に沿って各々配置され、パレット移送ギア24に係合したパレット12を支持し、パレット14の移送を案内する一対のガイド部材26を備える。搬送用コンベア16の下方に平行に並設され、搬送用コンベア16下流側のパレット移送ギア24により送られたパレット12が載置され、搬送用コンベア16の上流側位置にパレット12を戻す戻り用コンベア18を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークが載置されたパレットをコンベアにより搬送するパレット搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後工程に部品などのワークを搬送する際には、ワークを載置可能に形成されたパレットにワーク等が載置され、搬送ベルトが設けられたワーク搬送用コンベアにパレットを載せて搬送していた。また、ワーク搬送用コンベアには、複数のパレットが整列されて載せられ、ワークを順次載置可能に形成されていた。さらに、ワーク搬送用コンベアの両端部近傍には、各々リフタ装置が設置され、ワークの搬送を終えたパレットは、順次リフタ装置にて、搬送用コンベア下方の平行位置に設置された戻り用コンベアに載せ換えられていた。そして、パレットは、戻り用コンベアによりワーク搬送用コンベアの送り出し位置に戻され、リフタ装置にて、再びワーク搬送用コンベアに載せ換えられて繰り返し使用されていた。
【0003】
そのほか、特許文献1に開示されたパレット交換システムは、供給用ベルトコンベアにより段積み状態で搬送されたパレットを、仮置台に対向した所定位置で停止させ、ロボット装置によりパレットを仮置台に移し替えて、ロボットハンドによりワークをパレットに順に収納する。そして、パレットにワークを収納し終えた後、そのパレットを排出用ベルトコンベアに移し替え、パレットを所定数段積みして排出用ベルトコンベアにより排出するものである。
【特許文献1】特開平11−207561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、ワーク搬送用コンベア上を移動するパレットは、ワーク搬送用コンベアの供給端に達すると、ワーク搬送用コンベアから降ろして、戻り用コンベアに載せ換えて、上流側の送り出し位置までパレットを戻す必要があった。同様に、戻り用コンベアに載せられたパレットは、ワーク搬送用コンベアの送り出し位置まで戻ると、戻り用コンベアから降ろして、ワーク搬送用コンベア上にパレットを載せ換える必要があった。そのため、全体としての構成が複雑でコストが掛かる上、複数の装置を組み合わせるため、設置スペースも広く取り、スペース効率が良くなかった。
【0005】
また、特許文献1では、ベルトコンベアにより搬送された空の箱形パレットに、ロボット装置によりワークを箱詰めした後、後工程にワークを搬送するベルトコンベアに載せ換えるため、上記と同様に構成が複雑で、製造コストも掛かるかかるものであった。また、複数の装置を設置するため、スペース効率も良くなかった。
【0006】
この発明は、上記従来技術の問題に鑑みて成されたもので、パレットの載せ換えが不要で構成が簡単であり、コストが掛からず、効率良く設置できるパレット搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、ワーク等の被搬送物が載せられ屈曲可能なパレットと、一対のコンベア用ギア間に掛け渡され前記パレットを載置して搬送する搬送用環状部材を備えた搬送用コンベアと、前記搬送用コンベアの下方に平行に並設され前記搬送用コンベアの下流側へ送られた前記パレットを前記搬送用コンベアの上流側に戻す戻り用コンベアと、前記一対のコンベア用ギアと各々同軸に一体的に回転可能に設けられ前記パレットを前記搬送用コンベアと前記戻り用コンベアとの間で上下反対側に送る一対のパレット移送部材と、前記搬送用コンベア両端の各コンベア用ギアに沿って各々配置され前記パレット移送部材による前記パレットの前記搬送用コンベアと前記戻り用コンベア間の移送をガイドする一対のガイド部材と、前記パレットを前記搬送用コンベアの所定位置に係止可能に設けられたストッパと、前記搬送コンベアおよび戻り用コンベアを駆動する一または複数の駆動用モータとを備えたパレット搬送装置である。
【0008】
前記コンベア用ギアは前記搬送用コンベアの両端に各々2個設けられ、前記パレット移送部材は前記各コンベア用ギアの間に位置し、前記パレットの裏面には前記パレット移送部材に係合する凹凸部が設けられている。
【0009】
前記搬送用環状部材は搬送用ベルトであり、前記パレットを前記搬送用ベルトに載置して搬送するとともに、前記ストッパにより前記パレットをスリップさせて停止可能なものである。
【0010】
前記搬送用環状部材は外側にローラを備えた搬送用チェーンであり、前記コンベア用ギアは前記搬送用チェーンと噛合可能なコンベア用スプロケットであり、前記コンベア用スプロケットの外側には、前記パレットを載置して搬送可能であるとともに前記ストッパにより前記パレットをスリップさせて停止可能なローラを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明のパレット搬送装置によれば、パレットの載せ換え用のリフタ装置などが不要なため、構成が簡単でコストが掛からず、設置スペースも取らず、効率良く設置できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明のパレット搬送装置の第一実施形態について、図1〜図4を基にして説明する。この実施形態のパレット搬送装置10は、機械部品などの被搬送物であるワーク12が載置されたパレット14を次工程に搬送し、空のパレット14をワーク12載置位置まで戻すための搬送装置である。このパレット搬送装置10は、図1に示すように、ワーク12を搬送する搬送用コンベア16と、空のパレット14を戻す戻り用コンベア18により構成されている。
【0013】
搬送用コンベア16は、長手方向両端にコンベア用ギア22が各々設けられ、両端のコンベア用ギア22にエンドレスの環状部材である搬送用ベルト20が掛けられている。搬送用ベルト20は、その裏側に一定ピッチの凹凸部20aが形成され、コンベア用ギア22の歯と噛合可能に形成されている。さらに、コンベア用ギア22は、搬送用コンベア16の両端部に各々1対ずつ所定間隔を空けて設けられ、2本の搬送用ベルト20が互いに平行に所定間隔を空けて、各コンベア用ギア22間に架け渡されている。搬送用コンベア16の両端部の各一対のコンベア用ギア22間には、同軸かつ一体に回転可能にコンベア用ギア22に挟まれた状態で、パレット移送ギア24が各々設けられている。
【0014】
さらに、搬送用コンベア16の両端部の外側には、図3,図4に示すように、コンベア用ギア22の略半周を覆う状態に、略コの字状に形成されたガイド部材26が各々取り付けられている。ガイド部材26は、搬送用コンベア16の両端の二対のコンベア用ギア22に対応して両端に一対ずつ設けられ、コンベア用ギア22と対面する内周面は円弧状に形成されている。また、ガイド部材26は、各々上下方向に分割可能に形成され、コンベア用ギア22の回転軸と平行な軸であってコンベア用ギア22の外側に位置した図示しない軸を中心として、揺動して開閉可能に連結されているとともに、図示しない弾性体により閉じ方向に付勢されている。
【0015】
搬送用コンベア16の平行な2本の搬送用ベルト20上には、複数のパレット14が適宜一列に載置されている。パレット14は、例えば、柔軟な樹脂などから成り、屈曲可能に形成されている。また、パレット14の上面には、ワーク12を保持する保持部28が設けられている。この保持部28は、図2に示すように、載置するワーク12に合わせて、例えばV字状の受け部を備え、ワーク12を保持可能な形状に形成されている。さらに、パレット14の底面は、パレット移送ギア24と噛み合う凹凸部14aが形成されている。また、搬送用コンベア16上でのパレット14は、後述するストッパ30a等により、2本の搬送用ベルト20上でスリップ可能に載置されている。
【0016】
搬送用コンベア16の下流端側のワーク取り出し位置付近では、パレット14の長手方向の長さより僅かに長い間隔をコンベア端から開けて、突没可能に形成されたストッパ30aが設けられ、ワーク取り出し位置端部にはストッパ30bが設けられている。そして、ストッパ30bを挟んで両側近傍には、パレット14を検出可能にセンサ32a,32bが各々取り付けられている。一方、搬送用コンベア16の上流側端部のワーク載置位置近傍には、突没可能に形成されたストッパ30cが設けられ、搬送用コンベア16のストッパ30cの上流側近傍にもパレット14用のセンサ32cが取り付けられている。さらに、搬送用コンベア16には、パレット14が満杯になったことを検知するセンサ32dが、ストッパ30cの下流側に配置されている。
【0017】
搬送用コンベア16を構成する一方の端部のワーク載置位置のコンベア用ギア22には、これと同軸に駆動部連結ギア35が設けられ、搬送用コンベア16を駆動する駆動用モータ34とタイミングベルト36やチェーン等で連結されている。また、他方の端部のワーク取り出し位置のコンベア用ギア22には、同軸に駆動伝達ギア37が設けられている。駆動伝達ギア37は、連結ギア38に噛合し、連結ギア38は回転方向を転向して、戻り用コンベア18の一方のプーリ40に同軸に設けられた図示しない駆動ギアに駆動力を伝達可能設けられている。
【0018】
戻り用コンベア18の両端には、各々一対のプーリ40が設けられ、エンドレスの環状部材である戻り用ベルト42が各々所定間隔を空けて、保持部材28が間に位置可能に掛け渡されて、搬送用コンベア16の真下で平行な位置に配置されている。そして、駆動用モータ34付近に位置する戻り用コンベア18の端部には、パレット14の長手方向の長さより僅かに長い間隔を開けて突没可能に形成されたストッパ31aが設けられ、パレット14の送り出し端部には、ストッパ31bが設けられている。そして、ストッパ31bを挟んで両側近傍には、パレット14を検出するセンサ33a,33bが各々取り付けられている。また、戻り用コンベア18の上流側には、戻り用コンベア18上のパレット14の満杯状態を検知するセンサ33cが取り付けられている。
【0019】
次に、この実施形態のパレット搬送装置10の動作について説明する。図1に示すように、パレット14は、搬送用コンベア16により搬送用ベルト20上に載せられて、搬送用ベルト20とともに移動する。ここでの動作は、一般的なパレットの送り動作と同様である。
【0020】
まず、搬送用コンベア16のワーク取り出し位置の、図示しないワーク確認センサによりワーク12を検知した後、ワーク12が取り出されてパレット14上に無いことを検知すると、まずストッパ30aを突出させ、これに連動してストッパ30bを退避位置に戻す。すると、搬送用ベルト20上でスリップしていた先端側の1枚のパレット14が搬送用ベルト20とともに送り出され、ガイド部材26にガイドされて、搬送用コンベア16から戻り用コンベア18上へ送られる。この間に、パレット確認用のセンサ32aがオン状態からパレット14の通過とともにオフし、センサ32bは、さらに、パレット14の先頭を検知してオンし、パレット14の通過後にオフする。
【0021】
パレット14の通過をセンサ32bが検知すると、ストッパ30bが突出し、ストッパ30aが退避する。そして、搬送用ベルト20上でストッパ30aにより係止されスリップしていたパレット14が、搬送用ベルト20とともに送られ、ストッパ30bに係止される。これにより、先頭のパレット14は、センサ32aに検知され、図示しないワーク確認センサによりワークを検知すると、ワーク12がり出される。また、戻り用コンベア18上で、パレット14が満杯になった場合、センサ33cがオンして上記の動作は待機状態となり、センサ33cがオフになった後、上述の動作を繰り返す。
【0022】
ここで、搬送用コンベア16の下流側端部にパレット14が位置すると、図2、図4に示すように、パレット14の底面の凹凸部14aが搬送用コンベア16の下流側のパレット移送ギア24と噛合し、パレット移送ギア24に沿って、ガイド部材26との隙間へ引き込まれる。このとき、図4に示すように、パレット14の端部の凹凸部14aの凸部が、パレット移送ギア24の歯車の山とぶつかると、分割されたガイド部材26の一方が僅かに持ち上げられる。しかし、ガイド部材26は図示しない弾性体により元に戻る方向へ付勢されており、パレット14の移動とともに凹凸部14aとパレット移送ギア24の歯とが自然に噛み合い、フレキシブルなパレット14は、パレット移送ギア24の回転とともにガイド部材26に沿って下方へ移動し排出される。排出されたパレット14は、搬送用コンベア16の下方に配置された戻り用コンベア18に載せられ、図1に示すように、戻り用コンベア18に移ったパレット14は、順次、戻り用コンベア18の戻り用ベルト42により下流側へ運ばれる。
【0023】
また、搬送用コンベア16の上流側端部のワーク載置位置近傍では、図示しないワーク確認センサにより、パレット14上にワーク12が載置されたことを検知すると、パレット14が満杯になったことを検知するセンサ32dがオフの状態で、ストッパ30cを退避させ、搬送用ベルト20上でスリップしていたパレット14が搬送用ベルト20とともに送り出される。そして、パレット14の移動により、搬送用コンベア16上で、パレット14が満杯になったことを検知するセンサ32dがオンしてオフになった後、ストッパ30cを突出させる。これに連動してストッパ31aを突出させ、ストッパ31bを退避させる。これにより、戻り用コンベア18上の先端でスリップしていたパレット14が送り出され、ガイド部材26にガイドされて、搬送用コンベア16上に送られる。パレット14の通過とともにセンサ33bがオンしてオフすると、ストッパ31bを突出させ、ストッパ31aを退避させる。さらに、センサ33aがパレット14を検知した後、センサ32dがオフの状態で、上述の動作を繰り返す。
【0024】
この実施形態のパレット搬送装置10によれば、搬送用コンベア16上を、パレット14が、リフタ装置などによりパレット14の載せ換えを行うことなく循環可能であるため、構成が簡単で設備コストが掛からず、設置する際も、スペース効率良く設置できるものである。なお、パレット14の底面に形成された凹凸部14aは、係合するパレット移送ギア24と係合可能に形成されていれば良い。
【0025】
次に、この発明の第二実施形態について、図5、図6に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のパレット搬送装置50は、搬送用コンベア16の両端に搬送用チェーン44が噛合したコンベア用ギアであるコンベア用スプロケット46が各々設けられている。また、コンベア用スプロケット46と同軸で、2枚のコンベア用スプロケット46に挟まれた状態に、パレット移送部材であるパレット移送スプロケット48が形成されている。さらに、コンベア用スプロケット46を覆うようにガイド部材26が各々取り付けられている。そして、搬送用チェーン44には、外側に向かって、搬送用チェーン44の1リンクおきに回動可能に形成された樹脂などから成るローラ52が設けられている。このローラ52上には、複数のパレット54が適宜一列に載置される。
【0026】
パレット54は、例えば矩形の金属板をリンク材により連結されて屈曲可能に形成され、パレット54の底面中央部に、パレット移送スプロケット48と係合可能な凹凸部である係合突起54aが複数設けられている。また、パレット54の上面には、ワーク12を保持するV字状等の受け部を有した保持部28が設けられている。
【0027】
次に、この実施形態の動作について説明する。上記第一実施形態と同様に、搬送用コンベア16上でのパレット54は、搬送用チェーン44に設けられたローラ52上に載せられ、搬送用コンベア16により一方向にパレット54が移動する。そして、パレット54が図示しないストッパにより係止されると、パレット54はローラ52の回転により、搬送用チェーン44による移動に対して搬送用コンベア16端で停止する。そして、ストッパが下降すると、ローラ52上にパレット54が載った状態で、ワーク12が載置されたパレット54は搬送用チェーン44により下流方向へ移動する。この動作を繰り返して、順次パレット54にワーク12が載置されて移動する。
【0028】
また、ワーク12が載置されたパレット54が搬送用コンベア16の下流側の端部近傍に達すると、上記第一実施形態と同様に、図示しないストッパにより係止されたパレット54から、図示しない装置によりワーク12が次工程へ移動される。このとき、ストッパにより係止されたパレット54は、ローラ52の回転により、搬送用チェーン44の移動に対して停止している。続いて、空になったパレット54は、ストッパが下降すると、搬送用チェーン44により搬送用コンベア16の下流側端部へ移動する。搬送用コンベア16の端部にパレット54が位置すると、図5に示すように、パレット54の底面の係合突起54aが下流側端部のパレット移送スプロケット48と噛合し、パレット移送スプロケット48に沿って、ガイド部材26との隙間へ引き込まれる。パレット54は、パレット移送スプロケット48の回転に伴ってガイド部材26に沿って半周し、下方へ移動してガイド部材26から排出される。排出されたパレット54は、搬送用コンベア16の下方に配置された戻り用コンベア18に載せられる。そして、戻り用コンベア18に移ったパレット54は、順次、戻り用コンベア18の下流側へ移動する。戻り用コンベア18の下流側であり搬送用コンベア16の上流側では、図6に示すように、パレット54の底面の係合突起54aが、上流側端部のパレット移送スプロケット48と噛合し、パレット移送スプロケット48に沿って、上流側のガイド部材26との隙間へ引き込まれ、第一実施形態と同様に、再び、搬送用コンベア16上に戻される。
【0029】
この実施形態のパレット搬送装置50によれば、リフタ装置などによりパレット54の載せ換えを必要とせずに、パレット54が搬送用コンベア16上を循環するため、構成が簡単で生産コストが掛からず、設置する際もスペース効率良く設置できるものである。また、搬送用チェーン44により、ベルトの伸びによるピッチの狂いが無く確実に搬送でき、金属製のパレット54によれば耐久性の高いものとすることができる。
【0030】
次に、この発明の第三実施形態について、図7、図8に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態のパレット搬送装置56は、搬送用コンベア16の両端に搬送用チェーン44が噛合したコンベア用ギアであるコンベア用スプロケット46が各々設けられている。また、コンベア用スプロケット46と同軸で、2枚のコンベア用スプロケット46に挟まれた状態に、パレット移送部材であるパレット移送ギア24が設けられている。さらに、コンベア用スプロケット46を覆うようにガイド部材26が各々取り付けられている。そして、搬送用チェーン44には、外側に向かって、搬送用チェーン44の1リンクおきに回動可能に形成された樹脂などから成るローラ52が設けられている。このローラ52上には、第一実施形態と同様の複数のパレット14が適宜一列に載置される。
【0031】
この実施形態の動作は、上記第一実施形態と同様に、搬送用コンベア16上でのパレット14は、搬送用チェーン44に設けられたローラ52上に載せられ、搬送用コンベア16により一方向にパレット14が移動する。そして、パレット14が図示しないストッパにより係止されると、パレット14はローラ52の回転により、搬送用チェーン44による移動に対して搬送用コンベア16端で停止する。そして、ストッパが下降すると、ローラ52上にパレット14が載った状態で、ワーク12が載置されたパレット14は搬送用チェーン44により下流方向へ移動する。この動作を繰り返して、順次パレット54にワーク12が載置されて移動する。
【0032】
この実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、フレキシブルなパレット14を用いることができるとともに、パレット14のスリップは、ローラ52により滑らかであり、搬送用チェー44の故障に際しても、チェーンの駒単位で交換可能であり、メンテナンスコストも安価である。
【0033】
次に、この発明の第四実施形態について、図9〜図11に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は、同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態では、パレット搬送装置の搬送用コンベアに用いるパレットの変形例を示す。この実施形態のパレット64は、上記第一実施形態のフレキシブルなパレットを利用したパレット支持部62に、短冊状の金属板や樹脂板から成り、パレット支持部62の幅よりも長いワーク支持板66を複数平行に固定したものである。各ワーク支持板66は、パレット支持部62に、パレット進行方向と直角方向に平行に並べて固定されている。
【0034】
これにより、固くて長いワーク支持板66により、大きなワークや幅の広いワークを安全に搬送することができる。しかも、図11に示すように、搬送用コンベア端部16の端部では、容易に湾曲して、戻り用コンベアに載せられる。
【0035】
この実施形態によれば、上記実施形態の効果に加えて、大きなワークを載せることができるフレキシブルなパレット64を容易に形成することができる。
【0036】
なお、この発明のパレット搬送装置は上記実施形態に限定されるものではなく、パレット移送部材の形状は歯車やスプロケット、その他係合突起が形成された形状等適宜設定しうるものである。また、パレットに設けられたワークの保持部の形状は、使用するワークに合わせて適宜に設定可能なものである。パレットの大きさ、搬送用コンベア及び戻り用コンベアの大きさは、ワークの大きさに合わせて適宜設定可能なものである。さらに、各部材の形状や素材など適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の第一実施形態のパレット搬送装置を示す概略側面図である。
【図2】この発明の第一実施形態のパレット搬送装置の一端部を示す縦断面図である。
【図3】この発明の第一実施形態のパレット搬送装置の搬送用コンベア上流側端部を示す部分破断側面図である。
【図4】この発明の第一実施形態のパレット搬送装置の搬送用コンベア下流側端部を示す部分破断側面図である。
【図5】この発明の第二実施形態のパレット搬送装置の一端部を示す縦断面図である。
【図6】この発明の第二実施形態のパレット搬送装置の搬送用コンベア上流側端部を示す部分破断側面図である。
【図7】この発明の第三実施形態のパレット搬送装置の一端部を示す縦断面図である。
【図8】この発明の第三実施形態のパレット搬送装置の搬送用コンベア上流側端部を示す部分破断側面図である。
【図9】この発明の第四実施形態のパレット搬送装置に用いるパレットを示す平面図(a)と側面図(b)である。
【図10】この発明の第四実施形態のパレット搬送装置に用いるパレットを示す正面図である。
【図11】この発明の第四実施形態のパレット搬送装置に用いるパレットの使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0038】
10,50,56 パレット搬送装置
12 ワーク
14,54,64 パレット
16 搬送用コンベア
18 戻り用コンベア
20 搬送用ベルト
22 コンベア用ギア
24 パレット移送ギア
26 ガイド部材
30a,30b,30c,31a,31b ストッパ
32a,32b,32c,32d,33a,33b,33c センサ
34 駆動用モータ
44 搬送用チェーン
46 搬送用スプロケット
48 パレット移送スプロケット
52 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物が載せられ屈曲可能なパレットと、一対のコンベア用ギア間に掛け渡され前記パレットを載置して搬送する搬送用環状部材を備えた搬送用コンベアと、前記搬送用コンベアの下方に平行に並設され前記搬送用コンベアの下流側へ送られた前記パレットを前記搬送用コンベアの上流側に戻す戻り用コンベアと、前記一対のコンベア用ギアと各々同軸に一体的に回転可能に設けられ前記パレットを前記搬送用コンベアと前記戻り用コンベアとの間で上下反対側に送る一対のパレット移送部材と、前記搬送用コンベア両端の各コンベア用ギアに沿って各々配置され前記パレット移送部材による前記パレットの前記搬送用コンベアと前記戻り用コンベア間の移送をガイドする一対のガイド部材と、前記パレットを前記搬送用コンベアの所定位置に係止可能に設けられたストッパと、前記搬送コンベアおよび戻り用コンベアを駆動する一または複数の駆動用モータとを備えたことを特徴とするパレット搬送装置。
【請求項2】
前記コンベア用ギアは前記搬送用コンベアの両端に各々2個設けられ、前記パレット移送部材は前記各コンベア用ギアの間に位置し、前記パレットの裏面には前記パレット移送部材に係合する凹凸部が設けられたことを特徴とする請求項1記載のパレット搬送装置。
【請求項3】
前記搬送用環状部材は搬送用ベルトであり、前記パレットを前記搬送用ベルトに載置して搬送するとともに、前記ストッパにより前記パレットをスリップさせて停止可能なことを特徴とする請求項1または2記載のパレット搬送装置。
【請求項4】
前記搬送用環状部材は外側にローラを備えた搬送用チェーンであり、前記コンベア用ギアは前記搬送用チェーンと噛合可能なコンベア用スプロケットであり、前記コンベア用スプロケットの外側には、前記パレットを載置して搬送可能であるとともに前記ストッパにより前記パレットをスリップさせて停止可能なローラを備えたことを特徴とする請求項1または2記載のパレット搬送装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−120564(P2008−120564A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308508(P2006−308508)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(504274882)ダイドー株式会社 (3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(391032370)エヌアイシ・オートテック株式会社 (7)
【Fターム(参考)】