説明

パレット管理システム、パレット管理方法、パレットおよび管理サーバ

【課題】パレット自身が位置を把握して、あるべき位置に存在することを確認可能なパレット管理システムを提供すること。
【解決手段】本発明はネットワーク10を介して管理サーバ410と接続されたパレット300の位置を管理するパレット管理システム1である。パレット300は、所定のタイミングで、パレットIDと位置確認情報とを管理サーバ410へ送信する位置確認部332と、管理サーバ410から確認結果情報を受信するエンドデバイス通信部331と、パレット自身の存在位置が正しくない場合にユーザに警告を通知する情報通知部340とを備える。また、管理サーバ410は、位置管理情報を記憶する管理情報記憶部415と、位置管理情報に基づいてパレット300の存在位置の適否を判断する判断部412と、パレット300の位置確認情報を受信し、判断部412における確認結果情報をパレット300に送信するサーバ送受信部411とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の移送に用いられるパレットを管理するパレット管理システム、パレット管理方法、パレットおよび管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
物流において、部品や完成品の荷物はパレットと呼ばれる荷台に載せられ、パレット単位で保管、構内作業、輸送等される。パレットに載せられた荷物の管理や、資産であるパレット自身の管理を行うため、従来からパレットの所在を把握するためのパレット管理システムが提案されている。
【0003】
例えば、パレットに付されたタグをRFID(Radio Frequency IDentification)リーダにて読み取り、読み取ったタグから取得されたパレットのIDに基づいてパレットの位置を把握するシステムが提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−110137号公報
【特許文献2】特開2000−103503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のシステムでは、パレットに付されたタグを読み取るため、パレットを目視できる状態になければならず、対象パレットが目視できない位置にある場合には、パレットの正確な位置を把握することが困難であった。また、RFIDリーダの特性上、タグとRFIDリーダとを適切に対向させなければタグの読み取りが困難であり、パレットの位置を把握するための情報を取得することができないという問題があった。この場合、出荷指示に応じて円滑に荷物をピッキングすることができなかったり、ピッキングすべき荷物がピッキングされなくても作業者が気付かなかったりする事態が発生する。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、パレット自身が位置を把握して、あるべき位置に存在することを確認することが可能な、新規かつ改良されたパレット管理システム、パレット管理方法およびパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ネットワークを介して管理サーバと接続された、荷物の移送に用いられるパレットの位置を管理するパレット管理システムが提供される。かかるパレット管理システムにおいて、パレットは、所定のタイミングで、パレットを特定するパレットIDと、パレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置確認情報とを管理サーバへ送信する位置確認部と、管理サーバから確認結果情報を受信するパレット受信部と、パレット自身の存在位置が正しくない場合にユーザに対して警告を通知する通知部と、を備える。また、管理サーバは、パレットの位置管理情報を記憶する管理情報記憶部と、パレットの位置確認情報を受信するサーバ受信部と、位置管理情報に基づいて、パレットの存在位置の適否を判断する判断部と、判断部における判断結果としての確認結果情報を、パレットに送信するサーバ送信部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、パレットは所定のタイミングで、パレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置確認情報をパレットIDとともに管理サーバへ送信する。位置管理情報を受信した管理サーバは、パレットの管理場所や搬送日時などのパレットの位置を管理するための位置管理情報に基づいて、パレットの現在の存在位置が正しいか否かを判断し、パレットに確認結果情報を送信する。そして、パレットは受信した確認結果に基づいてユーザに対して警告を通知する。このように、パレット自身が自律的にパレット自身の存在位置が適切か否かを確認し、存在位置に誤りがある場合にはパレット自身がユーザに対して警報を通知することができる。
【0009】
ここで、パレットの位置確認部は、パレットが搬送装置に保持されるタイミングで位置確認情報を管理サーバに対して送信してもよい。また、パレットの位置確認部は、予め設定された所定のタイミングで位置確認情報を管理サーバに対して送信することもできる。このとき、パレットは、自身の存在位置を確認する起動タイミングを記憶する記憶部をさらに備えてもよい。この場合、パレットの位置確認部は、起動タイミングで位置確認情報を管理サーバに対して送信するようにすることができる。
【0010】
また、管理サーバは、パレットが予め設定された所定のタイミングで起動したか否かを確認する起動確認部をさらに備えることもできる。このとき、起動確認部は、管理情報記憶部に記憶された位置管理情報に基づいて把握される起動すべきパレットから管理サーバへの接続がない場合、外部の通知装置からユーザに対して警報を通知する。
【0011】
管理サーバの判断部は、パレットの存在位置が正しくないと判断した場合にのみ、判断結果である位置確認情報をサーバ送信部から前記パレットに送信するようにしてもよい。これにより、パレットにおける情報処理の量を軽減することができる。
【0012】
また、パレットと管理サーバとは、1または2以上の管理エリアそれぞれ設けられたコーディネータを介して接続することもできる。このとき、管理サーバの判断部は、パレットから送信されたパレットIDおよび位置管理情報が管理サーバによって受信されるまでの送信経路に基づいてパレットの位置を特定し、パレットの存在位置が正しいか否かを判断するようにしてもよい。
【0013】
また、パレットの位置確認部は、複数のコーディネータを介して管理サーバへ位置確認情報を送信することが可能である場合、最もネットワーク品質のよい管理エリアのコーディネータを介して送信するようにしてもよい。パレットが感知するネットワークのネットワーク品質がよい場合、パレットはそのネットワーク内に存在する可能性が高い。このようにして、パレットの存在する管理エリアを特定することができる。
【0014】
さらにパレットは、位置確認部を駆動するための電源部と、所定のタイミングで電源部のバッテリー容量を確認する容量確認部と、を備えることができる。ここで、パレットは、電源部のバッテリー容量が所定の値以下である場合に、通知部から警告を通知するようにしてもよい。これにより、パレットのバッテリーがなくなって管理サーバとの通信ができなくなることを防止することができる。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ネットワークを介して管理サーバと接続された、荷物の移送に用いられるパレットの位置を管理するパレット管理方法が提供される。かかるパレット管理方法は、パレットから、所定のタイミングで、パレットを特定するパレットIDと、パレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置管理情報とを管理サーバへ送信する位置確認ステップと、管理サーバにより、位置確認情報に基づいて、パレットの存在位置の適否を判断する判断ステップと、判断部における判断結果としての確認結果情報を、管理サーバからパレットに送信するサーバ送信ステップと、管理サーバから確認結果情報を受信するパレット受信ステップと、パレット自身の存在位置が正しくない場合にパレットがユーザに対して警告を通知する通知ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ネットワークを介して管理サーバと接続された、荷物の移送に用いられるパレットが提供される。かかるパレットは、所定のタイミングで、パレットを特定するパレットIDと、パレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置管理情報とを管理サーバへ送信する位置確認部と、管理サーバから確認結果情報を受信するパレット受信部と、パレット自身の存在位置が正しくない場合にユーザに対して警告を通知する通知部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、パレットは所定のタイミングで、パレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置確認情報をパレットIDとともに管理サーバへ送信する。そして、パレットは受信した確認結果に基づいてユーザに対して警告を通知する。このように、パレット自身が自律的にパレット自身の存在位置が適切か否かを確認し、存在位置に誤りがある場合にはパレット自身がユーザに対して警報を通知することができる。
【0018】
ここで、位置確認部は、パレットが搬送装置に保持されるタイミングで位置確認情報を管理サーバに対して送信するようにしてもよい。また、位置確認部は、予め設定された所定のタイミングで位置確認情報を管理サーバに対して送信することもできる。このとき、パレットは、パレット自身の存在位置を確認する起動タイミングを記憶する記憶部をさらに備えることもできる。そして、位置確認部は、起動タイミングで位置確認情報を管理サーバに対して送信するようにしてもよい。
【0019】
また、パレットと管理サーバとは、1または2以上の管理エリアそれぞれ設けられたコーディネータを介して接続することもできる。ここで、位置確認部は、複数のコーディネータを介して管理サーバへ位置確認情報を送信することが可能である場合、最もネットワーク品質のよい管理エリアのコーディネータを介して送信するようにしてもよい。パレットが感知するネットワークのネットワーク品質がよい場合、パレットはそのネットワーク内に存在する可能性が高いことから、最もネットワーク品質のよいネットワークを選択することにより、パレットの存在する管理エリアを特定することができる。
【0020】
さらに、本発明のパレットは、位置確認部を駆動するための電源部と、所定のタイミングで電源部のバッテリー容量を確認する容量確認部と、を備えることもできる。このとき、通知部は、電源部のバッテリー容量が所定の値以下である場合に警告を通知するようにしてもよい。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、荷物の移送に用いられるパレットとネットワークを介して接続された管理サーバが提供される。パレットの位置管理情報を記憶する管理情報記憶部と、パレットの位置確認情報を受信するサーバ受信部と、位置確認情報に基づいて、パレットの存在位置の適否を判断する判断部と、判断部における判断結果としての位置確認情報をパレットに送信するサーバ送信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、パレット自身が位置を把握して、あるべき位置に存在することを確認することが可能なパレット管理システム、パレット管理方法およびパレットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
<パレット管理システムの構成>
まず、図1に基づいて、本発明の実施形態にかかるパレット管理システム1の概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態にかかるパレット管理システム1の概略構成を示す概略説明図である。
【0025】
本実施形態にかかるパレット管理システム1は、物流において荷物とともに輸送されるパレットの位置を管理するシステムである。例えば、工場にて作成された部品等の荷物をパレット単位で搬送車により搬送して、フォークリフトを用いて搬送車から積み降ろす。そして、フォークリフトを用いて荷物を倉庫に搬送して管理し、荷物のピッキング情報に基づいてフォークリフトにより荷物を出荷する状況を考える。本実施形態にかかるパレット300は、搬送車や倉庫等に設置され、所定の管理エリアを管理する各コーディネータ100とルータ200を介して通信するための通信機能を備える。一方、各コーディネータ100は、ネットワーク10を介して荷物のピッキング情報を管理する物流管理システム400と接続されている。
【0026】
次に、図2に基づいて、本実施形態にかかるパレット管理システム1のシステム構成について説明する。なお、図2は、本実施形態にかかるパレット管理システム1の構成を示すブロック図である。
【0027】
本実施形態にかかるパレット管理システム1は、図2に示すように、コーディネータ100と、ルータ200と、パレット300と、物流管理システム400とから構成される。パレット管理システム1は、1または2以上の管理エリア(例えば、図2のPAN1〜3)にそれぞれ設けられたコーディネータ100と物流管理システム400とがネットワーク10を介して接続されている。また、管理エリア内にはコーディネータ100およびパレット300と通信可能な、1または2以上のルータ200が配置されている。したがって、パレット300は、ルータ200、コーディネータ100を介して物流管理システム400と接続可能することができる。
【0028】
コーディネータ100は、所定の管理エリアに存在するパレット300と物流管理システム400との情報のやり取りを仲介するための機能部であって、コーディネータ通信部110と、コーディネータ制御部120と、送受信部130と、コーディネータ情報記憶部140と、から構成される。
【0029】
コーディネータ通信部110は、各コーディネータ100により管理される所定の管理エリアに配置された1または2以上のルータ200と通信する通信部である。コーディネータ制御部120は、コーディネータ100からルータ200または物流管理システム400へ情報を送信する際に情報の形式を適切に変換する。また、コーディネータ制御部120は、ルータ200から受信した情報および物流管理システム400から受信した情報を、後述するコーディネータ情報記憶部140に記憶・更新する機能部である。送受信部130は、物流管理システム400と情報の送受信を行う機能部である。
【0030】
コーディネータ情報記憶部140は、コーディネータ100がルータ200から受信した情報および物流管理システム400から受信した情報を記憶する記憶部であって、例えば、RAMやハードディスク等のメモリを含んで構成される。図4に、コーディネータ情報記憶部140に記憶される情報の一例を示す。図4に示すように、コーディネータ情報記憶部140には、後述する各パレット300に備えられたエンドデバイスを一意に特定するエンドデバイスID1401と、エンドデバイスからの情報を受信したエリアを示す受信ネットワークID1402と、エンドデバイスからの情報を受信したコーディネータ100を示す受信コーディネータID1403と、エンドデバイスからの情報を受信したルータを示す受信ルータID1404と、フォークリフトによりピッキングすべきパレット300であるか否かを判定するための判定区分を示すピッキング判定1405と、ピッキング先のエリアを示すピッキング先ネットワークID1406と、エンドデバイスのエリア内における通信接続の成否を示す接続成否情報1407と、が記憶される。
【0031】
また、コーディネータ情報記憶部140には、パレット300から作業者へ警報を通知する必要性を示す警報可否情報1408と、パレット300に備えられた警報手段を示す警報種類情報1409と、パレット300に実装されているバッテリー容量1410と、バッテリーの充電を必要とするバッテリー残量を示すバッテリー容量閾値1411と、物流システム400からの情報をエンドデバイスへ送信する際の送信先エリアを示す送信ネットワークID1412と、送信先エリアにおいて使用するコーディネータを示す送信先コーディネータID1413と、送信先エリアにおいて使用するルータを示す送信先ルータID1414と、が記憶される。
【0032】
さらに、コーディネータ情報記憶部140には、エンドデバイス起動時に接続すべきエリアへの接続リトライ時間を示す第1タイマー監視時間1415と、物流システム400側においてエンドデバイスからの情報受信待機時間を示す第2タイマー監視時間1416と、エンドデバイスを起動させる時間である起動タイマー値1417と、エリアの電波を受信できるか否かを再確認する回数を示すネットワーク受信確認設定回数1418と、エンドデバイス通電中の確認やエンドデバイスの電源を切る等の指示が記載される備考1419と、が記憶される。
【0033】
ルータ200は、所定のエリアに存在するパレット300からの情報をコーディネータ100に送信し、コーディネータ100からの情報をパレット300へ送信するという、情報のやり取りを仲介するための機能部であって、ルータ通信部210と、ルータ制御部220と、ルータ情報記憶部230と、から構成される。
【0034】
ルータ通信部210は、パレット300からの情報をコーディネータ100に送信し、コーディネータ100からの情報をパレット300へ送信する通信部である。ルータ制御部220は、ルータ200からコーディネータ100またはパレット300へ情報を送信する際に情報の形式を適切に変換する。また、ルータ制御部220は、コーディネータ100から受信した情報およびパレット300から受信した情報を、後述するルータ情報記憶部230に記憶・更新する機能部である。
【0035】
ルータ情報記憶部230は、ルータ200がコーディネータ100から受信した情報およびパレット300から受信した情報を記憶する記憶部であって、例えば、RAMやハードディスク等のメモリを含んで構成される。図5に、ルータ情報記憶部230に記憶される情報の一例を示す。図5に示すように、ルータ情報記憶部230には、コーディネータ情報記憶部140と同様、エンドデバイスID2301と、受信ネットワークID2302と、受信コーディネータID2303と、受信ルータID2304と、ピッキング判定2305と、ピッキング先ネットワークID2306と、接続成否情報2307と、警報可否情報2308と、警報種類情報2309と、バッテリー容量2310と、バッテリー容量閾値2311と、送信ネットワークID2312と、送信先コーディネータID2313と、送信先ルータID2314と、第1タイマー監視時間2315と、第2タイマー監視時間2316と、起動タイマー値2317と、ネットワーク受信確認設定回数2318と、エンドデバイス部330通電中の確認やエンドデバイス部330の電源を切る等の指示が記載される備考2319と、が記憶される。
【0036】
パレット300は、荷物を載せる荷台であって、例えばフォークリフトのフォーク部を差し込むことの可能な差込部を備える板状部材である。本実施形態にかかるパレット300は、例えば、リードスイッチ310と、電源部320と、エンドデバイス部330と、情報通知部340とを備える。リードスイッチ310は、フォークリフトの磁気にて通電可能なスイッチである。例えば、図3に示すように、フォークリフト600のフォーク部610に、S極612aおよびN極612bの磁極を設ける。そして、フォークリフト600のフォーク部610をパレット300の差込部302に差し込むことにより、リードスイッチ310が通電し、スイッチをオンとすることができる。電源部320は、エンドデバイス部330に電力を供給するために設けられる。
【0037】
エンドデバイス部330は、ルータ200、コーディネータ100、ネットワーク10を介して物流管理システム400と通信するための機能部であって、エンドデバイス通信部331と、位置情報確認部332と、容量確認部333と、エンドデバイス情報記憶部334と、を備える。エンドデバイス通信部331は、パレット自身の情報をルータ200に送信し、ルータ200からの情報を受信する通信部である。位置情報確認部332は、パレット自身の位置を確認する機能部である。位置情報確認部332は、所定のタイミングでパレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置確認情報をエンドデバイス通信部331からルータ200へ送信する。また、物流管理システム400から送信された確認結果情報に基づいて、情報通知部340に対して通知指示を行う。
【0038】
容量確認部333は、電源部320のバッテリー容量を確認する機能部である。容量確認部333は、電源部320のバッテリー容量が所定の値よりも少ない場合に、情報通知部340に対して通知指示を行う。エンドデバイス情報記憶部334は、例えば物流管理システム400から受信した位置管理情報を記憶する記憶部であって、例えば、RAMやハードディスク等のメモリを含んで構成される。図6に、エンドデバイス情報記憶部334に記憶される情報の一例を示す。図6に示すように、エンドデバイス情報記憶部334には、例えば、エンドデバイスID3341と、バッテリー容量3342と、バッテリー容量閾値3343と、ピッキング先ネットワークID3344と、第1タイマー監視時間3345と、第2タイマー監視時間33346と、起動タイマー値3347と、警報種類3348と、警報可否3349と、ネットワーク受信確認設定回数3350と、が記憶される。
【0039】
情報通知部340は、位置情報確認部332または容量確認部333からの通知指示を受けて、通知情報をユーザへ通知する通知部である。情報通知部340として、例えばスピーカや、LED等を用いることができる。
【0040】
物流管理システム400は、荷物の出荷・在庫状況を管理するシステムである。物流管理システム400は、例えば、荷物およびパレットの位置情報を管理する管理サーバ410と、ユーザへ通知情報を通知するための通知部420とを備える。
【0041】
管理サーバ410は、サーバ送受信部411と、判断部412と、起動確認部413と、履歴記憶部414と、管理情報記憶部415と、を備える。サーバ送受信部411は、ネットワーク10を介して接続された管理エリアに設けられたコーディネータ100から位置確認情報を受信し、またコーディネータ100へ確認結果情報を送信する機能部である。判断部412は、コーディネータ100から受信した位置確認情報および後述する管理情報記憶部414に記憶された位置管理情報に基づいて、パレット300が正しい位置に存在するか否かを判断する機能部である。判断部412は、判断結果である確認結果情報を、サーバ送受信部411およびネットワーク10を介してコーディネータ100へ送信する。
【0042】
起動確認部413は、パレット300が予め設定された所定のタイミングで起動したか否かを確認する機能部である。起動確認部413は、管理情報記憶部414に記憶されたパレット300の位置管理情報に基づいて把握される起動すべきパレット300から管理サーバ410への接続がない場合に、通知部420に対してユーザに警報を通知するよう指示する。なお、通知部420としては、例えばスピーカや警告灯、LED、ディスプレイなどの表示部等を用いることができる。
【0043】
履歴記憶部414は、パレット300から受信した位置確認情報を記憶する記憶部であって、例えば、RAMやハードディスク等のメモリを含んで構成される。図7に、履歴記憶部414に記憶される情報の一例を示す。図7に示すように、履歴記憶部414には、位置確認情報の登録日時4101と、エンドデバイスID4102と、受信ネットワークID4103と、受信コーディネータID4104と、受信ルータ4105と、ピッキング判定情報4106と、ピッキング先ネットワークID4107と、接続成否情報4108と、警報可否情報4109と、警報種類4110と、バッテリー容量4111と、バッテリー容量閾値4112と、送信ネットワークID4113と、送信コーディネータ4114と、送信ルータID4115と、第1タイマー監視時間4116と、第2タイマー監視時間4117と、起動タイマー値4118と、ネットワーク受信確認設定回数4119と、エンドデバイス部330通電中の確認やエンドデバイス部330の電源を切る等の指示が記載される備考4120とが記憶される。
【0044】
管理情報記憶部415は、パレット300の位置管理情報を記憶する記憶部であって、例えば、RAMやハードディスク等のメモリを含んで構成される。管理情報記憶部415には、パレット300の搬送先や搬送日時等のピッキング情報等が記憶される。
【0045】
以上、本実施形態にかかるパレット管理システム1の構成について説明した。かかるパレット管理システム1は、パレット自身が所定のタイミングでパレット300の存在位置が正しいか否かを確認することを特徴とする。以下に、本実施形態にかかるパレット管理システム1におけるパレット300の位置確認処理について説明する。
【0046】
<パレット位置確認処理>
まず、図8A〜図11に基づいて、本実施形態にかかるパレット300の位置確認処理について説明する。なお、図8A〜図11は、本実施形態にかかるパレット管理システム1におけるパレット300の位置確認処理を示すタイムチャートである。
【0047】
図8Aに示すように、フォークリフト600のフォーク部610を、パレット300の差込部302に差し込む(S101)。これにより、フォークリフト600の磁極とパレット300のリードスイッチ310とが接触してリードスイッチ310がオンになる。そして、電源部320からエンドデバイス部330に電力供給され、エンドデバイス部330の電源がオンとなる(S102)。このようにして、パレット300のエンドデバイス部330が起動する。
【0048】
次いで、エンドデバイス部330が起動すると、容量確認部333は、パレット300のエンドデバイス部330を駆動するための電力を供給する電源部320のバッテリー容量を確認する(S103)。このとき、容量確認部333は、エンドデバイス情報記憶部334のバッテリー容量3342に、現在のバッテリー容量を記憶する。そして、エンドデバイス情報記憶部334に記憶されたバッテリー容量閾値と現在のバッテリー容量とを比較して、現在のバッテリー容量がバッテリー容量閾値よりも少ない場合、例えばスピーカ等の情報通知部340から警報を発生し、バッテリー容量が少ないことをユーザに通知する(S104)。
【0049】
一方、現在のバッテリー容量がバッテリー容量閾値以上である場合には、パレット300のエンドデバイス部330は、管理エリアに形成されたネットワークの電波を受信する(S105)。このとき、エンドデバイス部330は最もネットワーク品質のよいネットワークを接続先として選択する(S106)。ネットワーク品質の良さは、例えばエンドデバイス部330が受信したネットワークの電波の感度によって判断される。これにより、エンドデバイス部330が複数の電波を受信した場合にも、接続先のネットワークを一意に決定することができる。
【0050】
一方、電波を受信できず、ネットワークが見つからない場合には、図11に示す接続確認処理(ステップS147〜S157)を行う。この場合、図11に示すように、まず、エンドデバイス部330は、パレット300の搬送先が、ネットワーク電波を受信可能な管理エリアであるか否かを確認する(S147)。エンドデバイス部330は、エンドデバイス情報記憶部334に記憶されているピッキング先ネットワークID3344を参照して、パレット自身が存在すべき位置を確認する。ピッキング先ネットワークID3344にネットワークIDが記憶されていない場合には、パレット300は、ネットワーク電波を受信できない場所に存在してよい。この場合、パレット300は、エンドデバイス部330の電源をオフにして処理を終了する(S149)。
【0051】
一方、ピッキング先ネットワークID3344にネットワークIDが記憶されている場合には、パレット300はネットワーク電波を受信可能な管理エリアに存在すべきである。したがって、エンドデバイス部330は、ネットワーク電波の受信を試みる(S150)。このとき、エンドデバイス部330は、ネットワーク電波の受信を試みた確認回数をカウントする(S151)。そして、エンドデバイス部330によりネットワーク電波を受信できたか否かを確認し(S152)、エンドデバイス部330がネットワーク電波を受信できた場合には、図8AのステップS106以降の処理を行う。
【0052】
ネットワーク電波を受信できない場合には、エンドデバイス部330は、ネットワーク電波の受信を試みた確認回数とエンドデバイス情報記憶部334に記憶されたネットワーク受信確認設定回数3350の回数とを比較する(S153)。確認回数が設定回数以下である場合には、ステップS150からの処理を再度行う。一方、確認回数が設定回数よりも大きい場合、すなわち所定の時間内にネットワーク電波を受信できなかった場合には、スピーカなどの情報通知部340からネットワーク電波を受信できないことを警報により通知する(S154)。その後、さらにネットワーク電波の受信を試みる(S155)。このとき、エンドデバイス部330によりネットワーク電波を受信できたか否かを確認し(S156)、ネットワーク電波を受信できた場合には、警報を停止して(S157)、図8AのステップS105からの処理を行う。一方、ネットワーク電波を受信できなかった場合には、接続確認処理(ステップS147〜S157)を再度行う。
【0053】
図8Aに示すステップS106の処理において、接続先のネットワークを1つ選択すると、選択したネットワークへ本パレット300を一意に特定するエンドデバイスIDを送信する(S107)。例えば、エンドデバイス部330が、図8Aに示す第1のネットワークPAN1を選択したとする。エンドデバイス部330のエンドデバイス通信部331から送信されたエンドデバイスIDは、接続先ネットワークである倉庫内に配置されたルータ200およびコーディネータ100を介して、物流管理システム400に送信される。このとき、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100は、エンドデバイス部330から受信したエンドデバイスIDと、第1のネットワークPAN1のネットワークIDとを含む位置確認情報(本実施形態ではエンドデバイス情報記憶部334に記憶されたすべての情報)を物流管理システム400へ送信する(S108)。
【0054】
なお、パレット300のエンドデバイス部330は、パレット300が初めて1または2以上の管理エリアに入った場合に、位置確認情報としてエンドデバイス情報記憶部334に記憶されたすべての情報を物流管理システム400へ送信するようにしてもよい。一方、パレット300が再度管理エリアに入ったとき、すなわち履歴記憶部414に記憶された情報を更新する場合には、すべての情報を更新する必要はなく、必要に応じて情報を更新すればよい。例えば、警報種類4110やネットワーク受信確認設定回数4119などは更新しなくてもよい。
【0055】
一方、エンドデバイス部330は、エンドデバイスIDが送信できたか否かを確認する(S108)。エンドデバイスIDを送信できなかった場合には、図11に示す接続確認処理(ステップS147〜S157)を行う。一方、エンドデバイスIDの送信ができた場合には、図8Bに示す、第1タイマー監視時間内に接続先ネットワークからの応答があったか否かを確認する(S111)。これは、管理エリアにおけるネットワークは無線であるため、途中で通信が切断させてしまうこともある。かかる状況を考慮し、ステップS111により、接続確認を行う。第1タイマー監視時間内にネットワークからの応答がない場合には、図8Aに示すステップS105からの処理を行う。一方、第1タイマー監視時間内にネットワークからの応答があった場合、物流管理システム400からの応答があるまで待機する。
【0056】
一方、位置確認情報を受信した物流管理システム400は、図8Aに示すように、受信した位置確認情報を履歴記憶部414に記憶する(S110)。次いで、物流管理システム400は、図8Bに示すように、パレット300のエンドデバイス部330から受信したエンドデバイスIDが、管理情報記憶部415に記憶された位置管理情報にピッキング対象として含まれているか否かを確認する(S112)。エンドデバイスIDが位置管理情報にピッキング対象として含まれている場合、物流管理システム400は、パレット300の搬送先の管理エリアがネットワーク電波を受信可能であるか否かを通知する。これとともに、エンドデバイス部330へのネットワーク接続切断指示およびネットワーク情報の再収集指示を行う(S113)。ステップS113においてパレット300の搬送先の管理エリアがネットワーク電波を受信可能であるか否かを通知することにより、パレット300の搬送されるべき場所を通知することができる。
【0057】
ステップS113において送信された情報および指示は、第1のネットワークPAN1を介してエンドデバイス部330へ送信される(S114)。物流管理システム400からの情報および指示を受信したエンドデバイス部330は、本パレット300の搬送先の管理エリアがネットワーク電波を受信可能であるか否かをエンドデバイス情報記憶部334に記憶する(S115)。そして、ネットワーク接続切断指示により、第1のネットワークPAN1とのネットワーク接続を切断して(S116)、ネットワーク情報の再収集指示により、図8Aに示すステップS105からの処理を行う。
【0058】
また、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100は、図8Bに示すように、エンドデバイス部330への情報送信が成功したか否かを確認する(S117)。例えば、エンドデバイス部330に対して情報や指示が通知されなかった場合には、その旨を物流管理システム400に通知する。また、エンドデバイスへの情報送信が成功した場合には、物流管理システム400に送信成功情報を通知する(S118)。そして、物流管理システム第1のネットワークPAN1のコーディネータ100から受信した情報に加えて、エンドデバイス部330へ情報を送信したルータ200自身のルータIDを送信ルータIDとして履歴記憶部414に記憶する(S119)。
【0059】
図8BのステップS112に戻り、エンドデバイスIDが位置管理情報にピッキング対象として含まれていない場合、図9に示す状況確認処理(ステップS120〜S137)を行う。状況確認処理は、図9に示すように、まず、物流管理システム400は、パレット300のリードスイッチ310がオンであるか否かを確認する確認指示を、エンドデバイス部330に対して送信する(S120)。物流管理システム400からの確認指示は、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100およびルータ200を介してパレット300のエンドデバイス部330へ送信される(S121)。このとき、コーディネータ100は、確認指示に加えて、コーディネータ自身のコーディネータIDを送信コーディネータIDとしてルータ200へ送信する。そして、ルータ200は、コーディネータ100から受信した情報に加えて、ルータ自身のルータIDを送信ルータIDとしてルータ情報記憶部230に記憶する。
【0060】
第1のネットワークPAN1のコーディネータ100は、無線ネットワークのため途中で通信が切断された場合を考慮して、エンドデバイス部330への情報送信が成功したか否かを確認する(S124)。例えば、エンドデバイス部330に対して情報が通知されなかった場合には、その旨を物流管理システム400に通知する。また、エンドデバイスへの情報送信が成功した場合には、物流管理システム400に送信成功情報を通知する(S125)。そして、物流管理システム400は、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100から受信した情報を履歴記憶部414に記憶する(S126)。
【0061】
一方、物流管理システム400からの情報を受信したエンドデバイス部330は、リードスイッチ310がオンになっているか否かを確認する(S122)。すなわち、パレット300がフォークリフト600に保持されているか否かを確認する。パレット300がフォークリフト600に保持されている場合には、第1のネットワークPAN1とのネットワーク接続を切断し(S123)、図8Aに示すステップS105からの処理を行う。
【0062】
一方、リードスイッチ310がオフになっている場合には、パレット300は搬送中ではなく、どこかに放置されている可能性がある。そこで、まず、パレット300は、パレット自身のエンドデバイスIDと、エンドデバイス情報記憶部334に記憶されているすべての情報を第1のネットワークPAN1のルータ200およびコーディネータ100を介して物流管理システム400へ送信する(S127)。このとき、ルータ200は、エンドデバイス部330からの情報に加えて、送信ルータIDとしてルータ自身のルータIDを、送信ネットワークIDとして第1のネットワークPAN1のネットワークIDを、さらに接続成功情報をコーディネータ100へ送信する。また、コーディネータ100は、ルータ200から受信した情報に加えて、コーディネータ自身のコーディネータIDを送信コーディネータIDとして物流管理システム400へ送信する(S128)。そして、物流管理システム400は、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100から受信した情報を履歴記憶部414に記憶する(S130)。
【0063】
また、エンドデバイス部330は、エンドデバイスIDが送信できたか否かを確認する(S129)。エンドデバイスIDを送信できなかった場合には、図11に示す接続確認処理(ステップS147〜S157)を行う。一方、エンドデバイスIDの送信ができた場合には物流管理システム400からの応答があるまで待機する。
【0064】
次いで、物流管理システム400は、パレット300の存在する位置が正しいか否かを判断する(S131)。ステップS131での判断は、パレット300のエンドデバイス部330から受信した送信ネットワークIDと、管理情報記憶部415に記憶された位置管理情報とを比較することにより行われる。位置管理情報には、パレット300が存在すべき場所および時間が含まれており、存在すべき場所と送信ネットワークIDが示す管理エリアとが一致すれば、パレット300は正しい位置に存在していることになる。ステップS131において、パレット300の存在位置が正しいと判断された場合には、物流管理システム400の判断部412は、履歴記憶部414に記憶されたピッキング判定4106に本パレット300をピッキングしない旨の情報を記憶し、エンドデバイス部330の電源をオフにする電源オフ指示をエンドデバイス部330へ送信する(S132)。
【0065】
物流管理システム400からの電源オフ指示は、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100およびルータ200を介してパレット300のエンドデバイス部330へ送信される(S133)。このとき、コーディネータ100は、電源オフ指示に加えて、コーディネータ自身のコーディネータIDを送信コーディネータIDとしてルータ200へ送信する。そして、ルータ200は、コーディネータ100から受信した情報に加えて、ルータ自身のルータIDを送信ルータIDとしてルータ情報記憶部230に記憶する。電源オフ指示を受信したエンドデバイス部330は、エンドデバイス部自身の電源をオフにする(S134)。
【0066】
また、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100は、無線ネットワークのため途中で通信が切断された場合を考慮して、エンドデバイス部330への情報送信が成功したか否かを確認する(S135)。例えば、エンドデバイス部330に対して情報が通知されなかった場合には、その旨を物流管理システム400に通知する。また、エンドデバイスへの情報送信が成功した場合には、物流管理システム400に送信成功情報を通知する(S136)。そして、物流管理システム400は、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100から受信した情報を履歴記憶部414に記憶する(S137)。
【0067】
図9のステップS131に戻り、ステップS131においてパレット300の存在する位置が正しくないと判断された場合、図10に示す警報通知処理(ステップS138〜146)を行う。警報通知処理では、図10に示すように、まず、物流管理システム400からパレット300に対して存在位置が誤りであること通知する誤り通知情報が送信される(S138)。誤り通知情報は、物流管理システム400からの誤り通知情報は、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100およびルータ200を介してパレット300のエンドデバイス部330へ送信される(S139)。このとき、コーディネータ100は、誤り通知情報に加えて、コーディネータ自身のコーディネータIDを送信コーディネータIDとしてルータ200へ送信する。そして、ルータ200は、コーディネータ100から受信した情報に加えて、ルータ自身のルータIDを送信ルータIDとしてルータ情報記憶部230に記憶する。
【0068】
ここで、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100は、無線ネットワークのため途中で通信が切断された場合を考慮して、エンドデバイス部330への情報送信が成功したか否かを確認する(S141)。例えば、エンドデバイス部330に対して情報が通知されなかった場合には、その旨を物流管理システム400に通知する。また、エンドデバイスへの情報送信が成功した場合には、物流管理システム400に送信成功情報を通知する(S142)。そして、物流管理システム400は、第1のネットワークPAN1のコーディネータ100から受信した情報を履歴記憶部414に記憶する(S143)。
【0069】
ステップS139により誤り通知情報がエンドデバイス部330に送信されると、エンドデバイス部330は、エンドデバイス情報記憶部334に受信情報を反映させる。この際、電源部320のバッテリー容量も確認し、最新のバッテリー容量もエンドデバイス情報記憶部334に反映させる。そして、エンドデバイス部330は、誤り通知情報に基づいて情報通知部340より警報を発する(S140)。ここで、エンドデバイス部330は、エンドデバイス情報記憶部334の警報可否3349に警報を発してよいという情報が記憶されている場合にのみ警報を発する。パレットの情報通知部340は例えばスピーカ等であって、スピーカからの音情報によってユーザに警報を通知することができる。
【0070】
情報通知部340より警報を発生した後、パレット300のエンドデバイス部330は、再度ネットワーク電波の受信を試みる(S144)。そして、ネットワーク電波を受信できたか否かを確認する(S145)。ネットワーク電波を受信することができた場合には、エンドデバイス部330は警報を停止させ(S146)、図8AのステップS105からの処理を行う。一方、ネットワーク電波を受信できなかった場合には、図11に示す接続確認処理(ステップS147〜S157)を再度行う。
【0071】
以上、本実施形態にかかるパレット管理システム1におけるパレット300の位置確認処理について説明した。かかるパレット管理システム1では、パレット300がフォークリフト600に保持されたタイミングで、パレット自身がその存在位置が正しいか否かを確認することを特徴とする。本実施形態にかかるパレット300は、ルータ200およびコーディネータ100を介して物流管理システム400と通信するためのエンドデバイス部330を備え、さらにユーザへ警報を通知する情報通知部340を備えることにより、自律的に状況を確認することができ、ユーザは五感によりパレット300の存在位置が正しいか否かを把握することができる。したがって、ユーザは、フォークリフト600の運転中であっても、搬出する物品のみをみて作業を進めることも可能となる。
【0072】
上記説明において、パレット300は、フォークリフト600に保持されたタイミングでパレット自身がその存在位置が正しいか否かを確認したが、例えば、予め設定された所定のタイミングで存在位置の確認を行うようにすることもできる。以下、本発明の第2の実施形態として、図12に基づいて、存在位置の確認のタイミングをタイマーにより設定された場合のパレット300の位置確認処理について説明する。
【0073】
(第2の実施形態)
<タイマー起動によるパレット位置確認処理>
パレット300の位置確認処理をタイマー起動により開始するとき、パレット300のエンドデバイス部330の起動タイミングは、例えばエンドデバイス情報記憶部334の起動タイマー値3347に基づいて行うことができる。図6に示すように、起動タイマー値3347には、エンドデバイス部330の起動時刻または起動日時を記憶することができる。タイマー起動によるパレット位置確認処理は、図12に示すように、まず、タイマーによりエンドデバイス部330の電源をオンにする(S210)。これにより、エンドデバイス部330が起動する。
【0074】
次いで、エンドデバイス部330が起動すると、容量確認部333は、パレット300のエンドデバイス部330を駆動するための電力を供給する電源部320のバッテリー容量を確認する(S220)。このとき、容量確認部333は、エンドデバイス情報記憶部334のバッテリー容量3342に、現在のバッテリー容量を記憶する。そして、エンドデバイス情報記憶部334に記憶されたバッテリー容量閾値と現在のバッテリー容量とを比較して、現在のバッテリー容量がバッテリー容量閾値よりも少ない場合、例えばスピーカ等の情報通知部340から警報を発生し、バッテリー容量が少ないことをユーザに通知する(S230)。一方、現在のバッテリー容量がバッテリー容量閾値以上である場合には、第1の実施形態と同様に、ネットワークの電波状況を把握する、図8AのステップS138からの処理を行う(S240)。
【0075】
このように、パレット位置確認処理は、タイマーで設定された時間に開始することもできる。これにより、パレット300が搬送されていない状況においても、定期的にパレット自身の位置を確認することが可能となる。
【0076】
また、タイマーによってパレット位置確認処理を開始する場合、タイマーによって規定された時間にパレット300のエンドデバイス部330が起動したか否かを、物流管理システム400側において確認することもできる。図13に、物流管理システム400によるエンドデバイス部330の起動確認処理のフローチャートを示す。
【0077】
図2に示すように、物流管理システム400は、例えば管理サーバ410に、エンドデバイス部330の起動を確認する起動確認部413を備えている。起動確認部413は、図13に示すように、パレット300のエンドデバイス部330からの接続がないことを確認する(S310)。起動確認部413は、例えば、履歴記憶部414からパレット300の起動時刻を起動タイマー値4118から把握する。そして、起動タイマー値4118の起動時刻から、例えば第2タイマー監視時間4117を経過してもエンドデバイス部330から物流管理システム400への接続がないことを確認する。このように、起動時刻から所定の時間を経過してもエンドデバイス部330からの接続がない場合には、接続なしと判断する。
【0078】
ステップS310において、エンドデバイス部330からの接続がないと判断されると、起動確認部413は、履歴記憶部414が記憶するパレット300の位置確認情報の履歴に基づいて、パレット300のエンドデバイス部330がタイマー起動時に接続するネットワークを把握する(S320)。エンドデバイス部330の接続先ネットワークの有無は、履歴記憶部414のピッキング先ネットワークID4107にネットワークIDが記憶されているか否かにより確認できる。
【0079】
その後、エンドデバイス部330は接続先ネットワークが存在するか否かを確認する(S330)。エンドデバイス部330の接続先ネットワークがある場合には、起動確認部413は、警報を発生する(S340)。起動確認部413は、例えば物流管理システム400に設けられた通知部420より、ユーザに対してパレット300からの接続がない旨の警報を通知することができる。一方、エンドデバイス部330の接続先ネットワークがない場合には、その旨を履歴記憶部414に記憶して処理を終了する(S350)。
【0080】
このように、物流管理システム400において、パレット300の位置確認情報の履歴から起動すべきパレット300を特定し、起動すべきパレット300がタイマーにより正しく起動したか否かを確認することができる。
【0081】
以上、本実施形態にかかるパレット管理システム1におけるパレット300の位置確認処理について説明した。かかるパレット管理システム1では、パレット300が起動タイマーにより設定された起動タイミングで、パレット自身がその存在位置が正しいか否かを確認することを特徴とする。本実施形態にかかるパレット300は、ルータ200およびコーディネータ100を介して物流管理システム400と通信するためのエンドデバイス部330を備え、さらにユーザへ警報を通知する情報通知部340を備えることにより、自律的に状況を確認することができ、ユーザは五感によりパレット300の存在位置が正しいか否かを把握することができる。したがって、ユーザは、フォークリフト600の運転中であっても、搬出する物品のみをみて作業を進めることも可能となる。
【0082】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0083】
例えば、上記第1の実施形態において、フォークリフト600はフォーク部610に磁極を備えていたが、本発明はかかる例に限定されず、フォークリフト600にパレット300が保持されたことが感知できればよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるパレット管理システムの概略構成を示す概略説明図である。
【図2】同実施形態にかかるパレット管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】パレットおよびフォークリフトの構成を示す説明図である。
【図4】コーディネータ情報記憶部に記憶される情報の一例を示す説明図である。
【図5】ルータ情報記憶部に記憶される情報の一例を示す説明図である。
【図6】エンドデバイス情報記憶部に記憶される情報の一例を示す説明図である。
【図7】管理情報記憶部に記憶される情報の一例を示す説明図である。
【図8A】同実施形態にかかるパレット管理システムにおけるパレット位置確認処理を示すタイムャートである。
【図8B】同実施形態にかかるパレット管理システムにおけるパレット位置確認処理を示すタイムチャートである。
【図9】同実施形態にかかるパレット管理システムにおける状況確認処理を示すタイムチャートである。
【図10】同実施形態にかかるパレット管理システムにおける警報通知処理を示すタイムチャートである。
【図11】同実施形態にかかるパレット管理システムにおける接続確認処理タイムチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態にかかるパレット管理システムにおけるタイマー起動によるパレット位置確認処理を示すフローチャートである。
【図13】同実施形態にかかるパレット管理システムにおけるエンドデバイス部の起動確認処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 パレット管理システム
100 コーディネータ
200 ルータ
300 パレット
310 リードスイッチ
320 電源部
330 エンドデバイス部
331 エンドデバイス通信部
332 位置情報確認部
333 容量確認部
334 エンドデバイス情報記憶部
340 情報通知部
400 物流管理システム
410 管理サーバ
411 サーバ送受信部
412 判断部
413 起動確認部
414 履歴記憶部
415 管理情報記憶部
420 通知部
600 フォークリフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して管理サーバと接続された、荷物の移送に用いられるパレットの位置を管理するパレット管理システムであって、
前記パレットは、
所定のタイミングで、前記パレットを特定するパレットIDと、パレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置確認情報とを前記管理サーバへ送信する位置確認部と、
前記管理サーバから確認結果情報を受信するパレット受信部と、
パレット自身の存在位置が正しくない場合にユーザに対して警告を通知する通知部と、
を備え、
前記管理サーバは、
前記パレットの位置管理情報を記憶する管理情報記憶部と、
前記パレットの位置確認情報を受信するサーバ受信部と、
前記位置管理情報に基づいて、前記パレットの存在位置の適否を判断する判断部と、
前記判断部における判断結果としての確認結果情報を、前記パレットに送信するサーバ送信部と、
を備えることを特徴とする、パレット管理システム。
【請求項2】
前記パレットの位置確認部は、前記パレットが搬送装置に保持されるタイミングで前記位置確認情報を前記管理サーバに対して送信することを特徴とする、請求項1に記載のパレット管理システム。
【請求項3】
前記パレットの位置確認部は、予め設定された所定のタイミングで前記位置確認情報を前記管理サーバに対して送信することを特徴とする、請求項1に記載のパレット管理システム。
【請求項4】
前記パレットは、パレット自身の存在位置を確認する起動タイミングを記憶する記憶部をさらに備え、
前記パレットの位置確認部は、前記起動タイミングで前記位置確認情報を前記管理サーバに対して送信することを特徴とする、請求項3に記載のパレット管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記パレットが前記予め設定された所定のタイミングで起動したか否かを確認する起動確認部をさらに備え、
前記起動確認部は、前記管理情報記憶部に記憶された前記位置管理情報に基づいて把握される起動すべき前記パレットから該管理サーバへの接続がない場合、外部の通知装置からユーザに対して警報を通知することを特徴とする、請求項3または4に記載のパレット管理システム。
【請求項6】
前記管理サーバの判断部は、前記パレットの存在位置が正しくないと判断した場合にのみ、判断結果である位置確認情報を前記サーバ送信部から前記パレットに送信することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のパレット管理システム。
【請求項7】
前記パレットと前記管理サーバとは、1または2以上の管理エリアそれぞれ設けられたコーディネータを介して接続されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のパレット管理システム。
【請求項8】
前記管理サーバの判断部は、
前記パレットから送信された前記パレットIDおよび前記位置管理情報が前記管理サーバによって受信されるまでの送信経路に基づいて判断することを特徴とする、請求項7に記載のパレット管理システム。
【請求項9】
前記パレットの位置確認部は、複数の前記コーディネータを介して前記管理サーバへ位置確認情報を送信することが可能である場合、最もネットワーク品質のよい管理エリアの前記コーディネータを介して送信することを特徴とする、請求項7または8に記載のパレット管理システム。
【請求項10】
前記パレットは、
前記位置確認部を駆動するための電源部と、
所定のタイミングで前記電源部のバッテリー容量を確認する容量確認部と、
をさらに備え、
前記パレットは、前記電源部のバッテリー容量が所定の値以下である場合に、前記通知部から警告を通知することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のパレット管理システム。
【請求項11】
ネットワークを介して管理サーバと接続された、荷物の移送に用いられるパレットの位置を管理するパレット管理方法であって、
前記パレットから、所定のタイミングで、前記パレットを特定するパレットIDと、前記パレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置管理情報とを前記管理サーバへ送信する位置確認ステップと、
前記管理サーバにより、前記位置確認情報に基づいて、前記パレットの存在位置の適否を判断する判断ステップと、
前記判断部における判断結果としての確認結果情報を、前記管理サーバから前記パレットに送信するサーバ送信ステップと、
前記管理サーバから前記確認結果情報を受信するパレット受信ステップと、
前記パレット自身の存在位置が正しくない場合に前記パレットがユーザに対して警告を通知する通知ステップと、
を含むことを特徴とする、パレット管理方法。
【請求項12】
ネットワークを介して管理サーバと接続された、荷物の移送に用いられるパレットであって、
所定のタイミングで、前記パレットを特定するパレットIDと、パレット自身の存在位置が正しいか否かを確認するための位置管理情報とを前記管理サーバへ送信する位置確認部と、
前記管理サーバから確認結果情報を受信するパレット受信部と、
パレット自身の存在位置が正しくない場合にユーザに対して警告を通知する通知部と、
を備えることを特徴とする、パレット。
【請求項13】
前記位置確認部は、前記パレットが搬送装置に保持されるタイミングで前記位置確認情報を前記管理サーバに対して送信することを特徴とする、請求項12に記載のパレット。
【請求項14】
前記位置確認部は、予め設定された所定のタイミングで前記位置確認情報を前記管理サーバに対して送信することを特徴とする、請求項12に記載のパレット。
【請求項15】
パレット自身の存在位置を確認する起動タイミングを記憶する記憶部をさらに備え、
前記位置確認部は、前記起動タイミングで前記位置確認情報を前記管理サーバに対して送信することを特徴とする、請求項14に記載のパレット。
【請求項16】
前記パレットと前記管理サーバとは、1または2以上の管理エリアそれぞれ設けられたコーディネータを介して接続されていることを特徴とする、請求項12〜15のいずれかに記載のパレット。
【請求項17】
前記位置確認部は、複数の前記コーディネータを介して前記管理サーバへ位置確認情報を送信することが可能である場合、最もネットワーク品質のよい管理エリアの前記コーディネータを介して送信することを特徴とする、請求項16に記載のパレット。
【請求項18】
前記位置確認部を駆動するための電源部と、
所定のタイミングで前記電源部のバッテリー容量を確認する容量確認部と、
をさらに備え、
前記通知部は、前記電源部のバッテリー容量が所定の値以下である場合に警告を通知することを特徴とする、請求項12〜17のいずれかに記載のパレット。
【請求項19】
荷物の移送に用いられるパレットとネットワークを介して接続された管理サーバであって、
前記パレットの位置管理情報を記憶する管理情報記憶部と、
前記パレットの位置確認情報を受信するサーバ受信部と、
前記位置確認情報に基づいて、前記パレットの存在位置の適否を判断する判断部と、
前記判断部における判断結果としての位置確認情報を、前記パレットに送信するサーバ送信部と、
を備えることを特徴とする、管理サーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−73594(P2009−73594A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242097(P2007−242097)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】