説明

パレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法

【課題】搬送物に損傷を与えず、載せ換え作業の前後で搬送物の上下の向きを変化させないパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法を提案する。
【解決手段】搬送物W及び搬送用平パレットP1、P2を一体として又は搬送物Wのみを保持しつつ正立及び上下反転可能な反転部1を備え、反転部1は、正立時に搬送物W及びパレットP1、P2又は搬送物Wのみを載置する載置部11と、正立時に載置部11との間で搬送物W及びパレットP1、P2を一体として又は搬送物Wのみを挟持すると共に上下反転時に搬送物Wを載置し載置部11から離間する第1保持部15と、載置部11の近傍に配置されて上下反転時にパレットP1、P2を側面から保持する第2保持部21と、上下反転時にパレットP1、P2を第2保持部21による保持位置と反転部1の外部との間で搬送する第1搬送部25とを有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物を搬送用平パレットに載せる、搬送物を搬送用平パレットから降ろす、又は搬送物を載せた搬送用平パレットを他のパレットに交換するパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送物を搬送するにあたり、搬送物を載置するための搬送用平パレットが用いられている。搬送元と搬送先とで使用されているパレットのサイズ・材質等の仕様が異なる場合には、搬送元でのパレット(旧パレット)を搬送先でのパレット(新パレット)に交換する必要がある。
ここで、特許文献1には、旧パレットに載置されている搬送物を一時的にプレート上にスライド移動させ、次いで新パレットをプレート下方に移動させた後、搬送物と新パレットとの間からプレートを抜き取ることで、旧パレットを新パレットに交換するパレット交換装置が開示されている。
また、特許文献2には、上下反転できる反転部の内部で旧パレットに載置されている搬送物の上面に新パレットを配置し、反転部を反転させることで搬送物を旧パレット及び新パレットと共に上下反転させ、反転後の搬送物の上面(反転前の下面)から旧パレットを取り除き、新パレットに載置された搬送物を搬出するというパレット交換装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3723819号公報(第10頁、第1図)
【特許文献2】特開平10−147435号公報(第6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1に開示されている装置は、搬送物を旧パレット上からプレート上までスライド移動させているため、例えば、下面に滑りにくい材質が用いられている搬送物では、スライド移動が難しいという問題や搬送物の下面が損傷するという問題等があった。
【0004】
一方、特許文献2に開示されている装置は、搬送物をスライド移動させる工程を有しないため、搬送物の下面に滑りにくい材質が用いられている場合でも、搬送物の下面が損傷することなく新旧パレットを交換することができた。
しかし、特許文献2に開示されている装置は、新パレットを反転前の搬送物上面に配置し、反転後の搬送物は、新パレットに載置された状態で搬出される。すなわち、搬送物は、パレット交換の前後で、上下に反転した状態で搬出されていた。したがって、載置される上下の向きを考慮する必要のある搬送物は、上記装置を使用できないという問題があった。
また、特許文献2に開示されている装置の反転部は、搬送物を反転させるためだけでなく、旧パレットの搬出及び新パレットの搬入のためにも反転する必要があるため、反転の回数が増えてしまい、パレット交換に要する時間が増えてしまうという問題があった。
【0005】
さらに、特許文献1及び2に開示されている装置は、パレット交換のみを行う装置であり、搬送物をパレットに載せる作業及び搬送物をパレットから降ろす作業を行うことは考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、搬送物に損傷を与えることなくパレット載せ換え作業を実施でき、また、載せ換え作業の前後で搬送物の上下の向きを変化させず、さらに、載せ換え作業にかかる時間を短縮できるパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明のパレット載せ換え装置は、搬送物を搬送用平パレットに載せる、搬送物を搬送用平パレットから降ろす、又は搬送物を載せた搬送用平パレットを交換する装置であって、搬送物及び搬送用平パレットを一体として又は搬送物のみを保持しつつ正立及び上下反転可能な反転部を備え、反転部は、正立時に搬送物及び搬送用平パレット又は搬送物のみを載置する載置部と、正立時に搬送物の上面に当接して載置部との間で搬送物及び搬送用平パレットを一体として又は搬送物のみを挟持すると共に上下反転時に搬送物を載置し載置部から離間する第1保持部と、載置部の近傍に配置されて上下反転時に搬送用平パレットを側面から保持する第2保持部と、上下反転時に搬送用平パレットを第2保持部による保持位置と反転部の外部との間で搬送する第1搬送部と、を有するという構成を採用する。
【0008】
このような構成を採用する本発明のパレット載せ換え装置では、まず、搬送物及び搬送用平パレットは載置部と第1保持部とにより上下方向で挟持して保持され、反転部の作動により一体として上下反転する。次に、第2保持部が搬送用平パレットを保持しつつ、第1保持部が載置部から離間することで、第1保持部に載置された搬送物は搬送用平パレットから上下方向で離間する。さらに、反転部及び搬送物が一定の姿勢を維持した状態で、第1搬送部が搬送用平パレットを他のパレットに交換する。最後に、再び搬送物及び搬送用平パレットは載置部と第1保持部とにより上下方向で挟持して保持され、反転部の作動により一体として上下反転することにより、パレットの載せ換えを行う。
【0009】
また、本発明のパレット載せ換え装置における載置部は、正立時に搬送物及び搬送用平パレット又は搬送物のみを載置して水平搬送する第2搬送部であり、反転部における上下反転の中心軸方向は、第2搬送部の搬送方向と同一の方向であるという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明のパレット載せ換え装置では、第2搬送部が搬送物を反転部と反転部の外部との間で搬送する。
【0010】
また、本発明のパレット載せ換え装置における反転部は、第2搬送部の上流側及び下流側に搬送物及び搬送用平パレットが通過する開口部をそれぞれ有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明のパレット載せ換え装置では、搬送物は反転部の正立時に第2搬送部の上流側から下流側まで反転部を通過して移動できる。
【0011】
また、本発明のパレット載せ換え装置における反転部は、搬送物の所定の側面に当接する第3保持部を有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明のパレット載せ換え装置では、反転部の反転動作時に第3保持部が搬送物の上記所定の側面を下方から支持する。
【0012】
また、本発明のパレット載せ換え装置は、反転部に隣接して設置されるパレット搬送部を有し、パレット搬送部は、反転部の上下反転時に第1搬送部との間で搬送用平パレットを水平搬送する第3搬送部と、第3搬送部と第3搬送部の上方の位置との間で搬送用平パレットを昇降させる昇降部とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用する本発明のパレット載せ換え装置では、反転部の上下反転時に搬送用平パレットは第1搬送部、第3搬送部及び昇降部によって第3搬送部の上方の位置から反転部に搬入され、また、反転部から第3搬送部の上方の位置まで搬出される。
【0013】
また、本発明は、搬送物を載せた第1搬送用平パレットを第2搬送用平パレットに交換するパレット載せ換え方法であって、搬送物及び第1搬送用平パレットを上下方向で挟持して保持する保持工程と、搬送物及び第1搬送用平パレットを一体として上下反転させる反転工程と、第1搬送用平パレットを側面から保持しつつ、挟持を解除し搬送物を下降させることで搬送物と第1搬送用平パレットとを離間させる離間工程と、第1搬送用平パレットを保持した位置から搬出した後、第2搬送用平パレットを第1搬送用平パレットを保持した位置と略同一の位置に搬入し保持する交換工程と、搬送物を上昇させ、搬送物及び第2搬送用平パレットを上下方向で挟持して保持する再保持工程と、搬送物及び第2搬送用平パレットを一体として上下反転させる再反転工程とを備えるという方法を採用する。
【0014】
このような方法を採用する本発明では、下面に滑りにくい材質が用いられている搬送物に対してパレット載せ換え作業を実施した場合でも、搬送物を損傷しない。
また、本発明では、載せ換え作業の前後で搬送物の上下の向きが反転しない。
さらに、本発明では、搬送用平パレットの搬出及び搬入のために反転部の上下反転を必要としないため、パレット載せ換え作業に要する時間を短縮できる。
【0015】
また、本発明は、搬送物を搬送用平パレットに載せるパレット載せ換え方法であって、搬送物を上下方向で挟持して保持する保持工程と、搬送物を上下反転させる反転工程と、挟持を解除し搬送物を下降させる下降工程と、搬送用平パレットを搬送物を挟持して保持した位置と略同一の位置に搬入し保持するパレット搬入工程と、搬送物を上昇させ、搬送物及び搬送用平パレットを上下方向で挟持して保持する再保持工程と、搬送物及び搬送用平パレットを一体として上下反転させる再反転工程とを備えるという方法を採用する。
【0016】
このような方法を採用する本発明では、下面に滑りにくい材質が用いられている搬送物に対してパレット載せ換え作業を実施した場合でも、搬送物を損傷しない。
また、本発明では、載せ換え作業の前後で搬送物の上下の向きが反転しない。
さらに、本発明では、搬送用平パレットの搬入のために反転部の上下反転を必要としないため、パレット載せ換え作業に要する時間を短縮できる。
【0017】
また、本発明は、搬送物を搬送用平パレットから降ろすパレット載せ換え方法であって、搬送物及び搬送用平パレットを上下方向で挟持して保持する保持工程と、搬送物及び搬送用平パレットを一体として上下反転させる反転工程と、搬送用平パレットを側面から保持しつつ、挟持を解除し搬送物を下降させることで搬送物と搬送用平パレットとを離間させる離間工程と、搬送用平パレットを保持した位置から搬出するパレット搬出工程と、搬送物を上昇させ、搬送物を上下方向で挟持して保持する再保持工程と、搬送物を上下反転させる再反転工程とを備えるという方法を採用する。
【0018】
このような方法を採用する本発明では、下面に滑りにくい材質が用いられている搬送物に対してパレット載せ換え作業を実施した場合でも、搬送物を損傷しない。
また、本発明では、載せ換え作業の前後で搬送物の上下の向きが反転しない。
さらに、本発明では、搬送用平パレットの搬出のために反転部の上下反転を必要としないため、パレット載せ換え作業に要する時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
本発明によれば、搬送物に損傷を与えることなくパレット載せ換え作業を実施できるという効果がある。
また、本発明によれば、載せ換え作業の前後で搬送物の上下の向きが反転することなく載せ換え作業を実施できるという効果がある。
さらに、本発明によれば、搬送用平パレットの搬出及び搬入のためにも反転部の上下反転が必要であった従来の装置に比べ、パレット載せ換え作業に要する時間を短縮できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
本発明のパレット載せ換え装置の構成を、図1に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第1の実施形態における構成及び搬入工程を示す概略図である。なお、(a)は、パレット載せ換え装置の正面図、(b)は、(a)のA−A線視断面図である。
以下、後述する搬送物Wの搬送方向をX方向とし、水平方向に沿った、X方向と直交する方向をY方向とし、X−Y面と直交する方向をZ方向として説明する場合がある。また、構成の説明においては、特に記載のない限り、後述する反転部1が正立する位置(正立位置)にある状態を説明する。
【0021】
本実施形態におけるパレット載せ換え装置T1は、自動倉庫において搬送物Wを載置する旧パレット(第1搬送用平パレット)P1を新パレット(第2搬送用平パレット)P2に交換するために用いられる。搬送物Wは略立方体状を呈している。旧パレットP1及び新パレットP2は、それぞれフォーク挿入用孔部を有している。
なお、後述する、パレット載せ換え装置T1に用いられる複数のコンベア装置は、全てコンベア駆動のための図示しない駆動装置を有している。
【0022】
図1(a)に示すように、パレット載せ換え装置T1は、搬送物Wを旧パレットP1から新パレットP2に載せ換える載せ換え部Dと、搬送物Wを載せ換え部Dへ搬入する上流コンベア部5と、搬送物Wを載せ換え部Dから搬出する下流コンベア部6と、旧パレットP1を載せ換え部Dから搬出するパレット搬出部(パレット搬送部)7と、新パレットP2を載せ換え部Dへ搬入するパレット搬入部(パレット搬送部)8とを備えている。
【0023】
載せ換え部Dは、自動倉庫の床面Fに設置されたベース31と、ベース31に立設された略矩形枠状を呈するフレーム3と、フレーム3の内側に設置された反転部1と、反転部1を回転自在に保持する4つのガイドローラ35と、反転部1を回転駆動させる駆動装置36とを備えている。
【0024】
反転部1は、略円筒状を呈しており、上記円筒の中心軸がX方向と同一の方向となり、かつ、X方向に延びる軸回りに回転自在にフレーム3内に設置されている。また、反転部1は、上流コンベア5側に搬送物W及び旧パレットP1が通過する上流側開口部41を有し、下流コンベア6側に搬送物W及び旧パレットP1又は新パレットP2が通過する下流側開口部42を有している。
【0025】
ガイドローラ35は、X方向に延びる軸回りに回転自在なローラを備え、上記ローラの外周面が反転部1の外周面に当接している。2つのガイドローラ35は、ベース31に設置され、反転部1をその下方から回転自在に支持しており、他の2つのガイドローラ35は、フレーム3のZ方向に延びる柱状部材に設置され、反転部1をその上方から回転自在に支持している。
駆動装置36は、ベース31に設置され、図示しないベルトを介して反転部1と連結されている。
【0026】
反転部1は、搬送物Wを搬送する反転部コンベア(載置部、第2搬送部)11と、搬送物Wの上面と−Y側側面とに当接する搬送物保持部15と、搬送物保持部15をZ方向で移動自在に保持するガイド16と、搬送物保持部15をZ方向で往復移動させるシリンダ17と、反転部1の上下反転時に旧パレットP1又は新パレットP2を側面から保持するパレット保持部(第2保持部)21と、反転部1の上下反転時に旧パレットP1又は新パレットP2を搬送するパレットローラ(第1搬送部)25とを有している。
【0027】
反転部コンベア11は、その搬送方向がX方向と同一の方向となるように、反転部1の内部下方に設置されている。
ガイド16は、反転部1の内部に設置され、Z方向に往復移動自在なスライダ部を有している。
【0028】
搬送物保持部15は、共に板状部材である上面保持部材(第1保持部)15A及び側面保持部材(第3保持部)15Bが互いに垂直に連結された形状となっている。また、搬送物保持部15は、上面保持部材15Aが反転部コンベア11の搬送面及び搬送物Wの上面に対向するように、側面保持部材15Bの部分でガイド16の上記スライダ部にZ方向に移動自在に連結されている。
【0029】
シリンダ17は、その一端部が反転部1に連結され、他端部が搬送物保持部15に連結されている。また、シリンダ17は、反転部1の反転動作時に、旧パレットP1又は新パレットP2と搬送物Wとを一体として挟持するに十分な保持力を発生できるものとする。
【0030】
パレット保持部21は、旧パレットP1及び新パレットP2のフォーク挿入用孔部に挿入できる大きさで形成され、反転部コンベア11を挟んだY方向両側に対向して設置されている。また、パレット保持部21は、パレット保持部21をY方向で往復移動させる図示しない駆動装置を有している。
パレットローラ25は、Y方向に延びる軸回りに回転自在なローラと、上記ローラを回転駆動させる図示しない駆動装置と、パレットローラ25をY方向で往復移動させる図示しない駆動装置とを有し、反転部コンベア11を挟んだY方向両側に対向して設置されている。
【0031】
上流コンベア部5は、搬送物Wを搬送する上流コンベア50を有している。
上流コンベア50は、上流コンベア50から反転部コンベア11へ搬送物Wを搬送できる位置に設置され、自動倉庫の床面Fに立設された柱状部材により支持されている。
【0032】
下流コンベア部6は、搬送物Wを搬送する下流コンベア60を有している。
下流コンベア60は、反転部コンベア11から下流コンベア60へ搬送物Wを搬送できる位置に設置され、自動倉庫の床面Fに立設された柱状部材により支持されている。
【0033】
パレット搬出部7は、反転部1から旧パレットP1を搬出するパレット搬出コンベア(第3搬送部)71と、旧パレットP1をその保管場所へ搬送する第1ラインコンベア76とを有している。
パレット搬出コンベア71は、旧パレットP1を反転部1の上下反転時にパレットローラ25からパレット搬出コンベア71へ搬送できる位置に設置されている。第1ラインコンベア76は、パレット搬出コンベア71から第1ラインコンベア76へ旧パレットP1を搬送できる位置に設置されている。パレット搬出コンベア71及び第1ラインコンベア76は、それらの搬送方向がX方向と同一の方向となるように設置されている。
【0034】
パレット搬入部8は、反転部1へ新パレットP2を搬入するパレットプッシャ(第3搬送部)87と、パレットプッシャ87をX方向に往復移動させるロッドレスシリンダ88と、新パレットP2をその保管場所からパレット載せ換え装置T1まで搬送する第2ラインコンベア86とを有している。
【0035】
第2ラインコンベア86は、その搬送面が、反転部1の上下反転時におけるパレットローラ25の搬送面と同一高さとなる位置に、その搬送方向がY方向と同一の方向となるように設置されている。ロッドレスシリンダ88は、第2ラインコンベア86の上方に設置され、X方向に往復移動自在な図示しないスライダ部を有している。パレットプッシャ87は、ロッドレスシリンダ88の上記スライダ部に連結され、X方向に移動自在に設置されている。
【0036】
続いて、パレット載せ換え装置T1を用いて、搬送物Wを載せた旧パレットP1を新パレットP2に交換するパレット載せ換え方法について説明する。
【0037】
本実施形態におけるパレット載せ換え方法は、保持工程、反転工程、離間工程、交換工程、再保持工程及び再反転工程を行う。また、上記工程の前工程として、搬送物Wを反転部1に搬入する搬入工程を行い、上記工程の後工程として、搬送物Wを反転部1から搬出する搬出工程を行う。
以下、各工程について説明する。
【0038】
まず、本実施形態における搬入工程を説明する。
図1は、本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第1の実施形態における構成及び搬入工程を示す概略図である。
搬送物Wは、旧パレットP1に載置され、上流コンベア50により反転部1に向かって搬送される。反転部1は正立位置で待機しており、搬送物保持部15は、その移動上限の位置(解除位置)で待機している。
【0039】
搬送物Wは、上流コンベア50及び反転部コンベア11の作動により、上流側開口部41を通過して反転部1内部へ搬入される。搬送物WのX方向の中間点が反転部コンベア11のX方向の中間点に到達した時点で、反転部コンベア11の作動は停止する。なお、パレット載せ換え作業を必要としない搬送物Wが反転部1へ搬入された場合は、下流側開口部42を通過して下流コンベア60へ搬出してもよい。
新パレットP2は、第2ラインコンベア86によってその保管場所から搬送され、パレット搬入部8に待機している。
【0040】
次に、本実施形態における保持工程を説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態における保持工程を示す概略図である。
搬送物保持部15がシリンダ17の作動により下降し、上面保持部材15Aは搬送物Wの上面に当接する。搬送物W及び旧パレットP1は、上面保持部材15Aと反転部コンベア11とにより上下方向で挟持して保持される。
パレット保持部21が、旧パレットP1のフォーク挿入用孔部内に移動し、旧パレットP1を側面から保持する。
【0041】
次に、本実施形態における反転工程を説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態における反転工程を示す概略図である。
駆動装置36の作動により、反転部1が、図3(b)において紙面右回りに回転する。この時、搬送物W及び旧パレットP1は、上面保持部材15Aと反転部コンベア11とにより挟持して保持されているため、搬送物W及び旧パレットP1は互いに分離することなく一体として回転する。また、反転部1の回転動作時に、側面保持部材15Bは正立位置における搬送物Wの−Y側側面に当接し保持している。
反転部1が上下方向で反転した位置(反転位置)に到達した時点で、駆動装置36の作動は停止する。反転部1が反転位置にある状態では、搬送物Wは搬送物保持部15に載置されている。
【0042】
次に、本実施形態における離間工程を説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態における離間工程を示す概略図である。
搬送物保持部15がシリンダ17の作動により上記挟持を解除して下降し、反転部コンベア11から離間する。ここで、搬送物Wは搬送物保持部15に載置されているため、搬送物保持部15の下降と共に下降する。一方、旧パレットP1は、パレット保持部21によって保持されているため、搬送物Wと共に下降せず、その位置のまま保持される。結果として、搬送物Wと旧パレットP1とが離間する。
【0043】
次に、本実施形態における交換工程の一部であるパレットローラ前進動作を説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態におけるパレットローラ前進動作を示す概略図である。
パレットローラ25が、旧パレットP1のY方向中央部に向けて移動し、旧パレットP1をその下面から支持する。その後、パレット保持部21が後退し、パレットローラ25のみが旧パレットP1を支持する。
【0044】
次に、本実施形態における交換工程を説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態における交換工程を示す概略図である。
まず、パレットローラ25及びパレット搬出コンベア71の作動により、旧パレットP1は反転部1からパレット搬出コンベア71へ搬出される。次に、パレットローラ25の作動に加え、ロッドレスシリンダ88が作動しパレットプッシャ87が−X方向に移動することにより、新パレットP2は反転部1へ搬入される。さらに、パレット保持部21が新パレットP2のフォーク挿入用孔部内に移動し、新パレットP2を側面から保持する。最後に、パレットローラ25が後退し、パレット保持部21のみが新パレットP2を保持する。
【0045】
次に、本実施形態における再保持工程を説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態における再保持工程を示す概略図である。
シリンダ17の作動により搬送物保持部15及び搬送物Wが、搬送物Wの上面が新パレットP2の下面に当接するまで上昇する。搬送物W及び新パレットP2は、上面保持部材15Aと反転部コンベア11とにより挟持して保持される。
旧パレットP1は、パレット搬出コンベア71及び第1ラインコンベア76の作動により、その保管場所まで搬送される。
【0046】
次に、本実施形態における再反転工程を説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態における再反転工程を示す概略図である。
駆動装置36の作動により、反転部1が、図8(b)において紙面左回りに回転する。この時、搬送物W及び新パレットP2は、上面保持部材15Aと反転部コンベア11とにより挟持して保持されているため、搬送物W及び新パレットP2は互いに分離することなく一体として回転することができる。
反転部1が正立位置に到達した時点で、駆動装置36の作動は停止する。
【0047】
最後に、本実施形態における搬出工程を説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態における搬出工程を示す概略図である。
まず、シリンダ17の作動により搬送物保持部15が上昇し、搬送物Wの挟持を解除する。また、パレット保持部21が後退し、新パレットP2の保持を解除する。
次に、反転部コンベア11及び下流コンベア60の作動により、新パレットP2に載置された搬送物Wは反転部1から搬出される。
以上で、第1の実施形態である搬送物Wを載せた旧パレットP1を新パレットP2に交換するパレット載せ換え作業が終了する。
【0048】
したがって、第1の実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、搬送物Wに損傷を与えることなくパレット載せ換え作業を実施できるという効果がある。
また、本実施形態によれば、載せ換え作業の前後で搬送物Wの上下の向きが反転することなく載せ換え作業を実施できるという効果がある。
また、本実施形態によれば、旧パレットP1の搬出及び新パレットP2の搬入のためにも反転部1の上下反転が必要であった従来の装置に比べ、パレット載せ換え作業に要する時間を短縮できるという効果がある。
【0049】
また、本実施形態では、搬送物Wを反転部1と反転部1の外部との間で自動搬送することができる。
また、本実施形態では、パレット載せ換え作業を必要としない搬送物Wが上流側開口部41を通過して反転部1に搬入された場合には、上記搬送物Wを下流側開口部42を通過して下流コンベア60へ搬出することができる。
また、本実施形態では、搬送物Wの荷崩れ等が発生せず、搬送物Wは安定して反転することができる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明のパレット載せ換え装置の構成を、図10に基づいて説明する。
図10は、本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第2の実施形態を示す概略図である。なお、(a)は、パレット載せ換え装置の正面図、(b)は、(a)のA−A線視断面図である。なお、図10において、図1に示す第1の実施形態におけるパレット載せ換え装置T1の構成要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図10(a)に示すように、本実施形態におけるパレット載せ換え装置T2は、搬送物Wを旧パレットP1から新パレットP2に載せ換える載せ換え部Dと、搬送物Wを載せ換え部D内の反転部1へ搬入する上流コンベア部5と、搬送物Wを反転部1から搬出する下流コンベア部6と、旧パレットP1を反転部1から搬出するパレット搬出部7と、新パレットP2を反転部1へ搬入するパレット搬入部8とを備えている。
なお、載せ換え部D、上流コンベア部5及び下流コンベア部6は、パレット載せ換え装置T1と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0052】
パレット搬出部7は、反転部1から旧パレットP1を搬出するパレット搬出コンベア71と、パレット搬出コンベア71をZ方向で往復移動させる第1昇降部74と、旧パレットP1をその保管場所へ搬送する第1ラインコンベア76とを有している。
【0053】
第1昇降部74は、Z方向に往復移動できるスライド部を有するガイドと、パレット搬出コンベア71をZ方向で往復移動させるシリンダとを備えている。
パレット搬出コンベア71は、第1昇降部74を介して、載せ換え部Dのフレーム3にZ方向に移動自在に連結され、その搬送方向がX方向と同一の方向となるように設置されている。また、パレット搬出コンベア71は、その移動下限において、反転部1の上下反転時におけるパレットローラ25の搬送面とパレット搬出コンベア71の搬送面とが同一高さとなり、その移動上限において、パレット搬出コンベア71の搬送面と第1ラインコンベア76の搬送面とが同一高さとなる位置に設置されている。
第1ラインコンベア76は、移動下限にあるパレット搬出コンベア71の上方に位置し、その搬送方向がX方向と同一の方向となるように設置されている。
【0054】
パレット搬入部8は、反転部1へ新パレットP2を搬入するパレット搬入コンベア(第3搬送部)81と、パレット搬入コンベア81をZ方向で往復移動させる第2昇降部84と、パレット搬入コンベア81へ新パレットP2を搬送するパレットプッシャ87と、パレットプッシャ87をX方向に往復移動させるロッドレスシリンダ88と、新パレットP2をその保管場所からパレット載せ換え装置T2まで搬送する第2ラインコンベア86とを有している。
【0055】
第2昇降部84は、Z方向に往復移動できるスライド部を有するガイドと、パレット搬入コンベア81をZ方向で往復移動させるシリンダとを備えている
パレット搬入コンベア81は、第2昇降部84を介して、載せ換え部Dのフレーム3にZ方向に移動自在に連結され、その搬送方向がX方向と同一の方向となるように設置されている。また、パレット搬入コンベア81は、その移動下限において、反転部1の上下反転時におけるパレットローラ25の搬送面とパレット搬入コンベア81の搬送面とが同一高さとなり、その移動上限において、パレット搬入コンベア81の搬送面と第2ラインコンベア86の搬送面とが同一高さとなる位置に設置されている。
【0056】
第2ラインコンベア86は、載せ換え部Dの上方に位置し、その搬送方向がY方向と同一の方向となるように設置されている。ロッドレスシリンダ88は、第2ラインコンベア86の上方に設置され、X方向に往復移動自在な図示しないスライダ部を有している。パレットプッシャ87は、ロッドレスシリンダ88の上記スライダ部に連結され、X方向に移動自在に設置されている。
【0057】
続いて、パレット載せ換え装置T2を用いて、搬送物Wを載せた旧パレットP1を新パレットP2に交換するパレット載せ換え方法について説明する。なお、本実施形態におけるパレット載せ換え方法において、搬送物Wに関わる工程は第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。以下、旧パレットP1を反転部1から搬出する工程及び新パレットP2を反転部1へ搬入する工程のみ説明する。
図10は、本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第2の実施形態を示す概略図である。
【0058】
まず、旧パレットP1を反転部1から搬出する工程を説明する。
まず、反転部1が上下反転しており、旧パレットP1がパレットローラ25に載置されている。同時に、パレット搬出コンベア71は移動下限に位置し、その搬送面はパレットローラ25の搬送面と同一高さとなっている。
次に、パレットローラ25及びパレット搬出コンベア71の作動により、旧パレットP1は反転部1からパレット搬出コンベア71へ搬出される。
【0059】
さらに、第1昇降部74の作動により、旧パレットP1を載置するパレット搬出コンベア71が移動上限まで移動する。その結果、パレット搬出コンベア71の搬送面は第1ラインコンベア76の搬送面と同一高さとなる。
最後に、パレット搬出コンベア71及び第1ラインコンベア76の作動により、旧パレットP1は、その保管場所まで搬送される。
以上で、本実施形態における旧パレットP1を反転部1から搬出する工程が終了する。
【0060】
次に、新パレットP2を反転部1へ搬入する工程を説明する。
まず、新パレットP2は、第2ラインコンベア86によってその保管場所から搬送され、ロッドレスシリンダ88の下方に待機している。同時に、パレット搬入コンベア81は移動上限に位置し、その搬送面は第2ラインコンベア86の搬送面と同一高さとなっている。
次に、ロッドレスシリンダ88の作動によりパレットプッシャ87が+X方向に移動し、新パレットP2はパレット搬入コンベア81へ搬送される。
【0061】
さらに、第2昇降部84の作動により、新パレットP2を載置するパレット搬入コンベア81が移動下限まで移動する。その結果、パレット搬入コンベア81の搬送面は、反転部1が反転した状態でのパレットローラ25の搬送面と同一高さとなる。
最後に、反転部1が反転しており、パレットローラ25には何も載置されていない状態での、パレット搬入コンベア81及びパレットローラ25の作動により、新パレットP2は反転部1に搬入される。
以上で、本実施形態における新パレットP2を反転部1へ搬入する工程が終了する。
【0062】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態によって得られる効果に加え、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、第1ラインコンベア76の下方のスペースを拡大することができる。したがって、本実施形態では、自動倉庫内の作業スペース又は通行スペース等を確保することができるという効果がある。
【0063】
また、本実施形態では、第2ラインコンベア86の下方のスペースを拡大することができる。したがって、本実施形態では、自動倉庫内の作業スペース又は通行スペース等を確保することができるという効果がある。
【0064】
(第3実施形態)
本発明における搬送物Wを新パレットP2に載せるパレット載せ換え方法を、図11に基づいて説明する。
図11は、本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第3の実施形態を示す概略図である。なお、本実施形態におけるパレット載せ換え作業は、第1の実施形態で説明したパレット載せ換え装置T1を用いて行うため、その構成の説明を省略する。
【0065】
本実施形態におけるパレット載せ換え方法は、保持工程、反転工程、下降工程、パレット搬入工程、再保持工程及び再反転工程を行う。また、上記工程の前工程として、搬送物Wを反転部1に搬入する搬入工程を行い、上記工程の後工程として、搬送物Wを反転部1から搬出する搬出工程を行う。なお、本実施形態における再保持工程、再反転工程及び搬出工程は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以下、各工程について説明する。
【0066】
まず、本実施形態における搬入工程を説明する。
搬送物Wは、上流コンベア50に載置され、上流コンベア50により反転部1に向かって搬送されている。
反転部1は正立位置で待機しており、搬送物保持部15は、解除位置で待機している。
搬送物Wは、上流コンベア50及び反転部コンベア11の作動により、反転部1内部へ搬入される。搬送物WのX方向の中間点が反転部コンベア11のX方向の中間点に到達した時点で、反転部コンベア11の作動は停止する。
新パレットP2は、第2ラインコンベア86によってその保管場所から搬送され、パレット搬入部8に待機している。
【0067】
次に、本実施形態における保持工程を説明する。
搬送物保持部15がシリンダ17の作動により下降し、搬送物Wの上面及び−Y側側面を保持する。
【0068】
次に、本実施形態における反転工程を説明する。
駆動装置36の作動により、反転部1が、図11(b)において紙面右回りに回転する。この時、搬送物Wは、搬送物保持部15と反転部コンベア11とにより挟持して保持されているため、搬送物W及び反転部コンベア11は互いに分離することなく一体として回転する。
反転部1が反転位置に到達した時点で、駆動装置36の作動が停止する。
【0069】
次に、本実施形態における下降工程を説明する。
搬送物保持部15が、シリンダ17の作動により下降する。ここで、搬送物Wは、搬送物保持部15の下降と共に下降する。一方、反転部コンベア11は、反転部1に設置されているため、搬送物Wと共に移動せず、その位置のまま保持される。結果として、搬送物Wと反転部コンベア11とが離間する。
【0070】
次に、本実施形態におけるパレット搬入工程を説明する。
まず、パレットローラ25が、反転部コンベア11のY方向中央部に向けて移動する。パレットローラ25の上面と反転部コンベア11の下面との間には、新パレットP2が搬入される間隔が形成されている。次に、パレットローラ25の作動に加え、ロッドレスシリンダ88が作動しパレットプッシャ87が−X方向に移動することにより、新パレットP2は反転部1へ搬入される。さらに、パレット保持部21が、新パレットP2のフォーク挿入用孔部内に移動し、新パレットP2を保持する。最後に、パレットローラ25が後退する。
【0071】
続いて再保持工程、再反転工程及び搬出工程として、第1の実施形態と同様の工程を行うことで、本実施形態におけるパレット載せ換え作業が終了する。
したがって、第3の実施形態では、第1の実施形態によって得られる効果に加え、第1の実施形態におけるパレット載せ換え装置T1を搬送物Wを新パレットP2に載せる作業のためにも用いることができるという効果がある。
【0072】
(第4実施形態)
本発明における搬送物Wを旧パレットP1から降ろすパレット載せ換え方法を、図12に基づいて説明する。
図12は、本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第4の実施形態を示す概略図である。なお、本実施形態におけるパレット載せ換え作業は、第1の実施形態で説明したパレット載せ換え装置T1を用いて行うため、その構成の説明を省略する。
【0073】
本実施形態におけるパレット載せ換え方法は、保持工程、反転工程、離間工程、パレット搬出工程、再保持工程及び再反転工程を行う。また、上記工程の前工程として、搬送物Wを反転部1に搬入する搬入工程を行い、上記工程の後工程として、搬送物Wを反転部1から搬出する搬出工程を行う。なお、本実施形態における搬入工程ないし離間工程は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
以下、各工程について説明する。
【0074】
まず、本実施形態におけるパレット搬出工程を説明する。
まず、パレットローラ25が、旧パレットP1のY方向中央部に向けて移動し、旧パレットP1をその下面から支持する。次に、パレット保持部21が後退する。さらに、パレットローラ25及びパレット搬出コンベア71の作動により、旧パレットP1は反転部1からパレット搬出コンベア71へ搬出される。最後に、パレットローラ25が後退する。
【0075】
次に、本実施形態における再保持工程を説明する。
シリンダ17の作動により、搬送物保持部15及び搬送物Wが、搬送物Wの上面が反転部コンベア11の搬送面に当接するまで上昇する。
旧パレットP1は、パレット搬出コンベア71及び第1ラインコンベア76の作動により、その保管場所まで搬送される。
【0076】
次に、本実施形態における再反転工程を説明する。
駆動装置36の作動により、反転部1が、図12(b)において紙面左回りに回転する。この時、搬送物Wは、搬送物保持部15と反転部コンベア11とにより挟持して保持されているため、搬送物Wは安定して回転することができる。
反転部1が正立位置に到達した時点で、駆動装置36の作動が停止する。
【0077】
最後に、本実施形態における搬出工程を説明する。
まず、シリンダ17の作動により、搬送物保持部15が+Z方向の解除位置まで移動し、搬送物Wの保持を解除する。次に、反転部コンベア11及び下流コンベア60の作動により、搬送物Wは反転部1から搬出される。以上で、本実施形態におけるパレット載置作業が終了する。
したがって、第4の実施形態では、第1の実施形態によって得られる効果に加え、第1の実施形態におけるパレット載せ換え装置T1を搬送物Wを旧パレットP1から降ろす作業のためにも用いることができるという効果がある。
【0078】
なお、前述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲においてプロセス条件や設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0079】
例えば、本実施形態では、搬送物Wは略立方体状を呈しているが、本発明は上記形状に限定されるものではなく、他の形状であってもよく、例えば円筒状、円柱状、袋状、シート体を積み重ねたもの、その他の多面体等であってもよい。
【0080】
また、本実施形態では、搬送物保持部15は、共に板状部材である上面保持部材15A及び側面保持部材15Bが互いに垂直に連結された形状となっているが、本発明は上記形状に限定されるものではなく、例えば上面保持部材15A及び側面保持部材15Bが互いに独立し各々移動できる部材であってもよい。
【0081】
また、本実施形態では、反転部1は略円筒状を呈しているが、本発明は上記形状に限定されるものではなく、例えば2つの円枠状の部材が、両部材の中心軸が同一直線上に延びるように配置され、複数の柱状部材により一定の間隔をあけて連結されたものであってもよい。
さらに、反転部1は円筒及び円枠状の部材を用いた形状でなくともよく、複数の面を有する立体、例えば立方体状であってもよい。
【0082】
また、第2の実施形態では、第1昇降部74及び第2昇降部84が共に用いられているが、いずれか一方のみが用いられる形態であってもよい。
【0083】
また、本実施形態では、パレット搬送部としてパレット搬出部7及びパレット搬入部8がそれぞれ用いられているが、パレット搬出及び搬入を共に行うことのできる1つのパレット搬送部を使用してもよい。
【0084】
また、第3及び第4の実施形態ではパレット載せ換え装置T1が用いられているが、パレット載せ換え装置T2を第3及び第4の実施形態に用いてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、複数のシリンダが用いられているが、このシリンダには空圧タイプ又は油圧タイプのいずれも使用できる。また、シリンダの代わりにモータ及びボールネジ等を用いた駆動装置等を使用してもよい。
【0086】
また、本実施形態では、反転部1と駆動装置36とはベルトを介して連結されているが、チェーン又はギヤ等を用いて反転部1と駆動装置36とを連結してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第1の実施形態における構成及び搬入工程を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における保持工程を示す概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における反転工程を示す概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における離間工程を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるパレットローラ前進動作を示す概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における交換工程を示す概略図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における再保持工程を示す概略図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における再反転工程を示す概略図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における搬出工程を示す概略図である。
【図10】本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第2の実施形態を示す概略図である。
【図11】本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第3の実施形態を示す概略図である。
【図12】本発明に係るパレット載せ換え装置及びパレット載せ換え方法の第4の実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0088】
T1…パレット載せ換え装置、T2…パレット載せ換え装置、1…反転部、11…反転部コンベア(載置部、第2搬送部)、15A…上面保持部材(第1保持部)、15B…側面保持部材(第3保持部)、21…パレット保持部(第2保持部)、25…パレットローラ(第1搬送部)、41…上流側開口部、42…下流側開口部、7…パレット搬出部(パレット搬送部)、71…パレット搬出コンベア(第3搬送部)、74…第1昇降部、8…パレット搬入部(パレット搬送部)、81…パレット搬入コンベア(第3搬送部)、84…第2昇降部、87…パレットプッシャ(第3搬送部)、W…搬送物、P1…旧パレット(第1搬送用平パレット)、P2…新パレット(第2搬送用平パレット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送用平パレットに載せる、搬送物を搬送用平パレットから降ろす、又は搬送物を載せた搬送用平パレットを他のパレットに交換するパレット載せ換え装置であって、
前記搬送物及び前記搬送用平パレットを一体として又は前記搬送物のみを保持しつつ正立及び上下反転可能な反転部を備え、
前記反転部は、
正立時に前記搬送物及び前記搬送用平パレット又は前記搬送物のみを載置する載置部と、
正立時に前記搬送物の上面に当接して前記載置部との間で前記搬送物及び前記搬送用平パレットを一体として又は前記搬送物のみを挟持すると共に上下反転時に前記搬送物を載置し前記載置部から離間する第1保持部と、
前記載置部の近傍に配置されて上下反転時に前記搬送用平パレットを側面から保持する第2保持部と、
上下反転時に前記搬送用平パレットを前記第2保持部による保持位置と前記反転部の外部との間で搬送する第1搬送部と、
を有することを特徴とするパレット載せ換え装置。
【請求項2】
前記載置部は、正立時に前記搬送物及び前記搬送用平パレット又は前記搬送物のみを載置して水平搬送する第2搬送部であり、
前記反転部における上下反転の中心軸方向は、前記第2搬送部の搬送方向と同一の方向であることを特徴とする請求項1に記載のパレット載せ換え装置。
【請求項3】
前記反転部は、前記第2搬送部の上流側及び下流側に前記搬送物及び前記搬送用平パレットが通過する開口部をそれぞれ有することを特徴とする請求項1または2に記載のパレット載せ換え装置。
【請求項4】
前記反転部は、前記搬送物の所定の側面に当接する第3保持部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパレット載せ換え装置。
【請求項5】
前記反転部に隣接して設置されるパレット搬送部を有し、
前記パレット搬送部は、
前記反転部の上下反転時に前記第1搬送部との間で前記搬送用平パレットを水平搬送する第3搬送部と、
前記第3搬送部と前記第3搬送部の上方の位置との間で前記搬送用平パレットを昇降させる昇降部とを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のパレット載せ換え装置。
【請求項6】
搬送物を載せた第1搬送用平パレットを第2搬送用平パレットに交換するパレット載せ換え方法であって、
前記搬送物及び前記第1搬送用平パレットを上下方向で挟持して保持する保持工程と、
前記搬送物及び前記第1搬送用平パレットを一体として上下反転させる反転工程と、
前記第1搬送用平パレットを側面から保持しつつ、前記挟持を解除し前記搬送物を下降させることで前記搬送物と前記第1搬送用平パレットとを離間させる離間工程と、
前記第1搬送用平パレットを保持した位置から搬出した後、前記第2搬送用平パレットを前記第1搬送用平パレットを保持した位置と略同一の位置に搬入し保持する交換工程と、
前記搬送物を上昇させ、前記搬送物及び前記第2搬送用平パレットを上下方向で挟持して保持する再保持工程と、
前記搬送物及び前記第2搬送用平パレットを一体として上下反転させる再反転工程とを備えることを特徴とするパレット載せ換え方法。
【請求項7】
搬送物を搬送用平パレットに載せるパレット載せ換え方法であって、
前記搬送物を上下方向で挟持して保持する保持工程と、
前記搬送物を上下反転させる反転工程と、
前記挟持を解除し前記搬送物を下降させる下降工程と、
前記搬送用平パレットを前記搬送物を挟持して保持した位置と略同一の位置に搬入し保持するパレット搬入工程と、
前記搬送物を上昇させ、前記搬送物及び前記搬送用平パレットを上下方向で挟持して保持する再保持工程と、
前記搬送物及び前記搬送用平パレットを一体として上下反転させる再反転工程とを備えることを特徴とするパレット載せ換え方法。
【請求項8】
搬送物を搬送用平パレットから降ろすパレット載せ換え方法であって、
前記搬送物及び前記搬送用平パレットを上下方向で挟持して保持する保持工程と、
前記搬送物及び前記搬送用平パレットを一体として上下反転させる反転工程と、
前記搬送用平パレットを側面から保持しつつ、前記挟持を解除し前記搬送物を下降させることで前記搬送物と前記搬送用平パレットとを離間させる離間工程と、
前記搬送用平パレットを保持した位置から搬出するパレット搬出工程と、
前記搬送物を上昇させ、前記搬送物を上下方向で挟持して保持する再保持工程と、
前記搬送物を上下反転させる再反転工程とを備えることを特徴とするパレット載せ換え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−13230(P2010−13230A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174802(P2008−174802)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】