説明

パーツカタログ表示システムおよびその制御方法

【課題】パーツカタログを閲覧する際のユーザの手間を大幅に軽減することができるパーツカタログ表示システムおよびその制御方法を提供すること目的とする。
【解決手段】製品全体画像、当該製品を構成する各部品をあらわす複数の部品画像、各部品について組付け状態をあらわす部品組付画像、および、それぞれの部品の組付位置をあらわす部品組付位置情報を記憶したパーツカタログデータベースに基づき、視覚的に立体的なパーツカタログを表示するパーツカタログ表示システムにおいて、製品全体画像の表示画面中に、指定領域を表示し、当該指定領域に含まれる部品について、部品画像および部品組付画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品全体画像、当該製品を構成する各部品をあらわす複数の部品画像、各部品について組付け状態をあらわす部品組付画像、および、それぞれの部品の組付位置をあらわす部品組付位置情報を記憶したパーツカタログデータベースに基づき、視覚的に立体的なパーツカタログを表示するパーツカタログ表示システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、指示書・手順書・マニュアル等における分解斜視図等のイラスト図の作成に3D_CADデータを利用することで、作成の手間を省くことが行われている。
【0003】
このような文書の一つに、サービスや保守において交換部品の発注等に利用するパーツカタログや部品表がある。これらのパーツカタログや部品表では、交換部品の形状や部品の組み付け位置を図面にて表示し、合わせて部品名称と交換発注時の部品番号を示したものである。カタログにおいては通常、個々の部品は、製品を構成する複数の集合部分(ユニット)単位にまとめて提示される。
【非特許文献1】「3D CADモデルから電子パーツカタログへのテクニカルドキュメントにおける統合型プロセスチェーン」、ITEDO Software GmbH 、[online]、平成18年4月24日、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、このようなパーツカタログでは、カタログ自体の表示が立体的であるので、より直感的にユーザが目的の部品にたどり着くことができるようなユーザ・インタフェースが必要である。
【0005】
例えば、製品の保守担当者が、故障した部品を交換するために部品番号を知りたい場合、当該部品をパーツカタログより検索する必要がある。その際、製品全体画像を表示させて、目的とする部品を組み付けているユニットを指定して、当該ユニット中の部品を指定するというような逐次的な選択方法では、ユーザの操作の手間がかかり、また、部品とユニットとの関係を知っておく必要があり、ユーザの習熟度によっては検索操作が面倒になるおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、パーツカタログを閲覧する際のユーザの手間を大幅に軽減することができるパーツカタログ表示システムおよびその制御方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、製品全体画像、当該製品を構成する各部品をあらわす複数の部品画像、各部品について組付け状態をあらわす部品組付画像、および、それぞれの部品の組付位置をあらわす部品組付位置情報を記憶したパーツカタログデータベースに基づき、視覚的に立体的なパーツカタログを表示するパーツカタログ表示システムにおいて、製品全体画像の表示画面中に、指定領域を表示し、当該指定領域に含まれる部品について、部品画像および部品組付画像を表示するようにしたものである。
【0008】
また、前記指定領域は、大きさがあらかじめ設定された少なくとも1つの矩形領域を、前記表示画面中で任意の位置へ移動したものである。
【0009】
また、前記製品全体画像は、前記表示画面中で所定の倍率で変倍表示されるものである。
【0010】
また、前記製品全体画像を印刷した製品全体画像印刷用紙と、前記製品全体画像印刷用紙を撮影する撮影手段をさらに備え、前記撮影手段が撮影した画面の矩形領域を、前記指定領域として適用するようにしたものである。
【0011】
また、前記製品全体画像印刷用紙には、所定パターンからなる地紋を背景とし、前記製品全体画像の線画が印刷され、前記撮影手段が撮影した画面の矩形領域は、当該画面に含まれる前記地紋の画像に基づいて、その座標が判断されるものである。
【0012】
また、前記製品全体画像印刷用紙には、所定パターンのみが印刷され、前記撮影手段が撮影した画面の矩形領域は、当該画面に含まれる前記パターンの画像に基づいて、その座標が判断されるものである。
【0013】
また、前記パーツカタログデータベースと、前記パーツカタログデータベースから指定された領域に含まれる部品を検索する部品検索手段を備えたサーバ装置と、前記パーツカタログを表示する表示手段と、前記指定領域を指定する指定手段を備えたクライアント装置からなり、前記サーバ装置とクライアント装置とが通信により必要な情報をやりとりするようにしたものである。
【0014】
また、前記パーツカタログデータベースと、前記パーツカタログデータベースから指定された領域に含まれる部品を検索する部品検索手段を備えたサーバ装置と、前記パーツカタログを表示する表示手段と、前記撮影手段を備えたクライアント装置からなり、前記サーバ装置とクライアント装置とが通信により必要な情報をやりとりするようにしたものである。
【0015】
また、製品全体画像、当該製品を構成する各部品をあらわす複数の部品画像、各部品について組付け状態をあらわす部品組付画像、および、それぞれの部品の組付位置をあらわす部品組付位置情報を記憶したパーツカタログデータベースに基づき、視覚的に立体的なパーツカタログを表示するパーツカタログ表示システムの制御方法において、製品全体画像の表示画面中に、指定領域を表示し、当該指定領域に含まれる部品について、部品画像および部品組付画像を表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0016】
したがって、本発明によれば、パーツカタログの表示から、より直感的にユーザが目的の部品にたどり着くことができ、パーツカタログの使い勝手を大幅に向上することができるという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施例にかかるパーツカタログ表示システムの一例を示している。
【0019】
このパーツカタログ表示システムは、ネットワークNTにより接続されるサーバ装置SVとクライアント装置CLからなるいわゆるサーバ・クライアント形式のシステム構成を持つ。
【0020】
サーバ装置SVは、カタログデータベース1に蓄積されているデータから部品を検索する部品検索部2と、クライアント装置CLとの間で種々のデータをやりとりするためのサーバインタフェース部3から構成されている。また、カタログデータベース1には、複数の製品についての全体画像データも蓄積されている。
【0021】
クライアント装置CLは、パーツカタログを表示する画像表示部5と、画像表示部5に表示した画像から所望する部品を含む領域を指定するための領域指定部6と、サーバ装置SVとの間で種々のデータをやりとりするためのクライアントインタフェース部7から構成される。
【0022】
サーバ装置SVの装置構成の一例を図2に示す。
【0023】
同図において、CPU(中央処理装置)21は、このサーバ装置SVの動作制御(部品検索部2の動作を含む)を行うものであり、ROM(リード・オンリ・メモリ)22は、CPU21が起動時に実行するプログラムや必要なデータ等を記憶するためのものであり、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)23は、CPU21のワークエリア等を構成するためのものである。
【0024】
キャラクタジェネレータ24は、図形文字の表示データを発生するためのものであり、時計回路25は、現在日時情報を出力するためのものであり、ネットワークインターフェース回路26は、このサーバ装置SVをネットワークNTに接続するためのものであり、ネットワーク伝送制御部27は、ネットワークNTを介して、クライアント装置CLとの間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものである。
【0025】
磁気ディスク装置28は、種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、カタログデータベース1のデータ群、および、ファイルデータなどの種々のデータファイル等を記憶するためのものであり、CRT画面表示装置29は、このサーバ装置SVを操作するための画面を表示するためのものであり、表示制御部30は、CRT画面表示装置29の表示内容を制御するためのものである。
【0026】
キーボード装置31は、このサーバ装置SVに種々のキー操作を行うためのものであり、画面指示装置32は、CRT画面表示装置29の任意の点を指示する等の操作作業を行うためのものであり、入力制御部33は、キーボード装置31および画面指示装置32の入力情報を取り込む等するためのものである。
【0027】
これらのCPU21、ROM22、RAM23、キャラクタジェネレータ24、時計回路25、ネットワーク伝送制御部27、磁気ディスク装置28、表示制御部30、および、入力制御部33は、内部バス34に接続されており、これらの各要素間のデータのやりとりは、主としてこの内部バス34を介して行われる。
【0028】
クライアント装置CLの装置構成の一例を図3に示す。
【0029】
同図において、CPU(中央処理装置)41は、このクライアント装置CLの動作制御を行うものであり、ROM(リード・オンリ・メモリ)42は、CPU41が起動時に実行するプログラムや必要なデータ等を記憶するためのものであり、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)43は、CPU41のワークエリア等を構成するためのものである。
【0030】
キャラクタジェネレータ44は、図形文字の表示データを発生するためのものであり、時計回路45は、現在日時情報を出力するためのものであり、ネットワークインターフェース回路46は、このクライアント装置CLをネットワークNTに接続するためのものであり、ネットワーク伝送制御部47は、ネットワークNTを介して、サーバ装置SVとの間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものである。
【0031】
磁気ディスク装置48は、種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、および、ファイルデータなどの種々のデータファイル等を記憶するためのものであり、CRT画面表示装置49は、このクライアント装置CLを操作するための画面を表示するためのものであり、表示制御部50は、CRT画面表示装置49の表示内容を制御するためのものである。また、このCRT表示装置49および表示制御部50が、画像表示部5を構成する。
【0032】
キーボード装置51は、このクライアント装置CLに種々のキー操作を行うためのものであり、画面指示装置52は、CRT画面表示装置49の任意の点を指示する等の操作作業を行うためのものであり、入力制御部53は、キーボード装置51および画面指示装置52の入力情報を取り込む等するためのものである。
【0033】
これらのCPU41、ROM42、RAM43、キャラクタジェネレータ44、時計回路45、ネットワーク伝送制御部47、磁気ディスク装置48、表示制御部50、および、入力制御部53は、内部バス54に接続されており、これらの各要素間のデータのやりとりは、主としてこの内部バス54を介して行われる。
【0034】
ここで、カタログデータベース1に保存されるカタログデータについて説明する。このカタログデータには、1つの製品について、当該製品を構成する複数の部品(パーツ)のデータが含まれる。
【0035】
図4は、1つのパーツについて形成されるカタログデータの一例を示している。
【0036】
このカタログデータは、パーツ単体画像、パーツ組付図、パーツ組付拡大図、境界情報、パーツ名、部品番号、および、ユニット名からなる。
【0037】
パーツ単体画像は、当該パーツの単体画像である。また、縮尺比率は各パーツにより異なり、なるべく大きくかつパーツ全体が表示される比率である。
【0038】
パーツ組付図は、パーツごとに作成される画像で、そのパーツのみが強調表示され、他の全パーツは半透明描画やワイヤーフレーム描画など非強調表示される図である。ここで、視点は1方向だけではなく、必要に応じて複数視点からのパーツ組付図が作成される。縮尺比率は、同一視点方向であれば常に一定で、なるべく大きくかつ全パーツが表示される比率である。
【0039】
パーツ組付図拡大図は、上記各パーツのパーツ組付図を拡大表示したものであり、最大比率ではそのパーツがなるべく大きくかつ全部表示される図である。最小比率では全パーツがなるべく大きくかつ全部表示される。必要に応じて複数枚の比率の異なるパーツ組付図が作成される。比率によらず常にそのパーツの全体が表示される。
【0040】
境界情報は、各パーツのパーツ組付図およびパーツ組付拡大図において、そのパーツが画像中のどの位置にあるかを示す情報である。画像左上隅を原点(X=0,Y=0)とし、Xは右方向に、Yは下方向に正に増加する座標系における、そのパーツがすべて収まる長方形の左上座標および右下座標の組み合わせである。
【0041】
パーツ名は、当該パーツの名称をあらわす。
【0042】
部品番号(発注番号)は、パーツごとに採番される番号である。同一形状のパーツは同一番号を持つ。
【0043】
ユニット名は、パーツ集合の単位であるユニットの名称である。各パーツがどのユニットに属するかを示す。通常、すべてのパーツはいずれかのユニット(例えば、「給紙部」、「排紙部」など)に属する。
【0044】
図5(a)は、カタログデータベース1に保存されるパーツPKについて、当該パーツPKを含むユニットの表示画像の一例を示し、同図(b)は、パーツPKのパーツ単体画像の一例を示す。
【0045】
また、図6(a)は、カタログデータベース1に保存されるパーツPPについて、当該パーツPPを含むユニットにおける当該パーツPPの組付けの様子を示すパーツ組付図の一例を示す。また、このパーツ組付図を表示する際、注目されるパーツPPのみをシェーディングおよび(例えば、赤いワイヤーフレームで)強調表示し、他のパーツを半透明描画することで、当該パーツの組付け位置を際だたせることができる。また、同図(b)は、同一のパーツPPを別角度から見たときのパーツ組付図の一例を示す。また、図7(a)は、同一のパーツPPをさらに別角度から見たときのパーツ組付図の一例を示す。また、図7(b)は、同一のパーツPPをさらに別角度から見たときのパーツ組付図の一例を示す。
【0046】
このようにして、この場合は、パーツ組付図は、4態様作成される。このようにして、異なる角度から見た複数のパーツ組付図をあらかじめ形成しておくことで、カタログを閲覧する際に要する時間を、大幅に短縮することができる。
【0047】
また、パーツPKについて、境界情報は、図8に示すように、パーツ単体画像を囲む長方形として作成される。
【0048】
図9(a)は、クライアント装置CLの画像表示部5に表示されるカタログ表示画面の一例を示している。
【0049】
この表示画面には、部品の組付状態等の画像を表示するための表示領域DDc、および、部品単体の画像を表示するための表示領域DDdが設けられている。
【0050】
さて、クライアント装置CLでカタログを参照する場合、まず、ユーザは、製品をあらわす型番などを入力して、クライアント装置CLに表示を所望する製品の情報を入力する。
【0051】
それにより、クライアント装置CLは、サーバ装置SVに接続し、ユーザから表示要求された製品の全体画像の情報の取得を要求する。サーバ装置SVは、クライアント装置CLより要求された製品の全体画像の画像データをカタログデータベース1より読み出し、クライアント装置CLへ送信する。
【0052】
これにより、図9(a)に示すように、表示領域DDcには、ユーザが表示を所望した製品の全体画像が表示される。
【0053】
次に、ユーザは、例えば、交換対象となる部品が組み込まれている場所を、表示領域DDcに表示されている全体画像を参照して指定する。この指定は、まず、図9(b)に示すように、選択領域SSの枠を表示させる。この選択領域SSは、ユーザの操作により、同図(c)に示すように大きさを変更することができ、また、同図(d)に示すように、移動することができる。
【0054】
したがって、ユーザは、部品が組み込まれている場所を含むように選択領域SSの大きさ、および、位置を設定する(図9(d)参照)。その設定が完了すると、ユーザは、領域指定の完了をクライアント装置CLへ指令する。
【0055】
それにより、クライアント装置CLは、サーバ装置SVに対して、選択領域SSの座標をあらわす情報を送信する。
【0056】
サーバ装置SVは、選択領域SSの座標を受信すると、その座標に含まれる部品をカタログデータベース1より検索し、その検索により取得した部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報をクライアント装置CLへ送信する。
【0057】
クライアント装置CLは、サーバ装置SVより部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報を受信すると、表示領域DDdに受信した部品の画像や組付状態を表す画像を表示する。
【0058】
このようにして、本実施例では、ユーザは表示領域DDcに表示されている全体画像から、参照したい部品の組付位置を含む領域を指定するだけで、所望する部品を表示させることができるので、非常に便利である。
【0059】
なお、選択領域SSについては、あらかじめ設定されている複数の大きさをユーザが任意に選択できるようにしても良いし、ユーザが任意の大きさを設定操作できるようにしても良い。
【0060】
図10は、この場合のサーバ装置SVの処理の一例を示している。
【0061】
まず、クライアント装置CLより製品の全体画像の情報の取得が要求されると(処理101)、要求された製品の全体画像の画像データをカタログデータベース1より取得して、クライアント装置CLへ送信する(処理102)。
【0062】
次いで、クライアント装置CLより選択領域の座標情報を受信すると(処理103)、その座標情報に含まれる部品のデータをカタログデータベース1を検索して取得し(処理104)、それによって取得した1つ以上の部品データをクライアント装置CLへ送信する(処理105)。
【0063】
図11は、この場合のクライアント装置CLの処理の一例を示している。
【0064】
まず、ユーザが製品をあらわす型番などを入力すると、クライアント装置CLは、サーバ装置SVに接続し、ユーザから表示要求された製品の全体画像の情報の取得を要求する(処理201)。
【0065】
これにより、サーバ装置SVより、製品の全体画像の画像データを受信すると、その画像データを表示領域DDcに表示する(処理202)。
【0066】
次いで、ユーザが選択領域SSの表示操作を行うと、その操作により最終的に指定された選択領域SSの座標を取得し(処理203)、その選択領域SSの座標をサーバ装置SVへ送信する(処理204)。
【0067】
それにより、サーバ装置SVから、選択領域SSに含まれる部品のデータを受信するので(処理205)、その受信した部品データを表示領域DDdに表示する(処理206)。
【0068】
ところで、クライアント装置CLで選択領域SSを指定する際、例えば、図12(a)〜(e)のような方法を採用することができる。この場合、選択領域SSを設定した後(同図(b)参照)、ユーザが表示領域DDcに表示している画像を拡大し(同図(c)参照)、その拡大した状態で、表示領域を移動している(同図(d)参照)。
【0069】
最終的に、同図(e)に示すような態様に選択領域SSが設定されるので、このときの座標を元の全体画像の画像データに基づいて作成し、サーバ装置SVへ通知する。
【0070】
図13は、本発明の他の実施例にかかるパーツカタログ表示システムの一例を示している。なお、同図において、図1と同一部分および相当する部分については、同一符号を付している。
【0071】
本実施例では、クライアント装置CL’は無線通信端末装置(移動体通信端末装置)であり、したがって、クライアントインタフェース部7’は、無線通信網を介して、ネットワークNTに接続される。
【0072】
また、本実施例では、クライアント装置CL’は、デジタルスチルカメラ装置等の画像入力部8を備えている。
【0073】
本実施例のクライアント装置CL’の装置構成の一例を図14に示す。
【0074】
同図において、CPU(中央処理装置)61は、このクライアント装置CL’の動作制御を行うものであり、ROM(リード・オンリ・メモリ)62は、CPU61が起動時に実行するプログラムや必要なデータ等を記憶するためのものであり、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)63は、CPU61のワークエリア等を構成するためのものである。
【0075】
キャラクタジェネレータ64は、図形文字の表示データを発生するためのものであり、時計回路65は、現在日時情報を出力するためのものであり、無線通信部66は、このクライアント装置CL’を無線通信網を介してネットワークNTに接続するためのものであり、通信制御部67は、無線通信網およびネットワークNTを介して、サーバ装置SVとの間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものである。
【0076】
液晶画面表示装置68は、このクライアント装置CL’を操作するための画面を表示するためのものであり、表示制御部69は、液晶画面表示装置68の表示内容を制御するためのものである。また、この液晶表示装置68および表示制御部69が、画像表示部6を構成する。
【0077】
キーボード装置70は、このクライアント装置CL’に種々のキー操作を行うためのものであり、画面指示装置71は、液晶画面表示装置68の任意の点を指示する等の操作作業を行うためのものであり、入力制御部72は、キーボード装置70および画面指示装置71の入力情報を取り込む等するためのものである。なお、クライアント装置CL’として、いわゆる携帯電話を用いる場合、キーボード装置70はテンキーに多少のファンクションキーを追加したような少ないキー数を備えるものである。また、画面指示装置71としては、タッチパネル装置を用いることができるが、省略しても良い。
【0078】
また、撮像部73は、デジタルスチルカメラ装置等を構成するものであり、画像入力部8に相当する。
【0079】
これらのCPU61、ROM62、RAM63、キャラクタジェネレータ64、時計回路65、通信制御部67、表示制御部69、入力制御部72、および、撮像部73は、内部バス74に接続されており、これらの各要素間のデータのやりとりは、主としてこの内部バス74を介して行われる。
【0080】
この場合のクライアント装置CL’の動作について、次に説明する。
【0081】
まず、本実施例では、図15(a)に示すような部品検索用の印刷紙PPを用いる。この印刷紙PPには、地紋を背景に線画にて表示した製品全体の画像が印刷されている。この背景の地紋は細かいドットパターンから構成され、ドットパターンの組によりどの領域か(座標)を判定することができる。
【0082】
本実施例では、同図(b)に示すように、クライアント装置CL’の撮像部73で、目的とする部品が含まれる領域の印刷紙PPを撮影し、その撮影して得た画像データをサーバ装置SVへ送信する。また、このときクライアント装置CL’は、画像データの送信に先立って表示要求する製品の型番等の情報を通知する。
【0083】
サーバ装置SVでは、受信した画像データに含まれる地紋を解析して、クライアント装置CL’により指定された選択領域の座標を判定する。そして、指定された製品について、その座標に含まれる部品をカタログデータベース1より検索し、その検索により取得した部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報と、要求された製品の全体画像の画像データ、および、解析した選択領域の座標データをクライアント装置CL’へ送信する。
【0084】
このようにして、クライアント装置CL’は、サーバ装置SVより部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報、製品の全体画像の画像データ、および、選択領域の座標データを受信すると、図15(c)に示すように、表示領域DDc’には、全体画像の画像データと選択領域をあらわす矩形の画像を表示するとともに、表示領域DDd’に受信した部品の画像や組付状態を表す画像を表示する。
【0085】
図16は、この場合のサーバ装置SVの処理の一例を示している。
【0086】
まず、クライアント装置CL’より、接続要求を受信すると(処理301)、クライアント装置CL’より対象製品の型番等を受信し(処理302)、また、選択領域を撮影した画像データを受信する(処理303)。
【0087】
これにより、サーバ装置SVは、受信した画像データに含まれる地紋データを解析して、指定領域の座標を判定し(処理304)、次いで、カタログデータベース1から、判定した指定領域に含まれる部品を検索する(処理305)。
【0088】
そして、対象製品の全体画像の画像データと、処理304で判定した選択領域の座標データ、および、処理305で検索して取得した部品データをクライアント装置CL’へ送信する(処理306)。
【0089】
図17は、この場合のクライアント装置CL’の処理の一例を示している。
【0090】
まず、ユーザにより選択された製品情報をサーバ装置SVへ通知し(処理401)、印刷紙PPを撮影して得た画像データをサーバ装置へ送信する(処理402,403)。
【0091】
次いで、サーバ装置SVより、部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報、製品の全体画像の画像データ、および、選択領域の座標データを受信すると、表示領域DDc’には、全体画像の画像データと選択領域をあらわす矩形の画像を表示するとともに、表示領域DDd’に受信した部品の画像や組付状態を表す画像を表示する(処理405)。
【0092】
このようにして、本実施例では、無線通信端末装置であるクライアント装置CL’を用いて、製品のカタログデータベースを参照し、部品等を表示させることができるので、例えば、保守担当者が遠隔地へ赴いて製品を保守する際、非常に便利である。
【0093】
なお、上述した実施例では、地紋を背景に線画にて表示した製品全体の画像が印刷された印刷紙PPを用いて、製品の選択領域を指定できるようにしているが、図18(a)に示すように、あるパターンを印刷した用紙PKを用いることもできる。この用紙PKに印刷する画像は、ドットパターンによる地紋でもよいし、あるいは、紙の上にどの領域かが識別できるパターン(例えば、QRコード(商標)等)を規則正しく配置したものでもよい。この場合、製品全体画像を重ねて印刷する必要がないので、認識しやすいパターンを利用することが可能である。
【0094】
この場合、図18(b)に示すように、クライアント装置CL’の撮像部73で、目的とする部品が含まれる領域の用紙PKを撮影し、その撮影して得た画像データをサーバ装置SVへ送信する。また、このときクライアント装置CL’は、画像データの送信に先立って表示要求する製品の型番等の情報を通知する。
【0095】
サーバ装置SVでは、受信した画像データに含まれるドットパターン(または、QRコード(商標))を解析して、クライアント装置CL’により指定された選択領域の座標を判定する。そして、指定された製品について、その座標に含まれる部品をカタログデータベース1より検索し、その検索により取得した部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報と、要求された製品の全体画像の画像データ、および、解析した選択領域の座標データをクライアント装置CL’へ送信する。
【0096】
このようにして、クライアント装置CL’は、サーバ装置SVより部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報、製品の全体画像の画像データ、および、選択領域の座標データを受信すると、図18(c)に示すように、表示領域DDc’には、全体画像の画像データと選択領域をあらわす矩形の画像を表示するとともに、表示領域DDd’に受信した部品の画像や組付状態を表す画像を表示する。
【0097】
この場合、用紙PKには製品全体画像を重ねて印刷する必要がないので、領域選択シートとして1枚だけ携帯しておけば、どの製品のカタログでも共通して利用することができる。
【0098】
また、部品検索用の印刷紙としては、図19(a)に示すように、製品全体画像そのものを印刷した用紙PFを用いることができる。
【0099】
この場合、図19(b)に示すように、クライアント装置CL’の撮像部73で、目的とする部品が含まれる領域の用紙PFを撮影し、その撮影して得た画像データをサーバ装置SVへ送信する。また、このときクライアント装置CL’は、画像データの送信に先立って表示要求する製品の型番等の情報を通知する。
【0100】
サーバ装置SVでは、受信した画像データを、指定された製品の全体画像の画像データのどの部分であるか、例えば、パターンマッチング技術により判定し、その判定した部分を選択領域として認識する。そして、指定された製品について、その選択領域の座標に含まれる部品をカタログデータベース1より検索し、その検索により取得した部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報と、要求された製品の全体画像の画像データ、および、解析した選択領域の座標データをクライアント装置CL’へ送信する。
【0101】
このようにして、クライアント装置CL’は、サーバ装置SVより部品の画像データや組付状態を表す画像データなどの情報、製品の全体画像の画像データ、および、選択領域の座標データを受信すると、図19(c)に示すように、表示領域DDc’には、全体画像の画像データと選択領域をあらわす矩形の画像を表示するとともに、表示領域DDd’に受信した部品の画像や組付状態を表す画像を表示する。
【0102】
なお、この場合、製品全体画像そのものを印刷した用紙PFを撮影した画像からは、もとの製品全体画像中のどこの部分かを検索しなければならない。この場合は、必ずしも正しく撮影領域を判定することができない場合も考えられるため、判定の確度に応じて、複数の選択肢を見つけ、利用者にどれが求めるものかを表示させ、利用者に確認させてもよい。
【0103】
また、検索結果として複数の部品が与えられている場合は、利用者のキー入力に従い、部品の単体表示画像と部品の組み付け状態表示画像の組を順番に表示することもできる。
【0104】
また、クライアント装置CL’に十分な記憶容量がない場合は、上記の検索結果はサーバ装置SVに蓄積しておき、利用者のキー入力に従い、次の検索結果の部品の単体表示画像と部品の組み付け状態表示画像の組を得て表示するようにすることもできる。
【0105】
ところで、図20(a)に示すように、実際の製品MMに、各部の場所を示す情報(例えば、QRコード(商標)やバーコード等)を印刷した紙片MK1,MK2を添付し、その紙片MK1,MK2をクライアント装置CL’の撮像部73で撮影することで、部品検索をおこなってもよい(同図(b),(c)参照)。
【0106】
通常は、この紙片MK1,MK2は製品内部やカバー裏等の目立たない場所に添付する。
【0107】
なお、上述した実施例では、クライアント・サーバシステムにより、本発明のカタログ表示システムを構成しているが、単体のシステムで構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施例にかかるパーツカタログ表示システムの一例を示したブロック図。
【図2】サーバ装置SVの装置構成の一例を示したブロック図。
【図3】クライアント装置CLの装置構成の一例を示したブロック図。
【図4】カタログデータの一例を示した概略図。
【図5】ユニット表示およびパーツ単体表示の一例を示した概略図。
【図6】パーツ組付け図の2態様を示した概略図。
【図7】パーツ組付け図の他の2態様を示した概略図。
【図8】境界情報計測について例示した概略図。
【図9】クライアント装置CLの画像表示部5に表示されるカタログ表示画面の一例を示した概略図。
【図10】サーバ装置SVの処理の一例を示したフローチャート。
【図11】クライアント装置CLの処理の一例を示したフローチャート。
【図12】クライアント装置CLの画像表示部5に表示されるカタログ表示画面の他の例を示した概略図。
【図13】本発明の他の実施例にかかるパーツカタログ表示システムの一例を示したブロック図。
【図14】クライアント装置CL’の装置構成の一例を示したブロック図。
【図15】クライアント装置CL’を用いてカタログを表示する際の一例を示した概略図。
【図16】サーバ装置SVの処理の他の例を示したフローチャート。
【図17】クライアント装置CL’の処理の一例を示したフローチャート。
【図18】クライアント装置CL’を用いてカタログを表示する際の他の例を示した概略図。
【図19】クライアント装置CL’を用いてカタログを表示する際のさらに他の例を示した概略図。
【図20】クライアント装置CL’を用いてカタログを表示する際のまたさらに他の例を示した概略図。
【符号の説明】
【0109】
SV サーバ装置
CL,CL’ クライアント装置
1 カタログデータベース
2 部品検索部
3 サーバインタフェース部
5 画像表示部
6 領域指定部
7,7’ クライアントインタフェース部
8 画像入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品全体画像、当該製品を構成する各部品をあらわす複数の部品画像、各部品について組付け状態をあらわす部品組付画像、および、それぞれの部品の組付位置をあらわす部品組付位置情報を記憶したパーツカタログデータベースに基づき、視覚的に立体的なパーツカタログを表示するパーツカタログ表示システムにおいて、
製品全体画像の表示画面中に、指定領域を表示し、当該指定領域に含まれる部品について、部品画像および部品組付画像を表示するようにしたことを特徴とするパーツカタログ表示システム。
【請求項2】
前記指定領域は、大きさがあらかじめ設定された少なくとも1つの矩形領域を、前記表示画面中で任意の位置へ移動したものであることを特徴とする請求項1記載のパーツカタログ表示システム。
【請求項3】
前記製品全体画像は、前記表示画面中で所定の倍率で変倍表示されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のパーツカタログ表示システム。
【請求項4】
前記製品全体画像を印刷した製品全体画像印刷用紙と、
前記製品全体画像印刷用紙を撮影する撮影手段をさらに備え、
前記撮影手段が撮影した画面の矩形領域を、前記指定領域として適用することを特長とする請求項1又は請求項2または請求項3記載のパーツカタログ表示システム。
【請求項5】
前記製品全体画像印刷用紙には、所定パターンからなる地紋を背景とし、前記製品全体画像の線画が印刷され、
前記撮影手段が撮影した画面の矩形領域は、当該画面に含まれる前記地紋の画像に基づいて、その座標が判断されることを特長とする請求項4記載のパーツカタログ表示システム。
【請求項6】
前記製品全体画像印刷用紙には、所定パターンのみが印刷され、
前記撮影手段が撮影した画面の矩形領域は、当該画面に含まれる前記パターンの画像に基づいて、その座標が判断されることを特長とする請求項4記載のパーツカタログ表示システム。
【請求項7】
前記パーツカタログデータベースと、
前記パーツカタログデータベースから指定された領域に含まれる部品を検索する部品検索手段を備えたサーバ装置と、
前記パーツカタログを表示する表示手段と、
前記指定領域を指定する指定手段を備えたクライアント装置からなり、
前記サーバ装置とクライアント装置とが通信により必要な情報をやりとりすることを特長とする請求項1または請求項2または請求項3記載のパーツカタログ表示システム。
【請求項8】
前記パーツカタログデータベースと、
前記パーツカタログデータベースから指定された領域に含まれる部品を検索する部品検索手段を備えたサーバ装置と、
前記パーツカタログを表示する表示手段と、
前記撮影手段を備えたクライアント装置からなり、
前記サーバ装置とクライアント装置とが通信により必要な情報をやりとりすることを特長とする請求項4または請求項5または請求項6記載のパーツカタログ表示システム。
【請求項9】
製品全体画像、当該製品を構成する各部品をあらわす複数の部品画像、各部品について組付け状態をあらわす部品組付画像、および、それぞれの部品の組付位置をあらわす部品組付位置情報を記憶したパーツカタログデータベースに基づき、視覚的に立体的なパーツカタログを表示するパーツカタログ表示システムの制御方法において、
製品全体画像の表示画面中に、指定領域を表示し、当該指定領域に含まれる部品について、部品画像および部品組付画像を表示するようにしたことを特徴とするパーツカタログ表示システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−316832(P2007−316832A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144134(P2006−144134)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】