説明

ヒ−トシ−ル性多層積層フィルムおよびそれを使用した積層体、包装用袋、包装製品

【課題】 内容物を充填包装し、その包装体内に存在ないし発生する酸素を十分に捕捉し、その酸素捕集機能を発揮し、内容物の品質を保護するに有用な包装用材料、包装用袋、包装製品等を提供することである。
【解決手段】 少なくとも5層からなる共押出製膜化フィルムからなり、更に、該フィルムの表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とが、低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、上記のフィルムを構成する第2層と第4層とが、ポリプロピレン系樹脂層からなり、更に、上記のフィルムの中芯層を構成する第3層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなることを特徴とするヒ−トシ−ル性多層積層フィルムおよびそれを使用した積層体、包装用袋、包装製品に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒ−トシ−ル性多層積層フィルムおよびそれを使用した積層体、包装用袋、包装製品に関し、更に詳しくは、内容物を充填包装し、その包装体内に存在ないし発生する酸素を捕捉し、内容物の品質を保護する包装製品を製造するに有用なヒ−トシ−ル性多層積層フィルムおよびそれを使用した積層体、包装用袋、包装製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックフィルム、紙基材、金属箔ないしその蒸着膜、その他等の材料を使用し、それらを任意に組み合わせて積層し、種々の層構成からなる包装用材料を製造し、次いで、これを使用して製袋し、種々の形態からなる包装用袋を製造し、しかる後、その包装用袋内に、例えば、各種の飲食料品、液体洗剤等の化成品ないし化粧品、医薬品、雑貨品、産業部材、その他、種々の物品を充填包装し、種々の形態からなるプラスチック製包装製品が、開発され、提案されている。
而して、上記のプラスチック製包装製品においては、内容物の品質の保護、保存期間の延長、その他等の要請から、ヒ−トシ−ル性に優れ、密封性を十分に満足し得るものであると共に消費時に包装用袋を容易に開封することができる易開封性を有することが要求されるものである。
また、充填包装する内容物によっては、例えば、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性を有すること、あるいは、内容物の臭味等を保護する保香性を有すること等も要求されているものである。
更に、太陽の光、蛍光灯の光等の透過を阻止する遮光性ないし光遮断性等を有することも要求されるものである。
そのため、近年、種々の素材、材料等を使用し、種々の層構成からなる包装用材料を開発し、それに伴って種々の形態からなる包装用袋、包装製品等が、開発され、提案されている。
而して、近年、それらの一つとして、例えば、熱可塑性樹脂15〜70重量%と、一次粒子径0.01〜20μmの粉体が5〜200μmに凝集した鉄粉系酸素吸収剤30〜85重量%からなる熱可塑性樹脂組成物を厚さ10μm〜5mmにシ−ト加工した後、少なくとも一軸方向に1.5〜8.0倍の倍率で延伸された酸素吸収シ−トにおいて、該酸素吸収シ−トの片面または両面に充填剤と樹脂成分とからなる樹脂組成物を多孔質層として配してなることを特徴とする酸素吸収多層シ−トが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、他の一つとして、例えば、容器から酸素を除去することによりまた容器外から酸素が容器内に進入するのを阻止することにより容器の内容物の酸化を防止する容器として好適な製造物品であって、この物品が、ポリマ−主鎖、環状オレフィン懸垂基、主鎖にオレフィン懸垂基を結合する結合基そして遷移金属触媒を含む酸素捕集組成物からなる包装物品、多層フィルム、容器、製造法、その他等も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特許第3081976号公報。
【特許文献2】特表2003−521552号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に係る酸素吸収多層シ−トにおいては、酸素吸収能力および酸素吸収速度の制御性に優れ、特に、液体(水、水溶液等)または液体を含有する物(固形物、ペ−スト状物等)に接触した場合の酸素吸収剤の溶出汚染防止性に優れることから、特に、高含水食品等の包装材料、例えば、トレ−、フタ材、王冠ライナ−、台紙等に幅広く使用できると記載されているが、実際的には、脱酸素剤としての鉄粉の影響により、例えば、脱酸素剤としての鉄粉等が、表面に溶出し、滲出し、その用をなさないという問題点があり、更に、目視あるいは金属探知機等による検査を行うことも困難であり、また、電子レンジ調理等にも適さないという問題点があるものである。
また、上記の特許文献2に係る包装用フィルム、包装用材料等を使用し、更に、それから包装用容器を製造し、次いで、それを使用した包装製品等を製造したところ、例えば、基材フィルムとして、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを使用する場合には、該2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、近紫外光である350nm付近から吸収があることから、包装製品に紫外光を照射し、遷移金属触媒をとおして、例えば、酸素吸収性樹脂としてのシクロヘキセン環の不飽和結合部へラジカルをアタックさせ、連鎖反応から酸素を結合し、吸収するという酸素捕集機能について、これを充分に奏することが困難であるという問題点がある。
また、通常、包装製品においては、充填包装する内容物を表示、説明、その他等のために、包装用袋を形成する基材フィルムに、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他等からなる印刷模様層を設けるものであり、而して、そのような印刷模様層等を設ける場合、その印刷模様層の下地層として黒色ないし白色の一色からなる全ベタの下地印刷層を形成するものである。
ところで、上記のような下地印刷層を形成すると、上記と同様に、包装製品に紫外光を照射し、遷移金属触媒をとおして、例えば、酸素吸収性樹脂としてのシクロヘキセン環の不飽和結合部へラジカルをアタックさせ、連鎖反応から酸素を結合し、吸収するという酸素捕集機能について、これが充分に奏されていないことが判明したものである。
ましてや、基材フィルムとして、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを使用し、これに所望の印刷模様層、下地印刷層等を設ける場合には、酸素捕集機能を全く期待し得ないことが判明したものである。
そこで本発明は、内容物を充填包装し、その包装体内に存在ないし発生する酸素を十分に捕捉し、その酸素捕集機能を発揮し、内容物の品質を保護するに有用な包装用材料、包装用袋、包装製品等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々検討の結果、まず、少なくとも5層からなる共押出製膜化フィルムからなり、更に、該フィルムの表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とが、低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、上記のフィルムの中間層を構成する第2層と第4層とが、ポリプロピレン系樹脂層からなり、更に、上記のフィルムの中芯層を構成する第3層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなるヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを製造し、次いで、上記のヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを使用し、基材フィルム、バリア性基材フィルム、および、上記のヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを順次に積層して積層体を製造し、更に、上記の積層体を使用し、該積層体を、そのヒ−トシ−ル性多層積層フィルムの面を対向させて重ね合わせ、次に、その外周周辺の端部をヒ−トシ−ルして包装用袋を製袋し、しかる後、その包装用袋内に、その開口部から内容物を充填包装すると共にその充填包装前、または、または、充填包装後、あるいは、充填包装と同時に、該包装用袋の内面に紫外線を照射し、次いで、上記の開口部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成し、密閉して包装製品を製造したところ、内容物を充填包装した後、外部からの包装体内への酸素ガス等の透過を遮断、阻止すると共にその包装体内に存在ないし発生する酸素を捕捉し、その包装製品を長期間、貯蔵、保管、展示しておいても、内容物の色、味、匂い等の変化は認められず、内容物の品質を極めて良好に保護することができ、品質の向上、シェルフライフの延長を可能とし、勿論、剛性、強度等に優れ、かつ、高い保形性、自立性に優れ、更に、包装材料の減量、減容化を達成し、環境負荷軽減に大きく貢献できる有用なヒ−トシ−ル性多層積層フィルム、積層体、包装用袋、包装製品等を見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、少なくとも5層からなる共押出製膜化フィルムからなり、更に、該フィルムの表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とが、低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、上記のフィルムの中間層を構成する第2層と第4層とが、ポリプロピレン系樹脂層からなり、更に、上記のフィルムの中芯層を構成する第3層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなることを特徴とするヒ−トシ−ル性多層積層フィルムおよびそれを使用した積層体、包装用袋、包装製品に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る包装製品においては、まず、内容物を充填包装すると共に該包装用袋の内面に、その内面側から紫外光を照射し、次いで、開口部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して密閉することから、紫外光は、酸素吸収性樹脂層に容易に到達し、これにより、該酸素吸収性樹脂層を構成する遷移金属触媒が、酸化性樹脂に作用し、該酸化性樹脂が、包装用袋内のヘッドスペ−ス等に存在する酸素、あるいは、内容物中に含まれている酸素あるいは発生する酸素等を結合し、吸収するという酸素捕集機能を奏し、その結果、包装製品の外から透過してくる酸素は、バリア性基材フィルムでその透過を阻止する機能と相まって、内容物の品質、鮮度、その他等を、例えば、充填包装したときのその状態をほぼそのままあるいはそれ以上の状態で維持し、更に、その包装製品を長期間貯蔵、保管、展示等においても、内容物の色、味、匂い等の品質の変化は、ほとんど認められず、内容物の品質、鮮度、その他等を極めて良好に保護することができ、その品質の向上、シェルフライフの延長を可能とするものである。
また、本発明に係る包装製品においては、表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とを、低密度ポリエチレン系樹脂層で構成し、また、第2層と第4層とを、ポリプロピレン系樹脂層で構成することにより、製袋時のヒ−トシ−ル性に優れ、その密封性を十分に満足し得るものであると共に包装用袋を容易に開封することができる易開封性を有し、更に、剛性、強度等に優れ、かつ、高い保形性、自立性に優れ、更に、包装材料の減量、減容化を達成し、環境負荷軽減に大きく貢献できるものである。
更に、本発明に係る包装製品においては、その外観を損ねることもなく、その美粧性等にも優れ、上記の内容物保護性能と両立し、更に、内容物の製品寿命等を延ばすことも可能なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、上記の本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムおよびそれを使用した積層体、包装用袋、包装製品等について図面等を用いて更に詳しく説明する。
まず、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルム、積層体、包装用袋、包装製品等について図面等を用いて説明すると、図1および図2は、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムについてその一二例の層構成を示す概略的断面図であり、図3は、上記の図1に示す本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを使用した積層体についてその一例の層構成を示す概略的断面図であり、図4は、上記の図3に示す本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを使用した積層体を使用し、これを製袋して製造した本発明に係る包装用袋についてその構成の一例を示す概略的斜視図であり、図5および図6は、図4に示す本発明に係る包装用袋内に内容物を充填包装した本発明に係る包装製品についてその構成の一例を示す概略的斜視図である。
【0008】
まず、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムAとしては、図1に示すように、少なくとも5層からなる共押出製膜化フィルム1からなり、更に、該フィルム1の表面層を構成する第1層2と裏面層を構成する第5層3とが、低密度ポリエチレン系樹脂層4、4aからなり、また、上記のフィルム1の中間層を構成する第2層5と第4層6とが、ポリプロピレン系樹脂層7、7aからなり、更に、上記のフィルム1の中芯層を構成する第3層8が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層9からなることを基本構造とするものである。
【0009】
而して、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムについて別の例を例示すると、図2に示すように、少なくとも7層からなる共押出製膜化フィルム11からなり、更に、該フィルム11の表面層を構成する第1層12と裏面層を構成する第7層13とが、低密度ポリエチレン系樹脂層14、14aからなり、また、上記のフィルム11の第1の中間層を構成する第2層15と第6層16とが、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層17、17aからなり、また、上記のフィルム11の第2の中間層を構成する第3層18と第5層19とが、ポリプロピレン系樹脂層20、20aからなり、更に、上記のフィルム11の中芯層を構成する第4層21が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層22からなる本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムA1を挙げることができる。
【0010】
次に、本発明において、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを使用した積層体についてその一例を例示してその構成について説明すると、かかる本発明に係る積層体Bとしては、例えば、上記の図1に示す本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムAを使用した本発明に係る積層体を例示して説明すると、図3に示すように、上記の図1に示す本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムAを使用し、基材フィルム25、バリア性基材フィルム26、および、上記の図1に示すヒ−トシ−ル性多層積層フィルムAを順次に積層したことを基本積層構造とするするものである。
上記において、基材フィルム21には、所望の印刷模様層27(図2)等を設けることができるものである。
なお、第2図中、符号、1、2、3、4、4a、5、6、7、7a、8、9は、上記の図1中のそれらと同じ意味である。
【0011】
次に、本発明において、上記のような本発明に係る積層体を使用して製袋した本発明に係る包装用袋についてその一例を例示してその構成について説明すると、かかる本発明に係る包装用袋Cとしては、例えば、上記の図3に示す本発明に係る積層体Bを使用して製袋した本発明に係る包装用袋を例示して説明すると、図4に示すように、上記の本発明に係る積層材B、Bを2枚用意し、その最内層に位置するヒ−トシ−ル性多層積層フィルムA、Aの面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部31、31、31を形成すると共に開口部32を形成して、本発明に係る三方シ−ル型の包装用袋Cを製造することができる。
【0012】
而して、本発明においては、図5に示すように、上記で製造した本発明に係る包装用袋Cを使用し、その開口部32から、例えば、紫外線照射装置33を用いて、それを矢印Pで示すように上下に移動させて、上記の包装用袋Cの内面に、紫外光34を照射し、次いで、図6に示すように、紫外光34を照射した本発明に係る包装用袋C内に、その開口部32から、例えば、飲食料品、雑貨品、その他の物品からなる各種の内容物35を充填し、次いで、その開口部32をヒ−トシ−ルして上部シ−ル部36を形成して、本発明に係る包装製品Dを製造することができる。
【0013】
なお、本発明においては、図示しないが、例えば、縦型あるいは横型のピロ−型包装用袋充填包装機等を使用し、まず、巻取りロ−ルから上記のような本発明に係る包装製品を構成する包装用袋を形成する積層体を原反フィルムの状態で供給し、次いで、原反フィルムの状態である該積層体を構成するヒ−トシ−ル性多層積層フィルムの面に、紫外光を照射し、次いで、背シ−ル、エンドシ−ル(底シ−ル)、内容物を充填、トップシ−ル等の通常の製袋、内容物の充填包装等の各工程を経て、上記と同様に、本発明に係る包装製品を製造することができる。
また、本発明においては、図示しないが、上記の包装用袋においては、例えば、IノッチあるいはVノッチ等の開封用切れ目を設けることもできるものである。
なお、上記の図2に示す本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを使用し、上記と同様にして上記と同様に本発明に係る積層体、包装用袋、包装製品等を製造し得ることは言うまでもないことである。
【0014】
上記の例示は、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルム、積層体、包装用袋、あるいは、包装製品についてその一例を例示したものであり、本発明は、これによって限定されるものではないことは言うまでもないことである。
例えば、本発明においては、図示しないが、その使用目的、用途等によって、更に他の基材を任意に積層して、種々の層構成する積層体を設計して製造することができるものである。
また、例えば、本発明に係る包装用袋の形態としては、図示しないが、例えば、ピロ−包装形態、ガセット包装形態、スタンディング(自立性)パウチ包装形態、その他等の種々の形態からなる包装用袋を製造し得るものである。
更に、本発明において、図示しないが、紫外光の照射については、例えば、製袋前の原反フィルムの状態、内容物の充填前の包装用袋、または、充填後の包装用袋、あるいは、充填と同時に包装用袋等に紫外光を照射することができるものである。
なお、上記において、図示しないが、基材フィルム、バリア性基材フィルム、および、ヒ−トシ−ル性多層積層フィルム等を積層する積層法としては、例えば、ラミネ−ト用接着剤層を介して積層するドライラミネ−ト積層法、あるいは、アンカ−コ−ト剤層、溶融押出樹脂層等を介して積層する溶融押出積層法、その他等で積層することができる。
【0015】
次に、本発明において、上記の本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルム、積層体、包装用袋、包装製品等を構成する材料、製造法等について説明すると、まず、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムについて説明すると、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムとしては、主に、ヒ−トシ−ル性能と酸素吸収性能を有し、例えば、本発明に係る積層体を使用し、これを製袋し、包装用袋を製造するとき、あるいは、包装製品等を製造するときに、ヒ−トシ−ルによりシ−ル部を形成し、包装用袋、包装製品等を製袋ないし製造する機能を奏するものであると共に該包装用袋、包装製品等のヘッドスペ−ス等に存在する酸素、あるいは、内容物中に含まれている酸素あるいは発生する酸素等を結合し、吸収するという酸素捕集機能を有するものである。
勿論、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムは、剛性、強度等に優れ、かつ、高い保形性、自立性に優れ、更に、包装材料の減量、減容化を達成し、環境負荷軽減に大きく貢献できるものである。
而して、本発明において、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムは、低密度ポリエチレン系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物による低密度ポリエチレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物によるポリプロピレン系樹脂層、および、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層とからなる共押出製膜化フィルムとして構成することができるものである。
更に、本発明において、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムは、低密度ポリエチレン系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物による低密度ポリエチレン系樹脂層、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とをビヒクルの主成分とする混合樹脂組成物による混合樹脂層、ポリプロピレン系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物によるポリプロピレン系樹脂層、および、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層とからなる共押出製膜化フィルムとして構成することができるものである。
【0016】
本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムについて更に詳しく説明すると、まず、本発明においては、低密度ポリエチレン系樹脂の1種ないし2種以上をビヒクルの主成分とし、これに、更に必要ならば、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを形成する第1の樹脂組成物を調整する。
また、本発明においては、上記と同様に、ポリプロピレン系樹脂の1種ないし2種以上をビヒクルの主成分とし、これに、更に必要ならば、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを形成する第2の樹脂組成物を調整する。
更に、本発明においては、上記と同様に、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含み、更に、要すれば、結合剤としての熱可塑性樹脂、あるいは、ラジカル発生剤または光増感剤、その他等の添加物、例えば、その製膜化に際して、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、本発明に係る酸素吸収性樹脂層を形成する第3の樹脂組成物を調製する。
また、本発明においては、上記と同様に、ポリプロピレン系樹脂の1種ないし2種以上とポリエチレン系樹脂の1種ないし2種以上との混合樹脂をビヒクルの主成分とし、これに、更に必要ならば、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、要すれば、溶剤、希釈剤等を添加し、十分に混練して、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを形成する第4の混合樹脂組成物を調整する。
なお、本発明において、上記のプラスチック配合剤や添加剤等としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、難燃剤、耐炎剤、発泡剤、防カビ剤、顔料、染料、分散剤、界面活性剤、ブロッキング防止剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができ、更に、その添加量としては、極く微量から数十重量%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
【0017】
次に、本発明においては、まず、上記で第1、2、3の各樹脂組成物を調製した後、その第1、2、3の樹脂組成物を使用し、それらを、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を使用して共押出成形し、共押出製膜化フィルムからなる本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを製造することができる。
而して、本発明において、上記の第1、2、3の各樹脂組成物を使用し、共押出製膜化フィルムを製造する具体的方法について説明すると、本発明においては、まず、上記で調製した第1、2、3の樹脂組成物を使用し、次いで、これらを、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を使用して共押出製膜化して、表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とが、上記の第1の樹脂組成物による低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、中間層を構成する第2層と第4層とが、上記の第2の樹脂組成物によるポリプロピレン系樹脂層からなり、更に、中芯層を構成する第3層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む第3の樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなる3種5層の共押出製膜化フィルムからなる本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを製造することができる。
【0018】
あるいは、本発明においては、まず、上記で第1、2、3、4の各樹脂組成物を調製した後、その第1、2、3、4の樹脂組成物を使用し、次いで、それらを、例えば、Tダイ共押出機、インフレーション共押出機等を使用して共押出製膜化して、表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第7層とが、上記の第1の樹脂組成物による低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、第1の中間層を構成する第2層と第6層とが、上記の第4の混合樹脂組成物によるポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層からなり、更に、第2の中間層を構成する第3層と第5層とが、上記の第2の樹脂組成物によるポリプロピレン系樹脂層からなり、更にまた、中芯層を構成する第4層が、上記の酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む第3の樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなる4種7層の共押出製膜化フィルムからなる本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを製造することができる。
【0019】
上記の例示は、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムおよびその製造法についてその一二例を例示したものであり、本発明は、これに限定されるものではないものである。
本発明においては、上記の第1、2、3、4の各樹脂組成物の他、更に他の樹脂組成物等を調製し、それらを任意に選択し、それらを組み合わせて、共押出製膜化して、種々の層構成からなる本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを製造法することができるものである。
また、本発明においては、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを製造するに際して、更に、その使用目的、用途等によって、他の材料を使用し、これを任意に共押出積層して、種々の層構成からなる本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを設計して製造することができるものである。
【0020】
次に、本発明において、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムの膜厚としては、上記の3種5層の共押出製膜化フィルムからなる本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムの場合を例とすると、総厚、約45μm〜450μm位、好ましくは、70μm〜270μm位が望ましいものである。
なお、本発明において、上記の3種5層の共押出製膜化フィルムからなる本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムの場合、その膜厚としては、上記の膜厚より更に、若干、厚くなるものである。
而して、上記の本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムにおいて 、該ヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを構成する各層の膜厚としては、まず、中芯層を構成する酸素吸収性樹脂層の膜厚としては、膜厚5μm〜50μm位、好ましくは、10μm〜30μm位の範囲からなることが望ましいものである。
次に、第1層と第5層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂層の膜厚としては、膜厚10μm〜100μm位、好ましくは、15μm〜60μm位の範囲からなることが望ましいものである。
また、第2層と第4層を構成するポリプロピレン系樹脂層の膜厚としては、膜厚10μm〜100μm位、好ましくは、15μm〜60μm位の範囲からなることが望ましいものである。
なお、第2の中間層である第3層と第5層を構成するポリプロピレン系樹脂層の場合も、上記の膜厚と同様であることが好ましいものである。
更に、本発明において、第1の中間層である第2層と第6層を構成するポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層の膜厚としては、膜厚10μm〜100μm位、好ましくは、15μm〜60μm位の範囲からなることが望ましいものである。
【0021】
上記において、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムの膜厚が、45μm、更には、70μm未満であると、フィルム自体の製膜が困難となること、また、強度が低下し、やぶれ、傷等の不具合が生じやすいこと等の理由から好ましくなく、また、450μm、更には、270μmを超えると、フィルムの強度等においては問題ないが、環境面、コスト面等から好ましくないものである。
また、上記において、本発明に係る中芯層を構成する酸素吸収性樹脂層の膜厚が、5μm、更には、10μm未満であると、要求される酸素吸収物性が十分に発揮されない可能性が高くなる等の理由から好ましくなく、また、50μm、更には、30μmを超えると、コスト的に上昇すること、酸素吸収により強度劣化した層がフィルム全体の物性に影響を与えること等の理由から好ましくないものである。
更に、上記において、本発明に係る第1層と第5層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂層の膜厚が、10μm、更には、15μm未満であると、シ−ル層としての機能が低下し、ヒ−トシ−ル強度が不十分となる可能性がある等の理由から好ましくなく、また、100μm、更には、60μmを超えると、シ−ル強度として問題ないが、コストの上昇、環境面の問題等の理由から好ましくないものである。
また、上記において、本発明に係る第2層と第4層を構成するポリプロピレン系樹脂層の膜厚が、10μm、更には、15μm未満であると、シ−ル層としての機能が低下し、ヒ−トシ−ル強度が不十分となる可能性がある等の理由から好ましくなく、また、100μm、更には、60μmを超えると、シ−ル強度として問題ないが、コストの上昇、環境面の問題等の理由から好ましくないものである。
なお、第2の中間層である第3層と第5層を構成するポリプロピレン系樹脂層の場合も、上記と同様である。
また、本発明において、第1の中間層である第2層と第6層を構成するポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層の膜厚が、10μm、更には、15μm未満であると、シ−ル層としての機能が低下し、ヒ−トシ−ル強度が不十分となる可能性がある等の理由から好ましくなく、また、100μm、更には、60μmを超えると、シ−ル強度として問題ないが、コストの上昇、環境面の問題等の理由から好ましくないものである。
【0022】
上記において、本発明に係る酸素吸収性樹脂層を構成する酸化性樹脂としては、例えば、次に例示するような材料を使用することができる。
(1).エチレン系不飽和炭化水素ポリマ−:少なくとも1,000の分子量を有するエチレン系不飽和炭化水素ポリマ−、アタクチック−1,2−ポリブタジエン、EPDMゴム、ポリオクテナマ−、1,4−ポリブタジエン、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、部分的に重合した不飽和脂肪酸およびエステル、ブロックまたはグラフトコポリマ−、ヒドロサイト様材料を使用することができる。
酸素吸収アニオンがアスコルビン酸アニオン、チオ−ル酸アニオン、フェノ−ル酸アニオン、又はその混合物、重亜硫酸、ジチオン酸またはその混合物。
これらのキャリア−がポリエチレン、ポリオレフィン、エチレン/酢酸ビニルコポリマ−、ブチルゴム、スチレン/ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマ−、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロックコポリマ−、塩化ビニルホモポリマ−、塩化ビニルポリマ−およびそのブレンドから構成される群から選択される熱可塑性樹脂。
【0023】
(2).主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマ−:数平均分子量が、1,000〜500,000の範囲である。
1 はは炭素原子数1〜10のアルキル基、アリ−ル基、アルキルアリ−ル基、またはアルコキシ基であり、R2 およびRが各々水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、置換アリ−ル基、非置換アリ−ル基、−COOR4 、−OCOR5 、シアノ基、またはハロゲン原子であり、R4 およびR5 は各々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、アリ−ル基、アルキルアリ−ル基またはアルコキシ基である。
炭素−炭素の二重結合が、0.0001eq/g以上の割合で含有される熱可塑性樹脂。
構造式 −CH2 −CH−

C−R1

2 −C−R3
−R1 、R2 、R3 がメチル基および各々水素原子である樹脂組成物。
【0024】
(3).ポリエ−テルユニットポリマ−:ポリエ−テルユニットを有する重合体100重量部に対して0.001〜10重量部の酸化触媒を含む重合体。
ポリエ−テルユニットが、ポリアルキレングリコールエーテルセグメントをソフトセグメントとし、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンセグメントからなる群から選ばれる少なくとも一種をハードセグメントとして有するマルチブロック共重合体。
ポリエーテルユニットを含有する重合体。
ポリエーテルユニットを含有する重合体としては、ポリエーテルユニットとして芳香族ポリエーテルユニット、ポリアルキレンエーテルユニット(脂肪族ポリエーテルユニット)その他一般的に知られるポリエーテルユニットを含有する重合体であれば、単一重合体であっても共重合体であっても良い。
芳香族ポリエーテルユニットを含有する重合体としては、ポリ(2、6−ジメチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエ−テル)等に代表されるポリフェニレンエ−テル、もしくはこれらを含む共重合体が挙げられる。 ポリアルキレンエ−テルユニットを含有する重合体としては、ポリメチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリ(1,2−プロピレングリコ−ル)、ポリ(1,3−プロピレングリコ−ル)、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリ(1,2−ブチレングリコ−ル)、ポリヘキサメチレングリコ−ル等の直鎖状、及び分岐状の脂肪族エーテルの他、シクロヘキサンジオ−ルの縮合体やシクロヘキサンジメタノ−ルの縮合体等の脂環状エ−テルの単一重合体または共重合体が挙げられる。
また、これらエ−テルユニット内でのランダム共重合体も本発明の主旨の中に含まれる。
ポリアルキレンエ−テルユニットを含有する重合体が特に好適に用いられ、この中でもポリアルキレンエ−テルユニットを有するマルチブロック共重合体を好適に用いることが出来る。
これらのマルチブロック共重合体としては、芳香族ポリエステルとポリアルキレンエ−テルを用いたポリエステルエ−テルブロック共重合体(ポリエステル系熱可塑性弾性体)、脂肪族ポリエステルとポリアルキレンエ−テルを用いたマルチブロック共重合体、や短鎖グリコ−ルとジイソシアネ−トとの重合体からなるハ−ドセグメントとジイソシアネ−トとポリアルキレンエ−テルとの重合体からなるソフトセグメントを有するポリウレタン系熱可塑性弾性体、ポリアミドとポリアルキレンエ−テルを用いたポリアミドポリエ−テル共重合体(ブロックコポリエ−テルアミド、ブロックコポリエ−テルエステルアミド、ブロックコポリエ−テルエステルエ−テルアミド等)があげられる。
ポリアルキレンエ−テルと共重合するセグメントが、結晶性を有する場合、一般的にこれらの共重合体は弾性体となる。
これらの共重合体が含有するポリアルキレンエ−テルユニットとしては、数平均分子量が400〜6,000のポリアルキレンエ−テル(例えば、ポリエチレングリコ−ル、ポリ(1,2−及び1,3−プロピレングリコ−ル)、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリヘキサメチレングリコ−ルなど)が好適に使用できる。
特に好ましいものはポリテトラメチレングリコ−ルである。
ポリアルキレンエ−テルユニットとしては、数平均分子量が400〜6,000のものが通常使用されるが、600〜4,000のものが好ましく、特に1,000〜3,000のものが好適である。
この数平均分子量が400未満では、十分な酸素吸収性能を発揮できない。
一方6,000を超えるものは、系内での相分離が起きやすく共重合等で得られるポリマ−の物性が低下する傾向となる(特開2003−64250号公報参照。)。
【0025】
(4).エチレンと歪んだ環状アルキレンのコポリマ−:環状アルキレンがシクロペンテン、シクロブテン、シクロプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロヘキセンを含む。
および光増感剤(特表2003−504042号公報参照。)。
【0026】
(5).ポリアミド樹脂:ポリ−m−キシリレン−アジパミド、ナイロン6−6、ホモポリマーの例としてポリ−m−キシリレンアジパミド、ポリ−m−キシリレンセバカミドおよびポリ−m−キシリレンスペラミド、コポリマーの例としてm−キシリレン/p−キシリレンアジパミドコポリマー、m−キシリレン/p−キシリレンピペラミドコポリマー、m−キシリレン/p−キシリレンアゼラミドコポリマーが挙げられる。
脂肪族ジアミンの例として、ヘキサメチレンジアミン、環状ジアミンの例として、ピペラジン、芳香族ジアミンの例として、p−ビス(2−アミノエチル)ベンゼン、芳香族ジカルボン酸の例として、テレフタル酸が挙げられる。
その他にべンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、N,N’−ジメチルメタキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメタキシリレンジアミン、N,N’−ジメチルパラキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルパラメタキシリレンジアミン、N,N’−ジエチルメタキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルメタキシリレンジアミン、N,N’−ジエチルパラキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルパラキシリレンジアミン、1,3,5−トリス(アミノメチル)ベンゼン、メタキシリレンジアミン又はパラキシリレンジアミンと有機カルボン酸、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、ト−ル油脂肪酸などのモノカルボン酸およびアジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸などのジカルボン酸との塩およびアミド、エポキシ樹脂硬化剤として広く用いられているメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとホルムアルデヒド及びフェノ−ルとの反応によって得られるマンニッヒ塩基、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとアクリロニトリル、メチルメタクリレートなどのビニル化合物との付加体、メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンとエポキシ化合物、例えばビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノ−ルF系エポキ樹脂、ブチルグリシジルエ−テルなどとの付加体、及びこれら硬化剤により硬化されたエポキシ樹脂硬化物、テトラグリシジルメタキシリレンジアミンで代表されるアミノ基含有エポキシ化合物、メタキシリレンジイソシアネ−ト、パラキシリレンジジイソシアネ−トで代表されるイソシアネ−ト化合物とそれぞれから誘導されるポリウレタン等を例示することができるがこれらのものを複数配合して使用することもできる。
【0027】
(6).酸変性ポリブタジエン:ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリ(エチレン−メチルアクリレ−ト)のエステル交換によって製造されるアクリレ−トまたはポリテルペン(特表2002−505575号公報参照。)。
【0028】
(7).ヒドロキシアルデヒドポリマ−:グリコ−ルアルデヒド、グリセルアルデヒド −脂肪族アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒドなどの脂肪族飽和アルデヒド、アクリルアルデヒド、フマルアルデヒドなどの脂肪族不飽和アルデヒド、グリコ−ルアルデヒド、グリセルアルデヒドなどのヒドロキシアルデヒド、2−メトキシエタナ−ルなどのアルコキシアルデヒド、2−オキソプロパナ−ルなどのオキソアルデヒド、2−アミノエタナ−ルなどのアミノアルデヒド、2−クロロエタナ−ルなどのハロゲン置換アルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒドなどの脂環式アルデヒド、2−フェニルエタナ−ルなどの芳香族環が置換したアルデヒド。
等の1種あいし2種以上のポリマ−を使用することができる。
而して、本発明において、上記のような酸化性樹脂は、主に、主鎖、および、骨格内、あるいは、側鎖等に不飽和二重結合ユニットを有し、その不飽和二重結合部分が、例えば、ラジカルによる連鎖反応等により、酸素との相互作用により飽和状態となることで酸素吸収等の機能を奏するものである。
本発明において、上記の酸化性樹脂としては、具体的には、例えば、エチレン/メチルアクリレ−ト/シクロヘキセニルメチルアクリレ−トタ−ポリマ−、シクロヘキセニルメチルアクリレ−ト/エチレンコポリマ−、シクロヘキセニルメチルアクリレ−ト/スチレンコポリマ−、シクロヘキセニルメチルアクリレ−トホモポリマ−またはメチルアクリレ−ト/シクロヘキセニルメチルアクリレ−トコポリマ−を使用することが好ましいものである。
【0029】
また、上記において、本発明に係る酸素吸収性樹脂層を構成する遷移金属触媒としては、例えば、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Sn、Cu又はその混合物から選択される遷移金属を使用することができる。
遷移金属がCo、Cu、Feまたはその混合物から選択される組成物、また、周期律表第VIII族金属成分が好ましいが、他に第I族金属:錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウム等の第V族、クロム等の第VI族、マンガン等の第VII族。
上記の遷移金属の低価数の無機酸塩あるいは有機酸塩あるいは錯塩の形で使用。
無機酸塩としては、塩化物などのハライド、硫酸塩等のイオウのオキシ酸塩、硝酸塩などの窒素のオキシ酸塩、リン酸塩などのリンのオキシ酸塩、ケイ酸塩等。
有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等。
カルボン酸塩が最適とされる。
具体例としては、酢酸、プロピオン酸塩、イソプロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、3、5、5−トリメチルヘキサン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マ−ガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、リンデル酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノ−ル酸、リノレン酸、アラキドン酸、ギ酸、シュウ酸、スルファミン酸、ナフテン酸等の遷移金属塩が挙げられる。
而して、本発明において、上記のような遷移金属触媒は、主に、紫外光(UV)等のエネルギ−を与えることで、ラジカル的分解反応を促進させ、上記に示した酸化性樹脂の酸素吸収を開始、発現させる等の機能を奏するものである。
本発明において、上記のような遷移金属触媒としては、具体的には、コバルトネオデカノエ−ト、コバルト2−エチルヘキサノエ−ト、コバルトオレエ−トおよびコバルトステアレ−トを使用することが好ましいものである。
【0030】
更に、上記において、本発明に係る酸素吸収性樹脂層を構成する、要すれば使用する結合剤としての熱可塑性樹脂としては、例えば、熱によって溶融し、押出機等の押出ダイ等から押出可能であり、更に、相互に熱融着する熱可塑性樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(マルチサイト触媒を使用して重合したポリマー、LLDPE)、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体、エチレンープロピレン共合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフイン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリアミド系樹脂、その他等の熱可塑性樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。
而して、本発明においては、上記の熱可塑性樹脂としては、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体をビヒクルの主成分として使用することが好ましいものである。
而して、本発明において、上記のような熱可塑性樹脂は、主に、酸化性樹脂に対しある程度の親和性を有し、熱可塑性であり、ヒ−トシ−ル適性等の機能を奏するものである。
【0031】
更にまた、上記において、本発明に係る酸素吸収性樹脂層を構成する、要すれば使用するラジカル発生剤または光増感剤としては、例えば、べンゾイン、アセナフテンキノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン及びそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタ−ル、ベンジルジメチルケタ−ル等のケタ−ル類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはキサントン類等の一般に光開始剤として知られているものが使用される。
これらの光ラジカル開始剤は、安息香酸系又は第三級アミン系など公知慣用の光重合促進剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることが出来る。
また、ケトカルボニル化合物、アミン化合物、遷移金属およびその化合物、およびハロゲン化合物から選ばれた少なくとも一種を使用することができる。
上記のα−ケトカルボニル化合物としては、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケトカルボン酸エステル、具体的に、ジアセチル、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、ベンジル、4,4−ジメトキシベンジル、4,4−オキシベンジル、4,4−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、1,2−シクロヘキサンジオンなどのα−ジケトン、メチルグリオキザール、フェニルグリオキザールなどのα−ケトアルデヒド、ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピルビン酸ブチルを使用することがてきる。
また、アセチルテトラロン、リンデル酸、マ−ガリン酸、ステアリン酸、アジピン酸、ジアセチルベンゾイン、ジステアロイルメタン、メタン及びジビバロイルメタン等を用いることが可能である。
而して、本発明において、上記のようなラジカル発生剤または光増感剤としては、主に、触媒として使用する遷移金属触媒の補助的な機能をはたし、酸化性樹脂の酸化反応を劇的に、強制的に進行させる等の機能を奏するものである。
本発明において、上記のラジカル発生剤または光増感剤としては、具体的には、ベンゾフェノンやベンゾインメチルエ−テルなどを使用することが好ましいものである。
【0032】
次に、本発明において、上記の酸素吸収性樹脂層を構成する酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物において、酸化性樹脂と遷移金属触媒との配合割合としては、酸化性樹脂100重量部に対し遷移金属触媒が、0.001〜10重量部位の配合割合で樹脂組成物を調製することが好ましいものである。
上記において、遷移金属触媒が、0.001未満であると、触媒作用が低くなり、酸化反応が進行しない等の理由から好ましくなく、また、10重量部を超えると、触媒量が多すぎることで、酸化反応は進むものの、他の副反応等が発生すること、あるいは、コスト的に上昇すること等の理由から好ましくないものである。
また、本発明において、ラジカル発生剤または光増感剤を添加する場合には、同じく、酸化性樹脂100重量部に対し0.001〜10重量部位の配合割合で添加することが好ましいものである。
更に、本発明において、熱可塑性樹脂を添加する場合には、同じく、酸化性樹脂100重量部に対し50〜100重量部位の配合割合で添加することが好ましいものである。
【0033】
次に、本発明において、本発明に係る第1層と第5層の低密度ポリエチレン系樹脂層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂としては、例えば、熱によって溶融し、押出機等の押出ダイ等から押出可能であり、更に、相互に熱融着する低密度ポリエチレン系樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。
具体的には、例えば、高圧重合法による低密度ポリエチレン(LDPE)、マルチサイト系チグラ−ナッタ触媒を使用して重合した直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、シングルサイト系メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体、その他等を使用することができる。
而して、上記の低密度ポリエチレン系樹脂としては、エチレン、または、エチレンと α・オレフインのホモないしコポリマ−を使用することができ、また、密度としては、0.930以下位のものを使用することが好ましいものである。
【0034】
次に、本発明において、本発明に係る第2層と第4層のポリプロピレン系樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂としては、基本的には、プロピレンのホモポリマ−、あるいは、プロピレンとエチレン等のα−オレフィン等とのコポリマ−(共重合体)を使用することができ、更に、上記のコポリマ−(共重合体)としては、ブロックコポリマ−(共重合体)またはランダムコポリマ−(共重合体)を使用することができ、特に、ランダムコポリマ−(共重合体)を使用することが好ましいものでる。
而して、本発明において、ポリプロピレン系樹脂としては、溶融張力および延伸性等に優れ、インレフレ−ション成形適性を有するポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましく、具体的には、ポリプロピレン系樹脂の主鎖に長鎖分岐を導入させて、溶融状態での張力を高めたものを使用することが好ましいものである。
本発明において、具体的には、溶融張力および延伸性に優れたポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンとエチレン、あるいは、プロピレンと1−オクテンとのブロックまたはランダムコポリマ−からなるポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましいものである。
【0035】
而して、上記のプロピレンとエチレン、あるいは、プロピレンと1−オクテンとのブロックまたはランダムコポリマ−からなるポリプロピレン系樹脂において、密度としては、0.9〔g/cm3 〕位のもの、メルトフロ−レ−ト(MFR)としては、0.1〜2.0〔g/10分〕位の範囲のもの、溶融張力としては、100〔mN〕以上(10〔cN〕以上)の範囲のものを使用することができる。
而して、上記において、メルトフロ−レ−ト(MFR)が、0.1〔g/10分〕未満の場合は、樹脂押出時に、樹脂圧力が、上昇してしまい製膜機に大きな負荷を与える等の理由から好ましくなく、また、2.0〔g/10分〕を越えるものは、上吹きインフレ−ション製膜法に適さず、上方に吹き上がらないという理由から好ましくないものである。 更に、上記において、溶融張力が、100〔mN〕未満(10〔cN〕未満)の場合には、上吹きインフレ−ション製膜法に適さないと理由から好ましくないものである。
なお、第2の中間層である第3層と第5層を構成するポリプロピレン系樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂としても、上記と同様のポリプロピレン系樹脂を同様に使用することができる。
【0036】
更に、本発明において、第1の中間層である第2層と第6層のポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層を構成するポリプロピレン系樹脂としても、上記のポリプロピレン系樹脂を同様に使用することができる。
【0037】
また、本発明において、第1の中間層である第2層と第6層のポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層を構成するポリエチレン系樹脂としては、具体的には、例えば、前述の高圧重合法による低密度ポリエチレン(LDPE)、マルチサイト系チグラ−ナッタ触媒を使用して重合した直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、シングルサイト系メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフイン共重合体、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体、エチレンープロピレン共合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテポリマー、ポリエチレン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリエチレン系樹脂、その他等を使用することができる。
【0038】
なお、本発明において、本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを構成する第1層、第5層、第2層、および、第4層を形成する樹脂組成物中には、その膜質等を改質するために、例えば、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸メチル共重合体、エチレンープロピレン共合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフイン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリアミド系樹脂、その他等の熱可塑性樹脂の1種ないし2種以上を添加して使用することができる。
【0039】
而して、上記のようにして製造した本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムにおいて、第1層と第5層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂層は、主に、ヒ−トシ−ル性能を発揮し、特に、低温でヒ−トシ−ルでき、かつ、安定したシ−ル強度を発現するヒ−トシ−ル性能を発揮するものであり、また、第2層と第4層を構成するポリプロピレン系樹脂層は、上記の第1層と第5層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂層と同様にヒ−トシ−ル性能を有し、該第1層と第5層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂層によるヒ−トシ−ル性能を補助すると共に剛性、強度等を有し、耐衝撃性、自立性、保形性等の物性を発揮するものであり、更に、中芯層を構成する酸素吸収性樹脂層は、主に、包装用袋内に内容物を充填包装し、次いで、その包装製品内の、例えば、ヘッドスペ−ス等に存在する酸素、あにいは、内容物に内在している酸素、更には、内容物から発生する酸素、その他等の包装製品内に存在ないし内在している酸素を吸収し、捕捉するものである。
上記の酸素吸収性樹脂層は、上記のように酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含み、更に、要すれば、結合剤としての熱可塑性樹脂、あるいは、ラジカル発生剤または光増感剤、その他等の添加物を任意に含む樹脂組成物による樹脂膜から構成することができる。
而して、上記のようにして製造した本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムにおいて、酸素吸収性樹脂層による酸素吸収性能は、酸素吸収性樹脂層が、約10μm以上において、1000mJ/cm2 の紫外線照射後において、300cc/m2 ・5day・atm以上、好ましくは、500cc/m2 ・5day・atm以上の酸素吸収性能を発揮するものであり、酸素吸収性材料として極めて有用なものである。
なお、本発明において、第1の中間層である第2層と第6層を構成するポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層は、第1層と第5層を構成する低密度ポリエチレン系樹脂層と、第2層と第4層を構成するポリプロピレン系樹脂層との層間に位置して積層し、主に、その存在により、その両者の介在層とし機能し、その両者をより強固に密接着させ、層間剥離(マイグレ−ション)等の発生を防止する作用効果を奏するものである。
【0040】
以上の説明で明らかなように本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムは、ヒ−トシ−ル性能と酸素吸収性能とを有するものであり、これを使用し、少なくとも、基材フィルム、バリア性基材フィルム、および、上記のヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを順次に積層して、種々の層構成からなる積層体を製造し、次いで、該積層体を使用し、これを製袋して種々の形態からなる包装用袋を製袋し、しかる後、該包装用袋内に、所望の内容物を充填包装すると共に紫外線を照射して、種々の形態からなる包装製品を製造することができるものである。
【0041】
而して、本発明において、本発明に係る積層体、包装用袋、包装製品等を構成する上記の基材フィルムとしては、これが積層体、包装用袋、包装製品等を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた強度を有し、更に、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、透明性、その他等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することができ、特に、印刷適性を有する樹脂のフィルムないしシートを使用することが好ましいものである。
具体的には、本発明において、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリ−ルフタレ−ト系樹脂、シリコ−ン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエ−テルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
上記において、上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは、一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂フィルムないしシ−トの厚さとしては強度、耐突き刺し性、その他等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、その他等が抵下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約3μm〜100μm位、好ましくは、約5μm〜50μm位が最も望ましい。
而して、本発明において、上記の基材フィルムとしては、強度、その他等の観点から、厚さ5〜12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用することが望ましいものである。
【0042】
なお、本発明において、上記の基材フィルムには、所望の印刷模様を設けることができ、而して、その印刷模様としては、例えば、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1 種ないし2 種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、帝釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式を使用し、前述のプラスチック基材の表面および/または裏面の上に、例えば、文字、図形、記号、模様、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して形成することができる。
勿論、本発明においては、印刷模様に対する下地層等ももうけることができるものである。
【0043】
上記において、インキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シエラツク、アルキッド樹脂、フェノール系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルプチラール樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、その他等の1種ないし2種以上を使用することができる。
【0044】
次に、本発明において、上記の本発明に係る積層体、包装用袋、包装製品等を構成するバリア性基材フィルムについて説明すると、かかるバリア性基材フィルムとしては、主に、酸素ガス、水蒸気等、特に、酸素ガスが、外部から包装用袋内に、その包装用袋を構成する積層体等を通して透過することを阻止する素材・材料を使用することができる。
具体的には、例えば、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止する、樹脂のフィルム、金属箔またはその金属の蒸着膜を有する樹脂のフィルム、あるいは、無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルム、その他等を使用することができる。
例えば、上記の酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止する樹脂のフィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ナイロンMXD6等の単独ないし共押出等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、そのコ−ティング膜等を使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、そのコ−ティング膜等の膜厚としては、例えば、数μm〜数十μm、具体的には、3〜50μm、好ましくは、5〜30μm位のものを使用することができる。
また、上記の金属箔としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔、錫箔、各種合金箔、その他等を使用することができ、一般的には、アルミニウム箔を使用することが好ましいものである。
上記の金属箔の膜厚としては、6μm〜20μm位、好ましくは、7μm〜10μm位が望ましいものである。
【0045】
また、上記の金属の蒸着膜を有する樹脂のフィルムとしては、例えば、樹脂フィルムの一方の面に、金属を、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法を用いて、その金属の蒸着膜を形成した金属蒸着樹脂フィルム等を使用することができる。
上記において、蒸着膜を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、錫、ビスマス、インジウム、カドミウム、鉛、その他等の金属を使用することができる。
而して、本発明においては、汎用性、経済性、その他等を考慮すると、金属としては、アルミニウムを使用することが好ましいものである。
また、上記において、金属の蒸着膜の厚さとしては、200Å〜1000Å位、好ましくは、300Å〜800Å位が望ましいものである。
次にまた、上記において、樹脂フィルムとしては、前述の基材フィルムを構成する樹脂のフィルムないしシ−トを同様に使用することができる。
具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、その他等の各種の樹脂の透明ないし半透明のフィルムないしシ−トを使用することができる。
その膜厚としては、約3μm〜50μm位、好ましくは、約5μm〜30μm位が最も望ましい。
【0046】
次にまた、上記の無機酸化物の蒸着膜を有する樹脂のフィルムとしては、例えば、樹脂フィルムの一方の面に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した樹脂のフィルムを使用することができる。
本発明において、具体的には、金属または金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを樹脂フィルムの一方の面に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて樹脂フィルムの一方の面に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成した樹脂のフィルムを使用することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
また、本発明においては、例えば、樹脂フィルムの一方の面に、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて、例えば、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した樹脂のフィルムを使用することができる。
本発明において、具体的には、樹脂フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成した樹脂のフィルムを使用することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0047】
本発明において、上記のような無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、上記において、樹脂フィルムとしては、前述の基材フィルムを構成する樹脂のフィルムないしシ−トを同様に使用することができる。
具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、その他等の各種の樹脂の透明ないし半透明のフィルムないしシ−トを使用することができる。
その膜厚としては、約3μm〜50μm位、好ましくは、約5μm〜30μm位が最も望ましい。
【0048】
次に、本発明において、本発明に係る包装製品を構成する包装用袋を形成する積層体としては、上記のような基材フィルム、バリア性基材フィルム、および、ヒ−トシ−ル性多層積層フィルム等を、例えば、ラミネート用接着剤層等を介して積層するドライラミネート積層法、または、アンカーコート剤層等を介して、各種の樹脂等を溶融押出しながら積層する溶融押出ラミネート積層法、その他等の積層法を用いて順次に積層して、種々の層構成からなる本発明に係る積層体を製造することができる。
【0049】
上記において、ラミネート用接着剤層を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2一エチルへキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することがてきる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
而して、上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコーティング量としては、0.1〜10.0g/m2 (乾爆状態)位が望ましい。
【0050】
また、上記において、アンカーコート剤層を構成するアンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリプタジエン系、その他等の水性ないし油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。
上記のアンカーコート剤は、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート、その他等のコーティング法を用いてコーティングすることができ、そのコーティング量としては、0.1〜5.0g/m2 (乾爆状態)位が望ましい。
【0051】
また、上記の溶融押出ラミネート積層法における溶融押出樹脂層としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酸変性ポリエチレン系樹脂、酸変性ポリプロピレン系樹脂、エチレンーアクリル酸またはメタクリル酸共重合体、サーリン系樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレンーアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の熱可塑性樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。
なお、上記の溶融押出ラミネート積層法において、より強固な接着強度を得るために、例えば、上記のアンカーコート剤等のアンカーコート剤層を介して、積層することができる。
なお、本発明において、上記のような積層を行う際に、必要ならば、例えば、積層する各基材等の表面に、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、フレーム処理、プラズマ処理、その他等の前処理を任意に施すことができる。
【0052】
次に、本発明において、上記のような本発明に係る積層体を使用して製袋して本発明に係る包装用袋を製造する方法について説明すると、例えば、上記のような方法で製造した本発明に係る積層体を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて、種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。
而して、その製袋方法としては、上記のような本発明に係る包装用袋を構成する積層体を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能でありる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような本発明に係る包装用袋には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0053】
本発明において、上記のようにして製造した本発明に係る包装用袋は、例えば、種々の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、化粧品、洗剤、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の種々の物品の充填包装して、種々の形態からなる包装製品を製造し得るものである。
而して、本発明においては、上記のようにして製造した本発明に係る包装製品において、その包装製品を構成する包装用袋内に、その開口部から内容物を充填包装するに際し、その充填前、または、充填後、あるいは、充填と同時に、該包装用袋の内面に、その内面側から紫外光を照射し、次いで、上記の包装用袋の開口部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して密閉することによって、本発明に係る包装製品を製造するものである。
本発明においては、上記のように包装用袋の内面に、その内面側から紫外光を照射することにより、該紫外光は、包装用袋を構成する低密度ポリエチレン系樹脂層、中密度ないし高密度ポリエチレン系樹脂層等のヒ−トシ−ル性樹脂層を透過して、極めて良好に酸素吸収性樹脂層に到達し、そして、紫外光が、遷移金属触媒に作用し、これが、活性化し、これにより、例えば、酸化性樹脂としてのシクロヘキセン環の不飽和結合部へラジカルをアタックさせ、連鎖反応から酸素を結合し、吸収するという酸素捕集機能を奏することを可能とするものである。
なお、本発明においては、製袋前の原反フィルムの状態である積層体に紫外光を照射し、次いで、製袋、内容物の充填包装等を行うこともできるものである。
【0054】
上記において、紫外光を照射する紫外線照射装置、照射方法、照射条件等としては、例えば、紫外線照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプを使用した紫外線(UV)照射装置(例えば、アイグラフィックス株式会社製、機種名、ECS−401GX)等を使用することができる。
而して、本発明において、紫外線照射方法としては、前述のように、包装用袋の内面に、その内面側から、例えば、内容物を充填する前、または、後、あるいは、同時に照射することができ、その照射条件としては、例えば、紫外線の強さとしては、積算光量として、500mJ/cm2 〜2000mJ/cm2 位、好ましくは、500mJ/cm2 〜1000mJ/cm2 位で、紫外線の照射時間としては、ランプ光量との相関で上記の積算光量を満たす時間、例えば、10秒〜80秒位で照射することができる。
上記において、500mJ/cm2 未満では、紫外光エネルギ−が足りず、酸化反応が不十分になりやすいということから好ましくなく、また、2000mJ/cm2 を超えると、フィルムに与える影響が大きく、フィルムとしての使用が困難になる恐れがあるということから好ましくないものである。
勿論、本発明において、紫外線照射方法としては、前述のように、包装用袋の内面に、その内面側から、例えば、内容物を充填する前、または、後、あるいは、同時に照射する方法に代えて、包装用袋の外面に、その外面側から、例えば、内容物を充填する前、または、後、あるいは、同時に照射することもできるものである。
次に、上記の本発明について以下に実施例を挙げて更に具体的に説明する。
【実施例1】
【0055】
(1).まず、以下に示す手法で共押出多層積層フイルムを製造した。
まず、下記の(イ)〜(ハ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).表面層(第一層)にシングルサイト直鎖状低密度ポリエチレン[三井化学株式会社製、商品名、エボリュ−SP2020、密度、0.917g/m3 、メルトフローレト(MFR)、2.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部とを充分に混練して、第1層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ロ).中間層(第二層)にメタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体[日本ポリプロ株式会社製、商品名、ウィンテックWFX4TA、密度、0.900g/m3 、メルトフローレト(MFR)、7.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第2層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ハ).中芯層(第三層)に酸化性樹脂として、[エチレン/メチルアクリレ−ト/メチルシクロヘキセンメチルアクリレ−トのコポリマ−]100.0重量部と、遷移金属触媒として、[コバルト2−エチルヘキサノエ−ト]0.01重量部、ラジカル系光重合開始剤として、[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン]0.001重量部とを十分に混練して、第3層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ニ).中間層(第四層)に上記の第二層に同じメタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体[日本ポリプロ株式会社製、商品名、ウィンテックWFX4TA、密度、0.900g/m3 、メルトフローレト(MFR)、7.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第2層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ホ).裏面層(第五層)に上記の第一層に同じシングルサイト直鎖状低密度ポリエチレン[三井化学株式会社製、商品名、エボリュ−SP2020、密度、0.917g/m3 、メルトフローレト(MFR)、2.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部とを充分に混練して、第5層を形成する樹脂組成物を調製した。
次に、上記で調製した(イ)〜(ホ)の樹脂組成物を使用し、これらを、3種5層上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による第1層を20μm、(ロ)の樹脂組成物による第2層を25μm、(ハ)の樹脂組成物による第3層を10μm、(ニ)の樹脂組成物による第4層を25μm、(ホ)の樹脂組成物による第5層を20μmにそれぞれ共押出して、3種5層からなる総厚100μmの本発明に係る共押出多層積層フイルムを製造した。
上記で製造した共押出多層積層フイルムに、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種名、ECS−401GX]を使用し、250nm〜320nmのUV光を積算光量で1000mJ/cm2 照射したところ、酸素を吸い始めた。
アルミパウチの中へ100mm×100mmのフィルムサンプルを入れ、100mlの空気を注入・密閉した結果、5日で酸素濃度が約半分(10%)まで低下していた「約1000cc/m2 ・5day・atm)。
(2).次に、上記で製造した本発明に係る共押出多層積層フイルムの第1層の表面にコロナ放電処理を施し、次いで、そのコロナ処理面の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、しかる後、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、その酸化珪素の蒸着膜の面を対向させて重ね合わせて、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層し、更に、上記でドライラミネ−ト積層した厚さ200Åの酸化珪素の蒸着膜を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、上記と同様に、コロナ放電処理を施し、そのコロナ放電処理面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、しかる後、該ラミネート用接着剤層の面に、所望の印刷模様層を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、そのコロナ処理面と印刷模様層の面とを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、本発明に係る積層体を製造した。
(3).次に、上記で製造した積層体を2枚用意し、その積層体を構成する本発明に係る共押出多層積層フイルムの第5層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の内面に、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種面、ECS−401GX]を使用し、紫外光1000mJ/cm2 を照射し、しかる後、生パスタを充填し、次いで、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品において、酸素により劣化を生じる生パスタが、1カ月間の保持試験においても製品の変褪色および臭味劣化は認められなかった。
【実施例2】
【0056】
(1).まず、以下に示す手法で共押出多層積層フイルムを製造した。
まず、下記の(イ)〜(ホ)の樹脂組成物を調製した。
(イ).表面層(第一層)にシングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体〔三井化学株式会社製、商品名、エボリユーSP2020、密度、0.917g/m3 、メルトフローレト(MFR)、2.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部とを十分に混練して、第1層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ロ).中間層(第二層)にメタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体[日本ポリプロ株式会社製、商品名、ウィンテックWFX4TA、密度、0.900g/m3 、メルトフローレト(MFR)、7.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第2層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ハ).中芯層(第三層)に酸化性樹脂として、[ポリ−N、N'−ジメチルメタキシリレンジアミン]100.0重量部と、遷移金属触媒として、[コバルト2−エチルヘキサノエ−ト]0.01重量部と、ラジカル系光重合開始剤として、[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン]0.001重量部とを十分に混練して、第3層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ニ).中間層(第四層)に上記の第二層に同じメタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体[日本ポリプロ株式会社製、商品名、ウィンテックWFX4TA、密度、0.900g/m3 、メルトフローレト(MFR)、7.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第2層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ホ).裏面層(第五層)に上記の第一層と同じシングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体〔三井化学株式会社製、商品名、エボリユーSP2020、密度、0.917g/m3 、メルトフローレト(MFR)、2.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部とを十分に混練して、第5層を形成する樹脂組成物を調製した。
次に、上記で調製した(イ)〜(ホ)の樹脂組成物を使用し、これらを、3種5層上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による第1層を20μm、(ロ)の樹脂組成物による第2層を25μm、(ハ)の樹脂組成物による第3層を10μm、(ニ)の樹脂組成物による第4層を25μm、(ホ)の樹脂組成物による第5層を20μmにそれぞれ共押出して、3種5層からなる総厚100μmの本発明に係る共押出多層積層フイルムを製造した。
上記で製造した共押出多層積層フイルムに、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種名、ECS−401GX]を使用し、250nm〜320nmのUV光を積算光量で1000mJ/cm2 照射したところ、酸素を吸い始めた。
アルミパウチの中へ100mm×100mmのフィルムサンプルを入れ、100mlの空気を注入・密閉した結果、5日で酸素濃度が約半分(10%)まで低下していた「約1000cc/m2 ・5day・atm)。
(2).次に、上記で製造した本発明に係る共押出多層積層フイルムの第1層の表面にコロナ放電処理を施し、次いで、そのコロナ処理面の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、しかる後、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を有する厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜の面を対向させて重ね合わせて、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層し、更に、上記でドライラミネ−ト積層した厚さ200Åの酸化アルミニウムの蒸着膜を有する厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムの二軸延伸ナイロン6フィルムの面に、上記と同様に、コロナ放電処理を施し、そのコロナ放電処理面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、しかる後、該ラミネート用接着剤層の面に、所望の印刷模様層を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、そのコロナ処理面と印刷模様層の面とを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、本発明に係る積層体を製造した。
(3).次に、上記で製造した積層体を2枚用意し、その積層体を構成する本発明に係る共押出多層積層フイルムの第5層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の内面に、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種面、ECS−401GX]を使用し、紫外光1000mJ/cm2 を照射し、しかる後、生パスタを充填し、次いで、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品において、酸素により劣化を生じる生パスタが、1カ月間の保持試験においても製品の変褪色および臭味劣化は認められなかった。
【実施例3】
【0057】
(1).まず、以下に示す手法で共押出多層積層フイルムを製造した。
まず、下記の(イ)〜(ト)の樹脂組成物を調製した。
(イ).表面層(第一層)にシングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体〔三井化学株式会社製、商品名、エボリユーSP2020、密度、0.917g/m3 、メルトフローレト(MFR)、2.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部とを十分に混練して、第1層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ロ).第1の中間層(第二層)にシングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体〔三井化学株式会社製、商品名、エボリユーSP2020、密度、0.917g/m3 、メルトフローレト(MFR)、2.0g/10分〕50.0重量部と、メタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体[日本ポリプロ株式会社製、商品名、ウィンテックWFX4TA、密度、0.900g/m3 、メルトフローレト(MFR)、7.0g/10分〕50.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第2層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ハ).第2の中間層(第三層)にメタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体[日本ポリプロ株式会社製、商品名、ウィンテックWFX4TA、密度、0.900g/m3 、メルトフローレト(MFR)、7.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第3層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ニ).中芯層(第四層)に酸化性樹脂として、[エチレン/メチルアクリレ−ト/メチルシクロヘキセンメチルアクリレ−トのコポリマ−]100.0重量部と、遷移金属触媒として、[コバルト2−エチルヘキサノエ−ト]0.01重量部、ラジカル系光重合開始剤として、[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン]0.001重量部とを十分に混練して、第4層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ホ).第2の中間層(第五層)に上記の第三層と同じメタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体[日本ポリプロ株式会社製、商品名、ウィンテックWFX4TA、密度、0.900g/m3 、メルトフローレト(MFR)、7.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第5層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ヘ).第1の中間層(第六層)に上記の第二層と同じシングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体〔三井化学株式会社製、商品名、エボリユーSP2020、密度、0.917g/m3 、メルトフローレト(MFR)、2.0g/10分〕50.0重量部と、メタロセン触媒を使用したポリプロピレン系ランダム共重合体[日本ポリプロ株式会社製、商品名、ウィンテックWFX4TA、密度、0.900g/m3 、メルトフローレト(MFR)、7.0g/10分〕50.0重量部と、合成シリカ0.5重量部とを充分に混練して、第6層を形成する樹脂組成物を調製した。
(ト).裏面層(第七層)に上記の第一層と同じシングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体〔三井化学株式会社製、商品名、エボリユーSP2020、密度、0.917g/m3 、メルトフローレト(MFR)、2.0g/10分〕100.0重量部と、合成シリカ0.5重量部と、エルカ酸アミド0.05重量部と、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部とを十分に混練して、第5層を形成する樹脂組成物を調製した。
次に、上記で調製した(イ)〜(ト)の樹脂組成物を使用し、これらを、4種7層上吹き空冷インフレーション共押出製膜機を用いて、(イ)の樹脂組成物による第1層を20μm、(ロ)の樹脂組成物による第2層を5μm、(ハ)の樹脂組成物による第3層を20μm、(ニ)の樹脂組成物による第4層を10μm、(ホ)の樹脂組成物による第5層を20μm、(ヘ)の樹脂組成物による第6層を5μm、および、(ト)の樹脂組成物による第7層を20μmにそれぞれ共押出して、4種7層からなる総厚100μmの本発明に係る共押出多層積層フイルムを製造した。
上記で製造した共押出多層積層フイルムに、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種名、ECS−401GX]を使用し、250nm〜320nmのUV光を積算光量で1000mJ/cm2 照射したところ、酸素を吸い始めた。
アルミパウチの中へ100mm×100mmのフィルムサンプルを入れ、100mlの空気を注入・密閉した結果、5日で酸素濃度が約半分(10%)まで低下していた「約1000cc/m2 ・5day・atm)。
(2).次に、上記で製造した本発明に係る共押出多層積層フイルムの第1層の表面にコロナ放電処理を施し、次いで、そのコロナ処理面の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、しかる後、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ7μmのアルミニウム箔を対向させて重ね合わせて、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層し、更に、上記でドライラミネ−ト積層した厚さ7μmのアルミニウム箔の面に、上記と同様に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、しかる後、該ラミネート用接着剤層の面に、所望の印刷模様層を有する厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、そのコロナ処理面と印刷模様層の面とを対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層して、本発明に係る積層体を製造した。
(3).次に、上記で製造した積層体を2枚用意し、その積層体を構成する本発明に係る共押出多層積層フイルムの第5層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒートシールしてシール部を形成すると共に、上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋からなる包装用袋を形成した。
次に、上記で製造した包装用袋の内面に、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種面、ECS−401GX]を使用し、紫外光1000mJ/cm2 を照射し、しかる後、生パスタを充填し、次いで、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品において、酸素により劣化を生じる生パスタが、1カ月間の保持試験においても製品の変褪色および臭味劣化は認められなかった。
【実施例4】
【0058】
上記の実施例2で製造した積層体を同様に使用し、これを縦型ピロ−充填包装機に装着し、次いで、上記の積層体を供給しながら、まず、その向かい合う辺をインパルスシ−ラ−を用いて縦方向をシ−ルし、続いて、上記で製造した包装用袋の内面に、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種面、ECS−401GX]を使用し、紫外光1000mJ/cm2 を照射し、しかる後、生パスタを充填を供給し、充填しながら、その上下を閉じるようにシ−ルし、次いで、上下のシ−ル部をカットして、ピロ−袋に内容物を充填包装した包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品において、酸素により劣化を生じる生パスタが、1カ月間の保持試験においても製品の変褪色および臭味劣化は認められなかった。
【実施例5】
【0059】
上記の実施例2で製造した積層体を同様に使用し、まず、これから、胴部を構成する2枚の胴材(130mm×200mm)と1枚の底材(130mm×50mm)とを調製し、次いで、上記の胴材2枚を向かい合わせ、更に、その下部の間に、上記の底材を逆V字型に折り込んで挿入し、しかる後、インパルスシ−ラ−を用いて、上記の胴部と底部とが重ね合わさった左右両側の端部と下側の端部とをヒ−トシ−ルして、自立型袋(スタンドパウチ)を製造した。
次に、上記で製造した自立型袋の内面に、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種面、ECS−401GX]を使用し、紫外光1000mJ/cm2 を照射し、しかる後、生パスタを充填し、次いで、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品において、酸素により劣化を生じる生パスタが、1カ月間の保持試験においても製品の変褪色および臭味劣化は認められなかった。
【実施例6】
【0060】
上記の実施例2で製造した積層体を同様に使用し、まず、これから、包装部材(280mm×170mm)を1枚調製し、次いで、インパルスシ−ラ−を用いて、その向かい合う170mmの辺をシ−ルし、更に、続いて、上下を、その両端をV字型に折り込みように閉じてヒ−トシ−ルして、ガゼット型袋を製造した。
次に、上記で製造したガゼット型袋の内面に、紫外線照射装置[アイグラフィックス株式会社製、機種面、ECS−401GX]を使用し、紫外光1000mJ/cm2 を照射し、しかる後、生パスタを充填し、次いで、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して、包装製品を製造した。
上記で製造した包装製品において、酸素により劣化を生じる生パスタが、1カ月間の保持試験においても製品の変褪色および臭味劣化は認められなかった。
【0061】
(実験例1)
上記の実施例1〜3で製造した共押出多層積層フィルムにおける各物性評価は、下記のように実施した。
(1).酸素吸収試験
130mm×170mmのアルミパウチを作成し、その中へ、1000mJ/cm2 を照射した100mm×100mmの共押出多層積層フィルムからなるフィルムサンプルを入れ、次いで、100mlの空気を注入し、密閉した。
次いで、5日間経過後のパウチ内の酸素濃度を酸素濃度計[東レエンジニアリング株式会社製の酸素濃度計、機種名、LC−750F]を用いて酸素吸収量を測定して評価した。
その結果を下記の表1に示す。
【0062】
(表1)
┌────┬─────────┬─────────────────────┐ │ │酸素吸収割合[%]│酸素吸収量[cc/m2・5day・atm]│ ├────┼─────────┼─────────────────────┤ │実施例1│ 10 │ 1000 │ ├────┼─────────┼─────────────────────┤ │実施例2│ 5 │ 500 │ ├────┼─────────┼─────────────────────┤ │実施例3│ 10 │ 1000 │ └────┴─────────┴─────────────────────┘
【0063】
上記の表1に示すように、本発明に係る共押出多層積層フィルムは、極めて良好な酸素吸収性能を示すことが判明した。
【0064】
(実験例2)
次に、上記の実施例1〜3で製造した共押出多層積層フィルムについて剛性(コシ)を測定した。
(2).剛性(コシ)の測定
これは、上記の実施例1〜3で製造した共押出多層積層フィルムを使用し、その100mm×100mmの共押出多層積層フィルムからなるフィルムサンプルについて、株式会社エスエムテ−社製の純曲げ試験機(機種名、JTC−911BT)からコシ(曲げトルク)を測定して評価した。
その結果を下記の表2に示す。
【0065】
(表2)
┌────┬───────────────┐ │ │ 剛性(コシ)[N・m] │ ├────┼───────────────┤ │実施例1│ 3.2×10-5 │ ├────┼───────────────┤ │実施例2│ 3.3×10-5 │ ├────┼───────────────┤ │実施例3│ 3.0×10-5 │ └────┴───────────────┘
【0066】
上記の表2に示すように、本発明に係る共押出多層積層フィルムは、極めて良好な剛性(コシ)を示すことが判明した。
なお、上記の剛性(コシ)の測定値は、平均曲げ強さを採用した。
因みに、低密度ポリエチレンフィルムでは、剛性(コシ)は、約1.7×10-5[N・m]である。
【0067】
(実験例3)
次に、上記の実施例1〜3で製造した共押出多層積層フィルムを使用して積層した積層体についてパウチ落下試験を行った。
(3).パウチ落下試験
上記の実施例1〜3で製造した共押出多層積層フィルムを使用して積層した各積層体を使用し、まず、140mm×220mmの大きさを積層体を2枚切り出し、その向かい合う220mmの辺の2方をインパルスシ−ラ−でシ−ルした。
続いて、底材としての140mm×70mmを片側開封部へインパルスシ−ラ−でシ−ルして、自立型パウチを製造した。
その後、350mlの水を、上記で製造した自立型パウチの中へ入れ、その開封部をシ−ルし、水入りのスタンドパウチを製造した。
上記で製造したスタンドパウチを1.2mの高さから5回落下衝撃テストを行い、シ−ル強度と実用性の確認を行った。
結果として、すべての試験積層体において、破袋は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、包装製品中のヘッドスペ−ス等に存在する酸素、あるいは、内容物中に含まれている酸素あるいは発生する酸素等を結合し、吸収するという酸素捕集機能を奏し、その結果、包装製品の外から透過してくる酸素は、バリア性基材フィルムでその透過を阻止する機能と相まって、内容物の品質、鮮度、その他等を、例えば、充填包装したときのその状態をほぼそのままあるいはそれ以上の状態で維持し、更に、その包装製品を長期間貯蔵、保管、展示等においても、内容物の色、味、匂い等の品質の変化は、ほとんど認められず、内容物の品質、鮮度、その他等を極めて良好に保護することができるものであり、更に、その外観を損ねることもなく、その美粧性等にも優れ、上記の内容物保護性能と両立し、更に、内容物の製品寿命等を延ばすことも可能なものであり、種々の形態からなる包装製品に適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムについてその層構成の一例を示す槻略的断面図である。
【図2】本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムについてその層構成の別の一例を示す槻略的断面図である。
【図3】図1に示す本発明に係るヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを使用して製造した本発明に係る積層体についてその層構成の一例を示す槻略的断面図である。
【図4】図3に示す本発明に係る積層体を使用し、これを製袋して製造した本発明に係る包装用袋についてその一例の構成を示す概略的斜視図である。
【図5】図4に示す本発明に係る包装用袋の内面に、紫外線照射装置を用いて紫外光を照射した包装用袋についてその一例の構成を示す概略的斜視図である。
【図6】図4に示す本発明に係る本発明に係る包装用袋内に内容物を充填包装した包装製品についてその構成の一例を示す概略的斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
A、A1 ヒ−トシ−ル性多層積層フィルム
B 積層体
C 包装用袋
D 包装製品
1 共押出製膜化フィルム
2 第1層
3 第5層
4、4a 低密度ポリエチレン系樹脂層
5 第2層
6 第4層
7、7a ポリプロピレン系樹脂層
8 第3層
9 酸素吸収性樹脂層
11 共押出製膜化フィルム
12 第1層
13 第7層
14、14a 低密度ポリエチレン系樹脂層
15 第2層
16 第6層
17、17a ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層
18 第3層
19 第5層
20、20a ポリプロピレン系樹脂層
21 第4層
22 酸素吸収性樹脂層
25 基材フィルム
26 バリア性基材フィルム
27 印刷模様層
31 シ−ル部
32 開口部
33 紫外線照射装置
34 紫外光
35 内容物
36 上方シ−ル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも5層からなる共押出製膜化フィルムからなり、更に、該フィルムの表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とが、低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、上記のフィルムの中間層を構成する第2層と第4層とが、ポリプロピレン系樹脂層からなり、更に、上記のフィルムの中芯層を構成する第3層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなることを特徴とするヒ−トシ−ル性多層積層フィルム。
【請求項2】
第1層と第2層との層間、および、第5層と第4層との層間に、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層を設けることを特徴とする上記の請求項1に記載するヒ−トシ−ル性多層積層フィルム。
【請求項3】
酸素吸収性樹脂層を構成する樹脂組成物が、更に、結合剤を含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載するヒ−トシ−ル性多層積層フィルム。
【請求項4】
酸素吸収性樹脂層を構成する樹脂組成物が、更に、ラジカル発生剤を含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項1〜3のいずれか1項に記載するヒ−トシ−ル性多層積層フィルム。
【請求項5】
酸素吸収性樹脂層を構成する樹脂組成物が、更に、光増感剤を含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなることを特徴とする上記の請求項1〜4のいずれか1項に記載するヒ−トシ−ル性多層積層フィルム。
【請求項6】
少なくとも、基材フィルム、バリア性基材フィルム、および、少なくとも5層からなる共押出製膜化フィルムからなり、更に、該フィルムの表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とが、低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、上記のフィルムの中間層を構成する第2層と第4層とが、ポリプロピレン系樹脂層からなり、更に、上記のフィルムの中芯層を構成する第3層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなるヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを順次に積層したことを特徴とする積層体。
【請求項7】
第1層と第2層との層間、および、第5層と第4層との層間に、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合樹脂層を設けることを特徴とする上記の請求項6に記載する積層体。
【請求項8】
基材フィルムが、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムからなることを特徴とする上記の請求項6〜7のいずれか1項に記載する積層体。
【請求項9】
基材フィルムが、その表面および/または裏面に印刷模様層を有すると共に下地層を有することを特徴とする上記の請求項6〜8のいずれか1項に記載する積層体。
【請求項10】
少なくとも、基材フィルム、バリア性基材フィルム、および、少なくとも5層からなる共押出製膜化フィルムからなり、更に、該フィルムの表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とが、低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、上記のフィルムの中間層を構成する第2層と第4層とが、ポリプロピレン系樹脂層からなり、更に、上記のフィルムの中芯層を構成する第3層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなるヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを順次に積層した構成からなる積層体を使用し、該積層体を、そのヒ−トシ−ル性多層積層フィルムの面を対向させて重ね合わせ、更に、その外周周辺の端部をヒ−トシ−ルしたことを特徴とする包装用袋。
【請求項11】
少なくとも、基材フィルム、バリア性基材フィルム、および、少なくとも5層からなる共押出製膜化フィルムからなり、更に、該フィルムの表面層を構成する第1層と裏面層を構成する第5層とが、低密度ポリエチレン系樹脂層からなり、また、上記のフィルムの中間層を構成する第2層と第4層とが、ポリプロピレン系樹脂層からなり、更に、上記のフィルムの中芯層を構成する第3層が、酸化性樹脂と遷移金属触媒とを含む樹脂組成物による酸素吸収性樹脂層からなるヒ−トシ−ル性多層積層フィルムを順次に積層した構成からなる積層体を使用し、該積層体を、そのヒ−トシ−ル性多層積層フィルムの面を対向させて重ね合わせ、更に、その外周周辺の端部をヒ−トシ−ルした包装用袋からなり、次に、該包装用袋内に、その開口部から内容物を充填包装すると共にその充填包装前、または、または、充填包装後、あるいは、充填包装と同時に、該包装用袋の内面に紫外線を照射し、更に、上記の開口部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して密閉することを特徴とする包装製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−168003(P2006−168003A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360679(P2004−360679)
【出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】