説明

ヒアルロン酸リン脂質複合体及びその調製法

ヒアルロン酸対リン脂質の重量比が1:0.08〜0.5である、ヒアルロン酸とリン脂質との複合体、及びその製造法。その調製法において、混合比は1:0.1〜1:10であり、反応温度は28〜45℃であり、反応時間は2〜48時間である。該複合体はヒアルロン酸の親油性を高めることができ、リン脂質と細胞膜との高い親和性を利用してヒアルロン酸分子と細胞膜との結合を促進することにより、ヒアルロン酸の吸収を促進し、作用時間を延長し、ヒアルロン酸の経口生体利用率を高めることができる。前記発明は、化粧品又は保健医療用途に適当な剤形も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口で投与し得るヒアルロン酸リン脂質複合体、その調製法及び該複合体を含む組成物に関する。該複合体は、その中のリン脂質が経口投与時にヒアルロン酸の吸収を促進し、ヒアルロン酸の除放を起こすことを特徴とする。したがって、前記複合体は、化粧品及び保健医療品において広く適用できる。
【背景技術】
【0002】
内因性の高分子ムコ多糖であるヒアルロン酸は、皮膚、軟骨、滑液、角膜等の結合組織中に主に見出され、10〜10の平均相対分子量を有する。ヒアルロン酸は、独特の潤滑性及び粘弾性のために眼疾患及び関節疾患の治療で顕著な効力を示す。その上、ヒアルロン酸は、水分を保持し、浸透圧を調節し、創傷の治癒を促進し、酸素遊離基を除去するように生体内で作用するため、眼科、整形外科、皮膚科、保健医療食品及び化粧品において広く使用されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ヒアルロン酸等の多糖生体高分子物質は保健医療分野で広く使用されてきたが、このような物質は、主に、高い相対分子量、低い脂溶性、生体膜障壁の通過困難、大量の多糖分解酵素の消化管中での存在等のために、経口投与した際に消化管からの吸収が悪い。ヒアルロン酸は水溶性生体高分子であり、その生体内吸収、特に経口投与した際の消化管からの吸収は、それ自体の物理的性質により制限される。市場の保健医療食品として今日入手できるヒアルロン酸製剤は、大部分がヒアルロン酸溶液又はヒアルロン酸とリン脂質との混合物を単に使用している。ヒアルロン酸及びリン脂質から複合体を調製することによって、ヒアルロン酸の脂溶性が増加する。また、リン脂質の細胞膜に対する高い親和性を利用することにより、ヒアルロン酸分子の細胞膜への結合、したがってヒアルロン酸の吸収も高まり、作用期間が延長し、ヒアルロン酸の経口による生体利用率も増加する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
先行技術の該欠点を克服するために、本発明は、ヒアルロン酸−リン脂質複合体、その調製法及び該複合体を含む組成物、並びに該複合体及び他の栄養素又は活性成分を含む経口製剤を提供する。
【発明の効果】
【0005】
このような経口製剤では、リン脂質は、ヒアルロン酸の吸収を促進し、ヒアルロン酸の徐放を実現するように作用する。これら2成分の間には、人において化粧及び保健医療に対する優れた効果を示し、心臓・脳血管疾患、呼吸器疾患、関節疾患等の多様な疾患の予防に有用である相乗効果も存在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
一態様では、本発明は、複合しているリン脂質対ヒアルロン酸の質量比が0.08〜0.5であるヒアルロン酸−リン脂質複合体を提供する。
【0007】
本複合体中のヒアルロン酸は、動物組織抽出物、微生物発酵及び遺伝子操作に由来してもよく、そのナトリウム塩、カルシウム塩等の生理的に許容可能な塩を包含する。使用されるリン脂質は、任意の単一種のリン脂質、又は以下のリン脂質からなる群から選択される複数のリン脂質の混合物である。即ち、ホスファチジン酸、ホスファチジルクロリン(phosphatidylchlolines)(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)、ホスファチジルセリン、N−メチルエタノールアミングリセロールリン酸、N,N−ジメチルエタノールアミングリセロールリン酸、N−アシルエタノールアミングリセロールリン酸、N−2(ヒドロキシエチル)アラニンホスファチジルグリセリド、ビホスファチジルグリセリド、グリセロールリン酸、グルコサミングリセロールリン酸グリセリド、O−アミノ酸リン脂質グリセリド、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールリン酸、ホスファチジルイノシトール二リン酸、ホスホイノシトール三リン酸、ホスファチジルグルコース、ジグルコースグリセロールホスファチジン酸、スフィンゴシル糖脂質、グリセリル糖脂質、セレブロシド、ガングリオシド、モノグリコシルセレブロシド、スフィンゴミエリン、合成リン脂質(ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン等)、リゾリン脂質等がある。好ましいものは、ホスファチジン酸、ホスファチジルクロリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン(セファリン)、ホスファチジルセリン、グリセロールリン酸、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びリゾリン脂質である。より好ましいものは、ホスファチジン酸、ホスファチジルクロリン、ホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン及びリゾリン脂質である。最も好ましいものは、ホスファチジルクロリン、ホスファチジルエタノールアミン及びリゾリン脂質である。
【0008】
別の態様では、本発明は、本発明によるヒアルロン酸−リン脂質複合体と、場合により他の活性成分又は栄養素とを含む組成物を提供する。
【0009】
本発明によるヒアルロン酸−リン脂質複合体は、組成物中に、特に、錠剤、カプセル剤、丸剤、外皮剤、顆粒剤、散剤等の固形経口製剤、経口用の溶液、懸濁液、乳濁液。ゲル、ペースト等の液状経口製剤を含めた多様な経口製剤中に配合してもよい。
【0010】
本経口製剤の基礎組成物以外に、更なる栄養補給剤又は他の活性成分を必要に応じて添加してもよい。ヒアルロン酸の粘性及び生体接着作用と、リン脂質の吸収促進作用及び徐放作用とを利用することによって、人肌の維持及び保健医療、並びに疾患の予防に有用となるように、該活性成分の効果を高めることができる。栄養補給剤又は他の活性成分は、アミノ酸、核酸、タンパク質、多糖類、セルロース、酵素、微量要素、多量要素、ビタミン、性ホルモン、植物ホルモン、多価不飽和脂肪酸、プロバイオティクス、漢方薬等であってもよい。
【0011】
本発明のヒアルロン酸−リン脂質複合体では、複合しているリン脂質対ヒアルロン酸の質量比が0.08〜0.5である。必要な場合、更なる栄養補給剤又は他の活性成分を生成した複合体に添加することにより、多様な経口製剤中に配合してもよく、その場合、製剤1g又は1mlに対して、ヒアルロン酸−リン脂質複合体が0.01〜0.5gの量で存在し、栄養補給剤又は他の活性成分が0から適当量までの量で存在する。
【0012】
更なる態様では、本発明は、本発明のヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法であって、ヒアルロン酸とリン脂質とを1:0.1〜1:10の無難な比で用意するステップ、粉末又は水溶液形態のヒアルロン酸又はカルボジイミド活性化ヒアルロン酸をリン脂質の水性分散液と十分に混合するステップ、及び一定温度で撹拌して本発明の複合体を得るステップを含む方法を提供する。リン脂質の水性分散液は、リポソームの作製法により、又は機械撹拌、渦流混合及び超音波処理からなる群から選択される1種若しくは複数の方法を用いるリン脂質の直接水和により得てもよい。
【0013】
本発明に従ってヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法では、ヒアルロン酸対リン脂質の無難な比は1:0.1〜1:10であり、反応温度は28〜45℃、好ましくは30〜40℃であり、反応時間は2〜48時間、好ましくは4〜12時間である。
【0014】
本発明に従ってヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法では、ヒアルロン酸のための溶媒及びリン脂質のための水性分散媒体は、生理食塩水又はリン酸緩衝液であってもよい。
【0015】
本発明に従ってヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法は、ヒアルロン酸及びリン脂質を溶解するステップ、リン脂質の膜を形成するステップ、リン脂質膜を水和するステップ、ヒアルロン酸とリン脂質分散液とを混合するステップ、及び該混合溶液を一定温度で撹拌することにより、複合化を起こし、それにより本発明の複合体を得るステップを含む。
【0016】
本発明に従ってヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法では、該リン脂質分散液は、リン脂質の有機溶液を回転蒸発させて膜を形成し、次いで分散媒体を添加し、更に機械撹拌、渦流混合及び超音波処理からなる群から選択される1種又は複数の方法でその膜を水和することにより、均質分散系を得ることによって調製し得る。
【0017】
本発明に従ってヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法では、ヒアルロン酸は、水溶液又は粉末の形態でリン脂質分散液に直接添加してもよい。
【0018】
本発明に従ってヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法では、ヒアルロン酸は、リン脂質分散液に添加する前にカルボジイミドで活性化してもよい。
【0019】
本発明に従ってヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法では、リン脂質を従来法によりリポソーム中に先ず配合してもよく、次いでヒアルロン酸を添加した後、一定温度で撹拌することにより、複合化を起こし、それにより本発明の複合体を得る。
【0020】
本発明において使用するヒアルロン酸は、水溶性、多価陰イオンのムコ多糖であり、水溶液に溶解すると、連鎖間又は連鎖内である種の疎水性領域及び親水性領域を形成できる。本発明において使用するリン脂質は、2本の疎水性長鎖脂肪酸鎖及び1本の親水性リン酸鎖を有する両親媒性物質である。ヒアルロン酸及びリン脂質は、疎水結合、静電結合、水素結合等を介して複合体を形成することができる。
【0021】
本発明を更に例示するために以下の実施例を今や示すが、これらの実施例は、本発明の範囲を制限するものとは如何様にも解釈すべきではない。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
ヒアルロン酸−リン脂質複合体1の調製及び同定
ヒアルロン酸ナトリウム1.2gを正確に秤量し、完全に溶解するまで撹拌しながらリン酸緩衝液100mlに徐々に添加した。レシチン3.6g(ホスファチジルクロリン約80%、ホスファチジルエタノールアミン約8%、及び少量のスフィンゴミエリン、リゾリン脂質等を含むドイツLipoid Co.製Lipoid E80)を正確に秤量し、無水エタノール中に溶解した。次いで、そのエタノールを回転蒸発で除き、フラスコ壁上にリン脂質膜を残した後、真空乾燥を行ってエタノールを完全に除いた。リン酸緩衝液100mlを機械撹拌下で添加することによって、生成したリン脂質膜を水和し、10分間超音波処理することによって均質分散液を得た後、予め調製したヒアルロン酸溶液に添加した。機械撹拌を37℃の一定温度で6時間行うと、ヒアルロン酸−リン脂質複合体1が生成した。この実施例では、原料のヒアルロン酸対リン脂質の質量比は1:3である。
【0023】
複合体中のリン脂質及びヒアルロン酸の複合状態の決定
該複合体の乳濁液を調製し、真空下で凍結乾燥した。測定前に、凍結乾燥した複合体を正確に秤量した(m;各々mHA及びmPLと標示したその中のヒアルロン酸及びレシチンの量をその比率に従って計算した)。次いで、複合体中のレシチンの比率に対して一定量のクロロホルムを添加した後、10分間振とうし、減圧下で吸引ろ過し、クロロホルム不溶物質を乾燥した後、それを正確に秤量した(m)。
【0024】
複合しているリン脂質対ヒアルロン酸の質量比は、[mPL−(m−m)]/mHAである。
【0025】
複合体1については、複合しているリン脂質対ヒアルロン酸の質量比は0.4733であった。
【0026】
複合体1の形成は、それぞれ全反射減衰IRスペクトル(MB−HATR)及び示差走査熱量測定(DSC)を用いて確認した。
【0027】
MB−HATR:試料をKBrペレット上に広げ、固く圧縮した。スペクトル分解能は8.0cmであった。200回の平均値を取り、走査範囲は4000〜500cm−1であった。その結果を図1に示した。
【0028】
図1から、混合物と比較したとき、複合体に対する幾つかの隣接ピークの相対強度が有意に変化していることが認識できる。複合体中のヒアルロン酸のC=O及びC−N(アミド基)の吸収ピークは、高波数に移動しており、ヒアルロン酸の解離カルボキシル基(νO−C=O)のIR吸収もやや変化した。複合体中のリン脂質の極性末端にあるP−O結合の伸縮振動ピーク(νP=O及びνP−O−C)は移動した(νP=Oは高波数に移動し、νP−O−Cは低波数に移動した)。ヒアルロン酸のアミド基(νC=O及びνC−N)並びに解離カルボキシル基のIR吸収帯位置は変化しており、そのことは、それらの間の相互作用が、ヒアルロン酸のカルボキシル基又はアミド基とリン脂質の極性末端との間で起こっているようであり、イオン結合及び疎水作用に属することを示唆している。その上、複合体中のヒドロキシル吸収帯は、混合物中より広がっており、その吸収帯の波数は混合物より低く、そのことは、新たな水素結合が複合体中に形成されたようであることを示している。
【0029】
DSCの操作条件は、N流量50ml/分、温度範囲0〜400℃及び加熱速度5℃/分であった。その結果を図2に示した。
【0030】
図2から、複合体のDSC曲線では、約26℃の吸熱ピークが消失したが、これは、複合体形成後、ヒアルロン酸とリン脂質との相互作用のために、リン脂質がもはや相変化を受けないことを示すこと、及び、317.79℃の強い発熱ピークも消失したが、これは、恐らく、多糖類としてのヒアルロン酸が、リポソーム膜の安定化にとって良好な保護剤であるので、高温下での酸化分解からリン脂質を保護できるために起こったことが、認識できる。これとは対照的に、混合物のDSC曲線は、基本的に、ヒアルロン酸及びリン脂質のDSC曲線の重ね合わせであった。
【0031】
したがって、上記の結果は、ヒアルロン酸及びリン脂質が複合体を形成することを示した。
【0032】
(実施例2)
ヒアルロン酸−リン脂質複合体2の調製及び同定
複合体2の調製手順は、実施例1で各々用いたヒアルロン酸ナトリウム1.2g及びリン脂質0.24gを正確に秤量したこと以外は、複合体1の調製手順と同じであった。この実施例では、原料のヒアルロン酸対リン脂質の質量比は1:0.2である。複合体2中のリン脂質及びヒアルロン酸の複合状態は、複合体1について記載したように決定し、その結果から、複合しているリン脂質対ヒアルロン酸の質量比は0.1886であることが示された。複合体2の同定は、複合体1に対して用いた方法と同じ方法で行い、その結果から、IR吸収プロファイル及び熱化学的性質の変化は、複合体1と実質的に同じであることが示された。
【0033】
(実施例3)
ヒアルロン酸−リン脂質複合体3の調製及び同定
複合体3の調製手順は、実施例1で各々用いたヒアルロン酸ナトリウム1.2g及びリン脂質10.8gを正確に秤量したこと以外は、複合体1の調製手順と同じであった。この実施例では、原料のヒアルロン酸対リン脂質の質量比は1:9である。複合体3中のリン脂質及びヒアルロン酸の複合状態は、複合体1について記載したように決定し、その結果から、複合しているリン脂質対ヒアルロン酸の質量比は0.4805であることが示された。複合体3の同定は、複合体1に対して用いた方法と同じ方法で行い、その結果から、IR吸収プロファイル及び熱化学的性質の変化は、複合体1と実質的にやはり同じであることが示された。
【0034】
動物実験
体重250〜280gのウィスター系雌ラットを各群8匹の4群:生理食塩水(NS)対照群、ヒアルロン酸処置群、混合物(ヒアルロン酸対レシチンの質量比は1:3であった)処置群、及びヒアルロン酸−リン脂質複合体(実施例1の複合体1)処置群に無作為に分別した。その投与は、体重1kg当たりヒアルロン酸60mgに相当する用量で胃腸内に行った。
【0035】
ラットは12時間絶食(水以外)させた後、ペントバルビタールナトリウムの腹腔内注射により麻酔した。血液試料を投与から0、1、2、4、7、10及び12時間後に鎖骨下静脈洞より採取し、放置して血清を分離させ、その後遠心分離によって血清を得た。次いで、ヒアルロン酸用放射免疫アッセイキットを用いて、ヒアルロン酸の血清濃度を決定した。
【0036】
図3は、処置群及び対照群に関する薬物濃度対時間の曲線を示す。本発明によれば、ヒアルロン酸の吸収は、経口投与した際に高まっており、徐放プロファイルが実現する。
【0037】
図3から、試験期間中に、投与後のヒアルロン酸の血清濃度は、ヒアルロン酸群(投与から4〜10時間以内にP<0.05)及びNS対照群(P<0.01)、更には混合物群よりも、複合体1群において有意に高かったことが認識できる。対照的に、混合物群におけるヒアルロン酸の血清濃度は、幾つかの時点でヒアルロン酸群より高いに過ぎなかった。ヒアルロン酸−リン脂質複合体の形成は、経口投与した際の外因性ヒアルロン酸の吸収を促進し、吸収時間を延長し、したがって徐放プロファイルを示すことが実証されている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1−A】ヒアルロン酸、リン脂質、ヒアルロン酸とリン脂質との混合物、及び本発明のヒアルロン酸−リン脂質複合体の赤外スペクトルを示す図である。ヒアルロン酸を示す。
【図1−B】ヒアルロン酸、リン脂質、ヒアルロン酸とリン脂質との混合物、及び本発明のヒアルロン酸−リン脂質複合体の赤外スペクトルを示す図である。レシチンを示す。
【図1−C】ヒアルロン酸、リン脂質、ヒアルロン酸とリン脂質との混合物、及び本発明のヒアルロン酸−リン脂質複合体の赤外スペクトルを示す図である。物理的粉砕混合物(ヒアルロン酸:レシチン=1:3)を示す。
【図1−D】ヒアルロン酸、リン脂質、ヒアルロン酸とリン脂質との混合物、及び本発明のヒアルロン酸−リン脂質複合体の赤外スペクトルを示す図である。本発明の複合体1を示す。
【図2】ヒアルロン酸(HA)、レシチン(PL)、ヒアルロン酸とリン脂質との混合物、及び本発明のヒアルロン酸−リン脂質複合体のDSC曲線を示す図である。
【図3】動物実験における処置群及び対照群の薬物濃度対時間のプロットを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合しているリン脂質対ヒアルロン酸の質量比が0.08〜0.5である、ヒアルロン酸−リン脂質複合体。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸がヒアルロン酸又はその生理的に許容可能な塩である、請求項1に記載のヒアルロン酸−リン脂質複合体。
【請求項3】
前記リン脂質が、ホスファチジン酸、ホスファチジルクロリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、N−メチルエタノールアミングリセロールリン酸、N,N−ジメチルエタノールアミングリセロールリン酸、N−アシルエタノールアミングリセロールリン酸、N−2(ヒドロキシエチル)アラニンホスファチジルグリセリド、ビホスファチジルグリセリド、グリセロールリン酸、グルコサミングリセロールリン酸グリセリド、O−アミノ酸リン脂質グリセリド、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルイノシトールリン酸、ホスファチジルイノシトール二リン酸、ホスホイノシトール三リン酸、ホスファチジルグルコース、ジグルコースグリセロールホスファチジン酸、スフィンゴシル糖脂質、グリセリル糖脂質、セレブロシド、ガングリオシド、モノグリコシルセレブロシド、スフィンゴミエリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンとジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンを含む合成リン脂質、リゾリン脂質からなる群から選択される1種又は複数である、請求項1に記載のヒアルロン酸−リン脂質複合体。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載のヒアルロン酸−リン脂質複合体と、場合により他の活性成分又は栄養補給剤とを含む組成物。
【請求項5】
前記他の活性成分又は栄養補給剤が、アミノ酸、核酸、タンパク質、多糖類、セルロース、酵素、微量要素、多量要素、ビタミン、性ホルモン、植物ホルモン、多価不飽和脂肪酸、プロバイオティクス及び漢方薬からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
経口製剤であり、製剤1g又は1mlに対して、0.01〜0.5gの量でヒアルロン酸−リン脂質複合体を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のヒアルロン酸−リン脂質複合体を調製する方法であって、ヒアルロン酸とリン脂質とを1:0.1〜1:10の無難な比で用意するステップ、粉末又は水溶液形態のヒアルロン酸又はカルボジイミド活性化ヒアルロン酸をリン脂質の水性分散液と十分に混合するステップ、及び一定温度で撹拌して前記複合体を得るステップを含む方法。
【請求項8】
リン脂質の水性分散液が、リポソームの作製法により、又は機械撹拌、渦流混合及び超音波処理からなる群から選択される1種若しくは複数の方法を用いるリン脂質の直接水和により得られる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
反応温度が28〜45℃であり、反応時間が2〜48時間であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ヒアルロン酸のための溶媒及びリン脂質のための水性分散媒体が、生理食塩水又はリン酸緩衝液であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図1−A】
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【図1−B】
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【図1−C】
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【図1−D】
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【公表番号】特表2009−500503(P2009−500503A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520696(P2008−520696)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001652
【国際公開番号】WO2007/006232
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(507231563)
【Fターム(参考)】