説明

ヒアルロン酸含有乳化組成物

【課題】分解ヒアルロン酸を含む使用感のよい乳化組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む乳化組成物。
(A)分解ヒアルロン酸、又は薬学的に許容されるその塩
(B)25℃で固体の油性成分
(C)下記(C-1)〜(C-3) からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(C-1)炭素数4〜12の脂肪酸グリセリルエステル、
(C-2)炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテル、及び
(C-3)炭素数4〜12のアルケニルグリセリルエーテル

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低分子化されたヒアルロン酸又はその塩を含有する乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は、真皮などの皮下組織に多く含まれ、細胞間で水分を保持したり、緩衝剤として機能している。また、硝子体などの眼球組織にも多く含まれ、緩衝剤として機能したり、組織の形状を保つ役割をしている。また、関節液や軟骨のような関節組織にも多く含まれ、潤滑剤や緩衝剤として機能している。
このため、ヒアルロン酸は、医薬品や化粧品の成分として多用されている。しかし、ヒアルロン酸は高分子であるため、外用剤成分として用いる場合、皮膚に浸透し難く、実用上十分にその作用を発揮できない。
ヒアルロン酸の経皮吸収性を高める試みとして、特許文献1は、平均分子量が5000〜20000であり、かつ分子量1万以下の成分の割合が40重量%以上でかつ分子量5万以上の成分の割合が5重量%以下である低分子ヒアルロン酸が皮膚浸透性が良いことを教えている。
乳化組成物には、肌への皮膜性を高めるため、又はコクのある使用感を出すために、固形油性成分を配合することが一般的である。
しかし、固形油性成分を含む乳化組成物に低分子化したヒアルロン酸を添加すると、ザラザラ又はモロモロした不均一な組成物になってしまう。このため、肌とのなじみやのびが悪くなり、またコクの損なわれた使用感となるために、商品価値の低い乳化組成物になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2007/099830号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、分解ヒアルロン酸を含む使用感のよい乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決するために研究を重ね、
(A)分解ヒアルロン酸、又はその塩、及び(B)25℃で固体の油性成分を含む乳化組成物に、さらに、(C)(C-1)炭素数4〜12の脂肪酸グリセリルエステル、(C-2)炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテル、及び(C-3)炭素数4〜12のアルケニルグリセリルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を加えることにより、均一でなめらかな乳化組成物になることを見出した。
【0006】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の乳化組成物を提供する。
項1. 下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む乳化組成物。
(A)分解ヒアルロン酸、又は薬学的に許容されるその塩
(B)25℃で固体の油性成分
(C)下記(C-1)〜(C-3) からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(C-1)炭素数4〜12の脂肪酸グリセリルエステル、
(C-2)炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテル、及び
(C-3)炭素数4〜12のアルケニルグリセリルエーテル
項2. (A)成分の分解ヒアルロン酸の重量平均分子量が100kDa以下である項1に記載の乳化組成物。
項3. (A)成分の含有量が、乳化組成物の全量に対して、乾燥重量で、0.001〜10重量%である、項1又は2に記載の乳化組成物。
項4. (B)成分が、
(B-1)炭素数14以上の直鎖の飽和の高級アルコール
(B-2)炭素数14以上の直鎖の飽和の脂肪酸グリセリルエステル、及び
(B-3)植物油
からなる群より選ばれる少なくとも1種の油性成分である項1〜3のいずれかに記載の乳化組成物。
項5. (B)成分の含有量が、乳化組成物の全量に対して、0.01〜10重量%である、項1〜4のいずれかに記載の乳化組成物。
項6. (C)成分の含有量が、乳化組成物の全量に対して、0.01〜5重量%である、項1〜5のいずれかに記載の乳化組成物。
項7. (C-1)成分が、カプリル酸グリセリルエステルである、項1〜6のいずれかに記載の乳化組成物。
項8. (C-2)成分が、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルである、項1〜7のいずれかに記載の乳化組成物。
項9. さらに、カルボキシビニルポリマー、及びアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の増粘剤を含む項1〜8のいずれかに記載の乳化組成物。
項10. 増粘剤の含有量が、乳化組成物の全量に対して、0.001〜10重量%である、項1〜9のいずれかに記載の乳化組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の乳化組成物は、ヒアルロン酸が分解された低分子のものであるため、皮膚から吸収され易く、ヒアルロン酸による保湿作用が効果的に奏される。また、分解ヒアルロン酸と油性成分を含むにもかかわらず、ザラザラ又はモロモロせず、均一でなめらかな組成物である。従って、肌とのなじみや、使用感がよいため、外用組成物として、商品価値の高い乳化組成物となる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)成分(分解ヒアルロン酸又はその塩)
分解ヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸を分解することにより得ることができる。高分子ヒアルロン酸は、鶏冠や、臍の緒、眼球、皮膚、及び軟骨などの動物組織、ストレプトコッカス属微生物などのヒアルロン酸生産微生物、動物細胞もしくは植物細胞の培養物から抽出、回収することができる。また、市販品を購入することもできる。
高分子ヒアルロン酸を、塩酸のような酸の存在下で加水分解することにより、ヒアルロニダーゼなどの酵素を用いて処理することにより、又は超音波や剪断によって物理的に切断することにより、分解ヒアルロン酸を調製することができる。
【0009】
本発明のヒアルロン酸は、高分子ヒアルロン酸を分解したものであればよく、分解の程度は特に限定されないが、分解ヒアルロン酸の重量平均分子量は、約100kDa以下がより好ましく、約10kDa以下がさらにより好ましい。また、分解ヒアルロン酸の重量平均分子量は、約0.1kDa以上が好ましく、約1kDa以上がより好ましく、約5kDa以上がさらにより好ましい。上記範囲であれば、ヒアルロン酸が本来有する保湿作用などの作用を有するものとなる。また、上記範囲の重量平均分子量を有する分解ヒアルロン酸を用いれば、十分に低粘度で、肌なじみがよく、ベタツキのない組成物が得られる。
本発明において、重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定される値である。その条件は、(カラム:TSKgel GMPWXL 7.8mm×30cm(東ソー(株)製)、カラム温度:40℃付近の一定温度、検出器:示差屈折率計、移動相:0.2mol/L NaCl、流量:0.3mL/分、注入量:100μL、標準物質:プルラン標準品(STANDARD P-82、昭和電工(株)製))である。
【0010】
分解ヒアルロン酸の塩としては、一般的な塩を意味し、薬学的に許容される塩であればよい。具体的には、分解ヒアルロン酸を構成するカルボキシル基に由来するカルボキシルイオン(COO)と陽イオン(例えば金属イオンM+、ここでMは金属を表す)との相互作用により形成される会合物(複合体)をいい、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。中でも、肌改善効果に優れる点で、亜鉛塩が好ましい。
本発明において「分解ヒアルロン酸亜鉛」とは、一般的な亜鉛塩を意味するが、具体的には、分解ヒアルロン酸を構成するカルボキシル基に由来するカルボキシルイオン(COO)と亜鉛イオン(Zn2+)との相互作用により形成される会合物(複合体)をいう。具体的には、通常、分解ヒアルロン酸中のカルボキシルイオン2個に対して亜鉛イオン1個が相互作用した構造を有することができる。
【0011】
分解ヒアルロン酸の塩は公知の方法により得ることができ、また、市販品を購入することもできる。例えば、分解ヒアルロン酸ナトリウムは、分解ヒアルロン酸をナトリウム化合物を含む含水媒体中で混合することにより得られる。また、分解ヒアルロン酸亜鉛は、分解ヒアルロン酸の水溶液と、亜鉛化合物(例えば、酢酸亜鉛)の水溶液とを混合することにより、あるいは亜鉛化合物を含む含水媒体中に分解ヒアルロン酸を分散させることにより、調製できる。
【0012】
(A)成分の含有量は、乳化組成物の全量に対して、乾燥重量で、約0.001〜10重量%が好ましく、約0.01〜5重量%がより好ましく、約0.05〜1重量%がさらにより好ましい。上記範囲であれば、ヒアルロン酸による保湿作用などが十分に得られる。
【0013】
(B)成分(25℃で固体の油性成分)
(B)25℃で固体の油性成分は、乳化組成物にコクのある使用感を与える役割を果たす。
25℃で固体の油性成分としては、化粧品や医薬外用剤の油性成分として通常使用されているものを制限無く使用できる。25℃で固体の油性成分としては、例えば、以下の(B-1)〜(B-3)の成分が挙げられる。
(B-1)炭素数14以上の直鎖の飽和の高級アルコール
(B-2)炭素数14以上の直鎖の飽和の脂肪酸のグリセリルエステル、及び
(B-3)植物油
【0014】
(B-1)炭素数14以上の直鎖の飽和の高級アルコールとしては、ミリスチルアルコール(C14)、セチルアルコール(C16)、ステアリルアルコール(C18)、セテアリルアルコール(C16とC18の混合物)、ベヘニルアルコール(C22)などが挙げられる。中でも、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましく、ベヘニルアルコールがより好ましい。
(B-1)直鎖の飽和の高級アルコールの炭素数の上限は、通常22程度である。
【0015】
(B-2)炭素数14以上の直鎖の飽和の脂肪酸グリセリルエステルとしては、ミリスチン酸(C14)、ステアリン酸(C16)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)などの脂肪酸のグリセリルエステルが挙げられる。中でも、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸のグリセリルエステルが好ましく、ステアリン酸のグリセリルエステルがより好ましい。
(B-2)直鎖の飽和の脂肪酸グリセリルエステルの炭素数の上限は、通常22程度である。
炭素数14以上の直鎖の飽和の脂肪酸グリセリンエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよく、あるいはこれらの混合物でもよい。トリエステルとしては、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリルなどのトリグリセリンが挙げられる。
炭素数14以上の直鎖の飽和の脂肪酸グリセリンエステル類は、公知の方法で製造することができる。このような公知の方法として、グリセリンと脂肪酸とを酸性またはアルカリ性の触媒存在下あるいは無触媒下でエステル化して得る方法、油脂類とグリセリンとを触媒存在下でエステル交換反応して得る方法、グリセリン又は特定の水酸基を保護したグリセリンをピリジン等の塩基の存在下に脂肪酸クロライドでエステル化する方法、脂肪酸アリルを酸化的にジヒドロキシル化して得る方法等が挙げられる。
【0016】
(B-3)の植物油は、化粧品や医薬外用剤の成分として使用されている公知の植物油を制限無く使用できる。このような公知の植物油として、シアバター、アボガド油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ホホバ脂、硬化油などが挙げられる。中でも、シアバター、アボガド油、ホホバ脂、硬化油が好ましく、シアバターがより好ましい。
【0017】
(B)25℃で固体の油性成分は、1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用できる。(B-1)〜(B-3)は組み合わせて使用してもよいが、(B-1)〜(B-3)の何れか一つを使用することもできる。(B-1)〜(B-3)の何れか一つを使用する場合は、(B-1)が好ましい。
(B)成分の含有量は、乳化組成物の全量に対して、約0.01〜10重量%が好ましく、約0.1〜5重量%がより好ましく、約0.5〜3重量%がさらにより好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲であれば、十分な乳化安定性が得られ、またコクのある乳化物になる。
また、(A)成分と(B)成分との含有量の比率は、重量比で、(A)成分(乾燥重量):(B)成分が約1: 0.1〜100であるのが好ましく、約1: 0.5〜50であるのがより好ましく、約1: 1〜30であるのがさらにより好ましい。(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率が上記範囲であれば、十分な乳化安定性が得られ、コクのある乳化物になる。
【0018】
(C)成分
(C)成分は、乳化組成物に抗菌力を与え、(A)分解ヒアルロン酸又はその塩と (B)25℃で固形の油性成分とを含む組成物がザラザラ又はモロモロした不均一な組成物になるのを抑制し、さらに、肌なじみやのびが良好で使用感が良い乳化組成物とする役割を果たす。
(C-1)炭素数4〜12の脂肪酸グリセリンエステル
(C-1)炭素数4〜12の脂肪酸グリセリンエステルは、直鎖または分岐の飽和または不飽和の脂肪酸グリセリンエステルであり、ブタン酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸等の脂肪酸グリセリンエステルを挙げることができる。中でも、カプリル酸、カプリン酸が好ましく、カプリル酸がより好ましい。
炭素数4〜12の脂肪酸グリセリンエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよく、あるいはこれらの混合物でも良い。特に好ましいのはモノ脂肪酸グリセリンエステルを60%以上含むものである。
炭素数4〜12の脂肪酸グリセリンエステルは、(B-2)成分について述べたのと同じ方法で製造できる。
【0019】
(C-2)炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテル
(C-3)炭素数4〜12のアルケニルグリセリルエーテル
炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテルは、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものであり、ブチルグリセリルエーテル、アミルグリセリルエーテル、ヘキシルグリセリルエーテル、ヘプチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、ノニルグリセリルエーテル、デシルグリセリルエーテル、ウンデシルグリセリルエーテル、ドデシルグリセリルエーテルなどが挙げられる。中でも、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル好ましい。
炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテルは、モノアルキルグリセリルエーテル、ジアルキルグリセリルエーテル、又はトリアルキルグリセリルエーテルのいずれでも良く、又はこれらの混合物でもよい。特に好ましいのは、モノアルキルグリセリルエーテルを60%以上含むものである。
また、炭素数4〜12のアルケニルグリセリルエーテルは、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基を有するものである。
炭素数4〜12のアルケニルグリセリルエーテルは、モノアルケニルグリセリルエーテル、ジアルケニルグリセリルエーテル、又はトリアルケニルグリセリルエーテルのいずれでも良く、これらの混合物でもよいが、特に好ましいのは、モノアルケニルグリセリルエーテルを60%以上含むものである。
【0020】
炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテル、及びアルケニルグリセリルエーテルは公知の方法で製造できる。公知の方法としては、特定水酸基を保護したグリセリンの金属アルコラートとハロゲン化アルキル又はアルケニルハロゲンとを反応させた後保護基を除去する方法、アルキルグリシジルエーテル又はアルケニルグリシジルエーテルを水和開環する方法、アルキルグリシジルエーテル又はアルケニルグリシジルエーテルとカルボン酸とを反応させ、けん化分解して得る方法、グリセリンの金属アルコラートとアルキル硫酸ナトリウム又はアルケニル硫酸ナトリウムとを反応させて得る方法等が挙げられる。
【0021】
(C)成分は、1種を単独で、又は2種以上を組合わせて使用できる。(C-1)〜(C-3)は組み合わせて使用してもよいが、(C-1)〜(C-3)の何れか一つを使用することもできる。
(C-1)〜(C-3)の中では、(C-1)及び(C-2)が好ましい。中でも、(C-2)が好ましい。(C-1)と(C-2)とを組み合わせて使用することも好ましく、この場合、例えば、ニコガード88(日光ケミカルズ(株);カプリル酸グリセリルと2-エチルヘキシルグリセロールとの混合物)などの市販品を用いることもできる。
【0022】
(C)成分の含有量は、乳化組成物の全量に対して、約0.01〜5重量%が好ましく、約0.05〜2重量%がより好ましく、約0.1〜1重量%がさらにより好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲であれば、乳化組成物の抗菌力が実用上十分になり、ザラザラ又はモロモロした不均一な組成物にならず、また肌なじみやのびが良好で使用感が良い乳化組成物となる。また、(C)成分の含有量が上記範囲であれば、肌への刺激がなく、またコクのある使用感の乳化物となる。
また、(A)成分と(C)成分との含有量の比率は、重量比で、(A)成分(乾燥重量):(C)成分が約1: 0.01〜1000であるのが好ましく、約1: 0.1〜1000であるのがより好ましく、約1: 1〜100であるのがさらにより好ましい。(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率が上記範囲であれば、乳化組成物の抗菌力が実用上十分になり、ザラザラ又はモロモロした不均一な組成物にならず、また肌なじみやのびが良好で、使用感が良い乳化組成物となる。また、(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率が上記範囲であれば、肌への刺激がなく、またコクのある使用感の乳化物となる。
【0023】
増粘剤
本発明の乳化組成物は、さらに増粘剤を含むことが好ましく、これにより、乳化安定性が一層優れた組成物となる。
増粘剤は、化粧品や医薬外用剤の増粘剤として公知のものを制限なく使用できる。このような公知の増粘剤として、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリイソステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシドなどが挙げられる。中でも、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体が好ましく、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体がより好ましい。
増粘剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
増粘剤の含有量は、乳化組成物の全量に対して、約0.001〜10重量%が好ましく、約0.01〜5重量%がより好ましく、約0.05〜2重量%がさらにより好ましい。増粘剤の含有量が上記範囲であれば、乳化安定性が一層優れ、コクのある使用感が得られるとともに、のびの良い、肌なじみが良好な乳化組成物となる。
【0024】
成分の好ましい組み合わせ
(A)成分と、(B)成分、(C)成分、又はさらに増粘剤との好ましい組み合わせを、以下の表1に示す。
【表1】

【0025】
組成物の特性
本発明の乳化組成物は、W/O型、O/W型の何れであってもよいが、O/W型の方が好ましい。分解ヒアルロン酸は通常水相に含まれる。これにより分解ヒアルロン酸の作用が一層効果的に奏される。
本発明の乳化組成物のpHは、皮膚外用剤のpHとして通常用いられる範囲であればよいが、中でも、約4〜7が好ましく、約4.5〜6.5がより好ましい。上記pH範囲であれば、皮膚刺激がない。
【0026】
化粧料組成物
本発明の乳化組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じてさらに増粘剤を、化粧料に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤と共に混合して、化粧料組成物とすることができる。
<化粧料組成物の形態>
化粧料組成物の形態は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリームのような基礎化粧料;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプーのような洗浄用化粧料;ファンデーション、化粧下地、リップクリーム、口紅、チークカラーのようなメークアップ化粧料;入浴剤などが挙げられる。
【0027】
<基剤又は担体>
基剤又は担体としては、流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィンのような炭化水素;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのようなトリ脂肪酸グリセリド;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジンのようなシリコーン油;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリットのようなエステル類;デキストリン、マルトデキストリンのような多糖類;エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなグリコールエーテル;ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、イソプレングリコールなどの多価アルコール;水などの水系基剤などが挙げられる。
【0028】
中でも、炭化水素(特に、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、軽質流動パラフィン、流動パラフィン)、トリ脂肪酸グリセリド(特に、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)、シリコーン油(特に、メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン)、エステル類(特に、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット)、多糖類(特に、デキストリン、マルトデキストリン)、グリコールエーテル(特に、ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、多価アルコール、水が好ましく、多価アルコールがより好ましい。
中でも、油性基剤又は担体と水とを含む製剤である場合の好ましい油性基剤又は担体は、スクワラン、トリ脂肪酸グリセリド等である。
【0029】
<添加剤>
また、化粧料組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に添加される公知の添加剤、例えば界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料、パール光沢付与剤等を添加することができる。添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸のようなグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリルのようなポリグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO−40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。
【0030】
中でも、グリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸グリセリル)、ポリグリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸ポリグリセリル)、硬化ヒマシ油誘導体(特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(特に、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60))、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(特に、ポリオキシエチレンセチルエーテル)、シリコーン系界面活性剤(特に、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)が好ましい。
【0031】
保存剤、防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなどが挙げられる。中でも、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノールが好ましい。
【0032】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。中でも、コハク酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0033】
安定化剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
刺激低減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0034】
着色剤としては、無機顔料、天然色素などが挙げられる。
パール光沢付与剤としては、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコールなどが挙げられる。中でも、ジステアリン酸エチレングリコールが好ましい。
添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0035】
<その他の有効成分>
また、本発明の化粧料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分を含むことができる。
有効成分の具体例として、化粧料成分として一般に使用される、例えば、抗酸化成分、老化防止成分、抗炎症成分、美白成分、細胞賦活化成分、ビタミン類、血行促進成分、保湿成分、DNAの損傷の予防及び/又は修復作用を有する成分、抗糖化成分、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、ヒドロキノン配糖体及びそのエステル類などが挙げられる。
【0036】
抗酸化成分としては、植物(例えば、ブドウ、オタネニンジン、コンフリー等)に由来する成分;プロアントシアニジン、アスコルビン酸及びその誘導体、グルコシルヘスペリジン、エルゴチオネイン、亜硫酸水素ナトリウム、スーパーオキサイドジスムターゼ、ヒポタウリン、アスタキサンチン、トコフェロール又はその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエンなどが挙げられる。
【0037】
老化防止成分としては、加水分解大豆タンパク、カイネチン、レチノール、レチノイン酸、レチナール又はそれらの誘導体などのレチノイド類等が挙げられる。
【0038】
抗炎症成分としては、植物(例えば、コンフリー)に由来する成分;アラントイン、グリチルリチン酸又はその誘導体、酸化亜鉛、塩酸ピリドキシン、酢酸トコフェロール、サリチル酸又はその誘導体、ε-アミノカプロン酸などが挙げられる。
【0039】
美白成分としては、例えば、コウジ酸;エラグ酸;フィチン酸;ブチルレゾルシノール;パントテン酸又はその誘導体;トラネキサム酸、システイン、ビタミンE又はその誘導体などや、美白作用を有する植物成分(例えば、植物エキス)が挙げられる。
【0040】
細胞賦活化成分としては、植物(例えば、ビルベリー)に由来する成分;ε-アミノカプロン酸などのアミノ酸類;チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類;グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類;フラボノイド、アラントイン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどが挙げられる。
【0041】
ビタミン類としては、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、等のビタミンB2類;ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビルなどのビタミンC類(アスコルビン酸及びその誘導体);チアミン塩酸塩、等のビタミンB1類;塩酸ピリドキシン等のビタミンB6類、シアノコバラミン等のビタミンB12類;葉酸等の葉酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)等のパントテン酸類;ビオチン、ビオシチン等のビオチン類;そのほか、カルニチン、フェルラ酸、オロット酸、γ−オリザノール等のビタミン様作用因子などが挙げられる。
【0042】
血行促進作用成分としては、植物(例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;グルコシルヘスペリジンなどが挙げられる。
【0043】
保湿成分としては、植物(例えば、チガヤ)に由来する成分;アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンのようなアミノ酸及びその誘導体;コラーゲン、ゼラチン、エラスチンのようなタンパク質やペプチド、その加水分解物;グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価アルコール;ソルビトールのような糖アルコール;レシチン、水素添加レシチンのようなリン脂質;ヒアルロン酸(高分子型ないしは天然型、以下、保湿成分について同様。)、ヒアルロン酸ナトリウム、カチオン化ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチンのようなムコ多糖;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素のようなNMF由来成分;ポリグルタミン酸;MPCポリマー(例えば、LIPIDURE(登録商標)等)等のリン脂質極性基を有する高分子;ポリオキシプロピレンメチルグルコシド;トリメチルグリシン(ベタイン);ヒドロキシエチルウレア;アクリル酸・アクリルアミド・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体;ソルビトールなどが挙げられる。
【0044】
DNAの損傷の予防及び/又は修復作用を有する成分としては、動物(例えば、アルテミア)に由来する成分;植物(例えば、キャッツクロー)に由来する成分;DNA、DNA塩、RNA、RNA塩等の核酸成分が挙げられる。
【0045】
抗糖化成分としては、例えば、植物エキス(例えば、ブドレジャアキシラリス葉エキス)又は月見草エキス、アムラーの果実、果汁又はそれらの抽出物(特開2006-028090、特開2006-62989号等);L−アルギニン、L−リジン、加水分解カゼイン(以上、特開2001-039816);加水分解性タンニン(特開平9-40519号);カルノシン、(以上、「美容のための最新皮膚診断マニュアル」、フレグランスジャーナル社、2006年8月15日発行)などが挙げられる。
【0046】
ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、加水分解大豆蛋白、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド(パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等)などが挙げられる。
【0047】
アミノ酸又はその誘導体としては、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジン、タウリン、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等が挙げられる。
【0048】
その他の有効成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
中でも、分解ヒアルロン酸と組み合わせることができる好適なその他の有効成分として、パンテノール、トコフェロールなどのビタミン類、グリチルリチン酸二カリウムなどのグリチルリチン酸誘導体などが挙げられる。特に、パンテノールが好ましい。
【0049】
医薬外用組成物
また、本発明の外用組成物は、分解ヒアルロン酸を、医薬有効成分、医薬外用組成物に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤と共に混合して、医薬外用組成物とすることができる。
<医薬外用組成物の形態>
医薬外用組成物の形態は特に限定されず、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤又はパップ剤などが挙げられる。これらの製剤は、第15改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。
【0050】
<基剤又は担体>
基剤又は担体としては、水、生理食塩液、イソプロパノール、濃グリセリン、エタノール、プロピレングリコール又はマクロゴール400等の溶剤;
中鎖脂肪酸トリグリセリド、ハードファット等の合成油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、スクワラン等又はこれらの硬化油等の脂肪油;
流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン等の油性基剤;
イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸又は水素添加ダイマー酸等の高級脂肪酸;
プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコールなどが挙げられる。
基剤又は担体は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
中でも、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。
【0051】
<添加剤>
添加剤としては、懸濁化剤、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤などが挙げられる。
懸濁化剤、増粘剤、又はゲル化剤として使用できる成分としては、アラビアゴム、モノステアリン酸アルミニウム又は水溶性高分子[例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、ポピドン、カルボキシビニルポリマー(カーボポール941;Noveon,Inc.製等;カルボマーともいう。)]等が挙げられる。
乳化剤としては、ステアリン酸ポリオキシル40、セスキオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴール、アラビアゴム、コレステロール、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン、又はポピドン等が挙げられる。
また、化粧料組成物の添加剤として例示した成分も使用できる。
添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0052】
<その他の有効成分>
また、本発明の医薬外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分を含むことができる。有効成分の具体例としては、例えば、化粧料組成物の有効成分として例示したものを使用できる。また、分解ヒアルロン酸と組み合わせることができる好適なその他の有効成分も、化粧料組成物について例示した通りである。
【0053】
使用方法
本発明の外用組成物は、使用対象の皮膚の状態、年齢、性別などによって異なるが、1日数回、適量を皮膚に塗布すればよい。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)降伏応力値の測定方法
降伏応力値を粘弾性測定装置(CVO100D:BOHLIN INSTRUMENTS社製)を用いて測定した。コーンプレート(直径40mm、角度4°)を使用し、乳化組成物に応力(回転)を与え、回転速度を徐々に上げていき、瞬間粘度と応力値の関係性をプロットした。瞬間粘度が最も高くなった時の応力値を降伏応力値とした。
(2)重量平均分子量の測定
加水分解ヒアルロン酸(平均粒子径約230μm、キユーピー株式会社製)0.3gに移動相を加え100mLの溶液を調製した。溶液20mLに移動相40mLを加え、メンブレンフィルターでろ過し、試料溶液を調製した。同様に、各プルラン標準品0.15gを用いて、標準溶液を調製した。サイズ排除クロマトグラフィー(カラム:TSKgel GMPWXL 7.8mm×30cm(東ソー(株)製)、カラム温度:40℃付近の一定温度、検出器:示差屈折率計、移動相:0.2mol/L NaCl、流量:0.3mL/分、注入量:100μL、標準物質:プルラン標準品(STANDARD P-82、昭和電工(株)製)により、加水分解ヒアルロン酸の重量平均分子量は約8,000Daであることを確認した。
【0055】
(3)乳化組成物の調製
表2の処方に従い、試験例1〜4の乳化組成物を調製した。各組成物の降伏応力値を測定した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】

降伏応力値は、固形状のものを液状にするのに要する力であって、流動性の指標となる。乳化組成物の降伏応力値が小さいほど、肌に塗布したときの肌とのなじみ、のびが良く、また容器からの吐出性が良くなる。
表2から、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を組み合わせることにより、(A)成分と共に(B)成分を含んでいるにもかかわらず降伏応力値が小さくなり、肌とのなじみがよい、優れた使用感を有する乳化組成物になることが分かる。
【0057】
表3の処方に従い、試験例5〜10の乳化組成物を調製した。各組成物の降伏応力値を測定し、試験例8の値に対する変化率を算出した。結果を表3に示す。
【表3】

表3から、(C)成分の類縁化合物を含む試験例9及び10によっては降伏応力値低下効果は認められなかったものの、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を組み合わせることにより、肌とのなじみがよい、優れた使用感を有する乳化組成物になることが分かる。
【0058】
処方例
本発明の乳化組成物の処方例を以下に示す。処方例中の数値の単位は「重量%」である。
処方例1 乳液
分解ヒアルロン酸 0.2
ジプロピレングリコール 10.0
ジグリセリン 2.0
トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル 4.0
パンテノール 0.5
スクワラン 8.0
ヒドロキシステアリン酸フィトステリル 0.3
ベヘニルアルコール 0.5
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
キサンタンガム 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.15
モノステアリン酸POEソルビタン 0.6
ステアリン酸グリセリル 0.6
カプリル酸グリセリル 1.0
pH調整剤 適量
精製水 残量
【0059】
処方例2 クリーム
分解ヒアルロン酸亜鉛 0.3
1,3−プロパンジオール 10.0
濃グリセリン 8.0
加水分解ダイズタンパク 0.5
トコフェロール 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
エチルヘキシルグリセリン 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 10.0
シアバター 5.0
ステアリルアルコール 2.0
セタノール 2.0
αオレフィンオリゴマー 5.0
ステアリン酸ポリグリセリル-10 2.0
ステアリン酸グリセリル 1.0
カルボキシビニルポリマー 0.4
ポリビニルアルコール 0.2
ポリアクリル酸Na 0.1
pH調整剤 適量
精製水 残量
【0060】
処方例3 乳液
分解ヒアルロン酸亜鉛 0.2
1,3−ブチレングリコール 10.0
トリメチルグリシン 3.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 8.0
αオレフィンオリゴマー 4.0
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 0.5
硬化油 2.0
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
キサンタンガム 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.15
モノステアリン酸POEソルビタン 0.6
ステアリン酸ソルビタン 0.6
カプリン酸グリセリル 1.0
pH調整剤 適量
精製水 残量
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の乳化組成物は、分解ヒアルロン酸と油性成分を含むにもかかわらず、ザラザラ又はモロモロせず、均一でなめらかな組成物である。従って、肌とのなじみ、及び使用感がよく、商品価値の高い乳化組成物となる。従って、本発明の組成物は化粧料組成物や医薬外用組成物などとして好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む乳化組成物。
(A)分解ヒアルロン酸、又は薬学的に許容されるその塩
(B)25℃で固体の油性成分
(C)下記(C-1)〜(C-3) からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
(C-1)炭素数4〜12の脂肪酸グリセリルエステル、
(C-2)炭素数4〜12のアルキルグリセリルエーテル、及び
(C-3)炭素数4〜12のアルケニルグリセリルエーテル
【請求項2】
(A)成分の分解ヒアルロン酸の重量平均分子量が100kDa以下である請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
(A)成分の含有量が、乳化組成物の全量に対して、乾燥重量で、0.001〜10重量%である、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
(B)成分が、
(B-1)炭素数14以上の直鎖の飽和の高級アルコール
(B-2)炭素数14以上の直鎖の飽和の脂肪酸グリセリルエステル、及び
(B-3)植物油
からなる群より選ばれる少なくとも1種の油性成分である請求項1〜3のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項5】
(B)成分の含有量が、乳化組成物の全量に対して、0.01〜10重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項6】
(C)成分の含有量が、乳化組成物の全量に対して、0.01〜5重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項7】
(C-1)成分が、カプリル酸グリセリルエステルである、請求項1〜6のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項8】
(C-2)成分が、2-エチルヘキシルグリセリルエーテルである、請求項1〜7のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項9】
さらに、カルボキシビニルポリマー、及びアクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の増粘剤を含む請求項1〜8のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項10】
増粘剤の含有量が、乳化組成物の全量に対して、0.001〜10重量%である、請求項1〜9のいずれかに記載の乳化組成物。

【公開番号】特開2012−12390(P2012−12390A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125334(P2011−125334)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】