説明

ヒータ、装置及び関連する方法

【課題】 外側ハウジング及び内側管体を含むことができるヒータが提供される。
【解決手段】 内側管体は、外側ハウジングに対して同軸であり、ハウジング内にある。内側管体の内側表面は、反応カプセルを受けるのに十分な容量を定め、外側表面は、間隙を定めるのに十分な間隙を外側ハウジングの内側表面から半径方向に離間している。充填材料が間隙内に配置される。充填材料は圧力に対応し、これによって充填容量は、500MPaより高い圧力及び500℃よりも高い温度で5容量パーセントより小さく減少する。1つ又はそれ以上の加熱素子が間隙内に配置される。加熱素子は内側管体と熱伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ、ヒータを含む装置、及び関連する方法に関する実施形態を含む。
【背景技術】
【0002】
高圧装置は、圧力下で加工物を加熱するヒータを含むことができる。ヒータは、1つ又はそれ以上の加熱素子を含むことができる。ガス圧媒体で使用するのに好適な加熱素子は、全方向から均一に加圧される(例えば高圧環境で浸漬される)のではなく、半径方向外側に加圧される固体圧媒体での使用には好適ではない場合がある。すなわち、ヒータは、動作条件下で容量を変化させることができるが、加工物との圧力の伝達は必要ではない。固体圧媒体を備えた高圧セルに用いる公知のヒータは、高温高圧環境における容量/形状の変化による変形後、使い捨てとすることができ、従来技術の使い捨てユニットの幾つかは、稼動毎に処理変動が生じるバッチ変動を有する。
【特許文献1】特開2005−142496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
容量変化がほとんどなく繰り返し使用することが可能であり高圧高温装置で用いることができるヒータ、ヒータに用いる加熱素子、及びヒータを含む装置を有することが望ましい。また、複数回使用することができるヒータ、ヒータに用いる加熱素子、及び/又は該ヒータを含む高圧高温装置を製造及び/又は使用する方法を有することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ヒータに関する実施形態を含む。ヒータは、軸を定める第1の管体であって、第1の端部と第1の端部から軸方向に間隔を置いて配置された第2の端部とを有する第1の管体と、少なくとも1つの第2の管体を含む外側ハウジングと、外側ハウジング内に配置される充填材料とを含み、500MPaより高い圧力に応じて、充填材料が500℃よりも高い温度で5容量パーセントより少なく容量が減少することができる。1つ又はそれ以上の加熱素子が、充填材料内の少なくとも部分的に配置される。加熱素子は第1の管体と熱伝達し、第1の管体は、少なくとも部分的に外側ハウジング内又は近傍に配置される。第1の管体の内面は、カプセルを受けることができ、動作後はカプセルを解放する。
【0005】
本発明は、内面及び外面を有するハウジングを含むヒータに関する実施形態を含む。内面は、カプセルを受けるように構成されるチャンバを定め、外面は、溝又はチャネルを定める。加熱素子は、溝又はチャネル内に配置される。
【0006】
本発明は、ヒータを形成する方法に関する実施形態を含む。本方法は、50容量パーセントより大きい密度まで固体粒子をベッドにパックする段階と、ベッドにセメント材料を注入する段階とを含む。
【0007】
本発明は、装置に関する実施形態を含む。本装置は、加熱素子を含む。加熱素子は、500℃よりも高い範囲の温度まで加熱し、セメント材料が該加熱素子を包み、第1の管体が、セメント材料の内側表面と連通してこれに機械的支持を与え、第2の管体が、セメント材料の外側表面に連通する。動作中、加熱素子に供給されるエネルギーによって、第1の管体の中で第1の管体の領域内に配置されるカプセルまでの熱エネルギーの流れ込みが生じる。熱エネルギーの量は、カプセル温度を500℃よりも高い範囲まで上昇させるのに十分とすることができ、温度の上昇に応じて、500MPaより高い範囲にあるカプセル内の圧力を発生させるのに十分とすることができる。この温度及び圧力上昇は、装置の均衡による第2の管体の機械的支持に連動して、カプセル内の容量が5パーセントよりも小さい量で増加するようにヒータが第1の管体を抑制する間生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書及び請求項の全ての範囲は、端点を含み、個別に組み合わせることが可能である。本明細書及び請求項の数値は、特定の値に限定されず、特定の値とは異なる値を含むことができる。数値は、規定値に近い値を含む程十分にあいまいであると考えられ、当該技術分野で公知の測定技術及び/又は値を求めるのに用いられる計器の精度に起因する実験的誤差を許容する。
【0009】
例えば、温度、圧力、濃度などの本明細書及び請求項で特定される範囲終了限度は、組み合わせ及び/又は置き換えが可能であり、論理的サブユニットであるサブ範囲を含むことができる。
【0010】
本明細書及び請求項を通して用いられる類似の用語は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく許容範囲で変わる可能性のあるあらゆる量的表現を修正するために適用することができる。「無い」は、ある用語と組み合わせて使用することができ、僅かな数すなわち微量を含むことができるが、それでも尚、修飾されたその用語が無いものとみなされる。用語「ピッチ」とは、巻線上のいずれかの点から長手方向軸線に平行に測定された隣接する巻線上の対応する点までの距離を含む。鋳造可能とは、鋳型に鋳込むことによって特定の形状に形成される特性を意味する。本明細書で用いられる用語「溝」は、加熱素子を受けるための表面の細長い凹部及び/又は切り欠き部を含み、該凹部及び/又は切り欠き部は、表面下のコーナを欠いた断面である。本明細書で用いられる用語「チャネル」は、加熱素子を受けるための表面の細長い凹部及び/又は切り欠き部を含み、凹部及び/又は切り欠き部は、少なくとも1つの表面下のコーナを含む断面である。
【0011】
本発明の実施形態による装置は、ハウジング、ハウジング内に配置されたヒータ、及びヒータ内に配置された加熱素子を含む。一実施形態において、ハウジングは複数の管体を含む。別の実施形態において、第1の管体及び第2の管体は細長であり、各々が軸を定める。第1の管体が少なくとも部分的に第2の管体内に配置されて互いに対して同軸関係で置かれると、第1及び第2の管体は共通の軸を共有する。各管体は、外側に向いた第1の面と、内側に向いた第2の面とを有する。第1の管体の第1の面は、第2の管体の第2の面から半径方向に間隔を置いて配置され、両管体間に環状空隙を定める。一実施形態において、1つ又は両方の管体は、円筒形であり、及び/又は金属から形成することができる。他の実施形態において、1つ又はそれ以上の管体は、六角形又は五角形などの多角形とすることができ、側面は互いに対して不規則とすることができる。
【0012】
管体は各々、第1の端部及び第2の端部を有する。第2の端部は第1の端部から軸方向に間隔を置いて配置される。一実施形態において、端部リングが、例えば各端部の一端又は両端など1つの管体又は両方の管体に溶接される。リングは、第1の管体と第2の管体との間の環状空隙の端部を定める。一実施形態において、各リングの形状は、固定される1つ又は両方の管体の形状に一致する。例えば、円筒形管体は、円形又は円盤型の端部リングを有する。リングは、リングの接触領域と管体の1つ又は両方の面上の対応する接触領域との間の空隙を最小にする許容公差で機械加工することができる。更に、1つ又はそれ以上のアパーチャがリングに形成され、1つ又はそれ以上のワイヤ又は同様のものが環状空隙又は間隙からリングを通って外の周囲環境に通ることができる。端部リングは、溶接、ろう付け又は同様のものによって、1つ又はそれ以上の管体の端部に固定することができる。一実施形態において、端部リングと管体の端部とは協働してネジ止めされる。
【0013】
第1の管体の第2の面は、反応カプセルを受けるような大きさ、形状、及び構成とすることができる。材料及び構成の選択は、処理後のカプセルの解放を容易にすることが可能である。一実施形態においては、複数の反応カプセルを連続して受けてカプセルの各々で反応を実行することができる再使用可能なヒータが提供される。幾つかの実施形態において、第1の管体は、1ミリメートル(mm)よりも小さい2乗平均平方根表面粗度である。第2の実施形態において、管体は、5mmより大きな寸法を有するどのような間隙、亀裂、又は不連続部もない。
【0014】
管体及び/又はリングに用いる金属の実施例は、鋼鉄などの鉄ベースの合金を含む。他の実施形態において、管体及びリング端部は、サーメット、セラミック、又は複合材料から形成することができる。一実施形態において、第1及び第2の管体、並びに対応する端部リングは、動作条件下で比較的低いクリープを示す1つ又はそれ以上の高温超合金を含む。好適な超合金は、Magellan Industrial Trading Company, Inc.(コネティカット州South Norwalk所在)から商業的に入手可能なINCONEL(登録商標)718及びHASTELLOY Xを含む。
【0015】
加熱素子は、第1と第2の管体間の環状空隙に配置される。一実施形態において、環状空隙は、セメントなどの充填材料で充填され、セメント材料内に配置される1つ又はそれ以上の加熱素子を含む。一実施形態において、充填セメント材料は、鋳造可能又は固定可能であり、これによって流体として鋳込み又は流入され、次いで硬化させて固体にすることができる。一実施形態において、セメント材料は、比較的高密度及び/又は低多孔率である。別の実施形態において、セメント材料は、アルミナ含有量が比較的高い。第1と第2の管体間の環状空隙への充填材として適切なセメント材料を使用することは、動作中の第1の管体から第2の管体への内部圧力の伝達を助ける。
【0016】
適切なセメント材料は、動作条件下でのごく僅かであるセメントから作られる最終部品の圧縮破砕、更なる高密度化、及び/又はクリープに基づき選択することができる。一実施形態において、セメント材料は、鋳造可能な高アルミナセメントを含む。第2の実施形態において、セメント材料は、その論理的最大密度に比べて75%よりも大きい相対密度を有する。第3の実施形態において、セメントは、セメント材料の論理最大密度に比べて75から80%、80から85%、85から90%、90から95%、及び95%を超えるから選択された範囲の相対密度で選択される。
【0017】
セメントの非限定的な実施例は、アルミナ及び酸化マグネシウム化合物を含む。一実施形態において、セメントは、70から80重量%の範囲の量で存在するアルミナを含む。一実施形態において、セメントは、50重量%より多い量で存在するアルミナを含む。一実施形態において、セメントは、本質的にアルミナ及び結合化合物からなる。一実施形態において、セメントは、アルミナ、マグネシウム、及び周期表の少なくとも1つのV族金属を含む。一実施形態において、セメントは、本質的にアルミナ及び酸化マグネシウムからなる。一実施形態において、セメントに用いる固体粒子は、湿潤性が比較的大きくボイド形成が比較的小さくなる表面コーティングを有する。好適なセメントは、Aremco Products, Inc.(ニューヨーク州Valley Cottage所在)によるAREMCO 575N及びAREMCO 576Nとして商業的に入手可能である。
【0018】
一実施形態において、充填材料は、装置の工程温度で最大1000メガパスカル(MPa)の圧縮力下で破砕、又は高密度化、或いはその両方に耐えることができる。一実施形態において、500MPaよりも大きい圧力及び摂氏500度(℃)よりも高い温度に対応した充填材料は、5容量%より少ない容量だけ減少する。一実施形態において、ヒータは、10から50MPa、50から100MPa、100MPaから150MPa、150MPaから250MPa、250MPaから300MPa、300MPaから400MPa、400MPaから500MPa、500MPaから600MPa、600MPaから700MPa、700MPaから800MPa、800MPaから900MPa、900MPaから1000MPa、及び1000MPaを上回る圧力のいずれかから選択される圧力範囲で動作する装置に用いられる。別の実施形態において、ヒータは、200から500℃、500から750℃、750から1000℃、1000から1250℃、1250から1500℃、及び1500℃よりも高い温度のいずれかから選択される動作温度範囲で用いられる。
【0019】
一実施形態において、ヒータは、高アルミナ研磨ビーズを含み、又は大型(例えば1.5mm平均直径)アルミナ溶融鋳造粒子からなる粒子材料から構成されるベッドで環状空隙をパックすることによって形成される。加熱素子は、ベッドの加熱素子の所望の端部構成による一定の方法で配置される。ベッドは、振動装置及び/又はプレス機を用いてパックすることができる。一実施形態において、ベッドは、50容量パーセント(容量%)より大きい相対密度まで固体粒子でパックされる。適切な水酸化アルミニウムベースのセメントを用いて、ビーズ又は粒体によって定められた隙間又はボイド空間中に含浸、注入、及び/又は浸透することができる。セメント材料が設定された後、結果として得られたセメント構造は、本明細書に開示されるような適切な密度である。この構造は、第1と第2の金属管体の間の空隙を充填し、加熱素子を囲み支持する。
【0020】
一実施形態において、ヒータのセメント部分は、以下のように形成することができる。ヒータは、加熱素子及び1つの端部リングと同様に、第1及び第2の管体が所定位置にあるように部分的に組み立てられる。ヒータは開口端を上にして立てられ、個体粒子が浅い深度まで加えられる。特定の深度は、空洞部分の形成を回避しながら効果的にベッドにセメントを注入する能力によって決定付けられる。幾つかの実施形態において、適正な深度は、1から4センチメートル(cm)の範囲である。次に、粒子は、例えば振動パッキング装置によってパックされる。次いで、パック効率が、ボロスコープを用いて視覚的にチェックされる。次に、パックされたベッドにセメントが注入される。一実施形態において、セメントは圧力下でベッドに射出される。ガスボイドは、ボロスコープを用いて観察されるように、泡がベッドの表面で形成されなくなるまでベッドを揺動、軽打、及び/又は振動させることによってベッドから除去される。次に、追加粒子物質が、注入されたベッドの上面に追加され、前述の処理が、所望の長さのセメントが形成されるまで繰り替えされる。セメントは、硬化させることができ、次いで高温で養生される。
【0021】
適正な養生温度は、2つの要因:すなわち、(1)セメントから水分を除去する能力と、(2)破裂を生じる可能性のあるヒータ内の過剰な内部圧力の防止とによって決定することができる。適切な養生時間は、ヒータの大きさに応じて1時間から2週間の範囲とすることができる。養生処理の完了は、幾つかの方法のうちの1つで判断することができる。一実施形態において、養生処理は、セメント全体の電気抵抗が100キロオーム(kΩ)より大きくなると完了したとみなされる。別の実施形態では、1メガオーム(MΩ)よりも大きい。別の実施形態において、セメント全体の電気抵抗が、少なくとも1キロボルト(KV)且つ最大0.1ミリアンペア(mA)でDC高圧試験に十分な程高い場合完了したとみなされる。一実施形態において、養生は、セメント全体の電気抵抗が、少なくとも0.5KV且つ最大0.1mAでDC高圧試験に十分な程高い場合に完了したとみなされる。DC高圧試験において、2つの電極間のDC電圧を増分的に増加させながら、その間を流れる電流を監視する。この場合、加熱素子及び第1及び/又は第2の管体は、試験電極として選択することができる。試験は、電流が設定値(例えば0.1mA)を超えることなく電圧がある閾値(例えば1KVなど)を上回り、高電圧で安定を維持する高抵抗を示す場合に成功したとみなされる。別の実施形態において、養生は、露点計を用いて発生湿度を検出することができない場合に完了したとみなされる。更に別の実施形態において、養生は、質量減少に基づいて完了したと判断する。例えば、硬化したセメントに残存する水分の質量は、最初に、ベークアウト前の質量からベーク後のヒータの質量を減算し、次にセメントに加えられた水の質量からその差を減算することによって算出することができる。このようにしてヒータの水分質量を計測することができ、養生処理は、装置の質量が超過水分の算出された質量と等しい量に減少するまで継続することができる。
【0022】
幾つかの実施形態において、ヒータは、複数の温度制御可能加熱ゾーン、すなわち高温ゾーンを定めるように互いに協働する複数の加熱素子を含む。各加熱素子は、1つ又はそれ以上の導線を含む。一実施形態において、各加熱ゾーンを定める加熱素子は、同じ加熱素子の両端、又は両導線が構造の単一端から出るように巻きつけられる。2つの温度制御可能加熱ゾーンを備えたヒータの一実施形態において、1対の加熱素子端部又は導線は、ヒータの対向端部から出ることができる。2つの温度制御可能加熱ゾーンを備えた別の実施形態において、1対の加熱素子端部又は導線は同じ端部から出ることができる。2つより多い高温ゾーンを有する実施形態において、加熱素子端部又は導線は、一端から、いずれかの端部から、又は第2の管体の外側に表面に沿った種々の点からハウジングを出ることができる。
【0023】
ヒータの出力密度は、巻線密度又は巻線ピッチ、加熱素子に用いる材料の選択、加熱素子の局所断面積、及び同様のものなどの要因を制御することによって決定することができる。一実施形態において、加熱素子の巻線密度は、ばらつきが約25%よりも小さく、比較的一定している。別の実施形態において、巻線密度のばらつきは約10%よりも小さい。一実施形態において、ヒータのある部分は、他の部分に比べて巻線密度が高い。一実施形態において、ヒータの端部は、ヒータの中央部分に比べて比較的高い巻線密度を有することができる。出力密度を制御することによって、端部の間の領域に比べて端部位置で高い放熱率を補償することが可能となる。一実施形態において、温度分布はヒータの全長にわたって均一である。一実施形態において、ヒータの一端から他端に及ぶ勾配を定める巻線密度が、温度分布パターンを定める。一実施形態において、温度は、2つ又はそれ以上の軸方向に離間した高温ゾーン内で比較的均一であり、隣接するゾーン間で温度は円滑に遷移する。幾つかの実施形態において、ピッチは、高圧結晶成長プロセス中の壁核生成の防止、最小化、又は除去を行うように選択することができる。
【0024】
適切な抵抗加熱素子の実施例は、ワイヤ、リボン、コイル、ホイル、又はロッドのうちの1つ又は複数を含む。1つ又はそれ以上の抵抗加熱素子は、環状空隙で軸の周りに巻くことができる。加熱素子は、第1の管体と熱伝達を行うが、電気的には絶縁される。巻線は、渦巻き、螺旋、又は二重螺旋とすることができる。幾つかの実施形態では、三重又はそれ以上の螺旋を含む。螺旋巻線により、加熱素子の2つの端部がハウジングの同じ端部から出ることが可能となる。二重螺旋では、2つの別個の加熱素子の端部がハウジングの同じ端部から出ることができる。複数の加熱素子の多重巻線によって、本明細書で更に開示されるように加熱素子のゾーン制御が可能となる。一実施形態において、加熱素子の断面積は、全長に沿って一定である。別の実施形態では、加熱素子の断面積は全長に沿って変化する。加熱素子の1つのセグメントにおける断面積の増加により、このセグメントの加熱出力密度が低下することになる。加熱素子の局所加熱出力密度の変動は、二重又は多重螺旋巻線加熱素子で有用とすることができる。例え第1の加熱素子及び第2の加熱素子の両方が、巻線二重螺旋又は多重螺旋の形態で少なくとも1つのゾーンに存在する場合でも、第1の加熱素子への電流の印加は主に第1の加熱ゾーンに加熱出力を加え、第2の加熱素子への電流の印加は主に第2の加熱ゾーンに加熱出力を加える。異なる断面積を有するヒータセグメントは、溶接、ろう付け、圧着、クランプ、又は同様のものによって接合することができる。別の実施形態において、ヒータセグメントのセクションの断面積は、ねじりによって、或いはワイヤの1つ又はそれ以上の追加セグメントを第1のセグメントに電気的に接触させることによって増大する。
【0025】
一実施形態において、加熱素子は、KANTHAL A−1により製造された抵抗加熱ワイヤを含む。加熱素子は、第1の金属管体に巻きつけられ、これによって第1の管体と熱伝達して配置される。一実施形態において、電気絶縁コーティング及び/又は少なくとも1つのセラミックロッド、セラミック粒子充填剤、又はセメントを加熱素子に用いて、該加熱素子を第1の管体から電気絶縁することができる。更に、電気絶縁コーティング及び/又は少なくとも1つのセラミックロッド、セラミックシリンダ、セラミック粒子充填剤、又はセメントを用いて、加熱素子を互いに、及び任意選択的に第1の管体から電気絶縁することができる。一実施形態において、加熱素子は、ニクロム(登録商標)から製造されるワイヤを含む。
【0026】
適切な電気絶縁コーティングの実施例は、例えば酸化マグネシウムなどのセラミック材料を含む。一実施形態において、電気絶縁コーティングは、多層構造である。別の実施形態において、多層構造は、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)及びアルミナの1つ又はそれ以上の層などの、濃度勾配を定める厚み全体にわたって線形又は非線形様式で異なる組成を有し、これはYSZ及びアルミナの混合物の層によって分離することができる。更に、多層構造は、YSZ、アルミナ、及び/又はその混合物の1つ又はそれ以上の層を含むことができる。層状構造は、例えばプラズマ溶射又は電子ビーム物理蒸着によって堆積されるセラミック絶縁材料を含むことができる。セラミックロッドに適切な組成物はアルミナである。第1と第2の管体間の環状空隙を充填するのと同様のセラミック粒子充填剤及び/又はセメントを用いて、電気絶縁及び熱伝達を行うことができる。
【0027】
一実施形態において、加熱素子、加熱素子端部、又は導線の1つ又は複数は、第2の金属管体又は端部リングに切り込まれたノッチ又はアパーチャを通してヒータから現れる。加熱素子、端部又は導線は、これらが出現する場所で電気絶縁品によって第1の管体などの導電地絡及び互いから絶縁することができる。一実施形態において、電気絶縁品は、織アルミナ又はガラス繊維スリーブを含む。別の実施形態において、電気絶縁品は、セラミック又はガラス管体の1つ又はそれ以上のセクションを含む。更に別の実施形態において、電気絶縁品は、セラミック又はガラスビーズを含む。端部リングは、ヒータが環状空隙内に形成された後、ヒータの端部に固定又は取り付けることができる。
【0028】
本発明による1つ又はそれ以上の実施形態を含むヒータ100の特定の実施例が、図1から2を参照して例示される。図示のように、第2の管体102は、第1の管体104が定められた軸106上に同軸方向でネストされる容量を定める内面を有する。第2の管体の内面は、第1の管体104の外面から間隔を置いて配置され、その間に細長いトロイド、環状空隙、又は間隙を定める。上方向は「上方」で表記される矢印で示される。管体102、104は、第1の端部108、及び第1の端部から軸方向に離間し、そこから相対的に上方にある第2の端部110を有する。従って、用語「上部」は、文脈及び用語が特に明記しない限り、第2の端部を意味する。
【0029】
第1の抵抗加熱素子111、第2の抵抗加熱素子112、及び第3の抵抗加熱素子113は、環状空隙内に配置される。図示の実施形態において、加熱素子は渦巻状に巻きつけられる。巻線は、巻線距離すなわちピッチだけ互いに離間し、第3の抵抗加熱素子では、ピッチは参照符号114で示される。第1及び第2の抵抗加熱素子は、異なる長さで互いから軸方向に延び、これによって使用中の温度プロファイルのより細かな調整を可能にすることができる。第1及び第2の抵抗加熱素子の各々は、各加熱素子の両方の導線がヒータの同じ端部から出ることができる二重螺旋である。第3の抵抗加熱素子では、1つの導線のみが図示されており、図示されていない導線は例えばヒータの側面から出る。
【0030】
図示の実施形態において、加熱素子は、208ボルト及び最大4000ワットで動作することができる18ゲージ金属ワイヤを含む。第3の抵抗加熱素子用の導線115は、ヒータの底部に出される。他の加熱素子用の他の導線は図示されていない。加熱素子に比べて比較的厚い導線の断面は、電気抵抗及び電気抵抗に伴う熱を低減する。一実施形態において、ワイヤの追加長を導線ワイヤ外面に接触させてワイヤ束を形成することによって比較的増大した厚みが達成される。ワイヤ束は、これによって使用中に局所電気抵抗及びこれに付随する熱が生成されることになる捻れ、狭いスポット、及び同様のものを避けながら捩ることができる。別の実施形態において、導線はジグザグに折り曲げられ、断面厚みを増大する。
【0031】
第1の管体は、非導電性セラミックコーティングでコーティングされる。電気絶縁セラミックコーティングは、加熱素子のセグメントを少なくとも第1の管体から電気的に絶縁する。図示される実施形態において、コーティングは多層複合構造である。複合構造は、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)とアルミナの異なる混合物の複数の層によって分離されるYSZ及びアルミナの層を含む。
【0032】
環状空隙又は間隙は、高密及び高アルミナ含有の充填材料116で充填される。一実施形態ではセメントである充填材料は、動作中第1の管体の外側から第2の管体に内部圧力を伝え、従って、ヒータ容量変化/変形を最小にし、ヒータを再使用することが可能である。
【0033】
加熱素子は、第1の管体と熱伝達し、第1の管体及び第2の管体両方からは電気的に絶縁されたままである。上部から始まり下部に進むと、加熱素子のセットの構成は、幾つかの熱ゾーンを定める。熱ゾーンは、最上の第1のゾーン120、成長ゾーン122、バッフル間隙ゾーン124、及び充填ゾーン126を含む。カプセルが第1の管体の内面118によって定められる容量内に挿入されると、内側バッフル(図示せず)がバッフル間隙ゾーンと協調する。バッフルは、カプセル内に2つのチャンバを定め、1つは充填及び1つは成長用である。2つのチャンバは、穿孔したバッフルを通って連通している。第1の管体の内面118は、本明細書で更に検討されるように、特に取り外し可能なカプセルの解放特性に関して1つ又はそれ以上の特性を有することができる。
【0034】
一実施形態において、第1の管体104内へ挿入するのに好適なカプセルは、貴金属から形成される。貴金属の実施例は、プラチナ、金、又は銀を含む。他の金属は、チタン、レニウム、銅、ステンレス鋼、ジルコニウム、タンタル、これらの合金、及び同様のものを含むことができる。一実施形態において、金属は、酸素ゲッタとして機能する。好適なカプセル寸法は、直径2cm及び長さ4cmより大きくすることができる。一実施形態において、直径の寸法は、2から4cm、4から8cm、8から12cm、12から16cm、16から20cm、20から24cm、及び24cmより大きいうちのいずれかから選択される範囲である。第2の実施形態において、カプセルの直径に対する長さの割合は、2より大きい。更に別の実施形態において、直径に対する長さの割合は、2から4、4から6、6から8、8から9、9から10、10から11、11から12、12から14、14から16、16から18、18から20、及び20より大きいうちのいずれかの範囲である。
【0035】
一実施形態において、成長ゾーン122容量は、充填ゾーン126容量の2倍である。各加熱素子セグメントの電気回路は、別個に制御される。別個の制御は、カプセル高さに沿って熱蒸着プロファイルの達成及び維持に柔軟性を与える。上面からの第2と第3のヒータ部分間の物理的不連続は、カプセル内に配置されるバッフルプレート近傍で温度の局所的低下をもたらし、充填ゾーン126を成長ゾーン122から分離する。一実施形態において、充填ゾーン及び成長ゾーンは、互いに異なる温度で等温である。バッフルゾーンは、充填ゾーンと成長ゾーンとの等温間で比較的短距離にわたる温度勾配を有する。加熱素子の巻線パターン、及びこれらの間で離間した最小温度勾配で結果として生じる等温は、カプセル内の壁核生成を最小化又は除去する。一実施形態において、成長ゾーンは底部にあり、充填ゾーンは上部にあることができる。かかる構成は、特定の化学的性質及び成長パラメータに基づくことができる。
【0036】
更に別の実施形態(図示せず)において、ヒータは、1つの管体(第1の管体104)のみを有する。ヒータ製造中、第2の管体が、第1の管体の同軸方向外側に配置され、充填材料で充填される環状空隙を形成する。充填材料の部分的又は完全養生後、第2の管体は、当該技術分野で公知の手段によって除去されるので、製造されるヒータの構成要素ではない。一実施形態において、第2の管体は、研削によって機械的に除去される。第2の実施形態において、第2の管体は、溶解によって化学的に除去される。充填材料の最終的な養生は、第2の管体の除去後に実施することができる。単一管体を有するヒータの更に別の実施形態(図示せず)において、第1の管体が鋳型に挿入され、ここで管体の外面及び鋳型の内面が、充填材料で充填される円筒形、多角形、又は不規則な形状の環状空隙を形成する。鋳型は多孔性とすることができ、湿気及び他の気体物質が、充填材料の養生中に環状空隙から漏出することができ、従って、養生期間を短縮し、養生された充填材料の均一性が改善される。鋳型は、1つ又はそれ以上の部品を含むことができ、充填材料の部分的又は完全な養生後に分解、破砕、研削、又は同様のものによって除去することができる。充填材料の最終養生は、鋳型の除去後に実行することができる。
【0037】
具体的に図2を参照すると、ヒータ100が、容器210を含む装置200内に配置される。容器の上端部へは第1の端部キャップ212が取り付けられ、底端部へは第2の端部キャップ214が取り付けられる。複数の留め具216(そのうちの1つだけが参照符号で示されている)が、端部キャップを容器の端部に固定する。
【0038】
容器210内で、圧力伝達媒体230が、容器内面に裏付けされ、ヒータ100の外面に接触する。圧力伝達媒体の実施例は、限定ではないが、酸化ジルコニウムすなわちジルコニアを含む。第1及び第2の圧力伝達媒体キャップ232(その1つのみが示される)は、容器内のヒータ100の端部に近接して配置される。環状プラグ234がスタックディスクとして示されるが、キャップ232を取り囲む環形とすることができる。プラグ234は任意選択的に、少なくとも一端に、及びヒータの端部と端部リングとの間のキャビティ内に配置され、軸方向放熱を低減することができる。プラグは、Thermal Ceramics Worldwide(ジョージア州オーガスタ所在)を含む様々な供給源からKAOWOOLの商品名で商業的に入手可能である。
【0039】
図示される実施形態において、ニクロム(登録商標)加熱素子112が、充填材料116に埋め込まれる。圧力伝達媒体の層が、ヒータ100の周囲に配置され、その端部でプラグを受ける。別のプラグ材料は、酸化マグネシウム、塩類、及び水酸化ケイ酸アルミニウム又はピロフィライトなどのフィロケイ酸塩鉱物を含むことができる。
【0040】
図示される装置200は、例えば関連する処理条件下での窒化ガリウム結晶など結晶成長に望ましい圧力及び温度条件下での結晶成長に用いることができる。高圧装置200は、ヒータ100を半径方向、軸方向、又は半径及び軸方向両方で支持するように動作可能な1つ又はそれ以上の構造を含むことができる。一実施形態における支持構造は、装置200を周囲環境から断熱し、かかる断熱は、処理の安定性を強化又は改善し、所望の温度プロファイルを維持及び制御することができる。
【0041】
別のヒータ実施形態300の図3を参照すると、これは断面平面図で示される。ヒータ300は、第1の管体302及び加熱組立体304を含む。加熱組立体は、それぞれU字形及び楕円形を示す参照符号305、306によって示されるものとは異なる断面形状を有することができる。第1の管体は、少なくとも1つの溝又はチャネル310を定めるハウジング又は外面308を有する。各加熱組立体(304、305、及び306)は、第2の外側管体320、中心加熱素子322、及び第2の管体と加熱素子との間に配置された電気絶縁セラミック充填剤324を含む。図を明確にするために、図示の溝にはその中に配置される加熱組立体を有さない。異なる深度の溝又はチャネルを本発明の実施形態による同じヒータ又は異なるヒータに用いることができる。加えて、開口の幅が異なる溝を用いることができる。例えば、開口316の開口幅は、別の開口318の開口幅より相対的に狭い。溝又はチャネルの定められた容量が、湾曲した側壁を保持しながら半径方向内側に移動するときに、一実施形態において開口幅は減少する場合がある。開口幅が減少し加熱素子の幅より小さくなると、加熱素子(又は第2の管体)は、例えば端部から軸方向に挿入することができる。別の実施形態において、幅はゼロまで減少させることができる。
【0042】
加熱組立体304は、溝310に入れ子で嵌合する。加熱組立体304は、CALROD加熱組立体とすることができる。加熱組立体304は、任意選択的な第2の外側管体320、中心加熱素子322、及び第2の管体と加熱素子との間に配置される電気絶縁セラミック充填剤324を含む。
【0043】
加熱素子と第2の管体との間の残りの空隙又は多孔率は、セラミック充填剤を囲んで第2の管体をヒータ上にスエージ加工して組立体を製造することによって、除去又は最小化することができる。チャネル又は溝310は、加熱組立体304の形状に適合することができる。溝表面は、加熱素子の挿入前に機械加工、研削、又は研磨して平滑な仕上がり、厳格な許容公差、及び強化した熱伝達をもたらすことができる。溝は、蛇行形状を有し、加熱組立体が溝に嵌合するように蛇行形状に曲げられ、これによって1つ又はそれ以上の加熱組立体を用いて、第1の管体の内側部分全体を更に加熱することができる。
【0044】
ヒータ組立体305で示される一実施形態において、第1の管体表面308と加熱組立体305の外面との間の溝310の空隙は、導電性又は絶縁性のいずれかとすることができるセメント材料328で充填される。幾つかの実施形態は、コーナに追加セメント材料を加えることを含むことができる。この追加セメントは、コーナに丸みを付けるのに役立ち、熱及び/又は構造的完全性を強化する。
【0045】
第2の管体のないヒータ組立体の更に別の実施形態において、組立体は、加熱素子322を含み、これは溝又はチャネル310の空隙内に配置される。充填材料(セメント)が、加熱素子322と第1の管体表面308との間に配置される。充填材料は、上述のように養生することができる。充填材料が導電性である実施例において、加熱素子322は、最初に、十分な絶縁体力の電気絶縁材料でコーティングされる。
【0046】
別の実施形態において、溝の残余空隙は、セメント材料ではなく、第1の管体と同じ材料で充填することができる。管体充填材料は、粉末冶金、物理気相蒸着、化学気相蒸着、又は同様のものによって電気化学的に堆積することができる。
【0047】
一実施形態において、ヒータは、温度が制御可能である2つ、3つ、又はそれ以上の高温ゾーンを定める複数の異なる加熱素子を含むことができる。図4の組立体400によって示されるように複数の高温ゾーンに適応することができる。第1の管体402は、第1の絶縁セラミック層404でコーティングされる。制御装置406は、形成中に熱伝導性及び電気絶縁性第1の管体の周りに部分的又は複数の巻線ラップを含む複数の加熱素子セグメント410、412、414、416と通信する。共通セグメント418はまた、回路を完成するために存在する。追加絶縁セラミック層(図示せず)は、加熱素子セグメントの1つ又はそれ以上の上部に配置され、これらを制御装置406への導線から電気絶縁することができる。1つ又はそれ以上の電気接点を用いて、加熱素子部分の端部に接続することができる。
【0048】
電気接点は、比較的重いゲージ材料及び/又は低い抵抗性材料から製造することができ、これによって熱発生度のほとんどは、導線内ではなく加熱素子セグメント内で優先的に発生する。導線は、スポット溶接、アーク溶接、超音波溶接、ろう付け、クイック接続ファスナー、ネジ留め、又は同様のものなどによってヒータセグメントに取り付けることができる。1つ又はそれ以上の追加セラミックコーティングは、他のヒータセグメントへの導線ワイヤのショートを低減又は排除することができる。鋳造可能セラミックセメント材料(図示せず)が、上記の組立体を包み、又はその上に鋳造することができる。第2の管体を組立体の上に配置して、本発明の実施形態による1つのヒータを完成させることができる。
【0049】
制御装置406は、センサ(図示せず)及び加熱素子410、412、414、416と通信する。適切なセンサは、感知されるゾーンに近接して配置される温度センサ及び/又は圧力センサを含む。一実施形態において、温度センサは熱電温度計を含む。複数のゾーンの存在によって、制御装置406によるヒータ400内の温度分布の所望量の制御、最終的には第1の管体104及び/又は反応カプセル(存在する場合)内の加熱分布の制御が可能となる。加えて、各セグメントへの電力は、時間の関数としてプログラムすることができ、これによって制御装置は、ヒータ400内の温度分布を操作することができる。温度分布全体にわたるこうした制御は、熱水結晶成長法など様々な結晶成長法に有用である。
【0050】
結晶成長法の一実施形態において、加熱素子に供給されるエネルギーによって、第1の管体の中で該第1の管体の領域内に配置されるカプセルまでの熱エネルギーの流れ込みが生じる。与えられる熱は、500℃よりも高い範囲にまでカプセル温度を上昇させ、温度上昇に応じて500MPaよりも高い範囲にあるカプセル内の圧力を発生させるのに十分とすることができる。作動時において、充填材料は、動作中に内圧を第1の管体外側から第2の管体に伝え、従って、熱容量変化/変形を最小にする。充填材料は実質的に非圧縮性であるので、ヒータの容量及び/又は形状を維持するのに役立つ。管体の第1の端部に固定される端部リングを用いた一実施形態において、ヒータの容量及び/又は形状は更に、動作中安定にすることができる。
【0051】
第1の管体の容量変化が最小で、その形状変形が最小であるので、ヒータは、後続の高圧高温動作に再使用することができる。一実施形態において、第1の管体の内部容量の変化(第1の管体の内部と2つの端部によって定められる)は、10容量%よりも小さい。第2の実施形態において、第1の管体は、5%よりも小さい内部容量変化を生じる。第3の実施形態において、容量変化は2%より少ない。一実施形態において、第1の管体の外部容量の変化(ハウジングの内部容量によって定められる)は、10容量%よりも小さい。第2の実施形態において、第1の管体は、5%よりも小さい外部容量変化を受ける。第3の実施形態において、外部容量変化は2%よりも小さい。ヒータ内側(第1の)管体が最小容量変化を受け、間隙、亀裂、不連続部はほとんど又は全く生じず、高圧/高温での処理用のヒータ内に配置されるカプセルは、動作完了後にヒータから摺動的に除去することができる。本明細書で用いられる「摺動的に除去する」は、カプセルを過度の力を用いる必要がなく、ヒータに恒久的な損傷を与えずに第1の管体の内側面から摺動して外すことができることを意味する。一実施形態において、カプセルは、例えば油圧ピストンを用いて一端に油圧で装荷され、第1の管体の内側から摺動して取り出される。圧力伝達材料からのヒータの除去を防ぐために、機械的制限をもうけることができる。カプセルが初期動作後に第1の管体から摺動的に除去された後でも、ヒータは何度も再使用することができる。
【0052】
本明細書で説明された実施形態は、請求項で記載される本発明の要素に対応する要素を有する組成、構造、システム、及び方法の実施例である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態を含むヒータを示す概略図。
【図2】図1のヒータを用いることができる本発明の実施形態を含む装置を示す概略図。
【図3】本発明の実施形態を含むヒータを示す概略図。
【図4】本発明の実施形態による装置の概略図。
【符号の説明】
【0054】
100 ヒータ
102 第2の管体
104 第1の管体
111 第1の抵抗加熱素子
112 第2の抵抗加熱素子
113 第3の抵抗加熱素子
114 ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧高温装置に用いるヒータにおいて、
軸を定める第1の管体であって、第1の端部と該第1の端部から軸方向に間隔を置いて配置された第2の端部とを有し、外面とカプセルを受けることができる内面とを更に有する第1の管体と、
前記管体の外面の周囲又は近傍に配置された充填材料と、
前記管体と熱伝達し、前記充填材料内に少なくとも部分的に配置される1つ又はそれ以上の加熱素子と、
を含み、
150MPaよりも高い装置内の動作圧力及び200℃よりも高い温度に応じて、前記充填材料容量が5容量パーセントよりも小さく減少し、前記カプセルを動作後に前記第1の管体から摺動的に除去することができることを特徴とするヒータ。
【請求項2】
前記第1の管体の外側に配置される第2の管体を更に含み、前記充填材料が、前記第1の管体と前記第2の管体との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記第1の管体が、前記第2の管体又はハウジングと同軸関係にあり、前記第1の管体が内側表面と外側表面とを有し、該内側表面は前記軸から半径方向に間隔を置いて配置されて反応カプセルを受けるのに十分な容量を定め、前記外側表面が、間隙を定めるのに十分なように前記第2の管体の内側表面から半径方向に間隔を置いて配置され、
前記充填材料が前記間隙内に配置されることを特徴とする請求項2に記載のヒータ。
【請求項4】
前記充填材料が、動作時に前記第1の管体の内部圧力を半径方向外側及び前記第2の管体に伝達するように動作可能であることを特徴とする請求項2から3のいずれかに記載のヒータ。
【請求項5】
前記加熱素子が、前記第1の管体又は前記第2の管体から、或いは前記第1の管体及び前記第2の管体の両方から少なくとも電気絶縁層によって電気的に絶縁される請求項2から4のいずれかに記載のヒータ。
【請求項6】
前記電気絶縁層が、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、アルミナ、又はその組合せから選択される電気絶縁セラミック材料を含む請求項5に記載のヒータ。
【請求項7】
前記電気絶縁層が複数層であり、前記複数コーティングが、サブ層毎に異なる組成物を有し、前記電気絶縁層の厚みにわたって組成勾配を定める請求項5から6のいずれかに記載のヒータ。
【請求項8】
充填材料に配置される1つ又はそれ以上の電気絶縁材料を更に含み、前記電気絶縁材料が、前記加熱素子の少なくとも1つを前記第1の管体又は前記第2の管体から、前記第1の管体及び第2の管体の両方から、或いは前記加熱素子の他のものから絶縁することができる請求項2から7のいずれかに記載のヒータ。
【請求項9】
前記第1の管体の第1の端部又は前記第2の管体の第1の端部に、或いは前記第1の管体及び前記第2の管体の両方の第1の端部に固定される第1の端部リングを更に含む請求項2から8のいずれかに記載のヒータ。
【請求項10】
前記第1の管体の外面がチャネル又は溝を定め、前記1つ又はそれ以上の加熱素子の少なくとも1つが、前記チャネル又は溝内に少なくとも部分的に配置された組立体内に含まれることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のヒータ。
【請求項11】
前記反応カプセルが、超臨界になることによる熱及び圧力に反応する媒体を受け入れ保持することができ、前記反応カプセルが動作中に配置される前記第1の管体の内部容量が一定の容量を定め、前記反応カプセル内の圧力が温度に応じて高くなることができるように構成され、これにより、動作中に前記反応カプセルの温度及び圧力は、媒体が超臨界になり、超臨界に必要な圧力が前記反応カプセルの外面を受動的に抑制する前記第1の管体の内面によって与えられる容量の抑制によって供給されるほど十分に高くなることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のヒータ。
【請求項12】
高圧高温装置に用いるヒータ装置において、
内面及び外面を有する第1の管体であって、前記内面がカプセルを受けるように構成されるチャンバを定め、前記外面が少なくとも溝又はチャネルを定める第1の管体と、
前記溝又はチャネル内に配置される充填材料であって、前記充填材料によって前記第1の管体と熱伝達し且つ前記第1の管体から電気的に絶縁される少なくとも1つの加熱素子が配置される前記充填材料と、
150MPaよりも高い装置内の動作圧力及び200℃よりも高い温度に応じて、前記充填材料容量が、5容量パーセントよりも小さく減少し、前記カプセルを動作後に前記第1の管体から摺動的に除去することができることを特徴とするヒータ装置。
【請求項13】
前記加熱素子の外面及び前記溝又はチャネルの内面に接する非導電セラミックコーティングを更に含む請求項12に記載のヒータ装置。
【請求項14】
前記溝又はチャネル内に配置される少なくとも第2の管体を更に含み、前記充填材料が前記第2の管体内に配置され、前記加熱素子が、前記第2の管体内に配置されて前記充填材料によって前記第2の管体から電気的に絶縁されることを特徴とする請求項12から13のいずれかに記載のヒータ装置。
【請求項15】
前記溝又はチャネル内及び前記第2の管体の外側に配置され、前記第2の管体を前記溝又はチャネルから分離する導電性又は電気絶縁性セメントを更に含む請求項14に記載のヒータ装置。
【請求項16】
500℃よりも高い範囲温度まで加熱するように動作可能な加熱素子と、
前記加熱素子を包み、第1の面及び第2の対向する面を有するセメント材料と、
前記セメント材料の第1の面と連通し、これに機械的支持を与える第1の管体と、前記セメント材料の第2の面と連通する第2の管体と、
を備えた装置であって、
動作中、加熱素子に供給されるエネルギーによって前記第1の管体の中で該第1の管体の領域内に配置されるカプセルまでの熱エネルギーの流れ込みが生じ、前記熱エネルギーは、カプセル温度を500℃よりも高い範囲まで上昇させ、温度上昇に応じて500MPaよりも大きな範囲にあるカプセル内の圧力を発生させるのに十分であると同時に、前記第1の管体は、カプセル内の容量が5パーセントより少ない量で増加するように前記セメント材料によって抑制されることを特徴とする装置。
【請求項17】
前記第1の管体の内面が、1ミリメートルよりも小さい2乗平均平方根表面粗度を有し、5ミリメートルより大きな寸法を有する1つ又はそれ以上の間隙、亀裂、又は不連続部のないことを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載のヒータ。
【請求項18】
500MPaより高い前記装置内動作圧力及び500℃よりも高い温度に応じて、前記充填材料容量が5容量パーセントより小さく減少し、動作後に前記カプセルを前記第1の管体から摺動的に除去することができることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載のヒータ。
【請求項19】
前記充填材料が、100キロオーム(kΩ)より大きな電気抵抗及び理論最大密度が少なくとも75パーセントの密度である鋳造可能又は成形可能セメントを含むことを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載のヒータ。
【請求項20】
前記充填材料が、酸化マグネシウム、アルミナ、又は酸化マグネシウムとアルミナの両方を70重量パーセントから80重量パーセントの範囲の量で含むことを特徴とする請求項1から19のいずれかに記載のヒータ。
【請求項21】
前記充填材料が、700MPaより高い圧力及び700℃よりも高い温度で10パーセントより少ない容量減少があることを特徴とする請求項1から20のいずれかに記載のヒータ。
【請求項22】
前記加熱素子が、ホイル、リボン、又はワイヤのうちの1つであり、渦巻き、蛇行、単螺旋、二重螺旋、又は多重螺旋パターンを定めることを特徴とする請求項1から21のいずれかに記載のヒータ。
【請求項23】
前記第1の管体の第1の端部及び第2の端部が内部容量を定め、
500MPaより高い装置内動作圧力及び500℃よりも高い温度に応じて、前記充填材料容量が5容量パーセントより小さく減少し、前記内部容量は、10容量%より小さく変化し、動作後に前記カプセルを前記管体から摺動的に除去することができることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載のヒータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−71728(P2008−71728A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−323731(P2006−323731)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】