ヒータチップ及び接合装置及び接合方法
【課題】被接合物(特に被覆線)に対して強度的に信頼性の高いハンダ付けを行うこと。
【解決手段】ヒータチップ10は、通常使用形態の姿勢において最下端の突出した部位となる略直方体形状のコテ部12を有し、このコテ部12の一側面12aにコテ先面12bに通じるハンダ供給用のくぼみ14を設けている。リード線100をプリント配線板102上の端子104にハンダ付けで接合する加工においては、リード線100の絶縁被膜が剥がれ、端子104の表面に予めコーティングされている一次ハンダ105が溶けた直後に、ヒータチップ10のくぼみ104に線状の固形ハンダからなる二次ハンダ66を挿入(供給)する。
【解決手段】ヒータチップ10は、通常使用形態の姿勢において最下端の突出した部位となる略直方体形状のコテ部12を有し、このコテ部12の一側面12aにコテ先面12bに通じるハンダ供給用のくぼみ14を設けている。リード線100をプリント配線板102上の端子104にハンダ付けで接合する加工においては、リード線100の絶縁被膜が剥がれ、端子104の表面に予めコーティングされている一次ハンダ105が溶けた直後に、ヒータチップ10のくぼみ104に線状の固形ハンダからなる二次ハンダ66を挿入(供給)する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンダ付けに用いるヒータチップ、接合装置および接合方法に係り、特にリフローソルダリングに用いて好適なヒータチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば外付け電気部品のリード線(被覆線)100をプリント配線板102上の端子(接続パッドまたは電極等)104にリフローソルダリングで接合するために、図15に示すように、コテ部106を有するヒータチップ108が用いられている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
このタイプのヒータチップ108は、高融点金属たとえばタングステンあるいはモリブデンからなる略コ字状の板体として形成され、凹形の向き(姿勢)で底辺より下方に突出する小片状のコテ部106を水平にし、左右両端の接続端子部110L,110Rをヒータヘッド112に取り付けている。図示のヒータヘッド112は、ヒータ電源(図示せず)の出力端子に通じる一対の給電用導体114L,114Rの一側面にボルト116L,116Rでヒータチップ108の左右接続端子110L,110Rを物理的かつ電気的にそれぞれ接続しており、給電用導体114L,114Rを介してヒータチップ108を上下に移動させる昇降機構や被接合物に向けて押圧する加圧機構(図示せず)を有している。給電用導体114L,114Rの間には両者を電気的に分離するための絶縁体118が挟まれている。
【0004】
図15において、プリント配線板102は、図示しない作業台(たとえばXYテーブル)上に水平に載置されており、リード線100は端子104の上に載せられる。端子104の表面には、予めクリーム状のハンダまたはメッキのハンダ105がコーティングされている。
【0005】
ヒータヘッド112がヒータチップ108を下ろすと、図16に示すように、ヒータチップ108のコテ部106の下面つまりコテ先面106aが被接合部つまりリード線100およびプリント配線板102側の端子104に適度な加圧力で接触する。このようにヒータチップ108のコテ部106を被接合部(100,104)に押し当てた状態の下で、ヒータ電源がオンしてヒータチップ108に電流を供給すると、ヒータチップ108のコテ部106が抵抗発熱し、被接合部(100,104)を加熱する。これによって、リード線100の絶縁被膜が熱で溶けて剥がれ、リード線100の周囲のハンダ105も溶ける。溶けたハンダ105は、リード線100の露出した導体100aの周面に沿って這い上がるように幾らか盛り上がる。通電開始から一定時間(通電時間)経過後にヒータ電源が通電を止め、通電終了から一定時間(保持時間)経過後にヒータヘッド112がヒータチップ108を上昇させて被接合部(100,104)から離す。そうすると、ハンダが凝固して、被接合部(100,104)がリフローのハンダ付けによって結合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−66636
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来のリフローソルダリングによる被覆線接合法は、接合強度が十分ではなく、リード線100に外力が加わると外れることがあった。すなわち、ICパッケージのように本体もプリント配線板上に取り付けられる表面実装型電気部品のリードとは異なり、プリント配線板の外に配置される外付け電気部品からのリード線100は空中に晒されている範囲または区間が不定に長く、たとえば組み立て時に大きな外力(応力)を受けやすい。しかるに、上記のような従来の接合法は、リード線100と端子104との間で溶融凝固するハンダ105の接合面積が少ないため、強度的に信頼性の高いハンダ接合が得られなかった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するものであり、被接合物、特に被覆線に対して強度的に信頼性の高いハンダ付けを行えるヒータチップ、接合装置および接合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のヒータチップは、通電により発熱するコテ部を有し、前記コテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触させることによって前記被接合物をハンダ付けで接合するヒータチップであって、前記コテ部の側面から前記コテ先面まで延びるハンダ供給用のくぼみを有する。
【0010】
本発明のヒータチップにおいては、コテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触させてヒータチップを通電すると、コテ部の温度が設定温度まで上昇して被接合物が加熱される。ここで、適当なタイミングを見計らって、くぼみの中にハンダを投入する。そうすると、ハンダはくぼみの中で速やかに溶け、溶けたハンダが被接合物に上に被さるように広がる。ヒータチップの通電を停止して(または弱めて)、あるいはヒータチップを被接合物から離して、被接合物を冷やすと、ハンダが凝固して強度的に信頼性の高いハンダ付けの接合が得られる。
【0011】
本発明の好適な一態様においては、コテ部を電気的には直列にかつ物理的には一体的に複数連設し、各々のコテ部にくぼみを個別に設ける。かかる構成によれば複数組の被接合物を同時にハンダ付けで接合できるうえ、各組の被接合物毎に強度的に信頼性の高いハンダ付けの接合が得られる。
【0012】
本発明の好適な一態様によれば、被接合物は被覆線と端子部材であり、端子部材の上に載せられた被覆線にコテ部のコテ先面を当ててハンダ付けが行われる。この場合、コテ部は、好適には略直方体形状に形成される。ハンダ供給用のくぼみは、ハンダ付けされる被覆線の軸方向と向き合うコテ部の一側面に入口を有してもよく、あるいはハンダ付けされる被覆線の軸方向と平行になるコテ部の一側面に入口を有してもよい。
【0013】
本発明の好適な一態様によれば、被覆線の軸方向において、くぼみは、コテ先面の0.3〜0.7倍の奥行き寸法(または幅寸法)を有し、特に好ましくはコテ先面の0.4〜0.6倍の奥行き寸法(または幅寸法)を有する。
【0014】
また、好適な一態様によれば、くぼみの天井は、コテ部の側面から内奥に向かって次第に低くなり、その入口から内奥の終端まで底が切り欠かれている。かかる構成によれば、線状の固形ハンダをくぼみの内奥ひいては被接合物に向けて容易に挿入(供給)しやすくなる。
【0015】
本発明の接合装置は、本発明のヒータチップと、このヒータチップを支持し、被接合物を接合する際にコテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触させるヒータヘッドと、該ヒータチップに抵抗発熱用の電流を供給するヒータ電源とを有する。
【0016】
本発明の接合装置は、上記の構成により、特に本発明のヒータチップを備える構成により、強度的に信頼性の高いハンダ付けの接合を行うことができる。
【0017】
本発明の接合方法は、本発明のハンダ付け装置を用いて被覆線を端子部材にハンダ付けで接合するための接合方法であって、前記端子部材の上に第1のハンダを介して前記被覆線を載せる工程と、前記コテ部のくぼみが前記被覆線に被さるように、前記ヒータチップのコテ部のコテ先面を前記被覆線に当てて、所定の加圧力を加える工程と、前記コテ部の温度を通電により前記第1のハンダの融点よりも高い第1の設定温度まで上昇させる工程と、前記コテ部の温度を前記第1の設定温度まで上昇させた後に、前記コテ部のくぼみの中に第2のハンダを供給する工程と、前記くぼみの中で前記第2のハンダを溶かし、前記被覆線を包み込むように前記第2のハンダを前記第1のハンダに溶融状態で合体させる工程と、前記コテ部のコテ先面を前記被覆線から離して、溶融状態で合体した前記第1および第2のハンダを凝固させる工程とを有する。
【0018】
本発明の接合方法は、上記の構成により、特にコテ部の温度を第1の設定温度まで上昇させた後に、つまり加熱によって被覆線の絶縁被膜を剥し、第1のハンダを溶かした後に、コテ部のくぼみの中に第2のハンダを供給して、くぼみの中で第2のハンダを溶かし、被覆線を包み込むように第2のハンダを第1のハンダに溶融状態で合体させる工程を有することにより、ハンダ接合面積と接合強度を効率よく増やして、被覆線接合の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のヒータチップ、接合装置および接合方法によれば、上記のような構成および作用により、被接合物、特に被覆線に対して強度的に信頼性の高いハンダ付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態におけるヒータチップの構成を示す斜視図である。
【図2】上記ヒータチップの構成を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線についての断面図である。
【図4】上記実施形態における接合装置の全体構成を示す図である。
【図5】上記接合装置を用いて被覆線をプリント配線板上の端子にハンダ付けで接合する一実施例の加工例を示す図である。
【図6】上記実施例におけるヒータチップの温度制御特性を示す図である。
【図7】上記実施例においてプリント配線板上の端子に被覆線を載せて位置決めする様子を示す斜視図である。
【図8】上記実施例においてヒータチップを被接合物に加圧接触させた状態を示す一部断面正面図である。
【図9A】上記実施例においてリード線の絶縁被膜が剥がれて一次ハンダが溶けた時の状態を示す一部断面正面図である。
【図9B】上記実施例においてリード線の絶縁被膜が剥がれて一次ハンダが溶けた時の状態を示す一部断面側面図である。
【図10A】上記実施例においてヒータチップのくぼみの中に二次ハンダを供給するときの様子を示す斜視図である。
【図10B】上記実施例においてヒータチップのくぼみの中で二次ハンダが溶ける様子およびその作用を示す一部断面側面図である。
【図11A】上記実施例においてヒータチップを被接合物から離すときの様子およびハンダ付けされた後の被接合物の状態を示す一部断面正面図である。
【図11B】上記実施例においてヒータチップを被接合物から離すときの様子およびハンダ付けされた後の被接合物の状態を示す一部断面側面図である。
【図12A】ヒータチップのコテ先部に関する一変形例を示す図である。
【図12B】ヒータチップのコテ先部に関する別の変形例を示す図である。
【図13A】別の実施形態におけるヒータチップの構成を示す斜め上方から見た斜視図である。
【図13B】図13Aのヒータチップを斜め下から見た斜視図である。
【図14】図13Aのヒータチップを用いて2本の被覆線を同時に異なる端子にそれぞれハンダ付けで接合する加工例を示す斜視図である。
【図15】従来のヒータチップとそれを用いるハンダ付けの例を示す斜視図である。
【図16】図15のヒータチップを通電させている状態を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1〜図14を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0022】
図1〜図3に、本発明の一実施形態におけるヒータチップの構成を示す。図1および図2はこのヒータチップの斜視図および正面図、図3は図2のA−A線についての断面図である。
【0023】
この実施形態におけるヒータチップ10は、たとえば3〜5mmの板厚を有するタングステン板で形成されている。このタングステン板をワイヤ放電加工により刳り貫いて一体加工することにより、ヒータチップ10が作製される。
【0024】
このヒータチップ10は、通常使用形態の姿勢において最下端の突出した部位となる略直方体形状のコテ部12を有し、このコテ部12の一側面12aに底面つまりコテ先面12bに通じるハンダ供給用のくぼみ14を設けている構成を主たる特徴としている。
【0025】
より詳細には、コテ部12の側面12aはその母材(タングステン板)の表面または裏面に対応し、たとえば切削および研磨加工によってこの側面12aにくぼみ14が形成される。図示のくぼみ14は、コテ部12の側面12aの幅方向中心部にて下に向かって逆テーパ状に横に広がりながら、かつ内奥に深度を拡大しながらコテ部12を上端から底(コテ先面12b)まで湾曲に削ぎ落したような構造を有している。このくぼみ構造においては、くぼみ14の天井14aは側面12aから内奥に向かって次第に低くなり、入口14bから内奥の終端14cまで底が切り欠かれており、後述するように線状の固形ハンダ66をくぼみ14の内奥つまり被溶接部に向けて挿入しやすくなっている。
【0026】
図3において、くぼみ14の深さ(奥行)Dは、コテ部12の厚さをTとすると、0.3T〜0.7Tの範囲が好ましく、0.5T付近つまり0.4T〜0.6Tの範囲が最も好ましい。すなわち、コテ部12の厚さTに比して深さDが小さすぎると、後述するようにこのくぼみ14を介した二次ハンダの供給量、ひいてはくぼみ14の中で生成されるハンダ溜まりの量、したがって一次ハンダと合体する二次ハンダの量が少なくなり、くぼみ14を備える利点が十全に発揮されなくなる。一方、コテ部12の厚さTに比してくぼみ14の深さDが必要以上に大きいと、二次ハンダの供給量は増えても、被接合物に直接当たるコテ先面12bの接触面積ひいては加熱力が減少するので、後述するような被覆線のハンダ付けでは絶縁被膜が剥がれにくくなって、結果的にハンダ接合強度の向上は難しくなる。
【0027】
くぼみ14の入口の高さHおよび底の幅Wは、ハンダの供給しやすさと溶け込みやすさとの兼ね合い(トレードオフ)の中で最適な寸法に選択されてよい。好ましい一形態として、高さHは0.8T〜1.2Tの範囲に選ばれ、底幅Wは1.5T〜2.0Tの範囲に選ばれる。
【0028】
コテ部12の上面の左右両端部には、電流密度を高めるために断面積を細く絞った二股状の電流通過部16L,16Rを介して左右の接続端子部18L,18Rがそれぞれ接続されている。これらの接続端子部18L,18Rは、上端部に1つまたは複数(図示の例は2つ)のボルト通し穴20L,20Rをそれぞれ設けている。コテ部12の上面の中心部には、後述する熱電対22(図5)を取り付けるための突部24が形成されている。
【0029】
このヒータチップ10も、従来のヒータチップ108と同様に、ヒータヘッド112(図15)に取り付けられ、予め設定された手順および条件で所与の被接合物に対して所定の加圧動作および通電発熱動作を行うようになっている。
【0030】
図4に、この実施形態における接合装置26の全体構成を示す。この接合装置26は、上述した構成を有するヒータチップ10と、このヒータチップ10を支持し、被接合物を接合する際にコテ部12のコテ先面12bを被接合物に加圧接触させるヒータヘッド112と、ヒータチップ10に抵抗発熱用の電流を供給するヒータ電源28と、装置内の各部および全体の動作を制御する制御部42とを備えている。
【0031】
ヒータ電源28は、交流波形インバータ式の電源回路を用いている。この電源回路におけるインバータ30は、GTR(ジャイアント・トランジスタ)またはIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)等からなる4つのトランジスタ・スイッチング素子32,34,36,38を有している。
【0032】
これら4つのスイッチング素子32〜38のうち、第1組(正極側)のスイッチング素子32,36はドライブ回路40を介して制御部42からの同相の駆動パルスG1,G3 により所定のインバータ周波数(たとえば4kHz)で同時にスイッチング(オン・オフ)制御され、第2組(負極側)のスイッチング素子34,38はドライブ回路40を介して制御部42からの同相の駆動パルスG2,G4 により上記インバータ周波数で同時にスイッチング制御されるようになっている。
【0033】
インバータ30の入力端子[L0 ,L1]は三相整流回路44の出力端子に接続されている。三相整流回路44は、たとえば6個のダイオードを三相ブリッジ結線してなり、三相交流電源端子(R,S,T)より入力する商用周波数の三相交流電圧を全波整流して直流電圧に変換する。三相整流回路44より出力された直流電圧は、コンデンサ46で平滑されてからインバータ30の入力端子[L0 ,L1]に与えられる。
【0034】
インバータ30の出力端子[M0 ,M1]は、溶接トランス48の一次側コイルの両端にそれぞれ接続されている。溶接トランス48の二次側コイルの両端は、整流回路を介さずに二次側導体114L,114Rを介してヒータチップ10の接続端子部18L,18Rにそれぞれ接続されている。
【0035】
制御部42は、マイクロコンピュータを含んでおり、ヒータ電源28内の一切の制御たとえば通電制御(特にインバータ制御)や各種ヒート条件の設定ないし表示処理等を行うほか、ヒータヘッド112に対しても所要の制御を行う。
【0036】
このヒータ電源28では、チップ温度フィードバック制御を行うために、ヒータチップ10の突部24に取り付けられる熱電対22より出力されるコテ温度測定信号がケーブル25を介して制御部42に与えられる。また、電流フィードバック制御を行う場合は、一次側回路の導体にたとえばカレント・トランスからなる電流センサ50が取り付けられる。この電流センサ50の出力信号から電流測定回路52において一次電流または二次電流の測定値(たとえば実効値、平均値またはピーク値)が求められ、その電流測定信号が制御部42に与えられる。
【0037】
次に、図5〜図11につき、上記構成の接合装置26を用いて被覆線を端子部材にハンダ付けで接合する一実施例を説明する。
【0038】
図5に示すように、この実施例は、上述した従来例(図15、図16)と同様に外付け電気部品(たとえば小型モータ)60のリード(被覆線)100をプリント配線板102上の端子(接続パッドまたは電極等)104にハンダ付けで接合する。図中、左側のリード100'と端子104'は既にハンダ付けが済んでおり、右側のリード100と端子104は未だである。端子104,104'はプリント配線板102上のプリント配線62,62'さらにはスルーホール(図示せず)等を介して裏面に取り付けられている表面実装型電気部品(図示せず)に電気的に接続されている。端子104の表面には、クリーム状のハンダまたはメッキのハンダ105がこの実施例ではリフロー用の一次ハンダとして予めコーティングされている。
【0039】
接合装置26は、ヒータチップ10の通電発熱機能に基づく急速加熱/急速冷却特性とインバータ式ヒータ電源28の高速かつ精細な通電制御機能とを活かして、ヒータチップ10のコテ部12の温度を高速かつ任意に可変できるようになっている。図6に、この実施例においてヒータチップ10のコテ部12の温度を可変制御するシーケンスの一例を示す。
【0040】
先ず、接合装置26を起動させる前に、図7に示すように、作業台(図示せず)上でプリント配線板102の端子104の上に所定の向きでリード線100を水平に載せ、ヒータヘッド112に取り付けられているヒータチップ10の直下に被接合部(100,104)を位置決めする。このとき、ヒータチップ10のくぼみ14が設けられたコテ部12の側面12aは、リード線100の軸方向と向き合う。
【0041】
接合装置26を起動させると、最初にヒータヘッド112が作動する。ヒータヘッド112は、ヒータチップ10を降ろして、図8に示すようにコテ部12の下面つまりコテ先面12bをリード線100の頂部に当て、予め設定された加圧力を加える。こうしてヒータチップ10がリード線100に加圧接触するのと略同時に、ヒータ電源28が作動して、通電を開始する。
【0042】
通電が開始されると、図6に示すように、ヒータチップ10のコテ部12の温度は急速に上昇し、短時間(0.5秒)でそれまでの常温からベース温度(200℃)に到達する(S1)。このベース温度を一定期間(0.5秒間)保持してヒータチップ10を熱的に安定化させ(S2)、それから通電電流Iの電流量を増やして、コテ部12の温度をベース温度からプレヒート温度(500℃)まで短時間(1.0秒)で急速に上昇させる(S3)。
【0043】
通常のプレヒートは、予熱を意味し、ハンダの濡れ性を良くするためにハンダの融点(たとえば320℃)よりも低い温度に設定される。しかし、この実施例におけるプレヒートは、リード線100の絶縁被膜を剥離するための加熱を意味し、ハンダの融点よりも格段に高い温度(500℃)に設定される。これにより、図9Aに示すように、コテ部12の直下およびその付近でリード線100の絶縁被膜が剥がれて除去される。端子104表面の一次ハンダ105も、コテ部12からの加熱によりリード線100の周囲で溶けて、一部はリード線100の露出した導体100aの周面に沿って這い上がるように幾らか盛り上がる(図9A、図9B)。
【0044】
ここで、リード線100における絶縁被膜の剥離と一次ハンダ105の溶融は、コテ先面12bの真下で最も激しく多量に起きるが、くぼみ104の中(下)も熱が籠って相当高温になるため、この付近でもかなりの量で絶縁被膜の剥離と一次ハンダ105の溶融が起こる。
【0045】
こうして、プレヒート温度で加熱するコテ部12の下でリード線100の絶縁被膜が頂部から周面下部にかけて剥がれる。そして、端子104表面の一次ハンダ105が溶けると、蒸気の煙が立ちこめて、リード線100が溶けたハンダ105の中に沈むように落ち込み、ヒータチップ10もそれに追従して落ち込む(図9B)。
【0046】
接合装置26は、プレヒート温度を一定時間(たとえば1.0秒)保持し(S4)、次いで通電電流Iの電流量を一段減少させて、コテ部12の温度をプレヒート温度からリフロー温度(320℃)まで短時間(1.0秒)で急速に低下させ(S5)、このリフロー温度を一定時間(たとえば1秒間)保持する(S6)。
【0047】
作業者は、上記のように煙が立ちこめてリード線100およびヒータチップ10が落ち込んだことを確認して、このタイミングで図10Aおよび図10Bに示すようにヒータチップ10のくぼみ104に好ましくは線状の固形ハンダからなる二次ハンダ66を挿入(供給)する。この二次ハンダ66は、好ましくは一次ハンダ105と同じ材料または成分からなり、同じ融点(320℃)を有する。
【0048】
上記のようにしてくぼみ104の中に挿入された二次ハンダ66の先端部はリフロー温度の下で速やかに溶けて、ハンダ溜まりが生成される。そして、溶けた二次ハンダ66はリード線100の回りで流れ落ち、下から這い上がってきた一次ハンダ105と合流または合体する。これによって、リード線100の露出した導体100aは、くぼみ104の中で合体した溶融状態の一次ハンダ105および二次ハンダ66によって包み込まれる。
【0049】
接合装置26は、上記のようにリフロー温度を一定時間保持した後に、通電電流Iの電流量をさらに一段減少させて、コテ部12の温度をリフロー温度からベース温度(200℃)に短時間(0.5秒)で急速に戻す(S7)。そして、図11Aおよび図11Bに示すように、ヒータヘッド112によりヒータチップ10を上昇させて、被接合部(100,104)から離す。こうして被接合部(100,104)がベース温度ないし室温の下で冷却され、被接合部(100,104)の周囲で溶けているハンダ、特にリード線100の露出した導体100aを一体に包み込んでいるハンダ(66,105)が同時に凝固する。以後も、上記と同様のハンダ付け加工を続けて実施する場合は、上記S3以降の温度制御ステップを繰り返す。ハンダ付け加工をいったん終了する場合は、通電を停止して、ヒータチップ10を常温に戻す。
【0050】
このように、この実施例の被覆線接合方法においては、上記のようなハンダ供給用のくぼみ104を有するヒータチップ10を用いて、端子104上でリード線100の導体100aを上から下まで包み込むような仕上がりのよいハンダ付けが行われる。これによって、従来よりも格段に大きなハンダ接合面積と接合強度が得られ、物理的かつ電気的に信頼性の高い被覆線接合を実現することができる。
【0051】
上述した実施形態においては、ヒータチップ10のコテ先面12bを平坦面に形成していた。しかし、図12Aに示すようにコテ先面12bを正面から見て逆さV状に中心部が凹んでいる構成、あるいは図12Bに示すようにコテ先面12bを中心部の凹んだ円筒面に形成する構成等も可能である。このように、コテ先面12bの中心部を上方に凹ませることにより、コテ先面12bとリード線100との間の接触面積あるいは熱的結合面積を増大させ、ヒータチップ10の加熱効率を向上させることができる。なお、図12Aおよび図12Bにおいて、左側の図(a)はコテ部12の正面図、右側の図(b)は正面図(a)のA−A線についての断面図である。
【0052】
また、上記実施形態におけるヒータチップ10は、一度に1組の被接合物(100,104)をハンダ付けで接合するタイプであり、単一のコテ部12を有する。しかし、別の実施形態として、図13Aおよび図13Bに示すように、ヒータチップ10に複数たとえば2つのコテ部12(1),12(2)を連設する構成も可能である。これらのコテ部12(1),12(2)は、左右の電流通過部16L,16Rの間で物理的に一体的に形成され、かつ電気的には直列に接続されている。それぞれのコテ先面12b(1),12b(2)は、たとえば図12Bと同様の円筒面に形成されている。そして、両コテ部12(1),12(2)の対向する一対の側面つまりリード線100の軸方向と平行になる側面12L,12Rにハンダ供給用のくぼみ14(1),14(2)がそれぞれ形成されている。この場合、ヒータチップ10の厚み方向において、くぼみ14(1),14(2)14の幅Wは、コテ部12(1),12(2)の厚さをTとすると、0.3T〜0.7Tの範囲が好ましく、0.5T付近つまり0.4T〜0.6Tの範囲が最も好ましい。くぼみ14(1),14(2)の入口の高さHは、ハンダの供給しやすさと溶け込みやすさとの兼ね合い(トレードオフ)の中で最適な寸法に選択されてよい。
【0053】
このように、本発明のヒータチップは、ハンダ供給用のくぼみを、リード線の軸方向と向き合うコテ部の側面に限らず、リード線の軸方向と平行になる側面に設けることも可能である。従って、図示はしないが、図1のように単一のコテ部12を有する場合にリード線の軸方向と平行になる側面にハンダ供給用のくぼみを設けることもできる。また、図13Aのように複数のコテ部を連設する場合にリード線の軸方向に向き合う側面にハンダ供給用のくぼみを設けることもできる。
【0054】
かかる構成のヒータチップ10を用いる接合装置26によれば、図14に示すように、プリント配線板102上に近接して設けられた2つの端子104,104'に2本のリード線100,100'を1回のハンダ付け工程で同時に接合することができる。
【0055】
なお、上述した実施例では、従来のリフローソルダリング法に基づいて端子104(104')の表面に予め一次ハンダ105をコーティングしている。しかし、ハンダ接合の強度・信頼性の低下を伴うが、一次ハンダ105を省いて、くぼみ14(14(1),14(2))を介して供給される二次ハンダ66のみによるハンダ付けも可能である。本発明によるハンダ付け接合の加工対象となる被接合物は、被覆線に限るものではなく、絶縁被覆の導体板、導体バー等であってもよく、さらには絶縁被覆の無い金属部材であってもよい。また、二次ハンダ66としては、上述したような線状の固形ハンダに限らず、たとえば粒状あるいはパウダー状のハンダも使用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 ヒータチップ
12,12(1),12(2) コテ部
12a,12L,12R コテ部の側面
12b,12b(1),12b(2) コテ先面
14,14(1),14(2) ハンダ供給用のくぼみ
18L,18R 接続端子
26 接合装置
28 ヒータ電源
42 制御部
112 ヒータヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンダ付けに用いるヒータチップ、接合装置および接合方法に係り、特にリフローソルダリングに用いて好適なヒータチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば外付け電気部品のリード線(被覆線)100をプリント配線板102上の端子(接続パッドまたは電極等)104にリフローソルダリングで接合するために、図15に示すように、コテ部106を有するヒータチップ108が用いられている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
このタイプのヒータチップ108は、高融点金属たとえばタングステンあるいはモリブデンからなる略コ字状の板体として形成され、凹形の向き(姿勢)で底辺より下方に突出する小片状のコテ部106を水平にし、左右両端の接続端子部110L,110Rをヒータヘッド112に取り付けている。図示のヒータヘッド112は、ヒータ電源(図示せず)の出力端子に通じる一対の給電用導体114L,114Rの一側面にボルト116L,116Rでヒータチップ108の左右接続端子110L,110Rを物理的かつ電気的にそれぞれ接続しており、給電用導体114L,114Rを介してヒータチップ108を上下に移動させる昇降機構や被接合物に向けて押圧する加圧機構(図示せず)を有している。給電用導体114L,114Rの間には両者を電気的に分離するための絶縁体118が挟まれている。
【0004】
図15において、プリント配線板102は、図示しない作業台(たとえばXYテーブル)上に水平に載置されており、リード線100は端子104の上に載せられる。端子104の表面には、予めクリーム状のハンダまたはメッキのハンダ105がコーティングされている。
【0005】
ヒータヘッド112がヒータチップ108を下ろすと、図16に示すように、ヒータチップ108のコテ部106の下面つまりコテ先面106aが被接合部つまりリード線100およびプリント配線板102側の端子104に適度な加圧力で接触する。このようにヒータチップ108のコテ部106を被接合部(100,104)に押し当てた状態の下で、ヒータ電源がオンしてヒータチップ108に電流を供給すると、ヒータチップ108のコテ部106が抵抗発熱し、被接合部(100,104)を加熱する。これによって、リード線100の絶縁被膜が熱で溶けて剥がれ、リード線100の周囲のハンダ105も溶ける。溶けたハンダ105は、リード線100の露出した導体100aの周面に沿って這い上がるように幾らか盛り上がる。通電開始から一定時間(通電時間)経過後にヒータ電源が通電を止め、通電終了から一定時間(保持時間)経過後にヒータヘッド112がヒータチップ108を上昇させて被接合部(100,104)から離す。そうすると、ハンダが凝固して、被接合部(100,104)がリフローのハンダ付けによって結合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−66636
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような従来のリフローソルダリングによる被覆線接合法は、接合強度が十分ではなく、リード線100に外力が加わると外れることがあった。すなわち、ICパッケージのように本体もプリント配線板上に取り付けられる表面実装型電気部品のリードとは異なり、プリント配線板の外に配置される外付け電気部品からのリード線100は空中に晒されている範囲または区間が不定に長く、たとえば組み立て時に大きな外力(応力)を受けやすい。しかるに、上記のような従来の接合法は、リード線100と端子104との間で溶融凝固するハンダ105の接合面積が少ないため、強度的に信頼性の高いハンダ接合が得られなかった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するものであり、被接合物、特に被覆線に対して強度的に信頼性の高いハンダ付けを行えるヒータチップ、接合装置および接合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のヒータチップは、通電により発熱するコテ部を有し、前記コテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触させることによって前記被接合物をハンダ付けで接合するヒータチップであって、前記コテ部の側面から前記コテ先面まで延びるハンダ供給用のくぼみを有する。
【0010】
本発明のヒータチップにおいては、コテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触させてヒータチップを通電すると、コテ部の温度が設定温度まで上昇して被接合物が加熱される。ここで、適当なタイミングを見計らって、くぼみの中にハンダを投入する。そうすると、ハンダはくぼみの中で速やかに溶け、溶けたハンダが被接合物に上に被さるように広がる。ヒータチップの通電を停止して(または弱めて)、あるいはヒータチップを被接合物から離して、被接合物を冷やすと、ハンダが凝固して強度的に信頼性の高いハンダ付けの接合が得られる。
【0011】
本発明の好適な一態様においては、コテ部を電気的には直列にかつ物理的には一体的に複数連設し、各々のコテ部にくぼみを個別に設ける。かかる構成によれば複数組の被接合物を同時にハンダ付けで接合できるうえ、各組の被接合物毎に強度的に信頼性の高いハンダ付けの接合が得られる。
【0012】
本発明の好適な一態様によれば、被接合物は被覆線と端子部材であり、端子部材の上に載せられた被覆線にコテ部のコテ先面を当ててハンダ付けが行われる。この場合、コテ部は、好適には略直方体形状に形成される。ハンダ供給用のくぼみは、ハンダ付けされる被覆線の軸方向と向き合うコテ部の一側面に入口を有してもよく、あるいはハンダ付けされる被覆線の軸方向と平行になるコテ部の一側面に入口を有してもよい。
【0013】
本発明の好適な一態様によれば、被覆線の軸方向において、くぼみは、コテ先面の0.3〜0.7倍の奥行き寸法(または幅寸法)を有し、特に好ましくはコテ先面の0.4〜0.6倍の奥行き寸法(または幅寸法)を有する。
【0014】
また、好適な一態様によれば、くぼみの天井は、コテ部の側面から内奥に向かって次第に低くなり、その入口から内奥の終端まで底が切り欠かれている。かかる構成によれば、線状の固形ハンダをくぼみの内奥ひいては被接合物に向けて容易に挿入(供給)しやすくなる。
【0015】
本発明の接合装置は、本発明のヒータチップと、このヒータチップを支持し、被接合物を接合する際にコテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触させるヒータヘッドと、該ヒータチップに抵抗発熱用の電流を供給するヒータ電源とを有する。
【0016】
本発明の接合装置は、上記の構成により、特に本発明のヒータチップを備える構成により、強度的に信頼性の高いハンダ付けの接合を行うことができる。
【0017】
本発明の接合方法は、本発明のハンダ付け装置を用いて被覆線を端子部材にハンダ付けで接合するための接合方法であって、前記端子部材の上に第1のハンダを介して前記被覆線を載せる工程と、前記コテ部のくぼみが前記被覆線に被さるように、前記ヒータチップのコテ部のコテ先面を前記被覆線に当てて、所定の加圧力を加える工程と、前記コテ部の温度を通電により前記第1のハンダの融点よりも高い第1の設定温度まで上昇させる工程と、前記コテ部の温度を前記第1の設定温度まで上昇させた後に、前記コテ部のくぼみの中に第2のハンダを供給する工程と、前記くぼみの中で前記第2のハンダを溶かし、前記被覆線を包み込むように前記第2のハンダを前記第1のハンダに溶融状態で合体させる工程と、前記コテ部のコテ先面を前記被覆線から離して、溶融状態で合体した前記第1および第2のハンダを凝固させる工程とを有する。
【0018】
本発明の接合方法は、上記の構成により、特にコテ部の温度を第1の設定温度まで上昇させた後に、つまり加熱によって被覆線の絶縁被膜を剥し、第1のハンダを溶かした後に、コテ部のくぼみの中に第2のハンダを供給して、くぼみの中で第2のハンダを溶かし、被覆線を包み込むように第2のハンダを第1のハンダに溶融状態で合体させる工程を有することにより、ハンダ接合面積と接合強度を効率よく増やして、被覆線接合の信頼性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のヒータチップ、接合装置および接合方法によれば、上記のような構成および作用により、被接合物、特に被覆線に対して強度的に信頼性の高いハンダ付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態におけるヒータチップの構成を示す斜視図である。
【図2】上記ヒータチップの構成を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線についての断面図である。
【図4】上記実施形態における接合装置の全体構成を示す図である。
【図5】上記接合装置を用いて被覆線をプリント配線板上の端子にハンダ付けで接合する一実施例の加工例を示す図である。
【図6】上記実施例におけるヒータチップの温度制御特性を示す図である。
【図7】上記実施例においてプリント配線板上の端子に被覆線を載せて位置決めする様子を示す斜視図である。
【図8】上記実施例においてヒータチップを被接合物に加圧接触させた状態を示す一部断面正面図である。
【図9A】上記実施例においてリード線の絶縁被膜が剥がれて一次ハンダが溶けた時の状態を示す一部断面正面図である。
【図9B】上記実施例においてリード線の絶縁被膜が剥がれて一次ハンダが溶けた時の状態を示す一部断面側面図である。
【図10A】上記実施例においてヒータチップのくぼみの中に二次ハンダを供給するときの様子を示す斜視図である。
【図10B】上記実施例においてヒータチップのくぼみの中で二次ハンダが溶ける様子およびその作用を示す一部断面側面図である。
【図11A】上記実施例においてヒータチップを被接合物から離すときの様子およびハンダ付けされた後の被接合物の状態を示す一部断面正面図である。
【図11B】上記実施例においてヒータチップを被接合物から離すときの様子およびハンダ付けされた後の被接合物の状態を示す一部断面側面図である。
【図12A】ヒータチップのコテ先部に関する一変形例を示す図である。
【図12B】ヒータチップのコテ先部に関する別の変形例を示す図である。
【図13A】別の実施形態におけるヒータチップの構成を示す斜め上方から見た斜視図である。
【図13B】図13Aのヒータチップを斜め下から見た斜視図である。
【図14】図13Aのヒータチップを用いて2本の被覆線を同時に異なる端子にそれぞれハンダ付けで接合する加工例を示す斜視図である。
【図15】従来のヒータチップとそれを用いるハンダ付けの例を示す斜視図である。
【図16】図15のヒータチップを通電させている状態を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図1〜図14を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0022】
図1〜図3に、本発明の一実施形態におけるヒータチップの構成を示す。図1および図2はこのヒータチップの斜視図および正面図、図3は図2のA−A線についての断面図である。
【0023】
この実施形態におけるヒータチップ10は、たとえば3〜5mmの板厚を有するタングステン板で形成されている。このタングステン板をワイヤ放電加工により刳り貫いて一体加工することにより、ヒータチップ10が作製される。
【0024】
このヒータチップ10は、通常使用形態の姿勢において最下端の突出した部位となる略直方体形状のコテ部12を有し、このコテ部12の一側面12aに底面つまりコテ先面12bに通じるハンダ供給用のくぼみ14を設けている構成を主たる特徴としている。
【0025】
より詳細には、コテ部12の側面12aはその母材(タングステン板)の表面または裏面に対応し、たとえば切削および研磨加工によってこの側面12aにくぼみ14が形成される。図示のくぼみ14は、コテ部12の側面12aの幅方向中心部にて下に向かって逆テーパ状に横に広がりながら、かつ内奥に深度を拡大しながらコテ部12を上端から底(コテ先面12b)まで湾曲に削ぎ落したような構造を有している。このくぼみ構造においては、くぼみ14の天井14aは側面12aから内奥に向かって次第に低くなり、入口14bから内奥の終端14cまで底が切り欠かれており、後述するように線状の固形ハンダ66をくぼみ14の内奥つまり被溶接部に向けて挿入しやすくなっている。
【0026】
図3において、くぼみ14の深さ(奥行)Dは、コテ部12の厚さをTとすると、0.3T〜0.7Tの範囲が好ましく、0.5T付近つまり0.4T〜0.6Tの範囲が最も好ましい。すなわち、コテ部12の厚さTに比して深さDが小さすぎると、後述するようにこのくぼみ14を介した二次ハンダの供給量、ひいてはくぼみ14の中で生成されるハンダ溜まりの量、したがって一次ハンダと合体する二次ハンダの量が少なくなり、くぼみ14を備える利点が十全に発揮されなくなる。一方、コテ部12の厚さTに比してくぼみ14の深さDが必要以上に大きいと、二次ハンダの供給量は増えても、被接合物に直接当たるコテ先面12bの接触面積ひいては加熱力が減少するので、後述するような被覆線のハンダ付けでは絶縁被膜が剥がれにくくなって、結果的にハンダ接合強度の向上は難しくなる。
【0027】
くぼみ14の入口の高さHおよび底の幅Wは、ハンダの供給しやすさと溶け込みやすさとの兼ね合い(トレードオフ)の中で最適な寸法に選択されてよい。好ましい一形態として、高さHは0.8T〜1.2Tの範囲に選ばれ、底幅Wは1.5T〜2.0Tの範囲に選ばれる。
【0028】
コテ部12の上面の左右両端部には、電流密度を高めるために断面積を細く絞った二股状の電流通過部16L,16Rを介して左右の接続端子部18L,18Rがそれぞれ接続されている。これらの接続端子部18L,18Rは、上端部に1つまたは複数(図示の例は2つ)のボルト通し穴20L,20Rをそれぞれ設けている。コテ部12の上面の中心部には、後述する熱電対22(図5)を取り付けるための突部24が形成されている。
【0029】
このヒータチップ10も、従来のヒータチップ108と同様に、ヒータヘッド112(図15)に取り付けられ、予め設定された手順および条件で所与の被接合物に対して所定の加圧動作および通電発熱動作を行うようになっている。
【0030】
図4に、この実施形態における接合装置26の全体構成を示す。この接合装置26は、上述した構成を有するヒータチップ10と、このヒータチップ10を支持し、被接合物を接合する際にコテ部12のコテ先面12bを被接合物に加圧接触させるヒータヘッド112と、ヒータチップ10に抵抗発熱用の電流を供給するヒータ電源28と、装置内の各部および全体の動作を制御する制御部42とを備えている。
【0031】
ヒータ電源28は、交流波形インバータ式の電源回路を用いている。この電源回路におけるインバータ30は、GTR(ジャイアント・トランジスタ)またはIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)等からなる4つのトランジスタ・スイッチング素子32,34,36,38を有している。
【0032】
これら4つのスイッチング素子32〜38のうち、第1組(正極側)のスイッチング素子32,36はドライブ回路40を介して制御部42からの同相の駆動パルスG1,G3 により所定のインバータ周波数(たとえば4kHz)で同時にスイッチング(オン・オフ)制御され、第2組(負極側)のスイッチング素子34,38はドライブ回路40を介して制御部42からの同相の駆動パルスG2,G4 により上記インバータ周波数で同時にスイッチング制御されるようになっている。
【0033】
インバータ30の入力端子[L0 ,L1]は三相整流回路44の出力端子に接続されている。三相整流回路44は、たとえば6個のダイオードを三相ブリッジ結線してなり、三相交流電源端子(R,S,T)より入力する商用周波数の三相交流電圧を全波整流して直流電圧に変換する。三相整流回路44より出力された直流電圧は、コンデンサ46で平滑されてからインバータ30の入力端子[L0 ,L1]に与えられる。
【0034】
インバータ30の出力端子[M0 ,M1]は、溶接トランス48の一次側コイルの両端にそれぞれ接続されている。溶接トランス48の二次側コイルの両端は、整流回路を介さずに二次側導体114L,114Rを介してヒータチップ10の接続端子部18L,18Rにそれぞれ接続されている。
【0035】
制御部42は、マイクロコンピュータを含んでおり、ヒータ電源28内の一切の制御たとえば通電制御(特にインバータ制御)や各種ヒート条件の設定ないし表示処理等を行うほか、ヒータヘッド112に対しても所要の制御を行う。
【0036】
このヒータ電源28では、チップ温度フィードバック制御を行うために、ヒータチップ10の突部24に取り付けられる熱電対22より出力されるコテ温度測定信号がケーブル25を介して制御部42に与えられる。また、電流フィードバック制御を行う場合は、一次側回路の導体にたとえばカレント・トランスからなる電流センサ50が取り付けられる。この電流センサ50の出力信号から電流測定回路52において一次電流または二次電流の測定値(たとえば実効値、平均値またはピーク値)が求められ、その電流測定信号が制御部42に与えられる。
【0037】
次に、図5〜図11につき、上記構成の接合装置26を用いて被覆線を端子部材にハンダ付けで接合する一実施例を説明する。
【0038】
図5に示すように、この実施例は、上述した従来例(図15、図16)と同様に外付け電気部品(たとえば小型モータ)60のリード(被覆線)100をプリント配線板102上の端子(接続パッドまたは電極等)104にハンダ付けで接合する。図中、左側のリード100'と端子104'は既にハンダ付けが済んでおり、右側のリード100と端子104は未だである。端子104,104'はプリント配線板102上のプリント配線62,62'さらにはスルーホール(図示せず)等を介して裏面に取り付けられている表面実装型電気部品(図示せず)に電気的に接続されている。端子104の表面には、クリーム状のハンダまたはメッキのハンダ105がこの実施例ではリフロー用の一次ハンダとして予めコーティングされている。
【0039】
接合装置26は、ヒータチップ10の通電発熱機能に基づく急速加熱/急速冷却特性とインバータ式ヒータ電源28の高速かつ精細な通電制御機能とを活かして、ヒータチップ10のコテ部12の温度を高速かつ任意に可変できるようになっている。図6に、この実施例においてヒータチップ10のコテ部12の温度を可変制御するシーケンスの一例を示す。
【0040】
先ず、接合装置26を起動させる前に、図7に示すように、作業台(図示せず)上でプリント配線板102の端子104の上に所定の向きでリード線100を水平に載せ、ヒータヘッド112に取り付けられているヒータチップ10の直下に被接合部(100,104)を位置決めする。このとき、ヒータチップ10のくぼみ14が設けられたコテ部12の側面12aは、リード線100の軸方向と向き合う。
【0041】
接合装置26を起動させると、最初にヒータヘッド112が作動する。ヒータヘッド112は、ヒータチップ10を降ろして、図8に示すようにコテ部12の下面つまりコテ先面12bをリード線100の頂部に当て、予め設定された加圧力を加える。こうしてヒータチップ10がリード線100に加圧接触するのと略同時に、ヒータ電源28が作動して、通電を開始する。
【0042】
通電が開始されると、図6に示すように、ヒータチップ10のコテ部12の温度は急速に上昇し、短時間(0.5秒)でそれまでの常温からベース温度(200℃)に到達する(S1)。このベース温度を一定期間(0.5秒間)保持してヒータチップ10を熱的に安定化させ(S2)、それから通電電流Iの電流量を増やして、コテ部12の温度をベース温度からプレヒート温度(500℃)まで短時間(1.0秒)で急速に上昇させる(S3)。
【0043】
通常のプレヒートは、予熱を意味し、ハンダの濡れ性を良くするためにハンダの融点(たとえば320℃)よりも低い温度に設定される。しかし、この実施例におけるプレヒートは、リード線100の絶縁被膜を剥離するための加熱を意味し、ハンダの融点よりも格段に高い温度(500℃)に設定される。これにより、図9Aに示すように、コテ部12の直下およびその付近でリード線100の絶縁被膜が剥がれて除去される。端子104表面の一次ハンダ105も、コテ部12からの加熱によりリード線100の周囲で溶けて、一部はリード線100の露出した導体100aの周面に沿って這い上がるように幾らか盛り上がる(図9A、図9B)。
【0044】
ここで、リード線100における絶縁被膜の剥離と一次ハンダ105の溶融は、コテ先面12bの真下で最も激しく多量に起きるが、くぼみ104の中(下)も熱が籠って相当高温になるため、この付近でもかなりの量で絶縁被膜の剥離と一次ハンダ105の溶融が起こる。
【0045】
こうして、プレヒート温度で加熱するコテ部12の下でリード線100の絶縁被膜が頂部から周面下部にかけて剥がれる。そして、端子104表面の一次ハンダ105が溶けると、蒸気の煙が立ちこめて、リード線100が溶けたハンダ105の中に沈むように落ち込み、ヒータチップ10もそれに追従して落ち込む(図9B)。
【0046】
接合装置26は、プレヒート温度を一定時間(たとえば1.0秒)保持し(S4)、次いで通電電流Iの電流量を一段減少させて、コテ部12の温度をプレヒート温度からリフロー温度(320℃)まで短時間(1.0秒)で急速に低下させ(S5)、このリフロー温度を一定時間(たとえば1秒間)保持する(S6)。
【0047】
作業者は、上記のように煙が立ちこめてリード線100およびヒータチップ10が落ち込んだことを確認して、このタイミングで図10Aおよび図10Bに示すようにヒータチップ10のくぼみ104に好ましくは線状の固形ハンダからなる二次ハンダ66を挿入(供給)する。この二次ハンダ66は、好ましくは一次ハンダ105と同じ材料または成分からなり、同じ融点(320℃)を有する。
【0048】
上記のようにしてくぼみ104の中に挿入された二次ハンダ66の先端部はリフロー温度の下で速やかに溶けて、ハンダ溜まりが生成される。そして、溶けた二次ハンダ66はリード線100の回りで流れ落ち、下から這い上がってきた一次ハンダ105と合流または合体する。これによって、リード線100の露出した導体100aは、くぼみ104の中で合体した溶融状態の一次ハンダ105および二次ハンダ66によって包み込まれる。
【0049】
接合装置26は、上記のようにリフロー温度を一定時間保持した後に、通電電流Iの電流量をさらに一段減少させて、コテ部12の温度をリフロー温度からベース温度(200℃)に短時間(0.5秒)で急速に戻す(S7)。そして、図11Aおよび図11Bに示すように、ヒータヘッド112によりヒータチップ10を上昇させて、被接合部(100,104)から離す。こうして被接合部(100,104)がベース温度ないし室温の下で冷却され、被接合部(100,104)の周囲で溶けているハンダ、特にリード線100の露出した導体100aを一体に包み込んでいるハンダ(66,105)が同時に凝固する。以後も、上記と同様のハンダ付け加工を続けて実施する場合は、上記S3以降の温度制御ステップを繰り返す。ハンダ付け加工をいったん終了する場合は、通電を停止して、ヒータチップ10を常温に戻す。
【0050】
このように、この実施例の被覆線接合方法においては、上記のようなハンダ供給用のくぼみ104を有するヒータチップ10を用いて、端子104上でリード線100の導体100aを上から下まで包み込むような仕上がりのよいハンダ付けが行われる。これによって、従来よりも格段に大きなハンダ接合面積と接合強度が得られ、物理的かつ電気的に信頼性の高い被覆線接合を実現することができる。
【0051】
上述した実施形態においては、ヒータチップ10のコテ先面12bを平坦面に形成していた。しかし、図12Aに示すようにコテ先面12bを正面から見て逆さV状に中心部が凹んでいる構成、あるいは図12Bに示すようにコテ先面12bを中心部の凹んだ円筒面に形成する構成等も可能である。このように、コテ先面12bの中心部を上方に凹ませることにより、コテ先面12bとリード線100との間の接触面積あるいは熱的結合面積を増大させ、ヒータチップ10の加熱効率を向上させることができる。なお、図12Aおよび図12Bにおいて、左側の図(a)はコテ部12の正面図、右側の図(b)は正面図(a)のA−A線についての断面図である。
【0052】
また、上記実施形態におけるヒータチップ10は、一度に1組の被接合物(100,104)をハンダ付けで接合するタイプであり、単一のコテ部12を有する。しかし、別の実施形態として、図13Aおよび図13Bに示すように、ヒータチップ10に複数たとえば2つのコテ部12(1),12(2)を連設する構成も可能である。これらのコテ部12(1),12(2)は、左右の電流通過部16L,16Rの間で物理的に一体的に形成され、かつ電気的には直列に接続されている。それぞれのコテ先面12b(1),12b(2)は、たとえば図12Bと同様の円筒面に形成されている。そして、両コテ部12(1),12(2)の対向する一対の側面つまりリード線100の軸方向と平行になる側面12L,12Rにハンダ供給用のくぼみ14(1),14(2)がそれぞれ形成されている。この場合、ヒータチップ10の厚み方向において、くぼみ14(1),14(2)14の幅Wは、コテ部12(1),12(2)の厚さをTとすると、0.3T〜0.7Tの範囲が好ましく、0.5T付近つまり0.4T〜0.6Tの範囲が最も好ましい。くぼみ14(1),14(2)の入口の高さHは、ハンダの供給しやすさと溶け込みやすさとの兼ね合い(トレードオフ)の中で最適な寸法に選択されてよい。
【0053】
このように、本発明のヒータチップは、ハンダ供給用のくぼみを、リード線の軸方向と向き合うコテ部の側面に限らず、リード線の軸方向と平行になる側面に設けることも可能である。従って、図示はしないが、図1のように単一のコテ部12を有する場合にリード線の軸方向と平行になる側面にハンダ供給用のくぼみを設けることもできる。また、図13Aのように複数のコテ部を連設する場合にリード線の軸方向に向き合う側面にハンダ供給用のくぼみを設けることもできる。
【0054】
かかる構成のヒータチップ10を用いる接合装置26によれば、図14に示すように、プリント配線板102上に近接して設けられた2つの端子104,104'に2本のリード線100,100'を1回のハンダ付け工程で同時に接合することができる。
【0055】
なお、上述した実施例では、従来のリフローソルダリング法に基づいて端子104(104')の表面に予め一次ハンダ105をコーティングしている。しかし、ハンダ接合の強度・信頼性の低下を伴うが、一次ハンダ105を省いて、くぼみ14(14(1),14(2))を介して供給される二次ハンダ66のみによるハンダ付けも可能である。本発明によるハンダ付け接合の加工対象となる被接合物は、被覆線に限るものではなく、絶縁被覆の導体板、導体バー等であってもよく、さらには絶縁被覆の無い金属部材であってもよい。また、二次ハンダ66としては、上述したような線状の固形ハンダに限らず、たとえば粒状あるいはパウダー状のハンダも使用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 ヒータチップ
12,12(1),12(2) コテ部
12a,12L,12R コテ部の側面
12b,12b(1),12b(2) コテ先面
14,14(1),14(2) ハンダ供給用のくぼみ
18L,18R 接続端子
26 接合装置
28 ヒータ電源
42 制御部
112 ヒータヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により発熱するコテ部を有し、前記コテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触させることによって前記被接合物をハンダ付けで接合するヒータチップであって、
前記コテ部の側面から前記コテ先面まで延びるハンダ供給用のくぼみを有するヒータチップ。
【請求項2】
前記コテ部を電気的には直列にかつ物理的には一体的に複数連設し、各々の前記コテ部に前記くぼみを個別に設ける、請求項1に記載のヒータチップ。
【請求項3】
前記被接合物は被覆線と端子部材であり、前記端子部材の上に載せられた前記被覆線に前記コテ部のコテ先面を当ててハンダ付けを行う、請求項1または請求項2に記載のヒータチップ。
【請求項4】
前記コテ部は、略直方体形状に形成され、
前記くぼみは、ハンダ付けされる前記被覆線の軸方向と向き合う前記コテ部の一側面に入口を有する、
請求項3に記載のヒータチップ。
【請求項5】
前記くぼみは、前記被覆線の軸方向において、前記コテ先面の0.3〜0.7倍の奥行き寸法を有する、請求項4に記載のヒータチップ。
【請求項6】
前記くぼみは、前記被覆線の軸方向において、前記コテ先面の0.4〜0.6倍の奥行き寸法を有する、請求項5に記載のヒータチップ。
【請求項7】
前記コテ部は、略直方体形状に形成され、
前記くぼみは、ハンダ付けされる前記被覆線の軸方向と平行になる前記コテ部の一側面に入口を有する、請求項1または請求項2に記載のヒータチップ。
【請求項8】
前記くぼみは、前記被覆線の軸方向において、前記コテ先面の0.3〜0.7倍の幅寸法を有する、請求項7に記載のヒータチップ。
【請求項9】
前記くぼみは、前記被覆線の軸方向において、前記コテ先面の0.4〜0.6倍の幅寸法を有する、請求項8に記載のヒータチップ。
【請求項10】
前記コテ部のコテ先面が平坦面に形成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項11】
前記コテ部のコテ先面は、逆さV状に中心部が凹んでいる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項12】
前記コテ部のコテ先面は、中心部の凹んだ円筒面に形成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項13】
前記くぼみの天井は、前記コテ部の側面から内奥に向かって次第に低くなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項14】
前記くぼみは、その入口から内奥の終端まで底が切り欠かれている、請求項1〜13のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のヒータチップと、
前記ヒータチップを支持し、被接合物を接合する際に前記コテ部のコテ先面を 前記被接合物に加圧接触させるヒータヘッドと、
前記ヒータチップに抵抗発熱用の電流を供給するヒータ電源と
を有する接合装置。
【請求項16】
請求項15に記載のハンダ付け装置を用いて被覆線を端子部材にハンダ付けで接合するための接合方法であって、
前記端子部材の上に第1のハンダを介して前記被覆線を載せる工程と、
前記コテ部のくぼみが前記被覆線に被さるように、前記ヒータチップのコテ部のコテ先面を前記被覆線に当てて、所定の加圧力を加える工程と、
前記コテ部の温度を通電により前記第1のハンダの融点よりも高い第1の設定温度まで上昇させる工程と、
前記コテ部の温度を前記第1の設定温度まで上昇させた後に、前記コテ部のくぼみの中に第2のハンダを供給する工程と、
前記くぼみの中で前記第2のハンダを溶かし、前記被覆線を包み込むように前記第2のハンダを前記第1のハンダに溶融状態で合体させる工程と、
前記コテ部のコテ先面を前記被覆線から離して、溶融状態で合体した前記第1および第2のハンダを凝固させる工程と
を有する接合方法。
【請求項17】
前記コテ部の温度を前記第1の設定温度から前記第2のハンダの融点近傍の第2の設定温度まで下げて、前記第2のハンダの供給を行う、請求項16に記載の接合方法。
【請求項18】
前記第2のハンダは、線状の固形ハンダからなり、その先端部が前記くぼみの中に差し込まれる、請求項16または請求項17に記載の接合方法。
【請求項19】
前記第1の設定温度は、前記被覆線の絶縁被膜を熱で剥せる温度である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の接合方法。
【請求項1】
通電により発熱するコテ部を有し、前記コテ部のコテ先面を被接合物に加圧接触させることによって前記被接合物をハンダ付けで接合するヒータチップであって、
前記コテ部の側面から前記コテ先面まで延びるハンダ供給用のくぼみを有するヒータチップ。
【請求項2】
前記コテ部を電気的には直列にかつ物理的には一体的に複数連設し、各々の前記コテ部に前記くぼみを個別に設ける、請求項1に記載のヒータチップ。
【請求項3】
前記被接合物は被覆線と端子部材であり、前記端子部材の上に載せられた前記被覆線に前記コテ部のコテ先面を当ててハンダ付けを行う、請求項1または請求項2に記載のヒータチップ。
【請求項4】
前記コテ部は、略直方体形状に形成され、
前記くぼみは、ハンダ付けされる前記被覆線の軸方向と向き合う前記コテ部の一側面に入口を有する、
請求項3に記載のヒータチップ。
【請求項5】
前記くぼみは、前記被覆線の軸方向において、前記コテ先面の0.3〜0.7倍の奥行き寸法を有する、請求項4に記載のヒータチップ。
【請求項6】
前記くぼみは、前記被覆線の軸方向において、前記コテ先面の0.4〜0.6倍の奥行き寸法を有する、請求項5に記載のヒータチップ。
【請求項7】
前記コテ部は、略直方体形状に形成され、
前記くぼみは、ハンダ付けされる前記被覆線の軸方向と平行になる前記コテ部の一側面に入口を有する、請求項1または請求項2に記載のヒータチップ。
【請求項8】
前記くぼみは、前記被覆線の軸方向において、前記コテ先面の0.3〜0.7倍の幅寸法を有する、請求項7に記載のヒータチップ。
【請求項9】
前記くぼみは、前記被覆線の軸方向において、前記コテ先面の0.4〜0.6倍の幅寸法を有する、請求項8に記載のヒータチップ。
【請求項10】
前記コテ部のコテ先面が平坦面に形成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項11】
前記コテ部のコテ先面は、逆さV状に中心部が凹んでいる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項12】
前記コテ部のコテ先面は、中心部の凹んだ円筒面に形成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項13】
前記くぼみの天井は、前記コテ部の側面から内奥に向かって次第に低くなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項14】
前記くぼみは、その入口から内奥の終端まで底が切り欠かれている、請求項1〜13のいずれか一項に記載のヒータチップ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のヒータチップと、
前記ヒータチップを支持し、被接合物を接合する際に前記コテ部のコテ先面を 前記被接合物に加圧接触させるヒータヘッドと、
前記ヒータチップに抵抗発熱用の電流を供給するヒータ電源と
を有する接合装置。
【請求項16】
請求項15に記載のハンダ付け装置を用いて被覆線を端子部材にハンダ付けで接合するための接合方法であって、
前記端子部材の上に第1のハンダを介して前記被覆線を載せる工程と、
前記コテ部のくぼみが前記被覆線に被さるように、前記ヒータチップのコテ部のコテ先面を前記被覆線に当てて、所定の加圧力を加える工程と、
前記コテ部の温度を通電により前記第1のハンダの融点よりも高い第1の設定温度まで上昇させる工程と、
前記コテ部の温度を前記第1の設定温度まで上昇させた後に、前記コテ部のくぼみの中に第2のハンダを供給する工程と、
前記くぼみの中で前記第2のハンダを溶かし、前記被覆線を包み込むように前記第2のハンダを前記第1のハンダに溶融状態で合体させる工程と、
前記コテ部のコテ先面を前記被覆線から離して、溶融状態で合体した前記第1および第2のハンダを凝固させる工程と
を有する接合方法。
【請求項17】
前記コテ部の温度を前記第1の設定温度から前記第2のハンダの融点近傍の第2の設定温度まで下げて、前記第2のハンダの供給を行う、請求項16に記載の接合方法。
【請求項18】
前記第2のハンダは、線状の固形ハンダからなり、その先端部が前記くぼみの中に差し込まれる、請求項16または請求項17に記載の接合方法。
【請求項19】
前記第1の設定温度は、前記被覆線の絶縁被膜を熱で剥せる温度である、請求項16〜18のいずれか一項に記載の接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−183552(P2012−183552A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47462(P2011−47462)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000161367)ミヤチテクノス株式会社 (103)
【出願人】(503304441)株式会社 工房PDA (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000161367)ミヤチテクノス株式会社 (103)
【出願人】(503304441)株式会社 工房PDA (6)
【Fターム(参考)】
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