説明

ヒートシールド

【課題】高温ガス経路構成部品の冷却を向上させる。
【解決手段】ヒートシールド100は、ベース層102及びスペーサ層101を含む。スペーサ層101は、ベース層102に連結される。スペーサ層101は、複数の流路49を規定する。ベース層102及びスペーサ層101は、高温ガス経路構成部品34と結合するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、翼形部等の高温ガス経路構成部品に関し、より詳細には、高温ガス経路構成部品用のヒートシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
翼形部(即ち、ベーン及びブレード)は、一般的にガスタービンの高温ガス経路内に配置される高温ガス経路構成部品の一実施形態である。「バケット」又は「ロータ」とも呼ぶことができるブレードは、ホイール、ディスク又はロータに取り付けられて軸の周囲を回転する翼形部を含む。「ノズル」又は「ステータ」とも呼ぶことができるベーンは、ブレードがその周囲を回転する軸を取り囲んでいる又は覆っているケーシング内に取り付けられる翼形部を含む。一般的に、一連のブレードが軸に沿った特定の位置でホイールの周囲に取り付けられる。一連のベーンは、例えばガス流の効率を向上させるために、一連のブレードの(全体的な流れ方向に対して)上流に取り付けることができる。ベーンとそれに続くブレードは、ガスタービンの段と呼ばれる。圧縮機の段は、ガスを圧縮して、例えば、燃料と混合及び燃料によって点火され、ガスタービンの入口に供給される。ガスタービンは、点火されたガス及び燃料から仕事を抽出するために段を含む。燃料の圧縮ガスへの添加は、燃焼反応へのエネルギーの寄与を必要とすることになる。この燃焼反応の生成物は、ガスタービンを通って流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7581401号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃焼によって発生する高温に耐えるために、タービン内の翼形部及びその他の高温ガス経路構成部品を冷却する必要がある。冷却が不十分であると、過度の応力が翼形部に加わり、この応力は時間と共に翼形部の疲労破損の原因となる。動作温度に起因するガスタービンエンジン内のタービンブレードの破損を防止するために、高温ガス経路構成部品、例えば翼形ブレード設計にフィルム冷却が取り入れられてきた。例えば、翼形ブレードのフィルム冷却では、冷気が圧縮機段から抽出され、タービン翼の内部チャンバにダクトで送られ、ブレード壁内の小穴を通って放出される。この空気は、タービンブレードの外面に沿って、薄く、冷たい、絶縁ブランケットを提供する。穴の近くは穴から遠く離れた場所よりもフィルム温度がはるかに冷たいという理由から不均一な冷却を起こすので、フィルム冷却は効率が悪くなる可能性がある。従って、高温ガス経路構成部品の冷却を向上させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様及び利点は、以下の説明に部分的に記載され、説明から明らかになる、又は本発明の実施により習得できる。
【0006】
本発明の1つの態様によれば、ヒートシールドが説明されている。ヒートシールドは、ベース層及びスペーサ層を含む。スペーサ層は、ベース層に連結される。スペーサ層は、複数の流路を規定する。ベース層及びスペーサ層は、高温ガス経路構成部品と結合するように構成される。
【0007】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様、並びに利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照すればより理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示しており、説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結びの部分の特許請求の範囲において具体的に指摘され明確に請求されている。本発明の上記及びその他の特徴及び利点は、添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明から明らかである。
【図1】例示的なヒートシールドを実施できるガスタービンシステム10を示す。
【図2】図1に示したタービンを示す。
【図3】例示的なヒートシールドの側面斜視図を示す。
【図4】例示的なヒートシールドを含む図2の翼形部を示す。
【図5】例示的なヒートシールドを有する翼形部の上面断面図を示す。
【図6】翼形部の付近に例示的なヒートシールドを有する翼形部の上面断面図を示す。
【図7】例示的なヒートシールドの断面図を示す。
【図8】単独で示される、ヒートシールドのスペーサ層の一実施形態を示す。
【図9】ダブテール取り付け装置を有するヒートシールドの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、その1つ以上の実施例が図面に示されている本発明の実施形態について、詳細に述べる。各々の実施例は、本発明を説明するために提示されるものであり、本発明を限定するものではない。実際に、本発明の技術的範囲又は技術的思想を逸脱することなく、本発明に様々な修正及び変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は説明された特徴を、別の実施形態で使用し、更なる実施形態を得ることができる。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物の技術的範囲にあるような、上述の修正及び変更を含むことを意図している。
【0010】
図1は、例示的なヒートシールドを実施できるガスタービンシステム10を示す。本明細書に記載した例示的なヒートシールドは、ガスタービンに関して説明してきた。その他の例示的な実施形態では、本明細書に記載のヒートシールドは、ヒートシールドの保護が望ましい、限定的ではないが蒸気タービン及び圧縮機のようなその他のシステムによって実施できる。ガスタービンシステム10は、エンジン中心線12の周囲に円周方向に配置されて示されている。ガスタービンシステム10は、圧縮機16、燃焼セクション18及びタービン20を直流関係で含む。燃焼セクション18及びタービン20は、しばしばガスタービンシステム10の高温セクションと呼ばれる。ロータ軸26は、タービン20を圧縮機16に動作可能に連結する。燃料は燃焼セクション18内で燃焼して、例えば、華氏約3000〜約3500度の範囲になる可能性がある高温ガス流28を発生させる。高温ガス流28は、タービン20を通って案内されて、ガスタービンシステム10を駆動する。
【0011】
図2は、図1のタービン20を示す。タービン20は、タービンベーン30及びタービンブレード32を含む。翼形部34は、ベーン30に対して実施できる。翼形部34は、圧縮機16の一部、燃焼セクション18の一部、又はタービン20の一部に配置できる。ベーン30は、高温ガス流28にさらされる外壁36を有する。タービンベーン30は、1つ以上の圧縮機16の段からシステム10のケーシング38を通って送られる空気によって冷却される。更にまた、翼形部34の外壁36は、ここで述べたような例示的なディスポーザブルヒートシールドを取り付けることができる。
【0012】
図3は、例示的なヒートシールド100の側面斜視図を示す。ヒートシールド100は、高温ガス経路構成部品34、例えば翼形部34と結合するように構成される。例えば、翼形部34又は任意の高温ガス経路構成部品34は、高温ガス経路、例えば高温ガス流28の経路内に少なくとも部分的に配置される。ヒートシールド100は、高温ガス経路構成部品34と高温ガス経路の間に配置される。例示的な実施形態では、ヒートシールド100は、上記のように翼形部34に取り付けられるように構成された単一の一体部品にすることができる。本明細書で詳述するように、ヒートシールドは、単一の一体部品であるが、多層設計にすることができる。その他の例示的な実施形態では、ヒートシールド100の各層は分離部品にすることができ、分離部品は上記のように翼形部34に取り付けられるように構成できる。ヒートシールド100は、翼形部への適用に限られておらず、熱保護を必要とするガスタービンシステム10の任意の部分、例えばその他の高温ガス経路構成部品34に取り付けることもできることを理解されたい。本明細書に記載されている翼形部、及びヒートシールドと翼形部の関連性に関するあらゆる議論は、本開示の様々な実施形態の単なる例示である。例示的な実施形態では、ヒートシールド100は、翼形部34のモジュラ部であるので、ガスタービンシステム10に最小休止時間で取り付け及び取り外しされるように構成され、本明細書に記載されたように取り外すことができる。例示的な実施形態では、ヒートシールド100は、翼形部34に摩擦によって取り付けることができる。そのため、ヒートシールド100は、幾つかの摩擦部品を含む。例示的な実施形態では、ヒートシールド100は、ガスタービンシステム10のケーシング38に機械的に係合するように構成されたケーシング壁105(即ち、上下の壁)を含む。ケーシング38は、様々な形状及び湾曲を含む。そのため、ケーシング壁105は、ケーシング38の形状に応じて対応する形状及び湾曲を含む。ヒートシールド100は、ケーシング壁105間に配置された壁110を更に含む。壁110は、ケーシング壁105に対して垂直に配向できる。更にまた、ケーシング壁105は、翼形部34の湾曲に整合する湾曲を有する切欠き106を含む。切欠き106は、更に壁110の湾曲に整合する。壁110は、翼形部34と結合するように構成される。例えば、壁110の湾曲は、翼形部34の湾曲に整合する。一実施形態では、壁110は多層設計であり、各層は翼形部34と結合するように構成される。例示的な実施形態では、壁110は、前縁111及び後縁112を更に含む。前縁111は、様々な迎角で高温ガス流28を最初に受け入れる壁110の外側凸部分である。前縁111が翼形部34の前縁を包含することは、当業者には理解されるであろう。
【0013】
図4は、例示的なヒートシールド100を含む図2の翼形部34を示す。本明細書で説明するように、ヒートシールド100は、ケーシング38とケーシング壁105の間、及び翼形部34と壁110の間の摩擦力を介して翼形部34に機械的に取り付けられる。その他の例示的な実施形態では、ヒートシールド100を翼形部34に取り付けるために、限定的ではないがボルトのような機械的留め具を導入できる。例示的な実施形態では、上部プラグ115を更にケーシング38の一部に取り付けることができる。上部プラグ115は、翼形部34に隣接して配置された一連の突起部116を含む。ヒートシールド100は、翼形部34に取り付けられる時に突起部116上に取り付けることによって、ヒートシールド100と翼形部34の間の摩擦力を増加させることができる。例示的な実施形態では、ヒートシールド100の取り付け及び取り外しを促進するために、幾つかのその他の摩擦面及び装置を翼形部34及びヒートシールド100上に備えることができる。例えば、一連の嵌合ダブテールを翼形部34及びヒートシールド100上に配置できる。
【0014】
本明細書で述べたように、ヒートシールド100は、燃焼間隔で現場交換可能にすることができる。例えば、ヒートシールド100は、高温ガス経路構成部品34、例えば翼形部34に取り外し可能に接続される。スリップオン式のヒートシールド100は、翼形部34の内側側壁及び外側側壁の前縁だけでなく、正圧側の大半及び負圧側の高反り点までを覆う。ヒートシールド100は、ノズル上の凹部と結合する正圧側後縁突起部116と、負圧側高反り点上のピンとの組み合わせによって保持できる。あらゆる形式の実際的な拘束装置を導入できるが、一連の湾曲ダブテールは翼形部34の内側側壁及び/又は外側側壁を覆うことができる。その結果、翼形部34は、ヒートシールド100上の一連の嵌合ダブテールに整合できる。ダブテールは、交換可能なヒートシールド100のスライド機能を可能にするためにノズルの方向に湾曲させることができる。更にまた、翼形部34の後縁上の(燃焼セクション18と結合する)移行部品のシールの上に、ボルトを配置できる。従って、ヒートシールド100は、燃焼セクション18とライナーの移行部品を取り外すちょうどその燃焼間隔で交換可能にすることができる。
【0015】
図5は、例示的なヒートシールド100を有する翼形部34の上面断面図を示す。図6は、翼形部34の付近に例示的なヒートシールド100を有する翼形部34の上面断面図を示す。図5及び6は、ヒートシールド100が翼形部34の湾曲に整合する湾曲を有することを示している。図示するように、翼形部34は、複数の衝突孔41を含む。衝突孔41は、ヒートシールド100に冷却空気を提供するように構成される。本明細書で述べたように、衝突孔41は、従来のフィルム冷却に対して実施することもできる。翼形部34は、翼形部34とヒートシールド100の間に形成された隙間42を更に含む。隙間42は、フィルム冷却用の冷却空気を受け入れることができる。本明細書で更に説明するように、ヒートシールド100は、それを通って冷却空気が流れることができるスペーサ層101を含む。翼形部34は、凹状面43を更に含む。凹状面43は、翼形部34へのヒートシールド100の取り付けを可能にする。翼形部34は、冷却空気を受け入れる後縁冷却通路44を更に含む。本明細書で更に説明するように、ヒートシールド100のスペーサ層101は流路49を規定する。一実施形態では、流路49は、隙間42及び後縁冷却通路44に冷却空気を供給する。
【0016】
例示的な実施形態では、ヒートシールド100は多数の層を含む。例えば、ヒートシールド100は、スペーサ層101を含む。スペーサ層101は、複数の流路49を規定できる。一実施形態では、複数の流路49は互いに流体連通している。一実施形態では、スペーサ層101は波形層101にすることができる。流路49は、衝突孔41から冷却空気を受け入れて、後縁冷却通路44及び隙間42に冷却空気を供給する。ヒートシールド100は、外部(温度)層103を更に含む。外部(温度)層103は、高温ガス流28に対する耐熱性を有する材料である。例えば、外部(温度)層103は、断熱セラミックコーティング又は遮熱コーティング(「TBC」)であり、本明細書で更に説明するボンド層104上に噴霧する又はそれに付着させることができる。スペーサ層101は、高温ガス経路構成部品34とヒートシールド100の間のオフセットを維持するだけでなく、ヒートシールド100に剛性を付加し、更に、本明細書で説明したように複数の流路49を規定する。
【0017】
図7は、例示的なヒートシールド100の断面図を示す。図7は、スペーサ層101に堅く連結されたベース層102を含むヒートシールド100に機械的接触した翼形部34を示している。ベース層102は、第1の面121及び第2の面122からなる。スペーサ層101は、第1の面121に隣接して位置する。スペーサ層101は、冷却空気が翼形部34とベース層102の間を流れることができるように構成される。例示的な実施形態では、ベース層102は、ヒートシールド100に構造強度を与え、塗布される外部(温度)層103に空気力学的形状と滑らかな非波形面の両方を提供する高温超合金にすることができる。図7は、ベース層102の第2の面122に隣接して位置する外部(温度)層103を更に示している。ボンド層104は、ベース層102の第2の面122と外部(温度)層103の間に位置する。ボンド層104は、外部(温度)層103をベース層102に結合するように構成される。例えば、ボンド層104は、例えば、アルミナイド等の、外部(温度)層103をボンド層104に結合できる任意の材料であってよい。
【0018】
図8は、流路49を図示するために単独で示される、ヒートシールド100のスペーサ層101を示す。ベース層102、ボンド層104、及び温度(外部)層103は、説明の便宜上示されていない。例示的な実施形態では、スペーサ層101はスペーサセクション107を含む。スペーサセクション107は、複数の流路49を規定する。スペーサセクション107は、様々なパターンを有することができる。例えば、一実施形態では、スペーサ層101は波形層101であり、スペーサセクション107は、波形パターン内に配置された波形セクション107である。しかし、スペーサ層101及びスペーサセクション107は波形層101及び波形セクション107に限定されておらず、複数の流路49を規定するあらゆる層101及びセクション107であってもよいことを理解されたい。更に、スペーサ層は、スタンピング、パンチング、ロールフォーミング、又はエンボシングを含むがこれに限らない、従来技術において周知の任意の成形過程を用いて形成されることを理解されたい。
【0019】
更に、スペーサセクション107は、様々な幅でスペーサ層101上に離間配置できることを理解されたい。例えば、ヒートシールド100上に高い構造的応力が確認された領域がある場合、スペーサセクション107のパターンはより高密度に、即ち密接に離間配置できる一方、低い応力が確認された領域では、スペーサセクション107の密度はより低く、即ち大きく隔てて離間配置できる。加えて、密度を低くし、スペーサセクション107の間隔を大きくすることにより、ヒートシールド100及びそれによって翼形部34における冷却の向上がもたらされる。例示的な実施形態では、衝突孔41は、スペーサセクション107に対してほぼ直角に配列される。スペーサセクション107の第1の組108及び第2の組109が示されている。上述のように、スペーサセクション107の第1の組108は隙間42に空気流を供給し、スペーサセクション107の第2の組109は後縁冷却通路44に空気流を供給する。図8に示すように、第1の組108は、第2の組109に対してほぼ直角に配列される。その他の例示的な実施形態では、スペーサセクション107の様々なその他の構成が考えられる。
【0020】
各々のスペーサセクション107は、複数の開口部48を規定する。開口部48は、冷却空気がスペーサ層101に入って、複数の流路49間を流れることができるように構成される。例えば、様々な開口部48は、冷却空気を衝突孔41からスペーサ層101に入らせる。その他の開口部48は、スペーサ層101内の冷却空気を、開口部48内且つ流路49間を通過させる。これにより、高温ガス経路構成部品34とベース層102の間のスペーサ層101内に冷却空気の層が形成されて、後述するように、高温ガス経路構成部品34のより効率的な冷却を提供できる。
【0021】
図9は、ダブテール取り付け装置を有するヒートシールド100の例示的な実施形態を示す。説明の便宜上、ヒートシールド100のスペーサ層101及びベース層102のみが示されている。本明細書で説明したように、あらゆる形式の実際的な拘束装置を導入できるが、ダブテール113は、翼形部34の内側側壁及び/又は外側側壁を覆うことができる。翼形部34のダブテール113は、ヒートシールド100上の嵌合ヒートシールドダブテール117に整合できる。例示的な実施形態では、ヒートシールドダブテール117は、スペーサ層101上のスペーサセクション107に隣接してベース層102上に配置できる。その他の例示的な実施形態では、ヒートシールドダブテール117は、スペーサ層101上に配置できる。
【0022】
技術的効果には、本明細書に記載のヒートシールド100を実施した高温ガス経路構成部品34の迅速な現場修理が含まれる。例えば、ヒートシールド100は、高温ガス経路構成部品34に取り外し可能に接続される。ヒートシールド100は、高温ガス経路、例えば高温ガス流28から高温ガス経路構成部品34を保護するように構成されて、後述するように、高温ガス経路構成部品34の比較的応力及び歪みのない動作を可能にする。例えば、高温ガス経路内の大きな温度勾配によって生じたヒートシールド100に対する応力及び歪みのために、ヒートシールド100が修理を必要とする場合、ヒートシールド100は、高温ガス経路構成部品34の修理又は交換を必要とせずに、高温ガス経路構成部品34から取り外して、修理又は交換される。そのような現場修理は、燃焼間隔で行なうことができる。例示的なヒートシールド100を実施できる1つの実施例は、しばしばS1Nと呼ばれる、ガスタービンの第1段ノズルにおけるものである。ガスタービンの第1段ノズルは、燃焼セクション18の後の高温ガス流28を収束及び加速させるものであるため、第1段ノズルはテーパを付けられる。上記で示したように、ヒートシールド100は、前縁だけでなく、翼形部34の正圧側の大半上の第1段ノズル翼形部34を覆うことができ、翼形部34の負圧側における高反り点まで達することができる。本明細書に記載のヒートシールド100は第1段ノズルと連動して、第1段ノズルを従来システムにおけるような単一部品設計ではなく、モジュラ/交換可能システムにすることができる。従って、維持費が削減され、ノズルの耐用年数が増加し、ヒートシールド100が摩耗し始めた時は、ヒートシールド100の取り外し及び修理をすることができる。
【0023】
ヒートシールド100の多層設計は、高温ガス経路構成部品34のバルク金属温度を大幅に低下させる。上述のように、ヒートシールド100は外部(温度)層103を含む。外部(温度)層103は、ボンド層104を介してベース層102及びスペーサ層101に取り付けられる。スペーサ層101は、ヒートシールド100に空気流及び空気流構造を提供する。ヒートシールド100の多層設計は、冷却空気をベース層102と高温ガス経路構成部品34の間のスペーサ層101内に閉じ込め、それによって高温ガス経路構成部品34を冷却する。この冷却方法は、冷却空気が高温ガス流28と混合して、フィルム冷却空気が孔出口から下流に移動する時に冷却効率を低下させるのではなく、冷却空気が2つの層の間に閉じ込められるので、フィルム冷却よりもはるかに効率的である。従って、高温ガス経路構成部品34を冷却するのに必要な冷却空気が少なくなる。冷却空気の削減は、同じ出力での燃焼温度を低下させることによって、NOxの生成を削減し、ガスタービン効率を向上させるために用いることができる。
【0024】
ヒートシールド100の多層設計は、高温ガス経路構成部品34の比較的応力及び歪みのない動作を可能にする。例えば、ヒートシールド100は、高温ガス経路構成部品34に取り外し可能に接続される。更に、ヒートシールド100は、高温ガス経路構成部品34に対して移動可能である。従って、ヒートシールド100は、高温ガス経路を通過する高温ガス流28の高温にさらされ、高温ガス流28の温度の変化につれて膨張及び収縮する。ヒートシールド100は、高温ガス経路内の高温から高温ガス経路構成部品34を保護するように機能することで、高温ガス経路構成部品34が受ける温度勾配を制限することによって、高温ガス経路構成部品34における応力及び歪みを低減する。これにより、高温ガス経路構成部品34が比較的応力及び歪みがなく動作できる。
【0025】
限られた数の実施形態のみに関して本発明を詳細に説明してきたが、本発明がそのような開示した実施形態に限定されるものではないことは、容易に理解されるはずである。むしろ、本発明は、これまで説明していないが本発明の技術的思想及び技術的範囲に相応するあらゆる数の変形、変更、置換又は同等の構成を組み込むように修正できる。更に、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、本発明の態様は説明した実施形態の一部のみを含むことを理解されたい。従って、本発明は、上記の説明によって限定されるものと見なすべきではなく、添付の特許請求の範囲の技術的範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0026】
10 ガスタービンシステム
12 エンジン中心線
16 圧縮機
18 燃焼セクション
20 タービン
26 ロータ軸
28 高温ガス流
30 タービンベーン
32 タービンブレード
34 高温ガス経路構成部品、翼形部
36 外壁
38 ケーシング
41 衝突孔
42 隙間
43 凹状面
44 後縁冷却通路
48 開口部
49 流路
100 ヒートシールド
101 スペーサ層
102 ベース層
103 外部(温度)層
104 ボンド層
105 ケーシング壁
106 切欠き
107 スペーサセクション
108 第1の組
109 第2の組
110 壁
111 前縁
112 後縁
113 ダブテール
115 上部プラグ
116 突起部
117 ヒートシールドダブテール
121 第1の面
122 第2の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース層(102)と、
前記ベース層(102)に連結されて、複数の流路(49)を規定するスペーサ層(101)とを備えており、
前記ベース層(102)及び前記スペーサ層(101)は、高温ガス経路構成部品(34)と結合するように構成される、ヒートシールド(100)。
【請求項2】
前記複数の流路(49)は互いに流体連通している、請求項1に記載のヒートシールド(100)。
【請求項3】
前記ベース層(102)は、第1の面(121)及び第2の面(122)からなっており、前記スペーサ層(101)は、第1の面(121)に隣接して位置しており、前記第2の面(122)に隣接して位置する温度層(103)と、前記温度層(103)と前記第2の面(122)の間に位置し、前記温度層(103)を前記ベース層(102)に結合するように構成されたボンド層(104)とを更に備えている、請求項1〜2のいずれかに記載のヒートシールド(100)。
【請求項4】
前記スペーサ層(101)は、前記複数の流路(49)を規定する複数のスペーサセクション(107)を備えている、請求項1〜3のいずれかに記載のヒートシールド(100)。
【請求項5】
前記複数のスペーサセクション(107)の各々は、冷却空気が前記スペーサ層(101)に入って、前記複数の流路(49)間を流れるように構成された複数の開口部(48)を規定する、請求項4に記載のヒートシールド(100)。
【請求項6】
前記スペーサ層(101)は、冷却空気が前記高温ガス経路構成部品(34)と前記ベース層(102)の間を流れるように構成される、請求項1〜5のいずれかに記載のヒートシールド(100)。
【請求項7】
前記ベース層(102)及び前記スペーサ層(101)は単一の一体部品である、請求項1〜6のいずれかに記載のヒートシールド(100)。
【請求項8】
前記ベース層(102)及び前記スペーサ層(101)の湾曲は、前記高温ガス経路構成部品の湾曲に整合する、請求項1〜7のいずれかに記載のヒートシールド(100)。
【請求項9】
前記高温ガス経路構成部品(34)は、前記ヒートシールド(100)に冷却空気を供給するように構成された複数の衝突孔(41)を規定する、請求項1〜8のいずれかに記載のヒートシールド(100)。
【請求項10】
前記高温ガス経路構成部品(34)に対して移動可能である、請求項1〜9のいずれかに記載のヒートシールド(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−163344(P2011−163344A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22348(P2011−22348)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】