説明

ヒートスプレッダ

【課題】発熱素子を載置した状態で加圧した場合であっても、樹脂シートに対して均一な加圧力を与えることが可能なヒートスプレッダを提供する。
【解決手段】導電性金属板10の一方の面を発熱素子が載置される載置面Aとし、他方の面を樹脂シートを介して放熱体に接着固定される接着面Bとするヒートスプレッダ100は、樹脂シートに対して接着面Aを押圧する際の加圧領域30が載置面Aの外周部に設定されていると共に、当該加圧領域30の内側の非加圧領域40に発熱素子が載置され、非加圧領域40の重心位置Sの裏側に対応する位置である非加圧重心位置が最も突出するように接着面Bに凸形状が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性金属板の一方の面を発熱素子が載置される載置面とし、他方の面を樹脂シートを介して放熱体に接着固定される接着面とするヒートスプレッダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放熱体に樹脂シートを用いてヒートスプレッダを接着固定した半導体モジュールが用いられてきた。この種のヒートスプレッダに関する技術として、下記に出典を示す特許文献1及び2に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の半導体素子の電極と放熱板との圧着方法では、複数の半導体素子を実装したヒートスプレッダを樹脂製の絶縁シート(以下「樹脂シート」とする)に熱圧着する場合に、当該複数の半導体素子の間に補助圧着治具を挿入し、半導体素子の一方の電極の周縁及び補助圧着治具に係合された圧着治具を押圧して行う。また、特許文献2に記載のヒートスプレッダは、例えば板材に加圧成形等を施して凹部を形成し、当該凹部の底部が半導体素子を搭載する搭載位置とされる。一方、凹部の反対側の面、すなわち凸状に突き出た面には高熱伝導性樹脂シートを介して放熱フィンが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−76592号公報
【特許文献2】特開平11−317479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術で用いられる樹脂シートは、熱と圧力とを加えることで接着力が生じる。当該技術では、半導体素子を避けてヒートスプレッダの外周部を加圧するので半導体素子が配置された領域の中心部において加圧が不十分になり、十分な接着力を得ることができない可能性がある。そこで、ヒートスプレッダを全面に亘って加圧することが考えられる。係る場合には、ヒートスプレッダに半導体素子が載置されていると当該半導体素子も加圧され損傷する可能性があるので、ヒートスプレッダの加圧よりも後工程で半導体素子をはんだ付けする必要がある。このような半導体素子のはんだ付けは、リフロー工程により行う場合がある。このようなリフロー工程をヒートスプレッダと樹脂シートとの熱圧着後に行う場合には、リフローの熱が樹脂シートに伝わって接着力が低下する可能性がある。一方、特許文献2に記載の技術では、基本的に半導体素子を搭載した状態で、ヒートスプレッダを放熱フィンに圧着固定する構成であるため、半導体素子が配置されるために加圧することができない非加圧領域が生じることや、そのような非加圧領域の中心部に十分な加圧力を与えることに関する考慮は一切なされていない。
【0006】
そこで、発熱素子を載置した状態で当該発熱素子を避けるために加圧することができない非加圧領域が存在する場合に、当該非加圧領域の中央部にも十分な加圧力を与えることが可能なヒートスプレッダの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るヒートスプレッダの特徴構成は、導電性金属板の一方の面を発熱素子が載置される載置面とし、他方の面を樹脂シートを介して放熱体に接着固定される接着面とし、前記樹脂シートに対して前記接着面を押圧する際の加圧領域が前記載置面の外周部に設定されていると共に、当該加圧領域の内側の非加圧領域に前記発熱素子が載置され、前記非加圧領域の重心位置の裏側に対応する位置である非加圧重心位置が最も突出するように前記接着面に凸形状が形成されている点にある。
【0008】
このような特徴構成によれば、載置面の加圧領域には発熱素子が載置されていないので、発熱素子に押圧力が付与されることがない。したがって、発熱素子には押圧力に基づく応力が伝わらないので、載置面に発熱素子を載置した状態で加圧領域を加圧することができる。また、非加圧重心位置が最も突出するように接着面に凸形状が形成されているので、載置面の外周部に設定された加圧領域を押圧した場合であっても、接着面の外周部と共に接着面の非加圧重心位置にも押圧力を伝えることができる。したがって、接着面における非加圧重心位置に十分な加圧力を与えることができるので、ヒートスプレッダを適切に樹脂シートに接着固定することができる。
【0009】
また、前記導電性金属板は、平面視で長方形状に形成され、前記接着面が、前記長方形状の短辺方向に均一な突出量であると共に、前記長方形状の短辺から長辺方向に沿って前記非加圧重心位置側へ向うに従って次第に突出量が増加するように形成されていると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、長方形状の短辺方向及び長辺方向の双方について突出量が次第に増加するように形成して非加圧重心位置のみを突出させる場合に比べて、接着面の凸形状を容易に形成できる。
【0011】
また、前記接着面が、前記非加圧重心位置側へ向うに従って次第に突出量が増加すると共に、交線が前記非加圧重心位置を通る2つの平面により形成されていると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、接着面に2つの平面を形成するだけで凸形状を容易に形成することができる。したがって、ヒートスプレッダの製造コストを低減できる。
【0013】
また、前記載置面が、前記非加圧領域の重心位置側へ向うに従って次第に引退量が増加すると共に、交線が前記非加圧領域の重心位置を通る2つの平面により形成され、複数の前記発熱素子が、前記載置面の前記2つの平面に分かれて載置されていると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、発熱素子が複数備えられる場合であっても、発熱素子を平面に載置することができる。したがって、ヒートスプレッダと発熱素子との接触面積を広く確保でき、発熱素子の放熱性を確保できる。
【0015】
また、前記接着面が、球面状に形成されている構成とすることも可能である。
【0016】
このような構成とすれば、球面状の接着面が樹脂シートに押圧されるので載置面の外周部に設定された加圧領域を押圧した場合であっても、樹脂シートに対する加圧力を比較的均等に分散させることができる。したがって、ヒートスプレッダを適切に樹脂シートに接着固定することができる。
【0017】
また、前記載置面が、前記接着面に平行に形成されている構成としても良い。
【0018】
このような構成とすれば、例えば折り曲げ加工やプレス加工等により、平板状のヒートスプレッダを加工するだけで、凸形状を有する接着面及び載置面を一体的に且つ容易に形成できる。したがって、ヒートスプレッダの製造コストを低減できる。
【0019】
また、前記接着面の外縁部に対する前記非加圧重心位置の突出量が、前記樹脂シートの厚さ未満であると好適である。
【0020】
このような構成とすれば、樹脂シートに押し付けられる非加圧重心位置の突出量が樹脂シートの厚さよりも薄いので、樹脂シートの一部に過剰な応力が作用することを抑制できる。したがって、樹脂シートの劣化を抑制できると共に、ヒートスプレッダを適切に樹脂シートに接着固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ヒートスプレッダの斜視図である。
【図2】図1のII‐II線における断面図である。
【図3】ヒートスプレッダを樹脂シートを介して放熱体に接着固定した状態を示す図である。
【図4】その他の実施形態に係るヒートスプレッダを示す図である。
【図5】その他の実施形態に係るヒートスプレッダを放熱体に接着固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るヒートスプレッダ100について図面を用いて説明する。図1には、ヒートスプレッダ100の斜視図が示される。図2には、図1のII−IIにおける断面図が示される。図3には、樹脂シート80を介して放熱体90に接着固定されたヒートスプレッダ100が示される。なお、各図においては、接着面Bの形状をわかり易くするために、凸形状を強調して描いている。これに伴い、樹脂シート80の厚みも実際よりも厚く描いている。
【0023】
ここで、本発明に係るヒートスプレッダ100は、一方の面に発熱素子25を載置した状態であっても、樹脂シート80を介して放熱体90に接着固定することが可能に構成されている。図1及び図2に示されるように、ヒートスプレッダ100は、導電性金属板10から構成される。導電性金属板10は、例えば銅又は銅合金の板状部材を用いることができる。すなわち、導電性金属板10は、板状の銅又は銅合金から打ち抜き加工により形成することが可能である。本実施形態では、導電性金属板10は、平面視で長方形状に形成される。平面視とは、図1〜図3における短辺方向X及び長辺方向Yの双方に直交する方向から見た状態である。また、長方形状とは、略長方形であれば良く、角部が円弧状とされ、或いは面取りされていても良い。
【0024】
このような導電性金属板10の一方の面は載置面Aとされ、他方の面は接着面Bとされる。図3に示されるように、接着面Aには、発熱素子25が載置される。発熱素子25とは、例えば回転電機の制御に用いられるインバータ回路を構成するスイッチング素子やダイオード等が相当する。これらの発熱素子25は、通電により発熱するのでヒートスプレッダ100を介して冷却可能に構成される。発熱素子25はヒートスプレッダ100の載置面Aに載置され、はんだ付けされる。
【0025】
接着面Bは、樹脂シート80を介して放熱体90に接着固定される。樹脂シート80とは、熱伝導性、絶縁性、及び接着性の良い樹脂のシートである。放熱体90とは、本実施形態では、放熱フィン等が設けられ発熱素子25の冷却に用いられる。
【0026】
ここで、本ヒートスプレッダ100の載置面Aには、加圧領域30と非加圧領域40とが設定される。上述のように、ヒートスプレッダ100は、樹脂シート80を介して放熱体90に接着固定される。樹脂シート80は、加熱しつつ押圧することで接着力が生じる。加圧領域30は、ヒートスプレッダ100の接着面Bを樹脂シート80に対して押圧する際に加圧する載置面Aの領域である。このような加圧領域30は、載置面Aの外周部に設定される。また、加圧領域30の加圧は、後述する図3において白抜き矢印で示される方向で行われる。この方向は、図1〜図3における短辺方向X及び長辺方向Yの双方に直交する方向が相当する。
【0027】
ここで、載置面Aの外周部は、載置面Aの外周縁及びその内側に設定された所定幅の領域である。なお、本例では、所定幅は例えば0.2〜20〔mm〕、好ましくは1〜10〔mm〕とされている。非加圧領域40は、加圧領域30の内側に設定される。加圧領域30の内側とは、加圧領域30よりも載置面Aの中央部側である。本実施形態では、非加圧領域40は加圧領域30に囲まれる領域の全部とされており、加圧領域30に隣接して設定されている。当該非加圧領域40には、発熱素子25が載置される。
【0028】
本実施形態に係るヒートスプレッダ100の接着面Bには、凸形状が形成される。この凸形状は、非加圧領域40の重心位置の裏側に対応する位置である非加圧重心位置が最も突出するように形成される。ここで、非加圧領域40の重心位置とは、非加圧領域40を構成する面の重心である。本実施形態では、載置面A全体の重心に一致し、符号Sを付して示している。
【0029】
非加圧領域40の重心位置Sの裏側に対応する位置とは、載置面Aの平面視において非加圧領域40の重心位置Sと重なる接着面B上の位置である。このような接着面B上の位置が非加圧重心位置と称される。本実施形態では、符号Tを付して示される。ここで、載置面Aの平面視とは、載置面Aの四隅を含む平面に直交する方向に見る状態を指す。この非加圧重心位置Tは、ヒートスプレッダ100の加圧領域30が押圧される際に、非加圧領域40の重心位置Sから加圧方向に延びる線と接着面Bとの交点となる。接着面Bには、この非加圧重心位置Tが最も突出するように凸形状が形成される。したがって、ヒートスプレッダ100の加圧領域30の全体が均等な力で押圧されると、非加圧重心位置Tが樹脂シート80に対して最初に接する位置となる。
【0030】
本実施形態では、上述のように、導電性金属板10は平面視が長方形状で形成される。接着面Bは、長方形状の短辺方向Xに均一な突出量であると共に、長方形状の短辺から長辺方向Yに沿って非加圧重心位置T側へ向かうに従って次第に突出量が増加するように形成される。ここで、突出量とは、接着面Bの基準位置からの突出量、すなわち突出高さである。本実施形態では、接着面Bの長方形状の短辺を基準位置とし、当該基準位置からの突出高さを突出量としている。長方形状の短辺方向Xに均一な突出量とは、長方形状の短辺と平行に並ぶ各位置が基準位置に対して同じ突出量とされていることを示す。長方形状の短辺から長辺方向Yに沿って非加圧重心位置T側へ向かうに従って次第に突出量が増加するとは、長方形状の短辺側が最も突出量が小さく、非加圧重心位置Tが基準位置(短辺)に対して最も突出量が大きいことを示す。
【0031】
特に、本実施形態では、接着面Bが、非加圧重心位置T側へ向うに従って次第に突出量が増加すると共に、交線が非加圧重心位置Tを通る2つの平面により形成されている。ここで、交線とは、2つの平面が共有する線が相当する。したがって、ヒートスプレッダ100の接着面Bは、図2に示されるように長辺に平行な方向の断面形状がV字状で形成され、交線が当該V字状の折れ曲がり部(頂点)に相当する。このようにヒートスプレッダ100の接着面Bを構成することにより、載置面Aの外周部に設定された加圧領域30を押圧した場合であっても、接着面Bの非加圧重心位置T付近(非加圧領域40の裏側)にも適切に加圧力を与えることが可能となる。したがって、接着面Bを平面とした場合に比べて接着面Bの全体を樹脂シート80に密着させることが容易になり、ヒートスプレッダ100を適切に放熱体90に接着固定することができる。
【0032】
また、本実施形態では、載置面Aは、長方形状の短辺方向Xに均一な引退量であると共に、長方形状の短辺から長辺方向Yに沿って非加圧領域40の重心位置S側へ向うに従って次第に引退量が増加するように形成される。ここで、引退量とは、載置面Aの基準位置からの引退量、すなわち引退深さである。本実施形態では、載置面Aの長方形状の短辺を基準位置とし、当該基準位置からの引退深さを引退量としている。長方形状の短辺方向Xに均一な引退量とは、長方形状の短辺と平行に並ぶ各位置が基準位置に対して同じ引退量とされていることを示す。長方形状の短辺から長辺方向Yに沿って重心位置S側へ向かうに従って次第に引退量が増加するとは、長方形状の短辺側が最も引退量が小さく、重心位置Sが基準位置(短辺)に対して最も引退量が大きいことを示す。
【0033】
特に、本実施形態では、載置面Aは、非加圧領域40の重心位置S側へ向うに従って次第に引退量が増加すると共に、交線が非加圧領域40の重心位置Sを通る2つの平面により形成される。ここで、ヒートスプレッダ100の載置面Aは、図2に示されるように長辺に平行な方向の断面形状がV字状で形成され、交線が当該V字状の折れ曲がり部(頂点)に相当する。このような載置面Aの2つの平面に分かれて、複数の発熱素子25が載置される。本実施形態では、図2に示されるように、載置面Aが接着面Bに平行に形成されている。このようなヒートスプレッダ100は、平板状部材に折り曲げ加工を施して形成することが可能である。
【0034】
なお、接着面Bの外縁部に対する非加圧重心位置Tの突出量は、樹脂シート80の厚さ未満で形成される。本実施形態では、接着面Bの外縁部とは、接着面Bにおける長方形状の短辺である。接着面Bの非加圧重心位置Tの突出量とは、接着面Bの短辺に対する非加圧重心位置Tの突出高さである。その突出高さが、樹脂シート80の厚さよりも薄く形成される。したがって、接着面Bを接着シート80に対して押し付けた場合に、樹脂シート80の変形によって接着面Bの全体が樹脂シート80に密着する状態となる。このようなヒートスプレッダ100を樹脂シート80を介して放熱体90に装着した状態が図3に示される。
【0035】
このように本ヒートスプレッダ100によれば、載置面Aの加圧領域30には発熱素子25が載置されていないので、発熱素子25に押圧力が付与されることがない。したがって、発熱素子25には押圧力に基づく応力が伝わらないので、載置面Aに発熱素子25を載置した状態で加圧領域30を加圧することができる。また、非加圧重心位置Tが最も突出するように接着面Bに凸形状が形成されているので、載置面Aの外周部に設定された加圧領域30を押圧した場合であっても、接着面Bの外周部と共に、接着面Bの非加圧重心位置Tにも押圧力を伝えることができる。したがって、接着面Bにおける非加圧重心位置Tに十分な加圧力を与えることができるので、ヒートスプレッダ100を適切に樹脂シート80に接着固定することができる。
【0036】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0037】
(1)上記実施形態では、ヒートスプレッダ100は、載置面A及び接着面Bの長辺に平行な方向の断面形状がV字状で、互いに平行に形成されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。接着面Bの非加圧重心位置Tが最も突出するように凸形状が形成されていれば良く、例えば接着面Bを球面状に形成することも本発明の好適な実施形態の一つである。このようなヒートスプレッダ100の例が図4に示される。図4のヒートスプレッダ100は、下方から見た斜視図である。係る場合、非加圧重心位置Tが球面状の頂点とされていると好適である。なお、載置面Aは、接着面Bと平行(すなわち球面状)に形成しても良いし、平面で形成しても良い。また、例えば、載置面Aを上記実施形態と同様にV字状に形成しても良く、接着面Bと平行でない球面状の凹部を形成しても良い。
【0038】
このようなヒートスプレッダ100は、プレス加工や削り出しにより形成することができる。図5には、接着面Bが球面状に形成されたヒートスプレッダ100を、樹脂シート80を介して放熱体90に接着固定した状態が示される。係る場合でも、図5に示されるように、ヒートスプレッダ100の接着面Bで樹脂シート80に対して均一な加圧力を与えることができる。
【0039】
(2)上記実施形態では、接着面Bは、長辺に平行な方向の断面形状がV字状で形成されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。接着面Bを円筒面状、断面多角形状、多面体形状、階段状等の形状で形成することは当然に可能である。いずれにしても、載置面Aを接着面Bに平行に形成することも可能であるし、載置面Aを平面で形成することも可能である。更には、載置面Aを接着面Bと非平行な面を有する各種の形状で形成することも当然に可能である。
【0040】
(3)上記実施形態では、導電性金属板10が平面視で長方形状に形成されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。導電性金属板10を、例えば、平面視で円形、楕円形、六角形、八角形等の多角形等、長方形状以外の各種の形状とすることも当然に可能である。
【0041】
(4)上記実施形態では、接着面Bが、長方形状の短辺方向Xに均一な突出量であると共に、長方形状の短辺から長辺方向Yに沿って非加圧重心位置T側へ向うに従って次第に突出量が増加するように形成されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば接着面Bが球面状や多面体状とされている場合のように、突出量を短辺方向Xに均一に形成せず、短辺方向Xに沿って非加圧重心位置T側へ向うに従って突出量が増加するように形成することも本発明の好適な実施形態の一つである。また、例えば接着面Bが長辺方向Yに沿って階段状に形成されている場合のように、長方形状の短辺から長辺方向Yに沿って非加圧重心位置T側へ向うに従って次第に突出量が増加するのではなく、ステップ状に突出量が増加するように形成しても好適である。
【0042】
(5)上記実施形態では、載置面Aが、非加圧領域40の重心位置S側へ向うに従って次第に引退量が増加すると共に、交線が非加圧領域40の重心位置Sを通る2つの平面により形成され、複数の発熱素子25が、載置面Aの2つの平面に分かれて載置されているとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。載置面Aを3つ以上の平面により形成することも当然に可能であるし、発熱素子25が1つであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、導電性金属板の一方の面を発熱素子が載置される載置面とし、他方の面を樹脂シートを介して放熱体に接着固定される接着面とするヒートスプレッダに利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
10:導電性金属板
25:発熱素子
30:加圧領域
40:非加圧領域
80:樹脂シート
90:放熱体
100:ヒートスプレッダ
A:載置面
B:接着面
S:重心位置
T:非加圧重心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属板の一方の面を発熱素子が載置される載置面とし、他方の面を樹脂シートを介して放熱体に接着固定される接着面とするヒートスプレッダであって、
前記樹脂シートに対して前記接着面を押圧する際の加圧領域が前記載置面の外周部に設定されていると共に、当該加圧領域の内側の非加圧領域に前記発熱素子が載置され、
前記非加圧領域の重心位置の裏側に対応する位置である非加圧重心位置が最も突出するように前記接着面に凸形状が形成されているヒートスプレッダ。
【請求項2】
前記導電性金属板は、平面視で長方形状に形成され、
前記接着面が、前記長方形状の短辺方向に均一な突出量であると共に、前記長方形状の短辺から長辺方向に沿って前記非加圧重心位置側へ向うに従って次第に突出量が増加するように形成されている請求項1に記載のヒートスプレッダ。
【請求項3】
前記接着面が、前記非加圧重心位置側へ向うに従って次第に突出量が増加すると共に、交線が前記非加圧重心位置を通る2つの平面により形成されている請求項1又は2に記載のヒートスプレッダ。
【請求項4】
前記載置面が、前記非加圧領域の重心位置側へ向うに従って次第に引退量が増加すると共に、交線が前記非加圧領域の重心位置を通る2つの平面により形成され、
複数の前記発熱素子が、前記載置面の前記2つの平面に分かれて載置されている請求項1から3のいずれか一項に記載のヒートスプレッダ。
【請求項5】
前記接着面が、球面状に形成されている請求項1に記載のヒートスプレッダ。
【請求項6】
前記載置面が、前記接着面に平行に形成されている請求項1から5のいずれか一項に記載のヒートスプレッダ。
【請求項7】
前記接着面の外縁部に対する前記非加圧重心位置の突出量が、前記樹脂シートの厚さ未満である請求項1から6のいずれか一項に記載のヒートスプレッダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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