説明

ヒープリーチングを使用することによってラテライト鉱からニッケル、コバルトおよび他のベースメタルを抽出するためのプロセス、ならびにラテライト鉱から得られ、ニッケル、コバルトおよびその他の金属を含む生成物

【課題】ラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための、投資が低額で済み、かつ運用コストの低いプロセスを提供する。
【解決手段】ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するためのプロセスであって、粉砕(I)、塊鉱化(II)、スタッキング(III)、およびヒープリーチング(IV)の各ステージを有し、前記最終ステージは、2つ以上のステージを有する向流式連続ヒープリーチング系であり、二相を呈し、うち一相は鉱石(溶質)で構成され、もう一方の相は酸性の浸出溶液または溶媒で構成され、前記二相は、前記一連のステージの対向する端に供給されて、逆方向に流れる。この結果、浸出溶液によるパーコレーションによって、ラテライト固体の混合物から、可溶成分が抽出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラテライト鉱から、他の金属のなかから、ニッケル、コバルト、亜鉛、鉄および銅を抽出するための、当業者に公知のプロセスに比べて投資が低額で済み、かつ運用コストの低いプロセスに関する。本発明に係るプロセスは、酸性溶液によるパーコレーションによって、積み上げたラテライト固体の混合物から、可溶成分を抽出するためのプロセスであるヒープリーチングを使用する。
【背景技術】
【0002】
抽出冶金とは、一般に、物理的方法と化学的方法よって、金属を含む鉱物および/または材料から当該金属を抽出する技術/科学であると定義されている。抽出冶金は、湿式冶金、乾式冶金、および電気冶金の3つの主要分野に分けることができる。
【0003】
湿式冶金は、水系の物理化学的プロセスによって金属を抽出する技術であり、乾式冶金は、高温における乾式の物理化学的プロセスに関し、電気冶金は電解法を使用する。通常、電気冶金は、他の2つのプロセスと併用され、湿式冶金で使用している水系媒質で電気分解が行われ、乾式冶金で使用している溶解された媒質において電気分解が行われる。
【0004】
また、抽出冶金は、金属の濃縮および/または分離を可能にし、向上させるため、別個の操作単位を使用しており、これには、なかでも、粉砕法(粉砕およびミリング)、物理的濃縮法(磁気選鉱、重力選鉱、および静電選鉱)、物理化学的濃縮法(浮遊選鉱)、および固液分離法(沈降濃縮、ろ過、および乾燥)などがある。
【0005】
湿式冶金は、(a)固相に含まれる金属の選択的溶解(浸出)、(b)対象金属を含む水溶液の精製および/または濃縮(沈澱、凝結、イオン交換または溶媒抽出)、ならびに(c)金属の選択性回収(電解採取、電気精錬および水素還元)の順に実施される3つの別個の物理化学的ステージで実施される。
【0006】
金属の回収への湿式冶金経路の利用は、過去50年にわたって著しく増加しており、この増加は、高品位の鉱床が枯渇し、その結果、品位が一層低下し、鉱物がますます複雑になり、予備濃縮ステージが必要となっていることに密接に関連している。更に、従来の乾式冶金プロセスと比較して、この代替法は、若干ながら環境に影響を及ぼし、資本面での要件がさほど集約的ではない。
【0007】
溶媒によって不溶固体成分から可溶成分を抽出することは、一般に浸出と呼ばれており、物質移動過程である。タガートおよびアービター(Taggart apud Arbiter)は、Copper Hydrometallurgy - Evolution and milestones, Hydrometallurgy - Fundamentals, Technology and Innovation, 1993, pp. 549-565において、これを、浸出対象の鉱石と溶媒とが有効に接触しているオペレーションとして定義している。
【0008】
浸出は、周囲条件下で、あるいは高温下および/または加圧下で実施されうる。処理条件は、生じる化学反応によって異なる。あらゆる場合においても、その目的は、溶液から選択的に抽出可能なイオンまたは金属錯体を生成することにある。
【0009】
グプタら(Gupta et al.)、Hydrometallurgy in Extraction Processes, vol I, p. 39に記載されているように、浸出プロセスにおいて溶液として使用される試薬は、少なくとも以下の要件を満たしている必要がある。
【0010】
−プロセスが営利的に実施可能となる程度に、十分速く鉱物を溶解させ、好ましくは脈石鉱物に化学的に不活性である。
−費用効率が高く、かつすぐに大量に入手できる。
−可能であれば、浸出ステージ後のプロセスにおいて再生可能である。
【0011】
図15の例に示すように、塩化物または可溶性の硫酸塩の浸出に使用される水のほか、さまざまな溶媒が、異なる浸出用途に使用されている。
【0012】
硫酸、塩酸および硝酸等の酸が、リーチングなどの溶解プロセスに最も多用されている。このうち、硫酸は、最も多用されており、かつ最も低コストである。
【0013】
当業者に周知のように、ペリーおよびチルトン(Perry and Chilton)の『Chemical Engineer's Handbook』によると、浸出系は、浸出サイクル(バッチ、連続的または間欠的な複数バッチ)、流れの向き(並流、向流またはこの併用)、ステージの種類(単一ステージ、複数ステージまたは差動ステージ)、および接触法(パーコレーションまたは固体の分散)によって区別される。
【0014】
複数ステージの向流系(Foust et allii., Principles of Unit Operations, 1960, pp. 43-49)では、図16に示すように、二相が、平衡した一連のステージの対向する端に入る。これらの相は、互いに逆向きに流れる。このようにして、L相生成物の溶質濃度を上げることができ、少ない量の溶媒でより多くの溶質を回収することが可能となる。
【0015】
浸出は、接触方法に従って、インシチュ浸出、ヒープまたはダンプ浸出(パーコレーションによる浸出)、および撹拌浸出(大気圧下および加圧下)に分類することができる。
【0016】
図17において、Esteban Domic in Hidrometalurgia - Fundamentos, procesos y aplicaciones, 2001による、操作単位と、鉱石および濃縮物の処理に現在利用可能な主な浸出法との関連の概略を確認することができる。
【0017】
イン−シツ(In-situ)浸出は、鉱床中に鉱石が存在する場所に、浸出溶液を直接適用するものであり、鉱石を取り出す必要がない。
【0018】
ヒープリーチングはおそらく最も古い方法の1つであり、銅回収に使用されるものでは最も古い。この方法は、1700年代以降、スペインで銅回収に使用されてきた。この浸出法では、一般に、濃硫酸によって事前に塊鉱化した鉱石を積み上げ、そのヒープの最上部に浸出溶液が適用され、そこから重力によってパーコレーションされて、ヒープの底で収集される。浸出溶液の適用と配給は、ドリッパーまたはウォブラー型スプリンクラによってヒープの最上部に対して行われる。利水系は、蒸発と水の入手可能性の関数として規定される。対象金属を含む溶液が、後続の精製/抽出ステージに送られる。ヒープリーチングが粉砕された鉱石に使用されるのに対し、ダンプ浸出はROM(run of mine:粗鉱)に使用される。ダンプ浸出は、前述のプロセスに非常に似ており、対象金属の品位が非常に低い鉱石を処理するが、この品位は、通常は、鉱化廃棄物と呼ばれる主要加工ラインの経済的下限品位(economic cut-off grade)に満たない。ヒープリーチングプロセスでは、ヒープは、ダイナミックか恒久的でありえる。ダイナミックヒープ(オン/オフヒープとも呼ばれる)の場合、浸出された後の鉱石は除去されて最終的な廃石廃棄のための場所に移されるが、ヒープの基盤はリサイクルされる。恒久ヒープまたはスタティックヒープの場合、新しいヒープが古いヒープの上に形成され、その際、不透水化領域が使用されることもあれば、ないこともある。
【0019】
バット浸出(vat leaching)(固定タンク内で実施される)は、通常正方形の、十字に分割されたタンクの組を有し、タンク内で粉砕された鉱石が供給され、浸出溶液が、上または下に流れるように適用され、鉱石層が浸漬される。これは、溶解反応速度の大きな鉱物の浸出に適した非常にダイナミックな系である。浸出サイクルは、通常6〜12日である。
【0020】
撹拌浸出(大気圧下または加圧下)では、鉱石を微細に砕き、タンク内で、ガス圧入または機械的撹拌によって固体が浸出溶液中に散布されて実施される。他の方法と比較して、粒径が小さく(特定領域が大きい)、タンク内に乱流があり、試薬と鉱石とがより早く拡散するため、浸出時間が短い。
【0021】
バット浸出と撹拌浸出では、2つの大きな違いが明白である。第1に、撹拌浸出では液体が連続相であり、第2に、この浸出法では乱流状態で行われるが、バット浸出では流れが通常は層流である。このため、この2種類の浸出法では、物質移動速度がかなり異なる。乱流接触状態では高い物質移動速度が得られる。
【0022】
金(アルカリ媒質中でのシアン化)、銅、ウラン、ニッケル(酸性溶媒中での硫酸浸出)、および他の鉱物を抽出する方法としてのヒープリーチングの利用は、過去数年にわたり増加しており、これは、従来の方法では経済的に実施不能な超低品位の鉱石を処理できる可能性があるためと、溶解反応速度の非常に低い鉱石を処理するための代替法であるためである。
【0023】
銅のヒープリーチングは広く知られている。歴史を振り返ると、この先駆的な方法は、約300年前にスペインのリオティント(Rio Tinto)鉱山で使用された。
【0024】
銅のヒープリーチングでは、鉱石が粉砕され、次に濃硫酸によって塊鉱化されて、適切に準備され不透水化された基盤に積み上げられる。ヒープの高さの範囲は、1.5m〜30mと、非常に広範囲にわたる。ヒープの上面に浸出溶液(希硫酸)が噴霧されて、重力により鉱石内を下に向かってパーコレーションする。可溶化された銅を多量に含む溶液が収集されて、通常、溶媒抽出および電解採取回路である銅回収回路に送らる。これは、非常によく知られたプロセスであり、ヒープリーチング/溶媒抽出/電解採取の操作単位の組は、40年以上にわたって工業規模で利用されてきた。
【0025】
ヒープリーチングによって対象金属の可溶化ステージが実施される工程経路は、種類の鉱石を問わず、鉱石の粉砕/グラインディングステージを必要とする。このプロセスにとって、ヒープが高い浸透性を有し、鉱石と溶液を良好に接触させることが必須である。米国特許第5077021号明細書に詳細に報告されていているように、粘土鉱物または微粉(一般に0.15mm未満の物質)を過剰量含む鉱石は、この種のプロセスにおいて問題となるが、これは、そのような鉱石では、閉塞の結果、ヒープの特定の領域でパーコレーションが遅くなったり、時には停止しやすいためである。閉塞は、微粉および/または粘土鉱物がヒープ内の特定領域に移動し、この結果、パーコレーション速度が顕著に異なる領域が生じる材料分離によって引き起こされることが一般に知られている。この影響の結果、流れやすい経路を通って溶液が流れ始め、優先流路が形成される。このような優先経路が形成されると、ヒープ内に浸出されない領域が残されてしまい、この結果、対象金属の回収率が低下してしまう。遊離した微粉および/または粘土鉱物による「泥状物」の形成は、極めて顕著な場合は閉塞を引き起こす。このため、微粉および/または粘土鉱物を除去するか、あるいはこれらを塊鉱化するか、この両方を行うことによって、このプロセスのためにベッドを浸透性にすることが不可欠である。粉砕後の塊鉱化ステージは、金、ウラン、バナジウム、銀、銅、亜鉛またはニッケル、酸化物鉱または硫化鉱のどの鉱石であっても、鉱石を積み上げる準備として、ヒープリーチング経路にとって不可欠で固有のものである。
【0026】
すべての当業者に周知のように、ニッケル鉱は、その組成によって、硫化物とラテライト(後者は酸化型としても知られる)の2種類に大別することができる。硫化物鉱床は、サプロライト領域(粘土が豊富な領域)の下の地下層で形成され、西洋におけるニッケルの埋蔵量の約20%に相当し、主にオーストラリアで発見されており、これに、カナダ、中国、南アフリカおよびジンバブエが続く。ニッケルの総生産量の約55%は硫化鉱に由来する。
【0027】
ラテライト鉱は、より表面に近い領域で形成される。鉱床は、主にブラジル、キューバ、オーストラリア、ニューカレドニアおよびフィリピンに存在し、平均品位は約1.95%であり、酸化鉄品位は24%を超え、コバルトおよびマグネシウムが存在する。ラテライト鉱は、既知のニッケル埋蔵量の約80%に相当する。
【0028】
鉱石の生産と抽出の経費節減に対する懸念が高まったことが、ラテライト性原料のニッケル鉱の利用を増やす動機となっている。図18に示すように、硫化物ニッケル資源の抽出コストが高いこと、およびラテライト鉱は硫化鉱よりもニッケル品位が高く高効率であることの2つの要素が、ラテライト鉱の利用の増加に寄与している。
【0029】
ラテライト鉱は、湿式冶金経路か乾式冶金経路によって処理することが可能である。通常、マット溶錬、Fe-Ni生産のための溶錬、およびアンモニア浸出プロセスの場合のように、これらのプロセスはエネルギーの消費量が多く、このため、低品位のニッケルラテライト鉱の処理は経済性が低い。高圧硫酸浸出は、エネルギーの消費量は少ないが、設備にコストがかかることと、腐食性環境のため、多大な投資が必要となる。
【0030】
現在、アンモニア浸出法と硫酸加圧浸出法は、ラテライトからニッケルやコバルトを回収するために使用される2つの主な湿式冶金技術である。これらの技術は、化学処理が比較的腐食性が高いことと、必要な設備投資が高額であることに加えて、燃料と硫酸/硫黄のコストに大きく左右されやすい。
【0031】
従来の技術と比較して、硫酸加圧浸出プロセスは、資本面で大きな利点が得られないにも関わらず、ニッケルの回収では、運用コスト面で大きな経済的な利点が得られる。また、このプロセスは、生産規模が大きくなければならないものの、コバルトの回収レベルが高く、運用サイクルに十分なエネルギーを生産する。
【0032】
また、ニッケルとコバルトの価格が高いことが、ニッケルとコバルトの両方について低い価格レベルで事業の収益性を維持するために、当業界で、運用コストを低減させる代替プロセスが求められている原動力となっている。
【0033】
過去数年にわたり、ニッケルの生産が大きな関心を集めたことで、なかでも、ヒープリーチングなどの、ラテライト鉱を処理するための一連の新しい工程経路が開発された。ヒープリーチングは、投資額と運用コストが低い作業であり、非常に広く知られており、主に銅、ウランおよび金の鉱石に広く利用されている。
【0034】
ラテライト鉱から金属を抽出するための従来の技術は、多用されているにも関わらず、主にこのプロセスに必要な燃料と酸の価格が変動しやすいことにより、このプロセスが経済的に実施不能となる可能性がある。
【0035】
ラテライト鉱にヒープリーチングを使用したことは、少量または低品位鉱床の採鉱が経済的に実施可能となるのみならず、上述の従来のプロセスと比べて、投資額が著しく少なく済む代替の選鉱であるため、ニッケル工業において技術的に重要な出来事である。
【0036】
以下に記載するヒープリーチングの概念は、既に研究され、ギリシア国特許第1001555号明細書、ギリシア国欧州特許翻訳第1003569号明細書、米国特許第6312500号明細書、国際公開第2004/031422号パンフレット、および国際公開第2005/005671号パンフレットの特許のプロセスなどの他の文献に公開されているが、後述の説明から明らかとなるように、本特許出願で提案されるものとは処理条件およびシステム構成が完全に異なる。
【0037】
本出願に関連する最初の研究は、エス・アガティジニ(S.Agatzini)によって行われ、ギリシア国特許第100155号に開示されている。上記の文献は、低品位のニッケル含有鉱石に適用される2つのヒープリーチング技術について記載している。第1の技術は、浸出溶液が再循環される回路を考察しており、つまり、プロセスから出るニッケル溶出物の濃度の増加がそれ以上認められなくなるまで、浸出溶液が鉱石に適用され多く接触される。このように安定したら、新しい溶液が調製されて、鉱石に適用される。使用される溶媒は硫酸であり、この酸溶液の初期濃度は1Nである。パーコレーション速度は、約4〜33L/h/m、好ましくは12.5〜25L/h/mが考慮される。この技術で説明されているように、一般に、浸出プロセスから得られた溶液は、金属が低濃度となるように希釈され、鉱石の種類とプロセスのステージに大きく左右される。第2の技術は基本的に、第1の技術に記載されたものと同じプロセスを扱っており、各リサイクル後に、浸出溶液が、ヒープに再適用される前に、pH調整が行われる。pHは、その初期値に修正される。浸出プロセスは、溶液中のニッケル濃度の増加がそれ以上認められなければ、完了したとみなされる。得られた溶液は、その後、溶液中のニッケル濃度が所望の値に達するまで、別の材料を浸出するために全く同じように使用される。連続的なリサイクルと併用されるこれらの技術は、溶液が特定の元素で飽和している場合(このとき、化学沈降物の形で沈澱が観察される)を除き、浸出を阻害しないことが強調されている。この技術によれば、ラテライトニッケル鉱のヒープリーチングプロセス中に、溶液が飽和した後に沈澱する最初の金属はアルミニウムである。
【0038】
ギリシア国欧州特許翻訳第1003569号明細書は、ギリシア国特許第1001555号明細書に説明されているのとほぼ同じ特徴を記載しており、常水が、各種化学組成の水、または産業/自治体からの排液の水、または場合によっては海水によって置換され、当該文献によれば、これがニッケルの抽出に影響することはなく、パーコレーションした溶液からのMg、CaおよびNaの回収可能な量が増えると記載している。
【0039】
米国特許第6312500号公報は、相当量の粘土材(粘土が25%超と規定されている)を含有するニッケルラテライト鉱のためのヒープリーチングプロセスを開示している。必要に応じて、鉱石が、25.0mm未満、好ましくは19.0mm〜3.35mmの所望の粒径に粉砕される。鉱石中に微粉が存在しているため、このプロセスは、ヒープの形成前に、硫酸による塊鉱化ステージを有する。塊鉱化は、従来の装置において、あるいはこの操作単位を実施可能な任意のユニットにおいて実施される。別法では、塊鉱化の後に、鉱石が硬化される。硬化時間は、1時間〜3日でありうる。このステージは、屋外の空地に塊鉱化した鉱石を堆積させることによって実施される。次に、塊鉱化した鉱石が、スタックされてヒープが形成され、その高さは60cm〜約9mでありうる。2つ以上のヒープが形成されてもよい。ヒープの最上部に、酸溶液が10〜20L/h/mの速度で適用される。浸出プロセス自体は、以下の通りに記載されている。第1のヒープが、濃度が少なくとも10g/Lの新しいHSO溶液によって浸出される。ヒープから浸出された浸出溶液のpHが2を超える場合(または遊離酸性度が1g/L未満の場合)、溶液がニッケル回収に回されうる。pHが2未満の場合、溶液は第2のヒープに回される。第1のヒープから得られた溶液に加えて、新しいHSO溶液(濃度が少なくとも10g/L)が第2のヒープに適用される。第2のヒープから得た溶液は、遊離酸性度も分析される。pHが2を超えるか、または遊離酸性度が1g/L未満の場合、溶液がニッケル回収に回されうる。この酸性度レベルに達していれば、溶液から、例えばイオン交換によってニッケルを直接抽出することができるため、この後で溶液を中和ステージで処理する必要がない。溶液の大部分は直接ニッケル抽出の処理を受けるが、一部は第3のヒープに回される。このプロセスが、多くのヒープについて実施されうる。
【0040】
国際公開第2004/031422号パンフレットにおいて、この方法はニッケル独自のものではないと記載されているものの、この要素はその請求項の1つに含まれる。鉱石の塊鉱化が必要なことがクレームされている。クレームされている浸出溶液は、硫酸と、溶解された二酸化硫黄を含み、この溶液がニッケル回収回路にパージされ、この浸出溶液中の硫酸濃度は約785g/Lである。この発明では、浸出溶液に二酸化硫黄が添加されてから、ヒープに適用される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
本特許出願は、上記に記載した技術とは異なり、鉱石の浸出が少なくとも2つのステージを有する向流系で実施される連続プロセスを有し、各ステージがヒープセクションまたはヒープである方法を提案している。
【0042】
本発明の目的は、それ自体、ラテライト鉱から、他のベースメタルのなかから、ニッケル、コバルト、亜鉛および銅を抽出するための、既存技術の経路に比べて投資が低額で済み、かつ運用コストが低く、低品位の鉱石および/または少量の鉱床からニッケルを抽出する課題を経済的に解決する競争力の非常に高い代替法を開発することにある。
【0043】
本発明の別の目的は、この系による硫酸消費量を被処理鉱石1トンにつき酸350kgの水準まで大幅に低減させ、鉱物学的組成に応じて70%〜90%のニッケル抽出を達成すると共に、浸出サイクルを短縮し、系の水収支が良好であり、脈石に関して対象金属の抽出の選択性を改善し、溶液の総体積を大幅に減少させることにある。
【0044】
上記は、少なくとも2つのステージを使用して鉱石の浸出が向流系で実施される連続プロセスを有し、各ステージがヒープセクションまたはヒープであり、大量の天然微粉を含有している鉱石に適用可能であり、粗い成分(>0.5mm)の処理にも選択可能である。このようなヒープリーチングは、ラテライト鉱から、他のベースメタルのなかから、ニッケル、コバルトおよび亜鉛を抽出するための、既存技術の経路に比べて投資が低額で済み、かつ運用コストが低く、低品位の鉱石および/または少量の鉱床からニッケルを抽出する課題を経済的に解決する代替策となる。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明は、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するためのプロセスであって、粉砕(I)、塊鉱化(II)、スタッキング(III)、およびヒープリーチング(IV)の各ステージを有し、前記最終ステージは、2つ以上のステージを有する向流式連続ヒープリーチング系であり、二相を呈し、うち一相は鉱石(溶質)で構成され、もう一方の相は浸出溶液または溶媒で構成され、前記二相は、前記一連のステージの対向する端に供給されて、逆方向に流れ、前記最終ステージにおいて浸出が停止されると、そこの前記溶質が除去されて、前記溶媒溶液によって浸出しようとしている新しい鉱石(溶質)によって形成された第一位置で、新しいステージが導入され、前記溶媒溶液は、前記最終ステージから導入され、前記第1のステージに達するまでその前の全てのステージをパーコレーションするかまたは流れ、対象金属を含んでいる(PLS(Pregnant Leach Solution:貴浸出液))場合に分離されることを特徴とするプロセスを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明は、ヒープリーチングを使用することによってラテライト鉱から、他の金属のなかから、ニッケル、コバルトおよび他の金属を抽出するためのプロセスであって、少なくとも2つのステージを使用して鉱石の浸出が向流系で実施される連続プロセスを有し、各ステージがヒープセクションまたはヒープであり、大量の天然微粉を含有している鉱石に適用可能であり、粗い成分(>0.5mm)の処理にも選択可能であるプロセスを有する。このようなヒープリーチングは、それ自体、ラテライト鉱から、他のベースメタルのなかから、ニッケル、コバルトおよび亜鉛を抽出するための、既存技術の経路に比べて投資が低額で済み、かつ運用コストが低く、低品位の鉱石および/または少量の鉱床からニッケルを抽出する課題を経済的に解決する最適な代替法である。
【0047】
本願明細書に取り込まれる図1は、対象金属を多量に含む溶液を得るまでのプロセス全体のフローチャートを示すブロック図であり、本願明細書に取り込まれる図2は、当該向流ヒープリーチングステージの概略図である。
【0048】
本発明は、ニッケルラテライト鉱の処理のための湿式冶金処理経路を有しており、金属値の可溶化ステージがヒープリーチングによって行われる。
【0049】
本願明細書に取り込まれる図1は、対象金属を多量に含む溶液を得るまでのプロセス全体のフローチャートを示すブロック図である。一般に、ここに提案する経路は、粉砕(I)、塊鉱化(II)、スタッキング(III)、およびヒープリーチング(IV)の各ステージから構成される。
【0050】
原炭(run-of-mine:ROM(O))が、本プロセスに適した粒径に粉砕される。粉砕は、鉱石の特性に応じて、本プロセスに適した粒径を得るために必要な数のステージにおいて行われる。一般に、二次粉砕において最大粒径が約25.0mm〜約50.0mmとなり、三次粉砕において最大粒径が約12.5mm〜約6.30mmとなる。大量の微粉を含有する非常に多孔質の鉱石(比表面積が大きい)では二段階の粉砕で十分である。小さく、かつより優れた(competent)鉱石の場合、三次粉砕、場合によっては四次粉砕が、反応面積を増やすために実施されうる。これらの操作単位において、微粉の生成は最小限に抑えなければならない。
【0051】
本願明細書に取り込まれる図3は、浸出剤に接触しやすい多孔質の鉱石の一種を示す。
【0052】
次に、粉砕物が、コンベヤーベルトによって塊鉱化ユニット(II)に送られる。例えば鉱石が非常に乾燥しており、かつ多量の微粉を含んでいる場合、必要に応じて、輸送中に鉱石に水が添加されうる。コンベヤーベルトでの水の添加は、噴霧など、数通りもの方法で実施することができ、粉塵の生成を最小限に抑え、より好適な作業条件を与える。細密な成分中のニッケル元素濃度が高いことがラテライト鉱の特徴であるため、ニッケル損失を最小限に抑えることは非常に重要である。塊鉱化が、回転式のドラムまたはディスクなどの従来装置、あるいは予期した結果を与える任意の装置内で実施される。
【0053】
このステージでは、濃硫酸または硫酸溶液のいずれかと水が、存在する微粉の量に従って規定される量(0.074mm未満で30〜70%など)で鉱石に添加され、その際、酸と水は、所望量の塊鉱用の水分を得るために十分な量添加される。塊鉱用の水分は、ベンチテストにおいて、あらかじめ決定され、鉱石の物理学的および鉱物学的な特性によって決まる。超微細の成分が存在するため、バインダ剤が添加されてもよく、バインダ剤は浸出溶液の酸に対して不活性であれば、無機物質でも有機物質でも、合成でも天然でもよく、場合によっては、例えばベントナイトなどの鉱物由来のものであってもよい。塊鉱生成物中に遊離の微粉(1.70mm未満の任意の鉱石成分)が存在してはならない。
【0054】
原成分(例えばMgOまたはCaO)の濃度が高いために天然で塩基性の鉱石は、高い中和能を有し、サプロライト鉱がこの場合に相当することを指摘する価値がある。このため、このステージは、既に公知の塊鉱化の利点に加え、ここに提案する経路においては、鉱石の事前の中和ステージとしても重要である。添加される硫酸の量は、プロセス粒度測定での主要な酸消費鉱物種を考慮して、決定される。このステージでのこの中和処置は、対象金属の抽出の開始を速める。バインダ剤の有無を問わず、このステージで酸が添加されず、水による塊鉱化のみが実施された場合、対象金属の抽出に時間がかかることが、特にニッケルとコバルトの場合にみられるが、総浸出サイクルでは大きな影響がみられない。一般に、マグネシウム、鉄、アルミニウムおよびカルシウムが、主要な酸消費種である。
【0055】
塊鉱化(II)後、鉱石がスタックされ(III)、最終的な高さが約2m〜約7m、好ましくは4メートルのヒープが形成される。
【0056】
ここで提案する浸出系(IV)は、向流式多ステージのダイナミック(またはオン/オフ)ヒープであり、ステージの数は2以上、好ましくは3ステージである。ここに記載のシステムは、従来技術の項で述べた、ファウストら(Foust et allii)によって『Principles of Unit Operations』に開示されている概念に従う。浸出操作単位である二相は、その金属値(主にNiおよびCo)を抽出しようとしている鉱石(溶質)と、硫酸溶液(溶媒)とから構成される。この二相は、平衡した一連のステージの対向する端に供給され、互いに逆向きに流れる。この技術によって、並流回路または並行流と比較して、液相の生成物中のNiおよびCoの濃度が高くなり、浸出サイクルが短縮され、溶媒の使用量が少なくて済む。
【0057】
新しい浸出溶液(濃度約50g/L〜約200g/Lの硫酸溶液)が、最終ステージ(または3ステージシステムの場合は第3ステージ)のヒープの最上部または上面に適用され、流れの向きに従って、各ステージからのパーコレーションされた溶液が個々のリザーバーに個別に収集されて、後続のステージで使用される。
【0058】
第2ステージおよび第3ステージからの溶液は、それぞれ中間溶液2(ILS2)および中間溶液3(ILS3)とされ、この後に続くステージの溶液も同様に呼ばれる。
【0059】
対象金属を多量に含む最終溶液(貴浸出溶液(pregnant leaching solution:PLS))は、残留酸性度が約10〜約30g/Lである。
【0060】
浸出プロセスの終了時(IV)に、最終ステージ(または3ステージシステムの場合は第3ステージ)で、鉱石が、新しい水または処理水で洗浄される。洗浄後、浸出された鉱石は、不透水性化され、浸出残留物の最終的な堆積のために準備された領域に送られる。連続プロセスであるため、最終ステージ(または例えば第3ステージ)で鉱石の浸出が停止されると直ちに、第2ステージの鉱石が第3ステージに送られて、第1ステージ1の鉱石が第2ステージに送られて、新しいセクション(またはヒープ)が第1ステージ1に入ることを理解することが重要である。
【0061】
本発明の目的であるヒープリーチングプロセスは、天然の微粉を大量に含む鉱石に適用可能であると共に、粗粒成分(例えば、粒径が0.5mmを超えるもの)の処理の選択肢ともなる。後者の場合、微粒子成分に、高圧下のオートクレーブにより従来の処理、または大気中での浸出法が実施されてもよく、またはこの2つの浸出プロセスが組み合わされて実施されてもよい。
【0062】
また、本発明は、前述のように、ヒープリーチングプロセス(IV)によってラテライト鉱から得られ、ニッケル、コバルトおよびその他の金属を含む最終生産物、あるいは本発明に係るプロセスによって得られた対象金属を含む溶液(PLS)も考慮している。
【0063】
様々な変形例が、貴液(PLS)(例えば、第1ステージからの溶出液)の処理、混合沈澱物の生産、または金属ニッケルの生産までのプロセスの垂直統合について検討される。
【0064】
貴液に、アルカリ試薬を追加して、段階的な沈澱によって、存在する鉄およびアルミニウムが抽出される。次に、鉄およびアルミニウムを含まないか、あるいは鉄およびアルミニウムを多くとも許容量だけ含む溶液が、ニッケルおよびコバルトの抽出(6)のために送られ、ニッケルおよびコバルトが、析出、溶媒抽出、または場合によってはイオン交換などの各種技術によって抽出または回収されうる。溶媒抽出またはイオン交換樹脂では金属ニッケルが得られるのに対し、析出では、ニッケル、コバルト、亜鉛および他のベースメタルの混合水酸化物または硫化物が生成される。
【0065】
本願は、なかでも、ヒープの高さ、鉱石の粒径および硫酸濃度など、特定の作業条件について、これらに限定することなく触れており、プロセスの最終的な結果に悪影響を及ぼさずに、これらの条件が、ヒープリーチングステージの各々で変更されてもよいことが指摘される。
【0066】
好ましい作業プロセスについて記載および例示するが、本発明の範囲から逸脱することなく、このプロセスの変更が考えられ、かつ実施可能であることが指摘される。
【0067】
実施例1
【0068】
HPAL/大気浸出経
路による、ラテライト鉱の選鉱で得られたヒープリーチングの廃物成分(>0.5mm)への利用可能性を評価するために、3つのサンプルが作製され(その化学分析を図4に示す)、1m高のカラムでの試験が実施された。
【0069】
図5は、これらのサンプル中のニッケルの分布を示す。ニッケルは、主にフィロシリケート(セルペンチンおよびクロライト)にみつかっている。
【0070】
サンプルの粒径は、100%、1.27mm以下であると決定された。粒径分布が図6に示される。この試験の他の実施条件は、パーコレーション速度が10L/h/m、浸出溶液中の硫酸濃度が20g/L、塊鉱化での酸の使用量が20kg/鉱石1トン、開放回路の試験である。
【0071】
これらの予備試験の結果、ヒープリーチング操作単位によるニッケル抽出への潜在的有効性が示された。しかし、図7のニッケル抽出曲線は、この系が、例えば、濃度が高い浸出溶液など、より多くの酸が必要であったことを示している。酸濃度が低いことが反応速度が低い要因であった可能性がある。100日の運用で、サンプル1、2、3のニッケル抽出量は、それぞれ34%、58%、および69%に達した。
【0072】
実施例2
【0073】
ニッケル抽出に与える高さの影響を予備評価するために、1m高のカラムのほか4m高のカラムで試験が実施された。この試験は、4種類の岩質(lithologies)から得られたサンプルのほか、個々のリソタイプの複合試料に実施された。全てのサンプルが、100%、12.5mm未満の粒径に粉砕された。パーコレーション速度は変えず、10L/h/mであった。浸出溶液中の硫酸濃度は、1m高のカラムでは20〜200g/L、4m高のカラムでは50g/Lであった。
【0074】
異なる酸性度条件下での種類の異なる鉱石のニッケル抽出曲線から、プロセスに対するこの変数の影響が確認された。酸性度が高いと、高い反応速度が得られる。
【0075】
鉱物によってニッケル抽出が変化した。プロセスに対する耐性が最も高く、このためニッケル抽出量が最も少ない鉱物は、水酸化鉄中に多量のニッケルが含まれているものであった。この耐性は、Niの存在形状から理解され、水酸化鉄の結晶構造中、水酸化物の高い結合エネルギーに打ち勝つために、系内で多くのエネルギーが必要となる。浸出溶液がNi原子に接近しにくい。
【0076】
本願明細書に取り込まれる図8(サプロライト鉱のニッケル抽出)および図9(含鉄鉱または褐鉄鉱のニッケル抽出)は、評価した2種類の鉱石について、1m高のカラムでの試験の抽出曲線を示す。
【0077】
ミニカラムにおいて実施された試験により、予想可能最大ニッケル抽出量を評価することができる。全ての種類が100サイクル日で安定に達したため、この時間を総サイクルとみなし、酸濃度は20日毎に、20〜200g/Lに、次に200〜20g/Lに変えた。ここでも、プロセスに対する酸濃度の影響が再確認された。酸性度値を上げた場合の試験では、酸性度が上がるに伴い、カーブの屈曲が変化することが認められた。酸性度値を下げた場合の試験では、この影響が重要でないことが認められた。
【0078】
これらの試験では、本願明細書に取り込まれる図10(浸出ステージ)に示すように、評価対象の浸出プロセスにおいて、中和、一次浸出、および二次浸出の3つの主要ステージが識別された。第1のステージにおいて、主反応は容易に溶解する鉱物(特にマグネシウムを含む種)に関わっており、したがって、このステージは中和であると識別された。鉱物中でのニッケルの分布状態に応じて、反応速度が3種類存在し、フィロケイ酸塩のプレート間に吸着された(プレート間)Niは、この同じ鉱物の構造中(プレート内)のNiよりも容易に抽出されるが、プレート内Niは、水酸化鉄に含有されたNiよりも抽出されやすい。
【0079】
異なる浸出区域によるこの挙動は、向流の原理に従って回路を評価することの重要性を示した。
【0080】
本願明細書に取り込まれる図11は、4m高のカラムでの試験について、4つの類型について得られたニッケル抽出曲線を図10と同様に示す。
【0081】
実施例3
【0082】
3種類の浸出回路が評価され、その抽出曲線が図10と同様に図12に示される。これらは、図に示されるように開放回路、3ステージを有する向流回路(ILSを有する回路)、およびPLSの再循環と酸濃度調整を有する回路である。
【0083】
ILS回路では、総サイクルが150日であり、それぞれ50日の3ステージであるとみなされた。向流回路(ILS)はそれ自体、図13に示すように、浸出サイクルを実質的に短縮させ、溶液の総体積と酸の消費量を減少させるため、評価対象の鉱石で最も優れたものである。
【0084】
実施例4
【0085】
ニッケル抽出への粒径の影響を評価するために、4m高のカラムにおいて、同じサンプルに対して試験が行われた。浸出溶液の濃度、パーコレーション速度、塊鉱化条件などの他のプロセス条件は、変更されなかった。鉱石中に天然に存在する微粉のほかに、非常に多孔質のサンプルでは、図14(ニッケル抽出への粒径の影響の評価)に示すように、最大粒径が12.5mmまたは50.0mmのニッケルの抽出には、大きな影響がないことが観察された。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本プロセス全体のフローチャートを模式的に示すブロック図である。
【図2】当該向流ヒープリーチングステージの概略図である。
【図3】浸出剤に接触しやすくする多孔質の鉱石の一種を示す顕微鏡写真である。
【図4】3種類の供給サンプルの化学分析の結果を示す図である。
【図5】サンプル1−3のニッケルの分布を示す図である。
【図6】サンプル1−3の粒径分布を示すグラフである。
【図7】サンプル1−3のニッケル抽出曲線を示すグラフである。
【図8】1m高のカラムにおける試験(サプロライト鉱のニッケル回収)の抽出曲線を示すグラフである。
【図9】1m高のカラムにおける試験(含鉄鉱または褐鉄鉱のニッケル抽出)の抽出曲線を示すグラフである。
【図10】浸出プロセスの3つの主要ステージを示すグラフである。
【図11】4m高のカラムでの試験について、4つの類型について得られたニッケル抽出曲線を示すグラフである。
【図12】3種類の浸出回路の抽出曲線を示すグラフである。
【図13】浸出サイクルと、溶液および酸消費の総体積を示す表である。
【図14】ニッケル抽出への粒径の影響に関する評価を示すグラフである。
【図15】浸出試薬の分類を示す表である。
【図16】複数ステージの向流系の一連の平衡した対向する端に入る二相の概略図である。
【図17】操作単位と、鉱石および濃縮物の処理に現在利用可能な主な浸出法との関連を示す図である。
【図18】ラテライト鉱の利用の増加に寄与している、硫化物ニッケル資源の抽出コストが高いこと、およびラテライト鉱は硫化鉱よりもニッケル品位が高く高効率であることの2つの要素を示す表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための方法であって、粉砕(I)、塊鉱化(II)、スタッキング(III)、およびヒープリーチング(IV)の各ステージを有し、前記最終ステージは、2つ以上のステージを有する向流式連続ヒープリーチング系であり、二相を呈し、うち一相は鉱石(溶質)で構成され、もう一方の相は浸出溶液または溶媒で構成され、前記二相は、前記一連のステージの対向する端に供給されて、逆方向に流れ、前記最終ステージにおいて浸出が停止されると、そこの前記溶質が除去されて、前記溶媒溶液によって浸出しようとしている新しい鉱石(溶質)によって形成された第一位置で、新しいステージが導入され、前記溶媒溶液は、前記最終ステージから導入され、前記第1のステージに達するまでその前の全てのステージをパーコレーションするかまたは流れ、対象金属を含んでいる(PLS)場合に分離されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記粉砕(I)は、前記プロセスに適した粒径を得るために必要な数のステージで実施されてもよいことを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項3】
二次粉砕において最大粒径が約25.0mm〜約50.0mmとなり、三次粉砕において最大粒径が約12.5mm〜約6.30mmとなることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塊鉱化ステージ(II)に送られる前に、任意選択で、前記粉砕物に水が添加されてもよいことを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記塊鉱化ステージ(II)中に水が添加され、任意選択で、酸またはバインダ剤等の他の添加剤が添加されることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項6】
塊鉱用の水分を得るために十分な量で、濃硫酸または硫酸溶液のいずれかと、水とが添加されることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記バインダ剤は、無機物質でも有機物質でも、合成でも天然でも、ベントナイトなど鉱物由来であってもよいことを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記パーコレーションプロセスに悪影響を与える遊離の微粉が、前記塊鉱化物中に存在しないことを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1または5に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒープは、好ましくはダイナミック(オン/オフ)型であることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記スタックされた鉱石(III)は、約2m〜約7mの高さのヒープを形成していることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1または9に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒープリーチング系(IV)は3つのステージから構成されることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項12】
新しい浸出溶液は硫酸溶液を含むことを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記新しい浸出溶液の濃度は50g/L〜200g/Lであることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項12に記載の方法。
【請求項14】
新しい浸出溶液は、前記最終ステージの上面または最上部に導入されることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項15】
各ステージからのパーコレーションされた溶液(ILS)は、流れの向きに従って、個別に収集され、後続のステージにおいて使用されることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項16】
貴浸出溶液(PLS)の残留酸性度は約10g/L〜約30g/Lであることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記最終ステージの前記浸出プロセスが終了すると、前記浸出された鉱石が、新しい水または処理水によって洗浄され、その後、残留物とされることを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項18】
金属を多量に含む前記溶液(PLS)は、ニッケル、コバルト、亜鉛、アルミニウム、および鉄等の金属を分離するために後続のプロセスで処理されてもよいことを特徴とする、ヒープリーチングによりラテライト鉱からニッケル、コバルトおよびその他の金属を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載された、ラテライト鉱から得られるニッケル、コバルトおよびその他の金属を含む生成物であって、ヒープリーチングプロセス(IV)によって得られるか、または前記方法によって得られた対象金属を大量に含む溶液(PLS)から得られる生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−162134(P2007−162134A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−319922(P2006−319922)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(506395954)
【Fターム(参考)】