説明

ビスチアゾール誘導体、その製造方法および医薬品としてのその使用

本発明は式I:


の化合物およびその塩、組成物およびホスファチジルイノシトール3−キナーゼの阻止により寛解される疾患の処置におけるその化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新しいホスファチジルイノシトール(PI)3−キナーゼ阻害剤化合物としてのビスチアゾール誘導体、その薬学的に許容される塩、そのプロドラッグおよびその製造方法に関する。本発明はまた単独、または少なくとも1つのさらなる治療薬と組み合わせのいずれかでの、および所望により薬学的に許容される担体との組み合わせでのこれらの化合物の組成物にも関する。本発明はなおさらに多くの疾患、とりわけ成長因子、受容体チロシンキナーゼ、タンパク質セリン/スレオニンキナーゼ、Gタンパク質共役受容体およびリン脂質キナーゼおよびホスファターゼの1つまたはそれより多い異常活性により媒介されるものの予防または処置における単独または少なくとも1つのさらなる治療薬と組み合わせのいずれかでのこれらの化合物の使用の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)は、イノシトール脂質のD−3'位置へのリン酸の転移を触媒してホスホイノシトール−3−リン酸(PIP)、ホスホイノシトール−3,4−二リン酸(PIP)およびホスホイノシトール−3,4,5−三リン酸(PIP)を生成し、今度はプレクストリン相同、FYVE、Phoxおよびその他のリン脂質結合ドメインを含有するタンパク質をしばしば細胞膜で種々のシグナリング複合体にドッキングすることによりシグナリングカスケードにおける第2のメッセンジャーとして作用する脂質キナーゼのファミリーを含む(Vanhaesebroeck et al., Annu. Rev. Biochem 70:535(2001);Katso et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17:615(2001))。2つのクラス1 PI3K、クラス1A PI3Kはp85α、p55α、p50α、p85βまたはp55γでよい調節サブユニットと構成的に関連する触媒性p110サブユニット(α、β、δアイソフォーム)から成るヘテロ二量体である。クラス1Bサブクラスは2つの調節サブユニットp101またはp84のうちの1つと関連する触媒性p110γサブユニットから成るヘテロ二量体である1つのファミリーメンバーを有する(Fruman et al., Annu Rev. Biochem. 67:481(1998);Suire et al., Curr. Biol. 15:566(2005))。p85/55/50サブユニットのモジュラードメインは、具体的な配列局面で活性化受容体および細胞質チロシンキナーゼ上でホスホチロシン残基に結合してクラス1A PI3Kの活性化および局在化に至るSrc相同(SH2)ドメインを含む。クラス1B PI3Kは多様なレパートリーのペプチドおよび非ペプチドリガンドに結合するGタンパク質共役受容体により直接活性化される(Stephens et al., Cell 89:105(1997));Katso et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 17:615−675(2001))。結果的に得られたクラスI PI3Kのリン脂質生成物は上流の受容体を下流の、増殖、生存、化学走性、細胞トラフィッキング、運動性、代謝、炎症およびアレルギー応答、転写ならびに翻訳を含む細胞活性と関連付ける(Cantley et al., Cell 64:281(1991);Escobedo and Williams, Nature 335:85(1988);Fantl et al., Cell 69:413(1992))。
【0003】
多くの事例で、PIP2およびPIP3はウイルス性癌遺伝子v−Aktのヒト相同体の生成物であるAktを細胞膜に補充し、ここでそれは成長および生存に重要な多くの細胞内シグナリング経路に関する節点として作用する(Fantl et al., Cell 69:413−423(1992);Bader et al., Nature Rev. Cancer 5:921(2005);Vivanco and Sawyer, Nature Rev. Cancer 2:489(2002))。しばしばAkt活性化を介する生存を増大させるPI3Kの調節異常は、ヒト癌において最も頻繁に認められる事象の1つであり、そして多重レベルで生じることが示されている。イノシトール環の3'位でホスホイノシチドを脱リン酸化し、その際PI3K活性に拮抗する腫瘍サプレッサー遺伝子PTENは種々の腫瘍において機能的に削除される。その他の腫瘍では、p110αアイソフォームであるPIK3CAおよびAktに関する遺伝子を増幅し、そしてその遺伝子生成物の増大したタンパク質発現がいくつかのヒト癌において実証されている。さらにp85−p110複合体を上方調節するのに役立つp85αの変異および転位置がヒト癌において記載されている。最後に下流シグナリング経路を活性化するPIK3CAにおける体細胞ミスセンス変異が、非常に多様なヒト癌において有意な頻度で記載されている(Kang at el., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102:802(2005);Samuels et al., Science 304:554(2004);Samuels et al., Cancer Cell 7:561−573(2005))。これらの観察により、ホスホイノシトール−3キナーゼならびにこのシグナリング経路の上流および下流の構成要素の調節解除は、ヒト癌および増殖性疾患に関連する最も一般的な調節解除の1つであることが示される(Parsons et al., Nature 436:792(2005);Hennessey at el., Nature Rev. Drug Disc. 4:988−1004(2005))。
【0004】
前記に鑑みて、PI3Kの阻害剤は増殖性疾患およびその他の障害においてとりわけ価値がある。
第WO2006/125805号はPI3キナーゼの阻害剤としての特定のチアゾール誘導体およびその薬剤としての医薬用の使用を開示する。
第WO2005/068444号はまたPI3キナーゼの阻害剤としての特定のチアゾール誘導体およびその薬剤としての使用を開示する。
【発明の概要】
【0005】
今や後記で与えられる式Iのビスチアゾール誘導体は有利な薬理学的特性を有し、そして例えばPI3キナーゼ(ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ)を阻止することが見出されている。とりわけこれらの化合物は生化学および細胞アッセイにおいてベータ、デルタおよびガンマサブタイプに対してPI3Kアルファに関する高度な選択性を示す。したがって式Iの化合物は例えばPI3キナーゼ(とりわけPI3Kアルファ)依存性疾患、特に腫瘍性疾、白血病、真性多血症、本態性血小板血症および骨髄化生を伴う骨髄線維症のような増殖性疾患の処置に用いられるのが適当である。
【0006】
第1の態様では、本発明は式I:
【化1】

(式中、
nは0または1を表し;
mは0、1、2、3または4を表し;
は水素または水素とは異なる置換基を表し;
はハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フェニル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルコキシを表し、ここで各アルキルもしくはシクロアルキルはハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フェニルにより一もしくは多置換されていてよく、そしてここで各フェニルはハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、低級アルキルにより一もしくは多置換されていてよいか;または
2つのR置換基は一緒に各々所望によりヒドロキシもしくはハロにより置換されたアルカンジイルもしくはアルケンジイルを形成して環状部分を形成するか;または
2つのR近接置換基は一緒に結合を形成して二重結合を形成し;
は水素、CH、CHOH、CHFを表す)
の化合物またはその塩を提供する。
【0007】
以下の用語集を含む以下の記載および末尾の実施例を参照することにより、本発明をさらに十分に理解できる。簡潔さのために、本明細書に引用された出版物の開示は出典明示により本明細書の一部とする。本明細書で使用される際には「含む」、「含有する」および「含み」なる用語はその制限されない非限定的な意味で本明細書にて使用される。
【0008】
本明細書にて与えられる任意の式は構造式により表される構造を有する化合物および特定の変化体または形態を表すと意図される。とりわけ本明細書にて与えられる任意の式の化合物は不斉中心を有し、そしてしたがって異なる鏡像異性形態で存在し得る。式Iの化合物に少なくとも1つの不斉炭素原子が存在する場合、かかる化合物は光学的に活性な形態で、または光学異性体の混合物の形態で、例えばラセミ混合物の形態で存在する。全ての光学異性体およびラセミ混合物を含むその混合物は本発明の一部である。故に本明細書にて与えられる任意の所定の式はラセミ体、1つまたはそれより多い鏡像異性形態、1つまたはそれより多いジアステレオマー形態、1つまたはそれより多いアトロプ異性形態およびその混合物を表すと意図される。さらに特定の構造は幾何異性体(すなわちシスおよびトランス異性体)として、互変異性体として、またはアトロプ異性体として存在し得る。
【0009】
本明細書にて与えられる任意の式はかかる化合物の水和物、溶媒和物および多形、ならびにその混合物を表すと意図される。
【0010】
本明細書にて与えられる任意の式はまたその化合物の未標識形態および同位体標識された形態を表すと意図される。同位体標識された化合物は、1個またはそれより多い原子が選択された原子質量または質量数を有する原子により置き換えられていることを除いて、本明細書にて与えられる式により描かれる構造を有する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の実例には、各々H、H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、125Iのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体が含まれる。本発明の種々の同位体標識された化合物は例えばH、13Cおよび14Cのような放射性同位体が組み込まれたものである。かかる同位体標識された化合物は代謝研究(好ましくは14Cを用いる)、反応動態研究(例えばHまたはHを用いる)、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む検出もしくは造影技術(例えば陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT))において、または患者の放射線処置において有用である。とりわけ18Fまたは標識された化合物はPETまたはSPECT研究にとりわけ好ましいかもしれない。さらに重水素(すなわちH)のようなより重い同位体での置換により、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増大または必要投薬量の低減の結果である特定の治療上の有利性を得ることができる。本発明の同位体標識された化合物およびそのプロドラッグを概して後記されるスキームにおいて、または実施例および調製において開示される手順を実行することにより、同位体標識されていない試薬を、容易に利用可能な同位体標識された試薬で置換することにより調製することができる。
【0011】
さらにより重い同位体、とりわけ重水素(すなわちHまたはD)での置換により、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増大もしくは必要投薬量の低減、または治療指数の改善の結果である特定の治療上の有利性を得ることができる。この局面で重水素は式(I)の化合物の置換基と見なされることは理解される。かかるより重い同位体、特に重水素の濃度を同位体濃縮係数により定義できる。「同位体濃縮係数」なる用語は本明細書で使用される際には、同位体存在量と明示された同位体の天然の存在量との間の比率を意味する。本発明の化合物における置換基が重水素と表示される場合、かかる化合物は各々指定された重水素原子に関して少なくとも3500(各々の指定された重水素原子で52.5%の重水素組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素組み込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組み込み)、少なくとも6600(99%の重水素組み込み)または少なくとも6633.3(99.5%の重水素組み込み)の同位体濃縮係数を有する。本発明の化合物では、特にこの同位体として具体的に指定されない任意の原子はその原子の任意の安定な同位体を表すことになっている。特記しない場合、位置が具体的に「H」または「水素」として指定される場合、その位置はその天然の存在量の同位体組成で水素を有すると理解される。したがって本発明の化合物では、重水素(D)として具体的に指定される任意の原子は、例えば前記で与えられた範囲で重水素を表すことになっている。
【0012】
本明細書にて与えられる任意の式に言及する場合、明示された可変部分に関する可能な種のリストからの特定の部分の選択は、他の場所で現れる可変部分に関してその部分を定義するとは意図されない。換言すると、可変部分が1回を超えて現れる場合、明示されたリストからの種の選択は、式の他の場所の同じ可変部分に関する種の選択とは独立している(ここで前記または後記で好ましいとして特徴付けられる実施態様において1つまたはそれより多い、全てまでのさらに一般的な表現をさらに具体的な定義と置き換えることができ、故に各々さらに好ましい実施態様に至る)。
【0013】
複数の形態(例えば(複数の)化合物、(複数の)塩)を用いる場合、これには単数(例えば単一の化合物、単一の塩)が含まれる。「化合物(a compound)」は(例えば医薬製剤において)1を超える式Iの化合物(またはその塩)が存在することを排除しない。
式Iの化合物の塩は好ましくは薬学的に許容される塩であり;かかる塩はその分野で公知である。
特記しない場合、以下の一般的な定義が本明細書にて適用されることとする:
【0014】
ハロゲン(またはハロ)はフッ素、臭素、塩素またはヨウ素、とりわけフッ素、塩素を表示する。ハロゲンにより置換されたアルキル(ハロゲンアルキル)のようなハロゲン置換された基および部分は一、多または過ハロゲン化でよい。
ヘテロ原子は炭素および水素以外の原子、好ましくは窒素(N)、酸素(O)または硫黄(S)、とりわけ窒素である
【0015】
炭素含有基、部分または分子は1から7個、好ましくは1から6個、さらに好ましくは1から4個、最も好ましくは1または2個の炭素原子を含有する。1を超える炭素原子を伴う基または部分を含有する任意の非環状炭素は直鎖または分岐鎖である。
接頭辞「低級」または「C−C」は最大7個以下、特に最大4個以下の炭素原子を有するラジカルを表示し、問題のラジカルは直線状または単一もしくは複数の分岐を伴う分岐状のいずれかである。
【0016】
「アルキル」とは直鎖または分岐鎖アルキル基を指し、好ましくは直鎖または分岐鎖C1−12アルキル、とりわけ好ましくは直鎖または分岐鎖C1−7アルキル;例えばメチル、エチル、n−またはイソ−プロピル、n−、イソ−、sec−またはtert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルを表し、とりわけメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルならびにn−ブチルおよびイソブチルが好ましい。アルキルは非置換または置換されていてよい。置換基の実例には、限定するものではないがヒドロキシ、アルコキシ、ハロゲンおよびアミノが含まれる。置換アルキルの実例はトリフルオロメチルである。シクロアルキルもまたアルキルに対する置換基でよい。かかる事例の実例は(アルキル)−シクロプロピルまたはアルカンジイル−シクロプロピル部分、例えば−CH−シクロプロピルである。C−C−アルキルは好ましくは1以上7以下、好ましくは1以上4以下のアルキルであり、そして直線状または分岐状であり;好ましくは低級アルキルはn−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルのようなブチル、n−プロピルもしくはイソプロピルのようなプロピル、エチルまたは好ましくはメチルである。
【0017】
「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」、「アルコキシカルボニル」、「アルコキシ−カルボニルアルキル」、「アルキルスルホニル」、「アルキルスルホキシル」、「アルキルアミノ」、「ハロゲンアルキル」のようなその他の基の各アルキル部は、前記で言及された「アルキル」の定義において記載されたものと同じ意味を有するものとする。
【0018】
「アルカンジイル」とは2個の異なる炭素原子により部分に結合した直鎖または分岐鎖アルカンジイル基を指し、それは好ましくは直鎖または分岐鎖C1−12アルカンジイルを表し、とりわけ好ましくは直鎖または分岐鎖C1−6アルカンジイル;例えばメタンジイル(−CH−)、1,2−エタンジイル(−CH−CH−)、1,1−エタンジイル((−CH(CH)−)、1,1−、1,2−、1,3−プロパンジイルおよび1,1−、1,2−、1,3−、1,4−ブタンジイルを表し、とりわけメタンジイル、1,1−エタンジイル、1,2−エタンジイル、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイルが好ましい。
【0019】
「アルケンジイル」とは2個の異なる炭素原子により分子に結合した直鎖または分岐鎖アルケンジイル基を指し、それは好ましくは直鎖または分岐鎖C2−6アルカンジイル;例えば−CH=CH−、−CH=C(CH)−、−CH=CH−CH−、−C(CH)=CH−CH−、−CH=C(CH)−CH−、−CH=CH−C(CH)H−、−CH=CH−CH=CH−、−C(CH)=CH−CH=CH−、−CH=C(CH)−CH=CH−を表し、とりわけ−CH=CH−CH−、−CH=CH−CH=CH−が好ましい。アルケンジイルは置換または非置換されていてよい。
【0020】
「シクロアルキル」とは、炭素環あたり3から12個の環原子を有する飽和または部分飽和、単環式、融合多環式またはスピロ多環式炭素環を指す。シクロアルキル基の例証的な実例には以下の部分が含まれる:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル。シクロアルキルは非置換または置換されていてよく;置換基の実例はアルキルに関する定義にて提供される。
【0021】
「アリール」とは6個またはそれより多い炭素原子を伴う芳香族ホモ環状環系を指し;アリールはフェニルまたはナフチルのような好ましくは6から14個の環炭素原子、さらに好ましくは6から10個の環炭素原子を伴う芳香族部分、好ましくはフェニルである。アリールは非置換であるかまたは、後記されるような非置換もしくは置換ヘテロシクリル、特にピロリジノのようなピロリジニル、オキソピロリジノのようなオキソピロリジニル、C−C−アルキル−ピロリジニル、2,5−ジ−(C−Cアルキル)−ピロリジノのような2,5−ジ−(C−Cアルキル)ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、チオフェニル、C−C−アルキルピラゾリジニル、ピリジニル、C−C−アルキルピペリジニル、ピペリジノ、アミノもしくはN−モノ−もしくはN,N−ジ−[低級アルキル、フェニル、C−C−アルカノイルおよび/もしくはフェニル−低級アルキル)−アミノにより置換されたピペリジノ、環炭素原子を介して結合した非置換もしくはN−低級アルキル置換されたピペリジニル、ピペラジノ、低級アルキルピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、S−オキソ−チオモルホリノもしくはS,S−ジオキソチオモルホリノ;C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、n−C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、n−C−C−アルカンスルホニル−アミノ−C−C−アルキル、カルバモイル−C−C−アルキル、[N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−カルバモイル]−C−C−アルキル、C−C−アルカンスルフィニル−C−C−アルキル、C−C−アルカンスルホニル−C−C−アルキル、フェニル、ナフチル、モノ−からトリ−[C−C−アルキル、ハロおよび/もしくはシアノ]−フェニルもしくはモノ−からトリ−[C−C−アルキル、ハロおよび/もしくはシアノ]−ナフチル;C−C−シクロアルキル、モノ−からトリ−[C−C−アルキルおよび/もしくはヒドロキシ]−C−C−シクロアルキル;ハロ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシ−低級アルコキシ、(低級アルコキシ)−低級アルコキシ−低級アルコキシ、ハロ−C−C−アルコキシ、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−低級アルコキシ;アミノ−C−C−アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、ホルミル(CHO)、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、C−C−アルカンスルホニルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、例えば;ベンジルオキシカルボニルのようなフェニル−もしくはナフチル−低級アルコキシカルボニル;アセチル、ベンゾイル、ナフトイルのようなC−C−アルカノイル、カルバモイル、置換基が低級アルキル,(低級アルコキシ)−低級アルキルおよびヒドロキシ−低級アルキルから選択されるN−一もしくはN,N−二置換カルバモイルのようなN−一もしくはN,N−二置換カルバモイル;アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、低級アルキルチオ、フェニル−もしくはナフチルチオ、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキルチオ、低級アルキル−フェニルチオ、低級アルキル−ナフチルチオ、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、スルホ(−SOH)、低級アルカンスルホニル、フェニル−もしくはナフチル−スルホニル、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキルスルホニル、アルキルフェニルスルホニル、トリフルオロメタンスルホニルのようなハロゲン−低級アルキルスルホニル;スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、アジド、アジド−C−C−アルキル、特にアジドメチル、C−C−アルカンスルホニル、スルファモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−スルファモイル、モルホリノスルホニル、チオモルホリノスルホニル、シアノならびにニトロからなる群から独立して選択される1個もしくはそれより多い、好ましくは3個まで、さらに好ましくは2個までの置換基により置換されていてよく;ここで置換基または置換アルキル(または本明細書で言及された置換アリール、ヘテロシクリル等もまた)の置換基の一部として前記で言及された各フェニルまたはナフチル(またフェノキシまたはナフトキシにおいても)はそれ自体非置換であるか、またはハロ、トリフルオロメチルのようなハロ低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アジド、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキルおよび/もしくはC−C−アルカノイル)−アミノ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、シアノおよび/もしくはスルファモイルから独立して選択される1個もしくはそれより多い、例えば3個まで、好ましくは1もしくは2個の置換基により置換されている。
【0022】
「ヘテロシクリル」とは不飽和(=(複数の)環に最大可能数の共役二重結合を担持する)、飽和または部分飽和である複素環式ラジカルであり、そして好ましくは単環式または、本発明のより広い態様では二環式、三環式もしくはスピロ環式環であり;そして3から24個、さらに好ましくは4から16個、最も好ましくは5から10個、および最も好ましくは5または6個の環原子を有し;ここで1個またはそれより多い、好ましくは1から4個、特に1または2個の炭素環原子がヘテロ原子により置き換えられ、結合環は好ましくは4から12個、特に5から7個の環原子を有する。複素環式ラジカル(ヘテロシクリル)は非置換であるかまたは、置換アルキルに関して前記で定義された置換基からなる群から、および/もしくは1個もしくはそれより多い以下の置換基:オキソ(=O)、チオカルボニル(=S)、イミノ(=NH)、イミノ低級アルキル;から独立して選択される1個もしくはそれより多い、特に1から3個の置換基により置換されていてよい。さらにヘテロシクリルは特にオキシラニル、アジリニル、アジリジニル、1,2−オキサチオラニル、チエニル(=チオフェニル)、フラニル、テトラヒドロフリル、ピラニル、チオピラニル、チアントレニル、イソベンゾフラニル、ベンゾフラニル、クロメニル、2H−ピロリル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、(S−オキソもしくはS,S−ジオキソ)−チオモルホリニル、インドリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、特に1,4−ジアゼパニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、クマリル、インダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、オクタヒドロイソキノリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリル、キナゾリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、ベータ−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フラザニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、クロメニル、イソクロマニル、クロマニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルおよび2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]−ジオキシン−6−イルからなる群から選択されるヘテロシクリルラジカルであり、これらのラジカルの各々は非置換であるかまたは、置換アリールに関して前記で言及されたものから、および/もしくは1個もしくはそれより多い以下の置換基:オキソ(=O)、チオカルボニル(=S)、イミノ(=NH)、イミノ低級アルキルから選択される1個もしくはそれより多い、好ましくは3個までの置換基により置換されている。
【0023】
「アリールアルキル」とはメチルまたはエチル基のようなアルキル基、好ましくはフェネチルまたはベンジル、とりわけベンジルを介して分子に結合したアリール基を指す。類似して、「シクロアルキルアルキル」および「ヘテロシクリル」は、アルキル基を介して分子に結合したシクロアルキル基、またはアルキル基を介して分子に結合したヘテロシクリル基を表す。各々の例でアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキルおよびアルキルは前記で定義されたように置換されていてよい。
【0024】
「処置」には予防的(防御的)および治療的処置ならびに疾患または障害の進行の遅延が含まれる。
「PI3キナーゼ媒介疾患」(特にPI3Kアルファ媒介疾患)は特にPI3キナーゼの阻止、特にPI3Kアルファの阻止に対して有益な方式で応答する(例えば1つまたはそれより多い病徴の寛解、疾患の発症の遅延、疾患から一時的または完全な治癒まで)ような障害である(ここで処置されるべき疾患の中でも特に腫瘍性疾患、白血病、真性多血症、本態性血小板血症および骨髄化生を伴う骨髄線維症のような増殖性疾患に言及できる)。
【0025】
「塩」(これは「またはその(複数の)塩」または「またはその(1つの)塩」が意味するところのものである)は単独で、または式Iの遊離化合物との混合物で存在でき、そして好ましくは薬学的に許容される塩である。かかる塩は例えば、好ましくは有機または無機酸との酸付加塩として塩基性窒素原子を伴う式Iの化合物から形成され、特に薬学的に許容される塩である。適当な無機酸は例えば塩酸のようなハロゲン酸、硫酸またはリン酸である。適当な有機酸は例えばフマル酸またはメタンスルホン酸のようなカルボン酸またはスルホン酸である。単離または精製目的のために、薬学的に許容されない塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩を使用することも可能である。治療用途のためには薬学的に許容される塩または遊離化合物のみを用い(この場合医薬製剤の形態で適用可能である)、そしてそれ故にこれらが好ましい。遊離形態の新規化合物と、中間体として使用することができるこれらの塩を含むその塩の形態のものとの間の密接な関係性に鑑みて、例えば新規化合物の精製または同定において本明細書前記および後記の遊離化合物に対する任意の言及は、適切および好都合な場合、対応する塩にも言及すると理解されるべきである。
【0026】
「組み合わせ」とは1つの投薬単位形態での固定の組み合わせまたは組み合わされた投与のためのキットの部分を指し、ここで式Iの化合物および組み合わせパートナー(例えば後記で説明される、また「治療薬」または「共薬剤(coagent)」としても言及されるようなその他の薬物)を同じ時間に独立して、または時間間隔内に別個に投与でき、特にここでこれらの時間間隔により、組み合わせパートナーが協同的、例えば相乗効果を示すことが可能になる。「共投与」もしくは「組み合わせ投与」または本明細書にて利用されるようなものは、選択された組み合わせパートナーの、それを必要とする単一の対象(例えば患者)への投与を包含するものとし、そして薬剤が必ずしも同じ投与経路でまたは同じ時間に投与されるとは限らない処置計画を含むと意図される。本明細書で使用される際には「医薬用組み合わせ」なる用語は、1を超える活性成分の混合または組み合わせの結果である生成物を意味し、そして活性成分の固定された、および固定されない組み合わせの双方を含む。「固定された組み合わせ」なる用語は、活性成分、例えば式Iの化合物および組み合わせパートナーが、双方共に単一の実体または投薬量の形態で同時に患者に投与されることを意味する。「固定されない組み合わせ」なる用語は、活性成分、例えば式Iの化合物および組み合わせパートナーが、双方共に別個の実体として具体的な時間の制限なく同時、併用的、または逐次的のいずれかで患者に投与されることを意味し、ここでかかる投与により患者の体内で2つの化合物の治療的に有効なレベルが提供される。後者はまたカクテル治療、例えば3つまたはそれより多い活性成分の投与にも適用される。
【0027】
独立して、集合的にまたは任意の組み合わせもしくは下位の組み合わせで好ましい、好ましい実施態様では、本発明は遊離塩基形態の、または酸付加塩形態の式Iの化合物に関し、ここで置換基は本明細書にて定義されるとおりである。
さらなる実施態様では、本発明は窒素含有複素環式環の2位で、以下で定義される立体化学を有する式Iの化合物に関し、該化合物は式I’:
【化2】

により表される。
【0028】
別の実施態様では、本発明はnが1である式Iの化合物に関し、そしてそれは式IA:
【化3】

(ここで置換基は式Iの化合物に関して定義されるとおりであり、そしてmは0、1または2を表す)
により表される。
【0029】
さらなる実施態様では、本発明はnが0である式Iの化合物に関し、そしてそれは式IB:
【化4】

(ここで置換基は式Iの化合物に関して定義されるとおりであり、そしてmは0または1を表す)
により表される。
式IAおよびIBの好ましい実施態様は、各々ピロリジンおよびアゼチジン環の2位で、式I’のピロリジン環に関して示されたものと同じ立体化学を含む。
【0030】
以下の好ましい特色は本明細書の式のいずれかに、とりわけ式I、IA、IB、ICおよび/または(I’)に適用される。
は好ましくは低級アルキル、低級シクロアルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、低級シクロアルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルスルフィド、低級アルキルスルホン、低級アルキルスルホキシド、低級アルキルスルホンアミド、低級アルキルスルホキシアミド、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、ジアリールアミド、アリールアルキルアミノ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールスルフィド、アリールスルホン、アリールスルホキシド、アリールスルホンアミド、アリールスルホキシアミド、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアミノを表し、ここで各アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロシクリルは所望により1個またはそれより多い置換基により置換されていてよい。
【0031】
はとりわけ好ましくはC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、1−(C−C−アルキル)−C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキルC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノC−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルスルフィド、C−C−アルキルスルホン、C−C−アルキルスルホキシド、C−C−アルキルスルホンアミド、C−C−アルキルスルホキシアミド、3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル、ピリジル、ピリジルアミノ、チアゾリル、フェニル、フェニルオキシ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニル−C−C−アルキルアミノ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニルスルフィド、フェニルスルホキシド、フェニルスルホン、フェニルスルホンアミド、フェニルスルホキシアミドを表し、ここで各C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、ピリジル、チアゾリルまたはフェニルは所望により置換されていてよく;該置換基は1個またはそれより多い、好ましくは1から4個の以下の部分:ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、N−C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、N−C−C−アルカンスルホニル−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカンスルフィニル−C−C−アルキル、C−C−アルカンスルホニル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、フェニル)−スルホニル−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、スルホ、C−C−アルカンスルホニル、C−C−アルカンスルフィニル、スルファモイル、アミノ−スルホニル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−スルホニル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル)アミノ−スルホニル、プロリン−N−カルボニルアミノスルホニルから独立して選択される。
【0032】
は極めてとりわけ好ましくはC−C−アルキル(とりわけメチル、イソプロピル、1−エチルプロピル、tert−ブチル)、C−C−シクロアルキル(とりわけシクロプロピルまたはシクロブチル)、1−(C−C−アルキル)−C−C−シクロアルキル(とりわけ1−メチル−シクロプロピル)、1−(ハロ−C−C−アルキル)−C−C−シクロアルキル(とりわけ1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)、C−C−シクロアルキルC−C−アルキル(とりわけシクロプロピルメチル)、ハロ−C−C−アルキル(とりわけCF)、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ(とりわけジメチルアミノ)、ジ−C−C−アルキルアミノC−C−アルキル(とりわけジメチルアミノメチル)、C−C−シクロアルキルアミノ(とりわけシクロプロピルアミノ)、C−C−アルキルスルホン(とりわけHCSO−)、C−C−アルキルスルホンアミノ(とりわけHCSONH−)、3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル、ピリジル(とりわけ3−ピリジル)、ピリジルアミノ(とりわけ3−ピリジルアミノ)、チアゾリル(とりわけチアゾール−4−イル)、置換チアゾリル(とりわけメチルチアゾリル、特に2−メチルチアゾール−4−イル)、フェニル、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニルスルホンアミド、フェニルスルホキシアミドを表し、ここで各フェニルはハロ(とりわけFまたはCl、例えばフルオロフェニル、クロロフェニルアミノのようなハロフェニル、さらにとりわけ2−または3−ハロフェニル、例えば2−フルオロフェニル、3−クロロフェニルアミノ)、アミノスルホニル、スルホンアミノ、C−C−アルキル−スルホンアミノ(とりわけHCSONH−またはPhSONH−)、スルファモイル(NHSO−)、置換スルファモイル(例えば(2−カルバモイル−ピロリジン−1−カルボニル)−スルファモイル)からなる群から選択される1個またはそれより多い、好ましくは1個の置換基により置換されていてよい。
【0033】
は好ましくはハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキルオキシ、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、フェニルを表し、ここで各アルキル、シクロアルキルまたはフェニルはフルオロ、クロロ、シアノ、ヒドロキシ、フェニルにより一または二置換されていてよい。
は好ましくはさらなる置換基Rと一緒に基−CH−;−CH(CH)−、−C(CH)−;−CH−CH−、−CH=CH−を表し、それにより二環式部分を形成する。
【0034】
は好ましくはさらなる置換基Rと一緒に結合を表し、不飽和部分を形成する。
はとりわけ好ましくはヒドロキシ、メチル、N,N−ジメチルアミノ、フルオロ;さらに好ましくはヒドロキシ、メチル、N,N−ジメチルアミノを表す。
は好ましくはさらなる置換基Rと一緒に基−CH−を表す。
は好ましくはさらなる置換基Rと一緒に結合を表し、二重結合を形成する。
【0035】
は好ましくは水素またはメチルを表す。
はとりわけ好ましくはメチルを表す。
mは好ましくは0、1または2を表し、これに代えてmは0または1を表す。
mはさらにこれに代えて0を表す。
nは好ましくは1を表す。
【0036】
本発明の実施態様は式IC:
【化5】

(式中、
nは0または1を表し;
mは0、1、2、3または4を表し;
は水素または水素とは異なる置換基を表し;
はハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フェニル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルコキシを表し、ここで各アルキルもしくはシクロアルキルはハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フェニルにより一もしくは多置換されていてよく、ここで各フェニルはハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、低級アルキルにより一もしくは多置換されていてよいか;または
2個の置換基は一緒にアルカンジイルもしくはアルケンジイルを形成し、各々は所望によりヒドロキシもしくはハロにより置換されて二環式部分を形成するか;または
2個の置換基は一緒に結合を形成して不飽和部分を形成し;
は水素、CH、CHOH、CHFを表す)
の化合物またはその塩を含む。
【0037】
本発明のさらなる実施態様は式(I)の化合物に関するが、mが0(ゼロ)ではない式(I)の化合物を除く。
本発明はさらに式(I)の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグに関する。
本発明はさらに式(I)の化合物の薬学的に許容される代謝体に関する。
【0038】
本発明は特に実施例およびそこに記載される製造方法により得られる式Iの化合物に関する。
本発明はまた式Iの化合物の製造方法にも関する、原理的には2つの異なるアミンを対応する尿素誘導体に変換する全ての公知の過程が適当であり、そして各々の出発材料を使用することにより適用できる。
【0039】
故に本発明はとりわけ、各々所望により希釈剤の存在下、および所望により反応補助剤の存在下で、式IIの化合物:
【化6】

(式中、置換基は前記で定義されたとおりである)を活性化剤の存在下で式IIIAの化合物:
【化7】

(式中、置換基は前記で定義されたとおりであり、そしてRは加えてCHClを表してよい)(「方法A」)、または式IIIBの化合物:
【化8】

(式中、Rは前記で定義されたとおりであり;RGは反応基(例えばイミダゾリルカルボニル)を表し、そしてRは前記で定義されたとおりであり、そして加えてCHClを表してよい)(「方法B」)のいずれかと反応させることを含んでなり、そして得られた遊離形態のまたは塩の形態の式Iの化合物を回収し、そして所望により方法Aもしくは方法Bにしたがって入手可能な式Iの化合物を異なる式Iの化合物に変換し、そして/または式Iの化合物の入手可能な塩をその異なる塩に変換し、そして/または入手可能な遊離の式Iの化合物をその塩に変換し、そして/または式Iの化合物の入手可能な異性体を式Iの1つもしくはそれより多い異なる入手可能な異性体から分離する第1過程に関する。
【0040】
これに代えて本発明はまた式Iの化合物の生成の過程にも関する。原理的には、アミンを対応するスルホンアミド誘導体に変換する全ての公知の過程が適当であり、そして各々の出発材料を使用することにより適用できる。
本発明はさらに各々の事例で、所望により希釈剤の存在下、および所望により反応補助剤の存在下で、式IVの化合物:
【化9】

(式中、置換基は前記で定義されたとおりであり、そしてR4は所望により置換されたアルキルまたは所望により置換されたフェニルを表す)を式Vの化合物:
【化10】

と反応させることを含んでなり、そして得られた遊離形態のまたは塩の形態の式Iの化合物を回収し、そして所望により方法Aもしくは方法Bにしたがって入手可能な式Iの化合物を異なる式Iの化合物に変換し、そして/または式Iの化合物の入手可能な塩をその異なる塩に変換し、そして/または入手可能な遊離の式Iの化合物をその塩に変換し、そして/または式Iの化合物の入手可能な異性体を式Iの1つもしくはそれより多い異なる入手可能な異性体から分離する第2過程に関する。
【0041】
反応条件
当分野において公知の方法にしたがって、または後記の実施例に開示されるようにその過程を実施できる。例えば溶媒、例えばジメチルホルムアミド中、塩基例えば有機アミン、例えばトリエチルアミンの存在下で式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させることができる。
【0042】
本明細書前記または後記で温度が与えられる場合、「約」は与えられた数値からの小さな偏差として付されなければならず、例えば±10%の偏差が許容される。全ての反応を1つまたはそれより多い希釈剤および/または溶媒の存在下で行うことができる。出発材料を等モル量で使用でき;これに代えて化合物を過剰で使用して、例えば溶媒として機能する、または平衡をシフトする、または一般的に反応速度を加速することができる。
酸、塩基または触媒のような反応補助剤を分野で公知であるような、反応により必要とされる適当な量で、および一般的に公知の手順に合致して添加できる。
【0043】
保護基
1個またはそれより多いその他の官能基、例えばカルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、スルフヒドリル等は、反応に参加したり、または反応を乱したりすべきではないので、本明細書に記載されるような出発材料において、または任意のその他の前駆体において保護されるかまたは保護される必要がある場合、これらはペプチド化合物の、そしてまたセファロスポリン系およびペニシリン系、ならびに核酸誘導体および糖の合成において通常用いられるような基である。保護基は一度除去されると、最終化合物中にもはや存在しないような基であるが、本明細書で用いられる意味では、置換基として残る基は出発材料または中間体段階で加えられ、そして最終化合物を得るために除去される基である。式Iの化合物を異なる式Iの化合物に変換する事例でも、有用または必要な場合、保護基を導入および除去できる。
【0044】
保護基は既に前駆体に存在でき、そして関係する官能基を、アシル化、エーテル化、エステル化、酸化、加溶媒分解および類似の反応のような望ましくない二次反応に対して保護すべきである。容易に、すなわち望ましくない二次反応なしに、例えば生理学的条件に類似の条件下で典型的にはアセトリシス、プロトノリシス、加溶媒分解、還元、光分解による、または酵素活性によっても除去に役立ち、そして最終生成物には存在しないことが保護基の特徴である。保護基が前記および後記で言及された反応に適当であることは専門家には公知であるか、または容易に確立することができる。
【0045】
かかる保護基によるかかる官能基の保護、保護基自体およびその除去反応は例えばJ. F. W. McOmie, 「Protective Groups in Organic Chemistry」, Plenum Press, London and New York 1973、T. W. Greene, 「Protective Groups in Organic Synthesis」, Third edition, Wiley, New York 1999、「The Peptides」;Volume 3(editors:E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981、「Methoden der organischen Chemie」(Methods of organic chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974、H.−D. Jakubke and H. Jescheit, 「Aminosaeuren, Peptide, Proteine」(Amino acids, peptides, proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982およびJochen Lehmann, 「Chemie der Kohlenhydrate:Monosaccharide und Derivate」(Chemistry of carbohydrates: monosaccharides and derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974のような標準的な参考文献に記載される。
【0046】
選択的反応および変換
式Iの化合物を異なる式Iの化合物に変換できる。
がフルオロまたはヒドロキシルを表す式Iの化合物では;対応する塩素誘導体をヒドロキシまたはフルオロ化合物に変換することによりかかる化合物を得ることができる。かかる反応は公知であり、そして置換反応と称される。この変換は式(IIIAまたはB)の出発材料の工程で、または対応する式Iの化合物を変換することにより生じ得る。
【0047】
置換基がアミノまたはアミノ−C−C−アルキル置換基を担持する式Iの化合物では、トリエチルアミンまたはピリジンのような第三級窒素塩基の存在下、塩化メチレンのような適切な溶媒の不在または存在下、例えば−20から50℃の範囲の温度で、例えば約室温で、アミノを対応するC−C−アルカノイルハロゲン化物またはC−C−アルカンスルホニルハロゲン化物、例えば対応する塩化物と反応させることにより、アシルアミノ、例えばC−C−アルカノイルアミノまたはC−C−アルカンスルホニルアミノに変換することができる。
【0048】
置換基がシアノ置換基を担持する式Iの化合物では、ラネーニッケルまたはラネーコバルトのような適切な金属触媒の存在下、適切な溶媒、例えばメタノールおよび/またはエタノールのような低級アルカノール中、例えば−20から50℃の範囲の温度で、例えば約室温でシアノを水素化することによりアミノメチル基に変換できる。
【0049】
置換基がカルボキシル(COOH)置換基を担持する式Iの化合物では、後者を原位置でカルボキシル基の好ましい反応性誘導体、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBT);ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BOPCl);O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸(TPTU);O−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸(TBTU);(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウム−ヘキサフルオロリン酸(PyBOP)、O−(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾールもしくは/1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(EDC/HOBTまたはEDC/HOAtまたはHOAt単独)を形成するカップリング剤の存在下で、対応するアミンと、または(1−クロロ−2−メチル−プロペニル)−ジメチルアミンと反応させることにより、アミド基、例えばN−C−C−アルキル−カルバモイル基に変換することができる。いくつかのその他の可能なカップリング剤の概説に関しては、例えばKlauser;Bodansky, Synthesis, 453−463(1972)を参照されたい。反応混合物を好ましくはおよそ−20℃と50℃の間、特に0℃と30℃の間の温度で、例えば室温で攪拌する。
【0050】
塩形成基を伴う式Iの化合物の塩をそれ自体公知の様式で調製できる。故に酸との、または適当な陰イオン交換試薬との処理により式Iの化合物の酸付加塩を得ることができる。2つの酸分子との塩(例えば式Iの化合物の二ハロゲン化物)を化合物あたり1つの酸分子との塩(例えば一ハロゲン化物)に変換することもでき;加熱溶融により、または例えば高真空下、高温、例えば130から170℃で固体として加熱することにより、これを行うことができ、式Iの化合物の分子あたり1つの酸の分子が放出される。通常例えば適当な塩基性化合物、例えば炭酸アルカリ金属、炭酸水素アルカリ金属または水酸化アルカリ金属、典型的には炭酸カリウムまたは水酸化ナトリウムとの処理により塩を遊離化合物に変換することができる。
【0051】
立体異性体混合物、例えばジアステレオマーの混合物をそれ自体公知の様式で、適当な分離方法によりその対応する異性体に分離することができる。例えばジアステレオマー混合物を分別結晶化、クロマトグラフィー、溶媒分布および類似の手順によりその個々のジアステレオマーに分離できる。この分離を出発化合物のレベルで、または式Iの化合物自体においてのいずれかで行うことができる。エナンチオマーをジアステレオマー塩の形成を介して、例えば純エナンチオマーキラル酸との塩形成により、またはクロマトグラフィーにより、例えばHPLCにより、キラルリガンドを伴うクロマトグラフィー基質を使用して分離できる。
この章で言及された変換に類似する反応を適切な中間体のレベルで行うこともできる(そして故に対応する出発材料の調製に有用である)ことは強調されるべきである。
【0052】
出発材料
式II、III、IVおよびVの出発材料、ならびに本明細書にて、例えば後記のその他の出発材料は当分野において公知である方法にしたがって、もしくは準じて調製されることができ、当分野において公知であり、そして/または市販により入手可能である。出発材料の生成がとりわけ記載されていない限り、その化合物は公知であるか、または当分野において公知の、例えば第WO05/021519号もしくは第WO04/096797号における方法に類似して、または本明細書後記に開示されるように調製され得る。新規出発材料およびその製造方法は同様に本発明の実施態様である。好ましい実施態様では、かかる出発材料を使用し、そして選ばれる反応は好ましい化合物を得ることを可能にするために選択される。
【0053】
塩として使用および/または入手することもできる出発材料(中間体を含む)では、適切および好都合な場合、置換基は好ましくは式Iの化合物に関して定義されるとおりである。
本明細書に開示されるような式Iの化合物は薬剤として有用である。それ故に本発明は1つの実施態様ではPI3Kの阻止が指示されるヒトまたは獣医学用の使用のための組成物に関する。
1つの実施態様では、本発明はPI3Kにより媒介される腫瘍および/または癌細胞成長のような細胞増殖性疾患の処置に関する。とりわけ化合物は、例えば肺および気管支;前立腺;乳房;膵臓;結腸および直腸;甲状腺;肝臓および肝内胆管;肝細胞;胃;神経膠腫/神経膠芽腫;子宮内膜;メラノーマ;腎臓および腎盂;膀胱;子宮体部;子宮頸部;卵巣;多発性骨髄腫;食道;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;リンパ球性白血病;骨髄白血病;脳;口腔および咽頭;喉頭;小腸;非ホジキンリンパ腫;メラノーマ;ならびに結腸絨毛腺腫を含むヒトまたは動物(例えばマウス)の癌の処置において有用である。
【0054】
その他の実施態様では、PI3K媒介症状または障害は:喘息、COPD、ARDS、レフレル症候群、好酸球性肺炎、寄生虫(とりわけ後生動物)感染(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発動脈炎(チャーグ・ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫、薬物反応により引き起こされる気道に影響する好酸球関連障害、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、多形性紅斑、ヘルペス状皮膚炎、強皮症、白斑症、過敏性血管炎、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、天疱瘡、後天性表皮水疱症、自己免疫性血液障害(例えば溶血性貧血、再生不良性貧血、真性赤血球性貧血および特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーヴンス・ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病)、内分泌性眼疾患、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎(前部および後部)、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、糸球体性腎炎、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、深部静脈血栓症、脳卒中、心筋梗塞、不安定狭心症、血栓塞栓症、肺塞栓症、血栓溶解疾患(thrombolytic diseases)、急性動脈虚血、末梢血栓性塞栓および冠動脈疾患、再灌流傷害、糖尿病性網膜症または高圧酸素誘起網膜症のような網膜症、ならびに緑内障のような眼内圧上昇または眼水の分泌を特徴とする症状からなる群から選択される。
【0055】
前記の使用のために必要とされる投薬量はもちろん投与の様式、処置されるべき特定の症状、および望まれる効果に依存して異なるであろう。一般的には満足できる結果は約0.03から10.0mg/kg体重の1日投薬量で全身的に得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおける指示された1日投薬量は約0.5mgから約1gの範囲であり、例えば1日4回までの分割用量で、または遅延形態で都合良く投与される。経口投与のための適当な単位投薬形態は活性成分約0.1から500mgを含む。
【0056】
式Iの化合物を任意の従来の経路により、とりわけ経腸的に、例えば経口的に、例えば錠剤もしくはカプセルの形態で、または非経口的に、例えば注射用溶液もしくは懸濁液の形態で、局所的に、例えばローション、ゲル、軟膏もしくはクリームの形態で、吸入により、鼻内に、または坐剤形態で投与できる。
式Iの化合物を遊離形態で、または薬学的に許容される塩形態で、例えば前記で指示されたように投与できる。かかる塩を従来の様式で調製でき、そして遊離化合物と同じオーダーの活性を呈し得る。
【0057】
結果的に、本発明はまた:
例えば前記で指示されたようなPI3キナーゼアルファ酵素の活性化により媒介される症状、障害または疾患をかかる処置を必要とする対象において防御または処置するための方法であって、その方法は該対象に有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む;
例えば本明細書にて指示される方法のいずれかにおける、薬剤としての遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物;
薬剤として使用するための、とりわけ1つまたはそれより多いホスファチジルイノシトール3−キナーゼ媒介疾患において使用するための、例えば本明細書にて指示されるような方法のいずれかにおける遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物;
とりわけ1つまたはそれより多いホスファチジルイノシトール3−キナーゼ媒介疾患の処置のための、本明細書にて指示されるような方法のいずれかにおける遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物の使用;
とりわけ1つまたはそれより多いホスファチジルイノシトール3−キナーゼ媒介疾患の処置のための医薬品の製造のための、本明細書にて指示されるような方法のいずれかにおける遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物の使用;
【0058】
PI3Kは平行するシグナリング経路を組み込む第2メッセンジャーノードとして提供され、PI3K阻害剤とその他の経路の阻害剤との組み合わせがヒトにおける癌および増殖性疾患を処置するのに有用であるという証拠が浮上している。ヒト乳癌のおよそ20−30%が薬物トラスツズマブの標的であるHer−2/neu−ErbB2を過剰発現する。Her2/neu−ErbB2を過剰発現する患者ではトラスツズマブが永続的な応答を実証しているものもあるが、応答するのはこれらの患者の一部だけである。最近の研究により、この限定的な応答率はトラスツズマブをPI3KまたはPI3K/AKT経路の阻害剤と組み合わせることにより実質的に改善できることが示されている(Chan et al., Breast Can. Res. Treat. 91:187(2005)、Woods Ignatoski et al., Brit. J. Cancer 82:666(2000)、Nagata et al., Cancer Cell 6:117(2004))。
【0059】
種々のヒト悪性腫瘍は活性化変異またはレベルが増大したHer1/EGFRを発現し、そしてタルセバ、ゲフィチニブおよびエルビタックスを含む、この受容体チロシンキナーゼに対する多くの抗体および小型分子阻害剤が開発されている。しかしながら、EGFR阻害剤は特定のヒト腫瘍(例えばNSCLC)において抗腫瘍活性を実証するが、EGFR発現腫瘍を伴う全患者において全体的な患者の生存性を増大させることはできない。Her1/EGFRの多くの下流標的がPI3K/Akt経路を含む種々の悪性腫瘍において高頻度で変異または調節解除されるという事実によりこれを合理化できる。例えばゲフィチニブはインビトロアッセイにおいて腺癌細胞系の成長を阻止する。それにも関わらず、PI3/Akt経路の活性化の増大を実証する、ゲフィチニブに耐性であるこれらの細胞系のサブクローンを選択することができる。この経路の下方調節または阻止により、耐性サブクローンをゲフィチニブに鋭敏にする(Kokubo et al., Brit. J. Cancer 92:1711(2005))。さらにPTEN変異を宿し、そしてEGFRを過剰発現する細胞系を伴う乳癌のインビトロモデルでは、PI3K/Akt経路およびEGFRの双方の阻止により相乗効果を生んだ(She et al., Cancer Cell 8:287−297(2005))。これらの結果により、ゲフィチニブおよびPI3K/Akt経路阻害剤の組み合わせは癌における魅力的な治療計画であることが示される。
【0060】
AEE778(Her−2/neu/ErbB2、VEGFRおよびEGFRの阻害剤)およびRAD001(Aktの下流標的、mTORの阻害剤)の組み合わせは神経膠芽腫異種移植片モデルにおいていずれかの薬剤単独よりも大きな組み合わせ効果を生んだ(Goudar et al., Mol. Cancer. Ther. 4:101−112(2005))。
【0061】
タモキシフェンのような抗エストロゲンは、細胞周期阻害剤p27Kipの作用を必要とする細胞周期停止の誘導を通して乳癌成長を阻止する。最近では、細胞周期停止におけるその阻止活性が減弱するように、Ras−Raf−MAPキナーゼ経路の活性化がp27Kipのリン酸化状態を改変し、それにより抗エストロゲン耐性に寄与することが示されている(Donovan, et al, J. Biol. Chem. 276:40888(2001))。Donovanらにより報告されるように、MEK阻害剤での処理を通してMAPKシグナリングを阻止することにより、ホルモン不応性乳癌細胞系におけるp27のリン酸化状態の異常を逆転させ、そしてその際、ホルモン感受性を回復させた。類似して、Aktによるp27Kipのリン酸化もまた細胞周期を停止させるその役割を抑止する(Viglietto et al., Nat Med. 8:1145(2002))。
【0062】
したがってさらなる態様では、式Iの化合物を乳癌および前立腺癌のようなホルモン依存性癌において使用する。この使用により、これらの癌において一般的に認められる従来の抗癌薬でのホルモン耐性を逆転させることを目指す。
【0063】
慢性骨髄性白血病(CML)のような血液癌では、染色体転座がBCR−Ablチロシンキナーゼの構成的活性化の原因である。罹患した患者は小型分子チロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブに応答し、結果的にAblキナーゼ活性の阻止に至る。しかしながら疾患の段階が進行した多くの患者は、初期にはイマチニブに応答するが、次いでAblキナーゼドメインにおける耐性付与変異のために後に再燃する。インビトロ研究により、BCR−Ab1がRas−Rafキナーゼ経路を用いてその効果を誘発することが実証されている。加えて、同じ経路の1を超えるキナーゼの阻止が耐性付与変異に対してさらなる保護を提供する。
【0064】
したがって別の態様では、式Iの化合物を慢性骨髄性白血病(CML)のような血液癌の処置においてGleevec(登録商標)のようなキナーゼ阻害剤の群から選択される少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて使用する。この使用により、該少なくとも1つのさらなる薬剤に対する耐性を逆転させるかまたは防御することを目指す。
【0065】
PI3K/Akt経路の活性化は細胞生存を駆動するので、放射線療法および化学療法を含む癌細胞におけるアポトーシスを駆動する治療と組み合わされた経路の阻止は、応答性の改善を招くであろう(Ghobrial et al., CA Cancer J. Clin 55:178−194(2005))。実例としては、PI3キナーゼ阻害剤とカルボプラチンとの組み合わせはインビトロ増殖およびアポトーシスアッセイ、ならびに卵巣癌の異種移植片モデルでのインビボ腫瘍有効性の双方において相乗効果を実証した(Westfall and Skinner, Mol. Cancer Ther. 4:1764−1771(2005))。
【0066】
癌および増殖性疾患に加えて、クラス1Aおよび1B PI3キナーゼの阻害剤はその他の疾患分野で治療的に有用であろうという証拠が蓄積されている。PIK3CB遺伝子のPI3Kアイソフォーム生成物であるp110βの阻止は、ずり応力惹起血小板活性化に関与することが示されている(Jackson et al., Nature Medicine 11:507−514(2005))。故にp110βを阻止するPI3K阻害剤は単一の薬剤として、または抗血栓治療における組み合わせにおいて有用であろう。PIK3CD遺伝子の生成物であるアイソフォームp110δはB細胞機能および分化(Clayton et al., J. Exp. Med. 196:753−763(2002))、T細胞依存性および独立性抗原応答性(Jou et al., Mol. Cell. Biol. 22:8580−8590(2002))および肥満細胞分化(Ali et al., Nature 431:1007−1011(2004))において重要である。故にp110δ阻害剤はB細胞駆動の自己免疫疾患および喘息の処置において有用であろうと予期される。最後にPI3KCG遺伝子のアイソフォーム生成物であるp110γの阻止は、B細胞ではなくT細胞応答性の低減を招き(Reif et al., J. Immunol. 173:2236−2240(2004))、そしてその阻止は自己免疫疾患の動物モデルにおける有効性を実証する(Camps et al., Nature Medicine 11:936−943(2005)、Barber et al., Nature Medicine 11:933−935(2005))。
【0067】
本発明はさらに少なくとも1つの式Iの化合物を、ヒトまたは動物対象への投与に適当な薬学的に許容される賦形剤と一緒に、単独でまたはその他の抗癌薬と一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0068】
本発明はさらに癌のような細胞増殖性疾患を患うヒトまたは動物対象を処置する方法を提供する。故に本発明は治療上有効量の式Iの化合物を単独でまたは1つもしくはそれより多いその他の抗癌薬と組み合わせて対象に投与することを含む、かかる処置を必要とするヒトまたは動物対象を処置する方法を提供する。とりわけ組成物は組み合わせ治療薬として一緒に製剤されるか、または別個に投与されるかのいずれかであろう。式Iの化合物を伴う使用に適当な抗癌薬には、限定するものではないが、後記に示すようなキナーゼ阻害剤、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、その他の阻害剤、癌化学療法薬、アルキル化剤、キレート化剤、生物学的応答調節物質、癌ワクチン、アンチセンス治療のための薬剤からなる群から選択される1つまたはそれより多い化合物が含まれる:
【0069】
キナーゼ阻害剤:式Iの化合物と併用して抗癌薬として使用するためのキナーゼ阻害剤には、小型分子キナゾリン系、例えばゲフィチニブ(米国特許第5457105号、米国特許第5616582号および米国特許第5770599号)、ZD−6474(第WO01/32651号)、エルロチニブ(Tarceva(登録商標)、米国特許第5747498号および第WO96/30347号)およびラパチニブ(米国特許第6727256号および第WO02/02552号)のような上皮成長因子受容体(EGFR)キナーゼの阻害剤;SU−11248(第WO01/60814号)、SU5416(米国特許第5883113号および第WO99/61422号)、SU6668(米国特許第5883113号および第WO99/61422号)、CHIR−258(米国特許第6605617号および米国特許第6774237号)、バタラニブまたはPTK−787(米国特許第6258812号)、VEGF−Trap(第WO02/57423号)、B43−ゲニステイン(第WO09606116号)、フェンレチニド(レチノイン酸p−ヒドロキシフェニルアミン)(米国特許第4323581号)、IM−862(第WO02/62826号)、ベバシズマブまたはAvastin(登録商標)(第WO94/10202号)、KRN−951、3−[5−(メチルスルホニルピペラジンメチル)−インドリル]−キノロン、AG−13736およびAG−13925、ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン系、ZK−304709、Veglin(登録商標)、VMDA−3601、EG−004、CEP−701(米国特許第5621100号)、Cand5(第WO04/09769号)を含む血管内皮成長因子受容体(VEGFR)キナーゼ阻害剤;ペルツズマブ(第WO01/00245号)、トラスツズマブおよびリツキシマブのようなErb2チロシンキナーゼ阻害剤;RX−0201のようなAktタンパク質キナーゼ阻害剤;LY−317615(第WO95/17182号)およびペリホシン(米国特許出願公開第2003171303号)のようなタンパク質キナーゼC(PKC)阻害剤;ソラフェニブ(BAY43−9006)、ARQ−350RP、LErafAON、BMS−354825、AMG−548および第WO03/82272号に開示されるその他のものを含むRaf/Map/MEK/Rasキナーゼ阻害剤;線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害剤;CYC−202またはロスコビチン(第WO97/20842および第WO99/02162号)を含む細胞依存性キナーゼ(CDK)阻害剤;CHIR−258、3G3mAb、AG−13736、SU−11248およびSU6668のような血小板由来成長因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害剤;ならびにBcr−Ablキナーゼ阻害剤およびSTI−571またはGleevec(登録商標)(イマチニブ)のような融合タンパク質が含まれる。
【0070】
B. 抗エストロゲン:式Iの化合物と併用して抗癌治療において使用するためのエストロゲンターゲティング薬には、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェンを含む選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM);Arimidex(登録商標)またはアナストロゾールを含むアロマターゼ阻害剤;Faslodex(登録商標)またはフルベストラントを含むエストロゲン受容体下方調整剤(ERD)が含まれる。
C. 抗アンドロゲン:式Iの化合物と併用して抗癌治療において使用するためのアンドロゲンターゲティング薬には、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド、ケトコナゾールおよびコルチコステロイドが含まれる。
D. その他の阻害剤:式Iの化合物と併用して抗癌薬として使用するためのその他の阻害剤には、チピファルニブまたはR−115777(米国特許出願公開第2003134846号および第WO97/21701号)、BMS−214662、AZD−3409およびFTI−277を含むタンパク質ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;メルバロンおよびジフロモテカン(BN−80915)を含むトポイソメラーゼ阻害剤;SB−743921およびMKI−833を含むキネシンスピンドルタンパク質(KSP)阻害剤;ボルテゾミブまたはVelcade(登録商標)(米国特許第5780454号)、XL−784のようなプロテアソームモジュレーター;ならびに非ステロイド抗炎症薬I(NSAID)を含むシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)阻害剤が含まれる。
【0071】
E. 癌化学療法薬:式Iの化合物と併用して抗癌薬として使用するための特定の癌化学療法剤には、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(Myleran(登録商標))、ブスルファン注射(Busulfex(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4−ペントキシカルボニル−5−デオキシ−5−フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar−U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、Cosmegan)、塩酸ダウノルビシン(Cerubidin(登録商標))、クエン酸ダウノルビシンリポソーム注射(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標)、米国特許出願公開第2004073044号)、塩酸ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(Vepesid(登録商標))、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標))、5−フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチビン(tezacitibine)、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イフォスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L−アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran(登録商標))、6−メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、フェニックス(phoenix)(イットリウム90/MX−DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラントを伴うポリフェプロサン20(Gliadel(登録商標))、クエン酸タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6−チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))ならびにビノレルビン(Navelbine(登録商標))が含まれる。
【0072】
F. アルキル化剤:式Iの化合物と併用して使用するためのアルキル化剤には、VNP−40101Mまたはクロレチジン(cloretizine)、オキサリプラチン(米国特許第4169846号、第WO03/24978号および第WO03/04505号)、グルフォスファミド、マホスファミド、エトポホス(米国特許第5041424号)、プレドニムスチン;トレオスルファン;ブスルファン;イロフルベン(アシルフルベン);ペンクロメジン;ピラゾロアクリジン(PD−115934);O6−ベンジルグアニン;デシタビン(5−アザ−2−デオキシシチジン);ブロスタリシン;マイトマイシンC(MitoExtra);TLK−286(Telcyta(登録商標));テモゾロミド;トラベクテジン(米国特許第5478932号);AP−5280(シスプラチンの白金酸塩製剤);ポルフィロマイシン;およびクレアラジド(clearazid)(メクロレタミン)が含まれる。
【0073】
G. キレート化剤:式Iの化合物と併用して使用するためのキレート化剤には、所望によりエレクトロポレーション(EPT)と組み合わされたテトラチオモリブデン酸(第WO01/60814号);RP−697;キメラT84.66(cT84.66);ガドホスベセット(Vasovist(登録商標));デフェロキサミン;およびブレオマイシンが含まれる。
H. 生物学的応答調節物質:式Iの化合物と併用して使用するための免疫モジュレーターのような生物学的応答調節物質には、UCN−01、CEP−701およびミドスタウリンを含むスタウロスポリンおよびその大環状類似体(第WO02/30941号、第WO97/07081号、第WO89/07105号、米国特許第5621100号、第WO93/07153号、第WO01/04125号、第WO02/30941号、第WO93/08809号、第WO94/06799号、第WO00/27422号、第WO96/13506号および第WO88/07045参照);スクアラミン(第WO01/79255号);DA−9601(第WO98/04541号および米国特許第6025387号);アレムツズマブ;インターフェロン(例えばIFN−a、IFN−b等);インターロイキン、特にIL−2またはアルデスロイキンおよびIL−1、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、ならびに天然のヒト配列の70%を超えるアミノ酸配列を有するその活性生物学的バリアント;アルトレタミン(Hexalen(登録商標));SU101またはレフルノミド(第WO04/06834号および米国特許第6331555号);レシキモドおよびイミキモドのようなイミダゾキノリン系(米国特許第4689338号、第5389640号、第5268376号、第4929624号、第5266575号、第5352784号、第5494916号、第5482936号、第5346905号、第5395937号、第5238944号および第5525612号);ならびにベンザゾール系、アントラキノン系、チオセミカルバゾン系およびトリプタントリン系を含むSMIP(第WO04/87153号、第WO04/64759号および第WO04/60308号)が含まれる。
【0074】
I. 癌ワクチン:式Iの化合物と併用して使用するための抗癌ワクチンには、Avicine(登録商標)(Tetrahedron Lett. 26:2269−70(1974));オレゴボマブ(OvaRex(登録商標));Theratope(登録商標)(STn−KLH);メラノーマワクチン;GI−4000シリーズ(GI−4014、GI−4015およびGI−4016)(これはRasタンパク質における5つの変異体を指向する);GlioVax−1;MelaVax;Advexin(登録商標)またはINGN−201(第WO95/12660号);HPV−16 E7をコードするSig/E7/LAMP−1;MAGE−3ワクチンまたはM3TK(第WO94/05304号);HER−2VAX;ACTIVE(これは腫瘍に特異的なT細胞を刺激する);GM−CSF癌ワクチン;およびリステリア菌基盤のワクチンが含まれる。
J. アンチセンス治療:式Iの化合物と併用して使用するための抗癌薬には、AEG−35156(GEM−640);AP−12009およびAP−11014(TGF−ベータ2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド);AVI−4126;AVI−4557;AVI−4472;オブリメルセン(Genasense(登録商標));JFS2;アプリノカルセン(aprinocarsen)(第WO97/29780号);GTI−2040(R2リボヌクレオチドリダクターゼmRNAアンチセンスオリゴ)(第WO98/05769号);GTI−2501(第WO98/05769号);リポソームカプセル化c−Rafアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(LErafAON)(第WO98/43095号);ならびにSirna−027(RNAi基盤の治療用ターゲティングVEGFR−1 mRNA)のようなアンチセンス組成物もまた含まれる。
【0075】
式Iの化合物を医薬組成物中で気管支拡張薬または抗ヒスタミン薬原薬と組み合わせることもできる。かかる気管支拡張薬には抗コリン薬または抗ムスカリン薬、とりわけグリコピロレート、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウムおよび臭化チオトロピウム、OrM3、アクリジニウム(aclidinium)、CHF5407、GSK233705、ならびにサルブタモール、テルブタリン、サルメテロール、カルモテロール、ミルベテロール(milveterol)および特にインダカテロールおよびフォルモテロールのようなβ−2−アドレナリン受容体アゴニストが含まれる。併用療法用の抗ヒスタミン薬原薬には塩酸セチリジン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラタジン、デスロラタジンジフェンヒドラミンおよび塩酸フェクソフェナジンが含まれる。
【0076】
さらなる態様では本発明は式Iの化合物および、血栓溶解疾患(thrombolytic disease)、心臓疾患、脳卒中等の処置に有用である1つまたはそれより多い化合物を含む組み合わせを提供する。かかる化合物にはアスピリン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、抗凝固剤、抗血小板薬(例えばPLAVIX;硫酸クロピドグレル)、スタチン(例えばLIPITORまたはアトルバスタチンカルシウム)、ZOCOR(シムバスタチン)、CRESTOR(ロスバスタチン)等)、ベータ遮断薬(例えばアテノロール)、NORVASC(ベシル酸アムロジピン)およびACE阻害剤(例えばリシノプリル)が含まれる。
さらなる態様では本発明は式Iの化合物および、高血圧の処置に有用である1つまたはそれより多い化合物を含む組み合わせを提供する。かかる化合物にはACE阻害剤、スタチン系、LIPITOR(アトルバスタチンカルシウム)のような脂質低下薬、NORVASC(ベシル酸アムロジピン)のようなカルシウムチャンネル遮断剤が含まれる。
【0077】
さらなる態様では本発明は式Iの化合物および、フィブラート系、ベータ遮断剤、NEPI阻害剤、アンギオテンシン−2受容体アンタゴニストおよび血小板凝集阻害剤からなる群から選択される1つまたはそれより多い化合物を含む組み合わせを提供する。
さらなる態様では本発明は式Iの化合物および、関節リウマチを含む炎症性疾患の処置に適当な化合物を含む組み合わせを提供する。かかる化合物を抗TNF−αモノクローナル抗体(例えばREMICADE、CDP−870)およびD2E7(HUMIRA)のようなTNF−α阻害剤、ならびにTNF受容体免疫グロブリン融合分子(例えばENBREL)、IL−1阻害剤、受容体アンタゴニストまたは可溶性IL−1Rα(例えばKINERETまたはICE阻害剤)、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)、ピロキシカム、ジクロフェナク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、フェナム酸系、メフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾン、ピラゾロン系、フェニルブタゾン、アスピリン、COX−2阻害剤(例えばCELEBREX(セレコキシブ)、PREXIGE(ルミラコキシブ))、メタロプロテアーゼ阻害剤(好ましくはMMP−13選択的阻害剤)、p2x7阻害剤、α2α阻害剤、NEUROTIN、プレガバリン、低用量メトトレキサート、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、オーラノフィンまたは非経口もしくは経口金製剤からなる群から選択できる。
【0078】
さらなる態様では本発明は式Iの化合物および、骨関節炎の処置に適当な化合物を含む組み合わせを提供する。かかる化合物をピロキシカム、ジクロフェナクのような標準的な非ステロイド抗炎症薬(本明細書後記ではNSAID)、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェンのようなプロピオン酸系、メフェナム酸、インドメタシン、スリンダク、アパゾンのようなフェナム酸系、フェニルブタゾンのようなピラゾロン系、アスピリンのようなサリチル酸系、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブおよびエトリコキシブのようなCOX−2阻害剤、コルチコステロイドならびにヒアルガンおよびシンビスクのようなヒアルロン酸のような鎮痛薬および関節内治療からなる群から選択できる。
【0079】
さらなる態様では本発明は式Iの化合物ならびに抗ウイルス薬および/または消毒化合物を含む組み合わせを提供する。かかる抗ウイルス薬をビラセプト、AZT、アシクロビルおよびファンシクロビルからなる群から選択できる。かかる消毒化合物をバラント(Valant)からなる群から選択できる。
【0080】
さらなる態様では本発明は式Iの化合物、ならびに抗うつ薬(セルトラリン)、抗パーキンソン病薬(例えばデプレニル、L−ドーパ、レキップ、ミラペックス;MAOB阻害剤(例えばセレギンおよびラサギリン);comP阻害剤(例えばタスマー);A−2阻害剤;ドーパミン再取り込み阻害剤;NMDAアンタゴニスト;ニコチンアゴニスト;ドーパミンアゴニスト;および神経細胞の一酸化窒素合成酵素の阻害剤)のような中枢神経系薬からなる群から選択される1つまたはそれより多い薬剤を含む組み合わせを提供する。
【0081】
さらなる態様では本発明は式Iの化合物、および1つまたはそれより多い抗アルツハイマー病薬を含む組み合わせを提供する。かかる抗アルツハイマー薬をドネペジル、タクリン、α2δ阻害剤、NEUROTIN、プレガバリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンまたはメトリフォネートからなる群から選択できる。
さらなる態様では本発明は式Iの化合物、ならびに骨粗鬆症薬および/または免疫抑制薬を含む組み合わせを提供する。かかる骨粗鬆症薬をEVISTA(塩酸ラロキシフェン)、ドロロキシフェン、ラソフォキシフェンまたはフォサマックスからなる群から選択できる。かかる免疫抑制薬をFK−506およびラパマイシンからなる群から選択できる。
【0082】
好ましい実施態様の別の態様では、1つまたはそれより多い式Iの化合物および本明細書にて開示されるような組み合わせパートナーを含むキットが提供される。代表的なキットにはPI3K阻害剤化合物(例えば式Iの化合物)および(複数の)化合物のPI3K阻止量を投与することにより細胞増殖性疾患を処置するための指示を含む添付文書またはその他のラベルが含まれる。
【0083】
一般的に式Iの化合物を、類似の有用性を提供する薬剤に関するいずれかの許容される投与様式により治療上有効量で投与する。式Iの化合物、すなわち活性成分の実際の量は処置されるべき疾患の重篤度、対象の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与の経路および形態、ならびにその他の因子のような数多くの因子に依存する。薬物を1日1回を超えて、好ましくは1日1回または2回投与することができる。これらの因子の全てが担当医師の技術範囲内である。
【0084】
治療上有効量の式Iの化合物は1日あたりのレシピエントの体重kgあたり約0.05から約50mg;好ましくは約0.1−25mg/kg/日、さらに好ましくは約0.5から10mg/kg/日の範囲でよい。故に70kgのヒトに対する投与に関しては、投薬量範囲は最も好ましくは約35−70mg/日であろう。
一般的に式Iの化合物を医薬組成物として以下の経路のいずれか1つにより投与する:経口、全身(例えば経皮、鼻内または坐剤により)または非経口(例えば筋肉内、静脈内または皮下)投与。投与の好ましい様式は、苦痛の程度にしたがって調整することができる従来の1日投薬計画を使用する経口である。組成物は錠剤、丸剤、カプセル、半固体、粉末、徐放製剤、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾルまたは任意のその他の適切な組成物の形態を取ることができる。式Iの化合物を投与するための別の好ましい様式は吸入である。これは治療薬を気道に直接分配するための有効な方法である。
【0085】
製剤の選択は薬物投与の様式および原薬のバイオアベイラビリティーのような種々の因子に依存する。吸入を介して分配するために、化合物を液体溶液、懸濁液、エアロゾル噴霧剤または乾燥粉末として製剤し、そして投与に適当なディスペンサーに装填することができる。いくつかの型の医薬用吸入装置−ネブライザー吸入器、定量吸入器(MDI)および乾燥粉末吸入器(DPI)がある。ネブライザー装置は治療薬(液体形態で製剤されている)を患者の気道に運ばれる霧としてスプレイさせる高速の気流を生じる。MDIの製剤は典型的には圧縮気体と共に詰められた製剤である。作動時には、装置は圧縮気体により一定量の治療薬を放出し、故に設定された量の薬剤を投与する信頼できる方法をもたらす。DPIは、装置により呼吸の間に患者の吸気流に分配できる自由流動性粉末の形態で治療薬を分配する。自由流動性粉末を達成するために、治療薬をラクトースのような賦形剤と共に製剤する。一定量の治療薬はカプセル形態で保存され、そして各々の作動に伴って分配される。
【0086】
本発明はまた式Iの化合物の粒子サイズが10−1000nm、好ましくは10−400nmの間である製剤にも関する。表面積を増大させる、すなわち粒子サイズを低下させることによりバイオアベイラビリティーを増大させることができるという原理に基づいて、かかる医薬製剤は特に低いバイオアベイラビリティーを示す薬物に関して開発されている。例えば米国特許第4107288号は、活性材料が高分子の架橋マトリックス上で支持されている、10から1000nmの範囲のサイズの粒子を有する医薬製剤について記載する。米国特許第5145684号は、原薬が表面改質剤の存在下でナノ粒子(粒子サイズの代表値400nm)に粉砕され、そして次に液体溶媒中に分散されて顕著に高いバイオアベイラビリティーを呈する医薬製剤が得られる医薬製剤の製造について記載する。双方の文献を出典明示により本明細書の一部とする。
【0087】
さらなる態様では本発明は(治療上有効量の)式Iの化合物および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。許容される賦形剤は無毒性であり、投与を補助し、そして式Iの化合物の治療的有益性に有害な影響を及ぼさない。かかる賦形剤は一般的に当業者に利用可能である任意の固体、液体、半固体、またはエアロゾル組成物の事例では、気体賦形剤でよい。固体の医薬用賦形剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳等が含まれる。
【0088】
液体および半固体賦形剤をグリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールおよび、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば落花生油、大豆油、鉱物油、ゴマ油等を含む種々の油から選択できる。とりわけ注射用溶液のための好ましい液体担体には、水、生理食塩水、水性デキストロースおよびグリコールが含まれる。
【0089】
圧縮気体を使用して式Iの化合物をエアロゾルの形態で分散させることができる。この目的のために適当な不活性気体は窒素、二酸化炭素等である。その他の適当な医薬用賦形剤およびその製剤はRemington's Pharmaceutical Sciences, edited by E. W. Martin(Mack Publishing Company, l8th ed., l990)に記載される。
【0090】
製剤中の化合物の量は当業者により用いられる全範囲内で異なり得る。典型的には製剤は製剤全量に基づいて重量パーセント(重量%)ベースで約0.01−99.99重量%の式Iの化合物を含有し、1つまたはそれより多い適当な医薬用賦形剤で帳尻を合わせる。好ましくは化合物は約1−80重量%のレベルで存在する。
【0091】
本発明はさらに少なくとも1つの式Iの化合物および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む(すなわちそれを含有するかまたはそれからなる)医薬組成物に関する。
少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤(例えば担体および/または希釈剤)に随伴された遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物を含む医薬組成物を、構成要素を混合することにより従来の様式で製造できる。
【0092】
少なくとも1つの薬学的に許容される担体および/または希釈剤に随伴されて遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物を含んでなり、そしてさらに組み合わせパートナーを(1つの投薬単位形態で、またはキットの一部としてのいずれかで)含む組み合わされた医薬組成物を、薬学的に許容される担体および/または希釈剤と共に該活性成分と共に混合することにより従来の様式で製造できる。
【0093】
結果的にさらなる態様では本発明は:
例えば本明細書に記載されるいずれかの方法で使用するための薬学的に許容される希釈剤および/または担体に随伴されて遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物を含む、組み合わされた医薬組成物;
活性成分として遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物、1つまたはそれより多い薬学的に許容される担体物質および/または希釈剤ならびに所望により1つまたはそれより多いさらなる原薬を含む組み合わされた医薬組成物;かかる組み合わされた組成物は1つの投薬単位形態の形態であるかまたはキットの一部でよい;
治療上有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物、および同時または逐次的投与のための第2の原薬を含む組み合わされた医薬組成物;
治療上有効な無毒性の量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩および例えば前記で示されたような少なくとも1つの第2の原薬の共投与、例えば付随したまたは順々に投与することを含む前記で定義されたような方法;
a)遊離形態または薬学的に許容される塩形態の本明細書に開示されるような式Iの化合物である第1の薬剤、およびb)少なくとも1つの、例えば前記で示されたような共薬剤(coagent)を含む医薬用組み合わせ、例えばキット;それによるかかるキットはその投与のための説明書を含んでよい;
を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0094】
以下の式(I)の実施例は本発明を、その範囲を限定することなく例証し、そして表1に示される。かかる化合物を調製するための方法を本明細書にて後記する。
【化11】

【0095】
【表1】

【表2】

【0096】
【表3】

【表4】

【実施例】
【0097】
温度を摂氏で測定する。特記しない場合、反応を室温で行う。T以下のHPLC/MSおよびMS法を中間体および実施例の調製において使用する:
方法A(分析用HPLC/MS)装置:Hewlett Packard Agilent1100シリーズ、カラム:XBridge(商標)C18 2.5ミクロン3.0×30mm、温度:50℃、溶離液、2チャンネル系:チャンネルA 水中5%アセトニトリル、チャンネルB 0.2%ギ酸含有アセトニトリル
【表5】

検出:Agilent1100DAD 210−350nmおよびWaters Micromass ZQ2000ESI+およびESI−
【0098】
方法B(調製用HPLC/MS)装置:Gilson調製用HPLC系、カラム:Sunfire(商標)Prep C18 OBD(商標)5ミクロン30×100mm、温度:25℃、溶離液:0.05%トリフルオロ酢酸水溶液中5−100%アセトニトリル、20分かけて、流速:30ml/分、検出:UV254nm
方法C(分析用HPLC/MS)装置:Hewlett Packard Agilent1100シリーズ、カラム:XBridge(商標)C18 2.5ミクロン3.0×30mm、温度:50℃、溶離液:2チャンネル系:チャンネルA 水中5%アセトニトリル、チャンネルB 0.2%ギ酸含有アセトニトリル
【表6】

検出:Agilent1100DAD 210−350nmおよびWaters Micromass ZQ2000ESI+およびESI−
【0099】
方法D(分析用MS)装置:Micromass Platform II、溶離液:25%水酸化アンモニウム溶液を0.2%含有する水中15%メタノール
方法E(分析用HPLC/MS)装置:Hewlett Packard Agilent1100シリーズ、カラム:XBridge(商標)C18 2.5ミクロン3.0×30mm、温度:50℃、溶離液:2チャンネル系:チャンネルA 水中5%アセトニトリル、チャンネルB 1.0%ギ酸含有アセトニトリル
【表7】

検出:Agilent1100DAD 210−350nmおよびWaters Micromass ZQ2000ESI+およびESI−
方法F(分析用HPLC)装置:Shimadzu LC−10AD系;RF−10分光蛍光検出器;カラム:Nucleosil OD−5−100 C18(150×4.6mm);215nmで検出、室温で流速2ml/分;4分で直線グラジエント2−100%CHCN(0.1%TFA)およびHO(0.1%TFA)+2分で100%CHCN(0.1%TFA);3分で100%CHCN(0.1%TFA)に戻る;
【0100】
中間体A
トリフルオロ酢酸(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−アミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
トリフルオロ酢酸(1ml)をCHCl(2ml)中{2'−[((S)−2−カルバモイル−ピロリジン−1−カルボニル)−アミノ]−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(112mg)の懸濁液に室温で添加する。室温で18時間放置した後、反応混合物を蒸発させ、そして残留物を逆相クロマトグラフィーにより精製し(方法A)、保持時間8.4分の構成要素を蒸発させて透明な緑色のガラス状物として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間0.92分、M+H353.1
【0101】
中間体A1
{2'−[((S)−2−カルバモイル−ピロリジン−1−カルボニル)−アミノ]−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
カルボニルジイミダゾール(91mg)をトリエチルアミン(0.19ml)およびDMF(3ml)中(2'−アミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(140mg)の溶液に室温で添加する。24時間放置した後、反応混合物を蒸発させ、そして残留物を水性メタノールから再結晶してベージュ色固体として標題化合物が得られる。
【0102】
中間体A2
(2'−アミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
N−tertブトキシカルボニルチオ尿素(0.40g、B. Schiava et al Synth. Commun. 32:1671−1674(2002)に記載するとおり調製)をトリエチルアミン(0.57ml)およびエタノール(5.4ml)中臭化水素酸1−(2−アミノ−4−メチル−チアゾール−5−イル)−2−ブロモ−エタノン(0.43g、第WO06/125805号に記載するとおり調製)の懸濁液に室温で添加する。室温で4時間攪拌した後、トリエチルアミン(0.57ml)および水(30ml)を添加し、次いでEtOAc 30mlで4回抽出し、有機層をNaSO上で乾燥させ、そして蒸発させる。単離された材料をシリカゲルに吸収させ、そしてフラッシュカラムクロマトグラフィーにより酢酸エチルで溶離して精製して、灰白色固体として標題化合物が得られる。
【0103】
中間体B
イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド
カルボニルジイミダゾール(337mg)をトリエチルアミン(0.66ml)およびCHCl(19ml)中2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イルアミン(480mg)の溶液に室温で添加する。室温で7時間放置した後、反応混合物を濾過して白色針状物として標題化合物が得られる。
【0104】
中間体B1
2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イルアミン
1−(2−アミノ−4−メチル−チアゾール−5−イル)−2−ブロモ−エタノン(7.0g、第WO2006/125805号に記載するとおり調製)、2,2−ジメチルプロパンチオアミド(2.25g、Boys and Downs, Synthetic Communications, 36:295−298(2006)に記載するとおり調製)、トリエチルアミン(7.2ml)およびエタノール(173ml)の混合物を3.5時間加熱還流する。室温まで冷却したときに反応混合物を濾過し、濾液を蒸発させ、そして次にNaHCO水溶液とCHClの間で分配して、CHClで3回抽出する。有機層を乾燥させ、そして蒸発させて次にジエチルエーテル(50ml)で4回粉砕し、ジエチルエーテル層を合わせ、そして1M HCl(100ml)で抽出する。次いでHCl層をジエチルエーテルで3回洗浄し、NaOH水溶液で塩基性にし、そしてジエチルエーテルで4回およびCHClで2回抽出する。有機層をNaSO上で乾燥させ、そして蒸発させて赤色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間1.95分、M+H253.9
【0105】
中間体C
(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド
880アンモニア(5ml)中(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸ベンジルエステル(1g)の溶液を18時間攪拌し、次いで蒸発させ、そしてジエチルエーテルで粉砕して白色固体として標題化合物が得られる。1H NMR(d6−DMSO, 400 MHz) 9.15(s, br, 1H), 8.04(s, 1H), 7.63(s, 1H), 5.56(s, 1H), 4.40(s, 1H), 4.27−4.16(m, 1H), 3.27(d, J =7 Hz, 1H), 3.02(d, J =7 Hz, 1H), 2.33−2.19(m, 1H), 1.89−1.76(m, 1H)
【0106】
中間体D
(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド
メタノール(10ml)中7Mアンモニアの溶液中、塩酸(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステル(1g)の溶液を18時間攪拌し、次いで蒸発させ、そしてジエチルエーテルで粉砕する。残留物を最小容量の熱メタノールに溶解し、そして4℃で4時間放置する。濾過により白色固体として標題化合物が単離される。
【0107】
中間体E
(2S,3S)−3−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド
1,4−ジオキサン(3ml)中4MのHCl溶液をエタノール(10ml)中(2S,3S)−3−ヒドロキシルピロリジン−2−カルボン酸(1g)の懸濁液に室温で添加し、そして混合物を21時間加熱還流する。反応混合物を蒸発させ、そしてメタノール(10.5ml)中7Mのアンモニア溶液を添加する。反応混合物を室温で2日間放置し、次いで蒸発させ、残留物をエタノール(2ml)で粉砕し、そして濾過し、そして9:1エタノール/メタノール(2ml)の冷混合物で洗浄して淡いピンク色の固体として標題化合物が得られる。1H NMR(d6−DMSO, 400 MHz)8.27(s, 1H), 7.76(s, 1H), 5.85(d, J =4 Hz, 1H), 4.38−4.32(m, 1H), 3.97(d, J =2 Hz, 1H), 3.36−3.15(m, 3H), 1.90−1.80(m, 2H)
【0108】
中間体F
(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミド
メタノール(22.2ml)中7Mのアンモニア溶液中(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸ブチルエステル(2.3g)の溶液をボンベ中70℃で10日間加熱する。反応混合物を蒸発させ、そしてヘキサン(20ml)で粉砕して灰白色固体として標題化合物が得られる。1H NMR(d6−DMSO, 400 MHz) 7.40(s, 1H), 6.89(s, 1H), 2.95−2.84(m, 1H), 2.72−2.60(m, 1H), 2.06−1.95(m, 1H), 1.66−1.44(m, 2H), 1.42−1.30(m, 1H), 1.22(s, 3H)
【0109】
中間体F1
(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸ブチルエステル
濃HCl(2ml)をブタン−1−オール(50ml)中(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸(2g)の懸濁液に添加し、それを60℃で18時間加熱し、次いで4日間還流する。反応混合物を蒸発させ、飽和NaHCO水溶液とCHClの間で分配し、CHClで3回抽出し、NaSO上で乾燥させ、そして蒸発させる。次いで単離された油状物を10ミリバールでクーゲルロール蒸溜して、オーブン温度100−120℃で蒸溜する分画から無色透明な油状物として標題化合物が得られる。
【0110】
中間体G
(2S,3S)−3−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミド
1,4−ジオキサン(1.5ml)中4MのHCl溶液をエタノール(5ml)中(2S,3S)−3−メチルピロリジン−2−カルボン酸(0.5g)の懸濁液に室温で添加し、そして混合物を20時間加熱還流する。反応混合物を蒸発させ、そしてメタノール(5.6ml)中7Mのアンモニア溶液を添加する。反応混合物を室温で6日間放置し、次いで蒸発させ、残留物をメタノール(0.5ml)で粉砕し、そして濾過し、そして冷メタノール(2ml)で洗浄して白色固体として標題化合物が得られる。1H NMR(d6−DMSO, 400 MHz) 8.06(s, 1H), 7.67(s, 1H), 3.60(d, J =10 Hz, 1H), 3.25−3.14(m, 2H), 2.24−2.15(m, 1H), 2.09−1.98(m, 1H), 1.57−1.45(m, 1H), 1.13(d, J =8 Hz, 3H)
【0111】
中間体H
(2S,4R)−4−フルオロ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド
エタノール(2.3ml)中1.25MのHCl溶液をエタノール(2ml)中(2S,4R)−4−フルオロ−ピロリジン−2−カルボン酸(0.25g)の懸濁液に室温で添加し、そして混合物を55℃で62時間加熱する。反応混合物を蒸発させ、そしてメタノール(5.6ml)中7Mのアンモニア溶液を添加する。反応混合物を室温で36時間放置し、次いで蒸発させ、残留物をメタノール(0.5ml)で粉砕し、そして濾過して白色固体として標題化合物が得られる。1H NMR(d6−DMSO, 400 MHz) 7.68(s, 1H), 7.37(s, 1H), 5.30(d, J =50 Hz, 1H), 3.96(t, J =8 Hz, 1H), 3.40−3.12(m, 2H), 2.48−2.31(m, 1H), 2.02−1.81(m, 1H)
【0112】
中間体I
イミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド
カルボニルジイミダゾール(506mg)をDMF(10ml)中4'−メチル−N**−ピリジン−3−イル−[4,5']ビチアゾリル−2,2'−ジアミン(740mg)に室温で添加する。室温で18時間放置した後、反応混合物を濾過し、そして固体をCHClで洗浄して灰色粉末として標題化合物が得られる。
【0113】
中間体I1
4'−メチル−N**−ピリジン−3−イル−[4,5']ビチアゾリル−2,2'−ジアミン
N−[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アセトアミド(0.9g)をエタノール(30ml)および濃塩酸(3ml)の混合物中18時間還流し、次いでさらに塩酸を添加する(1.5ml)。さらに24時間還流した後、反応混合物を冷却し、そして5%NaHCO水溶液の添加によりpHを8−9に調整する。濾過により標題化合物を収集し、水で洗浄し、そして乾燥させて淡褐色固体が得られる。
【0114】
中間体I2
N−[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アセトアミド
3−ピリジルチオ尿素(0.62g)をエタノール(10ml)中N−[5−(2−ブロモ−アセチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−アセトアミド(1.1g、第WO2005/068444号に記載するとおり調製)およびトリエチルアミン(1.68ml)に−10℃で添加する。室温で30分間攪拌した後、水を添加し(50ml)、そして濾過により標題化合物を収集し、水で洗浄し、そして乾燥させて橙色固体が得られる。
【0115】
中間体J
イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミド
3−ピリジルチオ尿素の代わりに2−メチル−1,3−チアゾール−4−カルボニルチアミドを使用して中間体Iに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間5.86分;MS(方法D)M+H389.0
【0116】
中間体K
イミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(2−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド
3−ピリジルチオ尿素の代わりに2−メチル−1H−イミダゾール−4−カルボニルチオアミドを使用して中間体Iに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間3.55分;MS(方法D)M+H372.1およびM−H370.1
【0117】
中間体L
イミダゾール−1−カルボン酸(2−シクロプロピルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド
3−ピリジルチオ尿素の代わりにシクロプロピルチオ尿素を使用して中間体Iに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.13分;MS(方法D)M+H347.1
【0118】
中間体M
イミダゾール−1−カルボン酸(2−ジメチルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド
3−ピリジルチオ尿素の代わりに1,1−ジメチル−チオ尿素を使用して中間体Iに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間4.20分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H299.1
【0119】
中間体N
イミダゾール−1−カルボン酸[2−(3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド
3−ピリジルチオ尿素の代わりに3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン−3−カルボチオ酸アミドを使用して中間体Iに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間5.43分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H379.1
【0120】
中間体O
イミダゾール−1−カルボン酸(2−エチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド
N−[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アセトアミドの代わりにN−(2−エチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アセトアミドを使用して中間体Iに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間5.05分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H283.8
【0121】
中間体O1
N−(2−エチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アセトアミド
N−[5−(2−ブロモ−アセチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−アセトアミド(71.6mg)(第WO2005/068444の手順により調製)を室温でCHOH(5ml)に溶解し、続いてチオプロピオンアミド(21.4mg)およびリンモリブデン酸アンモニウム×HO(37.5mg)を添加する。反応が完了した後、水を添加し(25ml)、そして沈殿物をを濾去して暗緑色粉末として標題化合物が得られる。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間4.86分;MS(方法D)M+H268.2およびM−H266.2
【0122】
中間体P
イミダゾール−1−カルボン酸(4'−メチル−2−ピリジン−3−イル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド
3−ピリジルチオ尿素の代わりにチオニコチンアミドを使用して中間体Iに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間4.13分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H382.8
【0123】
中間体Q
イミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド
チオプロピオンアミドの代わりに1−メチル−シクロプロパンカルボチオ酸アミドを使用して中間体Oに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間5.80分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H309.8
【0124】
中間体R
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステル(225mg)およびメタノール(7ml)中7Mアンモニアの溶液を密閉容器中室温で18時間放置する。蒸発させ、そしてジエチルエーテルで粉砕して白色固体として標題化合物が得られる。
【0125】
中間体R1
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステル
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−ベンジルエステル2−メチルエステル(420mg)、炭素(80mg)上10%パラジウムおよびメタノール(10ml)の混合物を水素雰囲気下16時間攪拌する。濾過し、そして蒸発させて標題化合物が得られ、それを精製することなく続く工程で使用する。
【0126】
中間体R2
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−ベンジルエステル2−メチルエステル
シアノ水素化ホウ素ナトリウム(200mg)を(2S,4R)−4−アミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−ベンジルエステル2−メチルエステル(400mg)、ホルマリン(0.68ml)、酢酸(0.72ml)、トリエチルアミン(0.2ml)およびメタノール(2ml)の混合物に添加し、そして混合物を室温で2時間攪拌する。次いで反応混合物をジクロロメタンと炭酸水素ナトリウム水溶液の間で分配し、ジクロロメタン層を蒸発させ、そして順相クロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチルから酢酸エチル中20%エタノールまでのグラジエント)により精製して、主にUV活性構成要素が得られる。クロマトグラフにより分析された材料を1M塩酸に取り、ジエチルエーテルで2回洗浄し、水層を炭酸水素ナトリウムで塩基性にし、ジエチルエーテルで3回抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして蒸発させて、淡黄色油状物として標題化合物が得られる。
【0127】
中間体S
(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド
(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸ブチルエステル(326mg)およびメタノール(8ml)中7Mアンモニアの溶液を密閉容器中室温で18時間放置する。濾過し、蒸発させ、そしてジエチルエーテル/メタノールで粉砕して、ベージュ色固体として標題化合物が得られる。
【0128】
中間体S1
(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸ブチルエステル
濃塩酸(0.3ml)を二塩酸(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸メチルエステル(400mg)および1−ブタノール(4ml)の混合物に添加し、そして115℃で18時間加熱する。冷却後、反応混合物を蒸発させ、次いでジクロロメタンと炭酸水素ナトリウム水溶液の間で分配し、そしてジクロロメタン層を乾燥させ、そして蒸発させて、褐色油状物として標題化合物が得られ、それをさらに精製することなく使用する。
【0129】
中間体T
イミダゾール−1−カルボン酸[2−(2−フルオロ−フェニル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド
チオプロピオンアミドの代わりにフルオロチオベンズアミドを使用して中間体Oに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:溶解性が乏しいためにHPLCなし;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H350.1およびM−H348.1
【0130】
中間体U
イミダゾール−1−カルボン酸(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド
チオプロピオンアミドの代わりにシクロブタンカルボチオ酸アミドを使用して中間体Oに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間5.58分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H310.1およびM−H308.1
【0131】
中間体V
イミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド
チオプロピオンアミドの代わりに1−トリフルオロメチル−シクロプロパンカルボチオ酸アミドを使用して中間体Oに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間3.533分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H364.0およびM−H362.1
【0132】
中間体W
(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸アミド
(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エチルエステル(2.5g、Hercouet Tetrahedron Assymmetry, 7:1267−1268(1996)の手順により調製)およびメタノール(20ml)中7Mアンモニアの混合物を密閉容器中80℃で5日間加熱する。冷却された反応混合物を蒸発させ、そしてヘキサン/ジクロロメタンで粉砕して、ベージュ色固体として標題化合物が得られる。
【0133】
中間体X
イミダゾール−1−カルボン酸[2−(1−エチル−プロピル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド
チオプロピオンアミドの代わりに2−エチル−チオブチルアミドを使用して中間体Oに関して記載するとおり標題化合物を製造する。HPLC(方法F)保持時間5.892分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H326.1およびM−H324.2
【0134】
中間体Y
イミダゾール−1−カルボン酸(2−ジメチルアミノメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド
チオプロピオンアミドの代わりに2−エチル−チオブチルアミドを使用して中間体Oに関して記載するとおり標題化合物を製造する。HPLC(方法F)保持時間3.433分;MS(方法D)メタノール中で調製された試料は対応するウレタンのみ(NH−CO−OCH)の検出に至る:M+H313.1およびM−H311.2
【0135】
中間体Z
イミダゾール−1−カルボン酸(2−シクロプロピルメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド
チオプロピオンアミドの代わりに2−シクロプロパンエタンチオアミドを使用して中間体Oに関して記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間5.17分;MS(方法D)M+H294.2およびM−H292.2
【0136】
中間体AA
2−イソプロピル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イルアミン
【化12】

メタノール中1MのHCl溶液をN−(2−イソプロピル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アセトアミドに添加し、そして混合物を50℃で17時間加熱する。反応混合物を蒸発させ、そして飽和炭酸水素ナトリウム溶液と酢酸エチルの間で分配し、酢酸エチルで3回抽出し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させる。蒸発させた後に標題化合物が得られ、それをさらに精製することなく続く工程で使用する。
【0137】
中間体AA1
N−(2−イソプロピル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アセトアミド
2−アセトアミド−4−メチルチアゾール(300mg)2−ブロモ−4−イソプロピルチアゾール(475mg)炭酸セシウム(1.25g)酢酸パラジウム(43.1mg)、トリ−tertブチルホスホニウムテトラフルオロホウ酸(111mg)およびDMF(2.5ml)の混合物にアルゴンを室温で2分間バブリングする。次いで反応混合物を150℃で1時間加熱し、冷却し、セライトを通して濾過し、メタノール(10mlで2回)で洗浄する。蒸発させることによりメタノールを除去した後、0.45ミクロンPTFE膜フィルターを通して濾過し、そして調製用HPLC/MSにより精製して標題化合物が得られる。
【0138】
実施例1
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−メタンスルホニルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]トリフルオロアセトアミド
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−アミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]トリフルオロ酢酸(39mg)を1,4−ジオキサン(2ml)中4M HCl中に取り、次いで2回蒸発させ、次いでピリジン(1ml)中に取り、そして塩化メタンスルホニル(0.009ml)を室温で添加する。室温で18時間放置した後、さらなる塩化メタンスルホニル(0.009ml)を添加し、そしてさらに24時間後、反応混合物を蒸発させ、そして逆相クロマトグラフィーにより精製する(方法A)。保持時間3.1分の構成要素を含有する分画を蒸発させて、透明な褐色のガラス状物として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間1.38分、M+H431.1
【0139】
実施例2および3
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(4−スルファモイル−フェニルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}および(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−{4−[((S)−2−カルバモイル−ピロリジン−1−カルボニル)−スルファモイル]−フェニルアミノ}−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
カルボニルジイミダゾール(25mg)をトリエチルアミン(0.04ml)およびDMF(1ml)中4−(2'−アミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2−イルアミノ)−ベンゼンスルホンアミド(52mg)に室温で添加する。室温で24時間放置した後、さらなるカルボニルジイミダゾール(25mg)を添加し、そしてさらに6時間後、L−プロリンアミド(19mg)を添加する。室温でさらに24時間放置した後、反応混合物を水(0.4ml)で希釈し、そして逆相精製に直接適用する(方法A)。保持時間9.7分の構成要素を含有する分画を蒸発させて、透明な褐色のガラス状物として(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−{4−[((S)−2−カルバモイル−ピロリジン−1−カルボニル)−スルファモイル]−フェニルアミノ}−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間1.70分、M+H648.2。保持時間10.2分の構成要素を含有する分画を蒸発させて、褐色固体として(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(4−スルファモイル−フェニルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間1.75分、M+H508.0およびM−H506.2
【0140】
実施例4
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ベンゼンスルホニルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−アミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]トリフルオロ酢酸(25mg)を1,4−ジオキサン(2ml)中4M HCl中に取り、次いで2回蒸発させ、次いでピリジン(1ml)中に取り、そして塩化ベンゼンスルホニル(0.009ml)を室温で添加する。室温で18時間および36時間放置した後、さらなる塩化ベンゼンスルホニル(0.009ml)を添加し、そしてさらに6時間後、反応混合物を蒸発させ、そして逆相クロマトグラフィーにより精製する(方法A)。保持時間10.9分の構成要素を含有する分画を蒸発させて、透明な褐色のガラス状物として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間1.87分、M+H493.0およびM−H491.1
【0141】
実施例5
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
カルボニルジイミダゾール(29mg)をトリエチルアミン(0.05ml)およびDMF(1ml)中N**−(3−クロロ−フェニル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2,2'−ジアミン(52mg)に室温で添加する。室温で24放置した後、さらなるカルボニルジイミダゾール(29mg)を添加し、そしてさらに6時間後、L−プロリンアミド(22mg)を添加する。室温でさらに24時間放置した後、反応混合物を水(0.4ml)で希釈し、そして逆相精製に直接適用する(方法A)。保持時間13.7分の構成要素を含有する分画を蒸発させて、ベージュ色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間2.39分、M+H463.0/465.0
【0142】
実施例6
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
DMF(1ml)中イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド(40mg)、L−プロリンアミド(20mg)およびトリエチルアミン(0.02ml)の混合物を室温で18時間放置する。反応混合物を蒸発させた後、水性メタノールからの結晶化による精製により、白色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間2.40分、M+H394.1およびM−H392.3
【0143】
実施例7
(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
DMF(2ml)中イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド(139mg)、(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(73mg)およびトリエチルアミン(0.14ml)の混合物を室温で18時間放置する。反応混合物を蒸発させ、そして残留物を逆相クロマトグラフィーにより精製する(方法A)。保持時間12.3分の構成要素を含有する分画を蒸発させ、NaHCO水溶液を添加し、そして形成された固体を濾過により収集し、CHClおよび水で洗浄する。水性エタノールからの結晶化により灰白色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法C)保持時間1.59分。M+H409.8およびM−H408.0
【0144】
実施例8
(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
DMF(2ml)中イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド(139mg)、(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(73mg)およびトリエチルアミン(0.14ml)の混合物を室温で18時間放置する。反応混合物を蒸発させ、そして残留物を逆相クロマトグラフィーにより精製する(方法A)。保持時間12.9分の構成要素を含有する分画を蒸発させNaHCO水溶液とCHClの間で分配し、CHClで4回抽出し、合わせた有機層を蒸発させ、そして水性エタノールから結晶化して白色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法C)保持時間1.65分、M+H409.8およびM−H408.0
【0145】
実施例9
(2S,3S)−3−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]トリフルオロ酢酸
DMF(1ml)中イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド(37mg)、(2S,3S)−3−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(15mg)およびトリエチルアミン(0.037ml)の混合物を室温で18時間放置する。反応混合物を濾過し、そして蒸発させた後、水性メタノールからの結晶化により精製してベージュ色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間2.21分、M+H409.9およびM−H408.1
【0146】
実施例10
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
DMF(1ml)中イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド(70mg)、(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(28mg)およびトリエチルアミン(0.07ml)の混合物を室温で18時間放置する。反応混合物を蒸発させ、そして残留物を水性メタノールからの結晶化により精製して、白色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間2.57分、M+H407.9およびM−H406.0
【0147】
実施例11
(2S,3S)−3−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
DMF(1ml)中イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド(60mg)、(2S,3S)−3−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(24mg)およびトリエチルアミン(0.06ml)の混合物を室温で18時間放置する。反応混合物を濾過し、そして蒸発させ、そして残留物を逆相クロマトグラフィーにより精製する(方法A)。保持時間15.3分の構成要素を含有する分画を蒸発させ、NaHCO水溶液とCHClの間で分配し、CHClで4回抽出し、合わせた有機層を蒸発させ、そして水性メタノールから結晶化して、白色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間2.48分、M+H407.9およびM−H406.0
【0148】
実施例12
(2S,4R)−4−フルオロ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
DMF(1ml)中イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド(60mg)、(2S,4R)−4−フルオロ−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(25mg)およびトリエチルアミン(0.06ml)の混合物を室温で18時間放置する。反応混合物を濾過し、そして蒸発させ、そして残留物を逆相クロマトグラフィーにより精製する(方法A)。保持時間15.2分の構成要素を含有する分画を蒸発させ、NaHCO水溶液とCHClの間で分配し、CHClで3回抽出し、合わせた有機層を蒸発させ、そして水性メタノールから結晶化し、熱濾過して白色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間2.42分、M+H411.8およびM−H410.0
【0149】
実施例13
アゼチジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
DMF(0.5ml)中イミダゾール−1−カルボン酸(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド(30mg)、アゼチジン−2−カルボン酸アミド(10mg)およびトリエチルアミン(0.03ml)の混合物を室温で36時間放置する。反応混合物を蒸発させ、そして残留物を水性メタノールからの結晶化により精製して、白色固体として標題化合物が得られる。HPLC/MS(方法B)保持時間2.40分、M+H379.8およびM−H378.0
【0150】
実施例14
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
DMF(1.5ml)中イミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド(115mg)、(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(42mg)およびトリエチルアミン(0.10ml)の混合物を室温で3.5時間攪拌する。次いで反応混合物を蒸発させ、そして標題化合物をメタノールおよび水から沈澱させて灰色粉末が得られる。MS(方法D)M+H444.1およびM−H442.2
【0151】
実施例15
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
DMF(1.5ml)中イミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド(115mg)、L−プロリンアミド(38mg)およびトリエチルアミン(0.10ml)の混合物を室温で1時間攪拌する。反応混合物を中圧逆相クロマトグラフィー(C18カラム、0.1%トリフルオロ酢酸を伴う水中0−32%CHCNのグラジエント)により直接精製し、分画を蒸発させてCHCNを除去し、そしてNaHCOでpHを8−9に調整する。次いで濾過により褐色固体として標題化合物を収集する。MS(方法D)M+H430.1およびM−H428.1
【0152】
実施例16
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2,4''−ジメチル[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミド]
【化13】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミド(25mg)をDMF(1ml)中に懸濁し、続いて(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミド(9.1mg)およびトリエチルアミン(0.022ml)を室温で添加する。反応が完了するまで(30分間)反応混合物を攪拌する。EtOAc(50ml)を添加し、そして混合物を水で洗浄する(2回)。減圧下で層から溶媒を除去し、そして残留物をジオキサン中に取り、そして凍結乾燥させる。白色粉末として標題化合物が得られる。HPLC(方法F)保持時間4.65分;MS(方法D)M+H449.0およびM−H447.1
【0153】
実施例17
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(2−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化14】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(2−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間3.61分;MS(方法D)M+H418.1およびM−H416.2
【0154】
実施例18
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(2−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化15】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(2−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間3.73分;MS(方法D)M+H432.1およびM−H430.2
【0155】
実施例19
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロプロピルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化16】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸(2−シクロプロピルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間3.79分;MS(方法D)M+H393.1およびM−H391.2
【0156】
実施例20
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロプロピルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化17】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例19に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間3.90分;MS(方法D)M+H407.1およびM−H405.2
【0157】
実施例21
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ジメチルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化18】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸(2−ジメチルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間3.17分;MS(方法D)M+H381.1およびM−H379.2
【0158】
実施例22
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ジメチルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化19】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例21に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間3.87分;MS(方法D)M+H395.1およびM−H393.2
【0159】
実施例23
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化20】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸[2−(3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.54分;MS(方法D)M+H460.9
【0160】
実施例24
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化21】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例23に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.78分;MS(方法D)M+H474.9
【0161】
実施例25
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−エチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化22】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸(2−エチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間4.27分;MS(方法D)M+H379.8
【0162】
実施例26
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(4'−メチル−2−ピリジン−3−イル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化23】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸(4'−メチル−2−ピリジン−3−イル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間3.66分;MS(方法D)M+H414.8
【0163】
実施例27
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(4'−メチル−2−ピリジン−3−イル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化24】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例26に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間3.78分;MS(方法D)M+H428.8
【0164】
実施例28
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化25】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.83分;MS(方法D)M+H405.8
【0165】
実施例29
(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化26】

(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例28に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間4.21分;MS(方法D)M+H407.8
【0166】
実施例30
(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化27】

(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例28に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.35分;MS(方法D)M+H407.8
【0167】
実施例31
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化28】

(2S,3S)−3−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例11に記載するとおり標題化合物を製造する。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより、CHCl/CHOH(82/18%)で溶離して精製を行う。標題化合物:HPLC(方法F)保持時間4.20分;MS(方法D)M+H437.1およびM−H435.2
【0168】
実施例32
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化29】

(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例28に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.13分;MS(方法D)M+H435.1およびM−H433.1
【0169】
実施例33
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化30】

(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例32に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.63分;MS(方法D)M+H392.1およびM−H390.1
【0170】
実施例34
(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化31】

(2S,3S)−3−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例11に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.23分;MS(方法D)M+H437.2およびM−H435.2
【0171】
実施例35
(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化32】

(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例28に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.17分;MS(方法D)M+H435.2およびM−H433.2
【0172】
実施例36
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(2−フルオロ−フェニル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化33】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸[2−(2−フルオロ−フェニル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.98分;MS(方法D)M+H432.0およびM−H430.1
【0173】
実施例37
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化34】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.53分;MS(方法D)M+H392.1およびM−H390.1
【0174】
実施例38
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化35】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例37に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.71分;MS(方法D)M+H406.1およびM−H404.2
【0175】
実施例39
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化36】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸[4'−メチル−2−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.88分;MS(方法D)M+H460.0およびM−H458.0
【0176】
実施例40
(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1,2−ジカルボン酸1−アミド2−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化37】

(2S,3S)−3−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸アミドを使用して実施例11に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.90分;MS(方法D)M+H406.1およびM−H404.1
【0177】
実施例41
(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1,2−ジカルボン酸1−アミド2−[(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化38】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミドおよび(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.68分;MS(方法D)M+H404.1およびM−H402.1
【0178】
実施例42
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(1−エチル−プロピル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化39】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸[2−(1−エチル−プロピル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.86分;MS(方法D)M+H408.1およびM−H406.2
【0179】
実施例43
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(1−エチル−プロピル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化40】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例42に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間5.05分;MS(方法D)M+H422.1およびM−H420.2
【0180】
実施例44
(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1,2−ジカルボン酸1−アミド2−{[2−(1−エチル−プロピル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化41】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸アミドを使用して実施例42に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間5.00分;MS(方法D)M+H420.1およびM−H418.1
【0181】
実施例45
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド}
【化42】

(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例39に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.78分;MS(方法D)M+H446.0およびM−H444.1
【0182】
実施例46
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ジメチルアミノメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化43】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸(2−ジメチルアミノメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間3.42分;MS(方法D)M+H395.1およびM−H393.2
【0183】
実施例47
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ジメチルアミノメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化44】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例46に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間3.54分;MS(方法D)M+H409.1およびM−H407.2
【0184】
実施例48
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロプロピルメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化45】

イミダゾール−1−カルボン酸(2,4''−ジメチル−[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミドおよび(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりにイミダゾール−1−カルボン酸(2−シクロプロピルメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミドおよび(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例16に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.46分;MS(方法D)M+H392.1およびM−H390.0
【0185】
実施例49
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロプロピルメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化46】

(S)−ピロリジン−2−カルボン酸アミドの代わりに(S)−2−メチル−ピロリジン−2−カルボン酸アミドを使用して実施例48に記載するとおり標題化合物を製造する。標題化合物:HPLC:(方法F)保持時間4.59分;MS(方法D)M+H406.1およびM−H404.2
【0186】
実施例50
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−イソプロピル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]
【化47】

トリエチルアミン(3当量)をDMF(0.1M溶液にするのに十分)中2−イソプロピル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イルアミン(1.0当量)およびカルボニルジイミダゾール(1.1当量)の混合物に室温で添加し、そして混合物を50℃で17時間加熱する。(S)−プロリンアミド(1.1当量)を添加し、そして混合物を50℃でさらに17時間加熱する。次いで反応混合物を0.45ミクロンPTFE膜フィルターに通して濾過し、そして調製用HPLC/MSにより精製して標題化合物が得られる。HPLC/MS、保持時間1.02分、M+H380.0
【0187】
実施例A
PI3キナーゼ阻害剤としての有効性
PI3K KinaseGloアッセイ:希釈化合物50nlを黒色384ウェル低容量ノンバインディングスチレン(NBS)プレート(Costarカタログ番号NBS#3676)に分注した。メタノール中10mg/ml溶液として提供されるL−a−ホスファチジルイノシトール(PI)をガラス管に移し、そして窒素ビーム下で乾燥させた。次いでそれをボルテックスすることにより3%オクチルグルコシド(OG)に再懸濁し、そして4℃で保存した。KinaseGlo発光キナーゼアッセイ(Promega, Madison/WI, USA)は、キナーゼ反応後に溶液に残存するATPの量を定量することによりキナーゼ活性を測定する均質HTS法である。
PI/OGとPI3Kサブタイプの混合物5μlを添加した(表1)。最終容量10μl中に10mM TRIS−HCl(pH7.5)、3mM MgCl、50mM NaCl、0.05%CHAPS、1mM DTTおよび1μM ATPを含有するATPミックス5μlの添加によりキナーゼ反応を開始し、そして室温で行った。KinaseGlo 10μlで反応を停止させ、そして10分後にSynergy2リーダーでウェルあたり0.1秒の積分時間を用いてプレートを読んだ。2.5μMのパンクラス(pan−class)1 PI3キナーゼ阻害剤(標準物質)をアッセイプレートに添加してキナーゼ反応の100%阻止を生じ、そして溶媒ベヒクル(水中90%DMSO)により0%阻止が得られた。標準物質は参照化合物として使用され、そして2検体ずつ16の希釈点の形態で全てのアッセイプレートに含まれた。
【0188】
【表8】

【0189】
PI3Kのクローニング
PI3Kα、PI3KβおよびPI3Kδ構築物はp85α iSH2ドメインおよび各々のp110アイソフォームの融合である。後記でされるような市販の胎盤、精巣および脳由来のRNAからRT−PCRにより作成された第1鎖cDNAからPCRによりp85αフラグメントおよびp110アイソフォーム遺伝子を作成した。PI3Kγ構築物はWilliams lab, MRC Laboratory of Molecular Biology(Cambridge, UK)から入手され(2003年11月)、そして記載される(「そのエフェクターホスホイノシチド3−キナーゼガンマへのRas結合の結晶構造および機能分析」Pacold, Michael E.;Suire, Sabine;Perisic, Olga;Lara−Gonzalez, Samuel;Davis, Colin T.;Walker, Edward H.;Hawkins, Phillip T.;Stephens, Len;Eccleston, John F.;Williams, Roger L., Cell, 103(6):931−943(2000))。
【0190】
【表9】

【0191】
BV1075:バキュロウイルスBV−1075に関する構築物をベクターpBlueBac4.5にクローン化されたp85フラグメントおよびp110αフラグメントからなる三部分ライゲーションにより作成した。p85フラグメントをNhe/Speで消化したプラスミドp1661−2から誘導した。クローンから誘導されたp110αフラグメントをシークエンシングにより確認し、そしてLR410においてSpeI/HindIIIフラグメントとして使用した。バキュロウイルス発現ベクターLR410の作成のために、インサートをGateway適合pBlueBac4.5(Invitrogen)ベクターに移入するためにGateway LR反応を使用した。クローニングベクターpBlueBac4.5(Invitrogen)をNhe/HindIIIで消化した。これは構築物PED153.8に至った。ORF318(前記した)を鋳型として、ならびに1つの順方向プライマーKAC1028(5’−GCTAGCATGCGAGAATATGATAGAT−TATATGAAG−AATATACC)ならびに2つの逆方向プライマーKAC1029(5’−GCCTCCACCAC−CTCCGCCTG−GTTTAATGCTGTTCATACGTTTGTC)およびKAC1039(5’−TACTAGTC−CGCCTCCAC−CACCTCCGCCTCCACCACCTCCGCC)を使用してPCRによりp85構成要素(iSH2)を作成した。2つの逆方向プライマーは重複し、そして12×Glyリンカーおよびp110α遺伝子のN末端配列をSpeI部位に組み込む。12×GlyリンカーはBV1052構築物における単一のGlyリンカーと置き換わる。PCRフラグメントをpCR2.1 TOPO(Invitrogen)にクローン化した。得られたクローンのうち、シークエンシングによりp1661−2が正確であることを決定した。このプラスミドをNheおよびSpeIにより消化し、そして得られたフラグメントをゲル単離し、そしてサブクローニング用に精製した。
【0192】
クローンLR410(前記を参照)をSpeIおよびHindIIIで酵素消化することによりp110αクローニングフラグメントを作成した。SpeI部位はp110α遺伝子のコード化領域にある。得られたフラグメントをゲル単離し、そしてサブクローニング用に精製した。クローニングベクターpBlueBac4.5(Invitrogen)をNheおよびHindIIIで酵素消化することにより調製した。切断ベクターをQiagenカラムで精製し、そして次に仔ウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(CIP)(BioLabs)で脱リン酸化した。CIP反応の完了後、切断ベクターを再度カラム精製して最終ベクターを作成した。Roche Rapidリガーゼおよび製造供給元の仕様書を使用して三部分ライゲーションを実施した。最終プラスミドをシークエンシングにより確認した。
【0193】
キナーゼドメイン
BV1075のタンパク質配列
【表10】

【0194】
【表11】

BV949:p85 PI3Kα、PI3KβおよびPI3KδサブユニットのインターSH2ドメイン(iSH2)に関する、ならびに全長p110βサブユニットに関するPCR生成物を作成し、そしてオーバーラップPCRにより融合させた。市販の胎盤、精巣および脳由来のヒトRNA(Clontech)からRT−PCRにより作成された第1鎖cDNAから、最初にプライマーgwG130−p01(5’−CGAGAATATGATAGATTATATGAAGAAT−3’)およびgwG130−p02(5’−TGGTTT−AATGCTGTTCATACGTTTGTCAAT−3’)を使用してiSH2 PCR生成物が得られた。続いて第2のPCR反応ではプライマーgwG130−p03(5’−GGGACAAGTTTGTACAAAAAAGCAGGCTACGAAGGAGATATACATATGCGAGAATATGATAGATTATATGAAGAAT−3’)およびgwG130−p05(5’−ACTGAAGCATCCTCCTCCTCCTCCT−CCTGGTTTAATGCTGTTCATACGTTTGTC−3’)を使用してp85 iSH2フラグメントの5’末端および3’末端に各々Gateway組換えAttB1部位およびリンカー配列を加えた。鋳型p110βクローン(配列が確認された未知供給源から)を使用して、プライマーgwG130−p04(5’−ATTAAACCAGGAGGAGGAGGAGGAGGATGCTTCAGTTTCATAATGCCTCCTGCT−3’)(リンカー配列およびp110βの5’末端を含有する)およびgwG130−p06(5’−AGCTCCGTGATGGTGATGGTGATGTGCTCCAGATC−TGTAGTCTTTCCGAA−CTGTGTG−3’)(ヒスチジンタグに融合されたp110−βの3’末端の配列を含有する)を使用して、PCRによりp110βフラグメントが得られた。iSH2フラグメントの3’末端およびp110βフラグメントの5’末端でのリンカーの反応であるオーバーラップPCRにより、前記で言及されたgwG130−p03プライマーならびにオーバーラップヒスチジンタグおよびAttB2組換え配列を含有するプライマー(5’−GGGACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGTTTAAGCTCCGTGATGGTGATGGTGATGTGCTCC−3’)を使用してp85−iSH2/p110β融合タンパク質を組み立てた。この最終生成物をGateway(Invitrogen)OR反応においてドナーベクターpDONR201(Invitrogen)に組換えしてORF253エントリークローンを作成した。このクローンをシークエンシングにより確認し、そしてGateway LR反応(Invitrogen)で使用して、インサートをGateway適合pBlueBac4.5(Invitrogen)ベクターに移入してバキュロウイルス発現ベクターLR280を作成した。このLR280はp85配列にアミノ酸変異を有する。
【0195】
キナーゼドメイン
BV949のタンパク質配列
【表12】

【0196】
【表13】

Roger Williams lab, MRC Laboratory of Molecular Biology(Cambridge, UK)から構築物を入手した(2003年11月)。構築物の記載:「そのエフェクターホスホイノシチド3−キナーゼガンマへのRas結合の結晶構造および機能分析」Pacold, Michael E.;Suire, Sabine;Perisic, Olga;Lara−Gonzalez, Samuel;Davis, Colin T.;Walker, Edward H.;Hawkins, Phillip T.;Stephens, Len;Eccleston, John F.;Williams, Roger L. , Cell, 103(6):931−943(2000)。構築物はN末端144アミノ酸を欠如する。
【0197】
BV950のタンパク質配列
【表14】

【0198】
【表15】

BV1060:p85サブユニットのインターSH2ドメイン(iSH2)に関する、および全長p110δサブユニットに関するPCR生成物を作成し、そしてオーバーラップPCRにより融合させた。鋳型としてORF318(前記を参照)ならびにプライマーgwG130−p03(5’−GGGACAAG−TTTGTACAAAAAAGCAGGCTACGAAGGAGATATACATATGCGAGAATATGATAGATTATATGAAGAAT−3’)およびgwG154−p04(5’−TCCTCCTCCTCCTCCTCCTGGTTTAATGCTGTTCATACGTTTGTC−3’)を使用することによりiSH2 PCR生成物を作成した。市販の胎盤、精巣および脳由来のヒトRNA(Clontech)からRT−PCRにより作成された第1鎖cDNAから、最初にプライマーgwG154−p01(5’−ATGCCCCCTGGGGTGGACTGCCCCAT−3’)およびgwG154−p02(5’−CTACTGCCTGTTGTCTTTGGACACGT−3’)を使用してp110δフラグメントが得られた。続くPCR反応では、プライマーgw154−p03(5’−ATTAAACCAGGAGGAGGAGGAGGAGGACCCCCTGGGGTGGACTGCCCCATGGA−3’)およびgwG154−p06(5’−AGCTCCGTGATGGTGATGGTGAT−GTGCTCCCTGCCTGTTGTCTTTGGACACGTTGT−3’)を使用してp110δフラグメントの5’末端および3’末端に各々リンカー配列およびヒスチジンタグを加えた。iSH2フラグメントの3’末端およびp110δフラグメントの5’末端でオーバーラップリンカーによる第3のPCR反応で、前記で言及されたgwG130−p03プライマーならびにオーバーラップヒスチジンタグおよびGateway(Invitrogen)AttB2組換え配列(5’−GGG−ACCACTTTGTACAAGAAAGCTGGGTTTAAGCTCCGTGATGGTGATGGTGAGTGCTCC−3’)を含有するプライマーを使用してp85−iSH2/p110δ融合タンパク質を組み立てた。この最終生成物をGatewayOR反応においてドナーベクターpDONR201(Invitrogen)に組換えしてORF319エントリークローンを作成した。このクローンをシークエンシングにより確認し、そしてGateway LR反応(Invitrogen)で使用して、インサートをGateway適合pBlueBac4.5(Invitrogen)ベクターに移入してバキュロウイルス発現ベクターLR415を作成した。
【0199】
BV1060のタンパク質配列
【表16】

【0200】
PI3Kα、PI3KβおよびPI3Kγ構築物の精製
PI3Kα、PI3KβおよびPI3Kγを2工程クロマトグラフィー:Niセファロース樹脂(GE Healthcare)の固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)およびSuperdex200 26/60カラム(GE Healthcare)を利用するゲル濾過;で精製した。全てのバッファーを4℃まで冷やし、そして氷上で冷やして溶解を実施した。カラム分別を室温で実施した。PI3Kβを精製するために使用した全てのバッファーは後記されるものに加えて0.05%Triton X100を含有した。
【0201】
典型的にはTn5細胞培養物10lからの凍結細胞を「溶解バッファー」20mM Tris−Cl(pH7.5)、500mM NaCl、5%グリセロール、5mMイミダゾール、1mM NaF、0.1μg/mlオカダ酸(OAA)、5mM BME、1倍コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル−EDTAフリー(20錠/1lバッファー、Roche Applied Sciences)、ベンゾナーゼ(25単位/mlバッファー、EMD Biosciences)に1:6(容量/容量)ペレット対溶解バッファーの比率で再懸濁し、そしてぴったり合う乳棒を使用して20ストロークのダウンシング(douncing)により機械的に溶解した。ライゼートを45000gで30分間遠心し、そして上澄を予め平衡にしたIMACカラム(3ml樹脂/100mlライゼート)に負荷した。カラムを3−5カラム容量の溶解バッファーで洗浄し、続いて3−5カラム容量の20mM Tris−Cl(pH7.5)、500mM NaCl、5%グリセロール、45mMイミダゾール、1mM NaF、0.1μg/ml OAA、5mM BME、1倍コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル−EDTAフリーで2回目の洗浄を行った。タンパク質を20mM Tris−Cl(pH7.5)、0.5M NaCl、5%グリセロール、250mMイミダゾール、1mM NaF、0.1μg/ml OAA、5mM BME、1倍コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル−EDTAフリーで溶離した。関連する分画をSDS−PAGEにより分析し、そしてそれに従ってプールした。20mM Tris−Cl(pH7.5)、0.5M NaCl、5%グリセロール、1mM NaF、5mM DTT、1倍コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル−EDTAフリーで平衡にしたSuperdex200 26/60カラムのゲル濾過によりタンパク質をさらに精製した。関連する分画をSDS−PAGEにより分析し、そしてそれに従ってプールした。均等な容量の透析バッファー(20mM Tris−Cl(pH7.5)、500mM NaCl、50%グリセロール、5mM NaF、5mM DTT)をプールに添加し、そして次に2回交換(一晩で1回交換)で透析バッファーに対して透析した。タンパク質を−20℃で保存した。
【0202】
PI3Kδの精製
PI3Kδを3工程クロマトグラフィーで精製した:Niセファロース樹脂(GE Healthcare)の固定化金属アフィニティークロマトグラフィー、Superdex200 26/60カラム(GE Healthcare)を利用するゲル濾過および最後にQ−HPカラム(GE Healthcare)でのイオン交換工程。全てのバッファーを4℃まで冷やし、そして氷上で冷やして溶解を実施した。カラム分別を室温で実施した。
【0203】
典型的にはTn5細胞培養物10lからの凍結細胞を「溶解バッファー」20mM Tris−Cl(pH7.5)、500mM NaCl、5%グリセロール、5mMイミダゾール、1mM NaF、0.1μg/mlオカダ酸(OAA)、5mM BME、1倍コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル−EDTAフリー(20錠/1lバッファー、Roche Applied Sciences)、ベンゾナーゼ(25単位/ml溶解バッファー、EMD Biosciences)に1:10(容量/容量)ペレット対溶解バッファーの比率で再懸濁し、そしてぴったり合う乳棒を使用して20ストロークのダウンシング(douncing)により機械的に溶解した。ライゼートを45000gで30分間遠心し、そして上澄を予め平衡にしたIMACカラム(5ml樹脂/100mlライゼート)に負荷した。カラムを3−5カラム容量の溶解バッファーで洗浄し、続いて3−5カラム容量の20mM Tris−Cl(pH7.5)、500mM NaCl、5%グリセロール、40mMイミダゾール、1mM NaF、0.1μg/ml OAA、5mM BME、1倍コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル−EDTAフリーで2回目の洗浄を行った。タンパク質を20mM Tris−Cl(pH7.5)、500mM NaCl、5%グリセロール、250mMイミダゾール、1mM NaF、0.1μg/ml OAA、5mM BME、1倍コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル−EDTAフリーで溶離した。関連する分画をSDS−PAGEにより分析し、そしてそれに従ってプールした。20mM Tris−Cl(pH7.5)、500mM NaCl、5%グリセロール、1mM NaF、0.1μg/ml OAA、5mM DTT、1倍コンプリートプロテアーゼインヒビターカクテル−EDTAフリーで平衡にしたSuperdex200でゲル濾過によりタンパク質をさらに精製した。関連する分画をSDS−PAGEにより分析し、そしてそれに従ってプールした。これらの分画を「バッファーA」20mM Tris−Cl(pH8.2)、5%グリセロール、1mM NaF、0.1μg/ml OAA、5mM DTTで1:10(容量/容量)プール容量対バッファー比率で希釈し、そして調製されたQ−HPカラムに負荷した。試料負荷が完了した後、3−5カラム容量のバッファーAおよび5%「バッファーB」20mM Tris−Cl(pH8.2)、1M NaCl、5%グリセロール、1mM NaF、0.1μg/mlOAA、5mM DTTで洗浄する。バッファーBの5%−30%グラジエントを使用してタンパク質を溶離する。典型的にはタンパク質を約200mM NaClで溶離する。関連する分画をSDS−PAGEにより分析し、そしてそれに従ってプールした。均等な容量の透析バッファー(20mM Tris−Cl(pH7.5)、500mM NaCl、50%グリセロール、1mM NaF、0.1μg/ml OAA、5mM DTT)をプールに添加し、そして次に2回交換(一晩で1回交換)で透析バッファーに対して透析した。タンパク質を−20℃で保存した。
【0204】
前記したアッセイを用いて以下の結果が得られた。
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
nは0または1を表し;
mは0、1、2、3または4を表し;
は水素または水素とは異なる置換基を表し;
はハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フェニル、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、シクロアルキル、シクロアルコキシを表し、ここで各アルキルもしくはシクロアルキルはハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、フェニルにより一もしくは多置換されていてよく、そしてここで各フェニルはハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、低級アルキルにより一もしくは多置換されていてよいか;または
2つのR置換基は一緒に各々所望によりヒドロキシもしくはハロにより置換されたアルカンジイルもしくはアルケンジイルを形成して環状部分を形成するか;または
2つのR近接置換基は一緒に結合を形成して二重結合を形成し;
は水素、CH、CHOH、CHFを表す)
の化合物またはその塩。
【請求項2】
がC−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、1−(C−C−アルキル)−C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキルC−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、C−C−シクロアルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノC−C−アルキル、C−C−アルキルカルボニル、C−C−アルコキシカルボニル、C−C−アルキルスルフィド、C−C−アルキルスルホン、C−C−アルキルスルホキシド、C−C−アルキルスルホンアミド、C−C−アルキルスルホキシアミド、3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル、ピリジル、ピリジルアミノ、チアゾリル、フェニル、フェニルオキシ、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニル−C−C−アルキルアミノ、ベンゾイル、フェノキシカルボニル、フェニルスルフィド、フェニルスルホキシド、フェニルスルホン、フェニルスルホンアミド、フェニルスルホキシアミドを表し、ここで各C−C−アルキル、C−C−シクロアルキル、ピリジル、チアゾリルまたはフェニルは所望により置換されていてよく;該置換基は1個またはそれより多い、好ましくは1から4個の以下の部分:ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C−C−アルキル、アミノ−C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、N−C−C−アルカノイルアミノ−C−C−アルキル、N−C−C−アルカンスルホニル−アミノ−C−C−アルキル、C−C−アルカンスルフィニル−C−C−アルキル、C−C−アルカンスルホニル−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノ、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、フェニル)−スルホニル−アミノ、C−C−アルカノイルアミノ、スルホ、C−C−アルカンスルホニル、C−C−アルカンスルフィニル、スルファモイル、アミノ−スルホニル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−スルホニル、N−モノ−またはN,N−ジ−(C−C−アルキル)アミノ−スルホニル、プロリン−N−カルボニルアミノスルホニルから独立して選択され;
がハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ、C−C−シクロアルキル、C−C−シクロアルキルオキシ、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、フェニルを表し、ここで各アルキル、シクロアルキルもしくはフェニルはフルオロ、クロロ、シアノ、ヒドロキシ、フェニルにより一もしくは二置換されていてよいか;または
さらなる置換基Rと一緒に基−CH−;−CH(CH)−、−C(CH)−;−CH−CH−、−CH=CH−を表し、それにより二環式部分を形成するか;または
さらなる置換基Rと一緒に結合を表し、不飽和部分を形成し;
が水素またはメチルを表し;
mが0、1または2を表す;
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がC−C−アルキル(とりわけメチル、イソプロピル、1−エチルプロピル、tert−ブチル)、C−C−シクロアルキル(とりわけシクロプロピルまたはシクロブチル)、1−(C−C−アルキル)−C−C−シクロアルキル(とりわけ1−メチル−シクロプロピル)、1−(ハロ−C−C−アルキル)−C−C−シクロアルキル(とりわけ1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)、C−C−シクロアルキルC−C−アルキル(とりわけシクロプロピルメチル)、ハロ−C−C−アルキル(とりわけCF)、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ(とりわけジメチルアミノ)、ジ−C−C−アルキルアミノC−C−アルキル(とりわけジメチルアミノメチル)、C−C−シクロアルキルアミノ(とりわけシクロプロピルアミノ)、C−C−アルキルスルホン(とりわけHCSO−)、C−C−アルキルスルホンアミノ(とりわけHCSONH−)、3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル、ピリジル(とりわけ3−ピリジル)、ピリジルアミノ(とりわけ3−ピリジルアミノ)、チアゾリル(とりわけチアゾール−4−イル)、置換チアゾリル(とりわけメチルチアゾリル、特に2−メチルチアゾール−4−イル)、フェニル、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、フェニルスルホンアミド、フェニルスルホキシアミドを表し、ここで各フェニルはハロ(とりわけFまたはCl、例えばフルオロフェニル、クロロフェニルアミノのようなハロフェニル、さらにとりわけ2−または3−ハロフェニル、例えば2−フルオロフェニル、3−クロロフェニルアミノ)、アミノスルホニル、スルホンアミノ、C−C−アルキル−スルホンアミノ(とりわけHCSONH−またはPhSONH−)、スルファモイル(NHSO−)、置換スルファモイル(例えば(2−カルバモイル−ピロリジン−1−カルボニル)−スルファモイル)からなる群から選択される1個またはそれより多い、好ましくは1個の置換基により置換されていてよく;
がヒドロキシ、メチル、N,N−ジメチルアミノ、フルオロを表す;
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
がメチルを表す、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
nが1を表す、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
mが0を表す、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−メタンスルホニルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]トリフルオロアセトアミド;
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(4−スルファモイルフェニルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−{4−[((S)−2−カルバモイル−ピロリジン−1−カルボニル)−スルファモイル]−フェニルアミノ}−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ベンゼンスルホニルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(3−クロロ−フェニルアミノ)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(2S,3S)−3−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド]トリフルオロ酢酸;
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(2S,3S)−3−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(2S,4R)−4−フルオロ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
アゼチジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(ピリジン−3−イルアミノ)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2,4''−ジメチル[4,2';4',5'']テルチアゾール−2''−イル)−アミド];
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(2−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(2−メチル−1H−イミダゾール−4−イル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロプロピルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロプロピルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ジメチルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ジメチルアミノ−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(3−アザ−ビシクロ[3.2.2]ノン−3−イル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−エチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(4'−メチル−2−ピリジン−3−イル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(4'−メチル−2−ピリジン−3−イル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(2S,4S)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(2S,4R)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(2S,4S)−4−ジメチルアミノ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−メチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(2−フルオロ−フェニル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1,2−ジカルボン酸1−アミド2−[(2−tert−ブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1,2−ジカルボン酸1−アミド2−[(2−シクロブチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(1−エチル−プロピル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[2−(1−エチル−プロピル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(1S,5R)−2−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1,2−ジカルボン酸1−アミド2−{[2−(1−エチル−プロピル)−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−{[4'−メチル−2−(1−トリフルオロメチル−シクロプロピル)−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル]−アミド};
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ジメチルアミノメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−ジメチルアミノメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロプロピルメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
(S)−2−メチル−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−シクロプロピルメチル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];および
(S)−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸2−アミド1−[(2−イソプロピル−4'−メチル−[4,5']ビチアゾリル−2'−イル)−アミド];
から選択される化合物。
【請求項8】
薬剤としての、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物。
【請求項9】
薬剤としての使用のための、とりわけ1つまたはそれより多いホスファチジルイノシトール3−キナーゼ媒介疾患における使用のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物。
【請求項10】
1つまたはそれより多いホスファチジルイノシトール3−キナーゼ媒介疾患の処置のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物の使用。
【請求項11】
1つまたはそれより多いホスファチジルイノシトール3−キナーゼ媒介疾患の処置のための医薬品の製造のための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物の使用。
【請求項12】
処置を必要とする対象に治療上有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物を投与する工程を含む、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ媒介疾患の処置のための方法。
【請求項13】
活性成分として治療上有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物;および1つまたはそれより多い薬学的に許容される担体物質および/または希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項14】
治療上有効量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態の請求項1から7のいずれかに記載の式Iの化合物;治療上有効量の1つまたはそれより多い組み合わせパートナー;および1つまたはそれより多い薬学的に許容される担体物質および/または希釈剤を含む同時または逐次的投与に適合した医薬組成物。
【請求項15】
タンパク質チロシンキナーゼ媒介疾患、とりわけホスファチジルイノシトール3−キナーゼ媒介疾患の処置における使用のための請求項13に記載の医薬組成物または請求項14に記載の組み合わされた医薬組成物。
【請求項16】
各々所望により希釈剤の存在下および所望により反応補助剤の存在下で式IIの化合物:
【化2】

(式中、置換基は請求項1−6にて定義されるとおりである)を活性化剤の存在下で式IIIAの化合物:
【化3】

(式中、置換基は請求項1−6にて定義されるとおりであり、そしてRは加えてCHClを表してよい)(「方法A」)もしくは式IIIBの化合物:
【化4】

(式中、Rは請求項1−6にて定義されるとおりであり;RGは反応基(例えばイミダゾリルカルボニル)を表し、そしてRは請求項1−6にて定義されたとおりであり、そして加えてCHClを表してよい)(「方法B」)のいずれかと反応させる工程を含むか;または
式IVの化合物:
【化5】

(式中、置換基は請求項1−6にて定義されるとおりであり、そしてRは所望により置換されたアルキルまたは所望により置換されたフェニルを表す)を式Vの化合物:
【化6】

(式中、置換基は請求項1−6にて定義されるとおりであり、そしてR)
と反応させる工程を含んでなり;
所望により得られた遊離形態のまたは塩の形態の式Iの化合物を回収し;そして
所望により方法Aもしくは方法Bにしたがって入手可能な式Iの化合物を異なる式Iの化合物に変換し、そして/または式Iの化合物の入手可能な塩をその異なる塩に変換し、そして/または入手可能な遊離の式Iの化合物をその塩に変換し、そして/または式Iの化合物の入手可能な異性体を式Iの1つもしくはそれより多い異なる入手可能な異性体から分離する;請求項1から6のいずれかに記載の式Iの化合物の製造のための過程。

【公表番号】特表2011−506563(P2011−506563A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538732(P2010−538732)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067902
【国際公開番号】WO2009/080705
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】