説明

ビス(トリフルオロメチル)フェニル基を有するグリセリド化合物

【課題】溶解性等に優れ、病巣選択的なリポソーム造影剤に適した化合物の提供。
【解決手段】式(I):


[式中、A1およびA2はそれぞれ独立に酸素原子または単結合を表し;L1およびL2はそれぞれ独立に、主鎖が5〜20個の炭素原子からなる2価の連結基を表し;Xは炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜20個の原子および水素原子からなる基を表す]で表される化合物、又はその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基を有するグリセリド化合物に関する。この化合物はリポソームの膜構成成分として利用することができ、このリポソームはMRIまたはPET造影における造影剤として用いることができる。
【背景技術】
【0002】
非侵襲的な動脈硬化の診断法としては、主にX線血管造影法が挙げられる。しかし、この方法は、水溶性のヨード造影剤で血液の流れを造影する方法であるため、病変組織と正常組織との区別がつけにくい。そのため、狭窄が50%以上進んだ病巣しか検出することができず、虚血性疾患の発作が発症する前に病巣を検出することは困難である。
【0003】
上記以外の診断法として、近年、動脈硬化巣プラーク中に多く動態分布される造影剤を用いて核磁気共鳴トモグラフィー(MRI)により疾患を検出する方法が報告されている。しかし、該造影剤として報告されている化合物はいずれも診断法に用いることには問題がある。例えば、ヘマトポルフィリン誘導体(特許文献1参照)は皮膚への沈着・着色の欠点が指摘されており、また、脂質に富んだプラークに集積するとの報告があるパーフルオロ側鎖を有するガドリニウム錯体(非特許文献1参照)は、脂肪肝・腎臓上皮・筋組織の腱などの、生体における脂質豊富な組織、器官への集積が危惧されている。
【0004】
化合物の観点からは、アルキル基がフッ素置換されたホスファチジルコリン型の化合物(例えば、非特許文献2参照)が知られているが、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基を有するグリセリド化合物に関しては知られていない。
【特許文献1】米国特許第4577636号
【非特許文献1】サーキュレーション(Circulation), 109, 2890 (2004)
【非特許文献2】ラングムイアー(Langmuir), 19, 4889 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、病巣選択的に造影するためのリポソーム造影剤に適した化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は上記の課題を解決すべく研究を行った結果、ビス(トリフルオロメチル)フェニル基を有するグリセリド化合物が造影剤としてのリポソームの構成成分として優れた性質を有していることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
【0007】
すなわち、本発明は、下記一般式(I):
【化1】

[式中、A1およびA2はそれぞれ独立に酸素原子または単結合を表し;L1およびL2はそれぞれ独立に、主鎖が5〜20個の炭素原子からなる2価の連結基を表し;Xは炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜20個の原子および水素原子からなる基を表す]で表される化合物又はその塩を提供するものである。
【0008】
本発明の別の態様としては、下記一般式(II):
【化2】

[式中、A1およびA2はそれぞれ独立に酸素原子または単結合を表し;L1およびL2はそれぞれ独立に、主鎖が5〜20個の炭素原子からなる2価の連結基を表し;Xは炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜20個の原子および水素原子からなる基を表す]で表される化合物、またはその塩が提供される。
【0009】
この発明の好ましい態様によれば、Xが下記一般式(III):
【化3】

[式中、X1は炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜18個の原子および水素原子からなる基を表す] で表される基である上記に記載の化合物またはその塩、もしくは、Xが下記一般式(IV):
【化4】

[式中、X2は炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜16個の原子および水素原子からなる基を表す] で表される基である上記に記載の化合物またはその塩が提供される。
【0010】
さらに、この発明の好ましい態様として、Xが炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜15個の原子および水素原子からなる基である上記に記載の化合物またはその塩、または、Xが炭素原子、酸素原子、窒素原子、およびリン原子からなる群から選択される1〜15個の原子および水素原子からなる官能である上記に記載の化合物、またはその塩があげられる。
【0011】
この発明の別の形態における好ましい態様としては、A1およびA2がともに酸素原子である場合の上記の化合物又はその塩、L1およびL2がそれぞれ独立に、主鎖が10〜20個の炭素原子からなる2価の連結基である場合の上記の化合物又はその塩、さらに、化合物を構成するフッ素原子のうち、少なくとも一つが18F(放射性同位体)である上記の化合物又はその塩が提供される。
【0012】
別の観点からは、本発明により、上記の化合物又はその塩を膜構成成分として含むリポソームが提供され、その好ましい態様によれば、ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンを膜構成成分として含む上記リポソームが提供される。
また、本発明により、上記のリポソームを含むMRI造影剤が提供される。この発明の好ましい態様によれば、血管疾患の造影に用いる上記MRI造影剤;泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる上記MRI造影剤;マクロファージが局在化する組織又は疾患部位の造影に用いる上記のMRI造影剤;マクロファージが局在化する組織が肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる上記のMRI造影剤;マクロファージが局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選ばれる上記のMRI造影剤が提供される。
【0013】
また、同様に、本発明により上記のリポソームを含むPET造影剤が提供される。この発明の好ましい態様によれば、血管疾患の造影に用いる上記PET造影剤;泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる上記PET造影剤;マクロファージが局在化する組織又は疾患部位の造影に用いる上記のPET造影剤;マクロファージが局在化する組織が肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる上記のPET造影剤;マクロファージが局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選ばれる上記のPET造影剤が提供される。
【0014】
さらに、上記MRI造影剤/PET造影剤の製造のための上記の化合物、又はその塩の使用;MRI造影/PET造影法であって、上記の化合物、又はその塩を膜構成成分として含むリポソームを、ヒトを含む哺乳類動物に投与した後にMRI造影/PET造影する工程を含む方法;血管疾患の病巣の造影方法であって、上記の化合物、又は塩を膜構成成分として含むリポソームを、ヒトを含む哺乳類動物に投与した後にMRI造影/PET造影する工程を含む方法が本発明により提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化合物またはその塩は、MRI/PET造影剤のためのリポソームの構成脂質として、そのリポソーム封入量において優れた性質を有しており、この化合物を含むリポソームを用いてMRI造影/PET造影することにより血管の病巣を選択的に造影できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本明細書において、ある基について「置換又は無置換」又は「置換基を有していてもよい」という場合には、その基が1又は2以上の置換基を有する場合があることを示しているが、特に言及しない場合には、結合する置換基の個数、置換位置、及び種類は特に限定されない。ある基が2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。本明細書において、ある基が置換基を有する場合、置換基の例としては、ハロゲン原子(本明細書において「ハロゲン原子」という場合にはフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素のいずれでもよい)、アルキル基(本明細書において「アルキル基」という場合には、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのいずれでもよく、環状アルキル基にはビシクロアルキル基などの多環性アルキル基を含む。アルキル部分を含む他の置換基のアルキル部分についても同様である)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0017】
1およびL2はそれぞれ独立に、主鎖が5〜20個の炭素原子からなる2価の連結基を表す。L1における主鎖とは、L1の構成原子のうち、−A1−とL1に隣接する−CO−とを最短個数で結ぶ原子団を表す。L2における主鎖とは、L2の構成原子のうち、−A2−とL2に隣接する−CO−とを最短個数で結ぶ原子団を表す。このそれぞれの主鎖は、10〜20個の炭素原子からなることが好ましく、14〜18個からなることが最も好ましい。連結基は、上記の主鎖に水素原子のみが結合したものであってもよく、水素原子以外の置換基を有しているものであってもよい。置換基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子からなる群から選択される原子から構成されていることが好ましく、炭素原子、水素原子、酸素原子からなる群から選択される原子から構成されていることがより好ましい。L1およびL2はそれぞれ独立に、このような置換基を有しないことも好ましい。L1およびL2はそれぞれ独立に、直鎖状、分岐鎖状、環状、またはそれらの組み合わせのいずれであってもよいが、直鎖状、分岐鎖状である場合が好ましく、直鎖状である場合が最も好ましい。L1およびL2はそれぞれ、飽和であっても、不飽和結合を含んでいてもよい。不飽和結合を含む場合、その種類、位置、個数は特に規定されない。L1およびL2の特に好ましい例としては、炭素数5〜20の直鎖アルキレン基が挙げられる。また、L1およびL2は互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0018】
本発明の化合物に含まれるビス(トリフルオロメチル)フェニル基は、置換基を有していてもよいが、無置換である場合が好ましい。2個のトリフルオロメチル基の置換位置は特に規定されないが、2個それぞれが、−A1−または−A2−に対してメタ位に置換している場合がより好ましい。
【0019】
Xは、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜20個の原子および水素原子からなる基を表す。このような大きさの基をXとして有する一般式(I)で示される化合物の範囲では、該化合物のリポソーム形成能、および該リポソームの造影剤としての性能は、ほぼ同様である。Xで示される基としては、前述の置換基の例としてあげた置換基、またはそれらの組み合わせがあげられ(ただし、シリル基等は条件から除かれる)、親水性の基または水等の極性溶媒に対して親和性を有する基が好ましい。Xを構成する炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される原子は15個以下であることが好ましく、5〜15個がより好ましい。また、Xは炭素原子、酸素原子、窒素原子、およびリン原子からなる群から選択される1〜20個、好ましくは1〜15個の原子ならびに水素原子からなる基であることがより好ましい。
【0020】
Xとして好ましい基としては、グリセリンと直接結合する部位がカルボニル基である基、またはグリセリンと直接結合する部位がリン酸エステル基である基があげられる。上記式(III)におけるX1または上記式(IV)におけるX2が示す基の種類としては、前述のXが示す基と同様のものがあげられるが、より好ましい基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、4級アンモニウム基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、およびそれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明の化合物は1以上の不斉中心を有する場合があるが、この場合、不斉中心に基づく光学活性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する。純粋な形態の任意の立体異性体、任意の立体異性体の混合物、又はラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含される。また、本発明の化合物はオレフィン性の二重結合を1個又は2個以上有する場合があるが、その配置はE又はZのいずれであってもよく、両者の混合物として存在していてもよい。本発明の化合物は互変異性体として存在する場合もあるが、任意の互変異性体、又はそれらの混合物は本発明の範囲に包含される。さらに、本発明の化合物は塩を形成する場合があり、遊離形態の化合物又は塩の形態の化合物が水和物又は溶媒和物を形成する場合もあるが、このような場合も本発明の範囲に包含される。塩の種類は特に限定されず、酸付加塩又は塩基付加塩のいずれであってもよい。
【0022】
以下に本発明の化合物の好ましい例を示すが、本発明の化合物はこれらの例に限定されることはない。
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
【化7】

【0025】
上記一般式(I)または(II)で表される化合物におけるフッ素原子のうち、少なくとも1つが18Fである化合物としては、1個以上6個以下の18Fを有する化合物が好ましく、1個以上3個以下の18Fを有する化合物がより好ましい。また18Fの位置は特に規定されない。
【0026】
以下に、本発明の化合物の一般的な合成法について説明するが、本発明の化合物の合成法はこれらに限定されるものではない。本発明の化合物の部分構造であるビス(トリフルオロメチル)フェニル基を有するカルボン酸は、通常市販されているものを使用してもよく、あるいは用途に応じて適宜合成してもよい。合成により入手する場合には、例えばRichard C. Larock著、Comprehensive organic transformations(VCH)に記載の方法により、対応するフェノールやアルキルハライド等を原料として用いることができる。
【0027】
上記のカルボン酸は、保護されたグリセリンや1,3-ジヒドロキシアセトンのようなグリセリン誘導体と縮合してグリセリド体へと導く。この際、必要な場合には保護基を用いることもできるが、この場合の保護基とは、例えば、T. W. Green & P. G. M. Wuts著、Protecting groups in organic synthesis(John Wiley & sonc, inc.)に記載のものを適宜選択して用いることができる。
【0028】
上記のグリセリド体は、適宜、前述のProtecting groups in organic synthesis(John Wiley & sonc, inc.)に記載の方法を用いて脱保護した後、適切なカルボン酸、カルボン酸ハライド、アルキルハライド、リン酸クロリド、リン酸アミド、その他リン酸誘導体と反応させることで、目的の化合物へと導くことができる。この際、例えば前述のRichard C. Larock著、Comprehensive organic transformations(VCH)に記載の方法に準拠して行うことができる。
【0029】
また、上記一般式(I)または(II)で表される化合物におけるフッ素原子のうち、少なくとも1つが18Fである化合物は、例えば、J.Labelled Compd. Radiopharm., 40, 11-13 (1997)に記載の方法に準拠して合成することができる。
【0030】
本発明の化合物又はその塩はリポソームの膜構成成分として用いることができる。本発明の化合物又はその塩を用いてリポソームを調整する場合、本発明の化合物又はその塩の使用量は、膜構成成分の全質量に対して5から90質量%程度、好ましくは5から80質量%である。本発明の化合物は膜構成成分として1種類を用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リポソームの他の膜構成成分としては、リポソームの製造に通常用いられている脂質化合物をいずれも用いることが可能である。例えば、Biochim. Biophys. Acta 150(4), 44 (1982)、Adv. In Lipid. Res. 16(1), 1 (1978)、RESEARCH IN LIPOSOMES (P. Machy, L. Leserman著、John Libbey EUROTEXT社)、「リポソーム」(野島、砂本、井上編、南江堂)等に記載されている。脂質化合物としてはリン脂質が好ましく、特に好ましいのはホスファチジルコリン(PC)類である。ホスファチジルコリン類の好ましい例としては、eggPC(卵由来のPC)、ジミリストイルPC(DMPC)、ジパルミトイルPC(DPPC)、ジステアロイルPC(DSPC)、ジオレイルPC(DOPC)等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の好ましい態様では、リポソームの膜構成成分として、ホスファチジルコリンとホスファチジルセリン(PS)を組み合せて用いることができる。ホスファチジルセリンとしては、ホスファチジルコリンの好ましい例として挙げたリン脂質と同様の脂質部位を有する化合物が挙げられる。ホスファチジルコリンとホスファチジルセリンを組み合せて用いる場合、PCとPSの好ましい使用モル比はPC:PS=90:10から10:90の間であり、さらに好ましくは、30:70から70:30の間である。
本発明のリポソームにおける別の好ましい態様によると、膜構成成分として、ホスファチジルコリンとホスファチジルセリンを含み、さらにリン酸ジアルキルエステルを含むリポソームが挙げられる。リン酸ジアルキルエステルのジアルキルエステルを構成する2個のアルキル基は同一であることが好ましく、それぞれのアルキル基の炭素数は6以上であり、10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。好ましいリン酸ジアルキルエステルの例としては、ジラウリルフォスフェート、ジミリスチルフォスフェート、ジセチルフォスフェート等が挙げられるが、これに限定されることはない。この態様において、ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンの合計質量に対するリン酸ジアルキルエステルの好ましい使用量は1から50質量%までであり、好ましくは1から30質量%であり、さらに好ましくは1から20質量%である。
【0032】
ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、リン酸ジアルキルエステ及び本発明の化合物を膜構成成分として含むリポソームにおいて、上記成分の好ましい質量比はPC:PS:リン酸ジアルキルエステル:本発明の化合物が5〜50質量%:5〜50質量%:1〜10質量%:1〜80質量%の間で選択することができる。
本発明のリポソームの構成成分は上記4者に限定されず、他の成分を加えることができる。その例としては、コレステロール、コレステロールエステル、スフィンゴエミリン、FEBS Lett. 223, 42 (1987); Proc. Natl. Acad. Sci., USA 85, 6949 (1988)等に記載のモノシアルガングリオキシドGM1誘導体、Chem. Lett. 2145 (1989); Biochim. Biophys. Acta 1148, 77 (1992)等に記載のグルクロン酸誘導体、Biochim. Biophys. Acta 1029, 91 (1990); FEBS Lett. 268, 235 (1990)等に記載のポリエチレングリコール誘導体が挙げられるが、これに限られるものではない。
【0033】
本発明のリポソームは、当業者が利用可能ないかなる方法で製造してもよい。製造法の例としては、先に挙げたリポソームの総説成書類の他、Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9, 467 (1980)、"Liposomes" (M. J. Ostro編、MARCELL DEKKER、INC.)等に記載されている。具体例としては、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エーテル注入法、コール酸法、カルシウム融合法、凍結融解法、逆相蒸発法等が挙げられるが、これに限られるものではない。本発明のリポソームのサイズは、上記の方法で作成できるサイズのいずれであっても構わないが、通常は平均が400nm以下であり、200nm以下が好ましい。リポソームの構造は特に限定されず、ユニラメラ又はマルチラメラなどのいずれの形態でもよい。また、リポソームの内部に適宜の薬物や他の造影剤の1種又は2種以上を配合することも可能である。
【0034】
本発明のリポソームを造影剤として用いる場合には、好ましくは非経口的に投与することができ、より好ましくは静脈内投与することができる。例えば、注射剤や点滴剤などの形態の製剤を凍結乾燥形態の粉末状組成物として提供し、用事に水又は他の適当な媒体(例えば生理食塩水、ブドウ等輸液、緩衝液など)に溶解ないし再懸濁して用いることができる。本発明のリポソームを造影剤として用いる場合、投与量はリポソーム中の化合物含有量が従来の造影剤の化合物含有量と同程度になるように適宜決定することが可能である。
【0035】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、動脈硬化、若しくはPTCA(経皮的冠動脈形成術)後の再狭窄等の血管疾患においては、血管の中膜を形成する血管平滑筋細胞が異常増殖を起こすと同時に内膜に遊走し、血流路を狭くすることが知られている。正常の血管平滑筋細胞が異常増殖を始めるトリガーはまだ完全に明らかにされていないが、マクロファージの内膜への遊走と泡沫化が重要な要因であることが知られており、その後に血管平滑筋細胞がフェノタイプ変換(収縮型から合成型)をおこすことが報告されている。
【0036】
本発明のリポソームを用いると、泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋に対して規定の造影剤となる化合物を選択的に取り込ませることができる。その結果、病巣と非疾患部位とをコントラストをつけて造影することが可能である。従って、本発明の造影剤は、特に血管疾患の造影に好適に使用でき、例えば、動脈硬化巣やPTCA後の再狭窄等の造影を行うことができる。
【0037】
また、例えば J. Biol. Chem., 265, 5226 (1990)に記載されているように、リン脂質よりなるリポソーム、特にPCとPSから形成されるリポソームが、スカベンジャーレセプターを介してマクロファージに集積しやすいことが知られている。従って本発明のリポソームを使用することにより、本発明の化合物をマクロファージが局在化している組織又は疾患部位に集積させることができる。本発明のリポソームを用いると、公知技術であるサスペンジョン又はオイルエマルジョンを用いる場合に比べて、より多くの規定の化合物をマクロファージに集積させることが可能である。
【0038】
マクロファージの局在化が認められ、本発明の方法で好適に造影可能な組織としては、例えば、血管、肝臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、腎臓上皮を挙げることができる。また、ある種の疾患においては、疾患部位にはマクロファージが集積していることが知られている。こうした疾患としては、腫瘍、動脈硬化、炎症、感染等を挙げることができる。従って、本発明のリポソームを用いることにより、これらの疾患部位を特定することができる。特に、アテローム性動脈硬化病変の初期過程において、スカベンジャーレセプターを介して変性LDLを大量に取り込んだ泡沫化マクロファージが集積していることが知られており〔Am. J. Pathol., 103, 181(1981)、Annu. Rev. Biochem., 52, 223(1983)〕、このマクロファージに本発明のリポソームを集積化させて造影をすることにより、他の手段では困難な動脈硬化初期病変の位置を特定することが可能である。
【0039】
本発明のリポソームを用いた造影方法は特に限定されない。例えば、フッ素の核スピンを測定することにより、MRI造影剤として用いた造影方法を行うことができる。また、18F等の放射性同位体を用いることで、PET造影剤として使用することも可能である。
【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。なお、下記の実施例中の化合物番号は上記に示した化合物例の番号に対応している。また、実施例中で得た化合物の構造はNMRスペクトルにより確認した。
【0041】
化合物1−6 の合成
3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノール20.6gを1規定水酸化ナトリウム 270mLに溶かし、を加え、10時間、加熱還流した。さらに11-ブロモドデカン酸4.7gを加えて加熱還流を続けた後、放冷した。反応溶液に1規定塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒した。得られた結晶をヘキサンで洗浄し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、11-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ドデカン酸を18.4g(50%)得た。
【0042】
水素化ナトリウム0.8gにDMF 5mLとテトラヒドロフラン(THF)20mLを加え、0℃で攪拌した。( S )-(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール2.4gのDMF(3mL)とTHF(3mL)混合溶液を滴下し、0℃で1時間攪拌した。4-メトキシベンジルクロリド2.8mLを加え、室温で3時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を加えて、酢酸エチルで2回抽出し、得られた有機層を水で4回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒し、( S )-(+)-4-(4-メトキシベンジルオキシメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランの粗製物を4.1g(89%)得た。
【0043】
( S )-(+)-4-(4-メトキシベンジルオキシメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランの粗製物4.1gをメタノール10mLに溶解し、1規定塩酸を加えて室温で1日攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてpHを6に調整し、ジクロロメタンで4回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して(R)-(+)-3-(4-メトキシベンジルオキシ)-1,2-プロパンジオールを2.4g(収率69%)得た。
【0044】
(R)-(+)-3-(4-メトキシベンジルオキシ)-1,2-プロパンジオール0.35gをジクロロメタン3mLに溶解し、11-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ドデカン酸1.37gとジメチルアミノピリジン23mg、エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩0.76gを加えて、室温で2日攪拌した。反応溶液に水を加えて、ジクロロメタンで2回抽出し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1,2-ジグリセリドを1.23g(74%)得た。
【0045】
上記1,2-ジグリセリド1.23gにジクロロメタン20mLと水2mLを加え、さらに2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン0.42gを加えて、室温で激しく2時間攪拌した。1規定水酸化ナトリウムを加えた後、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和塩化アンモニウム溶液、飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、脱保護された1,2-ジグリセリドを0.69g(64%)得た。
【0046】
上記1,2-ジグリセリド体0.69gを2mlのジクロロメタンに溶解し、J. Mol. Struct.,560(1-2), 261(2001) に記載の方法に準拠して合成した0.14gのモルホリノ酢酸と10mgのジメチルアミノピリジンを加えた。さらに、1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドの塩酸塩(EDC・HCl )0.22gを加えて室温で1日撹拌した。反応溶液に水を加えて、クロロホルムで2回抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物1−6を0.65g(82%)得た。
化合物1−6:
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 7.43 (2H, s), 7.29 (4H, s), 5.32-5.24 (1H, m), 4.39 (1H, dd), 4.29 (1H, dd), 4.20 (1H, dd), 4.14 (1H, dd), 4.03 (4H, t), 3.76-3.72 (4H, m), 3.22 (2H, s), 2.60-2.55 (4H, m), 2.30 (4H, dt), 1.88-1.65(4H, m), 1.70-1.22 (28H, m).
【0047】
化合物1−2 の合成
7-ブロモヘプタン酸エチルと3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノールをジメチルホルムアミド(DMF)に加え、炭酸カリウムを加えて室温で攪拌した。水を加えて酢酸エチルで2回抽出し、有機層を3回水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、除媒した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して7-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘプタン酸エチルが得られる。
【0048】
7-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘプタン酸エチルを95%エタノールに加え、還流して溶解した後、水酸化ナトリウムを加えてさらに還流を続けた。得られた結晶を濾別、エタノールで洗浄した後、ジクロロメタンと1規定塩酸を加えて、ジクロロメタンで2回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して7-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘプタン酸が得られる。
11-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ドデカン酸の代わりに 7-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘプタン酸を用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物1−2を得ることができる。
【0049】
化合物1−4 の合成
9-ヒドロキシノナン酸メチルとピリジンをジクロロメタンに加え、0℃で攪拌し、メタンスルホニルクロリドを加えて、徐々に室温まで昇温して攪拌した。水を加えた後、ジクロロメタンで2回抽出し、得られた有機層を1規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して9-(メタンスルホニルオキシ)ノナン酸メチルを得た。
【0050】
7-ブロモヘプタン酸エチルの代わりに9-(メタンスルホニルオキシ)ノナン酸メチルを用いた以外は、上述の7-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘプタン酸の合成と同様の手法で9-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ノナン酸を得た。
11-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ドデカン酸の代わりに9-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ノナン酸を用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物1−4を得ることができる。
【0051】
化合物1−8 の合成
トリデカン二酸を用いて、Synth. Commun., 17, 1339 (1987)に記載の方法に準拠して、トリデカン二酸モノメチルを得た。さらに、トリデカン二酸モノメチルを用いて、Aust. J. Chem., 48, 1893 (1995)に記載の方法に準拠して、13-ヒドロキシトリデカン酸メチルを得た。
13-ヒドロキシトリデカン酸メチルを用いて、9-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ノナン酸と同様の手法で13-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)トリデカン酸を得た。
11-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ドデカン酸の代わりに13-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)トリデカン酸を用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物1−8を得ることができる。
【0052】
化合物1−10 の合成
19-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ナノデカン酸とマロン酸ジエチルを用いて、Arch. Pharm. (Weinheim) 328, 271 (1995)の手法に準拠して2炭素増炭し、21-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘンエイコサン酸を得た。
11-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ドデカン酸の代わりに21-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ヘンエイコサン酸を用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物1−10を得ることができる。
【0053】
化合物2−1 の合成
モルホリンと無水コハク酸を酢酸エチルに溶解して還流した後、溶媒を留去して、モノモルホリノコハク酸の粗製物を得た。モルホリノ酢酸の代わりにこの粗製物を用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物2−1を得ることができる。
【0054】
化合物2−2 の合成
無水コハク酸0.15gと化合物1−6の合成に用いた1,2-ジグリセリド体をジクロロメタンに溶解し、ピリジンとジメチルアミノピリジンを加えて還流した。反応溶液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物2−2を得ることができる。
【0055】
化合物2−3 の合成
化合物2−2とトリエチレングリコールモノエチルエーテルを用い、化合物1−6の合成の際に用いたEDC・HClを用いた縮合反応により、化合物2−3を得ることができる。
【0056】
化合物2−4 の合成
化合物2−2と25%アンモニア水を用い、化合物1−6の合成の際に用いたEDC・HClを用いる縮合反応により、化合物2−4を得ることができる。
【0057】
化合物2−5 の合成
化合物2−2を用い、J. Med. Chem., 40, 3381 (1997)記載の方法に準拠して、化合物2−5を得ることができる。
【0058】
化合物2−6 の合成
J. Mol. Struct.,560(1-2), 261(2001) に記載の方法に準拠して合成した3−モルホリノプロパン酸、4−モルホリノブタン酸、5−モルホリノペンタン酸、6−モルホリノヘキサン酸をモルホリノ酢酸の代わりにそれぞれ用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様にして化合物2−6(n=2,3,4,5)を得ることができる。
【0059】
化合物2−7 の合成
モルホリノ酢酸の代わりに酢酸を用いる以外は、上述の化合物1−6と同様の手法により化合物2−7を得ることができる。
【0060】
化合物2−8 の合成
モルホリノ酢酸の代わりにN,N−ジメチルグリシンを用いる以外は、上述の化合物1−6と同様の手法により化合物2−8を得ることができる。
【0061】
化合物2−11 の合成
2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノールをテトラヒドロフランに溶かし、0℃で撹拌した。60%水素化ナトリウムをゆっくりと加え、撹拌しながら室温まで昇温し、撹拌を続けた。再び0℃に冷却してクロロアセチルモルホリンをテトラヒドロフランに溶かして加え、室温で撹拌した。水を加えて、酢酸エチルで2回抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒し、モルホリン置換グリセリン誘導体を得た。
【0062】
上記のグリセリン誘導体にジオキサン塩酸溶液(〜4mol/L)を加えて撹拌し、反応終了後、溶媒を除媒し、目的のジオールを粗製物として得た。
上記ジオールと11-(3, 5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ドデカン酸を用いて、J. Med. Chem., 29(12), 2457 (1986)に記載の方法に準拠して化合物2−11を得た。
【0063】
化合物2−12 の合成
クロロアセチルモルホリンの代わりにブロモ酢酸tブチルを用いた以外は、上述の化合物2−11の合成と同様の手法により化合物2−12のtブチル保護体を得た。上記保護体をジクロロメタンに溶かし、トリフルオロ酢酸を加えて、室温で撹拌した。反応溶液に水とクロロホルムを加え、3回抽出した後、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物2−12を得た。
【0064】
化合物2−9 の合成
シス−1,3−O−ベンジリデングリセロールをテトラヒドロフランに溶かし、0℃で撹拌した。60%水素化ナトリウムをゆっくりと加え、撹拌しながら室温まで昇温して撹拌を続けた。再び0℃に冷却してブロモ酢酸エチルをテトラヒドロフラン3mlに溶かして加え、室温で撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を加えて、酢酸エチルで2回抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、グリセリン置換酢酸誘導体を得た。
【0065】
上記のグリセリン誘導体をエタノールに溶かし、水と水酸化ナトリウムを加えて加熱還流した。室温まで冷却した後、1規定塩酸を用いてpH1〜2に調整し、クロロホルムを用いて3回抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒して目的のカルボン酸を得た。
モルホリノ酢酸の代わりに上記カルボン酸を用いた以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物2−9のアセタール保護体を得た。さらに、化合物2−12と同様の酸を用いた脱保護反応を行い、化合物2−9を得た。
【0066】
化合物2−13 の合成
モルホリノ酢酸の代わりに2-フランカルボン酸を用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物2−13を得ることができる。
【0067】
化合物2−14 の合成
モルホリノ酢酸の代わりにテトラヒドロ-2-フランカルボン酸を用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物2−14を得ることができる。
【0068】
化合物2−15 の合成
モルホリノ酢酸の代わりにテトラヒドロ-3-フランカルボン酸を用いる以外は、上述の化合物1−6の合成と同様の手法により化合物2−15を得ることができる。
【0069】
化合物2−17 の合成
化合物2−12と25%アンモニア水を用い、化合物1−6の合成の際に用いたEDC・HClを用いた縮合反応により、化合物2−17が得られる。
【0070】
化合物2−18 の合成
トリエチレングリコールモノエチルエーテルをテトラヒドロフランに溶かし、トシルクロリドを加えた。0℃に冷却してトリエチルアミンを加え、0℃および室温で撹拌した。反応溶液に1規定塩酸と酢酸エチルを加え、酢酸エチルで2回抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して目的のトシル体を得た
クロロアセチルモルホリンの代わりに上記のトシル体を用い、上述の化合物2−11の合成と同様の手法で化合物2−18を得た。
【0071】
化合物2−19 の合成
Arch. Pharm. (Weinheim), 328, 271 (1995)記載の手法により、2−(シス−1,3−O−ベンジリデングリセロイル)エタノールを合成した。これにT. W. Green & P. G. M. Wuts著、Protecting groups in organic synthesis(John Wiley & sonc, inc.)に記載の方法に準拠して、t−ブチルジメチルシリル(TBS)保護基で保護を行ったものをクロロアセチルモルホリンの代わりに用い、上述の化合物2−11と同様の手法を用いて化合物2−19のTBS保護体を得た。さらに、上記Protecting groups in organic synthesisに記載の方法に準拠して、TBS基を脱保護し、化合物2−19を得た。
【0072】
化合物2−20 の合成
化合物1−6の合成に用いた1,2-ジグリセリド体をN,N−ジメチルホルムアミドに溶かし、0℃で撹拌した。水素化ナトリウムを加えた後、室温に昇温し、1,3-プロパンスルトンを加えてさらに撹拌を続けた。反応溶液に1規定塩酸を加え、ジクロロメタンで3回抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、除媒して化合物2−20を得た。
【0073】
化合物3−6 の合成
上記の1,2-ジグリセリド体1.78gをテトラヒドロフラン10mLに溶かし、2-クロロ-1,3,2-ジオキサフォスフォラン-2-オキシド0.72gを加え、0℃で撹拌した。トリエチルアミン0.84mLを加え、室温に昇温して8時間撹拌した。再度、0℃に冷却し、2-クロロ-1,3,2-ジオキサフォスフォラン-2-オキシド0.29gとトリエチルアミン0.28mLを加えて室温で撹拌した。生じた無機塩を濾別し、テトラヒドロフランで洗浄した後、除媒した。得られた残渣をテトラヒドロフラン5mLに溶かし、トリメチルアミン3mLをアセトニトリル20mLに溶かしたものを加え、封かんして70℃で15時間撹拌した。放冷後、生じた結晶を濾別し、得られた溶液を除媒した。残渣に酢酸エチル/アセトニトリル混合溶液を加え、生じた結晶を濾別し、得られた溶液を除媒し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物3−6を0.94g(45%)得た。
化合物3−6:
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 7.46 (2H, s), 7.42 (4H, s), 5.30-5.20 (1H, m), 4.42 (1H, dd), 4.35 (2H, bs), 4.34 (1H, dd), 4.18 (1H, dd), 4.08(1H, dd), 4.06 (4H, t), 3.83 (2H, bs), 3.39 (9H, s), 2.34 (4H, dt), 1.80(4H, quin), 1.65-1.24 (28H, m).
【0074】
化合物4−6 の合成
Boc-Ser-OtBu 0.38gを5mlのジクロロメタンに溶解し、トリエチルアミン0.45gを加えて0℃で撹拌した。塩化 N, N-ジイソプロピルメチルフォスフォンアミド0.37mLを加えて0℃で20分間撹拌した。氷冷の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、ジクロロメタンで2回抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒した。
得られた残渣に、上記1,2-ジグリセリド体1.30gを20mlのジクロロメタンに溶解して加え、テトラゾール0.14gを加えて室温で1時間撹拌した。反応溶液に過酸化水素水(31%)0.5mLを加えて、室温で20分間撹拌した後、反応溶液に飽和食塩水を加えた。この溶液をジクロロメタンで2回抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、リン酸トリエステルを1.22g(69%)得た。
【0075】
上記リン酸トリエステル1.22gをメチルエチルケトン10mLに溶かし、ヨウ化ナトリウム0.74gを加えて30分間加熱還流した。反応溶液に1規定塩酸を加え、クロロホルム/メタノール(5/1)の混合溶液で抽出し、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、除媒し、リン酸ジエステルを1.17g(97%)得た。
【0076】
上記リン酸ジエステル1.17gに塩酸/ジオキサン溶液(〜4mol/L)4mLを加えて室温で撹拌した。溶媒を留去して、得られた残渣にアセトニトリルを加えて、再結晶(3回)をおこない、化合物4−6を0.80g(78%)得た。
化合物4−6
1H-NMR (300MHz, CD3OD) δ: 7.46 (2H, s), 7.42 (4H, s), 5.30-5.20 (1H, m), 4.42 (1H, dd), 4.40-4.25 (3H, m), 4.21-4.00 (4H, m), 4.08 (4H, t), 2.34 (4H, dt), 1.80(4H, quin), 1.65-1.24 (28H, m).
Mass(MALDI-TOFF) : m/z (α-cyano-4-hydroxycinnamic acid) 1074(M+Na); 1050 (M-H)
【0077】
化合物5−6 の合成
1,3-ジヒドロキシアセトン(2量体)225mgをジクロロメタン10mLに溶解し、11-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェノキシ)ドデカン酸2.08gとジメチルアミノピリジン32mg、エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩1.22gを加えて、室温で3時間攪拌した。反応溶液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、ジエステル体0.88g(40%)を得た。
【0078】
上記エステル0.88gをテトラヒドロフラン10mLに溶かし、1mLの水を加えて0℃で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム56mgを少しずつ加え、0℃のまま1時間、撹拌を続けた。飽和塩化アンモニウム溶液を加えた後、ジクロロメタンで2回抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、1,3-ジグリセリド0.75g(85%)を得た。
【0079】
上記の1,3-ジグリセリドを1,2-ジグリセリド体の代わりに用いた以外は、化合物1−6の合成と同様の手法で化合物5−6を得た。
化合物5−6:
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 7.43 (2H, s), 7.29 (4H, s), 5.36-5.27 (1H, m), 4.32 (2H, dd), 4.14 (2H, dd), 4.03 (4H, t), 3.78-3.72 (4H, m), 3.24 (2H, s), 2.62-2.55 (4H, m), 2.30 (4H, t), 1.88-1.76(4H, m), 1.70-1.22 (28H, m).
【0080】
化合物6−2の合成
1,2-ジグリセリド体の代わりに前述の1,3-ジグリセリドを用いた以外は、化合物3−6の合成と同様の手法で化合物6−2を得た。
化合物6−2:
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ: 7.42 (2H, s), 7.28 (4H, s), 4.58-4.46 (1H, m), 4.35 (2H, bs), 4.26 (4H, dd), 4.03 (4H, t), 3.39 (9H, s), 3.83 (2H, bs), 3.78-3.72 (4H, m), 2.30 (4H, t), 1.88-1.76(4H, m), 1.70-1.22 (28H, m).
【0081】
化合物6−3の合成
1,2-ジグリセリド体の代わりに前述の1,3-ジグリセリドを用いた以外は、化合物4−6の合成と同様の手法で化合物6−3を得た。
化合物6−3:
1H-NMR (300MHz, CD3OD) δ: 7.47 (2H, s), 7.42 (4H, s), 4.62-4.53 (1H, m), 4.38-4.20 (7H, m), 4.10 (4H, t), 2.36 (4H, t), 1.88-1.76(4H, m), 1.70-1.22 (28H, m).
【0082】
試験例1:リポソーム形成
J. Med. Chem., 25(12), 1500 (1982) に記載の方法に従い、下記に示した割合のジ・パルミトイル PC(フナコシ社製、No.1201-41-0225)、ジ・パルミトイル PS(フナコシ社製、No.1201-42-0237)を、本発明の化合物とともにナス型フラスコ内でクロロホルムに溶解して均一溶液とした後、溶媒を減圧で留去してフラスコ底面に薄膜を形成した。この薄膜を真空で乾燥後、0.9%生理食塩水(光製薬社製、No512)を適当量加え、超音波照射(Branson社製、No.3542プローブ型発振器、0.1mW)を氷冷下5分実施することにより、均一なリポソーム分散液を得た。得られた分散液の粒径をWBCアナライザー(日本光電社製、A-1042)で測定した結果、粒子径は85から110nmであった。このように本発明の化合物は効率よく下記組成リポソームに封入することができ、造影剤のためのリポソームの構成脂質として優れた性質を有することが明らかである。
【0083】
【表1】

【0084】
試験例2:血管平滑筋細胞における化合物の取り込み量
試験例1の方法により調製した上記リポソーム製剤を日本国特許、特願2001−018573記載の血管平滑筋細胞とマクロファージとの混合培養系に添加し、37℃5%CO2で24時間培養した後、血管平滑筋細胞に取り込まれた該化合物を定量した。このように本発明の化合物は効率よく血管平滑筋細胞に取り込ませることができ、造影剤のためのリポソームの構成脂質として優れた性質を有することが明らかである。
【0085】
【表2】

【0086】
試験例3:マウス3日間連続投与毒性試験
ICRマウス雄6週齢(日本チャールスリバー)を購入し、1週間の検疫期間の後、クリーン動物舎内(空調:へパフィルター クラス1000、室温:20℃〜24℃ 湿度:35%〜60%)で1週間馴化した。その後、MTD(最大耐量)値を求めるため、尾静脈より被験化合物のマウス血清懸濁液を投与した。被験化合物のマウス血清懸濁液は、生理食塩水(光製薬社製)又はグルコース溶液(大塚製薬社製)のいずれかを溶媒として投与した。次に求められたMTD値をもとに、その1/2量を3日間、尾静脈より3日間連続で投与した(n=3匹とする)。症状観察は各投与後6時間までとし、神経毒性を観察後、剖検を行ない、主要臓器について所見を取った。本発明の化合物は低毒性で、神経毒性も示さないことが明らかであり、MRI造影剤のためのリポソームの構成脂質として優れた性質を有することが明らかである。
【0087】
【表3】

【0088】
試験例4:ワタナベウサギ(WHHL)MRI造影試験
定法に従い、PC(ジパルミトイルフォスファチジルコリン フナコシ社製No,850355C)、PS(ジパルミトイルフォスファチジルセリン フナコシ社製No,840037C)、化合物1−6のクロロホルム溶液より、PC:PS:化合物1−6=50:50:40(nmol)のリポソーム製剤を作製した。(サイズ:85〜120nm)
製剤には注射用水(大塚製薬社製)を使用した。
大動脈弓部に病巣が形成されている12ヵ月齢のWHHLウサギ(北山ラベス社製)を入手し、1週間馴化飼育した。耳下静脈より上記リポソーム製剤を投与し(化合物1−6換算で80mg/kg)、15分後、弓部の病巣にターゲットを絞りフッ素MRIの造影を行った。結果を図1から3に示す。図からわかるように、大動脈弓部に造影剤が集積し、病巣の造影実験に成功した。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明のリポソームを用いてWHHLウサギ大動脈弓部の病巣動脈硬化巣をMRI造影(プロトンMRI T1強調)した結果を示す写真である。
【図2】本発明のリポソームを用いてWHHLウサギ大動脈弓部の病巣動脈硬化巣をMRI造影(19F-MRI)した結果を示す写真である。
【図3】図1および図2に示すMRI造影画像の重ね合わせを示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I):
【化1】

[式中、A1およびA2はそれぞれ独立に酸素原子または単結合を表し;L1およびL2はそれぞれ独立に、主鎖が5〜20個の炭素原子からなる2価の連結基を表し;Xは炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜20個の原子および水素原子からなる基を表す]で表される化合物、またはその塩。
【請求項2】
下記の一般式(II):
【化2】

[式中、A1およびA2はそれぞれ独立に酸素原子または単結合を表し;L1およびL2はそれぞれ独立に、主鎖が5〜20個の炭素原子からなる2価の連結基を表し;Xは炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜20個の原子ならびに水素原子からなる基を表す]で表される化合物、またはその塩。
【請求項3】
Xが、下記の一般式(III):
【化3】

[式中、X1は炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜18個の原子ならびに水素原子からなる基を表す]で表される基である請求項1または2に記載の化合物、またはその塩。
【請求項4】
Xが、下記の一般式(IV):
【化4】

[式中、X2は炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜16個の原子ならびに水素原子からなる基を表す]で表される基である請求項1または2に記載の化合物、またはその塩。
【請求項5】
Xが炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、および硫黄原子からなる群から選択される1〜15個の原子ならびに水素原子からなる基である請求項1または2に記載の化合物、またはその塩。
【請求項6】
Xが炭素原子、酸素原子、窒素原子、およびリン原子からなる群から選択される1〜15個の原子ならびに水素原子を付与した基である請求項1または2に記載の化合物、またはその塩。
【請求項7】
1およびA2がともに酸素原子である請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項8】
1およびL2がそれぞれ独立に、主鎖が10〜20個の炭素原子からなる2価の連結基で表される請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項9】
化合物を構成するフッ素原子のうち、少なくとも1つが18Fである請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物、またはその塩。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を膜構成成分として含むリポソーム。
【請求項11】
ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンを膜構成成分として含む請求項10に記載のリポソーム。
【請求項12】
請求項10又は11に記載のリポソームを含むMRI造影剤。
【請求項13】
血管疾患の造影に用いるための請求項12に記載のMRI造影剤。
【請求項14】
泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる請求項12に記載のMRI造影剤。
【請求項15】
マクロファージが局在化する組織又は疾患部位の造影のための請求項12に記載のMRI造影剤。
【請求項16】
マクロファージが局在化する組織が肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる請求項15に記載のMRI造影剤。
【請求項17】
マクロファージが局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選ばれる請求項15に記載のMRI造影剤。
【請求項18】
請求項10又は11に記載のリポソームを含むPET造影剤。
【請求項19】
血管疾患の造影に用いるための請求項18に記載のPET造影剤。
【請求項20】
泡沫化マクロファージの影響で異常増殖した血管平滑筋細胞の造影に用いる請求項18に記載のPET造影剤。
【請求項21】
マクロファージが局在化する組織又は疾患部位の造影のための請求項18に記載のPET造影剤。
【請求項22】
マクロファージが局在化する組織が肝臓、脾臓、肺胞、リンパ節、リンパ管、及び腎臓上皮からなる群から選ばれる請求項21に記載のPET造影剤。
【請求項23】
マクロファージが局在化する疾患部位が腫瘍、炎症部位、及び感染部位からなる群から選ばれる請求項21に記載のPET造影剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−88064(P2008−88064A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267249(P2006−267249)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】