説明

ビタミンd類似体の合成方法

【課題】ビタミンD2誘導体及び中間体をビタミンD2誘導体に調製する方法を開示する。
【解決手段】トランス出発材料(II)からシス中間体(I)を調製する改良された光分解プロセスを開示する。また、ビタミンD2誘導体のC22-C23にトランス二重結合を形成する改良された方法を開示し、化合物(IIIA)の望ましくないシス二重結合より高い選択性の化合物(III)の望ましいトランス二重結合が得られる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2008年11月26日に出願の米国仮出願第61/118,030号の35 U.S.C. §119(e)に基づく優先権利益をこれによって請求し、この開示内容は本願明細書に全体として含まれるものとする。
開示の分野
本開示は、一般的には、ビタミンD前駆体及び類似体を調製する方法に関する。より詳細には、本開示は、光分解及びウィッティヒケミストリーを用いてビタミンD2類似体を合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンD類似体が医薬活性を有することは既知であり、様々な状態、例えば、乾癬や腫瘍性疾患を治療するのに有効である。ビタミンD2及びその類似体を調製する以前の既知の合成経路は、二重結合の形成の選択性が不充分であり、複数の精製を必要として、適切な純度の生成物を得ることができる。例えば、Coutts, et al., Org. Proc. Res. Dev., 6(3):246-255 (2002)、Kutner, et al., J. Org. Chem., 53:3450-3457 (1988)を参照のこと。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、二重結合形成の選択性が改善され且つ最終生成物の純度がより高いビタミンD2及びその類似体を調製する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ビタミンD2又はその類似体を調製する方法、又はビタミンD2又はその類似体の合成のための中間体を本明細書に開示する。従って、一態様は、式(I)の化合物を合成する方法であって、
【0005】
【化1】

【0006】
式(II)の化合物を露光して、式(I)の化合物を形成する工程であって、光が360 nmを超える波長を有し、露光する工程が約15℃未満の温度で行われる、前記工程を含む、前記方法を提供する
【0007】
【化2】

【0008】
(式中、P1及びP2は、各々独立して、水素及びヒドロキシル保護基からなる群より選ばれる)。
波長は、360 nmを超え得る、例えば、360 nm〜400 nmの範囲であり得る。P1とP2は、同じか又は異なり得る。必要により、露光する工程は、9-アセチルアントラセン、アクリジン、フェナジン、アントラセン、又はこれらの組み合わせの存在下に行われてもよい。更に必要により、露光する工程は、有機塩基の存在下に行われてもよい。有機塩基は、アルキルアミン、例えば、トリエチルアミンを含み得る。望ましい波長を露光するために、励起光がウランフィルターによってろ過され得る。露光する工程が1時間未満で、式(I)の化合物の収率が95%を超える結果となり得る。露光する工程が45分未満で、式(I)の化合物の収率が98%を超える結果となり得る。
本開示の他の態様は、式(III)の化合物と必要により式(IIIA)の化合物を調製する方法であって、
【0009】
【化3】

【0010】
式(IV)の化合物と式(V)の化合物を混合して、式(III)の化合物と必要により式(IIIA)の化合物を形成する工程であって、式(III)の化合物と式(IIIA)の化合物との比が少なくとも95:5である、前記工程を含む、前記方法を提供する
【0011】
【化4】

【0012】
(式中、Rは、各々独立して、アルキル基又はアリール基であり; P1、P2、及びP3は、各々独立して、水素及びヒドロキシル保護基からなる群より選ばれる)。
Rは、メチル、エチル、プロピル、フェニル、置換フェニル、又はナフチルであり得る。P1とP2は、同じか又は異なり得る。必要により、P1、P2、及びP3の少なくとも1つは、シリル保護基である。式(III)の化合物と式(IIIA)の化合物との比は、好ましくは少なくとも98:2又は少なくとも99:1である。式(V)の化合物は、
【0013】
【化5】

【0014】
の立体化学を有することになり、式(III)の化合物は、
【0015】
【化6】

【0016】
の立体化学を有することになる。
P1、P2、又はP3の少なくとも1つが水素でない実施態様において、方法は、更に、P1、P2、及びP3の非水素ヒドロキシル保護基を除去して、P1、P2、及びP3の各々が水素であるような式(III)の化合物を形成することを含み得る。これらの実施態様において、方法は、更に、式(III)の化合物をアセトンと水を含む溶媒混合物から結晶化して、単一の結晶化工程で少なくとも99質量%或いは少なくとも99.5質量%純度を有する式(III)の化合物の結晶を得ることを含み得る。
或いは、式(III)の化合物の結晶化は、式(III)の化合物をt-ブチルメチルエーテル(tBuOMe)から結晶化して、単一の結晶化工程で少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は少なくとも99.7%純度を有する式(III)の化合物の結晶を得ることを含み得る。
好ましくは、結晶は、メチルホルマートを含まない。
必要により、方法は、更に、減圧下に35℃を超える温度、例えば、約40℃で結晶を乾燥させる工程を含んでいてもよい。
本開示の他の態様は、式(V)の化合物を提供する
【0017】
【化7】

【0018】
(式中、Rは、各々独立して、アルキル基又はアリール基であり、P3は、水素又はヒドロキシル保護基である)。
P3は、シリル基であり得る。Rは、メチル、エチル、プロピル、フェニル、置換フェニル、又はナフチルであり得る。必要により、式(V)の化合物は、
【0019】
【化8】

【0020】
の立体化学を有していてもよい。
本明細書に記載される組成物及び方法について、好ましい特徴、例えば、成分、その組成範囲、置換基、条件、工程は、本明細書に示される種々の例から選ばれ得る。
態様及び利点は、更に、以下の詳細な説明を検討することから当業者に明らかになる。方法は様々な形態の実施態様が可能であるが、以下の説明は開示が例示であるという了解の下で個々の実施態様を含み、本発明を本明細書に記載される個々の実施態様に限定しないことを意図する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
式(I)の化合物及び式(III)の化合物を調製する改良された方法を本明細書に開示する。一改良方法は、以前の方法より高速な反応時間を有する光分解反応を含み且つ望ましいシス化合物(I)に多く変換する。他の改良された方法は、以前の方法よりC22、C23のトランス二重結合の選択性が高い式(III)の化合物の形成且つ式(IIIA)の望ましくないシス化合物の少ない形成を含む。次に、式(III)の得られた化合物を脱保護することができ、得られたビタミンD2化合物はより少ない結晶化で精製することができる。
式(I)の化合物は、式(II)の化合物を露光することによって形成され得る
【0022】
【化9】

【0023】
(式中、P1及びP2は、各々独立して、水素及びヒドロキシル保護基からなる群より選ばれる)。
光は、好ましくは360 nmより大きい波長を有する。例えば、光は、360 nm〜400 nmの範囲の波長を有し得る。このような波長を有する光は、例えば、紫外線灯からの光をウランフィルターによってろ過することにより得ることができる。波長を示した光を得るための他の手段には、重クロム酸塩等の化学溶液の使用が含まれる。
式(II)の化合物は、好ましくは、低温、例えば、約15℃以下で適切な波長に露光される。温度は、約10℃以下、5℃以下、又は0℃以下であり得る。他の企図される温度は、約-10℃〜約15℃、約-7℃〜約10℃、約-5℃〜約7℃の範囲に含まれる。
式(II)の化合物が露光されて、式(I)の化合物を高収率で形成するのに必要とする時間は、以前の方法で必要とされた時間より非常に短い時間であり得る。以前の方法は400分を超える露光を必要とし、出発材料の変換はまだ完了しなかった(例えば、Shimizu, et al., Chem. Pharm. Bull. 49(3) 312-317 (2001)を参照のこと)。本明細書に開示される方法において、式(I)の化合物は、1時間未満の露光において95%を超える収率で形成され得る。好ましくは、式(I)の化合物は、45分未満の露光において98%を超える収率で形成され得る。式(I)への式(II)の化合物の変換は、例えば、HPLCによって、反応混合物のアリコートを種々の時間で分析することによってモニタされ得る。それ故、式(II)の化合物を露光する時間は、45分よりかなり短い時間になり、変換は、分析技術、例えばHPLCで求めた場合、98%を超え得る。
露光される混合物は、更に、有機塩基を含み得る。有機塩基は、反応条件と適合する有機塩基であり得るが、好ましくはアルキルアミンである。塩基は、化合物についての保護基の切断、特にシリル保護基の切断を防止するか、最小限にするか又は避けるために用いられる。アルキルアミンは、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、又はトリアルキルアミンであり得る。アミンについてのアルキル基は、同じか又は異なり得る。典型的には、アルキル基は、分枝鎖、直鎖、又は環状の炭素1〜10個を有することになる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、及びデシルが挙げられるがこれらに限定されない。好ましいアルキルアミンは、トリエチルアミンである。
また、式(III)の化合物と、必要により式(IIIA)の化合物を、式(IV)の化合物と式(V)の化合物から調製する方法であって、式(III)の化合物と式(IIIA)の化合物との比が少なくとも95:5である、前記方法を本明細書に開示する
【0024】
【化10】

【0025】
(式中、Rは、各々独立して、アルキル基又はアリール基であり、P1、P2、及びP3は、各々独立して、水素及びヒドロキシル保護基からなる群より選ばれる)。
式(III)の化合物は、式(IV)の化合物のアルデヒドと式(V)の化合物のホスフィンオキシドをウィッティヒ反応で反応させることによって調製される。式(III)の化合物と式(IIIA)の化合物との形成の選択性は、少なくとも95:5である。選択性は、少なくとも98:2、又は少なくとも99:1であり得る。
式(V)の化合物のRアルキル基又はアリール基は、ウィッティヒ反応と適合するアルキル基又はアリール基であり得る。好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、フェニル、置換フェニル、又はナフチルである。式(V)の化合物の立体化学は、(R)又は(S)、又は(R)と(S)の混合物であり得る。必要により、式(V)の化合物は、
【0026】
【化11】

【0027】
の立体化学を有してもよく、式(III)の化合物は、
【0028】
【化12】

【0029】
の立体化学を有してもよい。
本発明の上記方法のいずれにおいても、P1、P2、及びP3は、適切なヒドロキシル保護基であり得る。適切な保護基の選択は、当業者の範囲内である。例えば、適切な保護基は、Wuts et al., Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., (Wiley Interscience: Hoboken, NJ) 2007に記載されている。ヒドロキシル保護基は、(好ましくはヒドロキシル基が容易に回復するような)化学反応の間、特に酸性加水分解或いは塩基性加水分解の間、ヒドロキシル基を保護するための化合物を意味する。シリル保護基、例えば、tert-ブチルジメチルシリル(“TBDMS”又は“TBS”)又はトリエチルシリル(“TES”)が好ましい。
式(III)の化合物は、非水素P1、P2、及びP3を除去するために脱保護して、ビタミンD2誘導体化合物を得ることができる。ヒドロキシル保護基の脱保護は、当業者の知識の範囲内であり、指針は、Wuts et al., Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, 4th ed., (Wiley Interscience: Hoboken, NJ) 2007に見ることができる。例えば、ヒドロキシル保護基がシリルエーテルである場合、シリルエーテルは酸性条件に又はフッ化物源、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウムにさらすことによって除去され得る。
式(III)の脱保護化合物、即ち、P1、P2、及びP3の各々が水素である化合物を結晶化して、少なくとも99質量%純度を有する式(III)の化合物の結晶を単一の結晶化工程で得ことができる。式(III)の化合物の以前の結晶化法は、溶媒メチルホルマートを用いていた(米国特許第6,903,083号明細書を参照のこと)。特定の理論で縛られることを意図しないが、メチルホルマートが結晶及び/又は式(III)の化合物を不安定にすることになると考えられる。従って、メチルホルマートを含まない結晶化法が好ましい。式(III)の化合物の結晶化は、式(III)の粗化合物を溶媒、例えば、(1)アセトン/水混合物又は(2) t-ブチルメチルエーテルに溶解することによって行われる。アセトンと水との(容積)比は、約5:1〜約1:5の範囲にあり得る。個々の比としては、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、及び1:5が挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書に開示される方法が望ましい生成物の形成の選択性がより高い(例えば、式(IIIA)の化合物より式(III)の化合物)ことから、得られた式(III)の粗化合物は、以前の方法より高純度を有する。従って、単一の結晶化は、望ましい純度レベルで式(III)の化合物を得るのに充分であり得る。単一の結晶化後の結晶は、少なくとも99質量%純度、少なくとも99.5質量%純度、又は少なくとも99.7質量%純度であり得る。次に、結晶を乾燥して、減圧下に高温(例えば、30℃を超える温度、又は約35℃〜約45℃の範囲にある温度)で又は周囲温度(例えば、約20℃〜約25℃)で残留溶媒を除去することができ、次に、不活性ガス(例えば、窒素又はアルゴン)下に10℃未満、0℃未満、又は-10℃未満の温度で貯蔵することができる。
【実施例】
【0030】
以下の実施例は、例示のために示され、本発明の範囲を制限することを意図しない。
実施例1 - シス-アルコール中間体2の調製
【0031】
【化13】

【0032】
出発材料トランス-アルコール1(6 g; 10.434ミリモル)を、9-アセチルアントラセン(0.597 g; 2.710ミリモル)及び300 mLのトルエンで新たに蒸留したトリエチルアミン(0.015 mL; 0.103ミリモル)を有するフラスコに入れた。この混合物を-1.7℃〜6℃に冷却し、アルゴン下に撹拌した。次に、この混合物をウランフィルターガラスチューブに挿入したUVランプから露光した。100μLのアリコートを、30分、45分、60分の時間間隔で集め、HPLCによって完了を分析した。以下の表1に示される結果は、反応が30分以内に完了したことを示す。
【0033】
表 1

【0034】
次に、反応混合物をフラスコに移し、減圧下に35℃で蒸発させた。残留物を塩化メチレン(CH2Cl2)に溶解し、シリカゲルカートリッジに装填し、CH2Cl2中の0-15%ジエチルエーテル(Et2O)で溶離した。次に、精製した生成物2を含有する画分を濃縮乾固し、定量的収量の2を得た。
実施例2 - アルデヒド3の調製
【0035】
【化14】

【0036】
文献手順に従って(Tojo and Fernandez, Oxidation of Alcohols to Aldehydes and Ketones, Springer (2006)を参照のこと)、シスアルコール2を三酸化硫黄ピリジン錯体を用いてアルデヒドに酸化した。シスアルコール2(6.8 g、11.82ミリモル)とSO3・Py(9.4g; 59.12ミリモル)とを、10 mLの新たに蒸留したトリエチルアミン、34 mLのCH2Cl2、及び68 mLのジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下に反応させた。この反応により、定量的収量のアルデヒド3が得られた。
実施例3 - トランスビタミンD2中間体5の調製
【0037】
【化15】

【0038】
75 mLの乾燥テトラヒドロフラン(THF)中のホスフィンオキシド4(5.8 g、13.92ミリモル)をドライアイス/アセトン浴においてアルゴン下で-78℃に冷却した。10分間冷却した後、ブチルリチウム(11.14 mL、27.84ミリモル、2.5 M/ヘキサン)を注射器で徐々に添加した。得られた混合物を-78℃で約45分間撹拌した。次に、この混合物に40 mLの無水THFに溶解したアルデヒド3を注射器によって添加した。この得られた混合物を-78℃で45分間撹拌し、次に、約0℃に45分〜1.5時間かけて加温した。次に、反応は停止し、この混合物に200 mLの酢酸エチルを添加し、次に、食塩水及び水で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。濃厚なシロップ濃縮物を、200 mLの無水THFに溶解し、氷塩浴において約-12℃に冷却した。この冷却溶液にカリウムt-ブトキシド(1.98 g、17.74ミリモル)を添加し、得られた混合物を-12℃で2.5時間撹拌した。更に等価量のカリウムt-ブトキシドを添加し、この混合物を更に1時間撹拌した。反応を停止し、200 mLの酢酸エチルを添加した。この混合物を、0.01 N HCl及び食塩水で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗混合物をカラムクロマトクラフィー(1%酢酸エチル/ヘキサン及び0.01%トリエチルアミン)によって精製して、4.2 g(収率46%)の中間体5を得た。1H NMRによる評価は、C22-C23に望ましくないシスオレフィンのいずれの形成も示さなかった。
実施例4 - 1,25-ジヒドロキシビタミンD2化合物6の形成
【0039】
【化16】

【0040】
中間体5(4.2 g)を無水THFに溶解し、55 mLのフッ化テトラブチルアンモニウムを添加した。この反応物を50-55℃に加熱し、完了を薄層クロマトグラフィーによってモニタした。粗材料をカラムクロマトクラフィーによって精製して、1.8 g(収率77%)の1,25-ジヒドロキシビタミンD2化合物6を得た。
実施例5 - 精製
実施例4から得られた1,25-ジヒドロキシビタミンD2化合物6を、室温でTHF中の無水マレイン酸(40 mg)で処理した。この反応物をHPLCによってモニタした。完了後、この溶液を蒸発させ、カラムクロマトクラフィーによって精製して、1,25-ジヒドロキシビタミンD2 6(1.76、収率98%)得た。HPLCを用いて純度を分析し、97.89%純度であることがわかった。
実施例6 - アセトン/水を用いる結晶化
次に、得られた97.89%純度の1,25-ジヒドロキシビタミンD2化合物6を、以下の通りアセトン/水混合物で結晶化した。最初に、1,25-ジヒドロキシビタミンD2化合物6を透明な溶液が得られるまでアセトン(15 ml/1 g)で還流した。次に、ろ過し、同量の水を徐々に添加した。温度が約25℃に達したときに、結晶形成が開始し、フラスコを4℃の冷蔵庫に24時間置いた。固形物をろ過し、4℃で予備冷却された1:1のアセトン/水で洗浄した。この単一の結晶化後、得られた1,25-ジヒドロキシビタミンD2化合物6のHPLCによって測定した純度は、99.8%であった。
実施例7 - t-ブチルメチルエーテルを用いる結晶化
磁気攪拌棒とN2入口/出口を備えた三つ口フラスコに1,25-ジヒドロキシビタミンD2化合物6(13.3 g、プレビタミン>2.0%)を入れた。還流冷却器と添加漏斗を取り付けた。t-ブチルメチルエーテル(665 mL)をフラスコに充填し、得られた溶液を還流し、激しく撹拌した。27分後に透明な溶液を得た。加熱を止め、この溶液をなお激しく撹拌しつつ、約200 ml/分の速度で、滴下漏斗を用いてこの溶液にヘプタン(1330 mL)を添加した。添加が完了したときに、この溶液を加熱マントルから取り出し、アルミホイルで覆って、周囲温度(冷却時間約7.5時間)に冷却した。次に、この溶液を-20℃の冷凍庫に一晩(約15時間)入れた。次に、得られた結晶を、焼結ガラス漏斗でろ過し、予冷したtBuOMe/ヘプタン溶媒混合物(容積で1:2)で2回(各200 mL)洗浄した。次に、結晶を粉末に摩砕し、周囲温度で48時間減圧下で乾燥した。この単一の結晶化後、得られた1,25-ジヒドロキシビタミンD2化合物6のHPLCによって測定された純度は、約0.05%のプレビタミン含量を有する99.7%であった。
【0041】
上記の説明は、理解を明瞭にするためだけに示され、本発明の範囲内の変更が当業者に明らかであり得るように、そこから不必要な制限が理解されてはならない。
方法が工程、成分、又は材料を含むように記載されている明細書全体にわたって、組成物もまた、特にことわらない限り、本質的に、記載された工程、成分又は材料の組み合わせからなり得るか、或いは記載された工程、成分又は材料の組み合わせからなり得ることが企図される。
本明細書に開示される方法、及びその個々の工程の実施は、手で及び/又は電子装置の援助によって行われ得る。プロセスを具体的な実施態様に関して記載してきたが、当業者は、方法と関連した作用を行う他の方法を用いてもよいことを容易に理解するであろう。例えば、種々の工程の順序は、特に記載されない限り、方法の範囲又は真意を逸脱せずに変更されてもよい。更に、個々の工程の一部は、追加の工程に組み合わされ、省略され、又は更に細分され得る。
本明細書に引用されたすべての特許、出版物及び文献は、本願明細書に完全に含まれるものとする。本開示と含まれる特許、出版物及び文献との間で不一致の場合には、本開示が支配しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物の合成方法であって、
【化1】


式(II)の化合物を露光して、式(I)の化合物を形成する工程であって、光が360 nmを超える波長を有し、露光する工程が約15℃未満の温度で行われる、前記工程を含む、前記方法
【化2】


(式中、P1及びP2は、各々独立して、水素及びヒドロキシル保護基からなる群より選ばれる)。
【請求項2】
光が、360 nmを超え400 nmまでの波長を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(II)の化合物を露光する工程が、9-アセチルアントラセン、アクリジン、フェナジン、アントラセン、又はこれらの組み合わせの存在下に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(II)の化合物を露光する工程が、有機塩基の存在下に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
有機塩基が、アルキルアミンを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アルキルアミンが、トリエチルアミンを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
P1及びP2の少なくとも1つが、シリル保護基である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
P1とP2が同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光が、ウランフィルターによってろ過される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
式(II)の化合物が1時間未満露光され、式(I)の化合物が95%を超える収率で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
式(II)の化合物が45分未満露光され、式(I)の化合物が98%を超える収率で形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(III)の化合物
【化3】


と必要により式(IIIA)の化合物
【化4】


を調製する方法であって、式(IV)の化合物と式(V)の化合物を混合して、式(III)の化合物と必要により式(IIIA)の化合物を形成する工程であって、式(III)の化合物と式(IIIA)の化合物との比が少なくとも95:5である、前記工程を含む、前記方法
【化5】


(式中、Rは、各々独立して、アルキル基又はアリール基であり、P1、P2、及びP3は、各々独立して、水素及びヒドロキシル保護基からなる群より選ばれる)。
【請求項13】
少なくとも1つのRが、フェニルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
P1とP2が同一である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
P1、P2、及びP3の少なくとも1つが、シリル保護基である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
式(III)の化合物と式(IIIA)の化合物との比が、少なくとも98:2である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
式(III)の化合物と式(IIIA)の化合物との比が、少なくとも99:1である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式(V)の化合物が
【化6】


の立体化学を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
式(III)の化合物が
【化7】


の立体化学を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
P1、P2、又はP3の少なくとも1つが水素でない場合、P1、P2、及びP3の非水素ヒドロキシル保護基を除去して、P1、P2、及びP3の各々が水素である式(III)の化合物を形成する工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
アセトンと水を含む溶媒混合物から式(III)の化合物を結晶化して、少なくとも99質量%純度を有する式(III)の化合物の結晶を単一の結晶化工程で得る工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式(III)の化合物をt-ブチルメチルエーテルから結晶化して、少なくとも99質量%純度を有する式(III)の化合物の結晶を単一の結晶化工程で得る工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
式(III)の化合物の結晶が、少なくとも99.5質量%の純度を有する、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
式(III)の化合物の結晶が、メチルホルマートを含まない、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
式(III)の化合物の結晶を減圧下に35℃を超える温度で乾燥させる工程を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
温度が、約40℃である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
式(III)の化合物の結晶を減圧下に周囲温度で乾燥させる工程を更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
式(V)の化合物
【化8】


(式中、Rは、各々独立して、アルキル基又はアリール基であり、P3は、水素又はヒドロキシル保護基である)。
【請求項29】
P3が、シリル基である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
P3が、水素である、請求項28に記載の化合物。
【請求項31】
少なくとも1つのRが、フェニルである、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
下記の立体化学を有する請求項28に記載の化合物。
【化9】


【公表番号】特表2012−509905(P2012−509905A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537801(P2011−537801)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001687
【国際公開番号】WO2010/060197
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(508372445)シトクロマ インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】