ビフェプルノックスメシラートの安定な多形体
本発明は、化合物7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナート(INNM、ビフェプルノックスメシラート)の安定な多型体形態、該多型体形態の製造方法および製薬学的製品、殊には精神病的障害およびパーキンソン病の処置のための製薬学的製品における使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの安定な多型体形態、該多型体形態の製造方法および製薬学的製品、特には精神病的障害およびパーキンソン病の処置のための製薬学的製品における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートのメシラート(INNM、ビフェプルノックスメシラート(bifeprunox mesilate))は、式
【0003】
【化1】
【0004】
を有する。本化合物7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(ビフェプルノックス)の塩酸塩は、特許文献1中に記載および特許請求されており、そしてモノメタンスルホン酸塩は、特許文献2中に記載および特許請求されている。第二の特許公開明細書中には、N,N,N−ビス(2−エタノール)−m−フェニルベンジルアミンの反応性メシラートエステルと7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロンとの間の反応によるモノメタンスルホン酸塩の直接形成が公開されている。
【0005】
本発明者は、特許文献2中に記載の方法により、ビフェプルノックスメシラートが、以下の本出願中では多型体δ(デルタ)と称する多型体形態での粗製品(特許文献2中に記載の融点範囲、263〜275℃)として正常に得られることをここに発見した。さらに精製すると、製品は、二種の結晶性変態またはそれら二種の変態の混合物として得られる。該二種の変態の第一は、すでに述べた多型体δ(デルタ)でありそして265℃の純粋形態での融点を有する。第二の変態は、以下に多型体γ(ガンマ)と称する。γ多型体が主として得られる場合には、ほとんどすべての場合に該多型体と多型体δとの混合物として得られ、その混合物は約273℃の融点を有する。
【0006】
さらなる研究の間に、多型体γおよびδは準安定状態であり、従って製薬学的製品中に使用した場合に数々の欠点を有するであろうと考えられた。二種の多型体γおよびδの一方のまたはそれらの混合物の予測出来ない形成も望ましくない。
【特許文献1】国際特許出願公開(WO)第97/36893号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開(WO)第02/066449号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、再現性を有する様式で製造できる、製薬学的使用のための7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの安定な結晶形態を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートが、上記の多型体の欠点を持たないもう一つの結晶性多型体形態(以下で多型体α(アルファ)と称する)も有することをここに意外にも発見した。ビフェプルノックスメシラートの該結晶性形態は、熱力学的にさらに安定である。多型体形態αは、高い大気湿度またはより高い温度でも転化を起こさない。さらに、該結晶性形態は、容易に濾過できそして高い純度を有する大きい結晶の形態に結晶化する。従って、この多型体αは、所望の場合には粒径低下の後に、固体形態のビフェプルノックスメシラートの製剤に特に適する。
【0009】
本発明によるビフェプルノックスメシラートの結晶性多型体形態は、下記の物理化学的パラメーターにより定義される:
X線回折パターン(表1および図1参照);
多型体形態αの融点が277℃である(DSC加熱速度10K/分)(DSCサーモグラフ、図2参照);
IRスペクトル(表2および図3);本形態を形態γおよびδから区別するために使用できるビフェプルノックスメシラートの形態αの最も重要なIR吸収バンドが表2aに記載されている;
固体13C−NMRスペクトル(表3および図4);本形態を形態γおよびδから区別するために使用できるビフェプルノックスメシラートの形態αの最も重要な13C−NMRシフトが表3aに記載されている;
単結晶X線回折(表4および5ならびに図5)。
【0010】
本明細書中のすべてのデータは、例えばピーク位置およびピーク強度に影響する使用装置およびその他のパラメーターに依存するので、近似的でありそして通常の測定誤差を有するものと理解されるべきである。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
多型体形態αは、形態γおよびδと、その物理化学的パラメーター:DSC溶融挙動、X線回折パターン、IRスペクトルおよび固体13C NMRスペクトルが本質的に異なる。形態γおよびδの物理化学的パラメーターを表1〜4、6および図6〜15に示す。
【0017】
本発明は、ビフェプルノックスメシラートの少なくとも約50重量百分率(重量%)、好ましくはその少なくとも約60重量%、さらに好ましくはその少なくとも約80重量%、さらに有利には少なくとも約90重量%、その上さらに好ましくはビフェプルノックスメシラートの少なくとも約95重量%が、多型体α形態でありそしてそのγまたはδ多型体形態のいずれも本質的に含まないビフェプルノックスメシラートにも関する。本質的に
含まないとは、10%未満、好ましくは5%w/w(重量/重量)の量を意味する。その上さらに好ましくはビフェプルノックスメシラートの少なくとも約99%質量%が多型体α形態である。
【0018】
本発明による多型体形態αの製造は、有機溶剤もしくは有機溶剤と水との混合物、好ましくは(C1〜C6)アルコールと水との混合物もしくはアセトニトリルと水との混合物からの再結晶により遂行される。さらに好ましくは、2−プロパノールと水との混合物またはアセトニトリルと水との混合物である。最も好ましい溶剤は、アセトニトリルと水との混合物である。多型体形態γは、ビフェプルノックスの遊離塩基を製造し、直ちに続いてメタンスルホン酸を添加しそしてメチルエチルケトンから結晶化して製造できる。
【0019】
本発明による多型体形態αおよびγは、結晶性有効成分が当該技術分野で公知の方法により固体剤型内に存在する投与剤型に製剤できる。かかる投与剤型の例は、(場合により被覆されている)錠剤、カプセル剤、顆粒エーロゾル剤、座薬および懸濁剤でありそれらは有効成分の多型体形態αまたはγと不活性で製薬学的に許容できる賦形剤および担体とを混合物して製造できる。最も好ましくは、投与剤型は錠剤またはカプセル剤である。
【0020】
本発明による多型体形態αおよびγの好ましい製剤において、組成物は、磨砕およびふるい分けされた有効成分の外に、ラクトース一水和物、微結晶セルロース、グリコール酸デンプンナトリウム(sodium starch glucolate) タイプA、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび場合によりコロイド状無水シリカを含む。ラクトースの量は、錠剤コアの全重量の20〜90%w/w、好ましくは70〜90%w/wそして最も好ましくは75〜85%w/wである。微結晶セルロースの量は、錠剤コアの全重量の5〜90%w/w、好ましくは10〜15%w/wそして最も好ましくは11〜12%w/wである。グリコールデンプンナトリウム タイプAの量は、錠剤コアの全重量の0.1〜2.5%w/w、好ましくは0.3〜0.7%w/wそして最も好ましくは約0.5%w/wである。ステアリルフマル酸ナトリウムの量は、錠剤コアの全重量の0.1〜1.5%、好ましくは0.6〜1.3%w/wそして最も好ましくは約1.0%w/wである。コロイド状無水シリカは、粉末の流動特性を改善するために製剤中に場合により添加される。添加される場合には、それは好ましくは錠剤コアの全重量の0.05%〜0.5%w/w、好ましくは約0.4%w/wの量を添加される。被覆の量は、錠剤コアの重量の2.0%〜5.0%w/w、好ましくは3.0〜4.0%w/wそして最も好ましくは約3.5%w/wである。
【0021】
さらなる局面において、本発明は、上記の製剤を製造する方法に関し、ここで、本発明による多型体形態αまたはγを有する有効成分を磨砕しそして続いて適当な混合機(例えばオービタル・スクリュー(orbital screw)混合機)(ナウタ(Nauta)混合機)または拡散混合機(ビンブレンダー)と回転インペラーミル(クアドロ・コ−ミル(quadro co−mill)との併用)を用いて、ラクトース一水和物、微結晶セルロース、グリコールデンプンナトリウム タイプA、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび場合によりコロイド状無水シリカと混合しそして所望強度の錠剤にプレスする。錠剤製造の間に、圧力は200〜400MPa、好ましくは250〜350MPaそして最も好ましくは300MPaである。製品は、適切な被覆装置(例えば多孔板被覆装置または流動床被覆装置)内で錠剤コア上に被覆懸濁液を噴霧して着色料および調味料で被覆される。
【0022】
本発明による多型体形態αおよびγは、生物体に投与することにより使用できる。ビフェプルノックスメシラートは、精神病的障害またはパーキンソン病を患うヒトの処置に特に有用である。
【0023】
下記の実施例は、本発明をさらに詳細に例示するためを意図するだけであり、従ってそれらの実施例は本発明の範囲をいかなる意味でも限定するとみなしてはならない。
【実施例1】
【0024】
ビフェプルノックスメシラートの製造
実施例1a N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)アセトアミドの製造.
2−アミノ−4−クロロフェノール143.6g(1mol)を温和な窒素パージ下でメチルt−ブチルエーテル550ml中に懸濁した。物質が溶解するまで混合物を還流して加熱した。40分間で無水酢酸112.3gを加えた。添加の後、混合物を1時間で20〜25℃まで冷却した。さらに1時間攪拌した後に、混合物を攪拌しながら0〜5℃まで冷却しそしてこの温度にさらに1時間保持した。製品を濾過分離し、メチルt−ブチルエーテル200mlを用いて2回洗浄しそして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約92%。
実施例1b N−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)アセトアミドの製造
硫酸(50%w/w)224.5gを水300ml中に溶解しそして温和な窒素パージ下で攪拌しながら25℃まで冷却した。実施例1aに従って製造したN−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド185.1g(1mol)を希硫酸に加えそして強く攪拌した。低速で攪拌している反応混合物の上に形成された泡に65%w/w硝酸4mlを加えた。攪拌速度を上昇しそして65%w/w硝酸75mlを45分間で加え、その間温度は23〜26℃に保持した。混合物をさらに1時間、23〜26℃で強く攪拌した。次いで混合物を0〜5℃に冷却し、この温度で1時間強く攪拌した。固体を手早く濾過分離し、冷水300mlを用いて3回洗浄し、少なくとも30分間吸引しそして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。
【0025】
粗製品を96%エタノール2000ml中に懸濁し、還流するまで加熱しそして透明な溶液が得られるまで約15分間攪拌しながら還流した。溶液を25〜30℃に約1時間で冷却し、その間低速で攪拌し、さらに0〜5℃まで冷却しそしてこの温度でさらに1時間攪拌した。固体を濾過分離し、冷96%エタノール250mlを用いて2回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約78%。
実施例1c 6−アミノ−4−クロロ−2−ニトロフェノールの製造
実施例1bに従って製造したN−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)アセトアミド230.6g(1mol)を温和な窒素パージ下で水950mlおよび2−プロパノール100mlの混合物中に懸濁した。36%w/w塩酸345ml次いで水25mlを加えた。混合物を強く攪拌しながら約30℃で還流するまで加熱しそして2時間還流した。約1時間で混合物を0〜5℃に冷却しそしてさらに1時間0〜5℃で攪拌した。固体を濾過分離し、水250mlを用いて2回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約91%。
実施例1d 5−クロロ−7−ニトロ−2(3H)−ベンゾオキサゾロンの製造.
実施例1cに従って製造した6−アミノ−4−クロロ−2−ニトロフェノール188.6g(1mol)を温和な窒素パージ下で酢酸エチル1000ml中に懸濁しそして場合により存在する水を溶剤250mlとの共沸蒸留により除去した。混合物を20〜25℃に冷却しそして酢酸エチル650ml中のスラリーとしてカルボニルジイミダゾール224gを加えた。追加して酢酸エチル100mlを加えそして混合物を2時間、冷却しないで強く攪拌した。水1000mlを加えそして混合物を15分間攪拌した。酢酸エチル1450〜1500mlを約200mBarおよび50℃で蒸留除去した。混合物を0〜5℃に冷却し、36%HCl225mlを加えそして混合物を再び0〜5℃に冷却しそしてこの温度で15分間攪拌した。固体を蒸留分離し、1N HCl400mlを用いて洗浄し、冷水500mlを用いて2回および冷い水/エタノール(4/1)500mlを用いて1回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約99%。
実施例1e 7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロンの製造
実施例1dに従って製造した5−クロロ−7−ニトロ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン107.5g(1mol)をエタノール1000ml中に懸濁した。Pd/C5%9.25gおよびエタノール50mlを加えそして水素圧力4barで4〜6時間、60〜65℃で強く攪拌しながら混合物を水素化した。水素化が完了すると、混合物を45℃に冷却しそしてハイフロー(Hyflo)(R)上で濾過した。ハイフローをメタノール175mlを用いて2回洗浄した。減圧下、50℃で溶剤500mlを蒸留除去し、次いで水2501mlを加えそして減圧下、50℃で蒸留して溶剤300mlを除去した。最後の手順を二回反復しそして最後に水250mlを加えそして溶剤400mlを蒸留除去した。得られた混合物を約1時間で0〜5℃に冷却した。固体を濾過分離しそして、冷水125mlを用いて3回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約94%。
実施例1f 3−〔〔ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル〕−1,1’−ビフェニルの製造
ジエタノールアミン123.4g、水100mlおよびメチルエチルケトン(MEK)100mlの混合物を製造しそしてメチルt−ブチルエーテル500mlに攪拌しながら温和な窒素パージ下で、3−(ブロモメチル)−1,1’−ビフェニル124.75gをメチルt−ブチルエーテル750mlと一緒に加えた。混合物を還流するまで加熱しそして18時間還流し、次いで室温まで冷却した。その後、混合物を2N NaOH375mlを用いて1回および水375mlを用いて4回洗浄した。一緒にした2N NaOHおよび水の層をメチルt−ブチルエーテル750mlを用いて抽出した。一緒にしたメチルt−ブチルエーテル層を水250mlで洗浄し次いで有機層からできるだけ多量のメチルt−ブチルエーテルを蒸留した。メチルエチルケトン1350mlを加えそして溶剤600mlを大気圧で蒸留した。溶液を室温まで冷却しそして次の段階に使用するまで保管した。定量アッセイに基づく収率97%。
実施例1g ビフェプルノックスメシラート(粗)の製造
実施例1fに従って製造した3−〔〔ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル〕−1,1’−ビフェニル128.9gのメチルエチルケトン約750ml中の溶液を温和な窒素パージ下で攪拌した。別の容器中で無水メタンスルホン酸202gをメチルエチルケトン600ml中に10〜20℃で溶解した。メチルエチルケトン中の3−〔〔ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル〕−1,1’−ビフェニルの溶液にトリエチルアミン212.8gよびメチルエチルケトン60mlを加えた。無水メタンスルホン酸の溶液を約45〜60分間で3−〔〔ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル〕−1,1’−ビフェニル/トリエチルアミン溶液に加え、その間温度を10℃未満に保持した。メチルエチルケトン60mlを加えそして混合物をさらに15分間攪拌し、次いでメタンスルホン酸109.7gを滴下して加えそして添加容器を洗浄するためにメチルエチルケトン60mlを加えた。
【0026】
実施例1eに従って製造した7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン71.3gをメチルエチルケトン100ml中に懸濁し、そして反応混合物に加え次いでメチルエチルケトン60mlを加えた。反応混合物を還流まで加熱しそして20〜24時間還流した。還流の20〜24時間後に、水48mlを加えそして混合物をさらに1時間還流した。メチルエチルケトン420mlを加えそしてメチルエチルケトン/水490mlを蒸留除去した。最後の工程を3回反復した。メタンスルホン酸46.1gを加え、混合物をさらに1時間還流しそして1時間で室温まで冷却した。混合物をさらに0〜5℃まで冷却しそしてこの温度でさらに1時間攪拌した。固体を濾過分離しそして、冷メチルエチルケトン75mlを用いて2回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約76%。
【実施例2】
【0027】
2−プロパノール中でビフェプルノックスメシラートの多型体形態αの製造
実施例1gに記載の様にして製造した粗ビフェプルノックスメシラート10.06gを2−プロパノール200mlおよび水40mlの混合物中に窒素パージ下で懸濁した。懸濁液を還流まで加熱しそして攪拌しながら120分間で室温まで冷却した。形成された懸濁液を攪拌しながらさらに0℃まで冷却しそしてこの温度でさらに120分間攪拌した。結晶を濾過分離しそして50℃および100mbarで乾燥した。
【実施例3】
【0028】
アセトニトリル中でビフェプルノックスメシラートの多型体形態αの製造
実施例1gに記載の様にして製造した粗ビフェプルノックスメシラート50gをアセトニトリル875mlおよび水250mlの混合物中に窒素パージ下で懸濁した。アセトニトリル375mlを加えそして反応混合物を還流まで加熱した。溶剤500mlを蒸留除去しそしてアセトニトリル500mlを加えそしてこの手順をもう一回反復した。溶剤をさらに500ml蒸留した後混合物を120分間で室温まで冷却した。混合物を5〜0℃までさらに冷却しそしてこの温度で120分間攪拌した。形成された結晶を濾過分離しそしてアセトニトリルを用いて2回洗浄した。単離された結晶を温和な窒素パージ下で50℃および100mbarで乾燥した。収率約85.6%。
【実施例4】
【0029】
ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γの製造
実施例1gに記載の様にして製造したビフェプルノックスメシラート(粗)12.50gのメチルエチルケトン(MEK)150ml中の懸濁液に、5%NaHCO3溶液75mlを約10〜15分間で加えた。5〜10分間の攪拌の後、懸濁液をハイフロー(R)またはセライト(Celite)(R)上で別の容器中に濾過し、ここで層が分離した。水層をメチルエチルケトン125および75mlを用いて抽出した。メチルエチルケトン層を一緒にしそして水50mlおよび96%エタノール10mlの混合物を用いて洗浄した。
【0030】
1μmフィルターを通してメチルエチルケトン層を清浄な容器中に濾過し、その後フィルターをメチルエチルケトン25mlを用いて洗浄した。メチルエチルケトンを体積約130mlに達するまで濾過除去し、メチルエチルケトン200mlを加えそして再度体積175mlに達するまでメチルエチルケトンを蒸留除去した。
【0031】
次いでメチルエチルケトン50ml中のメタンスルホン酸3.00gの溶液を約30分間で加えた。5℃に冷却しそしてその温度で1.5時間攪拌した後、製品を蒸留分離しそして冷メチルエチルケトン50mlを用いて2回洗浄した。温和な窒素パージ下で50℃および100mbarで乾燥した後、ビフェプルノックスメシラートのガンマ多型体が約80%の収率で得られた。
【実施例5】
【0032】
ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αの10mgカプセル製剤の製造
ラクトース2.227kgをふるい分けそして高剪断混合機内に充填した。多型体形態αのビフェプルノックスメシラート125gをふるい分けそして加えた。組成物を高剪断混合機(例えばコレットグラル(Collette Gral)10またはコレットグラル75)を用いてそれが均質となるまで混合した(約4分間)。崩壊剤(例えばグリコール酸デンプンナトリウムUSP−NF、例えばプリモジェル(Primojel)(R))24gおよび滑沢剤(例えばステアリルフマル酸ナトリウム、例えばPRUV(R))24gを加えそしてそれが均質になるまで再度混合した(約1分間)。粉末をカプセルあ
たりに0.240mgのカプセルサイズに、カプセル充填機(例えばザナシ(Zanasi)LZ64またはザナシRM63Dプラグ充填機)を利用して充填した。約10,000個の充填カプセルが得られた。
【実施例6】
【0033】
ビフェプルノックスメシラート多型体形態αの10mg錠剤製剤の製造
下記の手順に従って10mgの力価の錠剤を製造した(所要量は表8に示す)。ラクトース一水和物の記載量の三分の一をふるい分けそして高剪断混合機内に充填し5分間混合した。多型体形態αの磨砕ビフェプルノックスメシラートの所要量を、グリコール酸デンプンナトリウム タイプA0.100kg、微結晶セルロース2.32kgおよびラクトース一水和物の残量と一緒に混合物に加えた。組成物を高剪断混合機(例えばコレットグラル10またはコレットグラル75)を用いてそれが均質となるまで混合した(約10分間)。0.42mmふるいを通してふるい分けたステアリルフマル酸ナトリウム(例えばPRUV(R))の所要量を加えそして組成物をそれが均質となるまで再度混合した(約5分間)。最終製品を300MPaで圧縮して錠剤とした。製品を指定されたオパドライ(Opadry)II HP水懸濁液15%m/mを用いてコア重量の3.5%まで被覆した。
【0034】
【表6】
【実施例7】
【0035】
分析方法
XRPDパターンは、単色光CuKα放射(管電圧40kV、管電流40mA)を用いて回折計により室温で測定した。IRスペクトルは、水銀テルル化カドミニウム(mercury cadmium telluride)検出器を用い2cm−1のスペクトル分解能を有する全反射減衰法(シリコン結晶)によりフーリエ変換分光IR分析計で記録した。
【0036】
融点は、覗き蓋(pierced lid)を有する40μLアルミニウムるつぼを用いて溶融吸熱の開始温度としてDSC装置で決定した。温度プログラム:10K分−1で
25℃から300℃まで加熱、80mL分−1の流量のN2雰囲気。
【0037】
固体13C NMRスペクトルは、ブルカー(Bruker)AM300計器
で交差分極マジック角回転(CP/MAS)アクセサリを用いて(接触時間4ミリ秒、リサイクル遅れ3秒、スペクトル幅30kHz、1H90°パルス6μ秒、回転速度約8.5kHz)得られた。標準の4mmブルカーCP/MASプローブを使用した。化学シフトは、グリシンを参照とした(C=O共鳴に対してδc=176.03ppm)。
【0038】
アルファおよびデルタ結晶形態の分析は、ユトレヒト大学バイフート生物分子研究センター(Bijvoet Centre for Biomolecular Research,Utrecht University)で行った。γ結晶形態の分析は、ブラウンシュヴァイク大学無機および分析化学研究所内のピータージョーンズ研究室(Peter Jones’lab in Institute of Inorganic and Analytical Chemistry,University of Braunsweig)で行った。
【0039】
アルファ形態の結晶は、顕微鏡下でブロック形として見られ、ガンマ結晶形態のものは平板または棒状であり、一方デルタ結晶形態の結晶は丸い端部を有するブロック形に見えた。
【0040】
各々の結晶形態について、冷窒素流内で回転陽極X線回折計内に結晶を移した。構造は自動化された直接法により解析した。窒素に結合した水素原子は、電子密度マップで位置を決定しそしてそれらの座標は精密化(refinement)におけるパラメーターとして含まれた。その他の水素原子はそれらのキャリヤ原子上に乗っている算定位置で精密化に含まれた。水素以外のすべての原子は、非等方性原子変位パラメーターを用いて精密化された。水素原子は、それらのキャリヤ原子に関して、固定変位因子を与えられた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αのXRPDパターン
【図2】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αのDSCトレース
【図3】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αのIR(ATR)スペクトル
【図4】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αの13C固体NMRスペクトル
【図5】X線結晶解析から誘導されたビフェプルノックスメシラートの多型体形態の立体配置
【図6】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γのXRPDパターン
【図7】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γのDSCトレース
【図8】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γのIR(ATR)スペクトル
【図9】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γの13C固体NMRスペクトル
【図10】X線結晶解析から導かれたビフェプルノックスメシラートの多型体形態γの立体配置
【図11】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態δのXRPDパターン
【図12】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態δのDSCトレース
【図13】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態δのIR(ATR)スペクトル
【図14】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態δの13C固体NMRスペクトル
【図15】X線結晶解析から導かれたビフェプルノックスメシラートの多型体形態δの立体配置
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの安定な多型体形態、該多型体形態の製造方法および製薬学的製品、特には精神病的障害およびパーキンソン病の処置のための製薬学的製品における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートのメシラート(INNM、ビフェプルノックスメシラート(bifeprunox mesilate))は、式
【0003】
【化1】
【0004】
を有する。本化合物7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン(ビフェプルノックス)の塩酸塩は、特許文献1中に記載および特許請求されており、そしてモノメタンスルホン酸塩は、特許文献2中に記載および特許請求されている。第二の特許公開明細書中には、N,N,N−ビス(2−エタノール)−m−フェニルベンジルアミンの反応性メシラートエステルと7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロンとの間の反応によるモノメタンスルホン酸塩の直接形成が公開されている。
【0005】
本発明者は、特許文献2中に記載の方法により、ビフェプルノックスメシラートが、以下の本出願中では多型体δ(デルタ)と称する多型体形態での粗製品(特許文献2中に記載の融点範囲、263〜275℃)として正常に得られることをここに発見した。さらに精製すると、製品は、二種の結晶性変態またはそれら二種の変態の混合物として得られる。該二種の変態の第一は、すでに述べた多型体δ(デルタ)でありそして265℃の純粋形態での融点を有する。第二の変態は、以下に多型体γ(ガンマ)と称する。γ多型体が主として得られる場合には、ほとんどすべての場合に該多型体と多型体δとの混合物として得られ、その混合物は約273℃の融点を有する。
【0006】
さらなる研究の間に、多型体γおよびδは準安定状態であり、従って製薬学的製品中に使用した場合に数々の欠点を有するであろうと考えられた。二種の多型体γおよびδの一方のまたはそれらの混合物の予測出来ない形成も望ましくない。
【特許文献1】国際特許出願公開(WO)第97/36893号明細書
【特許文献2】国際特許出願公開(WO)第02/066449号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、再現性を有する様式で製造できる、製薬学的使用のための7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの安定な結晶形態を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートが、上記の多型体の欠点を持たないもう一つの結晶性多型体形態(以下で多型体α(アルファ)と称する)も有することをここに意外にも発見した。ビフェプルノックスメシラートの該結晶性形態は、熱力学的にさらに安定である。多型体形態αは、高い大気湿度またはより高い温度でも転化を起こさない。さらに、該結晶性形態は、容易に濾過できそして高い純度を有する大きい結晶の形態に結晶化する。従って、この多型体αは、所望の場合には粒径低下の後に、固体形態のビフェプルノックスメシラートの製剤に特に適する。
【0009】
本発明によるビフェプルノックスメシラートの結晶性多型体形態は、下記の物理化学的パラメーターにより定義される:
X線回折パターン(表1および図1参照);
多型体形態αの融点が277℃である(DSC加熱速度10K/分)(DSCサーモグラフ、図2参照);
IRスペクトル(表2および図3);本形態を形態γおよびδから区別するために使用できるビフェプルノックスメシラートの形態αの最も重要なIR吸収バンドが表2aに記載されている;
固体13C−NMRスペクトル(表3および図4);本形態を形態γおよびδから区別するために使用できるビフェプルノックスメシラートの形態αの最も重要な13C−NMRシフトが表3aに記載されている;
単結晶X線回折(表4および5ならびに図5)。
【0010】
本明細書中のすべてのデータは、例えばピーク位置およびピーク強度に影響する使用装置およびその他のパラメーターに依存するので、近似的でありそして通常の測定誤差を有するものと理解されるべきである。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
多型体形態αは、形態γおよびδと、その物理化学的パラメーター:DSC溶融挙動、X線回折パターン、IRスペクトルおよび固体13C NMRスペクトルが本質的に異なる。形態γおよびδの物理化学的パラメーターを表1〜4、6および図6〜15に示す。
【0017】
本発明は、ビフェプルノックスメシラートの少なくとも約50重量百分率(重量%)、好ましくはその少なくとも約60重量%、さらに好ましくはその少なくとも約80重量%、さらに有利には少なくとも約90重量%、その上さらに好ましくはビフェプルノックスメシラートの少なくとも約95重量%が、多型体α形態でありそしてそのγまたはδ多型体形態のいずれも本質的に含まないビフェプルノックスメシラートにも関する。本質的に
含まないとは、10%未満、好ましくは5%w/w(重量/重量)の量を意味する。その上さらに好ましくはビフェプルノックスメシラートの少なくとも約99%質量%が多型体α形態である。
【0018】
本発明による多型体形態αの製造は、有機溶剤もしくは有機溶剤と水との混合物、好ましくは(C1〜C6)アルコールと水との混合物もしくはアセトニトリルと水との混合物からの再結晶により遂行される。さらに好ましくは、2−プロパノールと水との混合物またはアセトニトリルと水との混合物である。最も好ましい溶剤は、アセトニトリルと水との混合物である。多型体形態γは、ビフェプルノックスの遊離塩基を製造し、直ちに続いてメタンスルホン酸を添加しそしてメチルエチルケトンから結晶化して製造できる。
【0019】
本発明による多型体形態αおよびγは、結晶性有効成分が当該技術分野で公知の方法により固体剤型内に存在する投与剤型に製剤できる。かかる投与剤型の例は、(場合により被覆されている)錠剤、カプセル剤、顆粒エーロゾル剤、座薬および懸濁剤でありそれらは有効成分の多型体形態αまたはγと不活性で製薬学的に許容できる賦形剤および担体とを混合物して製造できる。最も好ましくは、投与剤型は錠剤またはカプセル剤である。
【0020】
本発明による多型体形態αおよびγの好ましい製剤において、組成物は、磨砕およびふるい分けされた有効成分の外に、ラクトース一水和物、微結晶セルロース、グリコール酸デンプンナトリウム(sodium starch glucolate) タイプA、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび場合によりコロイド状無水シリカを含む。ラクトースの量は、錠剤コアの全重量の20〜90%w/w、好ましくは70〜90%w/wそして最も好ましくは75〜85%w/wである。微結晶セルロースの量は、錠剤コアの全重量の5〜90%w/w、好ましくは10〜15%w/wそして最も好ましくは11〜12%w/wである。グリコールデンプンナトリウム タイプAの量は、錠剤コアの全重量の0.1〜2.5%w/w、好ましくは0.3〜0.7%w/wそして最も好ましくは約0.5%w/wである。ステアリルフマル酸ナトリウムの量は、錠剤コアの全重量の0.1〜1.5%、好ましくは0.6〜1.3%w/wそして最も好ましくは約1.0%w/wである。コロイド状無水シリカは、粉末の流動特性を改善するために製剤中に場合により添加される。添加される場合には、それは好ましくは錠剤コアの全重量の0.05%〜0.5%w/w、好ましくは約0.4%w/wの量を添加される。被覆の量は、錠剤コアの重量の2.0%〜5.0%w/w、好ましくは3.0〜4.0%w/wそして最も好ましくは約3.5%w/wである。
【0021】
さらなる局面において、本発明は、上記の製剤を製造する方法に関し、ここで、本発明による多型体形態αまたはγを有する有効成分を磨砕しそして続いて適当な混合機(例えばオービタル・スクリュー(orbital screw)混合機)(ナウタ(Nauta)混合機)または拡散混合機(ビンブレンダー)と回転インペラーミル(クアドロ・コ−ミル(quadro co−mill)との併用)を用いて、ラクトース一水和物、微結晶セルロース、グリコールデンプンナトリウム タイプA、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび場合によりコロイド状無水シリカと混合しそして所望強度の錠剤にプレスする。錠剤製造の間に、圧力は200〜400MPa、好ましくは250〜350MPaそして最も好ましくは300MPaである。製品は、適切な被覆装置(例えば多孔板被覆装置または流動床被覆装置)内で錠剤コア上に被覆懸濁液を噴霧して着色料および調味料で被覆される。
【0022】
本発明による多型体形態αおよびγは、生物体に投与することにより使用できる。ビフェプルノックスメシラートは、精神病的障害またはパーキンソン病を患うヒトの処置に特に有用である。
【0023】
下記の実施例は、本発明をさらに詳細に例示するためを意図するだけであり、従ってそれらの実施例は本発明の範囲をいかなる意味でも限定するとみなしてはならない。
【実施例1】
【0024】
ビフェプルノックスメシラートの製造
実施例1a N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)アセトアミドの製造.
2−アミノ−4−クロロフェノール143.6g(1mol)を温和な窒素パージ下でメチルt−ブチルエーテル550ml中に懸濁した。物質が溶解するまで混合物を還流して加熱した。40分間で無水酢酸112.3gを加えた。添加の後、混合物を1時間で20〜25℃まで冷却した。さらに1時間攪拌した後に、混合物を攪拌しながら0〜5℃まで冷却しそしてこの温度にさらに1時間保持した。製品を濾過分離し、メチルt−ブチルエーテル200mlを用いて2回洗浄しそして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約92%。
実施例1b N−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)アセトアミドの製造
硫酸(50%w/w)224.5gを水300ml中に溶解しそして温和な窒素パージ下で攪拌しながら25℃まで冷却した。実施例1aに従って製造したN−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)アセトアミド185.1g(1mol)を希硫酸に加えそして強く攪拌した。低速で攪拌している反応混合物の上に形成された泡に65%w/w硝酸4mlを加えた。攪拌速度を上昇しそして65%w/w硝酸75mlを45分間で加え、その間温度は23〜26℃に保持した。混合物をさらに1時間、23〜26℃で強く攪拌した。次いで混合物を0〜5℃に冷却し、この温度で1時間強く攪拌した。固体を手早く濾過分離し、冷水300mlを用いて3回洗浄し、少なくとも30分間吸引しそして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。
【0025】
粗製品を96%エタノール2000ml中に懸濁し、還流するまで加熱しそして透明な溶液が得られるまで約15分間攪拌しながら還流した。溶液を25〜30℃に約1時間で冷却し、その間低速で攪拌し、さらに0〜5℃まで冷却しそしてこの温度でさらに1時間攪拌した。固体を濾過分離し、冷96%エタノール250mlを用いて2回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約78%。
実施例1c 6−アミノ−4−クロロ−2−ニトロフェノールの製造
実施例1bに従って製造したN−(5−クロロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル)アセトアミド230.6g(1mol)を温和な窒素パージ下で水950mlおよび2−プロパノール100mlの混合物中に懸濁した。36%w/w塩酸345ml次いで水25mlを加えた。混合物を強く攪拌しながら約30℃で還流するまで加熱しそして2時間還流した。約1時間で混合物を0〜5℃に冷却しそしてさらに1時間0〜5℃で攪拌した。固体を濾過分離し、水250mlを用いて2回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約91%。
実施例1d 5−クロロ−7−ニトロ−2(3H)−ベンゾオキサゾロンの製造.
実施例1cに従って製造した6−アミノ−4−クロロ−2−ニトロフェノール188.6g(1mol)を温和な窒素パージ下で酢酸エチル1000ml中に懸濁しそして場合により存在する水を溶剤250mlとの共沸蒸留により除去した。混合物を20〜25℃に冷却しそして酢酸エチル650ml中のスラリーとしてカルボニルジイミダゾール224gを加えた。追加して酢酸エチル100mlを加えそして混合物を2時間、冷却しないで強く攪拌した。水1000mlを加えそして混合物を15分間攪拌した。酢酸エチル1450〜1500mlを約200mBarおよび50℃で蒸留除去した。混合物を0〜5℃に冷却し、36%HCl225mlを加えそして混合物を再び0〜5℃に冷却しそしてこの温度で15分間攪拌した。固体を蒸留分離し、1N HCl400mlを用いて洗浄し、冷水500mlを用いて2回および冷い水/エタノール(4/1)500mlを用いて1回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約99%。
実施例1e 7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロンの製造
実施例1dに従って製造した5−クロロ−7−ニトロ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン107.5g(1mol)をエタノール1000ml中に懸濁した。Pd/C5%9.25gおよびエタノール50mlを加えそして水素圧力4barで4〜6時間、60〜65℃で強く攪拌しながら混合物を水素化した。水素化が完了すると、混合物を45℃に冷却しそしてハイフロー(Hyflo)(R)上で濾過した。ハイフローをメタノール175mlを用いて2回洗浄した。減圧下、50℃で溶剤500mlを蒸留除去し、次いで水2501mlを加えそして減圧下、50℃で蒸留して溶剤300mlを除去した。最後の手順を二回反復しそして最後に水250mlを加えそして溶剤400mlを蒸留除去した。得られた混合物を約1時間で0〜5℃に冷却した。固体を濾過分離しそして、冷水125mlを用いて3回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約94%。
実施例1f 3−〔〔ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル〕−1,1’−ビフェニルの製造
ジエタノールアミン123.4g、水100mlおよびメチルエチルケトン(MEK)100mlの混合物を製造しそしてメチルt−ブチルエーテル500mlに攪拌しながら温和な窒素パージ下で、3−(ブロモメチル)−1,1’−ビフェニル124.75gをメチルt−ブチルエーテル750mlと一緒に加えた。混合物を還流するまで加熱しそして18時間還流し、次いで室温まで冷却した。その後、混合物を2N NaOH375mlを用いて1回および水375mlを用いて4回洗浄した。一緒にした2N NaOHおよび水の層をメチルt−ブチルエーテル750mlを用いて抽出した。一緒にしたメチルt−ブチルエーテル層を水250mlで洗浄し次いで有機層からできるだけ多量のメチルt−ブチルエーテルを蒸留した。メチルエチルケトン1350mlを加えそして溶剤600mlを大気圧で蒸留した。溶液を室温まで冷却しそして次の段階に使用するまで保管した。定量アッセイに基づく収率97%。
実施例1g ビフェプルノックスメシラート(粗)の製造
実施例1fに従って製造した3−〔〔ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル〕−1,1’−ビフェニル128.9gのメチルエチルケトン約750ml中の溶液を温和な窒素パージ下で攪拌した。別の容器中で無水メタンスルホン酸202gをメチルエチルケトン600ml中に10〜20℃で溶解した。メチルエチルケトン中の3−〔〔ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル〕−1,1’−ビフェニルの溶液にトリエチルアミン212.8gよびメチルエチルケトン60mlを加えた。無水メタンスルホン酸の溶液を約45〜60分間で3−〔〔ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕メチル〕−1,1’−ビフェニル/トリエチルアミン溶液に加え、その間温度を10℃未満に保持した。メチルエチルケトン60mlを加えそして混合物をさらに15分間攪拌し、次いでメタンスルホン酸109.7gを滴下して加えそして添加容器を洗浄するためにメチルエチルケトン60mlを加えた。
【0026】
実施例1eに従って製造した7−アミノ−2(3H)−ベンゾオキサゾロン71.3gをメチルエチルケトン100ml中に懸濁し、そして反応混合物に加え次いでメチルエチルケトン60mlを加えた。反応混合物を還流まで加熱しそして20〜24時間還流した。還流の20〜24時間後に、水48mlを加えそして混合物をさらに1時間還流した。メチルエチルケトン420mlを加えそしてメチルエチルケトン/水490mlを蒸留除去した。最後の工程を3回反復した。メタンスルホン酸46.1gを加え、混合物をさらに1時間還流しそして1時間で室温まで冷却した。混合物をさらに0〜5℃まで冷却しそしてこの温度でさらに1時間攪拌した。固体を濾過分離しそして、冷メチルエチルケトン75mlを用いて2回洗浄し、そして温和な窒素流中で乾燥するまで50℃および100mbarで乾燥した。収率約76%。
【実施例2】
【0027】
2−プロパノール中でビフェプルノックスメシラートの多型体形態αの製造
実施例1gに記載の様にして製造した粗ビフェプルノックスメシラート10.06gを2−プロパノール200mlおよび水40mlの混合物中に窒素パージ下で懸濁した。懸濁液を還流まで加熱しそして攪拌しながら120分間で室温まで冷却した。形成された懸濁液を攪拌しながらさらに0℃まで冷却しそしてこの温度でさらに120分間攪拌した。結晶を濾過分離しそして50℃および100mbarで乾燥した。
【実施例3】
【0028】
アセトニトリル中でビフェプルノックスメシラートの多型体形態αの製造
実施例1gに記載の様にして製造した粗ビフェプルノックスメシラート50gをアセトニトリル875mlおよび水250mlの混合物中に窒素パージ下で懸濁した。アセトニトリル375mlを加えそして反応混合物を還流まで加熱した。溶剤500mlを蒸留除去しそしてアセトニトリル500mlを加えそしてこの手順をもう一回反復した。溶剤をさらに500ml蒸留した後混合物を120分間で室温まで冷却した。混合物を5〜0℃までさらに冷却しそしてこの温度で120分間攪拌した。形成された結晶を濾過分離しそしてアセトニトリルを用いて2回洗浄した。単離された結晶を温和な窒素パージ下で50℃および100mbarで乾燥した。収率約85.6%。
【実施例4】
【0029】
ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γの製造
実施例1gに記載の様にして製造したビフェプルノックスメシラート(粗)12.50gのメチルエチルケトン(MEK)150ml中の懸濁液に、5%NaHCO3溶液75mlを約10〜15分間で加えた。5〜10分間の攪拌の後、懸濁液をハイフロー(R)またはセライト(Celite)(R)上で別の容器中に濾過し、ここで層が分離した。水層をメチルエチルケトン125および75mlを用いて抽出した。メチルエチルケトン層を一緒にしそして水50mlおよび96%エタノール10mlの混合物を用いて洗浄した。
【0030】
1μmフィルターを通してメチルエチルケトン層を清浄な容器中に濾過し、その後フィルターをメチルエチルケトン25mlを用いて洗浄した。メチルエチルケトンを体積約130mlに達するまで濾過除去し、メチルエチルケトン200mlを加えそして再度体積175mlに達するまでメチルエチルケトンを蒸留除去した。
【0031】
次いでメチルエチルケトン50ml中のメタンスルホン酸3.00gの溶液を約30分間で加えた。5℃に冷却しそしてその温度で1.5時間攪拌した後、製品を蒸留分離しそして冷メチルエチルケトン50mlを用いて2回洗浄した。温和な窒素パージ下で50℃および100mbarで乾燥した後、ビフェプルノックスメシラートのガンマ多型体が約80%の収率で得られた。
【実施例5】
【0032】
ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αの10mgカプセル製剤の製造
ラクトース2.227kgをふるい分けそして高剪断混合機内に充填した。多型体形態αのビフェプルノックスメシラート125gをふるい分けそして加えた。組成物を高剪断混合機(例えばコレットグラル(Collette Gral)10またはコレットグラル75)を用いてそれが均質となるまで混合した(約4分間)。崩壊剤(例えばグリコール酸デンプンナトリウムUSP−NF、例えばプリモジェル(Primojel)(R))24gおよび滑沢剤(例えばステアリルフマル酸ナトリウム、例えばPRUV(R))24gを加えそしてそれが均質になるまで再度混合した(約1分間)。粉末をカプセルあ
たりに0.240mgのカプセルサイズに、カプセル充填機(例えばザナシ(Zanasi)LZ64またはザナシRM63Dプラグ充填機)を利用して充填した。約10,000個の充填カプセルが得られた。
【実施例6】
【0033】
ビフェプルノックスメシラート多型体形態αの10mg錠剤製剤の製造
下記の手順に従って10mgの力価の錠剤を製造した(所要量は表8に示す)。ラクトース一水和物の記載量の三分の一をふるい分けそして高剪断混合機内に充填し5分間混合した。多型体形態αの磨砕ビフェプルノックスメシラートの所要量を、グリコール酸デンプンナトリウム タイプA0.100kg、微結晶セルロース2.32kgおよびラクトース一水和物の残量と一緒に混合物に加えた。組成物を高剪断混合機(例えばコレットグラル10またはコレットグラル75)を用いてそれが均質となるまで混合した(約10分間)。0.42mmふるいを通してふるい分けたステアリルフマル酸ナトリウム(例えばPRUV(R))の所要量を加えそして組成物をそれが均質となるまで再度混合した(約5分間)。最終製品を300MPaで圧縮して錠剤とした。製品を指定されたオパドライ(Opadry)II HP水懸濁液15%m/mを用いてコア重量の3.5%まで被覆した。
【0034】
【表6】
【実施例7】
【0035】
分析方法
XRPDパターンは、単色光CuKα放射(管電圧40kV、管電流40mA)を用いて回折計により室温で測定した。IRスペクトルは、水銀テルル化カドミニウム(mercury cadmium telluride)検出器を用い2cm−1のスペクトル分解能を有する全反射減衰法(シリコン結晶)によりフーリエ変換分光IR分析計で記録した。
【0036】
融点は、覗き蓋(pierced lid)を有する40μLアルミニウムるつぼを用いて溶融吸熱の開始温度としてDSC装置で決定した。温度プログラム:10K分−1で
25℃から300℃まで加熱、80mL分−1の流量のN2雰囲気。
【0037】
固体13C NMRスペクトルは、ブルカー(Bruker)AM300計器
で交差分極マジック角回転(CP/MAS)アクセサリを用いて(接触時間4ミリ秒、リサイクル遅れ3秒、スペクトル幅30kHz、1H90°パルス6μ秒、回転速度約8.5kHz)得られた。標準の4mmブルカーCP/MASプローブを使用した。化学シフトは、グリシンを参照とした(C=O共鳴に対してδc=176.03ppm)。
【0038】
アルファおよびデルタ結晶形態の分析は、ユトレヒト大学バイフート生物分子研究センター(Bijvoet Centre for Biomolecular Research,Utrecht University)で行った。γ結晶形態の分析は、ブラウンシュヴァイク大学無機および分析化学研究所内のピータージョーンズ研究室(Peter Jones’lab in Institute of Inorganic and Analytical Chemistry,University of Braunsweig)で行った。
【0039】
アルファ形態の結晶は、顕微鏡下でブロック形として見られ、ガンマ結晶形態のものは平板または棒状であり、一方デルタ結晶形態の結晶は丸い端部を有するブロック形に見えた。
【0040】
各々の結晶形態について、冷窒素流内で回転陽極X線回折計内に結晶を移した。構造は自動化された直接法により解析した。窒素に結合した水素原子は、電子密度マップで位置を決定しそしてそれらの座標は精密化(refinement)におけるパラメーターとして含まれた。その他の水素原子はそれらのキャリヤ原子上に乗っている算定位置で精密化に含まれた。水素以外のすべての原子は、非等方性原子変位パラメーターを用いて精密化された。水素原子は、それらのキャリヤ原子に関して、固定変位因子を与えられた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αのXRPDパターン
【図2】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αのDSCトレース
【図3】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αのIR(ATR)スペクトル
【図4】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態αの13C固体NMRスペクトル
【図5】X線結晶解析から誘導されたビフェプルノックスメシラートの多型体形態の立体配置
【図6】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γのXRPDパターン
【図7】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γのDSCトレース
【図8】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γのIR(ATR)スペクトル
【図9】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態γの13C固体NMRスペクトル
【図10】X線結晶解析から導かれたビフェプルノックスメシラートの多型体形態γの立体配置
【図11】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態δのXRPDパターン
【図12】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態δのDSCトレース
【図13】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態δのIR(ATR)スペクトル
【図14】ビフェプルノックスメシラートの多型体形態δの13C固体NMRスペクトル
【図15】X線結晶解析から導かれたビフェプルノックスメシラートの多型体形態δの立体配置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
おおよそ7.0、9.3、10.0、12.5、15.4、16.7、17.2、17.4、17.7、18.7、21.3、22.2、25.2、27.2、28.3、28.8および30.1の、角度2θに現れる特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項2】
本質的に図1に示すX線粉末回折(=XRPD)パターンを特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項3】
おおよそ277℃に融点を有する、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項4】
本質的に図2に示す完全DSCトレースを特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項5】
センチメートルの逆数で表しておおよそ1764、1217、795、746および694に特性吸収バンドを有する減衰全反射赤外スペクトルを示す、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項6】
センチメートルの逆数で表しておおよそ1764、1636、1284、1217、809、795、746、694、663および509に特性吸収バンドを有する減衰全反射赤外スペクトルを示す、請求項5に記載の7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項7】
本質的に図3に示す完全IRスペクトルを特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項8】
グリシン(C=O共鳴に関してδc=176.03)に対して表しておおよそ40.4、48.7、56.5、106.8および137.7ppmに13C固体NMR化学シフトを示す、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項9】
グリシン(C=O共鳴に関してδc=176.03)に対して表しておおよそ40.4、48.7、50.3、56.5、106.8、110.7、124.9、126.9、127.8、129.2、130.8、134.2、137.7、141.6および153.8ppmに13C固体NMR化学シフトを示す、請求項8に記載の7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項10】
本質的に図4に示す完全13C 固体NMR化学シフトを特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項11】
(a)下記におおよそ等しい結晶パラメーター
【表1】
および(b)表5に列挙のような単位セルの原点に関するすべての原子の原子位置
の、150Kでの単結晶X線結晶構造解析を示す、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項12】
本質的に図5に示す単一X線回折を特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項13】
化合物の少なくとも約50重量%が請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体形態である、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナート。
【請求項14】
化合物の少なくとも約60重量%が請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性多型体形態であることを特徴とする、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
化合物の少なくとも約80重量%が請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性多型体形態であることを特徴とする、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
化合物の少なくとも約90重量%が請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性多型体形態であることを特徴とする、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
化合物の少なくとも95重量%が請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性多型体形態であることを特徴とする、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートを有機溶剤または有機溶剤と水との混合物中のその溶液から結晶化することを含んでなる、請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の製造方法。
【請求項19】
7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2
(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートのγまたはδ多型体または二種の多型体の混合物を、有機溶剤または有機溶剤と水との混合物中のその溶液から再結晶化することを含んでなる、請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の製造方法。
【請求項20】
該有機溶剤が、2−プロパノールおよびアセトニトリルからなる群から選ばれそして好ましくはアセトニトリルである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の有効量および少なくとも一種の製薬学的に許容できる賦形剤を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項22】
7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの有効量、およびラクトース一水和物、結晶性ラクトース、微結晶セルロース、グリコールデンプンナトリウム タイプA、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび場合によりコロイド状無水シリカの混合物を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項23】
請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の有効量、ラクトース一水和物70%〜90%w/w、微結晶セルロース10%〜15%w/w、グリコール酸デンプンナトリウム タイプA0.3%〜0.7%w/w、ステアリルフマル酸ナトリウム0.6%〜1.3%w/wおよび場合によりコロイド状無水シリカ0.05%〜0.5%w/wを含んでなる、請求項22記載の製薬学的組成物。
【請求項24】
請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の有効量を含んでなる、請求項22〜23記載の製薬学的組成物。
【請求項25】
医薬として使用するための請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体。
【請求項26】
請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の有効量を投与することを含んでなる、中枢神経系障害の処置のための方法。
【請求項27】
該中枢神経系障害が精神病的障害またはパーキンソン病である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
該中枢神経系障害が精神分裂病である、請求項25記載の方法。
【請求項1】
おおよそ7.0、9.3、10.0、12.5、15.4、16.7、17.2、17.4、17.7、18.7、21.3、22.2、25.2、27.2、28.3、28.8および30.1の、角度2θに現れる特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項2】
本質的に図1に示すX線粉末回折(=XRPD)パターンを特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項3】
おおよそ277℃に融点を有する、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項4】
本質的に図2に示す完全DSCトレースを特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項5】
センチメートルの逆数で表しておおよそ1764、1217、795、746および694に特性吸収バンドを有する減衰全反射赤外スペクトルを示す、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項6】
センチメートルの逆数で表しておおよそ1764、1636、1284、1217、809、795、746、694、663および509に特性吸収バンドを有する減衰全反射赤外スペクトルを示す、請求項5に記載の7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項7】
本質的に図3に示す完全IRスペクトルを特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項8】
グリシン(C=O共鳴に関してδc=176.03)に対して表しておおよそ40.4、48.7、56.5、106.8および137.7ppmに13C固体NMR化学シフトを示す、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項9】
グリシン(C=O共鳴に関してδc=176.03)に対して表しておおよそ40.4、48.7、50.3、56.5、106.8、110.7、124.9、126.9、127.8、129.2、130.8、134.2、137.7、141.6および153.8ppmに13C固体NMR化学シフトを示す、請求項8に記載の7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項10】
本質的に図4に示す完全13C 固体NMR化学シフトを特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項11】
(a)下記におおよそ等しい結晶パラメーター
【表1】
および(b)表5に列挙のような単位セルの原点に関するすべての原子の原子位置
の、150Kでの単結晶X線結晶構造解析を示す、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項12】
本質的に図5に示す単一X線回折を特徴とする、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの結晶性多型体。
【請求項13】
化合物の少なくとも約50重量%が請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体形態である、7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナート。
【請求項14】
化合物の少なくとも約60重量%が請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性多型体形態であることを特徴とする、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
化合物の少なくとも約80重量%が請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性多型体形態であることを特徴とする、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
化合物の少なくとも約90重量%が請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性多型体形態であることを特徴とする、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
化合物の少なくとも95重量%が請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性多型体形態であることを特徴とする、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートを有機溶剤または有機溶剤と水との混合物中のその溶液から結晶化することを含んでなる、請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の製造方法。
【請求項19】
7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2
(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートのγまたはδ多型体または二種の多型体の混合物を、有機溶剤または有機溶剤と水との混合物中のその溶液から再結晶化することを含んでなる、請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の製造方法。
【請求項20】
該有機溶剤が、2−プロパノールおよびアセトニトリルからなる群から選ばれそして好ましくはアセトニトリルである、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の有効量および少なくとも一種の製薬学的に許容できる賦形剤を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項22】
7−〔4−(〔1,1’−ビフェニル〕−3−イルメチル)−1−ピペラジニル〕−2(3H)−ベンゾオキサゾロン モノメタンスルホナートの有効量、およびラクトース一水和物、結晶性ラクトース、微結晶セルロース、グリコールデンプンナトリウム タイプA、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび場合によりコロイド状無水シリカの混合物を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項23】
請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の有効量、ラクトース一水和物70%〜90%w/w、微結晶セルロース10%〜15%w/w、グリコール酸デンプンナトリウム タイプA0.3%〜0.7%w/w、ステアリルフマル酸ナトリウム0.6%〜1.3%w/wおよび場合によりコロイド状無水シリカ0.05%〜0.5%w/wを含んでなる、請求項22記載の製薬学的組成物。
【請求項24】
請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の有効量を含んでなる、請求項22〜23記載の製薬学的組成物。
【請求項25】
医薬として使用するための請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体。
【請求項26】
請求項1〜12のいずれかに記載の結晶性多型体の有効量を投与することを含んでなる、中枢神経系障害の処置のための方法。
【請求項27】
該中枢神経系障害が精神病的障害またはパーキンソン病である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
該中枢神経系障害が精神分裂病である、請求項25記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−502802(P2007−502802A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523633(P2006−523633)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051816
【国際公開番号】WO2005/016898
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051816
【国際公開番号】WO2005/016898
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(501439149)ソルベイ・フアーマシユーチカルズ・ベー・ブイ (71)
【Fターム(参考)】
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