説明

ピザなど食品生地の成型方法、及びその装置

【課題】本発明は、均一な形状に成型せしめることができ、しかも角形形状や方形形状、あるいは楕円形状など多種多様の形状に成型せしめることが出来る、ピザ生地など食品生地の成型方法、及びその装置を提供するものである。
【解決手段】間欠走行自在な長尺状の無端駆動ベルト4が水平配設され、該無端駆動ベルト4の搬送面上にはそのテ−ルプ−リ2側からトッププ−リ3側に向けて順次生地材料Aを一定分量に分割供給せしめる分割供給手段5と、分割供給された生地材料Aを上下一対のシ−ト14・15で挾みこむ上下部シ−ト供給手段6・7と、上下部シ−ト14・15間に分割生地材料Aを挾みこみつつその外周縁を融着して所要形状に封緘せしめるシ−ル手段8と、封緘せしめた生地材料Aを展圧成型せしめる成型手段9とが各々配設された構成よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピザや包餅などシ−ト状食品生地の成型方法、及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、ピザ生地を製造せしめるさいには、小麦粉に水・オリ−ブ油・砂糖
・塩・イ−スト菌など所要の副材料を加えて混練りし、所要時間発酵せしめたのち70g
〜250gに分割せしめ、これを麺棒により厚さが0.5mm〜2mm、直径200mm
〜450mmに展圧して成型せしめた後、焼成するという、全くの手作業にたよっており
、極めて製造能率が悪いのみならず、常に均一に製造しずらいものとなっていた。
【0003】
かかる従来の問題点を解決するものとして、例えば、本発明者が先に提案した特開平1
1−243834号公報(特許文献1)には、少なくとも上下一対のプラスチックフィル
ム間に一定分量の生地材料を挾みこみ、間欠走行自在な無端駆動ベルトを介して搬送せし
めつつ成型プレスにより所定形状に展圧せしめる、ピザ生地など食品生地の成型方法及び
その装置が開示されている。また、特開平11−318317号公報(特許文献2)には
、上下に対向配設せしめた上下部無端駆動ベルト間に一定分量の生地材料を挾みこみ、上
下部無端駆動ベルトを間欠的に同期走行せしめつつ生地材料を成型手段により加圧成型せ
しめる、ピザ生地など食品生地の加工方法及びその装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−243834号公報
【特許文献2】特開平11−318317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如く構成された従来例は、ピザ生地など食品生地を常に迅速、かつ確
実に、しかも能率よく機械的に成型せしめることが出来るものである。しかしながら、上
記従来例は、常に上下一対のプラスチックフィルムや上下部無端駆動ベルト間に一定分量
の生地材料を挾みこんで成型プレスなどにより展圧して成型せしめるにすぎないものであ
るから、成型せしめたピザなど食品生地の形状にばらつきを生じて均一な形状に成型せし
めることが出来ないのみならず、成型形状も略円形状にのみ限定され、角形形状や方形形
状、あるいは楕円形状など多種多様の形状に成型せしめることは到底出来ないものである

【0005】
本発明は従来の問題点を解決し、常に均一な形状に成型せしめることが出来るのみなら
ず、角形形状や方形形状、あるいは楕円形状など多種多様の形状に成型せしめることが出
来る、ピザ生地など食品生地の成型方法、及びその装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、一定分量に分割せしめた生地材
料を上下一対のシ−ト間に挾みこみ、該上下シ−トの外周縁をシ−ル手段により融着して
所要形状に封緘せしめたのち、成型手段により展圧して成型せしめることを特徴とする、
ピザなど食品生地の成型方法を要旨とするものである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、間欠走行自在な長尺状の無端駆動ベルトが水平配設され
、該無端駆動ベルトの搬送面上にはそのテ−ルプ−リ側からトッププ−リ側に向けて順次
生地材料を一定分量に分割供給せしめる分割供給手段と、分割供給された生地材料を上下
一対のシ−トで挾みこむ上下部シ−ト供給手段と、上下部シ−ト間に分割生地材料を挾み
こみつつその外周縁を融着して所要形状に封緘せしめるシ−ル手段と、封緘せしめた生地
材料を展圧成型せしめる成型手段とが各々配設されてなることを特徴とする、ピザなど食
品生地の成型装置を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明は上述のように構成されているから、一定分量に分割せしめた生地
材料を上下一対のシ−ト間に封緘して成型せしめるという極めて簡単な操作でもって、ピ
ザ生地など食品生地を常に均一な形状に成型せしめることが出来るのみならず、分割生地
材料を適宜所要形状に封緘せしめることにより多種多様の形状に成型せしめることが出来
るものである。
【0009】
請求項2記載の発明は上述のように構成されているから、無端駆動ベルトを間欠走行せ
しめつつ、その搬送面上に上下部シ−ト供給手段により上下部シ−トを供給して分割生地
材料を挾みこみ、シ−ル手段により所要形状に融着して封緘せしめたのち、成型手段によ
り成型せしめることが出来るものであって、ピザ生地など食品生地を常に均一な形状に成
型せしめることが出来るのみならず、分割生地材料を適宜所要形状に封緘せしめることに
より多種多様の形状に成型せしめることが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に示す一実施例について詳細に説明
する。
【0011】
図1乃至図4は本発明の一実施例を示すもので、同図中、1は細長な方形体状フレ−ム
、2・3は該フレ−ム1の両端部に各々配設された一対のテ−ルプ−リとトッププ−リで
、該トッププ−リ3は減速機付きモ−タ(図示略)を介して間欠駆動自在とされている。
4は上記テ−ルプ−リ2とトッププ−リ3との間に巻掛けられた無端駆動ベルトで、該無
端駆動ベルト4としては気密性・耐熱性・非粘着性などに優れたチュ−コ−フロ−ベルト
(中興化成株式会社の登録商標)が好適である。5・6・7・8・9・10は上記無端駆
動ベルト4のテ−ルプ−リ2側よりトッププ−リ3側に向けてその搬送面上に順次配設さ
れた後記する生地材料Aの分割供給手段と、上部耐熱シ−ト供給手段と、下部耐熱シ−ト
供給手段と、シ−ル手段と、成型手段と、加熱手段である。
【0012】
そして、上記分割供給手段5は、無端駆動ベルト4のテ−ルプ−リ2側における搬送面
上に配設された分割機11より構成され、発酵せしめた後記する生地材料Aを70g〜2
50gの分量に分割せしめつつ供給するものとされている。上部耐熱シ−ト供給手段6は
分割機11の前方に配設された上部耐熱シ−ト供給ロ−ル12により、また、下部耐熱シ
−ト供給手段7は分割機11の後方に配設された下部耐熱シ−ト供給ロ−ル13により各
々構成され、該上下部耐熱シ−ト供給ロ−ル12・13は分割生地材料Aを上下よりサン
ドイッチ状に挾みこむべく巻回せしめた長尺状の上部耐熱シ−ト14と下部耐熱シ−ト1
5を各々無端駆動ベルト4の搬送面上に供給するものとされている。そして、上記上下部
耐熱シ−ト14・15としては、紙にシリコン樹脂やフッ素系樹脂をコ−ティングするこ
とにより耐熱性・耐油性・撥水性等を付与せしめたクッキングシ−ト、あるいは耐熱性樹
脂シ−トなどを好適に用いる。シ−ル手段8は、上部耐熱シ−ト供給ロ−ル12の前方に
位置すべく無端駆動ベルト4上に配設されたプレス16を介して昇降自在に配設された熱
板シ−ラ17と、該熱板シ−ラ17に対応すべく無端駆動ベルト4の搬送面下に配設され
た受台18とより構成されている。そして、かかる熱板シ−ラ17は図3に図示するよう
に、所要の幅と長さを備えた方形枠状に形成されると共に、四隅に各々エア−抜き形成用
スリット19が形成されてなり、前記上下部耐熱シ−ト14・15間に分割生地材料Aを
挾みこみつつ方形状に融着して封緘せしめるものとされている。成型手段9は、上記熱板
シ−ラ17の前方に位置すべく無端駆動ベルト4上に昇降自在に配設された加熱装置付き
成型プレス20と、該成型プレス20に対応すべく無端駆動ベルト4の搬送面下に配設さ
れた受台21とより構成されている。また、加熱手段10は前記成型プレス20の前方に
位置すべく無端駆動ベルト4の搬送面上に配設された略トンネル状の加熱装置22により
構成されている。23は無端駆動ベルト4のトッププ−リ3側上方に昇降自在に配設され
た耐熱シ−ト切断用ナイフ、24は無端駆動ベルト4表面の付着物を掻き取るべくトップ
プ−リ3側に付設されたドクタ−ナイフである。その他、Aは一定分量に分割せしめた生
地材料、Bは封緘成型せしめた成型生地、Cは封緘成型生地Bの4隅に形成されたエア−
抜き孔、Dは焼成生地を各々示す。
【0013】
次に、上述の如く構成された実施例によるピザ生地の成型例について説明する。
まず、公知の方法により、小麦粉に水、オリ−ブ油、砂糖、塩、イ−スト菌など所要の
副材料を配合して混練りし、所要時間発酵せしめてピザ用生地材料Aを生成せしめ、分割
機11に投入せしめる。しかるのち、図1に矢印で示す方向に無端駆動ベルト4を間欠的
に同期走行作動せしめると共に、上下部耐熱シ−ト供給ロ−ル12・13より巻回せしめた上下部耐熱シ−ト14・15を各々無端駆動ベルト4の搬送面上に各々供給せしめる。そして、分割機11により一定分量に分割せしめた生地材料Aを順次下部耐熱シ−ト15上に載置せしめたのち、上部耐熱シ−ト14との間にサンドイッチ状に挾みつつ搬送(図4(1)参照)せしめ、熱板シ−ラ17の下方に達した時点でその搬送を停止せしめる。しかるのち、プレス16を下降作動せしめつつ熱板シ−ラ17を上下部耐熱シ−ト14・15に押圧して略方形状に融着せしめ、上下部耐熱シ−ト14・15間に生地材料Aを封緘せしめる(図4(2)参照)。このさい、熱板シ−ラ17の四隅にはエア−抜き形成用スリット19が形成されているから、封緘せしめた生地材料Aの四隅には各々所要のエア−抜き孔Cが形成せられている。生地材料Aの封緘が完了すると、プレス16により熱板シ−ラ17を上昇作動せしめて離間せしめると共に、封緘生地材料Aを成型プレス20の下方に搬送せしめる。そして、成型プレス20を下降作動せしめ、封緘生地材料Aを加熱しつつ押圧し、展圧して成型生地Bを生成せしめる(図4(3)参照)。このさい、上下部耐熱シ−ト14・15により略方形状に封緘せしめた生地材料Aを成型プレス20により押圧して展圧せしめるものであるから、常に生地材料Aを封緘形態に展圧せしめることが出来るものであって、常に均一形状に成型せしめることが出来るものである。成型が完了すると、成型生地Bを順次加熱装置22内に搬送せしめて焼成し、焼成生地Dを生成せしめる。このさい、上下部耐熱シ−ト14・15は各々耐熱性を有するものであるから、熱変形することなく焼成生地Dを確実に生成せしめることが出来るものである。焼成が完了すると、焼成生地Dを順次無端駆動ベルト4のトッププ−リ3側に搬送せしめ、ナイフ23により連続する上下部耐熱シ−ト14・15を切断して各焼成生地Dごとに分離せしめ、のち、外方に排出せしめる。
なお、焼成生地Dは、必要に応じて冷蔵・冷凍手段により冷蔵・冷凍保存せしめ、ピザ
の製造に供するとよい。
【0014】
なお、上記実施例はピザの成型例を示したが、これに限定されるものでなく、包餅など
の他のシ−ト状食品生地にも適用せしめることが出来るものである。また、上記実施例に
おいて、シ−ル手段8として熱板シ−ラ17が示されているが、これに限定されるもので
なく、超音波シ−ラや高周波シ−ラなど公知のヒ−トシ−ラを採択することが出来るのみ
ならず、封緘形態も方形状の外、円形、楕円形、多角形など必要に応じて多種多様の形状
に封緘せしめてもよいものである。更に、上下部シ−ト14・15は耐熱性シ−トにより
形成されているが、これに限定されるものでなく、非耐熱性シ−トにより形成せしめても
よく、このさいには成型プレス20を非加熱化せしめると共に、加熱装置22が不要であ
る。さらに加えて、成型手段として成型プレス20が示されているが、これに限定される
ものでなく、成型ロ−ラなど公知の成型手段を採択することが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を使用状態と共に示す側面図である。
【図2】本発明の一実施例を使用状態と共に示す平面図である。
【図3】実施例の熱板シ−ラ17を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例によるピザの成型方法を工程順に示す垂直断面図である。
【符号の説明】
【0016】
2 テ−ルプ−リ
3 トッププ−リ
4 無端駆動ベルト
5 分割供給手段
6 上部耐熱シ−ト供給手段
7 下部耐熱シ−ト供給手段
8 シ−ル手段
9 成型手段
11 分割機
12 上部耐熱シ−ト供給ロ−ル
13 下部耐熱シ−ト供給ロ−ル
14 上部耐熱シ−ト
15 下部耐熱シ−ト
17 熱板シ−ラ
20 成型プレス
A 生地材料
B 成型生地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定分量に分割せしめた生地材料を上下一対のシ−ト間に挾みこみ、該上下シ−トの外周縁をシ−ル手段により融着して所要形状に封緘せしめたのち、成型手段により展圧して成型せしめることを特徴とする、ピザなど食品生地の成型方法。
【請求項2】
間欠走行自在な長尺状の無端駆動ベルトが水平配設され、該無端駆動ベルトの搬送面上にはそのテ−ルプ−リ側からトッププ−リ側に向けて順次生地材料を一定分量に分割供給せしめる分割供給手段と、分割供給された生地材料を上下一対のシ−トで挾みこむ上下部シ−ト供給手段と、上下部シ−ト間に分割生地材料を挾みこみつつその外周縁を融着して所要形状に封緘せしめるシ−ル手段と、封緘せしめた生地材料を展圧成型せしめる成型手段とが各々配設されてなることを特徴とする、ピザなど食品生地の成型装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−289377(P2008−289377A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−135745(P2007−135745)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(595181553)大阪自動機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】