ピッキング設備
【課題】適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できるピッキング設備を提供する。
【解決手段】ピッキング設備1は、物品Wが入ったケースKを一時的に保管する複数の保管部3を有する保管手段2を備える。ピッキング設備1は、ケースKを自動倉庫6から保管部3に搬送補充する搬送補充手段7と、この搬送補充手段7を制御する制御手段15とを備える。制御手段15は、ケースKを一時的に保管する時間を考慮して予め設定した設定保管時間および搬送補充手段7がケースKを保管部3に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定した設定搬送補充時間に基づいて、搬送補充開始指示を出力する。
【解決手段】ピッキング設備1は、物品Wが入ったケースKを一時的に保管する複数の保管部3を有する保管手段2を備える。ピッキング設備1は、ケースKを自動倉庫6から保管部3に搬送補充する搬送補充手段7と、この搬送補充手段7を制御する制御手段15とを備える。制御手段15は、ケースKを一時的に保管する時間を考慮して予め設定した設定保管時間および搬送補充手段7がケースKを保管部3に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定した設定搬送補充時間に基づいて、搬送補充開始指示を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できるピッキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたピッキング設備が知られている。
【0003】
この従来のピッキング設備は、オーダ情報に応じてピッキングされる物品が複数入れられたケースを保管する複数の保管部を有する保管手段と、保管部からピッキングされた物品が載置されこの載置された物品を一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入装置と、これら複数の投入装置からの物品を受け入れこの受け入れた物品をオーダ単位で搬送するオーダ単位搬送装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−29598号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、上記従来のピッキング設備では、作業者の手作業によってケースが保管部に補充されるようになっているが、例えば補充コンベヤおよび補充クレーン等に構成された搬送補充手段を用いて、ケースを保管部に自動的に補充するようにした場合には、どのようなタイミングで補充するかが問題となる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できるピッキング設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のピッキング設備は、オーダ情報に応じてピッキングされる物品が入れられたケースを保管する複数の保管部を有する保管手段と、ケースを前記保管部に搬送補充する搬送補充手段と、この搬送補充手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、ケースが前記保管部にて保管される時間を考慮して予め設定された第1設定値および前記搬送補充手段がケースを前記保管部に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定された第2設定値に基づいて、搬送補充開始指示を出力するものである。
【0008】
請求項2記載のピッキング設備は、請求項1記載のピッキング設備において、第1設定値は設定保管時間で、第2設定値は設定搬送補充時間であり、制御手段は、設定保管時間、設定搬送補充時間および実際のピッキングの進捗状況に応じて変動する変動オーダ処理能力に基づいて、搬送補充開始指示を出力するものである。
【0009】
請求項3記載のピッキング設備は、請求項2記載のピッキング設備において、制御手段は、設定保管時間および変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合におけるピッキング開始時からの累積ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段と、ピッキング開始時からの累積補充済物品数量が累積ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段と、この判断手段にて累積補充済物品数量が累積ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における搬送補充オーダ数範囲のピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段と、ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力する指示出力手段とを有するものである。
【0010】
請求項4記載のピッキング設備は、請求項2記載のピッキング設備において、制御手段は、設定保管時間および変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における保管オーダ数範囲の第1ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段と、保管部にて保管されている補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段と、この判断手段にて補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における搬送補充オーダ数範囲の第2ピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段と、第2ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力する指示出力手段とを有するものである。
【0011】
請求項5記載のピッキング設備は、請求項3または4記載のピッキング設備において、制御手段の指示出力手段は、予め設定された設定中断時刻を加味して保管部の空き長さ寸法を算出するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、制御手段はケースが保管部にて保管される時間を考慮して予め設定された第1設定値および搬送補充手段がケースを保管部に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定された第2設定値に基づいて搬送補充開始指示を出力するため、適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、制御手段は設定保管時間、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充開始指示を出力するため、実際のピッキングの進捗状況に対応でき、より一層適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、制御手段の指示出力手段は、ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力するため、保管部の空き領域にケースを適切に自動補充できるとともに、実際のピッキングの進捗状況に対応でき、より一層適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、制御手段の指示出力手段は、第2ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力するため、保管部の空き領域にケースを適切に自動補充できるとともに、実際のピッキングの進捗状況に対応でき、より一層適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、制御手段の指示出力手段は、予め設定された設定中断時刻を加味して保管部の空き長さ寸法を算出するため、ピッキングが設定中断時刻に中断されるのを無視して指示出力手段が搬送補充開始指示を出力してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るピッキング設備の概略平面図である。
【図2】同上ピッキング設備のシステム構成図である。
【図3】同上ピッキング設備のピッキング部の正面図である。
【図4】同上ピッキング設備のピッキング部の平面図である。
【図5】同上ピッキング設備の制御手段が記憶するオーダ情報を示す図である。
【図6】同上ピッキング設備のフローチャート図である。
【図7】同上ピッキング設備のフローチャート図である。
【図8】同上ピッキング設備の作用説明図である。
【図9】同上ピッキング設備の作用説明図である。
【図10】同上ピッキング設備の高頻度品に関する作用説明図である。
【図11】同上ピッキング設備の中頻度品に関する作用説明図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るピッキング設備のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1および図2において、1はピッキング設備で、このピッキング設備1は、所定方向に長手状で互いに平行に配設され所定距離を介して互いに離間対向する対をなす2つの保管手段2を備えている。
【0020】
保管手段2は、例えば保管棚にて構成されたもので、作業者(ピッカー)Xの手作業によってオーダ情報に応じてピッキングつまり取り出される物品Wが入れられたケースKを一時的に保管する複数の保管部3を有している。
【0021】
なお、物品Wは、例えば低温管理が必要な冷凍食品等の商品である。ケースKは、例えば複数の物品Wを入れることが可能な箱状のダンボールケース等で、通常、中に入れられる物品Wの種類や数等によってその大きさが異なるものであるが、本実施の形態では、各ケースKの大きさが同じである場合について説明する。なお、ここでいうケースKには、例えばトレイのような皿状のものも含まれる。
【0022】
また、ピッキング設備1は、少なくとも一部が両保管手段2間にこれら保管手段2と平行状に配設された搬送手段5を備えている。そして、両保管手段2と搬送手段5とにて、ピッキングシステム(集品システム)4が構成されている。
【0023】
なお、一方の保管手段2と搬送手段5の間にピッキング作業する作業者Xのための作業スペース(ピッキングエリアA)があり、他方の保管手段2と搬送手段5の間にピッキング作業する作業者Xのための作業スペース(ピッキングエリアB)がある。
【0024】
さらに、ピッキング設備1は、物品Wが所定数ずつ複数入れられたケースKを保管室6a内で保管する自動倉庫6と、この自動倉庫6の保管室6a内から搬出されたケースKを両保管手段2の各保管部3に自動的に搬送補充する搬送補充手段7とを備えている。
【0025】
自動倉庫6は、例えば冷凍庫にて構成されたもので、この自動倉庫6の保管室6a内の温度は、物品Wが所定温度以下に低温管理されるように、例えば−25度に設定維持される。また、保管手段2、搬送手段5および搬送補充手段7においても物品Wが所定温度以下に低温管理されるように、各手段2,5,7の周囲温度は例えば−10度に設定維持される。
【0026】
搬送補充手段7は、自動倉庫6からのケースKを受け入れて搬送した後、このケースKを複数の保管部3のうち補充すべき保管部3に自動補充するものである。
【0027】
つまり、搬送補充手段7は、自動倉庫6の保管室6a内から搬出されたケースKを受け入れて補充ステーションまで搬送する補充コンベヤ8と、補充ステーション上のケースKを保持した後、このケースKを保持したまま保管部3まで搬送してこの保管部3の背面側(搬送手段5と対向する側である正面側とは反対側)の部分(空き領域)に自動補充する複数、例えば4つの補充クレーン9とを有している。
【0028】
補充コンベヤ8は、搬送始端側が自動倉庫6のケース搬出部に接続された1つの第1補充コンベヤ部11と、この第1補充コンベヤ部11の搬送終端側に接続され各保管手段2と平行に配設された2つの第2補充コンベヤ部12とにて構成されている。
【0029】
また、ピッキング設備1は、少なくとも保管手段2、搬送手段5、自動倉庫6および搬送補充手段7を制御する制御用コンピュータ等の制御手段15を備えている。
【0030】
制御手段15は、図2に示されるように、例えば物流管理サーバであり、この制御手段15には、自動倉庫6の制御部16、補充コンベヤ8の制御部17、補充クレーン9の制御部18およびピッキングシステム4の制御部19が電気的に接続されている。補充コンベヤ8の制御部17はコンベヤ制御コンピュータ17aおよびコンベヤ制御盤17bにて構成され、補充クレーン9の制御部18はクレーン制御コンピュータ18aおよびクレーン制御盤18bにて構成されている。
【0031】
ここで、ピッキングシステム4の具体的構成について図3および図4を説明する。
【0032】
ピッキングシステム4の保管手段2は、枠体21を有し、この枠体21に物品WをケースKに入れた状態で保管する複数の保管部3が設けられている。各保管部3は、例えば搬送手段5と対向する側である正面側に向って徐々に下り傾斜する傾斜状のフリーローラコンベヤ22にて構成されている。各フリーローラコンベヤ22の搬送終端部には、先頭のケースKとの当接により保管中のケースKの自重移動を規制するストッパが設けられている。
【0033】
そして、物品Wが保管部3の前面開口(間口)からピッキングされて先頭のケースKが空になった場合、作業者Xがその空のケースKをフリーローラコンベヤ22上から取り出すと、後続のケースKは、その自重でフリーローラコンベヤ22上を搬送終端側に向って移動する。新たなケースKの補充は搬送補充手段7によって自動的に行われ、新たなケースKはフリーローラコンベヤ22の搬送始端側、つまり保管部3の背面側の部分に補充される。
【0034】
なお、予め設定された複数の保管部3、すなわち例えば6列4段で合計24の保管部3である保管部群にて、1人の作業者Xがピッキングを担当するピッキングゾーン(作業ゾーン)が構成され、これら複数のピッキングゾーンは保管手段2の長手方向に沿って並んでいる(図1参照)。
【0035】
また、保管手段2は、複数の保管部3に対応して設けられた複数の保管側ランプ23を有している。つまり、各保管部3ごとに保管側ランプ23が1個ずつ設けられている。保管側ランプ23は、対応する保管部3の正面部、つまり作業者Xが目視可能なフリーローラコンベヤ22の搬送終端部に設けられている。保管側ランプ23は、作業者Xが次にピッキングすべき物品Wが入ったケースKを保管している保管部3を作業者Xに対して指示する保管部指示用の光源としてのランプである。つまり、各保管側ランプ23は、作業者Xに対してピッキング先の保管部3を指示するものである。
【0036】
なお、図示しないが、保管部3から物品Wがピッキングされたことつまり取り出されたことを検出するピッキング検出手段が各保管部3ごとに対応して設けられ、また、必要に応じて保管部3からピッキングすべき物品Wの数量を示す数量表示器が保管側ランプ23の近傍位置に設けられている。
【0037】
また、ピッキングシステム4の搬送手段5は、保管部3からオーダ情報に応じてピッキングされた物品Wが載置されこの載置された物品Wを一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入コンベヤ等の投入装置26と、これら複数の投入装置26からの物品Wを受け入れこの受け入れた物品Wをオーダ単位で搬送するセンタコンベヤ等のオーダ単位搬送装置27とを有している。
【0038】
オーダ単位搬送装置27は、例えばオーダ単位の物品Wを略V字状の搬送面上に直接載せた状態で、水平な搬送方向(図4中、右方向)に搬送しながらセンタリングする。つまり、オーダ単位搬送装置27は複数対の傾斜駆動コンベヤ28にて構成され、各傾斜駆動コンベヤ28は、物品Wを搬送する無端状の搬送ベルト29を有している。搬送ベルト29は、コンベヤフレーム30にて支持された複数のローラ31に回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源(図示せず)からの動力で回行して物品Wを搬送する。
【0039】
なお、オーダ単位搬送装置27の搬送終端部には集品箱33を搬送する集品箱搬送装置が接続され、その集品箱33にオーダ単位の物品Wが投入される(図1参照)。
【0040】
投入装置26は、オーダ単位搬送装置27の両側上方にそれぞれ配設されている。つまり、各ピッキングゾーンごとに、複数、例えば5つの投入装置26が1組となってそれぞれ配設されている。
【0041】
各投入装置26は、例えばランプ内蔵駆動コンベヤにて構成されたもので、保管部3からピッキングされた物品Wが直接載置されこの載置された物品Wを待機させた後に搬送投入する水平な搬送面34を上面に有する装置本体35と、この装置本体35の搬送面34の一部から光を上方側へ放射させることにより作業者Xに対してピッキングした物品Wを1個載置すべき投入装置26を指示する光源36とを備えている。各光源36は、作業者Xに対して物品載置先の投入装置26を指示するものである。
【0042】
装置本体35は、物品Wを搬送投入(搬送案内)する無端状の透光性搬送体37を有し、この透光性搬送体37はコンベヤフレーム38にて支持された複数のローラ39に回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源(図示せず)からの動力で回行して物品Wをオーダ単位搬送装置27の搬送方向に対して直交する方向へ搬送する。透光性搬送体37は、例えば多数の孔を有する網目状部材にて構成され、この透光性搬送体37の上側の往路面部の上面が搬送面34となっている。つまり、光源36の点灯時には透光性搬送体37の搬送面34に形成された孔(搬送面の一部)から光が放射され、この光によって搬送面34上に物品載置位置が指示される。
【0043】
光源36は、透光性搬送体37の内部、つまり透光性搬送体37の上側の往路面部とこの往路面部と離間対向する下側の復路面部との間に収納配設されている。光源36は、例えば発光ダイオード等で、透光性搬送体37の搬送面34の一部を光らせることにより作業者Xに対して搬送面34上の物品載置位置を指示する。
【0044】
また、物品Wが搬送面34上の物品載置位置に載置されたことを検出する載置検出手段(図示せず)が各光源36ごとに対応して設けられている。各載置検出手段は、例えば光源に取り付けられ光源の動作時に光源に連動して光源からの光の反射率に基づいて物品Wの載置を検出するセンサ等である。
【0045】
なお、ピッキングシステム4は、図3および図4に示すものには限定されず、例えば図示しないが、作業者Xがピッキングした物品Wを搬送手段5にて搬送される集品箱に投入するものや、作業者Xがハンディターミナルを持ってその表示部を見ながらピッキングした物品Wを集品箱に投入するもの等でもよい。
【0046】
一方、ピッキング設備1の制御手段15は、顧客から注文を受けて登録した予定データであるオーダ情報(図5参照)に応じて、作業者Xがピッキングする際に、ケースK(物品W)が保管部3にて一時的に保管される時間を考慮して予め設定された設定保管時間(第1設定値)Tmと、搬送補充手段7が自動倉庫6から搬出されたケースKを保管部3に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定された設定搬送補充時間(第2設定値)Tnと、作業者Xによる実際のピッキングの進捗状況に応じて変動する変動オーダ処理能力とに基づいて、搬送補充手段7の制御部19に対して所定の搬送補充開始指示を出力するものである。
【0047】
つまり、図2に示されるように、制御手段15は、第1物品数量算出手段41、判断手段42、第2物品数量算出手段43および指示出力手段44等を有している。
【0048】
第1物品数量算出手段41は、設定保管時間Tmおよび直近の変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数mを算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数mを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合におけるピッキング開始時(作業開始時)からの累積ピッキング済物品数量Aを算出する手段である。なお、オーダナンバは、各オーダに順に付される連続した番号である。
【0049】
判断手段42は、ピッキング開始時からの累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であるか否かを判断する手段である。
【0050】
第2物品数量算出手段43は、判断手段42にて累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間Tnおよび直近の変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数nを算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における搬送補充オーダ数n範囲のピッキング済物品数量Cを算出する手段である。
【0051】
指示出力手段44は、ピッキング済物品数量Cの物品Wがピッキングされた場合における保管部3の空き長さ寸法Zを算出し、この算出した空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充手段7の制御部19に対して搬送補充開始指示を出力する手段である。また、この指示出力手段44は、予め設定された設定中断時刻Tsを加味して保管部3の空き長さ寸法Zを補正して算出する。
【0052】
ここで、設定保管時間(保管棚に一時的に保管しておく時間)Tmは、例えばすべての保管部3に対して一律に設定される値であり、冷凍食品等の商品である物品Wが保管部3にて一時的に保管されることが許される時間に対応する値である。そして、低頻度品ですぐに必要としない物品(商品)Wは、保管手段2に長時間滞留させることなくピッキングを必要とする直前に補充することが可能となる。また、保管オーダ数mが大きくなると、保管手段2の在庫数が多くなる。進捗状況によっては低頻度品でピッキング予定の遅い物品Wを保管手段2に長時間滞留させることになる。保管オーダ数mが小さくなると、保管手段2の在庫数が少なくなる。進捗状況によっては保管手段2の在庫がなくなって補充待ちが発生する。
【0053】
設定搬送補充時間(自動倉庫から保管棚までの搬送時間)Tnは、例えばすべての保管部3に対して一律に設定される値であり、自動倉庫6と保管手段2との間の距離(搬送補充時間)に対応する値である。つまり、保管手段2のレイアウトに応じて設定される。そして、搬送補充オーダ数nオーダ分先のピッキングが完了した時点でのオーダ情報(予定データ)がチェックされ、保管部3に補充するタイミングで保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であるか否かが判断される。また、搬送補充オーダ数nが大きくなると、保管手段2の在庫数が多くても補充指示がかかり、保管手段2の空きを待つケースKが発生する(フライングで補充指示がかかることになる)。搬送補充オーダ数nが小さくなると、保管手段2の在庫数が少なくなる。進捗状況によっては保管手段2の在庫がなくなって補充待ちが発生する。
【0054】
なお、2つのパラメータ値であるTm,Tnは、各保管部3ごと、各保管手段2ごと或いは各ピッキングゾーンごとに設定するようにしてよく、また作業途中でTm,Tnの値を変更設定できるようにしてもよい。また、変動オーダ処理能力は、実際のピッキングの進捗状況に応じて変動する値であり、ピッキング開始時から所定時間(例えば1分)経過するごとに自動的に設定されるもので、単位時間当たりに処理されるオーダ数である。例えば単位時間当たりにおける、集品箱33へのオーダ単位の物品Wの投入回数である。
【0055】
次に、ピッキング設備1の作用等を説明する。
【0056】
まず、ピッキング開始前における初期補充について説明すると、空の保管手段2に以下の条件を満たすまで自動倉庫6から必要な物品WをケースKに入れた状態で補充する。
【0057】
すなわち、ピッキングシステム4の機械能力により求まる基準オーダ処理能力と設定保管時間Tmとに基づいて保管オーダ数mを算出した後、この保管オーダ数m範囲の物品数量を満たす必要数のケースKを自動倉庫6から保管部3に搬送補充する。
【0058】
保管部3の大きさが足りず、必要数のケースKを保管できない場合、補充可能な数(例えば3個)のみを保管収納して補充完了とする。補充不可能とされた残りの数のケースKは、保管部3に補充可能な空き領域ができるまで、自動倉庫6の保管室6a内で待機する。
【0059】
次に、ピッキング開始後について説明すると、オーダ情報に基づいて作業者Xがピッキングを開始すると、保管手段2の保管部3から物品Wが取り出され、保管部3の物品Wの在庫数が減少し、また、制御手段15では、各作業者Xによるピッキング実績(ピック実績)が順次更新される。
【0060】
つまり、図6に示すように、搬送手段5のオーダ単位搬送装置27等が作動し(ステップ1)、オーダ情報に応じて各間口から物品Wがピッキングされ(ステップ2)、制御手段15が変動オーダ処理能力を含むピッキング実績を更新し(ステップ3)、この動作が繰り返される。
【0061】
こうしてオーダが進むと、保管手段2の保管部3に保管されている物品Wの数量が減るため、保管部3へ物品W、つまり物品Wが入ったケースKを補充する必要がある。
【0062】
図7は制御手段15による補充ロジックのフローチャート図であり、この図7に示すように、制御手段15は、ピッキング開始時から所定時間(例えば1分)経過するごとに、各間口つまり各保管部3に対してそれぞれ個別に実行を開始する(ステップ1)。なお、例えば実行開始の周期は、変動オーダ処理能力の更新周期と同じである。
【0063】
まず、制御手段15は、ピッキング開始前に予め設定された設定保管時間Tmと、更新された最新(直近)の変動オーダ処理能力とにより、予測オーダ数である保管オーダ数mを算出する(ステップ2)。
【0064】
次いで、制御手段15は、算出した現時点に対応する完了オーダ(処理済オーダ)の最後尾のオーダナンバに対して保管オーダ数mを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合におけるピッキング開始時からの累積ピッキング済物品数量Aをオーダ情報に基づいて算出する(ステップ3)。
【0065】
続いて、制御手段15は、対応する保管部3に搬送補充されたピッキング開始時からの累積補充済物品数量B、つまり初期補充開始時から補充指示済となった累積数量を算出し、この累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であるか否かを判断する(ステップ4)。
【0066】
そして、累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下でないと判断された場合には、ステップ1に戻る。
【0067】
一方、累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であると判断された場合には、制御手段15は、保管部3に保管されているケースKの数、ケースKの長さ寸法および保管部3の搬送方向長さ寸法に基づいて、保管部3の空き長さ寸法Zを算出する(ステップ5)。
【0068】
この算出後、制御手段15は、ピッキング開始前に予め設定された設定搬送補充時間Tnと、更新された最新(直近)の変動オーダ処理能力とにより、予測オーダ数である搬送補充オーダ数nを算出する(ステップ6)。
【0069】
次いで、制御手段15は、算出した現時点に対応する完了オーダの最後尾のオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における現時点からの搬送補充オーダ数n範囲のピッキング済物品数量Cをオーダ情報に基づいて算出する(ステップ7)。
【0070】
続いて、制御手段15は、設定中断時刻Ts、例えば午前12時が設定されているか否かを判断する(ステップ8)。
【0071】
そして、設定中断時刻Tsが設定されていると判断された場合には、制御手段15は、設定中断時刻Tsおよび最新の変動オーダ処理能力とより中断オーダナンバsを算出する(ステップ9)。
【0072】
この算出後、制御手段15は、中断オーダナンバsが現時点のオーダナンバからこのオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでのn範囲内のものであるか否かを判断する(ステップ10)。
【0073】
そして、中断オーダナンバsがn範囲内のものでないと判断された場合には、制御手段15は、ピッキング済物品数量Cの物品Wがピッキングされた場合を想定して保管部3の空き長さ寸法Zを補正算出する(ステップ11)。
【0074】
続いて、制御手段15は、算出した保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であるか否かを判断し(ステップ12)、ケースKの長さ寸法以上であると判断した場合には1個のケースKの搬送補充を開始させるための1ケースの搬送補充開始指示を出力し(ステップ13)、ケースKの長さ寸法以上でないと判断した場合には空き領域補充待ち指示(空き領域待ち指示)を出力する(ステップ14)。
【0075】
そして、搬送補充開始指示が出力されると、対応する保管部3に保管すべき1個のケースKは、自動倉庫6から搬出され、補充コンベヤ8にて搬送された後、補充クレーン9にて保管部3へ搬送補充される。保管部3の空き長さ寸法Zが、複数個のケースKを補充可能な寸法値であっても、1個のケース(コンテナ)Kのみが搬送補充される。1つの保管部3に対して一度に複数ケースの搬送補充開始指示を出力すると、補充コンベヤ8上でケースKが混み合い、複数の保管部3に対して均等補充ができなくなるからである。
【0076】
なお、ステップ8で、設定中断時刻Tsが設定されていないと判断された場合にはステップ11に進み、また、ステップ10で、中断オーダナンバsがn範囲内のものであると判断された場合にはステップ12に進む。
【0077】
また、図8および図9は、保管オーダ数m=350、搬送補充オーダ数n=50の場合における、ピック頻度毎の商品補充指示を説明するための作用説明図であり、特に、図9の例1は高頻度品であるaアイテム(物品W)で現オーダが150オーダ目(オーダナンバ150)の場合の作用説明図であり、例2は中頻度品であるbアイテム(物品W)で現オーダが251オーダ目(オーダナンバ251)の場合の作用説明図である。
【0078】
図10(a)〜(f)は、aアイテムに関するより具体的な作用説明図であり、図10(a)に示されるように、保管部3は最大で3個のケースKしか保管できないため、ピッキング開始時において、オーダナンバ301〜400のオーダ分の物品Wが入ったケースKは、自動倉庫6内で待機中である。
【0079】
そして、図10(b)に示されるように、例えばオーダナンバ50のオーダが完了した場合、待機していたケースKの搬送補充開始指示が出力される。
【0080】
図10(c)に示されるように、例えばオーダナンバ120のオーダが完了した場合、オーダナンバ1〜470(120+m(350))のオーダ分の累積ピッキング済物品数量Aとオーダナンバ1〜400のオーダ分の累積補充済物品数量Bとが比較され、BがA以下であれば所定の補充チェックが行われる。
【0081】
図10(d)に示されるように、例えばn=50のオーダが完了すると予測した場合、50のオーダ(オーダナンバ121〜170)が完了しても、保管部3にはケースKを補充可能な空き領域がなく、空き領域補充待ち指示が出力される。
【0082】
図10(e)に示されるように、例えばオーダナンバ150のオーダが完了した場合、オーダナンバ1〜500(150+m(350))のオーダ分の累積ピッキング済物品数量Aとオーダナンバ1〜400のオーダ分の累積補充済物品数量Bとが比較され、BがA以下であれば所定の補充チェックが行われる。
【0083】
図10(f)に示されるように、例えばn=50のオーダが完了すると予測した場合、50のオーダ(オーダナンバ151〜200)が完了すると、保管部3にはケースKを補充可能な空き領域ができ、つまり保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上となり、搬送補充開始指示が出力される。
【0084】
なお、例えば設定中断時刻Tsが設定されていた場合において、オーダナンバ151〜200の中に中断オーダナンバsがあるときは、空き領域補充待ち指示が出力される。
【0085】
図11(a)〜(c)は、bアイテムに関するより具体的な作用説明図であり、図11(a)に示されるように、ピッキング開始時には、m=350の範囲の物品数量を満たす必要数である2個のケースKが対応する保管部3に補充されて保管されている。
【0086】
そして、図11(b)に示されるように、例えばオーダナンバ50のオーダが完了した場合、オーダナンバ1〜400(50+m(350))のオーダ分の累積ピッキング済物品数量Aとオーダナンバ1〜420のオーダ分の累積補充済物品数量Bとが比較され、BがAよりも大きければ、十分な数の在庫があり、補充チェックは行われない。
【0087】
図11(c)に示されるように、例えばオーダナンバ71のオーダが完了した場合、オーダナンバ1〜421(71+m(350))のオーダ分の累積ピッキング済物品数量Aとオーダナンバ1〜420のオーダ分の累積補充済物品数量Bとが比較され、BがA以下であれば所定の補充チェックが行われる。そして、保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であり、搬送補充開始指示が出力される。
【0088】
そして、このようなピッキング設備1によれば、制御手段15が設定保管時間Tm、設定搬送補充時間Tnおよび変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充開始指示を出力するため、実際のピッキングの進捗状況に適切に対応することができ、より一層適切なタイミングでケースKを保管部3に自動補充でき、よって、効率的かつ適切な作業が可能となる。
【0089】
つまり、保管部3に一時的に保管しておく設定保管時間Tmをパラメータ化し、ピッキング実績と連動した変動オーダ処理能力(オーダ進捗情報)から保管部3の在庫数を予測することで、補充遅れや長時間無駄に保管しない最適な物品在庫数を維持でき、また、設備レイアウトに応じた設定搬送補充時間Tnをパラメータ化し、ピッキング実績と連動した変動オーダ処理能力(オーダ進捗情報)から保管部3の空き領域を予測することで、作業者Xによるピッキング作業に適したタイミングで搬送補充開始指示を出力できる。
【0090】
また、制御手段15の指示出力手段44が設定中断時刻Tsを加味して保管部3の空き長さ寸法Zを補正算出するため、ピッキングが設定中断時刻Tsに中断されるのを無視して、指示出力手段44が搬送補充開始指示を出力してしまうことを防止できる。
【0091】
なお、ピッキング設備1の制御手段15は、ピッキング開始時からの各累積数量A、Bを算出して両者を比較するものは限定されず、例えば、設定保管時間Tmおよび最新の変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数mを算出しこの算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数mを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における保管オーダ数m範囲の第1ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段41と、保管部3にて保管されている補充済物品数量(完了したオーダ分を除く数)が第1ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段42と、この判断手段42にて補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に設定搬送補充時間Tnおよび最新の変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数nを算出しこの算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における搬送補充オーダ数n範囲の第2ピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段43と、第2ピッキング済物品数量の物品Wがピッキングされた場合における保管部3の空き長さ寸法Zを算出しこの算出した空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であると判断した場合に搬送補充開始指示を出力する指示出力手段44とを有するものでもよい。
【0092】
また、制御手段15は、変動オーダ処理能力を用いず、予め設定された一定の基準オーダ処理能力、設定保管時間および設定搬送補充時間に基づいて搬送補充開始指示を出力するものでもよい。
【0093】
さらに、ピッキング設備1は、予め設定する第1設定値および第2設定値はそれぞれ設定保管時間Tmおよび設定搬送補充時間Tnである構成について説明したが、例えば第1設定値が予測オーダ数である設定保管オーダ数mであり、第2設定値が予測オーダ数である設定搬送補充オーダ数nである構成でもよい。
【0094】
つまり、この構成のピッキング設備1の場合、オーダ処理能力が作業開始から作業終了まで略一定であると想定して、設定保管オーダ数m(例えば350)および設定搬送補充オーダ数n(例えば50)を予め設定する。なお、作業途中で、m,nの値を変更設定できるようにしてもよい。
【0095】
ここで図12はこの構成の制御手段15による補充ロジックのフローチャート図であり、この図12に示すように、制御手段15は、ピッキング開始時から所定時間(例えば1分)経過するごとに、各間口つまり各保管部3に対してそれぞれ個別に実行を開始する(ステップ1)。
【0096】
そしてまず、制御手段15は、実行を開始した現時点に対応する完了オーダの最後尾のオーダナンバに対して設定保管オーダ数mを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合におけるピッキング開始時からの累積ピッキング済物品数量Aをオーダ情報に基づいて算出する(ステップ2)。
【0097】
続いて、制御手段15は、対応する保管部3に搬送補充されたピッキング開始時からの累積補充済物品数量B、つまり初期補充開始時から補充指示済となった累積数量を算出し、この累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であるか否かを判断する(ステップ3)。
【0098】
そして、累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下でないと判断された場合には、ステップ1に戻る。
【0099】
一方、累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であると判断された場合には、制御手段15は、保管部3に保管されているケースKの数、ケースKの長さ寸法および保管部3の搬送方向長さ寸法に基づいて、保管部3の空き長さ寸法Zを算出する(ステップ4)。
【0100】
この算出後、制御手段15は、算出した現時点に対応する完了オーダの最後尾のオーダナンバに対して設定搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における現時点からの設定搬送補充オーダ数n範囲のピッキング済物品数量Cをオーダ情報に基づいて算出する(ステップ5)。
【0101】
続いて、制御手段15は、設定中断時刻Ts、例えば午前12時が設定されているか否かを判断する(ステップ6)。
【0102】
そして、設定中断時刻Tsが設定されていると判断された場合には、制御手段15は、設定中断時刻Tsおよび基準オーダ処理能力とより中断オーダナンバsを算出する(ステップ7)。
【0103】
この算出後、制御手段15は、中断オーダナンバsが現時点のオーダナンバからこのオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでのn範囲内のものであるか否かを判断する(ステップ8)。
【0104】
そして、中断オーダナンバsがn範囲内のものでないと判断された場合には、制御手段15は、ピッキング済物品数量Cの物品Wがピッキングされた場合を想定して保管部3の空き長さ寸法Zを補正算出する(ステップ9)。
【0105】
続いて、制御手段15は、算出した保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であるか否かを判断し(ステップ10)、ケースKの長さ寸法以上であると判断した場合には1個のケースKの搬送補充を開始させるための1ケースの搬送補充開始指示を出力し(ステップ11)、ケースKの長さ寸法以上でないと判断した場合には空き領域補充待ち指示を出力する(ステップ12)。
【0106】
また、ステップ6で、設定中断時刻Tsが設定されていないと判断された場合にはステップ9に進み、また、ステップ8で、中断オーダナンバsがn範囲内のものであると判断された場合にはステップ10に進む。
【0107】
なお、この構成においても各累積数量A、Bを算出して両者を比較するものは限定されず、完了オーダ分を除いた物品数量を比較するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 ピッキング設備
2 保管手段
3 保管部
7 搬送補充手段
15 制御手段
41 第1物品数量算出手段
42 判断手段
43 第2物品数量算出手段
44 指示出力手段
W 物品
K ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できるピッキング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたピッキング設備が知られている。
【0003】
この従来のピッキング設備は、オーダ情報に応じてピッキングされる物品が複数入れられたケースを保管する複数の保管部を有する保管手段と、保管部からピッキングされた物品が載置されこの載置された物品を一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入装置と、これら複数の投入装置からの物品を受け入れこの受け入れた物品をオーダ単位で搬送するオーダ単位搬送装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−29598号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、上記従来のピッキング設備では、作業者の手作業によってケースが保管部に補充されるようになっているが、例えば補充コンベヤおよび補充クレーン等に構成された搬送補充手段を用いて、ケースを保管部に自動的に補充するようにした場合には、どのようなタイミングで補充するかが問題となる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できるピッキング設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のピッキング設備は、オーダ情報に応じてピッキングされる物品が入れられたケースを保管する複数の保管部を有する保管手段と、ケースを前記保管部に搬送補充する搬送補充手段と、この搬送補充手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、ケースが前記保管部にて保管される時間を考慮して予め設定された第1設定値および前記搬送補充手段がケースを前記保管部に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定された第2設定値に基づいて、搬送補充開始指示を出力するものである。
【0008】
請求項2記載のピッキング設備は、請求項1記載のピッキング設備において、第1設定値は設定保管時間で、第2設定値は設定搬送補充時間であり、制御手段は、設定保管時間、設定搬送補充時間および実際のピッキングの進捗状況に応じて変動する変動オーダ処理能力に基づいて、搬送補充開始指示を出力するものである。
【0009】
請求項3記載のピッキング設備は、請求項2記載のピッキング設備において、制御手段は、設定保管時間および変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合におけるピッキング開始時からの累積ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段と、ピッキング開始時からの累積補充済物品数量が累積ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段と、この判断手段にて累積補充済物品数量が累積ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における搬送補充オーダ数範囲のピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段と、ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力する指示出力手段とを有するものである。
【0010】
請求項4記載のピッキング設備は、請求項2記載のピッキング設備において、制御手段は、設定保管時間および変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における保管オーダ数範囲の第1ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段と、保管部にて保管されている補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段と、この判断手段にて補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における搬送補充オーダ数範囲の第2ピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段と、第2ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力する指示出力手段とを有するものである。
【0011】
請求項5記載のピッキング設備は、請求項3または4記載のピッキング設備において、制御手段の指示出力手段は、予め設定された設定中断時刻を加味して保管部の空き長さ寸法を算出するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、制御手段はケースが保管部にて保管される時間を考慮して予め設定された第1設定値および搬送補充手段がケースを保管部に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定された第2設定値に基づいて搬送補充開始指示を出力するため、適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、制御手段は設定保管時間、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充開始指示を出力するため、実際のピッキングの進捗状況に対応でき、より一層適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、制御手段の指示出力手段は、ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力するため、保管部の空き領域にケースを適切に自動補充できるとともに、実際のピッキングの進捗状況に対応でき、より一層適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、制御手段の指示出力手段は、第2ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力するため、保管部の空き領域にケースを適切に自動補充できるとともに、実際のピッキングの進捗状況に対応でき、より一層適切なタイミングでケースを保管部に自動補充できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、制御手段の指示出力手段は、予め設定された設定中断時刻を加味して保管部の空き長さ寸法を算出するため、ピッキングが設定中断時刻に中断されるのを無視して指示出力手段が搬送補充開始指示を出力してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係るピッキング設備の概略平面図である。
【図2】同上ピッキング設備のシステム構成図である。
【図3】同上ピッキング設備のピッキング部の正面図である。
【図4】同上ピッキング設備のピッキング部の平面図である。
【図5】同上ピッキング設備の制御手段が記憶するオーダ情報を示す図である。
【図6】同上ピッキング設備のフローチャート図である。
【図7】同上ピッキング設備のフローチャート図である。
【図8】同上ピッキング設備の作用説明図である。
【図9】同上ピッキング設備の作用説明図である。
【図10】同上ピッキング設備の高頻度品に関する作用説明図である。
【図11】同上ピッキング設備の中頻度品に関する作用説明図である。
【図12】本発明の他の実施の形態に係るピッキング設備のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1および図2において、1はピッキング設備で、このピッキング設備1は、所定方向に長手状で互いに平行に配設され所定距離を介して互いに離間対向する対をなす2つの保管手段2を備えている。
【0020】
保管手段2は、例えば保管棚にて構成されたもので、作業者(ピッカー)Xの手作業によってオーダ情報に応じてピッキングつまり取り出される物品Wが入れられたケースKを一時的に保管する複数の保管部3を有している。
【0021】
なお、物品Wは、例えば低温管理が必要な冷凍食品等の商品である。ケースKは、例えば複数の物品Wを入れることが可能な箱状のダンボールケース等で、通常、中に入れられる物品Wの種類や数等によってその大きさが異なるものであるが、本実施の形態では、各ケースKの大きさが同じである場合について説明する。なお、ここでいうケースKには、例えばトレイのような皿状のものも含まれる。
【0022】
また、ピッキング設備1は、少なくとも一部が両保管手段2間にこれら保管手段2と平行状に配設された搬送手段5を備えている。そして、両保管手段2と搬送手段5とにて、ピッキングシステム(集品システム)4が構成されている。
【0023】
なお、一方の保管手段2と搬送手段5の間にピッキング作業する作業者Xのための作業スペース(ピッキングエリアA)があり、他方の保管手段2と搬送手段5の間にピッキング作業する作業者Xのための作業スペース(ピッキングエリアB)がある。
【0024】
さらに、ピッキング設備1は、物品Wが所定数ずつ複数入れられたケースKを保管室6a内で保管する自動倉庫6と、この自動倉庫6の保管室6a内から搬出されたケースKを両保管手段2の各保管部3に自動的に搬送補充する搬送補充手段7とを備えている。
【0025】
自動倉庫6は、例えば冷凍庫にて構成されたもので、この自動倉庫6の保管室6a内の温度は、物品Wが所定温度以下に低温管理されるように、例えば−25度に設定維持される。また、保管手段2、搬送手段5および搬送補充手段7においても物品Wが所定温度以下に低温管理されるように、各手段2,5,7の周囲温度は例えば−10度に設定維持される。
【0026】
搬送補充手段7は、自動倉庫6からのケースKを受け入れて搬送した後、このケースKを複数の保管部3のうち補充すべき保管部3に自動補充するものである。
【0027】
つまり、搬送補充手段7は、自動倉庫6の保管室6a内から搬出されたケースKを受け入れて補充ステーションまで搬送する補充コンベヤ8と、補充ステーション上のケースKを保持した後、このケースKを保持したまま保管部3まで搬送してこの保管部3の背面側(搬送手段5と対向する側である正面側とは反対側)の部分(空き領域)に自動補充する複数、例えば4つの補充クレーン9とを有している。
【0028】
補充コンベヤ8は、搬送始端側が自動倉庫6のケース搬出部に接続された1つの第1補充コンベヤ部11と、この第1補充コンベヤ部11の搬送終端側に接続され各保管手段2と平行に配設された2つの第2補充コンベヤ部12とにて構成されている。
【0029】
また、ピッキング設備1は、少なくとも保管手段2、搬送手段5、自動倉庫6および搬送補充手段7を制御する制御用コンピュータ等の制御手段15を備えている。
【0030】
制御手段15は、図2に示されるように、例えば物流管理サーバであり、この制御手段15には、自動倉庫6の制御部16、補充コンベヤ8の制御部17、補充クレーン9の制御部18およびピッキングシステム4の制御部19が電気的に接続されている。補充コンベヤ8の制御部17はコンベヤ制御コンピュータ17aおよびコンベヤ制御盤17bにて構成され、補充クレーン9の制御部18はクレーン制御コンピュータ18aおよびクレーン制御盤18bにて構成されている。
【0031】
ここで、ピッキングシステム4の具体的構成について図3および図4を説明する。
【0032】
ピッキングシステム4の保管手段2は、枠体21を有し、この枠体21に物品WをケースKに入れた状態で保管する複数の保管部3が設けられている。各保管部3は、例えば搬送手段5と対向する側である正面側に向って徐々に下り傾斜する傾斜状のフリーローラコンベヤ22にて構成されている。各フリーローラコンベヤ22の搬送終端部には、先頭のケースKとの当接により保管中のケースKの自重移動を規制するストッパが設けられている。
【0033】
そして、物品Wが保管部3の前面開口(間口)からピッキングされて先頭のケースKが空になった場合、作業者Xがその空のケースKをフリーローラコンベヤ22上から取り出すと、後続のケースKは、その自重でフリーローラコンベヤ22上を搬送終端側に向って移動する。新たなケースKの補充は搬送補充手段7によって自動的に行われ、新たなケースKはフリーローラコンベヤ22の搬送始端側、つまり保管部3の背面側の部分に補充される。
【0034】
なお、予め設定された複数の保管部3、すなわち例えば6列4段で合計24の保管部3である保管部群にて、1人の作業者Xがピッキングを担当するピッキングゾーン(作業ゾーン)が構成され、これら複数のピッキングゾーンは保管手段2の長手方向に沿って並んでいる(図1参照)。
【0035】
また、保管手段2は、複数の保管部3に対応して設けられた複数の保管側ランプ23を有している。つまり、各保管部3ごとに保管側ランプ23が1個ずつ設けられている。保管側ランプ23は、対応する保管部3の正面部、つまり作業者Xが目視可能なフリーローラコンベヤ22の搬送終端部に設けられている。保管側ランプ23は、作業者Xが次にピッキングすべき物品Wが入ったケースKを保管している保管部3を作業者Xに対して指示する保管部指示用の光源としてのランプである。つまり、各保管側ランプ23は、作業者Xに対してピッキング先の保管部3を指示するものである。
【0036】
なお、図示しないが、保管部3から物品Wがピッキングされたことつまり取り出されたことを検出するピッキング検出手段が各保管部3ごとに対応して設けられ、また、必要に応じて保管部3からピッキングすべき物品Wの数量を示す数量表示器が保管側ランプ23の近傍位置に設けられている。
【0037】
また、ピッキングシステム4の搬送手段5は、保管部3からオーダ情報に応じてピッキングされた物品Wが載置されこの載置された物品Wを一時的に待機させた後に搬送投入する複数の投入コンベヤ等の投入装置26と、これら複数の投入装置26からの物品Wを受け入れこの受け入れた物品Wをオーダ単位で搬送するセンタコンベヤ等のオーダ単位搬送装置27とを有している。
【0038】
オーダ単位搬送装置27は、例えばオーダ単位の物品Wを略V字状の搬送面上に直接載せた状態で、水平な搬送方向(図4中、右方向)に搬送しながらセンタリングする。つまり、オーダ単位搬送装置27は複数対の傾斜駆動コンベヤ28にて構成され、各傾斜駆動コンベヤ28は、物品Wを搬送する無端状の搬送ベルト29を有している。搬送ベルト29は、コンベヤフレーム30にて支持された複数のローラ31に回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源(図示せず)からの動力で回行して物品Wを搬送する。
【0039】
なお、オーダ単位搬送装置27の搬送終端部には集品箱33を搬送する集品箱搬送装置が接続され、その集品箱33にオーダ単位の物品Wが投入される(図1参照)。
【0040】
投入装置26は、オーダ単位搬送装置27の両側上方にそれぞれ配設されている。つまり、各ピッキングゾーンごとに、複数、例えば5つの投入装置26が1組となってそれぞれ配設されている。
【0041】
各投入装置26は、例えばランプ内蔵駆動コンベヤにて構成されたもので、保管部3からピッキングされた物品Wが直接載置されこの載置された物品Wを待機させた後に搬送投入する水平な搬送面34を上面に有する装置本体35と、この装置本体35の搬送面34の一部から光を上方側へ放射させることにより作業者Xに対してピッキングした物品Wを1個載置すべき投入装置26を指示する光源36とを備えている。各光源36は、作業者Xに対して物品載置先の投入装置26を指示するものである。
【0042】
装置本体35は、物品Wを搬送投入(搬送案内)する無端状の透光性搬送体37を有し、この透光性搬送体37はコンベヤフレーム38にて支持された複数のローラ39に回行可能に掛け渡され、モータ等の駆動源(図示せず)からの動力で回行して物品Wをオーダ単位搬送装置27の搬送方向に対して直交する方向へ搬送する。透光性搬送体37は、例えば多数の孔を有する網目状部材にて構成され、この透光性搬送体37の上側の往路面部の上面が搬送面34となっている。つまり、光源36の点灯時には透光性搬送体37の搬送面34に形成された孔(搬送面の一部)から光が放射され、この光によって搬送面34上に物品載置位置が指示される。
【0043】
光源36は、透光性搬送体37の内部、つまり透光性搬送体37の上側の往路面部とこの往路面部と離間対向する下側の復路面部との間に収納配設されている。光源36は、例えば発光ダイオード等で、透光性搬送体37の搬送面34の一部を光らせることにより作業者Xに対して搬送面34上の物品載置位置を指示する。
【0044】
また、物品Wが搬送面34上の物品載置位置に載置されたことを検出する載置検出手段(図示せず)が各光源36ごとに対応して設けられている。各載置検出手段は、例えば光源に取り付けられ光源の動作時に光源に連動して光源からの光の反射率に基づいて物品Wの載置を検出するセンサ等である。
【0045】
なお、ピッキングシステム4は、図3および図4に示すものには限定されず、例えば図示しないが、作業者Xがピッキングした物品Wを搬送手段5にて搬送される集品箱に投入するものや、作業者Xがハンディターミナルを持ってその表示部を見ながらピッキングした物品Wを集品箱に投入するもの等でもよい。
【0046】
一方、ピッキング設備1の制御手段15は、顧客から注文を受けて登録した予定データであるオーダ情報(図5参照)に応じて、作業者Xがピッキングする際に、ケースK(物品W)が保管部3にて一時的に保管される時間を考慮して予め設定された設定保管時間(第1設定値)Tmと、搬送補充手段7が自動倉庫6から搬出されたケースKを保管部3に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定された設定搬送補充時間(第2設定値)Tnと、作業者Xによる実際のピッキングの進捗状況に応じて変動する変動オーダ処理能力とに基づいて、搬送補充手段7の制御部19に対して所定の搬送補充開始指示を出力するものである。
【0047】
つまり、図2に示されるように、制御手段15は、第1物品数量算出手段41、判断手段42、第2物品数量算出手段43および指示出力手段44等を有している。
【0048】
第1物品数量算出手段41は、設定保管時間Tmおよび直近の変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数mを算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数mを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合におけるピッキング開始時(作業開始時)からの累積ピッキング済物品数量Aを算出する手段である。なお、オーダナンバは、各オーダに順に付される連続した番号である。
【0049】
判断手段42は、ピッキング開始時からの累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であるか否かを判断する手段である。
【0050】
第2物品数量算出手段43は、判断手段42にて累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間Tnおよび直近の変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数nを算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における搬送補充オーダ数n範囲のピッキング済物品数量Cを算出する手段である。
【0051】
指示出力手段44は、ピッキング済物品数量Cの物品Wがピッキングされた場合における保管部3の空き長さ寸法Zを算出し、この算出した空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充手段7の制御部19に対して搬送補充開始指示を出力する手段である。また、この指示出力手段44は、予め設定された設定中断時刻Tsを加味して保管部3の空き長さ寸法Zを補正して算出する。
【0052】
ここで、設定保管時間(保管棚に一時的に保管しておく時間)Tmは、例えばすべての保管部3に対して一律に設定される値であり、冷凍食品等の商品である物品Wが保管部3にて一時的に保管されることが許される時間に対応する値である。そして、低頻度品ですぐに必要としない物品(商品)Wは、保管手段2に長時間滞留させることなくピッキングを必要とする直前に補充することが可能となる。また、保管オーダ数mが大きくなると、保管手段2の在庫数が多くなる。進捗状況によっては低頻度品でピッキング予定の遅い物品Wを保管手段2に長時間滞留させることになる。保管オーダ数mが小さくなると、保管手段2の在庫数が少なくなる。進捗状況によっては保管手段2の在庫がなくなって補充待ちが発生する。
【0053】
設定搬送補充時間(自動倉庫から保管棚までの搬送時間)Tnは、例えばすべての保管部3に対して一律に設定される値であり、自動倉庫6と保管手段2との間の距離(搬送補充時間)に対応する値である。つまり、保管手段2のレイアウトに応じて設定される。そして、搬送補充オーダ数nオーダ分先のピッキングが完了した時点でのオーダ情報(予定データ)がチェックされ、保管部3に補充するタイミングで保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であるか否かが判断される。また、搬送補充オーダ数nが大きくなると、保管手段2の在庫数が多くても補充指示がかかり、保管手段2の空きを待つケースKが発生する(フライングで補充指示がかかることになる)。搬送補充オーダ数nが小さくなると、保管手段2の在庫数が少なくなる。進捗状況によっては保管手段2の在庫がなくなって補充待ちが発生する。
【0054】
なお、2つのパラメータ値であるTm,Tnは、各保管部3ごと、各保管手段2ごと或いは各ピッキングゾーンごとに設定するようにしてよく、また作業途中でTm,Tnの値を変更設定できるようにしてもよい。また、変動オーダ処理能力は、実際のピッキングの進捗状況に応じて変動する値であり、ピッキング開始時から所定時間(例えば1分)経過するごとに自動的に設定されるもので、単位時間当たりに処理されるオーダ数である。例えば単位時間当たりにおける、集品箱33へのオーダ単位の物品Wの投入回数である。
【0055】
次に、ピッキング設備1の作用等を説明する。
【0056】
まず、ピッキング開始前における初期補充について説明すると、空の保管手段2に以下の条件を満たすまで自動倉庫6から必要な物品WをケースKに入れた状態で補充する。
【0057】
すなわち、ピッキングシステム4の機械能力により求まる基準オーダ処理能力と設定保管時間Tmとに基づいて保管オーダ数mを算出した後、この保管オーダ数m範囲の物品数量を満たす必要数のケースKを自動倉庫6から保管部3に搬送補充する。
【0058】
保管部3の大きさが足りず、必要数のケースKを保管できない場合、補充可能な数(例えば3個)のみを保管収納して補充完了とする。補充不可能とされた残りの数のケースKは、保管部3に補充可能な空き領域ができるまで、自動倉庫6の保管室6a内で待機する。
【0059】
次に、ピッキング開始後について説明すると、オーダ情報に基づいて作業者Xがピッキングを開始すると、保管手段2の保管部3から物品Wが取り出され、保管部3の物品Wの在庫数が減少し、また、制御手段15では、各作業者Xによるピッキング実績(ピック実績)が順次更新される。
【0060】
つまり、図6に示すように、搬送手段5のオーダ単位搬送装置27等が作動し(ステップ1)、オーダ情報に応じて各間口から物品Wがピッキングされ(ステップ2)、制御手段15が変動オーダ処理能力を含むピッキング実績を更新し(ステップ3)、この動作が繰り返される。
【0061】
こうしてオーダが進むと、保管手段2の保管部3に保管されている物品Wの数量が減るため、保管部3へ物品W、つまり物品Wが入ったケースKを補充する必要がある。
【0062】
図7は制御手段15による補充ロジックのフローチャート図であり、この図7に示すように、制御手段15は、ピッキング開始時から所定時間(例えば1分)経過するごとに、各間口つまり各保管部3に対してそれぞれ個別に実行を開始する(ステップ1)。なお、例えば実行開始の周期は、変動オーダ処理能力の更新周期と同じである。
【0063】
まず、制御手段15は、ピッキング開始前に予め設定された設定保管時間Tmと、更新された最新(直近)の変動オーダ処理能力とにより、予測オーダ数である保管オーダ数mを算出する(ステップ2)。
【0064】
次いで、制御手段15は、算出した現時点に対応する完了オーダ(処理済オーダ)の最後尾のオーダナンバに対して保管オーダ数mを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合におけるピッキング開始時からの累積ピッキング済物品数量Aをオーダ情報に基づいて算出する(ステップ3)。
【0065】
続いて、制御手段15は、対応する保管部3に搬送補充されたピッキング開始時からの累積補充済物品数量B、つまり初期補充開始時から補充指示済となった累積数量を算出し、この累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であるか否かを判断する(ステップ4)。
【0066】
そして、累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下でないと判断された場合には、ステップ1に戻る。
【0067】
一方、累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であると判断された場合には、制御手段15は、保管部3に保管されているケースKの数、ケースKの長さ寸法および保管部3の搬送方向長さ寸法に基づいて、保管部3の空き長さ寸法Zを算出する(ステップ5)。
【0068】
この算出後、制御手段15は、ピッキング開始前に予め設定された設定搬送補充時間Tnと、更新された最新(直近)の変動オーダ処理能力とにより、予測オーダ数である搬送補充オーダ数nを算出する(ステップ6)。
【0069】
次いで、制御手段15は、算出した現時点に対応する完了オーダの最後尾のオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における現時点からの搬送補充オーダ数n範囲のピッキング済物品数量Cをオーダ情報に基づいて算出する(ステップ7)。
【0070】
続いて、制御手段15は、設定中断時刻Ts、例えば午前12時が設定されているか否かを判断する(ステップ8)。
【0071】
そして、設定中断時刻Tsが設定されていると判断された場合には、制御手段15は、設定中断時刻Tsおよび最新の変動オーダ処理能力とより中断オーダナンバsを算出する(ステップ9)。
【0072】
この算出後、制御手段15は、中断オーダナンバsが現時点のオーダナンバからこのオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでのn範囲内のものであるか否かを判断する(ステップ10)。
【0073】
そして、中断オーダナンバsがn範囲内のものでないと判断された場合には、制御手段15は、ピッキング済物品数量Cの物品Wがピッキングされた場合を想定して保管部3の空き長さ寸法Zを補正算出する(ステップ11)。
【0074】
続いて、制御手段15は、算出した保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であるか否かを判断し(ステップ12)、ケースKの長さ寸法以上であると判断した場合には1個のケースKの搬送補充を開始させるための1ケースの搬送補充開始指示を出力し(ステップ13)、ケースKの長さ寸法以上でないと判断した場合には空き領域補充待ち指示(空き領域待ち指示)を出力する(ステップ14)。
【0075】
そして、搬送補充開始指示が出力されると、対応する保管部3に保管すべき1個のケースKは、自動倉庫6から搬出され、補充コンベヤ8にて搬送された後、補充クレーン9にて保管部3へ搬送補充される。保管部3の空き長さ寸法Zが、複数個のケースKを補充可能な寸法値であっても、1個のケース(コンテナ)Kのみが搬送補充される。1つの保管部3に対して一度に複数ケースの搬送補充開始指示を出力すると、補充コンベヤ8上でケースKが混み合い、複数の保管部3に対して均等補充ができなくなるからである。
【0076】
なお、ステップ8で、設定中断時刻Tsが設定されていないと判断された場合にはステップ11に進み、また、ステップ10で、中断オーダナンバsがn範囲内のものであると判断された場合にはステップ12に進む。
【0077】
また、図8および図9は、保管オーダ数m=350、搬送補充オーダ数n=50の場合における、ピック頻度毎の商品補充指示を説明するための作用説明図であり、特に、図9の例1は高頻度品であるaアイテム(物品W)で現オーダが150オーダ目(オーダナンバ150)の場合の作用説明図であり、例2は中頻度品であるbアイテム(物品W)で現オーダが251オーダ目(オーダナンバ251)の場合の作用説明図である。
【0078】
図10(a)〜(f)は、aアイテムに関するより具体的な作用説明図であり、図10(a)に示されるように、保管部3は最大で3個のケースKしか保管できないため、ピッキング開始時において、オーダナンバ301〜400のオーダ分の物品Wが入ったケースKは、自動倉庫6内で待機中である。
【0079】
そして、図10(b)に示されるように、例えばオーダナンバ50のオーダが完了した場合、待機していたケースKの搬送補充開始指示が出力される。
【0080】
図10(c)に示されるように、例えばオーダナンバ120のオーダが完了した場合、オーダナンバ1〜470(120+m(350))のオーダ分の累積ピッキング済物品数量Aとオーダナンバ1〜400のオーダ分の累積補充済物品数量Bとが比較され、BがA以下であれば所定の補充チェックが行われる。
【0081】
図10(d)に示されるように、例えばn=50のオーダが完了すると予測した場合、50のオーダ(オーダナンバ121〜170)が完了しても、保管部3にはケースKを補充可能な空き領域がなく、空き領域補充待ち指示が出力される。
【0082】
図10(e)に示されるように、例えばオーダナンバ150のオーダが完了した場合、オーダナンバ1〜500(150+m(350))のオーダ分の累積ピッキング済物品数量Aとオーダナンバ1〜400のオーダ分の累積補充済物品数量Bとが比較され、BがA以下であれば所定の補充チェックが行われる。
【0083】
図10(f)に示されるように、例えばn=50のオーダが完了すると予測した場合、50のオーダ(オーダナンバ151〜200)が完了すると、保管部3にはケースKを補充可能な空き領域ができ、つまり保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上となり、搬送補充開始指示が出力される。
【0084】
なお、例えば設定中断時刻Tsが設定されていた場合において、オーダナンバ151〜200の中に中断オーダナンバsがあるときは、空き領域補充待ち指示が出力される。
【0085】
図11(a)〜(c)は、bアイテムに関するより具体的な作用説明図であり、図11(a)に示されるように、ピッキング開始時には、m=350の範囲の物品数量を満たす必要数である2個のケースKが対応する保管部3に補充されて保管されている。
【0086】
そして、図11(b)に示されるように、例えばオーダナンバ50のオーダが完了した場合、オーダナンバ1〜400(50+m(350))のオーダ分の累積ピッキング済物品数量Aとオーダナンバ1〜420のオーダ分の累積補充済物品数量Bとが比較され、BがAよりも大きければ、十分な数の在庫があり、補充チェックは行われない。
【0087】
図11(c)に示されるように、例えばオーダナンバ71のオーダが完了した場合、オーダナンバ1〜421(71+m(350))のオーダ分の累積ピッキング済物品数量Aとオーダナンバ1〜420のオーダ分の累積補充済物品数量Bとが比較され、BがA以下であれば所定の補充チェックが行われる。そして、保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であり、搬送補充開始指示が出力される。
【0088】
そして、このようなピッキング設備1によれば、制御手段15が設定保管時間Tm、設定搬送補充時間Tnおよび変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充開始指示を出力するため、実際のピッキングの進捗状況に適切に対応することができ、より一層適切なタイミングでケースKを保管部3に自動補充でき、よって、効率的かつ適切な作業が可能となる。
【0089】
つまり、保管部3に一時的に保管しておく設定保管時間Tmをパラメータ化し、ピッキング実績と連動した変動オーダ処理能力(オーダ進捗情報)から保管部3の在庫数を予測することで、補充遅れや長時間無駄に保管しない最適な物品在庫数を維持でき、また、設備レイアウトに応じた設定搬送補充時間Tnをパラメータ化し、ピッキング実績と連動した変動オーダ処理能力(オーダ進捗情報)から保管部3の空き領域を予測することで、作業者Xによるピッキング作業に適したタイミングで搬送補充開始指示を出力できる。
【0090】
また、制御手段15の指示出力手段44が設定中断時刻Tsを加味して保管部3の空き長さ寸法Zを補正算出するため、ピッキングが設定中断時刻Tsに中断されるのを無視して、指示出力手段44が搬送補充開始指示を出力してしまうことを防止できる。
【0091】
なお、ピッキング設備1の制御手段15は、ピッキング開始時からの各累積数量A、Bを算出して両者を比較するものは限定されず、例えば、設定保管時間Tmおよび最新の変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数mを算出しこの算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数mを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における保管オーダ数m範囲の第1ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段41と、保管部3にて保管されている補充済物品数量(完了したオーダ分を除く数)が第1ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段42と、この判断手段42にて補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に設定搬送補充時間Tnおよび最新の変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数nを算出しこの算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における搬送補充オーダ数n範囲の第2ピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段43と、第2ピッキング済物品数量の物品Wがピッキングされた場合における保管部3の空き長さ寸法Zを算出しこの算出した空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であると判断した場合に搬送補充開始指示を出力する指示出力手段44とを有するものでもよい。
【0092】
また、制御手段15は、変動オーダ処理能力を用いず、予め設定された一定の基準オーダ処理能力、設定保管時間および設定搬送補充時間に基づいて搬送補充開始指示を出力するものでもよい。
【0093】
さらに、ピッキング設備1は、予め設定する第1設定値および第2設定値はそれぞれ設定保管時間Tmおよび設定搬送補充時間Tnである構成について説明したが、例えば第1設定値が予測オーダ数である設定保管オーダ数mであり、第2設定値が予測オーダ数である設定搬送補充オーダ数nである構成でもよい。
【0094】
つまり、この構成のピッキング設備1の場合、オーダ処理能力が作業開始から作業終了まで略一定であると想定して、設定保管オーダ数m(例えば350)および設定搬送補充オーダ数n(例えば50)を予め設定する。なお、作業途中で、m,nの値を変更設定できるようにしてもよい。
【0095】
ここで図12はこの構成の制御手段15による補充ロジックのフローチャート図であり、この図12に示すように、制御手段15は、ピッキング開始時から所定時間(例えば1分)経過するごとに、各間口つまり各保管部3に対してそれぞれ個別に実行を開始する(ステップ1)。
【0096】
そしてまず、制御手段15は、実行を開始した現時点に対応する完了オーダの最後尾のオーダナンバに対して設定保管オーダ数mを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合におけるピッキング開始時からの累積ピッキング済物品数量Aをオーダ情報に基づいて算出する(ステップ2)。
【0097】
続いて、制御手段15は、対応する保管部3に搬送補充されたピッキング開始時からの累積補充済物品数量B、つまり初期補充開始時から補充指示済となった累積数量を算出し、この累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であるか否かを判断する(ステップ3)。
【0098】
そして、累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下でないと判断された場合には、ステップ1に戻る。
【0099】
一方、累積補充済物品数量Bが累積ピッキング済物品数量A以下であると判断された場合には、制御手段15は、保管部3に保管されているケースKの数、ケースKの長さ寸法および保管部3の搬送方向長さ寸法に基づいて、保管部3の空き長さ寸法Zを算出する(ステップ4)。
【0100】
この算出後、制御手段15は、算出した現時点に対応する完了オーダの最後尾のオーダナンバに対して設定搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでオーダが進んだ場合における現時点からの設定搬送補充オーダ数n範囲のピッキング済物品数量Cをオーダ情報に基づいて算出する(ステップ5)。
【0101】
続いて、制御手段15は、設定中断時刻Ts、例えば午前12時が設定されているか否かを判断する(ステップ6)。
【0102】
そして、設定中断時刻Tsが設定されていると判断された場合には、制御手段15は、設定中断時刻Tsおよび基準オーダ処理能力とより中断オーダナンバsを算出する(ステップ7)。
【0103】
この算出後、制御手段15は、中断オーダナンバsが現時点のオーダナンバからこのオーダナンバに対して搬送補充オーダ数nを加えたオーダナンバまでのn範囲内のものであるか否かを判断する(ステップ8)。
【0104】
そして、中断オーダナンバsがn範囲内のものでないと判断された場合には、制御手段15は、ピッキング済物品数量Cの物品Wがピッキングされた場合を想定して保管部3の空き長さ寸法Zを補正算出する(ステップ9)。
【0105】
続いて、制御手段15は、算出した保管部3の空き長さ寸法ZがケースKの長さ寸法以上であるか否かを判断し(ステップ10)、ケースKの長さ寸法以上であると判断した場合には1個のケースKの搬送補充を開始させるための1ケースの搬送補充開始指示を出力し(ステップ11)、ケースKの長さ寸法以上でないと判断した場合には空き領域補充待ち指示を出力する(ステップ12)。
【0106】
また、ステップ6で、設定中断時刻Tsが設定されていないと判断された場合にはステップ9に進み、また、ステップ8で、中断オーダナンバsがn範囲内のものであると判断された場合にはステップ10に進む。
【0107】
なお、この構成においても各累積数量A、Bを算出して両者を比較するものは限定されず、完了オーダ分を除いた物品数量を比較するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 ピッキング設備
2 保管手段
3 保管部
7 搬送補充手段
15 制御手段
41 第1物品数量算出手段
42 判断手段
43 第2物品数量算出手段
44 指示出力手段
W 物品
K ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーダ情報に応じてピッキングされる物品が入れられたケースを保管する複数の保管部を有する保管手段と、
ケースを前記保管部に搬送補充する搬送補充手段と、
この搬送補充手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、ケースが前記保管部にて保管される時間を考慮して予め設定された第1設定値および前記搬送補充手段がケースを前記保管部に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定された第2設定値に基づいて、搬送補充開始指示を出力する
ことを特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
第1設定値は設定保管時間で、第2設定値は設定搬送補充時間であり、
制御手段は、設定保管時間、設定搬送補充時間および実際のピッキングの進捗状況に応じて変動する変動オーダ処理能力に基づいて、搬送補充開始指示を出力する
ことを特徴とする請求項1記載のピッキング設備。
【請求項3】
制御手段は、
設定保管時間および変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合におけるピッキング開始時からの累積ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段と、
ピッキング開始時からの累積補充済物品数量が累積ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段と、
この判断手段にて累積補充済物品数量が累積ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における搬送補充オーダ数範囲のピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段と、
ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力する指示出力手段とを有する
ことを特徴とする請求項2記載のピッキング設備。
【請求項4】
制御手段は、
設定保管時間および変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における保管オーダ数範囲の第1ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段と、
保管部にて保管されている補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段と、
この判断手段にて補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における搬送補充オーダ数範囲の第2ピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段と、
第2ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力する指示出力手段とを有する
ことを特徴とする請求項2記載のピッキング設備。
【請求項5】
制御手段の指示出力手段は、予め設定された設定中断時刻を加味して保管部の空き長さ寸法を算出する
ことを特徴とする請求項3または4記載のピッキング設備。
【請求項1】
オーダ情報に応じてピッキングされる物品が入れられたケースを保管する複数の保管部を有する保管手段と、
ケースを前記保管部に搬送補充する搬送補充手段と、
この搬送補充手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、ケースが前記保管部にて保管される時間を考慮して予め設定された第1設定値および前記搬送補充手段がケースを前記保管部に搬送補充するのに要する時間を考慮して予め設定された第2設定値に基づいて、搬送補充開始指示を出力する
ことを特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
第1設定値は設定保管時間で、第2設定値は設定搬送補充時間であり、
制御手段は、設定保管時間、設定搬送補充時間および実際のピッキングの進捗状況に応じて変動する変動オーダ処理能力に基づいて、搬送補充開始指示を出力する
ことを特徴とする請求項1記載のピッキング設備。
【請求項3】
制御手段は、
設定保管時間および変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合におけるピッキング開始時からの累積ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段と、
ピッキング開始時からの累積補充済物品数量が累積ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段と、
この判断手段にて累積補充済物品数量が累積ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における搬送補充オーダ数範囲のピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段と、
ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力する指示出力手段とを有する
ことを特徴とする請求項2記載のピッキング設備。
【請求項4】
制御手段は、
設定保管時間および変動オーダ処理能力に基づいて保管オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して保管オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における保管オーダ数範囲の第1ピッキング済物品数量を算出する第1物品数量算出手段と、
保管部にて保管されている補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であるか否かを判断する判断手段と、
この判断手段にて補充済物品数量が第1ピッキング済物品数量以下であると判断された場合に、設定搬送補充時間および変動オーダ処理能力に基づいて搬送補充オーダ数を算出し、この算出した時点に対応するオーダナンバに対して搬送補充オーダ数を加えたオーダナンバまで進んだ場合における搬送補充オーダ数範囲の第2ピッキング済物品数量を算出する第2物品数量算出手段と、
第2ピッキング済物品数量の物品がピッキングされた場合における保管部の空き長さ寸法を算出し、この算出した空き長さ寸法がケースの長さ寸法以上であると判断した場合に、搬送補充開始指示を出力する指示出力手段とを有する
ことを特徴とする請求項2記載のピッキング設備。
【請求項5】
制御手段の指示出力手段は、予め設定された設定中断時刻を加味して保管部の空き長さ寸法を算出する
ことを特徴とする請求項3または4記載のピッキング設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−178540(P2011−178540A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46324(P2010−46324)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】
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