説明

ピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジン及びそれらの中間体の調整方法

【解決手段】 本発明は、以下の構造を有する副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)アンタゴニストを調製するための新規な方法及び中間体を提供し、それは不安神経症及びうつ病などのCRF関連疾患を治療するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年11月25日に出願された米国特許仮出願番号第60/525,050号のに対して優先権を主張する2004年11月10日に出願された米国特許出願第 号に対して優先権を主張しており、その全体の開示は、この参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジンの大規模調製に適した新規な方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)と同義である副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)は、ストレスに対する身体の応答全体を調整する41のアミノ酸ペプチドである。CRF受容体(例えばCRF及びCRF)のアゴニストとして、CRFは、内分泌ストレス反応が介在する視床下部−下垂体−副腎系(HPA)軸活性を調節する主要な生理的分泌促進薬として知られている。CRFはまた、ストレスに対する自動的な行動反応に重要な役割を果たす。CRFの生理学的値における変化は、うつ病及び不安神経症を含む様々な疾患と関係している。
【0004】
CRF受容体のアンタゴニストは、動物モデルにおいて、行動ストレス反応を効果的に改善することが証明されている。げっ歯類においてCRF受容体アンタゴニストを全身投与すると、抗不安及び抗鬱効果をもたらすことが確立されている。動物モデルの兆候は、CRFアンタゴニストが、薬物脱離症状、ストレス誘導発作、及び特定の炎症の軽減を補助し得ることを示している。CRFの役割は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上麻痺、及び筋萎縮性側索硬化症の病因論及び病態生理学において、それらの病気が中枢神経系におけるCRF神経細胞の機能障害と関連していると仮定されてきた。例えば拒食症などの摂食障害はCRF値の上昇と関連づけられてきた。
【0005】
中枢神経系全体に幅広く分散しているが、CRF受容体は、腺、血管、胃腸、及び免疫系組織を含む抹消系においても見られる。従って、CRFアンタゴニストは、中枢神経系外部における様々な他の疾患に対する治療の可能性も有すると考えられている。一部の抹消系のCRF関連疾患は、例えば高血圧、頻脈、うっ血性心不全、脳梗塞、過敏性腸症候群、術後腸閉塞、結腸過敏などを含む。
【0006】
ピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジン誘導体は、強力なCRFアンタゴニストとして同定されており、現在、上述した多くのものを含む様々なCRF関連疾患の治療薬として研究されている。多くのピラゾロトリアジンCRFアンタゴニストが、例えば米国特許第6,124,289号、第6,191,131号、第6,313,124号、第6,060,478号、第6,136,809号、及び第6,358,950号、さらに国際公開第WO02/72202号及び国際公開第WO98/08847号において報告されている。
【0007】
ピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジン化合物の調製は、一般的に2つの環形成反応を含む多段階法を伴い、二環の母核(core)を生成する。ピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジン化合物の多様な合成が、上記の文献においてのみならず、国際公開第WO01/23388号、米国特許第4,824,834号、第3,910,907号、第5,137,887号、第4,892,576号、及び第5,484,760号、欧州特許第EP594149号、Heら.,J.Med.Chem.,2000,43,449;Sengaら.,J.Med.Chem.,1982,25,243、Bruniら.,J.Heterocycl.Chem.,1995,32,291;Kobeら.,J.Het.Chem.,1974,991;Kobe,ら.,J.Het.Chem.1974,199;Novinson,ら.,J.Het.Chem.,1974,691;及びAlbert,ら.,J.Het.Chem.1973,885においても報告されている。環形成及び他の反応は、Beyer,ら.,Ber.,1960,93,2209;及びCusmanoら.,Gazz.Chim.Ital.,1952,82,373において報告されている。
【0008】
多数の活性ピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジン化合物が、二環の母核の8位に結合した多置換アリール或いはヘテロアリール基を含む。前記8−置換基の導入はしばしばアリール或いはヘテロアリールアセトニトリル誘導体の使用を伴う。相当するハロメチル化合物及びシアニドからアリール或いはヘテロリールアセトニトリル誘導体を調製する方法は、JP2001302658、CN1088574、及びNishidaら.,Technol.Rep.Yamaguchi Univ.,1988,4(2),145において報告されている。アリール或いはヘテロアリールアセトニトリル誘導体の調製において使用され得る反応を報告している他の文献は、例えば、Nagelら.,J.Org.Chem.,1977,42,3626、及びStogryn,J.Org.Chem.,1972,37,673(臭化アリールのn−BuLiメタレーションとDMFを用いた縮合によるアルデヒドの形成);Li,et al.,Tetrahedron Lett.2001,1175(水素化ホウ素ナトリウムによるベンジルアルデヒドのベンジルアルコールへの還元);J.Org.Chem.,1970,35,3195、J.Org.Chem.,1971,36,3044,Tetrahedron 1971,27,5979(塩化メシルと塩基を用いたベンジルアルコールの塩素化);J.Am.Chem.Soc.,1951,73,2239,J.Am.Chem.Soc.,1953,75,2053(塩化ベンジルのシアン化物誘導体への変換);及びRepic,Principles of Process Research and Chemical Development in the Oharmaceutical Industry,Wiley,1998,p.38)などを含む。
【0009】
例えば不安神経症及びうつ病などCRF関連障害の治療におけるピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジン誘導体の重要性を考慮すると、それらの合成方法の改善が必要とされている。そのような改善は、例えばそれぞれの反応工程におけるエナンチオマー及び/又はジアステレオマー選択性の向上、化学的純度の向上、収率の増加、低コスト出発物質の使用、低毒性出発物質の使用、低エネルギー消費(例えば高温或いは低温或いは高圧力或いは低圧力下における反応を実施することを避けることなど)、合成工程数の低減、及び改善されたスケールアップ条件など、を含む。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0010】
本発明は、特に、不安神経症及びうつ病を含むCRF関連障害を治療するために有用であるCRF受容体アンタゴニストである以下の化学式Iのピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジンを調製方法及び中間体を提供するものである。
【0011】
本発明はさらに、化学式Iのピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジンの調製における中間体として有用なアリール及びヘテロアリールアセトニトリル化合物を調製するための工程及び中間体を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、とりわけ、化学式Iのピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジンを調製するための工程を提供するものであって、
【0013】
【化46】

【0014】
ここで、
Arは0〜5のRで置換されたフェニル或いはピリジルであり、
及びRはそれぞれ個別に、H、(C−C)アルキル、或いは(C−C)アルコキシアルキルであり、
はそれぞれ個別に、H、ハロ、CN、ニトロ、(C−C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、或いは(C−C)ハロアルコキシであり、さらに
及びRはそれぞれ個別に、(C−C)アルキルである。一部の実施形態において、R及びRのいずれか或いはその両方はメチルである。更なる実施形態において、Arは2−メチル−4−メトキシフェニル、2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシフェニル、或いは2−メチル−6−メトキシピリド−3−イルであり得る。より更なる実施形態において、R及びRはいずれもメトキシエチルであるか、或いはRはHでありRはペント−3−イルであるか、或いはRはHでありRはブチル−2−イルである。
【0015】
本発明によると、化学式Iの化合物の調整方法は以下の工程を含み、
(a)化学式IIIの化合物を
【0016】
【化47】

【0017】
XはハロであるPOXと接触させる工程であって、前記工程は、アミン、好ましくはジイソプロピルエチルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジイソプロピルアニリン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルイソブチルアミン、トリベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジエチルイソプロピルアミンから選択される立体障害のあるアミンの存在下において、化学式IIの化合物を
【0018】
【化48】

【0019】
もたらすのに十分な時間と条件下において、接触させる工程と、さらに、
(b)化学式Iの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式IIの化合物をNHRと接触させる工程とを含む。
【0020】
前記工程(a)の反応は、化学式IIIの中間体の水酸基部分をPOX試薬からもたらされるハロゲン部分に置換することを含む。POX試薬の実施例は、POF、POCl、POBr、及び同種のものを含む。一部の実施形態において、XはClである。前記工程(a)のアミンは、ハロゲン化の触媒として働き得る。適切なアミンは、一般的に、例えばジイソプロピルエチルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジイソプロピルアニリン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルイソブチルアミン、トリベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジエチルイソプロピルアミンなどから選択される嵩高い三級アミンである。一部の実施形態において、ジイソプロピルエチルアミンがアミン触媒として使用される。POXに対するアミン触媒のモル比は、約1:1であっても良い。
【0021】
一部の実施形態において、前記工程(a)の接触は、相間移動試薬として作用し得るアンモニウム塩の存在下で実施される。いかなるアンモニウム塩であっても適合する。アンモニウム塩の一部の実施例は、ベンジルトリエチル塩化アンモニウム、ベンジルトリブチル塩化アンモニウム、Adogens(登録商標)(メチルトリアルキル(C−C10)塩化アンモニウム)を含む。アンモニウム塩の一部の実施例は、ベンジルトリエチル塩化アンモニウムである。前記アンモニウム塩は、触媒量で提供され得る。アンモニウム塩の量の実施例は、1当量未満である(化学式IIIの化合物に対して)。
【0022】
前記工程(a)の接触は、反応条件下で反応しない任意の溶媒中において実行される。この変換に好ましい溶媒は、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、酢酸イソプロピル、トルエン及び1−クロロブタンである。好ましい反応条件は、周囲圧力、及び約50〜約110℃、好ましくは約50〜70℃の温度を含み得る。
【0023】
前記工程(b)の反応は、化学式IIの中間体のハロゲン部分をアミン部分に置換することが含まれる。例えば化学式NHRを有するアミンなど、いかなる第一級或いは第二級アミンでも適合する。アミンは化学式II(或いは化学式III)の化合物に対して過剰量で提供されてもよい。一部の化学式NHRのアミンは、例えば、
【0024】
【化49】

【0025】
を含んでいても良い。
【0026】
任意の適合溶媒は、前記工程(b)の反応を実行するために使用されてもよい。一部の実施形態によると、前記工程(b)の反応は有機溶媒中において実行される。有機溶媒の一部の実施例は、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、イソプロピルアセテート、トルエン、及び1−クロロブタンを含む。一部の実施形態において、前記有機溶媒は、例えばアセトニトリルとメチルt−ブチルエーテルの混合物などのように、アセトニトリルとメチルt−ブチルエーテルの何れか或いはその両方を含む。アセトニトリル:メチルt−ブチルエーテルのv/v比の実施例は、約1:4であっても良い。前記工程(b)の反応は、周囲圧力及び温度の下で実行されても良い。温度の実施例は、約0〜約50℃であっても良い。
【0027】
一部の実施形態において、化学式IIの中間体は、in situにおいて反応し、前記工程(b)の反応を実行する前に単離されなくても良い。
【0028】
本発明は更に、第一環の閉環の工程を提供するものであり、ここで、化学式IIIの化合物は、(c)化学式IIIの化合物を与えるのに十分な時間及び条件下において、化学式IVの化合物を
【0029】
【化50】

【0030】
(R)C(OR)と接触させる工程、により調整され、ここでRは(C〜C)アルキルである。(R)C(OR)の適切な量は、約1当量あるいはそれ以上(化学式IVの化合物に対して)であっても良い。
【0031】
上記第一環の閉環工程は、酸或いは塩基触媒があってもなくても実行され得る。前記反応は、一般的に、有機溶媒中において実行される。一部の適切な溶媒は、アセトニトリル、1−メチル−2−ピロリジノン、或いはテトラヒドロフランを含む。酸或いは塩基の不在下においては、前記第一環の閉環反応を実行するのに適切な温度は、一般的には上昇する(例えば約25℃以上など、室温より高い)。このような高温の実施例は、約30〜約100℃、又は50〜約100℃、又は約75〜約100℃の範囲であっても良い。
【0032】
酸は前記第一環の閉環反応の触媒に適切であっても良い。酸の実施例は、p−トルエンスルホン酸(pTSA)、メタンスルホン酸、硫酸、及び酢酸を含む。一部の実施形態においては、pTSAが酸触媒として使用される。酸触媒反応を実行するのに適切な温度は、約40〜約100、約40〜約70、又は約40〜約60℃の範囲であっても良い。
【0033】
一部の実施形態によると、前記第一環の閉環反応は、1−メチル−2−ピロリジノンとpTSAの混合物中において実行される。他の実施形態においては、前記反応はアセトニトリル中において実行されても良い。
【0034】
更なる実施形態において、(R)C(OR)試薬は、トリメチルオルトアセトニトリル(ここでRとRの両方がメチルである)又はトリエチルオルトアセテートであっても良い。
【0035】
本発明は更に、第二環を閉じるための工程を提供し、ここにおいて、化学式IVの化合物は、(d)前記化学式IVの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式Vの化合物を
【0036】
【化51】

【0037】
塩基と接触させる工程、によって調製される。前記塩基は、例えば1当量或いはそれ以下(化学式Vの化合物に対して)などのように、任意の適切な量で提供されても良い。
【0038】
いかなる塩基であっても、第二環の閉環反応のための上記工程を実行するのに適切であり得る。好ましい塩基の実施例は、水酸化物、アミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノン−5−エン、及びイミダゾールを含む。より好ましくない実施例はアルコキシドを含む。一部の実施形態において、前記塩基は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である。
【0039】
上記第二環の閉環反応は、有機溶媒中において実行されても良い。適切な有機溶媒は、アセトニトリル、1−メチル−2−ピロリジノン、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール水溶液、或いはそれらの混合物を含む。一部の実施形態において、前記溶媒は、1−メチル−2−ピロリジノン、或いはアセトニトリルを含む。
【0040】
前記第二環の閉環反応の実行に対して適切な温度は、約0〜約30℃の温度範囲だけでなく、例えば室温以下の温度(例えば25℃以下)など低温を含んでも良い。温度の実施例は、約−20〜約20、約−10〜約10、約0〜約10、約10〜約20、約20〜約30、又は約30〜約35℃の範囲であっても良い。周囲圧力であっても良い。
【0041】
本発明は更に、セミカルバゾン形成工程を提供するものであり、ここで、化学式Vの化合物は、(e)化学式VIの化合物を
【0042】
【化52】

【0043】
セミカルバジド又はそれらの酸付加塩と接触させることにより調製され、ここでYはアルカリ金属又はZであり、ここでZはハロでありさらにZはアルカリ土類金属であり、前記接触は前記化学式VIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下におけるものである。一部の実施形態において、前記セミカルバジドは、セミカルバジド塩酸塩としてもたらされる。前記セミカルバジドは、約1当量以上(化学式VI又はVIIの化合物に対して)の量において提供されても良い。
【0044】
上記セミカルバゾン形成工程の一部の実施形態によると、Yは例えばKなどのアルカリ金属である。別の実施形態においては、Yは例えばMgBrなどのZである。
【0045】
更なる実施形態において、上記セミカルバゾン形成工程は、約1〜約6のpH、より好ましくは約3〜約5のpHにおいて実行される。従って、前記工程(e)の接触は、例えば酢酸、塩酸、硫酸、プロピオン酸、又はブチル酸などの酸の存在下において実行されても良い。一部の実施形態において、前記酸は酢酸である。
【0046】
更なる実施形態において、前記セミカルバゾン形成工程は、水性溶媒において実行されても良い。さらに、前記水性溶媒は、例えばイソプロピルアルコール、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコールを含んでも良い。一部の実施形態において、前記水性溶媒は、イソプロピルアルコールを含む。
【0047】
前記セミカルバゾン形成工程に対して適切な反応条件はさらに、周囲圧力と温度を含む。温度の実施例は、約20〜約40℃の範囲であっても良い。
【0048】
本発明は更に、アリール付加工程を提供するものであり、ここで化学式VIの化合物は、(f)化学式VIIの化合物を
【0049】
【化53】

【0050】
以下の化学式を有する付加試薬と接触させることにより調整され、
【0051】
【化54】

【0052】
ここで、
及びRはそれぞれ個別に(C1−C4)アルキルであり、前記接触は、(t−BuO)Yの存在下、化学式VIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下におけるものである。一部の実施形態において、Yは例えばKなどのアルカリ金属である。別の実施形態において、Yは例えばMgBrなどのZである。
【0053】
一部の実施形態において、前記(t−BuO)Y試薬は、付加試薬より過剰であっても良い。例えば、(t−BuO)の適切な量は、化学式VIIの化合物の量に対して約1〜約2当量であっても良い。
【0054】
一部の実施形態によると、前記付加試薬は酢酸エチル(例えばRがメチルでRがエチル)であっても良い。
【0055】
上記アリール付加工程は、例えば25℃以上などの周囲温度或いは上昇温度において実行されても良い、上昇温度の実施例は、約25〜約60℃又は約30〜約50℃の範囲であっても良い。周囲圧力が適切である。
【0056】
本発明更に、化学式II又はIIIを提供するものであり、
【0057】
【化55】

【0058】
ここで、
Arは2−メチル−4−メトキシフェニル、2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシフェニル、又は2−メチル−6−メトキシピリド−3−イルであり、
XはClであり、さらに
及びRはそれぞれメチルである。
【0059】
本発明はさらに、化学式IV、V,又はVIの化合物を提供するものであり、
【0060】
【化56】

【0061】
ここで、
Yはアルカリ金属又はZであって、ここで
はハロであり、さらに
はアルカリ土類金属であり、
Arは0〜5個のRで置換されたフェニル又はピリジルであり、
はそれぞれ個別に、H、ハロ、CN、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、又は(C−C)ハロアルコキシであり、さらに
及びRはそれぞれメチルである。一部の実施形態において、化学式IV、V、VIの化合物は置換されており、ここでArは2−メチル−4−メトキシフェニル、2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシフェニル、又は2−メチル−6−メトキシピリド−3−イルである。更なる実施形態において、化学式VIの化合物はYがKである。
【0062】
スキームIは、本発明によるピラゾロ[1,5−a]−1,3,5−トリアジンの調製工程の実施例である。
【0063】
【化57】

【0064】
本発明は更に、化学式Iの化合物のCRFアンタゴニストの調製工程における中間体として、アリール或いはヘテロアリールアセトニトリル誘導体(例えば化学式VIIの化合物)を調製するための方法を提供する。従って、本発明は化学式VIIIの化合物を調整方法を包含し、
【0065】
【化58】

【0066】
ここで、
、A、A、A、及びAはそれぞれ個別に、F、Cl、Br、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルコキシ、又は(C〜C)ハロアルコキシであり、
(a)化学式IXの化合物
【0067】
【化59】

【0068】
をシアン化物と接触させる工程を含み、前記接触させる工程は、化学式VIIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において酸の存在下におけるものである。一部の実施形態において、AはClであり、AはHであり、Aはメトキシであり、AはFであり、さらにAはHである。
【0069】
化学式VIIIの化合物の調製工程の一部の実施形態によると、前記(a)工程の接触は、アンモニウム塩の存在下で実行されても良い。いかなる非混和性溶媒の組み合わせでも、前記試薬が十分溶解する限りにおいては適合し得る。2相系を形成し得る非混和性溶媒の組み合わせの実施例は、有機溶媒と水の組合わせである。水に混和しない有機溶媒の実施例は、ペンタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、或いはそれらの混合物を含む。アンモニウム塩触媒の存在下における前記非混和性溶媒の組み合わせは、相間移動触媒(PTC)の塩基を形成する。PTCは、それらに関して精通している当業者によって十分に理解され、例えば化学式VIIIの化合物などの化合物の形成速度を顕著に促進する。一部の実施形態において、前記二相系は、トルエンと水を含む。例えば、化学式IXの化合物はトルエンに溶解し、シアン化物とアンモニウム塩は水に溶解してもよい。
【0070】
化学式VIIIの化合物を調整する工程の更なる実施形態において、(a)工程の接触における酸は、例えばプロピオン酸、ブチル酸、又はイソブチル酸などの弱カルボン酸であっても良い。好ましい酸の実施例は酢酸である。前記酸は約1当量未満(化学式IXの化合物に対して)の量で提供されても良い。実施例の量は約0.3〜約0.4当量である。
【0071】
化学式VIIIの化合物を調整する上述の工程は、例えば25℃以上などの周囲温度か或いは高温(elevated temperature)であっても良い。高温の実施例は、約25〜約40、又は約30〜約40℃の範囲であっても良い。
【0072】
一部の実施形態によると、化学式IXの化合物は、(b)化学式Xの化合物
【0073】
【化60】

【0074】
をHBrと接触させる工程によって調整されても良く、前記工程は化学式IXの化合物を与えるのに十分な時間と条件下におけるものである。HBrの適切な量は、1当量(化学式Xの化合物に対して)より多いか、10当量より多いか、或いは約10〜20当量の間であっても良い。
【0075】
化学式Xの化合物とHBrが関与する工程(b)の接触は、いかなる適切な温度及び圧力においても実行され得る。最初の接触は、例えば約0〜約20℃又は約0〜約15℃などの低温で実行されても良く、その後、例えば約25〜約60℃又は約30〜約55℃などのより高い温度に上げられても良い。周囲圧力が適切である。化学式Xの化合物は、任意の適切な溶媒系において溶解し得る。溶媒の実施例は、例えば水中に混和しないような有機溶媒を含む。
【0076】
更なる実施形態において、化学式Xの化合物は、(c)化学式XIの化合物
【0077】
【化61】

【0078】
を還元剤と接触させる工程によって調整されてもよく、前記工程は化学式Xの化合物を与えるのに十分な時間と条件下におけるものである。還元剤はいかなるものでも適切なものであれば良い。前記還元剤の量は、約1若しくはそれ以上の還元当量であっても良い。還元剤の実施例は、適切な活性配位子と特定酵素を伴った水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム(Red−Al)、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素アルミニウム、ボラン、水素化アルミニウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、を含む。一部の実施形態において、前記還元剤は水素化ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム(Red−Al)である。
【0079】
化学式Xの化合物の調整における工程(c)の接触に対して適切な有機溶媒系は、例えば強力な還元剤に対して不活性な有機溶媒などであっても良い。溶媒の実施例は、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ペンタン、ヘキサン、それらの混合物などを含む。一部の実施形態において、適切な溶媒はトルエンである。
【0080】
化学式XIの化合物が関与している前記工程(c)の接触は、任意の適切な温度において実行されてもよい。一部の適切な温度は25℃以下に下がり、約0〜約20℃、約10〜約20、又は約14〜約17℃の温度範囲を含む。周囲圧力が適切である。
【0081】
本発明は、化学式VIII、IX、又はXの化合物もまた提供するものであり、
【0082】
【化62】

【0083】
ここで、AはCl、AはH、Aはメトキシ、AはF、及びAはHである。
【0084】
化学式VIIIの化合物の調整方法の実施例は、以下のスキームIIにおいて提供される。
【0085】
【化63】

【0086】
本発明は、化学式XIの化合物の調整方法もまた提供するものであり、
【0087】
【化64】

【0088】
化学式XIIの化合物を、
【0089】
【化65】

【0090】
化学式XIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下においてメトキシドと反応させる工程を含む。メトキシドは約2当量(化学式XIIの化合物に対して)より多い量において提供されても良い。メトキシドの量の実施例は約3当量である。適切な溶媒系はメタノールを含む。周囲温度及び圧力もまた適切である。
【0091】
一部の実施形態において、化学式XIIの化合物は、(b)化学式XIIIの化合物を
【0092】
【化66】

【0093】
化学式XIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、オキザリルクロライド又はチエニルクロライドと接触させる工程によって、調製されても良い。オキザリルクロライド又はチエニルクロライドは、少なくとも約1当量(化学式XIIIの化合物に対して)の量で提供されても良い。オキザリルクロライド又はチエニルクロライドの量の実施例は約2当量である。
【0094】
一部の実施形態において、化学式XIIの化合物の調整における前記工程(b)の接触は、DMFの存在下において実行される。DMFは1当量(eq)(化学式XIIIの化合物に対して)未満の量において提供されても良い。DMFの量の実施例は、約0.3〜約0.6当量の間を含む。
【0095】
更に、化学式XIIの化合物の調整における前記工程(b)の接触は、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、又はそれらの混合物、或いは試薬と反応しない任意のほかの溶媒などの有機溶媒の存在下において実行されても良い。
【0096】
化学式XIIの化合物の調製に対して適切な温度は、約25℃未満であっても良い。一部の実施形態において、前記工程(b)の接触が実行される初期温度は、25℃以下であり、さらにその後この温度は、例えば約40〜約60℃の温度など、25℃以上に上昇させる。過剰のオキザリルクロライドは、既知の方法に従った蒸留によって除去されても良い。
【0097】
本発明の方法はさらに、化学式XIの化合物を提供するものであり、
【0098】
【化67】

【0099】
化学式XIの化合物の調整工程はスキームIIIに図説される。
【0100】
【化68】

【0101】
本発明は更に、化学式XIVの化合物の調整工程を提供するものであり、
【0102】
【化69】

【0103】
ここで、B、B、B、及びBはそれぞれ個別に、F、Cl、Br、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルコキシ、或いは(C〜C)ハロアルコキシである。一部の実施形態において、BはHであり、BはHであり、Bはメトキシであり、さらにBはメチルである。
【0104】
化学式XIVの化合物の前記調製工程は、化学式XVの化合物を
【0105】
【化70】

【0106】
化学式XIVの化合物を提供するのに十分な時間と条件下において、シアン化物と接触させる工程を含む。いかなるシアン化物の供給源であっても適合する。一部の実施形態において、前記シアン化物はシアン化ナトリウムである。前記シアン化試薬は、化学式XVの化合物に対して約1若しくはそれ以上の当量の量で提供されても良い。一部の実施形態において、約3〜約4当量のシアン化物が提供される。
【0107】
化学式XIVの化合物を調整するための工程(a)の接触は、ヨウ化物の塩の存在下において実行されても良い。いかなるヨウ化物の塩であっても適合し、例えばナトリウム或いはカリウム塩を含む。ヨウ化物は、例えば化学式XV化合物に対して1当量未満など、触媒量で提供されても良い。一部の実施形態において、約0.1棟梁のヨウ化物が提供される。
【0108】
化学式XIVの化合物の調整において、工程(a)の接触は任意の適切な温度及び圧力で実行され得る。一部の実施形態において、接触は周囲温度と圧力で実行される。
【0109】
一部の実施形態において、化学式XVは、(b)化学式XVIの化合物を
【0110】
【化71】

【0111】
化学式XVの化合物が与えるのに十分な時間と条件下において、塩素化試薬と接触させる工程によって、調製されてもよい。いかなる塩素化試薬であっても適合する。一部の実施形態において、塩素化試薬は、塩化メシル又は塩化チオニルである。塩化メシルは化学式XVIの化合物に対して少なくとも約1当量の量で提供されても良い。塩化チオニルは化学式XVIの化合物に対して少なくとも約0.5当量の量で提供されても良い。
【0112】
化学式XVの化合物の調整において、工程(b)の接触は、任意の有機溶媒中において実行されても良い。一部の実施形態において、前記溶媒はアセトニトリルを含む。いかなる温度又は圧力であっても適切であり得る。一部の実施形態において、前記接触は、約0〜約10℃、又は約0〜約5℃の温度で実行される。
【0113】
一部の実施形態によると、化学式XVIの化合物は、化学式XVIIの化合物を
【0114】
【化72】

【0115】
化学式XVIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、還元剤と接触させることにより調整される。十分強力であるいかなる還元剤であっても適合し、化学式XVIIの化合物に対して少なくとも約1当量の量で提供され得る。一部の実施形態において、前記還元剤はNaBHである。NaBHは水酸化物の水溶液(例えば約10〜約20M NaOH)中において提供されても良い。
【0116】
化学式XVIの化合物を調整するための工程(c)の接触において、適切な溶媒は還元剤に対して不活性であるものを含む。一部の実施形態において、前記溶媒は、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール及びそれらの混合物を含む。
【0117】
一部の実施形態によると、化学式XVIIの化合物は、(d)化学式XVIIIの化合物を
【0118】
【化73】

【0119】
前記化学式XVIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、n−BuLiと接触させた後、ホルミル化試薬と接触させることによって調製されても良い。前記n−BuLiは化学式XVIIの化合物に対して約1当量の量において提供されても良い。化学式XVIIの化合物もまた、化学式XVIIIの化合物を、例えばマグネシウム、リチウム、又はアルキルリチウムなどの金属ハロゲン交換可能な試薬と接触させることにより調整されても良い。
【0120】
適切なホルミル化試薬は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ギ酸エチル、N−ホルミルピペリジン、N−メトキシ−N−メチルホルムアミドを含む。一部の実施形態によると、前記ホルミル化試薬はDMFである。前記ホルミル化試薬は、少なくとも約1当量(化学式XVIIIの化合物に対して)の量で提供されても良い。一部の実施形態において、前記ホルミル化試薬は、約2当量の量で提供される。
【0121】
化学式XVIIの化合物の調整における工程(d)の接触に対して適切な溶媒は、例えばベンゼン、トルエン、ヘキサン、ペンタン、及び同種のものなど、n−BuLiに対して不活性である。テトラヒドロフランもまた適切であり得る。初期接触に対して適切な温度は、例えば約−0℃など−80〜約0℃の範囲であっても良い。初期接触の後、周囲温度と圧力が適切である。
【0122】
化学式XIVの化合物の調整工程の実施例は、スキームIVにおいて提供される。
【0123】
【化74】

【0124】
本発明は更に、化学式XIXの化合物を調整するための工程を提供し、
【0125】
【化75】

【0126】
ここで、
はF、Cl、Br、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルコキシ、或いは(C〜C)ハロアルコキシであり、
B5は(C〜C)アルキルであり、
化学式XXの化合物を
【0127】
【化76】

【0128】
化学式XIXの化合物がもたらされるのに十分な時間と条件下において、Bと接触させる工程を有するものである。一部の実施形態において、Bはメチルであっても良く、又はBはメチルであっても良い。更なる実施形態において、Bは、例えばナトリウム又はカリウムの塩などのアルカリとして提供されても良い。B試薬は、化学式XXの化合物の量に対して1当量以上など、過剰量で提供されても良い。前記工程(a)の接触は、任意の適切な溶媒中において実施可能である。幾つかの適切な溶媒は、メタノール、ベンゼン、トルエン、及び類似のものなどを含む。前記工程(a)の接触が実行され得る適切な温度は、約0〜120℃の間を含む。例えば、前記温度は、約60〜約80℃、又は約65〜約75℃であっても良い。周囲圧力が好ましい。
【0129】
更なる実施形態において、前記化学式XXの化合物は、(b)化学式XXIの化合物
【0130】
【化77】

【0131】
或いはそれらの酸付加塩を、化学式XXの化合物を与えるのに十分な時間及び条件下において、酸の存在下、亜硝酸塩及びBrと接触させる工程によって調整され得る。一部の実施形態において、前記酸はHBrであっても良い。亜硝酸塩、Br、及び酸はそれぞれ、例えば化学式XXIの化合物の量に対して1当量より大きいなど、過剰に提供されても良い。前記(b)工程の接触は、任意の適切な温度で実施可能である。温度の実施例は、約−10〜−約20、約−5〜約10、又は約0〜5℃の範囲であっても良い。
【0132】
前記工程(b)の接触から得られる反応混合物は、さらに塩基と接触されて、約7より大きいpH値に調製されてもよい。約8〜約14、約10〜約14、又は約13のpH溶液を得るために、例えば水酸化物(NaOH又はKOHなど)が添加されても良い。
【0133】
一部の実施形態において、前記化学式XXIの化合物は、(c)化学式XXIIの化合物を
【0134】
【化78】

【0135】
酸の存在下、化学式XXIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、Brと接触させる工程によって調整され得る。一部の実施形態において、前記酸は酢酸である。前記工程(c)の接触は、任意の適切な温度と圧力において実行可能である。一部の適切な温度は、約10〜約25℃、約15〜約20℃、又は約18℃であっても良い。酸は、化学式XXIIの化合物に対して過剰に提供されても良い。臭素(Br)は、前記化学式XXIIの化合物に対して、約0.5〜約1.5当量、約0.9〜約1.1当量、又は約1.0当量の量で提供されても良い。
【0136】
本発明は更に、化学式XIV又はXVの化合物を提供するものであり、
【0137】
【化79】

【0138】
ここで、BはH、BはH、Bはメトキシ、及びBはメチルである。
【0139】
化学式XIXの化合物の調整工程の実施例は、スキームVで提供される。
【0140】
【化80】

【0141】
本明細書において記載される工程は、当業者が周知の任意の適切な方法に従って測定されても良い。例えば、生成物の形成は、例えば核磁気共鳴分光法(H又は13Cなど)、赤外分光法、分光光度法(紫外・可視など)、又は質量分析などの分光学的方法、又は例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は薄層クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーによって測定されても良い。
【0142】
本明細書で用いられる「接触」という用語は、結合の切断及び形成など分子変化を与えるのに十分な間隔内にまで試薬を接合することを指す。接触のために提供される前記試薬は、気体、液体、または溶液中などのいかなる形態中であっても良い。
【0143】
本明細書において記載される工程の試薬は、有機又は水溶性の溶媒など、適切な溶媒中において実施され得るものであり、そのような溶媒は有機合成の当業者であれば容易に選択され得るものである。適切な溶媒は実質的に、反応が実施される温度すなわち溶媒の凝固点から溶媒の沸点までの範囲である温度において、出発物質(反応体)、中間体、又は生成物と反応し得ないものである。所定の反応は1つの溶媒又は2つ以上の溶媒の混合物中において、実施され得るものである。特有の反応工程によっては、特有の反応工程に適切な溶媒が選択されても良い。
【0144】
適切な有機溶媒は、四塩化炭素、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、クロロホルム、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン、ブチルクロライド、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、2−クロロプロパン、ヘキサフルオロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、フルオロトリクロロメタン、クロロトリフルオロメタン、ブロモトリリフルオロメタン、テトラフッ化炭素、ジクロロフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタン、ヘキサフルオロエタン、1−クロロブタン、及び1,2−ジクロロエタンなどハロゲン化溶媒を含んでも良い。
【0145】
適切な有機溶媒は、ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、t−ブチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、又は1,3−ジオキソランなどのエーテルを含む。
【0146】
適切なプロトン溶媒は、これらの例に限定されることなく、メタノール、エタノール、2−ニトロエタノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1−、2−、3−ペンタノール、ネオペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノール、グリセロール、又は1−メトキシ−2−プロパノールなど水、又は有機溶媒を含んでも良い。
【0147】
適切な非プロトン性溶媒は、これらの例に限定されることなく、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、スルホラン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、テトラメチル尿素、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ヘキサメチルホスホラミド(hexamethylphosphoramide)、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸エチル、2−ペンタノン、又はメチルイソブチルケトンなど有機溶媒を含んでも良い。
【0148】
適切な有機溶媒は、例えばベンゼン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、トルエン、シクロシクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、エチルベンゼン、m−、o−、又はp−キシレン、オクタン、インダン、ノナン、又はナフタレンなどの炭化水素を含む。
【0149】
本明細書において使用する場合、適切な酸は、これらに限定されないが、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、及び有機酸などを含む。
【0150】
適切な有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、プロピオル酸、酪酸、2−ブチン酸(2−butynoic acid)、ビニル酢酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸を含む。
【0151】
本明細書において使用する場合、適切な塩基は、これらに限定されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、及び重炭酸カリウムなどを含む。
【0152】
本明細書において使用する場合、適切な強塩基は、これらに限定されないが、アルコキシド、金属アミド、金属水素化物、金属ジアルキルアミド、及びアリールアミンを含み、ここで、アルコキシドはメチル、エチル、及びt−ブチル酸化物のリチウム、ナトリウム、及びカリウムの塩を含み;金属アミドはナトリウムアミド、カリウムアミド、及びリチウムアミドを含み;金属水素化物は水素化ナトリウム、水素化カリウム、及び水素化リチウムを含み;金属ジアルキルアミドはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、トリメチルシリル、及びシクロヘキシル置換されたアミドのナトリウム及びカリウム塩を含む。
【0153】
本明細書に記載された化合物は不斉中心を有しても良い。特に指示のない限り、キラル、ジアステレオマー、ラセミ体の全ては、本発明に含まれる。オレフィン、C=N二重結合、及び類似の物の幾何学異性体の多くが本明細書において記載された化合物に存在しても良く、さらにそのような安定な異性体はすべて本発明において考慮される。非対称に置換された炭素原子を含む本発明の化合物が光学活性或いはラセミ体で分離されても良いことが理解される。どのようにして光学活性な出発物質から光学活性体を調製する方法は、例えばラセミ体の分割或いは合成など、当業者には周知である。キラル、ジアステレオマー、ラセミ体、及び幾何学異性体の全ての構造が対象とされる。
【0154】
本発明は、中間体或いは最終化合物において生じるすべての同位体原子を含む。同位体は、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。例えば、水素の同位体はトリチウムと重水素を含む。
【0155】
任意の構成物質或いは任意の化学式において、いかなる変化が2回以上生じた場合、各発生におけるその定義は、他のすべての発生におけるその定義に依存される。従って、例えば、ある基が0〜3個のRによって置換される場合、前記置換基は3つまでの異なるRzによって選択的に置換される可能性がある。
【0156】
本明細書で使用される「置換」という用語は、指定原子上における任意の1若しくはそれ以上の水素が指示された基から選択物によって置き換えられることを意味する。ただし前記指定原子の標準原子価を上回ることなく、さらに前記置換によって安定な化合物をもたらすものとする。
【0157】
本明細書で用いる「アルキル」という用語は、直鎖、分枝、又は環化(シクロアルキル)の飽和炭化水素基を指すことを意味する。アルキル基は、非置換型、或いは1若しくはそれ以上のアルキル基の水素が別の化学基によって置換されるように置換されていても良い。アルキル基の実施例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n−プロピル及びイソプロピルなど)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、t−ブチルなど)、ペンチル(n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルなど)、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、及び同類のものを含む。「アルケニル」は、1若しくはそれ以上の炭素−炭素二重結合を有するアルキル基を指す。アルケニル基の実施例は、エテニル、プロペニル、シクロヘキセニル、及び同類のものを含む。「アルキニル」は1若しくはそれ以上の炭素−炭素三重結合を有するアルキル基を指す。アルキニル基の例は、エテニル、プロピニル、および同類のものを含む。「ハロアルキル」は、1若しくはそれ以上のハロゲン置換基を有する分枝鎖、直鎖、及び環化のアルキル基を指す。ハロアルキル基の実施例は、CF、C、CHF、CCl、CHCl、CCl、及び同類のものを含む。「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の実施例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n−プロポキシ及びイソプロポキシなど)、t−ブトキシ、及び同類のものを含む。「ハロアルコキシ」は、1若しくはそれ以上のハロゲンで置換されたアルコキシ基を指す。「シクロアルキル」という用語は、環化アルキル基を指し、モノ−、ビ−、又はポリ−環系を含む。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びその他などを含む。「ハロ」或いは「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を含む。
【0158】
「アリール」基は、単環式又は多環式の芳香族炭化水素を指し、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニル、及び同類のものを含む。アリール部分は、例えば、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary(13ed.),R.J.Lewis ed.,J.Wiley & Sons,Inc.,New York(1997)において記載されているように周知であり、これはこの参照により本明細書に組み込まれるものである。アリール基は置換型或いは無置換型であっても良い。
【0159】
「ヘテロアリール」基は、例えば硫黄、酸素、または窒素などの少なくとも1つのヘテロ原子の環構成員を含む単環式及び多環式芳香族炭化水素である。ヘテロアリール基は、これに限定されることなく、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル(pyrryl)、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンゾイミダゾリル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル−S−オキシド、2,3−ジヒドロベンゾチエニル−S−ジオキシド、ベンゾキサゾリン−2−オン−イル、インドリニル、ベンゾジオキサラニル、ベンゾジオキサン、及び同類のものを含む。ヘテロアリール基は置換型或いは無置換型であっても良い。
【0160】
「ヘテロサイクリル」基は、飽和(すなわち二重結合若しくは三重結合を含まない)又は不飽和(すなわち1若しくはそれ以上の二重結合若しくは三重結合を含む)炭化水素基であって、ここで、カルボサイクリル基の環形成炭素原子の1若しくはそれ以上が、例えばO、S、又はNなどのヘテロ原子によって置換されているものである。ヘテロサイクリック基は置換型または無置換型であっても良い。ヘテロサイクリル基の実施例は、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペラジニル、ピロリジニル、イソキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、及び同類のものを含む。ヘテロサイクリル置換基の幾つかの実施例は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、ハロゲン、C1〜C4ハロアルキル、CN、OR、SH、NO、OCF、S(O)nR、COR、CO、OC(O)R、NRCOR、N(COR、NRCONR、NRCO、又はCONRを含んでも良く、ここでR及びRは上述の定義のように本発明の第一の観点に従う。ヘテロサイクリル基は、たとえば0〜7、0〜6、0〜5、0〜4、0〜3、0〜2、又は0〜1の置換基のように、任意の置換構成員によって置換されても良い。
【0161】
本明細書の方法によって調製される化合物は、哺乳類における副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の異常な値によって特徴付けられる疾患を治療するために使用され得る。
【0162】
副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の異常な値によって特徴付けられる幾つかの疾患は、大うつ病、単一発現うつ病、反復性うつ病、幼児虐待誘導性うつ病、季節性情動障害、分娩後うつ病、情緒異常、躁うつ病、及び循環気質を含むうつ病などの気分障害、パニック、恐怖症、強迫神経症、などの不安障害;外傷後ストレス障害;及びストレスにより誘導される睡眠障害;炎症;痛み;慢性疲労症候群;ストレス誘導頭痛;癌;人免疫不全ウイルス(HIV)感染;例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病などの神経変性疾患;例えば潰瘍、過敏性腸症候群、クローン病、痙攣性結腸、下痢、及び術後腸閉塞、及び精神病理学的撹乱またはストレスに関連する結腸過敏消化器疾患などの消化器疾患;拒食症及び神経性大食症などの摂食障害;核上麻痺;筋萎縮性側索硬化症;免疫抑制;出血ストレス;ストレス誘導精神症エピソード;甲状腺機能病気症候群;不適切な下痢止めホルモン症候群(ADH);肥満;不妊症;頭部外傷;脊椎外傷;虚血性神経損傷(例えば脳海馬虚血などの脳虚血);興奮性ニューロン損傷;癲癇;高血圧、頻脈、及びうっ血性心不全を含む心臓血管障害;脳梗塞;ストレス誘導免疫障害を含む免疫機能障害(例えばストレス誘導熱、豚ストレス症候群、ウシ輸送熱、ウマ発作性細動、及びニワトリの閉じ込めによる機能障害、ヒツジにおけるせん毛ストレス、或いはイヌにおけるヒト−動物相互関係関連ストレスなど);筋肉痙攣;尿失禁;アルツハイマー型老年性認知症;多発脳梗塞性認知症;筋萎縮性側索硬化症;化学物質依存状態及び中毒(例えばアルコール、コカイン、ヘロイン、ベンゾジアゼピン、又はそのほかの薬物などの依存状態など);薬物及びアルコール禁断症状;骨粗しょう症;心理社会的小人症;低血糖;脱毛;異常日周期;及び例えば時間帯変化症候群、季節性情緒障害、不規則性睡眠−覚醒パターン、遅延睡眠期症候群、進行性睡眠期症候群、非24時間睡眠−覚醒障害、光誘導時計再設定、REM睡眠障害、睡眠過剰、睡眠時異常行動、発作性睡眠、夜尿、下肢静止不能症候群、睡眠時無呼吸、気分変調、及び抗鬱剤の長期投与及び禁断症状が関連した異常日周期を含む。従って、本明細書において提供される化合物は、CRF受容体の拮抗作用のために、これらの疾患及びそのほかの疾患の治療に有用であると期待される。
【0163】
本発明の方法によって調整される化合物は、上記疾患を治療するために、哺乳類の体内において、前記化合物がCRF受容体など前記化合物の作用部位に接触できる任意の適切な方法によって、投与されることが可能である。前記化合物は、調合薬の他、個人の治療薬と共に、或いはそのほかの治療薬と組み合わせて使用可能である従来のいかなる方法によっても投与されることができる。化合物は単独で、或いは選択される投与経路と標準的な薬学的実践とに基づき選択される薬学的担体と組み合わせて投与されることができる。
【0164】
投与される化合物の投与量は、例えば特定の化合物の薬力学的特徴、及びその様態と投与経路、患者の年齢、体重、及び健康状態、症状の種類と程度、併用療法の種類、治療頻度、及び目的とする効果など、幾つかの因子によって変化する。上記疾患又は状態の治療に使用するために、本発明の前記化合物は、有効成分(例えば化学式Iの化合物など)の投与量が約0.002〜約200mg/kg体重において毎日経口投与されることが可能である。例えば、約0.01〜約10mg/kgの投与量は、より少ない投与量に分割し、1日あたり1〜4回で投与されても良い。或いは、持続性放出製剤が目的とする薬理学的効果を取得する上で効果的であっても良い。
【0165】
投与に適切な剤形(組成物)は、投与単位あたり約1mg〜約100mgの活性成分を含んでも良い。このような薬学的組成物において、前記活性成分(例えば化学式Iの化合物など)は、前記組成物の全重量に基づき重量あたり約0.5〜95重量%で存在することが可能である。
【0166】
活性成分(例えば化学式Iの化合物など)は、例えばカプセル、錠剤、及び粉末など固体の剤形で、又は例えばエリキシル剤、シロップ、及び/又は懸濁液などの液体形態で傾向的に投与することが可能である。前記化合物は無菌液体投与製剤で非経口によって投与されることも可能である。
【0167】
ゼラチンカプセルは、活性成分と、これらに限定されないが例えばラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はセルロール誘導体などの適切な担体とを含むために使用されることも可能である。類似の希釈剤が圧縮錠を作るために使用され得る。錠剤及びカプセルいずれも、ある期間にわたって持続的に薬物を放出するために、持続性放出生成物として製造されることが可能である。圧縮錠は、どんな不快な味でも覆うように糖衣或いはフィルムコートされても良く、又は活性成分を空気から保護するために、或いは消化管内において前記錠剤が選択的に崩壊されるように使用されても良い。
【0168】
経口投与のための液体投与形態は、患者の受諾を高めるために着色剤又は着香料を含んでも良い。
【0169】
一般的に、水、薬学的に許容可能な油、食塩水、デキストロース水溶液、及び関連する糖溶液及びプロピレングリコールやポリエチレングリコールなどのグリコールは非経口溶液に適切な担体である。非経口投与溶液は、例えば活性成分の水溶性塩、及び適切な安定化剤などを含んでもよい。例えば二亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸などの抗酸化剤は単独或いは組み合わせで、適切な安定化剤として作用し得る。安定化剤としてはクエン酸及びその塩、及びEDTAもまた適切である。さらに、非経口溶液は、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル又はプロピルパラベン、及びクロロブタノールなどの防腐剤を含んでも良い。
【0170】
本明細書において記載された方法によって調整される化合物は、神経学的な機能、機能障害、及び疾患の生化学的な研究において、試薬または標準物質として使用されても良い。
【0171】
本発明の精神を逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対して、多くの変化と改善がなされ得ることが当業者に理解される。そのような変化は全て本発明の範囲に含まれるものである。本明細書を通じて、多様に関連する部分の化合物及び基の構成要素の変化を都合よく記載するために、様々な分類が使用される。本明細書を通じてそのようなグループの発生はそれぞれ、前記基の員の可能な副結合を全て含み、それらの個別の員を含むことを特に目的とするものである。
【0172】
本特許文献において述べられた各特許、明細書、及び刊行物は、この参照により本明細書に完全に組み込まれるものである。
【実施例1】
【0173】
2−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−オキソブチロニトリルカリウム塩の調製
【0174】
【化81】

【0175】
無水条件下、(4−メトキシ−2−メチルフェニル)アセトニトリル(25.0kg、155モル、市販されている)と68.3kgの酢酸エチルを溶液が得られるまで混合した。得られた溶液を35℃に加熱し、温度を35℃に調節しながらTHF中のカリウムt−ブトキシド(100kg、20重量%、178モル)を30〜60分かけて添加した。前記添加後、反応集団を45℃に加熱し、60分間維持した。保持時間の終わりに、検体をHPLCによって分析した。反応混合物をその後25℃に冷却し、そのほか3バッチを一緒に合わせて、全部で843kgの溶液とした。
【実施例2】
【0176】
2−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−オキソブチロ二トリルセミカルバゾンの調製
【0177】
【化82】

【0178】
実施例1に従って調整した4バッチ分の溶液と水(150kg)を混合した。溶液(557kg)を145mmHg、35℃で混合物から希釈した。次に水(1200kg)、酢酸(47.0kg)、セミカルバジド塩酸塩(89.0kg、798モル)、及びIPA(475kg)を加えた。得られた混合物を25〜35℃に加熱し、21時間保持した。前記反応物をHPLCで監視した。形成された2−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−オキソブチロニトリルセミカルバゾンを濾過して単離し、固体を水(2×250kg)で洗浄した。全部で143kgが単離された。純度は99.3重量%であった。収率は理論的に93.1%であった。
【実施例3】
【0179】
5−アミノ−4−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−メチルピラゾール−1−カルボン酸アミドの調製
【0180】
【化83】

【0181】
実施例2の2−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−オキシブチロニトリルセミカルバゾン(160g、615mmol)とN−メチルピロリジノン(NMP、480mL)を帯電させ、得られたスラリーを<5℃に冷却した。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、18.0mL、120mmol)を加えた。前記反応集合体を1.0〜1.5時間、<5℃に保持した。5−アミノ−4−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−メチルピラゾール−1−カルボン酸アミドへの変換ををHPLCで監視した(一般的に95%以上)。
【実施例4】
【0182】
8−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−2,7−ジメチルピラゾロ[1,5−a][1,3,5]トリアジン−4−オールの調製
【0183】
【化84】

【0184】
アセトニトリル(100mL)中のp−トルエンスルホン酸(29.2g、154mmol)を、5−アミノ−4−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−3−メチルピラゾロ−1−カルボン酸アミドを含む実施例3に記載した反応混合物に加えた。得られた混合物を85〜90℃に加熱し、トリメチルオルト酢酸(160mL、1.26mol)を加熱中5分間にわたって加えた。前記反応物を約45分間、望ましくは熱サイクルを開始してからは総合して1.5時間の加熱範囲で保持した。反応工程はHPLCで監視した。水(1.50L)を5分間にわたって加え、温度は約60℃まで下がった。得られた混合物を1時間かけて約20℃に冷却し、濾過によって生成物を単離した。収率は136g(純度99.5A%で78.0%)であった。
【実施例5】
【0185】
N,N−ビス(2−メトキシエチル)−8−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−2,7−ジメチルピラゾロ[1,5−a][1,3,5]トリアジン−4−アミンベンゼンスルホン酸塩の調製
【0186】
【化85】

【0187】
実施例4の8−(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−2,7−ジメチルピラゾロ[1,5a][1,3,5]トリアジン−4−オール(6.5kg、22.5mol)、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド(4.70kg、15.0mol)、アセトニトリル(6.50L)及びメチルt−ブチルエーテル(26.0L)を帯電させ、得られたスラリーをオキシ塩化リン(3.30L、34.9mol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(6.00L、34.3mol)で処理した。得られた混合物を反応が完結する約1.5時間、50〜55℃に加熱した。得られた溶液を約0℃に冷却し、バッチ温度を<25℃の温度に維持しながらビス(2−メトキシエチル)アミン(8.50L、57.5mol)を用いて処理した。前記バッチを約1.0時間保持した後、水(78.0L)中の水酸化カリウム(11.4kg、203mol)の溶液で処理し、3〜4時間保持した。前記相は分離し、有機部分を水(32.5L)で洗浄した。さらにメチルt−ブチルエーテル(163L)を加え、このバッチを濾過して粒子状物質を除去した。前記バッチを約47.0Lの終点まで減圧下で蒸留し、水とメチルt−ブチルエーテルを除去した。前記溶液を約0℃まで冷却し、濾過して粒子状物質を除去した。
【0188】
まず、アセトニトリル(6.11L)を前記バッチに添加した後、ベンゼンスルホン酸(3.58kg、22.6mol)の溶液を播種しながら滴下して加えた。得られたスラリーは、約0℃に冷却する前に約2時間かけることによって形成することができた。ここで前記バッチは濾過によって単離する前に約30分間保持した。乾燥によって10.7kg(83.8%理論値)が得られた。
【実施例6】
【0189】
2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシ−ベンゼン酸メチルエステルの調製
【0190】
【化86】

【0191】
2−クロロ−4,5−ジフルオロベンゼン酸(15.0kg、純度99重量%、77.1モル、1.00当量)及びトルエン(75.9kg)中のジメチルホルムアミド(0.2kg、2.73モル、0.04当量)を、<25℃に温度を維持しながら2時間かけて塩化オキサリル(19.8kg、156.0モル、2.02当量)で処理した。前記混合物を50℃まで加熱し、1時間保持した。この時点でHPLCは反応終了を示していた。残留塩化オキサリルを蒸留して除去し、低沸点塩化オキサリルを踏まえてトルエンのみが蒸留されるまで容器温度を85〜110℃に上げた。メタノール(90.0kg)中の25重量%のナトリウムメトキシド(50.5kg、233.7モル、3.03当量)を含む別の容器に、冷却した反応物質(<25℃)を移した。前記混合物を25℃で一晩撹拌し、HPLCで監視した。トルエン(全部で184.6kg添加)を加えることによって前記容積を維持しながら、前記メタノールを50℃/150mmHg減圧によって除去した。前記蒸留はメタノールの含有量がGCで1.16v/v%になるまで続けた。得られた溶液を水(150.0kg)、1.6重量%の塩化水素酸(37.0kg)、炭酸水素ナトリウム(33.15kgの水中に1.85の炭酸水素ナトリウム)、水(35.0kg)で順次洗浄した。それぞれ最初に15分間攪拌した。前記洗浄した溶液を0.2ミクロンカートリッジフィルターを通してろ過し、50℃/150mmHg減圧で蒸留することによって容積を半分まで減らした。前記混合物を80℃に加熱することによって固体が出現し、温度を70℃に維持しながらヘプタン(68.0kg)を加えた。前記スラリーを5℃まで冷却し一晩保持した。濾過して結晶を収集し、ヘプタン(34.0kg)で洗浄し、50℃/50mmHgで乾燥することによって14.4kg(85%収率)の純粋な2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシ−ベンゼン酸メチルエステル生成物が得られた。
【実施例7】
【0192】
2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシ−ベンゼン酸メチルエステルから(2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−アセトニトリルへの変換
【0193】
【化87】

【0194】
13〜15℃に冷却したトルエン(17.0L)中の2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシベンゼン酸メチル(99.04重量%の原料2.00kg、9.06モル、実施例6)を、13〜17℃の温度に維持時ながらRed−Al(ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム水素化物(2.95L、9.83モル、1.08当量)の65重量%の溶液で1時間かけて処理した。この時点におけるHPLCによるサンプリングによって、全ての出発物質が反応したことが確立された。
【0195】
残存しているRed−Alはアセトン(40mL)を加えることによってクエンチした。前記反応物質をあらかじめ8℃に冷却した48%の臭化水素酸(19.0L、168モル、18.5当量)の溶液に移した。前記反応混合物を50℃に加熱し、30分保持し、この時点でHPLCにおいて(2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシフェニル)メタノールに対する1−ブロモメチル−2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシベンゼンの比が999:1を示した。
【0196】
前記相は分離し、洗浄した水相のpHが5に達するまで有機相を連続的に5回(2.0L)水で洗浄した。前記溶液をカートリッジフィルターに通過させて濾過することにより、18.1kgの溶液が得られ、これは13.17重量%の1−ブロモメチル−2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシベンゼンとして分析された。この中間体を酢酸(195mL、3.4モル、0.36当量)で混合した。水(7.85L)中のシアン化ナトリウム(1780g、36.3モル、3.84当量)及びベンジルトリブチルアンモニウムクロライド(195g、0.63モル、0.07当量)の溶液を激しく撹拌しながら1分間にわたって添加した。この混合物をさらなる水(2.0L)で洗浄し、温度を35℃に調製した。2.5時間攪拌を続けて、HPLCのサンプルによって1−ブロモメチル−2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシベンゼンに対する(2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−アセトニトリルの比が1999:1を示した。
【0197】
前記相を分離し、有機相を水(18.5L)で洗浄した。このバッチを同じスケールで調製した別のバッチと混合した。前記溶液を〜12Lの値になるまで<50℃におけるロータリーエバポレーターによる濃縮を続けたが、イソプロパノールの添加によって前記値を維持した。GCによるトルエン含有量が2.09%v/vを示すまでこの濃縮手順を続けた。全部で18Lのイソプロパノールを必要とした。IPAを用いて前記容積を16.5Lに希釈し、加熱によって固体を溶解させた。前記溶液を45℃に冷却し、圧力を120mmHgに下げて容積を維持するために水を加えながらイソプロパノールを蒸留除去した。前記温度を45〜50℃に維持した。GC分析によってイソプロパノール値が5.7%に減じるまで5時間に渡って全部で〜15Lの水を投入した。一晩で前記スラリーを周囲温度にまで冷却し、濾過して結晶を収集した。固形物を水(5L)で数回の洗浄し、結晶を50℃で4日間にわたって乾燥し、99.17重量%の純度の(2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)アセトニトリルが3.533kg得られた。
【実施例8】
【0198】
5−ブロモ−2−アミノ−6−ピコリンHBr塩の調製
【0199】
【化88】

【0200】
バリエーション1
2−アミノ−6−ピコリン(39.8kg、99.6重量%純度、367mol、1.00当量)を温度を60℃に上げながら酢酸(65.0kg)中に投入した。残りのピコリンを洗浄するために、さらに酢酸(17kg)を投入し、この混合物を分解が生じるまで35℃に加熱した。18℃に冷却した後、臭素(56.2kg、352mol、0.96当量)を18±3℃で2時間にわたり投入した。残存臭素を洗浄するために、さらに酢酸(2.0kg)を投入した。前記混合物をこの温度範囲で1時間維持し、その後11〜15℃に冷却した。これをこの範囲に0.5時間維持した。前記固体を濾過してポリプロピレン上に回収し、イソプロパノール(63.0kg)で洗浄し、69.6kgの湿潤5−ブロモ−2−アミノ−6−ピコリン臭化水素(柔化水素としての生成物が76重量%)が得られた。これは、54%収率に相当した。13CNMRスペクトルを記録する目的のために、この生成物の一部を乾燥させた:13CNMR(400MHz、DMSO−d)δ154.1,146.9,112.4,105.2,20.1。
【0201】
バリエーション2
温度を<50℃に維持しながら2−アミノ−6−ピコリン(16.0kg、99.6重量%純度、147mol、1.00当量)を酢酸(35.0kg)に投入した。残存ピコリンを洗浄するために、さらに酢酸(2kg)を投入し、溶解が生じるまでこの混合物を35℃に加熱した。18℃に冷却した後、臭素(23.0kg、144mol、0.98当量)を18±3℃で2時間にわたり投入した。残存臭素を洗浄するためにさらに酢酸(2.0kg)を投入した。前記混合物をこの温度範囲で1時間保持し、水(41L)を投入した。30%水酸化ナトリウム(35kg)を用いて前記pHを4.0に調整し、個体を遠心分離機のポリプロピレンバッグに収集した(この固体からの生成物のさらなる回収は以下に記載した)。前記固体を水(50L)で洗浄した。濾過物及び洗浄物は全て残存固体を除去するために濾過し(この固体からの生成物のさらなる回収は以下に記載した)、30%水酸化ナトリウム水溶液(75kg)を用いて前記pHを13.3に調整した。前記固体を遠心分離機のポリプロピレンバッグに収集し、水(50L)で洗浄した。乾燥するために、前記固体を以下に記載した回収物と一緒にした。
上述の第一の濾過のろ液において沈殿した固体の回収によって更なる生成物を回収した。これらの固体を水(30L)に溶解し、50%水酸化ナトリウム(20.0kg)を用いてpHを13.5に調整した。この固体を遠心分離機のポリプロピレンバッグでろ過し、固体を水(30L)で洗浄した。これらを、予め乾燥のため分離しておいた5−ブロモ−2−アミノ−6−ピコリンHBr塩と混合した。一方、第一の濾過で収集したジブロモ不純物の固体(cake)を水(100L)中にスラリー化し、遠心分離機のポリプロピレンバッグでろ過し、固体を水(30L)で洗浄した。ろ液/洗浄液を前記反応物に再投入し、50%水酸化ナトリウム(12.5L)、及び更に水(150L)を用いてpHを12.5に調整した。前記固体を遠心分離機のポリプロピレンバッグに濾過し、固体を水(60L)で洗浄した。これらを、予め分離した5−ブロモ−2−アミノ−6−ピコリンHBr塩固体と混合し、すべて一緒に40℃で3日間かけて乾燥し、16.2Kgの固体(95.6重量%)又は56%の収率で得られた。
【実施例9】
【0202】
5−ブロモ−2−アミノ−6−ピコリンHBr塩から2,5−ジブロモ−6−ピコリンへの変換
【0203】
【化89】

【0204】
バリエーション1
5−ブロモ−2−アミノ−6−ピコリン臭化水素酸塩(29.4kg、76.5重量%純度、84mol、1.00当量)を、<35℃で48%臭化水素酸(162.0kg、961mol、11.44当量)に溶解した。前記溶液を2℃に冷却し、臭素(43.0kg、269mol、3.20当量)を40分間にわたって投入した。亜硝酸ナトリウムの40重量%溶液(28.9kg、419mol、4.99当量)を−1〜5℃で50分間にわたって投入した。前記内容物を1時間保持し、水酸化ナトリウム50%水溶液(120.0kg)を用いてpHを13.1に調節した。前記内容物を1時間かけて20℃に温めて、トルエン(78.0kg)を投入した。前記混合物を30分間攪拌し、一晩安定させた。前記有機相を濾過して浄化し、飽和塩化ナトリウム水溶液(51.1kg)を用いて2回洗浄した。これによって、96.0kgの2,5−ジブロモ−6−ピコリン溶液(17.3重量%)又は79%収率が得られた。
【0205】
バリエーション2
5−ブロモ−2−アミノ−6−ピコリン(7.0kg)及び5−ブロモ−2−アミノ−6−ピコリン臭化水素酸塩(7.0kg)(出発物質に基づいた分析、これは出発物質の11kg或いは41molに匹敵する)を<35℃で48%臭化水素酸(107.0kg、635mol、15.49当量)中に溶解した。前記溶液を2℃に冷却し、臭素(27.3kg、171mol、4.17当量)を0〜5℃で45分にわたって投入した。水20L中の亜硝酸ナトリウム(8.1kg、117mol、2.86当量)の溶液を−1〜5℃で1.5時間に渡って投入した。前記内容物を1時間保持し、50%水酸化ナトリウム水溶液(70.0kg)を用いてpHを12.5に調製した。前記内容物を1時間にかけて20℃に温めて、固形物を遠心分離機のポリプロピレンバッグに収集した。前記固形物を水(75L)で洗浄することによって、湿潤2,5−ジブロモ−6−ピコリン12.0kgが得られ、これは83重量%の生成物(68%収率)であると判断した。この一部を13CNMRスペクトルの記録のために乾燥した:13CNMR(400MHz,CDCl)δ158.8、141.9、139.4、126.7、120.6、24.7。
【実施例10】
【0206】
2,5−ジブロモ−6−ピコリンから2−メトキシ−5−ブロモ−6−ピコリンへの変換
【0207】
【化90】

【0208】
トルエン(154.2kg)中の2,5−ジブロモ−6−ピコリン(30.6kg、122mol、1.00当量)の溶液を40℃/75mmHgの減圧蒸留で乾燥し、105.7kgの蒸留物を除去することによって、40ppmの水を含む溶液を得た。これをメタノール(124.1kg、574mol、4.71当量)中の25重量%のナトリウムメトキシドと混合し、この混合物を反応が完結するまで65〜75℃で6時間加熱した(HPLC分析において出発物質は1.6面積%を示した)。前記混合物を5℃に冷却し、水(98L)に引き続き、t−ブチルメチルエーテル(97kg)を前記混合物に投入した。前記相を分離し、有機相を5%食塩水(139kg)で2回、20%食塩水(165kg)で1回洗浄した。前記有機相を濾過して浄化し、40℃における減圧蒸留によって51kgを除去することによって、40.6重量%純度(96%収率)の2−メトキシ−5−ブロモ−6−ピコリン溶液(58.4kg)が得られた。13CNMRスペクトルを記録する目的のために、この一部を蒸留によって生成した:13CNMR(400MHz,CDCl3)δ162.4、154.4、142.0、111.8、109.5、53.6、24.6。
【実施例11】
【0209】
2−メトキシ−5−ブロモ−6−ピコリンからベンジルアルデヒド誘導体への変換
【0210】
【化91】

【0211】
THF(18.3L)中の2−メトキシ−5−ブロモ−6−ピコリン(トルエン中の73重量%溶液、3.17kg、11.45モル)を−60℃に冷却し、ヘキサン中の2.5N n−ブチルリチウム(4.87L、12.2mol、1.06当量)で処理した。0.5時間後、ジメチルホルムアミド(1.76L、22.8mol、2.0当量)を−50℃で投入した。周囲温度に温めた後、塩化アンモニウム水溶液(1.6kg/16.2L水)を投入し、相を分離した。前記水相をメチルt−ブチルエーテル(3.3L)で再抽出し、あわせた有機抽出物を飽和食塩水(2,5L)で洗浄した。全部で22.4kgの有機溶液(7.08重量%)となり、これは92%溶液収率に相当した。
【実施例12】
【0212】
アルデヒド誘導体からアルコール誘導体への変換
【0213】
【化92】

【0214】
上記実施例11において調整したベンジルアルデヒド溶液を減圧下において25〜35℃でメタノールに溶媒変換した。水分析が<0.1%になるまでこれを繰り返した。最終溶液は7.7%のベンジルアルデヒドの損失を示した。この溶液を0℃に冷却し、12重量%の水素化ホウ素ナトリウム(14M水酸化ナトリウム溶液中12重量%、660mL、2.9モル、1.10当量)を0〜5℃で添加した。揮発性化合物を<35℃でエバポレートし、メチルt−ブチルエーテル(3L)を加え、エバポレーションを続けた。メチルt−ブチルエーテル(4.8L)及び水(3.9L)を用いて前記残渣を希釈し、相を分離した。前記水相をさらにメチルt−ブチルエーテル(0.8L)で抽出した。あわせた有機相を6.238kg(25.16重量%AJ2153)又は溶媒交換後の分析に基づく97.6%溶液収率から成るものであった。
【実施例13】
【0215】
アルコール誘導体から塩化物誘導体への変換
【0216】
【化93】

【0217】
上記実施例12において調整した溶液を水含有量が<400ppmまでアセトニトリルの溶媒交換を行った。前記溶液をアセトニトリル(8.6L)で希釈し、0〜2℃に冷却した。塩化チオニル(0.78kg、6.6mol、0.64当量)を0〜5℃で加えた。殆どの揮発性化合物が25〜35℃で蒸発し、残渣をメチルt−ブチルエーテル(4.7L)及び飽和炭酸水素ナトリウム溶液(4.7L)中に溶解した。固体炭酸水素ナトリウム(1.41kg)を加え、中和を完了させた。前記相を分離し、水相にさらに水(12L)を加え、それをメチルt−ブチルエーテル(2.4L)でさらに通出した。あわせた有機相を飽和食塩水(0.5L)で洗浄した。前記有機溶液は7.8kg(16.42重量%)の重量であり、これは72.9%溶液収率に相当した。
【実施例14】
【0218】
塩化物誘導体からニトリル誘導体への変換
【0219】
【化94】

【0220】
実施例13において上記に記載したように調整した溶液の約半分の容積を蒸留除去し、残留物をイソプロパノール(7.4L)で希釈した。水(4.6L)中のシアン化ナトリウム(17.9kg、36.6モル、4.9当量)及びヨウ化ナトリウム(0,11kg、0.73モル、0.1当量)を投入した。LCにおいて塩化ベンジル/シアン化ベンジルの比が1/100@220nmを示すまで前記反応物を攪拌した。前記相を安定化させ、水相を酢酸エチル(4.2L)で再抽出した。あわせた有機溶液を35〜40℃で濃縮して茶色い固体にした。これを水(1.5L)及び酢酸エチル(2.6L)中に溶解させて、相を分離した。水相を酢酸エチル(2.6L)で再抽出し、あわせた有機相を飽和食塩水と水(1.3L)の1:1混合物で洗浄した。前記有機相を硫酸マグネシウム(0.26kg)で乾燥し、ろ過し、25〜35℃で濃縮した。水含有量が<400ppmになるまで上記蒸留除去された容積物を酢酸エチルに置き換えた。前記有機溶液の重量は2.68kg(41.3重量%)であった。これは91.4%溶液収率に相当した。
【実施例15】
【0221】
生物学的検定法
本発明の工程で調整した化合物は、CRF受容体アンタゴニスト活性を有する可能性があるものである。化合物はCRFの阻害に対して約10,000nM未満のK値を有する場合、CRF阻害とみなされてもよい。K値は、例えば以下に記載されたような適切な生物学的検定法によって決定され得るものである。
【0222】
ここで提供される本明細書は、本発明の化合物の生物学的活性を評価するために使用することが可能なCRF受容体結合試験の実施例である。前記実施例は結合試験において使用するためのクローン化ヒトCRF受容体を含む細胞膜の単離も含む。
【0223】
メッセンジャーRNAは標準的手技によってヒト海馬から単離される。前記mRNAはオリゴ(dt)12〜18を用いて逆転写され、コーディング領域は開始コドンから停止コドンまでPCRによって増幅される。得られたPCRフラグメントはpGEMVのEcoRVサイトにクローン化され、そこから前記挿入物がXhoI+XbaIを用いて再生され、ベクターpm3ar(これはCMVプロモーター、SV40‘t’スプライス、及び初期ポリAシグナル、Epstein−Barrウイルス複製起源、及びハイグロマイシン選択可能マーカーを含む)XhoI+XbaIサイトにクローン化される。得られた発現ベクターは、phchCRFRとよばれ、293EBNA細胞に形質転換され、さらにエピソームを維持した細胞は400μMハイグロマイシンの存在下において選択される。ハイグロマイシン選択性4週間生存細胞はプールされ、懸濁液中において成長するように適合され、以下に記載した結合分析のための膜を生成するために使用される。その後、個別に分割した約1×10個を含んだ懸濁細胞液を遠心分離し、ペレットを形成させて凍結した。
【0224】
結合分析に対して、hCRFR1受容体を用いて形質転換した293EBNA細胞を含む上述の結合ペレットを、10mLの氷冷組織緩衝液(50mM HEPES緩衝液pH7.0、10mM MgCl、2mM EGTA、1μg/l アプロチニン、1μg/ml ロイペプチン、及び1μg/ml ペプスタチンを含む)中でホモジナイズした。前記ホモジネートを40,000×gで12分間遠心分離し、得られたペレットを10mLの組織緩衝液で再度ホモジナイズした。更に40,000×gで12分間遠心分離した後、分析に使用するために、ペレットを再懸濁してタンパク質濃度を360μg/mlにした。
【0225】
結合分析は、各ウェルが300μLの最大容積を有する96ウェルプレートで行った。各ウェルに50μLの試験薬剤希釈液(薬剤の最終濃度範囲は10−10〜10−5M)、100μLの125I−ヒツジ−CRF(125I−o−CRF)(最終濃度150pM)、及び上述の150μLの細胞ホモジネートを加えた。その後、適切な細胞収穫機を用いたGF/Fフィルター(0.3%ポリエチレンアミンで予浸した)による濾過の前に、このプレートを室温で2時間インキュベートした。個別のフィルターを除去する前にフィルターを氷冷試験緩衝液で2回すすぎ、ガンマーカウンターにおけるそれらの放射活性を評価した。
【0226】
この参照により本明細書に組み込まれるものである、相互曲線適合プログラムLIGAND Munsonら.,Anal.Biochem.,1980,107,220によって、試験薬剤の様々な希釈における細胞膜に対する125I−o−CRF結合阻害曲線を分析し、これによって阻害に対するK値が提供され、その後この値を生物学活性を評価するために用いた。
【0227】
本発明の化合物のCRF受容体アンタゴニスト活性を測定するための他のin vitro試験は、例えば、Endocrinology,1985,116,1653、及びPeptides,1985,10,179などにおいて記載されており、これらはそれぞれこの参照により本明細書に組み込まれるものである。化合物の受容体結合活性は、Grigoriadisら.,Biochemical,Pharmacolgical,及びAutoradiographic Methods to study Corticotropin−Releasing Factor Receptors.Methods in Neuroscinences,Vol.5,1991において記載されている方法に従って評価し、これらはこの参照により本明細書に完全に組み込まれるものである。
【実施例16】
【0228】
CRF−刺激アデニレートシクラーゼ活性阻害
本化合物の活性は、Battagliaら.,Synapse,1987,1,572に記載されたように行うことが可能であるCRF刺激アデニレートシクラーゼ活性の阻害によって観察されてもよく、この文献はこの参照により本明細書に完全に組み込まれる。100mM Tris−HCl(37℃でpH7.4)、10mM MgCl、0.4mM EGTA、0.1% BSA、1mM イソブチルメチルキサンチン(IBMX)、250ユニット/ml クレアチンリン酸キナーゼ、5mM クレアチンリン酸、100mM グアノシン5’−トリリン酸、100nM oCRF、アンタゴニストペプチド(10−9〜10−6Mの濃度範囲)及び0.8mg初代湿潤重量組織(約40〜60mgタンパク質)を含む200mLの緩衝液中において、37℃で10分間、試験を実施した。反応は1mM[ATP/32P]ATP(約2〜4mCi/チューブ)の添加で開始し、50mM Tris−HCl、45mM ATP、及び2%ドデシル硫酸ナトリウムを100mL添加して終結させた。cAMPの回復を監視するため、分離の前に1μLの[H]cAMP(約40,000dpm)を各チューブに添加した。[32P]ATPから[32P]cAMPの分離はDowex及びアルミナから無常の連続溶離によって行った。
【実施例17】
【0229】
In vivo生物学的検定法
本発明の化合物のin vivo活性は、利用可能で当業者に受け入れられる生物学的検定法のいずれか1つを用いて評価することが可能である。化合物の抗不安(axiolytic)活性を試験するためのin vivo生物学的検定法の実施例は、"罰せられる飲酒試験"(Vogelら.,Psychopharmacologia,1971,21,1、これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる)、"高架式十字迷路"(Pellowら.,J.Neurosci.Methods,1985,14,149、これはこの参照により本明細書に組み込まれる)、"ストレス誘導皮質ノルエピネフリン放出"(Funkら.,Brain Res.,1996,741,220、これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる)、"明暗試験"(Misslinら.,Behav.Process,1989,8,119、これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる)、"4プレート試験"(Boissierら.,Eur.J.Pharmacol.,1968,4,145、これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる)、及び"マウス防御試験バッテリー"(Griebelら.,Aggress.Behav.,1997,23,19、これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる)を含む。化合物はげっ歯類或いは小型哺乳類のいかなる種において試験されても良い。
【0230】
化合物の抗鬱剤様活性を試験するためのin vivo生物学検定法の実施例は、"強制水泳試験"(Porsolt,et al.,Nature,1977,266,730、これはこの参照により本明細書に組み込まれる)、及び"CMS試験"(Willner,et al.,Clin.Neutopharmacol.,1992,15(supp.1),550A、これはこの参照により本明細書に組み込まれる)を含む。
【0231】
化合物の抗不安または抗鬱活性を試験するために有用なほかのモデルは、この参照により本明細書に完全に組み込まれるものである、Berridgeら.,Brain Research Reviews,1990,15,71、において概要が述べられている。他の適応に対する化合物活性試験のモデルは、当業者には周知である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式Iの化合物の調整方法であって:
【化1】

ここで、
Arは0〜5個のRで置換されたフェニル又はピリジルであり、
各R及びRは、独立して、H、(C−C)アルキル、又は(C−C)アルコキシアルキルであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、CN、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、又は(C−C)ハロアルコキシであり、さらに
各R及びRは、独立して、(C−C)アルキルであり;
(a)化学式IIIの化合物を接触させる工程であって、
【化2】

化学式IIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジイソプロピルアニリン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルイソブチルアミン、トリベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、又はジエチルイソプロピルアミンから選択されるアミンの存在下において、化学式IIIの化合物をXがハロであるPOXと接触させる工程と、
【化3】

(b)前記化学式Iの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、前記化学式IIの化合物をNHRと接触させる工程と
を有する、化学式Iの化合物の調製方法。
【請求項2】
請求項1の工程において、XはClである。
【請求項3】
請求項1の工程において、前記アミンはジイソプロピルエチルアミンである。
【請求項4】
請求項1の工程において、前記NHRは、以下の化学式、
【化4】

である。
【請求項5】
請求項1の工程において、Rはメチルである。
【請求項6】
請求項1の工程において、Rはメチルである。
【請求項7】
請求項1の工程において、前記工程(b)の接触はアンモニウム塩の存在下において実施されるものである。
【請求項8】
請求項7の工程において、前記アンモニウム塩は、ベンジルトリエチル塩化アンモニウム、ベンジルトリブチル塩化アンモニウム、又はメチルトリアルキル(C−C10)塩化アンモニウムである。
【請求項9】
請求項7の工程において、前記アンモニウム塩は、ベンジルトリブチル塩化アンモニウムである。
【請求項10】
請求項1の工程において、前記工程(b)の接触は、有機溶媒の存在下において実施されるものである。
【請求項11】
請求項10の工程において、前記有機溶媒は、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、イソプロピル酢酸、トルエン、又は1−クロロブタンを1若しくはそれ以上含むものである。
【請求項12】
請求項10の工程において、前記有機溶媒は、アセトニトリルとメチルt−ブチルエーテルとの混合物である。
【請求項13】
請求項1の工程において、前記工程(a)の接触は、約50〜約70℃の温度で実施されるものである。
【請求項14】
請求項1の工程において、前記化学式IIの化合物は、前記工程(b)の接触の前に単離されないものである。
【請求項15】
請求項1の工程において、
Arは2−メチル−4−メトキシフェニルであり、
はメトキシエチルであり、
はメトキシエチルであり、
はメチルであり、さらに
はメチルである。
【請求項16】
請求項1の工程において、
Arは2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシフェニルであり、
はHであり、
はペント−3−イルであり、
はメチルであり、さらに
はメチルである。
【請求項17】
請求項1の工程において、
Arは2−メチル−6−メトキシピリド−3−イルであり、
はHであり、
はブト−2−イルであり、
はメチルであり、さらに
はメチルである。
【請求項18】
請求項1の工程において、化学式IIIの化合物は、
(c)化学式IIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、前記化学式IVの化合物を
【化5】

(R)C(OR)と接触させる工程によって調製されるものであり、ここでRは(C−C)アルキルである。
【請求項19】
請求項18の工程において、Rはメチルである。
【請求項20】
請求項18の工程において、Rはメチルである。
【請求項21】
請求項18の工程において、Rはメチルである。
【請求項22】
請求項18の工程において、前記(c)工程の接触は、酸又は塩基の存在下において実施されるものである。
【請求項23】
請求項22の工程において、前記(c)工程の接触は、酸の存在下において実施されるものである。
【請求項24】
請求項23の工程において、前記酸はp−トルエンスルホン酸である。
【請求項25】
請求項18の工程において、前記(c)工程の接触は有機溶媒の存在下において実施されるものである。
【請求項26】
請求項25の工程において、前記有機溶媒は、1−メチル−2−ピロリジノンを含むものである。
【請求項27】
請求項18の工程において、前記(c)工程の接触は、約40〜約100℃の温度で実施されるものである。
【請求項28】
請求項18の工程において、前記化学式IVの化合物は、
(d)化学式IVの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式Vの化合物を
【化6】

塩基と接触させる工程によって調整されるものである。
【請求項29】
請求項28の工程において、前記塩基は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である。
【請求項30】
請求項28の工程において、前記(d)工程の接触は、有機溶媒中で実施されるものである。
【請求項31】
請求項30の工程において、前記有機溶媒は、1−メチル−2−ピロリジノンを含むものである。
【請求項32】
請求項28の工程において、前記(d)工程の接触は、約0〜約30℃の温度で実施されるものである。
【請求項33】
請求項28の工程において、前記化学式Vの化合物は、
(e)化学式VIの化合物を提供するのに十分な時間と条件下において、化学式VIの化合物を
【化7】

セミカルバジドと接触させる工程によって調整され、
ここで、Yはアルカリ金属又はZであり、Zはハロであり、さらにZはアルカリ土類金属である。
【請求項34】
請求項33の工程において、前記YはKである。
【請求項35】
請求項33の工程において、前記(e)工程の接触は、約3〜約5のpHで実施されるものである。
【請求項36】
請求項4の工程において、前記(e)工程の接触は、酸の存在下で実施されるものである。
【請求項37】
請求項36の工程において、前記酸は酢酸である。
【請求項38】
請求項33の工程において、前記(e)工程の接触は、水性溶媒において実施されるものである。
【請求項39】
請求項38の工程において、前記水性溶媒はアルコールを含むものである。
【請求項40】
請求項39の工程において、前記アルコールはイソプロピルアルコールである。
【請求項41】
請求項33の工程において、前記(e)工程の接触は、約20〜約40℃の温度で実施されるものである。
【請求項42】
請求項33の工程において、前記化学式VIの化合物は、
(f)化学式VIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、(t−BuO)Yの存在下において、化学式VIIの化合物を
【化8】

以下の化学式を有する添加剤と接触させる工程によって調整されるものであり、
【化9】

ここで、
各R及びRは、独立して、(C−C)アルキルである。
【請求項43】
請求項42の工程において、前記YはKである。
【請求項44】
請求項42の工程において、前記(f)工程の接触は、約30〜50℃で実施されるものである。
【請求項45】
化学式IIの化合物の調整方法であって:
【化10】

ここで、
Arは0〜5個のRで置換されたフェニル又はピリジルであり、
Xはハロであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、CN、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、又は(C−C)ハロアルコキシであり、更に
各R及びRは、独立して、(C−C)アルキルである化学式IIの化合物の調製方法、及び
前記化学式IIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジイソプロピルアニリン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルイソブチルアミン、トリベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリシクロヘキシルアミン、又はジエチルイソプロピルアミンから選択されるアミンの存在下において、化学式IIIの化合物を
【化11】


POXと接触させる工程を有する化学式IIの化合物調整方法。
【請求項46】
請求項45の工程において、前記XはClである。
【請求項47】
請求項45の工程において、前記アミンはジイソプロピルエチルアミンである。
【請求項48】
請求項45の工程において、前記接触はアンモニウム塩の存在下で実施されるものである。
【請求項49】
請求項48の工程において、前記アンモニウム塩は、ベンジルトリエチル塩化アンモニウム、ベンジルトリブチル塩化アンモニウム、又はメチルトリアルキル(C−C10)塩化アンモニウムである。
【請求項50】
請求項48の工程において、前記アンモニウム塩は、ベンジルトリブチル塩化アンモニウムである。
【請求項51】
請求項45の工程において、前記接触は有機溶媒中で実施されるものである。
【請求項52】
請求項51の工程において、前記有機溶媒は、メチルt−ブチルエーテル、アセトニトリル、酢酸イソプロピル、トルエン、又は1−クロロブタンを1若しくはそれ以上含むものである。
【請求項53】
請求項51の工程において、前記有機溶媒はアセトニトリルとメチルt−ブチルエーテルの混合物である。
【請求項54】
請求項45の工程において、前記接触は、約50〜約70℃の温度で実施されるものである。
【請求項55】
請求項45の工程において、前記Arは、2−メチル−4−メトキシフェニル、2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシフェニル、又は2−メチル−6−メトキシピリド−3−イルである。
【請求項56】
化学式IIIの化合物の調整方法であって:
【化12】

ここで、前記化学式IIIの化合物において、
Arは0〜5個のRで置換されたフェニル又はピリジルであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、CN、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、又は(C−C)ハロアルコキシであり、
各R及びRは、独立して、(C−C)アルキルであり、さらに
前記化学式IIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式IVの化合物を
【化13】

(R)C(OR)と接触させる工程を有する化学式IIIの化合物の調整方法。
【請求項57】
請求項56の工程において、Rはメチルである。
【請求項58】
請求項56の工程において、Rはメチルである。
【請求項59】
請求項56の工程において、Rはメチルである。
【請求項60】
請求項56の工程において、前記接触は酸又は塩基の存在下において実施されるものである。
【請求項61】
請求項60の工程において、前記接触は酸の存在下において実施されるものである。
【請求項62】
請求項61の工程において、前記酸はp−トルエンスルホン酸である。
【請求項63】
請求項56の工程において、前記接触は有機溶媒の存在下において実施されるものである。
【請求項64】
請求項63の工程において、前記有機溶媒は、1−メチル−2−ピロリジノンを含むものである。
【請求項65】
請求項56の工程において、前記接触は、約40〜約100℃の温度において実施されるものである。
【請求項66】
化学式IVの化合物の調整方法であって:
【化14】

ここで、前記化学式IVの化合物において、
Arは0〜5個のRで置換されたフェニル又はピリジルであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、CN、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、又は(C−C)ハロアルコキシであり、
は(C−C)アルキルであり、さらに
前記化学式IVの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、Rが(C−C)アルキルである化学式Vの化合物を
【化15】

1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)と接触させる工程を有する、化学式IVの調整方法。
【請求項67】
請求項66の工程において、前記接触は、有機溶媒中で実施されるものである。
【請求項68】
請求項67の工程において、前記有機溶媒は、1−メチル−2−ピロリジノンを含むものである。
【請求項69】
請求項66の工程において、前記接触は、約0〜30℃の温度において実施されるものである。
【請求項70】
化学式Vの化合物の調整方法であって:
【化16】

ここで、化学式Vの化合物において、
Arは0〜5個のRで置換されたフェニル又はピリジルであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、CN、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、又は(C−C)ハロアルコキシであり、さらに
は(C−C)アルキルであり、さらに
前記化学式VIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式VIの化合物を
【化17】

セミカルバジド或いはその酸付加塩と接触させる工程を有し、ここで、Yはアルカリ金属又はZであり、Zはハロであり、さらにZはアルカリ土類金属である、化学式Vの化合物の調整方法。
【請求項71】
請求項70の工程において、前記YはKである。
【請求項72】
請求項70の工程において、前記Rはメチルである。
【請求項73】
請求項70の工程において、前記接触は、約3〜約5のpHにおいて実施されるものである。
【請求項74】
請求項70の工程において、前記接触は酸の存在下において実施されるものである。
【請求項75】
請求項74の工程において、前記酸は酢酸である。
【請求項76】
請求項70の工程において、前記接触は、水性溶媒中において実施されるものである。
【請求項77】
請求項76の工程において、前記水性溶媒はアルコールを含むものである。
【請求項78】
請求項77の工程において、前記アルコールはイソプロピルアルコールである。
【請求項79】
請求項70の工程において、前記接触は、約20〜約40℃の温度において実施されるものである。
【請求項80】
化学式VIの化合物の調整方法であって:
【化18】

ここで、前記化学式VIの化合物において、
YはKであり、
Arは0〜5個のRで置換されたフェニル又はピリジルであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、CN、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、又は(C−C)ハロアルコキシであり、
は(C−C)アルキルであり、さらに、
前記化学式VIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、(t−BuO)Yの存在下において、化学式VIIの化合物を
【化19】

以下の化学式を有する添加剤と接触させる工程を有し、
【化20】

ここで、
各R及びRは、独立して、(C−C)アルキルである、化学式VIの化合物の調整方法。
【請求項81】
請求項80の工程において、前記添加剤は酢酸エチルである。
【請求項82】
請求項80の工程において、前記接触は、約30〜約50℃において実施されるものである。
【請求項83】
化学式II又はIIIの化合物において、
【化21】

ここで、Arは2−メチル4−メトキシフェニル、2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシフェニル、又は2−メチル−6−メトキシピリド−3−イルであり、
XはClであり、さらに
各R及びRはメチルである、化学式II又はIIIの化合物。
【請求項84】
化学式IV、V、又はVIの化合物において、
【化22】

ここで、
Yはアルカリ金属又はZであって、
はハロであり、さらに
はアルカリ土類金属であり、
Arは0〜5個のRで置換されたフェニルまたはピリジルであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、CN,ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルキル、又は(C−C)ハロアルコキシであり、さらに、
各R及びRはメチルである、化学式IV、V、又はVIの化合物。
【請求項85】
請求項84の化合物において、Arは、2−メチル−4−メトキシフェニル、2−クロロ−5−フルオロ−4−メトキシフェニル、又は2−メチル−6−メトキシピリド−3−イルである。
【請求項86】
請求項84の化学式VIの化合物において、前記YはKである。
【請求項87】
化学式VIIIの化合物の調整方法であって:
【化23】

ここで、各A、A、A、A、及びAは、独立して、F、Cl、Br、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ、又は(C−C)ハロアルコキシであり;
(a)前記化学式VIIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、酸の存在下、化学式IXの化合物を
【化24】

シアン化物と接触させる工程を有する化学式VIIIの化合物の調整方法。
【請求項88】
請求項87の工程において、前記接触は、アンモニウム塩の存在下において実施されるものである。
【請求項89】
請求項88の工程において、前記アンモニウム塩は、ベンジルトリアルキルアンモニウム塩である。
【請求項90】
請求項88の工程において、前記アンモニウム塩は、ベンジルトリブチル塩化アンモニウムである。
【請求項91】
請求項87の工程において、前記シアン化物は、シアン化ナトリウムとして提供されるものである。
【請求項92】
請求項87の工程において、前記接触工程の前に、前記化学式IXの化合物は有機溶媒に溶解され、前記シアン化物とアンモニウム塩は水性溶媒に溶解されるものである。
【請求項93】
請求項92の工程において、前記接触は2相系で実施されるものである。
【請求項94】
請求項87の工程において、前記AはClであり、前記AはHであり、前記Aはメトキシであり、前記AはFであり、更に前記AはHである。
【請求項95】
請求項87の工程において、前記酸は酢酸である。
【請求項96】
請求項87の工程において、前記化学式IXの化合物は、
(b)前記化学式IXの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式Xの化合物を
【化25】

HBrと接触させる工程によって調整されるものである。
【請求項97】
請求項96の工程において、前記化学式Xの化合物は、
(c)前記化学式Xの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式XIの化合物を
【化26】

還元剤と接触する工程によって調整されるものである。
【請求項98】
請求項97の工程において、前記還元剤は、ビス(2−メトキシエトキシ)水素化アルミニウムナトリウム(Red−Al)である。
【請求項99】
請求項97の工程において、前記(e)工程の接触は、有機溶媒中において実施されるものである。
【請求項100】
請求項99の工程において、前記有機溶媒はトルエンである。
【請求項101】
請求項97の工程において、前記(c)工程の接触は、約10〜約20℃で実施されるものである。
【請求項102】
化学式XIの化合物の調整方法であって、
【化27】

(a)前記化学式XIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式XIIの化合物を
【化28】

メトキシドと接触させる工程を有する調整方法。
【請求項103】
請求項102の工程において、前記メトキシドはメタノールに溶解されるものである。
【請求項104】
請求項102の工程において、前記化学式XIIの化合物は、
(b)前記化学式XIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式XIIIの化合物を
【化29】

塩化オキザリルと接触させる工程によって調整されるものである。
【請求項105】
請求項104の工程において、前記(b)工程の接触は、ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下において実施されるものである。
【請求項106】
請求項104の工程において、前記(b)工程の接触は、トルエンの存在下において実施されるものである。
【請求項107】
化学式VIII、IX、又はXの化合物において、
【化30】

はClであり、AはHであり、Aはメトキシであり、AはFであり、AはHである、化学式VIII、IX、又はXの化合物。
【請求項108】
化学式XIの化合物。
【化31】

【請求項109】
化学式XIVの化合物の調整方法において:
【化32】

ここで、各B、B、B、及びBは、独立して、F、Cl、Br。(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシであり;
(a)前記化学式XIVの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式XVの化合物を、
【化33】

シアン化物と接触させる工程を有する、化学式XIVの化合物の調整方法。
【請求項110】
請求項109の工程において、前記シアン化物は、シアン化ナトリウムとして提供されるものである。
【請求項111】
請求項109の工程において、前記接触は、ヨウ化物塩の存在下において実施されるものである。
【請求項112】
請求項109の工程において、前記BはHであり、前記BはHであり、前記Bはメトキシであり、さらに前記Bはメチルである。
【請求項113】
請求項109の工程において、前記化学式XVの化合物は、
(b)前記化学式XVの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式XVIの化合物を
【化34】

塩素化剤と接触させる工程によって調整されるものである。
【請求項114】
請求項113の工程において、前記塩素化剤は塩化メシルである。
【請求項115】
請求項113の工程において、前記BはHであり、前記BはHであり、前記Bはメトキシであり、さらに前記Bはメチルである。
【請求項116】
請求項113の工程において、前記XVIの化合物は、
(c)前記化学式XVIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式XVIIの化合物を
【化35】

還元剤と接触させる工程によって調整されるものである。
【請求項117】
請求項116の工程において、前記還元剤はNaBHである。
【請求項118】
請求項116の工程において、前記BはHであり、前記BはHであり、前記Bはメトキシであり、さらに前記Bはメチルである。
【請求項119】
請求項116の工程において、前記化学式XVIIの化合物は、
(d)前記化学式XVIIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式XVIIIの化合物を
【化36】

n−BuLiと接触させて、その後ホルミル化試薬と接触させる工程によって調整されるものである。
【請求項120】
請求項116の工程において、前記ホルミル化試薬は、ジメチルホルムアミド(DMF)である。
【請求項121】
請求項119の工程において、BはHであり、BはHであり、Bはメトキシであり、さらにBはメチルである。
【請求項122】
化学式XIXの化合物の調整方法であって:
【化37】

ここで、化学式XIXの化合物において、
はF、Cl、Br、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ、又は(C−C)ハロアルコキシであり、さらに
は(C−C)アルキルであり;
(a)前記化学式XIXの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、化学式XXの化合物を
【化38】

と接触させる工程を有する化学式XIXの化合物の調整方法。
【請求項123】
請求項122の工程において、Bはメチルである。
【請求項124】
請求項122の工程において、Bはメチルである。
【請求項125】
請求項122の工程において、前記化学式XXの化合物は、
(b)前記化学式XXの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、酸の存在下において、化学式XXIの化合物、
【化39】

またその酸付加塩を、亜硝酸塩及びBrと接触させる工程によって調整されるものである。
【請求項126】
請求項125の工程において、前記Bはメチルである。
【請求項127】
請求項125の工程において、前記亜硝酸塩はNaNOとして提供されるものである。
【請求項128】
請求項125の工程において、前記酸はHBrである。
【請求項129】
請求項125の工程において、前記化学式XXIの化合物は、
(c)前記化学式XXIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、酸の存在下、化学式XXIIの化合物を
【化40】

Brと接触させる工程によって調整されるものである。
【請求項130】
請求項129の工程において、前記Bはメチルである。
【請求項131】
請求項129の工程において、前記酸は酢酸である。
【請求項132】
化学式XXの化合物の調整方法であって:
【化41】

ここで、BはF、Cl、Br、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C)ハロアルコキシであり;
前記化学式XXの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、酸の存在下、化学式XXIの化合物
【化42】

又はその酸付加塩を、亜硝酸塩及びBrと接触させる工程を有する化学式XXの化合物の調整方法。
【請求項133】
請求項132の工程において、前記Bはメチルである。
【請求項134】
請求項132の工程において、前記亜硝酸塩はNaNOとして提供されるものである。
【請求項135】
請求項132の工程において、前記酸はHBrである。
【請求項136】
化学式XXIの化合物の調整方法であって:
【化43】

ここで、BはF、Cl、Br、(C−C)アルキル、(C−C)ハロアルキル、(C−C)アルコキシ、又は(C−C)ハロアルコキシであり;
前記化学式XXIの化合物を与えるのに十分な時間と条件下において、酸の存在下、化学式XXIIの化合物を
【化44】

Brと接触させる工程を有する化学式XXIの化合物の調整方法。
【請求項137】
請求項136の工程において、前記Bはメチルである。
【請求項138】
請求項136の工程において、前記酸は酢酸である。
【請求項139】
化学式XIV又はXVの化合物において、
【化45】

ここで、BはHであり、BはHであり、Bはメトキシであり、さらにBはメチルである、化学式XIV又はXVの化合物。

【公表番号】特表2007−512360(P2007−512360A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541577(P2006−541577)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/039046
【国際公開番号】WO2005/051954
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(503106904)ブリストル−マイヤーズ スクイブ ファーマ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】