説明

ピロリジノンの共結晶

本発明は、式(I)(式中、Rは、C〜Cアルキル基であり、Rは、1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいC〜Cアルキル基であるか、又は、Rは、C〜Cアルケニル基である)を有するピロリジノンの新たな共結晶に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
医薬組成物中の活性医薬成分(API)は、様々な異なる形態で調製されることがある。そのようなAPIは、化学的な誘導体又は塩を包含する様々な異なる化学的形態を有するように調製することができる。そのようなAPIは、異なる物理的形態を有するように調製することもできる。例えば、APIは、非晶質性であってよく、APIは、異なる結晶性多形体を有することがあり、又は異なる溶媒和又は水和状態で存在することがある。APIの形態を変えることにより、その物理的特性を変えることが可能である。例えば、結晶性多形体は、典型的には、例えば、互いに異なる溶解性を有するため、熱力学的により安定な多形体は、所与の温度において、熱力学的にあまり安定でない多形体に比べると可溶性でない。医薬多形体は、貯蔵寿命、生物学的利用能、形態、蒸気圧、密度、色、粘性、融点及び圧縮性などの特性が異なることもある。したがって、APIの結晶状態を変えることは、その物理的特性を調節する多くの方法のうちの1つである。
【0002】
高い頻度で、特に、経口製剤に関心がある限りでは、改善された特性を有するこれらのAPIの新たな形態が必要である。具体的に、水溶性の増加、固体形態の融点並びにAPIの安定性を包含する著しく改善された特性を示すAPIの改善された形態を識別することが望ましいことがある。さらに、加工性、又は医薬製剤の調製を改善することが望ましい。例えば、APIの針状の結晶形態又は晶癖は、APIを他の物質と混合する組成物においてさえも凝集を引き起こすことがあるため、不均一な混合物が得られる。水におけるAPI含有医薬組成物の溶解速度を増加若しくは減少させ、治療効果のより速い若しくはより遅い発現を増加及び提供し、又はいかなる全身吸収も避けて局所効果を促進するだけのために、経口投与された組成物の生物学的利用能を制御することが望ましいこともある。対象に投与された場合に、その現在知られている形態のAPIの等しい量と比較した場合に、より速く又はより遅くピーク血漿レベルに達し、より長く持続する治療血漿濃度、及びより高い又はより低い総暴露を有するAPIの形態を有することも望ましい。
【0003】
最後に、経口投与可能な製品としてより良く製剤化することができるように、上昇した融点を有するAPIの形態を提供することが望まれることがある。
【0004】
WO01/62726は、ピロリジノン、それらの合成並びに癲癇のような様々なCNS障害の治療におけるそれらの医学的使用に関する。WO01/62726は、具体的に、2−[4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]−ブタンアミドの2種のジアステレオ異性体の合成について記載している。WO01/62726は、(2S)−2−(2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドの2種のジアステレオ異性体の合成についても記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)
【化1】


[式中、
は、C〜Cアルキル基(例えば、メチル又はエチル)であり、
は、1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいC〜Cアルキル基(例えば、メチル又はエチル又はプロピル)であるか、又はRは、1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいC〜Cアルケニル基(例えば、ジフルオロビニル)である]を有するピロリジノンの、
個々に又は組合せで、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩から選択される塩との結晶化により得られる新たな共結晶に関する。
【0006】
本発明は、式(I)を有するピロリジノンの新たな共結晶を含有する医薬組成物並びにそのような製剤を調製するための方法及び癲癇、癲癇発生、発作性障害、痙攣並びに双極性障害、躁病、鬱病、不安症、片頭痛、三叉神経痛及び他の神経痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、脳虚血、心不整脈、筋緊張症、コカイン乱用、脳卒中、ミオクローヌス、本態性振戦及び他の運動障害、新生児脳出血、筋萎縮性側索硬化症、痙直、パーキンソン病及び他の変性疾患を包含する他の神経性障害、気管支喘息、喘息重積状態及びアレルギー性気管支炎、喘息症候群、気管支過敏性及び気管支痙攣症候群並びにアレルギー性鼻炎及び血管運動神経性鼻炎及び鼻結膜炎を治療するための前記製剤の使用も包含する。
【0007】
この分子は、(1)及び(2)位に不斉炭素原子を有する。すべてのジアステレオマーは、式(I)により包含される。
【0008】
本発明のAPI共結晶は、WO01/62726に記載されているAPIよりも著しく高い融点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]−ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶のDSCサーモグラムを示す図である。
【図2】((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶のDSCサーモグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
具体的実施形態において、本発明は、式(I)
【化2】


[式中、
は、C〜Cアルキル基(例えば、メチル又はエチル)であり、
は、1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいC〜Cアルキル基(例えば、メチル又はエチル又はプロピル)であるか、又はRは、1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいC〜Cアルケニル基(例えば、ジフルオロビニル)である]を有するピロリジノンの、
MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、Mg(HCOから選択される塩との結晶化により得られる新たな共結晶に関する。MgCl、MgSO、MgBrが特に好ましい。
【0011】
一実施形態において、本発明は、2−[4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミドである具体的APIに関する。
【0012】
したがって、第一の態様において、本発明は、2−[4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド及び、個々に又は組合せで、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩のうちのいずれかの共結晶を提供する。
【0013】
本発明の第二の態様は、2−[4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド及び、個々に又は組合せで、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩の共結晶を含む医薬組成物にある。
【0014】
本発明の別の態様は、医薬組成物を調製するための方法であって、2−[4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド及び、個々に又は組合せで、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩のいずれかの共結晶を提供するステップを含む、上記方法を提供する。
【0015】
好ましい実施形態において、APIは、セレトラセタムというINNを有する臨床開発中の具体的ジアステレオマー、すなわち、(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミドである。
【化3】

【0016】
他の実施形態において、本発明は、(2S)−2−(2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドである具体的APIに関する。
【0017】
したがって、第四の態様において、本発明は、(2S)−2−(2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド及び、個々に又は組合せで、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩のうちのいずれかの共結晶を提供する。
【0018】
本発明の第五の態様は、(2S)−2−(2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド及び、個々に又は組合せで、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩のうちのいずれかの共結晶を含む医薬組成物にある。
【0019】
本発明の第六の態様は、医薬組成物を調製するための方法であって、2−[4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド及び、個々に又は組合せで、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩のうちのいずれかの共結晶を提供するステップを含む方法にある。
【0020】
具体的実施形態において、APIは、ブリバラセタムというINNを有する臨床開発中のジアステレオマー、すなわち、((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドである。
【化4】

【0021】
さらに他の実施形態において、共結晶は、式(I)によるAPI及び、個々に又は組合せで、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩のうちのいずれかの水和物である。
【0022】
具体的API(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミドの場合、MgClとの共結晶の化学量論は、以下の通りであってよい:
(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド×0.5MgCl×2H
【0023】
具体的API((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドの場合、MgClとの共結晶の化学量論は、以下の通りであってよい:
(2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド×0.5MgCl×2H
【0024】
API共結晶は、API単独よりも著しく高い融点を有する。このことは、医薬組成物を提供するためにAPIを製剤化する場合の主な利点を有する。低い融点を有するAPIを製剤化することは望ましくない。一般的に、非錯化(uncomplexed)APIの低い融点は、その錠剤を製造することをより困難にする。錠剤は、経口送達可能な薬物製剤のうちで最も好ましい。
【0025】
それによって、(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミドの融点は、MgClとの共結晶の場合に77℃から約139℃まで上昇する。
【0026】
それによって、((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドの融点は、MgClとの共結晶の場合に78℃から約134℃まで上昇する。
【0027】
本発明の他の態様は、ピロリジノン共結晶を調製するための方法であって、式(I)によるピロリジノンを、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、並びにリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸などのような薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム又はカルシウム又はカリウム又はナトリウム又はアンモニウム塩のうちのいずれかを、個々に又は組合せで、含む溶媒中で結晶化するステップを含む方法にある。
【0028】
本発明のさらに他の態様は、共結晶化方法の使用により式(I)によるピロリジノンを精製するための方法にある。
【0029】
共結晶を得るための好ましい溶媒は、水であり、アルコール性溶媒、例えば、メタノールを含有する水性混合物、又はメタノール単独、トルエン、酢酸エチル又は酢酸イソプロピルがより好ましい。
【0030】
本発明による医薬組成物は、癲癇、癲癇発生、発作性障害、痙攣並びに双極性障害、躁病、鬱病、不安症、片頭痛、三叉神経痛及び他の神経痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、脳虚血、心不整脈、筋緊張症、コカイン乱用、脳卒中、ミオクローヌス、本態性振戦及び他の運動障害、新生児脳出血、筋萎縮性側索硬化症、痙直、パーキンソン病及び他の変性疾患を包含する他の神経障害、気管支喘息、喘息重積状態及びアレルギー性気管支炎、喘息症候群、気管支過敏性及び気管支痙攣症候群並びにアレルギー性鼻炎及び血管運動神経性鼻炎及び鼻結膜炎を治療するのに有用である。
【0031】
本発明の医薬組成物は、特に錠剤製剤の場合に、賦形剤としての1種又は複数の薬学的に許容できる結合剤又は接着剤を場合により含むことがある。そのような結合剤及び接着剤は、サイジング、滑沢化、圧縮及び包装などの正常な加工作業が可能であるように錠剤化される粉末に十分な凝集力を付与し、それでもなお、摂取の際に錠剤が崩壊して組成物が吸収されるようにすることが好ましい。そのような結合剤は、いったん塩が溶液に溶けると、本発明の共結晶の結晶化又は再結晶を妨害又は抑制することもある。適当な結合剤及び接着剤は、個々に又は組合せで、アカシアゴム;トラガカントゴム;ショ糖;ゼラチン;グルコース;アルファ化デンプン(例えば、National TM1511及びNational Tm1500)などであるがそれらに限定されないデンプン;メチルセルロース(例えば、Tylose(商標))及びカルメロースナトリウムなどであるがそれらに限定されないセルロース、アルギン酸及びアルギン酸の塩;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;PEG;グアーガム;多糖酸;ベントナイト;ポビドン、例えば、ポビドンK−15、K−30及びK−29/32;ポリメタクリレート;HPMC;ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Aqualon(商標)のKlucel(商標));及びエチルセルロース(例えば、the Dow Chemical CompanyのEthocel(商標))を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0032】
結合剤の多くは、アミド、エステル、エーテル、アルコール又はケトン基を含むポリマーであるため、本発明の医薬組成物中に包含されることが好ましい。ポビドンK−30などのポリビニルピロリドンが特に好ましい。ポリマー結合剤は、様々な分子量、架橋度、及びポリマー等級を有することがある。ポリマー結合剤は、エチレンオキサイドユニットとプロピレンオキサイドユニットの混合物を含有するブロックコポリマーなどのコポリマーであってもよい。所与のポリマーにおけるこれらのユニット比の変化は、特性及び性能に影響する。ブロックユニットの様々な組成を持つブロックコポリマーの例は、Poloxamer188及びPoloxamer237(BASF Corporation)である。
【0033】
本発明の医薬組成物は、賦形剤としての1種又は複数の薬学的に許容できる湿潤剤を場合により含む。そのような湿潤剤は、組成物の生物学的利用能を改善すると考えられる条件である水と密接に協力して共結晶を維持するために選択されることが好ましい。そのような湿潤剤は、共結晶を可溶化するか、又は共結晶の溶解性を高めるのにも有用であることがある。
【0034】
本発明の医薬組成物において湿潤剤として使用することができる界面活性剤の非限定的な例は、四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩化セチルピリジニウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、例えば、ノノキシノール9、ノノキシノール10、及びdegrees Ctoxynol 9、ポロキサマー(ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンブロックコポリマー9ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び油、例えば、ポリオキシエチレン(8)カプリル/カプリンモノ−及びジグリセリド(例えば、GattefosseのLabrasol(商標))、ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油及びポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレン(20)セトステアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、例えば、ポリオキシエチレン(40)ステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80(例えば、ICIのTween80(商標))、プロピレングリコール脂肪酸エステル、例えば、プロピレングリコールラウレート(例えば、GattefosseのLauroglycol(商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、脂肪酸及びその塩、例えば、オレイン酸、オレイン酸ナトリウム及びオレイン酸トリエタノールアミン、グリセリル脂肪酸エステル、例えば、グリセリルモノステアレート、ソルビタンエステル、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート及びソルビタンモノステアレート、チロキサポール、並びにそれらの混合物を包含する。
【0035】
陰イオン性界面活性剤である湿潤剤が好ましい。ラウリル硫酸ナトリウムは、特に好ましい湿潤剤である。
【0036】
本発明の医薬組成物は、賦形剤としての1種又は複数の薬学的に許容できる滑沢剤(抗粘着剤及び/又は流動促進剤を包含する)を場合により含む。適当な滑沢剤は、個々に又は組合せで、ベヘン酸グリセリル(例えば、GattefosseのCompritol(商標)888);ステアリン酸並びにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸ナトリウムを包含するその塩;水素化植物油(例えば、AbitecのSterotex);コロイド状シリカ;タルク;ワックス;ホウ酸;安息香酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;フマル酸ナトリウム;塩化ナトリウム;DL−ロイシン;PEG(例えば、the Dow Chemical CompanyのCarbowax4000及びCarbowax6000);オレイン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム;及びラウリル硫酸マグネシウムを包含するが、これらに限定されるものではない。ステアリン酸マグネシウムは、例えば、錠剤製剤の圧縮中に装置と顆粒状混合物の間の摩擦を減らすために使用される好ましい滑沢剤である。
【0037】
適当な抗粘着剤は、タルク、コーンスターチ、DL−ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム及び金属ステアレートを包含するが、これらに限定されるものではない。タルクは、例えば装置表面に付着する製剤を減らし、ブレンド内の静電気を減らすために使用される好ましい抗粘着剤又は流動促進剤である。流動促進剤は、固体製剤の粉体流を促進するためにも使用することができる。適当な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、タルク、第三リン酸カルシウム、粉末セルロース及び三ケイ酸マグネシウムを包含するが、これらに限定されるものではない。コロイド状二酸化ケイ素が特に好ましい。
【0038】
着色剤、香料及び甘味料などの他の賦形剤は、医薬品技術において知られており、本発明の医薬組成物において使用することができる。錠剤は、例えば、腸溶コーティングでコーティングされているか、又はコーティングされていなくてもよい。
【0039】
本発明の組成物は、例えば、緩衝剤をさらに含むことができる。
【0040】
場合により、1種又は複数の発泡剤を、崩壊剤として、及び/又は本発明の医薬組成物の感覚刺激特性を増強するために使用することができる。
【0041】
本発明のある実施形態によれば、剤形の崩壊を促進するのに有効な量よりも少ない量で固体剤形中に存在する発泡剤は、水性媒体におけるAPIの改善された分散を提供する。
【0042】
本明細書における「発泡剤」は、一緒に又は個々に作用し、水と接触してガスを発生する1種又は複数の化合物を含む試剤である。発生するガスは、一般的には酸素、又は最も一般には二酸化炭素である。好ましい発泡剤は、水の存在下で反応して二酸化炭素ガスを生じる酸及び塩基を含む。塩基は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は重炭酸塩を含み、酸は、脂肪族カルボン酸を含むことが好ましい。
【0043】
本発明において有用な発泡剤の成分として適当な塩基の非限定的な例は、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム)、重炭酸塩(例えば、重炭酸ナトリウム)、セスキ炭酸塩、及びそれらの混合物を包含する。本発明において有用な発泡剤の成分として適当な酸及び/又は固体有機酸の非限定的な例は、クエン酸、酒石酸(D−、L−、又はD/L−酒石酸のような)、リンゴ酸(D−、L−、又はD/L−リンゴ酸のような)、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸、そのような酸の酸無水物、そのような酸の酸性塩、及びそれらの混合物を包含する。クエン酸が好ましい酸である。
【0044】
APIを可溶化する賦形剤は、典型的には、親水性領域と疎水性領域の両方を有するか、又は両親媒性であるか、若しくは両親媒性領域を有することが好ましい。両親媒性の賦形剤又は部分的に両親媒性の賦形剤の1タイプは、両親媒性ポリマーを含む。具体的な両親媒性ポリマーは、一般にエチレングリコール及び/又はプロピレングリコールサブユニットを含むポリアルキレングリコールである。そのようなポリアルキレングリコールは、カルボン酸、エステル、酸無水物又は他の適当な部分によりそれらの末端でエステル化することができる。そのような賦形剤の例は、ポロキサマー(エチレングリコール及びプロピレングリコールの対称ブロックコポリマー;例えば、ポロキサマー237)、トコフェロールのポリアルキレングリコール化エステル(二官能性又は多官能性カルボン酸から形成されるエステルを包含する;例えば、d−α−トコフェロールポリエチレングリコール−1000スクシネート)、及びマクロゴールグリセリド(モノ−、ジ−及びトリ−グリセリドとモノ−及びジ−エステルの混合物を製造するための油の加アルコール分解及びポリアルキレングリコールのエステル化により形成される;例えば、ステアロイルマクロゴール−32グリセリド)を包含する。そのような医薬組成物は、経口投与されることが有利である。
【0045】
本発明の固体剤形は、本明細書に記載されている方法に限定されない任意の適当な方法により調製することができる。
【0046】
例示的方法は、(a)本発明のAPIを1種又は複数の賦形剤とブレンドしてブレンドを形成するステップ、及び(b)ブレンドを錠剤化又はカプセル化してそれぞれ錠剤又はカプセル剤を形成するステップを含む。
【0047】
好ましい方法において、固体剤形は、(a)本発明の共結晶を1種又は複数の賦形剤とブレンドしてブレンドを形成するステップ、(b)ブレンドを顆粒化して顆粒を形成するステップ、及び(c)ブレンドを錠剤化又はカプセル化してそれぞれ錠剤又はカプセル剤を形成するステップを含む方法により調製される。ステップ(b)は、当技術分野において知られている任意の乾式又は湿式顆粒化技法により行うことができるが、乾式顆粒化ステップであることが好ましい。1種又は複数の希釈剤、1種又は複数の崩壊剤及び1種又は複数の結合剤が、例えば、ブレンディングステップにおいて添加されることが好ましく、湿潤剤は、例えば、顆粒化ステップにおいて場合により添加することができ、1種又は複数の崩壊剤は、顆粒化後であるが錠剤化又はカプセル化前に添加されることが好ましい。滑沢剤は、錠剤化前に添加されることが好ましい。ブレンディング及び顆粒化は、低剪断下又は高剪断下で独立して行うことができる。API含有量が均一であり、容易に崩壊し、カプセル充填又は錠剤化中に重量変化を確実に制御することができるように十分容易に流動し、且つ、あるバッチを、選択された装置において加工することができ、個々の投与量が特定のカプセル剤又は錠剤ダイに適合するようにバルクにおいて十分に高密度である顆粒を形成する方法が選択されることが好ましい。
【0048】
代替実施形態において、固体剤形は、噴霧乾燥ステップを包含する方法により調製され、APIは、1種又は複数の噴霧可能な液体、好ましくは、非プロトン性(例えば、非水性又は非アルコール性)の噴霧可能な液体に1種又は複数の賦形剤と共に懸濁され、次いで、暖気流上で素早く噴霧乾燥される。
【0049】
上記の例示的方法のいずれかによりもたらされる顆粒又は噴霧乾燥粉末を圧縮又は成形し、錠剤を調製するか、又はカプセル化してカプセル剤を調製することができる。
【0050】
当技術分野において知られている従来の錠剤化及びカプセル化技法を用いることができる。コーティングされた錠剤が望まれる場合には、従来のコーティング技法が適当である。
【0051】
本発明の錠剤組成物のための賦形剤は、標準的な崩壊アッセイにおいて約30分未満、好ましくは約25分以下、より好ましくは約20分以下、より好ましくは約15分以下の崩壊時間を提供するように選択されることが好ましい。
【0052】
薬学的に許容できる共結晶は、制御放出、持続放出、又は遅延放出手段により投与することができる。制御放出医薬製品は、それらの非制御放出対応物により得られるものを上回って薬物療法を改善するという共通の目的を有する。薬物治療における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小限の時間で状態を治癒又は管理するために用いられている最小限の薬物物質を特徴とすることが理想的である。制御放出製剤の利点は、1)薬物の活性延長;2)投薬回数の減少;3)患者コンプライアンスの向上;4)少ない薬物総量の使用;5)局所的又は全身性副作用の減少;6)薬物蓄積の極小化;7)血液レベル変動の減少;8)治療効果の改善;9)薬物活性の増強又は喪失の減少;及び10)疾患又は状態の制御速度の改善を包含する。(Kim,Cherngju、Controlled Ilelease Dosage Form Design、Technomic Publishing、Lancaster、Pa.:2000)。
【実施例】
【0053】
実験の部
(実施例1)
(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミドのMgClとの共結晶の調製
・(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド151mg(0.65mmol)及びMgCl31mg(0.325mmol)をメタノール約3mLに溶かす。溶媒をゆっくりと蒸発させると、(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶のプリズム状で無色のタブレットが得られる。共結晶は、DSC及び単結晶X線回折を介して分析することができる。
・熱分析(Q−1000、TA instrument)を行い、(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]−ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶の融点/挙動を決定する。融点は、138〜145℃であることが決定される。
・単結晶X線データ(NONIUS CAD−4/MACH3):C20 H36 Cl2 F4 Mg N4 O8、M=631.74、三方晶系P 32 21、a=8.850(2)オングストローム、b=8.850(2)オングストローム、c=34.827(5)オングストローム、α=90゜、β=90゜、γ=120゜、V=2362.3(8)立方オングストローム、T=293(2)K、Z=3、D=1.332g/cm、λ=1.54178オングストローム。194個のパラメーターについての最終R指数は、R{I>2σ(I)}=0.0498及びwR=0.147であった。
・(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶格子は、エチル及びジフルオロビニル鎖で構成される親油性多層からなる。それらの層間の誘引性ファンデルワース力は、分子構築、並びにマグネシウム陽イオンの配位圈のポリマー鎖により形成される極性層における強い水素結合ネットワークを安定化するのに役立つ。
・この構造に伴うシミュレートしたX線粉末パターンは、以下のピーク、すなわち、2θ 7.60、11.54、11.82、12.60、13.84、15.38、17.18、19.16、20.06、20.20、21.28、23.48、23.80、26.52、28.74、30.54、30.66、31.28、35.84、及び40.46゜(Mercury1.4.1でシミュレートしたデータ)を特徴とする。
・(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソ−ピロリジニル]ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶を調製するための代替アプローチ:(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド4.96g(0.0214mol)をMeOH15mLに溶かす。この溶液に、MgCl1.01g(0.011mol)を加える。溶液を室温にて数日にわたって保つ。t−ブチル−メチルエーテル20mLを加える。溶液は白色で粘稠に変わり、固体を濾過することができる。これにより、真空下で30℃にて一夜後に白色の粉末5.90gが得られる。
【0054】
粉末は、DSC、XRPD、IRを用いて特徴付けることができる:
・DSCサーモグラム(Q−1000、TA instrument)は、約139℃(ピーク、開始は、135℃である)における共結晶の融解に対応する吸熱遷移を示す、(図1を参照)。このことは、(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソ−ピロリジニル]ブタンアミドの知られている結晶性形態と比較して、融点の約62℃の上昇を表している。
・実験的X線粉末データ(PW3710 Philips Analytical X−Ray B.V.、λ=1.54178オングストローム):(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]−ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶は、2θ 7.61、11.57、12.60、13.85、15.41、17.21、19.21、20.25、21.30、23.81、26.57、30.69、30.66、35.93、及び40.49゜(集めたデータ)を包含するがこれらに限定されないピークのうちの任意の1つ、任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ又はそれ以上により特徴付けることができる。
・IR分光法(Perkin Elmer System2000 FTIR)は、3307、3193、2974、2943、1756、1659、1625、1420、1310、1269及び926cmに吸収を示す。
【0055】
(実施例2)
((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドのMgClとの共結晶の調製
・((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド36mg(0.12mmol)を含有する水300μLに、MgCl31mg(0.33mmol)を加える。溶媒をゆっくりと蒸発させると、((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶のプリズム状で無色の結晶が得られる。共結晶は、DSC及び単結晶X線回折を介して分析することができる。
・熱分析(Q−1000、TA instrument)を行い、((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶の融点/挙動を決定する。融点は、約135℃であることが決定される
・単結晶X線データ(NONIUS CAD−4/MACH3):C22 H48 Cl2 Mg N4 O8、M=591.85、単斜晶系P 21、a=8.863(1)オングストローム、b=23.742(2)オングストローム、c=8.907(1)オングストローム、α=90゜、β=116.86(1)゜、γ=90゜、V=1672.1(3)立方オングストローム、T=293(2)K、Z=2、D=1.176g/cm、λ=1.54178オングストローム。338パラメーターについての最終R指数は、R{I>2σ(I)}=0.0528及びwR=0.150であった。
・((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶格子は、エチル及びプロピル鎖で構成される親油性多層からなる。それらの層間の誘引性ファンデルワース力は、分子構築、並びにマグネシウム陽イオンの配位圈のポリマー鎖により形成される極性層における強い水素結合ネットワークを安定化するのに役立つ。
・この構造に伴うシミュレートしたX線粉末パターンは、以下のピーク、すなわち、2θ 7.44、11.74、12.26、13.40、14.92、15.82、18.64、21.40、21.80、22.14、22.68、23.60、23.70、25.12、26.80゜(Mercury1.4.1でシミュレートしたデータ)を特徴とする。
・((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶を調製するための代替アプローチ:(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド4.96g(0.023mol)をMeOH5mLに溶かす。この溶液に、MgCl1.01g(0.010mol)を加える。溶液を室温にて30分にわたって保つ。t−ブチル−メチルエーテル20mLを加える。溶液は白色で粘稠に変わる。溶媒を蒸発させた後、固体をヘキサンで洗浄し、結晶化させる。これにより、真空下で30℃にて一夜後に白色の粉末5gが得られる。
【0056】
結晶は、DSC、XRPD、IRを用いて特徴付けることができる:
・DSCサーモグラム(Q−1000、TA instrument)は、約133.5℃(ピーク、開始は、130℃である)における共結晶の融解に対応する吸熱遷移を示す、(図2を参照)。このことは、((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドの知られている結晶性形態と比較して、融点の56℃の上昇を表している。
・実験的X線粉末データ(PW3710 Philips Analytical X−Ray B.V.、λ=1.54178オングストローム):((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタン−アミド:MgCl:HO(2:1:4)共結晶のX線パターンは、2θ 7.57、11.21、11.77、12.29、13.45、15.05、15.93、18.77、21.45、22.21、22.89、25.21及び26.89゜(集めたデータ)を包含するがこれらに限定されないピークのうちの任意の1つ、任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ又はそれ以上により特徴付けることができる。
・IR分光法(Perkin Elmer System2000 FTIR)は、3311、3180、2966、2936、2875、1654、1494、1458、1420、1291、1273、1206及び938cm−1に吸収を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


[式中、
は、C〜Cアルキル基であり、
は、1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいC〜Cアルキル基であるか、又はRは、C〜Cアルケニル基である]を有するピロリジノンの共結晶を調製するための方法であって、
式(I)の粗製ピロリジノン化合物を、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、又はリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸を包含する薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩から選択される塩を、純粋に又は混合物で、含有する溶媒又は溶媒混合物から結晶化するステップを含む、上記方法。
【請求項2】
塩が、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、Mg(HCOから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩が、MgClである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒が、水、若しくはアルコール、若しくはメタノールを包含するアルコールを含有する水性混合物であるか、又は、溶媒が、トルエン、酢酸エチル若しくは酢酸イソプロピル並びにそれらの混合物である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
溶媒が、メタノールである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(I)
【化2】


[式中、
は、C〜Cアルキル基であり、
は、1〜3個のハロゲンにより置換されていてもよいC〜Cアルキル基であるか、又はRは、C〜Cアルケニル基である]を有するピロリジノン、
及び、純粋に又は混合物で、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、CaCl、CaSO、CaBr、CaCO、Mg(HCO、Ca(PO、CaHPO、Ca(HPO、KCl、KBr、KSO、KHSO、KCO、KHPO、KHPO、KPO、NaCl、NaBr、NaSO、NaCO、NaHPO、NaHPO、NaPO、NHCl、NHBr、(NHSO、(NHCO、(NHHPO、NHPO、NaPO及びそれらの水和物、又はリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、パモ酸、酢酸、乳酸、フマル酸、メチルスルホン酸、メシル酸、アスコルビン酸を包含する薬学的に許容できる有機酸のマグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム塩からなる群から選択される塩を含む共結晶。
【請求項7】
塩が、MgCl、MgSO、MgBr、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO、MgCO、Mg(HCO、Mg(HCOから選択される、請求項6に記載の共結晶。
【請求項8】
塩が、MgClである、請求項7に記載の共結晶。
【請求項9】
水和物である、請求項8に記載の共結晶。
【請求項10】
式(I)を有するピロリジノンが、2−[4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミドである、請求項6から9までのいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項11】
式(I)を有するピロリジノンが、(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミドである、請求項10に記載の共結晶。
【化3】

【請求項12】
共結晶の化学量論が、以下の通りである、請求項11に記載の共結晶。
(2S)−2−[(4S)−4−(2,2−ジフルオロビニル)−2−オキソピロリジニル]ブタンアミド×0.5MgCl×2H
【請求項13】
2θ 7.61、11.57、12.60、13.85、15.41、17.21、19.21、20.25、21.30、23.81、26.57、30.69、30.66、35.93、及び40.49゜を包含するがこれらに限定されないXRPDピークのうちの任意の1つ、任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ又はそれ以上を特徴とする、請求項12に記載の共結晶。
【請求項14】
式(I)を有するピロリジノンが、(2S)−2−(2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドである、請求項6から9までのいずれか一項に記載の共結晶。
【請求項15】
式(I)を有するピロリジノンが、((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミドである、請求項6から9までのいずれか一項に記載の共結晶。
【化4】

【請求項16】
共結晶の化学量論が、以下の通りである、請求項15に記載の共結晶。
((2S)−2−((4R)−2−オキソ−4−n−プロピル−1−ピロリジニル)ブタンアミド×0.5MgCl×2H
【請求項17】
以下の通りの、すなわち、2θ 7.44、11.74、12.26、13.40、14.92、15.82、18.64、21.40、21.80、22.14、22.68、23.60、23.70、25.12及び26.80゜のX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項16に記載の共結晶。
【請求項18】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法に従って得られる共結晶。
【請求項19】
請求項6から17までのいずれか一項に記載の共結晶並びに薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項20】
癲癇、癲癇発生、発作性障害、痙攣及び双極性障害、躁病、鬱病、不安症、片頭痛、三叉神経痛及び他の神経痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、脳虚血、心不整脈、筋緊張症、コカイン乱用、脳卒中、ミオクローヌス、本態性振戦及び他の運動障害、新生児脳出血、筋萎縮性側索硬化症、痙直、パーキンソン病及び他の変性疾患を包含する他の神経障害、気管支喘息、喘息重積状態及びアレルギー性気管支炎、喘息症候群、気管支過敏性及び気管支痙攣症候群並びにアレルギー性鼻炎及び血管運動神経性鼻炎及び鼻結膜炎を治療するための医薬品を調製するための請求項6から17までのいずれか一項に記載の共結晶の使用。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−539790(P2009−539790A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513594(P2009−513594)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005009
【国際公開番号】WO2007/141002
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(507073918)ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム (70)
【Fターム(参考)】