説明

ピロロピリミジノン誘導体の塩およびその製造方法

本発明は、優れたPDE−5阻害活性を有するピロロピリミジノン誘導体の塩およびその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、ピロロピリミジノン誘導体と、ゲンチシン酸、マレイン酸、クエン酸、フマルさんおよび酒石酸の中から選択される酸を反応して製造される結晶性酸付加塩に関する。ピロロピリミジノン誘導体の塩は、吸湿性がなく、長期貯蔵安定性、光安定性および熱安定性が優れ、製剤に適合し、PDE−5阻害活性が優れており、勃起障害、肺動脈高血圧、慢性閉塞性肺疾患、前立腺肥大症および下部尿路疾患の治療および予防に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDE−5阻害作用に効果的なピロロピリミジノン誘導体の塩、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大韓民国特許第358083号には、PDE−5に対して良好な阻害活性を有するピロロピリミジノン誘導体、その製造方法、製造に使用される中間化合物、および勃起障害、肺動脈高血圧、慢性閉塞性肺疾患、前立腺肥大症および下部尿路疾患の予防および治療のための用途を開示している。
大韓民国特許第358083号に開示されたピロロピリミジノン誘導体のうち、下記式1で表される5−エチル−2−{5−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−イルスルホニル]−2−n−プロポキシフェニル}−7−n−プロピル−l−3,5−ジヒドロ−4H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−4−オン(以下、“SK−3530”)は、他のPDEsよりも優れた選択的阻害作用を有するPDE−5であり、臨床前段階を通過した後、勃起障害を治療するために臨床試験中にある。
【0003】

【0004】
SK−3530二塩酸塩(2HCl)は、臨床前および臨床段階を通して研究中にある。
SK−3530二塩酸塩は、溶解度が良好であり、薬剤学的製剤において安定化させることが容易である。しかし、次のような短所がある。
【0005】
第1に、SK−3530二塩酸塩は吸湿性であるため、大気からの水分を容易に吸収し、水分含量が高くなると変色してしまう。そして、このような吸収性により、無水溶媒条件と乾燥した大気条件が安定した製品を得るために必要である。
【0006】
第2に、SK−3530二塩酸塩は、室温で非常に不安定であるため、室温より低い温度を保たなければならない。特に、SK−3530二塩酸塩は、熱や光により変化し易いため、熱や光に長期間さらされると様々な不純物が生成される。
【0007】
第3に、SK−3530二塩酸塩は、その腐食性により打錠時にパンチを腐食した。これは、SK−3530二塩酸塩が、安定した結晶性の酸付加塩または水和物形態ではなく、単純な無定形塩であるためである。従って、比較的弱いイオン結合特性を有する2つの塩酸基の一つは、深刻な条件下で分子を離脱させる。
【0008】
前述したとおり、SK−3530二塩酸塩は、薬剤学的製剤において十分な安定性を与えることができる。しかし、化合物自体の物理化学的特性および安定性により、追加的な技術と費用が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許第358083号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、薬学的に許容可能な塩に必要な物理的および化学的条件を充足させるSK−3530塩を提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、SK−3530遊離塩基と特定の酸を反応させることで、物理的および化学的条件を充足させるSK−3530塩の製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明のまた別の目的は、有効成分として前記SK−353の塩を含有する勃起障害、肺動脈高血圧、慢性閉塞性肺疾患、前立腺肥大症および下部尿路疾患の治療および予防用医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前述したSK−3530二塩酸塩の問題を解決するために様々な研究を行った。その結果、SK−3530が、塩酸塩の代わりに、ゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩またはヘミ酒石酸塩(hemitartrate)の酸付加塩として製造される場合、薬剤学的製剤を安定させるSK−3530の結晶性酸付加塩が得られることを発見した。
【0014】
SK−3530遊離塩基と、ゲンチシン酸塩、マレイン酸、クエン酸、フマル酸および酒石酸の中から選択される薬剤学的に許容可能な酸と反応させることにより、本発明者らは、温度、水分および光に対して十分な安定性を有する新しい酸塩を製造した。従って、十分な安定性を有し、薬剤学的製剤に容易に適用することができるSK−3530の新規の結晶性酸付加塩を製造することにより、本発明を完成するに至った。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0015】
本発明は、安定性と薬効が優れている下記式1で表されるSK−3530のゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩およびヘミ酒石酸塩のような5つの非吸湿性の薬剤学的に許容可能な塩を提供する。また、これらは、生理的に適切な時間に最高血中濃度を表し、勃起障害、脈動脈高血圧、慢性閉塞性肺疾患、前立腺肥大症および下部尿路疾患の治療および予防に有用である。
【0016】

【0017】
更に、本発明は、前記式1で表されるSK−3530遊離塩基と、ゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩および酒石酸塩の中から選択される薬剤学的に許容可能な塩を反応させる工程を含むSK−3530塩の製造方法を提供する。
【0018】
本発明によるSK−3530の結晶性酸付加塩の製造方法は、
ゲンチシン酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸および酒石酸の中から選択される酸を溶解または懸濁して、酸溶液を製造する工程と、
前記酸溶液とSK−3530遊離塩基を混合する工程と、
前記混合液を攪拌して得られた固体をろ過、洗浄および乾燥して、結晶性酸付加塩を得る工程と、
を含む。
【0019】
本発明によるSK−3530の結晶性酸付加塩の製造において、SK−3530遊離塩基と酸の混合物を製造する際、ゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩および酒石酸塩の中から選択される薬剤学的に許容可能な酸をSK−3530遊離塩基に添加するか、または、SK−3530遊離塩基を前記酸に添加する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による製造方法を各工程について詳しく説明する。
【0021】
酸溶液を製造する第1工程において、酸の濃度の調節が重要である。好ましくは、前記酸の濃度は、結晶化を効率的に促進するために、1〜30質量%範囲内で調節される。
【0022】
SK−3530遊離塩基と酸の混合物を製造する第2工程において、前記酸は、DK−3530に対して0.5〜3.0当量比の含量で使用されることが好ましい。前記混合物を使用する場合、前記酸をSK−3530遊離塩基に添加するか、SK−3530遊離塩基を前記酸に添加する。SK−3530遊離塩基を固体状態または適切な反応溶媒に溶解させて添加する。さらに詳しくは、固体状態または適切な溶媒に溶解されたSK−3530遊離塩基を酸溶液に添加して、混合物を製造することができる。また別の方法としては、固体状態のSK−3530または適切な溶媒に溶解されたSK−3530遊離塩基に、酸溶液を添加することができる。
【0023】
第2および第3工程において、水または通常使用される有機溶媒が反応溶媒として使用される。特に、水またはアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびアセトニトリルおよびこれらの混合の中から選択される有機溶媒を使用することが好ましい。
【0024】
第3工程において、結晶性酸付加塩は、−30〜50℃、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは15〜25℃の室温周辺で形成される。
【0025】
本発明により提供される前記式1で表されるSK−3530のゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩およびヘミ酒石酸塩は、薬剤学的に許容可能な塩として要求される次の5つの物理化学的条件、(1)低吸湿性、(2)適正な溶解度、(3)錠剤の接着性が小さい、(4)優れた安定性、(5)量産の便宜性を全て充足する。
【0026】
従って、本発明は、有効成分として前記式1で表されるSK−3530のゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩またはヘミ酒石酸塩を含有する勃起障害治療用医薬組成物を含む。
【0027】
本発明による前記医薬組成物は、経口または非経口で投与され、通常の医薬製剤の形態に剤形され得る。通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤が製剤化に使用される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤およびカプセル剤が含まれる。これらの固形製剤は、少なくとも1つの賦形剤、例えば、澱粉、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを有効成分と混ぜて製造される。また、単純な賦形剤以外に、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクのような潤滑油が使用される。経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤およびシロップ剤が含まれる。通常用いられる水、流動パラフィンのような単純希釈剤以外に、様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが使用され得る。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水溶性製剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤および坐薬が含まれる。非水溶性製剤および懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどを用いることができる。坐薬の基剤としては、ウィテップゾール(Witepsol)、マクロゴール、ツイーン(Tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどを用いることができる。
【0028】
本発明による医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、性別、投与経路、病態および病気の重症度によって変動し得る。SK‐3530の効果的な投与量は、SK‐3530遊離塩基の質量を基にして10.0〜200.0mg、好ましくは20〜150mgである。
【実施例】
【0029】
本発明の実用的で現在好ましい実施形態を下記例に例示するが、当業者が本発明を考慮して、本発明の精神および範囲内で修正および改善をし得ることは言うまでもない。
【0030】
実施例1:SK‐3530ゲンチシン酸塩の製造
【0031】

【0032】
ゲンチシン酸2.44gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基8.0gをアセトン100mLに溶解して、前記ゲンチシン酸溶液に徐々に添加した。前記混合液を1時間室温で攪拌して、生成された固体をろ過し、アセトン20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物7.96g(収率:77.1%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 11.70 (s, 1H), 7.89 (d, 1H), 7.80 (d.d., 1H), 7.38 (d, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.14 (d, 1H), 6.87 (d.d., 1H), 6.71 (d, 1H), 4.37 (q, 2H), 4.12 (t, 2H), 3.47 (t, 2H), 2.95 (m, 4H), 2.66 (m, 4H), 2.59〜2.48 (m, 4H), 1.77〜1.59 (m, 4H), 1.35 (t, 3H), 0.96 (t, 3H), 0.92 (t, 3H)
【0033】
実施例2:SK−3530ゲンチシン酸塩の製造
ゲンチシン酸2.44gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基8.0gを前記ゲンチシン酸溶液に徐々に添加した。前記混合液を1時間室温で攪拌して、生成された固体をろ過し、アセトン20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物を得た。
【0034】
実施例3:SK−3530ゲンチシン酸塩の製造
SK−3530遊離塩基200mgをアセトン1mLに懸濁して、室温で攪拌した。ゲンチシン酸61mgをアセトン(1mL)と水(2mL)の混合溶媒に溶解して、SK−3530遊離塩基溶液に徐々に添加した。前記混合液を30分間室温で攪拌して、水12mLを添加した後、さらに30分間攪拌した。生成された固体をろ過して、水10mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物249mg(収率:96.5%)を得た。
【0035】
実施例4:SK−3530ゲンチシン酸塩含有錠剤の製剤
無水第二リン酸カルシウム(315g)を微結晶セルロース(525g、90μm)と混合して、ドラムに移した。次に、SK−3530ゲンチシン酸塩(70g)を微結晶セルロース(187.5g、50μm)と混合して、前記粉末混合物を含有するドラムにスクリーンを通過させた。前記スクリーンを微結晶セルロース(525g、90μm)で洗浄した。無水第二リン酸カルシウム(315g)を前記混合物に添加して、10分間混ぜ合わせた。次いで、デンプングリコール酸ナトリウム(40g)を前記混合物に添加して、6分間混ぜ合わせた。最終的に、ステアリン酸マグネシウム(20g)を添加して、3分間混ぜ合わせた。生成された粉末混合物を通常の方法により錠剤に圧着した。
【0036】
実施例5:SK−3530ゲンチシン酸塩含有カプセル剤の製剤
微結晶セルロース(525g、90μm)を乾燥コーンスターチと混合した。SK−3530ゲンチシン酸塩(70g)を前記予備混合物の一部と混合して、ふるいにかけた。残りのコーンスターチを添加して、10分間混合した後、ふるいをかけて、5分間さらに混合した。生成された混合物を適切なサイズのカプセルに充填した。
【0037】
実施例6:SK−3530ゲンチシン酸塩含有注射剤の製剤
塩化ナトリウムを注射用蒸留水に溶解して、プロピレングリコールと混合した。SK−3530ゲンチシン酸塩を添加して、溶解した後、注射用蒸留水をさらに添加して、目的とする濃度の溶液を得た。生成された溶液を滅菌消毒したろ過器でろ過して、注射用容器として使用される滅菌消毒したアンプルに充填した。
【0038】
実施例7:SK−3530マレイン酸塩の製造
【0039】

【0040】
マレイン酸1.44gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基6.0gをマレイン酸溶液に徐々に添加した。前記混合物を1時間室温で攪拌して、アセトン50mLを減圧下で濃縮して除去した。生成された固体をろ過して、エーテル20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物7.02g(収率:96.0%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 11.73 (s, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.84 (d.d., 1H), 7.42 (d, 1H), 7.32 (s, 1H), 6.08 (s, 2H), 4.37 (q, 2H), 4.14 (t, 2H), 3.62 (t, 2H), 3.52-2.70 (m, 10H), 2.57 (t, 2H), 1.79-1.60 (m, 4H), 1.36 (t, 3H), 0.97 (t, 3H), 0.92 (t, 3H)
【0041】
実施例8:SK−3530マレイン酸塩の製造
マレイン酸1.44gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基6.0gをアセトン100mLに溶解して、マレイン酸溶液に徐々に添加した。前記混合物を1時間室温で攪拌して、アセトン50mLを減圧下で濃縮して除去した。生成された固体をろ過して、エーテル20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物を得た。
【0042】
実施例9:SK−3530マレイン酸塩の製造
SK−3530遊離塩基60mgをアセトン1mLに懸濁して、室温で攪拌した。マレイン酸14.4gをアセトン(1mL)と水(2mL)の混合溶媒に溶解して、SK−3530遊離塩基溶液に徐々に添加した。前記混合液を1時間室温で攪拌して、生成された固体をろ過して、アセトン20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物を得た。
【0043】
実施例10:SK−3530マレイン酸塩含有錠剤の製剤
無水第二リン酸カルシウム(315g)を微結晶セルロース(525g、90μm)と混合して、ドラムに移した。次に、SK−3530マレイン酸塩(70g)を微結晶セルロース(187.5g、50μm)と混合して、前記粉末混合物を含有するドラムにスクリーンを通過させた。前記スクリーンを微結晶セルロース(525g、90μm)で洗浄した。無水第二リン酸カルシウム(315g)を前記混合物に添加して、10分間混ぜ合わせた。次いで、デンプングリコール酸ナトリウム(40g)を前記混合物に添加して、6分間混ぜ合わせた。最終的に、ステアリン酸マグネシウム(20g)を添加して、3分間混ぜ合わせた。生成された粉末混合物を通常の方法により錠剤に圧着した。
【0044】
実施例11:SK−3530マレイン酸塩含有カプセル剤の製剤
微結晶セルロース(525g、90μm)を乾燥コーンスターチと混合した。SK−3530マレイン酸塩(70g)を前記予備混合物の一部と混合して、ふるいにかけた。残りのコーンスターチを添加して、10分間混合した後、ふるいをかけて、5分間さらに混合した。生成された混合物を適切なサイズのカプセルに充填した。
【0045】
実施例12:SK−3530マレイン酸塩含有注射剤の製剤
塩化ナトリウムを注射用蒸留水に溶解して、プロピレングリコールと混合した。SK−3530マレイン酸塩を添加して、溶解した後、注射用蒸留水をさらに添加して、目的とする濃度の溶液を得た。生成された溶液を滅菌消毒したろ過器でろ過して、注射用容器として使用される滅菌消毒したアンプルに充填した。
【0046】
実施例13:SK−3530クエン酸塩の製造
【0047】

【0048】
クエン酸3.04gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基8.0gをアセトン100mLに溶解して、クエン酸溶液に徐々に添加した。前記混合物を1時間室温で攪拌して、生成された固体をろ過して、アセトン20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物10.5g(収率:96.4%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 11.70 (s, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.80 (d.d., 1H), 7.38 (d, 1H), 7.31 (s, 1H), 4.37 (q, 2H), 4.12 (t, 2H), 3.44 (t, 2H), 3.00~2.83 (m, 4H), 2.75~2.54 (m, 8H), 2.51~2.47 (m, 4H), 1.75~1.62 (m, 4H), 1.35 (t, 3H), 0.96 (t, 3H), 0.92 (t,3H)
【0049】
実施例14:SK−3530クエン酸塩の製造
クエン酸3.04gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基8.0gをアセトン100mLに溶解して、クエン酸溶液に徐々に添加した。前記混合物を1時間室温で攪拌して、生成された固体をろ過して、アセトン20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物を得た。
【0050】
実施例15:SK−3530クエン酸塩の製造
SK−3530遊離塩基80mgをアセトン1mLに懸濁して、室温で攪拌した。クエン酸30.4gをアセトン(1mL)と水(2mL)の混合溶媒に溶解して、SK−3530遊離塩基溶液に徐々に添加した。前記混合液を30分間室温で攪拌して、水12mLを添加した後、さらに30分間攪拌した。生成された固体をろ過して、水10mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物を得た。
【0051】
実施例16:SK−3530クエン酸塩含有錠剤の製剤
無水第二リン酸カルシウム(315g)を微結晶セルロース(525g、90μm)と混合して、ドラムに移した。次に、SK−3530クエン酸塩(70g)を微結晶セルロース(187.5g、50μm)と混合して、前記粉末混合物を含有するドラムにスクリーンを通過させた。前記スクリーンを微結晶セルロース(525g、90μm)で洗浄した。無水第二リン酸カルシウム(315g)を前記混合物に添加して、10分間混ぜ合わせた。次いで、デンプングリコール酸ナトリウム(40g)を前記混合物に添加して、6分間混ぜ合わせた。最終的に、ステアリン酸マグネシウム(20g)を添加して、3分間混ぜ合わせた。生成された粉末混合物を通常の方法により錠剤に圧着した。
【0052】
実施例17:SK−3530クエン酸塩含有カプセル剤の製剤
微結晶セルロース(525g、90μm)を乾燥コーンスターチと混合した。SK−3530クエン酸塩(70g)を前記予備混合物の一部と混合して、ふるいにかけた。残りのコーンスターチを添加して、10分間混合した後、ふるいをかけて、5分間さらに混合した。生成された混合物を適切なサイズのカプセルに充填した。
【0053】
実施例18:SK−3530クエン酸塩含有注射剤の製剤
塩化ナトリウムを注射用蒸留水に溶解して、プロピレングリコールと混合した。SK−3530クエン酸塩を添加して、溶解した後、注射用蒸留水をさらに添加して、目的とする濃度の溶液を得た。生成された溶液を滅菌消毒したろ過器でろ過して、注射用容器として使用される滅菌消毒したアンプルに充填した。
【0054】
実施例19:SK−3530フマル酸塩の製造
【0055】

【0056】
フマル酸1.44gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基6.0gをゲンチシン酸溶液に徐々に添加した。前記混合物を1時間室温で攪拌して、アセトン50mLを減圧下で濃縮して除去した後、生成された固体をろ過して、エーテル20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物6.92g(収率:94.7%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 11.69 (s, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.79 (d.d., 1H), 7.37 (d, 1H), 7.30 (s, 1H), 6.62 (s, 2H), 4.37 (q, 2H), 4.12 (t, 2H), 3.43 (t, 2H), 2.90 (m, 4H), 2.59~2.48 (m, 6H), 2.40 (t, 2H), 1.75〜1.59 (m, 4H), 1.35 (t, 3H), 0.96 (t, 3H), 0.92 (t, 3H)
【0057】
実施例20:SK−3530フマル酸塩の製造
フマル酸1.44gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基8.0gをアセトン100mLに溶解して、フマル酸溶液に徐々に添加した。前記混合物を1時間室温で攪拌して、生成された固体をろ過して、アセトン20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物を得た。
【0058】
実施例21:SK−3530フマル酸塩の製造
SK−3530遊離塩基80mgをアセトン1mLに懸濁して、室温で攪拌した。フマル酸14.4gをアセトン(1mL)と水(2mL)の混合溶媒に溶解して、SK−3530遊離塩基溶液に徐々に添加した。前記混合液を30分間室温で攪拌して、水12mLを添加した後、さらに30分間攪拌した。生成された固体をろ過して、水10mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物を得た。
【0059】
実施例22:SK−3530フマル酸塩含有錠剤の製剤
無水第二リン酸カルシウム(315g)を微結晶セルロース(525g、90μm)と混合して、ドラムに移した。次に、SK−3530フマル酸塩(70g)を微結晶セルロース(187.5g、50μm)と混合して、前記粉末混合物を含有するドラムにスクリーンを通過させた。前記スクリーンを微結晶セルロース(525g、90μm)で洗浄した。無水第二リン酸カルシウム(315g)を前記混合物に添加して、10分間混ぜ合わせた。次いで、デンプングリコール酸ナトリウム(40g)を前記混合物に添加して、6分間混ぜ合わせた。最終的に、ステアリン酸マグネシウム(20g)を添加して、3分間混ぜ合わせた。生成された粉末混合物を通常の方法により錠剤に圧着した。
【0060】
実施例23:SK−3530フマル酸塩含有カプセル剤の製剤
微結晶セルロース(525g、90μm)を乾燥コーンスターチと混合した。SK−3530フマル酸塩(70g)を前記予備混合物の一部と混合して、ふるいにかけた。残りのコーンスターチを添加して、10分間混合した後、ふるいをかけて、5分間さらに混合した。生成された混合物を適切なサイズのカプセルに充填した。
【0061】
実施例24:SK−3530フマル酸塩含有注射剤の製剤
塩化ナトリウムを注射用蒸留水に溶解して、プロピレングリコールと混合した。SK−3530フマル酸塩を添加して、溶解した後、注射用蒸留水をさらに添加して、目的とする濃度の溶液を得た。生成された溶液を滅菌消毒したろ過器でろ過して、注射用容器として使用される滅菌消毒したアンプルに充填した。
【0062】
実施例25:SK−3530ヘミ酒石酸塩の製造
【0063】

【0064】
酒石酸1.19gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基8.0gをアセトン100mLに溶解して、酒石酸溶液に徐々に添加した。前記混合物を1時間室温で攪拌して、生成された固体をろ過して、アセトン20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物7.6g(収率:83.2%)を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-d6) δ (ppm) 11.70 (s, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.79 (d.d., 1H), 7.38 (d, 1H), 7.31 (s, 1H), 4.36 (q, 2H), 4.26 (s, 1H), 4.12 (t, 2H), 3.42 (t, 2H), 2.89 (m, 4H), 2.59〜2.47 (m, 6H), 2.39 (t, 2H), 1.80〜1.56 (m, 4H), 1.35 (t, 3H), 0.96 (t, 3H), 0.92 (t, 3H)
【0065】
実施例26:SK−3530ヘミ酒石酸塩の製造
酒石酸1.19gをアセトン100mLに溶解して、室温で攪拌した。SK−3530遊離塩基8.0gをアセトン100mLに溶解して、酒石酸溶液に徐々に添加した。前記混合物を1時間室温で攪拌して、生成された固体をろ過して、アセトン20mLで洗浄した後、50℃の真空下で乾燥して、白色結晶の表題化合物を得た。
【0066】
実施例27:SK−3530ヘミ酒石酸塩含有錠剤の製剤
無水第二リン酸カルシウム(315g)を微結晶セルロース(525g、90μm)と混合して、ドラムに移した。次に、SK−3530ヘミ酒石酸塩(70g)を微結晶セルロース(187.5g、50μm)と混合して、前記粉末混合物を含有するドラムにスクリーンを通過させた。前記スクリーンを微結晶セルロース(525g、90μm)で洗浄した。無水第二リン酸カルシウム(315g)を前記混合物に添加して、10分間混ぜ合わせた。次いで、デンプングリコール酸ナトリウム(40g)を前記混合物に添加して、6分間混ぜ合わせた。最終的に、ステアリン酸マグネシウム(20g)を添加して、3分間混ぜ合わせた。生成された粉末混合物を通常の方法により錠剤に圧着した。
【0067】
実施例28:SK−3530ヘミ酒石酸塩含有カプセル剤の製剤
微結晶セルロース(525g、90μm)を乾燥コーンスターチと混合した。SK−3530ヘミ酒石酸塩(70g)を前記予備混合物の一部と混合して、ふるいにかけた。残りのコーンスターチを添加して、10分間混合した後、ふるいをかけて、5分間さらに混合した。生成された混合物を適切なサイズのカプセルに充填した。
【0068】
実施例29:SK−3530ヘミ酒石酸塩含有注射剤の製剤
塩化ナトリウムを注射用蒸留水に溶解して、プロピレングリコールと混合した。SK−3530ヘミ酒石酸塩を添加して、溶解した後、注射用蒸留水をさらに添加して、目的とする濃度の溶液を得た。生成された溶液を滅菌消毒したろ過器でろ過して、注射用容器として使用される滅菌消毒したアンプルに充填した。
【0069】
実験例1:安定性試験
本実験はSK−3530塩の貯蔵安定性を確認するためのものである。
【0070】
1)水分および大気安定性
十分な安定性が特定の製剤形態に薬物を加工するために必要である。例えば、錠剤またはカプセル剤への製剤には大気の安定性が要求され、注射剤への製剤には水分の安定性が要求される。
下記表1(25℃、75%湿度)、表2(40℃、60%湿度)および表3(50℃、75%湿度)には、SK−3530の二塩酸塩(2HCl)、ゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩およびヘミ酒石酸塩を1週間および3週間保管した後、液体クロマトグラフ法により測定した全体の不純物含量を示している。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
2)光安定性試験
下記表4および表5には、SK−3530の二塩酸塩(2HCl)、ゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩およびヘミ酒石酸塩に対する光安定性試験の結果を示している。紫外線(UV)の総光量は200W・h/m2であり、可視光線の総光量は1080klux/m2hであった。25℃および60%湿度の条件下で、各塩はペトリ皿に保管した。
【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】
3)熱安定性試験
下記表6および表7には、SK−3530の二塩酸塩(2HCl)、ゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩およびヘミ酒石酸塩に対する熱安定性試験の結果を示している。各塩はペトリ皿に置いて、105℃の乾燥機に保管した。3時間および48時間後に肉眼で観察して、不純物の含量を液体クロマトグラフ法で測定した。
【0078】
【表6】

【0079】
【表7】

【0080】
表1〜7に示されるように、SK−3530二塩酸塩と比較して、本発明によるSK−3530のゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩またはヘミ酒石酸塩は、貯蔵安定性、紫外線および可視光線に対する光安定性および熱安定性が非常に優れていることを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0081】
前述した通り、本発明によるSK−3530のゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩またはヘミ酒石酸塩は、薬剤学的製剤に適合した結晶性酸付加塩であり、PDE−5阻害活性が優れており、勃起障害、肺動脈高血圧、慢性閉塞性肺疾患、前立腺肥大症および下部尿路疾患の治療および予防用として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩およびヘミ酒石酸塩(hemitartrate)の中から選択される、下記式1で表されるピロロピリミジノン誘導体の酸付加塩。

【請求項2】
下記式1で表されるピロロピリミジノン誘導体と、ゲンチシン酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸および酒石酸の中から選択される薬剤学的に許容可能な酸を反応させることを特徴とするピロロピリミジノン誘導体の酸付加塩の製造方法。

【請求項3】
ゲンチシン酸、マレイン酸、クエン酸、フマル酸および酒石酸の中から選択される薬剤学的に許容可能な酸を溶解または懸濁して、酸溶液を製造する工程と、
前記式1で表されるピロロピリミジノン誘導体と前記酸溶液を混合する工程と、
前記混合液を攪拌して得られた固体をろ過、洗浄および乾燥して、結晶性酸付加塩を得る工程と、
を含む、請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記酸溶液の酸濃度が1〜30質量%である、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記酸を溶解または懸濁するのに使用された溶媒は、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびアセトニトリルからなる群から選択される単独溶媒またはこれらの混合溶媒である、請求項3または4記載の製造方法。
【請求項6】
前記酸は、前記式1で表されるピロロピリミジノン誘導体に対して0.5〜3.0当量比の量で使用される、請求項2または3記載の製造方法。
【請求項7】
前記反応は−30〜50℃で遂行される、請求項2または3記載の製造方法。
【請求項8】
前記式1で表されるピロロピリミジノン誘導体は、固体状態または溶媒に溶解された状態で使用される、請求項2または3記載の製造方法。
【請求項9】
前記式1で表されるピロロピリミジノン誘導体を溶解するために使用される溶媒は、水、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびアセトニトリルからなる群から選択される単独溶媒またはこれらの混合溶媒である、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
有効成分としてゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩およびヘミ酒石酸塩の中から選択される、下記式1で表されるピロロピリミジノン誘導体の酸付加塩を含有する勃起障害の治療および予防用医薬組成物。

【請求項11】
有効成分として、ゲンチシン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩およびヘミ酒石酸塩の中から選択される、下記式1で表されるピロロピリミジノン誘導体の酸付加塩を含有する肺動脈高血圧、慢性閉塞性肺疾患、前立腺肥大症および下部尿路疾患の治療および予防用医薬組成物。

【請求項12】
錠剤、カプセル剤または注射剤に剤形化される、請求項10または11記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2009−542633(P2009−542633A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517991(P2009−517991)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【国際出願番号】PCT/KR2007/003213
【国際公開番号】WO2008/004796
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(505053947)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (16)
【Fターム(参考)】