ピン持ち上げシステム
【解決手段】本発明の一態様は、上面および下面を有する静電チャックと共に用いる装置であって、前記上面は幅の分だけ前記下面から離れており、前記静電チャックは、さらに、前記上面に第1の幅を有すると共に前記下面に第2の幅を有する穴を備え、前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さく、前記上面はその上にウエハを配置することが可能である、装置に関する。その装置は、ピンと、シャフトと、ネック部と、外側ハウジング部と、を備える。ピンは、第1の幅よりも小さいピン幅を有する。シャフトは、ピン保持部と、端部と、ピン保持部および端部の間に位置する中央部と、を有する。中央部は、第1のベアリング部を有する。外側ハウジング部は、第1の端部および第2の端部を有し、第2のベアリング部を備える。シャフトは、外側ハウジング部の中に配置され、外側ハウジング部に対して移動可能である。ネック部は、第1の端部に配置される。第2のベアリング部は、ネック部に対して移動しない。第1のベアリング部は、第2のベアリング部に対して移動可能である。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体ウエハは、ウエハ処理システム内で処理される。ここで、従来のウエハ処理システムの一例を、図1および図2を参照して説明する。
【0002】
図1および図2は、従来のウエハ処理システムを示す。図において、ウエハ処理システム100は、閉じ込めチャンバ部102と、電極104と、静電チャック(ESC)106と、電極駆動源112と、ESC駆動部源114と、ピン持ち上げシステム116と、を備える。閉じ込めチャンバ部102は、入力部108および出力部110を有する。ピン持ち上げシステム116は、持ち上げピン118を備える。閉じ込めチャンバ部102は、半導体ウエハ120を処理するために用いられる処理空間122を取り囲む。
【0003】
動作中、図1に示すように、半導体ウエハ120は、ESC106上に配置される。ESC駆動源114は、ESC106に電圧を印加することによって電場を生成し、その電場が、半導体ウエハ120をESC106上に保持するクーロン力を生み出す。半導体ウエハ120がESC106によって所定の位置に保持されると、複数の材料が入力部108を介して処理空間122に供給されてよく、電圧が、処理空間122内でプラズマを生成するために電極駆動源112を介して電極104に印加される。処理空間内で生成されたプラズマは、半導体ウエハ120の部分をエッチングすることにより、または、半導体ウエハ120上に材料を蒸着することにより、半導体ウエハ120と相互作用する。処理が完了すると、処理空間122内に残留した材料が、出力部110を介して除去される。次いで、第2の駆動源114は、ESC106への電圧の印加を停止し、それによってクーロン力が消失して、半導体ウエハ120が解放される。次に、図2に示すように、ピン持ち上げシステム116は、半導体ウエハ120を押し上げて表面の張力を緩和し、ESC106から半導体ウエハ120の一端を持ち上げる。次いで、半導体ウエハ120は、ウエハ処理システム100から取り出される。
【0004】
半導体ウエハ処理のすべての側面において必要とされる精密さを維持するには、ウエハ処理システム100の構成および利用に細心の注意を払わなければならない。特に、ESC106は、ウエハ処理システム100の中でも非常に高価な部分である。ESC106の動作パラメータは、半導体ウエハを正確に保持および解放するために、精密に維持される必要がある。ESC106の動作パラメータの例としては、表面抵抗、表面静電容量、および、全体インピーダンスが挙げられるが、それらに限定されず、各パラメータは、ESC106の物理的な健全性の変化すなわち損傷の結果として変化しうる。そのため、物理的な健全性が損なわれた場合、ESC106は、効率的に機能しない、また、さらには全く機能しない場合がある。
【0005】
ESC106は、図3および図4に関して以下で説明するように、持ち上げピン118からの損傷を特に受けやすい。
【0006】
図3は、図1の部分Aを示す拡大図である。図3において、持ち上げピン118は、半径方向距離302だけESC106の内壁から分離されている。その分離は、持ち上げピン118とESC106との間の接触を防止するために必要であり、それにより、持ち上げピン118からESC106への損傷が防止される。
【0007】
図4は、持ち上げピン118が半導体ウエハ120の近くに移動された時の部分Aの状況の一例を示す拡大図である。図4において、持ち上げピン118の縦軸は、ライン402に沿ってESC106と垂直になることが好ましい。しかしながら、この例の状況では、持ち上げピン118の縦軸は、実際にはライン404に沿っており、角度θだけライン402に沿った軸から離れている。持ち上げピン118の縦軸がライン404に沿っているため、持ち上げピン118は、半導体ウエハ120に近づくと、ポイント406でESC106に接触する。持ち上げピン118は、半導体ウエハ120に向かって上がり続ける際に、ESC106をこすり続ける。このようにこすることでESC106が損傷する場合があり、その損傷は、ESC106の物理的健全性を変化させ、ESC106の動作パラメータを変化させ、結果として、ESC106の機能が非効率的または不適切になる場合がある。かかる場合、ESC106の修理または交換が必要になり、いずれにしてもコストが掛かる。
【0008】
ここで、図5および図6を参照して、従来のピン持ち上げシステムについてさらに詳しく説明する。
【0009】
図5は、第1の状態にある従来のピン持ち上げシステム116を示す。図に示すように、ピン持ち上げシステム116は、持ち上げピン118と、ピン保持シャフト504と、ハウジングネック506と、ハウジング外側部508と、第1のベアリング510と、ベアリング分離部512と、第2のベアリング514と、ベローズ部516と、を備える。ベアリング分離部512は、第1のベアリング510を第2のベアリング514から分離しており、さらに、そこに切り込まれたウィンドウ518を有する。ウィンドウ518は、持ち上げアーム(図示せず)がノッチ520を介してピン保持シャフト504を持ち上げることを可能にする。ピン保持シャフト504は、ピン保持部522と、中間部524と、シート部526と、ノッチ520を有する端部528と、を備える。ハウジングネック506は、シャフトガイド部532と、キャップ部534と、内側部536と、を備える。ハウジング外側部508は、リップ部530を備える。
【0010】
ピン持ち上げシステム116は、ESC106の取り付け穴540に取り付け可能である。取り付け穴540は、ネック部542と、ピン部544と、ESC106の上面にあるピン開口部546と、を備える。ネック部542は、持ち上げピン118を通すと共に、シャフトガイド部532を保持するよう設計されている。ピン部544は、持ち上げピン118を通すよう機能し、ピン開口部546は、持ち上げピン118の先端を通すよう設計されている。固定プレート548は、マウント穴540内部にピン持ち上げシステム116を保持する。
【0011】
キャップ部534は、ハウジング外側部508に結合されている。ベローズ部516の一端は、ハウジングネック506の内側部536に結合されており、ベローズ部516の他端は、シート部526に結合されている。第1のベアリング510は、ハウジング外側部508のリップ部530に結合されており、さらに、ベアリング分離部512に結合されている。ベアリング分離部512は、さらに、第2のベアリング514に結合されている。したがって、第1のベアリング510は、第2のベアリング514から一定の距離dを保っている。
【0012】
この状態では、持ち上げピン118は、ESC106の上面よりも下に位置する。したがって、ピン保持部522の上端とシャフトガイド部532との間には空間538がある。
【0013】
ここで、ピン持ち上げシステム116の第2の状態、すなわち、ウエハ持ち上げ状態について、図6を参照しつつ説明する。
【0014】
ESC106のピン開口部546を通して持ち上げピン118を持ち上げるために、持ち上げアーム(図示せず)が、ウィンドウ518を通してノッチ502でピン保持シャフト504に係合する。ピン保持シャフト504は、シート部526が第1のベアリング510から離されて、ピン保持部522の上端がシャフトガイド部532の上端に到達するまで、連続的に持ち上げられる。
【0015】
ここで、例えば、図4に関して上述したように、持ち上げピンがESCを損傷する問題について、図7〜図10を参照しつつ、ピン持ち上げシステム116に当てはめて説明する。
【0016】
図7は、図5の部分Bの拡大図である。図に示すように、ピン保持シャフト504の端部528は、実際には第1のベアリング510と接触していない。端部528は、第1のベアリング510から距離702だけ離間されている。ピン持ち上げシステム116は、このように、ピン保持シャフト504の長さに平行な軸に沿って摩擦のない運動を提供するよう設計される。
【0017】
図8は、図5の部分Cの拡大図である。図に示すように、ピン保持シャフト504の端部528は、実際にはベアリング分離部512と接触していない。端部528は、ベアリング分離部512から距離802だけ離間されている。ピン持ち上げシステム116は、このように、ピン保持シャフト504の長さに平行な軸に沿って摩擦のない運動を提供するよう設計される。
【0018】
ピン保持シャフト504の外径は、ピン保持シャフト504の側方移動を制限するために、第1のベアリング510およびベアリング分離部512の各々の内径に近づけて、従来は設計されている。しかしながら、それでも、上述のように、ピン保持シャフト504を摩擦なく移動させるためにギャップが存在する。これらのギャップは、以下で図9および図10に関して説明するように、持ち上げピン118の傾斜を引き起こしうる。
【0019】
図9の矢印902がピン保持シャフト504の理想的な縦軸を表していると仮定する。その時、持ち上げピン118の縦軸は、ESC106の上面に垂直になる。この例において、図5に示したように、端部528が点550においてベアリング分離部512に接触し、さらに、点552において第1のベアリング510に接触するように、ピン保持シャフト504が実際に傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト504の縦軸は、実際に図9の矢印904に平行になる。したがって、この例では、ピン保持シャフト504は、角度φだけ傾いている。
【0020】
上述のように、距離dは、第1のベアリング510と第2のベアリング514との間の距離である。間隔Δ1906は、端部528と第1のベアリング510との間の間隔であり、図7では距離702として示されている。そうすると、図9において、距離dおよび間隔Δ1906は、角度φと以下の関係を満たす:
cosφ=Δ1/d (1)
したがって、距離dおよび間隔Δ1906がわかれば、ピン保持シャフト504の最大傾斜角φを算出できる。
【0021】
ピン保持シャフト504の最大傾斜角φが算出されると、持ち上げピン118の望ましくない最大側方変位を決定できる。図5に戻ると、距離Dは、ESC106の上面から、端部528がベアリング分離部512に接触する点550までの距離である。ピン保持シャフト504の最大傾斜角φと距離Dを用いると、持ち上げピン118の最大側方変位を決定できる。
【0022】
図10に示すように、矢印1002がピン保持シャフト504の理想的な縦軸を表すと仮定する。その時、持ち上げピン118の縦軸は、ESC106の上面に垂直になる。この例において、ピン保持シャフト504が、最大傾斜角φだけ傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト504の縦軸は、実際に図10の矢印1004に平行になる。さらに、持ち上げピン118の最大側方変位はΔ21006である。そうすると、距離Dおよび最大傾斜角φは、Δ21006と以下の関係を満たす:
Δ2=Dcosφ (2)
したがって、距離Dおよび最大傾斜角φがわかれば、間隔Δ21006を算出できる。
【0023】
式(1)を式(2)に代入すると、以下の式が得られる:
Δ2=(D/d)Δ1 (3)
したがって、持ち上げピン118の最大側方変位Δ2は、ESC106の上面から点550までの距離Dと、第1のベアリング510および第2のベアリング514の間の距離dとの比に直接関係している。
【0024】
一例として、従来のピン持ち上げシステムにおいて、第1のベアリング510および第2のベアリング514の間の距離dを1.2cm、ESC106の上面から点550までの距離Dを4.4cm、そして、端部528および第1のベアリング510の間の間隔Δ1を1.4mmとする。かかる例では、第1のベアリング510および第2のベアリング514の間の距離dに対するESC106の上面から点550までの距離Dの比は、3.6である。式(3)を用いると、持ち上げピン118の最大側方変位Δ2は、5.1mmと算出される。換言すると、持ち上げピン118は、5.1mmの望ましくない側方の遊びを有しており、それにより、持ち上げピン118は、ESC106と接触して損傷しうる。
【0025】
したがって、ピンの側方変位を低減するピン持ち上げシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0026】
本発明の課題は、ピンの側方変位を低減するピン持ち上げシステムを提供することである。
【0027】
本発明の一態様は、上面および下面を有する静電チャックと共に用いる装置であって、前記上面は幅の分だけ前記下面から離れており、前記静電チャックは、さらに、前記上面に第1の幅を有すると共に前記下面に第2の幅を有する穴を備え、前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さく、前記上面はその上にウエハを配置することが可能である、装置に関する。その装置は、ピンと、シャフトと、ネック部と、外側ハウジング部と、を備える。ピンは、第1の幅よりも小さいピン幅を有する。シャフトは、ピン保持部と、端部と、ピン保持部および端部の間に位置する中央部と、を有する。中央部は、第1のベアリング部を有する。外側ハウジング部は、第1の端部および第2の端部を有し、第2のベアリング部を備える。シャフトは、外側ハウジング部の中に配置され、外側ハウジング部に対して移動可能である。ネック部は、第1の端部に配置される。第2のベアリング部は、ネック部に対して移動しない。第1のベアリング部は、第2のベアリング部に対して移動可能である。
【0028】
本発明のさらなる課題、利点、および、新規の特徴については、以下の記載において部分的に説明されており、以下を検討することで当業者にとって部分的に明らかになり、また、本発明の実施によって学習されうる。本発明の課題および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された手段および組み合わせによって達成および実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付の図面は、本発明の代表的な実施形態を図示しており、本明細書の記載と共に本発明の原理を説明するものである。
【0030】
【図1】ウエハ持ち上げピンがESCの表面よりも下にある第1の状態の従来のウエハ処理システムを示す図。
【0031】
【図2】ウエハ持ち上げピンがESCの表面よりも上にある第2の状態の従来のウエハ処理システムを示す図。
【0032】
【図3】図1の部分Aを示す拡大図。
【0033】
【図4】ピンが半導体ウエハの近くに移動された時の部分Aの状況の一例を示す拡大図。
【0034】
【図5】第1の状態にある従来のピン持ち上げシステムを示す図。
【0035】
【図6】第2の状態にある従来のピン持ち上げシステムを示す図。
【0036】
【図7】図5の部分Bの拡大図。
【0037】
【図8】図5の部分Cの拡大図。
【0038】
【図9】第1の状態にある図5の従来のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な向きと、第1の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の向きとの間の関係を示す図。
【0039】
【図10】第2の状態にある図6の従来のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な向きと、第2の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の向きとの間の関係を示す図。
【0040】
【図11】本発明の一態様に従って、第1の状態にあるピン持ち上げシステムの一例を示す図。
【0041】
【図12】本発明の一態様に従って、第2の状態にある図11のピン持ち上げシステムの一例を示す図。
【0042】
【図13】図11の部分Dの拡大図。
【0043】
【図14】図11の部分Eの拡大図。
【0044】
【図15】第1の状態にある図11のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な縦軸と、第1の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の縦軸との間の関係を示す図。
【0045】
【図16】第2の状態にある図12のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な縦軸と、第2の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の縦軸との間の関係を示す図。
【0046】
【図17】第2の状態にある図12のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な縦軸と、第2の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の縦軸との間の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここで、本発明の一態様に従ったピン持ち上げシステムの一実施形態について、図11および図12を参照して説明する。
【0048】
図11は、本発明の一態様に従って、第1の状態にある一例のピン持ち上げシステム1100を示す。図に示すように、ピン持ち上げシステム1100は、ピン1102と、ピン保持バネ1136と、ピン保持シャフト1104と、ハウジングネック1106と、第2のベアリング部1112、第1のベアリング1110、および、ベローズ部1116を備えたハウジング外側部1108と、を備える。ハウジング外側部1108には、ウィンドウ1114が切り込まれている。ウィンドウ1114は、持ち上げアーム(図示せず)がノッチ1118を介してピン保持シャフト1104を持ち上げることを可能にする。ピン保持シャフト1104は、ピン保持部1120と、テーパ部1446を備えた中間部1122と、刻み目1126およびノッチ1118を備えた端部1124と、を備える。ハウジングネック1106は、シャフトガイド部1128と、キャップ部1130と、空洞1148を有するよう形成された内側部1132と、を有する。ハウジング外側部1108は、リップ部1134を備える。
【0049】
ピン持ち上げシステム1100は、取り付け穴540でESC106内に取り付け可能である。ネック部542は、ピン1102を通すと共に、シャフトガイド部1128を保持するよう設計されている。ピン部544は、ピン1102を通すよう機能し、ピン開口部546は、ピン1102の先端を通すよう設計されている。
【0050】
ピン保持部1120は、ピン1102を保持するための通路を内部に有する。半径方向力を提供する装置(ピン保持バネ1136など)が、ピン1102の周囲かつピン保持部1120の内部に環状に配置される。ピン保持バネ1136は、ピン1102の外周とピン保持部1120の内周との間で半径方向力を提供する。この半径方向力は、ピン保持部1120内部でピン1102を中心に配置する。
【0051】
ピン1102の最下端1138は、雄形状を有するよう設計されてよく、ピン保持部1120の最下端すなわちピンシート1140は、対応する雌形状を有するよう設計されてよい。ピン最下端1138の雄形状の例としては、半球凸面の雄形状が挙げられるがそれに限定されず、ピンシート1140の雌形状の例としては、半球凹面の雌形状が挙げられるがそれに限定されない。ピン最下端1138とピンシート1140との間の形状の関係は、ピン1102のさらなる心合わせを提供する。
【0052】
キャップ部1130は、ハウジング外側部1108に結合される。ベローズ部1116の一端は、ハウジングネック1106の内側部1132に結合されており、ベローズ部1116の他端は、第1のベアリング1110に結合されている。第1のベアリング1110は、さらに、ピン保持シャフト1104の中間部1122に結合されている。後に詳述するように、上述した従来のピン持ち上げシステムとは対照的に、第1のベアリング1110は、第2のベアリング部1112から一定の距離dに留まらない。本発明の一態様によると、第1のベアリング1110は、第2のベアリング部1112に対して移動可能である。
【0053】
この状態では、ピン1102は、ESC106の上面よりも下に配置されている。
【0054】
ここで、ピン持ち上げシステム1100の第2の状態、すなわち、ウエハ持ち上げ状態について、図12を参照しつつ説明する。
【0055】
ESC106のピン開口部546を通してピン1102を持ち上げるために、持ち上げアーム(図示せず)が、ウィンドウ1114を通してノッチ1118でピン保持シャフト1104に係合する。ピン保持シャフト1104は、第1のベアリング1110がリップ部1134から離されて、ピン保持シャフト1104の中間部1122のテーパ部1146がネック空洞1148内にはまり込むまで、連続的に持ち上げられる。
【0056】
図13は、図11の部分Dの拡大図である。図に示すように、第1のベアリング1110は、実際にはハウジング外側部1108と接触していない。第1のベアリング1110は、ハウジング外側部1108から距離1302だけ離間されている。ピン持ち上げシステム1100は、このように、ピン保持シャフト1104の長さに平行な軸に沿って摩擦のない運動を提供するよう設計される。第1のベアリング1110は、さらに、環状空間1142を備えるよう設計されてよく、環状空間1142は、第1のベアリング1110がハウジング外側部1108に接触した場合の摩擦を低減させるために、潤滑剤で満たされてよい。
【0057】
図14は、図11の部分Eの拡大図である。図に示すように、ピン保持シャフト1104の端部1124は、実際には第2のベアリング部1112と接触していない。端部1124は、第2のベアリング部1112から距離1402だけ離間されている。ピン持ち上げシステム1100は、このように、ピン保持シャフト1104の長さに平行な軸に沿って摩擦のない運動を提供するよう設計される。第2のベアリング1112は、さらに、環状空間1144を備えるよう設計されてよく、環状空間1144は、端部1124が第2のベアリング部1112に接触した場合の摩擦を低減させるために、潤滑剤で満たされてよい。
【0058】
ピン保持シャフト1104の側方移動を制限するために、ピン保持シャフト1104の外径は、第2のベアリング部1112の内径にできるだけ近い値に設計されており、第1のベアリング1110の外径は、ハウジング外側部1108の内径にできるだけ近い値に設計されている。しかしながら、それでも、上述のように、ピン保持シャフト1104を摩擦なく移動させるためにギャップが存在する。これらのギャップは、以下で図15および図16に関して説明するように、ピン1102の傾斜につながる。
【0059】
第1の状態では、ピン持ち上げシステムのピンは、ESCの表面よりも下に配置される。実施形態のピン持ち上げシステム1100に関して、図15の矢印1502がピン保持シャフト1104の理想的な縦軸を表すと仮定する。その時、ピン1102の縦軸はESC106の上面に垂直になる。この例において、図11に示したように、端部1124が点1146で第2のベアリング部1112に接触し、第1のベアリング1110が点1148でハウジング外側部1108に接触するように、ピン保持シャフト1104が傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト1104の縦軸は、実際に図15の矢印1504に平行になる。したがって、この例では、ピン保持シャフト1104は、角度φ’だけ傾いている。
【0060】
この例において、ピン持ち上げシステム1100が第1の状態にある時、第1のベアリング1110と第2のベアリング部1112との間の距離をd’とする。間隔Δ1’1506は、第1のベアリング1110とハウジング外側部1108との間の間隔であり、図13では距離1302として示されている。そうすると、図15において、距離d’および間隔Δ1’1506は、角度φ’と以下の関係を満たす:
cosφ’=Δ1’/d’ (4)
したがって、距離d’および間隔Δ1’1506がわかれば、ピン保持シャフト1104の初期最大傾斜角φ’を算出できる。
【0061】
図5および図6に関して上述した従来のピン持ち上げシステムと異なり、本発明の一態様に従ったピン持ち上げシステムでは、ピン保持シャフトの傾斜角が、一定のままではない。特に、後に詳述するように、本発明の一態様に従ったピン持ち上げシステムでは、第1のベアリングと第2のベアリング部との間の距離が、一定のままではない。したがって、ピン保持シャフト1104の初期最大傾斜角φ’は、ピン持ち上げシステムの第1の状態に対応しており、ピン持ち上げシステムの第2の状態に対応するピン保持シャフト1104の最終最大傾斜角よりも大きくなる。
【0062】
第2の状態では、ピン持ち上げシステムのピンは、ESCの表面よりも上に配置される。実施形態のピン持ち上げシステム1100に関して、図16の矢印1602がピン保持シャフト1104の理想的な縦軸を表すと仮定する。その時、ピン1102の縦軸はESC106の上面に垂直になる。この例において、図12に示したように、端部1124が点1146で第2のベアリング部1112に接触し、第1のベアリング1110が点1248でハウジング外側部1108に接触するように、ピン保持シャフト1104が傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト1104の縦軸は、実際に図16の矢印1604に平行になる。したがって、この例では、ピン保持シャフト1104は、角度αだけ傾いている。
【0063】
この例において、ピン持ち上げシステム1100が第1の状態にある時、第1のベアリング1110と第2のベアリング部1112との間の距離をd’’とする。間隔Δ1’’1606は、第1のベアリング1110とハウジング外側部1108との間の間隔である。そうすると、図16において、距離d’’および間隔Δ1’’1606は、角度αと以下の関係を満たす:
cosα=Δ1’’/d’’ (5)
したがって、距離d’’および間隔Δ1’’1606がわかれば、ピン保持シャフト1104の最終最大傾斜角αを算出できる。
【0064】
ピン保持シャフト1104の最終最大傾斜角が算出されると、ピン持ち上げシステム1100が第2の状態にある時のピン1102の望ましくない最大側方変位を決定できる。図12に戻ると、距離D’’は、ESC106の上面から、端部1124が第2のベアリング部1112に接触する点1146までの距離である。ピン保持シャフト1104の最大傾斜角αと距離D’’を用いれば、ピン1102の最大側方変位を決定できる。
【0065】
図17に示すように、ピン持ち上げシステム1100が第2の状態にある時、矢印1702がピン保持シャフト1104の理想的な縦軸を表すと仮定する。その時、ピン1102の縦軸は、ESC106の上面に垂直になる。この例において、ピン保持シャフト1104が、最大傾斜角αだけ傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト1104の縦軸は、実際に図17の矢印1704に平行になる。さらに、ピン1102の最大側方変位は、Δ2’’1706である。そうすると、距離D’’および最大傾斜角αは、Δ2’’1706と以下の関係を満たす:
Δ2’’=D’’cosα (6)
したがって、距離D’’および最大傾斜角αがわかれば、間隔Δ2’’1706を算出できる。
【0066】
式(5)を式(6)に代入すると、以下の式が得られる
Δ2’’=(D’’/d’’)Δ1’’ (7)
したがって、ピン持ち上げシステム1100が第2の状態にある時、ピン1102の最大側方変位Δ2’’は、ESC106の上面から点1146までの距離D’’と、第1のベアリング1110および第2のベアリング部1112の間の距離d’’との比に直接関係している。
【0067】
一例として、本発明に従った一例のピン持ち上げシステムの第1の状態において、第1のベアリング1110と第2のベアリング部1112との間の距離d’を1.2cm、そして、第1のベアリング1110とハウジング外側部1108との間の間隔Δ1’を1.4mmであると仮定する。かかる例において、式(4)を用いると、初期最大傾斜角φ’は、1.8°になる。
【0068】
ただし、第2の状態において、最終最大傾斜角αは、初期最大傾斜角φ’よりも小さい。
【0069】
本発明に従った一例のピン持ち上げシステムの第2の状態では、第1のベアリング1110が第2のベアリング部1112に対して移動しているために、第1のベアリング1110と第2のベアリング部1112との間の距離d’’が2.0cmになっていると仮定する。さらに、ESC106の上面から点1146までの距離D’’が4.4cmであり、第1のベアリング1110とハウジング外側部1108との間の間隔Δ1’が1.4mmのままであると仮定する。かかる場合、第1のベアリング1110および第2のベアリング部1112の間の距離d’’に対するESC106の上面から点1112までの距離D’’の比は、2.2である。式(7)を用いると、ピン持ち上げシステム1100が第2の状態にある時のピン1102の最大側方変位Δ2’’は、3.08mmと算出される。換言すると、ピン1102は、3.08mmの望ましくない側方の遊びを有しており、それにより、ピン1102は、ESC106と接触して損傷しうる。つまり、上述した従来のピン持ち上げシステムよりも側方の遊びが40%低減される。
【0070】
本発明の一態様に従ったピン持ち上げシステムは、ピンがESCの表面に近づいた状態にある時に、持ち上げピンの最大側方移動を減少させる。ピン保持シャフトのピン保持部内で半径方向力を提供する装置が、ピンのさらなる心合わせを提供する。さらに、ピン保持シャフトのピン保持部内におけるピン最下端およびピンシートの形状が協働して、ピンのさらなる心合わせを提供する。最後に、ピン持ち上げシステムの第1のベアリングおよび第2のベアリング部の間の距離を変化させることにより、持ち上げピンの最終最大側方移動が小さくなる。
【0071】
本発明の様々な好ましい実施形態に関するこれまでの記載は、説明を目的としたものである。つまり、本発明を網羅するものでも、開示された正確な形態に本発明を限定するものでもなく、上述の教示に基づき、多くの変形例および変更例が可能であることは明らかである。上述した代表的な実施形態は、本発明の原理および実際の応用を最も良く説明することで、当業者が、様々な実施形態、および、想定される特定の利用に適した様々な変形例で、本発明を最適に利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【背景技術】
【0001】
半導体ウエハは、ウエハ処理システム内で処理される。ここで、従来のウエハ処理システムの一例を、図1および図2を参照して説明する。
【0002】
図1および図2は、従来のウエハ処理システムを示す。図において、ウエハ処理システム100は、閉じ込めチャンバ部102と、電極104と、静電チャック(ESC)106と、電極駆動源112と、ESC駆動部源114と、ピン持ち上げシステム116と、を備える。閉じ込めチャンバ部102は、入力部108および出力部110を有する。ピン持ち上げシステム116は、持ち上げピン118を備える。閉じ込めチャンバ部102は、半導体ウエハ120を処理するために用いられる処理空間122を取り囲む。
【0003】
動作中、図1に示すように、半導体ウエハ120は、ESC106上に配置される。ESC駆動源114は、ESC106に電圧を印加することによって電場を生成し、その電場が、半導体ウエハ120をESC106上に保持するクーロン力を生み出す。半導体ウエハ120がESC106によって所定の位置に保持されると、複数の材料が入力部108を介して処理空間122に供給されてよく、電圧が、処理空間122内でプラズマを生成するために電極駆動源112を介して電極104に印加される。処理空間内で生成されたプラズマは、半導体ウエハ120の部分をエッチングすることにより、または、半導体ウエハ120上に材料を蒸着することにより、半導体ウエハ120と相互作用する。処理が完了すると、処理空間122内に残留した材料が、出力部110を介して除去される。次いで、第2の駆動源114は、ESC106への電圧の印加を停止し、それによってクーロン力が消失して、半導体ウエハ120が解放される。次に、図2に示すように、ピン持ち上げシステム116は、半導体ウエハ120を押し上げて表面の張力を緩和し、ESC106から半導体ウエハ120の一端を持ち上げる。次いで、半導体ウエハ120は、ウエハ処理システム100から取り出される。
【0004】
半導体ウエハ処理のすべての側面において必要とされる精密さを維持するには、ウエハ処理システム100の構成および利用に細心の注意を払わなければならない。特に、ESC106は、ウエハ処理システム100の中でも非常に高価な部分である。ESC106の動作パラメータは、半導体ウエハを正確に保持および解放するために、精密に維持される必要がある。ESC106の動作パラメータの例としては、表面抵抗、表面静電容量、および、全体インピーダンスが挙げられるが、それらに限定されず、各パラメータは、ESC106の物理的な健全性の変化すなわち損傷の結果として変化しうる。そのため、物理的な健全性が損なわれた場合、ESC106は、効率的に機能しない、また、さらには全く機能しない場合がある。
【0005】
ESC106は、図3および図4に関して以下で説明するように、持ち上げピン118からの損傷を特に受けやすい。
【0006】
図3は、図1の部分Aを示す拡大図である。図3において、持ち上げピン118は、半径方向距離302だけESC106の内壁から分離されている。その分離は、持ち上げピン118とESC106との間の接触を防止するために必要であり、それにより、持ち上げピン118からESC106への損傷が防止される。
【0007】
図4は、持ち上げピン118が半導体ウエハ120の近くに移動された時の部分Aの状況の一例を示す拡大図である。図4において、持ち上げピン118の縦軸は、ライン402に沿ってESC106と垂直になることが好ましい。しかしながら、この例の状況では、持ち上げピン118の縦軸は、実際にはライン404に沿っており、角度θだけライン402に沿った軸から離れている。持ち上げピン118の縦軸がライン404に沿っているため、持ち上げピン118は、半導体ウエハ120に近づくと、ポイント406でESC106に接触する。持ち上げピン118は、半導体ウエハ120に向かって上がり続ける際に、ESC106をこすり続ける。このようにこすることでESC106が損傷する場合があり、その損傷は、ESC106の物理的健全性を変化させ、ESC106の動作パラメータを変化させ、結果として、ESC106の機能が非効率的または不適切になる場合がある。かかる場合、ESC106の修理または交換が必要になり、いずれにしてもコストが掛かる。
【0008】
ここで、図5および図6を参照して、従来のピン持ち上げシステムについてさらに詳しく説明する。
【0009】
図5は、第1の状態にある従来のピン持ち上げシステム116を示す。図に示すように、ピン持ち上げシステム116は、持ち上げピン118と、ピン保持シャフト504と、ハウジングネック506と、ハウジング外側部508と、第1のベアリング510と、ベアリング分離部512と、第2のベアリング514と、ベローズ部516と、を備える。ベアリング分離部512は、第1のベアリング510を第2のベアリング514から分離しており、さらに、そこに切り込まれたウィンドウ518を有する。ウィンドウ518は、持ち上げアーム(図示せず)がノッチ520を介してピン保持シャフト504を持ち上げることを可能にする。ピン保持シャフト504は、ピン保持部522と、中間部524と、シート部526と、ノッチ520を有する端部528と、を備える。ハウジングネック506は、シャフトガイド部532と、キャップ部534と、内側部536と、を備える。ハウジング外側部508は、リップ部530を備える。
【0010】
ピン持ち上げシステム116は、ESC106の取り付け穴540に取り付け可能である。取り付け穴540は、ネック部542と、ピン部544と、ESC106の上面にあるピン開口部546と、を備える。ネック部542は、持ち上げピン118を通すと共に、シャフトガイド部532を保持するよう設計されている。ピン部544は、持ち上げピン118を通すよう機能し、ピン開口部546は、持ち上げピン118の先端を通すよう設計されている。固定プレート548は、マウント穴540内部にピン持ち上げシステム116を保持する。
【0011】
キャップ部534は、ハウジング外側部508に結合されている。ベローズ部516の一端は、ハウジングネック506の内側部536に結合されており、ベローズ部516の他端は、シート部526に結合されている。第1のベアリング510は、ハウジング外側部508のリップ部530に結合されており、さらに、ベアリング分離部512に結合されている。ベアリング分離部512は、さらに、第2のベアリング514に結合されている。したがって、第1のベアリング510は、第2のベアリング514から一定の距離dを保っている。
【0012】
この状態では、持ち上げピン118は、ESC106の上面よりも下に位置する。したがって、ピン保持部522の上端とシャフトガイド部532との間には空間538がある。
【0013】
ここで、ピン持ち上げシステム116の第2の状態、すなわち、ウエハ持ち上げ状態について、図6を参照しつつ説明する。
【0014】
ESC106のピン開口部546を通して持ち上げピン118を持ち上げるために、持ち上げアーム(図示せず)が、ウィンドウ518を通してノッチ502でピン保持シャフト504に係合する。ピン保持シャフト504は、シート部526が第1のベアリング510から離されて、ピン保持部522の上端がシャフトガイド部532の上端に到達するまで、連続的に持ち上げられる。
【0015】
ここで、例えば、図4に関して上述したように、持ち上げピンがESCを損傷する問題について、図7〜図10を参照しつつ、ピン持ち上げシステム116に当てはめて説明する。
【0016】
図7は、図5の部分Bの拡大図である。図に示すように、ピン保持シャフト504の端部528は、実際には第1のベアリング510と接触していない。端部528は、第1のベアリング510から距離702だけ離間されている。ピン持ち上げシステム116は、このように、ピン保持シャフト504の長さに平行な軸に沿って摩擦のない運動を提供するよう設計される。
【0017】
図8は、図5の部分Cの拡大図である。図に示すように、ピン保持シャフト504の端部528は、実際にはベアリング分離部512と接触していない。端部528は、ベアリング分離部512から距離802だけ離間されている。ピン持ち上げシステム116は、このように、ピン保持シャフト504の長さに平行な軸に沿って摩擦のない運動を提供するよう設計される。
【0018】
ピン保持シャフト504の外径は、ピン保持シャフト504の側方移動を制限するために、第1のベアリング510およびベアリング分離部512の各々の内径に近づけて、従来は設計されている。しかしながら、それでも、上述のように、ピン保持シャフト504を摩擦なく移動させるためにギャップが存在する。これらのギャップは、以下で図9および図10に関して説明するように、持ち上げピン118の傾斜を引き起こしうる。
【0019】
図9の矢印902がピン保持シャフト504の理想的な縦軸を表していると仮定する。その時、持ち上げピン118の縦軸は、ESC106の上面に垂直になる。この例において、図5に示したように、端部528が点550においてベアリング分離部512に接触し、さらに、点552において第1のベアリング510に接触するように、ピン保持シャフト504が実際に傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト504の縦軸は、実際に図9の矢印904に平行になる。したがって、この例では、ピン保持シャフト504は、角度φだけ傾いている。
【0020】
上述のように、距離dは、第1のベアリング510と第2のベアリング514との間の距離である。間隔Δ1906は、端部528と第1のベアリング510との間の間隔であり、図7では距離702として示されている。そうすると、図9において、距離dおよび間隔Δ1906は、角度φと以下の関係を満たす:
cosφ=Δ1/d (1)
したがって、距離dおよび間隔Δ1906がわかれば、ピン保持シャフト504の最大傾斜角φを算出できる。
【0021】
ピン保持シャフト504の最大傾斜角φが算出されると、持ち上げピン118の望ましくない最大側方変位を決定できる。図5に戻ると、距離Dは、ESC106の上面から、端部528がベアリング分離部512に接触する点550までの距離である。ピン保持シャフト504の最大傾斜角φと距離Dを用いると、持ち上げピン118の最大側方変位を決定できる。
【0022】
図10に示すように、矢印1002がピン保持シャフト504の理想的な縦軸を表すと仮定する。その時、持ち上げピン118の縦軸は、ESC106の上面に垂直になる。この例において、ピン保持シャフト504が、最大傾斜角φだけ傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト504の縦軸は、実際に図10の矢印1004に平行になる。さらに、持ち上げピン118の最大側方変位はΔ21006である。そうすると、距離Dおよび最大傾斜角φは、Δ21006と以下の関係を満たす:
Δ2=Dcosφ (2)
したがって、距離Dおよび最大傾斜角φがわかれば、間隔Δ21006を算出できる。
【0023】
式(1)を式(2)に代入すると、以下の式が得られる:
Δ2=(D/d)Δ1 (3)
したがって、持ち上げピン118の最大側方変位Δ2は、ESC106の上面から点550までの距離Dと、第1のベアリング510および第2のベアリング514の間の距離dとの比に直接関係している。
【0024】
一例として、従来のピン持ち上げシステムにおいて、第1のベアリング510および第2のベアリング514の間の距離dを1.2cm、ESC106の上面から点550までの距離Dを4.4cm、そして、端部528および第1のベアリング510の間の間隔Δ1を1.4mmとする。かかる例では、第1のベアリング510および第2のベアリング514の間の距離dに対するESC106の上面から点550までの距離Dの比は、3.6である。式(3)を用いると、持ち上げピン118の最大側方変位Δ2は、5.1mmと算出される。換言すると、持ち上げピン118は、5.1mmの望ましくない側方の遊びを有しており、それにより、持ち上げピン118は、ESC106と接触して損傷しうる。
【0025】
したがって、ピンの側方変位を低減するピン持ち上げシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0026】
本発明の課題は、ピンの側方変位を低減するピン持ち上げシステムを提供することである。
【0027】
本発明の一態様は、上面および下面を有する静電チャックと共に用いる装置であって、前記上面は幅の分だけ前記下面から離れており、前記静電チャックは、さらに、前記上面に第1の幅を有すると共に前記下面に第2の幅を有する穴を備え、前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さく、前記上面はその上にウエハを配置することが可能である、装置に関する。その装置は、ピンと、シャフトと、ネック部と、外側ハウジング部と、を備える。ピンは、第1の幅よりも小さいピン幅を有する。シャフトは、ピン保持部と、端部と、ピン保持部および端部の間に位置する中央部と、を有する。中央部は、第1のベアリング部を有する。外側ハウジング部は、第1の端部および第2の端部を有し、第2のベアリング部を備える。シャフトは、外側ハウジング部の中に配置され、外側ハウジング部に対して移動可能である。ネック部は、第1の端部に配置される。第2のベアリング部は、ネック部に対して移動しない。第1のベアリング部は、第2のベアリング部に対して移動可能である。
【0028】
本発明のさらなる課題、利点、および、新規の特徴については、以下の記載において部分的に説明されており、以下を検討することで当業者にとって部分的に明らかになり、また、本発明の実施によって学習されうる。本発明の課題および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された手段および組み合わせによって達成および実現されうる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付の図面は、本発明の代表的な実施形態を図示しており、本明細書の記載と共に本発明の原理を説明するものである。
【0030】
【図1】ウエハ持ち上げピンがESCの表面よりも下にある第1の状態の従来のウエハ処理システムを示す図。
【0031】
【図2】ウエハ持ち上げピンがESCの表面よりも上にある第2の状態の従来のウエハ処理システムを示す図。
【0032】
【図3】図1の部分Aを示す拡大図。
【0033】
【図4】ピンが半導体ウエハの近くに移動された時の部分Aの状況の一例を示す拡大図。
【0034】
【図5】第1の状態にある従来のピン持ち上げシステムを示す図。
【0035】
【図6】第2の状態にある従来のピン持ち上げシステムを示す図。
【0036】
【図7】図5の部分Bの拡大図。
【0037】
【図8】図5の部分Cの拡大図。
【0038】
【図9】第1の状態にある図5の従来のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な向きと、第1の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の向きとの間の関係を示す図。
【0039】
【図10】第2の状態にある図6の従来のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な向きと、第2の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の向きとの間の関係を示す図。
【0040】
【図11】本発明の一態様に従って、第1の状態にあるピン持ち上げシステムの一例を示す図。
【0041】
【図12】本発明の一態様に従って、第2の状態にある図11のピン持ち上げシステムの一例を示す図。
【0042】
【図13】図11の部分Dの拡大図。
【0043】
【図14】図11の部分Eの拡大図。
【0044】
【図15】第1の状態にある図11のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な縦軸と、第1の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の縦軸との間の関係を示す図。
【0045】
【図16】第2の状態にある図12のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な縦軸と、第2の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の縦軸との間の関係を示す図。
【0046】
【図17】第2の状態にある図12のピン持ち上げシステムのピン保持シャフトの理想的な縦軸と、第2の状態で傾いた時のピン保持シャフトの実際の縦軸との間の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
ここで、本発明の一態様に従ったピン持ち上げシステムの一実施形態について、図11および図12を参照して説明する。
【0048】
図11は、本発明の一態様に従って、第1の状態にある一例のピン持ち上げシステム1100を示す。図に示すように、ピン持ち上げシステム1100は、ピン1102と、ピン保持バネ1136と、ピン保持シャフト1104と、ハウジングネック1106と、第2のベアリング部1112、第1のベアリング1110、および、ベローズ部1116を備えたハウジング外側部1108と、を備える。ハウジング外側部1108には、ウィンドウ1114が切り込まれている。ウィンドウ1114は、持ち上げアーム(図示せず)がノッチ1118を介してピン保持シャフト1104を持ち上げることを可能にする。ピン保持シャフト1104は、ピン保持部1120と、テーパ部1446を備えた中間部1122と、刻み目1126およびノッチ1118を備えた端部1124と、を備える。ハウジングネック1106は、シャフトガイド部1128と、キャップ部1130と、空洞1148を有するよう形成された内側部1132と、を有する。ハウジング外側部1108は、リップ部1134を備える。
【0049】
ピン持ち上げシステム1100は、取り付け穴540でESC106内に取り付け可能である。ネック部542は、ピン1102を通すと共に、シャフトガイド部1128を保持するよう設計されている。ピン部544は、ピン1102を通すよう機能し、ピン開口部546は、ピン1102の先端を通すよう設計されている。
【0050】
ピン保持部1120は、ピン1102を保持するための通路を内部に有する。半径方向力を提供する装置(ピン保持バネ1136など)が、ピン1102の周囲かつピン保持部1120の内部に環状に配置される。ピン保持バネ1136は、ピン1102の外周とピン保持部1120の内周との間で半径方向力を提供する。この半径方向力は、ピン保持部1120内部でピン1102を中心に配置する。
【0051】
ピン1102の最下端1138は、雄形状を有するよう設計されてよく、ピン保持部1120の最下端すなわちピンシート1140は、対応する雌形状を有するよう設計されてよい。ピン最下端1138の雄形状の例としては、半球凸面の雄形状が挙げられるがそれに限定されず、ピンシート1140の雌形状の例としては、半球凹面の雌形状が挙げられるがそれに限定されない。ピン最下端1138とピンシート1140との間の形状の関係は、ピン1102のさらなる心合わせを提供する。
【0052】
キャップ部1130は、ハウジング外側部1108に結合される。ベローズ部1116の一端は、ハウジングネック1106の内側部1132に結合されており、ベローズ部1116の他端は、第1のベアリング1110に結合されている。第1のベアリング1110は、さらに、ピン保持シャフト1104の中間部1122に結合されている。後に詳述するように、上述した従来のピン持ち上げシステムとは対照的に、第1のベアリング1110は、第2のベアリング部1112から一定の距離dに留まらない。本発明の一態様によると、第1のベアリング1110は、第2のベアリング部1112に対して移動可能である。
【0053】
この状態では、ピン1102は、ESC106の上面よりも下に配置されている。
【0054】
ここで、ピン持ち上げシステム1100の第2の状態、すなわち、ウエハ持ち上げ状態について、図12を参照しつつ説明する。
【0055】
ESC106のピン開口部546を通してピン1102を持ち上げるために、持ち上げアーム(図示せず)が、ウィンドウ1114を通してノッチ1118でピン保持シャフト1104に係合する。ピン保持シャフト1104は、第1のベアリング1110がリップ部1134から離されて、ピン保持シャフト1104の中間部1122のテーパ部1146がネック空洞1148内にはまり込むまで、連続的に持ち上げられる。
【0056】
図13は、図11の部分Dの拡大図である。図に示すように、第1のベアリング1110は、実際にはハウジング外側部1108と接触していない。第1のベアリング1110は、ハウジング外側部1108から距離1302だけ離間されている。ピン持ち上げシステム1100は、このように、ピン保持シャフト1104の長さに平行な軸に沿って摩擦のない運動を提供するよう設計される。第1のベアリング1110は、さらに、環状空間1142を備えるよう設計されてよく、環状空間1142は、第1のベアリング1110がハウジング外側部1108に接触した場合の摩擦を低減させるために、潤滑剤で満たされてよい。
【0057】
図14は、図11の部分Eの拡大図である。図に示すように、ピン保持シャフト1104の端部1124は、実際には第2のベアリング部1112と接触していない。端部1124は、第2のベアリング部1112から距離1402だけ離間されている。ピン持ち上げシステム1100は、このように、ピン保持シャフト1104の長さに平行な軸に沿って摩擦のない運動を提供するよう設計される。第2のベアリング1112は、さらに、環状空間1144を備えるよう設計されてよく、環状空間1144は、端部1124が第2のベアリング部1112に接触した場合の摩擦を低減させるために、潤滑剤で満たされてよい。
【0058】
ピン保持シャフト1104の側方移動を制限するために、ピン保持シャフト1104の外径は、第2のベアリング部1112の内径にできるだけ近い値に設計されており、第1のベアリング1110の外径は、ハウジング外側部1108の内径にできるだけ近い値に設計されている。しかしながら、それでも、上述のように、ピン保持シャフト1104を摩擦なく移動させるためにギャップが存在する。これらのギャップは、以下で図15および図16に関して説明するように、ピン1102の傾斜につながる。
【0059】
第1の状態では、ピン持ち上げシステムのピンは、ESCの表面よりも下に配置される。実施形態のピン持ち上げシステム1100に関して、図15の矢印1502がピン保持シャフト1104の理想的な縦軸を表すと仮定する。その時、ピン1102の縦軸はESC106の上面に垂直になる。この例において、図11に示したように、端部1124が点1146で第2のベアリング部1112に接触し、第1のベアリング1110が点1148でハウジング外側部1108に接触するように、ピン保持シャフト1104が傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト1104の縦軸は、実際に図15の矢印1504に平行になる。したがって、この例では、ピン保持シャフト1104は、角度φ’だけ傾いている。
【0060】
この例において、ピン持ち上げシステム1100が第1の状態にある時、第1のベアリング1110と第2のベアリング部1112との間の距離をd’とする。間隔Δ1’1506は、第1のベアリング1110とハウジング外側部1108との間の間隔であり、図13では距離1302として示されている。そうすると、図15において、距離d’および間隔Δ1’1506は、角度φ’と以下の関係を満たす:
cosφ’=Δ1’/d’ (4)
したがって、距離d’および間隔Δ1’1506がわかれば、ピン保持シャフト1104の初期最大傾斜角φ’を算出できる。
【0061】
図5および図6に関して上述した従来のピン持ち上げシステムと異なり、本発明の一態様に従ったピン持ち上げシステムでは、ピン保持シャフトの傾斜角が、一定のままではない。特に、後に詳述するように、本発明の一態様に従ったピン持ち上げシステムでは、第1のベアリングと第2のベアリング部との間の距離が、一定のままではない。したがって、ピン保持シャフト1104の初期最大傾斜角φ’は、ピン持ち上げシステムの第1の状態に対応しており、ピン持ち上げシステムの第2の状態に対応するピン保持シャフト1104の最終最大傾斜角よりも大きくなる。
【0062】
第2の状態では、ピン持ち上げシステムのピンは、ESCの表面よりも上に配置される。実施形態のピン持ち上げシステム1100に関して、図16の矢印1602がピン保持シャフト1104の理想的な縦軸を表すと仮定する。その時、ピン1102の縦軸はESC106の上面に垂直になる。この例において、図12に示したように、端部1124が点1146で第2のベアリング部1112に接触し、第1のベアリング1110が点1248でハウジング外側部1108に接触するように、ピン保持シャフト1104が傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト1104の縦軸は、実際に図16の矢印1604に平行になる。したがって、この例では、ピン保持シャフト1104は、角度αだけ傾いている。
【0063】
この例において、ピン持ち上げシステム1100が第1の状態にある時、第1のベアリング1110と第2のベアリング部1112との間の距離をd’’とする。間隔Δ1’’1606は、第1のベアリング1110とハウジング外側部1108との間の間隔である。そうすると、図16において、距離d’’および間隔Δ1’’1606は、角度αと以下の関係を満たす:
cosα=Δ1’’/d’’ (5)
したがって、距離d’’および間隔Δ1’’1606がわかれば、ピン保持シャフト1104の最終最大傾斜角αを算出できる。
【0064】
ピン保持シャフト1104の最終最大傾斜角が算出されると、ピン持ち上げシステム1100が第2の状態にある時のピン1102の望ましくない最大側方変位を決定できる。図12に戻ると、距離D’’は、ESC106の上面から、端部1124が第2のベアリング部1112に接触する点1146までの距離である。ピン保持シャフト1104の最大傾斜角αと距離D’’を用いれば、ピン1102の最大側方変位を決定できる。
【0065】
図17に示すように、ピン持ち上げシステム1100が第2の状態にある時、矢印1702がピン保持シャフト1104の理想的な縦軸を表すと仮定する。その時、ピン1102の縦軸は、ESC106の上面に垂直になる。この例において、ピン保持シャフト1104が、最大傾斜角αだけ傾いているとさらに仮定する。この場合、ピン保持シャフト1104の縦軸は、実際に図17の矢印1704に平行になる。さらに、ピン1102の最大側方変位は、Δ2’’1706である。そうすると、距離D’’および最大傾斜角αは、Δ2’’1706と以下の関係を満たす:
Δ2’’=D’’cosα (6)
したがって、距離D’’および最大傾斜角αがわかれば、間隔Δ2’’1706を算出できる。
【0066】
式(5)を式(6)に代入すると、以下の式が得られる
Δ2’’=(D’’/d’’)Δ1’’ (7)
したがって、ピン持ち上げシステム1100が第2の状態にある時、ピン1102の最大側方変位Δ2’’は、ESC106の上面から点1146までの距離D’’と、第1のベアリング1110および第2のベアリング部1112の間の距離d’’との比に直接関係している。
【0067】
一例として、本発明に従った一例のピン持ち上げシステムの第1の状態において、第1のベアリング1110と第2のベアリング部1112との間の距離d’を1.2cm、そして、第1のベアリング1110とハウジング外側部1108との間の間隔Δ1’を1.4mmであると仮定する。かかる例において、式(4)を用いると、初期最大傾斜角φ’は、1.8°になる。
【0068】
ただし、第2の状態において、最終最大傾斜角αは、初期最大傾斜角φ’よりも小さい。
【0069】
本発明に従った一例のピン持ち上げシステムの第2の状態では、第1のベアリング1110が第2のベアリング部1112に対して移動しているために、第1のベアリング1110と第2のベアリング部1112との間の距離d’’が2.0cmになっていると仮定する。さらに、ESC106の上面から点1146までの距離D’’が4.4cmであり、第1のベアリング1110とハウジング外側部1108との間の間隔Δ1’が1.4mmのままであると仮定する。かかる場合、第1のベアリング1110および第2のベアリング部1112の間の距離d’’に対するESC106の上面から点1112までの距離D’’の比は、2.2である。式(7)を用いると、ピン持ち上げシステム1100が第2の状態にある時のピン1102の最大側方変位Δ2’’は、3.08mmと算出される。換言すると、ピン1102は、3.08mmの望ましくない側方の遊びを有しており、それにより、ピン1102は、ESC106と接触して損傷しうる。つまり、上述した従来のピン持ち上げシステムよりも側方の遊びが40%低減される。
【0070】
本発明の一態様に従ったピン持ち上げシステムは、ピンがESCの表面に近づいた状態にある時に、持ち上げピンの最大側方移動を減少させる。ピン保持シャフトのピン保持部内で半径方向力を提供する装置が、ピンのさらなる心合わせを提供する。さらに、ピン保持シャフトのピン保持部内におけるピン最下端およびピンシートの形状が協働して、ピンのさらなる心合わせを提供する。最後に、ピン持ち上げシステムの第1のベアリングおよび第2のベアリング部の間の距離を変化させることにより、持ち上げピンの最終最大側方移動が小さくなる。
【0071】
本発明の様々な好ましい実施形態に関するこれまでの記載は、説明を目的としたものである。つまり、本発明を網羅するものでも、開示された正確な形態に本発明を限定するものでもなく、上述の教示に基づき、多くの変形例および変更例が可能であることは明らかである。上述した代表的な実施形態は、本発明の原理および実際の応用を最も良く説明することで、当業者が、様々な実施形態、および、想定される特定の利用に適した様々な変形例で、本発明を最適に利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面を有する静電チャックと共に用いる装置であって、前記上面は幅の分だけ前記下面から離れており、前記静電チャックは、さらに、前記上面に第1の幅を有すると共に前記下面に第2の幅を有する穴を備え、前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さく、前記上面はその上にウエハを配置することが可能であり、前記装置は、
前記第1の幅よりも小さいピン幅を有するピンと、
ピン保持部と、端部と、前記ピン保持部および前記端部の間に位置する中央部とを有するシャフトであって、前記中央部は第1のベアリング部を備える、シャフトと、
ネック部と、
第1の端部および第2の端部を有し、第2のベアリング部を備える外側ハウジング部と、
を備え、
前記シャフトは、前記外側ハウジング部の中に配置され、前記外側ハウジング部に対して移動可能であり、
前記ネック部は、前記第1の端部に配置され、
前記第2のベアリング部は、前記ネック部に対して移動せず、
前記第1のベアリング部は、前記第2のベアリング部に対して移動可能である、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記ピンは、第1のピン端部および第2のピン端部を備え、
前記第1のピン端部は、前記第2のピン端部からピン長さの分だけ離れており、
前記第2のピン端部は、雄形状を有し、
前記ピン保持部は、開口端を有する通路と、前記開口端からピン保持長さの分だけ離れたピン保持底部とを備え、
前記ピン保持底部は、雌形状を有し、
前記ピンは、前記第2のピン端部が前記ピン保持底部の上に載るように前記ピン保持部内に配置される、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記第2のピン端部は、半球凸面の雄形状を有し、
前記ピン保持底部は、半球凹面の雌形状を有する、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、さらに、
前記ピンを囲むように前記ピン保持部内に配置された半径方向力提供装置を備え、
前記半径方向力提供装置は、前記ピン保持部と前記ピンとの間で半径方向力を提供するよう動作可能である、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記ピンは、第1のピン端部および第2のピン端部を備え、
前記第1のピン端部は、前記第2のピン端部からピン長さの分だけ離れており、
前記シャフトは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記シャフトが前記第1の位置に配置された時、前記第1のピン端部は、前記上面と前記第2のピン端部との間に配置され、前記第1のベアリング部は、前記第2のベアリング部から第1のベアリング分離距離だけ離れて配置され、
前記シャフトが前記第2の位置に配置された時、前記上面は、前記第1のピン端部と前記第2のピン端部との間に配置され、前記第1のベアリング部は、前記第2のベアリング部から第2のベアリング分離距離だけ離れて配置され、
前記第1のベアリング分離距離は、前記第2のベアリング分離距離よりも長い、装置。
【請求項1】
上面および下面を有する静電チャックと共に用いる装置であって、前記上面は幅の分だけ前記下面から離れており、前記静電チャックは、さらに、前記上面に第1の幅を有すると共に前記下面に第2の幅を有する穴を備え、前記第1の幅は前記第2の幅よりも小さく、前記上面はその上にウエハを配置することが可能であり、前記装置は、
前記第1の幅よりも小さいピン幅を有するピンと、
ピン保持部と、端部と、前記ピン保持部および前記端部の間に位置する中央部とを有するシャフトであって、前記中央部は第1のベアリング部を備える、シャフトと、
ネック部と、
第1の端部および第2の端部を有し、第2のベアリング部を備える外側ハウジング部と、
を備え、
前記シャフトは、前記外側ハウジング部の中に配置され、前記外側ハウジング部に対して移動可能であり、
前記ネック部は、前記第1の端部に配置され、
前記第2のベアリング部は、前記ネック部に対して移動せず、
前記第1のベアリング部は、前記第2のベアリング部に対して移動可能である、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記ピンは、第1のピン端部および第2のピン端部を備え、
前記第1のピン端部は、前記第2のピン端部からピン長さの分だけ離れており、
前記第2のピン端部は、雄形状を有し、
前記ピン保持部は、開口端を有する通路と、前記開口端からピン保持長さの分だけ離れたピン保持底部とを備え、
前記ピン保持底部は、雌形状を有し、
前記ピンは、前記第2のピン端部が前記ピン保持底部の上に載るように前記ピン保持部内に配置される、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記第2のピン端部は、半球凸面の雄形状を有し、
前記ピン保持底部は、半球凹面の雌形状を有する、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、さらに、
前記ピンを囲むように前記ピン保持部内に配置された半径方向力提供装置を備え、
前記半径方向力提供装置は、前記ピン保持部と前記ピンとの間で半径方向力を提供するよう動作可能である、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記ピンは、第1のピン端部および第2のピン端部を備え、
前記第1のピン端部は、前記第2のピン端部からピン長さの分だけ離れており、
前記シャフトは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、
前記シャフトが前記第1の位置に配置された時、前記第1のピン端部は、前記上面と前記第2のピン端部との間に配置され、前記第1のベアリング部は、前記第2のベアリング部から第1のベアリング分離距離だけ離れて配置され、
前記シャフトが前記第2の位置に配置された時、前記上面は、前記第1のピン端部と前記第2のピン端部との間に配置され、前記第1のベアリング部は、前記第2のベアリング部から第2のベアリング分離距離だけ離れて配置され、
前記第1のベアリング分離距離は、前記第2のベアリング分離距離よりも長い、装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−516563(P2012−516563A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547037(P2011−547037)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050352
【国際公開番号】WO2010/086796
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050352
【国際公開番号】WO2010/086796
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
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