説明

ファイバーセンサー製造

本発明は、複合光ファイバーの表面上に秩序ある堆積形状を生成する方法に関し、それは、(a)複数の光ファイバーおよび/または共通方向に最密構成の複合光ファイバーを配置して、束状構造を形成するステップと、(b)適切な条件下で束状構造を引き出して、所望の直径の複合光ファイバーを製造するステップと、(c)複合光ファイバーを処理して、実質的平面の表面を製造するステップと、(d)上記表面をエッチング剤にさらして、表面起伏を製造するステップと、(e)起伏を有する上記表面を金属コーティングにさらすステップとを備える。また、本発明は、また、複合光ファイバーの縦軸に実質的に直角である実質的平面の表面上に秩序ある堆積形状を有し、直径が約1000nm未満の個々の光学素子を含む複合光ファイバーにも及ぶ。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、複合光ファイバーの横断面上に秩序ある堆積形状を生成する方法、そのように製造された複合光ファイバー、複合光ファイバーを含み、化学物質または生物物質を検知するためのセンサー、およびセンサーを利用して化学物質または生物物質を検知する方法に関する。
【発明の背景技術】
【0002】
ナノテクノロジーの新科学は、メソスケール(1〜数百ナノメーター)での原子および分子の集合体に固有の多くの場合予期しない特性によって大部分促進されている。単一材料または成分の組み合わせの新しい特性および挙動を利用して、いわゆるスマート構造やスマートシステム(smart structures or systems)を生成することに関心がもたれている。小型装置の物理的性質は一般的に、変化により影響を受けやすいことを考えると、小型装置へのセンサーの適用は特に魅力的である。特に、金属ナノ粒子のサイズに依存する光学特性に対しては化学的検知が有用とされる機会がある。
【0003】
局所表面プラスモン共鳴(LSPR)は、金属ナノ粒子のシグニチャーとなる光学的性質として説明されている。この現象は、ある金属(主として、銀、金および銅)のナノ粒子が、伝導電子のプラズマにおける集団振動を励起させるために適切な波長の光で照射される場合生じる。LSPRの結果の1つとしては、ナノ粒子の表面領域付近で電磁界が増強されることである。増幅された電磁界は、表面増強分光法でみられる著しい増強に寄与する4、5。そのため、表面増強ラマン散乱(SERS)は、恐らく、LSPRに関連した多くの興味のある効果の中で最もよく知られるものである
【0004】
ラマン散乱は、光が分子を振動させることにより非弾性的に散乱し、より高い周波数およびより低い周波数の両方へのシフトをもたらす場合観察される。例えば、散乱は、金のナノ粒子または銀の粒子を含む表面上に吸着された分子に対して10倍以上に増強されて得る。こうして、SERS活性表面に吸着された分子の単分子層の1%さえ検知されてもよい。分子のラマン活性振動周波数は、存在する種の特徴的な指紋および分子環境の高感度プローブを提供する。ラマン分光法は、ガス、溶液、固体および透明な媒体、不透明な媒体の両方を含む実質的にあらゆる種類のサンプルを調査するために他に類をみないほどに適しており、ラマン分光法は、工業、医学、生化学および環境を含めて、化学的測定がなされるあらゆる領域に潜在的用途を有する。例えば、光ファイバーセンサーおよび測定システムは、診断および治療の技術の進化と同様に、工業プロセスのオンラインモニタリングに重要な貢献をしている。金属ナノ粒子のサイズに依存する特性は、現在、多くの研究の興味を引きつけており、今後も他の用途は、開発されようとしている。
【0005】
SERSのために使用された従来タイプの基板の粒子サイズが広く分布する傾向にあり、それにより、一般に再現性および安定が悪くなることが、ラマン分光技術の利用およびさらなる開発を妨げる1つの状況である。粒子サイズの分布は、LSPRに関してピーク励起波長(λmax)の期待される粒子サイズへの依存を減らすまたは隠すと考えられる。したがって、実質的に一定のサイズ分布を有する秩序あるナノ構造体は、基板の魅力的なクラスを構成する。SERS基板の準備における向上は、分光技術における進歩とともに、本分野における新たな関心となっている
【0006】
100nm未満の構造を作製するための様々な技術が提案されている。銀粒子の規則的アレイは、フォトリソグラフィーの標準技術によって作られたシリカポストに堆積されている。より最近、e−ビームリソグラフィーが、粒子アレイの構造パラメーターにおいて、より大きな多様性を得るために使用された。しかし、従来の技術の解像度が制限されていることおよび後者の高いサンプルコストは、それらの使用を制限している。ナノ球体リソグラフィーとして知られている技術は、代替の「ボトム・アップ」アプローチを含む。この場合、金属膜は、ポリマーナノ球体の自己組織化周期アレイ上に堆積される。三角形の金属ナノ粒子は、このマスクの隙間を介して基板上に形成され、ナノ球体を取り除いた後の基板上に残る。20〜1000nmの範囲の直径を有する粒子を得ることができ、それは、快適にSERSに適するサイズ分布をカバーする。さらに、SERS信号は、ナノ粒子のアスペクト比およびローカル誘電環境を変更することにより、特定の目標分子のために最適化することができる。SERS基板を生成する上記の方法のすべては、最適化された周期的構造によって、向上され、再現可能なSERS増強が得られることが確認された。
【0007】
LSPRシステムの調製における向上は、光ファイバーセンサーの開発において特に興味深い。サンプルにレーザービームを送り、生じるラマン信号を集めるために光ファイバーを使用することにより、工業プロセスのオンラインモニタリングが可能となっている10。高感度の光ファイバープローブと、特定のSERSとの組み合わせにより、クロス感度の低い強力な化学センサーが得られる可能性が認識された11。一般に、再現可能で調製可能なSERS活性ファイバープローブは、以下のように、化学センサーの開発のために多くのさらなる長所を有する。
【0008】
(a)光ファイバーが小型および柔軟であることにより、ファイバー直径を原則として非常に小さくすることができるので(例えば、10μm未満)、非常に局所的な、最小侵入モニタリングが可能となる。プローブ素子が低価格で非侵入性を有するため、汚染されたセンサーまたは欠陥のあるセンサーを都合のよいように交換することが可能となる。これによりセンサー活性コーティングへ検地可能な粒子を完全に可逆に化学結合させること、および、このセンサー活性コーティングを変換器へ完全に不可逆に結合させることが必要でなくなり、従来の変換器に関する主な困難性も回避され得ることが示唆される12。SERSスペクトル自体の態様が、センサー性能およびデータ保全性に都合のよい内部測定を提供する場合もある。
【0009】
(b)ラマン分光法は、化学組成の変化をモニターし、複数の被分析物を識別するために特化した導光方法である。ラマン分光法は、特に水環境において、有機化合物に対して特に有効である。再現可能なSERS効果は、濃度のより正確な定量的測定を可能とするであろう。
【0010】
(c)種々の極薄表面層を個々のセンサーに適用することによって、そのレスポンスを調整することができる。選択的にレセプター分子13を吸着することによって、補足的DNA配列14へのハイブリダイゼーション、または、選択的な分割層15によって、このようなトレース分析を集中させることができる。参考文献20で実証されるように、異なるセンサーのアレイを容易に組み立てることができる。光ファイバーは、複数の導光モードを有するセンサーアセンブリの開発に適しており、その一方、ファイバー束状構造は、化学イメージングまたは異なる化合物の大きなライブラリーをふるいにかけるために使用され得る。
【0011】
これらの有利な特性は、SERSが所定の高スループット分析に使用されることを可能とし得る。
【0012】
過去、ラマン分光法は、比較的弱い信号を得るために、かさばり、かつ、繊細な設備を必要とした。最近の十年間にわたる多くの技術的改良を組み合わせることによって、ますますコンパクトで、頑丈な、自動化されたラマン器具の開発が可能とされている10。コンパクトで信頼できるレーザー源、および科学的な電荷結合素子(CCD)検知器は、現在、ファイバー結合器具に一般的に組み合わせられる。これらの要素は、ラマン技術の固有の利点と共に、広範囲の化学的測定の用途における迅速な展開に結びついている。
【0013】
実際には、ファイバーの先端上に秩序ある堆積形状を有するファイバー光センサー素子が有用である可能性があるのは、ラマン分光法のみにおけるものではない。化学的相互作用を光学信号に変換することができる、他のナノ粒子ベースの検知メカニズム少なくとも4つ知られている。これらは、LSPR消滅強度または散乱強度の変化、LSPRの最大波長(λmax)のシフト、またはこれらの組み合わせ(参考文献16およびそれの参考文献を参照)に基づく。HaesおよびVan Duyneは、銀ナノ粒子のLSPR λmaxは、ガラス基板上のナノ球体リソグラフィーを介して得られ、局所屈折率の変化および電荷移動相互作用に応じてシフトできることを実証した16。彼らは、非常に感度の高い、選択的なナノスケールの検知メカニズムが、このように達成できると主張している。波長のシフト、UV可視消滅分光用の単純な設備を使用して観察することができ、それは、フィールド・ポータブル環境用途または診断用途において有効であろう。
【0014】
研究者は、不均一なSERS活性ファイバー先端を生成する様々の方法をうまく使用している11、17、18。しかし、限られた利用可能なデータは、これらの装置のセンサーからセンサーへの再現性が、かなり劣ることを示唆する。VietsおよびHillは、センサーの同じバッチ内における、様々な調製方法によって、20%〜42%に及ぶSERS強度の標準偏差があることを報告している11。その状況は、ファイバー先端上に膠質の銀粒子を固定することにより向上することができる17。これは、95%の信頼水準で、およそ10%の相違を示し、それは、一般的な分析的な使用にはまだ不十分であると考えられる。
【0015】
参考文献3のナノ球体リソグラフィーアプローチは、DeckmanおよびDunsmuirの米国特許4,407,695号明細書に基づいており、それは、コロイド粒子の単分子層で基板を被覆し、次いで、基板にエッチングパターンを形成するためにエッチングマスクとしてコロイド粒子の単分子層を使用するステップを含む、基板表面上にリソグラフィーマスクを製造する方法を開示する。この場合、基板上にコロイド粒子の秩序あるアレイの形成は、表面に垂直な軸に関して水平面で基板を回転させることにより達成された。このアプローチは、ガラス、マイカまたはシリコンウェーハなどの平面のリソグラフィーには有効である可能性があるが、本発明者は、光ファイバーまたは他の同様の材料の横断面のコーティングに適さないと判断した。
【0016】
Michelettoら19の教示は、液体が、傾斜表面の上部から下部まで徐々に移動するインターフェースに沿って蒸発するように、水平線に対しておよそ9度の角度に表面を傾斜するステップを含む、巨視的平面基板上に小さな球体の層を堆積する方法について検討する。乾燥工程を均一にするために、最密配置に適した均一な球体が用いられる。このアプローチは、シリコンまたはガラスウエハーの表面などの巨視的平面上にミクロスフェアの一定の最密アレイを得適しているかもしれないが、光ファイバー先端、または同様のスケールの他の表面上に、秩序ある堆積形状を得ることには適さない。
【0017】
今まで、最適化された周期的SERS構造のどれも、光ファイバーシステムの分野ではうまく利用されていない。光ファイバー横断面の微細スケール(光ファイバー先端)およびラマン分光法または他の光学の測定のために、これら表面に堆積される実質的に一定で複製可能な形状の必要性を考慮すると、大きな技術的障壁が、標準リソグラフィー技術の有用な採用を制限していることは明らかである。この状況において、本発明者は、光ファイバーのファイバー先端上に、秩序ある堆積形状を生成する方法を着想した。光ファイバーの先端に対するLSPRの効果を生成する他の方法も知られているが、本発明者によって記載されたアプローチは、独自のものであり、既存の技術に対して様々な長所(例えば、再現性、安定性、低価格製造)を提供する。本発明者によって採用されたアプローチによれば、また、より小さなファイバーの融着された束状構造を含む複合光ファイバーに利点を引き起こす。複合光ファイバーによれば、単一サンプルに対する複数の光学測定を並行して行なうように構成することができる。
【発明の概要】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、複合光ファイバーの表面上に秩序ある堆積形状を生成する方法であって、
(a)複数の光ファイバーおよび/または複合光ファイバーを共通方向に最密構成で配置して、束状構造を形成するステップと、
(b)上記束状構造を適切な条件下で引き出して、所望の直径の複合光ファイバーを製造するステップと、
(c)複合光ファイバーを処理して、実質的平面の表面を製造するステップと、
(d)上記表面をエッチング剤にさらして、表面起伏を製造するステップと、
(e)起伏のある上記表面を金属コーティングにさらすステップとを備える方法が提供される。
【0019】
好ましい実施形態では、ステップ(c)行なう前に、ステップ(a)およびステップ(b)を連続的に1〜4回繰り返す。
【0020】
別の好ましい実施形態では、上記方法は、光ファイバーおよび/または複合光ファイバーを、所望の長さに切断および/または研削するステップをさらに備える。
【0021】
本発明の好ましい一実施形態では、上記実質的平面の表面は、複合光ファイバーの縦軸に実質的に直角である。
【0022】
本発明の好ましい一実施形態では、所望の構成の光ファイバー適合性支持体が、ステップ(a)において光ファイバーおよび/または複合光ファイバーを保持するために用いられる。上記支持体は、ケイ酸塩ガラスを含むことが好ましい。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態では、上記支持体を加熱下および/または真空下で分解して、上記束状構造を形成する。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、実質的平面の表面を製造する処理は、切断ステップおよび/または研削ステップを含む。
【0025】
上記エッチング剤は、酸性溶液またはアルカリ性溶液であることが好ましい。上記エッチング剤は、フッ化水素酸、塩酸、酢酸、硫酸、クエン酸、硼酸、硝酸、リン酸、安息香酸、ブタン酸、炭酸、ギ酸、硫化水素、青酸、シュウ酸、過塩素酸、水酸化カリウム、リン酸、プロパン酸、トリクロロ酢酸、水酸化ナトリウム、過酸化水素、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、フッ化アンモニウムまたはアンモニアの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0026】
上記表面を、約5秒〜約10時間、より好ましくは約10秒〜約2時間、さらに好ましくは約20秒〜約40分間、さらに好ましくは約30秒〜約10分間、最も好ましくは約1分〜約5分間、上記表面をエッチング剤にさらす。上記表面をエッチング剤にさらした後に、急冷ステップを含むことが好ましい。好ましい実施形態では、上記急冷ステップは、蒸留水ですすぐ工程を備える。上記急冷ステップを、超音波浴における攪拌によって支援する。
【0027】
上記金属コーティングステップで利用した金属は、金、銀、銅、アルミニウム、プラチナ、リチウム、インジウム、ナトリウム、亜鉛、ガリウムまたはカドミウムの少なくとも1つを含むことが好ましい。金属は、薄膜、マトリックス構成、または個々の粒子形状で上記表面上に被覆することが好ましい。
【0028】
上記金属層の厚みは、約10nm〜約1μmであることが好ましく、約50nm〜約500nmであることが好ましく、約80nm〜約300nmであることが最も好ましい。
【0029】
本発明の別の好ましい実施形態では、起伏のある上記表面を金属の多数の層で被覆することが好ましい。起伏のある表面にクロム層を塗布して、その後の金属層の表面への接着性を向上することが好ましい。
【0030】
本発明の一実施形態では、起伏のある表面の高い位置に金属を堆積させることが好ましい。本発明の別の実施形態では、起伏のある表面の低い位置に金属を堆積させる。
【0031】
本発明のさらに好ましい実施形態では、起伏のある表面に被覆された金属層を機能化して、被分析物特異物質への化学結合を可能とする。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施形態では、起伏のある表面に被覆された上記金属層を、センサー表面で、1つのまたは複数の目標の被分析物を選択的に濃縮する物質によって機能化する。
【0033】
表面上に秩序ある堆積形状を有する上記複合光ファイバーは、コヒーレントであることが好ましく、上記複合光ファイバーの個々の光学素子の直径は、好ましくは約1000nm未満、より好ましくは約500nm未満、最も好ましくは約300nm未満である。本発明の方法によって製造される上記複合光ファイバーは、光学的に均質の導波管であることが好ましい。
【0034】
本発明の別の実施形態によれば、複合光ファイバーの縦軸に実質的に直角である実質的平面上に秩序ある堆積形状を有する複合光ファイバーであって、上記複合光ファイバーは、直径が約1000nm未満の個々の光学素子を備える複合光ファイバーが提供される。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、上述した方法によって製造された、実質的平面の表面上に秩序ある堆積形状を有する複合光ファイバーが提供される。
【0036】
本発明の別の実施形態によれば、実質的平面の表面上に秩序ある堆積形状を有し、化学物質および/または生物物質のセンサーとして使用される複合光ファイバーが提供される。
【0037】
本発明のさらなる実施形態によれば、レーザーまたは広帯域光源と、分光計と、実質的平面の表面上に秩序ある堆積形状を有する複合光ファイバーと光通信される光検出器とを備える、化学物質および/または生物物質のセンサーが提供される。
【発明の詳細な説明】
【0038】
本発明をさらに図面を参照して説明する。
【0039】
以下の本明細書および請求項の全体にわたって、文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、用語「備える(含む)(comprise)」、および、「備える(含む)(comprises)」や「備える(含む)(comprising)」などの変形は、記載された整数もしくはステップ、または記載された整数もしくはステップの群の包含を意味することが理解されるが、任意の他の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群の排除を意味しない。
【0040】
本明細中の任意の先行技術への言及は、その先行技術が、オーストラリアで共通の一般知識の一部を形成することを確認するものまたは示唆の形態として受け取られるものでなく、受け取られるべきではない。
【0041】
従来の特許文献または技術刊行物に対する本明細書における参照は、参照することによって、全体として本明細書内にそのような従来の出版物の対象を組み込むものである。
【0042】
本発明は、光ファイバー先端に秩序ある表面堆積形状を生成するために採用することができる。「秩序ある表面堆積形状」とのフレーズは、考慮されている表面にわたって繰り返され、寸法および形状が実質的に一貫している表面特徴の形成を示唆するものである。
【0043】
「光ファイバー先端」または「ファイバー先端」は、光ファイバーの横断面を包含することを意図する。すなわち、表面は、ファイバーの延長方向すなわち軸方向に実質的に垂直であることが好ましい。その最も広い意味では、本発明の方法は、光ファイバーおよび/または複合光ファイバーの束状構造を形成するステップと、束状構造を適切な条件下で引き出し、所望の直径の複合光ファイバーを製造するステップと、複合光ファイバーを処理して、複合光ファイバーの縦軸に実質的に直角であることが(必ずではないが)好ましい実質的平面(つまり、ファイバー先端)を生成するステップと、表面をエッチングして、表面起伏を生成するステップと、起伏のある表面を、金属でコーティングするステップとを備える。
【0044】
本明細書の残り全体にわたって、文脈上可能であれば、本発明の方法の光ファイバーに対する適用に対する参照は、例えば、ガラス、セラミックス、ポリマー、溶融シリカ、シリカ複合材料などの、適切な条件下で引き出すことができる材料から製造され得るロッドやフィラメントなど、同様の特性を有する他の細長い物品への方法の適用も包含することが意図されることが理解されるだろう。
【0045】
安価な溶融シリカファイバーは、伝送損失が最小であり、その蛍光性は無視できるので、可視光波長におけるラマン分光法によく適する。これは、光ファイバーからのバックグラウンドラマン信号を低減する役目をする。好ましく、そして容易に利用可能なファイバータイプは、純粋なシリカコアが、ドープされたシリカクラッディングに囲まれる、全シリカファイバー(シリカ−シリカファイバーとも称する)である。光ファイバー中の個々の素子は、一般的に、導光領域を形成するシリカコアを含む。シリカコアは、屈折率を低下させる役目をするドープされたシリカクラッディングに囲まれる。これにより、コア領域内に光が閉じ込められる。典型的なドーパントは、フッ素またはホウ素を含む。この種のファイバーは、多くの民間供給業者から入手可能である。一般に、純粋なシリカコアは、可視領域で、良好な伝送特性を有するために好ましい。しかし、近赤外領域では、低い水酸化物イオン含有物を有するファイバーの使用が好ましい。
【0046】
実際、光ファイバーの光伝送は、プローブ長が短い場合には重要でなく、励起波長を変更することによりバックグラウンド蛍光信号を低減することができる。したがって、コアが、純粋なまたはドープされたシリカクラッディングに対する屈折率を上げるために、ゲルマニウムまたは燐でドープされた光ファイバーでラマン分光法を行なってもよい。あるいは好ましい実施形態では、コアの屈折率がクラッディングより低くなるように、ドーピングを行なう。この種のガラスファイバーは導光に役立たないが、以下に説明するさらなる処理後に、本発明の目的に好都合な表面起伏を提供することができる。本発明の方法は、約2μm(プレハブ複合ファイバーにおいて)〜2mmの直径を有する一般的な市販ファイバーを含む、任意の直径の光ファイバーに適用されることができる。
【0047】
個々の素子がイメージの個々のピクセルを転送する別個の光導波路として機能する、市販のイメージングファイバーなどの複合光ファイバーは、多重コア光ファイバーを予備成形束状構造から引き出して製造することが好ましい。一般的に、これらの市販の複合ファイバーの個々の素子の直径は、2〜5μmである。これに対し、本発明では、個々の素子の直径は、1μm未満、好ましくは約500nm未満、最も好ましくは約300nm未満である。これらの寸法を有する市販の「イメージファイバー」はない。これは、主にこの大きさのファイバーが、イメージファイバーとして機能しないためである。本明細書に記載されるように、個々の素子の寸法が、光波長より小さく低減される場合、素子には、導光の効果がなく、これらの素子で構成された複合ファイバーは、単一の有効な屈折率を有する均質の光媒体と見なされてします。したがって、ナノスケール素子を有するファイバーは、従来のイメージングファイバーとして使用することができない。しかし、本明細書に記載されるように、本願発明者は、本明細書中に示すように、エッチング後に得られた構造を使用して、薄い金属膜中に、局所表面プラスモン共鳴(LSPR)を生成することができることを示している。
【0048】
1600〜100,000の個々のファイバー(ピクチャー素子またはイメージング素子)からなり、各々が、約2〜5μm以上の典型的な直径を有する複合光ファイバーは市販されている。しかし、原理上は、複合ファイバーは、任意の数の個々のファイバーから構成することができる。メーカーとしては、とりわけ、Fujikura、Schott and Sumita Optical Glassが挙げられる。イメージファイバーの製造を図1に示す。
【0049】
上述したように、本発明は、市販の複合光ファイバーを利用する、または、個々の光ファイバーから複合光ファイバーを製造するための初期製造ステップを含むことが好ましい。用語「複合光ファイバー」または「複合ファイバー」は、そのようなファイバーが、適切な条件下で引き出されることにより、複数のより小さなファイバーを一緒に融着することによって実質的に形成された所望の直径のファイバーとなった、同様の指向性を有するファイバーの集合体である多重コア構造であることを示す意図で用いられている。融着されて複合ファイバーを形成する、より小さなファイバーの反対端が、それぞれの対応するファイバー先端内の実質的に等価な位置に位置するという意味で、複合ファイバーがコヒーレントであることが好ましい。すなわち、各イメージング素子(ピクセル)の相対位置は、複合ファイバーの長さ、およびそれが導出される束状構造に沿って、実質的に一定のままである。この特徴により、複合ファイバーに沿った異なるセクションから製造されたセンサープローブが、実質的に等価な起伏を示し、これにより、センサ間の測定の再現性を向上させる利点を提供する。いくつかの光学的に分離された複合ファイバーからなるアレイセンサーを組み立てる場合、これらの複合ファイバーをコヒーレントに位置させることが好ましい。その結果、ファイバーの一端で起こるSERSまたは他のLSPR事象は、ファイバーの他端での検知において、正しい位置で読み取られ、プロットされることができる。しかし、本発明によって得られるセンサー表面は、金属被覆表面の自由な側で直接に読み取られることができる程度に、十分な品質である。
【0050】
本発明の方法の最適の結果および最大の再現性を確実にするために、方法を行なう前に、存在し得る任意の保護コーティング(「バッファー」と称する)だけでなく、ほこり、湿気、グリースまたは粒子状汚染物質がなくなるように、利用される光ファイバーを洗浄すべきである。例えば、ポリマーバッファーは、機械的または化学的手段によって取り除かれることができる。機械的剥離は、適切なサイズのカッター刃または柔軟な木綿糸を利用する様々な市販のファイバーストリッパーによって行なうことができる。化学除去方法のいくつかの例としては、塩化メチレン、キシレン、加熱したプロピレングリコール、メチルエチルケトンまたはアセトンなどの溶媒に浸漬する方法、または熱硫酸などの酸に浸漬する方法が挙げられる。使用される方法は、存在する特有のバッファーに依存する。ファイバーは、化学物質からの除去後にすすがれ、高純度エタノール(例えばGC純度99.8%以上)に保存してもよい。この種のファイバーは、恐らく好ましい選択ではないが、方法は、また、金属バッファーおよびシリカクラッディングを剥離するためのものとしても知られている。最適の結果を得るためには、機械洗浄ステップ後に、化学洗浄ステップを行なうことが有利である。最適の結果を得るためには、本発明のプロセスは、クリーンルームなどのほこりがない環境で行なうことが好ましい。
【0051】
方法を開始する前に、および/または1つ以上の処理ステップの後に、適切な長さにファイバーまたは複合ファイバーを切断することが適切である。このタスクは、民間の供給業者から容易に入手でき、最も一般的に見られるファイバー用の従来のファイバー切断ツールを使用して行なってもよい。本発明の利点は、製造された複合ファイバーが従来の設備を使用して、処理され、扱われ、切断され、研磨され、結合され得る点である。
【0052】
本発明による方法の第1の態様は、複数の光ファイバーおよび/または複合ファイバーを共通方向に(すなわち、すべてのファイバーが実質的に同じ方向に縦軸を有するように)一緒に集めることである。そのプロセスは、複数の光ファイバーを利用し、それによって、形状、パターンまたはアレイが堆積する表面積を増加し、表面特徴の密度を増加させる。プロセスは、スケールアップし、機械化されることができるので、処理することができる光ファイバーの上限は、利用されている設備が収容可能な量によって決まる。しかし、例えば、3〜1,000の光ファイバーおよび/または複合光ファイバー、好ましくは50〜500、より好ましくは約100〜約350の光ファイバーおよび/または複合光ファイバーを、最密構成で一緒に配置して束状構造を形成することが都合がよい。しかし、例えば、個々の100,000ほどのファイバーを含む市販のイメージファイバーもこのように処理することができる。
【0053】
最密構成にファイバーを配置する場合に、適用できるアプローチが複数ある。ファイバーは、適合する材料からなり、所望の構成(例えば、円形、正方形、長方形、三角形の横断面形状を有しており、管状がより好ましい)を有する支持体に挿入される。材料は、好ましくは加熱および/または真空下で分解可能であり、ファイバーに過度の劣化、ダメージをもたらすことなく加熱、引き出しができる点において、「適合性」を有するべきである。好ましい材料としては、ガラス、プラスチックおよび溶融シリカが挙げられる。
【0054】
支持体を使用する場合、支持体をファイバーで実質的に満たすことが好ましい。加熱状態および/または真空状態、または部分真空状態に支持体およびその内容物をさらすことによって、六方最密構成であることが好ましく、ファイバー間に最小の自由空間を有する最密構成を達成することができる。これは、支持体の分解をもたらし、ファイバーに空間節約構成を強いる。最密ファイバー(個々のファイバーおよび/または複合ファイバーを含んでいてもよい)の構成は、本明細書では、「ファイバー束状構造」と称する。また、本発明では、支持体は、ファイバーのコア内の励起信号および散乱光信号を制限することにより、クラッド機能(つまり、導光目的)を果たす。したがって、好ましい支持体は、コア領域を構成する材料より低い屈折率を有する。さらに、支持体およびコアのそれぞれの直径は、広範囲わたって変えることができ、それによって、ファイバーの最終寸法および感知領域の柔軟性が大きくなる。
【0055】
一旦、ファイバーを配置して束状構造を形成すると、ファイバーの先端を処理して共通平面を形成することが適切とすることができるが、このステップは、代りに、または付加的に、方法全体における他のポイント、好ましくは、複合ファイバーを製造するために束上構造を引き出した後、において実行されることもできる。平面は、通常できるだけファイバーの軸に垂直に近いが、光測定の目的に都合がよい用途において、平面の表面法線は、ファイバーの縦軸から約60度以下に傾斜してもよい。しかし、より適当には、縦軸から3度〜15度である。
【0056】
平面を製造するための光ファイバー束状構造または複合物の処理には、多くの代替アプローチがある。第1に、光ファイバーは、個々に、それらの縦軸に垂直な先端表面を有するように正確に形成され、先端表面が、同じ平面内にあるように、これらのファイバーが正確に配置されたら、共通平面を形成する際に、微細な研磨以外の、さらなる処置を講ずることは不必要であろう。しかし、共通平面は、ファイバー束状構造またはファイバー複合物を切断(cleaving)(cutting)、研削および/または全体として研磨して、連続的に平らで、好ましくはファイバーの縦軸に実質的に直角な平面を形成することにより形成される可能性が高い。
【0057】
要求される表面平滑性を達成するために、例えば、9μm、3μm、0.3μm、0.05μmの一連の酸化アルミニウムラッピングフィルムなどの一連のより微細な研磨フィルムを使用して、研削および研磨を行なってもよい。表面から取り除かれる材料の率をあげるために、模造ダイヤモンドを用いる同様の方法を用いてもよいが、このアプローチでは、まだ、例えば、0.05μmの酸化アルミニウム粒子を用いる最終研磨が必要と成る。これは、ダイヤモンド粒子が、このサイズでは一般に利用可能でないためである。代替の研磨アプローチは、化学エッチングおよび機械摩耗の組み合わせに基づく。酸化物のための一般的な化学機械研磨は、pHドリフトを防ぐためにバッファーされるアンモニアまたは水酸化カリウム環境中に懸濁された溶融シリカ研磨材からなるスラリーに基づく。この研磨工程の利点は、シリカが高いpHで軟化し、容易に取り除かれるということである。
【0058】
束状構造は、束状構造を加熱するステップおよび、均一な力で束状構造の半固形材料の端部を引き出すステップ含む従来の条件下で、引き出されてもよく、その結果、図1、2に示すように、均一な直径の極細ファイバーまたはフィラメントを製造する。引き出し中の直径の大きな変化に対して横断面の構造を正確に維持するガラス繊維の限度は公知である。市販のファイバー引き出し設備は、予め形成された束状構造を適切に制御された直径に、引き出すことができ、それによって、個々のファイバーに要求される正確なサイズを提供することができる。このように、束状構造内の個々のファイバーの直径は、ナノメータースケールにまで低減することができ、これは、従来のミクロ機械加工またはマイクロリソグラフィー加工を使用して達成することは、不可能でないにしても困難である。引き出しステップの結果、一緒に融着される、より小さな直径の個々のファイバーの集合体を備える複合ファイバーが生成される。ある種類の引き出す装置によって機械的に保持されるので、次に続く予備成形物の端部を引き出すステップは、一般的に不要となる。引き出し装置は、軟化したガラスに、制御された張力を及ぼし、それによって、予備成形物を所望の直径に引き出すことを可能にする。
【0059】
個々のファイバーは、ファイバーを一緒に保持するために、端部から束状構造を(熱を使用して)融着させることにより、支持体(この場合、チューブの形態)の内部の位置に固定してもよい。次いで、融着された端部を機械的に保持して、引き出しを開始する。このアプローチは、予備成形物を組み立てるロッドインチューブ方法として知られており、数年にわたるいくつかの特許(米国特許第6,711,918号に参照される)の対象である。
【0060】
ファイバー間の空隙は、半液体ガラスの自然流入によって単に満たされてもよい。または、より低い粘性の追加のクラッディングを使用してもよく、それは、イメージファイバーより低温で流れ、したがって、空隙を満たす、および/または個々の成分間の接着性を促進する(米国特許第4,011,007号参照)。本明細書の他の部分に示唆されるように、以下の実施形態においてエッチングされたファイバーで得られた構造は、実際、フッ素をドープされたクラッディングによるではなく、ピクチャー素子のシリカガラスのまわりに、このようなより低い粘性材料が存在することによって得られる。さらなるのアプローチでは、ガス状の「表面処理物質」は、高温で、ロッドと支持チューブの間の隙間を流される。これは、高温で、成分を一緒に融着することに役立つ(米国特許4,264,347号明細書および米国特許4,668,263号明細書参照)。ガス泡が、透過光線の著しい損失を引き起こす場合があるので、このアプローチにおいて、ロッド間にガス泡が捕捉されることを防ぐことは重要である。
【0061】
そのようなファイバーは、支持体で製造されたものより弱いが、の「裸の」ファイバー束状構造(つまり、融着された端部で直接留められるが、支持体を有さない束状構造)に引き出されてもよい。
【0062】
シリカファイバー束状構造のための引き出しパラメーターの典型的な範囲は、(例えば、環状電気炉中で達成される)1850〜2000℃の引き出し温度および約0.5〜約20m/minの引き出し速度を採用する。引き出し変数は、互いに依存する。速度は、主として設備性能(モータ、膜厚モニターなど)に依存し、予備成形物およびファイバー直径(保存質量)に関係する。温度は、標準の引き出しに関して同様の方法で確立されており、あまりにも高い温度は、不安定(粘性が低すぎる)、ドーパントの過度の拡散、および変形を引き起こし、一方、あまりに低い温度は、ファイバーを破壊させる(張力が高すぎる)。イメージングで使用される、引き出され、融着されたファイバーの束状構造の最初の記載は、1965年(米国特許第3,190,735号)にN.S.Kapanyによる。この前の束状構造は、所望の最終直径のファイバーから組み立てられ、それらファイバーは、端部で単に一緒に留められていた。
【0063】
基本的なイメージファイバー(あるいは、予備成形でのロッド)の適切な配列は、注意深い手作業の組み立てによって一般的に達成される。しかし、米国特許第4,397,524号には、回転(支持チューブは、旋盤に設けられてもよい)および/または超音波振動で、水が支持チューブを流れる方法が記載されており、それにより、ファイバー/ロッドを規則的に整列したパターンに密集させる。
【0064】
外側に、イメージング用途の場合に隣接ピクチャー素子間での光の漏出を低減するための吸収器を備えて構成されるイメージファイバーもある。これらのイメージファイバーは、スケールを小さくすると、これらの吸収器に導かれる更なる光損失があるため、本発明においてはあまり注目されない。しかし、これらの損失は、センサー長が短い場合には大きな問題ではない。
【0065】
一旦、より小さな直径のファイバーの集合体を含む複合ファイバーが得られたならば、複数の光ファイバーを集め、次いで得られたファイバー束状構造を引き出すステップを、別々にまたは連続的に何度も繰り返してもよい。これは、以下の2つの主な目的を達成する役目をする。
【0066】
a)複合ファイバーの全直径を好ましい値に維持したまま、個々のファイバーの直径をさらに低減して所望のスケールにする(図2参照)。
【0067】
b)特有のアレイ形状で、好ましいセンサー形状を得ることを可能にする。
【0068】
本発明で用いられる光学特性のサイズ依存を考えると、第1の目的は明らかである。同時に、その結果、得られたファイバーが、標準ファイバーツールで容易に処理されるように、複合ファイバー(例えば、125μmなど)の標準の外径を維持することが好ましい。図3(a)および3(b)で挙げられた実施形態に基づいて、第2の目的をさらに以下に検討する。
【0069】
多数の被分析物の並列測定用センサーアレイの調製は、薬剤スクリーニングおよびプロテオミクスにおける重要な用途を考えると、重要性が増す分野である。これらは、化合物の多量のライブラリーにわたって生じる化学または生物相互作用が、新しい治療および診断テストの開発に影響する分野である。アレイ測定は、また、化合物の複合混合物、例えば芳香、食物、環境モニタリングを分析する必要のある用途に役立ってもよい。本発明の状況では、各複合ファイバーが、隣接する複合ファイバーと干渉することなく、導光することができれば、複合ファイバーの束状構造を組み立てることによりセンサーアレイを得ることができる。アレイ中の素子の数は、原則、市販のイメージファイバーで見られる2〜100,000のファイバーの範囲である。同時に、様々な機能性は、所望の範囲の測定を行なうために、各センサー素子上で達成されなければならない。これは、以下に記載される少なくとも2つの基礎的な方法で達成することができる。
【0070】
まず、個々の複合ファイバーを複数の束状構造に集め、その各々を最密構成に配置してもよい。次いで、その束状構造を含むファイバーのセンサー端部に、異なる被分析物特異物質を取り付けるために、各束状構造を、バッチとして扱う。次いで、参考文献20の方法に従って、ファイバー、またはファイバーの群を異なる束状構造から分け、新しい束状構造と組み合わせて、センサーのアレイを製造する。このように、各ファイバーまたはアレイ内のファイバー群を、1つのまたは複数の光学検波器が個別に扱うことができる。各ファイバーまたはファイバー群は、試験サンプルの異なる成分に対して異なる特徴的な反応をする。これにより、一意のパターンの応答ができ、センサーによる迅速なサンプルの識別が可能になる。
【0071】
後に分離する必要性を考慮し、ファイバーをバッチ処理のために束状構造に集めるために採用することができるいくつかのアプローチがある。ファイバーが共通方向に向くように位置させる際に、堆積のための表面を形成する先端が、共通平面に、またはほぼ共通平面に位置するように、ファイバーを位置させてもよい。先端表面を、確実にほぼ同じ平面に位置させることによって、一様に堆積させることができる共通平面を形成することが必要であれば、研削または研磨の量を最小限にすることができる可能性がある。研削または研磨を行なうために、共通に方向付けられたファイバーは、互いにおよび研磨表面に対して堅く固定されなければならない。これを達成するために、図3(a)に示すように、共通に方向付けられたファイバーは、周囲を結ぶことや、適合性高分子フィルムで包むことなどによって機械的に保持されてもよい。あるいは、それらを、適合性凝固液体に浸漬させる、または、適合性凝固液体、または、化学変化または熱変化に敏感な特性を示す天然樹脂または人工樹脂、ポリマーもしくは、ろうなどの接着剤で被覆してもよい。使用されてもよい好ましい材料は、Aremco Products,Inc.から市販され、Crystalbond(商標)として知られている熱可塑性ポリマーである。この材料は、ガラスに対して優れた接着性を提供し、77℃の温度で流動し、その温度での粘性は6000cpsである。加熱すると、接着剤は、容易にアセトンまたはメチルエチルケトンに溶解する。
【0072】
または、ファイバー束状構造を構成する個々のファイバーを個々に切断し、次いで、平面を生成するように位置させてもよい。一旦、ファイバー束状構造中のファイバーを共通平面に位置させ、十分に滑らかな表面仕上げがされていれば、束状構造を、以下に記載するエッチング、金属コーティングおよび機能化段階に進ませることができる。一旦、被覆段階を終えたセンサー表面へのダメージの可能性を最小限にするために、共通に方向づけられたファイバーは、周囲を結ぶことや、適合性高分子フィルムで包むことなどによって、機械的に保持されることが好ましい。
【0073】
各複合ファイバーが、隣接する複合ファイバーから干渉されることなく導光できることを確実にするように、複合ファイバーの束状構造を製造することができる第2の方法が、図3(b)に示される。このアプローチでは、イメージファイバーまたは複合ファイバーは、予備成形束状構造中の屈折率が低減された領域によって互いに分離され、その結果、引き出された、アレイ内の各イメージファイバーまたは複合ファイバーを、1つのまたは複数の光学検波器が個別に処理することができる。引き出しプロセスは、センサー領域のアレイを有する単一構造をもたらす。市販のイメージファイバーを使用する場合、屈折率が低減されたクラッディングチューブ内にファイバーを設置しなければならない場合がある。複合ファイバーを使用する場合、複合ファイバーを製造するために使用される支持チューブは、必要な直径および屈折率プロフィールが得られるように選択することができる。引き出した後、ファイバーアレイを、切断または研磨し、次いで、金属で被覆し、機能化する。単一アレイ中の異なる位置で異なる機能性を得るために、このアプローチには、サイト選択的蒸着方法が求められる。好ましい実施形態では、これは、光活性化可能な結合リンカーまたは光活性化可能な接着剤またはマスクによって達成される。このように、機能性の定義された領域は、アレイ上の選択されたサイトで連続して製造されてもよい。
【0074】
一旦、任意の必要な処理を行なって、ファイバー先端を生成すると、ファイバー先端をエッチング工程で処理することができる。引き出しステップに続いて、複合ファイバーを従来の保護バッファーコーティングで覆ってもよいが、このコーティングは、エッチングに先立って、ファイバー先端に隣接する付近で取り除かれなければならない。エッチングステップは、個々のファイバーのクラッディングの溶解とは異なる割合で、個々のファイバーのコア物質を溶解するエッチング剤にファイバー先端をさらす工程を備える。この選択的エッチングの結果として、表面が、起伏を有するように「ハニカム」タイプの構造が作製される。この文脈において、用語「起伏」は、図4に示すように、一連の繰り返され実質的に一貫した形状およびサイズの穴、または突起および周囲境界などの表面の輪郭を示すことを意味する。穴または突起は、個々のファイバーのコア物質に相当し、境界は、個々のファイバーのコアを取り巻く材料に相当する。コアがクラッディングより速い速さでエッチングする場合、穴が生じ、一方、コアがクラッディングより遅い速さでエッチングする場合、突起が生じる。純粋ケイ酸塩ガラス、および、ドープされたケイ酸塩ガラスのエッチング速度は、ドーパント濃度、密度、ドーパント種および応力を含む、いくつかの要因の複合関数である。したがって、コアとクラッディング領域におけるドーパントの判断選択によって詳細なトポグラフィーを調整することができる。
【0075】
ファイバー先端は、例えば、先端をエッチング剤溶液に浸漬することにより、シリンジまたはスポイトを使用してファイバー先端にエッチング剤を塗布することにより、または他のルーチンアプローチにより、エッチング剤にさらされることができる。コンテナー、他の器具等との接触によるダメージの可能性を回避するために、この操作中にファイバーを適切な位置に留めておくことが好ましい。同時に、例えば超音波処理または攪拌によって、ファイバーまたはエッチング液を激しく動かしてより均一なエッチングを促進してもよい。
【0076】
好ましいエッチング剤としては、実質的に微粒子のない蒸留水を使用する酸性水溶液またはアルカリ性溶液が挙げられる。好ましいエッチング剤としては、フッ化水素酸、塩酸、酢酸、硫酸、クエン酸、硼酸、硝酸、リン酸、安息香酸、ブタン酸、炭酸、ギ酸、硫化水素、青酸、シュウ酸、過塩素酸、水酸化カリウム、リン酸、プロパン酸、トリクロロ酢酸、水酸化ナトリウム、過酸化水素、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、フッ化アンモニウムまたはアンモニア、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらの化合物のうちのいくつかの蒸気も、有効なエッチング液であると知られている。他の可能なエッチング方法としては、リアクティブイオンエッチング、または誘導結合プラズマエッチングが挙げられ、ここで、炭素、およびフッ素、塩素または臭素などのハロゲンを含むガス状化合物は、プラズマを製造するために一般的に使用される。さらに、処理装置およびガラスエッチングにおいて、有効性の程度が異なるいくつかの市販のエッチング液が、Surface Technology Systems,Ashland,Transcene and Cyantekなどの会社から市販されている。
【0077】
適切な実質的に微粒子のない蒸留水は、マイクロフィルターで浄化された水を含んでもよく、この水は、オプションとして界面活性剤などの添加物をさらに含んでいてもよい。例えば、利用される水の抵抗は、10MΩ以上であり、特に好ましくは、少なくとも15MΩ、最も好ましくは、約18MΩであり、Millipore Milli−Q浄水装置によって製造することができる。
【0078】
エッチングされた表層構造の起伏の範囲は、その濃度または成分の相対的濃度とともに、エッチング剤にさらされる温度および時間を制御することにより制御することができる。例えば、フッ化水素酸(20体積%の水溶液)などの好ましいエッチング剤を利用する場合、21℃の室温でエッチングするために約5秒〜約10時間、好ましくは約10秒〜2時間、さらに好ましくは約20秒〜20分、さらに好ましくは約30秒〜約5分、最も好ましくは、約1分〜2分さらされる。エッチング速度は、使用される特定の酸、それらの濃度および温度に依存する。エッチング工程は、ファイバー先端からエッチング剤を取り除くことによって急冷されることができ、例えば、蒸留水または別の適切な溶媒によって達成することもできる。好ましい洗浄方法は、脱イオン化水、アセトンおよびメタノールの順ですすぐステップを含む。次いで、ファイバーを微粒子のない空気またはガスでブロー乾燥してもよい。
【0079】
金属の薄膜は、例えば、金属を保持し、真空中で蒸発させるため、円錐形のかごの形状である抵抗加熱タングステン素子を使用する加熱蒸発コーティングユニット(Emitech K950x Turbo Evaporatorなど)を使用して、エッチングされた表面にわたって堆積させることができる。金属堆積中、ファイバーは、ユニットの金属を含むかごの下であって、好ましくはかごに垂直な位置に留められることが好ましい。ファイバーは、金属源から約40mm〜120mmの距離であることが好ましい。電子線蒸発およびイオンビームスパッタリングなどの他のコーティング方法を使用して、薄い金属膜を生成することもできる。
【0080】
アルミニウム、プラチナ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、コバルト、鉄、リチウム、インジウム、ナトリウム、亜鉛、ガリウムおよびカドミウムなどの他の金属を使用してもよいが、金属膜は、金、銀および/または銅を含むことが最も好ましい。例えば、金の堆積の場合には、Goodfellow Corp.から市販されている0.2mmの直径の高純度の金ワイヤーを、金源として利用することができる。金属は、例えば、約10nm〜約1μm、好ましくは、約50nm〜約500nm、最も好ましくは約80nm〜約300nmの厚みで、完全な薄膜で表面上に被覆することができる。また、金属は、例えば、エッチング表面の低いまたは高い位置に、マトリックス構成(例えば、エッチング表面の低い位置は被覆されるが、エッチング表面の高い位置は金属コーティングを通り抜ける場合)に、または個々の粒子として堆積させることもできる。金属の個々の粒子は、例えば、ファイバー先端が金属源に対して垂直ではなく、角度をなすことにより、エッチング表面の高い位置に堆積させることができる。
【0081】
蒸気堆積ユニットは、堆積フィルムの厚みをモニターするために、水晶振動子微量天秤(Emitech K150x フィルム厚モニターなど)を含んでいてもよい。フィルムの厚みは、所望の層の厚みを達成するのに必要な金属の長さを計算することにより概算することができる。実際の基板上の金属の厚みは、原子間力顕微鏡(AFM)または走査電子顕微鏡によって容易に確認することができる。
【0082】
金属膜は、その粗さにより有用な光学的性質を示すことができ、また、コーティングは、金属が、分離された粒子に結合するようにアニールすることができる。熱アニールは、エッチング表面上での金属原子の可動性を増加させる役目をする。例えば、金の薄膜中の粒子は、およそ4分間、約800℃の温度にまでアニールすることにより再形成することができる。このように、エッチングされた穴内に金属粒子を規則的に分散させるなどの好ましい粒子形状を生成することが可能である。または、ファイバーは、被覆堆積方向に対してある角度で配置することができ、その場合には、表面上の最も高い位置だけを被覆される。このアプローチは、分離された金属粒子を製造することも知られている。
【0083】
表面特徴および得られた金属膜の均質性は、優れた再現性および安定性を示し、一方、エッチングは、引き出したファイバーからの安価な製造を可能とする。光ファイバーは、フィルムまたは粒子の光学的性質を、様々なセンサー技術に利用できるようにする点で、技術的に重要な基盤である。
【0084】
金および銀は、最も一般に用いられている金属であるが、上述したように、いくつかの他の金属も、興味のある特性を有する。HaesおよびVan Duyneは、表面増強ラマン散乱とは別に、これらの構造は、UV可視消滅スペクトルに基づいて、高性能な設備を必要とせずにセンサー技術に用いられる報告している16
【0085】
本発明は、光ファイバーまたは同様の特性を有する他の物品の横断面上に秩序ある堆積形状を生成する方法だけでなく、同様に光ファイバーまたはそのように製造された物品に適用でき、特に、例えば、ラマン分光法で化学センサーとして使用されることができる物品、または実際に、UV可視消滅分光学などの分光学の他の形態にも適用できることが理解される16。本発明によって製造された先端上に秩序ある堆積形状を有する光ファイバーは、1000nm未満、好ましくは約500nm未満で、最も好ましくは約300nm〜10nmの直径を有する個々の光学素子を有することによって特徴づけられる。このように、本発明のファイバーは、光学的に均質の導波管、または光学的に均質の導波管のアレイの役割をすることができる。
【0086】
完全に一体化されたファイバーベースのプローブを使用して、コンパクトで単純で調整不要な(alignment free)サンプリングシステムを得ることができる。図7に示されるいわゆるオプトロード設計は、単一のファイバーを使用して、サンプルへの励起放射およびラマン散乱光を戻すことの両方を実行する。このセンサースタブは、ファイバー自体からのラマン散乱のバックグラウンドを低減するために、実現可能な程度に短くされる。導光ファイバーの後の色分離フィルター(または等価な光学部品)は、励起波長の光だけがサンプルに達することを確実にする。同時に、フィルターは、収集ファイバーに向かう波長のラマンバンド内の光を反射する。これは、サンプルと分光計の間のファイバーにラマンまたは蛍光性を生じ得る、シフトしていない光を低減する。本発明による化学物質および/または生物物質のセンサーの重要な素子は、例えば、SpectraPhysics Model 127ヘリウム−ネオンレーザー(波長633nm)、または他の同様の装置のようなレーザー照明源と光通信する複合光ファイバー(図7のセンサー表面と称する)である。複合光ファイバーは、また、そこに伝送された照明によって、LSPRまたは他の光学事象を検知することができる分光計および光検出器と光通信する。
【0087】
分光計はラマン散乱光のスペクトルを分析するために使用される。この目的に使用される典型的な分光計は、回析格子または体積相ホログラフィー格子によってそのスペクトル成分に光を分散させる。音響光学変調器をこの目的に使用したり、または、通過帯域フィルターを使用して、スペクトル領域を選択したりする場合もある。増感ファイバー先端から反射される、または先端を通して伝送される広帯域光源からのスペクトル分布を分析するためにも同様の装置を使用することができる。
【0088】
分光計によって生成されたスペクトル分布は、光検出器によって電気的信号に変換される。電荷結合素子(CCD)に加えて、他の適切な検知器としては、光電子増倍管、フォトダイオード、フォトダイオードアレイおよび相補金属酸化膜半導体(CMOS)検知器が挙げられる。レンズやフィルターなどの他の従来の光学素子も、センサー装置内に組み込まれていてもよい。
【0089】
本発明によるセンサーを利用して、様々な化学サンプルおよび/または生体サンプル、または薬物、毒素、工業製品、食物、および飲料製品および香水などの物質、環境サンプル(例えば、水または空気)、酵素、化学試薬、タンパク質、砂糖、ペプチド、核酸またはバクテリア、ウイルス粒子等の微生物の存在および組成を検知してもよい。本発明によって生成されたファイバー先端は、当業者に公知の化学的方法によって容易に機能化することができる。機能化は、先端の金属層、マトリックスまたは粒子上に、1つまたは複数の被分析物特異物質の導入を可能にする方法で行なわれる。被分析物特定物質は、金属層に取り付けることができる任意の分子または種であってもよく、具体的には、タンパク質、核酸、ペプチド、蔗糖エステル、脂肪酸、ステロイド、プリン体、ピリミジン、さらに、それらの誘導体、構造類似物また組み合わせなどの生体活性物質が挙げられる。好ましい実施形態では、機能化されたコーティングを使用して、特定の目標被分析物の存在または欠如を検知し、ここで、例えば、興味のある目標被分析物としては、酵素、抗体または抗原などの特定のヌクレオチド配列またはタンパク質が挙げられる。代替の好ましい実施形態では、機能化されたコーティングを使用して、特定の目標被分析物に結合するために、薬剤候補などの生体活性物質を選別する。機能化されたコーティングの選択性は、アミン、カルボニル化合物、水酸基またはカルボキシル基などの官能基の存在に基づくものであり、この官能基は、目標被分析物との構造相互作用を可能にする。相互作用は、水素結合が介在するものであってもよい。
【0090】
被分析物特定物質は、ファイバー先端付近の被分析物の濃度の増加を可能とする場合があり、または、実際にファイバー先端に隣接する近辺から特定被分析物または被分析物類を除外する場合もある。本発明に採用することができる被分析物特定物質の例としては、薬の発見または人工鼻の適用のためのグルコースバイオセンサー15およびGタンパク質共役受容体21で使用するために、(1−メルカプタンウンデカ−11−イル)トリ(エチレングリコール)の自己集合単分子層が挙げられる。
【0091】
吸収性ポリマー、有機分子の自己集合単分子層、液晶、Langmuir−Blodgett堆積リン脂質および脂肪酸を含む分子、共有結合有機分子、クラウンエーテル、不揮発性有機分子、金属複合体またはこれらの組み合わせを含む複数の分割層が、被分析物分子を事前に集めるために役立ち得ることが知られている。いくつかの典型的なポリマーとしては、機能化されたポリシロキサン、金属複合変性シロキサンポリマー、ポリシロキサンマトリックスに溶解されたγ−シクロデキストリン誘導体、導電性高分子(ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロールまたはポリアニリンなど)、ポリマー乳剤、セルローズ誘導体、プラズマ堆積有機フィルム(プラズマ重合およびプラズマグラフトフィルムを含む)、エナンチオマーおよびデンドリマーが挙げられる。自己集合単分子層の例としては、4−アミノチオフェノール、L−システイン、3−メルカプトプロピオン酸、11−メルカプトウンデカン酸、1−ヘキサンチオール、1−オクタンチオール、1−デカンチオール、1−ヘキサデカンチオール、ポリ−DL−リジン、3−メルカプト−l−プロパンスホニック酸、ベンゼンチオール、シクロヘキシルメルカプタンおよび(1−メルカプトウンデカ−ll−yl)トリ(エチレングリコール)が挙げられる。
【0092】
ポリマーコーティングの分割特性は、形態、気孔サイズ、分子量または結合長さ、モノマーの接続性、柔軟性、極性および疎水性などの要因に依存する。したがって、異なる側基およびフィラーの代用、および異なる反応条件の使用によって、広い範囲にわたって高分子層の分割特性を変えることができることが認識される。重合条件は、温度、溶剤、モノマー濃度、および特定ポリマーに適合する他の多くの要因を変更することにより、変えることができる。
【0093】
好ましい実施形態では、起伏を有する表面上に被覆された金属層は、目標被分析物と直接反応して、例えば、酸化物を形成することができる。別の好ましい実施形態では、起伏を有する表面上に被覆された金属層は、目標被分析物と反応することができる別の金属または金属酸化層で被覆されている。第2の層は、例えば、プラチナ、パラジウム、イリジウム、酸化スズ、またはプラチナまたはパラジウムがドープされた酸化スズからなってもよい。
【0094】
被分析物特定物質、分割層または反応コーティングは、いくつかの異なる化学的相互作用によって、金属面に付着させることができる。様々な分子間力は、中立の閉殻原子と分子の間の相互作用を規定する。これらは、イオン−イオン、イオン−双極子、双極子−双極子およびロンドン相互作用および水素結合を含む。これらの力は、金属面への多くのポリマー、金属、金属酸化膜および他の分子の接着性を規定する。特に、チオールおよびアミン基は、強く、金および銀の表面上に吸着されることが知られている。これにより、付着される分子または粒子へ、一致する官能基への特に強い親和性を有する別の化学反応基が付着することを可能とする。このように、連結剤の層を構成し、これを用いて、共有結合によって、金属面に、被分析物特異物質、分割層または反応コーティングを付着させることができる。所望のコーティング機能を有する付着を促進する界面化学物質の例としては、アミン、カルボン酸、アルデヒド、脂肪族アミン、アミド、クロロメチル、ヒドラジド、水酸基、硫酸塩、スルホン酸塩および芳香族アミン基に基づく化学物質が挙げられる。これらの様々な付着方法は、本技術分野で一般に知られている。
【0095】
別の実施形態では、目標被分析物は、金属コーティングに供給される前に、固体相吸着剤材料または膜セパレーターによって予め集められ、上記方法のうちのいずれかによって機能化することもできる。固体相吸着剤材料の例としては、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、マグネシウム−シリカゲルおよび多孔性ポリマー(Tenaxなど)、分子ふるい、および選択的試薬の層で被覆された吸着剤が挙げられる。サンプルは、吸着剤材料に集められた後、熱脱離によって放出され、または適切な溶媒に抽出される。サンプルが、冷却表面上で捕捉されることにより、予め集められるシクロフォーカス技術も知られている。次いで、集められたサンプルは、捕捉表面を毎秒摂氏数千度の割合で加熱する速い熱脱離によって放出される。膜セパレーターの例としては、微孔シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリプロピレン膜が挙げられる。膜は、拡散による異なるガス成分の選択的な浸透を可能とする。
【0096】
1つまたは複数の目標被分析物が、それ自身で十分に強いSERSスペクトルまたは他の光学指標を示さない場合に、強いSERSスペクトルまたは他の光学指標を有する官能基または分子を、ラベルとして被分析物に付着させてもよい。このアプローチの実施形態は、参考文献14で挙げられ、ここでは、ローダミンBおよびローダミン110が、不安定なスクシンイミジル中間体によってDNAに付着されている。SERSスペクトルのバンドの変動は、従来の蛍光ラベルより実質的に鋭く、それは、多数のプローブの同時検知に役立つことができる。
【0097】
前述の実施形態で想定された1つまたは複数の目標被分析物は、ガスまたは蒸気相のいずれか、または溶液中に存在することができることが理解される。
【0098】
本発明を、以下の限定的でない実施例を参照してさらに説明する。
【実施例1】
【0099】
ファイバー先端上に秩序ある堆積形状を有する複合ファイバーの準備
Fujikura Asia Ltdの市販のシリカイメージファイバー(9,450のピクセルを有するFIGH−10−350S、全外径350μm、およびピクセル間の間隔3.2μm)を、この研究で使用した。アセトン(純度99%)を使用して、ファイバーの部分から微量の油、ほこりまたは他の汚染物と同様に、高分子ファイバーバッファーコーティングを取り除いた。次いで、ファイバーの洗浄された部分を酸素アセチレントーチの炎で加熱し、炎下のファイバーに取り付けられたクランプの重量によって引き出した。このように、ファイバーは、外径が約5μmになるまで引き出された。次いで、標準の光ファイバークリーバー(Fitel S−311)を使用して、約30μmの直径を有する、テーパー部上でファイバーを切断した。目盛り付きの光学顕微鏡で直径を測定し、切断した後にSEMで確認した。
【0100】
次いで、(a)15分間、水にフッ化水素酸(HF)20体積%を溶解した溶液、または(b)2分間、6部の40%フッ化アンモニウム(NHF)、1部の49%フッ化水素酸(HF)、および14部の49%塩酸(HCl)からなるバッファーされたHFを用いたHF溶液(BHF)を含むエッチング剤を使用して、ファイバー先端をエッチングした。バッファーされたHF中の試薬の比率は、ほぼ、5:1:14:23(NHF:HF:HCl:HO)に一致する。規定時間エッチングした後、ファイバーを、脱イオン化水ですすいだ。次いで、ファイバー先端上のエッチングされた起伏を、20kVの加速電圧を有するPhilips XL30走査電子顕微鏡で検査した。SEM検査を促進するために、次いで、ファイバーをプラズマスパッターコーター内で金の薄い層(約5nm)で被覆した。
【0101】
エッチング剤は、個々のファイバーのコアを含むドープされたシリカを、フッ素がドープされた個々のファイバーのシリカクラッディングを溶解するより速く、溶解する。この選択的エッチングの結果、エッチング剤(a)に関する図5(a)、エッチング剤(b)に関する図5(b)に示すように、「ハニカム」構造が作製される。これは、ファイバー束状構造を含む個々のファイバーの元の配置を露出させるものである。エッチングされた構造の起伏は、エッチング時間によって制御することができる。図5(b)では、穴間の境界も、いくつかの起伏を示す。この構造は、個々のファイバー間で融着されたクラッディングの有効な厚みが異なることによるものであり、エッチング中に異なる損耗率をもたらす。本願発明者らは、この起伏が、局所表面プラスモン共鳴の生成のために価値を有し得ることに留意する。
【0102】
次いで、真空中で金属を蒸発させるためにタングステン素子を使用するEmitech K950xターボエバポレーター熱蒸発コーティング装置を使用して、銀の薄膜を、エッチング表面に堆積させる。金属堆積中に、ファイバーを、銀を含むタングステンバスケットの直下の位置で留め、タングステンバスケットを抵抗加熱する。装置は、膜厚をモニターするために、水晶振動子微量天秤(Emitech K150xフィルム厚モニター)を備える。このように、ProSciTechの0.2mmの直径の高純度銀ワイヤーを使用して、銀100nmの層を堆積した。
【実施例2】
【0103】
表面増強ラマン散乱測定
本発明者は、実施例1(エッチング剤(a)、(b)を使用する)によって準備されたファイバー先端を使用して、表面増強ラマン散乱(SERS)測定を行なうことにより、本発明の有用性を実証した。光が、振動分子により非弾性的に散乱されて、より高い周波数およびより低い周波数の両方にシフトをもたらす場合、ラマン散乱が観察される。分子のラマン活性振動周波数は、存在する種の特徴的な指紋を提供する。同時に、水の散乱断面積は小さいため、ラマン分光法は、水媒体に適用することができる。薄い金属堆積物が適用された吸着された表面上に分子の散乱は、10倍以上に増強され得る。その結果、SERSは、ファイバー先端の光学的性質の良好な表示を提供する。
【0104】
SERS分析は、銀の100nm層を蒸気堆積システムで塗布した、エッチングされたファイバー先端を使用して行なった。被覆されたファイバー先端は、エタノールにチオフェノールを溶解した10mMの溶液に浸漬させた。チオフェノール(ベンゼンチオール、99%より高い)は、Aldrichから得られ、エタノール(GCの純度、99.8%)は、Riedel−de Haenから購入した。化学物質は、すべて、それ以上の精製なしで使用した。チオフェノールは、金および銀表面に比較的安定した単分子層を形成するので、SERS分析のための都合のよい参照化合物として役立つ。生じるSERSスペクトルは、それぞれ、実施例1のエッチング液(a)、(b)に関して、図6(a)、6(b)に示す。主なチオフェノールSERSピークが、420、1000、1025、1075および1575cm−1において、容易に確認される。比較的高い計数率は、表面増強を示す。ピーク幅、相対的ピーク高さ、およびバックグラウンドレベルなどのスペクトルの詳細な態様は、レーザー励起の電力レベル、励起波長、および金属コーティングの構造によって影響されると考えられる。本実施例において、図6(a)、6(b)の間の差は、主に、構造の影響によるものであると考えられる。
【0105】
ラマンスペクトルは、熱電的に冷却されたNIR増強(深い減損)CCD検知器に取り付けられたRenishaw System RM2000を使用して得られた。SpectraPhysics Model127ヘリウム−ネオン−レーザー(波長633nm)を使用して、スペクトルを励起した。これは、プラズマラインを取り除くために、ノッチフィルターによってろ過しされた。サンプルは、Olympus BH2顕微鏡で検査され、被覆されたファイバー先端の識別を可能とした。スペクトルは、a×20対物を介して、後方散乱形状の選択された領域から集めた。サンプルでのレーザーパワーは、約0.5mWであり、蓄積時間は、各場合で、5回、10秒の蓄積であった。
【0106】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】標準イメージングファイバーの製造の概略説明図である。ここで、個々のファイバー(1)の数は、100,000以上であってもよい。この実施例において、ファイバーは適合性材料の管状支持体(2)内に集められる。予備成形束状構造を熱源(3)によって軟化した後、引き出して極細ファイバー(4)とし、マンドレル上に巻回す。引き出した後の、個々のファイバーは一緒に融着され、可視光波長でのイメージング目的のために、2μmより大きい直径のピクセル(6)のアレイを形成する。
【図2】適合性材料の管状支持体(2)に配置されたイメージングファイバー(7)の集合物からの複合ファイバーのアセンブリの概略説明図である。引き出した後、個々のイメージングファイバーは一緒に融着され、寸法が低減される(8)。各イメージングファイバーのピクセル(6)を、一般的に1μm未満であるような所要のスケールに低減するまで、このプロセスを数回繰り返すことができる。引き出した複合ファイバー(9)が、単一の単色光ガイドを含む場合には、本発明の目的のため、複合ファイバーの平面横断面(10)をエッチングして、センサー表面を形成することができる。
【図3(a)】光ファイバーセンサーのアレイの概略図を示す。この場合、個々のセンサー素子(10)は、各々、単一の単色光ガイドを含み、高分子スリーブ(11)によって機械的に結合されている。
【図3(b)】個々のセンサー素子(10)の各々が、単一の単色光ガイドを含み、図2に記載されたものと類似する引き出しプロセスにおいて一緒に融着される、第2のアプローチによって製造された光ファイバーセンサーのアレイの概略図を示す。この場合、センサー素子は、センサー素子と共に融着され、センサー素子の導光性を維持し、または、ファイバー光材料(12)内の迷光を吸収するために使用される、適合性材料の環状シース内に配置される。個々のセンサー素子は、複合アレイファイバーの平面横断面上に、異なる独自の指定可能な位置を占める。
【図4】エッチング後の複合ファイバーの平面横断面上に得られるトポグラフィー起伏を示す。この実施例において、個々のピクセルを腐食して、直径がそれぞれ1μm未満である多数の窪んだ穴(13)を形成する。
【図5(a)】引き出されて、脱イオン水中に20%HFを溶解した溶液を使用してエッチングされたファイバー先端の走査電子顕微鏡(SEM)画像であり、得られた均一「ハニカム」構造を示している。イメージング素子は、約320nmの直径に低減された。
【図5(b)】引き出されて、NHF:HF:HCl:HOの相対量(容積で)が5:1:14:23の溶液を使用してエッチングされたファイバーの先端のSEM画像であり、得られた均一「ハニカム」構造を示す。イメージング素子は、約300nmの直径に低減された。
【図6(a)】エッチング剤(a)を使用して、実施例1によって調製されたファイバー先端を使用して得られたチオフェノールのSERSスペクトルを示す。
【図6(b)】エッチング剤(b)を使用して、実施例1によって調製されたファイバー先端を使用して得られたチオフェノールのSERSスペクトルを示す。
【図7】ファイバーラマンバックグラウンドを低減しながら、ラマン散乱光の効率的な収集およびプローブファイバーの都合のよい交換を可能とする単一の光ファイバープローブシステムの概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合光ファイバーの表面に秩序ある堆積形状を生成する方法であって、
(a)複数の光ファイバーおよび/または複合光ファイバーを共通方向に最密構成で配置して、束状構造を形成するステップと、
(b)前記束状構造を適切な条件下で引き出して、所望の直径の複合光ファイバーを製造するステップと、
(c)前記複合光ファイバーを処理して、実質的平面の表面を製造するステップと、
(d)前記表面をエッチング剤にさらして、表面起伏を製造するステップと、
(e)起伏のある前記表面を金属コーティングにさらすステップとを備える方法。
【請求項2】
ステップ(c)行なう前に、ステップ(a)およびステップ(b)を連続的に1〜4回繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光ファイバーおよび/または複合光ファイバーを、所望の長さに切断および/または研削するステップをさらに備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記実質的平面の表面が、複合光ファイバーの縦軸に実質的に直角である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
所望の構成の光ファイバー適合性支持体が、ステップ(a)において光ファイバーおよび/または複合光ファイバーを保持するために用いられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記支持体が、ケイ酸塩ガラスを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記支持体を加熱下および/または真空下で分解して、前記束状構造を形成する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
実質的平面の表面を製造する処理が、切断ステップおよび/または研削ステップを備える、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記エッチング剤が、酸性溶液またはアルカリ性溶液である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチング剤が、フッ化水素酸、塩酸、酢酸、硫酸、クエン酸、硼酸、硝酸、リン酸、安息香酸、ブタン酸、炭酸、ギ酸、硫化水素、青酸、シュウ酸、過塩素酸、水酸化カリウム、リン酸、プロパン酸、トリクロロ酢酸、水酸化ナトリウム、過酸化水素、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、フッ化アンモニウムまたはアンモニアの少なくとも1つを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記表面を、約5秒〜約10時間、エッチング剤にさらす、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記表面を、約10秒〜約2時間、エッチング剤にさらす、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記表面を、約20秒〜約40分間、エッチング剤にさらす、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記表面を、約30秒〜約10分間、エッチング剤にさらす、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記表面を、約1分〜約5分間、エッチング剤にさらす、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記表面をエッチング剤にさらした後に、急冷ステップを行なう、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記急冷ステップが、蒸留水ですすぐステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記急冷ステップを、超音波浴における攪拌によって支援する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属コーティングステップで利用される金属が、金、銀、銅、アルミニウム、プラチナ、リチウム、インジウム、ナトリウム、亜鉛、ガリウムまたはカドミウムの少なくとも1つを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
金属が、薄膜、マトリックス構成、または個々の粒子形状で前記表面上に被覆する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記金属をマトリックス構成で前記表面上に被覆する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記金属を個々の粒子形状で前記表面上に被覆する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記金属層の厚みが、約10nm〜約1μmである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記金属層の厚みが、約50nm〜約500nmである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記金属層の厚みが、約80nm〜約300nmである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
起伏のある前記表面を金属の多数の層で被覆する、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
起伏のある表面にクロム層を塗布して、その後の金属層の前記表面への接着性を向上する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
起伏のある前記表面の高い位置に金属を堆積させる、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
起伏のある前記表面の低い位置に金属を堆積させる、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
起伏のある前記表面に被覆された金属層を機能化して、被分析物特異物質への化学結合を可能とする、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
起伏のある前記表面に被覆された前記金属層を、センサー表面で、1つのまたは複数の目標の被分析物を選択的に濃縮する物質によって機能化する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記表面上に秩序ある堆積形状を有する前記複合光ファイバーが、コヒーレントである、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記複合光ファイバーの個々の光学素子の直径が、約1000nm未満である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記複合光ファイバーの個々の光学素子の直径が、約500nm未満である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記複合光ファイバーの個々の光学素子の直径が、約300nm未満である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
発明の方法によって製造される前記複合光ファイバーが、光学的に均質の導波管である、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法によって製造される、実質的に平面の表面上に秩序ある堆積形状を有する複合光ファイバー。
【請求項38】
複合光ファイバーの縦軸に実質的に直角である実質的平面の表面上に秩序ある堆積形状を有する複合光ファイバーであって、
前記複合光ファイバーが、直径が約1000nm未満の個々の光学素子を備える、複合光ファイバー。
【請求項39】
実質的平面の表面上に秩序ある堆積形状を有し、化学物質および/または生物物質のセンサーとして使用される複合光ファイバー。
【請求項40】
レーザーまたは広帯域光源と、分光計と、実質的平面の表面上に秩序ある堆積形状を有する複合光ファイバーと光通信する光検出器とを備える、化学物質および/または生物物質のセンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−505325(P2008−505325A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519568(P2007−519568)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001001
【国際公開番号】WO2006/005111
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(503206064)スウィンバーン ユニバーシティ オブ テクノロジー (2)
【Fターム(参考)】