説明

ファイル編集装置及びその方法

【課題】 MP4ファイルに埋め込まれたハイパーリンクを容易に変更可能とし、且つ、従来規格との互換性が保たれた形式でファイルを記録する。
【解決手段】 MP4ファイルにハイパーリンクの文字列の先頭バイトのファイルオフセットを保持するデータ構造を埋め込み、そのMP4ファイルのハイパーリンクのURLの変更が指示されると、このオフセットデータを用いて、MP4ファイルのハイパーリンクのURLを、直接変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチメディアファイルを作成、編集するファイル編集装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やPCなどの処理能力が格段に向上し、これら機器を利用して動画像や音響といったマルチメディアデータを取り扱うことが可能になっている。
【0003】
このマルチメディアデータは、音響や動画などを含むため、そのデータ量が問題となる。そこで、これら動画像や音響を圧縮符号化し、多重化し、伝送或は蓄積し、これを逆多重化して復号する符号化標準の国際規格としてMPEG−1及びMPEG−2等が知られている。また更に、MPEG-4 Systems規格(ISO/IEC 14496-1)では、静止画像、動画像、音響に加え、テキストやCGなど複数のオブジェクトを含むマルチメディアデータの符号化ビットストリームを多重化、同期を取る手法などが規格化されている。
【0004】
このMPEG−4のデータストリームでは、これまでの一般的なマルチメディアデータとは異なり、静止画像、動画像や音響に加え、テキストやCG等の各オブジェクトを空間及び時間的に配置するための情報として、VRML(Virtual Reality Modeling Language)を自然動画像や音響が扱えるように拡張したBIFS(Binary Format for Scenes)が含まれている。ここでBIFSはシーン記述情報と呼ばれ、MPEG−4のシーンを2値で記述する情報である。このBIFSと、シーンを構成する静止画像、動画像、音響等の各メディアオブジェクトの関連付け、及び各メディアオブジェクトの復号に必要な情報(符号化方法、パケットの構成等)として、オブジェクト記述データ(OD:Objectdescriptor)が用いられている。このようなMPEG−4のファイル形式として、MPEG-4 File Format(ISO/IEC 14496-14)規格(以下、MP4ファイルフォーマット)も規格化されている。このようなMP4ファイルフォーマットを変換するために、特許文献1には、MP4ファイルのメディアデータの再書き込み処理を行わずに、効率的にMP4ファイルを変換する手法が提案されている。
【特許文献1】特開2003−173625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1で提案される方式は、メタデータの変換候補情報に基づいて変換後のメタデータサイズの増加分を予測し、その予測した増加サイズ分のフリーデータをメディアデータの前に挿入し、MP4ファイルの変換時には、変換前のメタデータ部とフリーデータ部とを新しいメタデータで上書きするもので、MP4ファイル中に埋め込まれたハイパーリンクを効率的に変更する手法については言及されていない。
【0006】
又、上述したようなBIFSのAnchorノード、Inlineノードを用いて埋め込まれた、MP4ファイル中のハイパーリンクを変更するためには、BIFSをファイルの先頭から走査してBIFS全体を復号し、シーン中のAnchorノード及びInlineノードのURLフィールドに記述されたURL情報を変更した後、再度シーンをBIFSエンコードする必要があり、大変効率が悪い。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、本願発明の特徴は、MP4ファイルに埋め込まれたハイパーリンクを容易に、かつ効率良く変更できるファイル編集装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るファイル編集装置は以下のような構成を備える。即ち、
マルチメディアファイルを変換するファイル編集装置であって、
前記マルチメディアファイルに埋め込まれたハイパーリンクの位置を示すハイパーリンク情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記ハイパーリンク情報を前記マルチメディアファイルの所定の場所に格納する格納制御手段と、
前記ハイパーリンクの変更が指示されたとき、前記マルチメディアファイルから前記ハイパーリンク情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記ハイパーリンク情報に基づいて前記ハイパーリンクを変更し、当該変更されたハイパーリンクと対応するハイパーリンク情報を前記マルチメディアファイルに格納する格納制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係るファイル編集方法は以下のような工程を備える。即ち、
マルチメディアファイルを変換するファイル編集方法であって、
前記マルチメディアファイルに埋め込まれたハイパーリンクの位置を示すハイパーリンク情報を生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された前記ハイパーリンク情報を前記マルチメディアファイルの所定の場所に格納する格納制御工程と、
前記ハイパーリンクの変更が指示されたとき、前記マルチメディアファイルから前記ハイパーリンク情報を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で抽出された前記ハイパーリンク情報に基づいて前記ハイパーリンクを変更し、当該変更されたハイパーリンクと対応するハイパーリンク情報を前記マルチメディアファイルに格納する格納制御工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マルチメディアファイルに埋め込まれたハイパーリンクを容易に、かつ効率良く変更できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。
【0012】
まず最初に、本実施の形態で採用するMP4ファイルフォーマットのデータ構造について説明する。
【0013】
図1は、MP4ファイルフォーマットのデータ構造を単純化して示す図である。
【0014】
MP4ファイル100は、イニシャルオブジェクトディスクリプタ(以下、IOD)103、BIFS,OD,動画像(video)と音響(audio)から構成されるシンプルなファイル例で示されている。moov(MovieBox)101は、動画像や音響サンプルの管理情報のようなメタデータ情報を格納するためのボックスである。mdat(MediaDataBox)102は、動画像や音響のサンプルデータのような、メディアデータを格納するボックスである。このmdat内部は、「チャンク」と呼ばれるデータ単位の連続で構成され、このチャンクには音響チャンク、映像チャンクなどが含まれている。またmoov101内には、IOD103と、個々のメディアデータに対応するtrak(TrackBox)と呼ばれるボックス104〜107が含まれている。
【0015】
このMP4ファイルフォーマットは、Boxと呼ばれる以下のような入れ子型のデータ構造で構成される。
【0016】
class Box {
unsigned int(32) size;
byte type[4];
byte data[];
};
ここで「size」は、Boxのデータ長を示すフィールド、「type」は、Boxの種類を示すフィールドで、各Boxに対して割り当てられている4文字の識別子(4バイト)がセットされる。「data」は、このBoxの実際のデータを格納するデータフィールドで、その内容は「type」によって異なる。尚、Boxは階層構造を持つことができ、一つ以上のBoxを内包することが可能になっているため、「data」は他のBoxになることもある。
【0017】
図2は、MP4ファイルフォーマットで定義されているBoxの一覧を説明する図である。
【0018】
図2において、一番右の列を除く列は、MP4ファイル形式で定義されているボックスの種類と、その包含関係を示しており、一番右の列には、該当する行のボックスの説明が示される。
【0019】
あるボックスが他のボックスを包含する関係が、列同士の位置関係によって示されている。この図2では、ある列のボックスは、その列よりも右側に位置する列で示されるボックスを包含していることを表している。例えば、一番上の行で示される「moov」ボックス200は、「mvhd」(MovieHeaderBox),「iods」(InitialObjectDescriptor),「trak」ボックス201を含んでいることを示している。
【0020】
尚、本実施の形態では、各ボックスの項目及びオブジェクト・ディスクリプタ情報に含まれる項目に関する詳細な説明を省略する。これら項目に関する説明については、該当する規格書に記載されている定義を参照されたい。
【0021】
図1に示すMP4ファイルのBox構成において、IOD103は、MP4ファイルの再生装置に対してセッションの最初に送信されるデータで、BIFSやOD(ObjectDescriptor)の復号に必要な情報である。trak104は、BIFSの復号に必要な情報、trak105はODの復号に必要な情報、trak106はビデオの復号に必要な情報、そしてtrak107は音響(オーディオ)の復号に必要な情報をそれぞれ含んでいる。
【0022】
このようなMPEG−4のファイル(MP4ファイル)内に、他の文書や画像などの位置情報(ハイパーリンク)を埋め込み、複数の文書や画像などのオブジェクトを関連付ける場合には、BIFSのAnchorノードやInlineノードを用いることが考えられる。
【0023】
Anchorノードは、チャイルド内に含まれるジオメトリをMP4ファイル再生装置がアクティブ化(クリックなど)した時点で、ネットワーク上からURLを取り込む。またAnchorノードでリンクされたジオメトリをマウスでクリックすると、それに関連付けられたリンク先にジャンプすることが可能になる。
【0024】
またInlineノードは、そのチャイルドのデータを読み込むグループ化ノードで、フィールドURLには、チャイルドを含むURLが指定される。
【0025】
尚、これらのURLの文字列情報は、BIFSのエンコーダにより、UTF−8と呼ばれる1文字を1〜6バイトの可変長の数値に変換する方式で数値の列に変換され、ファイル中に格納されることになる。
【0026】
図3は、3つのMP4ファイル300,303,306から構成される複雑なMPEG−4コンテンツの一例を示す図である。
【0027】
ここでは、3つのMP4ファイル300,303,306が、上述したInlineノードを用いて関連付けられている。最上位のMP4ファイル300は、IODを介してアクセスされるシーンであり、動画や音響のストリームを含んでいる。MP4ファイル300のBIFSコマンド301には、Inlineノード302が含まれており、MP4ファイル303へのハイパーリンクが埋め込まれている。
【0028】
2つ目のMP4ファイル303は、最上位のMP4ファイル300中のInlineノード302によってリンクされたMP4ファイルで、最上位のMP4ファイル300のBIFSコマンド301のInlineノード302を介して展開される。又、MP4ファイル303のBIFSコマンド304中にも、Inlineノード305が含まれており、MP4ファイル306へのハイパーリンクが埋め込まれている。またMP4ファイル303にも、符号化された動画像と音響オブジェクトが含まれる。
【0029】
同様に、3つ目のMP4ファイル306は、2つ目のMP4ファイル303中のInlineノード305によってリンクされたMP4ファイルであり、2つ目のMP4ファイル303のBIFSコマンド304中のInlineノード305を介して展開される。MP4ファイル306にも、符号化された動画像と音響オブジェクトが含まれる。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態に係るファイル編集装置の機能構成を説明するブロック図である。
【0031】
このファイル編集装置は、メディア符号化部400、シーン記述データ符号化部401、MP4ファイル生成部402、サイズ・オフセット変更部403、ハイパーリンク情報生成部404、ハイパーリンク情報抽出部405及び文字列変換部406とを備えている。以下順次、各部について説明する。
【0032】
メディア符号化部400は、マイク及びビデオカメラ等の入力装置(不図示)や、外部記憶装置(不図示)から入力された音響、静止画、動画像情報を符号化する。このメディア符号化部400は、音響符号化部、静止画像符号化部、動画像符号化部を有しており、入力された音響、静止画、動画情報を各々対応する符号化部により符号化し、各サンプルのサイズやタイムスタンプといった管理情報を出力する。こうして符号化されたビットストリーム及び管理情報は、MP4ファイル生成部402へ入力される。
【0033】
シーン記述データ符号化部401は、コンテンツ作成者からの要求に従って、音響、静止画、動画等のメディアオブジェクトや、テキスト、CG等を空間的、時間的に配置するべく入力されたシーン記述データを符号化し、各サンプルのサイズやタイムスタンプといった管理情報を出力する。こうして符号化されたビットストリーム及び管理情報は、MP4ファイル生成部402へ入力される。また、このシーン記述データ符号化部401は、入力されたシーン記述データ中に、前述したAnchorノードやInlineノードを用いたハイパーリンクが含まれる場合に、符号化されたシーン記述データ中の当該ハイパーリンクの位置(URL文字列の符号化シーン記述データ内のオフセット)を出力する。
【0034】
サイズ・オフセット変更部403は、BIFSサンプルサイズの変更通知に従って、MP4ファイル内のBIFSサンプルサイズを変更する。
【0035】
ハイパーリンク情報生成部404は、MP4ファイル生成部402から入力されたハイパーリンク情報(シーン中のオフセット値)から、当該情報のファイルのオフセット値を算出して、ハイパーリンク情報を生成する。
【0036】
ハイパーリンク情報抽出部40は、ハイパーリンクのURLのファイルオフセットからURL文字列を抽出し、ハイパーリンク情報生成部404へそのURL文字列を入力する。文字列変換部406は、URL文字列を入力してハイパーリンク情報生成部404に供給している。従って、ユーザがMP4ファイルに含まれているハイパーリンクを変更したい場合には、この文字列変換部406から、変更したいURL文字列を入力することにより、ハイパーリンクのURLを変更することができる。
【0037】
図5は、本実施の形態に係るファイル編集装置におけるファイルの編集及び記録処理を説明するフローチャートである。
【0038】
ステップS501で、MP4ファイル生成部402は、メディア符号化部400及びシーン記述データ符号化部401から入力されたビットストリーム及び管理情報からmoovを生成し、次にステップS502で、mdatを生成してファイルに格納する。次にステップS503で、MP4ファイル生成部402は、シーン中にハイパーリンクが埋め込まれているかどうかを判断する。ここでの判断は、シーン記述データ符号化部401からハイパーリンクを示す、URL文字列の符号化シーン記述データ内のオフセット情報が入力されたかどうかで判断する。このステップS503で、シーン記述データ中にハイパーリンクが埋め込まれていないと判断された場合は、そのままこのファイル作成処理を終了する。
【0039】
一方、ステップS503で、シーン記述データ中にハイパーリンクが埋め込まれていると判断した場合はステップS504に進み、MP4ファイル生成部402は、ハイパーリンクを生成するために、シーン記述データ符号化部401から入力されたハイパーリンクをハイパーリンク情報生成部404へ入力する。これによりハイパーリンク情報生成部404は、ステップS505で、MP4ファイル生成部402から入力されたハイパーリンク情報(シーン中のオフセット値)から、当該情報のファイルオフセット値を算出して、ステップS506でハイパーリンクを生成する。そしてステップS503へと処理を移行する。
【0040】
図6は、本実施の形態に係るファイル編集装置がファイルへ記録するハイパーリンクの一例を示す図である。
【0041】
「HypertextOffsetBox」(以下、htos)は、シーン記述データ内に埋め込まれたハイパーリンクのURL文字列の要素数(entry_count)と、要素数分の各URL文字列の先頭バイトのファイルオフセット値(offset)とを格納するユーザ定義のBoxであり、ハイパーリンク情報生成部404が作成し、MP4ファイル生成部402によってMP4ファイル内に配置される。
【0042】
図6の例では、ハイパーリンクの数(entry count)は、最大232個存在し、バージョンが「1」のときは、オフセットアドレスは符号なしの64ビット、バージョンが「0」のときはオフセットアドレスは符号なしの32ビットで表されることが分かる。
【0043】
図7は、本実施の形態に係るファイル編集装置によって生成されるMP4ファイルのデータ構造を示す図である。
【0044】
図7で示されるMP4ファイル700は、図1のMP4ファイル100に、前述のhtos701が付加されたファイルの例で示されている。図において、図1と共通するデータ構造には同じ番号を付与し、その説明を省略する。
【0045】
本実施の形態では、htosはファイルの最後に配置されているが、これを配置する場所は、ファイル内の先頭でも構わない。htosは、ユーザ定義アトムを用いているので、MP4ファイルのフォーマット規格に対する影響はなく、この機能をサポートしていないMP4再生装置では読み飛ばされ、通常の処理が行われることになる。
【0046】
MP4ファイルに埋め込まれたハイパーリンクの変更時には、このhtosデータ構造から、目的とする外部参照URLの文字列を取得して、直接新しいデータで上書きする。これにより、MP4ファイルの修正に伴う、探索、復号、再エンコード処理を行わずにMP4ファイルの修正を実現することができる。
【0047】
図8は、本実施の形態に係るファイル編集装置がハイパーリンクを変更するためにファイルを変更する処理を説明するフローチャートである。
【0048】
まずステップS801で、ハイパーリンク情報抽出部405は、MP4ファイル生成部402から入力されるMP4ファイルを読み込み、ステップS802で、MP4ファイル内のhtosを抽出する。ステップS803で、htosを抽出できない場合、若しくはhtos内のエントリーが「0」の場合は、MP4ファイル内にハイパーリンクが含まれていないと判断し、そのまま処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS803で、エントリーが含まれていると判定した場合はステップS804に進み、ハイパーリンクのURLのファイルオフセットからURL文字列を抽出し、その抽出したURL文字列をハイパーリンク情報生成部404へ供給する。次にステップS805で、ハイパーリンク情報生成部404は、ハイパーリンク情報抽出部405から入力されたURL文字列を、文字列変換部406から入力されたURL文字列へ上書きして変更する。
【0050】
ここで、このURL文字列は、前述したように、シーン記述データにBIFSが用いられた場合、UTF−8と呼ばれる文字列をバイト列(数値の列)に変換する方式の一つでバイト列に変換されている。
【0051】
次にステップS806で、ハイパーリンク情報生成部404は、ハイパーリンク情報抽出部405から入力されたURL文字列の長さ(バイト数)と、文字列変換部406から入力されたURL文字列の長さ(バイト数)とを比較し、URL文字列の長さが変更されたか否かを判断する。ここでサイズが変更されていないと判断した場合はステップS803に戻るが、サイズが変更されたと判断した場合はステップS807に進み、当該ハイパーリンクが埋め込まれていたBIFSサンプルサイズを変更するべく、サイズ・オフセット変更部403へBIFSサンプルサイズを変更するように通知する。こうしてサイズ・オフセット変更部403は、MP4ファイル内のBIFSサンプルサイズを変更する。また、このステップS807では、BIFSサンプルのサイズが変更された場合には、MP4ファイル内のBIFSチャンク以降のチャンクのオフセットも変更する必要があるため、サイズ・オフセット変更部403へチャンクオフセットの変更通知を行う。これによりサイズ・オフセット変更部404は、MP4ファイル内のBIFSチャンク以降のチャンクのオフセットを変更する。
【0052】
このように本実施の形態に係るファイル編集装置及びその方法によれば、MP4ファイルに埋め込まれたハイパーリンクを、上述したhtosデータ構造から、目的とする外部参照URL文字列を取得して、直接新しいデータで上書きすることで、サーチ、復号、再エンコード処理を行わずにバイナリ形式のまま変更することができる。
[その他の実施形態]
また、本発明の目的は前述したように、実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステムあるいは装置に提供し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0053】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれていることは言うまでもない。
【0054】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書きこまれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含むことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】MP4ファイルフォーマットのデータ構造を単純化して示す図である。
【図2】MP4ファイルフォーマットで定義されているBoxの一覧を説明する図である。
【図3】3つのMP4ファイルから構成される複雑なMPEG−4コンテンツの一例を説明する図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るファイル編集装置の機能構成を説明するブロック図である。
【図5】本実施の形態に係るファイル編集装置におけるファイルの編集記録処理を説明するフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係るファイル編集装置においてファイルに記録されるハイパーリンク情報の一例を示す図である。
【図7】本実施の形態に係るファイル編集装置によって生成されるMP4ファイルのデータ構造を説明する図である。
【図8】本実施の形態に係るファイル編集装置がハイパーリンク情報を変更する場合の処理を説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチメディアファイルを変換するファイル編集装置であって、
前記マルチメディアファイルに埋め込まれたハイパーリンクの位置を示すハイパーリンク情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記ハイパーリンク情報を前記マルチメディアファイルの所定の場所に格納する格納制御手段と、
前記ハイパーリンクの変更が指示されたとき、前記マルチメディアファイルから前記ハイパーリンク情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記ハイパーリンク情報に基づいて前記ハイパーリンクを変更し、当該変更されたハイパーリンクと対応するハイパーリンク情報を前記マルチメディアファイルに格納する格納制御手段と、
を有することを特徴とするファイル編集装置。
【請求項2】
前記ハイパーリンク情報は、前記マルチメディアファイル内における前記ハイパーリンクを示すURL文字列の先頭バイトのオフセットアドレスを含むことを特徴とする請求項1に記載のファイル編集装置。
【請求項3】
前記マルチメディアデータは、MP4ファイルフォーマットに従うデータであることを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル編集装置。
【請求項4】
前記ハイパーリンクは、BIFSのAnchorノードのURLフィールドによって指定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のファイル編集装置。
【請求項5】
前記ハイパーリンクは、BIFSのInlineノードのURLフィールドによって指定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のファイル編集装置。
【請求項6】
マルチメディアファイルを変換するファイル編集方法であって、
前記マルチメディアファイルに埋め込まれたハイパーリンクの位置を示すハイパーリンク情報を生成する生成工程と、
前記生成工程で生成された前記ハイパーリンク情報を前記マルチメディアファイルの所定の場所に格納する格納制御工程と、
前記ハイパーリンクの変更が指示されたとき、前記マルチメディアファイルから前記ハイパーリンク情報を抽出する抽出工程と、
前記抽出工程で抽出された前記ハイパーリンク情報に基づいて前記ハイパーリンクを変更し、当該変更されたハイパーリンクと対応するハイパーリンク情報を前記マルチメディアファイルに格納する格納制御工程と、
を有することを特徴とするファイル編集方法。
【請求項7】
前記ハイパーリンク情報は、前記マルチメディアファイル内における前記ハイパーリンクを示すURL文字列の先頭バイトのオフセットアドレスを含むことを特徴とする請求項6に記載のファイル編集方法。
【請求項8】
前記マルチメディアデータは、MP4ファイルフォーマットに従うデータであることを特徴とする請求項6又は7に記載のファイル編集方法。
【請求項9】
前記ハイパーリンクは、BIFSのAnchorノードのURLフィールドによって指定されていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のファイル編集方法。
【請求項10】
前記ハイパーリンクは、BIFSのInlineノードのURLフィールドによって指定されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のファイル編集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−24288(P2006−24288A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202003(P2004−202003)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】