説明

ファイル転送システム及びファイル転送方法

【課題】ネットワーク接続されていないシステム環境において、セキュリティを維持しながら効率的にファイルの授受を行なうためのファイル転送システム及びファイル転送方法を提供する。
【解決手段】ファイル送信側のゲートウェイサーバG1は、転送対象ファイルを取得し、転送対象ファイルの圧縮処理を実行する。そして、ゲートウェイサーバG1は、ストレージサーバ30の第1領域をマウントし、圧縮ファイルを送信した後、アンマウントする。ストレージサーバ30は、第1領域から第2領域へのファイル転送を行なうとともに、転送履歴を記録する。そして、ファイル受信側のゲートウェイサーバG2は、ストレージサーバ30の第2領域をマウントし、圧縮ファイルの受信後に、アンマウントする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク接続されていないシステム環境において、セキュリティを維持しながら効率的にファイルの授受を行なうためのファイル転送システム及びファイル転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業務運用を行なう本番環境において用いるシステムを、本番環境とは別の開発環境において開発する場合がある(例えば、特許文献1参照)。このように相互に密接な関係がある環境においても、セキュリティを担保するために、各環境をネットワーク接続できないように構築することがある。特に、業務運用を行なう本番環境においては、個人情報や営業秘密情報等の重要情報を取り扱っているため、高いセキュリティを維持する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−199229号公報(第1頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような二つの環境においてセキュリティを維持するために、他方の環境からのアクセスに対して制限を課し、所定の条件下でファイル転送を許可することも可能である。しかし、アクセス制限が破られた場合には、セキュリティ上の問題が生じることがある。
【0005】
また、二つの環境をネットワーク接続できないようにして、磁気媒体等の記録媒体を用いて、ファイルの授受を行なうことも可能である。しかし、二つの環境の物理的な距離が離れている場合には、ファイルの授受が煩雑となる。また、セキュリティを担保するためには、転送対象ファイルが記憶された記録媒体の管理を的確に行なう必要があり、管理負担が大きくなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ネットワーク接続されていないシステム環境において、セキュリティを維持しながら効率的にファイルの授受を行なうためのファイル転送システム及びファイル転送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1サーバと第2サーバと外部記憶装置とから構成されたファイル転送システムであって、前記第1サーバが、前記外部記憶装置をマウントする手段と、前記第1サーバに記憶されたファイルを前記外部記憶装置に送信して記録した後に、前記外部記憶装置をアンマウントする手段とを備えるとともに、前記第2サーバが、前記外部記憶装置をマウントする手段と、前記外部記憶装置に記憶されたファイルを受信した後に、前記外部記憶装置をアンマウントする手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファイル転送システムにおいて、前記外部記憶装置は、前記第1サーバから取得したファイルを記憶する第1領域と、前記第2サーバに転送するファイルを記憶する第2領域とから構成され、前記外部記憶装置は、前記第1領域に記憶されたファイルを前記第2領域に転送する手段を備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のファイル転送システムにおいて、前記第1サーバは、前記外部記憶装置に転送するファイルを圧縮する手段と、前記第2サーバは、前記外部記憶装置から取得した圧縮ファイルを解凍する手段とを更に備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載のファイル転送システムにおいて、前記第1サーバは、権限者によって承認された転送依頼申請において、転送対象ファイルの識別情報を取得し、前記識別情報のファイルについてのみ、前記外部記憶装置に送信する手段を更に備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のファイル転送システムにおいて、前記第2サーバは、権限者によって承認された転送依頼申請において、転送対象のファイルの識別情報を取得し、前記識別情報のファイルについてのみ、前記外部記憶装置から受信する手段を更に備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載のファイル転送システムにおいて、承認された転送依頼申請を取得し、前記転送依頼申請に含まれる識別情報を取得し、前記取得した識別情報と転送されたファイルの識別情報とを突合し、突合結果を出力することを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一つに記載のファイル転送システムにおいて、転送対象のファイルを格納する転送ファイルフォルダを備え、前記転送ファイルフォルダに記憶されたファイルの識別情報を取得し、権限者の承認を取得するために、前記識別情報を記録した転送依頼申請を作成する手段を更に備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、第1サーバと第2サーバと外部記憶装置とから構成されたファイル転送システムを用いて、ファイルを転送する方法であって、前記第1サーバが、前記外部記憶装置をマウントする段階と、前記第1サーバに記憶されたファイルを前記外部記憶装置に送信して記録した後に、前記外部記憶装置をアンマウントする段階と実行するとともに、前記第2サーバが、前記外部記憶装置をマウントする段階と、前記外部記憶装置に記憶されたファイルを受信した後に、前記外部記憶装置をアンマウントする段階とを実行することを要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1又は8に記載の発明によれば、第1サーバが、外部記憶装置をマウントし、ファイルを外部記憶装置に送信して記録した後に、外部記憶装置をアンマウントする。そして、第2サーバが、外部記憶装置をマウントし、外部記憶装置に記憶されたファイルを受信した後に、外部記憶装置をアンマウントする。これにより、第1サーバと第2サーバとの間で、ネットワーク接続することなく、ファイル転送を行なうことができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、外部記憶装置は、第1サーバから取得したファイルを第1領域に記憶する。第1領域に記憶されたファイルを第2領域に転送し、第2領域に記憶したファイルを第2サーバに転送する。これにより、外部記憶装置内においても、第1サーバ側と、第2サーバ側とをネットワーク接続することなく、ファイル転送を行なうことができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、第1サーバは、外部記憶装置に転送するファイルを圧縮する。そして、第2サーバは、外部記憶装置から取得した圧縮ファイルを解凍する。これにより、外部記憶装置の容量を効率的に利用することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、第1サーバは、権限者によって承認された転送依頼申請において、転送対象ファイルの識別情報を取得し、識別情報のファイルについてのみ、外部記憶装置に送信する。これにより、承認された転送依頼申請に記載されているファイルのみを送信することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、第2サーバは、権限者によって承認された転送依頼申請において、転送対象のファイルの識別情報を取得し、識別情報のファイルについてのみ、外部記憶装置から受信する。これにより、承認された転送依頼申請に記載されているファイルのみを受信することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、承認された転送依頼申請を取得し、転送依頼申請に含まれる識別情報を取得し、取得した識別情報と転送されたファイルの識別情報とを突合し、突合結果を出力する。これにより、承認された転送依頼申請との突合結果に基づいて、転送可否を判断することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、転送対象フォルダに記憶されたファイルの識別情報を取得し、権限者の承認を取得するために、識別情報を記録した転送依頼申請を作成する。これにより、効率的に転送依頼申請を作成することができる。識別情報としては、例えば、ファイル名、ファイルサイズ、オリジナルファイルの所在情報等を用いることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ネットワーク接続されていないシステム環境において、セキュリティを維持しながら効率的にファイルの授受を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】本実施形態において用いるストレージサーバの機能ブロックの説明図。
【図3】本実施形態において用いるゲートウェイサーバの機能ブロックの説明図。
【図4】本実施形態においての用いるクライアント端末の説明図であって、(a)はクライアント端末の機能ブロックの説明図、(b)は転送依頼申請の承認の説明図。
【図5】本実施形態の自動ファイル転送処理の処理手順の説明図。
【図6】本実施形態の手動ファイル送信処理の処理手順の説明図。
【図7】本実施形態の手動ファイル受信処理の処理手順の説明図。
【図8】他の実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図7に従って説明する。本実施形態では、業務運用を行なう本番環境と、この本番環境のシステム開発を行なう開発環境との間で、ファイルの授受を行なうために用いるファイル転送システム及びファイル転送方法として説明する。
【0025】
本実施形態では、図1に示すように、開発環境と本番環境とがネットワーク接続できない構成を想定する。そして、開発環境においてはシステム開発を行なうための複数の個別サーバ10が設置されており、本番環境においては業務運用を行なうための複数の個別サーバ10が設置されている。各個別サーバ10は、システム開発や業務運用に用いる各種ファイルが記憶されている。そして、一方の環境に設置された個別サーバ10に記憶されているファイルを、他方の環境に転送する場合を想定する。
【0026】
また、開発環境の個別サーバ10は、開発環境に設置されたゲートウェイサーバG1に
接続されており、本番環境の個別サーバ10は、本番環境に設置されたゲートウェイサーバG2に接続されている。更に、各ゲートウェイサーバ(G1,G2)は、外部記憶装置としてのストレージサーバ30に接続されている。
【0027】
個別サーバ10は、開発環境、本番環境において、ファイルを蓄積するサーバコンピュータである。この個別サーバ10は、転送対象ファイルを蓄積するファイル記憶部12が設けられている。
ファイル記憶部12には、後述する転送依頼申請を作成するために送信対象のファイルを一時的に格納する転送ファイルフォルダが設けられている。
【0028】
ストレージサーバ30は、二つの異なる環境(本実施形態では、開発環境と本番環境)との間でファイル転送を行なうために用いる外部記憶装置である。このストレージサーバ30は、図2に示すように、制御部31、転送対象のファイルを蓄積するためのデータ記憶部32を備えている。このデータ記憶部32は、第1領域321及び第2領域322から構成されている。
【0029】
制御部31は、CPU、RAM、ROM(図示せず)等から構成された制御手段を備えており、後述する処理(転送制御段階等の各処理)を行なう。そして、制御部31は、ストレージサーバ管理プログラムの実行により、転送制御手段311として機能する。
【0030】
転送制御手段311は、データ記憶部32の第1領域321に記憶されている内容を第2領域322にコピーしたり、第2領域322に記憶されている内容を第1領域321にコピーしたりする同期処理を行なうことにより、各領域に記憶されているファイルの転送処理を実行する。また、転送制御手段311は、同時期にゲートウェイサーバ(G1,G2)の両方にマウントされないように排他制御を行なう。
【0031】
第1領域321、第2領域322は、同じ容量で構成されているデータ記憶領域であり、物理的に異なる装置によって構成されている。第1領域321はゲートウェイサーバG1からのみアクセス可能であり、第2領域322はゲートウェイサーバG2からのみアクセス可能になっている。
【0032】
第1領域321は、第1自動送信用ボリュームV11、第1任意送信用ボリュームV12、第1自動受信用ボリュームV13、第1任意受信用ボリュームV14から構成されている。
【0033】
第2領域322は、第2自動受信用ボリュームV21、第2任意受信用ボリュームV22、第2自動送信用ボリュームV23、第2任意送信用ボリュームV24から構成されている。
【0034】
第1自動送信用ボリュームV11は、開発環境から本番環境への自動送信に用いるデータ記憶領域である。第2自動受信用ボリュームV21は、開発環境から本番環境への自動受信に用いるデータ記憶領域である。そして、第1自動送信用ボリュームV11に記憶された内容を第2自動受信用ボリュームV21にコピーする同期処理を行なう。
【0035】
第1任意送信用ボリュームV12は、開発環境から本番環境への手動送信に用いるデータ記憶領域である。第2任意受信用ボリュームV22は、開発環境から本番環境への手動送信に用いるデータ記憶領域である。そして、第1任意送信用ボリュームV12に記憶された内容を第2任意受信用ボリュームV22にコピーする同期処理を行なう。
【0036】
第1自動受信用ボリュームV13は、本番環境から開発環境への自動受信に用いるデー
タ記憶領域である。第2自動送信用ボリュームV23は、本番環境から開発環境への自動送信に用いるデータ記憶領域である。そして、第2自動送信用ボリュームV23に記憶された内容を第1自動受信用ボリュームV13にコピーする同期処理を行なう。
【0037】
第1任意受信用ボリュームV14は、本番環境から開発環境への手動受信に用いるデータ記憶領域である。第2任意送信用ボリュームV24は、本番環境から開発環境への手動送信に用いるデータ記憶領域である。そして、第2任意送信用ボリュームV24に記憶された内容を第1任意受信用ボリュームV14にコピーする同期処理を行なう。
【0038】
ゲートウェイサーバ(G1,G2)は、転送対象ファイルをストレージサーバ30に送信したり、ストレージサーバ30から受信したりするためのサーバコンピュータである。このゲートウェイサーバ(G1,G2)は、図3に示すように、制御部21、一時ファイル記憶部22、転送依頼記憶部23を備えている。この一時ファイル記憶部22は、送信用一時領域221、受信用一時領域222から構成されている。
【0039】
制御部21は、CPU、RAM、ROM(図示せず)等から構成された制御手段を備えており、後述する処理(自動送信段階、手動送信段階、ファイルフィルタ段階、ファイル圧縮段階、自動受信段階、手動受信段階、マウント制御段階、転送履歴管理段階、残存ファイル管理段階等の各処理)を行なう。そして、制御部21は、ファイル転送プログラムの実行により、自動送信手段211、手動送信手段212、ファイルフィルタ手段213、ファイル圧縮手段214、自動受信手段215、手動受信手段216、マウント制御手段217、転送履歴管理手段218、残存ファイル管理手段219として機能する。
【0040】
自動送信手段211は、個別サーバ10から、予め定められた転送対象ファイルを取得し、ストレージサーバ30の自動送信用ボリューム(V11、V23)に自動送信する処理を実行する。この自動送信手段211は、自動送信を行なうための自動転送対象テーブルを保持している。この自動転送対象テーブルには、自動送信の対象ファイルを特定するための情報(個別サーバ10における転送対象ファイルの所在やファイル名)や転送タイミングが記憶されている。
【0041】
手動送信手段212は、クライアント端末15からの指示に基づいて、転送対象ファイルを特定し、ストレージサーバ30の任意送信用ボリューム(V12、V24)に手動送信する処理を実行する。
【0042】
ファイルフィルタ手段213は、転送対象ファイルにおいて、転送を許可する要件(転送要件)の充足を確認する処理を実行する。このファイルフィルタ手段213は、転送要件(例えば、転送可能なファイル種別、転送を許可しないキーワード等)が記憶されている転送要件テーブルを保持している。
【0043】
ファイル圧縮手段214は、転送対象ファイルを圧縮したり、解凍したりする処理を実行する。
自動受信手段215は、自動送信された転送対象ファイルを、ストレージサーバ30の自動受信用ボリューム(V13、V21)から受信する処理を実行する。
【0044】
手動受信手段216は、クライアント端末15からの指示に基づいて、手動送信された転送対象ファイルを、ストレージサーバ30の任意受信用ボリューム(V14、V22)から受信する処理を実行する。
【0045】
マウント制御手段217は、ストレージサーバ30を検索し、認識したストレージサーバ30を操作可能にするマウント/アンマウントを制御する処理を実行する。本実施形態
では、各ゲートウェイサーバ(G1,G2)は、ファイルの転送処理を行なう期間のみ、ストレージサーバ30のデータ記憶領域をマウントし、転送処理を終了した場合にアンマウントする。
【0046】
転送履歴管理手段218は、転送対象ファイルの転送履歴を転送履歴記憶部24に記録する処理を実行する。この転送履歴記憶部24には、転送処理毎に生成された転送履歴レコードを記憶する。この転送履歴レコードは、転送日時、転送対象ファイルのファイル名、容量、転送依頼者の利用者IDに関するデータ領域から構成されている。
【0047】
残存ファイル管理手段219は、第1領域321又は第2領域322に残存している転送対象ファイルを削除する処理を実行する。具体的には、第1領域321又は第2領域322に記録されたファイルには登録日時が記録される。そして、残存ファイル管理手段219は、この登録日時から所定の保存期限を経過しても残存しているファイルを検索し、削除する。
【0048】
送信用一時領域221には、ストレージサーバ30に送信する転送対象ファイルを一時的に記憶するデータ領域である。
受信用一時領域222には、ストレージサーバ30から受信した転送対象ファイルを一時的に記憶するデータ領域である。
【0049】
転送依頼記憶部23には、管理者(権限者)によって承認された転送依頼申請データが記憶される。この転送依頼申請データには、転送対象ファイルの転送依頼者の利用者ID、識別情報としてのファイル属性情報(ファイル名、ファイルサイズ)、オリジナルファイルの所在情報、転送先情報が記録される。転送依頼申請データは、転送元及び転送先の両方のゲートウェイサーバ(G1,G2)の転送依頼記憶部23に記憶される。
【0050】
また、開発環境又は本番環境には、図1に示すように、各担当者が利用するクライアント端末15が設置されている。このクライアント端末15は、開発環境の開発担当者や本番環境の運用担当者、各環境の管理者等が用いるコンピュータ端末である。開発担当者は、クライアント端末15を用いて、本番環境に対して送信するファイルを指定したり、本番環境からのファイルの受信指示を行なったりする。一方、運用担当者は、クライアント端末15を用いて、開発環境に対して送信するファイルを指定したり、開発環境からのファイルの受信指示を行なったりする。各環境の管理者は、転送依頼申請の内容を確認して承認し、転送対象ファイルの手動送信や手動受信を行なう。
【0051】
このクライアント端末15は、ネットワークを介して、個別サーバ10やゲートウェイサーバ(G1,G2)に接続することができる。このクライアント端末15は、図示しないディスプレイ等から構成された表示部や、キーボードやポインティングデバイス等から構成された入力部を備える。
【0052】
更に、クライアント端末15は、図4(a)に示すように、CPU、RAM、ROM(図示せず)等から構成された制御部16を備えている。この制御部16は、転送支援プログラムを実行することにより、転送支援手段161として機能する。この転送支援手段161は、転送ファイルフォルダに記憶された転送対象ファイルを列挙した転送依頼申請を作成したり、転送ファイルの手動転送を支援したりする処理を実行する。
【0053】
上記のように構成されたシステムを用いて、一方の環境から他方の環境にファイルを転送する場合の処理手順について、図4(b)〜図6を用いて説明する。ここでは、開発環境から本番環境にファイルを転送する場合を想定する。なお、本番環境から開発環境にファイルを転送する場合にも同様の処理が行なわれる。ここでは、転送依頼申請の承認処理
(図4(b))、自動ファイル転送処理(図5)、手動ファイル送信処理(図6)、手動ファイル受信処理(図7)の順番に説明する。
【0054】
(転送依頼申請の承認処理)
まず、図4(b)を用いて、転送依頼申請の承認処理を説明する。この処理は、ファイル転送を希望する担当者(転送依頼者)のクライアント端末15において行なわれる。
【0055】
ここでは、クライアント端末15を用いて、転送対象のファイルの指定処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、転送依頼者は、利用者IDやパスワードを用いて、クライアント端末15にログインする。そして、クライアント端末15を用いて、個別サーバ10にアクセスする。この場合、個別サーバ10は、ファイル記憶部12に蓄積されているファイルの一覧をクライアント端末15のディスプレイに出力する。そして、担当者は、クライアント端末15を用いて、ファイル一覧の中から転送対象ファイルを指定する。
【0056】
次に、クライアント端末15を用いて、転送ファイルフォルダへの移動処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、担当者は、クライアント端末15を用いて、転送支援プログラムを起動し、転送依頼申請の作成指示を入力する。そして、クライアント端末15を用いて、転送対象ファイルを、ファイル記憶部12内の転送ファイルフォルダに移動させる。この場合、制御部16の転送支援手段161は、転送対象ファイルのオリジナルファイルの所在(移動元)情報を取得する。
【0057】
次に、クライアント端末15の制御部16は、フォルダ内のファイル属性情報の取得処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部16の転送支援手段161は、転送ファイルフォルダに蓄積されている転送対象ファイルのファイル属性情報(ファイル名、ファイルサイズ等)を取得する。本実施形態では、更に、オリジナルファイルの所在情報を取得する。
【0058】
次に、クライアント端末15の制御部16は、転送依頼申請の作成処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部16の転送支援手段161は、転送ファイルフォルダに記憶された転送対象のファイルのファイル名を一覧表示させた転送依頼申請データを作成する。この転送依頼申請データには、転送依頼者の利用者IDやファイル属性情報、オリジナルファイルの所在情報に関するデータを含める。更に、転送支援手段161は、転送先情報の入力画面をディスプレイに出力する。そして、転送支援手段161は、入力画面に設定された転送先情報を、転送依頼申請データに含める。
【0059】
次に、クライアント端末15の制御部16は、転送依頼申請の回付処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部16の転送支援手段161は、転送依頼申請データを、電子ワークフローシステム(図示せず)に送信する。この電子ワークフローシステムにおいては、ワークフローに従って、転送依頼申請データを、転送元及び転送先の各環境の管理者に回付する。ここで、各環境の管理者は、転送対象ファイルに問題がないかどうかを確認する。問題がないと判断した場合には、電子ワークフローシステムにおいて、この転送依頼申請に関するファイル転送の承認入力が行なわれる。この場合、電子ワークフローシステムは、承認入力された転送依頼申請データを、各ゲートウェイサーバ(G1,G2)に提供する。そして、各ゲートウェイサーバ(G1,G2)は、転送依頼申請データを転送依頼記憶部23に記録する。
【0060】
(自動ファイル転送処理)
次に、図5を用いて、自動ファイル転送処理を説明する。この自動ファイル転送処理においては、予め定められたスケジュールに従って、各個別サーバ10に記憶された転送対
象ファイルを自動転送する。ここでは、開発環境から本番環境にファイルを自動転送する場合を想定する。
【0061】
まず、ファイル送信側のゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送対象ファイルの取得処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の自動送信手段211は、自動転送対象テーブルに記憶された転送対象ファイルの転送タイミングを確認する。そして、自動転送対象テーブルにおいて、現在日時が転送タイミングに該当する転送対象ファイルを抽出した場合、自動送信手段211は、自動転送対象テーブルに記憶されている個別サーバ10にアクセスし、指定された転送対象ファイルを取得する。そして、自動送信手段211は、取得した転送対象ファイルを送信用一時領域221に記録する。
【0062】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、フィルタリング処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21のファイルフィルタ手段213は、転送要件テーブルを用いて、個別サーバ10から取得した転送対象ファイルが転送要件を充足するかどうかを確認する。転送要件を充足しない場合には、ファイルフィルタ手段213は、自動転送処理を中止し、管理者のクライアント端末15に対してアラームを通知する。
【0063】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送対象ファイルの圧縮処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21のファイル圧縮手段214は、送信用一時領域221に記憶された転送対象ファイルを圧縮する。
【0064】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、第1領域のマウント処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30にアクセスし、第1領域321をマウントする。
【0065】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、圧縮ファイルの送信処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の自動送信手段211は、送信用一時領域221に記憶されている転送対象の圧縮ファイルを第1領域321の第1自動送信用ボリュームV11に送信する。更に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送履歴の記録処理を実行する。具体的には、制御部21の転送履歴管理手段218は、送信日時、転送依頼者の利用者ID、転送対象ファイルのファイル名、容量を含めた転送履歴レコードを生成し、転送履歴記憶部24に記録する。
【0066】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、アンマウント処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30の第1領域321をアンマウントする。
【0067】
ここで、ストレージサーバ30の制御部31は、第1領域から第2領域への転送処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、転送タイミングで行われるゲートウェイサーバG1による第1領域のマウント処理(ステップS2−4)、圧縮ファイルの送信処理(ステップS2−5)、アンマウント処理(ステップS2−6)の終了後に、ファイル受信側のゲートウェイサーバG2は、ストレージサーバ30に対して同期指示を送信する。この場合、制御部31の転送制御手段311は、第1自動送信用ボリュームV11に記憶された圧縮ファイルを、第2自動受信用ボリュームV21にコピーすることにより転送する。
【0068】
次に、ファイル受信側のゲートウェイサーバG2の制御部21は、マウント処理を実行する(ステップS2−8)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30にアクセスし、第2領域322をマウントする。
【0069】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、圧縮ファイルの受信処理を実行する(ステップS2−9)。具体的には、制御部21の自動受信手段215は、ストレージサーバ30の第2領域322の第2自動受信用ボリュームV21に記憶されている転送対象の圧縮ファイルを受信用一時領域222に転送する。そして、ファイル圧縮手段214は、ストレージサーバ30から取得した圧縮ファイルを解凍する。更に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、転送履歴の記録処理を実行する。具体的には、制御部21の転送履歴管理手段218は、受信日時、転送依頼者の利用者ID、転送対象ファイルのファイル名、容量を含めた転送履歴レコードを生成し、転送履歴記憶部24に記録する。
【0070】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、第2領域のファイル削除処理を実行する(ステップS2−10)。具体的には、制御部21の自動受信手段215は、ストレージサーバ30の第2領域322の第2自動受信用ボリュームV21に記憶されていたファイルを削除する。
【0071】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、アンマウント処理を実行する(ステップS2−11)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30の第2領域322をアンマウントする。
【0072】
(手動ファイル送信処理)
次に、手動によるファイル転送を説明する。この手動によるファイル転送は、手動ファイル送信処理(図6)と手動ファイル受信処理(図7)とにより行なわれる。
【0073】
まず、図6を用いて、手動ファイル送信処理を説明する。この手動ファイル送信処理においては、管理者の指示により、転送対象ファイルを手動送信する。ここでは、開発環境から本番環境にファイルを手動送信する場合を想定する。
【0074】
この場合、ファイル送信側のクライアント端末15の制御部16は、メニュー画面表示処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、ファイル送信側である開発環境の管理者は、利用者IDやパスワードを用いて、クライアント端末15にログインする。そして、クライアント端末15において、転送支援プログラムを起動する。この場合、制御部16の転送支援手段161は、ディスプレイにメニュー画面を出力する。このメニュー画面には、「送信」、「受信」等を選択するための選択項目が含まれる。
【0075】
次に、クライアント端末15において、「送信」選択処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、ファイル送信を希望する場合には、メニュー画面において「送信」を選択する。この場合、クライアント端末15は、開発環境の各個別サーバ10にアクセスし、ファイル記憶部12の転送ファイルフォルダに記憶されている転送対象ファイルを取得する。
【0076】
次に、クライアント端末15の制御部16は、ファイル一覧表示処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部16の転送支援手段161は、個別サーバ10から取得した転送対象ファイルを一覧表示させた一覧表示画面を、ディスプレイに出力する。
【0077】
次に、クライアント端末15において、ファイル選択処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、管理者は、一覧表示画面に表示されたファイル名を確認し、転送対象ファイルを選択する。この場合、クライアント端末15は、選択されたファイル情報をゲートウェイサーバG1に送信する。
【0078】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送対象ファイルを仮置して詳細表示処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21の手動送信手段212は
、選択された転送対象ファイルを、個別サーバ10から取得し、送信用一時領域221に仮記録する。そして手動送信手段212は、送信用一時領域221に仮記憶されたファイルの詳細情報(ファイル名、転送依頼者の利用者ID、ファイル属性情報等)を、クライアント端末15のディスプレイに表示する。
【0079】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、承認された転送依頼申請の取得処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の手動送信手段212は、転送依頼記憶部23から、転送対象ファイルのファイル名が設定された転送依頼申請データを抽出する。
【0080】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送依頼申請との突合確認処理を実行する(ステップS3−7)。具体的には、制御部21の手動送信手段212は、転送依頼申請データに設定されたファイル名、転送依頼者の利用者ID、ファイル属性情報と、送信用一時領域221に仮記憶された転送対象ファイルのファイル名、転送依頼者の利用者ID、ファイル属性情報とを比較する。
【0081】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送依頼申請の内容と一致しているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−8)。具体的には、制御部21の手動送信手段212は、転送対象ファイルにおいて、転送依頼申請に設定されたファイル名、転送依頼者の利用者ID、ファイル属性情報における一致/不一致により判定する。
【0082】
転送依頼申請の内容と一致していない場合(ステップS3−8において「NO」の場合)、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、仮置削除処理を実行する(ステップS3−9)。具体的には、制御部21の手動送信手段212は、送信用一時領域221に仮記憶された転送対象ファイルを削除する。そして、手動送信手段212は、管理者のクライアント端末15のディスプレイに、突合結果を出力する。
【0083】
一方、転送依頼申請の内容と一致している場合(ステップS3−8において「YES」の場合)、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送対象ファイルの圧縮処理を実行する(ステップS3−10)。具体的には、制御部21のファイル圧縮手段214は、送信用一時領域221に記憶された転送対象ファイルを圧縮する。
【0084】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、マウント処理を実行する(ステップS3−11)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30にアクセスし、ストレージサーバ30の第1領域321をマウントする。
【0085】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、圧縮ファイルの送信処理を実行する(ステップS3−12)。具体的には、制御部21の手動送信手段212は、送信用一時領域221に記憶されている転送対象の圧縮ファイルを、第1領域321の第1任意送信用ボリュームV12に転送する。更に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送履歴の記録処理を実行する。具体的には、制御部21の転送履歴管理手段218は、送信日時、転送依頼者の利用者ID、転送対象ファイルのファイル名、容量を含めた転送履歴レコードを生成し、転送履歴記憶部24に記録する。
【0086】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、アンマウント処理を実行する(ステップS3−13)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30の第1領域321をアンマウントする。
【0087】
(手動ファイル受信処理)
次に、図7を用いて、手動ファイル受信処理を説明する。この手動ファイル受信処理に
おいては、管理者の指示により、転送対象ファイルを手動受信する。ここでは、本番環境において開発環境からのファイルを受信する場合を想定する。
【0088】
この場合、ファイル受信側のクライアント端末15の制御部16は、メニュー画面表示処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、ファイル受信側である本番環境の管理者は、利用者IDやパスワードを用いて、クライアント端末15にログインする。そして、クライアント端末15において、転送支援プログラムを起動する。この場合、制御部16の転送支援手段161は、ディスプレイにメニュー画面を出力する。このメニュー画面には、「送信」、「受信」等を選択するための選択項目が含まれる。
【0089】
次に、クライアント端末15において、「受信」選択処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、ファイル受信を希望する場合には、メニュー画面において「受信」を選択する。この場合、クライアント端末15は、ゲートウェイサーバG2に対してマウント指示を送信する。
【0090】
この場合、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、同期指示処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、ストレージサーバ30に対して、第1領域321と第2領域322との同期を指示する。
【0091】
この場合、ストレージサーバ30の制御部31は、第1領域から第2領域への転送処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、制御部31の転送制御手段311は、第1任意送信用ボリュームV12に記録された圧縮ファイルを、第2任意受信用ボリュームV22にコピーすることにより転送する。
【0092】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、マウント処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30にアクセスし、ストレージサーバ30の第2領域322をマウントする。
【0093】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、圧縮ファイル一覧表示処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、ストレージサーバ30の第2領域322の第2任意受信用ボリュームV22に記憶されたファイル情報を取得する。そして、手動受信手段216は、取得したファイル情報を一覧表示させた一覧表示画面を、クライアント端末15のディスプレイに表示する。
【0094】
次に、ファイル受信側のクライアント端末15において、ファイル選択処理を実行する(ステップS4−6)。具体的には、管理者は、一覧表示画面に表示されたファイル名を確認し、転送対象の圧縮ファイルを選択する。この場合、クライアント端末15は、選択されたファイル情報をゲートウェイサーバG2に送信する。
【0095】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、圧縮ファイルを仮置して解凍処理を実行する(ステップS4−7)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、選択された転送対象の圧縮ファイルを、ストレージサーバ30の第2領域322の第2任意受信用ボリュームV22から取得し、受信用一時領域222に仮記録する。そして、ファイル圧縮手段214は、受信用一時領域222に仮記録した圧縮ファイルを解凍する。更に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、転送履歴の記録処理を実行する。具体的には、制御部21の転送履歴管理手段218は、受信日時、転送依頼者の利用者ID、転送対象ファイルのファイル名、容量を含めた転送履歴レコードを生成し、転送履歴記憶部24に記録する。
【0096】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、詳細表示処理を実行する(ステップS
4−8)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、解凍された圧縮ファイルに含まれていた転送対象ファイルの詳細情報(ファイル名、転送依頼者の利用者ID、ファイル属性情報等)を、クライアント端末15のディスプレイに表示する。
【0097】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、承認された転送依頼申請の取得処理を実行する(ステップS4−9)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、転送依頼記憶部23から、転送対象ファイルのファイル名が設定された転送依頼申請データを抽出する。
【0098】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、転送依頼申請との突合確認処理を実行する(ステップS4−10)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、転送依頼申請データに設定されたファイル名、転送依頼者の利用者ID、ファイル属性情報と、受信用一時領域222に仮記憶された転送対象ファイルのファイル名、転送依頼者の利用者ID、ファイル属性情報とを比較する。
【0099】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、転送依頼申請の内容と一致しているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−11)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、転送対象ファイルにおいて、転送依頼申請に設定されたファイル名、転送依頼者の利用者ID、ファイル属性情報における一致/不一致により判定する。
【0100】
転送依頼申請の内容と一致していない場合(ステップS4−11において「NO」の場合)、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、仮置削除処理を実行する(ステップS4−12)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、受信用一時領域222に仮記憶されたファイルを削除する。そして、手動受信手段216は、管理者のクライアント端末15のディスプレイに、突合結果を出力する。
【0101】
一方、転送依頼申請の内容と一致している場合(ステップS4−11において「YES」の場合)、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、第2領域のファイル削除処理を実行する(ステップS4−13)。具体的には、制御部21の手動受信手段216は、ストレージサーバ30の第2領域322の第2任意受信用ボリュームV22に記憶されていたファイルを削除する。
【0102】
次に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、アンマウント処理を実行する(ステップS4−14)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30の第2領域322をアンマウントする。
【0103】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、自動ファイル転送処理において、ファイル送信側のゲートウェイサーバG1の制御部21は、第1領域のマウント処理(ステップS2−4)、圧縮ファイルの送信処理(ステップS2−5)、アンマウント処理(ステップS2−6)を実行する。そして、ストレージサーバ30の制御部31は、第1領域から第2領域への転送処理を実行する(ステップS2−7)。そして、ファイル受信側のゲートウェイサーバG2の制御部21は、マウント処理(ステップS2−8)、圧縮ファイルの受信処理(ステップS2−9)、アンマウント処理を実行する(ステップS2−11)。これにより、二つの環境をネットワーク接続せずに、自動的にファイルを転送することができる。このため、両環境間をネットワーク接続しないことにより、セキュリティを確保することができる。
【0104】
(2)本実施形態では、手動ファイル送信処理において、ファイル送信側のゲートウェイサーバG1の制御部21は、第1領域のマウント処理(ステップS3−11)、圧縮フ
ァイルの送信処理(ステップS3−12)、アンマウント処理(ステップS3−13)を実行する。ファイル受信側のゲートウェイサーバG2の制御部21は、マウント処理を実行する(ステップS4−4)。そして、ストレージサーバ30の制御部31は、第1領域から第2領域への転送処理を実行する(ステップS5−1)。更に、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、圧縮ファイルを仮置して解凍処理(ステップS4−7)、アンマウント処理(ステップS4−14)を実行する。これにより、二つの環境をネットワーク接続せずに、手動によりファイルを転送することができる。このため、両環境間をネットワーク接続しないことにより、セキュリティを確保することができる。
【0105】
(3)本実施形態では、転送依頼申請の出力処理において、クライアント端末15を用いて、転送ファイルフォルダへの移動処理を実行する(ステップS1−2)。この場合、クライアント端末15の制御部16は、フォルダ内のファイル属性情報の取得処理(ステップS1−3)、転送依頼申請の作成処理(ステップS1−4)を実行する。これにより、ファイルの転送を依頼するための転送依頼申請を効率的に作成することができる。
【0106】
(4)本実施形態では、クライアント端末15の制御部16は、転送依頼申請の回付処理を実行する(ステップS1−5)。ここで、承認入力された転送依頼申請データは、各ゲートウェイサーバ(G1,G2)に提供され、転送依頼記憶部23に記録される。そして、手動ファイル送信処理において、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、転送依頼申請との突合確認処理を実行する(ステップS3−7)。これにより、承認された転送依頼申請に記載されたファイルとは異なるファイル送信を抑制することができる。
【0107】
更に、手動ファイル受信処理において、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、転送依頼申請との突合確認処理を実行する(ステップS4−10)。これにより、承認された転送依頼申請に記載されたファイルとは異なるファイル受信を抑制することができる。
【0108】
(4)本実施形態では、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、フィルタリング処理を実行する(ステップS2−2)。これにより、転送要件を満たさないファイルの転送を抑制することができる。例えば、転送すべきでない情報を含むファイルの送信を抑制することができる。
【0109】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態では、手動ファイル送信処理の終了後に、手動ファイル受信処理を実行する。これに代えて、手動によるファイル送信処理を終了した場合には、ストレージサーバ30が、ファイル受取側に、手動ファイル送信処理を終了したことを知らせるメッセージを送信するようにしてもよい。この場合には、ストレージサーバ30が、転送したファイル名や属性情報に基づいて転送依頼申請を取得し、ゲートウェイサーバG1からこの転送依頼主に記載されている転送先情報を取得して通知する。これにより、ファイル受取側において、速やかにファイルを受領することができる。
【0110】
・ 上記実施形態では、ステップS5−1において、第1領域から第2領域への転送を行なう。ここでは、第1任意送信用ボリュームV12と第2任意受信用ボリュームV22との同期を行なった。同期方法はこれに限定されるものではなく、すべてのボリュームについて、同時期に同期処理を行なうようにしてもよい。
【0111】
・ 上記実施形態では、承認入力された転送依頼申請データは、各ゲートウェイサーバ(G1,G2)に提供され、転送依頼記憶部23に記録される。ここで、転送依頼記憶部23への記録方法は、これに限定されるものではない。例えば、紙媒体によって承認された転送依頼申請のイメージデータを作成し、このイメージデータの文字認識によりテキストデータを生成するようにしてもよい。そして、このテキストデータを、転送依頼記憶部
23に記録する。
【0112】
・ 上記実施形態では、ゲートウェイサーバ(G1,G2)において、ストレージサーバ30に対するアクセス制御処理を実行する。具体的には、第1領域321又は第2領域322が、いずれかのゲートウェイサーバ(G1,G2)にマウントされている場合には、他のゲートウェイサーバからのアクセスを制限する排他制御を行なう。ここで、排他制御によりマウントできない場合には、マウントを待機するようにしてもよい。この場合、ゲートウェイサーバ(G1,G2)にマウント待ち記録部を設ける。このマウント待ち記憶部25には、転送できなかった圧縮ファイルを記憶しておく。更に、マウント制御手段217には、マウントの優先順位を決定するための優先順位決定テーブルを保持させておく。この優先順位決定テーブルには、転送対象ファイルの属性情報に関連づけて優先順位を設定しておく。
【0113】
このマウント制御処理を、図8を用いて説明する。
ここでは、まず、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、マウント要求処理を実行する(ステップS6−1)。具体的には、ゲートウェイサーバG1において、ステップS3−1〜S3−10の処理を終了した後で、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30のマウントを要求する。
【0114】
この場合、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、他のゲートウェイサーバによってマウント中かどうかについての判定処理を実行する(ステップS6−2)。具体的には、ストレージサーバ30が、他のゲートウェイサーバによってマウントされている場合には、排他制御される。排他制御された場合には、他のゲートウェイサーバにおいてマウント中と判定する。
【0115】
他のゲートウェイサーバによってマウント中でない場合(ステップS6−2において「NO」の場合)、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、マウント処理を実行する(ステップS6−3)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30をマウントする。そして、ステップS3−12、S3−13と同様に、圧縮ファイルの送信処理(ステップS6−4)、アンマウント処理(ステップS6−5)を実行する。
【0116】
一方、他のゲートウェイサーバによってマウント中の場合(ステップS6−2において「YES」の場合)、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、マウント待ちの登録処理を実行する(ステップS6−6)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、マウント待ち記憶部25に、転送対象の圧縮ファイルを登録する。
【0117】
そして、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、アンマウントの待機処理を実行する(ステップS7−1)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、他のゲートウェイサーバによるマウント状況を確認し、アンマウントを待機する。
【0118】
他のゲートウェイサーバのアンマウントを検知した場合、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、優先順位が高いマウント待ちの特定処理を実行する(ステップS7−2)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、マウント待ち記憶部25に記憶された圧縮ファイルの属性情報を取得し、優先順位決定テーブルを用いて最も優先順位が高いマウント待ちを特定する。
【0119】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、ステップS3−12、S3−13と同様に、マウント処理(ステップS7−3)、圧縮ファイルの送信処理(ステップS7−4)を実行する。
【0120】
次に、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、マウント待ちの削除処理を実行する(ステップS7−5)。具体的には、制御部21のマウント制御手段217は、ストレージサーバ30の送信を終了した圧縮ファイルを、マウント待ち記憶部25から削除する。
【0121】
そして、ゲートウェイサーバG1の制御部21は、ステップS3−13と同様に、アンマウント処理を実行する(ステップS7−6)。
これにより、他のゲートウェイサーバ(G1,G2)によってストレージサーバ30がマウントされているため、排他制御が行なわれている場合には、マウント待ち記憶部25を用いて、効率的にファイル転送を行なうことができる。
【0122】
・ 上記実施形態では、転送制御手段311は、データ記憶部32の第1領域321に記憶されている内容を第2領域322にコピーしたり、第2領域322に記憶されている内容を第1領域321にコピーしたりする同期処理を行なう。これに代えて、転送制御手段311は、データ記憶部32の第1領域321に記憶されている内容を第2領域322に移し替えたり、第2領域322に記憶されている内容を第1領域321に移し替えたりする同期処理を行なうようにしてもよい。すなわち、送信側領域の移し替え前のファイルや状態を、受信側領域に移し替えるとともに、送信側領域を「空」状態にする。この場合、送信側領域が元来「空」の場合、同期処理により、受信側領域も「空」にすることができる。
【0123】
・ 上記実施形態では、ゲートウェイサーバ(G1,G2)の制御部21の転送履歴管理手段218が転送履歴の記録処理を実行する。ここで、ストレージサーバ30の制御部31において、転送履歴の記録処理を行なうようにしてもよい。この場合、ストレージサーバ30に、転送履歴記憶部を設けて、制御部31が、ゲートウェイサーバ(G1,G2)からファイルを受信したり、ゲートウェイサーバ(G1,G2)に送信したりした場合に、履歴を記録する。また、同期処理において、第1領域から第2領域へのファイル転送(同期処理)を行なった場合にも、履歴を記録するようにしてもよい。
【0124】
・ 上記実施形態では、クライアント端末15において転送依頼申請の承認処理を実行する。ここで、転送依頼申請を作成するハードウェアはクライアント端末15に限定されるものではなく、例えば、個別サーバ10によって行なうようにしてもよい。この場合には、クライアント端末15によって指定された転送対象ファイルについて、個別サーバ10が転送依頼申請を作成する。
【0125】
・ 上記実施形態では、ゲートウェイサーバG2の制御部21は、同期指示処理を実行する(ステップS4−3)。ここでは、受信側からストレージサーバ30に対して同期指示を行なう。同期指示は、受信側からの指示に限定されるものではなく、送信側から同期指示できるようにしてもよい。この場合には、圧縮ファイルの送信処理(ステップS3−12)の後に行なう。
【符号の説明】
【0126】
10…個別サーバ、12…ファイル記憶部、15…クライアント端末、16…制御部、G1,G2…ゲートウェイサーバ、21…制御部、211…自動送信手段、212…手動送信手段、213…ファイルフィルタ手段、214…ファイル圧縮手段、215…自動受信手段、216…手動受信手段、217…マウント制御手段、218…転送履歴管理手段、219…残存ファイル管理手段、22…一時ファイル記憶部、221…送信用一時領域、222…受信用一時領域、23…転送依頼記憶部、30…ストレージサーバ、31…制御部、311…転送制御手段、32…データ記憶部、321…第1領域、322…第2領域、33…転送履歴記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サーバと第2サーバと外部記憶装置とから構成されたファイル転送システムであって、
前記第1サーバが、
前記外部記憶装置をマウントする手段と、
前記第1サーバに記憶されたファイルを前記外部記憶装置に送信して記録した後に、前記外部記憶装置をアンマウントする手段とを備えるとともに、
前記第2サーバが、
前記外部記憶装置をマウントする手段と、
前記外部記憶装置に記憶されたファイルを受信した後に、前記外部記憶装置をアンマウントする手段とを備えたことを特徴とするファイル転送システム。
【請求項2】
前記外部記憶装置は、前記第1サーバから取得したファイルを記憶する第1領域と、前記第2サーバに転送するファイルを記憶する第2領域とから構成され、
前記外部記憶装置は、前記第1領域に記憶されたファイルを前記第2領域に転送する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のファイル転送システム。
【請求項3】
前記第1サーバは、前記外部記憶装置に転送するファイルを圧縮する手段と、
前記第2サーバは、前記外部記憶装置から取得した圧縮ファイルを解凍する手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル転送システム。
【請求項4】
前記第1サーバは、権限者によって承認された転送依頼申請において、転送対象ファイルの識別情報を取得し、
前記識別情報のファイルについてのみ、前記外部記憶装置に送信する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のファイル転送システム。
【請求項5】
前記第2サーバは、権限者によって承認された転送依頼申請において、転送対象のファイルの識別情報を取得し、
前記識別情報のファイルについてのみ、前記外部記憶装置から受信する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のファイル転送システム。
【請求項6】
承認された転送依頼申請を取得し、前記転送依頼申請に含まれる識別情報を取得し、
前記取得した識別情報と転送されたファイルの識別情報とを突合し、突合結果を出力することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のファイル転送システム。
【請求項7】
転送対象のファイルを格納する転送ファイルフォルダを備え、
前記転送ファイルフォルダに記憶されたファイルの識別情報を取得し、
権限者の承認を取得するために、前記識別情報を記録した転送依頼申請を作成する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のファイル転送システム。
【請求項8】
第1サーバと第2サーバと外部記憶装置とから構成されたファイル転送システムを用いて、ファイルを転送する方法であって、
前記第1サーバが、
前記外部記憶装置をマウントする段階と、
前記第1サーバに記憶されたファイルを前記外部記憶装置に送信して記録した後に、前記外部記憶装置をアンマウントする段階と実行するとともに、
前記第2サーバが、
前記外部記憶装置をマウントする段階と、
前記外部記憶装置に記憶されたファイルを受信した後に、前記外部記憶装置をアンマウントする段階とを実行することを特徴とするファイル転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−98923(P2012−98923A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246341(P2010−246341)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【Fターム(参考)】