ファインダー用接眼レンズ
【課題】構成が小型であり、かつ高倍率でありながら、アイレリーフやバックフォーカスは適度に長くでき、良好な結像性能と歪曲収差特性を持ち、使用に十分な色収差補正がされて、さらに、低コストを優先し実現するための上限である3枚構成のファインダー用接眼レンズを提供する。
【解決手段】瞳側より順に、負の第1レンズ、正の第2レンズ、正の第3レンズよりなり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
(1)1.4<TL/f<1.9
(2)0.9<f/(D1+D2+D3+D4+D5)<1.7
ただし
TL:レンズ第1面から映像素子面までの光軸上の距離(平行平面部分は空気長換算)
f:全レンズ系の焦点距離
D1:第1レンズの光軸上の厚み
D2:第2面と第3面の光軸上の距離
D3:第2レンズの光軸上の厚み
D4:第4面と第5面の光軸上の距離
D5:第3レンズの光軸上の厚み
【解決手段】瞳側より順に、負の第1レンズ、正の第2レンズ、正の第3レンズよりなり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
(1)1.4<TL/f<1.9
(2)0.9<f/(D1+D2+D3+D4+D5)<1.7
ただし
TL:レンズ第1面から映像素子面までの光軸上の距離(平行平面部分は空気長換算)
f:全レンズ系の焦点距離
D1:第1レンズの光軸上の厚み
D2:第2面と第3面の光軸上の距離
D3:第2レンズの光軸上の厚み
D4:第4面と第5面の光軸上の距離
D5:第3レンズの光軸上の厚み
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電子ビユーファインダーに用いられる接眼レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年普及の著しいビデオカメラやデジタルカメラ等には、撮影した映像も観られる電子ビューファインダーが多く用いられている。
【0003】
その中に搭載されている各種電子デバイスは、高性能化・小型化が急速に進み、それに合わせて接眼レンズの光学性能も要求が厳しくなってきている。
【0004】
また、ビデオカメラやデジタルカメラ等においては、小型であることが特徴のひとつである。そのため、それらに搭載する電子ビューファインダーも必然的に小型であることが要求されている。
【0005】
つまり、電子ビューファインダーの小型化に大きく影響するLCD等の映像素子と、それを眼で観察するための光学レンズも、まず小型であることが要求されることになる。
【0006】
さらに、映像素子の小型化によって、ファインダー用接眼レンズとしては高倍率化が必須となる。
【0007】
そして、また、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電子機器はコスト競争も激しく、低コストは当然の要求であり、電子ビューファインダーの優先課題である。
【0008】
その上で、ファインダー用接眼レンズとしては、アイレリーフやバックフォーカスは適度に長くでき、良好な結像性能と歪曲収差特性を持ち、使用に十分な色収差補正がされることが要求される。
【0009】
小型で光学性能が優れた3枚構成の接眼レンズとしては、多数公開されている。(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)
【特許文献1】特許第3467105号公報
【特許文献2】特開平6−258582号公報
【特許文献3】特開2002−303803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、ビデオカメラやデジタルカメラの小型化のスピ−ドは極めて速く、搭載されている各種電子デバイス、LCD等の映像素子のサイズも予想以上に小さくなってきている。
【0011】
そのため、接眼レンズの倍率も比例して高くする必要がある。高倍率化によって光学性能を維持することは格段に難しくなり、必然的にレンズ構成枚数の増とコストアップをどこまでで押えるかが、最近の課題となってきている。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、特に、ビデオカメラ、デジタルカメラ等に用いられる電子ビューファインダーの接眼レンズに関し、構成が小型であり、かつ高倍率でありながら、アイレリーフやバックフォーカスは適度に長くでき、良好な結像性能と歪曲収差特性を持ち、使用に十分な色収差補正がされて、さらに、低コストを優先し実現するための上限である3枚構成のファインダー用接眼レンズを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
瞳側より順に、負の第1レンズ、正の第2レンズ、正の第3レンズよりなり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
(1)1.4<TL/f<1.9
(2)0.9<f/(D1+D2+D3+D4+D5)<1.7
ただし
TL:レンズ第1面から映像素子面までの光軸上の距離(平行平面部分は空気長換算)
f:全レンズ系の焦点距離
D1:第1レンズの光軸上の厚み
D2:第2面と第3面の光軸上の距離
D3:第2レンズの光軸上の厚み
D4:第4面と第5面の光軸上の距離
D5:第3レンズの光軸上の厚み
【0014】
また、前記接眼レンズにおいて、前記第1レンズは瞳側と反対側に凹面を向けた凹レンズであり、前記第2レンズ、前記第3レンズはそれぞれ両面凸レンズであり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
(3)−1.1<f/f1<−0.8
(4)1.45<f/R2<2.0
(5)1.1<f/f2<1.6
(6)1.0<R2/R3<1.3
(7)0.3<f2/f3<0.6
(8)−1.0<R4/R5<−0.5
(9)25<(ν2+ν3)/2−ν1
ただし
f1:第1レンズの焦点距離
R2:第1レンズの映像素子側面の近軸曲率半径
f2:第2レンズの焦点距離
R3:第2レンズの瞳側面の近軸曲率半径
f3:第3レンズの焦点距離
R4:第2レンズの映像素子側面の近軸曲率半径
R5:第3レンズの瞳側面の近軸曲率半径
ν2:第2レンズ材料のアッベ数
ν3:第3レンズ材料のアッベ数
ν1:第1レンズ材料のアッベ数
【0015】
また、前記接眼レンズにおいて、少なくとも、前記第1レンズの映像素子側の面と、前記第2レンズの両側面と、前記第3レンズの瞳側面が非球面形状であることを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
【0016】
また、前記接眼レンズにおいて、それぞれのレンズが、樹脂材料にて構成されることを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、構成が小型であり、かつ高倍率でありながら、アイレリーフやバックフォーカスは適度に長くでき、良好な結像性能と歪曲収差特性を持ち、使用に十分な色収差補正がされて、さらに、低コストを優先し実現するための上限である3枚構成のファインダー用接眼レンズを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施形態を以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明に係るファインダー用接眼レンズの実施例を示す。但し、ここで実施例の説明に使用する記号は、下記の通りである。
EP :アイポイント
L1 :第1レンズ
L2 :第2レンズ
L3 :第3レンズ
CG :カバーガラス
I :映像素子面
f :全レンズ系の焦点距離
2ω :見かけ視界(単位は度)(画角)
D* :各面と次の面との光軸上の距離 (*には各面に対応する数字がはいる)
TL :レンズ第1面から映像素子面までの光軸上の距離(平行平面部分は空気長換算)
R* :各面の近軸曲率半径 (*には各面に対応する数字がはいる)
Nd* :各レンズ材料のd線での屈折率 (*には各レンズに対応する数字がはいる)
νd* :各レンズのd線でのアッベ数 (*には各レンズに対応する数字がはいる)
【0020】
レンズが非球面である場合の非球面式は、以下のごとく記述される。
【数1】
ただし、k=α1+1 とし、
C :非球面頂点の曲率
α1 :円錐係数
α2〜α10 :光軸からの高さ
ρ :光軸からの高さ
Z :レンズ面頂点における接平面から光軸方向への距離
である。
【0021】
図1は本発明に係わる最良の実施形態のレンズ構成図である(実施例1)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0022】
図2はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ5mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0023】
表1−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図1に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表1−1に記載してある。表1−2は表1−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。
【表1−1】
【表1−2】
【0024】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8には、実施例1の他、実施例2から7における計算結果も記載してある。また、表8の項目で本発明に直接関与しない計算部分については説明を省略する。
【表8】
【0025】
図1に示す実施例1において、瞳側より順に、負の第1レンズL1、正の第2レンズL2、正の第3レンズL3を置いた構成のファインダー用接眼レンズである。前記第1レンズL1の第1面S1から瞳(アイポイントEP)S0までの距離D0はアイレリーフであり、適度な長さを確保している。これが短すぎると眼やまつげがレンズに直接当たり、長すぎると小型化に反することとなり、それぞれ問題である。前記第1レンズL1の第2面S2から前記第2レンズL2の第1面S3までの距離D2や前記第2レンズL2の第2面S4から前記第3レンズL3の第1面S5までの距離D4は各レンズの厚みD1、D3、D5とともに、光学長TLを決めるための大きな要因となっている。前記第3レンズL3の第2面S6から映像素子面I(S9)までの長さはバックフォーカスであり、適度な長さを確保している。特にフロントライトタイプの映像素子では、前面に障害となる構造物があるため、スペースが必要となっている。
【0026】
表8から、TL/fは1.568で、f/(D1+D2+D3+D4+D5)は1.307であり、請求項1に規定される以下の条件式を満足していることがわかる。
(1)1.4<TL/f<1.9
(2)0.9<f/(D1+D2+D3+D4+D5)<1.7
【0027】
条件式(1)は、接眼レンズの倍率と小型化の関係を表しており、倍率が同じ場合、上限を超えると小型化は達成されず、下限を超えると小型化は可能であるが、適度なバックフォーカスを確保できず、各レンズのパワーが過大となり良好な性能が維持できない。光学長を同じにした場合は、上限を超えると高倍率になり過ぎ、性能が劣化する。下限を超えると必要倍率と性能のバランスを大きく悪化させる。条件式(2)は、レンズの厚みと小型化の条件である。上限を超えると小型化は可能であるが、レンズの厚みが薄くなり性能が劣化する。特に倍率の色収差が補正できない。下限を超えると、レンズの厚みが厚くなり、間隔も大きくなり過ぎ小型化は達成できない。レンズ形状も周辺で曲率がきつくなり、特に倍率の色収差が悪化する。
【0028】
また、実施例1において、前記第1レンズL1は瞳側と反対側に凹面を向けた凹レンズであり、前記第2レンズL2、前記第3レンズL3はそれぞれ両面凸レンズである。
【0029】
同様に表8から、f/f1は−0.881であり、f/R2は1.674で、f/f2は1.264、R2/R3は1.182、f2/f3は0.450、R4/R5は−0.854、(ν2+ν3)/2−ν1は27.2であり、請求項2に規定される以下の条件式を満足していることがわかる。
(3)−1.1<f/f1<−0.8
(4)1.45<f/R2<2.0
(5)1.1<f/f2<1.6
(6)1.0<R2/R3<1.3
(7)0.3<f2/f3<0.6
(8)−1.0<R4/R5<−0.5
(9)25<(ν2+ν3)/2−ν1
【0030】
条件式(3)は、レンズ全系のパワーと第1レンズL1のパワー比を定義して、第1レンズL1の負のパワーを規定している。上限を超えると負のパワーが小さくなり収差補正に対しては有利であるが、軸上色収差、倍率の色収差ともに増える。レンズ全長が長くなるため小型化を実現できない。下限を超えると負のパワーが過大になり、レンズ周辺部分の形状が悪くなり、起因する球面収差、コマ収差の収差補正が困難になる。条件式(4)も第1レンズL1に関する内容で、第2面S2の近軸曲率半径の大きさを定義することによって第1レンズL1の形状を規定した式である。上限を超えると凹面の深さが大きくなり負のパワーが過大となる。レンズ全系のパワーバランスが崩れ、収差補正が困難になる。下限を超えると凹面が浅いレンズとなり、負のパワーが小さくなりすぎて収差補正すると小型化が実現できない。色収差が大きくなり補正困難になる。条件式(5)はレンズ全系のパワーと第2レンズL2のパワー比を定義して、第2レンズL2の正のパワーを規定している。上限を超えると正のパワーが大きくなり第1レンズL1で発生した負のパワーに対して補正過剰になる。下限を超えると正のパワーが小さくなり収差補正が不足して性能を確保できない。レンズ全長も長くなるため小型化を実現できない。条件式(6)は第1レンズL1の第2面S2と第2レンズL2の第1面S3の関係を表している。第1レンズL1の第2面S2で発生した球面収差やコマ収差、倍率の色収差を第2レンズL2の第1面S3で逆のパワーで打ち消し補正している。上限、下限を超えると両面のバランスが崩れ、収差補正が困難になる。条件式(7)は3枚構成レンズのパワー負、正、正のうち、特に正の値を適正に配分するための条件である。上限を超えると第3レンズL3のパワーが第2レンズL2に近くなり、パワー配分のバランスが崩れ、レンズ系全体の長さが増える。従って、小型化が達成できない。結果的にペッツバール和まで大きくなり、像面湾曲、非点収差が増え、補正困難になる。下限を超えると第2レンズL2のパワーが過大になり、バランスが悪くなり球面収差、コマ収差が増え補正できない。条件式(8)も第2レンズL2と第3レンズL3の関係を表している。第2レンズL2の第2面S4と第3レンズL3の第1面S5はそれぞれ反対方向の同レベル近軸曲率半径でバランスをとっている。上限を超えると第2レンズL2の第2面S4の曲率半径が小さくなりすぎ、第2レンズL2のパワーが大きくなる。バランスを失って各種収差が増える。下限を超えると第2レンズL2の第2面S4の曲率半径が第3レンズL3の第1面S5の曲率半径より大きくなり、それに伴って第2レンズL2の正のパワーが小さくなり、収差補正が困難になる。小型化にも不利である。条件式(9)は色補正条件である。負、正、正の3枚構成であるため、第1レンズL1の負レンズは高分散材で、第2レンズL2、第3レンズL3の正レンズを低分散材とする色消しタイプである。下限を超えると色収差が増大し補正できない。
【0031】
また、表1−1、表1−2から、少なくとも、前記第1レンズL1の映像素子側の面(S2)と、前記第2レンズL2の両側面(S3、S4)と、前記第3レンズL3の瞳側面(S5)が非球面形状であることが望ましい。
【0032】
これは、第1レンズL1の負のメニスカスレンズで発生する歪曲収差を補正するために、非球面形状を用いることは大変有効であり、曲率のある第2面S2を非球面とすることが特に重要である。正の第2レンズL2、第3レンズL3では、パワーの大きい第2レンズL2の両面(S3、S4)と、第2レンズL2の第2面S4の収差補正面である第3レンズL3の第1面S5を非球面とすることが有効である。
【0033】
また、表1−1から、前記第1レンズL1、前記第2レンズL2、前記第3レンズL3それぞれが樹脂材料で形成されていることが望ましい。
【0034】
これにより、射出成形でのレンズの製造が可能になり、均一で高品質な接眼レンズを安く大量生産することができる。低コスト化にはこれも欠かせない要素である。
【実施例2】
【0035】
図3は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例2)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0036】
図4はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ5mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0037】
表2−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図3に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表2−1に記載してある。表2−2は表2−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表2−1からわかるように、前記実施例1から第2レンズL2、第3レンズL3を別の低分散材料に置き換えて実施した例である。
【表2−1】
【表2−2】
【0038】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例2の欄がこの実施例における計算結果である。
【0039】
表2−1、表2−2、表8より、実施例1と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例3】
【0040】
図5は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例3)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0041】
図6はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ7mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0042】
表3−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図5に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表3−1に記載してある。表3−2は表3−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表3−1、図6からわかるように、前記実施例1の瞳径をφ5mmからφ7mmへ広げて実施した例である。
【表3−1】
【表3−2】
【0043】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例3の欄がこの実施例における計算結果である。
【0044】
表3−1、表3−2、表8より、実施例1、2と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例4】
【0045】
図7は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例4)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0046】
図8はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ7mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0047】
表4−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図7に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表4−1に記載してある。表4−2は表4−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表4−1、図8からわかるように、前記実施例1から第1レンズL1を別の高分散材料に置き換えてかつ瞳径をφ5mmからφ7mmへ広げて実施した例である。
【表4−1】
【表4−2】
【0048】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例4の欄がこの実施例における計算結果である。
【0049】
表4−1、表4−2、表8より、実施例1、2、3と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例5】
【0050】
図9は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例5)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0051】
図10はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ7mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0052】
表5−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図9に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表5−1に記載してある。表5−2は表5−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表5−1、図10からわかるように、前記実施例4から第2レンズL2、第3レンズL3を別の低分散材料に置き換えて実施した例である。
【表5−1】
【表5−2】
【0053】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例5の欄がこの実施例における計算結果である。
【0054】
表5−1、表5−2、表8より、実施例1、2、3、4と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例6】
【0055】
図11は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例6)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0056】
図12はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ5mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0057】
表6−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図11に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表6−1に記載してある。表6−2は表6−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表6−1、表6−2、図12からわかるように、前記実施例1から非球面の採用を第1レンズL1の第2面S2、第2レンズL2の両面(S3、S4)、第3レンズL3の第1面S5のみとして実施した例である。
【表6−1】
【表6−2】
【0058】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例6の欄がこの実施例における計算結果である。
【0059】
表6−1、表6−2、表8より、実施例1、2、3、4、5と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例7】
【0060】
図13は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例7)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0061】
図14はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ5mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0062】
表7−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図13に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表7−1に記載してある。表7−2は表7−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表7−1、表7−2、図14からわかるように、前記実施例6から第2レンズL2、第3レンズL3を別の低分散材料に置き換えて実施した例である。
【表7−1】
【表7−2】
【0063】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例7の欄がこの実施例における計算結果である。
【0064】
表7−1、表7−2、表8より、実施例1、2、3、4、5、6と同様に、すべての条件を満足している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明最良の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例1)
【図2】本発明最良の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例1)
【図3】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例2)
【図4】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例2)
【図5】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例3)
【図6】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例3)
【図7】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例4)
【図8】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例4)
【図9】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例5)
【図10】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例5)
【図11】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例6)
【図12】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例6)
【図13】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例7)
【図14】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例7)
【符号の説明】
【0066】
1 g線の波長での球面収差
2 F線の波長での球面収差
3 e線の波長での球面収差
4 d線の波長での球面収差
5 C線の波長での球面収差
1a g線の波長での倍率の色収差
2a F線の波長での倍率の色収差
3a e線の波長での倍率の色収差
4a d線の波長での倍率の色収差
5a C線の波長での倍率の色収差
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
I 映像素子面
S サジタル面での非点収差
T タンジェンシャル面での非点収差
Y 像高
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電子ビユーファインダーに用いられる接眼レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年普及の著しいビデオカメラやデジタルカメラ等には、撮影した映像も観られる電子ビューファインダーが多く用いられている。
【0003】
その中に搭載されている各種電子デバイスは、高性能化・小型化が急速に進み、それに合わせて接眼レンズの光学性能も要求が厳しくなってきている。
【0004】
また、ビデオカメラやデジタルカメラ等においては、小型であることが特徴のひとつである。そのため、それらに搭載する電子ビューファインダーも必然的に小型であることが要求されている。
【0005】
つまり、電子ビューファインダーの小型化に大きく影響するLCD等の映像素子と、それを眼で観察するための光学レンズも、まず小型であることが要求されることになる。
【0006】
さらに、映像素子の小型化によって、ファインダー用接眼レンズとしては高倍率化が必須となる。
【0007】
そして、また、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電子機器はコスト競争も激しく、低コストは当然の要求であり、電子ビューファインダーの優先課題である。
【0008】
その上で、ファインダー用接眼レンズとしては、アイレリーフやバックフォーカスは適度に長くでき、良好な結像性能と歪曲収差特性を持ち、使用に十分な色収差補正がされることが要求される。
【0009】
小型で光学性能が優れた3枚構成の接眼レンズとしては、多数公開されている。(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)
【特許文献1】特許第3467105号公報
【特許文献2】特開平6−258582号公報
【特許文献3】特開2002−303803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、ビデオカメラやデジタルカメラの小型化のスピ−ドは極めて速く、搭載されている各種電子デバイス、LCD等の映像素子のサイズも予想以上に小さくなってきている。
【0011】
そのため、接眼レンズの倍率も比例して高くする必要がある。高倍率化によって光学性能を維持することは格段に難しくなり、必然的にレンズ構成枚数の増とコストアップをどこまでで押えるかが、最近の課題となってきている。
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、特に、ビデオカメラ、デジタルカメラ等に用いられる電子ビューファインダーの接眼レンズに関し、構成が小型であり、かつ高倍率でありながら、アイレリーフやバックフォーカスは適度に長くでき、良好な結像性能と歪曲収差特性を持ち、使用に十分な色収差補正がされて、さらに、低コストを優先し実現するための上限である3枚構成のファインダー用接眼レンズを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
瞳側より順に、負の第1レンズ、正の第2レンズ、正の第3レンズよりなり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
(1)1.4<TL/f<1.9
(2)0.9<f/(D1+D2+D3+D4+D5)<1.7
ただし
TL:レンズ第1面から映像素子面までの光軸上の距離(平行平面部分は空気長換算)
f:全レンズ系の焦点距離
D1:第1レンズの光軸上の厚み
D2:第2面と第3面の光軸上の距離
D3:第2レンズの光軸上の厚み
D4:第4面と第5面の光軸上の距離
D5:第3レンズの光軸上の厚み
【0014】
また、前記接眼レンズにおいて、前記第1レンズは瞳側と反対側に凹面を向けた凹レンズであり、前記第2レンズ、前記第3レンズはそれぞれ両面凸レンズであり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
(3)−1.1<f/f1<−0.8
(4)1.45<f/R2<2.0
(5)1.1<f/f2<1.6
(6)1.0<R2/R3<1.3
(7)0.3<f2/f3<0.6
(8)−1.0<R4/R5<−0.5
(9)25<(ν2+ν3)/2−ν1
ただし
f1:第1レンズの焦点距離
R2:第1レンズの映像素子側面の近軸曲率半径
f2:第2レンズの焦点距離
R3:第2レンズの瞳側面の近軸曲率半径
f3:第3レンズの焦点距離
R4:第2レンズの映像素子側面の近軸曲率半径
R5:第3レンズの瞳側面の近軸曲率半径
ν2:第2レンズ材料のアッベ数
ν3:第3レンズ材料のアッベ数
ν1:第1レンズ材料のアッベ数
【0015】
また、前記接眼レンズにおいて、少なくとも、前記第1レンズの映像素子側の面と、前記第2レンズの両側面と、前記第3レンズの瞳側面が非球面形状であることを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
【0016】
また、前記接眼レンズにおいて、それぞれのレンズが、樹脂材料にて構成されることを特徴とするファインダー用接眼レンズとする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、構成が小型であり、かつ高倍率でありながら、アイレリーフやバックフォーカスは適度に長くでき、良好な結像性能と歪曲収差特性を持ち、使用に十分な色収差補正がされて、さらに、低コストを優先し実現するための上限である3枚構成のファインダー用接眼レンズを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施形態を以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
以下、本発明に係るファインダー用接眼レンズの実施例を示す。但し、ここで実施例の説明に使用する記号は、下記の通りである。
EP :アイポイント
L1 :第1レンズ
L2 :第2レンズ
L3 :第3レンズ
CG :カバーガラス
I :映像素子面
f :全レンズ系の焦点距離
2ω :見かけ視界(単位は度)(画角)
D* :各面と次の面との光軸上の距離 (*には各面に対応する数字がはいる)
TL :レンズ第1面から映像素子面までの光軸上の距離(平行平面部分は空気長換算)
R* :各面の近軸曲率半径 (*には各面に対応する数字がはいる)
Nd* :各レンズ材料のd線での屈折率 (*には各レンズに対応する数字がはいる)
νd* :各レンズのd線でのアッベ数 (*には各レンズに対応する数字がはいる)
【0020】
レンズが非球面である場合の非球面式は、以下のごとく記述される。
【数1】
ただし、k=α1+1 とし、
C :非球面頂点の曲率
α1 :円錐係数
α2〜α10 :光軸からの高さ
ρ :光軸からの高さ
Z :レンズ面頂点における接平面から光軸方向への距離
である。
【0021】
図1は本発明に係わる最良の実施形態のレンズ構成図である(実施例1)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0022】
図2はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ5mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0023】
表1−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図1に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表1−1に記載してある。表1−2は表1−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。
【表1−1】
【表1−2】
【0024】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8には、実施例1の他、実施例2から7における計算結果も記載してある。また、表8の項目で本発明に直接関与しない計算部分については説明を省略する。
【表8】
【0025】
図1に示す実施例1において、瞳側より順に、負の第1レンズL1、正の第2レンズL2、正の第3レンズL3を置いた構成のファインダー用接眼レンズである。前記第1レンズL1の第1面S1から瞳(アイポイントEP)S0までの距離D0はアイレリーフであり、適度な長さを確保している。これが短すぎると眼やまつげがレンズに直接当たり、長すぎると小型化に反することとなり、それぞれ問題である。前記第1レンズL1の第2面S2から前記第2レンズL2の第1面S3までの距離D2や前記第2レンズL2の第2面S4から前記第3レンズL3の第1面S5までの距離D4は各レンズの厚みD1、D3、D5とともに、光学長TLを決めるための大きな要因となっている。前記第3レンズL3の第2面S6から映像素子面I(S9)までの長さはバックフォーカスであり、適度な長さを確保している。特にフロントライトタイプの映像素子では、前面に障害となる構造物があるため、スペースが必要となっている。
【0026】
表8から、TL/fは1.568で、f/(D1+D2+D3+D4+D5)は1.307であり、請求項1に規定される以下の条件式を満足していることがわかる。
(1)1.4<TL/f<1.9
(2)0.9<f/(D1+D2+D3+D4+D5)<1.7
【0027】
条件式(1)は、接眼レンズの倍率と小型化の関係を表しており、倍率が同じ場合、上限を超えると小型化は達成されず、下限を超えると小型化は可能であるが、適度なバックフォーカスを確保できず、各レンズのパワーが過大となり良好な性能が維持できない。光学長を同じにした場合は、上限を超えると高倍率になり過ぎ、性能が劣化する。下限を超えると必要倍率と性能のバランスを大きく悪化させる。条件式(2)は、レンズの厚みと小型化の条件である。上限を超えると小型化は可能であるが、レンズの厚みが薄くなり性能が劣化する。特に倍率の色収差が補正できない。下限を超えると、レンズの厚みが厚くなり、間隔も大きくなり過ぎ小型化は達成できない。レンズ形状も周辺で曲率がきつくなり、特に倍率の色収差が悪化する。
【0028】
また、実施例1において、前記第1レンズL1は瞳側と反対側に凹面を向けた凹レンズであり、前記第2レンズL2、前記第3レンズL3はそれぞれ両面凸レンズである。
【0029】
同様に表8から、f/f1は−0.881であり、f/R2は1.674で、f/f2は1.264、R2/R3は1.182、f2/f3は0.450、R4/R5は−0.854、(ν2+ν3)/2−ν1は27.2であり、請求項2に規定される以下の条件式を満足していることがわかる。
(3)−1.1<f/f1<−0.8
(4)1.45<f/R2<2.0
(5)1.1<f/f2<1.6
(6)1.0<R2/R3<1.3
(7)0.3<f2/f3<0.6
(8)−1.0<R4/R5<−0.5
(9)25<(ν2+ν3)/2−ν1
【0030】
条件式(3)は、レンズ全系のパワーと第1レンズL1のパワー比を定義して、第1レンズL1の負のパワーを規定している。上限を超えると負のパワーが小さくなり収差補正に対しては有利であるが、軸上色収差、倍率の色収差ともに増える。レンズ全長が長くなるため小型化を実現できない。下限を超えると負のパワーが過大になり、レンズ周辺部分の形状が悪くなり、起因する球面収差、コマ収差の収差補正が困難になる。条件式(4)も第1レンズL1に関する内容で、第2面S2の近軸曲率半径の大きさを定義することによって第1レンズL1の形状を規定した式である。上限を超えると凹面の深さが大きくなり負のパワーが過大となる。レンズ全系のパワーバランスが崩れ、収差補正が困難になる。下限を超えると凹面が浅いレンズとなり、負のパワーが小さくなりすぎて収差補正すると小型化が実現できない。色収差が大きくなり補正困難になる。条件式(5)はレンズ全系のパワーと第2レンズL2のパワー比を定義して、第2レンズL2の正のパワーを規定している。上限を超えると正のパワーが大きくなり第1レンズL1で発生した負のパワーに対して補正過剰になる。下限を超えると正のパワーが小さくなり収差補正が不足して性能を確保できない。レンズ全長も長くなるため小型化を実現できない。条件式(6)は第1レンズL1の第2面S2と第2レンズL2の第1面S3の関係を表している。第1レンズL1の第2面S2で発生した球面収差やコマ収差、倍率の色収差を第2レンズL2の第1面S3で逆のパワーで打ち消し補正している。上限、下限を超えると両面のバランスが崩れ、収差補正が困難になる。条件式(7)は3枚構成レンズのパワー負、正、正のうち、特に正の値を適正に配分するための条件である。上限を超えると第3レンズL3のパワーが第2レンズL2に近くなり、パワー配分のバランスが崩れ、レンズ系全体の長さが増える。従って、小型化が達成できない。結果的にペッツバール和まで大きくなり、像面湾曲、非点収差が増え、補正困難になる。下限を超えると第2レンズL2のパワーが過大になり、バランスが悪くなり球面収差、コマ収差が増え補正できない。条件式(8)も第2レンズL2と第3レンズL3の関係を表している。第2レンズL2の第2面S4と第3レンズL3の第1面S5はそれぞれ反対方向の同レベル近軸曲率半径でバランスをとっている。上限を超えると第2レンズL2の第2面S4の曲率半径が小さくなりすぎ、第2レンズL2のパワーが大きくなる。バランスを失って各種収差が増える。下限を超えると第2レンズL2の第2面S4の曲率半径が第3レンズL3の第1面S5の曲率半径より大きくなり、それに伴って第2レンズL2の正のパワーが小さくなり、収差補正が困難になる。小型化にも不利である。条件式(9)は色補正条件である。負、正、正の3枚構成であるため、第1レンズL1の負レンズは高分散材で、第2レンズL2、第3レンズL3の正レンズを低分散材とする色消しタイプである。下限を超えると色収差が増大し補正できない。
【0031】
また、表1−1、表1−2から、少なくとも、前記第1レンズL1の映像素子側の面(S2)と、前記第2レンズL2の両側面(S3、S4)と、前記第3レンズL3の瞳側面(S5)が非球面形状であることが望ましい。
【0032】
これは、第1レンズL1の負のメニスカスレンズで発生する歪曲収差を補正するために、非球面形状を用いることは大変有効であり、曲率のある第2面S2を非球面とすることが特に重要である。正の第2レンズL2、第3レンズL3では、パワーの大きい第2レンズL2の両面(S3、S4)と、第2レンズL2の第2面S4の収差補正面である第3レンズL3の第1面S5を非球面とすることが有効である。
【0033】
また、表1−1から、前記第1レンズL1、前記第2レンズL2、前記第3レンズL3それぞれが樹脂材料で形成されていることが望ましい。
【0034】
これにより、射出成形でのレンズの製造が可能になり、均一で高品質な接眼レンズを安く大量生産することができる。低コスト化にはこれも欠かせない要素である。
【実施例2】
【0035】
図3は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例2)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0036】
図4はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ5mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0037】
表2−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図3に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表2−1に記載してある。表2−2は表2−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表2−1からわかるように、前記実施例1から第2レンズL2、第3レンズL3を別の低分散材料に置き換えて実施した例である。
【表2−1】
【表2−2】
【0038】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例2の欄がこの実施例における計算結果である。
【0039】
表2−1、表2−2、表8より、実施例1と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例3】
【0040】
図5は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例3)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0041】
図6はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ7mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0042】
表3−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図5に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表3−1に記載してある。表3−2は表3−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表3−1、図6からわかるように、前記実施例1の瞳径をφ5mmからφ7mmへ広げて実施した例である。
【表3−1】
【表3−2】
【0043】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例3の欄がこの実施例における計算結果である。
【0044】
表3−1、表3−2、表8より、実施例1、2と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例4】
【0045】
図7は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例4)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0046】
図8はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ7mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0047】
表4−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図7に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表4−1に記載してある。表4−2は表4−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表4−1、図8からわかるように、前記実施例1から第1レンズL1を別の高分散材料に置き換えてかつ瞳径をφ5mmからφ7mmへ広げて実施した例である。
【表4−1】
【表4−2】
【0048】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例4の欄がこの実施例における計算結果である。
【0049】
表4−1、表4−2、表8より、実施例1、2、3と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例5】
【0050】
図9は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例5)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0051】
図10はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ7mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0052】
表5−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図9に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表5−1に記載してある。表5−2は表5−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表5−1、図10からわかるように、前記実施例4から第2レンズL2、第3レンズL3を別の低分散材料に置き換えて実施した例である。
【表5−1】
【表5−2】
【0053】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例5の欄がこの実施例における計算結果である。
【0054】
表5−1、表5−2、表8より、実施例1、2、3、4と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例6】
【0055】
図11は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例6)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0056】
図12はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ5mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0057】
表6−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図11に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表6−1に記載してある。表6−2は表6−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表6−1、表6−2、図12からわかるように、前記実施例1から非球面の採用を第1レンズL1の第2面S2、第2レンズL2の両面(S3、S4)、第3レンズL3の第1面S5のみとして実施した例である。
【表6−1】
【表6−2】
【0058】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例6の欄がこの実施例における計算結果である。
【0059】
表6−1、表6−2、表8より、実施例1、2、3、4、5と同様に、すべての条件を満足している。
【実施例7】
【0060】
図13は本発明に係わる別の実施形態のレンズ構成図である(実施例7)。左側を瞳側、右側を映像素子側として示している。
【0061】
図14はこの実施例の収差図であり、(A)は球面収差、(B)は非点収差、(C)は歪曲収差、(D)は倍率の色収差を表している。球面収差図においては、図示しているように、瞳径φ5mmのときの、それぞれ、g線1、F線2、e線3、d線4、C線5の波長での球面収差を表している。非点収差図では、図示しているようにサジタル面S、タンジェンシャル面Tでの非点収差を表している。倍率の色収差図では、図示しているように、それぞれ、g線1a、F線2a、e線3a、d線4a、C線5aの波長での倍率の色収差を表している。Y=2.53は、映像素子の中心から対角長まで距離(像高)を示している。
【0062】
表7−1はこの実施例の瞳側からアイポイントEP、第1レンズL1の面、第2レンズL2の面、第3レンズL3の面、カバーガラスCGの面、映像素子面Iに番号(図13に示すS0〜S9)を付け、各面ごとにそれぞれの曲率半径、距離(間隔)、屈折率、アッベ数等を記入してまとめた表である。R、D、Nd、νdの記号は前記説明のとおりである。視度調整で、0ディオプター(diopter)にした時の全レンズ系の焦点距離f、見かけ視界2ωも表7−1に記載してある。表7−2は表7−1の面が上述した数式1で記述される場合に、その非球面係数を記載したものである。表7−1、表7−2、図14からわかるように、前記実施例6から第2レンズL2、第3レンズL3を別の低分散材料に置き換えて実施した例である。
【表7−1】
【表7−2】
【0063】
表8は、請求項に記載された条件式(1)から(9)に当てはまる具体的な数値を代入して、それぞれ計算した結果をまとめた表である。表8中の実施例7の欄がこの実施例における計算結果である。
【0064】
表7−1、表7−2、表8より、実施例1、2、3、4、5、6と同様に、すべての条件を満足している。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明最良の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例1)
【図2】本発明最良の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例1)
【図3】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例2)
【図4】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例2)
【図5】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例3)
【図6】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例3)
【図7】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例4)
【図8】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例4)
【図9】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例5)
【図10】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例5)
【図11】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例6)
【図12】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例6)
【図13】本発明の別の実施形態を示すレンズ構成図。(実施例7)
【図14】本発明の別の実施形態での収差図で、(A)は球面収差を表す収差図、(B)は非点収差を表す収差図、(C)は歪曲収差を表す収差図、(D)は倍率の色収差を表す収差図。(実施例7)
【符号の説明】
【0066】
1 g線の波長での球面収差
2 F線の波長での球面収差
3 e線の波長での球面収差
4 d線の波長での球面収差
5 C線の波長での球面収差
1a g線の波長での倍率の色収差
2a F線の波長での倍率の色収差
3a e線の波長での倍率の色収差
4a d線の波長での倍率の色収差
5a C線の波長での倍率の色収差
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
I 映像素子面
S サジタル面での非点収差
T タンジェンシャル面での非点収差
Y 像高
【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞳側より順に、負の第1レンズ、正の第2レンズ、正の第3レンズよりなり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズ。
(1)1.4<TL/f<1.9
(2)0.9<f/(D1+D2+D3+D4+D5)<1.7
ただし
TL:レンズ第1面から映像素子面までの光軸上の距離(平行平面部分は空気長換算)
f:全レンズ系の焦点距離
D1:第1レンズの光軸上の厚み
D2:第2面と第3面の光軸上の距離
D3:第2レンズの光軸上の厚み
D4:第4面と第5面の光軸上の距離
D5:第3レンズの光軸上の厚み
【請求項2】
請求項1記載の接眼レンズにおいて、前記第1レンズは瞳側と反対側に凹面を向けた凹レンズであり、前記第2レンズ、前記第3レンズはそれぞれ両面凸レンズであり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズ。
(3)−1.1<f/f1<−0.8
(4)1.45<f/R2<2.0
(5)1.1<f/f2<1.6
(6)1.0<R2/R3<1.3
(7)0.3<f2/f3<0.6
(8)−1.0<R4/R5<−0.5
(9)25<(ν2+ν3)/2−ν1
ただし
f1:第1レンズの焦点距離
R2:第1レンズの映像素子側面の近軸曲率半径
f2:第2レンズの焦点距離
R3:第2レンズの瞳側面の近軸曲率半径
f3:第3レンズの焦点距離
R4:第2レンズの映像素子側面の近軸曲率半径
R5:第3レンズの瞳側面の近軸曲率半径
ν2:第2レンズ材料のアッベ数
ν3:第3レンズ材料のアッベ数
ν1:第1レンズ材料のアッベ数
【請求項3】
請求項1または2記載の接眼レンズにおいて、少なくとも、前記第1レンズの映像素子側の面と、前記第2レンズの両側面と、前記第3レンズの瞳側面が非球面形状であることを特徴とするファインダー用接眼レンズ。
【請求項4】
請求項1、2、または3記載の接眼レンズにおいて、それぞれのレンズが、樹脂材料にて構成されることを特徴とするファインダー用接眼レンズ。
【請求項1】
瞳側より順に、負の第1レンズ、正の第2レンズ、正の第3レンズよりなり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズ。
(1)1.4<TL/f<1.9
(2)0.9<f/(D1+D2+D3+D4+D5)<1.7
ただし
TL:レンズ第1面から映像素子面までの光軸上の距離(平行平面部分は空気長換算)
f:全レンズ系の焦点距離
D1:第1レンズの光軸上の厚み
D2:第2面と第3面の光軸上の距離
D3:第2レンズの光軸上の厚み
D4:第4面と第5面の光軸上の距離
D5:第3レンズの光軸上の厚み
【請求項2】
請求項1記載の接眼レンズにおいて、前記第1レンズは瞳側と反対側に凹面を向けた凹レンズであり、前記第2レンズ、前記第3レンズはそれぞれ両面凸レンズであり、以下の条件式を満たすことを特徴とするファインダー用接眼レンズ。
(3)−1.1<f/f1<−0.8
(4)1.45<f/R2<2.0
(5)1.1<f/f2<1.6
(6)1.0<R2/R3<1.3
(7)0.3<f2/f3<0.6
(8)−1.0<R4/R5<−0.5
(9)25<(ν2+ν3)/2−ν1
ただし
f1:第1レンズの焦点距離
R2:第1レンズの映像素子側面の近軸曲率半径
f2:第2レンズの焦点距離
R3:第2レンズの瞳側面の近軸曲率半径
f3:第3レンズの焦点距離
R4:第2レンズの映像素子側面の近軸曲率半径
R5:第3レンズの瞳側面の近軸曲率半径
ν2:第2レンズ材料のアッベ数
ν3:第3レンズ材料のアッベ数
ν1:第1レンズ材料のアッベ数
【請求項3】
請求項1または2記載の接眼レンズにおいて、少なくとも、前記第1レンズの映像素子側の面と、前記第2レンズの両側面と、前記第3レンズの瞳側面が非球面形状であることを特徴とするファインダー用接眼レンズ。
【請求項4】
請求項1、2、または3記載の接眼レンズにおいて、それぞれのレンズが、樹脂材料にて構成されることを特徴とするファインダー用接眼レンズ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−225835(P2007−225835A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46167(P2006−46167)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000166948)シチズンミヨタ株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000166948)シチズンミヨタ株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
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