ファスナーデータの無線収集
データを、離れた場所で複数のファスナーから、問い合わせ信号がリーダから無線送信されると収集する。これらのファスナーの各ファスナーは、当該ファスナーに生じる応力に関連するパラメータを測定するセンサを含む。ファスナー群の各ファスナーに取り付けられるように適合させたデバイスは、問い合わせ信号を受信し、当該センサを作動させて当該パラメータを測定し、そして当該パラメータを含むデータを当該リーダに無線送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、構造用ファスナーに関するものであり、更に具体的には、離れた場所において、ファスナーに生じる応力のようなデータをファスナー群から無線収集することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造用ジョイントを締め付けるために使用されるファスナー群の状態を定期的にチェックする必要がある場合がある。例えば、航空機のような輸送手段の場合、ファスナー群から、特定の役割を果たす重要な構造用ジョイント及びアセンブリに加わる締め付け力は、所定の制限値に収まるように維持する必要がある。ファスナーの締め付け力を定期的に監視することは、幾つかの構造が時間の経過とともに緩くなる傾向にあり、そして加工硬化及びクリープのように、ファスナー群が物理的に変化し、これらの現象の全てによって、ファスナーに加わる予荷重、従ってファスナーに生じる応力が変化してしまうので、必要である。ファスナーに加わる予荷重が、所定の制限値を超えていることが判明する場合、ファスナーを締め付け直すか、または取り替える必要がある。これまで、このようなファスナーに対する監視は、ファスナーに加わる予荷重の大きさを含むファスナー群の状態を物理的にチェックし、そして記録するメンテナンス技術者が行なっていた。この手動プロセスは、非常に長い時間を要し、かつ膨大な作業量を必要としてきたので、ファスナー群が、容易に接近することができない領域に位置する場合には実行することが困難な場合があった。
【0003】
近年、ファスナーに生じる応力を、従ってファスナーに加わる予荷重を測定するセンサを内蔵したファスナーが考案されている。しかしながら、測定予荷重を読み取り、そして当該測定予荷重を、読み取り対象の特定のファスナーに関連付けるために、技術者はファスナーにリーダを物理的に接触させ、このリーダで予荷重だけでなく、ファスナーを固有に識別するバーコードを読み取る必要がある。ファスナーデータを収集するこの手法は、非常に長い時間を要し、膨大な作業量を必要とし、そしてファスナーへの接近が制限される箇所で行なうことが難しい。ファスナー群が航空機の尾翼部分のような封鎖領域、または特定の小さな区画室の内部に位置する幾つかの場合においては、ファスナーとの物理的な接触を行なうことができない可能性があるので、ファスナーに加わる予荷重の測定ができない虞がある。
【0004】
従って、離れた場所で、ファスナーに加わる予荷重、またはファスナーに生じる応力のようなデータをファスナー群から収集する非接触式方法及びデバイスが必要になる。また、ファスナーに物理的に接近することが困難または不可能な場合でも、既存の種類のファスナーを監視するように適合させることができる方法及びデバイスが必要になる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態によれば、ファスナー群の状態を、離れた場所で監視する非接触式方法及び装置が提供され、この方法では、ファスナー状態を表わす1つ以上のパラメータを測定し、そして無線収集する。当該方法では、無線通信を幾つかの無線技術のうちの何れかの無線技術に基づいて使用し、そしてファスナー群が、物理的に接近することが困難な構造の領域群に位置する場合に、当該方法を使用してデータを収集することができる。当該方法によって、ファスナーIDを、対応する応力値に確実に関連付けることができる。当該装置は無線通信機器群を使用し、これらの無線通信機器は、既存の種類のファスナー群に容易に組み込むことができる。本開示の実施形態により提供されるファスナーデータのリモート無線収集では、接触作業を必要とする技術者による手作業検査の必要を、ファスナー状態に対する高頻度のチェックを可能にしながら、低減する、または無くすことにより、作業コストを大幅に低減することができる。
【0006】
1つの本開示の実施形態によれば、データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置が提供される。前記装置は、前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられて前記測定応力に関するデータを無線送信するように適合させたデバイスと、そして前記デバイスから送信される前記データを無線で読み取るリーダと、
を含む。前記デバイスは、前記ファスナーに取り付けることができるキャップだけでなく、前記キャップ内のアンテナと、そして前記データを前記リーダに送信するために使用される無線送信機と、を含むことができる。前記リーダは、信号を前記デバイス群の各デバイスに無線送信する送信機を含むことができる。前記デバイス群の各デバイスは更に、前記キャップ内に位置して、前記信号を前記リーダから受信する無線受信機と、そして前記信号をエネルギーに変換し、そして前記エネルギーを蓄積する手段と、を含むことができる。前記デバイスは、前記キャップ内に位置して前記蓄積エネルギーを、前記センサを作動させるために使用されるパルスに変換する手段を含むことができる。前記受信機は、赤外線信号受信機、無線周波数信号受信機、及び超音波信号受信機のうちの1つを備えることができる。
【0007】
別の実施形態によれば、データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置が提供される。前記装置は、第1信号を比較的狭い経路に沿って前記ファスナーに無線送信するリーダと、そして前記ファスナーに取り付けられて前記第1信号を受信する手段と、を含む。前記装置は更に、前記ファスナーに取り付けられて、前記センサが測定する前記応力に関するデータを含む第2信号を前記リーダに無線送信する手段を含む。前記リーダは、前記第1信号を成形して比較的細いビームにする送信アンテナを含むことができる。前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は、前記第1信号を前記狭い経路に沿って受信する指向性アンテナを含むことができる。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、データを複数のファスナーから収集する方法が提供される。前記方法は、第1信号をリーダから比較的狭い経路に沿って前記ファスナーに無線送信するステップと、そして前記第1信号を前記ファスナーにおいて受信するステップと、を含む。前記方法は更に、少なくとも1つのパラメータを前記ファスナーにおいて検出するステップと、そして前記パラメータに関する第2信号を前記ファスナーから前記リーダに無線送信するステップと、を含む。前記第1信号を前記リーダから無線送信する前記ステップは、指向性アンテナまたはエネルギービームを使用して行なうことができる。前記エネルギービームは、無線周波数電気エネルギー、光エネルギー、及び超音波エネルギーを含むことができる。
【0009】
更に別の実施形態によれば、データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置が提供される。前記装置は、前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられて、前記ファスナーの温度を検出し、そして前記測定応力及び前記検出温度に関するデータを無線送信するように適合させたデバイスを含む。前記装置は更に、 前記デバイスから送信される前記データを読み取るリーダを含むことができる。 前記デバイスは、前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、前記キャップ内の温度センサと、そして前記キャップ内に位置して前記データを前記リーダに送信する無線送信機と、を含むことができる。
【0010】
更に別の実施形態によれば、ファスナーに生じる応力に関するデータを収集する方法が提供される。前記方法は、前記ファスナーに関連し、かつ前記ファスナーに生じる前記応力に関連する少なくとも1つの温度変化パラメータを検出するステップと、前記ファスナーの温度を検出するステップと、そして前記パラメータを、前記検出温度に基づいて調整するステップと、を含む。前記温度を検出する前記ステップは、前記ファスナーに位置するセンサを使用して行なわれる。
【0011】
別の実施形態によれば、データを、構造に取り付けられる複数のファスナーから収集する装置が提供され、前記ファスナー群の各ファスナーは、前記ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む。前記装置は、前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられ、かつセンサに接続されて、前記測定応力を表わす超音波信号を、前記構造を通って無線送信するデバイスを含む。前記装置は更に、前記超音波信号を読み取るリーダを含む。前記デバイスは、前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、そして前記キャップ内に位置して、前記超音波信号を、前記構造を通って送信するトランスデューサと、を含むことができる。前記デバイスは超音波カプラを含むことができ、該超音波カプラは、前記構造に当接して、前記超音波信号を前記トランスデューサから前記構造に入力するように適合させる。前記リーダは、前記超音波信号を電気エネルギーに変換する超音波トランスデューサと、そして前記トランスデューサを前記構造に超音波結合する超音波カプラと、を含むことができる。
【0012】
別の実施形態によれば、データを、構造に取り付けられるファスナーから収集する方法が提供される。前記方法は、少なくとも1つのパラメータを前記ファスナーにおいて検出するステップと、そして前記検出パラメータを含む超音波信号を前記ファスナーから前記構造を通って送信するステップと、を含む。前記方法は更に、前記超音波信号を読み取るステップを含む。前記信号を送信する前記ステップは、前記信号を、比較的狭い経路に沿って前記構造を通るように誘導することにより行なうことができる。前記方法は更に、前記超音波信号に対応する周波数を、前記構造の特徴に少なくとも部分的に基づいて選択するステップを含むことができる。
【0013】
本開示の実施形態は、データを、構造に取り付けられるファスナー群から離れた場所で無線収集する方法及び関連する装置を提供することにより、接近することが困難な構造の領域内のファスナー群の監視を可能にし、かつ手作業を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、データを、構造に取り付けられるファスナーから無線収集する装置の機能ブロック図を示している。
【図2】図2は、ファスナー、及びファスナーに加わる予荷重に関連するタイミング測定を説明するために有用なタイミングプロットを示している。
【図3】図3は、ファスナーに取り付けられるキャップを有するファスナーの上面図を示している。
【図4】図4は、図3の切断線4−4に沿って切断したときの断面図を示している。
【図5】図5は、図3及び4に示すファスナーキャップ内に収容される電子回路の機能ブロック図を示している。
【図6】図6は、ファスナーデータを、図3〜5に示すキャップ具を使用して無線収集する方法のフローチャートを示している。
【図7】図7は、ファスナーデータを収集する別の方法のフローチャートを示している。
【図8】図8は、データを、航空機に取り付けられるファスナー群から収集する様子を示す合成ブロック概略図を示している。
【図9】図9は、データをファスナー群から、比較的狭い経路に沿って送信される指向性信号を使用して収集する方法及び装置を示している。
【図10】図10は、レーザビームを使用して、リーダに取り付けられる指向性アンテナの照準を合わせ易くする様子を示している。
【図11】図11は、図10と同様の図であり、無線周波数問い合わせ信号を、リーダの照準を合わせた後にファスナーに送信する様子を示している。
【図12】図12は、皿型アンテナを使用して、無線周波数信号を比較的狭い経路に沿ってファスナーに送信する様子を示している。
【図13】図13は、レンズを使用して、赤外線エネルギーを集光して、ファスナーに問い合わせるために使用されるビームにする様子を示している。
【図14】図14は、皿型反射板を使用して、ダイオードによって生成される赤外線エネルギーを集中させる様子を示している。
【図15】図15は、レーザを使用して、リーダの一部を形成する赤外線送信機の照準を合わせる様子を示している。
【図16】図16は、図15と同様の図であり、可視光源を使用して、リーダに取り付けられる赤外線送信機の照準を合わせる様子を示している。
【図17】図17は、リーダの照準をファスナーに向かって合わせるピストルグリップ及び照準器を含むリーダの側面図を示している。
【図18】図18は、ファスナー、またはファスナーを取り囲む構造の温度を離れた場所で検出する温度センサを含むリーダを示している。
【図19】図19は、非接触式温度センサ、及びリーダの照準を合わせ易くするピストルグリップを有するリーダの斜視図を示している。
【図20】図20は、ファスナーデータを収集する方法を示すフローチャートを示しており、この方法では、ファスナーの検出温度に基づいて調整を行なう。
【図21】図21は、リモート温度センサを含むリーダの構成要素群の機能ブロック図を示している。
【図22】図22は、超音波信号を用いてファスナー群に問い合わせるリーダの合成ブロック概略図を示している。
【図23】図23は、図22と同様の図であり、集中超音波信号を使用してファスナー群に問い合わせる超音波リーダを示している。
【図24】図24は、超音波リーダ、及び超音波トランスデューサを備えるファスナーの機能ブロック図を示している。
【図25】図25は、ファスナーデータを、超音波エネルギー通信を使用して収集する方法を示している。
【図26】図26は、航空機製造及び整備方法のフロー図を示している。
【図27】図27は、航空機のブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、図1を参照するに、本開示の実施形態は、ファスナー30に取り付けて、ファスナー30をリモートリーダ38との無線通信に適合させることができるデバイス36に関するものである。ファスナー30は、構造34に取り付けることができ、そして2つ以上の部材を機械的に接合する、取り付ける、または締め付けることにより合体させるために使用される広範囲のハードウェアデバイス群のうちの何れかを含むことができる。例えば、ファスナー30は、ほんの少しの例を挙げると、これらには限定されないが、ボルト、スクリュー、スタッド、クランプ、またはピンを含むことができる。ファスナー30はセンサ32を含み、このセンサ32は、ファスナー30の状態または状況に関連する1つ以上のパラメータを測定する。例えば、センサ32は、ファスナー30に生じる応力、従ってファスナー30に加わる予荷重に関連するパラメータを測定するトランスデューサを含むことができる。
【0016】
1つの実施形態では、デバイス36にプログラムを書き込んで、測定パラメータをリーダ38に定期的に送信して、ファスナー30の状態を監視することができるようにする。別の実施形態では、リーダ38は、無線信号(以後、「問い合わせ信号」と表記する場合がある)をデバイス36に定期的に送信することによりファスナー30に問い合わせることができ、これにより、センサ32が作動して所望のパラメータを測定する。測定パラメータは、デバイス36からリーダ38に無線送信され、このリーダ38では、当該パラメータを読み取ることができる、または計算に使用して、ファスナー30に生じる応力のようなファスナー30の状態を確認することができる。他の実施形態では、応力値を求める計算は、デバイス36によって行なうことができ、当該デバイス36が次に、応力値をリーダ38に無線送信する。リーダ38は、視覚信号及び/又は聴覚信号をユーザに供給して、特定の読み取りサイクルを無事終了したかどうかを通知することができる。
【0017】
次に、図2,3,及び4を参照するに、これらの図は、ファスナー30及びデバイス36を更に詳細に示している。図4から最も良く分かるように、ファスナー30は、頭部56及びシャンク部44を有するボルトとして描かれており、このシャンク部44は、一対のプレート34a,34bを備える構造34を貫通している。シャンク部44の下側端部45には雄ネジ(図示せず)が設けられ、この雄ネジにねじ切りナット62を嵌め込む。頭部56は肩部60を含み、肩部60でワッシャー74をプレート34aに、頭部56及び/又はナット62が締め付けられるときに締め付けて、締め付け力を加えることにより、プレート34a,34bを保持して合体させる。
【0018】
ファスナー30に加わる予荷重、従ってファスナー30に生じる応力は、ファスナー30から構造34に加わる締め付け力に部分的に依存する関数である。デバイス36は、金属のような適切な剛性材料により形成されるキャップ66を含むことができるが、幾つかの用途では、キャップ66を複合材または他の高強度材料により形成することができる。キャップ66は頭部68を含み、この頭部68は、図示の例では、略円形であるが、他の形状を用いることができる。例えば、頭部68は、デバイス36をファスナー30に取り付けるために用いるレンチ(図示せず)を係合させるために適する六角形または八角形を形成する係合部(レンチフラット:図示せず)を含むことができる。
【0019】
キャップ66は更に、傾斜側面群70を含み、これらの傾斜側面70は、ファスナー30の頭部56を取り囲み、かつ構造34と係合することができる環状底面78を含む。キャップ66は、環状凹部72をキャップ66内に、かつ基部78の近傍に含み、この環状凹部72に、ワッシャー74の外周に位置する上向きフランジ76をぴったり合わせて嵌め込むことができる。このように、キャップ66をファスナー30にフランジ76を介して取り付け、このフランジ76でキャップ66をファスナー30の頭部56に保持する。
【0020】
デバイス36は更に、キャップ66内に収容される電子回路86を含む。1つの実施形態では、回路86に接続されるアンテナ88をキャップ66の頭部68に組み込むことができるのに対し、別の実施形態では、アンテナ88aをキャップ66の側面70に組み込むことができる。更に別の実施形態では、アンテナ88及び88aの両方を、キャップ66に組み込むことができる。
【0021】
ファスナー30の頭部56は、センサ32を収容する中心凹部64を含み、このセンサ32については以下に詳細に説明する。センサ32は、ファスナー30の状態を示す少なくとも1つのパラメータを測定し、当該パラメータは、リーダ38(図1に示す)に直接送信されるか、またはファスナー30の状態を確認するために回路86が行なう計算に使用することができる。キャップ66をファスナー30の頭部56に、凹部64の外周縁で圧縮O−リング80を介して密封することにより、凹部64を水分及び/又は外来粒子が進入することがないように密封する。デバイス36は更に、1対の電気接点82,84を含み、これらの電気接点は、回路86に接続され、そしてキャップ66がファスナー30に取り付けられるときに、センサ32及びファスナー頭部56にそれぞれ接触する。キャップ66に取り付けられる任意の温度センサ90は、電気回路86に接続され、そしてファスナー頭部56に接触することにより、ファスナー30の温度、またはファスナー30をじかに取り囲む構造34の温度を測定する。
【0022】
前に説明したように、ワッシャー74をキャップ66に嵌入して、キャップ66をファスナー30の頭部56に取り付ける。しかしながら、デバイス36は、ファスナー30の他の部分に、またはナット62に、ワッシャー76を使用しなくても済む他の取り付け方法を使用して取り付けることができる。1つの実施形態では、キャップ66及びワッシャー76は、バヨネット装着(図示せず)して、キャップ66をファスナー30に、ひねり回転させることにより取り付けるように構成することができる。別の構成として、ネジ山(図示せず)をキャップ66とファスナー30及び/又はワッシャー74との間に設け、ネジ山をキャップ66に螺合させて、キャップ66をファスナー30及び/又はワッシャー74にネジ締めすることができる。従って、これまでの説明から、既存のファスナー群30にデバイス36を、ワッシャー74を取り付け、そして次に、キャップ66をワッシャー74に、ひねり回転を利用して取り付けることにより、組み込むことができることを理解されたい。幾つかの実施形態では、キャップ66は、ファスナー30から、逆方向にひねり回転して取り外すことにより、キャップ66の修理、または取り替えが可能になる。
【0023】
次に、図2を具体的に参照するに、センサ32は、これらには限定されないが、ファスナー30内の応力または予荷重40を求めるために使用することができるパラメータを含む、ファスナー30の状態を表わす1つ以上のパラメータを測定するために適する種々の技術のうちの何れかを使用する多種多様なセンサまたはトランスデューサのうちの何れかを備えることができる。1つの実施形態では、センサ32は、超音波法を用いて、ファスナー30に加わる予荷重40に直接関連する「飛行時間」を測定することができる。42の位置でセンサ32に印加される電圧パルスはシャンク部44を通って超音波46として伝搬し、この超音波46はファスナー30の端部48で反射され、そして戻り経路50に沿ってセンサ32に戻る。この超音波46はエコー52として戻され、このエコー52は、センサ32によって記録され、そしてファスナー30の予荷重に直接比例する飛行時間54を有する。ゼロ荷重時の飛行時間からの飛行時間54の変化を見積もることにより、予荷重40を直接測定することができる。締め付け時、ファスナー30が荷重に応じて伸びる一方で、超音波46の速度がファスナー応力の増加と共に低下して、予荷重40に直接比例する合計飛行時間54が長くなる。前に説明したように、超音波型センサ32について例示してきたが、他の種類の技術を用いる他のセンサ及びトランスデューサを用いてもよい。
【0024】
次に、キャップ66(図4)内に収容され、かつセンサ32及びアンテナ88の両方に接続される電子回路86の付加的な詳細を示す図5を参照する。この実施形態では、回路86は、無線周波数(RF)受信機90と、そしてRF送信機92と、を含み、これらのRF受信機90及びRF送信機92を組み合わせて、トランシーバ(図示せず)を形成する単一の回路とすることができる。リーダ38(図1)から送信され、かつファスナーに対する問い合わせを表わすRF信号は、受信機90から電子コンバータ94に供給され、この電子コンバータ94は、受信RF信号を電力に変換し、この電力は、コンデンサまたは他の蓄積媒体(図示せず)のような電気エネルギー蓄積素子96に蓄積することができる。RF問い合わせ信号は、一連のパルスを含むことができ、これらのパルスは、蓄積素子96に蓄積されるエネルギーが読み出しサイクルを開始するために十分大きくなるまで、連続して蓄積される。回路86には、バッテリ、エネルギーハーベスタ(energy harvester)、または他の電力発生装置(図示せず)のような1つ以上の充電式電源98によって給電することもできる。例えば、充電式電源98は、エネルギーハーベスタデバイス(energy harvesting device)をキャップ66内に備えることができ、当該エネルギーハーベスタデバイスは、ファスナー30の温度変動によって生成される熱エネルギーのような周囲エネルギーを収集して電力に変換する。この形態のエネルギーハーベスタデバイスは、相変化材料を、ファスナー30の温度変動に対するヒートシンクとして用いることができ、この温度変動は、航空機が上昇/下降している場合に極めて大きくなる。他の技術を使用するエネルギーハーベスタデバイスを用いることができ、他の技術としては、これらには限定されないが、航空機が上昇/下降しているときの周囲圧力変化により生成される振動エネルギーを収集して電力に変換する技術を挙げることができる。
【0025】
キャップ66がファスナー30に取り付けられているので、接点82,84をファスナー30及びセンサ32に当接させると、スイッチ106が閉じるようになる。スイッチ106が閉じると、回路86が動作する状態になる。キャップ66が続いて、ファスナー30から取り外されて、接点82,84がファスナー30から外れると、スイッチ106が開き、そしてデータストレージ102内の固有デジタル識別(ID)番号が消去される。この機能によって、特定のIDを1つの特定のファスナー30にのみ永久的に、かつ確実に関連付けることを保証することができる。
【0026】
エネルギー蓄積素子96に蓄積されるエネルギーを使用してパルス発生器110を駆動し、このパルス発生器110によってセンサ32が超音波パルス46(図2)を生成するようになり、この超音波パルス46は、前に説明したように、ファスナー30を通って伝搬する。パルス検出回路112は、戻りパルスを検出し、そして戻りパルスをパルス測定回路114に供給し、このパルス測定回路114がパルスの飛行時間を測定する。ファスナー30に生じる応力に関連するパラメータを表わす測定飛行時間はデータパケット回路116に供給され、このデータパケット回路116が、飛行時間測定値を他のデータと組み合わせてデータパケット化する。例えば、回路86のデータストレージ102に格納される固有デジタルID番号104を飛行時間情報と組み合わせてデータパケット化することができる。当該データパケットは、RF送信機92及びアンテナ88を介してリーダ38(図1)に戻される。幾つかの実施形態では、回路86は、マイクロプロセッサ100を含むことにより、回路86の種々の構成要素を制御し、そして/または計算を実行することができる。例えば、マイクロプロセッサ100は、リーダ38から受信するRF信号に含まれるファスナーIDを、データストレージ102内のデジタルID104と比較して、問い合わせが、当該問い合わせ信号を受信する特定のファスナー30宛であるかどうかを検証することができる。一旦、これらの2つのIDの一致が確認されると、測定機能及び送信機能を回路86によって実行することができる。
【0027】
次に、図6を参照するに、図6は、ファスナーに加わる予荷重のようなデータを1つ以上のファスナー30から無線収集する方法のステップ群の概要を示している。ステップ118から始まって、このステップ118では、固有IDを複数のキャップ66の各キャップに割り当てる。この固有IDは、ランダムIDとする、または構造内の特定のボルト位置に関連付けることができる、或いはそれ以外の方法で割り当てることができる。ステップ120では、キャップ66をファスナー群30の各ファスナーに取り付ける。ステップ122では、駆動信号をデジタルIDと一緒にリーダ38からキャップ66に送信する。ステップ124では、デジタルIDをキャップ66に格納することにより、キャップ66が動作する状態になる。
【0028】
データ収集プロセスはステップ126から始まり、ステップ126では、問い合わせ信号または読み出し信号をリーダ38から、ファスナー群30のうちの1つ以上のファスナーのキャップ66に送信する。ステップ128では、問い合わせ信号をキャップ66において受信し、そしてキャップ66内の蓄積電気エネルギーに変換する。問い合わせ信号に含まれるID(読み取り対象のファスナー30を表わす)が、問い合わせ信号を受信するファスナー30のキャップ66に格納されるIDに一致すると仮定すると、測定機能及び送信機能が開始されて、ステップ130において刺激パルスが、ステップ86で蓄積されたエネルギーを利用して生成されるようになる。ステップ132において、戻りパルスを検出し、そしてステップ134において、当該パルスの飛行時間を測定する。ステップ136では、データパケットを作成し、このデータパケットは、測定飛行時間と、そしてこれらには限定されないが、ファスナーID、ファスナー温度、時刻/日付スタンプなどを含む他の情報と、を含む。ステップ138では、データパケットをRF信号の形態で、キャップ66からリーダ38に送信し、このリーダ38では、ステップ140において、当該データパケットを受信し、そして処理する。
【0029】
図7は、データをファスナー群30から収集する別の方法のステップ群を示している。ステップ144から始まって、このステップ144では、問い合わせ信号をリーダ38からキャップ66に無線送信する。ステップ146では、刺激パルスを生成し、この刺激パルスを、ファスナー30を通って供給する。ステップ148では、固定の処理時間遅延を導入して、戻り超音波パルスを確実に検出することができるようにする。ステップ150では、戻りパルスを検出し、そしてステップ152では、検出情報をキャップ66からリーダ38に送信する。ステップ154に示すように、戻りパルスをリーダ38において受信し、それに続いて、リーダ38がRF開始パルスとRF終了パルスとの間の時間を測定し、そして次に、ステップ156に示すように、固定の処理時間遅延を減算し、そして超音波飛行時間を、これらの2つのパルスの間の差として計算する。この実施形態では、キャップ66内の電子機器86を減らし、そして簡略化することができるが、その理由は、キャップ66でタイミング測定を行なわなくても済むからである。
【0030】
次に、図8を参照するに、離れた場所で、データを航空機158のような構造物に取り付けられるファスナー群30から、可動リーダ群160または固定リーダ群162の何れかを使用して収集することができ、これらのリーダは、ファスナー群30から離れて位置している。例えば、可動リーダ群160は、航空機158に搭乗した、または地上のメンテナンス技術者が使用して、ファスナーに加わる予荷重を含むファスナー群30の状態を監視することができる。別の構成として、航空機158上の固定位置のリーダ群162を使用してファスナー状態を、ファスナーデータを収集することにより定期的に監視することができ、ファスナーデータを搭載サーバ(図示せず)に格納して将来時点で使用する、または搭載サーバに送信して分析することができる。同様に、固定の地上設置監視システム166は、データをファスナー群30から無線収集することができ、当該データを次に、ステップ170において、コンピュータ168で自律的に処理し、そしてメンテナンス記録の一部として保存し、そして/または受信機/送信機172から他の場所に無線送信する。
【0031】
本開示の方法及び装置はまた、航空機158のような構造物が組み立てられている、または整備されている工場生産現場において、またはメンテナンス設備現場において用いることができるので有利である。例えば、固定または可動リーダ群174は、航空機158が組み立てられている工場の天井176に取り付けることができる、または床に埋め込む/床の下に埋め込むことができる、或いは治具固定具/台/足場(全て図示せず)に埋め込むことができる。リーダ群174は、予荷重のようなデータを、航空機158が組み立てられているときのファスナー群30から収集することにより、ファスナー群30が仕様通りに正しく取り付けられている、そして/またはねじ込まれているかについて検証することができる。
【0032】
幾つかの用途では、信号をリーダ38とファスナー群30との間で無線送信によって供給することが望ましく、これらの無線送信は、無指向性で行なわれるのではなく、比較的狭い経路に沿って、かつほぼ指向性が保たれた状態で行なわれる。指向性送信は無指向性送信よりも、送信される信号エネルギーのより大きな部分が、当該エネルギーの所望の供給先に、すなわちファスナー30またはリーダ38に到達するので効果的である。この方法によって、バッテリ寿命を延ばすだけでなく、各ファスナー30に問い合わせるために要する時間を短くすることができる。
【0033】
次に、図9を参照するに、適切な無線周波数リーダ180は、携帯機器としてパッケージに収納することができ、この携帯機器をメンテナンス技術者が使用して、航空機158の尾翼部分178の場合におけるように、ファスナー30への接近が困難な場合において、ファスナーデータを読み取ることができる。この実施形態では、リーダ180はピストルグリップ182を含み、このピストルグリップ182によって、ユーザはリーダ180の向きをファスナー30の方に定め、そしてリーダ180の照準をファスナー30の方に合わせることができる。リーダ180は指向性アンテナ184を含み、この指向性アンテナ184は、フェーズドアレイとして配置される1つ以上のダイポールを含み、このフェーズドアレイを使用して問い合わせ信号群を送信し、そして応答RF信号群を、データパケット群を含むファスナー群30から受信する。この実施形態では、オペレータは、まず、測定対象のファスナー30の位置を物理的に特定し、そして次に、リーダ180をファスナー30の方に向けて測定を行なう。リーダ180は更に、レーザ186のような照準装置を含むことができ、このレーザ186はレーザビーム188をファスナー群30のうちの特定の1つのファスナーに向けて誘導する。レーザビーム188を指向性アンテナ184の向きに一致させ、レーザビーム188を特定のファスナー30に向けることにより、アンテナ184の送信経路が、当該ファスナー30の方向に自動的に一致するようにする。この実施形態では更に、システムのエネルギー効率を高め、バッテリ寿命を延ばし、そして/または所定セットのファスナー30の応力を測定するために要する作業時間を短くすることができる。
【0034】
図10は、レーザビーム188を特定のファスナー30の方に向けた様子を示している。アンテナ184の向きがファスナー30に向かう方向に一致する状態で、RF信号を比較的狭い経路194(図11)に沿って、アンテナ184からファスナー30(図11)に送信する。他の方法を用いて、RF信号を比較的狭い経路194に沿って集中させることができる。例えば、図12に示すように、アンテナディッシュ196(図12)を用いて、RF信号を比較的狭い経路194に沿ってファスナー30に向かって集中させる、または集光することができる。指向性アンテナは、幾つかの用途では、起こり得る無線周波数干渉(RFI)を低減するために、そして/または信号を送信するために必要な電力量を低減するために、無指向性アンテナよりも好ましい。キャップ66内に収容されるアンテナ88(図4)は同様に、指向性アンテナの形態に構成することにより、データパケットをリーダ180に送信する際に消費される電力を低減することができる。
【0035】
他の方式の通信方法を用いて、光エネルギーと表記される場合がある可視周波数領域及び近可視周波数領域の超音波(音響)エネルギー及び電磁エネルギーを含むファスナーデータを本開示の実施形態に従って収集することができる。例えば、図13に示すように、赤外線パルスを用いて、問い合わせ信号をファスナー群30に送信することができ、この場合、赤外線ダイオード200が赤外線パルス202を生成し、これらの赤外線パルス202を、適切なレンズ204によって細いパルスビーム206に集光する。レンズ204及びリーダ38は、ファスナー30に照準を合わせるので、赤外線パルスビーム206が所望のファスナー30に衝突すると、読み出しサイクルが開始される。図14は、赤外線ダイオード200により生成される光を集中させて集中パルスビーム210を生成する反射ディッシュ208の使用を示している。ビーム210の照準を所望のファスナー30に向かって合わせる操作は、リーダ38に取り付けることができるディッシュ208の向きによって制御される。赤外線信号の使用は、工場または空港のような「ノイズの大きい」RF環境において望ましい。上に説明した赤外線通信システムでは、波長をより短くすることによって、利得係数を増大させることができ、そしてより短い波長は、幾つかの用途においては、より望ましい。
【0036】
図15は、レーザ照準器186を赤外線送信機212と組み合わせて使用して、所望のファスナー30の位置を特定し、そして所望のファスナー30に問い合わせる様子を示している。レーザ照準器186は可視光レーザビーム188を生成し、この可視光レーザビーム188をユーザが用いて、赤外線送信機212を配置し、そして赤外線送信機212の照準を合わせることができる。一旦、送信機212の照準を正しく合わせると、赤外線問い合わせ信号195をファスナー30に送信することにより、読み出しサイクルを開始する。
【0037】
図16は、赤外線送信機212に取り付けられる普通の懐中電灯のような従来の可視光源214の使用を示している。光源214は可視光ビーム216を生成し、この可視光ビーム216を使用してファスナー30を照射する。再帰反射材料218をファスナー30に配置して、光源214からの光を反射し易くすることにより、ファスナー30が技術者に更に良く見えるようにする。光ビーム216の照準をファスナー30に合わせることにより、赤外線送信機212の向きを自動的に調節して、RF信号がファスナー30に向かって誘導されるようにする。
【0038】
別の実施形態では、図17に示すように、リーダ38が指向性問い合わせ信号を生成する用途においては、リーダ38はピストルグリップ182及び照準器220を用いて、リーダ38の照準を所望のファスナー30に向かって合わせることができる。
【0039】
図4に関連して前に説明したように、ファスナー30の温度を検出して、飛行時間情報を調整し、そして予荷重測定精度を高めることが望ましい。図4に示す実施形態の場合においては、この目的に用いる温度センサ90をキャップ66に組み込む。しかしながら、他の方法を用いて、ファスナー30の温度、またはファスナー30を直接取り囲む構造34の温度を検出することができ、この構造34は普通、ファスナー30の温度と略同じ温度を有する。例えば、図18に示すように、非接触式温度センサ224をリーダ38に組み込むことにより、ファスナー30の温度を離れた場所で検出することができる。温度センサ224は、種々の公知の非接触式温度検出デバイスのうちの何れかの非接触式温度検出デバイスを含むことができ、非接触式温度検出デバイスとして、これらには限定されないが、パイロメータ(pyrometers)、赤外線熱イメージングカメラ、ライン温度測定用温度計、スポットラジオメータ、及び赤外線放射温度計を挙げることができる。代表的な赤外線放射温度計は、少なくとも2つの波長帯の赤外線放射量を測定し、2つの波長帯の放射強度の比を計算し、そして当該比を使用して放射表面の温度を推定する。
【0040】
図19は、赤外線放射温度計228を搭載したピストル型の携帯用リーダ38、及びリーダ38の照準を合わせ易くするレーザビーム188を示している。リーダ38は、ディスプレイスクリーン230と、そして適切なコントロール群234と、を含み、これらのコントロール234を使用して、レーザビーム188を駆動し、ファスナー温度読み取りを行ない、そして検出温度に自動的に関連付けられる問い合わせ信号を発信し始める。ディスプレイスクリーン230をリーダ38に保存される1つ以上のプログラム(図示せず)と一緒に使用して、ユーザに、各ファスナー30が位置する場所を示して、リーダ38の照準を合わせ易くしている。
【0041】
次に、図20を参照するに、図20は、ファスナーデータを収集する方法のステップ群を示しており、当該方法では、ファスナー30の温度変動に対応するファスナーパラメータ測定値を調整する。ステップ236では、飛行時間情報を含むデータパケットをリーダ38において受信し、それに続いて、ステップ238において、飛行時間データを抽出する。ステップ240では、ファスナー30の温度を離れた場所で検出し、そしてステップ242において、特定のファスナー30に関連付ける。ステップ244では、当該ファスナーに関連付けられる温度を使用して、ステップ244に示すように、飛行時間データを調整し、それに続いて、ステップ246において、ファスナー応力のような注目パラメータ群を計算することができる。
【0042】
図21は、リモート温度センサ224を用いるリーダ38の基本構成要素群を示している。リーダ38は、データパケット群をファスナー群30から受信する受信機248を、リモート温度センサ224、プロセッサ250、及びファスナーIDストレージ254と併せて含む。プロセッサ250は、ストレージ254内に格納されるファスナーIDを、リモート温度センサ224が検出するファスナー30の温度に関連付ける。プロセッサ250は、飛行時間データの調整を含む計算を実行することができ、そしてファスナー30に加わる予荷重のような注目パラメータ群を計算する。
【0043】
図22は、超音波リーダ256の使用を示しており、この超音波リーダ256を使用して、データを、構造34に取り付けられる複数のファスナー30から、超音波信号通信方法(acoustic signal communications)を利用して収集する。この実施形態では、超音波リーダ256を構造34に物理的に当接させ、そして超音波信号260をリーダ256から構造34を通って、ファスナー群30の各ファスナーに送信する。このように、構造34は、超音波エネルギー信号をリーダ256とファスナー群30との間で伝達する伝達媒質として作用する。超音波リーダ256の使用は、ファスナー群30が、電磁放射信号を透過しない複合材のような材料により形成される閉鎖構造の内部に位置する場合に特に有利である。長波長の超音波信号は普通、短波長信号よりも、殆どの構造を通って長い距離を伝搬するが、長波長信号のデータレートは短波長信号の場合よりも低い。従って、ユーザに2つ以上の通信波長を選択する選択肢を提供することが望ましい。
【0044】
図23は、指向性超音波リーダ256を用いて超音波エネルギー信号260aを、構造34を通過する比較的狭い経路に沿って特定のファスナー30に誘導する装置の別の実施形態を示している。この実施形態は、エネルギーを比較的狭い経路に沿って集光して特定のファスナー30に到達させる必要がある幾つかの用途において有利となり得る。
【0045】
図24は、ファスナーデータを、超音波信号を使用して収集する装置の構成素子群の全てを示している。超音波リーダ256は概して、超音波トランスデューサ262を備え、この超音波トランスデューサ262は、波長セレクタ263が制御する所望波長の超音波信号を生成する。超音波信号の波長は、ファスナー群30を取り付ける取り付け先の特定の構造34の特徴に最も適合するように選択することができる。リーダ256は更に、超音波カプラ264を含み、この超音波カプラ264を構造34に接触させ、そしてこの超音波カプラ264は、トランスデューサ262からの超音波信号を構造34に入力するように機能する。幾つかの実施形態では、リーダ256は、超音波電力計265を含むことができ、この超音波電力計256によってユーザは、指向性ビーム260aの方向を最適に調整することができ、これにより、カプラ264の方向姿勢を最適に調整することができる。
【0046】
破線260で示す超音波信号は、特定のファスナー30に位置するキャップ66において受信される。キャップ66は超音波カプラ266を含み、この超音波カプラ266は、受信超音波信号をキャップ66内のトランスデューサ267に入力する。トランスデューサ267は、当該超音波信号を電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーは、エネルギー蓄積装置272に蓄積することができ、そしてこの電気エネルギーを使用してパルス発生器270を駆動することができ、このパルス発生器270は、パルスをファスナー30に位置するセンサ(図示せず)に送信して予荷重を測定する。前に説明したキャップ66と同様に、キャップ66は、ファスナーIDを格納するストレージ268だけでなく、温度センサ274を含むことができる。図24に詳細には示していないが、キャップ66は更に、プロセッサ及び/又は送信機を含むことができ、この送信機を使用してデータパケット群を、構造34を通ってリーダ256に送信する。
【0047】
次に、図25を参照するに、図25は、ファスナーデータを、超音波信号を使用して収集する方法のステップ群を示している。ステップ276から始まり、このステップ276では、ファスナー群30を取り付ける取り付け先の特定の構造34に最も適する所望の通信波長を選択する。ステップ278では、特定のファスナー30を選択して、当該ファスナーに問い合わる。ステップ280では、超音波リーダ256を、問い合わせ対象のファスナー30を含む構造34に物理的に接触させる。次に、ステップ282では、1つ以上の超音波パルスの形態の1つ以上の超音波信号を生成し、そしてステップ284では、問い合わせ対象のファスナーのIDをパルス(群)に符号化する。ステップ286では、符号化パルス群を構造34に、超音波カプラ264(図24)を使用して送信する。ステップ288では、超音波パルス群を問い合わせ対象のファスナー30において受信し、それに続いて、ステップ290に示すように、チェックをファスナー30において行なって、受信ID符号が、問い合わせ対象のファスナーのIDに一致するかどうかを検証する。
【0048】
ステップ292では、超音波エネルギーパルスを蓄積し、そして使用して内部パルスを生成し、そして当該内部パルスをファスナー30に送り込む。ステップ294では、内部送信パルスの飛行時間を測定する。任意であるが、ステップ296では、問い合わせ対象のファスナーの温度を測定する。ステップ298では、飛行時間データを温度及び他のデータと一緒に、データパケットに載せ、このデータパケットをステップ300において、超音波パルス群の形態で送信し、これらの超音波パルスが構造34を通って伝搬してリーダ256に到達する。ステップ302では、ファスナー30からの超音波パルス群をリーダ256において受信し、そして処理してファスナー30に加わる応力を求める。
【0049】
本開示の実施形態は、多種多様な潜在的用途に、特に例えば、宇宙航空用途、船舶用途、及び自動車用途を含む輸送産業において使用することができる。従って、次に、図26及び27を参照するに、本開示の実施形態は、図26に示す航空機製造及び整備方法320、及び図27に示す航空機322に関連して使用することができる。製造前段階では、例示的な方法320において、航空機322の仕様決定及び設計324、及び材料調達326を行なうことができ、この場合、本開示の実施形態を指定して、航空機322内のファスナー群を取り付け、そして/または監視するために使用することができる。製造段階では、航空機322の部品及びサブアセンブリ製造328、及びシステム統合322が行なわれる。本開示の実施形態を使用して、部品群及びサブアセンブリ群に使用されるファスナー群を取り付け、そして監視することができる。その後、航空機322は、証明書発行及び機体引き渡し332を経て、供用334される。顧客が供用している間、航空機322は、日常的なメンテナンス及び整備336を行うようにスケジューリングされる(このメンテナンス及び整備336は、改修、再構成、改装などを含むこともできる)。本開示の方法を使用して、証明書発行332において、そして/またはメンテナンス及び整備336においてファスナー群の予荷重をチェックする、または監視することができる。
【0050】
方法320のプロセス群の各プロセスは、システムインテグレータ、サードパーティ、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって行なうことができるか、または実行することができる。この説明を進めるために、システムインテグレータとして、これらには限定されないが、何れかの数の航空機製造業者、及び航空機大手システムサブコントラクタを挙げることができ;サードパーティとして、これらには限定されないが、何れかの数のベンダー、サブコントラクタ、及びサプライヤーを挙げることができ;そしてオペレータは、航空会社、リース会社、軍隊、航空機整備機関などとすることができる。
【0051】
図27に示すように、例示的な方法320により製造される航空機322は、複数のシステム340を搭載した機体338と、そして機内342と、を含むことができる。高位システム340の例として、推進システム344、電気システム346、油圧システム348、及び環境システム350のうちの1つ以上を挙げることができる。何れかの数の他のシステムを含めてもよい。本開示の実施形態を使用して、ファスナー群を、機体338の一部を形成するジョイント群に、または推進システム344または油圧システム348の一部を形成する部品群に取り付ける、そして/またはこれらのファスナーを監視することができる。航空宇宙用の例を示しているが、本開示の原理は、船舶産業、重機産業、発電産業、石油精製産業、及び自動車産業のような他の産業に適用することができる。
【0052】
本開示の実施形態を用いて、航空機322に取り付けられるファスナー群の予荷重を、製造及び整備方法320の種々の段階のうちの何れか1つ以上の段階において測定することができる。例えば、製造プロセス328に対応する部品群またはサブアセンブリ群には、予荷重を正確に測定する必要があるファスナー群を取り付けることができる。また、1つ以上の方法実施形態、またはこれらの組み合わせは、製造段階328及び330において、例えば航空機322の組み立てを大幅に促進する、または航空機322のコストを大幅に低減することにより利用することができる。
【0053】
本開示の実施形態について、特定の例示的な実施形態に関連して説明してきたが、他の変形をこの技術分野の当業者であれば想到することができることから、特定の実施形態は例示のためにのみ提示され、本発明を限定するために提示されているのではないことを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、構造用ファスナーに関するものであり、更に具体的には、離れた場所において、ファスナーに生じる応力のようなデータをファスナー群から無線収集することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造用ジョイントを締め付けるために使用されるファスナー群の状態を定期的にチェックする必要がある場合がある。例えば、航空機のような輸送手段の場合、ファスナー群から、特定の役割を果たす重要な構造用ジョイント及びアセンブリに加わる締め付け力は、所定の制限値に収まるように維持する必要がある。ファスナーの締め付け力を定期的に監視することは、幾つかの構造が時間の経過とともに緩くなる傾向にあり、そして加工硬化及びクリープのように、ファスナー群が物理的に変化し、これらの現象の全てによって、ファスナーに加わる予荷重、従ってファスナーに生じる応力が変化してしまうので、必要である。ファスナーに加わる予荷重が、所定の制限値を超えていることが判明する場合、ファスナーを締め付け直すか、または取り替える必要がある。これまで、このようなファスナーに対する監視は、ファスナーに加わる予荷重の大きさを含むファスナー群の状態を物理的にチェックし、そして記録するメンテナンス技術者が行なっていた。この手動プロセスは、非常に長い時間を要し、かつ膨大な作業量を必要としてきたので、ファスナー群が、容易に接近することができない領域に位置する場合には実行することが困難な場合があった。
【0003】
近年、ファスナーに生じる応力を、従ってファスナーに加わる予荷重を測定するセンサを内蔵したファスナーが考案されている。しかしながら、測定予荷重を読み取り、そして当該測定予荷重を、読み取り対象の特定のファスナーに関連付けるために、技術者はファスナーにリーダを物理的に接触させ、このリーダで予荷重だけでなく、ファスナーを固有に識別するバーコードを読み取る必要がある。ファスナーデータを収集するこの手法は、非常に長い時間を要し、膨大な作業量を必要とし、そしてファスナーへの接近が制限される箇所で行なうことが難しい。ファスナー群が航空機の尾翼部分のような封鎖領域、または特定の小さな区画室の内部に位置する幾つかの場合においては、ファスナーとの物理的な接触を行なうことができない可能性があるので、ファスナーに加わる予荷重の測定ができない虞がある。
【0004】
従って、離れた場所で、ファスナーに加わる予荷重、またはファスナーに生じる応力のようなデータをファスナー群から収集する非接触式方法及びデバイスが必要になる。また、ファスナーに物理的に接近することが困難または不可能な場合でも、既存の種類のファスナーを監視するように適合させることができる方法及びデバイスが必要になる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態によれば、ファスナー群の状態を、離れた場所で監視する非接触式方法及び装置が提供され、この方法では、ファスナー状態を表わす1つ以上のパラメータを測定し、そして無線収集する。当該方法では、無線通信を幾つかの無線技術のうちの何れかの無線技術に基づいて使用し、そしてファスナー群が、物理的に接近することが困難な構造の領域群に位置する場合に、当該方法を使用してデータを収集することができる。当該方法によって、ファスナーIDを、対応する応力値に確実に関連付けることができる。当該装置は無線通信機器群を使用し、これらの無線通信機器は、既存の種類のファスナー群に容易に組み込むことができる。本開示の実施形態により提供されるファスナーデータのリモート無線収集では、接触作業を必要とする技術者による手作業検査の必要を、ファスナー状態に対する高頻度のチェックを可能にしながら、低減する、または無くすことにより、作業コストを大幅に低減することができる。
【0006】
1つの本開示の実施形態によれば、データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置が提供される。前記装置は、前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられて前記測定応力に関するデータを無線送信するように適合させたデバイスと、そして前記デバイスから送信される前記データを無線で読み取るリーダと、
を含む。前記デバイスは、前記ファスナーに取り付けることができるキャップだけでなく、前記キャップ内のアンテナと、そして前記データを前記リーダに送信するために使用される無線送信機と、を含むことができる。前記リーダは、信号を前記デバイス群の各デバイスに無線送信する送信機を含むことができる。前記デバイス群の各デバイスは更に、前記キャップ内に位置して、前記信号を前記リーダから受信する無線受信機と、そして前記信号をエネルギーに変換し、そして前記エネルギーを蓄積する手段と、を含むことができる。前記デバイスは、前記キャップ内に位置して前記蓄積エネルギーを、前記センサを作動させるために使用されるパルスに変換する手段を含むことができる。前記受信機は、赤外線信号受信機、無線周波数信号受信機、及び超音波信号受信機のうちの1つを備えることができる。
【0007】
別の実施形態によれば、データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置が提供される。前記装置は、第1信号を比較的狭い経路に沿って前記ファスナーに無線送信するリーダと、そして前記ファスナーに取り付けられて前記第1信号を受信する手段と、を含む。前記装置は更に、前記ファスナーに取り付けられて、前記センサが測定する前記応力に関するデータを含む第2信号を前記リーダに無線送信する手段を含む。前記リーダは、前記第1信号を成形して比較的細いビームにする送信アンテナを含むことができる。前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は、前記第1信号を前記狭い経路に沿って受信する指向性アンテナを含むことができる。
【0008】
本開示の別の実施形態によれば、データを複数のファスナーから収集する方法が提供される。前記方法は、第1信号をリーダから比較的狭い経路に沿って前記ファスナーに無線送信するステップと、そして前記第1信号を前記ファスナーにおいて受信するステップと、を含む。前記方法は更に、少なくとも1つのパラメータを前記ファスナーにおいて検出するステップと、そして前記パラメータに関する第2信号を前記ファスナーから前記リーダに無線送信するステップと、を含む。前記第1信号を前記リーダから無線送信する前記ステップは、指向性アンテナまたはエネルギービームを使用して行なうことができる。前記エネルギービームは、無線周波数電気エネルギー、光エネルギー、及び超音波エネルギーを含むことができる。
【0009】
更に別の実施形態によれば、データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置が提供される。前記装置は、前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられて、前記ファスナーの温度を検出し、そして前記測定応力及び前記検出温度に関するデータを無線送信するように適合させたデバイスを含む。前記装置は更に、 前記デバイスから送信される前記データを読み取るリーダを含むことができる。 前記デバイスは、前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、前記キャップ内の温度センサと、そして前記キャップ内に位置して前記データを前記リーダに送信する無線送信機と、を含むことができる。
【0010】
更に別の実施形態によれば、ファスナーに生じる応力に関するデータを収集する方法が提供される。前記方法は、前記ファスナーに関連し、かつ前記ファスナーに生じる前記応力に関連する少なくとも1つの温度変化パラメータを検出するステップと、前記ファスナーの温度を検出するステップと、そして前記パラメータを、前記検出温度に基づいて調整するステップと、を含む。前記温度を検出する前記ステップは、前記ファスナーに位置するセンサを使用して行なわれる。
【0011】
別の実施形態によれば、データを、構造に取り付けられる複数のファスナーから収集する装置が提供され、前記ファスナー群の各ファスナーは、前記ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む。前記装置は、前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられ、かつセンサに接続されて、前記測定応力を表わす超音波信号を、前記構造を通って無線送信するデバイスを含む。前記装置は更に、前記超音波信号を読み取るリーダを含む。前記デバイスは、前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、そして前記キャップ内に位置して、前記超音波信号を、前記構造を通って送信するトランスデューサと、を含むことができる。前記デバイスは超音波カプラを含むことができ、該超音波カプラは、前記構造に当接して、前記超音波信号を前記トランスデューサから前記構造に入力するように適合させる。前記リーダは、前記超音波信号を電気エネルギーに変換する超音波トランスデューサと、そして前記トランスデューサを前記構造に超音波結合する超音波カプラと、を含むことができる。
【0012】
別の実施形態によれば、データを、構造に取り付けられるファスナーから収集する方法が提供される。前記方法は、少なくとも1つのパラメータを前記ファスナーにおいて検出するステップと、そして前記検出パラメータを含む超音波信号を前記ファスナーから前記構造を通って送信するステップと、を含む。前記方法は更に、前記超音波信号を読み取るステップを含む。前記信号を送信する前記ステップは、前記信号を、比較的狭い経路に沿って前記構造を通るように誘導することにより行なうことができる。前記方法は更に、前記超音波信号に対応する周波数を、前記構造の特徴に少なくとも部分的に基づいて選択するステップを含むことができる。
【0013】
本開示の実施形態は、データを、構造に取り付けられるファスナー群から離れた場所で無線収集する方法及び関連する装置を提供することにより、接近することが困難な構造の領域内のファスナー群の監視を可能にし、かつ手作業を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、データを、構造に取り付けられるファスナーから無線収集する装置の機能ブロック図を示している。
【図2】図2は、ファスナー、及びファスナーに加わる予荷重に関連するタイミング測定を説明するために有用なタイミングプロットを示している。
【図3】図3は、ファスナーに取り付けられるキャップを有するファスナーの上面図を示している。
【図4】図4は、図3の切断線4−4に沿って切断したときの断面図を示している。
【図5】図5は、図3及び4に示すファスナーキャップ内に収容される電子回路の機能ブロック図を示している。
【図6】図6は、ファスナーデータを、図3〜5に示すキャップ具を使用して無線収集する方法のフローチャートを示している。
【図7】図7は、ファスナーデータを収集する別の方法のフローチャートを示している。
【図8】図8は、データを、航空機に取り付けられるファスナー群から収集する様子を示す合成ブロック概略図を示している。
【図9】図9は、データをファスナー群から、比較的狭い経路に沿って送信される指向性信号を使用して収集する方法及び装置を示している。
【図10】図10は、レーザビームを使用して、リーダに取り付けられる指向性アンテナの照準を合わせ易くする様子を示している。
【図11】図11は、図10と同様の図であり、無線周波数問い合わせ信号を、リーダの照準を合わせた後にファスナーに送信する様子を示している。
【図12】図12は、皿型アンテナを使用して、無線周波数信号を比較的狭い経路に沿ってファスナーに送信する様子を示している。
【図13】図13は、レンズを使用して、赤外線エネルギーを集光して、ファスナーに問い合わせるために使用されるビームにする様子を示している。
【図14】図14は、皿型反射板を使用して、ダイオードによって生成される赤外線エネルギーを集中させる様子を示している。
【図15】図15は、レーザを使用して、リーダの一部を形成する赤外線送信機の照準を合わせる様子を示している。
【図16】図16は、図15と同様の図であり、可視光源を使用して、リーダに取り付けられる赤外線送信機の照準を合わせる様子を示している。
【図17】図17は、リーダの照準をファスナーに向かって合わせるピストルグリップ及び照準器を含むリーダの側面図を示している。
【図18】図18は、ファスナー、またはファスナーを取り囲む構造の温度を離れた場所で検出する温度センサを含むリーダを示している。
【図19】図19は、非接触式温度センサ、及びリーダの照準を合わせ易くするピストルグリップを有するリーダの斜視図を示している。
【図20】図20は、ファスナーデータを収集する方法を示すフローチャートを示しており、この方法では、ファスナーの検出温度に基づいて調整を行なう。
【図21】図21は、リモート温度センサを含むリーダの構成要素群の機能ブロック図を示している。
【図22】図22は、超音波信号を用いてファスナー群に問い合わせるリーダの合成ブロック概略図を示している。
【図23】図23は、図22と同様の図であり、集中超音波信号を使用してファスナー群に問い合わせる超音波リーダを示している。
【図24】図24は、超音波リーダ、及び超音波トランスデューサを備えるファスナーの機能ブロック図を示している。
【図25】図25は、ファスナーデータを、超音波エネルギー通信を使用して収集する方法を示している。
【図26】図26は、航空機製造及び整備方法のフロー図を示している。
【図27】図27は、航空機のブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、図1を参照するに、本開示の実施形態は、ファスナー30に取り付けて、ファスナー30をリモートリーダ38との無線通信に適合させることができるデバイス36に関するものである。ファスナー30は、構造34に取り付けることができ、そして2つ以上の部材を機械的に接合する、取り付ける、または締め付けることにより合体させるために使用される広範囲のハードウェアデバイス群のうちの何れかを含むことができる。例えば、ファスナー30は、ほんの少しの例を挙げると、これらには限定されないが、ボルト、スクリュー、スタッド、クランプ、またはピンを含むことができる。ファスナー30はセンサ32を含み、このセンサ32は、ファスナー30の状態または状況に関連する1つ以上のパラメータを測定する。例えば、センサ32は、ファスナー30に生じる応力、従ってファスナー30に加わる予荷重に関連するパラメータを測定するトランスデューサを含むことができる。
【0016】
1つの実施形態では、デバイス36にプログラムを書き込んで、測定パラメータをリーダ38に定期的に送信して、ファスナー30の状態を監視することができるようにする。別の実施形態では、リーダ38は、無線信号(以後、「問い合わせ信号」と表記する場合がある)をデバイス36に定期的に送信することによりファスナー30に問い合わせることができ、これにより、センサ32が作動して所望のパラメータを測定する。測定パラメータは、デバイス36からリーダ38に無線送信され、このリーダ38では、当該パラメータを読み取ることができる、または計算に使用して、ファスナー30に生じる応力のようなファスナー30の状態を確認することができる。他の実施形態では、応力値を求める計算は、デバイス36によって行なうことができ、当該デバイス36が次に、応力値をリーダ38に無線送信する。リーダ38は、視覚信号及び/又は聴覚信号をユーザに供給して、特定の読み取りサイクルを無事終了したかどうかを通知することができる。
【0017】
次に、図2,3,及び4を参照するに、これらの図は、ファスナー30及びデバイス36を更に詳細に示している。図4から最も良く分かるように、ファスナー30は、頭部56及びシャンク部44を有するボルトとして描かれており、このシャンク部44は、一対のプレート34a,34bを備える構造34を貫通している。シャンク部44の下側端部45には雄ネジ(図示せず)が設けられ、この雄ネジにねじ切りナット62を嵌め込む。頭部56は肩部60を含み、肩部60でワッシャー74をプレート34aに、頭部56及び/又はナット62が締め付けられるときに締め付けて、締め付け力を加えることにより、プレート34a,34bを保持して合体させる。
【0018】
ファスナー30に加わる予荷重、従ってファスナー30に生じる応力は、ファスナー30から構造34に加わる締め付け力に部分的に依存する関数である。デバイス36は、金属のような適切な剛性材料により形成されるキャップ66を含むことができるが、幾つかの用途では、キャップ66を複合材または他の高強度材料により形成することができる。キャップ66は頭部68を含み、この頭部68は、図示の例では、略円形であるが、他の形状を用いることができる。例えば、頭部68は、デバイス36をファスナー30に取り付けるために用いるレンチ(図示せず)を係合させるために適する六角形または八角形を形成する係合部(レンチフラット:図示せず)を含むことができる。
【0019】
キャップ66は更に、傾斜側面群70を含み、これらの傾斜側面70は、ファスナー30の頭部56を取り囲み、かつ構造34と係合することができる環状底面78を含む。キャップ66は、環状凹部72をキャップ66内に、かつ基部78の近傍に含み、この環状凹部72に、ワッシャー74の外周に位置する上向きフランジ76をぴったり合わせて嵌め込むことができる。このように、キャップ66をファスナー30にフランジ76を介して取り付け、このフランジ76でキャップ66をファスナー30の頭部56に保持する。
【0020】
デバイス36は更に、キャップ66内に収容される電子回路86を含む。1つの実施形態では、回路86に接続されるアンテナ88をキャップ66の頭部68に組み込むことができるのに対し、別の実施形態では、アンテナ88aをキャップ66の側面70に組み込むことができる。更に別の実施形態では、アンテナ88及び88aの両方を、キャップ66に組み込むことができる。
【0021】
ファスナー30の頭部56は、センサ32を収容する中心凹部64を含み、このセンサ32については以下に詳細に説明する。センサ32は、ファスナー30の状態を示す少なくとも1つのパラメータを測定し、当該パラメータは、リーダ38(図1に示す)に直接送信されるか、またはファスナー30の状態を確認するために回路86が行なう計算に使用することができる。キャップ66をファスナー30の頭部56に、凹部64の外周縁で圧縮O−リング80を介して密封することにより、凹部64を水分及び/又は外来粒子が進入することがないように密封する。デバイス36は更に、1対の電気接点82,84を含み、これらの電気接点は、回路86に接続され、そしてキャップ66がファスナー30に取り付けられるときに、センサ32及びファスナー頭部56にそれぞれ接触する。キャップ66に取り付けられる任意の温度センサ90は、電気回路86に接続され、そしてファスナー頭部56に接触することにより、ファスナー30の温度、またはファスナー30をじかに取り囲む構造34の温度を測定する。
【0022】
前に説明したように、ワッシャー74をキャップ66に嵌入して、キャップ66をファスナー30の頭部56に取り付ける。しかしながら、デバイス36は、ファスナー30の他の部分に、またはナット62に、ワッシャー76を使用しなくても済む他の取り付け方法を使用して取り付けることができる。1つの実施形態では、キャップ66及びワッシャー76は、バヨネット装着(図示せず)して、キャップ66をファスナー30に、ひねり回転させることにより取り付けるように構成することができる。別の構成として、ネジ山(図示せず)をキャップ66とファスナー30及び/又はワッシャー74との間に設け、ネジ山をキャップ66に螺合させて、キャップ66をファスナー30及び/又はワッシャー74にネジ締めすることができる。従って、これまでの説明から、既存のファスナー群30にデバイス36を、ワッシャー74を取り付け、そして次に、キャップ66をワッシャー74に、ひねり回転を利用して取り付けることにより、組み込むことができることを理解されたい。幾つかの実施形態では、キャップ66は、ファスナー30から、逆方向にひねり回転して取り外すことにより、キャップ66の修理、または取り替えが可能になる。
【0023】
次に、図2を具体的に参照するに、センサ32は、これらには限定されないが、ファスナー30内の応力または予荷重40を求めるために使用することができるパラメータを含む、ファスナー30の状態を表わす1つ以上のパラメータを測定するために適する種々の技術のうちの何れかを使用する多種多様なセンサまたはトランスデューサのうちの何れかを備えることができる。1つの実施形態では、センサ32は、超音波法を用いて、ファスナー30に加わる予荷重40に直接関連する「飛行時間」を測定することができる。42の位置でセンサ32に印加される電圧パルスはシャンク部44を通って超音波46として伝搬し、この超音波46はファスナー30の端部48で反射され、そして戻り経路50に沿ってセンサ32に戻る。この超音波46はエコー52として戻され、このエコー52は、センサ32によって記録され、そしてファスナー30の予荷重に直接比例する飛行時間54を有する。ゼロ荷重時の飛行時間からの飛行時間54の変化を見積もることにより、予荷重40を直接測定することができる。締め付け時、ファスナー30が荷重に応じて伸びる一方で、超音波46の速度がファスナー応力の増加と共に低下して、予荷重40に直接比例する合計飛行時間54が長くなる。前に説明したように、超音波型センサ32について例示してきたが、他の種類の技術を用いる他のセンサ及びトランスデューサを用いてもよい。
【0024】
次に、キャップ66(図4)内に収容され、かつセンサ32及びアンテナ88の両方に接続される電子回路86の付加的な詳細を示す図5を参照する。この実施形態では、回路86は、無線周波数(RF)受信機90と、そしてRF送信機92と、を含み、これらのRF受信機90及びRF送信機92を組み合わせて、トランシーバ(図示せず)を形成する単一の回路とすることができる。リーダ38(図1)から送信され、かつファスナーに対する問い合わせを表わすRF信号は、受信機90から電子コンバータ94に供給され、この電子コンバータ94は、受信RF信号を電力に変換し、この電力は、コンデンサまたは他の蓄積媒体(図示せず)のような電気エネルギー蓄積素子96に蓄積することができる。RF問い合わせ信号は、一連のパルスを含むことができ、これらのパルスは、蓄積素子96に蓄積されるエネルギーが読み出しサイクルを開始するために十分大きくなるまで、連続して蓄積される。回路86には、バッテリ、エネルギーハーベスタ(energy harvester)、または他の電力発生装置(図示せず)のような1つ以上の充電式電源98によって給電することもできる。例えば、充電式電源98は、エネルギーハーベスタデバイス(energy harvesting device)をキャップ66内に備えることができ、当該エネルギーハーベスタデバイスは、ファスナー30の温度変動によって生成される熱エネルギーのような周囲エネルギーを収集して電力に変換する。この形態のエネルギーハーベスタデバイスは、相変化材料を、ファスナー30の温度変動に対するヒートシンクとして用いることができ、この温度変動は、航空機が上昇/下降している場合に極めて大きくなる。他の技術を使用するエネルギーハーベスタデバイスを用いることができ、他の技術としては、これらには限定されないが、航空機が上昇/下降しているときの周囲圧力変化により生成される振動エネルギーを収集して電力に変換する技術を挙げることができる。
【0025】
キャップ66がファスナー30に取り付けられているので、接点82,84をファスナー30及びセンサ32に当接させると、スイッチ106が閉じるようになる。スイッチ106が閉じると、回路86が動作する状態になる。キャップ66が続いて、ファスナー30から取り外されて、接点82,84がファスナー30から外れると、スイッチ106が開き、そしてデータストレージ102内の固有デジタル識別(ID)番号が消去される。この機能によって、特定のIDを1つの特定のファスナー30にのみ永久的に、かつ確実に関連付けることを保証することができる。
【0026】
エネルギー蓄積素子96に蓄積されるエネルギーを使用してパルス発生器110を駆動し、このパルス発生器110によってセンサ32が超音波パルス46(図2)を生成するようになり、この超音波パルス46は、前に説明したように、ファスナー30を通って伝搬する。パルス検出回路112は、戻りパルスを検出し、そして戻りパルスをパルス測定回路114に供給し、このパルス測定回路114がパルスの飛行時間を測定する。ファスナー30に生じる応力に関連するパラメータを表わす測定飛行時間はデータパケット回路116に供給され、このデータパケット回路116が、飛行時間測定値を他のデータと組み合わせてデータパケット化する。例えば、回路86のデータストレージ102に格納される固有デジタルID番号104を飛行時間情報と組み合わせてデータパケット化することができる。当該データパケットは、RF送信機92及びアンテナ88を介してリーダ38(図1)に戻される。幾つかの実施形態では、回路86は、マイクロプロセッサ100を含むことにより、回路86の種々の構成要素を制御し、そして/または計算を実行することができる。例えば、マイクロプロセッサ100は、リーダ38から受信するRF信号に含まれるファスナーIDを、データストレージ102内のデジタルID104と比較して、問い合わせが、当該問い合わせ信号を受信する特定のファスナー30宛であるかどうかを検証することができる。一旦、これらの2つのIDの一致が確認されると、測定機能及び送信機能を回路86によって実行することができる。
【0027】
次に、図6を参照するに、図6は、ファスナーに加わる予荷重のようなデータを1つ以上のファスナー30から無線収集する方法のステップ群の概要を示している。ステップ118から始まって、このステップ118では、固有IDを複数のキャップ66の各キャップに割り当てる。この固有IDは、ランダムIDとする、または構造内の特定のボルト位置に関連付けることができる、或いはそれ以外の方法で割り当てることができる。ステップ120では、キャップ66をファスナー群30の各ファスナーに取り付ける。ステップ122では、駆動信号をデジタルIDと一緒にリーダ38からキャップ66に送信する。ステップ124では、デジタルIDをキャップ66に格納することにより、キャップ66が動作する状態になる。
【0028】
データ収集プロセスはステップ126から始まり、ステップ126では、問い合わせ信号または読み出し信号をリーダ38から、ファスナー群30のうちの1つ以上のファスナーのキャップ66に送信する。ステップ128では、問い合わせ信号をキャップ66において受信し、そしてキャップ66内の蓄積電気エネルギーに変換する。問い合わせ信号に含まれるID(読み取り対象のファスナー30を表わす)が、問い合わせ信号を受信するファスナー30のキャップ66に格納されるIDに一致すると仮定すると、測定機能及び送信機能が開始されて、ステップ130において刺激パルスが、ステップ86で蓄積されたエネルギーを利用して生成されるようになる。ステップ132において、戻りパルスを検出し、そしてステップ134において、当該パルスの飛行時間を測定する。ステップ136では、データパケットを作成し、このデータパケットは、測定飛行時間と、そしてこれらには限定されないが、ファスナーID、ファスナー温度、時刻/日付スタンプなどを含む他の情報と、を含む。ステップ138では、データパケットをRF信号の形態で、キャップ66からリーダ38に送信し、このリーダ38では、ステップ140において、当該データパケットを受信し、そして処理する。
【0029】
図7は、データをファスナー群30から収集する別の方法のステップ群を示している。ステップ144から始まって、このステップ144では、問い合わせ信号をリーダ38からキャップ66に無線送信する。ステップ146では、刺激パルスを生成し、この刺激パルスを、ファスナー30を通って供給する。ステップ148では、固定の処理時間遅延を導入して、戻り超音波パルスを確実に検出することができるようにする。ステップ150では、戻りパルスを検出し、そしてステップ152では、検出情報をキャップ66からリーダ38に送信する。ステップ154に示すように、戻りパルスをリーダ38において受信し、それに続いて、リーダ38がRF開始パルスとRF終了パルスとの間の時間を測定し、そして次に、ステップ156に示すように、固定の処理時間遅延を減算し、そして超音波飛行時間を、これらの2つのパルスの間の差として計算する。この実施形態では、キャップ66内の電子機器86を減らし、そして簡略化することができるが、その理由は、キャップ66でタイミング測定を行なわなくても済むからである。
【0030】
次に、図8を参照するに、離れた場所で、データを航空機158のような構造物に取り付けられるファスナー群30から、可動リーダ群160または固定リーダ群162の何れかを使用して収集することができ、これらのリーダは、ファスナー群30から離れて位置している。例えば、可動リーダ群160は、航空機158に搭乗した、または地上のメンテナンス技術者が使用して、ファスナーに加わる予荷重を含むファスナー群30の状態を監視することができる。別の構成として、航空機158上の固定位置のリーダ群162を使用してファスナー状態を、ファスナーデータを収集することにより定期的に監視することができ、ファスナーデータを搭載サーバ(図示せず)に格納して将来時点で使用する、または搭載サーバに送信して分析することができる。同様に、固定の地上設置監視システム166は、データをファスナー群30から無線収集することができ、当該データを次に、ステップ170において、コンピュータ168で自律的に処理し、そしてメンテナンス記録の一部として保存し、そして/または受信機/送信機172から他の場所に無線送信する。
【0031】
本開示の方法及び装置はまた、航空機158のような構造物が組み立てられている、または整備されている工場生産現場において、またはメンテナンス設備現場において用いることができるので有利である。例えば、固定または可動リーダ群174は、航空機158が組み立てられている工場の天井176に取り付けることができる、または床に埋め込む/床の下に埋め込むことができる、或いは治具固定具/台/足場(全て図示せず)に埋め込むことができる。リーダ群174は、予荷重のようなデータを、航空機158が組み立てられているときのファスナー群30から収集することにより、ファスナー群30が仕様通りに正しく取り付けられている、そして/またはねじ込まれているかについて検証することができる。
【0032】
幾つかの用途では、信号をリーダ38とファスナー群30との間で無線送信によって供給することが望ましく、これらの無線送信は、無指向性で行なわれるのではなく、比較的狭い経路に沿って、かつほぼ指向性が保たれた状態で行なわれる。指向性送信は無指向性送信よりも、送信される信号エネルギーのより大きな部分が、当該エネルギーの所望の供給先に、すなわちファスナー30またはリーダ38に到達するので効果的である。この方法によって、バッテリ寿命を延ばすだけでなく、各ファスナー30に問い合わせるために要する時間を短くすることができる。
【0033】
次に、図9を参照するに、適切な無線周波数リーダ180は、携帯機器としてパッケージに収納することができ、この携帯機器をメンテナンス技術者が使用して、航空機158の尾翼部分178の場合におけるように、ファスナー30への接近が困難な場合において、ファスナーデータを読み取ることができる。この実施形態では、リーダ180はピストルグリップ182を含み、このピストルグリップ182によって、ユーザはリーダ180の向きをファスナー30の方に定め、そしてリーダ180の照準をファスナー30の方に合わせることができる。リーダ180は指向性アンテナ184を含み、この指向性アンテナ184は、フェーズドアレイとして配置される1つ以上のダイポールを含み、このフェーズドアレイを使用して問い合わせ信号群を送信し、そして応答RF信号群を、データパケット群を含むファスナー群30から受信する。この実施形態では、オペレータは、まず、測定対象のファスナー30の位置を物理的に特定し、そして次に、リーダ180をファスナー30の方に向けて測定を行なう。リーダ180は更に、レーザ186のような照準装置を含むことができ、このレーザ186はレーザビーム188をファスナー群30のうちの特定の1つのファスナーに向けて誘導する。レーザビーム188を指向性アンテナ184の向きに一致させ、レーザビーム188を特定のファスナー30に向けることにより、アンテナ184の送信経路が、当該ファスナー30の方向に自動的に一致するようにする。この実施形態では更に、システムのエネルギー効率を高め、バッテリ寿命を延ばし、そして/または所定セットのファスナー30の応力を測定するために要する作業時間を短くすることができる。
【0034】
図10は、レーザビーム188を特定のファスナー30の方に向けた様子を示している。アンテナ184の向きがファスナー30に向かう方向に一致する状態で、RF信号を比較的狭い経路194(図11)に沿って、アンテナ184からファスナー30(図11)に送信する。他の方法を用いて、RF信号を比較的狭い経路194に沿って集中させることができる。例えば、図12に示すように、アンテナディッシュ196(図12)を用いて、RF信号を比較的狭い経路194に沿ってファスナー30に向かって集中させる、または集光することができる。指向性アンテナは、幾つかの用途では、起こり得る無線周波数干渉(RFI)を低減するために、そして/または信号を送信するために必要な電力量を低減するために、無指向性アンテナよりも好ましい。キャップ66内に収容されるアンテナ88(図4)は同様に、指向性アンテナの形態に構成することにより、データパケットをリーダ180に送信する際に消費される電力を低減することができる。
【0035】
他の方式の通信方法を用いて、光エネルギーと表記される場合がある可視周波数領域及び近可視周波数領域の超音波(音響)エネルギー及び電磁エネルギーを含むファスナーデータを本開示の実施形態に従って収集することができる。例えば、図13に示すように、赤外線パルスを用いて、問い合わせ信号をファスナー群30に送信することができ、この場合、赤外線ダイオード200が赤外線パルス202を生成し、これらの赤外線パルス202を、適切なレンズ204によって細いパルスビーム206に集光する。レンズ204及びリーダ38は、ファスナー30に照準を合わせるので、赤外線パルスビーム206が所望のファスナー30に衝突すると、読み出しサイクルが開始される。図14は、赤外線ダイオード200により生成される光を集中させて集中パルスビーム210を生成する反射ディッシュ208の使用を示している。ビーム210の照準を所望のファスナー30に向かって合わせる操作は、リーダ38に取り付けることができるディッシュ208の向きによって制御される。赤外線信号の使用は、工場または空港のような「ノイズの大きい」RF環境において望ましい。上に説明した赤外線通信システムでは、波長をより短くすることによって、利得係数を増大させることができ、そしてより短い波長は、幾つかの用途においては、より望ましい。
【0036】
図15は、レーザ照準器186を赤外線送信機212と組み合わせて使用して、所望のファスナー30の位置を特定し、そして所望のファスナー30に問い合わせる様子を示している。レーザ照準器186は可視光レーザビーム188を生成し、この可視光レーザビーム188をユーザが用いて、赤外線送信機212を配置し、そして赤外線送信機212の照準を合わせることができる。一旦、送信機212の照準を正しく合わせると、赤外線問い合わせ信号195をファスナー30に送信することにより、読み出しサイクルを開始する。
【0037】
図16は、赤外線送信機212に取り付けられる普通の懐中電灯のような従来の可視光源214の使用を示している。光源214は可視光ビーム216を生成し、この可視光ビーム216を使用してファスナー30を照射する。再帰反射材料218をファスナー30に配置して、光源214からの光を反射し易くすることにより、ファスナー30が技術者に更に良く見えるようにする。光ビーム216の照準をファスナー30に合わせることにより、赤外線送信機212の向きを自動的に調節して、RF信号がファスナー30に向かって誘導されるようにする。
【0038】
別の実施形態では、図17に示すように、リーダ38が指向性問い合わせ信号を生成する用途においては、リーダ38はピストルグリップ182及び照準器220を用いて、リーダ38の照準を所望のファスナー30に向かって合わせることができる。
【0039】
図4に関連して前に説明したように、ファスナー30の温度を検出して、飛行時間情報を調整し、そして予荷重測定精度を高めることが望ましい。図4に示す実施形態の場合においては、この目的に用いる温度センサ90をキャップ66に組み込む。しかしながら、他の方法を用いて、ファスナー30の温度、またはファスナー30を直接取り囲む構造34の温度を検出することができ、この構造34は普通、ファスナー30の温度と略同じ温度を有する。例えば、図18に示すように、非接触式温度センサ224をリーダ38に組み込むことにより、ファスナー30の温度を離れた場所で検出することができる。温度センサ224は、種々の公知の非接触式温度検出デバイスのうちの何れかの非接触式温度検出デバイスを含むことができ、非接触式温度検出デバイスとして、これらには限定されないが、パイロメータ(pyrometers)、赤外線熱イメージングカメラ、ライン温度測定用温度計、スポットラジオメータ、及び赤外線放射温度計を挙げることができる。代表的な赤外線放射温度計は、少なくとも2つの波長帯の赤外線放射量を測定し、2つの波長帯の放射強度の比を計算し、そして当該比を使用して放射表面の温度を推定する。
【0040】
図19は、赤外線放射温度計228を搭載したピストル型の携帯用リーダ38、及びリーダ38の照準を合わせ易くするレーザビーム188を示している。リーダ38は、ディスプレイスクリーン230と、そして適切なコントロール群234と、を含み、これらのコントロール234を使用して、レーザビーム188を駆動し、ファスナー温度読み取りを行ない、そして検出温度に自動的に関連付けられる問い合わせ信号を発信し始める。ディスプレイスクリーン230をリーダ38に保存される1つ以上のプログラム(図示せず)と一緒に使用して、ユーザに、各ファスナー30が位置する場所を示して、リーダ38の照準を合わせ易くしている。
【0041】
次に、図20を参照するに、図20は、ファスナーデータを収集する方法のステップ群を示しており、当該方法では、ファスナー30の温度変動に対応するファスナーパラメータ測定値を調整する。ステップ236では、飛行時間情報を含むデータパケットをリーダ38において受信し、それに続いて、ステップ238において、飛行時間データを抽出する。ステップ240では、ファスナー30の温度を離れた場所で検出し、そしてステップ242において、特定のファスナー30に関連付ける。ステップ244では、当該ファスナーに関連付けられる温度を使用して、ステップ244に示すように、飛行時間データを調整し、それに続いて、ステップ246において、ファスナー応力のような注目パラメータ群を計算することができる。
【0042】
図21は、リモート温度センサ224を用いるリーダ38の基本構成要素群を示している。リーダ38は、データパケット群をファスナー群30から受信する受信機248を、リモート温度センサ224、プロセッサ250、及びファスナーIDストレージ254と併せて含む。プロセッサ250は、ストレージ254内に格納されるファスナーIDを、リモート温度センサ224が検出するファスナー30の温度に関連付ける。プロセッサ250は、飛行時間データの調整を含む計算を実行することができ、そしてファスナー30に加わる予荷重のような注目パラメータ群を計算する。
【0043】
図22は、超音波リーダ256の使用を示しており、この超音波リーダ256を使用して、データを、構造34に取り付けられる複数のファスナー30から、超音波信号通信方法(acoustic signal communications)を利用して収集する。この実施形態では、超音波リーダ256を構造34に物理的に当接させ、そして超音波信号260をリーダ256から構造34を通って、ファスナー群30の各ファスナーに送信する。このように、構造34は、超音波エネルギー信号をリーダ256とファスナー群30との間で伝達する伝達媒質として作用する。超音波リーダ256の使用は、ファスナー群30が、電磁放射信号を透過しない複合材のような材料により形成される閉鎖構造の内部に位置する場合に特に有利である。長波長の超音波信号は普通、短波長信号よりも、殆どの構造を通って長い距離を伝搬するが、長波長信号のデータレートは短波長信号の場合よりも低い。従って、ユーザに2つ以上の通信波長を選択する選択肢を提供することが望ましい。
【0044】
図23は、指向性超音波リーダ256を用いて超音波エネルギー信号260aを、構造34を通過する比較的狭い経路に沿って特定のファスナー30に誘導する装置の別の実施形態を示している。この実施形態は、エネルギーを比較的狭い経路に沿って集光して特定のファスナー30に到達させる必要がある幾つかの用途において有利となり得る。
【0045】
図24は、ファスナーデータを、超音波信号を使用して収集する装置の構成素子群の全てを示している。超音波リーダ256は概して、超音波トランスデューサ262を備え、この超音波トランスデューサ262は、波長セレクタ263が制御する所望波長の超音波信号を生成する。超音波信号の波長は、ファスナー群30を取り付ける取り付け先の特定の構造34の特徴に最も適合するように選択することができる。リーダ256は更に、超音波カプラ264を含み、この超音波カプラ264を構造34に接触させ、そしてこの超音波カプラ264は、トランスデューサ262からの超音波信号を構造34に入力するように機能する。幾つかの実施形態では、リーダ256は、超音波電力計265を含むことができ、この超音波電力計256によってユーザは、指向性ビーム260aの方向を最適に調整することができ、これにより、カプラ264の方向姿勢を最適に調整することができる。
【0046】
破線260で示す超音波信号は、特定のファスナー30に位置するキャップ66において受信される。キャップ66は超音波カプラ266を含み、この超音波カプラ266は、受信超音波信号をキャップ66内のトランスデューサ267に入力する。トランスデューサ267は、当該超音波信号を電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーは、エネルギー蓄積装置272に蓄積することができ、そしてこの電気エネルギーを使用してパルス発生器270を駆動することができ、このパルス発生器270は、パルスをファスナー30に位置するセンサ(図示せず)に送信して予荷重を測定する。前に説明したキャップ66と同様に、キャップ66は、ファスナーIDを格納するストレージ268だけでなく、温度センサ274を含むことができる。図24に詳細には示していないが、キャップ66は更に、プロセッサ及び/又は送信機を含むことができ、この送信機を使用してデータパケット群を、構造34を通ってリーダ256に送信する。
【0047】
次に、図25を参照するに、図25は、ファスナーデータを、超音波信号を使用して収集する方法のステップ群を示している。ステップ276から始まり、このステップ276では、ファスナー群30を取り付ける取り付け先の特定の構造34に最も適する所望の通信波長を選択する。ステップ278では、特定のファスナー30を選択して、当該ファスナーに問い合わる。ステップ280では、超音波リーダ256を、問い合わせ対象のファスナー30を含む構造34に物理的に接触させる。次に、ステップ282では、1つ以上の超音波パルスの形態の1つ以上の超音波信号を生成し、そしてステップ284では、問い合わせ対象のファスナーのIDをパルス(群)に符号化する。ステップ286では、符号化パルス群を構造34に、超音波カプラ264(図24)を使用して送信する。ステップ288では、超音波パルス群を問い合わせ対象のファスナー30において受信し、それに続いて、ステップ290に示すように、チェックをファスナー30において行なって、受信ID符号が、問い合わせ対象のファスナーのIDに一致するかどうかを検証する。
【0048】
ステップ292では、超音波エネルギーパルスを蓄積し、そして使用して内部パルスを生成し、そして当該内部パルスをファスナー30に送り込む。ステップ294では、内部送信パルスの飛行時間を測定する。任意であるが、ステップ296では、問い合わせ対象のファスナーの温度を測定する。ステップ298では、飛行時間データを温度及び他のデータと一緒に、データパケットに載せ、このデータパケットをステップ300において、超音波パルス群の形態で送信し、これらの超音波パルスが構造34を通って伝搬してリーダ256に到達する。ステップ302では、ファスナー30からの超音波パルス群をリーダ256において受信し、そして処理してファスナー30に加わる応力を求める。
【0049】
本開示の実施形態は、多種多様な潜在的用途に、特に例えば、宇宙航空用途、船舶用途、及び自動車用途を含む輸送産業において使用することができる。従って、次に、図26及び27を参照するに、本開示の実施形態は、図26に示す航空機製造及び整備方法320、及び図27に示す航空機322に関連して使用することができる。製造前段階では、例示的な方法320において、航空機322の仕様決定及び設計324、及び材料調達326を行なうことができ、この場合、本開示の実施形態を指定して、航空機322内のファスナー群を取り付け、そして/または監視するために使用することができる。製造段階では、航空機322の部品及びサブアセンブリ製造328、及びシステム統合322が行なわれる。本開示の実施形態を使用して、部品群及びサブアセンブリ群に使用されるファスナー群を取り付け、そして監視することができる。その後、航空機322は、証明書発行及び機体引き渡し332を経て、供用334される。顧客が供用している間、航空機322は、日常的なメンテナンス及び整備336を行うようにスケジューリングされる(このメンテナンス及び整備336は、改修、再構成、改装などを含むこともできる)。本開示の方法を使用して、証明書発行332において、そして/またはメンテナンス及び整備336においてファスナー群の予荷重をチェックする、または監視することができる。
【0050】
方法320のプロセス群の各プロセスは、システムインテグレータ、サードパーティ、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって行なうことができるか、または実行することができる。この説明を進めるために、システムインテグレータとして、これらには限定されないが、何れかの数の航空機製造業者、及び航空機大手システムサブコントラクタを挙げることができ;サードパーティとして、これらには限定されないが、何れかの数のベンダー、サブコントラクタ、及びサプライヤーを挙げることができ;そしてオペレータは、航空会社、リース会社、軍隊、航空機整備機関などとすることができる。
【0051】
図27に示すように、例示的な方法320により製造される航空機322は、複数のシステム340を搭載した機体338と、そして機内342と、を含むことができる。高位システム340の例として、推進システム344、電気システム346、油圧システム348、及び環境システム350のうちの1つ以上を挙げることができる。何れかの数の他のシステムを含めてもよい。本開示の実施形態を使用して、ファスナー群を、機体338の一部を形成するジョイント群に、または推進システム344または油圧システム348の一部を形成する部品群に取り付ける、そして/またはこれらのファスナーを監視することができる。航空宇宙用の例を示しているが、本開示の原理は、船舶産業、重機産業、発電産業、石油精製産業、及び自動車産業のような他の産業に適用することができる。
【0052】
本開示の実施形態を用いて、航空機322に取り付けられるファスナー群の予荷重を、製造及び整備方法320の種々の段階のうちの何れか1つ以上の段階において測定することができる。例えば、製造プロセス328に対応する部品群またはサブアセンブリ群には、予荷重を正確に測定する必要があるファスナー群を取り付けることができる。また、1つ以上の方法実施形態、またはこれらの組み合わせは、製造段階328及び330において、例えば航空機322の組み立てを大幅に促進する、または航空機322のコストを大幅に低減することにより利用することができる。
【0053】
本開示の実施形態について、特定の例示的な実施形態に関連して説明してきたが、他の変形をこの技術分野の当業者であれば想到することができることから、特定の実施形態は例示のためにのみ提示され、本発明を限定するために提示されているのではないことを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置であって:
前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられて前記測定応力に関するデータを無線送信するように適合させたデバイスと、
前記デバイスから送信される前記データを無線で読み取るリーダと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記デバイスは:
前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、
前記キャップ内のアンテナと、
前記キャップ内に位置し、かつアンテナに接続されて前記データを前記リーダに送信する無線送信機と、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リーダは、信号を前記デバイス群の各デバイスに無線送信する送信機を含み、そして
前記デバイス群の各デバイスは更に、前記キャップ内に位置して、前記信号を前記リーダから受信する無線受信機と、そして前記信号をエネルギーに変換し、そして前記エネルギーを蓄積する手段と、を含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記デバイス群の各デバイスは:
周囲エネルギーを電気エネルギーに変換する手段と、
前記電気エネルギーを蓄積し、そして前記蓄積エネルギーを、前記センサを作動させるために使用されるパルスに変換する手段と、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記キャップは、一連の電気接点を含み、これらの電気接点を、前記デバイスを前記ファスナーに取り付けるときに、前記センサ及び前記ファスナーに接触させる、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記受信機は:
光信号受信機、
無線周波数信号受信機、及び
超音波信号受信機、
のうちの1つである、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記デバイスは更に、前記キャップに取り付けられて前記ファスナーの温度を検出する温度センサを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
データを複数のファスナーから収集する方法であって:
キャップを前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けるステップと、
問い合わせ信号をリーダから前記ファスナー群のうちの1つのファスナーに無線送信するステップと、
前記問い合わせ信号を前記キャップ内の受信機において無線受信するステップと、
前記ファスナーに取り付けられるセンサを使用して、前記ファスナーに生じる応力を測定するステップと、
前記キャップ内の無線送信機を使用して、前記測定応力を前記リーダに無線送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記キャップを取り付ける前記ステップは、前記キャップ内の一連の電気接点を前記センサ及び前記ファスナーに当接させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キャップを取り付ける前記ステップは、前記キャップを前記ファスナーの頭部に被せてねじ込むことにより行なわれる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
更に:
前記受信問い合わせ信号を電気エネルギーに変換するステップと、
前記エネルギーを前記キャップに蓄積するステップと、
前記蓄積エネルギーを使用して前記センサを作動させるステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
更に:
周囲エネルギーを電気エネルギーに変換するステップと、
前記エネルギーを前記キャップに蓄積するステップと、
前記蓄積エネルギーを使用して、前記センサの作動時に前記センサに給電するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
更に:
前記リーダの照準を質問対象のファスナーに合わせるステップを含み、照準を合わせる前記ステップでは、光ビームを前記リーダから前記ファスナーに誘導して、前記リーダの照準合わせを容易にする、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記問い合わせ信号を無線送信する前記ステップは:
電気エネルギー伝達、
光エネルギー伝達、
超音波エネルギー伝達、
のうちの1つを使用して行なわれる、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記キャップを前記ファスナーに取り付ける前記ステップは:
フランジを前記ファスナーに固く固定するステップと、
前記フランジを使用して前記キャップを前記ファスナーに保持するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置であって:
第1信号を比較的狭い経路に沿って前記ファスナーに無線送信するリーダと、
前記ファスナーに取り付けられて前記第1信号を受信する手段と、
前記ファスナーに取り付けられて、前記センサが測定する前記応力に関するデータを含む第2信号を前記リーダに無線送信する手段と、
を備える、装置。
【請求項17】
前記リーダは、前記第1信号を成形して比較的細いビームにする送信アンテナを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記アンテナは指向性ダイポールアンテナである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記アンテナはディッシュアンテナである、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記リーダは無線周波数送信機を含み、前記第1信号は無線周波数信号であり、そして
前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は無線周波数受信機である、
請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記リーダは赤外線ビーム送信器を含み、
前記第1信号は赤外線ビームであり、そして
前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は赤外線受信機である、
請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記赤外線ビーム送信器は:
赤外光を生成する赤外線ダイオードと、
赤外光を集中させて前記赤外線ビームとする手段と、
を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記リーダは、超音波エネルギー送出器を含み、
前記第1信号は超音波信号であり、そして
前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は超音波信号受信機である、
請求項16に記載の装置。
【請求項24】
前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は、前記第1信号を前記狭い経路に沿って受信する指向性アンテナを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項25】
更に:
前記受信手段、及び前記第2信号を送信する手段を収容するために前記ファスナーに取り付けることができるキャップを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項26】
データを複数のファスナーから収集する方法であって:
第1信号をリーダから比較的狭い経路に沿って前記ファスナーに無線送信するステップと、
前記第1信号を前記ファスナーにおいて受信するステップと、
少なくとも1つのパラメータを前記ファスナーにおいて検出するステップと、
前記パラメータに関連する第2信号を前記ファスナーから前記リーダに無線送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記第1信号を前記リーダから無線送信する前記ステップは、指向性アンテナを使用して行なわれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1信号を前記リーダから無線送信する前記ステップは、エネルギービームを使用して行なわれる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
エネルギービームは:
無線周波数エネルギー、
光エネルギー、及び
超音波エネルギー
のうちの1つである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2信号を無線送信する前記ステップは、指向性アンテナを使用して行なわれる、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置であって:
前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられて、前記ファスナーの温度を検出し、そして前記測定応力及び前記検出温度に関するデータを無線送信するように適合させたデバイスと、
前記デバイスから送信される前記データを読み取るリーダと、
を備える、装置。
【請求項32】
前記デバイスは:
前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、
前記キャップ内の温度センサと、
前記キャップ内に位置して前記データを前記リーダに送信する無線送信機と、
を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記リーダは、問い合わせ信号を前記デバイス群の各デバイスに無線送信する送信機を含み、そして
前記デバイス群の各デバイスは更に、前記キャップ内に位置して、前記問い合わせ信号を受信する無線受信機と、そして前記問い合わせ信号をエネルギーに変換し、そして前記エネルギーを蓄積する手段と、を含む、
請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記デバイス群の各デバイスは更に、前記キャップ内に位置して、周囲エネルギーを電気エネルギーに変換し、そして前記データを前記リーダに送信するために使用される前記エネルギーを蓄積する手段を含む、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記デバイス群の各デバイスは、前記キャップ内に位置して、前記蓄積エネルギーを、前記センサを作動させるために使用されるパルスに変換する手段を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記キャップは、一連の電気接点を含み、これらの電気接点を、前記デバイスを前記ファスナーに取り付けるときに、前記センサ及び前記ファスナーに接触させる、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記温度センサは、前記ファスナーに、前記接点群のうちの少なくとも1つの接点を介して接続される、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記温度センサは前記ファスナーに当接する、請求項32に記載の装置。
【請求項39】
ファスナーに生じる応力に関するデータを収集する方法であって:
前記ファスナーに関連し、かつ前記ファスナーに生じる前記応力に関連する少なくとも1つの温度変化パラメータを検出するステップと、
前記ファスナーの温度を検出するステップと、
前記パラメータを、前記検出温度に基づいて調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項40】
前記温度を検出する前記ステップは、前記ファスナーの領域内のセンサを使用して行なわれる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
更に:
前記検出パラメータ及び前記検出温度を前記ファスナーからリーダに無線送信するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記検出パラメータを調整する前記ステップは、前記リーダにおいて行なわれる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記検出パラメータを調整する前記ステップは、前記ファスナーにおいて行なわれる、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
更に:
キャップを前記ファスナーに取り付けるステップと、
前記検出パラメータ及び前記検出温度を前記キャップからリーダに無線送信するステップと、
を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
更に:
前記検出パラメータ及び前記検出温度を含むデータパケットを前記キャップ内で生成するステップと、
前記データパケットを前記キャップからリーダに無線送信するステップと、
前記データパケットを前記リーダにおいて受信するステップと、
前記パラメータを前記リーダにおいて、前記検出温度を使用して調整するステップと、
を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
データを、構造に取り付けられる複数のファスナーから収集する装置であって、前記ファスナー群の各ファスナーは、前記ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含み、前記装置は:
前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられ、かつ前記センサに接続されて、前記測定応力を表わす超音波信号を、前記構造を通って無線送信するデバイスと、
前記超音波信号を読み取るリーダと、
を備える、装置。
【請求項47】
前記デバイスは:
前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、
前記キャップ内に位置して、前記超音波信号を、前記構造を通って送信するトランスデューサと、
を含む、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記デバイスは超音波カプラを含み、該超音波カプラは、前記構造に当接して、前記超音波信号を前記トランスデューサから前記構造に入力するように適合させる、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記リーダは:
前記超音波信号を電気エネルギーに変換する超音波トランスデューサと、
前記トランスデューサを前記構造に超音波結合する超音波カプラと、
を含む、請求項46に記載の装置。
【請求項50】
前記超音波トランスデューサは、前記超音波信号を前記リーダから比較的狭い経路に沿って、前記ファスナー群のうちの1つのファスナーに向かって誘導する一方向性トランスデューサである、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記リーダは、超音波信号を送信して前記デバイス群に問い合わせる超音波トランスデューサを含み、
前記デバイス群の各デバイスは、前記超音波信号を前記リーダから受信し、そして前記受信信号を電気エネルギーに変換する超音波トランスデューサを含む、
請求項46に記載の装置。
【請求項52】
前記デバイス群の各デバイスは、前記電気エネルギーを蓄積し、そして前記センサに前記蓄積エネルギーを使用して給電する手段を含む、
請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記リーダは、前記ファスナーに送信される前記超音波信号の周波数を選択する手段を含む、請求項51に記載の装置。
【請求項54】
データを、構造に取り付けられるファスナーから収集する方法であって:
少なくとも1つのパラメータを前記ファスナーにおいて検出するステップと、
前記検出パラメータを含む超音波信号を前記ファスナーから前記構造を通って送信するステップと、
前記超音波信号を読み取るステップと、
を含む、方法。
【請求項55】
前記信号を送信する前記ステップは、前記信号を、比較的狭い経路に沿って前記構造を通るように誘導することにより行なわれる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
更に:
前記超音波信号に対応する周波数を、前記構造の特徴に基づいて選択するステップを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記読み取る前記ステップは:
リーダを前記構造に超音波結合し、
前記リーダを使用して、前記超音波信号を前記ファスナーから受信し、そして
前記受信超音波信号を、前記検出パラメータの値を表わす電気信号に変換することにより行なわれる、
請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記超音波信号を読み取る前記ステップはリーダによって行なわれ、そして前記方法は更に:
前記ファスナーに、問い合わせ超音波信号を、前記リーダから前記構造を通って前記ファスナーに送信することにより問い合わせるステップと、
前記問い合わせ信号を前記ファスナーにおいて受信するステップと、を含み、
前記検出する前記ステップは、前記問い合わせ信号を前記ファスナーにおいて受信すると行なわれる、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
更に:
前記受信問い合わせ信号を電気エネルギーに、前記ファスナーにおいて変換するステップと、
前記電気エネルギーを前記ファスナーにおいて蓄積するステップと、
を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記超音波信号を前記ファスナーから送信する前記ステップは、前記ファスナーにおいて蓄積される前記電気エネルギーを使用して行なわれる、請求項59に記載の方法。
【請求項1】
データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置であって:
前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられて前記測定応力に関するデータを無線送信するように適合させたデバイスと、
前記デバイスから送信される前記データを無線で読み取るリーダと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記デバイスは:
前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、
前記キャップ内のアンテナと、
前記キャップ内に位置し、かつアンテナに接続されて前記データを前記リーダに送信する無線送信機と、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リーダは、信号を前記デバイス群の各デバイスに無線送信する送信機を含み、そして
前記デバイス群の各デバイスは更に、前記キャップ内に位置して、前記信号を前記リーダから受信する無線受信機と、そして前記信号をエネルギーに変換し、そして前記エネルギーを蓄積する手段と、を含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記デバイス群の各デバイスは:
周囲エネルギーを電気エネルギーに変換する手段と、
前記電気エネルギーを蓄積し、そして前記蓄積エネルギーを、前記センサを作動させるために使用されるパルスに変換する手段と、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記キャップは、一連の電気接点を含み、これらの電気接点を、前記デバイスを前記ファスナーに取り付けるときに、前記センサ及び前記ファスナーに接触させる、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記受信機は:
光信号受信機、
無線周波数信号受信機、及び
超音波信号受信機、
のうちの1つである、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記デバイスは更に、前記キャップに取り付けられて前記ファスナーの温度を検出する温度センサを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
データを複数のファスナーから収集する方法であって:
キャップを前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けるステップと、
問い合わせ信号をリーダから前記ファスナー群のうちの1つのファスナーに無線送信するステップと、
前記問い合わせ信号を前記キャップ内の受信機において無線受信するステップと、
前記ファスナーに取り付けられるセンサを使用して、前記ファスナーに生じる応力を測定するステップと、
前記キャップ内の無線送信機を使用して、前記測定応力を前記リーダに無線送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記キャップを取り付ける前記ステップは、前記キャップ内の一連の電気接点を前記センサ及び前記ファスナーに当接させるステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キャップを取り付ける前記ステップは、前記キャップを前記ファスナーの頭部に被せてねじ込むことにより行なわれる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
更に:
前記受信問い合わせ信号を電気エネルギーに変換するステップと、
前記エネルギーを前記キャップに蓄積するステップと、
前記蓄積エネルギーを使用して前記センサを作動させるステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
更に:
周囲エネルギーを電気エネルギーに変換するステップと、
前記エネルギーを前記キャップに蓄積するステップと、
前記蓄積エネルギーを使用して、前記センサの作動時に前記センサに給電するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
更に:
前記リーダの照準を質問対象のファスナーに合わせるステップを含み、照準を合わせる前記ステップでは、光ビームを前記リーダから前記ファスナーに誘導して、前記リーダの照準合わせを容易にする、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記問い合わせ信号を無線送信する前記ステップは:
電気エネルギー伝達、
光エネルギー伝達、
超音波エネルギー伝達、
のうちの1つを使用して行なわれる、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記キャップを前記ファスナーに取り付ける前記ステップは:
フランジを前記ファスナーに固く固定するステップと、
前記フランジを使用して前記キャップを前記ファスナーに保持するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置であって:
第1信号を比較的狭い経路に沿って前記ファスナーに無線送信するリーダと、
前記ファスナーに取り付けられて前記第1信号を受信する手段と、
前記ファスナーに取り付けられて、前記センサが測定する前記応力に関するデータを含む第2信号を前記リーダに無線送信する手段と、
を備える、装置。
【請求項17】
前記リーダは、前記第1信号を成形して比較的細いビームにする送信アンテナを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記アンテナは指向性ダイポールアンテナである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記アンテナはディッシュアンテナである、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記リーダは無線周波数送信機を含み、前記第1信号は無線周波数信号であり、そして
前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は無線周波数受信機である、
請求項16に記載の装置。
【請求項21】
前記リーダは赤外線ビーム送信器を含み、
前記第1信号は赤外線ビームであり、そして
前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は赤外線受信機である、
請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記赤外線ビーム送信器は:
赤外光を生成する赤外線ダイオードと、
赤外光を集中させて前記赤外線ビームとする手段と、
を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記リーダは、超音波エネルギー送出器を含み、
前記第1信号は超音波信号であり、そして
前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は超音波信号受信機である、
請求項16に記載の装置。
【請求項24】
前記ファスナーに取り付けられる前記受信手段は、前記第1信号を前記狭い経路に沿って受信する指向性アンテナを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項25】
更に:
前記受信手段、及び前記第2信号を送信する手段を収容するために前記ファスナーに取り付けることができるキャップを備える、請求項16に記載の装置。
【請求項26】
データを複数のファスナーから収集する方法であって:
第1信号をリーダから比較的狭い経路に沿って前記ファスナーに無線送信するステップと、
前記第1信号を前記ファスナーにおいて受信するステップと、
少なくとも1つのパラメータを前記ファスナーにおいて検出するステップと、
前記パラメータに関連する第2信号を前記ファスナーから前記リーダに無線送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記第1信号を前記リーダから無線送信する前記ステップは、指向性アンテナを使用して行なわれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1信号を前記リーダから無線送信する前記ステップは、エネルギービームを使用して行なわれる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
エネルギービームは:
無線周波数エネルギー、
光エネルギー、及び
超音波エネルギー
のうちの1つである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2信号を無線送信する前記ステップは、指向性アンテナを使用して行なわれる、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
データを、各ファスナーが、該ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含む構成の複数のファスナーから収集する装置であって:
前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられて、前記ファスナーの温度を検出し、そして前記測定応力及び前記検出温度に関するデータを無線送信するように適合させたデバイスと、
前記デバイスから送信される前記データを読み取るリーダと、
を備える、装置。
【請求項32】
前記デバイスは:
前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、
前記キャップ内の温度センサと、
前記キャップ内に位置して前記データを前記リーダに送信する無線送信機と、
を含む、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記リーダは、問い合わせ信号を前記デバイス群の各デバイスに無線送信する送信機を含み、そして
前記デバイス群の各デバイスは更に、前記キャップ内に位置して、前記問い合わせ信号を受信する無線受信機と、そして前記問い合わせ信号をエネルギーに変換し、そして前記エネルギーを蓄積する手段と、を含む、
請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記デバイス群の各デバイスは更に、前記キャップ内に位置して、周囲エネルギーを電気エネルギーに変換し、そして前記データを前記リーダに送信するために使用される前記エネルギーを蓄積する手段を含む、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記デバイス群の各デバイスは、前記キャップ内に位置して、前記蓄積エネルギーを、前記センサを作動させるために使用されるパルスに変換する手段を含む、請求項33に記載の装置。
【請求項36】
前記キャップは、一連の電気接点を含み、これらの電気接点を、前記デバイスを前記ファスナーに取り付けるときに、前記センサ及び前記ファスナーに接触させる、請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記温度センサは、前記ファスナーに、前記接点群のうちの少なくとも1つの接点を介して接続される、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記温度センサは前記ファスナーに当接する、請求項32に記載の装置。
【請求項39】
ファスナーに生じる応力に関するデータを収集する方法であって:
前記ファスナーに関連し、かつ前記ファスナーに生じる前記応力に関連する少なくとも1つの温度変化パラメータを検出するステップと、
前記ファスナーの温度を検出するステップと、
前記パラメータを、前記検出温度に基づいて調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項40】
前記温度を検出する前記ステップは、前記ファスナーの領域内のセンサを使用して行なわれる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
更に:
前記検出パラメータ及び前記検出温度を前記ファスナーからリーダに無線送信するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記検出パラメータを調整する前記ステップは、前記リーダにおいて行なわれる、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記検出パラメータを調整する前記ステップは、前記ファスナーにおいて行なわれる、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
更に:
キャップを前記ファスナーに取り付けるステップと、
前記検出パラメータ及び前記検出温度を前記キャップからリーダに無線送信するステップと、
を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
更に:
前記検出パラメータ及び前記検出温度を含むデータパケットを前記キャップ内で生成するステップと、
前記データパケットを前記キャップからリーダに無線送信するステップと、
前記データパケットを前記リーダにおいて受信するステップと、
前記パラメータを前記リーダにおいて、前記検出温度を使用して調整するステップと、
を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
データを、構造に取り付けられる複数のファスナーから収集する装置であって、前記ファスナー群の各ファスナーは、前記ファスナーに生じる応力を測定するセンサを含み、前記装置は:
前記ファスナー群の各ファスナーに取り付けられ、かつ前記センサに接続されて、前記測定応力を表わす超音波信号を、前記構造を通って無線送信するデバイスと、
前記超音波信号を読み取るリーダと、
を備える、装置。
【請求項47】
前記デバイスは:
前記ファスナーに取り付けることができるキャップと、
前記キャップ内に位置して、前記超音波信号を、前記構造を通って送信するトランスデューサと、
を含む、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
前記デバイスは超音波カプラを含み、該超音波カプラは、前記構造に当接して、前記超音波信号を前記トランスデューサから前記構造に入力するように適合させる、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記リーダは:
前記超音波信号を電気エネルギーに変換する超音波トランスデューサと、
前記トランスデューサを前記構造に超音波結合する超音波カプラと、
を含む、請求項46に記載の装置。
【請求項50】
前記超音波トランスデューサは、前記超音波信号を前記リーダから比較的狭い経路に沿って、前記ファスナー群のうちの1つのファスナーに向かって誘導する一方向性トランスデューサである、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記リーダは、超音波信号を送信して前記デバイス群に問い合わせる超音波トランスデューサを含み、
前記デバイス群の各デバイスは、前記超音波信号を前記リーダから受信し、そして前記受信信号を電気エネルギーに変換する超音波トランスデューサを含む、
請求項46に記載の装置。
【請求項52】
前記デバイス群の各デバイスは、前記電気エネルギーを蓄積し、そして前記センサに前記蓄積エネルギーを使用して給電する手段を含む、
請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記リーダは、前記ファスナーに送信される前記超音波信号の周波数を選択する手段を含む、請求項51に記載の装置。
【請求項54】
データを、構造に取り付けられるファスナーから収集する方法であって:
少なくとも1つのパラメータを前記ファスナーにおいて検出するステップと、
前記検出パラメータを含む超音波信号を前記ファスナーから前記構造を通って送信するステップと、
前記超音波信号を読み取るステップと、
を含む、方法。
【請求項55】
前記信号を送信する前記ステップは、前記信号を、比較的狭い経路に沿って前記構造を通るように誘導することにより行なわれる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
更に:
前記超音波信号に対応する周波数を、前記構造の特徴に基づいて選択するステップを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記読み取る前記ステップは:
リーダを前記構造に超音波結合し、
前記リーダを使用して、前記超音波信号を前記ファスナーから受信し、そして
前記受信超音波信号を、前記検出パラメータの値を表わす電気信号に変換することにより行なわれる、
請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記超音波信号を読み取る前記ステップはリーダによって行なわれ、そして前記方法は更に:
前記ファスナーに、問い合わせ超音波信号を、前記リーダから前記構造を通って前記ファスナーに送信することにより問い合わせるステップと、
前記問い合わせ信号を前記ファスナーにおいて受信するステップと、を含み、
前記検出する前記ステップは、前記問い合わせ信号を前記ファスナーにおいて受信すると行なわれる、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
更に:
前記受信問い合わせ信号を電気エネルギーに、前記ファスナーにおいて変換するステップと、
前記電気エネルギーを前記ファスナーにおいて蓄積するステップと、
を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記超音波信号を前記ファスナーから送信する前記ステップは、前記ファスナーにおいて蓄積される前記電気エネルギーを使用して行なわれる、請求項59に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2013−518320(P2013−518320A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549987(P2012−549987)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/056888
【国際公開番号】WO2011/090539
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/056888
【国際公開番号】WO2011/090539
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
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