説明

ファブリックスリーブを有する通信ケーブル

通信ケーブル(11)は、通信ケーブルがより容易に導管の中に挿入されるのを可能にする、柔軟なスリーブ(12,21,31)を有している。スリーブ(12)の一形態は、スリーブ(12)がケーブル(11)に係合することができるよう互いに連結されたホック(14)およびループ(15)を有している。その他の形態によるスリーブ(21)は、ケーブル(11)に係合するよう弾性的に負荷がかけられる。第3の形態によるスリーブ(31)は、スリーブ(31)をケーブル(11)に接着する接着剤(33)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年6月23日に出願された米国仮特許出願第61/132,698号の優先権を主張するものであり、当該仮特許出願は、参照することにより本願に組み入れられる。
【0002】
本発明は通信ケーブルであって、ケーブルが導管の中に導入される直前に工場または現場においてケーブルの上に取り付けられるファブリックスリーブを有する通信ケーブルに関する。そのようなスリーブは、既にその中に所定のケーブルを有する導管の中に他のケーブルを、双方のケーブルを損傷させることなく導入することを容易にする。
【背景技術】
【0003】
数千フィートにわたって延びる地下の通信用導管にケーブルを配置することは、長い間の課題であった。そのような課題は、既にその中に所定のケーブルを有する導管の中に、1つまたは複数のケーブルをさらに配置することが望まれる場合にとりわけ深刻になる。導管内のケーブルは、とりわけそのプラスチックの被覆のため、新たなケーブルが導管の中に挿入されようと試みられるときに新たなケーブルに対して多大な摩擦を及ぼす。結果として、新たな、または既存のケーブルは、摩擦により容易に損傷され得る。そのようなことは、導管内のケーブルが、導入されるケーブルが曲がりくねった摩擦を多く含む経路をとることを引き起こすようにうねっている場合に深刻になる。
【0004】
この課題において非常に成功している解決策は、TVCコミュニケーションズ有限会社によりMAXCELL(登録商標)として販売されているファブリック内部ダクトである。この内部ダクトによる解決策は、US特許第6,262,371号公報に示されており、その内容は、本発明を理解するために必要となり得る詳細事項のため、参照により組み入れられている。この内部ダクトは、はじめに導管の中に配置されており、そして、導管を長手方向に延びる複数の区画に分割している。ケーブルが複数の区画の1つに配置されるとき、その他の区画にある引っ張り用のテープまたはロープが、第2のケーブルをその区画の中に引き込むのに利用される。一のケーブルと他のケーブルとの間にはファブリックが存在しているので、摩擦は、ケーブルの被覆ではなくファブリックにかかる。このファブリックが、導入を容易にする。
【0005】
しかしながら、長い距離にわたって延びる小さな直径の導管の中でこれらの内部ダクトを使用する場合、問題が存在し得る。小さな導管においては、ファブリック内部ダクトは、導管において大きな空間を占めている。そして、テープまたはロープが内部ダクトの中に押し込められており、このため、ケーブルを引き込む能力が妨げられるかもしれない。
【0006】
結果として、ケーブルを導管の中、とりわけ小さな直径の導管の中に導入する、より効率的な方法への必要性が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の一の側面における目的は、柔軟なスリーブを有するケーブルを提供することである。
【0008】
本発明のその他の側面における目的は、空の導管または導管の内側にある内部ダクトの中に容易に挿入することができるケーブルおよびスリーブの組立体を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる側面における目的は、柔軟なスリーブを有するケーブルを形成すること、および、ケーブルおよびスリーブの組立体を導管の中に導入することからなる方法を提供することである。
【0010】
本発明におけるこれらの目的、およびその他の目的は、既存の先行技術が形成する利点を超える利点と並んで、後の説明から明らかになるが、後に説明されクレームされる改良により達成される。
【発明を解決するための手段】
【0011】
一般に、本発明により構成される導管の中に導入される装置は、所定の長さを有するケーブルと、ほぼ全長にわたってケーブルのまわりに配置される柔軟なスリーブと、を含んでいる。
【0012】
本発明はまた、長手方向に延びるケーブルを導管の中に導入する方法であって、柔軟な材料でケーブルを略全長にわたって覆う工程と、覆われたケーブルを導管の中に導入する工程と、を含む方法に関する。
【0013】
本発明の思想による好ましい例示的なケーブルおよびスリーブの組立体は、本発明が構成され得る様々な形態および変形例の全てを示そうと試みることなく、付随する図において例示的に示されている。本発明は、従属請求項により判断されるが、明細書の詳細な説明によっては判断されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、一般的なケーブルがファブリックスリーブによって覆われ、そして導管に挿入される様子を示す図。
【図2】図2は、本発明によるファブリックスリーブを示す端面図。
【図3】図3は、図2のスリーブの部分上面図。
【図4】図4は、本発明によるケーブルおよびスリーブを示す断面図であり、ケーブルのまわりを覆う図2および図3のスリーブを示している。
【図5】図5は、本発明により構成されるファブリックスリーブのその他の形態を示す端面図。
【図6】図6は、図5のスリーブの部分上面図。
【図7】図7は、本発明によるケーブルおよびスリーブを示す断面図であり、ケーブルのまわりを覆う図5および図6のスリーブを示している。
【図8】図8は、本発明により構成されるファブリックスリーブのその他の形態を示す端面図。
【図9】図9は、ケーブルと、ケーブルのまわりを覆う図8のスリーブとを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明により構成されるケーブルおよびスリーブの組立体の一形態は、概して符号10により示されている。組立体の一形態は、通信ケーブル11と、概して符号12により示されるスリーブと、を含んでいる。ケーブル11は、一般的なものであり、例えば典型的には、プラスチックの被覆により包まれた伝導性の多数のワイヤを含んでいる。スリーブ12は、米国特許第6,421,485号公報に記載されるファブリック(fabric)のような柔軟な材料から構成され得る。またスリーブ12は、対向する端部分に形成された締結システムを有する、長手方向に延びるシート13による材料の形態からなっていてもよい。そのようなシステムは、にかわ、またはその他の接着剤であってもよく、または、示されているようなVELCRO(登録商標)のホックおよびループの締結システムであってもよい。従って、シート13の一側における一方の端部分は、ホックコネクタ14を有していてもよく、また、シート13の他側における対向する端部分は、対をなすループコネクタ15を有していてもよい。コネクタ14,15の間のシートの幅は、概してケーブル11の円周に対応している。このため、図4に示されるようにスリーブ12がケーブル11上に配置されるとき、スリーブ12をケーブル11上に強固に保持するようコネクタ14,15が互いに係合する。
【0016】
その他のケーブルおよびスリーブの組立体が図7に示されており、概して符号20で表されている。この場合、一般的なケーブル11が、ファブリックまたは薄いプラスチック材料からなる、弾性的に負荷がかけられたスリーブを受けるものとして示されている。スリーブは、概して符号21により表されており、このスリーブ21は、対向する端部分23,24を有するシート22から形成されている。示されているように、端部分24は、円周方向においてシート22の一部分に重なっており、これによって、強固な把持をケーブル11に提供している。
【0017】
その他の変形例によるケーブルおよびスリーブの組立体が図9に示されており、概して符号30により表されている。この場合、一般的なケーブル11が、概して符号31により表されるスリーブを受けるものとして示されている。スリーブ12と同様に、スリーブ31は、柔軟な材料、すなわちファブリック材料から形成され得る。またスリーブ31は、長手方向に延びるシート32からなる形態で設けられている。図8において最も良く示されているように、シート32の一側には接着剤33が設けられ得る。シート32の幅は、概してケーブル11の円周に対応している。このため、シート32が、その接着剤33側がケーブル11のプラスチック被覆に面するようケーブル11上に配置されるとき、図9に示されているようにシート32がケーブル11のプラスチック被覆に強固に係合する。
【0018】
ケーブルとスリーブの組立体10,20または30は、工場において製造されて組み立てられてもよく、また、ロールの状態で地下の導管の建設場所に搬送されてもよい。典型的には、そのようなロールは、一般的なシステムによって繰り出されて地下の導管の中へ挿入される2000フィート以上の組立体10,20または30を有していてもよい。
【0019】
または、スリーブ12または21は、現場において図1に示されているようにケーブル11に適用されてもよい。この例において、ケーブル11のロール40およびスリーブ12または21のロール41は、導管の中への設置のための場所で提供されてもよい。図2,3または8に示される状態におけるケーブル11およびスリーブ12、または図5および6に示される状態におけるスリーブ21が、デバイス43に送られる。スリーブ12または31の操作の例において、デバイス43は、組立体10を形成するようスリーブ12または31がデバイス42を同時に通るときにケーブル11のまわりでスリーブ12または31を覆うフォルダーになっている。スリーブ21の操作の例において、デバイス42は、ケーブル11が端部分23および24の間を通ることができるようスリーブ21を開放する展延具になっている。展延具は、その後、スリーブ21が元の状態に戻るようスリーブ21を解放し、そして、組立体20が形成される。結果として生じるケーブルおよびスリーブの組立体10,20または30は、その後、一般的なロープまたは引っ張りテープにより導管の中へ引き込まれ得る。または、トラクターのようなデバイス44を含むケーブル用押し出し/送風機械43に提供され得る。これによって、組立体10または20を把持し、そして、それを導管(図示せず)の中へ、および導管を通して、図1における右方向へ押し出す。デバイス44の押し出し運動は、従来技術において知られているような導管の中への送風によって補助され得る。
【0020】
ケーブルの被覆よりも小さい摩擦を有する柔軟な材料でケーブルを覆うことにより、組立体10,20または30は、その中に内部ダクトを有していない導管の中へより容易に挿入され得る。結果として、内部ダクトのコストが省かれる。一方、導管が既にその中に配置された内部ダクトを有する場合であっても、ケーブルとスリーブの組立体10,20または30は、内部ダクトの区画の中へより容易に挿入され得る。
【0021】
結果として、ここに説明されるように製造され使用されるケーブルおよびスリーブの組立体10,20または30は、本発明の目的を達成し、若しくは、先行技術を概して改善する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管の中に導入される装置であって、
所定の長さを有するケーブルと、
前記ケーブルのまわりに略全長にわたって配置された柔軟なスリーブと、を備えたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記スリーブがファブリック材料からなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記材料には、前記スリーブが前記ケーブルに係合するよう弾性的に負荷がかけられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記スリーブが当初はシート材料の形状であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記シートの一側に、前記シートを前記ケーブルに接着するよう適合される接着剤が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シートは、離間された端部分を有し、
前記端部分の間の距離は、前記ケーブルの円周に略一致していることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記シートは、対向する端部分を有し、
前記端部分の一方の近傍に、コネクタのホック部分が形成されており、
前記端部分の他方の近傍に、コネクタのループ部分が形成されており、
前記ホック部分は、前記スリーブが前記ケーブルに係合するよう前記ループ部分に係合することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記シートは、対向する端部分を有し、
これらの端部分は、前記シートが前記ケーブルに係合するときに重なっていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項9】
長手方向に延びるケーブルを導管の中に導入する方法において、
柔軟な材料でケーブルを略全長にわたって覆う工程と、
その後、覆われたケーブルを導管の中に導入する工程と、を備えたことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記導入する工程の前に内部ダクトを導管の中に挿入する工程をさらに備え、
前記導入する工程は、ケーブルを内部ダクトの区画の中に配置する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記覆う工程が、ケーブル製造工場において実施されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ケーブルのロールと、柔軟な材料のロールとを設置場所に提供する工程と、
ケーブルおよび柔軟な材料を、前記覆う工程を実施するデバイスへ移動させる工程と、をさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記覆う工程は、柔軟な材料を展延させる工程によってデバイスにより実施されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記導入する工程は、覆われたケーブルを導管の中へ引き込む工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記導入する工程は、覆われたケーブルを導管の中へ押し込む工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−525792(P2011−525792A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516269(P2011−516269)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/003306
【国際公開番号】WO2010/005461
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(504365618)ティーブイシー、コミュニケーションズ、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー (2)
【氏名又は名称原語表記】TVC COMMUNICATIONS, L.L.C.
【Fターム(参考)】