説明

ファン

【課題】ファンの振動を低減する。
【解決手段】ファンは、モータと、インペラとを備え、モータが、静止部と、回転部とを備え、静止部が、ステータと、ステータの内側に配置される軸受部44とを備え、回転部が、ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットと、上部が直接的または1つ以上の部材を介してインペラに固定され、軸受部に挿入されるシャフト41と、シャフトを囲む環状面422,423を有し、軸受部と軸方向に対向するスラスト部とを備え、軸受部の内周面441とシャフトの外周面411との間のラジアル間隙51に潤滑油46の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部68が構成され、環状面と軸受部の環状面に軸方向に対向する面との間のスラスト間隙52,53に潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部691,692が構成され、ラジアル間隙の径方向の幅が、5μm以上20μm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアの流れを発生するファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な電子機器の筐体内部に電子部品を冷却するための冷却ファンが設けられる。特開2009−213225号公報に開示される軸流ファンのモータ部は、ベース部と、電機子と、略円筒形状の軸受保持部と、2つのボールベアリングと、ロータ部と、を備える。軸受保持部は、ベース部の中央に固定される。軸受保持部の内側面には、2つのボールベアリングが固定され、外側面には、電機子が固定される。ロータ部は、シャフトがボールベアリングに挿通されることにより、軸受保持部に対して回転可能に支持される。ベース部には、軸受保持部の周囲を囲むように環状の溝が設けられる。溝には、螺旋状のコイルバネが載置される。コイルバネの上端部は、電機子のインシュレータと軸方向に接触する。これにより、ロータ部が回転する際に、電機子の振動がコイルバネに吸収され、軸流ファンの振動を低減することができる。
【0003】
特開2005−155912号公報に開示されるスピンドルモータの軸受装置は、シャフトと、スラストプレートと、スリーブと、有底円筒形状のハウジングと、を備える。シャフトは、スリーブに内嵌される。ハウジングは、スリーブを収容する。スラストプレートは、シャフトの下側端部に形成される。スリーブの内周面には、動圧発生溝が形成され、シャフトの外周面とスリーブの内周面との間にラジアル動圧軸受が構成される。スリーブの下側端面およびハウジング内周の底面には、スラスト動圧発生溝が構成される。スリーブの下側端面とスラストプレートと上面との間、および、スラストプレートの下面とハウジング内周の底面との間にスラスト動圧軸受が構成される。
【0004】
米国特許出願公開第2008/0278911号明細書に開示される冷却ファンは、ベース部と、軸受部と、流体動圧軸受と、コイル組立体と、インペラと、を備える。
【特許文献1】特開2009−213225号公報
【特許文献2】特開2005−155912号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0278911号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、サーバー等の電子機器の高性能化に伴い、電子機器からの発熱量が増大している。このため、電子機器内の冷却ファンを高速回転して風量を増大することが求められる。しかし、冷却ファンの高速回転化に伴い、冷却ファンには大きな振動が発生し、電子機器内の他の装置に影響を与えてしまう。例えば、冷却ファンの振動により、ディスク駆動装置の読み出しや書き込みにエラーが発生する。
【0006】
本発明は、ファンの振動を低減することを主たる目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な一の側面に係るファンは、モータと、複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、を備え、前記モータが、静止部と、前記静止部により回転可能に支持される回転部と、を備え、前記静止部が、ステータと、前記ステータの内側に配置される軸受部と、を備え、前記回転部が、前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットと、上部が直接的または1つ以上の部材を介して前記インペラに固定され、前記軸受部に挿入されるシャフトと、前記シャフトを囲む環状面を有し、前記軸受部と軸方向に対向するスラスト部と、を備え、前記軸受部の内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記環状面と前記軸受部の前記環状面に軸方向に対向する面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成され、前記静止部と前記回転部との間において前記中心軸を中心とする環状に構成される1つのシール間隙、前記ラジアル間隙および前記スラスト間隙が互いに繋がった1つの袋構造をなし、前記袋構造に前記潤滑油が連続して存在し、前記潤滑油の界面が前記シール間隙のみに形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファンの振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るファンの断面図である。
【図2】図2は、軸受機構の断面図である。
【図3】図3は、軸受機構の一部を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、軸受機構の一部を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は、軸受部の断面図である。
【図6】図6は、軸受部の底面図である。
【図7】図7は、スラストキャップの平面図である。
【図8】図8は、ファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】図9は、ファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】図10は、ファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図11】図11は、ファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図12】図12は、比較例に係るファンに発生する振動のシミュレーション結果を示す図である。
【図13】図13は、他の例に係るモータの軸受機構の断面図である。
【図14】図14は、軸受機構の一部を拡大して示す断面図である。
【図15】図15は、第2の実施形態に係るファンの断面図である。
【図16】図16は、モータの断面図である。
【図17】図17は、軸受機構の断面図である。
【図18】図18は、軸受機構の一部を示す断面図である。
【図19】図19は、他の例に係るモータの断面図である。
【図20】図20は、他の例に係るモータの断面図である。
【図21】図21は、他の例に係るモータの断面図である。
【図22】図22は、他の例に係るモータの断面図である。
【図23】図23は、第3の実施形態に係るファンの断面図である。
【図24】図24は、モータの断面図である。
【図25】図25は、軸受機構の断面図である。
【図26】図26は、他の例に係るモータの断面図である。
【図27】図27は、他の例に係るモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、モータの中心軸方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る軸流ファン1の断面図である。以下、軸流ファン1を単に「ファン1」という。ファン1は、モータ11と、インペラ12と、ハウジング13と、複数の支持リブ14と、ベース部15と、を備える。ハウジング13は、インペラ12の外周を囲む。ハウジング13は、支持リブ14を介してベース部15に接続される。複数の支持リブ14は、周方向に配列される。ベース部15は、支持リブ14と一繋がりの部材である。ベース部15上には、モータ11が固定される。
【0012】
インペラ12は樹脂製であり、略有蓋円筒状のカップ121と、複数の翼122と、を有する。カップ121は、モータ11の外側を覆う。カップ121は、後述のモータ11の回転部2の一部を兼ねている。カップ121は、天面部123と、側壁部124と、を有する。天面部123は、中心軸J1に垂直に広がる。側壁部124は、天面部123の外縁部から下方に延びる。複数の翼122は、中心軸J1を中心として側壁部124の外周面から径方向外方に延びる。カップ121および複数の翼122は樹脂の射出成型により一繋がりの部材として構成される。
【0013】
天面部123の上面には、穴部125が設けられる。穴部125には錘129が配置される。錘129は、タングステン等の比重が大きい金属が含有された接着剤である。錘129が配置される。側壁部124の下端部124aの径方向内側においても、錘129が配置される。インペラ12の上部および下部に錘129が配置されることにより、インペラ12およびモータ11の回転部2のアンバランスを低減することができる。このように、二面バランス修正が行われることにより、インペラ12およびモータ11の重心の中心軸J1からのずれによるファン1の振動を抑制することができる。以下、錘129が配置される側壁部124の下端部124aおよび穴部125を「バランス修正部124a,125」という。
【0014】
ファン1では、モータ11によりインペラ12が中心軸J1を中心として回転されることにより、上方から下方に向かってエアの流れが発生する。
【0015】
モータ11は、アウタロータ型の3相モータである。モータ11は、回転部2と、静止部3と、軸受機構4と、を有する。回転部2は、略円筒状の金属製のヨーク21と、ロータマグネット22と、カップ121と、を有する。ヨーク21は、カップ121の内側に固定される。ロータマグネット22は、ヨーク21の内周面に固定される。回転部2は、軸受機構4を介して中心軸J1を中心に、静止部3に対して回転可能に支持される。
【0016】
静止部3は、略円筒状の軸受保持部31と、ステータ32と、回路基板33と、を有する。軸受保持部31の下部は、ベース部15の中央の孔部を規定する内周面に固定される。ステータ32は、ベース部15の上側にて、軸受保持部31の外周面に固定される。ステータ32は、ロータマグネット22の径方向内側に位置する。ステータ32は、ステータコア321と、ステータコア321上に形成された複数のコイル322と、を有する。ステータコア321は、積層鋼板にて形成される。ステータ32の下部には、回路基板33が固定される。回路基板33に挿入された図示省略のピンにコイル322からの引出線が取り付けられることにより、ステータ32と回路基板33とが電気的に接続される。コイル322の引出線は、直接回路基板に接続されても良い。これにより、スラストプレート42の上側と下側の潤滑油46の内圧の差を低減できる。モータ11の駆動時には、ロータマグネット22とステータ32との間にて回転力が発生する。
【0017】
回路基板33の上面には、環状の磁性部材331が配置される。磁性部材331は、ロータマグネット22の下方に位置する。また、モータ11の静止時に、軸方向において、ステータ32の磁気中心の位置が、ロータマグネット22の磁気中心の位置よりも下方に位置する。ファン1では、ロータマグネット22とステータ32との間およびロータマグネット22と磁性部材331との間にて、ロータマグネット22を下方に吸引する磁気吸引力が生じる。これにより、ファン1の回転時に、インペラ12が、静止部3に対して浮上する力を低減することができる。
【0018】
軸受機構4は、シャフト41と、環状のスラストプレート42と、軸受部44と、キャップ部材であるスラストキャップ45と、潤滑油46と、を有する。シャフト41の上部には、金属にて形成されたブッシング25を介してインペラ12の天面部123に間接的に固定される。スラストプレート42は、シャフト41の下部に固定される、軸受部44と軸方向に対向するスラスト部である。スラストプレート42は、シャフト41の下端から径方向外方に広がる。軸受部44は、ステータ32の径方向内側に配置される。なお、シャフト41およびスラストプレート42は、回転部2の一部でもある。軸受部44およびスラストキャップ45は、静止部3の一部でもある。以下の他の形態においても同様である。
【0019】
図2は、軸受機構4の下部近傍を拡大して示す断面図である。スラストプレート42の内周面には、軸方向に延びる溝部421が設けられ、溝部421とシャフト41の外周面411との間にて、連通孔421aが構成される。これにより、スラストプレート42の上側と下側の潤滑油46の内圧の差を低減できる。図3に示すように、スラストプレート42の上面は、外縁部に位置する傾斜面422aを有する。傾斜面422aは、径方向外方に向かって下方へと傾斜する。スラストプレート42の上面のうち、傾斜面422aの径方向内側に位置する面は、中心軸J1に垂直な、シャフト41を囲む環状の面である。以下、当該面を「上環状面422」という。スラストプレート42の下面の外縁部には、径方向外方に向かって上方へと傾斜する傾斜面423aが設けられる。スラストプレート42の下面のうち傾斜面423aの径方向内側に位置する面は、中心軸J1に垂直な、環状の面である。以下、当該面を「下環状面423」という。
【0020】
図2に示す軸受部44は、ステンレス鋼やりん青銅等の金属により形成された1つのスリーブである。軸受部44は、軸受保持部31の内周面に固定される。軸受部44には、シャフト41が挿入される。軸受部44は、内周面441の下部から、下方に向かって拡径する第1段差部442と、第1段差部442と軸受部44の下端部444との間にて下方に向かって拡径する第2段差部443と、を有する。スラストキャップ45は、下端部444の内側に配置され、スラストキャップ45の外周面は、下端部444の内周面に固定される。スラストキャップ45は軸受部44の下部を閉塞する。スラストキャップ45の上面の外縁部は、第2段差部443の下面443a、すなわち、法線が下方を向く面に軸方向に当接する。スラストプレート42は、第1段差部442と第2段差部443との間に配置される。
【0021】
軸受機構4では、軸受部44の内周面441とシャフト41の外周面411との間にラジアル間隙51が構成される。スラストプレート42の上環状面422と上環状面422に軸方向に対向する第1段差部442の下面442a、すなわち、法線が軸方向下方を向く面との間に間隙52が構成される。以下、間隙52を「第1下部スラスト間隙52」という。スラストプレート42の下環状面423とスラストキャップ45の上面451とが軸方向に対向し、これらの面の間に間隙53が構成される。以下、間隙53を「第2下部スラスト間隙53」という。第1下部スラスト間隙52および第2下部スラスト間隙53の軸方向における幅の和は、10μm以上40μm以下である。スラストプレート42の外周面と軸受部44の第1段差部442を構成する内周面との間に間隙54が構成される。以下、間隙54を「側部間隙54」という。
【0022】
図4は、軸受部44の上部近傍を拡大して示す図である。軸受部44の内周面441の上部は、第1傾斜面441aと、第2傾斜面441bと、を有する。第1傾斜面441aは、軸受部44の上面から下方に向かって径方向内方へと傾斜する。換言すれば、第1傾斜面441aは、直径が上方に向かって漸次増大する。第2傾斜面441bは、第1傾斜面441aの下端から下方に向かって径方向内方へと傾斜する。第1傾斜面441aと中心軸J1とのなす角は、第2傾斜面441bと中心軸J1とのなす角よりも大きい。第1傾斜面441aと第2傾斜面441bとの境界は、第1傾斜面441aの上端とシャフト41の外周面411との間の径方向中間位置よりも径方向内側に位置する。
【0023】
第1傾斜面441aとシャフト41の外周面411との間には、上方に向かって径方向の幅が漸次増大する1つのシール間隙55が構成される。シール間隙55は、中心軸J1を中心とする環状である。シール間隙55では、毛管現象を利用して潤滑油46を保持するシール部55aが構成される。また、シール間隙55は、多くの潤滑油46を保持するオイルバッファとしての役割を果たす。モータ11では、シール間隙55、図2に示すラジアル間隙51、第1下部スラスト間隙52、側部間隙54、および、第2下部スラスト間隙53が互いに繋がった1つの袋構造5をなし、袋構造5に潤滑油46が連続して存在する。袋構造5では、図4に示すシール間隙55のみに潤滑油46の界面が形成される。
【0024】
シャフト41の上部に固定されたブッシング25の下面と軸受部44の上面との間には径方向に広がる間隙501が構成される。ブッシング25の外周面と軸受保持部31の内周面との間には、軸方向に広がる間隙502が構成される。シール部55aは、間隙501,502を介して外部空間に連絡する。ここでの外部空間とは、図1のステータ32の上方の空間を指す。間隙501,502が設けられることにより、シール部55aから気化した潤滑油を含む空気が、軸受機構4の外部へと移動することが抑制される。その結果、軸受機構4内の潤滑油46の蒸発を抑制することができる。
【0025】
図5は軸受部44の縦断面図である。軸受部44の内周面441の上部および下部には、ヘリングボーン形状の第1ラジアル動圧溝列711および第2ラジアル動圧溝列712が設けられる。なお、軸受部44の外周面に設けられた微小凹部は、軸方向において、第1ラジアル動圧溝列711および第2ラジアル動圧溝列712の間に位置する。図2に示すラジアル間隙51の上部では、第1ラジアル動圧溝列711により、潤滑油46に対してラジアル方向に流体動圧を発生する上ラジアル動圧軸受部681が構成される。ラジアル間隙51の下部では、第2ラジアル動圧溝列712により、下ラジアル動圧軸受部682が構成される。以下、上ラジアル動圧軸受部681および下ラジアル動圧軸受部682をまとめて「ラジアル動圧軸受部68」という。軸方向において、ラジアル動圧軸受部68は、図1の2つのバランス修正部124a,125の間に位置する。また、径方向において、上ラジアル動圧軸受部681は、モータ11およびインペラ12の重心と重なる。
【0026】
図6は軸受部44の底面図である。第1段差部442の下面442aには、ヘリングボーン形状の第1スラスト動圧溝列721が設けられる。図7は、スラストキャップ45の平面図である。スラストキャップ45の上面451、すなわち、図2の袋構造5の底部の上面には、ヘリングボーン形状の第2スラスト動圧溝列722が設けられる。図2に示す第1下部スラスト間隙52において、第1スラスト動圧溝列721により潤滑油46に対してスラスト方向(アキシャル方向)の流体動圧を発生する第1下スラスト動圧軸受部691が構成される。換言すれば、上向きスラスト動圧軸受面であるスラストプレート42の上環状面422と、下向きスラスト動圧軸受面である第1段差部442の下面442aとにより、第1下スラスト動圧軸受部691が構成される。また、第2下部スラスト間隙53において、第2スラスト動圧溝列722により第2下スラスト動圧軸受部692が構成される。
【0027】
モータ11の駆動時には、ラジアル動圧軸受部68によりシャフト41がラジアル方向に支持される。第1下スラスト動圧軸受部691および第2下スラスト動圧軸受部692により、袋構造5の底部の上方に存在するスラストプレート42がスラスト方向に支持される。その結果、図1の回転部2およびインペラ12が静止部3に対して回転可能に支持される。モータ11の駆動時には、潤滑油46が、図2に示す第1下部スラスト間隙52、側部間隙54、第2下部スラスト間隙53および連通孔421aを循環する。また、図3に示すように、スラストプレート42の上環状面422の外縁部に、傾斜面422aが設けられるため、シャフト41が傾いた場合に、スラストプレート42が軸受部44の第1段差部442の下面442aに強く接触することが防止される。
【0028】
図5に示すように、第2傾斜面441bの下部には、第1ラジアル動圧溝列711の一部が存在する。ファン1の駆動時に、図4に示すシャフト41が僅かに傾斜すると、シャフト41の外周面411における第2傾斜面441bに近づく部位と、第2傾斜面441bの当該部位に対応する部位との間の間隙56において、第1ラジアル動圧溝列711による流体動圧が発生する。その結果、シャフト41が第2傾斜面441bにより支持される。このように、回転部2の回転時にシャフト41が傾斜した場合、シール間隙55の下側に隣接した間隙56において、シャフト41の外周面411に第2傾斜面441bが沿うことにより、シャフト41が軸受部44の上部に強く接触することが防止される。
【0029】
図8は、ラジアル間隙51の径方向の幅を3μmとした場合におけるファン1に発生する振動のシミュレーション結果である。横軸に振動の周波数を示し、縦軸に振動の各周波数成分の振幅を示している。図9ないし図11は、ラジアル間隙51を4μm、5μm、6μmとした場合におけるファン1に発生する振動のシミュレーション結果である。図12は、玉軸受を有するモータが搭載された比較例のファンに発生する振動のシミュレーション結果である。
【0030】
図12の曲線90に示すように、玉軸受を有するファンに発生する振動では、750Hz〜1250Hzの範囲に複数のピークが存在する。図12では、右側のピークから順に符号901〜904を付している。これに対し、ラジアル間隙の幅が3μmおよび4μmの軸受機構4では、図8および図9に示すように、図12のピーク901〜904よりも、これらに対応するピーク911〜914が低いことが判る。さらに、ラジアル間隙51の幅が5μmおよび6μmの軸受機構4では、図10および図11に示すように、図12の右側および左側に位置する2つのピーク901,904に対応する位置において、ピークが存在しないことが判る。また、残りの2つのピーク902,903よりも、これらに対応するピーク912,913の高さが、半分以下であることが判る。
【0031】
以上のように、ファン1では、シャフト41と軸受部44との間の潤滑油46による、いわゆる、ダンパー効果により、玉軸受が用いられる従来のファンに比べて振動を低減することができる。特に、ラジアル間隙51の径方向の幅を5μm以上とすることにより、振動を十分に低減することができる。ラジアル間隙51の径方向の幅は、ラジアル間隙51にて十分に流体動圧を発生させるために20μm以下である。より好ましくは、ラジアル間隙51の幅は、5μm以上10μm以下である。
【0032】
以上、第1の実施形態に係るファン1について説明したが、ファン1に流体動圧軸受機構である軸受機構4が利用されることにより、ファン1の振動を低減することができる。その結果、ファン1の消費電力を抑えることができる。また、玉軸受が利用される場合に比べて、モータ11の製造コストを低減することができる。
【0033】
シール部が軸受部の上部および下部に設けられる流体動圧軸受機構の場合、シール部間に圧力差が生じることによる潤滑油46の漏出を防止するために、高度な設計が必要となる。これに対し、モータ11の軸受機構4は、シール部55aが1箇所のみである、いわゆる、フルフィル構造であるため、潤滑油46の漏出を容易に防止することができる。また、シール部55aにおける潤滑油46の液面の位置を一定に保つことができる。また、複数のシール部が設けられる場合に比べて、潤滑油46の蒸発を抑制できる。特に、シール部55aは、モータ11内部に設けられることから、ファン1の駆動時に、シール部55aがエアの流れに曝されることが防止される。その結果、潤滑油46の蒸発をより抑制できる。さらに、シール部55a内に異物が進入することも防止することができる。軸受機構4では、シャフト41の周囲にシール部55aが構成されるため、シャフト41から径方向外方に離間してシール部が構成される場合に比べて、遠心力によりシール部55aから潤滑油46が漏出することが防止される。
【0034】
第1下部スラスト間隙52および第2下部スラスト間隙53の軸方向における幅の和が、10μm以上40μm以下であることにより、潤滑油46によるダンパー効果を確保しつつ流体動圧を発生させることができる。
【0035】
軸受部44の内周面441に第1ラジアル動圧溝列711の一部が存在する第2傾斜面441bが設けられることにより、ラジアル間隙51を広くしても、シャフト41を十分に支持することができる。その結果、ファン1が高速にて回転したり、高温状態にて回転する場合であっても、軸受剛性の低下を防止することができる。
【0036】
モータ11は3相モータであることから、モータ11を高速にて回転させることができる。その結果、ファン1が搭載される電子機器の他の装置に影響を与える周波数帯とモータ11に発生する振動の周波数とを容易にずらすことができる。
【0037】
モータ11では、磁性部材331が設けられることにより、ロータマグネット22に対して下方に向かう磁気吸引力が生じるため、ファン1の駆動時に、インペラ12が静止部3に対して浮き上がる力による第1下スラスト動圧軸受部691における軸受の損失の増大を抑制することができる。さらに、ステータ32の磁気中心がロータマグネット22の磁気中心よりも下方に位置することによりロータマグネット22に対して下方に向かう磁気吸引力が生じるため、第1下スラスト動圧軸受部691における軸受の損失の増大をより抑制することができる。
【0038】
軸方向において、ラジアル動圧軸受部68が、2つのバランス修正部124a,125の間に位置することにより、回転部2およびインペラ12を安定して回転することができ、振動をより低減することができる。また、ラジアル動圧軸受部68の軸方向の長さを短くすることができ、軸受部44を短くすることができる。その結果、軸受部44を精度よく製造することができる。好ましくは、軸受部44の軸方向の長さは、直径の4倍以下である。径方向において、上ラジアル動圧軸受部681が、モータ11およびインペラ12の重心と重なることにより、回転部2およびインペラ12をより安定して回転することができ、振動をより低減することができる。以下の実施形態においても同様である。
【0039】
図13は、他の例に係る軸受機構を示す断面図である。軸受機構4の軸受部44aは、金属の焼結体である筒形状のスリーブ47と、軸受ハウジング48と、を有する。スリーブ47には、潤滑油46が含浸されている。軸受ハウジング48は、スリーブ47の外周面を覆う。軸受ハウジング48は、スリーブ47の上側にて径方向内方に広がる環状上部481、を有する。スリーブ47と軸受ハウジング48との間に軸方向に延びる循環孔472が設けられる。潤滑油46は、循環孔472、環状上部481の下面とスリーブ47の上面との間の間隙、ラジアル間隙51および第1下部スラスト間隙52を潤滑油46が循環する。
【0040】
図14に示すように、環状上部481の内周面481aは、直径が上方に向かって漸次増大する傾斜面である。換言すれば、内周面481aは、下方に向かって径方向内方へと傾斜する。以下、内周面481aを「第1傾斜面481a」という。スリーブ47の内周面471の上部には、直径が上方に向かって漸次増大する傾斜面471aが設けられる。換言すれば、内周面471aは、下方に向かって径方向内方へと傾斜する。以下、傾斜面471aを「第2傾斜面471a」という。第1傾斜面481aと中心軸J1とのなす角は、第2傾斜面471aと中心軸J1とのなす角よりも大きい。軸受機構4の他の構造は、図2に示す軸受機構4と同様である。
【0041】
第1傾斜面481aと、シャフト41の外周面411との間には、上方に向かって径方向の幅が漸次増大するシール間隙55が構成される。シール間隙55の下側に隣接して、シャフト41の外周面411と第2傾斜面471aとの間に間隙56が構成される。シール間隙55では、毛管現象を利用して潤滑油46を保持するシール部55aが構成される。シール部55aが、シャフト41の周囲に構成されるため、遠心力によりシール部55aから潤滑油46の漏出が抑制される。
【0042】
第2傾斜面471aの下部には、図5と同様の第1ラジアル動圧溝列711の一部が存在する。ファン1の駆動時に、シャフト41が僅かに傾斜すると、シャフト41の外周面411に第2傾斜面471aが沿う状態となり、間隙56において、流体動圧が発生する。これにより、シャフト41が第2傾斜面471aにより支持され、シャフト41が軸受部44aの上部に強く接触することが防止される。
【0043】
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係るファンの断面図である。ファン1aは、図1に示すモータ11とは異なる構造のモータ11aと、支持部16と、を備える。ファン1aの他の構造は、第1の実施形態と同様である。以下、同様の構成には、同符号を付して説明する。支持部16は、略円柱状であり、モータ11aを下方から支持する。支持部16の下部は、ベース部15の孔部に固定される。
【0044】
図16は、モータ11aを示す図である。モータ11aは、3相モータである。モータ11aは、回転部2aと、静止部3aと、軸受機構4aと、を備える。回転部2aは、ロータマグネット22と、ロータホルダ23と、金属のヨーク部24と、を備える。
【0045】
ロータホルダ23は、中心軸J1を中心とする略円筒状の筒状部231、を備える。筒状部231は、ロータホルダ23の下面から下方に向かって延びる。ヨーク部24は、天板部241と、円筒部242と、を備える。天板部241には、下方に向かって延びる円筒状のバーリング部241aが設けられる。バーリング部241aにロータホルダ23が圧入されることにより、ヨーク部24とロータホルダ23とが固定される。円筒部242の内周面には、ロータマグネット22が固定される。図15に示すように、円筒部242は、カップ121の側壁部124の内周面に固定される。
【0046】
図16に示す静止部3aは、モータベース部34と、ステータ32と、を備える。モータベース部34は、図15の支持部16の上面上に配置される。ステータ32は、モータベース部34の中央に設けられた円筒状のホルダ341の外周面に固定される。
【0047】
軸受機構4aは、シャフト41と、スラストプレート42と、軸受部44aと、スラストキャップ45と、を備える。シャフト41の上部は、ロータホルダ23の中央の孔部に固定される。スラストプレート42は、シャフト41の下部に固定される。
【0048】
軸受部44aは、金属の焼結体である筒形状のスリーブ49と、軸受ハウジング40と、を有する。軸受ハウジング40の下部は、モータベース部34のホルダ341内に固定される。軸受ハウジング40の径方向外側には、筒状部231が位置する。軸受ハウジング40は、スリーブ49の外周面を覆う。スリーブ49は、シャフト41の外周を覆う。スラストキャップ45は、軸受ハウジング40の下部を閉塞する。軸受機構4aの下部において、スリーブ49は、スラストプレート42と軸方向に対向する。軸受機構4aの上部において、スリーブ49および軸受ハウジング40は、ロータホルダ23と軸方向に対向する。
【0049】
図15に示すように、軸方向において、軸受部44aの下端部、すなわち、軸受ハウジング40の下端部が、インペラ12の下端、すなわち、カップ121の側壁部124の下端よりも上方に位置する。
【0050】
図17に示すスラストプレート42の外縁部と軸受ハウジング40の内周面の下部との間、および、スラストプレート42の下面とスラストキャップ45の上面との間に、間隙57が構成される。以下、間隙57を「下部間隙57」という。スリーブ49の軸方向下側を向く下面492が、スラストプレート42の上環状面422と軸方向に対向し、これらの面の間に間隙581が構成される。以下、間隙581を「下部スラスト間隙581」という。スリーブ49の内周面491とシャフト41の外周面411との間に、ラジアル間隙51が構成される。ロータホルダ23では、軸方向下側を向く下面のうち、筒状部231の内側にて、シャフト41を囲む環状の面232が、軸方向上側を向くスリーブ49の上面493および軸受ハウジング40の上面401と軸方向に対向する。以下、面232を「ロータ環状面232」という。ロータ環状面232とスリーブ49の上面493および軸受ハウジング40の上面401との間に間隙582が構成される。以下、間隙582を「上部スラスト間隙582」という。軸受ハウジング40の外周面402の上部とロータホルダ23の筒状部231の内周面との間に間隙59が構成される。間隙59は、下方に向かうに従って幅が漸次増大する。以下、間隙59を「シール間隙59」と呼ぶ。
【0051】
モータ11aでは、シール間隙59、上部スラスト間隙582、ラジアル間隙51、下部スラスト間隙581および下部間隙57が互いに繋がった1つの袋構造5をなし、袋構造5に潤滑油46が連続して存在する。シール間隙59には、毛管現象を利用して潤滑油46を保持するシール部59aが構成される。潤滑油46の界面は、シール間隙59のみに形成される。以下の説明では、袋構造5の底部において、シャフト41から径方向外方に広がるスラストプレート42を「第1スラスト部42」という。シャフト41の上部から径方向外方へと広がるロータホルダ23を「第2スラスト部23」という。
【0052】
スリーブ49の下面492には、図6に示すスラスト動圧溝列721に類似のスラスト動圧溝列が構成されており、下部スラスト間隙581にてスラスト方向に流体動圧を発生する下スラスト動圧軸受部693が構成される。軸受ハウジング40の上面401には、図7に示すスラスト動圧溝列722に類似のスラスト動圧溝列が構成され、上部スラスト間隙582にて、潤滑油46の流体動圧を発生する上スラスト動圧軸受部694が構成される。換言すれば、上向きスラスト動圧軸受面であるスリーブ49の上面493と、下向きスラスト動圧軸受面であるロータ環状面232とにより、上スラスト動圧軸受部694が構成される。下スラスト動圧軸受部693および上スラスト動圧軸受部694により、回転部2aがスラスト方向に支持される。また、ラジアル間隙51では、第1の実施形態と同様に、ラジアル動圧軸受部68が構成され、シャフト41がラジアル方向に支持される。
【0053】
図18に示すように、スリーブ49の内周面491の上部には、上面から下方に向かって径方向内方に向かう傾斜面494が設けられる。傾斜面494には、ラジアル動圧軸受部68に設けられるラジアル動圧溝列の一部が存在する。ファン1aの駆動時に、シャフト41が傾斜しても、シャフト41の外周面411と傾斜面494との間の間隙56において、シャフト41の外周面411に傾斜面494が沿うことにより、流体動圧が発生し、シャフト41がスリーブ49の上部に接触することが防止される。
【0054】
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、軸受機構として流体動圧軸受機構が用いられることにより、ファン1aの振動を低減することができる。軸受機構4aは、フルフィル構造であるため、シール部間の圧力差の発生による潤滑油46の漏出を防止することができる。
【0055】
軸方向において、軸受部44aの下端がインペラ12の下端よりも上方に位置することから、モータ11aの重心がインペラ12の内側に位置し、インペラ12を安定して回転することができる。モータ11aが3相モータであることから、モータ11aの大きさを小さくしても、インペラ12を十分に回転することができる。第2の実施形態においても、ラジアル間隙51の径方向の幅は、ファン1の振動を十分に低減するために5μm以上であり、ラジアル間隙51にて十分に流体動圧を発生させるために20μm以下である。より好ましくは、ラジアル間隙51の幅は、5μm以上10μm以下である。以下の実施形態においても同様である。
【0056】
また、モータ11aの静止時に、軸方向において、ステータ32の磁気中心の位置が、ロータマグネット22の磁気中心の位置よりも下方に位置する。これにより、ファン1aの回転時に、インペラ12が、静止部3aに対して浮上する力を低減することができる。図17に示すモータ11aの場合、下スラスト動圧軸受部693における軸受の損失の増大を抑制することができる。
【0057】
図19は、他の例に係るモータ11aを示す断面図である。軸受機構4aは、金属にて形成された1つのスリーブである軸受部44b、を備える。軸受機構4aでは、第1スラスト部42が省略される。シャフト41の下端部412の径は、他の部位よりも僅かに大きい。下端部412は、軸受部44bの下面と軸方向に対向する。モータベース部34の上面には、ロータマグネット22と軸方向に対向する位置に環状の磁性部材331が設けられる。磁性部材331とロータマグネット22との間にて、ロータマグネット22を下方に吸引する磁気作用が生じる。軸受機構4aの他の構造は、図16の軸受機構4aと同様である。
【0058】
軸受部44bは、軸受部44bを上下方向に連通する連通孔445、を備える。軸受機構4aでは、スラスト動圧軸受部として軸受部44bの上面とロータ環状面232との間の上部スラスト間隙582に上スラスト動圧軸受部694のみが設けられる。連通孔445は、ラジアル間隙51の下部と上部スラスト間隙582とを連絡する。モータ11aの駆動時には、上部スラスト間隙582、ラジアル間隙51および連通孔445を潤滑油46が循環する。モータ11aでは、スラスト動圧軸受部694および磁性部材331とロータマグネット22との間の磁気作用により、回転部2aが静止部3aに対してスラスト方向に安定して支持される。
【0059】
図20は、モータ11aの他の例を示す断面図である。モータ11aでは、図16の第1スラスト部42の下環状面423、すなわち、軸方向下側を向く面とスラストキャップ45の上面451、すなわち、袋構造5の底面との間に下スラスト動圧軸受部695が構成される。軸受ハウジング40の軸方向上側を向く上面401と、第2スラスト部23のロータ環状面232との間に、上スラスト動圧軸受部694が構成される。下スラスト動圧軸受部695および上スラスト動圧軸受部694、並びに、磁性部材331とロータマグネット22との間の磁気作用により、回転部2aが静止部3aに対してスラスト方向に安定して支持される。
【0060】
図21は、モータ11aのさらに他の例を示す断面図である。モータ11aでは、第1スラスト部42の上環状面422と、スリーブ49の上環状面422に軸方向に対向する下面492との間の第1下部スラスト間隙52に第1下スラスト動圧軸受部691が構成される。下環状面423とスラストキャップ45の上面451との間の第2下部スラスト間隙53に第2下スラスト動圧軸受部692が構成される。第1下スラスト動圧軸受部691および第2下スラスト動圧軸受部692により、スラストプレート42がスラスト方向に支持される。
【0061】
図22は、モータ11aのさらに他の例を示す断面図である。軸受ハウジング40aが、一繋がりの部材である。軸受ハウジング40aは、スリーブ49の外周面を覆う略円筒状の側部403と、側部403の下部を閉塞する底部404と、を備える。図22では、図16に示す軸受機構4aと同様に、下部スラスト間隙581および上部スラスト間隙582にて下スラスト動圧軸受部693および上スラスト動圧軸受部694が構成される。
【0062】
なお、図20と同様に、第1スラスト部42の下側に下スラスト動圧軸受部695が構成され、第2スラスト部23の下側に上スラスト動圧軸受部694が構成されてもよい。図21と同様に、第1スラスト部42の上側および下側に第1下スラスト動圧軸受部691および第2下スラスト動圧軸受部692が構成されてもよい。
【0063】
(第3の実施形態)
図23は、第3の実施形態に係る遠心ファン1bの断面図である。以下、遠心ファンを単に「ファン」という。ファン1bは、モータ11bと、インペラ12aと、ハウジング13aと、を備える。以下の説明では、ファン1bの構成のうち、第1または第2の実施形態と同様の構成には、同符号を付して説明する。ハウジング13aは、ベース部131と、側壁部132と、カバー部133と、を備える。ベース部131は、モータ11bを支持する。側壁部132は、インペラ12aの外周を囲む。カバー部133は、インペラ12aの複数の翼122の軸方向上方に配置される。
【0064】
図24は、モータ11bを示す図である。モータ11bは、アウタロータ型の3相モータである。モータ11bは、回転部2bと、静止部3bと、軸受機構4bと、を備える。回転部2bは、ロータマグネット22と、ロータホルダ23aと、を備える。回転部2bは、軸受機構4bを介して、中心軸J1を中心に、静止部3bに対して回転可能に支持される。
【0065】
ロータホルダ23aは、天板部241と、筒状部231と、円筒部242と、を備える。天板部241は、中心軸J1を中心とする略円板状である。筒状部231および円筒部242はそれぞれ、中心軸J1を中心とする略円筒状である。筒状部231および円筒部242は、天板部241の下面から下方に向かって延びる。天板部241と、筒状部231と、円筒部242と、軸受機構4bの後述するシャフト41aとは、単一の部材である。筒状部231は、シャフト41aよりも径方向外側に位置する。円筒部242は、筒状部231よりも径方向外側に位置する。円筒部242の内周面には、ロータマグネット22が固定される。
【0066】
静止部3bは、略円筒状の軸受保持部31と、ステータ32と、回路基板33と、を備える。軸受保持部31の下部は、ベース部131の中央の孔部を規定する内周面に固定される。ステータ32は、ベース部131の上側にて、軸受保持部31の外周面に固定される。ステータ32は、ロータマグネット22の径方向内側に位置する。回路基板33は、ベース部131上に固定される。ステータ32と回路基板33とは、電気的に接続される。モータ11bの駆動時には、ロータマグネット22とステータ32との間にて回転力が発生する。
【0067】
モータ11bの静止時には、軸方向において、ステータ32の磁気中心の位置が、ロータマグネット22の磁気中心の位置よりも下方に位置する。これにより、ファン1bの回転時に、インペラ12aが、静止部3bに対して浮上する力を低減することができる。以下の実施形態においても同様である。
【0068】
ベース部131上には、環状の磁性部材331が配置される。磁性部材331は、ロータマグネット22の下方に位置する。ファン1bでは、ロータマグネット22とステータ32との間およびロータマグネット22と磁性部材331との間にて、ロータマグネット22を下方に吸引する磁気吸引力が生じる。これにより、ファン1bの回転時に、インペラ12aが、静止部3bに対して浮上する力をさらに低減することができる。以下の実施形態においても同様である。
【0069】
軸受機構4bは、シャフト41aと、スラストプレート42と、軸受部44aと、キャップ部材であるスラストキャップ45と、潤滑油46と、を有する。シャフト41aは、ロータホルダ23aの天板部241の下面から下方に向かって延びる。シャフト41aは、中心軸J1を中心とする略円筒状である。スラストプレート42は、シャフト41aの下部に固定される。スラストプレート42は、シャフト41aの下端から径方向外方に広がる。スラストプレート42は、軸受部44aと軸方向に対向するスラスト部である。
【0070】
軸受部44aは、ステータ32の径方向内側に配置される。軸受部44aは、筒形状のスリーブ49と、軸受ハウジング40と、を備える。スリーブ49は、金属の焼結体である。軸受ハウジング40の下部は、軸受保持部31内に固定される。軸受ハウジング40の径方向外側には、筒状部231が位置する。軸受ハウジング40は、スリーブ49の外周面を覆う。スリーブ49は、シャフト41aの外周を覆う。スラストキャップ45は、軸受ハウジング40の下部を閉塞する。軸受機構4bの下部において、スリーブ49は、スラストプレート42と軸方向に対向する。軸受機構4bの上部において、スリーブ49および軸受ハウジング40は、ロータホルダ23aの天板部241と軸方向に対向する。
【0071】
図25に示すように、スラストプレート42の外縁部と軸受ハウジング40の内周面の下部との間、および、スラストプレート42の下面とスラストキャップ45の上面との間に、下部間隙57が構成される。スリーブ49の軸方向下側を向く下面492は、スラストプレート42の上環状面422と軸方向に対向し、これらの面の間に下部スラスト間隙581が構成される。スリーブ49の内周面491とシャフト41aの外周面411との間に、ラジアル間隙51が構成される。ロータホルダ23aでは、軸方向下側を向く下面のうち、筒状部231の内側にて、シャフト41aを囲む環状のロータ環状面232が、軸方向上側を向くスリーブ49の上面493および軸受ハウジング40の上面401と軸方向に対向する。ロータ環状面232とスリーブ49の上面493および軸受ハウジング40の上面401との間に上部スラスト間隙582が構成される。軸受ハウジング40の外周面402の上部とロータホルダ23aの筒状部231の内周面との間にシール間隙59が構成される。シール間隙59は、下方に向かうに従って幅が漸次増大する。
【0072】
モータ11bでは、シール間隙59、上部スラスト間隙582、ラジアル間隙51、下部スラスト間隙581および下部間隙57が互いに繋がった1つの袋構造5をなし、袋構造5に潤滑油46が連続して存在する。シール間隙59には、毛管現象を利用して潤滑油46を保持するシール部59aが構成される。潤滑油46の界面は、シール間隙59のみに形成される。
【0073】
スリーブ49の下面492には、図6に示すスラスト動圧溝列721に類似のスラスト動圧溝列が構成されており、下部スラスト間隙581にてスラスト方向に流体動圧を発生する下スラスト動圧軸受部693が構成される。スリーブ49の上面493には、図7に示すスラスト動圧溝列722に類似のスラスト動圧溝列が構成され、上部スラスト間隙582にて、潤滑油46の流体動圧を発生する上スラスト動圧軸受部694が構成される。下スラスト動圧軸受部693および上スラスト動圧軸受部694により、回転部2bがスラスト方向に支持される。また、ラジアル間隙51では、第1の実施形態と同様に、ラジアル動圧軸受部68が構成され、シャフト41aがラジアル方向に支持される。スリーブ49の内周面491の上部には、図18に示す傾斜面494と同様の傾斜面が設けられてもよい。
【0074】
第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、軸受機構として流体動圧軸受機構が用いられることにより、ファン1bの振動を低減することができる。軸受機構4bは、フルフィル構造であるため、シール部間の圧力差の発生による潤滑油46の漏出を防止することができる。以下の実施形態においても同様である。
【0075】
図23に示すインペラ12aは樹脂製であり、略円筒状の固定部124aと、複数の翼122と、複数の翼支持部126と、を有する。固定部124aは、ロータホルダ23aの円筒部242の外周面に固定される。固定部124aは、モータ11bの回転部2bの一部を兼ねている。一方、ロータハブ23aの天板部241および円筒部242をインペラ12aの一部と捉えると、天板部241は、略有蓋円筒状のカップの天面部となる。天面部は、中心軸J1に垂直に広がる。また、円筒部242と固定部124aとを合わせた構造は、カップの側壁部となる。当該側壁部は天板部241の外縁部から下方に延びる。
【0076】
複数の翼支持部126はそれぞれ、中心軸J1を中心として固定部124aの外周面から径方向外方に延びる。各翼支持部126の先端には、翼122が支持される。複数の翼122はそれぞれ、中心軸J1を中心として複数の翼支持部126の先端から径方向外方に延びる。固定部124a、複数の翼支持部126および複数の翼122は、樹脂の射出成型により一繋がりの部材として構成される。
【0077】
ファン1bでは、モータ11bによりインペラ12aが中心軸J1を中心として回転されることにより、上方の開口から側方に向かうエアの流れが発生する。
【0078】
軸方向において、複数の翼122の上端は、ロータホルダ23aの天板部241の下面よりも下側に位置する。天板部241の下面は、上スラスト動圧軸受部694の下向きスラスト動圧軸受面である。これにより、インペラ12aの重心が軸方向下側に位置する。このため、インペラ12aを安定して回転させることができる。その結果、ファン1bの振動を低減することができる。また、軸方向において、ハウジング13aのカバー部133の下端も、ロータホルダ23aの天板部241の下面よりも下側に位置する。これにより、複数の翼122がさらに軸方向下側に位置し、インペラ12aの重心もさらに軸方向下側に位置する。その結果、ファン1bの振動をより一層低減することができる。
【0079】
複数の翼122の上端は、軸方向において、上ラジアル動圧軸受部681の圧力中心よりも下側に位置する。上ラジアル動圧軸受部681の圧力中心とは、回転部2bの回転時における上ラジアル動圧軸受部681の圧力分布の軸方向中心である。これにより、インペラ12aの重心が軸方向下側に位置する。その結果、ファン1bの振動を低減することができる。上記条件に代えて、複数の翼122の上端を、軸方向において、上ラジアル動圧軸受部681の中心よりも下側に位置させてもよい。上ラジアル動圧軸受部681の中心とは、第1ラジアル動圧溝列711(図5参照)の軸方向上端と軸方向下端との間の領域の軸方向中心である。これによっても、インペラ12aの重心が軸方向下側に位置する。その結果、ファン1bの振動を低減することができる。
【0080】
ファン1bでは、ロータホルダ23aの天板部241の上面に穴部が設けられ、当該穴部に、図1に示す錘129と類似の錘が配置されてもよい。ロータホルダ23aの円筒部242の下端またはインペラ12aの固定部124aの下端にも錘が配置されてもよい。これらの錘が配置されることにより、インペラ12aおよびモータ11bの回転部2bのアンバランスを低減することができる。その結果、インペラ12aおよびモータ11bの重心の中心軸J1からのずれによるファン1bの振動を抑制することができる。また、ラジアル動圧軸受部68が、2つの錘が配置される部位の軸方向の間に位置することにより、回転部2bおよびインペラ12aを安定して回転することができ、振動をより抑制することができる。以下の実施形態においても同様である。
【0081】
図26は、他の例に係るファン1cを示す図である。ファン1cでは、ハウジング13aの形状、および、インペラ12aの形状が、図23に示すファン1bと異なる。図26に示すように、軸方向において、複数の翼122の上端は、ロータホルダ23aの天板部241の下面よりも下側に位置する。これにより、インペラ12aの重心が軸方向下側に位置する。その結果、ファン1bと同様に、ファン1cの振動を低減することができる。また、軸方向において、ハウジング13aのカバー部133の下端も、ロータホルダ23aの天板部241の下面よりも下側に位置する。これにより、インペラ12aの重心は、さらに軸方向下側に位置する。その結果、ファン1cの振動をより一層低減することができる。
【0082】
複数の翼122の上端は、軸方向において、上ラジアル動圧軸受部681の圧力中心よりも下側に位置する。これにより、インペラ12aの重心が軸方向下側に位置する。その結果、ファン1cの振動を低減することができる。上記条件に代えて、複数の翼122の上端を、軸方向において、上ラジアル動圧軸受部681の中心よりも下側に位置させてもよい。これによっても、インペラ12aの重心が軸方向下側に位置する。その結果、ファン1cの振動を低減することができる。
【0083】
複数の翼122の下端は、軸方向において、スラストプレート42の上環状面422よりも上側に位置する。上環状面422は、下スラスト動圧軸受部693の上向きスラスト動圧軸受面である。これにより、インペラ12aの重心が、シャフト41aの上端と下端との間に位置する。その結果、インペラ12aを安定して回転させることができ、ファン1cの振動を低減することができる。
【0084】
図27は、他の例に係るファン1dを示す図である。ファン1dでは、ハウジング13aの形状、および、インペラ12aの形状が、図23に示すファン1bと異なる。図27に示すように、複数の翼122の下端は、軸方向において、スラストプレート42の上環状面422よりも上側に位置する。これにより、インペラ12aの重心が、シャフト41aの上端と下端との間に位置する。その結果、ファン1dの振動を低減することができる。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0086】
第2の実施形態では、スリーブ49の上面493にスラスト動圧溝列が設けられることにより、スリーブ49の上面493と第2スラスト部23の下面との間にてスラスト動圧軸受部が構成されてもよい。第3の実施形態では、軸受ハウジング40の上面401にスラスト動圧溝列が設けられることにより、軸受ハウジング40の上面401とロータホルダ23aの下面との間にてスラスト動圧軸受部が構成されてもよい。
【0087】
第1の実施形態では、第1ラジアル動圧溝列711の上部が、他の部位と独立して第2傾斜面441bに設けられてもよい。軸受部44では、必ずしも、第2傾斜面441bに動圧溝が存在しなくてもよい。この場合であっても、第2傾斜面441bが設けられることにより、シャフト41を支持する面積を確保することができるため、軸受剛性をある程度向上することができる。第2および第3の実施形態に係るファン1のスリーブ49においても同様である。
【0088】
上記実施形態では、第1および第2ラジアル動圧溝列711,712は、シャフト41の外周面411に設けられてもよい。第1スラスト部(スラストプレート)42の上面および下面にスラスト動圧溝列721,722が設けられてもよい。軸受機構4では、必ずしも、連通孔421aが設けられる必要はない。
【0089】
第1の実施形態では、軸受部44の上部近傍において、シャフト41の外周面411に縮径する部位を設けることにより、当該部位と軸受部44の内周面441との間にシール部が構成されてもよい。シャフト41の上部は、直接的にインペラ12に固定されてもよい。シャフト41は、2以上の部材を介してインペラ12に固定されてもよい。シール部として、シール間隙に設けられた動圧溝により流体動圧を発生するビスコシールが用いられてもよい。第2および第3の実施形態においても同様である。
【0090】
第1の実施形態では、インペラ12の天面部123のバランス修正部125に、金属部材が錘として設けられてもよい。また、貫通孔や切欠状の部位がバランス修正部として設けられてもよい。側壁部124のバランス修正部124aにおいても同様である。天面部123および側壁部124の下端部124aの一方にのみ錘が設けられてもよい。また、天面部123や側壁部124の一部を除去することにより回転部2のアンバランスが解消されてもよい。第2および第3の実施形態においても同様である。
【0091】
モータ11,11a〜11dの静止時に、軸方向において、ステータ32の磁気中心とロータマグネット22の磁気中心とが一致してもよい。これにより、モータ11,11a〜11dの振動をより低減することができる。
【0092】
モータ11,11aは、遠心ファン等の他のファンのモータとして利用されてよい。モータ11b〜11dは、軸流ファン等の他のファンのモータとして利用されてよい。モータ11,11a〜11dが利用されるファンは、サーバのようにハードディスクが搭載される機器に最適である。サーバでは、ハードディスクに近接した位置にファンが搭載される。このため、振動が大きなファンが搭載された場合にハードディスクの読み書きエラーが生じやすい。しかしながら、モータ11,11a〜11dが利用されるファンがサーバに搭載されれば、ハードディスクの読み書きエラーが生じくい。
【0093】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、エアの流れを発生するファンに利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1,1a〜1d ファン
2,2a,2b 回転部
3,3a,3b 静止部
11,11a,11b モータ
12,12a インペラ
22 ロータマグネット
23,23a ロータホルダ
32 ステータ
40,48 軸受ハウジング
41,41a シャフト
42 スラストプレート
44,44a,44b 軸受部
45 スラストキャップ
46 潤滑油
47,49 スリーブ
51 ラジアル間隙
52 第1下部スラスト間隙
53 第2下部スラスト間隙
55,59 シール間隙
68 ラジアル動圧軸受部
122 翼
133 カバー部
231 筒状部
232 ロータ環状面
411 (シャフトの)外周面
422 上環状面
422a,423a 傾斜面
423 下環状面
441 (軸受部の)内周面
441b,471a 第2傾斜面
471,491 (スリーブの)内周面
481 環状上部
581 下部スラスト間隙
582 上部スラスト間隙
691 第1下スラスト動圧軸受部
692 第2下スラスト動圧軸受部
693,695 下スラスト動圧軸受部
694 上スラスト動圧軸受部
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
複数の翼を有し、前記モータにより中心軸を中心として回転してエアの流れを発生するインペラと、
を備え、
前記モータが、
静止部と、
前記静止部により回転可能に支持される回転部と、
を備え、
前記静止部が、
ステータと、
前記ステータの内側に配置される軸受部と、
を備え、
前記回転部が、
前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットと、
上部が直接的または1つ以上の部材を介して前記インペラに固定され、前記軸受部に挿入されるシャフトと、
前記シャフトを囲む環状面を有し、前記軸受部と軸方向に対向するスラスト部と、
を備え、
前記軸受部の内周面と前記シャフトの外周面との間のラジアル間隙に潤滑油の流体動圧を発生するラジアル動圧軸受部が構成され、前記環状面と前記軸受部の前記環状面に軸方向に対向する面との間のスラスト間隙に前記潤滑油の流体動圧を発生するスラスト動圧軸受部が構成され、
前記静止部と前記回転部との間において前記中心軸を中心とする環状に構成される1つのシール間隙、前記ラジアル間隙および前記スラスト間隙が互いに繋がった1つの袋構造をなし、前記袋構造に前記潤滑油が連続して存在し、前記潤滑油の界面が前記シール間隙のみに形成されるファン。
【請求項2】
前記軸受部が、
筒形状の部材であるスリーブと、
前記スリーブの外周面を覆う軸受ハウジングと、
を備える、請求項1に記載のファン。
【請求項3】
前記静止部が、前記軸受ハウジングの下端を閉塞するキャップ部材、をさらに備える、請求項2に記載のファン。
【請求項4】
前記軸受ハウジングが、一繋がりの部材であり、
前記スリーブの前記外周面を覆う略円筒状の側部と、
前記側部の下部を閉塞する底部と、
を備える、請求項2に記載のファン。
【請求項5】
前記スラスト部が、前記袋構造の底部において前記シャフトから径方向外方に拡がるスラストプレートであり、
前記スラストプレートの上面が、前記環状面である上向きスラスト動圧軸受面を備え、
前記軸受部が、軸方向下側を向く下向きスラスト動圧軸受面を備え、
前記上向きスラスト動圧軸受面と前記下向きスラスト動圧軸受面とが軸方向に対向し、
前記上向きスラスト動圧軸受面と前記下向きスラスト動圧軸受面とにより、前記スラスト動圧軸受部が構成される、請求項1ないし4のいずれかに記載のファン。
【請求項6】
軸方向において、前記複数の翼の下端が、前記上向きスラスト動圧軸受面よりも上側に位置する、請求項5に記載のファン。
【請求項7】
前記スラストプレートの下面が他の環状面を備え、
前記他の環状面が前記袋構造の底面と対向し、他のスラスト動圧軸受部が構成される、請求項5または6記載のファン。
【請求項8】
前記軸受部の内周面の上部と前記シャフトの外周面との間に、上方に向かうに従って径方向の幅が漸次増大する前記シール間隙が構成される、請求項5ないし7のいずれかに記載のファン。
【請求項9】
前記回転部が、前記中心軸を中心として下方へ延びて前記軸受部の外周面と径方向に対向する筒状部、を備え、
前記軸受部の外周面の上部と前記筒状部の内周面との間に、下方に向かうに従って径方向の幅が漸次増大する前記シール間隙が構成される、請求項5ないし7のいずれかに記載のファン。
【請求項10】
前記回転部が、前記シャフトの上部から径方向外方へと広がる他のスラスト部、をさらに備え、
前記軸受部が軸方向上側を向く面を備え、
前記他のスラスト部が前記軸方向上側を向く面と軸方向に対向する他の環状面を備え、
前記軸方向上側を向く面と前記他の環状面により他のスラスト動圧軸受部が構成される、請求項5または6に記載のファン。
【請求項11】
軸方向において、前記複数の翼の上端が、前記他の環状面よりも下側に位置する、請求項10に記載のファン。
【請求項12】
前記複数の翼の軸方向上方に配置されるカバー部をさらに備え、
軸方向において、前記カバー部の下端が、前記他の環状面よりも下側に位置する、請求項11に記載のファン。
【請求項13】
前記回転部が、前記中心軸を中心として下方へ延びて前記軸受部の外周面と径方向に対向する筒状部、を備え、
前記軸受部の外周面の上部と前記筒状部の内周面との間に、下方に向かうに従って径方向の幅が漸次増大する前記シール間隙が構成される、請求項10ないし12のいずれかに記載のファン。
【請求項14】
前記スラスト部が、前記シャフトの上部から径方向外方へと広がり、
前記軸受部が、軸方向上側を向く上向きスラスト動圧軸受面を備え、
前記環状面が、前記上向きスラスト動圧軸受面と軸方向に対向する下向きスラスト動圧軸受面であり、
前記上向きスラスト動圧軸受面と前記下向きスラスト動圧軸受面とにより、前記スラスト動圧軸受部が構成される、請求項1ないし4のいずれかに記載のファン。
【請求項15】
軸方向において、前記複数の翼の上端が、前記下向きスラスト動圧軸受面よりも下側に位置する、請求項14に記載のファン。
【請求項16】
前記複数の翼の軸方向上方に配置されるカバー部をさらに備え、
軸方向において、前記カバー部の下端が、前記下向きスラスト動圧軸受面よりも下側に位置する、請求項15に記載のファン。
【請求項17】
前記回転部が、前記中心軸を中心として下方へ延びて前記軸受部の外周面と径方向に対向する筒状部、を備え、
前記軸受部の外周面の上部と前記筒状部の内周面との間に、下方に向かうに従って径方向の幅が漸次増大する前記シール間隙が構成される、請求項14ないし16のいずれかに記載のファン。
【請求項18】
前記ラジアル動圧軸受部が、
上ラジアル動圧軸受部と、
前記上ラジアル動圧軸受部から下方に離間して位置する下ラジアル動圧軸受部と、
を備え、
軸方向において、前記複数の翼の上端が、前記回転部の回転時における前記上ラジアル動圧軸受部の圧力中心よりも下側に位置する、請求項1ないし17のいずれかに記載のファン。
【請求項19】
前記ラジアル動圧軸受部が、
上ラジアル動圧軸受部と、
前記上ラジアル動圧軸受部から下方に離間して位置する下ラジアル動圧軸受部と、
を備え、
軸方向において、前記複数の翼の上端が、前記上ラジアル動圧軸受部の中心よりも下側に位置する、請求項1ないし17のいずれかに記載のファン。
【請求項20】
前記静止部が、前記ロータマグネットの下方に位置する磁性部材、をさらに備え、
前記磁性部材と、前記ロータマグネットとの間にて前記回転部を下方に吸引する磁気吸引力が発生する、請求項1ないし19のいずれかに記載のファン。
【請求項21】
前記モータの静止時に、軸方向において、前記ロータマグネットの磁気中心の位置が、前記ステータの磁気中心の位置と一致する、または、上方に位置する、請求項1ないし20のいずれかに記載のファン。
【請求項22】
前記インペラが、
前記中心軸に垂直に広がる天面部と、
前記天面部の外縁部から下方に延びる側壁部と、
を備え、
前記側壁部の下端部および前記天面部の少なくともいずれか一方に錘が存在する、請求項1ないし21のいずれかに記載のファン。
【請求項23】
軸方向において、前記ラジアル動圧軸受部が、前記側壁部の前記下端部と前記天面部との間に位置する、請求項22に記載のファン。
【請求項24】
前記モータが3相モータである、請求項1ないし23のいずれかに記載のファン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−32769(P2013−32769A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91079(P2012−91079)
【出願日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】