説明

フィスカルデータ記憶装置およびフィスカルデータ格納方法

【課題】フィスカルメモリの一部の盗難等によってフィスカルデータが外部へ流出し、改ざんされるリスクを軽減する。
【解決手段】フィスカルデータを2個以上の物理的に分離されたフィスカルメモリ100,110に記憶し、フィスカルデータを各フィスカルメモリ100,110に格納するに際して、CPLD11により予め定めた基準に基づいて2以上に分離し、2以上に分離されたフィスカルデータを、2個以上に分離されたフィスカルメモリ100,110に分けて格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品販売の会計処理に基づいて得られるフィスカルデータを記憶手段に分離格納することで、該フィスカルデータの外部へ流出するリスクを分散するフィスカルデータ記憶装置およびフィスカルデータ格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売業などで用いられる会計用のプリンタには、フィスカルメモリ基板を有し、フィスカルメモリ基板にはフィスカルメモリが実装されているものがある。このフィスカルメモリに記憶されているフィスカルデータを改ざんできないようにするために、フィスカルメモリ基板がフィスカルユニットのカバー部材から簡単に取り外しできない構成とすることが、法律(フィスカル法)で要求されている。このため、フィスカルメモリは樹脂で覆って固定することが要求されている。
【0003】
従来、この種のプリンタでは、CPU(中央処理装置)、フィスカルメモリ、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、コネクタなどが、1枚の基板上に実装されているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−76030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、フィスカルデータを、1個のフィスカルメモリに格納する方式の場合、当該フィスカルメモリが盗難に遭った場合には、当該フィスカルメモリに格納されたフィスカルデータが外部に流出するという問題があった。
【0005】
特許文献1に記載されている構造では、1枚の基板上に必要とするすべての部品が実装されている。このため、フィスカルメモリに記録されているフィスカルデータが改ざんされないように、フィスカルメモリを他の部品とは別にして保護することが求められる。
【0006】
本発明は上記課題を解消するために、フィスカルメモリの一部の盗難等によってフィスカルデータが外部へ流出し、改ざんされるリスクを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明は、商品販売における会計処理に基づくフィスカルデータを所定の記憶手段に格納するフィスカルデータ記憶装置であって、前記フィスカルデータを記憶する2個以上の物理的に分離された記憶手段と、前記フィスカルデータを前記各記憶手段に格納するに際して、予め定めた基準に基づいて2以上に分離するデータ分離手段と、2以上に分離された前記フィスカルデータを、前記2個以上に分離された記憶手段に分けて格納するデータ格納手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、予め定めた基準に基づいて2以上に分離されたフィスカルデータを、2以上に分離された記憶手段に別々に格納することができる。従って、一方の記憶手段のフィスカルデータが盗難によって外部へ流出することがあっても、他方の記憶手段に格納されたフィスカルデータが得られない限り、そのフィスカルデータの全体を入手することができない。このため、フィスカルデータが改ざんされるのを防止することができる。
【0009】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、前記2個以上に分離された記憶手段の少なくとも1個は、フィスカルデータを記憶するフィスカルメモリであることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、基板上に設けられた複数の記憶手段のうち、いずれの記憶手段がフィスカルデータを格納したフィスカルメモリであるかを、第3者が容易に判定できないようにすることができる。
【0011】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、前記2個以上に分離された記憶手段の内の1個のフィスカルメモリ以外の記憶手段は、前記フィスカルメモリとは異なる形状又はサイズであることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、複数のフィスカルメモリの形状やサイズが異なることによって、フィスカルデータを格納したフィスカルメモリがどれか、または幾つあるかを、容易に特定できないようにすることができる。
【0013】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、商品販売における会計処理に基づくフィスカルデータを所定の記憶手段に格納するフィスカルデータ格納方法であって、前記フィスカルデータを前記各記憶手段に格納するに際して、予め定めた基準に基づいて2以上に分離するデータ分離ステップと、2以上に分離された前記フィスカルデータを、2個以上の物理的に分離された記憶手段に分けて格納するデータ格納ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
上記方法によれば、2以上に分離されたフィスカルデータを、予め定めた基準に基づいて2以上に分離された記憶手段に別々に格納するため、一方の記憶手段のフィスカルデータが盗難によって外部へ流出することがあっても、他方の記憶手段に格納されたフィスカルデータが得られない限り、そのフィスカルデータの全体を入手することができない。このため、フィスカルデータが改ざんされるのを防止することができる。
【0015】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、前記データ格納ステップにおいて、前記フィスカルデータを格納する記憶手段ごとにフィスカルデータの書込み方向を異ならせることを特徴とする。
【0016】
上記方法によれば、各記憶手段から通常の読み出し方向で読み出されたフィスカルデータを単に繋ぎ合わせることによっては、そのフィスカルデータの全体を読み出すことができない。このため、フィスカルデータが改ざんされるのを防止することができる。
【0017】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、前記データ分離ステップにおいて、予め定めた前記基準が、曜日,時間等の商品販売に伴う時間情報であることを特徴とする。
【0018】
上記方法によれば、曜日や時間等の時間情報に応じてフィスカルデータを分離して、別々の記憶手段に格納および管理することができ、従って、一部の記憶手段に格納されたフィスカルデータが流出しても、フィスカルデータが曜日,時間等の時間情報を基準として分離されていることを知らない限り、該フィスカルデータの全体を入手することはできない。このため、フィスカルデータが改ざんされるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明のフィスカルデータ記憶装置を備えたフィスカルユニットおよびこのフィスカルユニットを有するプリンタの実施形態を示す分解斜視図である。図2は、フィスカルユニットおよびこのフィスカルユニットを有するプリンタの実施形態を詳細に示す分解斜視図である。
【0021】
プリンタ1は、フィスカルユニット20を有している。このフィスカルユニット20は、フィスカルメモリ基板10を備えており、図2に示すように、フィスカルメモリ基板10は記憶手段としての第1のフィスカルメモリ100および第2のフィスカルメモリ110を実装している。
プリンタ1は、フィスカルプリンタとも呼ばれ、販売取引の際には販売取引に関するフィスカルデータ(フィスカル情報ともいう)をモニタリングして記憶するために使用される。フィスカルメモリ基板10はフィスカル基板ともいう。
【0022】
第1のフィスカルメモリ100および第2のフィスカルメモリ110に記憶されているフィスカルデータを改ざんできないようにするために、各フィスカルメモリ100,110はフィスカルユニット20から簡単に取り外しできない構成とすることが、法律(フィスカル法)で要求されている。会計上のフィスカル法(フィスカルデータ、フィスカル情報)の内容は、国によって異なっている。
【0023】
まず、図1および図2を参照して、プリンタ1の構造について説明する。
【0024】
図1と図2に示すプリンタ1は、本体2と下部カバー3を有している。プリンタ1は、例えば顧客に渡すフィスカルレシートや、小売業者用のレシートの控えであるジャーナルを印刷して排出したり、1日毎の合計を記憶したり、レシートの商品品目毎に合計額を加算する。
【0025】
図1に示す本体2の前部4は、例えばフィスカルレシートやジャーナルを排出する。本体2の後部5の下部には、長方形状の開口部6が設けられている。フィスカルユニット20が、この後部5の開口部6に対して着脱可能に装着されるようになっている。このフィスカルユニット20は、フィスカルモジュールとも呼ばれる。
【0026】
図2に示すように、このフィスカルユニット20は、フィスカルメモリ基板10と、インターフェース基板200と、金属製のカバー部材300と、を有している。フィスカルメモリ基板10とインターフェース基板200は、一部がカバー部材300内にY方向に沿って平行に保持されている。
【0027】
図2に示す例では、フィスカルメモリ基板10とインターフェース基板200は共に長方形あるいは正方形である。図示例では、インターフェース基板200側に実装される部品数がフィスカルメモリ基板10に実装される部品数に比べて多いことから、インターフェース基板200がフィスカルメモリ基板10に比べて大きい。
【0028】
カバー部材300は、例えば鉄板などの金属板を折り曲げることにより箱形に形成されている。このカバー部材300の収容空間には、フィスカルメモリ基板10を挿入して保持するための、ポケット型の保持部(図示しない)が形成されている。この保持部内にはフィスカルメモリ基板10の一部が挿入されて、そのフィスカルメモリ基板10上の各フィスカルメモリ100,110を被うように、封止剤が充填されている。これによりフィスカルメモリ基板10が保持部から脱抜不可能に固定されている。
【0029】
カバー部材300は取り付け片306,307を有し、取り付け片306,307は、カバー部材300の側面に対しそれぞれ90度外側に向けて折り曲げて形成されている。取り付け片306,307は、それぞれボルトを挿入するための孔308を有している。
このカバー部材300は、ボルト310を孔308に通して本体2の雌ネジ311にねじ込むことで、本体2の開口部6に着脱可能に固定することができる。
【0030】
このように、フィスカルメモリ基板10とインターフェース基板200は、フィスカルユニット20のカバー部材300内に挿入して保持される。そして、フィスカルメモリ基板10の一面には、CPLD11やその他の電子部品などが実装されている。また、フィスカルメモリ基板10の他面には、各フィスカルメモリ100,110と、その他の電子部品が実装されている。
【0031】
CPLD11は、図2のインターフェース基板200に実装された後述のデータ分離手段であるメインCPU22と、フィスカルメモリ基板10上の各フィスカルメモリ100,110に電気的に接続されている。このCPLD11は、プログラム可能な論理回路を書き込んだデバイスであり、予め定めた基準に基づいて後述のフィスカルデータ(税金データ)のフィスカルメモリ100,110への選択的な書き込み/読み出しを制御する。また、CPLD11はデータの改ざん防止の機能を持っている。
【0032】
各フィスカルメモリ100,110は、売り上げに対する税金のデータ(フィスカルデータ)を記録し、改ざん防止のために、ワンタイムROMと呼ばれる1つのアドレスに1度しか書き込みできないタイプのメモリを使用する。すなわち、1度書き込まれたフィスカルデータは書き換えることができないよう構成されている。
【0033】
図2に示すように、インターフェース基板200は、コネクタC1,C2,C3とメインCPU(中央処理装置)とメモリなどを実装している。インターフェース基板200のコネクタC3は、プリンタ1の本体2内に配置されているメイン基板500に対して電気的かつ機械的に接続することができる。また、インターフェース基板200は、コネクタC1,C2を介しホストコンピュータ(HOST)700に電気的に接続される。
【0034】
図3は、フィスカルユニット20とプリンタ1の本体2側の回路構成例を示している。図3において、フィスカルユニット20は、既に説明したように、フィスカルメモリ基板10と、インターフェース基板200を有している。そして、フィスカルメモリ基板10は、第1のフィスカルメモリ100および第2のフィスカルメモリ110と、CPLD11とを実装している。
【0035】
インターフェース基板200は、フィスカルメモリ100とは別の部品であるコネクタC1,C2,C3と、通信IC(集積回路)21と、メインCPU22と、ROM23と、RAM24と、RTC25と、サブCPU26と、EJメモリ27を実装している。
【0036】
これにより、機能別に分けられた、フィスカルメモリ基板10とインターフェース基板200とを組み合わせることにより、インターフェース基板200は各種のプリンタに共通して使用できる。すなわち、フィスカルメモリ100,110には、プリンタの機種やプリンタが使用される国毎に異なるフィスカルデータが記憶されるので、フィスカルメモリ基板10を変えれば、フィスカルユニット20は、各種のプリンタに共通して使用できる。
【0037】
コネクタC1,C2はホストコンピュータ700と通信IC21とを接続している。コネクタC1は、通常の使用時にホストコンピュータ700とコマンドやデータの送受信を行うときに使われる。コネクタC2は、政府の調査官がフィスカルメモリ100,110のデータを読み出す時のみに使われる。
【0038】
通信IC21は、メインCPU22に接続されており、ホストコンピュータ700とのデータ送受信を行う。メインCPU22は、フィスカルユニット20の全体を制御する。メインCPU22は、コネクタC1,C2のどちらを介して送受信しているかは、送られてきたコマンドを解析して判断する。
【0039】
ROM23と、RAM24と、RTC25と、サブCPU26は、メインCPU22に接続されている。ROM23は、フィスカルユニット20全体を制御するファームウェアを格納している。RAM24は、データの一時記憶を行う。RTC25は、リアルタイムクロックであり、年、月、日、時間をカウントする。
【0040】
EJメモリ27は、電子ジャーナルメモリであり、売上データを記録する。サブCPU26は、EJメモリ27の書き込み/読み出しを制御し、データの改ざん防止も行う。コネクタC3は、プリンタ1の本体のメイン基板500と、メインCPU22とのデータ送受信を行う時に使われる。
【0041】
CPLD11は、メインCPU22に接続されている。このCPLD11は、前述のようにプログラム可能な論理回路を書き込んだデバイスであり、フィスカルメモリ100,110に対して、予め定めた基準に基づいて、分離したフィスカルデータを選択的に書き込み/読み出し制御する。
【0042】
予め定めた基準とは、例えば、商品販売に伴う時間情報がある。ホストコンピュータ700から通信IC21を介して税金データを受信すると、メインCPU22はRTC25がカウントしている時間情報を税金データに付与して、CPLD11へ送信する。時間情報は、税金データを受信した年、月、日、時間、曜日である。
【0043】
また、プリンタ1において、メイン基板500は、プリンタメカニズム1Mの動作を制御する。
【0044】
次に、図4に示すフローチャートを参照して、顧客がプリンタ1を使用する場合を、プリンタ1の動作手順に従って説明する。
【0045】
まず、ホストコンピュータ700からデータが送信され(ステップS1)、コネクタC1から通信IC21を通じて、メインCPU22がそのデータを受信する(ステップS2)。メインCPU22が、送信されてきたコマンドとデータを解析する(ステップS3)。
【0046】
ステップS3におけるコマンドとデータの解析の結果、データが税金データである場合には(ステップS10)、メインCPU22がCPLD11に対して書き込み要求を送信する(ステップS11)。CPLD11がメインCPU22に対して書き込み許可を送信する(ステップS12)。
【0047】
メインCPU22は、RTC25がカウントしている時間情報を税金データに付与して、CPLD11へ送信する(ステップS13)。CPLD11は、税金データに付与された時間情報に基づき、第1のフィスカルメモリ100あるいは第2のフィスカルメモリ110に振り分けて税金データを書き込む(ステップS14)。この税金データの書き込み処理の詳細については、後ほど説明する。
【0048】
フィスカルメモリ100に対するデータの書き込みが終了していないときには(ステップS15:No)、ステップS13に戻り、フィスカルメモリ100に対するデータの書き込みが終了するとステップS2に戻る(ステップS15:Yes)。
【0049】
また、ステップS3におけるコマンドとデータの解析の結果、データが売上データである場合には(ステップS20)、メインCPU22がサブCPU26に対して書き込み要求を送信する(ステップS21)。これに対して、サブCPU26がメインCPU22に対して書き込み許可を送信する(ステップS22)。
【0050】
メインCPU22がサブCPU26に売上データを送信する(ステップS23)。サブCPU26が売上データを取り込む(ステップS24)。取り込みデータが終了しなければステップS23に戻り(ステップS25:No)、終了したらステップS26に移る(ステップS25:Yes)。
【0051】
サブCPU26が取り込みデータをイメージデータに変換して(ステップS26)、サブCPU26がEJメモリ27に対してイメージデータの書き込みを行い(ステップS27)、ステップS2に戻る。
【0052】
さらに、ステップS3におけるコマンドとデータの解析の結果、データが印刷データである場合には(ステップS30)、メインCPU22がコネクタC3を介して印刷データを送信する(ステップS31)。
【0053】
メイン基板500は、コネクタC3から印刷データを受信する(ステップS32)。メイン基板500からプリンタメカニズム1Mに印刷データが送信され(ステップS33)、印刷データに基づき印刷媒体に対して印刷を行う(ステップS34)。印刷データが終了したら(ステップS35:Yes)、ステップS2以降の処理を実行する。
【0054】
(税金データの書き込み処理について)
次に、図4のステップS14における税金データ書き込み処理について、図5を参照して説明する。
CPLD11が、メインCPU22が送信した税金データを受信したか否かを判定する(ステップS141)。税金データを受信した場合には(ステップS141:Yes)、CPLD11はその税金データに付与された時間情報を参照し、例えば受信日が偶数日か奇数日かを調べる(ステップS142)。調べた結果、その受信日が偶数日であった場合には、CPLD11はその税金データを第1のフィスカルメモリ100に書き込む(ステップS143)。
【0055】
一方、税金データの受信日が奇数日であった場合には、ステップS144において、CPLD11がその税金データを第2のフィスカルメモリ110に書き込む。
【0056】
なお、ステップS142の判断基準は、税金データの受信日が偶数であるか奇数であるかだけでなく、平日と休日で分離するよう設定してもよい。曜日毎に分離するようにしてもよい。また、1日の時間帯によって分離してもよい。さらに、判断基準を複合的に適用すれば、税金データを3つ以上に分離して3つ以上のフィスカルメモリへ書き込むこともできる。
【0057】
さらに、税金データを書き込む際に、第1のフィスカルメモリ100に書き込む方向と第2のフィスカルメモリ110に書き込む方向とを逆にしてもよい。このように、互いに書き込み方向が異なるフィスカルメモリであれば、容易に読み出して税金データを入手することができないので、税金データを改ざんすることを防止することができる。
【0058】
本実施形態では、フィスカルメモリ100及び110に分離して、実際に税金データを書き込む処理を説明したが、フィスカルメモリ100及び110の他にフィスカル基板上にダミーのメモリを搭載してもよい。ダミーのメモリを搭載すれば、見かけ上フィスカルメモリと区別することができず、フィスカルメモリがどれか、または幾つあるかを、容易に特定できないようにすることができる。
【0059】
このように、本発明の実施形態では、フィスカルデータを記憶する2個以上の物理的に分離されたフィスカルメモリ100,110と、フィスカルデータを、各フィスカルメモリ100,110に格納するに際して、予め定めた基準に基づいて2以上に分離するCPLD11と、2以上に分離されたフィスカルデータを、2個以上に分離されたフィスカルメモリ100,110に格納するCPLD11と、を備える。
【0060】
これにより、2以上に分離されたフィスカルデータを、予め定めた基準に基づいて2以上に分離されたフィスカルメモリ100,110に別々に格納することができる。従って、一方のフィスカルメモリが盗難によって外部へ持ち出されることがあっても、他方のフィスカルメモリに格納されたフィスカルデータが得られない限り、そのフィスカルデータ全体を入手することができない。このため、フィスカルデータが改ざんされることを防止することができる。
【0061】
本発明の実施形態では、フィスカルメモリ100とフィスカルメモリ110とは異なる形状又はサイズである。これにより、フィスカルデータを格納したフィスカルメモリがどれか、または幾つあるかを、第3者が容易に特定できないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本実施形態のフィスカルユニットおよびフィスカルユニットを有するプリンタの分解斜視図である。
【図2】本実施形態のフィスカルユニットおよびフィスカルユニットを有するプリンタの詳細を示す分解斜視図である。
【図3】フィスカルユニットとプリンタ本体の回路構成を示すブロック図である。
【図4】フィスカルデータ書き込み方法を説明するフローチャートである。
【図5】本実施形態の税金データ書き込み処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1:プリンタ、2:プリンタ本体、10:フィスカルメモリ基板、11:CPLD(データ格納手段)、20:フィスカルユニット、22:メインCPU(データ分離手段)、100,110:フィスカルメモリ(記憶手段)、200:インターフェース基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品販売における会計処理に基づくフィスカルデータを所定の記憶手段に格納するフィスカルデータ記憶装置であって、
前記フィスカルデータを記憶する2個以上の物理的に分離された記憶手段と、
前記フィスカルデータを前記各記憶手段に格納するに際して、予め定めた基準に基づいて2以上に分離するデータ分離手段と、
2以上に分離された前記フィスカルデータを、前記2個以上に分離された記憶手段に分けて格納するデータ格納手段と、を備えることを特徴とするフィスカルデータ記憶装置。
【請求項2】
前記2個以上に分離された記憶手段の少なくとも1個は、フィスカルデータを記憶するフィスカルメモリであることを特徴とする請求項1に記載のフィスカルデータ記憶装置。
【請求項3】
前記2個以上に分離された記憶手段の内の1個のフィスカルメモリ以外の記憶手段は、前記フィスカルメモリとは異なる形状又はサイズであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィスカルデータ記憶装置。
【請求項4】
商品販売における会計処理に基づくフィスカルデータを所定の記憶手段に格納するフィスカルデータ格納方法であって、
前記フィスカルデータを前記各記憶手段に格納するに際して、予め定めた基準に基づいて2以上に分離するデータ分離ステップと、
2以上に分離された前記フィスカルデータを、2個以上の物理的に分離された記憶手段に分けて格納するデータ格納ステップと、を有することを特徴とするフィスカルデータ格納方法。
【請求項5】
前記データ格納ステップにおいて、前記フィスカルデータを格納する記憶手段ごとに該フィスカルデータの書込み方向を異ならせることを特徴とする請求項4に記載のフィスカルデータ格納方法。
【請求項6】
前記データ分離ステップにおいて、予め定めた前記基準は、曜日,時間等の商品販売に伴う時間情報であることを特徴とする請求項4又は5に記載のフィスカルデータ格納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−20666(P2009−20666A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182148(P2007−182148)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】