説明

フィラメントワインディング装置

【課題】マンドレルの自動交換を実現するのに好適な取付治具と取付治具の駆動構造を備えているフィラメントワインディング装置を提供する。
【解決手段】マンドレルM1の軸心方向両端に取付治具5を固定する。取付治具5は、チャック6で挟持される保持体10と、保持体10で軸支される軸体12とで構成し、軸体12をマンドレルM1に固定する。取付治具5を挟持するチャック6は、保持体10を挟み固定する一対の挟持体21・22と、一方の挟持体22を接離操作するアクチュエーター23とで構成する。モーター15が配置される側の挟持体21に原動ギヤ18を設け、対応する取付治具5の軸体12に、受動ギヤ16を固定する。チャック6を装着姿勢に切り換えた状態において、取付治具5を両挟持体21・22の対向面の間から軸体12の径方向に沿って相対的に出し入れできるようにして、マンドレルM1の自動交換を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端が軸支されたマンドレルの表面に、フープ巻ヘッドとヘリカル巻ヘッドで繊維束を巻き掛ける形態のフィラメントワインディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マンドレルを両持ち支持する形態のフィラメントワインディング装置においては、マンドレルの両端に設けられる軸状の治具を一対の三爪チャックで掴んで支持している。三爪チャックは、マンドレル支持台で回転自在に軸支されており、その一方がモーターで回転駆動される。三爪チャックに換えて、継手および回転体でマンドレルの両端を軸支する形態のフィラメントワインディング装置も提案されている(特許文献1)。
【0003】
そこでは、マンドレルの筒軸心方向の両端に口金が設けてあり、各口金にねじ込み装着した継手を対向配置した回転体で軸支している。マンドレルはブロー成形された内殻からなる。マンドレルを回転駆動するために、各回転体はベアリングで回転自在に支持されており、回転体の一方がモーターの出力軸に連結されている。継手と回転体の嵌合部分の断面形状は例えば四角形状に形成してあり、両者は同行回転できる。対向配置される回転体はそれぞれ支持ブロックで支持されており、支持ブロックの一方を他方の支持ブロックに対して、接近あるいは離反する向きに移動できる。支持ブロックの前記動作によって、マンドレルに固定した継手を左右の回転体でチャッキングし、あるいはワインディング処理が施されたマンドレルを左右の回転体から取り外すことができる。マンドレルの両端に設けられる軸状の治具を三爪チャックで掴み固定する場合にも、同様に一方の支持ブロックを往復スライド操作してマンドレルを着脱する。
【0004】
フィラメントワインディング装置において、繊維束の巻き付け処理が終了したマンドレルと、巻き付け処理前のマンドレルとを自動交換することは特許文献2に公知である。そこでは、マンドレルの両側に設けた軸状の治具を、対向配置したスピンドルで支持し、一方のスピンドルをモーターで回転駆動しながら、繊維束をトラバース装置でマンドレルの長手方向に沿って往復操作することにより、繊維束をマンドレルに巻き付ている。他方のスピンドルはウエストドラムで回転自在に軸支されている。ウエストドラムは専用のモーターで回転駆動でき、その周面に繊維束を巻き付ることにより、繊維束の巻き付け始端を保持できる。
【0005】
マンドレルを交換する場合には、スピンドルを支持する一対のアームを起立姿勢から横臥姿勢に傾倒し、繊維束の巻き付け処理が終了したマンドレルを台車上に載置する。この状態で両スピンドルを離れる向きに移動させて、先のマンドレルをスピンドルから分離する。これにより、台車上には巻き付け処理が終了したマンドレルと新規なマンドレルが交互に載置されることとなる。台車をアーム横臥方向へ横移動させて、新規なマンドレルをスピンドルの間に位置させ、両スピンドルを接近する向きに移動させてマンドレルを捕捉する。この後、アームを起立姿勢に戻し、ウエストドラムに巻き付られていた繊維束を巻き付け始端にして巻き付けを行う。
【0006】
【特許文献1】特開2000−186799号公報(段落番号0025、図9、10)
【特許文献2】特開平5−338043号公報(段落番号0037、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献1の装置においては、マンドレルの両端に設けた軸状の治具を、回転体あるいはチャックで掴んで回転駆動するため、マンドレルの交換や、繊維束の巻き付け始端をマンドレルに固定するのに多くの人手を要する。その点、特許文献2のフィラメントワインディング装置では、マンドレルの交換から繊維束の巻き付け始端の固定に至る一連の作業を自動的に行うことができる。しかし、特許文献2におけるマンドレルの自動交換装置を、本発明が適用対象とするフィラメントワインディング装置に応用することは難しい。
【0008】
本発明装置においては、マンドレルをフープ巻ヘッドおよびヘリカル巻ヘッドの中央開口と直交する状態で配置する点が、特許文献2のワインディング装置と大きく異なる。このように、各ヘッドとマンドレルが直交配置してあると、取付治具を含むマンドレルの全体を、各ヘッドの中央開口に対して軸芯方向へ出し入れしながら、マンドレルを交換する必要がある。つまり、マンドレルを交換する時の移動軌跡が極めて複雑になる。加えて、チャック(または回転体)は回転駆動できる構造とする必要がある。そのため、マンドレルを自動交換しようとすると、そのための装置が大掛かりになるのを避けられず、マンドレルの自動交換を実現するうえで大きな障壁になっている。
【0009】
本発明の目的は、マンドレルの自動交換を実現するのに好適な取付治具と、取付治具の駆動構造を備えているフィラメントワインディング装置を提供することにある。本発明は、マンドレルがフープ巻ヘッドおよびヘリカル巻ヘッドの開口と交差する形態のフィラメントワインディング装置に好適に適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィラメントワインディング装置は、マンドレルM1の軸心方向両端のそれぞれに固定した取付治具5が、一対のチャック6で支持されており、一方の取付治具5を支持するチャック6に、マンドレルM1を回転駆動するモーター15が配置してある。取付治具5は、チャック6で挟持固定される保持体10と、保持体10で回転自在に軸支される軸体12とで構成されて、軸体12がマンドレルM1に固定されている。チャック6は、保持体10を挟み固定する一対の挟持体21・22と、両挟持体21・22の少なくとも一方を他方の挟持体に対して接離操作するアクチュエーター23とで構成する。チャック6をアクチュエーター23で装着姿勢に切り換えた状態においては、取付治具5を両挟持体21・22の対向面の間から軸体12の径方向に沿って相対的に出し入れできる。モーター15が配置される側のチャック6の挟持体21に、モーター動力を出力する原動ギヤ18を設け、チャック6で捕捉される側の取付治具5の軸体12に、原動ギヤ18と噛み合う受動ギヤ16を固定する。
【0011】
筒状に形成した保持体10の内部に、軸体12と、軸体12を軸支する回転軸受体11と、受動ギヤ16を配置し、受動ギヤ16と対向する保持体10の筒壁に、原動ギヤ18の出入りを許すギヤ開口17を形成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、マンドレルM1の両端に固定される取付治具5を、チャック6で挟持固定される保持体10と、保持体10で回転自在に軸支される軸体12とで構成して、一対の取付治具5でマンドレルM1を回転自在に軸支した。さらに、一方の取付治具5の軸体12をモーター15の動力で駆動することにより、マンドレルM1を回転駆動できるようにした。このように、取付治具5の側でマンドレルM1を回転自在に支持すると、チャック6の側に軸受構造を設ける必要がなく、チャック6およびその周辺部構造を簡素化できる。また、チャック6をアクチュエーター23で装着姿勢に切り換えた状態では、取付治具5を両挟持体21・22の対向面の間から軸体12の径方向に沿って相対的に出し入れするだけで、取付治具5をチャック6で挟持し、あるいは取付治具5をチャック6から分離できる。したがって、本発明装置によれば、マンドレルM1をフープ巻ヘッド31およびヘリカル巻ヘッド32と交差配置した状態でワインディングを行うにもかかわらず、マンドレルM1の自動交換を実現して、圧力容器などのワインディング製品を能率よく製造できる。
【0013】
筒状に形成した保持体10の内部に、軸体12、回転軸受体11、および受動ギヤ16を配置すると、受動ギヤ16を保持体10で保護することができる。したがって、新規なマンドレルM1や、繊維束Rが巻き付けられたマンドレルM2を取り扱う際に、受動ギヤ16が他物と接当して破損するのを確実に防止できる。また、繊維束Rの切断屑が受動ギヤ16の歯面に付着するのをよく防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施例) 図1ないし図13は本発明に係るフィラメントワインディング装置の実施例を示す。フィラメントワインディング装置は、一群のクリールを支持する供給部と、供給部から送給される繊維束RをマンドレルM1に巻き付ける巻付装置を備えている。巻付装置には、巻き付け処理が終了したマンドレルM2を巻付装置から取り外し、あるいは新たなマンドレルM1を巻付装置に装填するための着脱装置が設けてある。
【0015】
最終製品が圧力容器である場合のマンドレルM1は、高強度アルミニウム材、ステンレス材などの金属材、あるいは樹脂成形品などで容器状に構成する。この実施例では図1および図2に示すように、マンドレルM1が、中央の円筒部1と、円筒部1の両端に連続するドーム部2と、ドーム部2の頂部に突設される口部3とを一体に備えている場合について説明する。繊維束Rは、例えばガラス繊維や炭素繊維の束からなる。先のクリールに巻き込まれた繊維束Rには、予め熱硬化性のプラスチック材が含浸させてある。なお、クリールから繰り出した繊維束Rに溶融したプラスチック材を含浸させた後、巻付装置に送給してもよい。
【0016】
図2に示すように、マンドレルM1は、口部3に取付治具5を装着した状態で巻付装置に装填される。図1に示すように取付治具5は、巻付装置のチャック6で挟持固定される丸筒状の保持体10と、保持体10の内部に固定される一対のベアリング(回転軸受体)11と、両ベアリング11で回転自在に軸支される軸体12などで構成する。軸体12の一端は、先の口部3に取り外し可能に固定され、軸体12の他端の小径の軸部分12aが両ベアリング11で軸支してある。口部3の直径寸法は、保持体10の直径寸法より大きく設定してある。
【0017】
両取付治具5のうち、一方の取付治具5の軸体12はチャック6に設けたモーター15で回転駆動される。そのために、図1に向かって左側の取付治具5の軸部分12aに受動ギヤ16を固定し、受動ギヤ16と対向する保持体10の筒壁にギヤ開口17を形成している。先のモーター15の回転動力は、チャック6の側に設けた原動ギヤ18を介して受動ギヤ16に伝動される。
【0018】
図3ないし図5に示すようにチャック6は、基本的に上下に対向する一対の挟持体21・22と、下方の挟持体22を上方の挟持体21に対して接離操作するエアーシリンダー(アクチュエーター)23と、これらの部材を支持するチャック台24などで構成する。各挟持体22の対向面には、先の保持体10を受け入れる凹部25がそれぞれ形成してある。一対のチャック6のうち、片方のチャック6の挟持体21に先の原動ギヤ18が組み込んである。
【0019】
図2において、巻付装置は、主として円筒部1に対して繊維束Rをフープ巻きするための2組のフープ巻ヘッド31と、円筒部1およびドーム部2に対して繊維束Rをヘリカル巻きするためのヘリカル巻ヘッド32とを備えている。図7に示すようにフープ巻ヘッド31は、中央に円形の開口33を有するフレーム34と、先の開口33に沿って旋回駆動される複数個のボビン35と、ボビン35を移行案内するガイド溝36と、図示していないボビン35の駆動機構などで構成してある。マンドレルM1はフレーム34と直交する状態で開口33の中央部分に支持される。したがって、ボビン35を旋回駆動することにより、ボビン35から繰り出される繊維束RをマンドレルM1に巻き付けることができる。また、フレーム34をベース30の長手方向に沿って往復駆動することにより、繊維束RのマンドレルM1に対する巻き付け位置を変更できる。
【0020】
図6においてヘリカル巻ヘッド32は、中央に円形の開口40を有する門形のフレーム41と、開口40の周縁に配置されるガイドリング42と、ガイドリング42の両側に配置される張力調整部43などで構成してある。図示していないが、ガイドリング42の周囲には一群の補助ガイドが配置され、ガイドリング42の内面にはガイドリング42に貫通される一群のガイド穴に対応して開繊ガイドが設けてある。マンドレルM1はフレーム41と直交する状態で開口40の中央部分に支持される。
【0021】
供給部から送給される繊維束Rは、フレーム41の外側方に配置したガイドローラーで変向案内され、張力調整部43で所定の張力を付与されたのち、ガイドリング42のガイド穴へと案内される。フレーム41はベース30の長手方向の中央部分に固定してある。したがって、マンドレルM1を往復操作しながら所定角度だけ回転操作することにより、ガイドリング42で案内された繊維束RをマンドレルM1の周面の長手方向に沿って巻き付けることができる。
【0022】
着脱装置は、先に説明した一対のチャックと、マンドレルM1を持ち換えるためのチャックを一組にして構成してある。図8から図13に示すフィラメントワインディング装置においては、2群のマンドレルM1を交互に巻付装置に装填し、あるいは巻き付け処理が終了したマンドレルM2を巻付装置から交互に取り外すので、2組の着脱装置を巻き付け装置に設けている。
【0023】
2組の着脱装置のうち、図8に向かって右側のマンドレルM1を支持するチャックを、図8から図13において符号6R・6R・46Rで示す。同様に、図8に向かって左側のマンドレルM1を支持するチャックを、図8から図13において符号6L・6L・46Lで示している。なお、持ち換え用のチャック46R・46Lの構造は、モーター15を備えていない側のチャック6R・6Lと同じ構造に構成してある。上記の各チャックは、ベース30の長手方向はもちろん、ベース30に対して接近あるいは離反する向きに移動できるように構成してある。ベース30には、ヘリカル巻ヘッド32を間に挟んで2組のフープ巻ヘッド31が設けてある。2組のフープ巻ヘッド31は、右側のマンドレル群と、左側のマンドレル群に対応して1個ずつ設けてある。
【0024】
図8は、巻き付けが終了した状態のマンドレルM2を示している。この状態では、各フープ巻ヘッド31から繰り出された繊維束Rの終端部分と、ヘリカル巻ヘッド32から繰り出された繊維束Rの終端部分とが、それぞれ受渡しリング51に巻き付けてある。両受渡しリング50・51の間の繊維束Rをカッター52で切断することにより、巻き付け始端となる側の受渡しリング51がマンドレルM2から切り離される。マンドレルM2は、取付治具5の両端の保持体10がチャック6R・6Rで掴み保持してある。
【0025】
上記の状態で、図9に示すように左側のマンドレル群から新たなマンドレルM1をチャック6L・46Lで挟み保持して、巻付装置の巻き付け中心に装填する。図9に向かって左側のチャック6Lは、取付治具5の保持体10を挟持し、右側のチャック46Lは軸体12の口部3寄りを挟持する。この状態で、マンドレルM1を巻き付け中心に位置させて、保持体10の側端どうしを接当させ、両マンドレルM1・M2を同時に図9に向かって右方へ僅かに移動させる。次に図10に示すように、矢印aで示すように、巻き付けが終了した状態のマンドレルM2の一方の取付治具5を持ち換え用のチャック46Rでつかみ、それまで取付治具5を保持していたチャック6Rを矢印bで示すように分離する。
【0026】
さらに、両マンドレルM1・M2を矢印c方向へ移動操作して、巻き付けが終了した状態のマンドレルM2を取り外し位置へ移動させる。同時に、新規なマンドレルM1の一方の取付治具5がフープ巻ヘッド31とヘリカル巻ヘッド32の開口33・40をくぐり抜ける。このとき、図示していない保持具で受渡しリング51を移動不能に位置保持しておくことにより、受渡しリング51を新規なマンドレルM1の側の取付治具5に移し変えることができる。つまり、各ヘッド31・32から繰り出される繊維束Rの巻き付け始端を、新規なマンドレルM1側に渡すことができる。
【0027】
上記の状態で、巻き付けが終了した状態のマンドレルM2が巻付装置の外へ取り出されて、次の加熱工程へと送給され、繊維束Rに含浸させたプラスチック材が硬化処理される。並行して図11に示すように、各ヘッド31・32の開口33・40をくぐり抜けた取付治具5の側端に新たな受渡しリング50が外嵌される。さらに取付治具5の側端を矢印dのようにチャック6Lで掴んだのち、持ち換え用のチャック46Lを矢印eのように取付治具5から分離し、再びマンドレルM2を矢印f方向へ移動させて、受渡しリング50・51を口部3に隣接させる。
【0028】
以上により、新規なマンドレルM1の巻き付け準備が完了するので、以後は、図12に示すようにマンドレルM1に対して左側のフープ巻ヘッド31とヘリカル巻ヘッド32とで繊維束Rを巻き付けて、マンドレルM1の周囲に補強層を形成する。補強層が完成したら、繊維束Rを受渡しリング50に巻き付けて、巻き付け作業を終了する。こののち、図13に示すように、両受渡しリング50・51の間の繊維束Rをカッター53で切断することにより、次の新規なマンドレルM1の巻き付け始端となる側の受渡しリング50がマンドレルM2から切り離される。以後、右側のマンドレル群から新規なマンドレルM1を巻付装置に供給して、上記の手順を繰り返し行うことにより、圧力容器のブランク体を連続して製造することができる。
【0029】
本発明のフィラメントワインディング装置においては、先に説明したように保持体10と、保持体10で回転自在に支持される軸体12とで取付治具5を構成し、一対の取付治具5でマンドレルM1を回転自在に軸支した。さらに、一方の取付治具5の軸体12をモーター15の動力で駆動することにより、マンドレルM1を回転駆動できるようにした。このように、取付治具5の側でマンドレルM1を回転自在に支持すると、チャック6の側に軸受構造を設ける必要がなく、チャック6およびその周辺部構造を簡素化できる。
【0030】
チャック6でマンドレルM1を保持する場合は、図3に示すように、エアーシリンダー23でチャック6を装着姿勢に切り換え、一対の挟持体21・22の間に取付治具5位置させた状態でチャック6を挟持姿勢に切り換えることで簡便に行える。つまり、取付治具5を両挟持体21・22の対向面の間から軸体12の径方向に沿って相対的に出し入れすることにより、図5に示すように取付治具5をチャック6で挟持し、あるいはチャック6から簡単に分離できる。また、図4に示すように、軸体12に固定した受動ギヤ16を、チャック6側の原動ギヤ18と噛み合せることができる。これにより、マンドレルM1の自動交換を実現して、圧力容器などのワインディング製品を効率よく製造できることとなる。
【0031】
上記の実施例では、ヘリカル巻ヘッド32と2組のフープ巻ヘッド31とを用いて、2群のマンドレルM1を交互に巻付装置に装填して繊維束Rを巻き付けるようにしたが、その必要はない。例えば1群のマンドレルRを巻付装置に順に装填して繊維束Rを巻き付けることができる。また、保持体10は円筒状に構成する必要はなく、断面外形が多角形状に形成してあってもよい。受動ギヤ16は軸部分12aの軸端や、軸部分12aの大径の軸部分との隣接部分に配置することができる。受動ギヤ16は、平歯車以外の傘歯車や、はすば歯車であってもよい。アクチュエーター23は、油圧シリンダーやモーターシリンダー、あるいはソレノイドなどを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】マンドレルの正面図と、要部の拡大図である。
【図2】マンドレルと巻付装置の概略関係を示す正面図である。
【図3】チャックの側面図である。
【図4】図2におけるA−A線断面図である。
【図5】図2におけるB−B線断面図である。
【図6】ヘリカル巻ヘッドを示す側面図である。
【図7】フープ巻ヘッドを示す側面図である。
【図8】ワインディング製品の製造過程の第1過程を示す説明図である。
【図9】ワインディング製品の製造過程の第2過程を示す説明図である。
【図10】ワインディング製品の製造過程の第3過程を示す説明図である。
【図11】ワインディング製品の製造過程の第4過程を示す説明図である。
【図12】ワインディング製品の製造過程の第5過程を示す説明図である。
【図13】ワインディング製品の製造過程の終段過程を示す説明図である。
【符号の説明】
【0033】
5 取付治具
6 チャック
10 保持体
12 軸体
16 受動ギヤ
18 原動ギヤ
21 (上方の)挟持体
22 (下方の)挟持体
31 フープ巻ヘッド
32 ヘリカル巻ヘッド
M1 マンドレル
R 繊維束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンドレルの軸心方向両端のそれぞれに固定した取付治具が、一対のチャックで支持されており、前記一方の取付治具を支持するチャックに、マンドレルを回転駆動するモーターが配置してあるフィラメントワインディング装置であって、
前記取付治具は、前記チャックで挟持固定される保持体と、前記保持体で回転自在に軸支される軸体とで構成されて、前記軸体が前記マンドレルに固定されており、
前記チャックは、前記保持体を挟み固定する一対の挟持体と、両挟持体の少なくとも一方を他方の挟持体に対して接離操作するアクチュエーターとで構成されており、
前記チャックをアクチュエーターで装着姿勢に切り換えた状態において、前記取付治具を両挟持体の対向面の間から軸体の径方向に沿って相対的に出し入れでき、
前記モーターが配置される側の前記チャックの前記挟持体に、モーター動力を出力する原動ギヤが設けられ、前記チャックで捕捉される側の前記取付治具の前記軸体に、前記原動ギヤと噛み合う受動ギヤが固定してあるフィラメントワインディング装置。
【請求項2】
筒状に形成した前記保持体の内部に、前記軸体と、前記軸体を軸支する回転軸受体と、前記受動ギヤが配置されており、
前記受動ギヤと対向する前記保持体の筒壁に、前記原動ギヤの出入りを許すギヤ開口が形成してある請求項1記載のフィラメントワインディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−61637(P2009−61637A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230254(P2007−230254)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】