説明

フィラーを含む水中油型微細エマルション

【課題】水相に分散された油相を含む水中油型エマルションの形態の局所適用のための組成物を提供。
【解決手段】油相の小滴が直径の平均が50から200nmであり:(i)融点が45℃未満でHLBが10から15の非イオン性界面活性剤であり、少なくとも5個のオキシエチレン基を含む極性部分、および14から22個の炭素原子を有する、少なくとも1個の分岐または不飽和のアルキル鎖を含む非極性部分を含む非イオン性界面活性剤を少なくとも1種、(ii)陰イオン性界面活性剤を少なくとも1種を含む乳化系を含み、油相は、分子量400以上の炭化水素油を少なくとも1種含む油性構成成分を含み、分子量400以上の炭化水素油量は、油相の総重量に対して少なくとも25重量%に相当し、トリグリセリドベースの油の量は、油相の総重量に対して15重量%未満に相当し、油相の油性構成成分の量の乳化系の量に対する重量比が0.8から3.5であり、無機のコロイド粒子の分散物を少なくとも1つ含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーの投入をしないで得られ、フィラーを含む、水中油型微細エマルションの形態の局所適用のための組成物、より詳細には化粧品および/または皮膚用組成物、ならびにその調製プロセスおよびその使用、特に、皮膚、身体表面生長物(毛髪、まつ毛、爪)、および/または粘膜を処置し、手入れし、メークアップし、および/または清潔にするため、より詳細には、皮膚に対してマット化効果を得るため、またはしわのよった皮膚を処置するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特に使い心地(柔軟性、軟化性、その他)がより優れていることに関係するの様々な理由から、現在使用されている化粧品または皮膚用組成物は、水中油(O/W)型、すなわちビヒクルが水性の連続分散相と油性の不連続被分散相とから構成されるエマルションの形態で提供されるのが一般的である。これらの水中油型エマルションを皮膚に適用すると、油中水(W/O)型エマルション系よりも皮膚に対して柔軟で、脂っこさが少なく、感触がより軽いため、水中油型エマルションは、脂肪性の連続分散相と水性の不連続分散相とから構成される油中水型エマルションよりも需要が高い。
【0003】
さらに、化粧、皮膚科学、および薬学分野では、分散相の小型の小滴(または液滴)を含むエマルションは、微細エマルションとしても知られ:
組成物にはいくぶん粘性があることがあり、コンシステンシーが化粧水からクリームの範囲であることができるという質感、
透明または乳白色の組成物から白色の組成物まで様々であることができるという、肉眼的外観、
特にその浸透速度を促進するその化粧品の感触、
このような組成物は、ヨーロッパおよび日本および他の国々の消費者に満足であるという、その市況用語における広範に可能な位置づけ、
が、多くの場合に望まれる。
【0004】
本特許出願における「微細エマルション」は、分散相の小滴の大きさが50から200ナノメートルの範囲であるエマルションを意味するものと理解される。
【0005】
技術に関しては、現時点で、このタイプの水中油型微細エマルションを得るためには、被分散相を微細小滴に細分化するためのかなりの機械的エネルギー、またはPIT(転相温度)技法により調製されるシステムのように、熱とともに相転位するプロセスに関連する熱エネルギーのどちらかのエネルギーを、混合物に投入する必要がある。これらのシステムはよく知られており、今日入手できる微細エマルションが得られるようになっている。
【0006】
このように、機械的エネルギーを投入する技術により、「ナノエマルション」としても知られる透明微細エマルション(例えば、欧州特許出願文書EP-A-728 460、EP-A-780 114、EP-A-780 115、EP-A-879 589、EP-A-1 010 413、EP-A-1 010 414、EP-A-1 010 415、EP-A-1 010 416、EP-A-1 013 338、EP-A-1 016 453、EP-A-1 018 363、EP-A-1 020 219、EP-A-1 025 898、EP-A-1 120 102、EP-A-1 120 101、EP-A-1 160 005、EP-A-1 172 077、およびEP-A-1 353 629に開示されたような)が得られるようになっている。ナノエマルションの油滴の平均サイズは、100nm未満である。これらナノエマルションの欠点は、かなりの機械的エネルギーを投入する必要があることである。
【0007】
ナノエマルションについては、また、Forgiarini、J.Esquena、C.Gonzalez、およびC.Solan著、「Formation of Nano-emulsions by Low Energy Emulsification. Methods at Constant Temperature」Langmuir、2001年発行、17巻、2076〜2083H頁、およびForgiarini、J.Esquena、C.Gonzalez、およびC.Solan著、「Studies of the Relation between Phase Behavior and Emulsification Methods with Nanoemulsion Formation」Prog. Colloid Polym.Sci.、2000年発行、115巻(Trends in Colloid and Interface Science XIV)、36〜39頁のような出版物に記載されている。これらの出版物では、特定の界面活性剤であるラウレス-4(すなわちBrij 30)によって安定化し、水をデカン/Brij 30混合物に添加して製造する水中デカン型(decane-in-water)エマルションについて記載がある。この界面活性剤は、短い(C12)アルキル鎖を含んでおり、このためさらに長いアルキル鎖を含む同族体よりも刺激性がある。さらにこれらの文書に記載されたエマルションは、特に顕微鏡レベル(滴の直径)では不安定であり、このため産業上で適用するには不安定すぎる。
【0008】
さらに、PIT技法の原理は当業者にはよく知られており、その技術については、特に、Th Forsterら著「Phase Inversion Emulsification」Cosmetics & Toiletries、1991年12月発行、106巻49頁〜52頁、およびT.Mitsuiら著「Application of the phase-inversion-temperature method to the emulsification of cosmetics」American Cosmetics and Perfumery、1972年12月発行、87巻のような文献、ならびに国際公開パンフレット文書WO-A-89/11907、独国特許出願DE-A-4 318 171、欧州特許出願EP-A-815 846、および欧州特許出願EP-A-1 297 824に記載されている。
【0009】
一方、微細エマルションを得るためのこれらの技術には、以下のような欠点がある。
PIT法は高温であり、処方に関して制約が課される。すなわち、引火点の低い、熱に弱い分子にこの技法を用いるのは難しく、したがって、この技術は引火点の高い、熱の影響を受けない分子に限られる。PIT法は、使用できる出発原料などのタイプや数を限定し、例えば引火点の低い分子を使用する場合には、これらの出発原料に応じてこれらエマルションの手順および調製を調節する必要があるため、PIT法はより複雑でより高価になる。この理由で、この方法は、揮発性化合物、例えば揮発性親油性化合物、特に揮発性シリコーンなどの揮発性油、またはある種の熱に弱い有効成分または植物抽出物の使用が除外されるか、または少なくとも制限される。
エネルギーの投入により微細エマルションの調製を可能にする、圧力が高いか、または大変高いホモジェナイザーは、高価で取り扱いに注意を要する装置であり、そのため工業上の加工費が高くなる。
【0010】
さらに、透明なマイクロエマルションは、当技術分野で知られている。マイクロエマルションは、ナノエマルションとは対照的に、厳密な意味でのエマルションではなく、油で膨張するミセルの透明溶液であり、ミセルを構成している大量の界面活性剤および大量のコサーファクタントが共存するためにこの油は溶解している。ミセルが溶解できる油が少量であるため、膨張したミセルの大きさは大変小さい。ミセルがこのように大変小型であるため、マイクロエマルションは透明となる。一方、上記に述べたナノエマルションとは対照的に、マイクロエマルションは、単純な磁気攪拌以外に機械的エネルギーを投入しなくても、また構成成分を添加する順番に関係なく、構成成分を混合すれば自発的に形成される。その上、これらは熱力学的に安定した系である。マイクロエマルションの主な欠点として、油に比べて界面活性剤の割合が高いため、過敏症を生じ、また皮膚に適用した時ベタベタした感触となる。さらに、D.F.EvansおよびH.Wennerstrom著「The colloidal domain」、Wiley-VCH発行(1999年)という文献の図11.7で表された相図で示されるように、この系のマイクロエマルションの状態は、構成成分の選択およびそれらの相対的割合、および温度により規定される。マイクロエマルションについての記載は、例えば、M.BourrelおよびR.S.Schechter著「Microemulsions and related systems」Marcel Denker発行1988年、25〜30頁のような文献を参照するとよい。したがって、これらのマイクロエマルションは、微細エマルションではなく、上記に述べた微細エマルションの欠点を克服することができない。
【0011】
さらに、微細エマルションは、様々な添加物を加えても不安定にならないで、これらの添加物を含むことができなければならない。したがって、皮膚のてかりを抑えることができ、特に脂性の皮膚に望ましいマット化剤、および皮膚を滑らかにし、しわや小じわを即座に減少させることができ、特に年齢を重ねた皮膚の場合に有益である引き締め剤のような、皮膚に直接効果を与えることのできる物質を、微細エマルションに添加するのは有益である。これらの物質は、一般的に光学的特質のある粒子である。
【0012】
実際には、これらの化合物によりこれらを含むエマルションは不安定になるために処方するのが難しいという欠点を示すことが多く、系の安定化が本質的に困難であるという欠点を示すため、処方するのが難しいという欠点は、これらの化合物を微細エマルションに導入する場合にいっそう明白になる。したがって、経時的に、また温度に関して微細エマルションの安定性が良好なままで、不安定化を生じないか、または外観、もしくは微細エマルションの油滴の大きさを変化させずに、このタイプの物質を混和するのは、実際上困難がある。
【特許文献1】欧州特許出願EP-A-728 460
【特許文献2】欧州特許出願EP-A-780 114
【特許文献3】欧州特許出願EP-A-780 115
【特許文献4】欧州特許出願EP-A-879 589
【特許文献5】欧州特許出願EP-A-1 010 413
【特許文献6】欧州特許出願EP-A-1 010 414
【特許文献7】欧州特許出願EP-A-1 010 415
【特許文献8】欧州特許出願EP-A-1 010 416
【特許文献9】欧州特許出願EP-A-1 013 338
【特許文献10】欧州特許出願EP-A-1 016 453
【特許文献11】欧州特許出願EP-A-1 018 363
【特許文献12】欧州特許出願EP-A-1 020 219
【特許文献13】欧州特許出願EP-A-1 025 898
【特許文献14】欧州特許出願EP-A-1 120 102
【特許文献15】欧州特許出願EP-A-1 120 101
【特許文献16】欧州特許出願EP-A-1 160 005
【特許文献17】欧州特許出願EP-A-1 172 077
【特許文献18】欧州特許出願EP-A-1 353 629
【特許文献19】国際公開パンフレットWO-A-89/11907
【特許文献20】独国特許出願DE-A-4 318 171
【特許文献21】欧州特許出願EP-A-815 846
【特許文献22】欧州特許出願EP-A-1 297 824
【特許文献23】米国特許US-2 892 797
【特許文献24】仏国特許出願FR-A-2 570 377
【特許文献25】欧州特許出願EP-A-199 636
【特許文献26】欧州特許出願EP-A-325 540
【特許文献27】欧州特許出願EP-A-402 072
【特許文献28】国際公開パンフレットWO-A-00/26167
【特許文献29】国際公開パンフレットWO-A-99/13861
【特許文献30】国際公開パンフレットWO-A-99/25318
【特許文献31】国際公開パンフレットWO-A-98/18441
【非特許文献1】Forgiarini、J.Esquena、C.Gonzalez、C.Solan、「Formation of Nano-emulsions by Low Energy Emulsification. Methods at Constant Temperature」、Langmuir2001年17巻、2076〜2083H頁
【非特許文献2】Forgiarini、J.Esquena、C.Gonzalez、C.Solan、「Studies of the Relation between Phase Behavior and Emulsification Methods with Nanoemulsion Formation」、Prog. Collid Polym.Sci.2000年115巻(Trends in Collid and Interface Science XIV)、36〜39頁
【非特許文献3】Th Forsterら、「Phase Inversion Emulsification」、Cosmetics & Toiletries、1991年12月、106巻49頁〜52頁にある、
【非特許文献4】T.Mitsuiら、「Application of the phase-inversion-temperature method to the emulsification of cosmetics」、American Cosmetics and Perfumery、1972年12月、87巻
【非特許文献5】D.F.Evans、H.Wennerstron、「The colloidal domain」、Wiley-VCH発行(1999年)
【非特許文献6】M.BourrelおよびR.S.Schechter、「Microemulsions and related systems」、Marcel Denker発行、
【非特許文献7】Riedel、「Nonwoven Bonding Methods & Materials」、Nonwoven World(1987)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、粒子が存在しても安定性を保ち、従来技術で得られるものよりも安価で複雑でない方法、すなわち、機械的エネルギーであれ熱エネルギーであれ、エネルギーの投入を必要とせず、したがって高温を伴わないか、または大量のエネルギーを投入する装置を用いない方法であり、組成物を構成する化合物の化学的安定性に影響を及ぼさない方法で得られる、水中油型微細エマルションを製造する必要は残されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
出願企業は、驚くべきことに、特定の界面活性剤を選択し、特定の油を選択し、特定の粒子を選択し、および油/界面活性剤の比率を特定にすることにより、エネルギーを投入せずに、完全に周囲温度で調製される粒子を含む微細エマルションを製造する可能性を見出した。
【0015】
すなわち、本発明の主題は、水相中に分散した油相を含み、油相の小滴の平均直径が50から200nmの範囲であり:
(i)融点が45℃未満でHLBが10から15の範囲の非イオン性界面活性剤であり、少なくとも5個のオキシエチレン基を含む極性部分、および14から22個の炭素原子を有する少なくとも1個の分岐または不飽和のアルキル鎖を含む非極性部分を含む界面活性剤を少なくとも1種と、(ii)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む乳化系を含み、
油相は、分子量400以上の炭化水素油を少なくとも1種含む油性の構成成分を含み、分子量400以上の炭化水素油の量は、油相の総重量に対して少なくとも25重量%に相当し、トリグリセリドをベースとする油の量は、油相の総重量に対して15重量%未満に相当し、
油相の油性の構成成分の量の、乳化系の量に対する重量比が、0.8から3.5の範囲であり、
無機性のコロイド粒子の分散剤を少なくとも1つ含むこと
を特徴とする、水中油型エマルションの形態の局所適用のための組成物である。
【0016】
この化合物は、エネルギーを投入しないで、特に熱エネルギーまたは機械的エネルギーを投入しないで調製されるという利点を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この文脈で、「局所適用」は、ケラチン性の物質、特に皮膚、頭皮、まつ毛、まゆ毛、爪、毛髪、および/または粘膜への外用を意味すると理解されたい。組成物は、局所への適用を目的とするため、生理学的に許容される媒体を含む。「生理学的に許容される媒体」は、皮膚、唇、頭皮、まつ毛、眼、爪、および/または毛髪と相性の良い媒体を意味すると理解されたい。組成物は、特に、化粧品または皮膚科用組成物を構成することができる。
【0018】
本特許出願において、「油相の油性構成成分の量」は、油相に存在する油および他の脂肪性物質の総量、すなわち、特に界面活性剤およびコサーファクタントを含む乳化系以外の、油相の構成成分の量を意味すると理解されたい。
【0019】
本発明による組成物の本質的な特徴によると、水性分散相に分散した油相の小滴(または液滴)の平均直径は、50から200nmの範囲、より詳しくは80から200nmの範囲であり、この平均直径は、例えば、Brookhaven Instruments Corporation製、Model BI-90装置により準弾性光散乱法で測定された、平均輝度直径である。
【0020】
油相の小滴のサイズに応じて、本発明による組成物の肉眼的外観は、透明から乳白色を通過して白色の外観の範囲で変化する。
【0021】
本発明によるエマルションは周囲温度で調製でき、したがって組成物の熱に弱い構成成分(特に有効成分)を分解しないプロセスで、また、エネルギーを必要としなくてもこの系が得られるため、その上に比較的安価で、比較的簡単で、制約がないプロセスで調製できるという利点を示す。本発明によるエマルションはさらに、時間の経過とともに様々な貯蔵温度(4℃、25℃、および45℃)でクリーミング(すなわち油滴が上昇する)、沈降(すなわち容器の底部に油滴が集合する)、および相分離(すなわち水相と油相とが分離する)が観察されないため、経時的および温度に関して完全に安定性があるという利点をさらに示す。本発明のエマルションは、かなり多様性に富んだ方法、すなわち、粘性または感触(例えば、油のレベルによる)の点から質感の幅が広い一方で、習慣および敏感度の大きく異なる消費者に提供できる方法で供給できる利点もある。
【0022】
本発明による組成物は、多少粘性があることがあり、外観はローション(液体の製品)からクリーム(濃厚な製品)におよぶことができる。すなわち、組成物の粘性は、例えば1センチポアズ(1mPa・sまたは0.001Pa・s)から200ポアズ(20Pa・s)の範囲であることができるが、この粘度は10分間せん断後、Rheomat 180粘度計を用いて、せん断速度200rpmで組成物の粘度に適した主軸を用いて測定した。
【0023】
[コロイド粒子]
「コロイド粒子の分散物」という用語は、本発明の意味する範囲内では、数平均直径が0.1から100nm、好ましくは3から30nmの間、さらに良好には5から20nmの間の粒子の分散物を意味すると理解されたい。分散媒体は、水性、水性/アルコール性、またはアルコール性媒体である。好ましくは、無機のコロイド粒子の分散の媒体は水性、水性/アルコール性、またはアルコール性媒体であり、より好ましくは、水性媒体である。
【0024】
これらの粒子は、粒子を含む組成物中で凝集せずに上記の直径を保ち、増粘特性がないが、これは、本発明のコロイド粒子の15重量%を構成する組成物が、水中で、せん断速度が10-1sに等しい場合、粘度が0.05Pa・s未満であることを意味し、この粘度はHaake製、コーンの直径が60mmで角度が2°のコーン/プレート型RheoStress RS150レオメータを用いて25℃で測定される。
【0025】
さらに、本発明による粒子の分散物は透明であり、これは、Hach 2100濁度計を用いて25℃で測定すると、水中における1重量%の粒子の分散物の濁度が200NTU未満であることを意味する。粒子がコロイド溶液を形成する特性は粒子のゼータ電位と関係があり、ゼータ電位は、Coulter Scientific Instrument製、Delsa 440SX装置を用いて測定すると、pH7、25℃で、好ましくは-20mV未満、より好ましくは-25mV未満である。
【0026】
使用される粒子は、無機の粒子である。本発明により使用できるコロイド粒子の例として、例えば、シリカ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、および二酸化チタン、それらを含む複合粒子、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。特に、Laponite XLS、Laponite XLG、Laponite RD、およびLaponite RDS(これらの製品は、ケイ酸ナトリウムマグネシウムおよびケイ酸リチウムマグネシウムナトリウムである)の名称でLaporteが販売する製品のような、ラポナイトも挙げることができる。上記に述べた様々な種類のコロイド粒子の混合物もまた、使用することができる。
【0027】
二酸化チタン粒子の水性分散物として、ナノサイズの酸化チタンの水中分散物、特にUniqemaよりTioveilの名称で販売されているもの、特にTioveil AQの名称で販売されているものを挙げることができる。
【0028】
本発明による好ましい無機のコロイド粒子は、シリカ粒子が好ましい。コロイド状のシリカ粒子は、Catalysts&Chemicalより、Cosmo S-40およびCosmo S-50の商標名で、特に水性分散物の形態で入手できる。
【0029】
コロイド状のシリカ/アルミナ複合粒子もまた、挙げることができる。「シリカ/アルミナ複合」は、アルミニウム原子が部分的にシリコン原子に置換しているシリカ粒子、すなわち酸化シリコンからなる粒子で、少なくともいくつかのシリコン原子がアルミニウム原子によって入れ替わるように表面が化学的に修飾され、多くてアルミニウムの単分子層を形成するものを意味すると理解されたい。これらの粒子の表面部分でアルミニウムで覆われた部分は、一般的に1から100%の間、好ましくは1から10%の間、さらに望ましくは4から6%の間である。これらの粒子は、特に米国特許US-2 892 797の文書で開示されたように、シリカゾルをアルミン酸ナトリウムと混合して調製することができる。これらの粒子の水性分散物は、例えばGraceよりLudox AM(登録商標)、Ludox AMX6021(登録商標)、Ludox AM-SP5B0-10418(登録商標)、およびLudox AM-SP5B0-10419(登録商標)の照会で販売されているものであることができる。
【0030】
本発明の組成物におけるコロイド粒子(有効成分として)の量は、一般的に、組成物の総重量に対して0.01から15重量%、好ましくは0.05から10重量%の範囲である。
【0031】
[乳化系]
本発明による組成物は、(i)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤と、(ii)陰イオンを少なくとも1種含む乳化系を含む。この乳化系では、非イオン性界面活性剤は油相に導入するのが一般的であり、一方陰イオン界面活性剤は水相または油相のいずれかに導入することができる。
【0032】
乳化系は、組成物の総重量に対して0.6から11重量%、好ましくは1.1から9重量%の量で存在することができる。
【0033】
1.イオン性界面活性剤
本発明の組成物に使用する非イオン性界面活性剤の融点は45℃未満であり、したがって45℃未満の温度では液体であり、特に20から44℃の範囲の温度では液体である。この非イオン性界面活性剤のHLBは10から15の範囲であり、少なくとも5個のオキシエチレン基を含む極性部分、および14から22個の炭素原子を有する少なくとも1個の分岐または不飽和のアルキル鎖を含む非極性部分を含む。
【0034】
乳化界面活性剤のHLB(親水-親油平衡)は、以下の式:
【0035】
【数1】

【0036】
に従って計算され、式中、親水性のwは親水性の基(すなわち極性部分)の重量を表し、SAの総wは界面活性剤の総重量を表す。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によれば、非イオン性界面活性剤は、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、オキシエチレン化脂肪酸多価アルコールエステル、オキシエチレン化脂肪アルコールエーテル、およびそれらの混合物から選択される。これらのオキシエチレン化界面活性剤は、少なくとも5個のオキシエチレン基を含み、このオキシエチレン基は、例えば、5から21個のオキシエチレン基、好ましくは5から18個のオキシエチレン基を含むことができる。
【0038】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルとして、例えば、PEG-8イソステアレート(すなわちポリエチレン400イソステアレート)、例えば、UniqemeよりPrisorine 3644の名称で販売されている製品、PEG-10イソステアレート、PEG-12イソステアレート、PEG-15イソステアレート、およびそれらの混合物を挙げることができる。
【0039】
オキシエチレン化脂肪酸多価アルコールエステルとして、オキシエチレン化脂肪酸グリセリルエステル、またはオキシエチレン化脂肪酸ソルビトールエステル、例えば、Zschimmer SchwartzよりOxypon 2145の名称で販売されている製品のようなPEG-15グリセリルイソステアレート、PEG-20ソルビタントリイソステアレート、およびそれらの混合物を、特に挙げることができる。
【0040】
オキシエチレン化脂肪アルコールエーテルとして、例えば、WitcoよりArosurf 66E10の名称で販売されている製品のような、イソステアレス-10を挙げることができる。
【0041】
上記に述べた界面活性剤の混合物を使用することができる。
【0042】
上記に定義した非イオン性界面活性剤の量は、例えば、組成物の総重量に対して0.5から10重量%、好ましくは1から8重量%の範囲であることができる。
【0043】
2.非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤は、より詳細には、以下の群から選択することができる。
ジケチルホスフェートおよびジミリスチルホスフェートのアルカリ塩、
コレステロールスルフェートのアルカリ塩、
コレステロールホスフェートのアルカリ塩、
アシルアミノ酸(すなわちリポアミノ酸)塩、例えば、AjinomotoよりAcylglutamate HS21の名称で販売されている、N-ステアロイル-L-グルタミン酸の二ナトリウム塩のような、モノナトリウムまたはジナトリウムアシルグルタメート、
ホスファチジン酸ナトリウム塩、
アルキルスルフェートおよびアルカンスルホネート誘導体、
および、それらの混合物。
【0044】
本発明の好ましい実施形態によると、陰イオン界面活性剤として、モノナトリウムまたはジナトリウムアシルグルタメートのようなアシルアミノ酸塩、例えば、Ajinomoto よりAcylglutamate HS21の名称で販売されているN-ステアロイル-L-グルタミン酸の二ナトリウム塩が使用される。
【0045】
陰イオン界面活性剤は、本発明のエマルション中に、組成物の総重量に対して好ましくは0.05から2重量%、より詳しくは0.1から1重量%の範囲の量で存在することができる。
【0046】
3.コサーファクタント
乳化系は、また、HLBが5未満の界面活性剤であるコサーファクタントを、1つまたは複数含むことができる。これらのコサーファクタントの融点は45℃以下であり、したがって45℃以下の温度では液体であり、特に20から45℃の温度では液体である。コサーファクタントとして、例えば、イソステアリルアルコールまたはオレイルアルコールのような脂肪アルコール、グリセリルイソステアレートのようなグリセロール脂肪酸エステル、またはソルビタンイソステアレートのようなソルビタン脂肪酸エステルを挙げることができる。コサーファクタントの量は、例えば、組成物の総重量に対して0.005から5重量%、好ましくは0.01から2重量%の範囲であることができる。
【0047】
[油相]
油相は、油性の構成成分を含み、分子量が400以上の炭化水素油を少なくとも1種含まなければならず、分子量が400以上の炭化水素油の量は、油相の総重量に対して少なくとも25重量%に相当し、例えば油相の25から100重量%、さらに望ましくは25から80重量%、いっそうさらに望ましくは油相の30から70重量%である。さらに油相は、トリグリセリドをベースとする油を、油相の総重量に対して15重量%未満含まなければならない。
【0048】
「炭化水素油」は、本特許出願において、炭素および水素原子、ならびに場合により酸素または窒素原子から本質的に形成され、実際にそれらから構成されていてもよい油で、ケイ素またはフッ素原子を含まない油を意味すると理解されたい。そのような油は、エステル、エーテル、アミン、またはアミド基を含むことができる。本発明により使用される分子量が400以上の炭化水素油は、融点が45℃未満であるアルカン、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、およびそれらの混合物から選択される。分子量が400以上の炭化水素油として、アルカン、ホホバオイル、脂肪酸エステル(例えば、イソケチルパルミテートまたはイソケチルステアレート)、植物由来の油、ジイソステアリルエーテルのような脂肪アルコールエーテルを特に挙げることができる。
【0049】
本発明により使用される、分子量が400以上の炭化水素油は、融点が45℃未満のアルカンから、特にParleam(登録商標)油のような水素化ポリイソブテン、液体ワセリン、およびそれらの混合物から選択されるのが好ましい。
【0050】
トリグリセリドをベースとする油は、分子量が400を超えるのが一般的である。しかしながら、本発明の目的を達成するためには、これらの油の量を油相の総重量に対して15重量%未満、好ましくは10重量%未満に制限しなければならず、上記に示したように、油相は乳化系の界面活性剤を含まない油性の構成成分を含む。トリグリセリドをベースとした油として、スイートアーモンド油、アボカド油、ヒマシ油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油、グレープシード油、ナタネ油、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、シアバター、ヤシ油、杏仁油、テリハボク(calophyllum)油、米ぬか油、トウモロコシ油、小麦麦芽油、ダイズ油、ヒマワリ油、マツヨイグサ油、ベニバナ油、トケイソウ油、およびライムギ油のような、植物由来の油を挙げることができる。
【0051】
油相は、分子量が400以上の炭化水素油に加えて、1つまたは複数の分子量が400未満の油、例えば分子量が400以下のシリコーン油または炭化水素油から選択した油を、さらに含むことができる。シリコーン油として、環状または直線状のシリコーン油、特に25℃において粘度が10センチストークス以下のシリコーン油、例えばシクロポリジメチルシロキサン(シクロメチコン)、例えば、シクロペンタジメチルシロキサンおよびシクロヘキサジメチルシロキサンを特に挙げることができる。分子量が400未満である炭化水素油として、例えば、イソパラフィン、例えば、イソドデカン(分子量194)、イソヘキサデカン(分子量258)またはジオクチルシクロヘキサン、脂肪酸エステル、例えば、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルネオペンタノエートまたはイソノニルイソノナノエート(分子量320)、または脂肪エーテル、例えば、ジカプリリルエーテルを挙げることができる。
【0052】
油相の量は、例えば、組成物の総重量に対して0.5から55重量%、好ましくは1から40重量%、さらに望ましくは2から40重量%、いっそうさらに望ましくは5から30重量%の範囲であることができる。
【0053】
本発明による組成物において、油相の油性構成成分の量の、乳化系の量に対する重量比は、0.8から3.5、好ましくは0.7から3の範囲である。上記に述べたように、油相の油性構成成分の量は、油相中に存在する油および他の脂肪性物質の総量、すなわち乳化系の一部を形成する界面活性剤および/またはコサーファクタント以外の油相の構成成分の量に相当する。
【0054】
[水相]
慣例的に、水性分散相は水または水の混合物、および親水性化合物からなることができ、親水性化合物は、例えば、特にグリセロール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、およびソルビトールのような多価アルコール(多水酸基のアルコール)、またはエタノール、イソプロパノール、もしくはブタノールのような水に可溶な低級アルコールである。さらに、水性分散相は、水に可溶の、または水に分散可能の補助剤を含むことが当然でき、特に水に可溶の化粧品または皮膚用補助剤が慣例的に用いられる。
【0055】
水相は、組成物の総重量に対して45から99.5重量%、好ましくは、組成物の総重量に対して60から99重量%、さらに望ましくは組成物の総重量に対して60から98重量%に相当することができる。
【0056】
[補助剤]
本発明によるエマルションの水相および/または油相に存在することのできる補助剤の中で(水溶性または脂溶性に応じて)、イオン性もしくは非イオン性の増粘剤、抗酸化剤、皮膚軟化薬、化粧品もしくは皮膚用有効成分、香料、防腐料、フィラー、金属イオン封鎖剤、顔料、染料、または企図された分野で一般に使用されるその他のあらゆる成分を、特に挙げることができる。
【0057】
当業者なら当然、任意選択の化合物、または本発明による組成物に添加するべき化合物、およびその量を注意深く選択して、想定された添加が、本発明による組成物に本質的に与える有利な特性に好ましくない影響を及ぼさない、または実質的に及ぼさないようにするであろう。
【0058】
有効成分として、例えば:
保湿剤、例えば、乳酸ナトリウム;多価アルコール、特にグリセロール、ソルビトール、またはポリエチレングリコール;マンニトール;アミノ酸;ヒアルロン酸;ラノリン;尿素および尿素を含む混合物、例えばNMF(自然保湿因子);ワセリン;N-ラウロイルピロリドンカルボキシル酸およびその塩;必須脂肪酸;精油;およびそれらの混合物、
老化防止の有効成分および角質溶解薬、例えば、α-ヒドロキシ酸、特に果物に由来する酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸、それらの誘導体、およびそれらの混合物;β-ヒドロキシ酸、例えば、サリチル酸、およびその誘導体、例えば、5-(n-オクタノイル)サリチル酸、または5-(n-ドデカノイル)サリチル酸;α-ケト酸、例えば、アスコルビン酸すなわちビタミンCおよびその誘導体、例えば、ナトリウムアスコルベート、マグネシウムアスコルビルホスフェート、またはナトリウムアスコルビルホスフェートのような塩;そのエステル、例えば、アスコルビルアセテート、アスコルビルパルミテート、およびアスコルビルプロピオネート;または、その糖、例えば、グリコシル化アスコルビン酸、およびその混合物;β-ケト酸;レチノイド類、例えば、レチノール(ビタミンA)およびそのエステル、レチナール、レチノイン酸、およびその誘導体、および仏国特許出願FR-A-2 570 377、欧州特許出願EP-A-199 636、EP-A-325 540、およびEP-A-402 072に開示されたレチノイド;アダパレン;カロチノイド;およびそれらの混合物、
ビタミン類、例えば、上記に指摘したビタミンA、およびビタミンC、およびビタミンE(トコフェロール)およびその誘導体;ビタミンB3(すなわちビタミンPP、またはナイアシンアミド)、およびその誘導体、様々な形態のビタミンB5(すなわちパンテノール、またはパンテニルアルコールまたは2,4-ジヒドロキシ-N-(3-ヒドロキシプロピル)-3,3-ジメチルブタンアミド);D-パンテノール、DL-パンテノール、およびその誘導体および類似体、例えば、カルシウムパントテネート、パンテチン、パンテテインまたはパンテニルエチルエーテル、パンガム酸、ピリドキシン、パントイルラクトース(pantoyl lactose)および、後者を含む天然化合物、例えば、ローヤルゼリー;ビタミンDおよびその類似体、例えば、国際公開パンフレットWO-A-00/26167の文書に開示されたもの;ビタミンFまたはその類似体、例えば、少なくとも1つの二重結合を有する不飽和酸の混合物、特にリノール酸の混合物、リノレン酸の混合物、およびアラキドン酸の混合物、またはそれらを含む化合物、
抗菌性物質および抗脂漏性物質、例えば、サリチル酸、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(すなわちトリクロサン)、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(すなわちトリクロカルバン)、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル、亜鉛塩、例えば、乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、亜鉛ピドレート(pidolate)、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、および/またはシステイン酸(cysteate)亜鉛、
を挙げることができる。
【0059】
増粘剤としては、増粘ポリマー、特に:
カルボキシビニルポリマー、例えば、NeveonよりCarbopolの名称(INCI名Carbomer)で販売されている製品、または、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸、例えば、GuardianよりLubrajelおよびNorgelの名称で販売されている製品、またはHispano ChimicaよりHispagelの名称で販売されている製品、
ポリアクリルアミド、
場合により、架橋結合した、および/または中和した、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸のポリマーまたはコポリマー、例えば、Clariantより「Hostacerin AMPS」(INCI名:アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド (ammonium polyacryldimethyltauramide))の名称で販売されている、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、または、例えば、油中水型エマルションの形態で提供される架橋結合したアクリルアミドのコポリマーおよびAMPSのコポリマーで、例えば、SeppicよりSepigel 305(INCI名:ポリアクリルアミド/C13-14 イソパラフィン/ラウレス-7)の名称で、およびSimulgel 600(INCI名:アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサンデカン/ポリソルベート 80)の名称で販売されているもの。疎水性部分を含むAMPSの架橋または直線状ポリマー、例えばClariantよりAristoflex SNC、LNC、およびHMSの名称で販売されている製品もまた挙げられ、
多糖類、例えば、キサンタンガム、グアーガムおよびその誘導体、例えばヒドロキシプロピルグアー、特にRhodiaよりJaguar HP105の名称で販売されているもの、ローカストビーンガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチンおよびキトサン誘導体、カラギーナン、ジェラン(gellans)、アルギネートまたはセルロース、例えば微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、例えばAqualonよりNatrosol 250HHRの名称で販売されている製品、
少なくとも1つの疎水性ブロック、および少なくとも1つの親水性ブロックを含む非イオン性ポリマー、例えばHulsよりSerad FX1010、Serad FX1100(INCI名:ステアレス-100/PEG-136/HMDIコポリマー)、およびSerad FX1035の名称で販売されているポリウレタン、RheoxよりRheolate 255、Rheolate 278、およびRheolate 244の名称で販売されているもの(INCI名:ポリエーテル-ウレア-ポリウレタン)、Rhom&HaasよりDW 1206F、DW 1206J、DW 1206B、およびDW 1206Gの名称で販売されているもの(INCI名:ポリウレタン)、およびRohm&HaasよりAcrysol RM 2020の名称で販売されているものである。また、Rohm&HaasよりAculyn46(INCI名:PEG-150ステアリルアルコール/SMDIポリマー)、およびAculyn44(INCI名:PEG-150デシルアルコール/SMDIポリマー)の名称で販売されているSMDIと脂肪アルコールとのコポリマーの水溶液も挙げることができ、
少なくとも1つの疎水性鎖を含む陰イオンポリマー、特に、少なくとも1つの疎水性鎖を含むアクリル酸またはメタクリル酸ポリマー、またはコポリマー(ターポリマーを含む)、例えば、アクリル酸もしくはメタクリル酸、またはそれらのエステルと、疎水性基を含むエチレン性不飽和を有するモノマーとの共重合で得られたコポリマー、例えば、NoveonよりPemulen TR1、Pemulen TR2、またはCarbopol 1382(INCI名:アクリレート/C10-30 アルキルアクリレートクロスポリマー)の名称で販売されている架橋結合したコポリマー;AmercholよりViscophobe DB1000の名称で販売されているメタクリル酸/メチルアクリレート/エトキシル化アルコールジメチル(メタ-イソプロペニル)ベンジルイソシアネートターポリマーの25%水溶液、National StarchよりStructure 2001の名称で販売されているアクリル酸/オキシエチレン化(20 EO)モノステアリルイタコネートコポリマーの30%水性分散物、National StarchよりStructure 3001の名称で販売されているアクリル酸/エトキシル化(20 EO)モノケチルイタコネートコポリマーの30%水性分散物、またはRohm&HaasよりAculyn 22の名称で販売されているアルカリ溶媒に可溶のアクリル酸コポリマーの30%水性分散物、
少なくとも1つの疎水性ブロックと少なくとも1つの親水性ブロックとを含む陽イオン性ポリマー、例えば、ポリクォーターニウム24、例えば、AmercholよりQuatrisoft LM200の名称で販売されている製品、
架橋結合した陽イオン性ポリマー、例えば、CibaよりSalcare SC96、および3V SigmaよりSynthalen CRの名称で販売されているポリクォーターニウム37、
を特に挙げることができる。
【0060】
フィラーとして、ナイロン-6,6繊維のような繊維、例えばPaul Bonteより販売されているものを、特に挙げることができる。
【0061】
本発明の別の主題は、これらのエマルションを調製するプロセスである。このプロセスは:
(1)撹拌による、油または油類または他の脂肪性物質、および乳化系(その全て、または非イオン性界面活性剤のみ)を含む油相(A)の調製であって、撹拌は、例えばマグネチックバーで約20℃から45℃の範囲の温度で、均一な相が得られるまで行われる調製、
(2)組成物の総重量に対して0.1から3重量%の水(B相)の(A)相への導入、および、均一な(C)相が得られるまでの混合、
(3)混合した後に均一な(E)相を得るための、組成物の総重量に対して55から75重量%の水(D相)の(C)相への添加、および
(4)水相(F相)の残りの構成成分の添加、
からなる。
【0062】
撹拌は、好ましくは、穏やかでそれゆえ低エネルギーの撹拌である、マグネチックバーまたは他のあらゆる撹拌方法で、20°から45℃の範囲であってよい温度で行う。「穏やかな撹拌」は、せん断速度1000s-1未満、好ましくは100s-1で行われる撹拌を意味すると理解されたい。
【0063】
香料または香料類は、その量が組成物の総重量の0.4%未満の場合は、任意に、F相と同時に添加することができる。それより大量の場合には、0.4%に対する余剰分を油相に添加する。したがって、組成物が1%の香料を含む場合には、0.6%が油相中に、0.4%が水相(F)中にある。
【0064】
本発明の組成物は、あらゆるケラチン性の物質、例えば、皮膚、頭皮、毛髪、まつ毛、まゆ毛、爪、または粘膜に用いることができる。この組成物は、皮膚を手入れするための製品、例えば、顔、手、もしくは身体を保護したり、処置したり、もしくは手入れをするためのクリームとして、または皮膚、頭皮、もしくは粘膜を保護したり、もしくは手入れをするためのボディミルクとして、または、例えば皮膚もしくは粘膜を清潔にする製品としての衛生用製品、またはその代わりに、毛髪用製品として、または抗日焼け製品として用いることができる。
【0065】
この組成物は、例えば、特にファンデーションを構成するために、組成物中に顔料を混合することにより、皮膚および/または毛髪をメークアップするための製品を構成することもできる。
【0066】
本発明のさらなる主題は、皮膚を手入れするための製品として、衛生用製品として、毛髪用製品として、抗日焼け製品として、およびメークアップ用品として、上記に定義した組成物を化粧品に使用することである。
【0067】
本発明の別の主題は、皮膚、頭皮、毛髪、まつ毛、まゆ毛、爪、粘膜のようなケラチン性物質の美容処置のための方法であり、上記に定義した組成物をケラチン性物質に適用することを特徴とする。
【0068】
本発明による組成物は、脂肪性の皮膚用の、またはしわのよった皮膚の処置用のマット化製品として、特に適している。
【0069】
したがって、本発明の別の主題は、脂肪性の皮膚を美容処置する方法であり、上記に定義した組成物を皮膚へ局所適用することを含む。
【0070】
本発明の別の主題は、しわのよった皮膚を美容処置する方法であり、上記に定義した組成物を皮膚へ適用することを含む。
【0071】
本発明のさらなる主題は、しわおよび小じわを滑らかにするか、もしくは和らげ、および/または皮膚を引き締めるために、上記に定義した組成物を化粧品に使用することである。
【0072】
さらに、本発明による組成物に適度な流動性がある時は、皮膚、まつ毛、および/または唇を手入れするか、清潔にするか、および/またはメークアップを取り除く目的の物品(例えば、ワイプ)を構成するために、水に不溶の支持体を含浸するのに用いることもできる。水に不溶の支持体は1つまたは複数の層を含むことができ、その支持体は、シート状、ボール状、またはフィルム状の、織布、不織布、泡、スポンジまたは詰綿からなる群から選択できる。特に、天然由来の繊維(亜麻、羊毛、綿、絹)、または合成由来の繊維(セルロース誘導体、ビスコース、ポリビニル誘導体、ポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンのようなポリオレフィン、ナイロンのようなポリアミド、またはアクリル酸誘導体)をベースとした不織布の支持体であることもできる。不織布は、Riedel著、「Nonwoven Bonding Methods & Materials」、Nonwoven World(1987)に概ね記載されている。これらの支持体は、不織布を調製する技術分野の通常の方法によって得られる。
【0073】
支持体が不織布の場合には、丸くなってボール状にならず、十分に固く皮膚に適用した時に崩壊せず毛玉ができない、厚地の不織布を使用するのが好ましい。少なくとも顔に対し、特に目からメークアップを取り除くのに、吸収性があり柔軟でなければならない。適する不織布として、例えば、BBAよりUltraloft 15285-01、Ultraloft 182-008、Ultraloft 182-010、およびUltraloft 182-016の名称で販売されているもの、FreudenbergよりVilmed M 1519 Blau、Vilmed M1550 N、および112-132-3の名称で販売されているもの、Jacob Holm IndustriesよりNorafin 11601-010Bの名称で販売されているもの、またはUni FlockageよりUnivel 109およびUnivel 119の名称で販売されているフロック加工した不織布が挙げられる。
【0074】
さらにこの支持体は、同一または異なる特性を有する1つまたは複数の層を含むことができ、目的とする使用に適した伸縮および柔軟特性、および他の特性を有することができる。支持体は、例えば国際公開パンフレット文書WO-A-99/13861で開示されたように、伸縮特性の異なる2つの部分を含むことができるか、または国際公開パンフレット文書WO-A-99/25318で開示されたように様々な密度の単一の層を含むことができるか、または国際公開パンフレット文書WO-A-98/18441で開示されたように織り方の異なる2つの層を含むことができる。
【0075】
支持体上に含浸される組成物は、求められる目的に適するあらゆる化合物、例えば、清浄ワイプを得るために発泡界面活性剤、または皮膚を手入れするワイプを得るために手入れ用有効成分を含むことができる。また、例えば、顔料を含みファンデーションを構成することができる組成物でワイプを含浸させて、皮膚のメークアップに使用することも可能である。
【0076】
したがって、本発明の別の主題は、上記に定義した組成物で水に不溶の支持体を含浸させて得られる物品である。
【0077】
本発明の別の主題は、皮膚、唇、および/またはまつ毛を手入れし、メークアップを取り除き、清潔にし、またはメークアップをするのを目的とした物品の調製に、上記に定義した組成物を使用することである。
【0078】
以下の実施例は、本発明を、その性質を限定せずに例示するものである。ここで量は、重量パーセントである。化合物は、状況に応じてINCI名または化学名で示される。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
この比較実施例により、分散物の形態で提供されないナノサイズの酸化チタンを導入しても、均一かつ安定した組成物を得ることができないが、水性分散物では均一かつ安定した組成物が得られることが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相中に分散した油相を含む水中油型エマルションの形態の局所適用のための組成物であって、油滴の平均直径が50から200nmの範囲であり、
(i)融点が45℃未満でHLBが10から15の範囲の非イオン性界面活性剤であり、少なくとも5個のオキシエチレン基を含む極性部分、および14から22個の炭素原子を有する少なくとも1個の分岐または不飽和のアルキル鎖を含む非極性部分を含む非イオン性界面活性剤を少なくとも1種と、(ii)陰イオン性界面活性剤を少なくとも1種含む乳化系を含み、
油相は、分子量400以上の炭化水素油を少なくとも1種含む油性の構成成分を含み、分子量400以上の炭化水素油の量は、油相の総重量に対して少なくとも25重量%に相当し、トリグリセリドをベースとする油の量は、油相の総重量に対し15重量%未満に相当し、
油相の油性構成成分の量の乳化系の量に対する重量比は、0.8から3.5の範囲であり、
無機のコロイド粒子の分散物を少なくとも1つ含むこと
を特徴とする組成物。
【請求項2】
非イオン性界面活性剤が、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、オキシエチレン化脂肪酸多価アルコールエステル、オキシエチレン化脂肪アルコールエーテルおよびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤が、PEG-8イソステアレート、PEG-10イソステアレート、PEG-12イソステアレート、PEG-15イソステアレート、PEG-15グリセリルイソステアレート、PEG-20ソルビタントリイソステアレート、イソステアレス-10およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
非イオン性界面活性剤の量が、組成物の総重量に対して0.5から10重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
陰イオン性界面活性剤が:
ジケチルホスフェートおよびジミリスチルホスフェートのアルカリ塩、
コレステロールスルフェートのアルカリ塩、
コレステロールホスフェートのアルカリ塩、
アシルアミノ酸塩、
ホスファチジン酸のナトリウム塩、
アルキルスルフェートおよびアルカンスルホネート、
および、これらの混合物
により形成される群から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
陰イオン性界面活性剤の量が、組成物の総重量に対して0.05から2重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
乳化系の量が、組成物の総重量に対して0.6から11重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
粒子が、水性、水性/アルコール性、またはアルコール性媒体中にあることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
粒子が、シリカ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、これらを含む複合粒子、ラポナイト、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
コロイド粒子の量が、組成物の総重量に対して0.01から15重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
分子量400以上の炭化水素油が、融点45℃未満のアルカン、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
エネルギーを投入しないで調製されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
肌の手入れ用製品、衛生用製品、毛髪用製品、抗日焼け製品、およびメークアップ製品を構成することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を、水に不溶性の支持体に含侵させて得られる物品。

【公開番号】特開2006−83169(P2006−83169A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−264352(P2005−264352)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】