説明

フィルター膜を有するキャニスター上面を含む流体収集キャニスターおよび同じものを含む陰圧創傷療法システム

流体を収集するチャンバーと、チャンバーを覆って配置されたキャニスター上面とを含む流体収集キャニスター。キャニスター上面は、チャンバーの中へ対面する底面を含み、底面は、底面上に配置された第一のリブおよび第二のリブと、第一のリブおよび第二のリブに据え付けられたフィルター膜と、チャンバーおよびチャンバーの外部の圧力供給源に連絡する第一のポートと、チャンバーおよびチャンバーの外部のセンサーに連絡する第二のポートとを含む。第一のポートは、第一の範囲に流体連絡しており、第一の範囲は、キャニスター上面のフィルター膜、第一のリブおよび第二のリブならびに底面によって境を接している。第二のポートは、第二の範囲に流体連絡しており、第二の範囲は、キャニスター上面のフィルター膜、第二のリブおよび底面によって境を接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、陰圧創傷療法システムに関し、より具体的には、フィルター膜を有するキャニスター上面を含む流体収集キャニスターと、同じものを含む陰圧創傷療法システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の考察)
吸引療法または真空療法としても公知の陰圧療法は、創傷を治療および治癒させる際に用いられてきた。開いた創傷を陰圧(例えば、減少された圧力または大気の常態値以下の圧力)を、創傷を覆う限局性レザバーに適用することによって治療することは、創傷範囲における血液循環を増やすことと、肉芽組織の形成を刺激することと、健康な組織の創傷に対する転移を促すこととによって、創傷を閉じるのを助けるということが分かっている。陰圧療法は、また、細菌が宿る傾向があり得る滲出物のような創傷流体を創傷から抜くことによって細菌増加を阻止し得る。したがって、陰圧療法は、その防腐効果および組織再生成効果に対する治癒様式として適用され得る。この技術は、慢性創傷および潰瘍ならびに治癒耐性の創傷および潰瘍を含むさまざまな創傷状態を治療することに対して効果的であると分かっており、術後創傷ケアのような他の目的に対しても用いられる。
【0003】
一般的に、陰圧療法は、創傷範囲における吸引を容易にするために、創傷を覆って位置決めされる創傷被膜を提供する。導管が創傷被膜を通して導入されることによって、病院真空システムまたは可搬真空ポンプのような外部真空供給源への流体連絡を提供する。したがって、大気、創傷滲出物または他の流体がレザバーから流体導管を通して抜かれ得、創傷の治癒を刺激する。一般的に、創傷から吸入された流体を収集する流体収集キャニスターは、創傷被膜と真空供給源との間の吸引ラインに位置決めされる。したがって、レザバーから流体導管を通して抜かれた滲出物は、収集キャニスターの中に集積され得る。
【0004】
治療の間、陰圧創傷療法システム内の真空レベルは、監視および制御され得る。真空レベルを測定するために用いられ得る圧力計、スイッチ、変換器および送信器のようなさまざまな圧力検知デバイスがある。さまざまな構成要素の流体連絡が陰圧創傷療法システムにおける真空レベルを正確に測定する能力を落とす場合、陰圧創傷療法システムは、きちんと機能しない場合がある。収集キャニスターが直立から傾けられた場合、流体は、圧力検知デバイスと連絡しているフィルターをふさぎ得、陰圧創傷療法システムにおける真空レベルの正確な測定を妨げる。これは、陰圧創傷療法システムが空気の漏出物がシステムに存在するかのように反応する原因となり得、収集キャニスター内の真空レベルが制御されなくなる原因となり得、これらは、患者に対する誤った療法という結果になり得る。
【0005】
収集キャニスターの詰め込み過ぎを妨げる機構は、陰圧創傷療法システムのさまざまな構成要素の流体汚染を妨げ得、滲出物の漏れまたは漏出を妨ぐのを助け得る。治療の間、収集キャニスターは、収集キャニスターが充満している場合、真空供給源への空気の流れを遮断する収集キャニスターの上面における疎水性フィルターによって詰め込み過ぎから妨げられ得る。患者によって着用または搬送され得る可搬陰圧創傷療法システムにおいて、患者が動き回っている間に、装置は、さまざまな方向へ移り、収集キャニスターが充満していない場合、滲出物がフィルターをふさぐことを可能にする可能性がある。不注意にも患者が動き回っている間にフィルターがつまった場合、または収集キャニスターがひっくり返った場合、陰圧療法は、停止または中断され得る。陰圧創傷療法システムにおける真空レベルの正確な測定を可能にし、陰圧療法を収集キャニスターのさまざまな方向に提供する能力を有する陰圧創傷療法システムに対する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
本開示は、流体を収集するチャンバーと、チャンバーを覆って配置されたキャニスター上面とを含む流体収集キャニスターに関する。キャニスター上面は、チャンバーの中へ対面する底面を含み、底面は、底面上に配置された第一のリブおよび第二のリブと、第一のリブおよび第二のリブに据え付けられたフィルター膜と、チャンバーおよびチャンバーの外部の圧力供給源に連絡する第一のポートと、チャンバーおよびチャンバーの外部のセンサーに連絡する第二のポートとを含む。第一のポートは、第一の範囲に流体連絡しており、第一の範囲は、キャニスター上面のフィルター膜、第一のリブおよび第二のリブならびに底面によって境を接している。第二のポートは、第二の範囲に流体連絡しており、第二の範囲は、キャニスター上面のフィルター膜、第二のリブおよび底面によって境を接している。
【0007】
本開示は、また、陰圧を創傷に適用するために創傷を覆って位置決めする被覆材アセンブリと、被覆材アセンブリに流体連絡しているキャニスターアセンブリとを含む可搬陰圧創傷療法装置に関する。キャニスターアセンブリは、制御ユニットと、制御ユニットに配置された真空供給源と、制御ユニットに連絡している圧力センサーと、収集キャニスターとを含む。収集キャニスターは、創傷流体を被覆材アセンブリから収集するチャンバーと、チャンバーを覆って配置されたキャニスター上面(キャニスター上面は、チャンバーの中へ対面する底面を含み、底面は、底面上に配置された第一のリブおよび第二のリブを含む)と、被覆材アセンブリに流体連絡している入口ポート(入口ポートは、創傷流体を被覆材アセンブリからチャンバーの中へ導入する)と、キャニスター上面上に設けられた吸引ポート(吸引ポートは、チャンバーおよび真空供給源に連絡する)と、キャニスター上面上に設けられた圧力センサーポート(圧力センサーポートは、チャンバーおよび圧力センサーポートに連絡する)と、第一のリブおよび第二のリブに据え付けられたフィルター膜とを含む。圧力センサーポートは、第一のチャンバーに流体連絡しており、第一のチャンバーは、キャニスター上面のフィルター膜、第一のリブおよび第二のリブならびに底面によって境を接している。吸引ポートは、第二のチャンバーに流体連絡しており、第二のチャンバーは、キャニスター上面のフィルター膜、第二のリブおよび底面によって境を接している。
【0008】
本開示の陰圧創傷療法システムの目的および特徴は、そのさまざまな実施形態の説明が添付の図面を参照して読まれた場合、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本開示に従った陰圧創傷療法システムの実施形態の概略図である。
【図2】図2は、本開示に従ったキャニスターアセンブリを含む陰圧創傷療法システムの実施形態の概略図である。
【図3】図3は、図2において例示された陰圧創傷療法システムのキャニスターアセンブリの概略図である。
【図4】図4は、線4−4に沿って取られた図2において示されるキャニスターアセンブリの収集キャニスターの断面図である。
【図5】図5は、図4において示された収集キャニスターのキャニスター上面の低面図である。
【図6】図6は、本開示に従った収集キャニスターのキャニスター上面の別の実施形態の概略図である。
【図7】図7は、図6において例示されたキャニスター上面の概略図であり、本開示に従って、フィルター膜と共に示される。
【図8】図8は、破線で示された図6の外方密閉リブおよび隔離リブを有する図7において例示されたキャニスター上面の概略図である。
【図9】図9は、本開示に従った収集キャニスターの別の実施形態の断面図である。
【図10】図10は、図9において示された収集キャニスターのキャニスター上面の低面図である。
【図11】図11は、図10において例示されたキャニスター上面の概略図であり、本開示に従って、フィルター膜と共に示される。
【図12】図12は、破線で示された図10の外方密閉リブおよび隔離リブを有する図11において例示されたキャニスター上面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(詳細な説明)
本開示のさまざまな実施形態は、創傷流体を収集するチャンバーと、チャンバーを覆って配置されたキャニスター上面とを有する収集キャニスターを含む陰圧創傷療法システム(または装置)を提供する。本開示の陰圧創傷療法システムの実施形態は、一般的に、さまざまな治療様式に従った創傷の治癒を容易にするために、陰圧を創傷に適用する際の使用に対して適切である。本開示の陰圧創傷療法システムの実施形態は、全体的に可搬であり、ユーザが療法期間中に完全に動き回り得るように、ユーザによって着用または搬送され得る。本開示の陰圧創傷療法装置およびその構成要素の実施形態は、全体的に再利用可能であり得るか、または所定の期間の使用の後、全体的に使い捨てであり得るか、または個別(構成要素のうちのいくつかは、続く療法適用のために再利用される)に使い捨てであり得る。本開示の収集キャニスターの実施形態は、真空供給源からの吸引を可能にし、キャニスター真空レベルの監視を可能にする制御ユニットにインターフェースで接続する。
【0011】
以後、本開示の陰圧創傷療法システムの実施形態が添付の図面を参照して説明される。類似の参照数字は、図の説明を通して類似要素または同一要素を指し得る。この説明において用いられた場合、「創傷滲出物」または単に「滲出物」は、一般的に、創傷からのいずれかの流体排出物(例えば、血液、漿液および/または膿など)を指す。この説明において用いられた場合、「流体」は、一般的に、液体、気体または両方を指す。この説明において用いられた場合、「圧力」は、一般的に、陽圧、陰圧または両方を指す。この説明において用いられた場合、「圧力」は、周囲大気圧に対して測定される。したがって、陽圧は、周囲大気圧よりも大きい圧力を指し、陰圧(または真空)は、周囲大気圧よりも小さい圧力を指す。本明細書において用いられた場合、「送信ライン」は、一般的に、1つの点から別の点への信号の伝達のために用いられ得るいずれかの送信媒体を指す。
【0012】
図1を参照すると、本開示の実施形態に従った陰圧創傷療法装置が、健康な皮膚「s」によって囲まれた創傷床「w」における使用に対して、全体的が10として描写される。陰圧創傷療法装置10は、創傷床「w」を覆って位置決めされた創傷被覆材12を含み、創傷範囲における陰圧を維持するために創傷床「w」の周りに真空チャンバー14を規定する。創傷被覆材12は、接触層18、創傷フィルター20および創傷カバー24を含む。
【0013】
接触層18は、創傷床「w」内の設置が意図されており、相対的に非支持的であり得るか、可撓性であり得ることによって、創傷床「w」の形態に実質的に一致する。さまざまな材料が接触層18として用いられ得る。接触層18選択は、患者の状態、創傷周囲の皮膚の状態、滲出物の量および/または創傷床「w」の状態のようなさまざまな要因に依り得る。接触層18は、穿孔を有するフィルム材料から形成され得る。接触層18の多孔的特性は、滲出物が創傷床「w」から接触層18を通り通過することを可能にする。接触層18を通った創傷滲出物の通過は、滲出物が創傷床「w」に流れ戻らないように、実質的に一定方向であり得る。一定方向の流れは、指向性アパーチャ(例えば、接触層18から突出している起伏形態または円錐形状形態の頂点に位置決めされたアパーチャ)によって仕向けられ得る。また、接触層18を接触層18の吸収特徴とは異なる吸収特徴を有する材料によって薄板をかぶせるか、または指向性の流れを促す材料を選択することによって一定方向の流れは仕向けられ得る。非付着性材料は、接触層18が取り外されたとき、接触層18が創傷床「w」または周囲の組織に接着しないように接触層18を形成するために選択され得る。接触層18としての使用に適切であり得る材料の一例は、Tyco Healthcare Group LP(Covidienとの名称で事業経営中)によって提供される商標XEROFLOW(登録商標)の下に市販で入手可能である。接触層18としての使用に適切であり得る材料の別の例は、Tyco Healthcare Group LP(Covidienとの名称で事業経営中)によって提供される市販で入手可能なCURITY(登録商標)非付着性被覆材である。
【0014】
創傷フィルター20は、創傷床「w」において接触層18を覆って位置決めされ、創傷滲出物を移すことが意図される。創傷フィルター20は、いずれかの創傷床「w」の形状を受けるのに十分であり、いずれかの段階(例えば、健康な皮膚「s」の段階)までパッキングされ得るか、または創傷フィルター20が健康な皮膚「s」に対して突出するように創傷に過剰に詰め込むのに十分である。創傷フィルター20は、感染の発生数を減らすポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)のような薬剤によって扱われ得るか、および/または創傷治癒を促す他の薬物によって扱われ得る。さまざまな材料が創傷フィルター20として用いられ得る。創傷フィルター20としての使用に適切であり得る材料の例は、Tyco Healthcare Group LP(Covidienとの名称で事業経営中)によって提供される商標KERLIX(商標)AMD(商標)の下に市販で入手可能である抗菌被覆材である。
【0015】
カバー層24は、少なくともカバー層24の一部(例えば、カバー層24の外縁部26)における生体親和性接着剤を含み得る可撓性膜(例えば、ポリマーフィルムまたはエラストマーフィルム)から形成され得る。あるいは、カバー層24は、実質的に硬質な部材であり得る。カバー層24は、カバー層24の外縁部26における生体親和性接着剤の実質的に連続的なバンドが実質的に流体密な密閉を周囲の皮膚「s」と形成するように、創傷床「w」を覆って位置決めされ得る。カバー層24としての使用に適切であり得る材料の例は、Tyco Healthcare Group LP(Covidienとの名称で事業経営中)によって提供される商標CURAFORM ISLAND(登録商標)の下に市販で入手可能である。
【0016】
カバー層24は、微生物バリアと流体バリアとの両方として作用し得ることによって、汚染が創傷床「w」に入ることを妨げ、カバー層24の一体性を維持するのを助ける。
【0017】
一実施形態において、カバー層24は、例えば、創傷床「w」と大気との間で酸素および水分の交換を促す水蒸気透過性膜から形成される。適切な水蒸気透過率(MVTR)を提供し得る膜の例は、Tyco Healthcare Group LP(Covidienとの名称で事業経営中)によって提供される商標名POLYSKIN(登録商標)IIの下に市販で入手可能な透明膜である。透明膜は、創傷状態の視覚的評価をカバー層24の取り外しを要求せずに行うことを可能にする助けをし得る。
【0018】
創傷被覆材12は、真空システムへの真空チャンバー14の接続を容易にするフランジ34を有する真空ポート30を含み得る。真空ポート30は、硬質または可撓性の小さい構成要素として構成され得、導管36を解除可能に流体蜜な態様で受け取るように適合され得る。少なくともフランジ34の下側の一部における接着剤は、真空ポート30をカバー層24に取り付ける機構を提供するために用いられ得る。真空ポート30およびフランジ34の相対的な位置、サイズおよび形状は、図1において描写された実施形態とは変わり得る。例えば、フランジ34は、少なくともフランジ34の上面側面の一部における接着剤が真空ポート30をカバー層24に取り付けるように、真空チャンバー14内に位置決めされ得る。真空ポート30の空洞な内側部分は、導管36と真空チャンバー14との間に流体連絡を提供する。導管36は、真空ポンプ30から延在し、真空チャンバー14と真空供給源40との間に流体連絡を提供する。あるいは、流体連絡に導管36を提供するために他の用意がなされた場合、真空ポート30は、被覆材12に含まれない場合がある。
【0019】
いずれか適切な導管が導管36として用いられ得、可撓性エラストマーまたはポリマー材料から製造された導管を含む。図1において例示された陰圧創傷療法装置10において、導管36は、第一の導管セクション36A、第二の導管セクション36B、第三の導管セクション36Cおよび第四の導管セクション36Dを含む。第一の導管セクション36Aは、真空ポート30から延在し、流体ライン連結100を介して第二の導管セクション36Bに連結され、第二の導管セクション36Bは、収集キャニスター38へ延在する。第三の導管セクション36Cは、収集キャニスター38から延在し、別の流体ライン連結100を介して第四の導管セクション36Dに連結され、第四の導管セクション36Dは、真空供給源40へ延在する。導管36の導管セクションの形状、サイズおよび/または数は、図1において描写される第一の導管セクション36A、第二の導管セクション36B、第三の導管セクション36Cおよび第四の導管セクション36Dとは変わり得る。
【0020】
導管36の第一の導管セクション36A、第二の導管セクション36B、第三の導管セクション36Cおよび第四の導管セクション36Dは、装置10の構成要素に、例えば、摩擦ばめ、バヨネット連結または有刺コネクターのような従来の気密な手段によって接続され得る。接続は永続的にされ得る。あるいは、急速な接続解除手段または他の解除可能接続手段がいく分かの調節柔軟性を装置10に提供するために用いられ得る。
【0021】
収集キャニスター38は、創傷流体を含むために適切ないずれかのタイプの容器から形成され得る。例えば、半硬質プラスチックボトルが収集キャニスター38として用いられ得る。可撓性ポリマーポーチまたは他の空洞な容器体が収集キャニスター38として用いられ得る。収集キャニスター38は、創傷流体またはごみを統合するか、あるいは創傷流体またはごみを含む吸収性材料を含み得る。例えば、高吸水性高分子(SAP)、シリカゲル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポタシウムポリアクリアマイドまたは関連化合物が収集キャニスター38内に提供され得る。少なくともキャニスター38の一部は、例えば、滲出物の色、質および/または量を評価するのを助けるために創傷滲出物の視覚的評価を可能にする透明または半透明であり得る。収集キャニスター38の透明または半透明な部分は、キャニスターの残りの容量または空いている容積を決定するのを助けるために視覚的評価を可能にし得るか、および/または収集キャニスター38を取り替えるかどうかを決定するのを助け得る。
【0022】
収集キャニスター38は、第一の導管セクション36Aと第二の導管セクション36Bとを介して創傷被覆材12と流体連絡している。第三の導管セクション36Cおよび第四の導管セクション36Dは、収集キャニスター38を真空供給源40に接続する。真空供給源40は、陰圧を収集キャニスター38に生成するか、そうでない場合は、陰圧を収集キャニスター38に提供する。真空供給源40は、蠕動ポンプ、ダイアフラムポンプまたは他の適切な機構を含み得る。真空供給源40は、生体親和性であり得、十分な治療真空レベルを維持または引き出すように適合され得る小型ポンプまたはマイクロポンプであり得る。達成される大気の常態値以下の圧力の真空レベルは、約20mmHgから約500mmHgの範囲であり得る。実施形態において、真空レベルは、約75mmHgから約125mmHg、または約40mmHgから約80mmHgであり得る。真空供給源40として用いられ得る蠕動ポンプの一例は、Tyco Healthcare Group LP(Covidienとの名称で事業経営中)によって提供される市販で入手可能なKangaroo PET Eternal Feeding Pumpである。真空供給源40は、例えば、交流(AC)モーター、直流(DC)モーター、ボイスコイルアクチュエーター、ソレノイドなどを含む当業者によって公知のいずれかの手段であり得るアクチュエーター(示されていない)によって作動され得る。アクチュエーターは、真空供給源40内に組み込まれ得る。
【0023】
実施形態において、陰圧創傷療法装置10は、導管セクションの選択可能な連結および連結解除を可能にする1つ以上の流体ライン連結100を含む。例えば、流体ライン連結100は、係合された場合、第一の導管セクション36Aと第二の導管セクション36Bとの間で流体連絡を維持するために用いられ得、係合解除された場合、第一の導管セクション36Aと第二の導管セクション36Bとの間で流体の流れを中断し得る。したがって、流体ライン連結100は、陰圧創傷療法装置10の構成要素の接続、接続解除または維持を容易にし得、収集キャニスター38の取り替えを含む。1つ以上の流体ライン連結100をいずれかの位置において導管36と一致して、さらに、または代わりに取り替えることは、他の処置を容易にし得る。例えば、図1において描写される第三の導管セクション36Cと第四の導管セクション36Dとの間の流体ライン連結100を取り替えることは、真空供給源40の点検を容易にする。
【0024】
図2を参照すると、全体が200として示される陰圧創傷療法システムが被覆材アセンブリ210、創傷ポートアセンブリ220、延長アセンブリ230およびキャニスターアセンブリ240を含む。被覆材アセンブリ210は、創傷範囲を覆って位置決めされ、陰圧を創傷範囲において維持するために創傷範囲の周りに真空チャンバーを規定する。被覆材アセンブリ210は、例えば、接着性覆いを用いて外部からの空気漏出から実質的に密閉され得る。創傷ポートアセンブリ220は、被覆材アセンブリ210に搭載される。例えば、創傷ポートアセンブリ220は、創傷ポートアセンブリ220を被覆材アセンブリ210に取り付けるために、創傷ポートアセンブリ220の外縁部において実質的に連続的な接着剤のバンドを含み得る。延長アセンブリ230は、創傷ポートアセンブリ220とキャニスターアセンブリ240との間に連結され、流体流れ経路を創傷ポートアセンブリ220とキャニスターアセンブリ240との間に規定する。創傷ポートアセンブリ220の空洞な内側は、流体連絡を延長アセンブリ230と被覆材アセンブリ210の内側との間に提供する。図2において示される被覆材アセンブリ210および創傷ポートアセンブリ220は、図1の創傷被覆材12の構成要素に類似し、そのさらなる説明は簡潔さのために省略される。
【0025】
キャニスターアセンブリ240は、制御ユニット246と制御ユニット246より下に配置された収集キャニスター242とを含む。制御ユニット246および収集キャニスター242は、解除可能に連結され得る。制御ユニット246および収集キャニスター242を選択的に連結および連結解除する機構は、ファスナー、ラッチ、クリップ、ストラップ、バヨネットマウント、磁気連結器および他のデバイスを含む。収集キャニスター242は、創傷流体を含むために適切ないずれかの容器を含み得る。実施形態において、キャニスターアセンブリ240は、収集キャニスター242が制御ユニット246から連結解除された場合、ユーザの直接の環境への滲出物の流出を実質的に妨げるように構成されている。
【0026】
一実施形態において、陰圧創傷療法システム200は、連続モードまたは交互モードで動作する能力を有する。連続モードにおいて、制御ユニット246は、ポンプ(例えば、図3において示される吸引ポンプ360)を制御することによって被覆材アセンブリ210内に減少された圧力状況を作るために収集キャニスター242において選択された真空レベルを連続的に供給する。交互モードにおいて、制御ユニット246は、ポンプを制御することによって、収集キャニスター242において、予め設定され、固定された時間量の間の例えば約80mmHgの第一の陰圧と、収集キャニスター242において、予め設定され、固定された異なる時間量の間の例えば約50mmHgの第二の陰圧とを交互供給する。
【0027】
一般的に、ポンプの出力は、陰圧創傷療法システム200における空気漏出の程度と、収集キャニスター242における空いている容積とに直接関連している。システム200(例えば、被覆材アセンブリ210)において十分な空気漏出がある場合、ポンプは、連続モードのままであり得、制御ユニット246は、収集キャニスター242における陰圧をポンプ速度を調節することによって制御し得る。あるいは、システム200においてポンプが連続モードであり続けることを可能にする十分な空気漏出がない場合、制御ユニット246は、収集キャニスター242における陰圧をポンプをオンおよびオフにする(例えば、オン/オフの等しくない時間期間の間)ことによって制御し得る。
【0028】
制御ユニット246は、アラームを合図することによってさまざまな感知された事象に応答する。さまざまなタイプの状態は、アラームによって合図され得る。実施形態において、制御ユニット246は、故障圧力センサー状態、使用オドメーター無効状態、監視リセット状態、故障ポンプ状態、漏出物状態、取り替えキャニスター状態、過剰真空状態、故障LED状態、低バッテリー状態、超低バッテリー状態および故障バッテリー状態に対してアラームを合図する能力を有する。優先レベルがアラームに関連付けられ得る。実施形態において、アラームの優先レベルは、低優先アラーム、中優先アラーム、システムアラーム(最高優先)である。低優先アラームは、起動された場合、連続的に示され得る。中優先アラームおよびシステムアラームは、起動された場合、フラッシュ表示を有し得る。
【0029】
制御ユニット246は、ポンプ(例えば、図3において示される吸引ポンプ360)の動作をアラームに応答して(例えば、アラームタイプおよび/または優先レベルに依って)停止させ得る。実施形態において、制御ユニット246は、ポンプの動作をシステムアラーム(例えば、故障圧力センサーシステムアラーム、使用オドメーター無効システムアラーム、監視リセットシステムアラーム、故障ポンプシステムアラーム、過剰真空システムアラームおよび/または故障LEDシステムアラーム)に応答して停止させる。
【0030】
制御ユニット246がポンプ速度を増やすことによって補うことができない空気漏出物が陰圧創傷療法システム200(例えば、被覆材アセンブリ210)において出現した場合、制御ユニット246はアラームを示し得る。例えば、真空レベルがその時点での設定点より下(または設定点範囲の最小レベルより下)で動作が連続して2分続いた後、制御ユニット246は、漏出物アラームを示し得る。
【0031】
可聴表示手段もユーザに状態(例えば、漏出物状態、キャニスターアセンブリ傾斜状態、故障圧力センサー状態、故障ポンプ状態、過剰真空状態または低バッテリー状態)を通知するために制御ユニット246に組み込まれ得るか、または関連付けられ得る。いくつかのアラームタイプに対する音声表示は、一時停止アラームボタン(示されていない)を押すことによって一時停止され得る。
【0032】
実施形態において、制御ユニット246は、ユーザインターフェース(示されていない)を含む。制御ユニット246は、また、プロセッサ(例えば、図3において示されるプロセッサ310)を含む。圧力センサー(例えば、図3において示される圧力センサー340)は、プロセッサに電気連結される。ユーザは、キャニスターアセンブリ240を電力ボタン(示されていない)を押すことによってオンにする。電力ボタンが押された場合、制御ユニット246は、始動中に一連の内部チェックを遂行する。一実施形態において、始動タスクが成功して完了した後、制御ユニット246は記憶されている設定を用いてポンプ360をオンにする。キャニスターアセンブリ240の最初の作動時には、記憶されている設定はデフォルト設定である。一実施形態において、ポンプ360を制御するデフォルト設定は、80mmHgであり、連続モードである。一実施形態において、その時点で記憶されている真空レベル設定はユーザによって(例えば、50mmHgに)変えられ得る。一実施形態において、その時点で記憶されているモード設定はユーザによって(例えば、交互モードに)変えられ得る。
【0033】
キャニスターアセンブリ240は、LuciteTMポリカーボネート、金属、金属合金、プラスチックまたは通常の使用中に適用された力に耐久する能力を有する他の耐久可能材料のようなさまざまな材料から構築され得、誤使用から結果として生じる可能性のある過剰な力に耐久する能力をいく分か有し得る。収集キャニスター242は、収集キャニスター242内に含まれた滲出物の量の視覚的評価を促すために流体レベルマークまたは流体レベル目盛りを有するウィンドウ(示されていない)を含み得る。したがって、透明収集キャニスターまたは部分的透明キャニスター242は、収集キャニスター242の残りの容量を決定するか、および/またはいつ収集キャニスター242が取り替えられるべきかを決定するのを助け得る。
【0034】
図3を参照すると、図2において例示されるキャニスターアセンブリ240の実施形態が示され、制御ユニット246および収集キャニスター242を含む。実施形態において、キャニスターアセンブリ240は、延長アセンブリ230を介して被覆材(例えば、図1において示される被覆材12)へ連結されることによって、さまざまな治療様式に従って創傷の治癒を容易にするために陰圧を創傷に適用する。
【0035】
収集キャニスター242は、創傷流体を被覆材アセンブリから収集するチャンバー335と、チャンバーを覆って配置されたキャニスター上面336と、チャンバー335および吸引ポンプ360に連絡する吸引ポート374と、創傷流体を被覆材アセンブリからチャンバー335へ導入するキャニスター入口ポート334と、チャンバー335および圧力センサー340に連絡する圧力センサーポート396とを含む。吸引ポート374は、収集キャニスター242および制御ユニット246が一緒に据え付けられた場合、適切な密閉を吸引ポートに提供するために外径上にOリングを含み得る。収集キャニスター242は使い捨てであり得る。収集キャニスター242は、使い捨てであるきせ金を含み得る。
【0036】
実施形態において、キャニスター入口ポート334は、延長アセンブリ230に連結される。キャニスター入口ポート334は、延長アセンブリ230に従来の気密手段および流体密手段によって接続可能であり得る。実施形態において、キャニスター入口ポート334は、延長アセンブリ230の端部をキャニスター入口ポート334に固定するルアーロックまたは当業者の範囲内である他のコネクターを含み得る。キャニスター入口ポート334は、収集キャニスター242が制御ユニット246から分離されたときの滲出物の漏出およびチャンバー335からのにおいを妨げるための使用に対するキャップを受け取るように構成され得る。代替の実施形態において、キャニスター入口ポート334は、被覆材アセンブリに流体連絡しているキャニスター入口導管(例えば、図2において示されるキャニスター入口導管250)に連結される。
【0037】
実施形態において、制御ユニット246は、吸引ポンプ360、ポンプ入口導管372、ポンプ出口導管362、圧力センサー340および圧力センサー導管352を含む。さらに、第一のフィルター要素376および/または第二のフィルター要素354が含まれ得る。第一の接続チャネル378は、第一のフィルター要素376とキャニスター上面336上に設けられた吸引ポート374との間に流体連絡を提供するために含まれ得る。第二の接続チャネル356は、第二のフィルター要素354とキャニスター上面336上に設けられた圧力センサーポート396との間に流体連絡を提供するために含まれ得る。
【0038】
吸引ポンプ360は、シリンダーを通して引かれたピストンによって発生した陰圧を提供し得る。吸引ポンプ360は、蠕動ポンプまたはダイアフラムポンプであり得る。吸引ポンプ360は、手動ポンプまたはオートメーション化ポンプであり得る。オートメーション化ポンプは、可搬ポンプ(例えば、十分な治療真空レベルを維持または引き出す小さいポンプまたは小型ポンプ)の形態であり得る。一実施形態において、吸引ポンプ360は、可搬であり、軽量であり、バッテリー動作であり、DCモーター駆動ポンプである。振動減衰テープ(示されていない)(例えば、粘弾性減衰テープ)が吸引ポンプ360の外方表面に適用され得ることによって、振動およびそれの関連付けられた騒音を減少させる。吸引ポンプ360は、自身のサブハウジング(示されていない)内に含まれ得る。サブハウジングは、実質的に全体が、例えば、吸引ポンプ360の動作中の排気の音エネルギーを減少させることによって音緩和を提供するサイレンサーとして用いられる成形気泡から形成され得、炭素装荷気泡を含み得る。吸引ポンプ360は、陰圧を収集キャニスター242のチャンバー335内に空気を吸引ポート374を通して引くことによって提供する。吸引ポンプ360からの排出空気は、排出ポート(示されていない)を通してポンプ出口導管362を介して換気される。ポンプ出口導管362は、ポンプ360からの排出空気を濾過する1つ以上のフィルター(示されていない)に連結され得る。
【0039】
実施形態において、制御ユニット246および収集キャニスター242が動作可能に互いに連結された場合、ポンプ入口導管372は、吸引ポンプ360とキャニスター上面336上に設けられた吸引ポート374との間に流体連絡を提供する。代替の実施形態において、第一のフィルター要素376は、吸引ポンプ360と吸引ポート374との間に配置される。ポンプ入口導管372は、流体連絡を吸引ポンプ360と第一のフィルター要素376との間に提供するように適合され得る。第一のフィルター要素376は、1つ以上のフィルターを含み得、吸引ポンプ360の中への滲出物の流入を実質的に妨げるように構成されている。実施形態において、制御ユニット246は、第一のフィルター要素376がつまった場合、吸引ポンプ360の動作を停止する。さまざまなフィルターが第一のフィルター要素376として用いられ得る。一実施形態において、第一のフィルター要素376は、流体が吸引ポンプ360の中へ流入することと、電子機器または空気構成要素へのダメージの潜在的な原因となることとを実質的に妨げる疎水性フィルターを含む。
【0040】
圧力センサー340は、収集キャニスター242と流体連絡していることによって収集キャニスター242のチャンバー335内の真空レベルを検知する。実施形態において、圧力センサー340は、チャンバー335内の真空レベルの関数として変わる電気信号を生成し、信号は、プロセッサ310に連絡される。圧力センサー340およびポンプ360に関連付けられたロジックは、圧力センサー340によって検知された真空レベルに応答してポンプ360のスピードを減少させ得るか、またはポンプ360の動作を停止させ得る。圧力を検知する能力を有するいずれか適切なデバイスが圧力センサー340として使用され得、圧力スイッチまたは圧力変換器または送信器を含むが、それらに限定されない。
【0041】
実施形態において、制御ユニット246および収集キャニスター242が動作可能に互いに連結された場合、圧力センサー導管352は、圧力センサー340とキャニスター上面336上に設けられた圧力センサーポート396との間に流体連絡を提供する。代替の実施形態において、第二のフィルター要素354は、圧力センサー340と圧力センサーポート396との間に配置される。圧力センサー導管352は、圧力センサー340と第二のフィルター要素354との間に流体連絡を提供するように適合され得る。第二のフィルター要素354は、1つ以上のフィルターを含み得、圧力センサー340の中への滲出物の流入を実質的に妨げるように構成されている。さまざまなフィルターが第二のフィルター要素354として用いられ得る。一実施形態において、第二のフィルター要素354は、圧力センサー340の流体汚染を実質的に妨げる疎水性フィルターを含む。
【0042】
実施形態において、制御ユニット246および収集キャニスター242が動作可能に互いに連結された場合、第一の接続チャネル378は、流体連絡を第一のフィルター要素376と吸引ポート374との間に提供する。第一の接続チャネル378は、制御ユニット246の底面上に設けられた制御吸引ポート(示されていない)に連結され得、制御ユニット246および収集キャニスター242が一緒に接合した場合、第一の接続チャネル378は、キャニスター上面336上に設けられた吸引ポート374と係合するように構成され得る。実施形態において、制御ユニット246および収集キャニスター242が動作可能に互いに連結した場合、第二の接続チャネル356は、流体連絡を第二のフィルター要素354と圧力センサーポート396との間に提供する。第二の接続チャネル356は、制御ユニット246の底面上に設けられた制御ユニット圧力センサーポート(示されていない)に連結され得、制御ユニット246および収集キャニスター242が一緒に接合された場合、キャニスター上面336上に設けられた圧力センサーポート396と係合するように構成され得る。
【0043】
制御ユニット246は、また、プロセッサ310を含む。実施形態において、プロセッサ310は、送信ライン341を介して圧力センサー340に電気連結され、送信ライン361を介して吸引ポンプ360に電気連結される。プロセッサ310は、いずれかのタイプの計算機器、コンピュータ回路、または制御ユニット246のメモリ(示されていない)の中に記憶されている一連の指令を実行する能力を有するいずれかのタイプのプロセッサまたは処理回路を含み得る。一連の指令は、本明細書において説明される機能を遂行するプロセッサ310による実行のために、伝播された信号を介して送信され得、本開示に従った技術的効果を達成する。制御ユニット246は、また、ユーザインターフェース(示されていない)を含み得る。
【0044】
キャニスターアセンブリ240は、また、センサー320を含み得る。実施形態において、センサー320は、抵抗、静電容量または電圧を測定し、フィードバックを状態を示すプロセッサ310に提供するために用いられる。実施形態において、電気回路328は、送信ライン321を介してセンサー320とプロセッサ310との間に電気連結される。電気回路328は、センサー320に関連付けられた電気特徴を検知するように構成されており、さまざまな構成要素を含み得る。電気回路328は、図3において別個の回路として示されるが、電気回路328は、センサー320、プロセッサ310または他の構成要素の中に組み込まれ得る(例えば、プロセッサ310に関連付けられたプリント回路基板(示されていない))。
【0045】
センサー320は、電極対(例えば、図4において示される電極対425A、425B)を含み得る。センサー320は、複数の電極対を含み得る。実施形態において、電極が収集キャニスター242における滲出物に同時に接触したときに生じる抵抗、静電容量または電圧フィードバックにおけるいずれかの変化は、取り替え収集キャニスター状態または充満収集キャニスター状態(後に、本開示において説明される)を示すために用いられる。センサーおよび電気回路実施形態の例は、2009年________に出願された名称が「SENSOR WITH ELECTRICAL CONTACT PROTECTION FOR USE IN FLUID COLLECTION CANISTER AND NEGATIVE PRESSURE WOUND THERAPY SYSTEMS INCLUDING SAME」の同一人に譲渡された米国特許出願第________号において開示されており、その開示は、本明細書において参照することによって全体が援用される。
【0046】
図4を参照すると、図3において例示されるキャニスターアセンブリ240の収集キャニスター242の実施形態が示され、キャニスター上面336、長さ「L」を有するチャンバー335、キャニスター入口ポート334、吸引ポート374および圧力センサーポート396を含む。図3のセンサー320は、図4における電極対425A、425Bとして示される。実施形態において、電位(または電圧)が電極425A、425Bに印加される。電圧が供給され、電極425A、425Bが同時にイオン流体(例えば、滲出物)に接触した場合、流体におけるイオンと電気的に偏極された電極425A、425Bとの間に生じる電気化学的反応を介して電流が流れる。
【0047】
実施形態において、1対以上の電極対(例えば、図4において示される電極対425A、425B)は、電気回路(例えば、図3において示される電気回路328)に連結される。電気回路は、単数または複数の電極対に関連付けられた電気特性を検知するように構成されている。実施形態において、電流の流れの結果としての単数または複数の電極対に対する電圧の変化の測定は、ユーザへの状態の通知としてのインジケーター(示されていない)を作動させるために用いられる。例えば、インジケーターは、ユーザに収集キャニスター242が充満している(充満収集キャニスター状態と呼ばれ得る)ことを通知するために作動され得る。インジケーターは、ユーザに収集キャニスター242を取り替える時間(取り替え収集キャニスター状態と呼ばれ得る)であることを通知するために作動され得る。取り替え収集キャニスター状態の発生は、滲出物の容積(一般的にチャンバー355の容積よりも小さい)が収集されたことを示す。したがって、取り替え収集キャニスター状態のユーザ通知は、収集された滲出物の容積がチャンバー355の最大容積容量に達する前に動作の追加の時間期間を許容することによって、収集キャニスター242の取り替えまたは空にするタイミングにおいて、いく分かの柔軟性をユーザに提供し得る。
【0048】
図5を参照すると、図4において例示されるキャニスター上面336の底面が示され、キャニスター入口ポート334、吸引ポート374、圧力センサーポート396および2つの電極425A、425Bを含む。さらに、くぼみ部分584を有する側壁580が含まれる。実施形態において、吸引ポート374、圧力センサーポート396および2つの電極425A、425Bは、側壁580の内側に配置される。側壁580は、チャンバー335の外縁壁の上部端部とのキャニスター上面336の係合を提供するように適合されており、キャニスター上面のチャンバー335との密閉を提供するのを助け得る。一実施形態において、凹所部分584の外縁エッジは、キャニスター入口ポート334を部分的に取り囲むような形状とされている。側壁580、キャニスター入口ポート334、吸引ポート374、圧力センサーポート396および2つの電極425A、425Bの相対的な位置、サイズおよび/または形状は、図5において描写される実施形態とは変わり得る。
【0049】
キャニスター上面336は、プラスチック材料から形成技術によって製造され得る。キャニスター上面336は、収集キャニスター242の開いた上面に側壁580とチャンバー335の外縁壁との間の摩擦ばめによって固定され得る。側壁580は、チャンバー335の外縁壁の上部端部に定着可能に(例えば、超音波溶接処理を用いて)据え付けられ得る。
【0050】
図6〜図8において、収集キャニスター(例えば、図3において示される収集キャニスター242)のキャニスター上面の別の実施形態が示される。キャニスター上面636は、キャニスター入口ポート634、吸引ポート674および圧力センサーポート696を含む。実施形態において、キャニスター上面636は、また、上で説明されたような1対以上の電極対(例えば、電極対425A、425B)を含み得る。キャニスター上面636は、側壁680、外方密閉リブ「R1」および隔離リブ「R2」を含む。実施形態において、キャニスター上面636は、フィルター膜(例えば、図7において示されるフィルター膜760)に支部を提供するように構成されている支部要素612を含み得る。
【0051】
図6および図8において示されるように、外方密閉リブ「R1」および隔離リブ「R2」は、2つのチャンバー「A1」および「A2」を規定する。2つのチャンバー「A1」および「A2」は、互いから隔離リブ「R2」によって空気的に隔離されている。実施形態において、第一のチャンバー「A1」は、圧力センサーポート696を含み、第二のチャンバー「A2」は、吸引ポート674を含む。代替の実施形態において、第一のチャンバー「A1」が吸引ポート674を含み、第二のチャンバー「A2」は、圧力センサーポート696を含む。センサーポート696および吸引ポート674は空気的に隔離されたチャンバーに含まれるとして示され、説明されるが、圧力センサーポート696および吸引ポート674は、同じチャンバーに含まれ得ることが本明細書において予期される。
【0052】
実施形態において、外方密閉リブ「R1」の外壁またはその一部は、側壁680に直接隣接して配置されるか、または実質的に隣接して配置される。実施形態において、隔離リブ「R2」またはその一部は、外方密閉リブ「R1」の内壁から一定の距離を離されている。例示される実施形態において、第一のチャンバー「A1」は、キャニスター上面のおおよそ周辺の周りに延在する細長い通路であり、隔離リブ「R2」と外方密閉リブ「R1」との間に形成される。第一のチャンバー「A1」が圧力センサーポート696を含む細長い通路として示され、説明されるが、第一のチャンバー「A1」は、圧力センサーポート696と流体連絡している複数の通路を含み得ることが本明細書において予期される。
【0053】
図7を参照すると、図6のキャニスター上面636が示され、側壁680の内側に配置されたフィルター膜760を含む。フィルター膜760は、ミクロポアフィルター膜を含み得る。実施形態において、フィルター膜760は、外方密閉リブ「R1」の輪郭に合わせて切断される。フィルター膜760は、隔離リブ「R2」および外方密閉リブ「R1」に据え付けられ、支部要素612に据え付けられ得る。フィルター膜760は、外方密閉リブ「R1」および隔離リブ「R2」にUVキュアタイプ、触媒タイプ、硫化タイプまたは他のタイプのような接着剤によって据え付けられ得るか、あるいは超音波手段または高周波手段によって溶接され得る。
【0054】
フィルター膜760は、流体および細菌のフィルター膜760を通る通過を実質的に妨げる気流を一般的に許容する。実施形態において、フィルター膜760は、気流を吸引ポンプ(例えば、図3において示される吸引ポンプ360)へ許容し、収集キャニスターにおける真空レベルが、フィルター膜760を通り収集キャニスターと流体連絡している圧力センサー(例えば、図3において示される圧力センサー340)を用いて監視されることを可能にする。本開示の実施形態に従ったキャニスター上面を有する収集キャニスターを含む陰圧創傷療法システムは、収集キャニスター内の真空レベルの正確な測定をする能力を有し得、陰圧療法を収集キャニスターのさまざまな向きに提供する能力を有し得る。
【0055】
図9を参照すると、収集キャニスター942の別の実施形態が示され、流体を収集するチャンバー935およびチャンバー935を覆い配置されたキャニスター上面936を含む。キャニスター上面936は、チャンバー935の中へ対面する底面を含む。キャニスター上面936の底面は、その上に配置され、上で説明されたような第一のリブ「R1」および第二のリブ「R2」ならびに側壁680を含む。フィルター膜960は、第一のリブ「R1」および第二のリブ「R2」に据え付けられる。キャニスター上面936は、また、チャンバー935およびチャンバーの外部の圧力供給源と連絡する第一のポート974ならびにチャンバー935およびチャンバー935の外部のセンサーと連絡する第二のポートを含む。第一のポートは、第一の範囲「A1」(第一の範囲「A」は、フィルター膜960によって境を接している)、第一リブ「R1」および第二リブ「R2」ならびにキャニスター上面936の底面と流体連絡している。第二のポートは、第二の範囲「A2」(第二の範囲「A2」は、フィルター膜960によって境を接している)、第二のリブ「R2」およびキャニスター上面936の底面と流体連絡している。実施形態において、キャニスター上面936は、また、流体をチャンバー935の中へ導入する第三のポート934を含む。
【0056】
図10〜図12を参照すると、図9の収集キャニスター942のキャニスター上面936が示される。キャニスター上面936は、図6〜図8において示される側壁680を含む。キャニスター上面936は、第一のポート974および第二のポート996を含み、上で説明されたような第三のポート934を含み得る。実施形態において、キャニスター上面936は、1対以上の電極対(例えば、電極対925A、925B)を含み得る。図9において示される電極対925A、925Bは、図4において例示される収集キャニスター242の電極対425A、425Bに実質的に類似し、そのさらなる説明は簡潔さのために省略される。
【0057】
キャニスター上面936は、また、第一のリブ「R1」および第二のリブ「R2」を含む。図10および図12において示されるように、第一のリブ「R1」および第二のリブ「R2」は、2つの範囲「A1」および「A2」を規定する。2つの範囲「A1」および「A2」は、互いから第二のリブ「R2」によって空気的に隔離される。図11において示されるように、フィルター膜960は、第一のリブ「R1」の輪郭に合わせて切断される。フィルター膜960は、流体および細菌のフィルター膜960を通る通過を実質的に妨げる気流を許容する能力を有するいずれかの適切な材料を含み得る。フィルター膜960は、ミクロポアフィルター膜を含み得る。実施形態において、キャニスター上面936は、支部をフィルター膜960に提供するように構成されている支部要素912を含み得る。実施形態において、フィルター膜960は、第一のリブ「R1」および第二のリブ「R2」に据え付けられ、支部要素912に据え付けられ得る。第一のリブ「R1」および第二のリブ「R2」ならびに支部要素912の相対的な位置、サイズおよび/または形状は、図10〜図12において描写される実施形態とは変わり得る。
【0058】
本開示の実施形態は、例示および説明の目的のために添付の図面を参照して詳細に説明されたが、発明の処理および装置は、それによって限定されていると解釈されてはいないと理解されるべきである。先述の実施形態に対するさまざまな改変は、本開示の範囲から逸脱せずになされ得ることが当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体収集キャニスターであって、
該流体収集キャニスターは、
流体を収集するチャンバーと、
該チャンバーを覆って配置されたキャニスター上面であって、該キャニスター上面は、該チャンバーの中へ対面する底面を含み、該底面は、該底面上に配置された第一のリブおよび第二のリブを含む、キャニスター上面と、
該第一のリブおよび該第二のリブに据え付けられたフィルター膜と、
該キャニスター上面上に設けられた第一のポートであって、該第一のポートは、該チャンバーと、該チャンバーの外部の圧力供給源とに連絡する、第一のポートと、
該キャニスター上面上に設けられた第二のポートであって、該第二のポートは、該チャンバーと、該チャンバーの外部のセンサーとに連絡する、第二のポートと
を含み、
該第一のポートは、第一の範囲に流体連絡しており、該第一の範囲は、該キャニスター上面の該フィルター膜、該第一のリブおよび該第二のリブならびに該底面によって境を接しており、
該第二のポートは、第二の範囲に流体連絡しており、該第二の範囲は、該キャニスター上面の該フィルター膜、該第二のリブおよび該底面によって境を接している、流体収集キャニスター。
【請求項2】
前記フィルター膜は、前記第一のリブの輪郭に合わせて切断される、請求項1に記載の流体収集キャニスター。
【請求項3】
前記フィルター膜は、ミクロポアフィルター膜を含む、請求項1に記載の流体収集キャニスター。
【請求項4】
前記第一の範囲および前記第二の範囲は、互いから前記第二のリブによって空気的に隔離される、請求項1に記載の流体収集キャニスター。
【請求項5】
第三のポートであって、該第三のポートは、前記流体を前記チャンバーの中へ導入する、第三のポートをさらに含む、請求項1に記載の流体収集キャニスター。
【請求項6】
側壁であって、該側壁は、前記チャンバーの外縁壁の上部端部との前記キャニスター上面の係合を提供する、側壁をさらに含む、請求項1に記載の流体収集キャニスター。
【請求項7】
前記第一のリブのうちの少なくとも一部は、前記側壁に隣接して配置される、請求項6に記載の流体収集キャニスター。
【請求項8】
前記センサーは、圧力センサーである、請求項1に記載の流体収集キャニスター。
【請求項9】
可搬陰圧創傷療法システムであって、
該可搬陰圧創傷療法システムは、
被覆材アセンブリであって、該被覆材アセンブリは、陰圧を創傷に適用するために該創傷を覆って位置決めする、被覆材アセンブリと、
キャニスターアセンブリであって、該キャニスターアセンブリは、
制御ユニットと、
該制御ユニットに配置された真空供給源と、
該制御ユニットに連絡している圧力センサーと、
収集キャニスターであって、該収集キャニスターは、
チャンバーであって、該チャンバーは、創傷流体を該被覆材アセンブリから収集する、チャンバーと、
該チャンバーを覆って配置されたキャニスター上面であって、該キャニスター上面は、該チャンバーの中へ対面する底面を含み、該底面は、該底面上に配置された第一のリブおよび第二のリブを含む、キャニスター上面と、
該被覆材アセンブリに流体連絡している入口ポートであって、該入口ポートは、該創傷流体を該被覆材アセンブリから該チャンバーの中へ導入する、入口ポートと、
該キャニスター上面上に設けられた吸引ポートであって、該吸引ポートは、該チャンバーおよび該真空供給源に連絡する、吸引ポートと、
該キャニスター上面上に設けられた圧力センサーポートであって、該圧力センサーポートは、該チャンバーおよび該圧力センサーポートに連絡する、圧力センサーポートと、
該第一のリブおよび該第二のリブに据え付けられたフィルター膜と
を含む、収集キャニスターと
を含む、キャニスターアセンブリと
を含み、
該圧力センサーポートは、該第一のチャンバーに流体連絡しており、該第一のチャンバーは、該キャニスター上面の該フィルター膜、該第一のリブおよび該第二のリブならびに該底面によって境を接しており、
該吸引ポートは、第二のチャンバーに流体連絡しており、該第二のチャンバーは、該キャニスター上面の該フィルター膜、該第二のリブおよび該底面によって境を接している、可搬陰圧創傷療法システム。
【請求項10】
前記制御ユニットは、前記収集キャニスター内の陰圧を監視および制御する、請求項9に記載の可搬陰圧創傷療法システム。
【請求項11】
前記第一のチャンバーおよび前記第二のチャンバーは、互いから前記第二のリブによって空気的に隔離される、請求項9に記載の可搬陰圧創傷療法システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−529340(P2012−529340A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514928(P2012−514928)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/047137
【国際公開番号】WO2010/144089
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】