説明

フィルムクランプ

【課題】 フィルムクランプにおいて、外力等が作用したときに、係止固定状態が解除されてしまうことを防止する。
【解決手段】 被係止片11を第1クランププレート3の板面3Aと平行、かつ、第1クランププレート3の端部から内側に向かう向きに突出した形状とする。これにより、第1クランププレート3の湾曲の度合いが進行するほど、被係止片11が第1クランププレート3の幅方向端部から幅方向中央部側に変位し、被係止片11と係止部9との係止量(掛かり量)が増大していくので、湾曲の度合いが進行するほど、被係止片11と係止部9とが強固に係止されていくこととなる。したがって、外力等が作用したときに、係止固定状態が解除されてしまうことを未然に防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯板状に形成された樹脂製の第1クランププレート及び第2クランププレートによりケーブル等の挟持対象物を挟み込んで挟持するとともに、第1クランププレートと第2クランクプレートとが、その長手方向一端側で連結されたフィルムクランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のクランプでは、フィルム状のクランプの一方側に傘状(キノコ状)の突起部を設け、他方側に直径が異なる2つの穴を連結したダルマ状又は瓢箪状の穴部を設けるとともに、フィルム状のクランプを折り曲げて突起部を穴部に嵌め込むことにより、クランプの一方側と他方側とを係止固定してケーブルをクランプ固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−19324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明では、ケーブル等が挟まれる部位の内径を拡大させるようにフィルム面と直交する方向の力がクランプに作用すると、突起部が相対的に穴部の大径側に移動してしまうので、クランプの一方側と他方側との係止固定状態が解除されてしまう可能性が極めて高いという問題を有している。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、外力等が作用したときに、係止固定状態が解除されてしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、帯板状に形成された樹脂製の第1クランププレート(3)及び第2クランププレート(5)により挟持対象物を挟み込んで挟持するとともに、第1クランププレート(3)と第2クランププレート(5)とが、その長手方向一端側で連結されたフィルムクランプであって、第1クランププレート(3)の長手方向他端側には、第2クランププレート(5)の長手方向他端側に設けられた係止部(9)に係止される被係止片(11)が設けられており、さらに、被係止片(11)は、第1クランププレート(3)の板面(3A)と平行であって、かつ、第1クランププレート(3)の端部から内側に向かう向きに突出した形状であることを特徴とする。
【0007】
ところで、第1クランププレート(3)の板面(3A)と直交する方向の外力等が第1クランププレート(3)に作用すると、外力等が作用する部位が凸となるように第1クランププレート(3)が弓なりに湾曲するので、湾曲の度合いが進行するほど、第1クランププレート(3)の端部は、外力等が作用する部位、つまり第1クランププレート(3)の内側に向かって変位する。
【0008】
このとき、請求項1に記載の発明では、被係止片(11)は、第1クランププレート(3)の板面(3A)と平行であって、かつ、第1クランププレート(3)の端部から内側に向かう向きに突出した形状であるので、湾曲の度合いが進行するほど、被係止片(11)が第1クランププレート(3)の端部から内側に変位し、被係止片(11)と係止部(9)との係止量(掛かり量)が増大していく。
【0009】
したがって、請求項1に記載の発明では、湾曲の度合いが進行するほど、被係止片(11)と係止部(9)とが強固に係止されていくので、外力等が作用したときに、係止固定状態が解除されてしまうことを未然に防止できる。
【0010】
なお、「帯板状に形成された」とは、文字通り「帯状」に形成された場合は勿論、正方形状を含む意味である。そして、第1クランププレート(3)等が正方形状に形成された場合の長手方向とは、板面と平行な直交する2方向のうちいずれか一方の方向をいう。
【0011】
請求項2に記載の発明では、第2クランププレート(5)のうち挟持対象物と接触する部位には、第1クランププレート(3)側に突出した突起部(5A)が設けられていることを特徴とする。
【0012】
これにより、請求項2に記載の発明では、第1クランププレート(3)と第2クランププレート(5)により挟持対象物が挟み込まれると、挟持対象物が挟まれる部位、つまり第1クランププレート(3)と第2クランププレート(5)とにより囲まれた部位が、突起部(5A)により、その内径を拡大させるように第1クランププレート(3)の板面(3A)と直交する方向の外力が作用した場合と同様な状態となる。
【0013】
したがって、請求項2に記載の発明では、挟持対象物が挟まれると、挟持対象物が挟まれていない場合に比べて、被係止片(11)と係止部(9)とが強固に係止されることとなるので、係止部(9)と被係止片(11)とを強固に係止固定することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、被係止片は、少なくとも第1被係止片(11A)及び第2被係止片(11B)を有して構成されており、さらに、第1被係止片(11A)の突出の向きは、第2被係止片(11B)の突出の向きと異なる向きであることを特徴とする。
【0015】
これにより、請求項3に記載の発明では、様々な方向の外力等に対して対応することができ得る。すなわち、外力等の向きによっては、被係止片(11)と係止部(9)との係止量(掛かり量)が減少する場合があり得る。
【0016】
しかし、第1被係止片(11A)の突出の向きは、第2被係止片(11B)の突出の向きと異なる向きであるので、仮に、第1被係止片(11A)と係止部(9)との係止量(掛かり量)が減少しても、第2被係止片(11B)と係止部(9)との係止量(掛かり量)も同様に減少する可能性は極めて低い。したがって、様々な方向の外力等が作用しても、被係止片(11)と係止部(9)との係止固定状態が解除されてしまうことを未然に防止でき得る。
【0017】
請求項4に記載の発明では、第1被係止片(11A)及び第2被係止片(11B)の突出の向きは、第1クランププレート(3)の長手方向と直交していることを特徴とする。
ところで、挟持対象物に外力が作用すると、その外力は、第1クランププレート(3)の幅方向端部、つまりその長手方向と直交する方向の端部に作用し、かつ、その力の向きは幅方向と一致する可能性が極めて高い。
【0018】
これに対して、請求項4に記載の発明では、第1被係止片(11A)及び第2被係止片(11B)の突出の向きは、第1クランププレート(3)の長手方向と直交しているので、第1被係止片(11A)及び第2被係止片(11B)の突出の方向と外力の方向とが一致する可能性が極めて高いこととなる。
【0019】
したがって、第1被係止片(11A)及び第2被係止片(11B)のうちいずれか一方の被係止片(11)では、係止部(9)との係止量(掛かり量)が増大するので、係止固定状態が解除されてしまうことを確実に防止でき得る。
【0020】
また、請求項5に記載の発明では、第1クランププレート(3)には、係止部(9)に接触することにより、被係止片(11)がその突出の向きと交差する方向に変位することを規制するストッパ部(3C)が設けられていることを特徴とする。
【0021】
これにより、請求項5に記載の発明では、係止部(9)と被係止片(11)との係止状態が解除されてしまうことを確実に防止できる。
なお、請求項6に記載の発明では、被係止片(11)の突出の向きは、第1クランププレート(3)の長手方向と平行であることを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明では、被係止片(11)の先端側には、他の部位と区別可能なマーク(11C)が設けられていることを特徴とする。
これにより、請求項7に記載の発明では、目視にて係止部(9)と被係止片(11)との係止状態を容易に確認できる。
【0023】
つまり、係止部(9)と被係止片(11)とが適切に係止されている場合には、被係止片(11)の先端側は、係止部(9)と重なるので、マーク(11C)の少なくとも一部は目視不可の状態となり、一方、係止部(9)と被係止片(11)とが適切に係止されていない場合には、マーク(11C)のほぼ全体が目視可能な状態となる。
【0024】
したがって、マーク(11C)の状態を目視することにより、容易に係止部(9)と被係止片(11)との係止状態を確認できる。
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係るフィルムクランプ1の使用状態を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るフィルムクランプ1の展開図である。
【図3】(a)はケーブルWをクランプする前の状態を示す図4(b)のA−A断面に相当する断面図であり、(b)はケーブルWをクランプした後の状態を示す図4(b)のA−A断面に相当する断面図である。
【図4】(a)は係止部9と被係止片11とを係止する前の状態を示す図であり、(b)は係止部9と被係止片11とを係止した後の状態を示す図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施形態に係るフィルムクランプ1の展開図であり、(b)は図5(a)の側面図である。
【図6】(a)はケーブルWをクランプする前の状態を示す長手方向断面図であり、(b)はケーブルWをクランプした後の状態を示す長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本実施形態は、ケーブルを挟持対象物としたフィルムクランプに本発明を適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.フィルムクランプの構成
本実施形態に係るフィルムクランプ1は、図1に示すように、薄帯板状に形成された第1クランププレート3及び第2クランププレート5によりケーブルWを挟み込んで挟持するものである。
【0027】
そして、第1クランププレート3と第2クランププレート5とは、樹脂にて一体成形されてその長手方向一端側(図1の前後方向後側)で連結されており、第1クランププレート3と第2クランププレート5との連結部7は、図2に示すように、他の部位に比べて厚み薄い薄肉部となっている。
【0028】
このため、ケーブルWを挟み込む際には、図1に示すように、連結部7にてフィルムクランプ1を折り曲げた後、第2クランププレート5の係止部9と第1クランププレート3の被係止片11とを係止(係合)させて両クランププレート3、5の長手方向他端側(図1の前後方向前側)を係止固定する。
【0029】
なお、図1等に示す前後方向等は、図の理解を容易にするために便宜的に伏したものであり、必ずしも現実の使用時における上下方向を示すものではない。因みに、本実施形態に係るフィルムクランプ1は、いずれの方向を上方として使用してもよい。
【0030】
そして、以下、図1の前後方向と平行な方向を第1クランププレート3等の長手方向と呼び、長手方向及び第1クランププレート3等の厚み方向(図1の上下方向)と直交する方向(図1の左右方向)を幅方向と呼ぶ。
【0031】
また、係止部9は、図2に示すように、第2クランププレート5の長手方向端部のうち連結部7と反対側の端部(図2では、左端)側に複数(本実施形態では、2個)設けられており、これらの係止部9は、図3に示すように、冷間プレス等によるエンボス加工にて成形されたハット状の凸部9Aの幅方向一端側の一部を切断除去して形成されたものである。
【0032】
すなわち、エンボス加工にて成形された凸部9Aは、紙面上方側が閉塞したコップ状(円筒状)のものであり、これら凸部9Aのうち幅方向端部側に相当する部位、つまり紙面左側の凸部9Aにあっては紙面左端側、紙面右側の凸部9Aにあっては紙面右端側の一部が切断除去されている。
【0033】
このため、各凸部9Aは、幅方向端部側が開放された形状となるため、幅方向端部側から幅方向中央部側に向けて被係止片11が係止部9に進入することができ、係止部9と被係止片11とを係止させることができる。
【0034】
そして、係止部9(凸部9A)の突出方向先端側(図3では上端側)には、先端側に向かうほど直径寸法が縮小するテーパ部9Bが形成されており、このテーパ部9Bによりエンボス加工時に第2クランププレート5に亀裂等が発生することを抑制しつつ、後述するように、被係止片11を係止部9に係止する際の作業性を向上させている。
【0035】
また、第2クランププレート5のうちケーブルWと接触する部位には、図3(a)に示すように、第1クランププレート3側に突出した突起部5Aがエンボス加工にて設けられている。
【0036】
そして、この突起部5Aにより、第2クランププレート5の曲げ剛性を高めるとともに、ケーブルWが第1クランププレート3と第2クランププレート5とにより挟まれ、かつ、被係止片11が係止部9に係止されたときに、第1クランププレート3がケーブルWにより押圧されて、図3(b)に示すように、第1クランププレート3が弓なりに湾曲する。
【0037】
また、被係止片11は、図1〜図3に示すように、第1クランププレート3の長手方向端部のうち連結部7と反対側の端部側において、係止部9に対応して複数(本実施形態では、2個)設けられており、これら被係止片11は、図1に示すように、第1クランププレート3の板面3Aと平行であって、第1クランププレート3の端部から内側に向かう向きに突出した形状となっている。
【0038】
すなわち、第1クランププレート3の板面3Aと平行な方向とは、図3(a)に示すように、第1クランププレート3の厚み方向(図の上下方向)と直交する方向をいい、第1クランププレート3の端部から内側に向かう向きとは、例えば、幅方向端部から幅方向中央部側に向かう向き、及び長手方向端部から長手方向中央部側に向かう向き等をいう。
【0039】
そして、図3(a)の紙面左側の第1被係止片11Aは、図1に示すように、第1クランププレート3の長手方向と直交する方向に沿って、幅方向左端側から幅方向中央部側(幅方向右端側)に向けて突出した矩形爪片状に構成されている。
【0040】
一方、図3(a)の紙面右側の第2被係止片11Bは、図1に示すように、第1クランププレート3の長手方向と直交する方向に沿って、第1被係止片11Aとは逆向きに幅方向右端側から幅方向中央部側(幅方向左端側)に向けて突出した矩形爪片状に構成されている。なお、以下、第1、第2被係止片11A、11Bを総称するときは、被係止片11と記す。
【0041】
また、第1クランププレート3のうち、被係止片11を挟んで被係止片11の突出方向及び厚み方向と直交する方向(第1クランププレート3の長手方向)両側には、図4(b)に示すように、係止部9の円筒外周面に接触することにより、被係止片11がその突出の向きと交差する方向(例えば、第1クランププレート3の長手方向)に変位することを規制するストッパ部3Cが設けられている。
【0042】
また、被係止片11の先端側には、図4(a)に示すように、他の部位と区別可能な着色がされたマーク11Cが設けられており、このマーク11Cの大きさは、図4(b)に示すように、被係止片11が係止部9に係止さたときに、マーク11C全体がほぼ係止部9にて覆われるように設定されている。
【0043】
そして、第1クランププレート3のうち被係止片11と連結部7との間であって、突起部5Aに対応する部位には、図1に示すように、ケーブルWを挟持するための空間を構成すべく、被係止片11が設けられた部位に比べて第2クランププレート5からの距離を拡大させた挟持面3Bが設けられている。
【0044】
2.本実施形態に係るフィルムクランプの特徴
第1クランププレート3の板面3Aと直交する方向の外力等が第1クランププレート3に作用すると、外力等が作用する部位が凸となるように第1クランププレート3が弓なりに湾曲するので(図3(b)参照)、湾曲の度合いが進行するほど、第1クランププレート3の幅方向端部(図3(b)の左端及び右端)は、幅方向中央部側に向かって変位する。
【0045】
このとき、本実施形態では、被係止片11は、第1クランププレート3の板面3Aと平行であって、かつ、第1クランププレート3の幅方向端部から幅方向中央部側に向かう向きに突出した形状であるので、第1クランププレート3の湾曲の度合いが進行するほど、被係止片11が第1クランププレート3の端部から中央部側に変位し、被係止片11と係止部9との係止量(掛かり量)が増大していく(図3(b)参照)。
【0046】
したがって、本実施形態では、湾曲の度合いが進行するほど、被係止片11と係止部9とが強固に係止されていくので、外力等が作用したときに、係止固定状態が解除されてしまうことを未然に防止できる。
【0047】
また、本実施形態では、第2クランププレート5のうちケーブルWと接触する部位には、第1クランププレート3側に突出した突起部5Aが設けられているので、第1クランププレート3と第2クランププレート5によりケーブルWが挟み込まれると、突起部5Aにより、ケーブルWが挟まれる部位が、図3(b)に示すように弓なりに湾曲し、第1クランププレート3の板面3Aと直交する方向の外力が作用した場合と同様な状態となる。
【0048】
したがって、本実施形態では、ケーブルWが挟まれると、ケーブルWが挟まれていない場合に比べて、被係止片11と係止部9とが強固に係止されることとなるので、係止部9と被係止片11とを強固に係止固定することができる。
【0049】
ところで、外力等の向きによっては、被係止片11と係止部9との係止量(掛かり量)が減少する場合があり得る。
しかし、本実施形態では、第1被係止片11Aの突出の向きは、第2被係止片11Bの突出の向きと異なる向きであるので、仮に、第1被係止片11Aと係止部9との係止量(掛かり量)が減少しても、第2被係止片11Bと係止部9との係止量(掛かり量)も同様に減少する可能性は極めて低い。
【0050】
したがって、様々な方向の外力等が作用しても、被係止片11と係止部9との係止固定状態が解除されてしまうことを未然に防止でき得るので、ケーブルWを強固に保持(クランプ)することができる。
【0051】
ところで、ケーブルWに外力が作用すると、その外力は、第1クランププレート3の幅方向端部に作用し、かつ、その力の向きは幅方向と一致する可能性が極めて高い。
これに対して、本実施形態では、第1被係止片11A及び第2被係止片11Bの突出の向きは、第1クランププレート3の長手方向と直交しているので、第1被係止片11A及び第2被係止片11Bの突出の方向と外力の方向とが一致する可能性が極めて高い。
【0052】
したがって、第1被係止片11A及び第2被係止片11Bのうちいずれか一方の被係止片11では、係止部9との係止量(掛かり量)が増大するので、係止固定状態が解除されてしまうことを確実に防止でき得る。
【0053】
また、本実施形態では、第1クランププレート3には、係止部9に接触することにより、被係止片11がその突出の向きと交差する方向に変位することを規制するストッパ部3Cが設けられているので、係止部9と被係止片11との係止状態が解除されてしまうことを確実に防止できる。
【0054】
本実施形態では、被係止片11の先端側には、他の部位と区別可能なマーク11Cが設けられているので、目視にて係止部9と被係止片11との係止状態を容易に確認できる。
つまり、係止部9と被係止片11とが適切に係止されている場合には、被係止片11の先端側は、係止部9と重なるので、マーク11Cの少なくとも一部は目視不可の状態となり、一方、係止部9と被係止片11とが適切に係止されていない場合には、マーク11Cのほぼ全体が目視可能な状態となる。したがって、マーク11Cの状態を目視することにより、容易に係止部9と被係止片11との係止状態を確認できる。
【0055】
また、本実施形態では、係止部9(凸部9A)の突出方向先端側にテーパ部9Bが設けられているので、第1被係止片11A及び第2被係止片11B間を指等で押圧することにより、両被係止片11A、11Bがテーパ部9Bにより係止部9に案内される。したがって、被係止片11を容易に係止部9に係止させることができる。
【0056】
(第2実施形態)
本実施形態は、被係止片11及び係止部9を1個とするとともに、図5及び図6(a)に示すように、被係止片11の突出の向きを長手方向端部から長手方向中央部側に向かう向きとしたものである。
【0057】
そして、本実施形態においても、第1クランププレート3の湾曲の度合いが進行するほど、被係止片11が第1クランププレート3の長手方向他端部から長手方向中央部側に変位するので(図6(b)参照)、被係止片11と係止部9との係止量(掛かり量)が増大していく。
【0058】
したがって、本実施形態においても、湾曲の度合いが進行するほど、被係止片11と係止部9とが強固に係止されていくので、外力等が作用したときに、係止固定状態が解除されてしまうことを未然に防止できる。
【0059】
また、本実施形態においても、第2クランププレート5に突起部5Aが設けられているので、第1クランププレート3と第2クランププレート5によりケーブルWが挟み込まれると、突起部5Aにより、ケーブルWが挟まれる部位が、図6(b)に示すように弓なりに湾曲し、第1クランププレート3の板面3Aと直交する方向の外力が作用した場合と同様な状態となる。
【0060】
したがって、本実施形態では、ケーブルWが挟まれると、ケーブルWが挟まれていない場合に比べて、被係止片11と係止部9とが強固に係止されることとなるので、係止部9と被係止片11とを強固に係止固定することができる。
【0061】
(その他の実施形態)
上述の第1実施形態では、被係止片11の突出方向は幅方向と一致していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、幅方向に対して傾いた方向であってもよい。
【0062】
また、上述の第1実施形態では、第1被係止片11Aの突出の向きと第2被係止片11Bの突出の向きとは180度異なっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1被係止片11Aの突出の向きと第2被係止片11Bの突出の向きとを同一にする、又は第1被係止片11Aの突出の向きを幅方向平行とし、第2被係止片11Bの突出の向きを幅方向に対して傾いた向きとしてもよい。
【0063】
また、上述の第1実施形態では、被係止片11を2つとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば被係止片11を3つ以上としてもよい。
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0064】
1…フィルムクランプ、3…第1クランププレート、3A…板面、3B…挟持面、
3C…ストッパ部、5…第2クランププレート、5A…突起部、7…連結部、
9…係止部、9A…凸部、9B…テーパ部、11…被係止片、11C…マーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯板状に形成された樹脂製の第1クランププレート及び第2クランププレートにより挟持対象物を挟み込んで挟持するとともに、前記第1クランププレートと前記第2クランププレートとが、その長手方向一端側で連結されたフィルムクランプであって、
前記第1クランププレートの長手方向他端側には、前記第2クランププレートの長手方向他端側に設けられた係止部に係止される被係止片が設けられており、
さらに、前記被係止片は、前記第1クランププレートの板面と平行であって、かつ、前記第1クランププレートの端部から内側に向かう向きに突出した形状であることを特徴とするフィルムクランプ。
【請求項2】
前記第2クランププレートのうち挟持対象物と接触する部位には、前記第1クランププレート側に突出した突起部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムクランプ。
【請求項3】
前記被係止片は、少なくとも第1被係止片及び第2被係止片を有して構成されており、
さらに、前記第1被係止片の突出の向きは、前記第2被係止片の突出の向きと異なる向きであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムクランプ。
【請求項4】
前記第1被係止片及び前記第2被係止片の突出の向きは、前記第1クランププレートの長手方向と直交していることを特徴とする請求項3に記載のフィルムクランプ。
【請求項5】
前記第1クランププレートには、前記係止部に接触することにより、前記被係止片がその突出の向きと交差する方向に変位することを規制するストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフィルムクランプ。
【請求項6】
前記被係止片の突出の向きは、前記第1クランププレートの長手方向と平行であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルムクランプ。
【請求項7】
前記被係止片の先端側には、他の部位と区別可能なマークが設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のフィルムクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−105428(P2012−105428A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250940(P2010−250940)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【Fターム(参考)】