Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
フィルムコーティング剤
説明

フィルムコーティング剤

【課題】インモールド成型用フィルムに塗布され、成型後の成型品にコーティング層を形成するコーティング剤であって、溶剤を揮発させただけでべたつきがない、タックフリー性に優れたフィルムコーティング剤を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物であるエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)に、少なくとも有機ポリイソシアネート化合物(B)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)を含有してなり、前記(A)成分の水酸基に対する(B)成分のイソシアネート基のモル比であるNCO/OH比が1未満であり、かつ前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)の数平均分子量が2,000〜20,000であるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムコーティング剤に関し、主としてインモールド成型用フィルムに塗布され、成型後の成型品にコーティング層を形成するコーティング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
インモールド成型は、例えばベースフィルムに印刷や蒸着による図柄等を施して金型内に挿入し、射出成形の熱と圧力により、金型内で成型品に図柄等を転写する工法であり(特許文献1,2)、成形後の後工程がほとんど不要であり、リードタイムの短縮が可能であり、工程不良の危険性が小さいといった長所がある。
【0003】
インモールド成型には様々な工法があるが、その一つとして、コーティング剤をベースフィルムに塗布し、乾燥して、金型に挿入し、この金型内に樹脂を射出して成型した後、紫外線等のエネルギー線を照射することより、上記コーティング剤を硬化させてなるフィルムで被覆された成型品を製造する方法がある。この工法は、成型時にはコーティング剤は未硬化であるため、熱で容易に成型できる上に、成型後のエネルギー線硬化で硬度や耐汚染性などのコーティング剤としての性能を調整することができる点で有利である。
【0004】
しかし、コーティング剤をベースフィルムに塗布し、乾燥させたフィルムは、通常は一旦巻き取られるため、溶剤を揮発させただけで硬化はさせていない状態でべたつきがないこと(タックフリー性)が要求される。
【0005】
タックフリー性の向上に関しては、例えば特許文献3には、画像形成分野で使用される感光性樹脂に関し、水酸基を有するエポキシ樹脂とラジカル性二重結合を有するイソシアネート化合物とを反応させる工程を含む製造方法により得られる感光性樹脂がタックフリー性も向上することを開示している。しかし、これをインモールド成型用フィルムコーティング剤に適用しようとすると、可撓性を付与したい基材との密着性を上げたいといった場合に、構造や設計の自由度がないという問題がある。
【0006】
また、特許文献4には、ある種のウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有するエネルギー線硬化型樹脂組成物により屈折率の向上や硬化収縮率の低下が実現することが記載されているが、硬化前のタックフリー性に関しては何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−314323号公報
【特許文献2】特開2008−189888号公報
【特許文献3】特開2010−095597号公報
【特許文献4】特開2005−255555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、インモールド成型用フィルムに塗布され、成型後の成型品にコーティング層を形成するコーティング剤であって、溶剤を揮発させただけでべたつきがない、タックフリー性に優れたフィルムコーティング剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフィルムコーティング剤は、インモールド成型用フィルムに塗布され、成型品にコーティング層を形成するためのフィルムコーティング剤であって、上記の課題を解決するために、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物であるエポキシ樹脂のアクリル酸エステル化合物(A)に、少なくとも有機ポリイソシアネート化合物(B)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)を含有してなり、前記(A)成分の水酸基に対する(B)成分のイソシアネート基のモル比であるNCO/OH比が1未満であり、かつ上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)の数平均分子量が2,000〜20,000であるものとする。
【0010】
あるいは、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)が、上記エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)に、有機ポリイソシアネート化合物(B)と多官能(メタ)アクリレート化合物(D)及び/又はポリオール(E)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(C’)であって、上記(A)成分、(D)成分及び(E)成分の水酸基の合計量に対する化合物(B)のイソシアネート基のモル比であるNCO/OH比が1未満であり、かつ上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(C’)の数平均分子量が2,000〜20,000であるものとする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タックフリー性に優れ、インモールド成型用フィルムとして好適に用いられるコーティング層が得られる。タックフリーにするためには、一定以上の分子量が必要であるところ、本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレートは、側鎖に(メタ)アクリレート基を持つ構造を有するため、分子量を大きくしても架橋密度を維持することができ、引っ掻き強度、耐汚染性、透明性等にも優れたコーティング層の形成が可能である。
【0012】
また、多官能(メタ)アクリレートを反応させることにより、コーティング剤の硬度を向上させることができ、目的に応じたポリオール成分を導入することにより、可とう性、密着性などの性能を付与することも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.ウレタン(メタ)アクリレート化合物
(1)エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル(A)
本発明で用いるエポキシ樹脂は特に限定されないが、水酸基を2個以上有することが好ましい。
【0014】
好ましい具体例としては、次式で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂であって、nが2以上の場合が挙げられる。
【化1】

【0015】
また、上記ビスフェノールA型以外に、テトラブロモビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;水添(水素化)ビスフェノールA型等の脂環式エポキシ樹脂が挙げられるが、種々のグレートが市販されていることからビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適である。例としては、三菱化学(株)製「jER828(登録商標)」(グリシジルエーテル系、エポキシ当量=190g/eq)が挙げられる。
【0016】
また、上記の式でn=0のビス型エポキシ樹脂については、予め、エポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する鎖延長剤1分子で、2分子のエポキシ樹脂を連結する鎖延長反応を行っておけば、鎖延長後のエポキシ樹脂は、エポキシ基の開環によって生成した水酸基を有することとなるので使用できる。鎖延長剤としては、エポキシ基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する化合物であればよく、特に限定されないが、多塩基酸や多価フェノールが例として挙げられる。
【0017】
また、ビス型以外のエポキシ樹脂で水酸基を有さないエポキシ樹脂も上記と同様に鎖延長反応を行うことにより用いることができる。具体例としては、ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂;多価アルコールのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、特に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、あるいはビスフェノール型エポキシ樹脂の前駆体であるビスフェノール化合物にアルキレンオキサイドを付加させたものである二価アルコール類と、エピクロルヒドリンを反応させて得られるジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアミン型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂や、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等の多官能性グリシジルアミン樹脂;テトラフェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂等の三官能以上のエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0018】
さらに、例えばビフェニル構造、スルフィド構造、フェニレン構造、ナフタレン構造等を有する結晶性エポキシ樹脂であって、繰り返し構造が2以上のエポキシ樹脂も利用できる。
【0019】
中でも二官能の結晶性エポキシ化合物が好ましく、ビフェニルタイプのエポキシ樹脂は、例えば、三菱化学(株)製「jER(登録商標)YX4000」、「jER(登録商標)YX4000H」、「jER(登録商標)YL6121H」、「jER(登録商標)YL6640」、「jER(登録商標)YL6677」として提供されており、ジフェニルスルフィド型エポキシ樹脂は、例えば、新日化エポキシ製造(株)社製「エポトート(登録商標)YSLV−120TE」として提供されており、フェニレン型エポキシ樹脂は、例えば、同社製「エポトート(登録商標)YDC−1312」として提供されている。ナフタレン型エポキシ樹脂は、例えば、DIC(株)製「EPICLON(登録商標)HP−4032」、「EPICLON(登録商標)HP−4032D」、「EPICLON(登録商標)HP−4700」として提供されている。また、結晶性エポキシ樹脂として新日化エポキシ製造(株)製「エポトート(登録商標)YSLV−90C」を用いることもできる。
【0020】
上記各種エポキシ樹脂は、1種単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0021】
本発明で用いる化合物(A)は、上記のようなエポキシ樹脂から公知の方法で合成することが可能であり、例えば、所定量のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を一括で仕込み、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤の存在下、空気を導入しながら、90〜100℃の加温下で、酸価がなくなるまで撹拌することにより得られる。また、3級アミンや4級アンモニウム塩等を触媒として用いることができる。
【0022】
従って、化合物(A)の好適な例としては、次式で表される構造を有するもの(nは2以上)が挙げられる。
【化2】

【0023】
より具体的には、三菱化学(株)製「jER828(登録商標)」等のビスフェノールA型エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、市販されているエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステルも利用することができ、その例としては、ダイセル・サイテック(株)製「EBECRYL600」、DIC(株)製「ユニディックV−5500」等が挙げられる。
【0024】
(2)有機ポリイソシアネート化合物(B)
本発明で用いる有機ポリイソシアネート化合物(B)も特に限定されず、公知のものを使用することができ、例としては、脂肪族ジイソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどが例示できる)、脂環族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが例示できる)、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどが例示できる)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが例示できる)等を挙げることができる。これらの有機ジイソシアネートは単独でも用いることができ、また2種以上の混合物にして用いることもできる。
【0025】
(3)多官能(メタ)アクリレート化合物(D)・ポリオール(E)
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)は、上記エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)と有機ポリイソシアネート化合物(B)と多官能(メタ)アクリレート化合物(D)及び/又はポリオール(E)とを反応させてなる化合物(C’)とすることもできる。あるいはエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)と有機ポリイソシアネート化合物(B)とを反応させてウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)としてから、多官能(メタ)アクリレート化合物(D)及び/又はポリオール(E)を反応させてもよい。
【0026】
多官能(メタ)アクリレート化合物(D)の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。このように多官能(メタ)アクリレートを反応させることにより、コーティング剤の硬度を向上させることができる。
【0027】
ポリオール(E)の例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールAブチレンオキサイド付加体のようなポリエーテルポリオールや、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0028】
また、二塩基酸とジオールとを脱水縮合して得られるポリエステルジオールも好適な例として挙げられる。上記二塩基酸としては、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、これらを単独使用しても、二種以上混合して使用してもよい。また、ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、メチルペンタンジオール、メチルオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、これらを単独使用しても、二種以上混合して使用してもよい。
【0029】
目的に応じて選択したポリオールを導入することにより、可とう性、密着性などの性能を付与することができる。
【0030】
(4)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の調製
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート(C)は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)に有機ポリイソシアネート化合物(B)を反応させて得られ、その際、上記(A)成分の水酸基に対する(B)成分のイソシアネート基のモル比であるNCO/OHが1未満となる割合で反応させる。
【0031】
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(C’)の場合は、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)に、有機ポリイソシアネート化合物(B)と多官能(メタ)アクリレート化合物(D)及び/又はポリオール(E)とを反応させて得られ、その際、上記(A)成分、(D)成分及び(E)成分の水酸基の合計量に対する化合物(B)のイソシアネート基のモル比であるNCO/OH比が1未満となる割合で反応させる。
【0032】
反応方法は特に限定されないが、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤の存在下、化合物(A)と化合物(B)、又はさらに多官能(メタ)アクリレート化合物(D)及び/又はポリオール(E)を上記割合で仕込み、70〜80℃で遊離イソシアネートがなくなるまで加温・攪拌すればよい。
【0033】
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)又は(C’)は、数平均分子量が2,000〜20,000の範囲内であることが好ましく、2500〜15000であることがより好ましい。分子量が2000未満であるとタックフリー性が損なわれ、20,000を超えると塗工性が悪くなる 。
【0034】
なお、本発明のフィルムコーティング剤には、フィルムの硬度をより向上させるためにシリカゾルを配合することができる。シリカゾルの配合量は、(C)成分100重量部にに対して20〜1000重量部が好ましい。
【0035】
シリカゾルは市販されているものを適宜利用することができ、その例としては、日産化学工業(株)製、MEK−ST、MEK−AC−2101等が挙げられる。
【0036】
2.フィルムコーティング剤の調製等
本発明のフィルムコーティング剤は、上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含有してなるものであり、必要に応じて、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶剤およびモノマー類で希釈することができる。モノマーで希釈する場合は、ウレタン(メタ)アクリレートとモノマーの総和中のウレタン(メタ)アクリレートの含有率を50重量%以上にすることが望ましい。
【0037】
希釈に用いるモノマー類としては、公知慣用のものが使用可能であるが、中でも代表的なものとして、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキサイド)変性ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
【0038】
本発明のフィルムコーティング剤には、必要に応じて光重合開始剤を添加する。光重合開始剤の種類は特に限定されず、公知のものが使用可能であるが、代表的な例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン等が挙げられる。これらを単独で用いても、複数種併用してもよい。また、光重合開始剤を使用する場合のその添加量は、ウレタン(メタ)アクリレートと上記必要に応じて用いられるモノマーの総和に対し、1〜10重量%程度であり、約3〜5重量%が好ましい。
【0039】
さらに、本発明のフィルムコーティング剤には、必要に応じて、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤等を添加することができる。
【0040】
3.フィルムコーティング剤の使用方法等
本発明のコーティング剤をベースフィルムに塗布し、必要に応じて加熱して乾燥させたものを、インモールド成型フィルムとして使用する。
【0041】
ベースフィルムは特に限定されず、インモールド成型用として通常用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル等のフィルムを使用することができる。
【0042】
コーティング剤の塗布厚みは特に限定されないが、通常は硬化後の厚みが10μm以下となるように塗布する。
【0043】
得られたインモールド成型フィルムは金型に挿入し、この金型内に樹脂を射出して成型品を製造する。得られた成型品は金型から取り出し、表面に紫外線等のエネルギー線を照射することより、成型品を被覆しているコーティング剤が硬化してコーティング層となる。
【0044】
硬化に使用するエネルギー線の線源は特に限定されないが、例としては、高圧水銀灯、電子線、γ線、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が挙げられる。
【0045】
上記ベースフィルムはコーティング剤の硬化後に剥離する場合も、剥離しない場合もある。剥離した場合は、本発明のコーティング剤が単独で最外層を形成する。剥離しない場合はベースフィルムが本発明のコーティング剤を硬化させてなる層と共にコーティング層を形成し、その場合コーティング剤の硬化層が最外層を形成するようにしてもよく、ベースフィルムが最外層を形成するようにしてもよい。
【0046】
また、いずれの場合も、必要に応じてベースフィルムに印刷や蒸着により図柄を施して、成型品に意匠性を付与することもできる。ベースフィルムを剥離する場合は、図柄がコーティング剤の硬化層に転写されるようにすればよい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において特にことわらない限り、「%」は「重量%」、「部」は「重量部」を示すものとする。
【0048】
1.コーティング剤の製造
[製造例1](ウレタンアクリレートAの製造)
フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、jER828、グリシジルエーテル系、エポキシ当量=190g/eq)のアクリル酸エステル1048g(2モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.6g、有機ポリイソシアネートとしてキシリレンジイソシアネート(XDI)188g(1モル)を仕込み、70〜80℃の条件にて、残存イソシアネート濃度が0.1%以下になるまで反応させた。
【0049】
[製造例2〜5](ウレタンアクリレートB〜Eの製造)
エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、jER828)のアクリル酸エステルとキシリレンジイソシアネートの仕込み量を表1に記載したように変更した以外はウレタンアクリレートAと同様に製造した。
【0050】
[製造例6](ウレタンアクリレートFの製造)
フラスコに、エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、jER828)のアクリル酸エステル2620g(5モル)、ペンタエリスリトール・トリ/テトラアクリレート(第一工業製薬(株)製、ニューフロンティアPET−3)450g(1OH当量)、ハイドロキノンモノメチルエーテル2.0g、有機ポリイソシアネートとしてキシリレンジイソシアネート(XDI)940g(5モル)を仕込み、70〜80℃の条件にて、残存イソシアネート濃度が0.1%以下になるまで反応させた。
【0051】
[製造例7〜10](ウレタンアクリレートG〜J)
エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、jER828)のアクリル酸エステルの仕込み量と、有機ポリイソシアネートの種類と仕込み量を表1に記載したように変更した以外はウレタンアクリレートAと同様に製造した。
【0052】
[製造例11〜13](ウレタンアクリレートK〜M)
エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、jER828)のアクリル酸エステルの仕込み量と、有機ポリイソシアネート、多官能アクリレート化合物、ポリオールの種類と仕込み量を表1に記載したように変更した以外はウレタンアクリレートFと同様に製造した。
【0053】
【表1】

【0054】
2.コーティング剤の評価
[実施例1〜19、比較例1〜3]
上記各製造例により得られたウレタンアクリレートA〜M100重量部(固形分)、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、シリカゾルをそれぞれ表2に示した割合で配合し、さらにIrgacure184 3重量部、メチルエチルケトン100重量部を配合し、基材(PET(ルミラー、コロナ放電処理))に乾燥後の膜厚が約10μmとなるように塗布した後、80℃で5分間乾燥させた。得られたフィルムにつき、タックフリー性、硬化後の鉛筆硬度(引っ掻き強度)、耐汚染性、透明性を以下の方法により評価又は測定した。
【0055】
〔タックの評価〕
上記乾燥後のフィルムを温度60℃のオーブンで10分間保温し、保温した状態で指を塗装面に押さえつけ、べたつきの有無を次の評価基準で評価した。
○:べたつきがない
△:べたつきが若干ある
×:べたつきがある
【0056】
〔鉛筆硬度(引っ掻き強度)〕
上記乾燥後のフィルムに高圧水銀灯で80W/cm、積算照度:約400mJ/cmの紫外線を照射して硬化させ、JIS K5600−5−4に準じて荷重750gで試験した。
【0057】
〔耐汚染性〕
JIS K5400に準じて試験した。すなわち、上記鉛筆硬度試験と同様に硬化させた塗膜面に、赤および黒の油性マジックで線を引き、18時間静置後、イソプロピルアルコールを含ませたティッシュで拭き取る。
【0058】
○:後残りなく拭き取れる
△:若干後残りがある
×:後残りがある
【0059】
〔透明性〕
上記フィルムを目視にて観察し、次の基準で評価した。
○:透明である
×:かすみや濁りがある
【0060】
【表2】

【0061】
表2に示された結果から分かるように、本発明のコーティング剤は、溶剤を揮発させただけでタックフリー性に優れ、鉛筆硬度(引っ掻き強度)、耐汚染性、透明性のいずれにも優れたものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のコーティング剤は、インモールド成型によって得られる携帯電話、家電製品、玩具等の各種成型品にコーティング層を形成するのに使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インモールド成型用フィルムに塗布され、成型品にコーティング層を形成するためのフィルムコーティング剤であって、
エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物であるエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)に、少なくとも有機ポリイソシアネート化合物(B)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)を含有してなり、
前記(A)成分の水酸基に対する(B)成分のイソシアネート基のモル比であるNCO/OH比が1未満であり、
かつ前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)の数平均分子量が2,000〜20,000である
ことを特徴とするフィルムコーティング剤。
【請求項2】
前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(C)が、前記エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)に、前記有機ポリイソシアネート化合物(B)と、多官能(メタ)アクリレート(D)及び/又はポリオール(E)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物(C’)であって、
前記化合物(A)成分、(D)成分及び(E)成分の水酸基の合計量に対する化合物(B)のイソシアネート基のモル比であるNCO/OH比が1未満であり、
かつ前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(C’)の数平均分子量が2,000〜20,000であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルムコーティング剤。

【公開番号】特開2013−53249(P2013−53249A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192976(P2011−192976)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】