説明

フィルム処理装置

【課題】自動処理モードと手動処理モードの夫々においてスキャニング済みの写真フィルムを適切に排出可能なフィルム処理装置を提供する。
【解決手段】現像済み写真フィルムをスキャニングしてコマ画像を読み取るスキャナーFSと、スキャナーFSに隣接配置されて、スキャナーFS内に写真フィルムを挿入するフィルムガイド機構60,61と、スキャニングが終了した写真フィルムを搬送経路60a,61aを経由してフィルムガイド機構60,61から排出するフィルム排出機構とを備え、フィルム排出機構は、自動処理モード時に写真フィルムを排出する第1排出経路51と、手動処理モード時に写真フィルムを排出する第2排出経路52とを備え、フィルムガイド機構61は、搬送経路60a,61aを第1排出経路51か第2排出経路52のいずれかに連結する切り替えガイド63を備え、フィルムガイド機構をいずれかのモードにセットした時に、自動的に切り替えガイド63も切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像済み写真フィルムをスキャニングしてコマ画像を読み取るためのフィルムスキャナーと、このフィルムスキャナーに隣接配置されて、フィルムスキャナー内に写真フィルムを挿入するための搬送経路が形成されるフィルムガイド機構と、スキャニングが終了した写真フィルムを前記搬送経路を経由してフィルムガイド機構から排出するためのフィルム排出機構とを備えたフィルム処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、現像済み写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーとを結合して一体化したシステムとしては、下記特許文献1に開示される写真感光材料処理装置が公知である。フィルムプロセッサにおいて、写真フィルムの現像処理及び乾燥処理が終了すると、写真フィルムはフィルムプロセッサから排出されて、搬送ユニットへ送り込まれる。この搬送ユニットにおいて、写真フィルムとフィルムリーダを分離し、カット後の現像済み写真フィルムのみがフィルムスキャナーに引き続き送り込まれて、各コマ画像のスキャニングが行われる。そして、フィルムスキャナーにおいてコマ画像のスキャニングが終了すると、写真フィルムはフィルムスキャナーから排出され、所定の排出経路に沿って搬送されてフィルムストッカーへと送り込まれる。このように未現像写真フィルムの現像処理からコマ画像のスキャニングまでの一連の処理を自動的に行うことができる。
【0003】
一方、フィルムスキャナーにおいては、上記のような自動処理モードだけではなく、手動で写真フィルムのスキャニングを行うための手動処理モードが必要である。例えば、焼き増しプリント作成の依頼があった場合には、写真フィルムの現像処理は不要であるため、写真フィルムを手動操作によりフィルムスキャナーに挿入させる必要がある。手動操作により挿入された写真フィルムも、スキャニングが終了するとフィルムスキャナーから排出させる必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開平11−234476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の場合において、自動処理モードと手動処理モードとで、同じ排出経路を用いて写真フィルムを排出しようとすると次のような問題が発生する。すなわち、排出経路内で写真フィルムを搬送するための搬送機構として搬送ローラを設けているが、自動処理モードにおいては長尺状の写真フィルムを取り扱うため、搬送ローラの配置間隔を大きく取ることが可能である。これに対して、手動処理モードにおいては、例えば、6コマ単位に切断されたピースフィルムを扱うことが多い。かかるピースフィルムは長さが短いために、搬送ローラの配置間隔を大きく取ると、ピースフィルムの搬送ができなくなってしまう。ピースフィルムも搬送可能にするためには、搬送ローラの配置間隔を短くすればよいが、搬送ローラの数が増えてしまい、コストアップの要因となる。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、自動処理モードと手動処理モードの夫々においてスキャニング済みの写真フィルムを適切に排出可能なフィルム処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係るフィルム処理装置は、
現像済み写真フィルムをスキャニングしてコマ画像を読み取るためのフィルムスキャナーと、
このフィルムスキャナーに隣接配置されて、フィルムスキャナー内に写真フィルムを挿入するための搬送経路が形成されるフィルムガイド機構と、
スキャニングが終了した写真フィルムを前記搬送経路を経由してフィルムガイド機構から排出するためのフィルム排出機構とを備えたフィルム処理装置であって、
このフィルム排出機構は、
自動処理モードのときに写真フィルムを排出するための第1排出経路と、
手動処理モードのときに写真フィルムを排出するための第2排出経路とを備え、
前記フィルムガイド機構は、前記搬送経路を第1排出経路か第2排出経路のいずれか一方に連結するための切り替えガイドを備えており、フィルムガイド機構を自動処理モードあるいは手動処理モードのいずれかの状態にセットした時に、自動的に切り替えガイドも切り替わるように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この構成によるフィルム処理装置の作用・効果を説明する。写真フィルムをスキャニングしてコマ画像を読み取るフィルムスキャナーに隣接して、フィルムガイド機構が設けられている。スキャニングを行なうためには、自動処理モードと手動処理モードのいずれの場合もフィルムガイド機構により写真フィルムがフィルムスキャナーに挿入される。スキャニングが終了すると、写真フィルムはフィルムガイド機構からフィルム排出機構へと排出される。このフィルム排出機構は、自動処理モード用の第1排出経路と手動処理モード用の第2排出経路を備えている。これにより、夫々のモードに適した排出経路を構成することができる。また、フィルムガイド機構に設けられる搬送経路は、いずれのモードの場合にも利用されるため、切り替えガイドを設けて、処理モードの設定に応じていずれかの排出経路とフィルムガイド機構の搬送経路とを連結する必要がある。
【0009】
本発明の構成によれば、フィルムガイド機構を手動処理モードに設定すると、自動的に切り替えガイドが第2排出経路側に切り替わり、自動処理モードに設定すると、自動的に切り替えガイドが第1排出経路側に切り替わる。従って、オペレータはモードに応じて切り替えガイドを切り替えるための操作を必要とせず、作業を簡素化すると共に確実な経路切替を実現することができる。その結果、自動処理モードと手動処理モードの夫々においてスキャニング済みの写真フィルムを適切に排出可能なフィルム処理装置を提供することができる。
【0010】
本発明において、前記フィルムガイド機構は、写真フィルムのフィルム面の一方側に位置する第1ガイド部と、フィルム面の他方側に位置する第2ガイド部とを備え、第2ガイド部を開放して搬送面を露出させる操作に連動して、前記切り替えガイドが第2排出経路に連結するように構成されていることが好ましい。
【0011】
フィルムガイド機構は第1ガイド部と第2ガイド部により構成され、第2ガイド部を閉じた状態とすることで搬送面(搬送経路)が形成され、第2ガイド部を開放することで搬送面が露出し、写真フィルムの手動挿入を行なうことができる。そして、この第2ガイド部の開放操作に連動して、切り替えガイドが移動して、第2排出経路に連結される。これにより、第2ガイド部を開放するだけの操作により、手動処理モードを行なうための準備が整えられる。
【0012】
本発明において、前記切り替えガイドは、付勢手段により常時第2排出経路の方に付勢されていることが好ましい。
【0013】
この構成によると、切り替えガイドは付勢手段(例えば、スプリング)により、常時、第2排出経路側に付勢されている。第2ガイド部を閉じているときは、この付勢力に抗して切り替えガイドを第1排出経路と連結する状態としているが、第2ガイド部を開放することで、この付勢力により、自動的に切り替えガイドを第2排出経路側に移動させて連結することができる。
【0014】
本発明において、自動処理モードにおいてフィルムスキャナーへ写真フィルムを挿入するときに、写真フィルムのループを形成するループボックスを備えており、このループボックスに第1排出経路と第2排出経路を形成したことが好ましい。
【0015】
自動処理モードで写真フィルムをフィルムスキャナーへ送り込んでスキャニングを行なう時には、写真フィルムを一定速度で精度よく搬送させる必要がある。従って、スキャニングを安定して行うために、写真フィルムのループを形成してスキャニング中に無理な負荷が作用しないようにしている。かかるループを形成するための空間部を設けるためにループボックスを設け、このループボックスに第1・第2排出経路を形成することで、部品点数を抑制しながら排出経路を構成することができ、コストダウンに寄与することができる。
【0016】
本発明において、第1排出経路はループボックスの内部に形成されてフィルムストッカーへ接続されており、第2排出経路はループボックスの外部に形成されていることが好ましい。
【0017】
第1排出経路をループボックスの内部に設けることで、写真フィルムを搬送駆動するための駆動機構を容易に配置することができる。また、第2排出経路をループボックスの外部に設けることで、スキャニング済みの写真フィルムは外部に排出されるため、オペレータは処理済みの写真フィルムをすぐ取り出すことができる。従って、第2排出経路には搬送機構を設けなくても済む。
【0018】
本発明において、前記フィルムガイド機構を構成するフィルムスキャナーに近い側の第1ガイド機構、及び、フィルムスキャナーから遠い側の第2ガイド機構と、
自動処理モードにおいて、写真フィルムを受け取り位置において受け取り、受け渡し位置においてフィルムスキャナー側へ受け渡すためのフィルム受け渡しユニットと、
このフィルム受け渡しユニットを受け取り位置から受け渡し位置へと駆動するための駆動手段とを備え、
フィルム受け渡しユニットが受け渡し位置に位置するときは、所定の軸芯周りに第2ガイド機構を回転させて退避させることで、第1ガイド機構へと写真フィルムを受け渡し、
第2ガイド機構の前記所定の軸芯が切り替えガイドの回転軸芯を兼ねていることが好ましい。
【0019】
フィルムガイド機構は、フィルムスキャナーに近い順に、第1ガイド機構と第2ガイド機構を備えている。自動処理モードにおいては、フィルム受け渡しユニットが受け取り位置と受け渡し位置へと移動して、写真フィルムを第1ガイド機構に受け渡す。従って、写真フィルムは、フィルム受け渡しユニットから第1ガイド機構を経由してフィルムスキャナーへと供給される。フィルム受け渡しユニットが受け渡し位置へ移動するのに連動して、第2ガイド機構を退避させて、第1ガイド機構の搬送経路とフィルム受け渡しユニットとを連結して、写真フィルムを受け渡す。
【0020】
フィルム受け渡しユニットによる写真フィルムの受け渡しが終了すると、フィルム受け渡しユニットは再び受け渡し位置から受け取り位置へと移動し、第2ガイド機構は元の位置に復帰する。従って、フィルムスキャナーによりスキャニングの終了した写真フィルムは、第1ガイド機構と第2ガイド機構を経由して排出経路へと排出される。ここで、第2ガイド機構を退避させる際に、所定の軸芯周りに回転させるようにしている。さらに、切り替えガイドも同じ軸芯周りに回転するように構成することで、簡素な構成で切り替えガイドを軸支させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るフィルム処理装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、フィルムプロセッサFPとフィルムスキャナーFSで構成されるフィルム処理装置FAと、プリント作成装置PAを有するプリント処理システム1全体の外観構成を示す図である。なお、プリント処理システム1は、その他の装置(例えば、注文者用受付端末、記録媒体への書き込み・読み取り装置、インターネット受け付け可能なPC端末等)を有するものであってもよい。
【0022】
<システムの全体構成>
図1において、フィルム処理装置FAは、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサFPと、このフィルムプロセッサFPにより現像処理された現像済み写真フィルムのコマ画像を光電変換によりデジタルの画像データとして取得するためのフィルムスキャナーFSとを上下位置に配置する。そして、フィルム処理装置FAは、フィルムプロセッサFPの排出部から排出された現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSの供給部へ搬送するための搬送ユニットFCを備えている。
【0023】
このフィルム処理装置FAは、通信回線を介してプリント作成装置PAに接続される。プリント作成装置PAは、通信機能、オーダー管理・制御機能、画像処理機能、プリント作成機能を有し、コンピュータ、ディスプレイ等の表示手段、キーボード、マウス等のインターフェースとを備えている。この構成によりフィルム処理装置FAで取得した画像データは、通信回線を介してプリント作成装置PAに伝送され、このプリント作成装置PAにより印画紙等のプリント媒体に画像がプリントされる。オーダー管理・制御は、画像データをオーダー単位で管理し、プリント作成の順序を設定できるように構成される。
【0024】
なお、プリント作成装置PAは銀塩式の印画紙を使用するものに限定されず、インクジェット型、昇華型のプリント作成装置を用いてもよい。
【0025】
本発明において、フィルムプロセッサFPにより現像処理される前の写真フィルム(コマ画像が潜像状態のもの)を特に未現像写真フィルムと称し、フィルムプロセッサFPにより現像処理された後の写真フィルム(コマ画像が顕在化したもの)を特に現像済み写真フィルムと称することがある。
【0026】
<フィルムプロセッサ>
フィルムプロセッサFPは、図1、2に示すように、プロセッサ本体の前部にフィルム挿入部11を配置し、プロセッサ本体内部に現像処理部12、乾燥処理部13とを備え、プロセッサ本体の後部に排出部14を配置し、フィルム挿入部11から排出部14にわたって搬送機構15を形成している。プロセッサ本体の前部位置には各種情報を表示する液晶ディスプレイ16aと複数の操作ボタン16bを有したコントロールパネル16を備え、プロセッサ本体内部にフィルムプロセッサFP全体の制御を実現する制御ユニット17を備える。プロセッサ本体の上面には、排出部14から送りだされる現像済み写真フィルムを受け止めるフィルムストッカー18が形成されている。
【0027】
フィルム挿入部11には、開閉自在な蓋体11aを備え、フィルムカートリッジCa(もしくはパトローネ)に収容されたロール状の未現像写真フィルムをセットし、搬送機構15に受け渡す作動系(フィルム駆動機構11e)と、写真フィルムの後端を切断する切断ユニット11bを備える。
【0028】
また、写真フィルムの長さの情報を得るために、搬送機構15によって搬送される写真フィルムの先端及び後端の通過を検出するローディングセンサー11c(フィルム位置検出センサーに相当)を備える。ローディングセンサー11cは、例えば、一対の光学式センサー(受光式、投光式)、反射型センサー、レーザセンサー、その他の近接センサー、イメージセンサー等で構成できるが、一対の光学式センサー(受光式、投光式)が好ましい。このローディングセンサー11cは、フィルム先端位置(もしくはフィルムリーダの先端位置)とフィルム後端位置を検出することができる。これら検出された先端位置と後端位置情報に基づいて、写真フィルムの長さ情報を演算することができる(後述)。
【0029】
APSフィルムの現像処理の場合、カートリッジCaから引き出した写真フィルムの先端にフィルムリーダLを取り付け、蓋体11aを開放して、このフィルムリーダLが先行するようにフィルム挿入部11にカートリッジCaをセットする。写真フィルムFとフィルムリーダLとを接続した状態を図3に示す。フィルムリーダLは、樹脂製のフィルムと同程度の柔軟性を持つシート状部材であり、写真フィルムFよりも大きな幅寸法を有する。フィルムリーダLには、多数のパーフォレーションLaが形成されており、このパーフォレーションLaと噛み合うスプロケットにより、写真フィルムFはフィルムプロセッサFP内を搬送される。かかるパーフォレーションLaを設けることで、フィルムプロセッサFP内をすべりが生じることなく確実に写真フィルムを案内することができる。
【0030】
パーフォレーションLaは、好ましくは、図示のようにフィルムリーダLの幅方向の片側端部(図3参照)に形成されるが、両側端部に形成されていてもよい。写真フィルムFとフィルムリーダLとの連結は、図3(a)に示すように、フィルムリーダLに形成された係合突起を写真フィルムFに形成された孔に挿入することで連結してもよいし、図3(b)に示すように、粘着テープTにより写真フィルムFの先端部とフィルムリーダLとを連結してもよい。使用されるフィルムリーダLの形状・大きさは予め決まっている。また、フィルムリーダLと写真フィルムFの連結は治具を用いて行なうため、フィルムリーダLに対する写真フィルムFの連結位置(貼り付け位置)も予め決まっている。
【0031】
フィルムリーダL付きの写真フィルムFをセットして、蓋体11aを閉じた後、コントロールパネル16の所定の操作ボタン16bを操作することで制御ユニット17の制御によってフィルム搬送(ローディング)が開始され、現像処理部12での現像処理と、乾燥処理部13での乾燥処理の後に排出部14からフィルムリーダLを先頭にして写真フィルムが排出される。この場合、カートリッジ検出手段11dがカートリッジCaを検出して、次いで、蓋体11aを閉じると、ローディングが開始され、写真フィルムFが搬送開始される。
【0032】
制御ユニット17は、ローディングを開始するようにフィルムプロセッサFPの各要素を制御する。フィルム駆動機構11eが、フィルムリーダL及び写真フィルムFを圧着ローラで狭持しながら現像処理部12まで搬送し、ローディングセンサー11cが搬送されてきたフィルムリーダL及び写真フィルムの先端を検出すると、現像処理部12及び乾燥処理部13の搬送機構15が駆動され、フィルムリーダL及び写真フィルムを圧着ローラで挟持して、現像処理部側に搬送する。ここで、フィルム駆動機構11eと搬送機構15は、別駆動で動作する。なお、フィルムプロセッサFPでの「ローディング」とは、フィルムカートリッジCaから写真フィルムがフィルム駆動機構11eによって引き出され、現像処理部12に搬送される動作を意味する。
【0033】
現像処理部12は、発色現像槽、漂白槽、定着槽、安定槽を有し、現像処理部12内部において搬送機構15は、フィルムリーダL及び写真フィルムを搬送するためフィルムリーダLのパーフォレーションLaと係合する複数のスプロケット機構と圧着ローラ機構15aを備えている。また、乾燥処理部13は、現像処理部12から搬送されてきた写真フィルムを乾燥するブロワ13aを備える。同様に、乾燥処理部13にも上記スプロケット機構と圧着ローラ機構が備えられている。搬送機構15は、スプロケット機構と圧着ローラ機構15aと、これらを電動モータ(不図示)で同期駆動する駆動系を備えている。
【0034】
排出部14には、現像済み写真フィルムをフィルムプロセッサFPから排出するための排出ローラ15bが設けられている。排出ローラ15bにより排出された写真フィルムは、搬送ユニットFCに受け渡されフィルムスキャナーFSへと搬送されることになる。
【0035】
フィルムスキャナーFSは、図1,2に示すように、スキャナー本体の下部にフィルムキャリア21を配置し、このフィルムキャリア21の下側に光源ユニット22を、フィルムキャリア21の上側にズームレンズ23と光電変換ユニット24とを配置している。スキャナー本体の内部にスキャナー制御部25(制御ユニット)を配置している。フィルムスキャナーFSは、フィルムプロセッサFPに固定されており、排出部14の排出ブロック上部位置に配置されている。
【0036】
フィルムキャリア21は、フィルムプロセッサFPの前部と同じ方向に現像済み写真フィルムの供給部21aを形成し、この供給部21aからフィルムを後部側に搬送しながらスキャニングを行えるように構成される。なお、フィルムキャリア21に写真フィルムを送り出す前に、搬送ユニットFCにおいて写真フィルムからフィルムリーダLを切り離す処理がなされる。また、フィルムキャリア21は、搬送ローラ21bを駆動する搬送モータ(不図示)を備える。
【0037】
光源ユニット22は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の発光ダイオード(不図示)を有し、ズームレンズ23は、焦点距離の調節によって、写真フィルムのコマの情報を設定された拡大率で光電変換ユニット24の光電変換面に結像させる。この光電変換ユニット24は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応してCCD等の光電変換素子でなる3つのラインセンサ(不図示)を備える。
【0038】
<搬送ユニットの構成>
次に、フィルムプロセッサFPから排出された現像済み写真フィルムをフィルムスキャナーFSへ搬送するための搬送ユニットFCの構成を図4により説明する。図4に示すように、フィルムプロセッサFPの排出部14には、排出ローラ15bが設けられている。
【0039】
搬送ユニットFCは、フレームに固定された搬送ブロックBと、所定の軸芯周りに回転可能に取り付けられたチャッカーCとを備えている。搬送ブロックBの下側のブロック部の上流側端部には、フィルムガイド30が設けられており、軸芯30a周りに回転可能に軸支されている。フィルムガイド30は、搬送すべき写真フィルムの幅寸法に対応したガイド部を備えており、図4に示す第1位置と想像線で示す第2位置との間をガイド切替ソレノイド31によりいずれかの位置に切り替えられる。第1位置にセットされているときは、写真フィルムをフィルムスキャナーFSの方向に導くことができる。第2位置にセットしているときは、写真フィルムはフィルムストッカー18に排出される。
【0040】
搬送経路に沿って、上流側の搬送ローラ対32aと下流側の搬送ローラ対32bとからなるローラ搬送機構32が設けられている。各搬送ローラ対32a,32bは、駆動ローラと圧着ローラにより構成され、第1駆動モータM1により同期駆動される。下流側の搬送ローラ対32bの上流側近傍に第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34が設けられている。これらのセンサーは、発光素子と受光素子からなる光センサーであり、写真フィルムやフィルムリーダがセンサー位置を通過すると、透光状態から遮光状態に切り換わることで検出を行なう。第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34は、図4の紙面に直交する方向から見ると同じ位置に配置されているが、幅方向において異なる位置に配置されており、写真フィルムとフィルムリーダを別々に検出することができる。
【0041】
ローラ搬送機構32の上流側・下流側搬送ローラ対32a,32bの間にはフィルム幅規制ガイド3が設けられている。このフィルム幅規制ガイド3は、写真フィルムの幅方向をガイド(規制)する機能を備えており、写真フィルム搬送時における蛇行防止や、写真フィルムとフィルムリーダを分離するときに、写真フィルムが幅方向に動かないように規制するものである。
【0042】
下流側搬送ローラ対32bの更に下流側には、写真フィルムとフィルムリーダを切り離すためのカッター35が設けられており、カットモータ36により駆動される。カットされたフィルムリーダはリーダーストッカー19に回収される。カッター35のすぐ下流側には、第2フィルムセンサー37が設けられており、フィルムリーダの先端や写真フィルムの先端を検出する。第2フィルムセンサー37も第1フィルムセンサー33と同様の光センサーで構成することができる。
【0043】
チャッカーC(フィルム受け渡しユニットに相当)はフィルムリーダが切り離された写真フィルムの先端部を挟持ローラ対40により挟持し、フィルムスキャナーFSの供給部21aへと搬送する。チャッカーCは、チャッカー駆動モータ(チャッカーCを受け取り位置から受け渡し位置へ駆動する駆動手段に相当)により軸芯41回りに回転可能に設けられている。チャッカーCは、図4に示すような写真フィルムを受け取る受け取り位置と、写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡し可能な受け渡し位置の間を回転可能であり、更に、ループボックス50内にループを形成するためにループ形成位置において中間停止することができる。
【0044】
搬送ユニットFCの右側の空間はループボックス50であり、写真フィルムがループを形成するための空間部が形成されている。搬送ユニットFCの上部には、第1ガイド機構60と第2ガイド機構61が設けられており、夫々写真フィルムを搬送するための搬送経路60a,61aが形成されている。チャッカーCが受け渡し位置に回転してきたときは、第2ガイド機構61は経路外に退避するように移動し、第1ガイド機構60の搬送経路60aに写真フィルムが受け渡される。
【0045】
ループボックス50の上方には第1排出経路51と第2排出経路52が設けられている。フィルムスキャナーFSによるコマ画像の読み取りが終了した写真フィルムは、第1ガイド機構60と第2ガイド機構61を逆方向に搬送され、第1排出経路51へと導かれる。第1排出経路51の終端はフィルムストッカー18へと連結されており、スキャニングを終了した写真フィルムはフィルムストッカー18に回収される。第1排出経路51には、写真フィルムを搬送するための搬送ローラ54が設けられており、これは第3駆動モータM3(図5参照)により駆動される。第3駆動モータM3と、搬送ローラ54とは、適宜の減速機構やベルト機構により連結されている。なお、第3駆動モータM3は後述するようにチャッカーCの挟持ローラ対40を駆動する機能も有している。
【0046】
フィルムプロセッサFPにより現像処理された写真フィルムは、搬送ユニットFCを介して自動的にフィルムスキャナーFSに送り込まれるが、手動でフィルムスキャナーFSに写真フィルムを供給することもできる。この場合は、第2ガイド機構61を開いて、第1ガイド機構60を介して、手動で写真フィルムを供給部21aから供給する。例えば、焼き増しプリントの依頼で写真フィルムの現像処理を行わない場合は、手動で写真フィルムをフィルムスキャナーFSに供給する。手動で挿入された写真フィルムは、第2排出経路52から排出されるように構成されている。
【0047】
フィルムスキャナーFSには、搬送経路に沿って搬送ローラ21bが配置されており、その途中に読み取り用の開口部21cが設けられる。この開口部21cの位置に読み取り光軸SLが設定される。供給部21aには、ローディングセンサー26が設けられており、写真フィルムの先端が搬送されてきたことを検出する。この検出に基づいて、各搬送ローラ21bを回転させるための駆動モータを駆動する。また、ローディングセンサー26とは別にレディセンサー27が設けられており、このレディセンサー27による検出タイミングを基準として、写真フィルムの画像スキャニング開始が制御される。
【0048】
<制御ブロック構成>
次に、図5の制御ブロック図によりフィルム処理装置FAの制御機能について説明する。まず、フィルムプロセッサFPの制御ユニット17の主要な機能を説明する。フィルム端部検出部17aは、ローディングセンサー11cによる検出信号に基づいて、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端位置及び後端位置を検出する。フィルム長さ演算部17bは、フィルム端部検出部17aにより検出された先端位置と後端位置の情報に基づいて、写真フィルムの長さを演算する。実際にローディングセンサー11cにより検出されるのはフィルムリーダの先端であるが、フィルムリーダの大きさは予め分かっているため、その分を差し引くことで写真フィルムの長さを演算することができる。通信制御部17cは、搬送ユニットFCやフィルムスキャナーFSとの通信を行う機能を有する。
【0049】
フィルム位置演算部17dは、写真フィルムの先端位置情報に基づいて、現像済み写真フィルムが搬送ユニットFC内に送り込まれてくるタイミングを演算する。具体的には、排出ローラ15eから所定距離の位置に写真フィルム先端が到達したことを検出する。カウント部17eは、ローディングセンサー11cにより先端が検出された時点から予め設定された所定時間をカウントする。所定時間をカウント終了した時点で、写真フィルムの先端が排出ローラ15bから所定距離の位置に到達していることになる。なお、時間をカウントするのではなく、搬送機構15による搬送量をカウントするように構成してもよい。
【0050】
搬送制御部70は、搬送ユニットFC内を搬送される写真フィルムの搬送・停止を含む駆動制御を統括的に行なう。また、フィルムプロセッサFSの制御ユニット17及びフィルムスキャナーFSのスキャナー制御部25との通信を行なう。写真フィルムの位置情報や長さ情報は、制御ユニット17からの通信によりデータを受信することができる。
【0051】
搬送量演算部71は、写真フィルムの搬送量を演算する。搬送ユニットFCにおいて写真フィルムの搬送・停止の制御を行うためには、写真フィルムの搬送量を監視することが必要である。搬送量の演算は、各モータ(パルスモータ)を駆動するために供給される駆動パルスの数や、搬送ローラに連動して回転するエンコーダからの信号に基づいて、搬送量を演算することができる。あるいはタイマーによる時間カウントを行なって搬送量を演算してもよい。また、搬送量演算部71は第1フィルム長さカウント部71aと第2フィルム長さカウント部71bの機能を備えており、搬送される写真フィルムの長さをカウントする機能を有する。
【0052】
搬送制御部70は、ガイド切替ソレノイド31、第1駆動モータM1、第2駆動モータM2、第3駆動モータM3、チャッカーモータCM、カットモータ36に対する駆動制御を行なう。第1駆動モータM1は、ローラ搬送機構32を駆動し、第2駆動モータM2と第3駆動モータM3はチャッカーCの挟持ローラ対40を駆動する。チャッカーC自身には駆動源は搭載されておらず、チャッカーCが受け取り位置にあるときは、第2駆動モータM2と挟持ローラ対40とが機械的に連結し、チャッカーCが受け渡し位置にあるときは、第3駆動モータM3と挟持ローラ対40とが機械的に連結可能に構成されている。第2駆動モータM2と第3駆動モータM3は、搬送ユニットFCのフレームに対して固定されている。
【0053】
第1・第2フィルムセンサー33,37については既に説明した通り、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端・後端の検出を行なう。ホームリミットスイッチ35aは、カッター35がホーム位置にあるか否かを検出する。ホームリミットスイッチ35aは機械的にカッター35を検出するものであるが、光センサーなど他のタイプのセンサーを用いてもよい。
【0054】
ホームセンサー38は、チャッカーCが受け取り位置(ホーム位置)にいることを検出するためのセンサーである。ガイド検出センサー62は、第1ガイド機構60が閉じているか否かを検出するためのセンサーである。第1ガイド機構60が閉じているときに、チャッカーCにより写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡すことができる。以上の各センサー信号は、搬送制御部70に送信され、これらの検出結果に基づいて、ソレノイドやモータの駆動制御が行なわれる。
【0055】
<フィルムガイド機構の構成>
次に、フィルムスキャナーFSへ写真フィルムをガイドするためのフィルムガイド機構とフィルム排出機構の構成について詳細に説明する。図6はフィルムガイド機構と排出経路の構成を示す要部断面図、図7は要部斜視図、図8は、ガイドを開いた状態を示す要部断面図、図9は、ガイドを開いた状態を示す要部斜視図である。
【0056】
写真フィルムのスキャニングを行ってコマ画像を読み取る場合には、自動処理モードと手動処理モードの2つのモードが用意されている。自動処理モードは、いわゆる同時プリントに対応するものであり、写真フィルムの現像処理とコマ画像のスキャニングとを自動で連続的に行なうモードである。手動処理モードは、いわゆる焼き増しプリントに対応するものであり、写真フィルムのスキャニングのみを行なうモードである。この場合は、オペレータによる手動操作により写真フィルムをフィルムスキャナーFSに挿入する。
【0057】
自動処理モードにおいては、長尺状の写真フィルムはカットされていないため、写真フィルムを搬送ローラで搬送する場合には、搬送ローラの配置間隔を大きく取ることができる。一方、手動処理モードにおいては、例えば6コマ単位に切断された長さの短いピースフィルムを扱うことが多いため、搬送ローラで搬送させる場合には、配置間隔を短くする必要がある。
【0058】
そのような点を考慮して、自動処理モードでは写真フィルムは第1排出経路51に排出され、手動処理モードでは写真フィルムは第2排出経路52に沿って排出される。第1排出経路51に排出された写真フィルムは、経路上に設置された搬送ローラ54により搬送され、フィルムストッカー18へと送り込まれる。搬送ローラ54の配置間隔については、写真フィルムが長尺状であることを考慮して大きくとることができ、搬送ローラ54の配置個数を少なくすることができる。第1排出経路51は、ループボックス50の内部の外周に沿って形成されており、外観からは見えにくい位置に形成されている。
【0059】
一方、第2排出経路52は、ループボックス50の外観部分に形成されており、駆動系とは連結されていない。第2排出経路52は、写真フィルムをガイド可能な凹部として形成されている。オペレータは、第2排出経路52に排出された写真フィルムをそのまま手で取り出すことができる。
【0060】
ループボックス50の構成を説明すると、図1にも示すように、ループボックス50は、一対のボックスケース53a,53bにより構成され、これらボックスケース53a,53bは、写真フィルムの幅寸法に対応した距離だけ隔てて配置される。図6には、一方のボックスケース53aのみが図示されており、このボックスケース53aに第1排出経路51を形成するための溝が形成されている。他方のボックスケース53bにも同じような溝が形成されている。また、第2排出経路52を形成するため、一方のボックスケース53aの上部には段部が形成され、他方のボックスケース53bにも同じような段部が形成される。この左右一対の段部により、写真フィルムの幅方向がガイド可能となっている。
【0061】
第1ガイド機構60と第2ガイド機構61は、図6等に示すように、並べて配置されており、フィルムスキャナーFSと第1ガイド機構60が隣接する位置関係にある。各ガイド機構の搬送経路60a,61aは同じ高さの水平面に位置しており、第1排出経路51の入口部51aも同じ高さの水平面となっている。第1排出経路51のすぐ上部に第2排出経路52が位置しており、第2排出経路52の入口部52aは、斜めに傾斜して、第2ガイド機構61の搬送経路61aと繋がるように構成されている。
【0062】
第1ガイド機構60と第2ガイド機構61は、共に開閉可能に構成されており、手動処理モードを行なう時には、第2ガイド機構61の上部を開放する。また、自動処理モードを行なう時には、第2ガイド機構61の全体が回転して経路外に退避するように構成されている。すなわち、チャッカーCにより写真フィルムをフィルムスキャナーFSに受け渡す際には、挟持ローラ対40が図6の40’の位置に来て、チャッカーCから第1ガイド機構60へ写真フィルムを受け渡す。このとき、チャッカーCにより第2ガイド機構61の全体が跳ね上げられるように構成されている。チャッカーCが元の位置に復帰すると、第2ガイド機構61も元の位置に復帰する。
【0063】
第1ガイド機構60は、下ガイド体600と上ガイド体601により構成され、第2ガイド機構61も下ガイド体610(第1ガイド部に相当)と上ガイド体611(第2ガイド部に相当)により構成され、上下のガイド体の間に搬送面が形成される。第1ガイド機構60の上ガイド体601に形成された突出部601aの上に、第2ガイド機構61の上ガイド体611の突出部611aがかぶさっており、第1ガイド機構60全体を開放すると第2ガイド機構61全体も連動して開放するように構成されている。また、上ガイド体601a,611aのみを開放して搬送面を露出させるようにすることもできる。ガイド機構の開放は、トラブルの対処やメンテナンスなどを目的として行なうこともある。手動処理モードを行なう時には、第2ガイド機構61の上ガイド体611を開放する。
【0064】
次に、排出経路の切替機構について説明する。図6、図7に示すように、第2ガイド機構61には切り替えガイド63が設けられており、軸芯64回りに回転可能に構成されている。第2ガイド機構61の搬送経路61aは、この切り替えガイド63により、第1排出経路51か第2排出経路52のいずれか一方に切り替えられる。切り替えガイド63は、ねじりコイルスプリング65により、常時第2排出経路52側(図6の反時計方向)に付勢されているが、第2ガイド機構61の上ガイド体611が閉じているときは、切り替えガイド63は第1排出経路51に連結されている。切り替えガイド63には搬送面63aが形成されており、図6に示す状態(自動処理モード)では、搬送面63aは水平な状態に設定されており、搬送経路61aや第1排出経路51と同じ高さに位置している。
【0065】
切り替えガイド63の軸芯64は、自動処理モードにおいて第2ガイド機構61の全体が回転するときの回転軸芯も兼ねており、これにより、ガイド機構の構成を簡素化している。
【0066】
図9は、第2ガイド機構61の上ガイド体611を開放した状態を示している。上ガイド体611は、搬送方向と平行に設けられた回転軸612回りに回転可能である。上ガイド体611を閉じた状態に保持する機構(係止機構)については、適宜の機構を採用することができる。上ガイド体611を開放すると、切り替えガイド63はコイルスプリング65の付勢力により回転可能になり、図8、図9に示すように所定角度回転する。下ガイド体610に設けられた当接部610aと、切り替えガイド63の当接部63bが互いに当接する位置まで切り替えガイド63が回転する。このとき、第2ガイド機構61の搬送経路61a、切り替えガイド3の搬送面63a、第2排出経路52の入口部52aが連結される。
【0067】
<手動処理モードにおける操作手順>
次に、手動処理モードにおけるスキャニング手順を説明する。処理手順を図10のフローチャートにより説明する。まず、フィルム処理装置FAを手動処理モードに設定する(S100)。次に、第2ガイド機構61の上ガイド体611を開放する(S101)。この開放動作に連動して、切り替えガイド63が回転して、第2排出経路52に経路が切り替わる(S102)。スキャニングを行なう写真フィルムを第1ガイド機構60に挿入する(S103)。写真フィルムがフィルムスキャナーFSに挿入されると、コマ画像の読み取り処理が行われる(S104)。スキャニングが終了すると、写真フィルムはフィルムスキャナーFSから排出され、第1ガイド機構60、第2ガイド機構61(下ガイド体610)、切り替えガイド63を経由して第2排出経路52へ排出される(S105)。次の写真フィルムのスキャニングを行なうときは同じ手順を繰り返せばよい。
【0068】
<自動処理モードにおける処理手順>
次に、自動処理モードにおけるフィルム処理装置FAの動作について簡単に説明する。図14は、フィルム処理装置FAの動作を説明するフローチャートである。図11〜図13は、搬送ユニットにおける動作を示す作動図である。
【0069】
フィルムプロセッサFPにおいて写真フィルムの現像処理が行われると(S200)、写真フィルムFはフィルムプロセッサFSの排出ローラ15bにより排出され(S201)、搬送ユニットFC内へと送り込まれてくる。フィルムガイド30は、図5に示すように、フィルムリーダLを案内可能な位置にセットされており、排出ローラ15bの駆動により、搬送ブロックBへとフィルムリーダLを先頭に写真フィルムが案内される(S202)。
【0070】
搬送ブロックBにおいては、フィルムリーダLと写真フィルムFは、ローラ搬送機構32により駆動され、所定の位置までフィルムリーダL及び写真フィルムFを搬送させて写真フィルムを停止させる(S203)。フィルムリーダLを写真フィルムFと分離するため、カッター35を動作させて、フィルムリーダLを切り離す(S204)。分離されたフィルムリーダLは挟持ローラ対40により排出されて、リーダーストッカー19に回収される。
【0071】
引き続いて写真フィルムFのみを搬送する状態になり、チャッカーCの挟持ローラ対40により写真フィルムFの先端部を挟持する位置まで搬送する(S205)。次に、写真フィルムFを挟持した状態でチャッカー40を軸芯41周りに回転させる(S206)。チャッカーCは、まず図12(図6の40”で示す挟持ローラ対の位置も参照)に示すような中間位置に停止し、ループボックス50内に写真フィルムFのループを形成させる(S207,S208)。十分な量のループが形成されると、チャッカーCを再び回転させて、図13の状態にし、写真フィルムFを第1ガイド部60の搬送経路60aへと受け渡す(S209)。また、チャッカーCの受け渡し位置への回転により、チャッカーCにより第2ガイド機構61が押し上げられ搬送経路から退避する形になる(S210)。受け渡された写真フィルムFは、フィルムスキャナーFSへと搬送されて、コマ画像の読み取りが行なわれる(S211,S212)。
【0072】
写真フィルムの受け渡しが終了すると、チャッカーCは受け渡し位置から受け取り位置へと復帰する(S213)。この復帰動作に連動して第2ガイド機構61も元の位置に復帰し、写真フィルムを排出できる体勢が整う(S214)。フィルムスキャナーFSにおいて写真フィルムのスキャニングが終了すると、フィルムスキャナーFSから写真フィルムが排出される(S215)。写真フィルムは、第1ガイド機構60と第2ガイド機構61の各搬送経路60a,61a、切り替えガイド63の搬送面63a、ループボックス50内の第1排出経路51を通過して、フィルムストッカー18へと送り込まれる。
【0073】
以上のように、本発明の構成によれば、第2ガイド機構61(上ガイド体61)を開放状態にすることで、切り替えガイド63が自動的に切り替わり、第2排出経路52に連結することができる。従って、自動処理モードと手動処理モードにおいて、夫々のモードに適切な排出経路に自動的に切り替えることができ、オペレータの操作が容易になる。
【0074】
<別実施形態>
本実施形態において、フィルムガイド機構は第1ガイド機構60と第2ガイド機構61の2つで構成されているが、第1ガイド機構は必ずしもなくてもよい。また、さらに第3ガイド機構を設けるようにしてもよい。
【0075】
本実施形態では、上ガイド体611の開放をオペレータの手動で行なっているが、これを電動で行なってもよい。例えば、適宜のスイッチを設けてこれを押すことで上ガイド体611を開くようにしてもよい。
【0076】
本実施形態では、切り替えガイド63をコイルスプリングの付勢力により回転させるようにしているが、付勢手段としては、板バネやゴム等の弾性体を使用してもよい。また、モーターやソレノイドなどのアクチュエータを用いて切り替えガイド63を駆動するようにしてもよい。例えば、上ガイド体611が開いたことをセンサーにより検出し、これに基づいて切り替えガイド63を切り替えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】フィルム処理装置を有するプリント処理システム全体の外観構成を示す図
【図2】フィルム処理装置の全体構成を示す断面図
【図3】写真フィルムとフィルムリーダを連結した状態を示す図
【図4】搬送ユニットの構成を示す断面図
【図5】フィルム処理装置の制御機能を示すブロック図
【図6】フィルムガイド機構と排出経路の構成を示す要部断面図
【図7】フィルムガイド機構と排出経路の構成を示す要部斜視図
【図8】ガイドを開いた状態を示す要部断面図
【図9】ガイドを開いた状態を示す要部斜視図
【図10】手動処理モードにおける操作手順を示すフローチャート
【図11】フィルム処理装置の動作を示す図
【図12】フィルム処理装置の動作を示す図
【図13】フィルム処理装置の動作を示す図
【図14】フィルム処理装置の動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0078】
1 プリント処理システム
30 フィルムガイド
32 ローラ搬送機構
50 ループボックス
51 第1排出経路
52 第2排出経路
53a ボックスケース
53b ボックスケース
54 搬送ローラ
60 第1ガイド機構
60a 搬送経路
61 第2ガイド機構
61a 搬送経路
63 切り替えガイド
63a 搬送面
64 軸芯
65 コイルスプリング
600,610 下ガイド体
601,611 上ガイド体
B 搬送ブロック
F 写真フィルム
FP フィルムプロセッサ
FA フィルム処理装置
FC 搬送ユニット
FS フィルムスキャナー
C チャッカー
L フィルムリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像済み写真フィルムをスキャニングしてコマ画像を読み取るためのフィルムスキャナーと、
このフィルムスキャナーに隣接配置されて、フィルムスキャナー内に写真フィルムを挿入するための搬送経路が形成されるフィルムガイド機構と、
スキャニングが終了した写真フィルムを前記搬送経路を経由してフィルムガイド機構から排出するためのフィルム排出機構とを備えたフィルム処理装置であって、
このフィルム排出機構は、
自動処理モードのときに写真フィルムを排出するための第1排出経路と、
手動処理モードのときに写真フィルムを排出するための第2排出経路とを備え、
前記フィルムガイド機構は、前記搬送経路を第1排出経路か第2排出経路のいずれか一方に連結するための切り替えガイドを備えており、フィルムガイド機構を自動処理モードあるいは手動処理モードのいずれかの状態にセットした時に、自動的に切り替えガイドも切り替わるように構成されていることを特徴とするフィルム処理装置。
【請求項2】
前記フィルムガイド機構は、写真フィルムのフィルム面の一方側に位置する第1ガイド部と、フィルム面の他方側に位置する第2ガイド部とを備え、第2ガイド部を開放して搬送面を露出させる操作に連動して、前記切り替えガイドが第2排出経路に連結するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム処理装置。
【請求項3】
前記切り替えガイドは、付勢手段により常時第2排出経路の方に付勢されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム処理装置。
【請求項4】
自動処理モードにおいてフィルムスキャナーへ写真フィルムを挿入するときに、写真フィルムのループを形成するループボックスを備えており、このループボックスに第1排出経路と第2排出経路を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。
【請求項5】
第1排出経路はループボックスの内部に形成されてフィルムストッカーへ接続されており、第2排出経路はループボックスの外部に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のフィルム処理装置。
【請求項6】
前記フィルムガイド機構を構成するフィルムスキャナーに近い側の第1ガイド機構、及び、フィルムスキャナーから遠い側の第2ガイド機構と、
自動処理モードにおいて、写真フィルムを受け取り位置において受け取り、受け渡し位置においてフィルムスキャナー側へ受け渡すためのフィルム受け渡しユニットと、
このフィルム受け渡しユニットを受け取り位置から受け渡し位置へと駆動するための駆動手段とを備え、
フィルム受け渡しユニットが受け渡し位置に位置するときは、所定の軸芯周りに第2ガイド機構を回転させて退避させることで、第1ガイド機構へと写真フィルムを受け渡し、
第2ガイド機構の前記所定の軸芯が切り替えガイドの回転軸芯を兼ねていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−201934(P2007−201934A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19507(P2006−19507)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】