説明

フィルム送達リンス

【課題】リンスを罹患組織における又はそれに近接する粘膜に定期的に適用することを含む粘膜又は近接する組織の適応症の治療又は寛解方法を提供する。
【解決手段】当該リンスが、
1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分;抗菌的有効量の四級アンモニウム界面活性剤; 及び
任意に前記組織を被覆し、前記抽出物を封入するのに有効なポリマー又はポリマー混合物を含む前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリンスとして適用する抗炎症性経口コーティングに関する。
【0002】
特定の草本抽出物が臨床的に口に関する特定の症状の治療又は寛解において効果的であることが示されてきた。WO02/094300及びPCT/US05/42348(2005年11月21日に出願された米国特許第11/284,078,号に対応する。)に記載されているのは、粘膜性疾患の治療又は寛解の草本抽出物の多数の有用な組み合わせ及び口の分離した領域に抽出物を送達する為の剤形である。例えば、前記組み合わせはPCT/US05/42348に記載された送達剤形で80人の患者の試験において、最初の1/2時間で平均50%の鎮痛作用を達成した。同じ試験において、4時間で平均40%の傷の減少を達成した。
【0003】
上記引用文献に記載された伝達装置は特に傷の減少に関して非常に効果的である。しかしながら、いくつかの場合、口または他の粘膜の疾患において、多数の病変により、薬物送達装置装置をそれぞれの傷に適用するのが最善の場合でも困難になる場合がある。又は、病変が薬物の病変への伝達を生理的に困難又は不可能にする位置に位置しうる。
【0004】
ここで提供するのは、口の柔組織表面、又は、他の粘膜組織に薬物送達コーティングを提供するリンスである。
【発明の概要】
【0005】
特に、1以上のセイヨウニワトコ(Sambucus nigra)、ツボクサ(Centella asiatica)又はエキナセア(Echinacea purpurea)の活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分; 抗菌的に効果的な量の四級アンモニウム界面活性剤; 及び任意に前記組織を被覆及び前記抽出物を封入するのに効果的なポリマー又はポリマーの混合物を含むリンスを疾患罹患組織における又は近接する粘膜に定期的に適用することを含む粘膜又は近接している組織の適応症を治療又は改善する方法を提供する。この方法は、いくつかの実施態様において1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分を含むフィルム、パッチまたは接着性固体製剤を粘膜の部分に適用することを含むことができる。 本方法は、化学療法に付随する粘膜を治療又は改善する為に使用できる。
【0006】
本発明はさらに、1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分、抗菌的に効果的な量の四級アンモニウム界面活性剤及び任意に粘膜組織を被覆し、前記抽出物を封入するのに有効なポリマー又はポリマー混合物を含む経粘膜伝達リンスを提供する。
【0007】
さらに粘膜又は近接する組織の適応症の治療の為のキットであって:
(i) 1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分及び(ii) 前記組織を被覆し、前記抽出物を封入するのに有効なポリマー又はポリマー混合物; セイヨウニワトコの活性物質を含む草本生理活性物質を含む適切な植物抽出物成分を含む経粘膜伝達リンスを含む、フィルム、パッチ又は粘着性固体製剤を含む前記キットを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1. 植物抽出物
装置における使用のために適切な植物抽出物組成物にはセイヨウニワトコ (SN)の抽出物及び/又はニンニク(Allium sativum:AS)、キンセンカ(Calendula officinalis: CO)、チャノキ(Camellia sinensis:CS)、ツボクサ (CA、Gotu Kolaとしても知られる)、ミルラ(Commiphora molmol:CM)、エキナセア (EP)、ウィンターグリーン(Gaultheria procumbens:GP)、セントジョーンズワート(Hypericum perforatum:HP)、ラタニア(Krameria triandra:KT)、オシャ(Ligusticum porterii-osha:LP)、ジャーマンカモミール(Matricaria recutita)、レモンバーム(Melissa officinalis)、セイヨウシロヤナギ(Salix alba)、コモンタイム(Thymus vulgaris)、キャッツクロー(Uncaria tomentosa)、苔癬(Usnea barbata)又はコケモモ(Vaccinium myrtillus)の植物抽出物を含む。抽出成分としては、例えば、セイヨウニワトコの抽出物を、次の文に記載される下限(質量%)から、90、95、96、97、98、99又は100%の量まで含むことができる。これらの下限は50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%である。もし第2又は第3の抽出物が存在するのであれば、例えば以下の文に記載する下限の内の1つから上限の内の1つまでの量で含んでもよい。第2又は第3の抽出物の下限は例えば、0.5、1、2、5、10又は20%である。上限は例えば、1、2、5、10、20、30、40又は50%でありうる。これらの範囲、およびこの出願において記載されたいかなる他の範囲も、1又は両方の端を含むこともでき、含まないこともできる。
【0009】
本明細書において「抽出」という用語は、有効量の活性成分を含むすべてのタイプの調製物を含むように使用される。従って、抽出物は、水、脂性溶媒 (オリーブ油のような)、及びアルコール性溶媒(例えば70%エタノール)を含むがこれらに限定されない、多様な異なる抽出溶媒を用いた例抽出法により製造することができる。冷抽出は典型的には葉や花のような植物の柔らかい部位に適用されまたは所望の活性成分が熱に弱い場合に適用される。代わりに、溶媒が室温より高く熱される熱抽出法は、選択した溶剤と抽出物の効力の特性などの要素に依存する前述の温度の正確な値で使用することができる。
熱抽出法は、より一般的には樹皮や、木の枝や、より大きい根などのようにより固く、頑丈な植物の部位に適用される。いくつかの場合、連続抽出は、1以上の溶剤、および異なった温度で実行する必要がある。植物抽出液の標準的な製造方法(熱抽出、冷抽出及び他の方法)は「Medicinal plants: a field guide to the medicinal plants of the Land of Israel」 (ヘブライ語)、著者: N. Krispil, Har Gilo, Israel, 1986及び「Making plant medicine」、著者: R. Cech, pub. by Horizon Herbs, 2000を含む多くの文献に記載されている。
【0010】
代表的な組成物は以下の抽出物を質量パーセントで含む:












【0011】
上記量は代表的で有用な量、1〜2%については±0.5%、3〜5%については±0.5もしくは1%、6〜10%については±0.5、1もしくは2%、70〜90%については±1、2、3、4もしくは5%(前述の割合の範囲は抽出物の全量(重量)に対する)を示している。
【0012】
いくつかの実施態様において、抽出物由来の固体は典型的にはリンスにおいて以下の下限のうち1つから又は上限のうちひとつからの量を構成する。下限は10、15、20、25及び30質量%である。上限は15、20、25、30、35、40及び 45質量%である。リンス中の前記固体の割合は例えば約30.0、30.1、30.2であり0.1ずつ40.0まで増加する。
【0013】
いくつかの実施態様において草本生理活性物質は1以上のフラボノイド、イソフラボノイド、トコフェロール、ポリフェノールまたは草本抽出物中にしばしば含まれる同様の薬剤である。
【0014】
フラボノイドには例えば、フラボノール又はフラボノロール[ルトシド:ルチン(ケルシチン3-O-ルチノシド)、ケルシトリン(ケルセチン3-O-ラムノ-シド)、イソケルシトリン(ケルセチン3-O-グルコシド)、ジオスミン(ジオスメチン7.β.-ルチノシド)、アストラガリン(ケンフェロール3-O-グルコシド)、ケンフェロール3-O-ルチノシド、ミリシトリン(又はミリセチン3-O-ラムノシド)、ロビニン(又はケンフェロール3-O-ロビノシド7-ラムノシド)、ケンフェリトリン(又はケンフェロール3,7-O-ジラムノシド)、ノビレチン、タンジェレチンのような、これらに限定されないが]が含まれる。又は、フラボノイドには、例えば、フラボン[ロイホリン(又はアピゲニン7-O-ネオヘスペリド-シド)、ルテオリン7-O-グルコシド、スクテラリン(又はスクテラレイン5-O-グルコシド)、ペクトリナリン(又はペクトリナリンゲニン7-O-ルトシド)、ルテオリン(又はルテオリン5-O-グルコシド)、アカセチン(又はアカセチン7-O-ラムノグルコシド)のような、しかしこれらには制限されない]が含まれる。又は、フラボノイドには例えば、フラバノン[リクイリチン(又はリクイリチン4'-O-グルコシド)、ナリンジン(又はナリンゲニン7-O-ネオヘスペリド-シド)、ヘスペリジン(又はヘスペレチン7-O-ルチノシド)、エリオディクチン(又はエリディクチオール7-O-ラムノシド)のような、しかしこれらには限定されない]が含まれる。
【0015】
イソフラボノイドは例えば:ホルモノネチン7-O-グルコシド(又はオノニン)、アフロモシン7-O-グルコシド(又はウィスチン)、ゲニステイン(又はゲニステイン7-O-グルコシド)、ダイドジン、グリシチン、ゲニステイン6-O-マロニルグルコシド、ダイゼイン6-O-マロニルグルコシド、ゲニステイン6-O-アセチル-グルコシド、イジリン(又はイリゲニン7-O-グルコシド)、イリゾロン、テクトリジン(又はテクトリゲニン7-O-グルコシド)又はシェカニンを含むことができる。
【0016】
これらの特定の生物活性剤のいずれかがリンスに含まれている場合は、上に記載された抽出物の1つに見られる量に対応する量にそれを使用することができる。
【0017】
2. ポリマー
本発明のリンスはある実施態様において、粘膜組織上にフィルムを形成し一定量の草本抽出物を封入するために選択されたポリマーを含む。適切な粘膜組織を被覆する任意のポリマーを使用することができる。いくつかの例示的に実施例には架橋ポリアクリル酸-部分-含有ポリマー (エステル化可能) (例えば、Carbopol(登録商標))、カルボキシメチルセルロース塩 (例えばNa-CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース (Methocel(登録商標))、ヒアルロン酸、アルギン酸ガム、キトサン、ペクチン、イナゴマメガム(locust bean gum)、キサンタンガム、アラビアゴム、架橋した前記のもの等が含まれる。ポリマーは水分膨張性又は水分散性であっても良い。US 4,615,697に記載されるような他のポリアニオン性ポリマーを使用することができる。又は、ポリカチオン性ポリマー (キトサンのような)を使用することができる。
【0018】
ポリマーはポリエチレン/ポリプロピレン ブロック コポリマー (ポロキサマー)を含む又はから成ることができる。適切に選択された、適切な量の前記ポリマーは以下に述べるような熱アニーリングを提供する。
【0019】
実施例に基づき、リンスで形成されたフィルムはリンス内における本草抽出物の一定の割合を封入しても良い。従って、リンスの液体部分(すなわち、非被覆部分)はすすぎの間及びその後の期間薬剤を送達することができ、一方被覆部分はより長い期間の伝達が可能である。罹患部位又はその近くにおける薬物の局在化により投与の除放性送達部分における任意の減少を相殺する。
【0020】
a. 粘膜接着性
ある実施態様において、粘膜接着性のフィルムを提供するためにポリマー、相対量及び濃度が選択される。本明細書で使用される粘膜接着性という用語はin-vivo及び/又はin-vitroにおいて粘膜組織に接着する材料を意味する。前記接着は粘膜上に製剤を付着して局在化し、ある実施態様においては、接着性材料を粘膜から分離するのに少なくとも約50 dynes/cm2の力の適用が要求される。
【0021】
適切に選択されたポリマー組成物は、ある実施態様においてあまり歯に接着しない。
【0022】
架橋ポリアクリル酸-部分-含有ポリマー及び/又はポリサッカライドガム (例えばキトサン)を上記粘膜接着性を達成するために使用することができる。
【0023】
b. 熱アニーリングポリマー
ある実施態様においてポリマーには35℃近くでは可逆性のゲルであるが、約25℃以下の温度で水分散性であるポリマーを含む。従ってより多くの液体のリンスを適用ことができ、組織のより暖かい表面又はその近隣においてゲルの形成が強調される場合、粘膜表面におけるフィルム形成を増加させることができる。
【0024】
そのような熱アニーリングは例えば、ポリエチレン-ポリプロピレン-ポリエチレントリブロックコポリマーのようなポリエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマーによって提供される。例としてはBASF社から入手可能なポロキサマー407、338、237、188、等のようなポロキサマー(すなわち Pluronic(登録商標))ポリマーが挙げられ、ポリマー成分中に(その全て又は部分として)提供される。
【0025】
3. リンス
ある実施態様において、リンスは1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分及び抗菌的に有効な量の界面活性な四級アンモニウム化合物を含む。
【0026】
4.抗菌剤
ある実施態様において、リンスは1以上の歯肉炎関連細菌の成長を減少させる量の抗菌剤を含む。抗菌剤は界面活性四級アンモニウム化合物、クロルヘキシジン、亜鉛塩(例えば、塩化物)、フッ化塩(例えば、フッ化Na/Sn)、トリクロサン、ベンジダミン、クロロブタノール、クロロチモール、チモール、サリチル酸メチル、メントール、アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、過酸化物(例えば、過酸化水素)等であっても良い。
【0027】
ある実施態様において、リンスは抗菌的に有効な量の界面活性な四級アンモニウム化合物を含む。前記公金界面活性剤は例えば1-アルキルピリジニウム塩であって、アルキルが C8-C36 (又はC8-C20又はC10-C20)であって、炭素間の構成員が2つまでのC1-C7アルキル基で置換されていてもよい。例えば、リンスはセチルピリジニウム塩化物を含むことができる。
【0028】
いくつかの実施態様において、第四級アンモニウム化合物は典型的には下記の下限のうち1つから又は下記の上限のうちの1つからの量で構成する。下限は 0.01、0.02、0.03、0.04及び0.05質量パーセントである。上限は5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.25、0.15、0.14、0.13、0.12、0.11、0.10、0.09及び0.08質量パーセントである。
【0029】
5.浸透剤
リンスには可塑剤、浸透促進剤、香料、保存料、着色剤、界面活性剤等を含むことができる。可塑剤は一般的にフィルムの触感、柔らかさ、柔軟性を改変する。いくつかの場合、浸透促進剤は可塑剤として機能してもよい。可塑剤の例としてはグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、脂肪酸エステル(オレイン酸グリセリルのような)等が挙げられるが、これらに制限されない。浸透促進剤の例としては脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、PEG-[C10-C30]アルキル、N-ラウロイルザルコシン、ソルビタンモノラウレート、ステアリルメタクリレート、N-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、N-ドデシル-2-ピロリジノン、N-ドデシル-2-ピペリジノン、2-(1-ノニル)-1,3-ジオキソラン、N-(2-メトキシメチル) ドデシルアミン、N-ドデシルエタノールアミン、N-ドデシル-N-(2-メトキシメチル)アセトアミド、1-N-ドデシル-2-ピロリドン-5-カルボン酸、2-ペンチル-2-オキソ-ピロリジン酢酸、2-ドデシル-2-オキソ-1-ピロリジン酢酸、2-ドデシル-2-オキソ-1-ピロリジン酢酸、1-アザシクロヘプタン-2-オン-ドデシル酢酸等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0030】
いくつかの実施態様において可塑剤は以下の下限のうち1つまたは上限のうち1つから、リンスを構成することができる。下限は10、15、20、25及び30質量%である。上限は15、20、25、30、35、40及び45質量%である。リンス中の可塑剤の割合は例えば約30.0、30.1、30.2及び0.1ずつ40.0まで増加する。
【0031】
6. アルコールを含まないリンス
特定の実施態様において、リンスは殺菌剤に有効な量のプロピル又はエチルアルコールを含まない。
【0032】
7. 適応症の例; 治療パラメーター
本発明の方法及び装置によって治療される適応症には、植物抽出物及び/又は記載された抗菌剤で治療可能な粘膜組織又は粘膜組織に十分近接している組織の任意の適用症が含まれる。例えば、口内の適応症及び微生物性の適用症(微生物性病変など)が方法及び装置を用いて治療することができる。
【0033】
本発明を用いた治療に適した口腔の適応症には歯周病、歯肉炎、アフタ性潰瘍(例えば、口唇潰瘍、再発性アフタ性口内炎、再発性潰瘍性口内炎),機械的外傷、熱外傷、口腔病変、口内乾燥(口渇),扁平苔癬の粘膜炎又は発疹、類天疱瘡、尋常性天疱瘡、疱疹状皮膚炎又は口角口唇炎、再発性ヘルペス、他の微生物(ウィルス性のものを含む)性の口腔粘膜の発疹、化学療法又は放射線治療に付随する病変 (粘膜炎のような上述のものを含む)、外傷による病変 (化学的又は他の熱傷を含む)、全身性疾患に付随する病変、自己免疫疾患由来の病変、突発性疾患由来の病変等が挙げられるが、これらに限られない。リンスの草本成分は典型的には炎症を減少させる為に選択した成分を含む。ある実施態様において、草本成分は粘膜又はその近くに発現するマトリックスメタロプロテアーゼを減少させること及び/又は粘膜又はその近くに発現するサイトカインを減少させることに効果的である。
【0034】
化学療法又は放射線治療に付随する粘膜炎の場合は、最初の化学療法の後であるが、粘膜炎の症状が現れる前にリンスを投与することができる。
【0035】
多くの実施態様において、治療組織は口内である。他の実施態様において、治療組織は鼻、肛門、膣等の他の粘膜組織又はそれに近接した組織である。
【0036】
8. リンスと同時に使用する固体製剤
ある実施態様においてリンスは他の投与形態、例えばフィルム、パッチ又は粘膜接着性固体製剤と組み合わせて投与される。この固体製剤はリンスの投与の前、同時、後に投与されてもよい。固体製剤は、より重篤に発症している組織又は機械的によりアクセスしやすい組織への薬物送達を補助することができ、一方リンスは薬物をほかの場所に送達する。 固体製剤中の薬物はリンス中のものと同じであっても異なっても良い。しかしながら、上記草本抽出物及び抽出物混合物が通常採用される。同様に、四級アミン界面活性剤が通常採用される。例えば、WO 02/094300及びPCT/US05/42348に記載されている製剤を採用することができる。又は、2007年6月20日に出願された「Anti-Inflammatory Dissolvable Film」という表題の出願番号11/765,587の特許出願に記載されているフィルムを採用することができる。
【0037】
9. 抗炎症剤
ある実施態様において、リンスはさらにステロイド性又は非ステロイド性抗炎症剤のような抗炎症剤を含む。ステロイド性抗炎症剤としては、ヒドロコーチゾン、ヒドロキシトリアムシノロン、α-メチルデキサメサゾン、リン酸デキサメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオン酸エステル、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、デゾオキシコルチコステロン酢酸塩、デキサメサゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)酢酸塩、フルランドレノロン、ハルシノニド; 酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、トリアムシノロンアセトニド、コーチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレノロン(fluradrenolone)、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、アムシアフェル(amciafel)、アムシナファイド(amcinafide)、ベタメタゾン及びそのエステルの平衡(balance)、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン(clocortelone)、クレスシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオトメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロン及びそれらの混合物のような副腎皮質ステロイドが含まれるが、これらに限られない。
【0038】
組成物において有用な他の抗炎症剤には被ステロイド性抗炎症剤が含まれる。この群に含まれる化合物の多様性は当業者に公知である。非ステロイド性抗炎症剤の化学構造、合成、副作用等の詳細な開示は、Anti-inflammatory and Anti-Rheumatic Drugs, K. D. Rainsford, Vol. I-III, CRC Press, Boca Raton, (1985)及びAnti-inflammatory Agents, Chemistry and Pharmacology 1, R. A. Scherrer, et al., Academic Press, New York (1974)を含む標準的なテキストを参照されたい。
【0039】
本発明の組成物に有用な具体的な非ステロイド炎症剤には: 1)ピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカム(sudoxicam)及びCP-14,304のようなオキシカム; 2)アスピリン、ジサルシド(disalcid)、ベノリラート(benorylate)、トリライセート(trilisate)、サファピリン(safapryn)、ソルプリン(solprin)、ジフルニサル、およびフェンドサル (fendosal)、のようなサリチル酸; 3) ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパック(isoxepac)、フロフェナック(furofenac)、チオピナク(tiopinac)、ジドメタシン(zidometacin)、アセメタシン、フェンチアザク、ゾメピラック、クリンダナク(clindanac)、オキセピナク(oxepinac)、フェルビナク及びケトロラクのような酢酸誘導体; 4) メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、およびトルフェナム酸のようなフェナム酸; 5) イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン(indopropfen)、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン (miroprofen)、チオキサプロフェン(tioxaprofen)、スプロフェン、アルミノプロフェン、およびチアプロフェン酸のようなプロピオン誘導体; 6) フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾン及びトリメタゾンのようなピラゾール; 及び前述に混合物が含まれるが、これらに制限されない。
【0040】
これらのステロイド及び/又は非ステロイド性抗炎症剤ならびにこれらの医薬的に許容可能な塩及びエステルは採用することができる。例えば、フルフェナム酸の誘導体であるエトフェナメートは特に局所適用に有用である。
【0041】
以下の実施例は本発明をさらに例証するが、もちろん、いかなる方法においてもその範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【0042】
定義
以下の用語は、本出願の目的のためにそれぞれ以下に示す意味を有する。
【0043】
有効量:本発明の適応症を治療するために、医薬化合物の有効量は臨床医に認識されるが、治療しようとする疾患又は回避もしくは治療しようとする状態の1以上の症状を治療、軽減、緩和、寛解、消失又は予防するために有効な量又は別に疾患又は状態の臨床的に認識可能な好ましい病理学的変化を作り出す量を含む。従って、有効量は例えば口腔病変、潰瘍化、出血、刺激、膨張、紅斑の重篤度又は継続時間等を減少させる量などであってもよい。
【0044】
微生物感染:微生物感染には細菌、マイコバクテリア、真菌及びウィルス感染が含まれるがこれらに制限されない。
【0045】
治療:「治療」は疾患、障害又は状態の排除を目的とした患者の管理及びケアを意味する。この用語は疾患、障害又は状態の進行を遅延させること、症状及び合併症の寛解又は軽減及び/又は疾患、障害又は状態の治癒又は消失を含むことを意図する。治療される動物は哺乳類であっても良く、好ましくはヒトである。
【0046】
本明細書において引用された特許及び特許出願を含むがこれに制限されない刊行物及び参考文献は、各刊行物及び参考文献が具体的かつ個別に本明細書に参考として取り込まれるように記載されているものとし、完全に明らかであるとして、完全にその全体を参照として本明細書に取り込む。この出願が優先権を主張する任意の特許出願もまた、刊行物及び参考文献について前述したように本明細書に参照として組み込む。
【0047】
この発明は好ましい実施態様を強調して記載しているが、当業者にとって使用される好ましい装置及び方法の変形例や本明細書に具体的に記載されたものと異なるように発明を実施してもよいことを意図することは明らかである。従って、本発明は以下の請求項に規定される発明の精神及び範囲に含まれる全ての改変を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンスを罹患組織における又はそれに近接する粘膜に定期的に適用することを含む粘膜又は近接する組織の適応症の治療又は寛解方法であって、前記リンスが、
1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分、
抗菌的有効量の四級アンモニウム界面活性剤
を含む前記方法。
【請求項2】
リンスがさらに、前記組織を被覆し前記抽出物を封入するのに有効なポリマー又はポリマー混合物を含む、請求項1及び2のうち1項記載の方法。
【請求項3】
1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む適切な草本生理活性物質成分を含む、フィルム、パッチ又は粘着性固体製剤を、粘膜の一部にさらに適用することを含む、請求項1及び2のうち1項記載の方法。
【請求項4】
四級アンモニウム界面活性剤が1-アルキルピリジニウム塩を含み、前記アルキルがC8-C36である、請求項1及び2のうち1項記載の方法。
【請求項5】
1-アルキルピリジニウム塩がセチルピリジニウム塩である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
リンスが粘膜表面に粘膜接着性コーティングを形成する、請求項2記載の方法。
【請求項7】
リンスが、可逆的に約35℃でゲルを形成し、25℃でより液体様の状態を形成する、請求項2記載の方法。
【請求項8】
化学療法に付随する粘膜炎を治療及び寛解する、請求項1及び2のうち1項記載の方法。
【請求項9】
1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質が抗炎症性量を含む、請求項1及び2のうち1項記載の方法。
【請求項10】
経粘膜伝達リンスであって、:
1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分; 及び
抗菌的有効量の四級アンモニウム界面活性剤を含む前記リンス。
【請求項11】
さらに、前記組織を被覆し、前記抽出物を封入するのに有効なポリマー又はポリマー混合物を含む、請求項10記載のリンス。
【請求項12】
四級界面活性剤が1-アルキルピリジニウム塩を含み、前記アルキルがC8-C36である、請求項10及び11のうち1項記載のリンス。
【請求項13】
1-アルキルピリジニウム塩がセチルピリジニウム塩である、請求項10及び11のうち1項記載のリンス。
【請求項14】
リンスがさらに粘膜表面上に粘膜接着性コーティングを形成する、請求項11記載のリンス。
【請求項15】
リンスが、可逆的に約35℃でゲルを形成し、25℃で、より液体様の状態を形成する、請求項11記載のリンス。
【請求項16】
セイヨウニワトコの活性物質を含む草本生物活性物質が、植物活性固体の51〜100質量%を構成する、請求項10及び11のうち1項記載のリンス。
【請求項17】
第2の植物抽出物が植物活性固体の1〜50質量%を構成する、請求項16記載のリンス。
【請求項18】
粘膜又は近接する組織の適応症の治療の為のキットであって:
(i)1以上のセイヨウニワトコ、ツボクサ又はエキナセアの活性物質を含む、有効量の適切な草本生理活性物質成分、
(ii)前記組織を被覆し前記抽出物を封入するのに有効なポリマー又はポリマー混合物;及び
セイヨウニワトコの活性物質を含む草本生理活性物質を含む適切な植物抽出物成分を含む、フィルム、パッチ又は粘着性固体製剤
を含む前記キット。

【公表番号】特表2009−544624(P2009−544624A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521013(P2009−521013)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/073962
【国際公開番号】WO2008/011556
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(508373659)イズン ファーマシューティカルズ コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】