フィードバック構造体および結合構造体、および方法
発光デバイスが、有機半導体材料、一つまたはそれ以上のフィードバック構造体、および結合構造体などの発光層を含むことが可能である。一つまたはそれ以上のフィードバック構造体は、発光層によって放出される光を、それを通して、デバイスの面内の軸に沿って、フィードバックさせ、それによって、発光層内の光の誘導放出を促進することが可能である。結合構造体は、フィードバック光のいくらかの部分をデバイスの外に結合する。結合された光は、デバイスの面に略垂直な軸に沿って、あるいは、予め決められた角度で放出させることが可能である。結合構造体およびフィードバック構造体は、波状構造体、デバイス面内の軸に沿った屈折率の連続的な変化、周期屈折率、またはそれらの任意の組合せを有することが可能である。結合構造体およびフィードバック構造体は、相互に独立、共通部分の共有、あるいは、相互の組合せが可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、フィードバック構造体および結合構造体を含む発光デバイス、より詳しくは、波状または周期構造体を有するフィードバック構造体および結合構造体を含む有機発光ダイオード(OLED)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フィードバックエンハンスト有機発光ダイオード(FE−OLED)デバイスの光を生ずるエミッタ層は、非常に薄い(例えば何十ナノメータである)。エミッタ層は、非常に薄いため、デバイスを垂直に放出するモードで使用する場合、十分な率の誘導放出を生ずるには、エミッタ層におけるフィードバック光子に対して、非常に高い密度の励起子および(または)非常に高い光子束が必要である。非常に高い励起子密度は、FE−OLEDデバイスを通して非常に高い電流密度を印加することによって達成できる。
【特許文献1】発見できず
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念なことに、非常に高い電流密度は、FE−OLEDデバイスの設計を複雑にし、効率を減らし、コストを増大させ、効用および用途の数を限定する。同様に、エミッタ層内のフィードバック光子に対して非常に高い光子束を生ずるには、より大きなパーセントの光が、エミッタ層にフィードバックされることが必要である。このフィードバックは、フィードバック素子の反射率を増大することによって達成され、フィードバックにより、光は、FE−OLEDデバイス内をより長い時間期間前後に伝播することになる。これは、今度は、デバイス内のより大きな光の損失、したがって、デバイス効率の低下に繋がるが、これは、光が、デバイスを通過するごとに失われるためである。これは、FE−OLEDデバイスの効用および用途の数を限定するものである。したがって、FE−OLEDデバイス内の薄い放射層に付きものの上記の問題を解決する方法に対する大きな必要性が、従来技術には、存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一アスペクトは、発光ダイオードと垂直な結合構造体とを含む発光ダイオードデバイスを提供することである。該垂直な結合構造体は、該発光ダイオード内で、略水平な誘導発光の一部の伝播方向を変化させて、該略水平な誘導発光の該一部が、出力光として該発光ダイオードを出るようにする。
【0005】
本発明の別のアスペクトは、光を発生させる方法であって、発光材料を励起して、該発光材料が光を放出するようにする工程と、該発光材料によって放出される該光の少なくとも一部を該発光材料を通して反射し返して、誘導光の放出を誘導する工程と、該誘導光の一部の方向を変化させて、該誘導光の該一部が、該発光材料から離れて結合されるようにする工程と、を含む方法を提供することである。
【0006】
本発明の別のアスペクトは、放射デバイスであって、格子と、該格子に隣接している陽極と、該陽極に隣接している正孔注入層と、該正孔注入層に隣接している正孔輸送層と、該正孔注入層に隣接している放射層と、該放射層に隣接している電子輸送層と、該電子輸送層に隣接している電子注入層と、該電子注入層に隣接している陰極と、該陰極に隣接しているプレーナ化層と、を含むデバイスを提供することである。該正孔輸送層および該陽極は、該正孔輸送層と、該陽極と、該電子輸送層とが、導波管を形成するように、該電子輸送層より高い屈折率を有している。該格子は、それに入射する光の一部を該陽極に向けてフィードバックし、該それに入射する光の別の一部を該陽極から離れて結合する。
【0007】
本発明の別のアスペクトは、光エミッタと、フィードバック構造体と、結合構造体と、を含むフィードバックエンハンストエミッタを提供することである。該フィードバック構造体は、該光エミッタによって作り出された光を該光エミッタに反射し返す。 該結合構造体は、該光エミッタ内の誘導発光の一部の伝播方向を変化させて、該誘導発光の該一部が、該光エミッタを出力光として出るようにする。
【0008】
本発明の別のアスペクトは、光を作り出す方法であって、発光材料を励起して、第一の光を作り出す工程と、該第一の光の少なくとも一部を該発光材料に反射し返して、第一の軸に沿って第二の光の放出を誘導する工程と、該第二の光の少なくとも一部の伝播方向を少なくとも第二の軸に変化させる工程と、を含む方法を提供することである。該第一の軸と該少なくとも第二の軸とは、略平行ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を、下記の図面を参照して詳細に説明するが、該図面において、同様の参照番号は、同様の素子を指している。
【0010】
本発明の好適な実施形態は、発光層と、一つまたはそれ以上のフィードバック構造体と、一つまたはそれ以上の結合構造体とを含んでいてよい。発光層は、光を放出する有機半導体材料または別の適当な材料を含んでいてよい。一つまたはそれ以上のフィードバック構造体は、発光層によって放出される光を、発光層を通して、デバイスの面内の軸に沿って、フィードバックさせてよい。光のフィードバックは、それによって、発光層における光の誘導放出を促進する。結合構造体は、デバイスからのフィードバック光のいくらかの部分を結合する。結合された光は、デバイスの面に略垂直な、あるいは予め決められた角度の軸に沿って放出されてよい。
【0011】
例えば、発光層は、有機半導体、アルミニウムトリキノリン錯体(Alq3)などの半導体を含んでいてよい。Alq3 は、必要な波長または波長群において、光の放出に至る電子帯域構造体を有していてよい。有機半導体は、比較的低い分子量の分子から高い分子量の重合体までを含んでいてよい。別法として、半導体は、完全に有機の材料、完全に無機の材料、有機金属材料、複合エミッタ材料または何か他の適当な材料から製造してよい。発光層は、二つの電極の間に配設してよい。二つの電極のうちの一方は、陰極であり、二つの電極のうちの他方は、陽極である。陰極は、有機半導体への電子の注入を促進する材料から製造してよい。陽極は、酸化インジウムすずなど、有機半導体への正孔の注入を促進する透明な導電性材料から製造してよい。別法として、発光層と電極との間に追加の層を配設してよい。例えば、そのような追加の層は、電荷キャリアの有機半導体への注入を容易にするか、あるいは、電荷キャリアを、注入のサイトから有機半導体内の必要な放射領域へと輸送する材料から製造してよい。
【0012】
フィードバック構造体は、デバイスの面内の軸に沿って、屈折率の周期的な振動を有していてよい。この屈折率の振動を含むデバイスの層は、少なくとも部分的には、放射層によって放出され、かつ、軸(それに沿って屈折率の振動が生ずる軸)に平行なデバイスの面内を移動する光の経路内に存在する。この平行な構成内で、振動する屈折率を有する材料の塊を通して移動する光の散乱角度は、次の式1によって与えられる。
【0013】
sinΘ=(κ−ν)/κ (式1)
ここで、Θ=デバイスの面に対する法線と散乱方向との間の角度、
κ=散乱光の波数、および
ν=屈折率振動の空間周波数。
κとνとの適切な選択によって、構造体からの光の必要な散乱が生じる。例えば、ν=2κを選択することによって、Θは、−90°に等しくなり、一次元格子内の(100)面に垂直に散乱する光が生ずる。これは、構造体と相互作用する光の一部は、真直ぐに反射し返される一方、残りは、直進し続けるため、必要なフィードバック構造体となる。このようなフィードバック構造体は、放出される光の二分の一波長に等しい空間周期を持つ屈折率振動を有すると記述してよい。
【0014】
結合構造体の場合は、光は、デバイスの面に垂直に散乱してよい。これは、ν=κ(Θ=0°の場合)を選択することによって成し遂げてよい。これは、その空間周期が、散乱光の波長に等しい屈折率振動を持つ構造体となり、デバイスの面に垂直な光が散乱する。結合層のΘは、法線からの角度が、十分に低くて、光が、光放射層およびデバイスから逃げることを可能にする限り、さまざまな値が可能である。例えば、ν=3/2κとΘ=−30°とを選択すると、+30°および−30°でデバイスから出現する光が2ビーム生ずる。光ディレクティングまたはろ波素子をデバイスの表面に配設して、デバイスから放出される方位光をろ波または変化させてよい。例えば、光散乱素子を用いて、光を散乱させる一方、ろ波素子を用いて、光を一方向(例えば、30°)に沿って伝送しつつ、他の方向(例えば、−30°)に沿った光をろ波してよい。
【0015】
発光層と、一つまたはそれ以上のフィードバック構造体と、一つまたはそれ以上の結合構造体とは、各種の実施形態で組み合せてよく、また、追加の素子が含まれてもよい。これらの実施形態は、一般に、次に三種類に大別される。すなわち、1.ある種のコルゲーションを含む実施形態。2.屈折率の連続的な変化を含む層を含む実施形態。3.コルゲーションまたは屈折率の連続的な変化を含まない実施形態。いくつかの好適な実施形態を、図を参照して説明する。
【0016】
図1は、好適な波状構造体100を示す。波状構造体100は、波状界面を形成し、かつ、異なる屈折率を有する第一の誘電体材料102と第二の誘電体材料104とを含んでいる。したがって、界面を横断する光106は、周期的に振動する屈折率を経験し、かつ、その光106のうちのいくらかは、散乱して、構造体100から垂直に放出されてよい散乱光108を形成する。
【0017】
図2は、放射層の同じ側におけるフィードバックと結合との両方のための波状構造体を含む好適な一実施形態を示す。図2において、デバイス200は、透明基板202と、陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子輸送層212と、電子注入層214と、反射陰極216と、組合せフィードバックおよび結合構造体とを含んでいる。陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子輸送層212と、電子注入層214と、反射陰極216とは、有機光放出ダイオード(OLED)218を形成している。陽極204は、酸化インジウムすずまたは別の適当な透明導電性材料から作成してよく、かつ、陰極216は、アルミニウム、マグネシウム/銀合金、カルシウム、または別の適当な材料などの、反射性の、仕事関数が低い金属から作成してよい。組合せフィードバックおよび結合構造体は、第一の誘電体層220と、第二の誘電体層222と、第三の誘電体層224とを含んでいる。第二の誘電体層222と第三の誘電体層224との間の波状界面は、フィードバック構造体を構成し、かつ、第一の誘電体層220と第二の誘電体層222との間の波状界面は、結合構造体を構成している。光は、結合構造体から上方に、また、下方に散乱する。下方に散乱する光は、陰極216から反射され、上方に散乱される光と共に、デバイス200の上部から出る。これは、デバイスが、フィードバックエンハンストであり、デバイスの面内で、レイジング作用を有するレーザーとして動作してよいため、有利である。したがって、エミッタ層において、デバイスの全長に沿って、フィードバック光と励起子との強い相互作用の可能性が有り、これは、厳密に垂直に放出するデバイスにおいて、非常に薄いエミッタ層の深さを通してその可能性が有る場合と対照的である。しかしながら、結合構造体の存在のため、光は、デバイスの面に垂直または略垂直な方向に沿って結合されてしまう。したがって、デバイスは、垂直に放出する一方、エッジ放出レーザーのレイジング効率を維持する。
【0018】
図3は、OLEDの反対側にフィードバック構造体と結合構造体とを有する別の好適な実施形態を示す。図3において、デバイス300は、透明基板202と、陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子輸送層212と、電子注入層214と、伝達可能な金属陰極302と、反射器304と、結合構造体と、フィードバック構造体とを含んでいる。陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子輸送層212と、電子注入層214と、伝達可能な金属陰極302とは、OLED306を形成している。陽極204は、酸化インジウムすずまたは別の適当な材料から作成されていてよい。伝達可能な金属陰極302は、酸化インジウムすず318、またはOLED306から放出される光に対して伝達可能である他の適当な材料の層によって裏打ちされた仕事関数が低い金属616の非常に薄い層から作成されていてよい。結合構造体は、第一の誘電体層308と第二の誘電体層310とを含んでいる。フィードバック構造体は、第三の誘電体層312と第四の誘電体層314とを含んでいる。第三の誘電体層312と第四の誘電体層314との間の波状界面は、フィードバック構造体を構成しており、かつ、第一の誘電体層308と第二の誘電体層310との間の波状界面は、結合構造体を構成している。光は、結合構造体から上方および下方に散乱する。結合構造体から下方に散乱した光は、反射器304から反射され、上方に散乱した光と共に、デバイス300の上部から出る。反射器304は、金属ミラー、多重層誘電体反射器、ホログラフィック反射器、または何か他の適当な光反射構造体であってよい。これは、理想的な陰極材料は、最も効率的な反射器でなくてもよいため、有利である。さらに、陰極の機能と反射器の機能を分離することによって、より効率的なデバイスを製造することが可能である。図3のデバイス300は、フィードバック構造体と結合構造体との屈折率コントラストおよびそれらのエミッタからの距離が、別々にチューニングできるので、有利であるかもしれない。これは、フィードバックと放出との間で光を分割する際に、より大きな柔軟性が得られるかもしれない。また、このデバイスは、フィードバック層と結合層とが、同時にエミッタ層210により近接することを可能にする場合がある。別法として、フィードバック構造体と結合構造体とは、放射層210の陽極側ではフィードバック構造体、また、陰極側では、結合構造体となるように、互いに他と交換してよい。これは、デバイスの面とフィードバック層内を伝播する光との間のより強い相互作用が可能となるため、有利であるかもしれない。このような逆にした構造体は、図3のデバイス300の垂直に放出するレーザー効果と略同様の効果を生ずる。
【0019】
図1、2および3は、正弦波または略正弦波としてのコルゲーションを示す。しかしながら、屈折率が必要な周期で振動する他の周期構造体を用いてもよい。例えば、方形波やのこぎり歯のコルゲーションプロファイルを用いてもよい。フィードバック構造体と結合構造体とにおける屈折率の境界は、不連続であるように示してあるが、これらの構造体は、コルゲーション境界を横切って連続的に変化する屈折率を有していてよく、あるいは、不連続と連続の組合せであってよい。波状のフィードバック構造体と結合構造体とにおける屈折率変化のプロファイルは、光散乱の帯域幅を決定し、したがってデバイスのモーダル構造体に影響を与える。
【0020】
図4は、デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有する別の実施形態を示す。図4のデバイス400は、図2のそれと同様であるが、図2の組合せフィードバックおよび結合構造体に代えて、層を横方向に横切る屈折率の連続的な変化を有するフィードバック層402と結合層404とを用いている点が異なる。フィードバック層402および結合層404では、領域406および408は、薄く陰影を付けた領域410および412より、より高い屈折率を有している。これは、連続的に変化する構造体は、望ましくない角度外への散乱がより少ない場合があり、したがって、デバイスの面内でより多くのフィードバック光を維持する場合があるので有利である。
【0021】
別の実施形態は、図3のそれと同様のデバイスであるが、このデバイスは、結合層とフィードバック層とが、デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有するよう製造されている。この構成の利点は、図3のデバイス300のそれらと同様である。フィードバック層と結合層とは、互いに他と交換可能である。
【0022】
図5は、デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有する結合機能とフィードバック機能とを、単一の層内で重畳した別の実施形態を示す。図5のデバイス500は、図4のそれと同様であるが、フィードバック層402と結合層404との代わりに、結合機能とフィードバック機能とを単一の層内で重畳した組合せ結合およびフィードバック層502を用いている点が異なっている。組合せ結合およびフィードバック層502は、二つの屈折率の変化プロファイルを重畳することによって形成してよい。例えば、屈折率は、下記のプロファイルを有していてよい。
【0023】
nx=n1+[a/2(sin2πκx+1)+b/2(sin4πκx+1)]Δn
ここで、nx は、軸xに沿った距離の関数としての屈折率であり、
κ は、散乱光の波数であり、
a は、結合プロファイルの重みであり、
b は、フィードバックプロファイルの重みであり、
n1 は、屈折率の低い値であり、かつ、
Δn は、屈折率のコントラストである。
【0024】
非重畳プロファイルは、図4に示すようなフィードバック構造体とは別の結合構造体を有している。しかしながら、図5に示すような重畳プロファイルでは、両方の構造体は、エミッタから同じ距離離れている。したがって、どちらの構造体も、他の構造体より弱く相互作用することはなく、それによって、両方の構造体は、伝播するデバイスの面内で伝播する光と十分に相互作用することが保証される。また、このデバイスの製造も、結合機能とフィードバック機能とが分離されているデバイスよりも、より簡単に行なうことができる。
【0025】
図6は、結合機能とフィードバック機能とを単一の層内に、重畳コルゲーションプロファイルで重畳している別の実施形態を示す。図6のデバイス600は、図2のそれと同様であるが、フィードバック層と結合層との代わりに、結合機能とフィードバック機能とを単一の層内に重畳している組合せ結合およびフィードバック層を用いている点が異なる。組合せ結合およびフィードバック層は、二つのコルゲーションを重畳させることによって形成されていてよい。例として、波形の表面プロファイルは、下記の式によって表わすことができよう。
【0026】
nx=y1+[a/2(sin2πκx+1)+b/2(sin4πκx+1)]Δy
ここで、nx は、軸xに沿った距離の関数としての屈折率であり、
κ は、散乱光の波数であり、
a は、結合プロファイルの重みであり、
b は、フィードバックプロファイルの重みであり、
y1 は、レリーフのベースにおけるy座標であり、かつ、
Δy は、レリーフの高さである。
組合せフィードバックおよび結合層は、プレーナ化層604と誘電体層606とで形成されていてよい。誘電体層606とプレーナ化層604とは、連続した二つの光干渉パターンを有する適切に選択されたホトレジストフィルムの曝露によって製造されてよい。二つの干渉パターンは、それらのピッチが、必要なフィードバック格子ピッチと結合格子ピッチとにそれぞれ対応するように形成されている。続くエッチングおよびプレーナ化層604による被覆で、必要な構造体が生ずる。これは、この方法を用いる製造が容易であるため有利である。ホトレジスト材料は、エッチ深さが、照射線量の関数であるもの、例えば、Shipley S1818 ホトレジストまたは何か他の適当なホトパターニング可能な材料であってよい。
【0027】
別法として、波状構造体と連続変化構造体とは、単一のデバイス内で組合せてよい。例えば、デバイスの陰極側で、フィードバック機能に対して、波状構造体を使用し、一方、デバイスの陽極側で、結合機能に対して、連続的に変化する屈折率を有する層を使用してよい。フィードバック機能と結合機能とは、コルゲーション層の一つにおいて、連続的で周期的な屈折率変化を用いて、単一の構造体内で、組合せてよい。これは、図7に示してあり、図7では、連続的で周期的な屈折率変化を有する結合層702が、波状層704の上に形成されている。(結合層702はまた、組合せ結合およびフィードバック層とも、また、波状層は、プレーナ化層とも呼べよう。)二つの層の間の波状界面は、フィードバック構造体として役立つ。別法として、波状フィードバック構造体は、てよいデバイスの一方の側、例えばに、陽極側に在るようにし、一方、連続的に変化する屈折率結合構造体は、他の側(陰極側)に在るようにしてよい。二つの構造体は、デバイスの反対側に交換配置してよく、かつ、波状界面は、結合構造体を構成していてよく、一方、連続的に変化する屈折率層は、フィードバック構造体を構成している。
【0028】
上記の実施形態では、フィードバック構造体と結合構造体とは、OLEDの外側に在る。しかしながら、フィードバック構造体、結合構造体または両方の構造体は、OLEDに組み込まれていてよい。必要な屈折率変調は、電極層、キャリア輸送層、および(または)放射層またはOLEDの他の適当な層に課してよい。結合構造体とフィードバック構造体とを放出層にできるだけ近く、あるいは、実際に放出層内に配設すると、これらの構造体を有するデバイス面内で伝播する光の相互作用がより強くなる。
【0029】
OLED内の層または構造体の屈折率変調は、キャリア移動度または帯域エネルギーなどの電気的性質の変調と一致することが多い。したがってこれらの実施形態は、デバイスの面両端の間でデバイス性能の相当な変化を有していてよい。これは、ある用途では、有利であるかもしれないが、他の用途には、いかなる評価できる影響も及ぼさないかもしれない。例えば、照明用途では、これら小さな領域からの光出力のスペクトル内容のあり得る変化は、帯域がより広い照明を作り出すのに、あるいは、別の必要なスペクトルを有する照明を作り出すのに有用である場合がある。
【0030】
図8は、OLEDにフィードバック構造体を組み込んでいる一実施形態を示す。図8のデバイス800は、透明基板202と、陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子注入層214と、反射陰極216と、組合せ電子輸送層およびフィードバック構造体802と、結合層804とを含んでいる。OLED806は、透明基板202および結合層804を除くこれらの素子の全てで形成されている。組合せ電子輸送層およびフィードバック構造体802の屈折率は、デバイス800の面内の軸に沿って、値が振動し、かつ、フィードバックを生ずる。
【0031】
組合せ電子輸送層およびフィードバック構造体802は、メタクリレート基またはアクリレート基などの架橋官能基を有する既存の電子輸送材料を誘導体化し、かつ、ホトイニシエータを有する材料をドープすることによって製造してよい。次いで、材料に、必要なフィードバック構造体に対応する周期的な強さの変化を有するパターン化されたUV露光を加えると、感光性の電子輸送材料に必要な屈折率の変調が形成される。
【0032】
エミッタ層や正孔輸送層などの他の層における屈折率の変調は、それらの層を製造するための感光性で、架橋性の材料を用いて、同様の手段により達成可能である。
【0033】
図9は、屈折率の変調がOLED内に生じ、かつ、プレーナ化層が反射器に隣接している別の実施形態を示す。図9のデバイス900は、透明基板202と、組合せフィードバックおよび結合格子構造体902と、酸化インジウムすず陽極などの陽極904と、正孔注入層906と、正孔輸送層908と、放射層910と、電子輸送層912と、電子注入層914と、伝達可能な金属陰極916と、プレーナ化層918と、反射器920とを含んでいる。陽極904と、正孔注入層906と、正孔輸送層908と、放射層910と、電子輸送層912と、電子注入層914と、伝達可能な金属陰極916とは、OLED922を形成している。この実施形態は、容易に製造できるため、また、屈折率変化のパターンが、OLED922を通して完全に伸長しており、したがって、組合せフィードバックおよび結合格子構造体902による放出光の優れた結合が生じるため、有利である。
【0034】
OLED922の層の、組合せフィードバックおよび結合格子構造体902の波状の表面への蒸着は、OLED922の層の厚さの変化を生じてよい。しかしながら、デバイス900の周期構造体と光の強い相互作用は、レリーフ構造体の振幅を減らし、そのため、約200〜約300nmに至る十分なフィードバックまたはアウトカプリングが生ずる。蒸着工程を用いてOLED922を作成する場合は、蒸着は、十分に等方性であるため、略一様な厚さの層が生ずる。
【0035】
別法として、二つまたはそれ以上のフィードバック/結合層の組合せを同じデバイス内で組合せてよい。二つのフィードバック構造体を、デバイス面内の二つの垂直な軸に沿ってデバイスに組み込み、次いで、二つの結合構造体を、デバイスに組み込み、これら二つの軸に沿って垂直な方向に外に伝播する光を結合してよい。これらの四つの構造体は、独立的に製造するか、あるいは、一つまたはそれ以上の複合構造体に組み合せてよい。また、多重フィードバック層または多重結合層を、同じ軸に沿ってデバイスに組み込んで、放出光との相互作用を増大させ、それによって、フィードバック光の強さを増大させてもよい。単一のフィードバックまたは結合構造体で、散乱光の十分に高い束が得られない場合は、第二のフィードバックまたは結合構造体を追加してよい。
【0036】
図10は、不連続で周期的な屈折率の変化を有する別の実施形態を示す。デバイス1000は、図4のデバイス400と同様であるが、フィードバック層1002および結合層1004を通しての屈折率の変化が、フィードバック層402および結合層404におけるように連続ではなく、不連続である点が異なる。濃く陰影を付けた領域1006および1008は、より高い屈折率の領域に対応し、一方、薄く陰影を付けた領域1010および1012は、より低い屈折率の領域に対応する。
【0037】
図10に示したフィードバック構造体と結合構造体とは、感光性材料のフィルムを必要な周波数νで空間的に変調した光に曝露することによって、製造してよい。曝露(これは、後の処理と結合してよい)により、フィルム内に、屈折率の必要な連続的な変化が生じる。光の必要な空間的な変調は、感光性材料のフィルムに干渉パターンを形成する光の2ビームの干渉によって生成してよい。別法として、三つまたはそれ以上の光のビームを用いて、干渉パターンを生成してよい。感光性材料としては、ホログラフィック記録材料および何らかのホトレジストを用いてよい。
【0038】
フィードバック構造体または構造体群によってデバイスの面内で同調される光の部分および結合層によってデバイスから抽出される光の部分は、デバイスにフィードバックされる光とデバイスの外に結合される光との間に適切なバランスが得られるよう選択される。デバイスの外に結合される光が多すぎて、デバイスの面内に残る同調した光の量が少なすぎる状態になると、誘導放出を支持する光が不十分となり、デバイスの放射輝度が、低下することになる。反対に、デバイスの外に結合される光が少なすぎて、デバイスの面内に残る同調した光の量が多すぎる状態になると、光は、その経路内の吸収材料および散乱構造体を多数回通過し、したがって、吸収および他の損失が増大して、総合的なデバイスの放射輝度が低下する。
【0039】
同調され、結合された光の適切な釣合わせは、光のフィードバック構造体および結合構造体との相互作用のレベルをそれぞれ調整することによって選択できる。これら構造体との相互作用のレベルは、層(Δn)内の屈折率変化の大きさ、フィードバック層または結合層の、放射層からの距離、および屈折率変調の領域の厚さを調整することによって制御できる。屈折率変調の領域の厚さは、波状構造体におけるコルゲーションの深さに対応する。デバイスの設計は、これらの三つのパラメータを用いて、デバイスからの発光の効率を最大限にするよう、あるいは必要な設計を別様に選択するよう、調整可能である。
【0040】
デバイスの効率は、放射層から放射されるより大きな、あるいは、最大の量の光が、デバイスの面内で捕捉され、かつ、広範囲の角度に亘って散乱されないことを確認することによって増大させることができる。これを行なう好適な方法は、光パイプまたは導波管をデバイスに組み込むことである。例えば、屈折率がより低い材料によってどちらかの側に境界が形成されているデバイスの面内に、屈折率が高い材料の層により導波管を形成してよい。どちらかの側の屈折率が高い層の屈折率の境界からの反射は、光を層内に閉じ込めるのに役立つ。このような高屈折率層は、光が層内に閉じ込められるよう、約1波長またはそれ以上の厚さを有している。放射層は、厚さが、1波長以下であることが多い(例えば、放射層は、厚さが、50ナノメータまたはそれ以下のことが多い)ので、放射層は、一般に、薄すぎて導波管の高屈折率のコアとして役立たない。したがって、高屈折率のコアは、追加の材料で放射層以上に厚くしないと、光をデバイスの面内に閉じ込められない。
【0041】
上記の放射デバイスはまた、放射デバイスの内部に導波管を設けてもよい。導波管は、エミッタ層に近接して、かつ(または)、エミッタ層内に入れて設けてよい。このようなデバイスは、格子と、格子に隣接している陽極と、陽極に隣接している正孔注入層と、正孔注入層に隣接している正孔輸送層と、正孔注入層に隣接している放射層と、放射層に隣接している電子輸送層と、電子輸送層に隣接している電子注入層と、電子注入層隣接している陰極と、陰極に隣接しているプレーナ化層とを含んでいてよい。正孔輸送層および陽極は、正孔輸送層と陽極とが、導波管の高屈折率コアを形成するよう、電子輸送層および格子より高い屈折率を有していてよい。エミッタ層は、いかなる屈折率を有していてもよいが、正孔輸送層の屈折率に等しいかあるいはそれより高いエミッタ層屈折率を有するのが有利である。格子と電子輸送層とは、導波管の低屈折率のクラッディングを形成する。このように形成された導波管は、デバイス内で放出される光の大きな部分を捕捉し、多かれ少なかれデバイスの面内に伝播するよう光を閉じ込める。格子内のコルゲーションは、結合構造体とフィードバック構造体との両方の重畳レリーフプロファイルを含んでいる。これらのコルゲーションは、デバイス内の多重層を通して格子から上方に伸長している。このように形成された波状構造体は、デバイスの面内で伝播する光をフィードバックして、エミッタ層におけるさらなる誘導放出を引き起こす。波状構造体はまた、デバイスの面内で伝播する光のいくらかの部分を、デバイスの面に垂直な、あるいは、垂直に近い角度で、デバイスの外に結合するか、あるいは、デバイスの面内で伝播する光のいくらかの部分を、予め決められた角度で、デバイスの外に結合する。以下、図11と図12とを参照して、導波管を含む放射デバイスをさらに論ずる。
【0042】
デバイス内で屈折率が最も高いものの一つは、陽極および(または)陰極における酸化インジウムすずであろう。この 酸化インジウムすずは、導波管の一部として使用してよい。残念なことに、酸化インジウムすずは、非常に薄い部分でしか十分に透明ではなく、デバイスの面内で酸化インジウムすずを横切る光は、強く吸収される場合がある。したがって、放出光を、放射層を含む容積内に、あるいは、それに直接隣接したところに閉じ込め、同時に、酸化インジウムすずとの相互作用を最小限に抑える導波管構造体を有することが望ましい。
【0043】
図11は、最小限度の吸収量で導波作用を行なうデバイス1100の好適な一実施形態を示す。デバイス1100は、透明基板202、陽極204、正孔注入層206、放射層210、電子注入層214、反射陰極216、第一の正孔輸送層1106と第二の正孔輸送層1108とで形成された正孔輸送媒体1104、第一の電子輸送層1112と第二の電子輸送層1114とで形成された電子輸送媒体1110を含んでいる。第一の電子輸送層1112はまた、デバイスの面内の層を通しての屈折率の連続的な変化によって形成されたフィードバック構造体と結合構造体とを含んでいる。図11では、層1112内の濃く陰影を付けた領域1118は、より高い屈折率を有しており、一方、薄く陰影を付けた領域1120は、より低い屈折率を有している。屈折率の変化は、図9を参照して説明したように、図の面内の軸に沿ってのみ存在するか、あるいは、その軸と図の面に直交する第二の軸との両方に沿って存在してよい。屈折率の変化は、デバイス800内の層 802を参照して説明したのと同様のやり方で作り出してよい。しかしながら、この実施例においては、フィードバック格子プロファイルと結合格子プロファイルとは、デバイス500内の層502を参照して説明したように、同じ層で重畳させる。陽極204と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子注入層214と、反射陰極216と、正孔輸送媒体1104と、電子輸送媒体1110とは、OLED1116を形成している。
【0044】
第二の正孔輸送層1108の材料は、第一の正孔輸送層1106の材料より相当より高い屈折率を有するよう選択してよい。第一の電子輸送層1112の材料は、ポイント1120からのn1からポイント1118におけるより高い屈折率n2まで変化する屈折率を有するよう選択してよい。両方の屈折率n1とn2とは、第二の電子輸送層1114における屈折率ncより高く選択してよい。第二の正孔輸送層1108と、第一の電子輸送層1112と、放射層210とは、導波管の高屈折率のコアを形成している。第一の正孔輸送層1106および第二の電子輸送層1114は、導波管の低屈折率の導波管クラッディングとして役立つ。放射層210の屈折率と、第二の正孔輸送層1108の屈折率と、第一の電子輸送層1112の屈折率の一つとは、望ましくない反射、散乱などを避けるため、互いに他と同様または同じであるよう選択してよい。しかしながら、放射層210の厚さが、非常に薄い場合(これは、一般に生ずることであるが)は、放射層210は、何か実質的に有害な光学的影響がある場合を除き、いかなる屈折率を有していてもよい。
【0045】
フィードバック構造体と結合構造体とは、それらが、十分近接していて、デバイスのフィードバック構造体と結合構造体とが、面内を伝播する光と相互作用して、光を面内および出力方向に十分散乱させる限り、導波管の高い屈折率コア内に存在していなくてもよい。
【0046】
図12は、導波作用を有する別の実施形態を示す。図12では、デバイス1200は、現在利用できる導波管材料間の屈折率変化を利用して、OLED構造体の内部にラフな導波管を生成する。デバイス1200は、Shipley S1818ホトレジストまたは何か他の適当なホトパターニング可能な材料などの材料と、約1.9の屈折率を有する酸化インジウムすず陽極1204と、銅フタロシアニン正孔注入層1206と、約1.9の屈折率を有するa−NPB正孔輸送層1208と、約1.72の屈折率を有するAlq3+ドーパント(例えば、クマリン153)放射層1210と、約1.72の屈折率を有するAlq3電子輸送層1212と、LiF電子注入層1214と、アルミニウム陰極1216と、約1.9の屈折率を有する酸化インジウムすず導電性陰極バッキング1218と、約1.5の屈折率を有するプレーナ化層1220とから作成された約1.5の屈折率を有するフィードバック構造体および結合構造体の機能を組み合わせた格子1202を含んでいる。アルミニウム陰極1216と酸化インジウムすず導電性陰極バッキング1218とは、透明な陰極構造体1222を形成している。アルミニウム陰極1216は、放射1210の電子のソースを与え、一方、酸化インジウムすず導電性陰極バッキング1218は、電流をアルミニウム陰極1216に導くが、これは、アルミニウム陰極1216は、十分に薄く、透明であるためである。このデバイス内の酸化インジウムすず陽極1204とa−NPB正孔輸送層1208とは、約1.9に等しい屈折率を有する材料のコアを構成している。これらの層は、ホトレジスト材料および放射層プラス電子輸送層を構成しているより低い屈折率の層によって囲まれている。銅フタロシアニン正孔注入層1206、LiF電子注入層1214、およびアルミニウム陰極1216は、薄すぎて光学的に相互作用しない。
【0047】
別法として、ピッチν=κの屈折率変調を有する結合層を用いて、フィードバック、および、したがって、発光がデバイスの面内で生ずるOLED−ベースのレーザーからの光を垂直に結合してよい。そのようなものとして、他の分散されたフィードバック構造体を、ここで述べたものに加えて、上述のように使用してよい。同じ垂直結合法はまた、フィードバックが、レーザーキャビティの端部における分割表面、金属化表面または他の反射器からの通常の反射から生ずるエッジ放出OLEDレーザーにも適用できる。図に示したOLED構造体の代わりに、他のOLED構造体を用いてもよい。また、図に示したOLED構造体の代わりに、非OLED構造体を用いてもよい。OLED構造体は、バソキュプロイン(2、9−ジメチル−4、7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン)または別の適当な材料の正孔ブロッカー層などの追加の層を含んでいてよい。ブロッカー層は、US Patent Nos.6,451,415および6,097,147で論じられている。
【0048】
ここで、格子は、異なる 方法により、異なる 材料から作成してよい。例えば、格子は、電子ビームを用いて書く方法、多重(例えば、2)ビーム干渉方法、あるいは、他の適当な方法によって製造してよい。このような格子は、先ず格子をホトレジストまたは他の適当な材料上に書き、次いで、エンボス法または別の適当な方法によって格子を複製することによって作成してよい。多重コピーの一括生産は、コンパクトディスク、およびクレジットカードや銀行券に使用されるような安全ホログラムを複製する際に使用されるようなマスターレリーフ構造体としての重合体基板を用いることによって達成可能である。マスターレリーフ構造体上のレリーフ構造体は、例えば、レプリカをプレスするためのスタンプとして、あるいは、射出成形用金型として使用してよい金属シムへの電気鍍金または真空蒸着によって転写される。別法として、さらなるホトレジスト層をガラス上に接触コピーし、該ホトレジストを該ガラスに貫通エッチングして、レリーフ構造体をガラスに作成してよい。ホトレジストおよびガラスに加えて、格子は、ポリカーボネート、ポリウレタンなどの高分子材料、または何か他の適当な材料から作成してよい。
【0049】
2ビーム干渉法では、波長λのレーザーからの平行ビームが、角度θで、λ=2p sin(θ/2)となるように干渉する(ここで、pは、格子の必要なピッチである)。レリーフ構造体の深さは、ホトレジストの露光および現像を変えて制御することができる。ピッチが異なる二つまたはそれ以上の格子が必要な場合は、同じホトレジストに二つの別個の露光を施して、格子を重畳させればよい。
【実施例】
【0050】
ガラス基板を、Shipley S1818 ホトレジストの厚さ1ミクロンの層でスピンコーティングする。ホトレジストを、アルゴンイオンレーザーからの、波長351nmの紫外線の二つの干渉ビームに同時に露光する。二つのビームの伝播方向は、ホログラムプレートの表面に垂直な同一面に対して互いに平行である。ビームの一つは、法線に対して50.1°の角度で表面に当り、一方、第二のビームは、法線に対して−50.1°の角度で表面に当る(二つのビームの間の角度は100.2°となる)。加えられる合計放射線量は、100mJ/cm2のオーダーである。正確な線量は、校正の実行によって設定してよい。同じプレートの2番目の露光は、488nmの線を生ずるよう設定されたアルゴンイオンレーザーで、かつ、前回の二つの露光と同じ面内で、32.2°および−32.2°で表面に当る二つのビームで行なう。この場合も、加えられる合計放射線量は、約100mJ/cm2である。最初の露光は、229nmの空間周期で書かれた格子を生ずるよう設定される。2番目の露光は、457.9nmの空間周期で書かれた重畳された第二の格子を生ずるよう設定される。次いで、露光されたプレートは、希釈されていない Shipley 303A 現像剤に二分間浸漬され、流れるイオン交換水で2.5分間リンスされ、乾いた窒素ガスで乾燥される。ホトレジストは、深さ約30nmのレリーフを形成する。
【0051】
今や、下記の連続的に真空蒸着した層を有するOLEDデバイスのスタックが、ホログラフィックプレートのレリーフ表面上に作成可能である。すなわち、該層は、150nmの酸化インジウムすず陰極バッキングと、7nmのアルミニウム陰極と、10nmの弗化リチウム電子注入層と、35nmのアルミニウムトリキノリン電子輸送層と、10nmのバソキュプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)正孔ブロッカーと、50nmのH9680エミッタ(H9680エミッタは、NewJersey州 MorristownのSpecialty Chemicalsから入手可能である)と、75nmのN,N´−ジ(3−メチルフェニル)−N,N´−ジフェニルベンジジン正孔輸送層と、10nmの銅フタロシアニン正孔注入層と、150nmの酸化インジウムすず陽極とを含む層である。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態およびその利点を、詳細に論じたが、変化、置換、変換、修正、変形、並べ替え、および変更が、本発明の教示、主旨、および添付のクレームに記述されている本発明の範囲から逸脱することなく、その中で行なわれてよいことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】好適な波状構造体を示す。
【図2】放射層の同じ側におけるフィードバックと結合との両方のための波状構造体を含む好適な一実施形態を示す。
【図3】OLEDの反対側にフィードバック構造体と結合構造体とを有する別の好適な実施形態を示す。
【図4】フィードバック構造体と結合構造体とが、デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有する別の実施形態を示す。
【図5】デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有する結合機能とフィードバック機能とを、単一の層内で重畳した別の実施形態を示す。
【図6】結合機能とフィードバック機能とを単一の層内に、重畳コルゲーションプロファイルで重畳している別の実施形態を示す。
【図7】連続的で周期的な屈折率変化を有し、かつ、波状である組合せフィードバックおよび結合層を有する一実施形態を示す。
【図8】OLEDにフィードバック構造体を組み込んでいる一実施形態を示す。
【図9】屈折率の変調がOLED内に生じ、かつ、プレーナ化層が反射器に隣接している別の実施形態を示す。
【図10】不連続で周期的な屈折率の変化を有する別の実施形態を示す。
【図11】最小限度の吸収量で導波作用を行なうデバイスの好適な一実施形態を示す。
【図12】図12は、導波作用を有する別の実施形態を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、フィードバック構造体および結合構造体を含む発光デバイス、より詳しくは、波状または周期構造体を有するフィードバック構造体および結合構造体を含む有機発光ダイオード(OLED)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フィードバックエンハンスト有機発光ダイオード(FE−OLED)デバイスの光を生ずるエミッタ層は、非常に薄い(例えば何十ナノメータである)。エミッタ層は、非常に薄いため、デバイスを垂直に放出するモードで使用する場合、十分な率の誘導放出を生ずるには、エミッタ層におけるフィードバック光子に対して、非常に高い密度の励起子および(または)非常に高い光子束が必要である。非常に高い励起子密度は、FE−OLEDデバイスを通して非常に高い電流密度を印加することによって達成できる。
【特許文献1】発見できず
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
残念なことに、非常に高い電流密度は、FE−OLEDデバイスの設計を複雑にし、効率を減らし、コストを増大させ、効用および用途の数を限定する。同様に、エミッタ層内のフィードバック光子に対して非常に高い光子束を生ずるには、より大きなパーセントの光が、エミッタ層にフィードバックされることが必要である。このフィードバックは、フィードバック素子の反射率を増大することによって達成され、フィードバックにより、光は、FE−OLEDデバイス内をより長い時間期間前後に伝播することになる。これは、今度は、デバイス内のより大きな光の損失、したがって、デバイス効率の低下に繋がるが、これは、光が、デバイスを通過するごとに失われるためである。これは、FE−OLEDデバイスの効用および用途の数を限定するものである。したがって、FE−OLEDデバイス内の薄い放射層に付きものの上記の問題を解決する方法に対する大きな必要性が、従来技術には、存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一アスペクトは、発光ダイオードと垂直な結合構造体とを含む発光ダイオードデバイスを提供することである。該垂直な結合構造体は、該発光ダイオード内で、略水平な誘導発光の一部の伝播方向を変化させて、該略水平な誘導発光の該一部が、出力光として該発光ダイオードを出るようにする。
【0005】
本発明の別のアスペクトは、光を発生させる方法であって、発光材料を励起して、該発光材料が光を放出するようにする工程と、該発光材料によって放出される該光の少なくとも一部を該発光材料を通して反射し返して、誘導光の放出を誘導する工程と、該誘導光の一部の方向を変化させて、該誘導光の該一部が、該発光材料から離れて結合されるようにする工程と、を含む方法を提供することである。
【0006】
本発明の別のアスペクトは、放射デバイスであって、格子と、該格子に隣接している陽極と、該陽極に隣接している正孔注入層と、該正孔注入層に隣接している正孔輸送層と、該正孔注入層に隣接している放射層と、該放射層に隣接している電子輸送層と、該電子輸送層に隣接している電子注入層と、該電子注入層に隣接している陰極と、該陰極に隣接しているプレーナ化層と、を含むデバイスを提供することである。該正孔輸送層および該陽極は、該正孔輸送層と、該陽極と、該電子輸送層とが、導波管を形成するように、該電子輸送層より高い屈折率を有している。該格子は、それに入射する光の一部を該陽極に向けてフィードバックし、該それに入射する光の別の一部を該陽極から離れて結合する。
【0007】
本発明の別のアスペクトは、光エミッタと、フィードバック構造体と、結合構造体と、を含むフィードバックエンハンストエミッタを提供することである。該フィードバック構造体は、該光エミッタによって作り出された光を該光エミッタに反射し返す。 該結合構造体は、該光エミッタ内の誘導発光の一部の伝播方向を変化させて、該誘導発光の該一部が、該光エミッタを出力光として出るようにする。
【0008】
本発明の別のアスペクトは、光を作り出す方法であって、発光材料を励起して、第一の光を作り出す工程と、該第一の光の少なくとも一部を該発光材料に反射し返して、第一の軸に沿って第二の光の放出を誘導する工程と、該第二の光の少なくとも一部の伝播方向を少なくとも第二の軸に変化させる工程と、を含む方法を提供することである。該第一の軸と該少なくとも第二の軸とは、略平行ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を、下記の図面を参照して詳細に説明するが、該図面において、同様の参照番号は、同様の素子を指している。
【0010】
本発明の好適な実施形態は、発光層と、一つまたはそれ以上のフィードバック構造体と、一つまたはそれ以上の結合構造体とを含んでいてよい。発光層は、光を放出する有機半導体材料または別の適当な材料を含んでいてよい。一つまたはそれ以上のフィードバック構造体は、発光層によって放出される光を、発光層を通して、デバイスの面内の軸に沿って、フィードバックさせてよい。光のフィードバックは、それによって、発光層における光の誘導放出を促進する。結合構造体は、デバイスからのフィードバック光のいくらかの部分を結合する。結合された光は、デバイスの面に略垂直な、あるいは予め決められた角度の軸に沿って放出されてよい。
【0011】
例えば、発光層は、有機半導体、アルミニウムトリキノリン錯体(Alq3)などの半導体を含んでいてよい。Alq3 は、必要な波長または波長群において、光の放出に至る電子帯域構造体を有していてよい。有機半導体は、比較的低い分子量の分子から高い分子量の重合体までを含んでいてよい。別法として、半導体は、完全に有機の材料、完全に無機の材料、有機金属材料、複合エミッタ材料または何か他の適当な材料から製造してよい。発光層は、二つの電極の間に配設してよい。二つの電極のうちの一方は、陰極であり、二つの電極のうちの他方は、陽極である。陰極は、有機半導体への電子の注入を促進する材料から製造してよい。陽極は、酸化インジウムすずなど、有機半導体への正孔の注入を促進する透明な導電性材料から製造してよい。別法として、発光層と電極との間に追加の層を配設してよい。例えば、そのような追加の層は、電荷キャリアの有機半導体への注入を容易にするか、あるいは、電荷キャリアを、注入のサイトから有機半導体内の必要な放射領域へと輸送する材料から製造してよい。
【0012】
フィードバック構造体は、デバイスの面内の軸に沿って、屈折率の周期的な振動を有していてよい。この屈折率の振動を含むデバイスの層は、少なくとも部分的には、放射層によって放出され、かつ、軸(それに沿って屈折率の振動が生ずる軸)に平行なデバイスの面内を移動する光の経路内に存在する。この平行な構成内で、振動する屈折率を有する材料の塊を通して移動する光の散乱角度は、次の式1によって与えられる。
【0013】
sinΘ=(κ−ν)/κ (式1)
ここで、Θ=デバイスの面に対する法線と散乱方向との間の角度、
κ=散乱光の波数、および
ν=屈折率振動の空間周波数。
κとνとの適切な選択によって、構造体からの光の必要な散乱が生じる。例えば、ν=2κを選択することによって、Θは、−90°に等しくなり、一次元格子内の(100)面に垂直に散乱する光が生ずる。これは、構造体と相互作用する光の一部は、真直ぐに反射し返される一方、残りは、直進し続けるため、必要なフィードバック構造体となる。このようなフィードバック構造体は、放出される光の二分の一波長に等しい空間周期を持つ屈折率振動を有すると記述してよい。
【0014】
結合構造体の場合は、光は、デバイスの面に垂直に散乱してよい。これは、ν=κ(Θ=0°の場合)を選択することによって成し遂げてよい。これは、その空間周期が、散乱光の波長に等しい屈折率振動を持つ構造体となり、デバイスの面に垂直な光が散乱する。結合層のΘは、法線からの角度が、十分に低くて、光が、光放射層およびデバイスから逃げることを可能にする限り、さまざまな値が可能である。例えば、ν=3/2κとΘ=−30°とを選択すると、+30°および−30°でデバイスから出現する光が2ビーム生ずる。光ディレクティングまたはろ波素子をデバイスの表面に配設して、デバイスから放出される方位光をろ波または変化させてよい。例えば、光散乱素子を用いて、光を散乱させる一方、ろ波素子を用いて、光を一方向(例えば、30°)に沿って伝送しつつ、他の方向(例えば、−30°)に沿った光をろ波してよい。
【0015】
発光層と、一つまたはそれ以上のフィードバック構造体と、一つまたはそれ以上の結合構造体とは、各種の実施形態で組み合せてよく、また、追加の素子が含まれてもよい。これらの実施形態は、一般に、次に三種類に大別される。すなわち、1.ある種のコルゲーションを含む実施形態。2.屈折率の連続的な変化を含む層を含む実施形態。3.コルゲーションまたは屈折率の連続的な変化を含まない実施形態。いくつかの好適な実施形態を、図を参照して説明する。
【0016】
図1は、好適な波状構造体100を示す。波状構造体100は、波状界面を形成し、かつ、異なる屈折率を有する第一の誘電体材料102と第二の誘電体材料104とを含んでいる。したがって、界面を横断する光106は、周期的に振動する屈折率を経験し、かつ、その光106のうちのいくらかは、散乱して、構造体100から垂直に放出されてよい散乱光108を形成する。
【0017】
図2は、放射層の同じ側におけるフィードバックと結合との両方のための波状構造体を含む好適な一実施形態を示す。図2において、デバイス200は、透明基板202と、陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子輸送層212と、電子注入層214と、反射陰極216と、組合せフィードバックおよび結合構造体とを含んでいる。陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子輸送層212と、電子注入層214と、反射陰極216とは、有機光放出ダイオード(OLED)218を形成している。陽極204は、酸化インジウムすずまたは別の適当な透明導電性材料から作成してよく、かつ、陰極216は、アルミニウム、マグネシウム/銀合金、カルシウム、または別の適当な材料などの、反射性の、仕事関数が低い金属から作成してよい。組合せフィードバックおよび結合構造体は、第一の誘電体層220と、第二の誘電体層222と、第三の誘電体層224とを含んでいる。第二の誘電体層222と第三の誘電体層224との間の波状界面は、フィードバック構造体を構成し、かつ、第一の誘電体層220と第二の誘電体層222との間の波状界面は、結合構造体を構成している。光は、結合構造体から上方に、また、下方に散乱する。下方に散乱する光は、陰極216から反射され、上方に散乱される光と共に、デバイス200の上部から出る。これは、デバイスが、フィードバックエンハンストであり、デバイスの面内で、レイジング作用を有するレーザーとして動作してよいため、有利である。したがって、エミッタ層において、デバイスの全長に沿って、フィードバック光と励起子との強い相互作用の可能性が有り、これは、厳密に垂直に放出するデバイスにおいて、非常に薄いエミッタ層の深さを通してその可能性が有る場合と対照的である。しかしながら、結合構造体の存在のため、光は、デバイスの面に垂直または略垂直な方向に沿って結合されてしまう。したがって、デバイスは、垂直に放出する一方、エッジ放出レーザーのレイジング効率を維持する。
【0018】
図3は、OLEDの反対側にフィードバック構造体と結合構造体とを有する別の好適な実施形態を示す。図3において、デバイス300は、透明基板202と、陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子輸送層212と、電子注入層214と、伝達可能な金属陰極302と、反射器304と、結合構造体と、フィードバック構造体とを含んでいる。陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子輸送層212と、電子注入層214と、伝達可能な金属陰極302とは、OLED306を形成している。陽極204は、酸化インジウムすずまたは別の適当な材料から作成されていてよい。伝達可能な金属陰極302は、酸化インジウムすず318、またはOLED306から放出される光に対して伝達可能である他の適当な材料の層によって裏打ちされた仕事関数が低い金属616の非常に薄い層から作成されていてよい。結合構造体は、第一の誘電体層308と第二の誘電体層310とを含んでいる。フィードバック構造体は、第三の誘電体層312と第四の誘電体層314とを含んでいる。第三の誘電体層312と第四の誘電体層314との間の波状界面は、フィードバック構造体を構成しており、かつ、第一の誘電体層308と第二の誘電体層310との間の波状界面は、結合構造体を構成している。光は、結合構造体から上方および下方に散乱する。結合構造体から下方に散乱した光は、反射器304から反射され、上方に散乱した光と共に、デバイス300の上部から出る。反射器304は、金属ミラー、多重層誘電体反射器、ホログラフィック反射器、または何か他の適当な光反射構造体であってよい。これは、理想的な陰極材料は、最も効率的な反射器でなくてもよいため、有利である。さらに、陰極の機能と反射器の機能を分離することによって、より効率的なデバイスを製造することが可能である。図3のデバイス300は、フィードバック構造体と結合構造体との屈折率コントラストおよびそれらのエミッタからの距離が、別々にチューニングできるので、有利であるかもしれない。これは、フィードバックと放出との間で光を分割する際に、より大きな柔軟性が得られるかもしれない。また、このデバイスは、フィードバック層と結合層とが、同時にエミッタ層210により近接することを可能にする場合がある。別法として、フィードバック構造体と結合構造体とは、放射層210の陽極側ではフィードバック構造体、また、陰極側では、結合構造体となるように、互いに他と交換してよい。これは、デバイスの面とフィードバック層内を伝播する光との間のより強い相互作用が可能となるため、有利であるかもしれない。このような逆にした構造体は、図3のデバイス300の垂直に放出するレーザー効果と略同様の効果を生ずる。
【0019】
図1、2および3は、正弦波または略正弦波としてのコルゲーションを示す。しかしながら、屈折率が必要な周期で振動する他の周期構造体を用いてもよい。例えば、方形波やのこぎり歯のコルゲーションプロファイルを用いてもよい。フィードバック構造体と結合構造体とにおける屈折率の境界は、不連続であるように示してあるが、これらの構造体は、コルゲーション境界を横切って連続的に変化する屈折率を有していてよく、あるいは、不連続と連続の組合せであってよい。波状のフィードバック構造体と結合構造体とにおける屈折率変化のプロファイルは、光散乱の帯域幅を決定し、したがってデバイスのモーダル構造体に影響を与える。
【0020】
図4は、デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有する別の実施形態を示す。図4のデバイス400は、図2のそれと同様であるが、図2の組合せフィードバックおよび結合構造体に代えて、層を横方向に横切る屈折率の連続的な変化を有するフィードバック層402と結合層404とを用いている点が異なる。フィードバック層402および結合層404では、領域406および408は、薄く陰影を付けた領域410および412より、より高い屈折率を有している。これは、連続的に変化する構造体は、望ましくない角度外への散乱がより少ない場合があり、したがって、デバイスの面内でより多くのフィードバック光を維持する場合があるので有利である。
【0021】
別の実施形態は、図3のそれと同様のデバイスであるが、このデバイスは、結合層とフィードバック層とが、デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有するよう製造されている。この構成の利点は、図3のデバイス300のそれらと同様である。フィードバック層と結合層とは、互いに他と交換可能である。
【0022】
図5は、デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有する結合機能とフィードバック機能とを、単一の層内で重畳した別の実施形態を示す。図5のデバイス500は、図4のそれと同様であるが、フィードバック層402と結合層404との代わりに、結合機能とフィードバック機能とを単一の層内で重畳した組合せ結合およびフィードバック層502を用いている点が異なっている。組合せ結合およびフィードバック層502は、二つの屈折率の変化プロファイルを重畳することによって形成してよい。例えば、屈折率は、下記のプロファイルを有していてよい。
【0023】
nx=n1+[a/2(sin2πκx+1)+b/2(sin4πκx+1)]Δn
ここで、nx は、軸xに沿った距離の関数としての屈折率であり、
κ は、散乱光の波数であり、
a は、結合プロファイルの重みであり、
b は、フィードバックプロファイルの重みであり、
n1 は、屈折率の低い値であり、かつ、
Δn は、屈折率のコントラストである。
【0024】
非重畳プロファイルは、図4に示すようなフィードバック構造体とは別の結合構造体を有している。しかしながら、図5に示すような重畳プロファイルでは、両方の構造体は、エミッタから同じ距離離れている。したがって、どちらの構造体も、他の構造体より弱く相互作用することはなく、それによって、両方の構造体は、伝播するデバイスの面内で伝播する光と十分に相互作用することが保証される。また、このデバイスの製造も、結合機能とフィードバック機能とが分離されているデバイスよりも、より簡単に行なうことができる。
【0025】
図6は、結合機能とフィードバック機能とを単一の層内に、重畳コルゲーションプロファイルで重畳している別の実施形態を示す。図6のデバイス600は、図2のそれと同様であるが、フィードバック層と結合層との代わりに、結合機能とフィードバック機能とを単一の層内に重畳している組合せ結合およびフィードバック層を用いている点が異なる。組合せ結合およびフィードバック層は、二つのコルゲーションを重畳させることによって形成されていてよい。例として、波形の表面プロファイルは、下記の式によって表わすことができよう。
【0026】
nx=y1+[a/2(sin2πκx+1)+b/2(sin4πκx+1)]Δy
ここで、nx は、軸xに沿った距離の関数としての屈折率であり、
κ は、散乱光の波数であり、
a は、結合プロファイルの重みであり、
b は、フィードバックプロファイルの重みであり、
y1 は、レリーフのベースにおけるy座標であり、かつ、
Δy は、レリーフの高さである。
組合せフィードバックおよび結合層は、プレーナ化層604と誘電体層606とで形成されていてよい。誘電体層606とプレーナ化層604とは、連続した二つの光干渉パターンを有する適切に選択されたホトレジストフィルムの曝露によって製造されてよい。二つの干渉パターンは、それらのピッチが、必要なフィードバック格子ピッチと結合格子ピッチとにそれぞれ対応するように形成されている。続くエッチングおよびプレーナ化層604による被覆で、必要な構造体が生ずる。これは、この方法を用いる製造が容易であるため有利である。ホトレジスト材料は、エッチ深さが、照射線量の関数であるもの、例えば、Shipley S1818 ホトレジストまたは何か他の適当なホトパターニング可能な材料であってよい。
【0027】
別法として、波状構造体と連続変化構造体とは、単一のデバイス内で組合せてよい。例えば、デバイスの陰極側で、フィードバック機能に対して、波状構造体を使用し、一方、デバイスの陽極側で、結合機能に対して、連続的に変化する屈折率を有する層を使用してよい。フィードバック機能と結合機能とは、コルゲーション層の一つにおいて、連続的で周期的な屈折率変化を用いて、単一の構造体内で、組合せてよい。これは、図7に示してあり、図7では、連続的で周期的な屈折率変化を有する結合層702が、波状層704の上に形成されている。(結合層702はまた、組合せ結合およびフィードバック層とも、また、波状層は、プレーナ化層とも呼べよう。)二つの層の間の波状界面は、フィードバック構造体として役立つ。別法として、波状フィードバック構造体は、てよいデバイスの一方の側、例えばに、陽極側に在るようにし、一方、連続的に変化する屈折率結合構造体は、他の側(陰極側)に在るようにしてよい。二つの構造体は、デバイスの反対側に交換配置してよく、かつ、波状界面は、結合構造体を構成していてよく、一方、連続的に変化する屈折率層は、フィードバック構造体を構成している。
【0028】
上記の実施形態では、フィードバック構造体と結合構造体とは、OLEDの外側に在る。しかしながら、フィードバック構造体、結合構造体または両方の構造体は、OLEDに組み込まれていてよい。必要な屈折率変調は、電極層、キャリア輸送層、および(または)放射層またはOLEDの他の適当な層に課してよい。結合構造体とフィードバック構造体とを放出層にできるだけ近く、あるいは、実際に放出層内に配設すると、これらの構造体を有するデバイス面内で伝播する光の相互作用がより強くなる。
【0029】
OLED内の層または構造体の屈折率変調は、キャリア移動度または帯域エネルギーなどの電気的性質の変調と一致することが多い。したがってこれらの実施形態は、デバイスの面両端の間でデバイス性能の相当な変化を有していてよい。これは、ある用途では、有利であるかもしれないが、他の用途には、いかなる評価できる影響も及ぼさないかもしれない。例えば、照明用途では、これら小さな領域からの光出力のスペクトル内容のあり得る変化は、帯域がより広い照明を作り出すのに、あるいは、別の必要なスペクトルを有する照明を作り出すのに有用である場合がある。
【0030】
図8は、OLEDにフィードバック構造体を組み込んでいる一実施形態を示す。図8のデバイス800は、透明基板202と、陽極204と、正孔注入層206と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子注入層214と、反射陰極216と、組合せ電子輸送層およびフィードバック構造体802と、結合層804とを含んでいる。OLED806は、透明基板202および結合層804を除くこれらの素子の全てで形成されている。組合せ電子輸送層およびフィードバック構造体802の屈折率は、デバイス800の面内の軸に沿って、値が振動し、かつ、フィードバックを生ずる。
【0031】
組合せ電子輸送層およびフィードバック構造体802は、メタクリレート基またはアクリレート基などの架橋官能基を有する既存の電子輸送材料を誘導体化し、かつ、ホトイニシエータを有する材料をドープすることによって製造してよい。次いで、材料に、必要なフィードバック構造体に対応する周期的な強さの変化を有するパターン化されたUV露光を加えると、感光性の電子輸送材料に必要な屈折率の変調が形成される。
【0032】
エミッタ層や正孔輸送層などの他の層における屈折率の変調は、それらの層を製造するための感光性で、架橋性の材料を用いて、同様の手段により達成可能である。
【0033】
図9は、屈折率の変調がOLED内に生じ、かつ、プレーナ化層が反射器に隣接している別の実施形態を示す。図9のデバイス900は、透明基板202と、組合せフィードバックおよび結合格子構造体902と、酸化インジウムすず陽極などの陽極904と、正孔注入層906と、正孔輸送層908と、放射層910と、電子輸送層912と、電子注入層914と、伝達可能な金属陰極916と、プレーナ化層918と、反射器920とを含んでいる。陽極904と、正孔注入層906と、正孔輸送層908と、放射層910と、電子輸送層912と、電子注入層914と、伝達可能な金属陰極916とは、OLED922を形成している。この実施形態は、容易に製造できるため、また、屈折率変化のパターンが、OLED922を通して完全に伸長しており、したがって、組合せフィードバックおよび結合格子構造体902による放出光の優れた結合が生じるため、有利である。
【0034】
OLED922の層の、組合せフィードバックおよび結合格子構造体902の波状の表面への蒸着は、OLED922の層の厚さの変化を生じてよい。しかしながら、デバイス900の周期構造体と光の強い相互作用は、レリーフ構造体の振幅を減らし、そのため、約200〜約300nmに至る十分なフィードバックまたはアウトカプリングが生ずる。蒸着工程を用いてOLED922を作成する場合は、蒸着は、十分に等方性であるため、略一様な厚さの層が生ずる。
【0035】
別法として、二つまたはそれ以上のフィードバック/結合層の組合せを同じデバイス内で組合せてよい。二つのフィードバック構造体を、デバイス面内の二つの垂直な軸に沿ってデバイスに組み込み、次いで、二つの結合構造体を、デバイスに組み込み、これら二つの軸に沿って垂直な方向に外に伝播する光を結合してよい。これらの四つの構造体は、独立的に製造するか、あるいは、一つまたはそれ以上の複合構造体に組み合せてよい。また、多重フィードバック層または多重結合層を、同じ軸に沿ってデバイスに組み込んで、放出光との相互作用を増大させ、それによって、フィードバック光の強さを増大させてもよい。単一のフィードバックまたは結合構造体で、散乱光の十分に高い束が得られない場合は、第二のフィードバックまたは結合構造体を追加してよい。
【0036】
図10は、不連続で周期的な屈折率の変化を有する別の実施形態を示す。デバイス1000は、図4のデバイス400と同様であるが、フィードバック層1002および結合層1004を通しての屈折率の変化が、フィードバック層402および結合層404におけるように連続ではなく、不連続である点が異なる。濃く陰影を付けた領域1006および1008は、より高い屈折率の領域に対応し、一方、薄く陰影を付けた領域1010および1012は、より低い屈折率の領域に対応する。
【0037】
図10に示したフィードバック構造体と結合構造体とは、感光性材料のフィルムを必要な周波数νで空間的に変調した光に曝露することによって、製造してよい。曝露(これは、後の処理と結合してよい)により、フィルム内に、屈折率の必要な連続的な変化が生じる。光の必要な空間的な変調は、感光性材料のフィルムに干渉パターンを形成する光の2ビームの干渉によって生成してよい。別法として、三つまたはそれ以上の光のビームを用いて、干渉パターンを生成してよい。感光性材料としては、ホログラフィック記録材料および何らかのホトレジストを用いてよい。
【0038】
フィードバック構造体または構造体群によってデバイスの面内で同調される光の部分および結合層によってデバイスから抽出される光の部分は、デバイスにフィードバックされる光とデバイスの外に結合される光との間に適切なバランスが得られるよう選択される。デバイスの外に結合される光が多すぎて、デバイスの面内に残る同調した光の量が少なすぎる状態になると、誘導放出を支持する光が不十分となり、デバイスの放射輝度が、低下することになる。反対に、デバイスの外に結合される光が少なすぎて、デバイスの面内に残る同調した光の量が多すぎる状態になると、光は、その経路内の吸収材料および散乱構造体を多数回通過し、したがって、吸収および他の損失が増大して、総合的なデバイスの放射輝度が低下する。
【0039】
同調され、結合された光の適切な釣合わせは、光のフィードバック構造体および結合構造体との相互作用のレベルをそれぞれ調整することによって選択できる。これら構造体との相互作用のレベルは、層(Δn)内の屈折率変化の大きさ、フィードバック層または結合層の、放射層からの距離、および屈折率変調の領域の厚さを調整することによって制御できる。屈折率変調の領域の厚さは、波状構造体におけるコルゲーションの深さに対応する。デバイスの設計は、これらの三つのパラメータを用いて、デバイスからの発光の効率を最大限にするよう、あるいは必要な設計を別様に選択するよう、調整可能である。
【0040】
デバイスの効率は、放射層から放射されるより大きな、あるいは、最大の量の光が、デバイスの面内で捕捉され、かつ、広範囲の角度に亘って散乱されないことを確認することによって増大させることができる。これを行なう好適な方法は、光パイプまたは導波管をデバイスに組み込むことである。例えば、屈折率がより低い材料によってどちらかの側に境界が形成されているデバイスの面内に、屈折率が高い材料の層により導波管を形成してよい。どちらかの側の屈折率が高い層の屈折率の境界からの反射は、光を層内に閉じ込めるのに役立つ。このような高屈折率層は、光が層内に閉じ込められるよう、約1波長またはそれ以上の厚さを有している。放射層は、厚さが、1波長以下であることが多い(例えば、放射層は、厚さが、50ナノメータまたはそれ以下のことが多い)ので、放射層は、一般に、薄すぎて導波管の高屈折率のコアとして役立たない。したがって、高屈折率のコアは、追加の材料で放射層以上に厚くしないと、光をデバイスの面内に閉じ込められない。
【0041】
上記の放射デバイスはまた、放射デバイスの内部に導波管を設けてもよい。導波管は、エミッタ層に近接して、かつ(または)、エミッタ層内に入れて設けてよい。このようなデバイスは、格子と、格子に隣接している陽極と、陽極に隣接している正孔注入層と、正孔注入層に隣接している正孔輸送層と、正孔注入層に隣接している放射層と、放射層に隣接している電子輸送層と、電子輸送層に隣接している電子注入層と、電子注入層隣接している陰極と、陰極に隣接しているプレーナ化層とを含んでいてよい。正孔輸送層および陽極は、正孔輸送層と陽極とが、導波管の高屈折率コアを形成するよう、電子輸送層および格子より高い屈折率を有していてよい。エミッタ層は、いかなる屈折率を有していてもよいが、正孔輸送層の屈折率に等しいかあるいはそれより高いエミッタ層屈折率を有するのが有利である。格子と電子輸送層とは、導波管の低屈折率のクラッディングを形成する。このように形成された導波管は、デバイス内で放出される光の大きな部分を捕捉し、多かれ少なかれデバイスの面内に伝播するよう光を閉じ込める。格子内のコルゲーションは、結合構造体とフィードバック構造体との両方の重畳レリーフプロファイルを含んでいる。これらのコルゲーションは、デバイス内の多重層を通して格子から上方に伸長している。このように形成された波状構造体は、デバイスの面内で伝播する光をフィードバックして、エミッタ層におけるさらなる誘導放出を引き起こす。波状構造体はまた、デバイスの面内で伝播する光のいくらかの部分を、デバイスの面に垂直な、あるいは、垂直に近い角度で、デバイスの外に結合するか、あるいは、デバイスの面内で伝播する光のいくらかの部分を、予め決められた角度で、デバイスの外に結合する。以下、図11と図12とを参照して、導波管を含む放射デバイスをさらに論ずる。
【0042】
デバイス内で屈折率が最も高いものの一つは、陽極および(または)陰極における酸化インジウムすずであろう。この 酸化インジウムすずは、導波管の一部として使用してよい。残念なことに、酸化インジウムすずは、非常に薄い部分でしか十分に透明ではなく、デバイスの面内で酸化インジウムすずを横切る光は、強く吸収される場合がある。したがって、放出光を、放射層を含む容積内に、あるいは、それに直接隣接したところに閉じ込め、同時に、酸化インジウムすずとの相互作用を最小限に抑える導波管構造体を有することが望ましい。
【0043】
図11は、最小限度の吸収量で導波作用を行なうデバイス1100の好適な一実施形態を示す。デバイス1100は、透明基板202、陽極204、正孔注入層206、放射層210、電子注入層214、反射陰極216、第一の正孔輸送層1106と第二の正孔輸送層1108とで形成された正孔輸送媒体1104、第一の電子輸送層1112と第二の電子輸送層1114とで形成された電子輸送媒体1110を含んでいる。第一の電子輸送層1112はまた、デバイスの面内の層を通しての屈折率の連続的な変化によって形成されたフィードバック構造体と結合構造体とを含んでいる。図11では、層1112内の濃く陰影を付けた領域1118は、より高い屈折率を有しており、一方、薄く陰影を付けた領域1120は、より低い屈折率を有している。屈折率の変化は、図9を参照して説明したように、図の面内の軸に沿ってのみ存在するか、あるいは、その軸と図の面に直交する第二の軸との両方に沿って存在してよい。屈折率の変化は、デバイス800内の層 802を参照して説明したのと同様のやり方で作り出してよい。しかしながら、この実施例においては、フィードバック格子プロファイルと結合格子プロファイルとは、デバイス500内の層502を参照して説明したように、同じ層で重畳させる。陽極204と、正孔輸送層208と、放射層210と、電子注入層214と、反射陰極216と、正孔輸送媒体1104と、電子輸送媒体1110とは、OLED1116を形成している。
【0044】
第二の正孔輸送層1108の材料は、第一の正孔輸送層1106の材料より相当より高い屈折率を有するよう選択してよい。第一の電子輸送層1112の材料は、ポイント1120からのn1からポイント1118におけるより高い屈折率n2まで変化する屈折率を有するよう選択してよい。両方の屈折率n1とn2とは、第二の電子輸送層1114における屈折率ncより高く選択してよい。第二の正孔輸送層1108と、第一の電子輸送層1112と、放射層210とは、導波管の高屈折率のコアを形成している。第一の正孔輸送層1106および第二の電子輸送層1114は、導波管の低屈折率の導波管クラッディングとして役立つ。放射層210の屈折率と、第二の正孔輸送層1108の屈折率と、第一の電子輸送層1112の屈折率の一つとは、望ましくない反射、散乱などを避けるため、互いに他と同様または同じであるよう選択してよい。しかしながら、放射層210の厚さが、非常に薄い場合(これは、一般に生ずることであるが)は、放射層210は、何か実質的に有害な光学的影響がある場合を除き、いかなる屈折率を有していてもよい。
【0045】
フィードバック構造体と結合構造体とは、それらが、十分近接していて、デバイスのフィードバック構造体と結合構造体とが、面内を伝播する光と相互作用して、光を面内および出力方向に十分散乱させる限り、導波管の高い屈折率コア内に存在していなくてもよい。
【0046】
図12は、導波作用を有する別の実施形態を示す。図12では、デバイス1200は、現在利用できる導波管材料間の屈折率変化を利用して、OLED構造体の内部にラフな導波管を生成する。デバイス1200は、Shipley S1818ホトレジストまたは何か他の適当なホトパターニング可能な材料などの材料と、約1.9の屈折率を有する酸化インジウムすず陽極1204と、銅フタロシアニン正孔注入層1206と、約1.9の屈折率を有するa−NPB正孔輸送層1208と、約1.72の屈折率を有するAlq3+ドーパント(例えば、クマリン153)放射層1210と、約1.72の屈折率を有するAlq3電子輸送層1212と、LiF電子注入層1214と、アルミニウム陰極1216と、約1.9の屈折率を有する酸化インジウムすず導電性陰極バッキング1218と、約1.5の屈折率を有するプレーナ化層1220とから作成された約1.5の屈折率を有するフィードバック構造体および結合構造体の機能を組み合わせた格子1202を含んでいる。アルミニウム陰極1216と酸化インジウムすず導電性陰極バッキング1218とは、透明な陰極構造体1222を形成している。アルミニウム陰極1216は、放射1210の電子のソースを与え、一方、酸化インジウムすず導電性陰極バッキング1218は、電流をアルミニウム陰極1216に導くが、これは、アルミニウム陰極1216は、十分に薄く、透明であるためである。このデバイス内の酸化インジウムすず陽極1204とa−NPB正孔輸送層1208とは、約1.9に等しい屈折率を有する材料のコアを構成している。これらの層は、ホトレジスト材料および放射層プラス電子輸送層を構成しているより低い屈折率の層によって囲まれている。銅フタロシアニン正孔注入層1206、LiF電子注入層1214、およびアルミニウム陰極1216は、薄すぎて光学的に相互作用しない。
【0047】
別法として、ピッチν=κの屈折率変調を有する結合層を用いて、フィードバック、および、したがって、発光がデバイスの面内で生ずるOLED−ベースのレーザーからの光を垂直に結合してよい。そのようなものとして、他の分散されたフィードバック構造体を、ここで述べたものに加えて、上述のように使用してよい。同じ垂直結合法はまた、フィードバックが、レーザーキャビティの端部における分割表面、金属化表面または他の反射器からの通常の反射から生ずるエッジ放出OLEDレーザーにも適用できる。図に示したOLED構造体の代わりに、他のOLED構造体を用いてもよい。また、図に示したOLED構造体の代わりに、非OLED構造体を用いてもよい。OLED構造体は、バソキュプロイン(2、9−ジメチル−4、7−ジフェニル−1、10−フェナントロリン)または別の適当な材料の正孔ブロッカー層などの追加の層を含んでいてよい。ブロッカー層は、US Patent Nos.6,451,415および6,097,147で論じられている。
【0048】
ここで、格子は、異なる 方法により、異なる 材料から作成してよい。例えば、格子は、電子ビームを用いて書く方法、多重(例えば、2)ビーム干渉方法、あるいは、他の適当な方法によって製造してよい。このような格子は、先ず格子をホトレジストまたは他の適当な材料上に書き、次いで、エンボス法または別の適当な方法によって格子を複製することによって作成してよい。多重コピーの一括生産は、コンパクトディスク、およびクレジットカードや銀行券に使用されるような安全ホログラムを複製する際に使用されるようなマスターレリーフ構造体としての重合体基板を用いることによって達成可能である。マスターレリーフ構造体上のレリーフ構造体は、例えば、レプリカをプレスするためのスタンプとして、あるいは、射出成形用金型として使用してよい金属シムへの電気鍍金または真空蒸着によって転写される。別法として、さらなるホトレジスト層をガラス上に接触コピーし、該ホトレジストを該ガラスに貫通エッチングして、レリーフ構造体をガラスに作成してよい。ホトレジストおよびガラスに加えて、格子は、ポリカーボネート、ポリウレタンなどの高分子材料、または何か他の適当な材料から作成してよい。
【0049】
2ビーム干渉法では、波長λのレーザーからの平行ビームが、角度θで、λ=2p sin(θ/2)となるように干渉する(ここで、pは、格子の必要なピッチである)。レリーフ構造体の深さは、ホトレジストの露光および現像を変えて制御することができる。ピッチが異なる二つまたはそれ以上の格子が必要な場合は、同じホトレジストに二つの別個の露光を施して、格子を重畳させればよい。
【実施例】
【0050】
ガラス基板を、Shipley S1818 ホトレジストの厚さ1ミクロンの層でスピンコーティングする。ホトレジストを、アルゴンイオンレーザーからの、波長351nmの紫外線の二つの干渉ビームに同時に露光する。二つのビームの伝播方向は、ホログラムプレートの表面に垂直な同一面に対して互いに平行である。ビームの一つは、法線に対して50.1°の角度で表面に当り、一方、第二のビームは、法線に対して−50.1°の角度で表面に当る(二つのビームの間の角度は100.2°となる)。加えられる合計放射線量は、100mJ/cm2のオーダーである。正確な線量は、校正の実行によって設定してよい。同じプレートの2番目の露光は、488nmの線を生ずるよう設定されたアルゴンイオンレーザーで、かつ、前回の二つの露光と同じ面内で、32.2°および−32.2°で表面に当る二つのビームで行なう。この場合も、加えられる合計放射線量は、約100mJ/cm2である。最初の露光は、229nmの空間周期で書かれた格子を生ずるよう設定される。2番目の露光は、457.9nmの空間周期で書かれた重畳された第二の格子を生ずるよう設定される。次いで、露光されたプレートは、希釈されていない Shipley 303A 現像剤に二分間浸漬され、流れるイオン交換水で2.5分間リンスされ、乾いた窒素ガスで乾燥される。ホトレジストは、深さ約30nmのレリーフを形成する。
【0051】
今や、下記の連続的に真空蒸着した層を有するOLEDデバイスのスタックが、ホログラフィックプレートのレリーフ表面上に作成可能である。すなわち、該層は、150nmの酸化インジウムすず陰極バッキングと、7nmのアルミニウム陰極と、10nmの弗化リチウム電子注入層と、35nmのアルミニウムトリキノリン電子輸送層と、10nmのバソキュプロイン(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)正孔ブロッカーと、50nmのH9680エミッタ(H9680エミッタは、NewJersey州 MorristownのSpecialty Chemicalsから入手可能である)と、75nmのN,N´−ジ(3−メチルフェニル)−N,N´−ジフェニルベンジジン正孔輸送層と、10nmの銅フタロシアニン正孔注入層と、150nmの酸化インジウムすず陽極とを含む層である。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態およびその利点を、詳細に論じたが、変化、置換、変換、修正、変形、並べ替え、および変更が、本発明の教示、主旨、および添付のクレームに記述されている本発明の範囲から逸脱することなく、その中で行なわれてよいことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】好適な波状構造体を示す。
【図2】放射層の同じ側におけるフィードバックと結合との両方のための波状構造体を含む好適な一実施形態を示す。
【図3】OLEDの反対側にフィードバック構造体と結合構造体とを有する別の好適な実施形態を示す。
【図4】フィードバック構造体と結合構造体とが、デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有する別の実施形態を示す。
【図5】デバイス面内の軸に沿って屈折率の連続的な変化を有する結合機能とフィードバック機能とを、単一の層内で重畳した別の実施形態を示す。
【図6】結合機能とフィードバック機能とを単一の層内に、重畳コルゲーションプロファイルで重畳している別の実施形態を示す。
【図7】連続的で周期的な屈折率変化を有し、かつ、波状である組合せフィードバックおよび結合層を有する一実施形態を示す。
【図8】OLEDにフィードバック構造体を組み込んでいる一実施形態を示す。
【図9】屈折率の変調がOLED内に生じ、かつ、プレーナ化層が反射器に隣接している別の実施形態を示す。
【図10】不連続で周期的な屈折率の変化を有する別の実施形態を示す。
【図11】最小限度の吸収量で導波作用を行なうデバイスの好適な一実施形態を示す。
【図12】図12は、導波作用を有する別の実施形態を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードデバイスであって、
発光ダイオードと、
垂直な結合構造体と、
を含み、
該垂直な結合構造体は、該発光ダイオード内で、略水平な誘導発光の一部の伝播方向を変化させて、該略水平な誘導発光の該一部が、出力光として該発光ダイオードを出るようにすることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
出力光は、発光ダイオードに略平行な面に略垂直に伝播することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
発光ダイオードに略平行な面に垂直に±θ°で伝播することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
垂直な結合構造体は、波状であることとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
垂直な結合構造体は、発光ダイオードに略平行な面に沿って振動する屈折率を有することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
垂直な結合構造体は、屈折率の連続的な変化を有することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
垂直な結合構造体は、屈折率の不連続な変化を有することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
垂直な結合構造体は、周期的であることとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
垂直な結合構造体は、第一の誘電体材料と第二の誘電体材料とを含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
さらに光フィードバック構造体を含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
光フィードバック構造体は、波状であることとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
光フィードバック構造体は、発光ダイオードに略平行な面に沿って振動する屈折率を有することとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
光フィードバック構造体は、屈折率の連続的な変化を有することとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
光フィードバック構造体は、屈折率の不連続な変化を有することとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項15】
光フィードバック構造体は、周期的であることとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項16】
垂直な結合構造体は、光フィードバック構造体の一部を含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
垂直な結合構造体は、光フィードバック構造体を含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
発光ダイオードは、低屈折率領域に挟まれた高屈折率領域を含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
高屈折率領域は、発光材料を含むこととする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
発光ダイオードは、発光材料を含み、該発光材料は、
有機半導体材料、
有機半導体材料と無機半導体材料との組合せ、または、
有機金属半導体材料、または、
無機半導体材料
のうちの一つであることとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
光を発生させる方法であって、
発光材料を励起して、該発光材料が光を放出するようにする工程と、
該発光材料によって放出される該光の少なくとも一部を該発光材料を通して反射し返して、誘導光の放出を誘導する工程と、
該誘導光の一部の方向を変化させて、該誘導光の該一部が、該発光材料から離れて結合されるようにする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
誘導光は、レーザー光であることとする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
誘導光の該一部は、発光材料から離れて垂直に結合されることとする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
放射デバイスであって、
格子と、
該格子に隣接している陽極と、
該陽極に隣接している正孔注入層と、
該正孔注入層に隣接している正孔輸送層と、
該正孔注入層に隣接している放射層と、
該放射層に隣接している電子輸送層と、
該電子輸送層に隣接している電子注入層と、
該電子注入層に隣接している陰極と、
該陰極に隣接しているプレーナ化層と、
を含むデバイスにおいて、
該正孔輸送層および該陽極は、該正孔輸送層と、該陽極と、該電子輸送層とが、導波管を形成するように、該電子輸送層より高い屈折率を有しており、かつ、
該格子は、それに入射する光の一部を該陽極に向けてフィードバックし、該それに入射する光の別の一部を該陽極から離れて
結合することを特徴とするデバイス。
【請求項25】
ホトレジスト 格子に入射するデバイス面内で伝播する光の一部が、伝播の元の方向に対して180°の方向にフィードバックされ、かつ、該格子に入射する該光の別の一部が、該デバイスの面に垂直な方向に結合されることとする請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
放射層は、
有機半導体材料、
有機半導体材料と無機半導体材料との組合せ、または、
有機金属半導体材料、または、
無機半導体材料
のうちの一つであることとする請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
格子は、ホトレジスト格子であることとする請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
フィードバックエンハンストエミッタであって、
光エミッタと、
フィードバック構造体と、
結合構造体と、
を含むエミッタにおいて、
該フィードバック構造体は、該光エミッタによって作り出された光を該光エミッタに反射し返し、かつ、
該結合構造体は、該光エミッタ内の誘導発光の一部の伝播方向を変化させて、該誘導発光の該一部が、該光エミッタを出力光として出るようにすることを特徴とするエミッタ。
【請求項29】
出力光が、光エミッタに略 平行な面に略垂直に伝播することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項30】
出力光が、光エミッタに略 平行な面に垂直に±θで伝播することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項31】
結合構造体は、波状であることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項32】
結合構造体は、光エミッタに略平行な面に沿って振動する屈折率を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項33】
結合構造体は、屈折率の連続的な変化を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項34】
結合構造体は、屈折率の不連続の変化を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項35】
結合構造体は、周期的であることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項36】
結合構造体は、第一の誘電体材料と第二の誘電体材料とを含むこととする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項37】
光フィードバック構造体は、波状であることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項38】
光フィードバック構造体は、光エミッタに略平行な面に沿って振動する屈折率を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項39】
光フィードバック構造体は、屈折率の連続的な変化を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項40】
光フィードバック構造体は、屈折率の不連続の変化を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項41】
光フィードバック構造体は、周期的であることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項42】
結合構造体は、光フィードバック構造体の一部を含むこととする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項43】
結合構造体は、光フィードバック構造体を含むこととする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項44】
光エミッタは、低屈折率領域の間に挟まれた高屈折率領域を含むこととする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項45】
高屈折率領域は、発光材料を含むこととする請求項44に記載のエミッタ。
【請求項46】
光エミッタは、発光材料を含み、該発光材料は、
有機半導体材料、
有機半導体材料と無機半導体材料との組合せ、または、
有機金属半導体材料、または、
無機半導体材料
のうちの一つであることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項47】
光エミッタは、発光ダイオードであることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項48】
光を作り出す方法であって、
発光材料を励起して、第一の光を作り出す工程と、
該第一の光の少なくとも一部を該発光材料に反射し返して、第一の軸に沿って第二の光の放出を誘導する工程と、
該第二の光の少なくとも一部の伝播方向を少なくとも第二の軸に変化させる工程と、
を含む方法において、
該第一の軸と該少なくとも第二の軸とは、略平行ではないことを特徴とする方法。
【請求項49】
第一の軸該少なくとも第二の軸に直交していることとする請求項48に記載の方法。
実施例
【請求項1】
発光ダイオードデバイスであって、
発光ダイオードと、
垂直な結合構造体と、
を含み、
該垂直な結合構造体は、該発光ダイオード内で、略水平な誘導発光の一部の伝播方向を変化させて、該略水平な誘導発光の該一部が、出力光として該発光ダイオードを出るようにすることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
出力光は、発光ダイオードに略平行な面に略垂直に伝播することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
発光ダイオードに略平行な面に垂直に±θ°で伝播することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
垂直な結合構造体は、波状であることとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
垂直な結合構造体は、発光ダイオードに略平行な面に沿って振動する屈折率を有することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
垂直な結合構造体は、屈折率の連続的な変化を有することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
垂直な結合構造体は、屈折率の不連続な変化を有することとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
垂直な結合構造体は、周期的であることとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
垂直な結合構造体は、第一の誘電体材料と第二の誘電体材料とを含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
さらに光フィードバック構造体を含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
光フィードバック構造体は、波状であることとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
光フィードバック構造体は、発光ダイオードに略平行な面に沿って振動する屈折率を有することとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
光フィードバック構造体は、屈折率の連続的な変化を有することとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
光フィードバック構造体は、屈折率の不連続な変化を有することとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項15】
光フィードバック構造体は、周期的であることとする請求項10に記載のデバイス。
【請求項16】
垂直な結合構造体は、光フィードバック構造体の一部を含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
垂直な結合構造体は、光フィードバック構造体を含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
発光ダイオードは、低屈折率領域に挟まれた高屈折率領域を含むこととする請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
高屈折率領域は、発光材料を含むこととする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
発光ダイオードは、発光材料を含み、該発光材料は、
有機半導体材料、
有機半導体材料と無機半導体材料との組合せ、または、
有機金属半導体材料、または、
無機半導体材料
のうちの一つであることとする請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
光を発生させる方法であって、
発光材料を励起して、該発光材料が光を放出するようにする工程と、
該発光材料によって放出される該光の少なくとも一部を該発光材料を通して反射し返して、誘導光の放出を誘導する工程と、
該誘導光の一部の方向を変化させて、該誘導光の該一部が、該発光材料から離れて結合されるようにする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
誘導光は、レーザー光であることとする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
誘導光の該一部は、発光材料から離れて垂直に結合されることとする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
放射デバイスであって、
格子と、
該格子に隣接している陽極と、
該陽極に隣接している正孔注入層と、
該正孔注入層に隣接している正孔輸送層と、
該正孔注入層に隣接している放射層と、
該放射層に隣接している電子輸送層と、
該電子輸送層に隣接している電子注入層と、
該電子注入層に隣接している陰極と、
該陰極に隣接しているプレーナ化層と、
を含むデバイスにおいて、
該正孔輸送層および該陽極は、該正孔輸送層と、該陽極と、該電子輸送層とが、導波管を形成するように、該電子輸送層より高い屈折率を有しており、かつ、
該格子は、それに入射する光の一部を該陽極に向けてフィードバックし、該それに入射する光の別の一部を該陽極から離れて
結合することを特徴とするデバイス。
【請求項25】
ホトレジスト 格子に入射するデバイス面内で伝播する光の一部が、伝播の元の方向に対して180°の方向にフィードバックされ、かつ、該格子に入射する該光の別の一部が、該デバイスの面に垂直な方向に結合されることとする請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
放射層は、
有機半導体材料、
有機半導体材料と無機半導体材料との組合せ、または、
有機金属半導体材料、または、
無機半導体材料
のうちの一つであることとする請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
格子は、ホトレジスト格子であることとする請求項24に記載のデバイス。
【請求項28】
フィードバックエンハンストエミッタであって、
光エミッタと、
フィードバック構造体と、
結合構造体と、
を含むエミッタにおいて、
該フィードバック構造体は、該光エミッタによって作り出された光を該光エミッタに反射し返し、かつ、
該結合構造体は、該光エミッタ内の誘導発光の一部の伝播方向を変化させて、該誘導発光の該一部が、該光エミッタを出力光として出るようにすることを特徴とするエミッタ。
【請求項29】
出力光が、光エミッタに略 平行な面に略垂直に伝播することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項30】
出力光が、光エミッタに略 平行な面に垂直に±θで伝播することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項31】
結合構造体は、波状であることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項32】
結合構造体は、光エミッタに略平行な面に沿って振動する屈折率を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項33】
結合構造体は、屈折率の連続的な変化を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項34】
結合構造体は、屈折率の不連続の変化を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項35】
結合構造体は、周期的であることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項36】
結合構造体は、第一の誘電体材料と第二の誘電体材料とを含むこととする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項37】
光フィードバック構造体は、波状であることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項38】
光フィードバック構造体は、光エミッタに略平行な面に沿って振動する屈折率を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項39】
光フィードバック構造体は、屈折率の連続的な変化を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項40】
光フィードバック構造体は、屈折率の不連続の変化を有することとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項41】
光フィードバック構造体は、周期的であることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項42】
結合構造体は、光フィードバック構造体の一部を含むこととする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項43】
結合構造体は、光フィードバック構造体を含むこととする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項44】
光エミッタは、低屈折率領域の間に挟まれた高屈折率領域を含むこととする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項45】
高屈折率領域は、発光材料を含むこととする請求項44に記載のエミッタ。
【請求項46】
光エミッタは、発光材料を含み、該発光材料は、
有機半導体材料、
有機半導体材料と無機半導体材料との組合せ、または、
有機金属半導体材料、または、
無機半導体材料
のうちの一つであることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項47】
光エミッタは、発光ダイオードであることとする請求項28に記載のエミッタ。
【請求項48】
光を作り出す方法であって、
発光材料を励起して、第一の光を作り出す工程と、
該第一の光の少なくとも一部を該発光材料に反射し返して、第一の軸に沿って第二の光の放出を誘導する工程と、
該第二の光の少なくとも一部の伝播方向を少なくとも第二の軸に変化させる工程と、
を含む方法において、
該第一の軸と該少なくとも第二の軸とは、略平行ではないことを特徴とする方法。
【請求項49】
第一の軸該少なくとも第二の軸に直交していることとする請求項48に記載の方法。
実施例
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−523931(P2006−523931A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509335(P2006−509335)
【出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/009278
【国際公開番号】WO2004/095541
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505386498)ゼオラックス コーポレーション (2)
【出願人】(306021402)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/009278
【国際公開番号】WO2004/095541
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505386498)ゼオラックス コーポレーション (2)
【出願人】(306021402)
【Fターム(参考)】
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