説明

フェイズドアレイアンテナ装置

【課題】 地上波デジタルテレビジョン放送を受信でき、コンパクトでアンテナの方向を調整する必要がないアンテナ装置を提供すること。
【解決手段】 第1給電点40及び第2給電点41とこれらの中間点に第3給電点42を設けたので、第3給電点42に対しては第1アンテナ構成体19と第2アンテナ構成体23と、第3アンテナ構成体27と第4アンテナ構成体31とは電気的に等距離になり、第1給電点40と第2給電点41とに対してはこれらのペアのアンテナ構成体に波長の24〜4分の1分の位相差ができる。よって、第1給電点40及び第2給電点41とのいずれかに給電ケーブルを接続すると、受信電波の到来方向に対して+−10度以上、90度以下の範囲でフェイズドアレイアンテナ装置10を回転させることに等しくなるので、3つの給電点に給電ケーブルを選択的に接続することで設置時にその向きを調整する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイズドアレイアンテナ装置に関し、地上波デジタルテレビジョン放送を受信できるフェイズドアレイアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタルテレビ放送などとも称されている地上波デジタル方式によるテレビジョン放送を受信するためのアンテナとして、地上波アナログ方式によるテレビジョン放送の受信用として普及している八木アンテナが使用できるが、各エレメントが大きく、設置に労力を要することから、コンパクトで設置がより容易なアンテナが提案されている。
【0003】
例えば、特開2005−260898公報ではアマチュア無線家が移動局用などに利用していたスイスクワッド型アンテナを地上波デジタル方式によるテレビジョン放送に適した構造に改良したアンテナが開示されている。スイスクワッド型アンテナは、八木アンテナよりもコンパクトで設置がより容易になるという利点がある。
【0004】
しかし、スイスクワッド型アンテナにおいても、電波が到来する方向とアンテナの指向性を勘案してアンテナの向きを調整する必要があり、この点は八木アンテナとほぼ同じ作業負担となる。また、民家などの場合には屋根の上で作業する必要があるので、作業時の危険性は軽減されないという問題点もある。さらに、台風などによってアンテナの方向が変わった場合、再度調整する必要がある点も八木アンテナと変わりがない。また、屋内に設置できるほどコンパクトとは言い難い大きさであり、屋内設置に適しているとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−260898公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、地上波デジタルテレビジョン放送を受信でき、コンパクトでアンテナの方向を調整する必要がないアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、水平方向及び垂直方向に対してそれぞれ所定長さに形成された基板と、前記基板の第1の面上に設けられると共に、第1の基点から水平方向と垂直方向とに向かってそれぞれ延在し、かつ、受信周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さにそれぞれ形成された第1の水平エレメントと第1の垂直エレメントを備えた第1のアンテナ構成体と、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第1の基点から水平方向に前記受信周波数帯の中心周波数における波長の4分の1相当の距離離隔した第2の基点から水平方向に、かつ、前記第1の水平エレメントと背向するように延在し、かつ、前記受信周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第2の水平エレメントと、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第2の基点から垂直方向に、かつ、前記第2の垂直エレメントと同一方向に延在し、かつ、前記受信周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第2の垂直エレメントを備えた第2のアンテナ構成体と、前記第1の基点及び前記第2の基点の近傍に配置された第1の導電線と、前記第1のアンテナ構成体の前記第1の基点の部分と前記第1の導電線の第1の端部とを接続するように設けられた第2の導電線と、前記第2のアンテナ構成体の前記第2の基点の部分と前記第1の導電線の第2の端部とを接続するように設けられると共に、前記第2の導電線と同じ長さに形成された第3の導電線と、前記第1の導電線上にそれぞれ形成されると共に、前記第1の導電線に沿った互いの距離が前記受信周波数帯の中心周波数における波長の24分の1以上、4分の1の長さ以下になるようにそれぞれ配置された第1の給電点及び第2の給電点と、前記第1の導電線上に形成されると共に、前記第1の導電線に沿った距離において前記第1の給電点と前記第2の給電点との中間点に形成された第3の給電点を有することを特徴とするフェイズドアレイアンテナ装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第1の基点から垂直下方に前記使用周波数帯の中心周波数における波長の4分の1相当の距離離隔した第3の基点から水平方向に、かつ、前記第1の水平エレメントと同一方向に延在し、かつ、前記使用周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第3の水平エレメントと、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第3の基点から垂直方向に、かつ、前記第1の垂直エレメントと背向するように延在し、かつ、前記使用周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第3の垂直エレメントを備えた第3のアンテナ構成体と、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第2の基点から垂直下方に前記使用周波数帯の中心周波数における波長の4分の1相当の距離離隔した第4の基点から水平方向に、かつ、前記第2の水平エレメントと同一方向に延在し、かつ、前記使用周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第4の水平エレメントと、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第3の基点から垂直方向に、かつ、前記第2の垂直エレメントと背向するように延在し、かつ、前記使用周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第4の垂直エレメントを備えた第4のアンテナ構成体と、前記第3のアンテナ構成体の前記第3の基点の部分と前記第1の導電線の第1の端部とを接続するように設けられた第4の導電線と、前記第4のアンテナ構成体の前記第4の基点の部分と前記第1の導電線の第2の端部とを接続するように設けられると共に、前記第4の導電線と同じ長さに形成された第5の導電線をさらに有することを特徴とするフェイズドアレイアンテナ装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記基板の第2の面上に形成されると共に、前記第1の基点、前記第2の基点、前記第3の基点及び前記第4の基点を頂点とする仮想的4角形に対応する部位に、該仮想的4角形と同じ形状で、かつ、同じ大きさに形成されたグランドプレーンをさらに有することを特徴とするフェイズドアレイアンテナ装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明において、前記基板を収納したケースと、前記ケースにそれぞれ設けられると共に、前記第1の給電点、前記第2の給電点及び前記第3の給電点にそれぞれ接続された第1の給電コネクタ、第2のコネクタ及び第3のコネクタと、前記設けられると共に、建築構造物に固定可能な固定具をさらに有することを特徴とするフェイズドアレイアンテナ装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記固定具は、前記ケースと前記建築構造物との間に介在し、前記第1の給電コネクタ、前記第2のコネクタ及び前記第3のコネクタは、前記ケースの前記建築構造物と対向する側の面に設けられていることを特徴とするフェイズドアレイアンテナ装置である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記第1の導電線、第2の導電線、前記第3の導電線、前記第4の導電線及び前記第5の導電線のうち、少なくとも1つの導電線を電波シールド材で覆っていることを特長とするフェイズドアレイアンテナ装置。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、第1の導電線上に、互いの距離が受信周波数帯の中心周波数における波長の24分の1以上、4分の1の長さ以下になるように配置している第1の給電点及び第2の給電点と、これらの中間点に第3の給電点を設けたので、第3の給電点に対しては第1のアンテナ構成体と第2のアンテナ構成体とは電気的に等距離になり、第1の給電点と第2の給電点とに対しては第1のアンテナ構成体と第2のアンテナ構成体とに波長の4分の1分の位相差ができる。したがって、第1の給電点と第2の給電点とのいずれかに給電ケーブルを接続したときには、第1のアンテナ構成体と第2のアンテナ構成体とのいずれかが受信する電波に対して波長の4分の1相当近い又は遠い配置となる。これは、受信する電波の到来方向に対してプラス・マイナス10度以上90度以下の範囲でフェイズドアレイアンテナ装置を回転させることに等しい。したがって、3つの給電点に対して給電ケーブルを選択的に接続することによってフェイズドアレイアンテナ装置の設置時にその向きを調整する必要がなくなる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、第1のアンテナ構成体及び第2のアンテナ構成体の電波の受信に干渉しないように第3のアンテナ構成体及び第4のアンテナ構成体を配置することができる。また、各導電線の配置なども比較的単純になるので、フェイズドアレイアンテナ装置の製造が容易になる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、各アンテナ構成体の電波の受信に影響しない範囲においてグランドプレーンの面積を最も大きく確保することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、フェイズドアレイアンテナ装置をビルディングや家屋などの建築構造物の壁面等に設置することが容易になる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、コネクタがケースと建築構造物との間に位置するので、強風に乗って飛来した物がコネクタに衝突することによってコネクタが破壊されることを防ぐことができる。また、強風時に強い雨が水平又は水平に近い方向から当たることによってコネクタ内に雨水が浸入することを低減できる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、5つの導電線のうち少なくとも1つの導電線を電波シールド材で覆うので、これらの導電線がアンテナエレメントの一部として設計上想定していない作用を発揮することを低減でき、フェイズドアレイアンテナ装置の特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図である。
【図2】第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置の受信周波数帯の中心周波数における波長との関係を示す正面図である。
【図3】第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置の背面図である。
【図4】フェイズドアレイアンテナ装置のケースを示し、(A)は正面図、(B)は左側面図である。
【図5】フェイズドアレイアンテナ装置の指向性の原理を示す説明図である。
【図6】電波到来角度とアンテナ構成体間の位相差を示す説明図である。
【図7】第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置の設置状態を示す斜視図である。
【図8】ケースの変形例を示す図であり、(A)は背面図、(B)は左側面図である。
【図9】第2の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図、(D)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置を図面に基づいて詳しく説明する。なお、第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、事例として地上波デジタル方式によるテレビジョン放送の受信を前提としたアンテナ装置を示しているが、本発明は、例えば他の方式のテレビジョン放送や極超短波でのアマチュア無線など指向性のあるアンテナを必要とする各種通信にも利用できるものである。また、以下の説明では、3つの給電点のうち最も受信状態が良い給電点に対して給電ケーブルを選択的に接続することを前提として説明するが、本発明においては、マルチパスで受信した電波を合成する合成ダイバーシティに対応した受信回路を持つ装置を接続する、つまり3つの給電点を併用することも可能である。
【0021】
図1は、第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図である。図1において、10はフェイズドアレイアンテナ装置、11は基板、12は表面、13は裏面、14は上端面、15は下端面、19は第1アンテナ構成体、20は第1基点、21は第1水平エレメント、22は第1垂直エレメント、23は第2アンテナ構成体、24は第2基点、25は第2水平エレメント、26は第2垂直エレメント、27は第3アンテナ構成体、28は第3基点、29は第3水平エレメント、30は第3垂直エレメント、31は第4アンテナ構成体、32は第4基点、33は第4水平エレメント、34は第4垂直エレメント、35は第1導電線、36は第2導電線、37は第3導電線、38は第4導電線、39は第5導電線、40は第1給電点、41は第2給電点、42は第3給電点である。また、図2は、第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置の受信周波数帯の中心周波数における波長との関係を示す正面図である。図2において用いた符号は、すべて図1と同じものを示す。
【0022】
図1に示すように、この実施の形態のフェイズドアレイアンテナ装置10は、基板11上にエレメントなどのアンテナを構成するものを設けている。基板11は、ほぼ正方形のガラスエポキシ基板であり、表面12側にアンテナを構成するもののほとんどを設けている。なお、基板11には、リジッド基板であればベークライト基板、ガラス基板など他の材質のものを用いてもよい。また、屋内に限定して使用する場合には、ポリイミドなどフレキシブル基板を用いることもできる。また、図1では、フェイズドアレイアンテナ装置10の小型化を図るために、基板11を必要最小限の面積を持つほぼ正方形板状のものとしているが、設置場所の状況に応じて、あるいは、建築物の装飾とすることを目的として6角形や円形など他の形状に形成してもよい。
【0023】
また、この実施の形態のフェイズドアレイアンテナ装置10は、第1アンテナ構成体19、第2アンテナ構成体23、第3アンテナ構成体27及び第4アンテナ構成体31の4つのアンテナ構成体において電波を受信する。これらのアンテナ構成体は、回路における配線パターンと同様に印刷によって銅合金やアルミ合金などの金属薄膜を形成したものである。また、それぞれ独立した受信機能を持っているが、給電点は共通しているので全体で1つのアンテナ装置として機能する。なお、これらのアンテナ構成体と後述する導電線とは、基板11上に無電解メッキによって形成してもよく、蒸着によって形成してもよい。また、金属箔を基板11に接着することによって形成してもよい。さらに、自動車や自動二輪車の電装品に用いるバスバーなどと同様に、金属板をプレス加工してアンテナ構成体及び導電線のパターンを形成し、これを基板11にビス等で固定して作ることもできる。また、これらのアンテナ構成体は、保護のために第1給電点40、第2給電点41及び第3給電点42を除いて樹脂等で被覆することが望ましい。
【0024】
図1に示すように、第1アンテナ構成体19は、第1基点20を起点として水平左方向に延在する第1水平エレメント21と、第1基点20を起点として垂直上方向に延在する第1垂直エレメント22とを備えている。また、第2アンテナ構成体23は、第2基点24を起点として水平右方向に延在する第2水平エレメント25と、第2基点24を起点として垂直上方向に延在する第2垂直エレメント26とを備えている。さらに、第3アンテナ構成体27は、第3基点28を起点として水平左方向に延在する第3水平エレメント29と、第3基点28を起点として垂直下方向に延在する第3垂直エレメント30とを備えている。くわえて、第4アンテナ構成体31は、第4基点32を起点として水平右方向に延在する第4水平エレメント33と、第4基点32を起点として垂直下方向に延在する第4垂直エレメント34とを備えている。第1水平エレメント21、第2水平エレメント25、第3水平エレメント29及び第4水平エレメント33は水平偏波に対応するエレメントであり、第1垂直エレメント22、第2垂直エレメント26、第3垂直エレメント30及び第4垂直エレメント34は垂直偏波に対応するエレメントである。
【0025】
また、図2に示すように、これらの水平エレメント及び垂直エレメントは、地上波デジタル方式によるテレビジョン放送の受信周波数帯の中心周波数における波長をλとしたときに、それぞれの基点から先端までの長さがλ/4の長さとなるように形成されている。さらに、第3給電点42を中心として点対称となるように、つまり第1基点20、第2基点24、第3基点28及び第4基点32から第3給電点42に背を向けるように放射状に形成されている。また、互いに平行となる第1水平エレメント21と第3水平エレメント29、第2水平エレメント25と第4水平エレメント33、第1垂直エレメント22と第2垂直エレメント26、第3垂直エレメント30と第4垂直エレメント34とは、それぞれλ/4の間隔で配置されている。したがって、4つの基点は、互いにλ/4の間隔で配置されている。
【0026】
さらに、図1に示すように、第1基点20と第3基点28との中間点と、第2基点24と第4基点32との中間点とに両端部が位置するように第1導電線35が配置されている。くわえて、第1基点2と第1導電線35の左端部とを接続する第2導電線36、第2基点24と第1導電線35の右端部とを接続する第3導電線37、第3基点28と第1導電線35の左端部とを接続する第4導電線38、第4基点32と第1導電線35の右端部とを接続する第5導電線39とをそれぞれ設けている。さらに、第1導電線35の左端近傍に第1給電点40、右端近傍に第2給電点41を設けており、第1導電線35と第2給電点41との中間点に第3給電点42を設けている。また、第1導電線35、第2導電線36、第3基点28、第4導電線38及び第5導電線39の表面には、3つの給電点の部分を除いてこれらの輪郭に沿った形状の電磁波シールドシートを貼り付けている。これは、これらの導電線が反射エレメントとして作用してアンテナ構成体の利得を低くするので、この作用を低減させるために設けている。なお、電磁波シールドシートは、これらの導電線のすべてに貼り付けることが好ましいが、一部に対して貼り付けても低減させることが可能である。また、基板11の表面に導電線を形成し、さらにその表面に電磁波シールドシートを貼り付けることに代えて、同軸ケーブル又はその他の電磁波シールドケーブルを用いてもよい。なお、いずれのケーブルを用いる場合でも、3つの給電点を設けられることが条件となる
【0027】
前述のように、第1基点20と第3基点28との間隔はλ/4の長さであり、第2基点24と第4基点32との間隔もλ/4の長さであるので、第2導電線36と第4導電線38とを合わせた長さと、第3導電線37と第5導電線39とを合わせた長さとはλ/4となる。また、図2に示すように、この実施の形態では、第1導電線35の長さはλ/4よりも若干短い長さに形成されている。したがって、第1給電点40と第3給電点42との間隔と、第2給電点41と第3給電点42との間隔とは、それぞれλ/8の長さよりも若干短くなる。したがって、第1基点20及び第3基点28と第3給電点42との電気的距離、つまり各導電線に沿った距離と、第2基点24及び第4基点32と第3給電点42との電気的距離とは等しくなる。一方、第1基点20及び第3基点28と第1給電点40との電気的距離と、第2基点24及び第4基点32と第1給電点40との電気的距離とは、第1基点20及び第3基点28と第1給電点40との電気的距離の方がλ/4よりも若干短くなる。同様に、第1基点20及び第3基点28と第2給電点41との電気的距離と、第2基点24及び第4基点32と第2給電点41との電気的距離とは、第2基点24及び第4基点32と第2給電点41との電気的距離の方がλ/4よりも若干短くなる。
【0028】
ここで、第1給電点40と第2給電点41とにλ/4よりも若干短い電気的距離の差を設けた理由について説明する。図5は、フェイズドアレイアンテナ装置の指向性の原理を示す説明図である。また、図6は、電波到来角度とアンテナ構成体間の位相差を示す説明図である。基板11が受信する電波の電波到達面に対して正対している場合、各エレメントには同時に電波が到達するので、各エレメントにおける電波には位相差がない。基板11が受信する電波の電波到達面に対して正対していない場合、図5に示すように、電波到来角度θの方向からの到達する電波が最初にアンテナT1に到着し、伝搬差Δl通過した後、つまりつまり空間距離の差だけ遅れてアンテナT2に到着する。Δlは、図5から分かるように、
【数1】

となる。そこで、伝搬差ΔlからアンテナT1とアンテナT2間の電波の位相差ΔΦを求めると、
【数2】

となる。したがって、数式1及び数式2から、
【数3】

となる。
【0029】
よって、電波到来角度θと位相差ΔΦの関係は、
【数4】

で表すことができる。なお、以上の説明は、基板11の表面12側における電波到来方向に関する説明であるが、裏面13側から到来する電波についても同様のことが言える。
【0030】
数式4から、具体的な電波到来角度を計算した結果をまとめたものが図6である。例えば、アンテナT1とアンテナT2との間隔dがλ/4で位相差ΔΦがλ/4の場合は、電波到来角度θは90度、つまり基板11の真横から到来する。アンテナT1とアンテナT2との間隔dがλ/4で位相差ΔΦがλ/5.625の場合には、電波到来角度θは、45度(斜め前方)になる。さらに、アンテナT1とアンテナT2との間隔dがλ/4で位相差ΔΦがλ/24の場合には、電波到来角度θは、10度(斜め前方)になる。
【0031】
前述のように、第1基点20と第3基点28との間隔、及び、第2基点24と第4基点32との間隔はそれぞれλ/4である。また、第1給電点40と第2給電点41とは、第1基点20及び第3基点28と、第2基点24及び第4基点32とに対してλ/4よりも若干短い電気的距離を設定している。したがって、電波到来角度θがプラス・マイナス90度かこれに近い斜め前方から電波が到達している場合には、第1給電点40と第2給電点41とのうち、基板11の設置方向に起因する位相差を打ち消すような位相差を第1導電線35上に生成する方に給電ケーブルを接続することによって、給電ケーブルに導波したときにアンテナ構成体間の位相差は0またはこれに近くなる。したがって、このような構成は、フェイズドアレイアンテナ装置10に接続されるテレビジョン受像器などに対して、基板11を回転させて、電波到達面に対して正対している、又は、電波到達面に正対しているのに近い状態を実質的に作り出していると言える。なお、現実に基板11が電波到達面に対して正対している、又は、電波到達面に正対しているのに近い状態にあるときには、第3給電点42に給電ケーブルを接続すればよい。
【0032】
以上の知見を得た本件発明者は、前述の計算結果を実際に確認するために以下の実験を行った。すなわち、アンテナT1とアンテナT2との間隔dをλ/4で固定し、第1基点と第2基点との間隔λ/nにおけるnを4から28まで1ずつ増加させて25段階の範囲で調整し、テレビジョン受像器における画質を主観的に評価した。その結果、λ/24からλ/28の範囲では、視認できる程度の画質の差を生じないことが分かった。これは、図6に示したように、第1基点と第2基点との間隔がλ/24以下では、電波到来角度θがプラス・マイナス10度以下となり、基板の表面又は裏面に正対する方向と電波到達方向とにあまり差がないことによると推測される。したがって、第1基点と第2基点との間隔は、λ/24からλ/4の範囲が好ましいと言える。くわえて、λ/5.625又はその近傍であれば、さらに効果を発揮する。これらは、λ/5.625又はその近傍であれば、電波到来角度θが実質的にプラス・マイナス45度となり、電波到来角度の全範囲、つまり180度を3つの給電点で45度ずつ等分しているのに等しくなることによるもので、実用上さらに好ましいと言える。なお、アンテナT1とアンテナT2との間隔dをλ/4に設定し、給電点を5箇所または7箇所など、さらに多くの給電点を設ければ、基板11に対する電波到来角度θをより0に近づけることができるが、給電点を3カ所設けるだけでも実用上全く問題ないアンテナ装置となる。また、第1給電点40と第2給電点41とをλ/2で配置しても、電波の受信については理論的に同様の作用効果が得られるが、基板10の大きさが縦横両方向にλ/4以上大きくなるので、本発明の課題に鑑みると好ましい構成ではない。
【0033】
さらに、図3は、第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置の背面図である。図3において、43はグランドプレーン、44は第1グランド接続線、45は第2グランド接続線、46は第3グランド接続線であり、その他の符号は図1と同じものを示す。フェイズドアレイアンテナ装置10は、グランドプレーンを設けたアンテナ装置であり、図3に示すように、基板11の裏面13の中央にグランドプレーン43を設けている。グランドプレーン43は、表面12の第1基点20、第2基点24、第3基点28及び第4基点32を頂点とする仮想的4角形に対応する裏面13側の部位に、この仮想的4角形と同じ形状で、かつ、同じ大きさに形成されている。この大きさ及び形状は、裏面13側から到来する電波を反射して受信を妨げないように、第1アンテナ構成体19、第2アンテナ構成体23、第3アンテナ構成体27及び第4アンテナ構成体31の各エレメント33に影響のない範囲で、グランドプレーン43の面積をできる限り確保することを考慮した結果によるものである。また、第1グランド接続線44、第2グランド接続線45及び第3グランド接続線46は、グランドプレーン43に接続されると共に、基板11を貫通して、第1給電点40、第2給電点41及び第3給電点42にそれぞれ接続されている。
【0034】
次に、フェイズドアレイアンテナ装置のケースについて説明する。図4は、フェイズドアレイアンテナ装置のケースを示し、(A)は正面図、(B)は左側面図である。図4において、47はケース、48、49、50及び51は固定具、52、53及び54は同軸ケーブル、55は第1コネクタ、56は第2コネクタ、57は第3コネクタであり、その他の符号は図1と同じものを示す。ケース47は、基板11を収納するのに適した内部空間を持っており、四隅の近傍に設けた固定具48、49、50及び51によって建築構造物に設置する。また、ケース47の外部から第1給電点40、第2給電点41及び第3給電点42に対する電気的接続を確保するために、ケース47の側面側に第1コネクタ55、第2コネクタ56及び第3コネクタ57を設け、同軸ケーブル52、53及び54によってこれらのコネクタと3つの給電点を接続している。
【0035】
さらに、ケースの設置例について説明する。図7は、第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置の設置状態を示す斜視図である。図7において、58、59、60及び61はボルト、65は建築構造物、66はパラペット、67は笠木であり、その他の符号は図4と同じものを示す。図7の例では、ケース47は、建築構造物65のパラペット66の外周側で笠木67の近く、すなわち建築構造物65の壁面の中で最も高い部分の近くに、固定具48、49、50及び51をボルト58、59、60及び61で固定することによって設置されている。なお、受信する電波が到来する方向よっては、パラペット66の内周側に設置してもよい。また、パラペットがない一般的な住宅などでは、受信する電波が到来する側の壁面に固定すればよい。さらに、車庫の壁面などに設置することもでき、さらに壁面以外の構造物、例えば搭屋の構造材や、給水タンクの支持脚、看板の枠などに設置してもよい。なお、前述のように、3つの給電点のいずれかに給電ケーブルを接続することによって基板11の方向を調整するのと同じ効果が得られるので、設置する壁面等の方向は問わない。
【0036】
つぎに、ケースの変形例について説明する。図8は、ケースの変形例を示す図であり、(A)は背面図、(B)は左側面図である。図8において、62は第1コネクタ、63は第2コネクタ、64は第3コネクタであり、その他の符号は図7と同じものを示す。ケースに取り付けるコネクタは、ケースの上下左右の端面あるいは正面、平面のいずれの位置にも設けることができる。図8に示したケース47はその例であり、第1コネクタ62、第2コネクタ63及び第3コネクタ64を基板11の裏面13側、つまりケースの背面側に設けている。したがって、図8に示したケース47を壁面等に設置した場合には、第1コネクタ62、第2コネクタ63及び第3コネクタ64は、ケース47と建築構造物との間に位置することになる。このように構成すれば、図7に示したケース47のように、例えば強風に乗って飛来した物や、強風で変形した屋上の構造物などがコネクタに衝突することによってコネクタが破壊されることがほとんどない。また、図7に示したケース47では、強風時に強い雨が水平又は水平に近い方向から当たることによってコネクタ内に雨水が浸入しやすくなるが、図8に示したケース47ではこのようなことを低減することが可能となる。
【0037】
なお、フェイズドアレイアンテナ装置10は、屋内に設置することも可能である。その場合は、ケース47のような強固な構造の筐体を設けず、軽量で簡便なケースに収納して、又はケースを設けずに吊り下げ可能な係止具を取り付けていわゆるつっぱり棒に吊り下げることもできる。あるいは、基板11の複数箇所に開口部を設けて間仕切壁にピンで貼り付ける、基板11の上端面14及び下端面15をブラケットで支持するなどの手段で設置することも可能である。または、基板11をフレキシブルな材料で形成し、間仕切壁や窓ガラスに粘着テープで貼り付けてもよい。さらには、大型の額縁や壁掛けテレビ、各種家具の背面側に取り付けてもよい。結局のところ、フェイズドアレイアンテナ装置10は、薄型のもので、かつ、設置時に方向を調整することが不要な構成となっているので、受信対象となる電波をある程度の強度で受信可能な場所であれば屋内外の様々なところに設置することが可能である。
【0038】
さらに、本発明の第2の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置について説明する。図9は、第2の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置を示し、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図、(D)は背面図である。図9において、16は基板、17は表面、18は裏面、68はグランドプレーンであり、その他の符号は図1及び図3と同じものを示す。なお、以下の説明において、第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置と同一の構成となる部分については説明を省略する。
【0039】
この実施の形態のフェイズドアレイアンテナ装置10は、第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置10から第3アンテナ構成体27、第4アンテナ構成体31、第4導電線38及び第5導電線39を除外し、基板16をこれに応じた横長長方形板状のものとしている。この実施の形態のフェイズドアレイアンテナ装置10は、アンテナ構成体が2つであるので、アンテナ装置としての利得は第1の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置10よりも低くなるが、設置に必要な面積が大幅に小さくなるので、屋内に設置する場合に特に好適と言える。さらに、大型の額縁や壁掛けテレビ、小型の家具などの背面側に完全に隠して取り付けることが可能となる利点もある。
【0040】
なお、図9では、フェイズドアレイアンテナ装置10を第1アンテナ構成体19と第2アンテナ構成体23で構成しているが、基板16を縦長長方形板状のものとし、第1アンテナ構成体19と第3アンテナ構成体27で構成するものとしてもよい。さらに、第1導電線35を基板16の縁辺に配置し、フラットケーブルコネクタのような構造のコネクタに基板16を差し込むことによって、第1給電点40、第2給電点41と第3給電点42とのいずれかと給電ケーブルとの接続を確保できるようにしてよい。
【0041】
以上のように、第1及び第2の実施の形態に係るフェイズドアレイアンテナ装置10は、第1導電線35上に、第1給電点40及び第2給電点41と、これらの中間点に第3給電点42を設けたので、第3給電点42に対しては第1アンテナ構成体19と第2アンテナ構成体23とは電気的に等距離になり(第1の実施の形態ではさらに第3アンテナ構成体27と第4アンテナ構成体31も電気的に等距離になり)、第1給電点40と第2給電点41とに対しては第1アンテナ構成体19と第2アンテナ構成体23とに波長の24分の1以上、4分の1分以下の位相差ができる。したがって、第1給電点40と第2給電点41とのいずれかに給電ケーブルを接続したときには、第1アンテナ構成体19と第2アンテナ構成体23とのいずれかが受信する電波に対して波長の24分の1以上で4分の1分以下に相当する分近い又は遠い配置となる。これは、受信する電波の到来方向に対してプラス・マイナス10度以上、90度以下の範囲でフェイズドアレイアンテナ装置10を回転させることに等しい。したがって、3つの給電点に対して給電ケーブルを選択的に接続することによってフェイズドアレイアンテナ装置10の設置時にその向きを調整する必要がなくなる。
【0042】
以上、本発明の2つの実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、各構成品の材料は、それぞれの構成品の作用効果の発揮に好ましくない影響がなければ、記載した材料以外のものに変更可能である。また、ケースの形状や構造などは、基板11を内部に収納して保持し、3つの給電点に対して給電ケーブルを接続可能な範囲において適宜変更することが可能である。さらに、フェイズドアレイアンテナ装置を屋内に設置する場合にはケースに変えて基板を保持する枠を設けることもできる。また、説明した変形例や、2つの実施の形態の説明において記載した各種の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 フェイズドアレイアンテナ装置
11 基板
12 表面
13 裏面
14 上端面
15 下端面
16 基板
17 表面
18 裏面
19 第1アンテナ構成体
20 第1基点
21 第1水平エレメント
22 第1垂直エレメント
23 第2アンテナ構成体
24 第2基点
25 第2水平エレメント
26 第2垂直エレメント
27 第3アンテナ構成体
28 第3基点
29 第3水平エレメント
30 第3垂直エレメント
31 第4アンテナ構成体
32 第4基点
33 第4水平エレメント
34 第4垂直エレメント
35 第1導電線
36 第2導電線
37 第3導電線
38 第4導電線
39 第5導電線
40 第1給電点
41 第2給電点
42 第3給電点
43 グランドプレーン
44 第1グランド接続線
45 第2グランド接続線
46 第3グランド接続線
47 ケース
48 固定具
49 固定具
50 固定具
51 固定具
52 同軸ケーブル
53 同軸ケーブル
54 同軸ケーブル
55 第1コネクタ
56 第2コネクタ
57 第3コネクタ
58 ボルト
59 ボルト
60 ボルト
61 ボルト
62 第1コネクタ
63 第2コネクタ
64 第3コネクタ
65 建築構造物
66 パラペット
67 笠木
68 グランドプレーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向及び垂直方向に対してそれぞれ所定長さに形成された基板と、
前記基板の第1の面上に設けられると共に、第1の基点から水平方向と垂直方向とに向かってそれぞれ延在し、かつ、受信周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さにそれぞれ形成された第1の水平エレメントと第1の垂直エレメントを備えた第1のアンテナ構成体と、
前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第1の基点から水平方向に前記受信周波数帯の中心周波数における波長の4分の1相当の距離離隔した第2の基点から水平方向に、かつ、前記第1の水平エレメントと背向するように延在し、かつ、前記受信周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第2の水平エレメントと、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第2の基点から垂直方向に、かつ、前記第2の垂直エレメントと同一方向に延在し、かつ、前記受信周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第2の垂直エレメントを備えた第2のアンテナ構成体と、
前記第1の基点及び前記第2の基点の近傍に配置された第1の導電線と、
前記第1のアンテナ構成体の前記第1の基点の部分と前記第1の導電線の第1の端部とを接続するように設けられた第2の導電線と、
前記第2のアンテナ構成体の前記第2の基点の部分と前記第1の導電線の第2の端部とを接続するように設けられると共に、前記第2の導電線と同じ長さに形成された第3の導電線と、
前記第1の導電線上にそれぞれ形成されると共に、前記第1の導電線に沿った互いの距離が前記受信周波数帯の中心周波数における波長の24分の1以上、4分の1の長さ以下になるようにそれぞれ配置された第1の給電点及び第2の給電点と、
前記第1の導電線上に形成されると共に、前記第1の導電線に沿った距離において前記第1の給電点と前記第2の給電点との中間点に形成された第3の給電点を有することを特徴とするフェイズドアレイアンテナ装置。
【請求項2】
前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第1の基点から垂直下方に前記使用周波数帯の中心周波数における波長の4分の1相当の距離離隔した第3の基点から水平方向に、かつ、前記第1の水平エレメントと同一方向に延在し、かつ、前記使用周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第3の水平エレメントと、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第3の基点から垂直方向に、かつ、前記第1の垂直エレメントと背向するように延在し、かつ、前記使用周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第3の垂直エレメントを備えた第3のアンテナ構成体と、
前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第2の基点から垂直下方に前記使用周波数帯の中心周波数における波長の4分の1相当の距離離隔した第4の基点から水平方向に、かつ、前記第2の水平エレメントと同一方向に延在し、かつ、前記使用周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第4の水平エレメントと、前記基板の第1の面上に形成されると共に、前記第3の基点から垂直方向に、かつ、前記第2の垂直エレメントと背向するように延在し、かつ、前記使用周波数帯の中心周波数における波長の約4分の1の長さに形成された第4の垂直エレメントを備えた第4のアンテナ構成体と、
前記第3のアンテナ構成体の前記第3の基点の部分と前記第1の導電線の第1の端部とを接続するように設けられた第4の導電線と、
前記第4のアンテナ構成体の前記第4の基点の部分と前記第1の導電線の第2の端部とを接続するように設けられると共に、前記第4の導電線と同じ長さに形成された第5の導電線をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のフェイズドアレイアンテナ装置。
【請求項3】
前記基板の第2の面上に形成されると共に、前記第1の基点、前記第2の基点、前記第3の基点及び前記第4の基点を頂点とする仮想的4角形に対応する部位に、該仮想的4角形と同じ形状で、かつ、同じ大きさに形成されたグランドプレーンをさらに有することを特徴とする請求項2に記載のフェイズドアレイアンテナ装置。
【請求項4】
前記基板を収納したケースと、
前記ケースにそれぞれ設けられると共に、前記第1の給電点、前記第2の給電点及び前記第3の給電点にそれぞれ接続された第1の給電コネクタ、第2のコネクタ及び第3のコネクタと、
前記設けられると共に、建築構造物に固定可能な固定具をさらに有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のフェイズドアレイアンテナ装置。
【請求項5】
前記固定具は、前記ケースと前記建築構造物との間に介在し、
前記第1の給電コネクタ、前記第2のコネクタ及び前記第3のコネクタは、前記ケースの前記建築構造物と対向する側の面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のフェイズドアレイアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1の導電線、第2の導電線、前記第3の導電線、前記第4の導電線及び前記第5の導電線のうち、少なくとも1つの導電線を電波シールド材で覆っていることを特長とする請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のフェイズドアレイアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−19262(P2012−19262A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153683(P2010−153683)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【特許番号】特許第4629159号(P4629159)
【特許公報発行日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(310015341)
【Fターム(参考)】