説明

フェニルテトラゾール誘導体を含む骨粗鬆症または肥満の予防または治療用医薬組成物

【課題】本発明は、TAZタンパク質を調節することによって骨粗鬆症、肥満、糖尿病または高脂血症を予防または治療するのに有用な医薬組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、フェニルテトラゾール誘導体またはその薬剤学的に許容される塩を有効成分として含む医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニルテトラゾール誘導体またはその薬剤学的に許容される塩を有効成分として含む、骨粗鬆症、肥満、糖尿病または高脂血症の予防または治療用医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人口高齢化に伴って老人性疾患が増加し、老齢人口が多い先進国では人口高齢化が一段と深刻な状況となっている。特に、骨粗鬆症は代表的な老人性疾患であって、殆どの老人が経験する疾患である。骨粗鬆症(osteoporosis)は、骨の量が減少し、骨の強度が弱くなって骨折が起こる可能性が高い状態を言う。これは骨吸収と骨形成のバランスが崩れて、骨形成より骨吸収が過多になることに起因する。骨組職の量の減少と伴って骨の密度が低くなるとともに骨髓腔が広がり、この症状が進行するにつれて骨が弱くなって、小さな衝撃でも骨折しやすい状態になる。骨組職は造骨細胞により形成され、破骨細胞により破壊吸収を繰り返し続ける動的な組職である。
【0003】
骨粗鬆症に関連して過去には主に骨の無機質、つまり、カルシウムとリンとの代謝異常を中心に研究を行ったが、その発症機構糾明には大きな進展がなかった。現在、骨粗鬆症治療剤として用いられている物質はビスフォスフォネート製剤(アレンドロネート、エチドロネート)、ホルモン製剤(ラロキシフェン)、ビタミンD製剤、カルシトニン製剤、カルシウム製剤などがある。しかし、ビスフォスフォネート製剤は胃腸での吸収率が低く、服用方法が複雑で食道炎を誘発する問題点があり、ホルモン製剤は一生服用しなければならず、長期投与する場合は、乳癌、子宮癌、胆石症及び血栓症などの副作用を引き起こす問題点がある。また、ビタミンD製剤は高価で、効果が確かではないという短所があり、カルシトニン製剤は高価で、投与方法が難しいという短所があり、カルシウム製剤は副作用は少ないが、治療でなく、予防効果に限られるという短所がある。これに加え、骨粗鬆症は薬物の短期投与のみでは治療することができず、薬物の長期投与が必須的である。したがって、長期投与時に前記のような副作用がなく、優れた薬効をもつ新しい物質の開発が求められている。
【0004】
骨髄由来の成体幹細胞、特に間葉幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)は、骨を含む軟骨、筋肉、脂肪細胞などの多様な形態の細胞及び組職に分化する。成体幹細胞の分化活性は、疾病及び老化によって格段に減少する傾向を見せ、減少した分化活性は骨、軟骨及び筋肉組職の再生活性の減少を誘発すると共に、免疫機能を弱化させ、感染による様々な疾病を発生させる環境を造成する。したがって、成体幹細胞の分化活性を持続的に活性化させる方法は、関連代謝性疾患、骨疾患、及び老化による疾患全般に有用な治療法になり得る。
【0005】
成体幹細胞から特異的細胞形態への分化は、重要な転写因子により決定されるもので、外部信号伝逹に反応してこの遺伝因子の発現が調節され、細胞特異性がある遺伝因子発現を調節する。特に、脂肪細胞への分化はPPARγ(peroxisome proliferator−activated receptorγ)転写因子によって決定的な調節を受けると知られている。前記転写因子は、異なるリガンド結合によって脂肪細胞への分化を促進または抑制するが、前記転写因子の活性が増加すると脂肪細胞への分化が促進されて肥満度が増加すると知られている(MacDougald et al.,Annu.Rev.Biochem.,1995;64:345−73;Adams et al.,J.Clin.Invest.,1997;100:3149−53;Faja
s et al.,Curr.Opin.Cell Biol.,1998;10:165−73)。
【0006】
最近、PPARγ転写因子の活性を調節する転写補助調節因子であるTAZ(transcriptional coactivator with PDZ−binding
motif)タンパク質が報告されている(Kanai et al.,Embo.J.,2000;19:6778−91)。前記TAZタンパク質は14−3−3細胞内タンパク質と結合するパートナータンパク質でクローニングされ、89番目のセリンがリン酸化されることによって14−3−3タンパク質と結合して細胞質内に存在することが知られている(Kanai et al.,Embo.J.,2000;19:6778−91;Park et al.,J.Biol.Chem.,2004;279:17384−90)。TAZタンパク質は、WWドメイン、コイルドコイル(coiled−coil)ドメイン、PDZ−結合モチーフを含んでいるため、他のタンパク質との多様な結合可能性を示唆する。特に、WWドメインはPPXYというペプチド配列と強い結合活性を見せることにより、PPXYモチーフを含む数種のタンパク質との結合可能性を示唆する。2003年には、造骨細胞の分化を促進する決定的調節因子であるRUNX2(runt−related transcription factor 2)タンパク質とTAZタンパク質内WWドメインとの結合が糾明され、その結合を通じてRUNX2の標的遺伝子発現調節活性が増幅されてオステオカルシン(osteocalcin)など骨組職特異的遺伝子発現を増加させて骨組職の分化生成をさらに促進すると報告されている(Hong et al.,Science 2005;309:1074−8)。また、TAZタンパク質のWWドメインに結合するタンパク質としてポリオーマウイルス(polyomavirus)T抗原が知られているが、その正確な細胞内における機能は知られていない。その上、PPXYモチーフを有する転写のいずれか1つであるPPARγが新しいTAZ結合タンパク質として確認され、この結合はPPARγによる脂肪細胞分化活性を阻害すると報告されている(Hong et al.,Science 2005;309:1074−8)。TAZタンパク質の脂肪細胞分化を阻害するメカニズムの骨子は、TAZタンパク質がPPARγタンパク質と結合してPPARγのDNA結合活性を抑制すると共に、遺伝子の転写促進活性を阻害することによって、脂肪細胞特異性を有するPPARγ標的遺伝因子の発現を抑制することにあると報告されている。TAZタンパク質のRUNX2及びPPARγとの結合は、間葉幹細胞の分化調節に非常に重要な意味を持つ。すなわち、幹細胞の分化を決定するにおいて、RUNX2及びPPARγタンパク質とTAZタンパク質とが結合することによって、RUNXによる造骨細胞分化は促進する一方、同時にPPARγによる脂肪細胞の分化が抑制されることが観察された(Hong et al.,Science, 2005;309:1074−8;Deng et al.,Front Biosci.,2008;13:2001−21;Hong et al.,Cell Cycle 2006;5:176−9)。すなわち、TAZタンパク質の発現程度に従って間葉幹細胞がどのように分化されるかが決定されるという重要な結論に至った。
【0007】
その他にも、TAZ結合タンパク質としてTBX5(T−box transcription factor 5)が知られており、これらの結合が心臓及び足の生成に重要に作用すると理解されている(Murakami et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,2005;102:18034−9)とともに、胚芽発生期に決定的な役割をするPAX3タンパク質と結合してその機能を調節すると提示されている(Murakami et al.,Biochemical & Biophysical Research Communications,2006;339:533−9)。それだけでなく、TAZタンパク質は、PDZ結合モチーフを通じて多様なPDZドメインを含むタンパク質と結合して多様な活性を示す。TTF−1(thyroid transcription factor−1)は、肺組職の分化形成に非常に重要な役割をする遺伝因子であり、肺サーファクタントタンパク質−C(surfactant protein−C)という遺伝子発現を調節する。TAZタンパク質は、TTF−1との結合を通じて肺サーファクタントタンパク質−Cの発現を促進する転写補助促進因子であると報告されている(Park et al.,J.Biol.Chem.,2004;279:17384−90)とともに、TEF−1(transcriptional enhancer factor−1)タンパク質との結合を通じて筋肉組職におけるTEF−1調節遺伝子の発現を調節すると提案されている(Mahoney et al.,Biochem.J.,2005;388:217−25)。
【0008】
TAZタンパク質の幹細胞分化調節機能とは別に、MCF7乳癌細胞の移動、浸潤、及び腫瘍発生においてのTAZの機能が知られており(Chan et al.,Cancer Res.,2008;68:2592−8)、TAZタンパク質の欠損時には、腎細胞に多数の嚢胞を形成する多発性嚢胞腎の発病が動物モデルで観察されるとの報告が発表され、TAZタンパク質の多様な機能に対する接近が多方面で試みられている(Makita et al.,Am.J.Physiol.Renal.Physiol.,2008;294:F542−53;Tian et al.,Molecular & Cellular Biology,2007;27:6383−95)。一方、FGF−2が造骨細胞の分化時にTAZタンパク質を減少させる信号の一つとして報告されたが(Deng ZL et al.,Front Biosci.,2008;13:2001−21;Eda et al.,Biochemical & Biophysical Research Communications,2008;366:471−5)、TAZタンパク質の機能の重要度に比べTAZタンパク質の調節メカニズム研究が多くは行われておらず、深度ある研究が要求されている。
【0009】
細胞核内でDNA結合活性を有する転写因子を調節する転写因子補助調節因子として作用するTAZタンパク質の場合、細胞質から核への移動が前提条件となる。現在までTAZタンパク質は、セリン脱リン酸化により核へ移動が可能であると知られており、TAZタンパク質と14−3−3との結合の阻害もTAZタンパク質の核への移動を増加させる方法として提示されている。よって、細胞内でTAZタンパク質の核への移動を促進する化合物は、TAZタンパク質による脂肪細胞分化抑制効果及び造骨細胞分化促進効果を有するものと判断することができる。
【0010】
そこで、本発明者らは骨粗鬆症、肥満、糖尿病、または高脂血症の予防お呼び治療に効果的な化合物を見出すための研究を続けるなかで、フェニルテトラゾール誘導体化合物がTAZタンパク質の調節を通じて骨粗鬆症の治療及び予防と脂肪細胞分化の抑制による肥満治療に優れた効果があることを確認し、本発明の完成に至った。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】MacDougald et al.,Annu.Rev.Biochem.,1995;64:345−73
【非特許文献2】Adams et al.,J.Clin.Invest.,1997;100:3149−53
【非特許文献3】Fajas et al.,Curr.Opin.Cell Biol.,1998;10:165−73
【非特許文献4】Kanai et al.,Embo.J.,2000;19:6778−91
【非特許文献5】Park et al.,J.Biol.Chem.,2004;279:17384−90
【非特許文献6】Hong et al.,Science 2005;309:1074−8
【非特許文献7】Deng et al.,Front Biosci.,2008;13:2001−21
【非特許文献8】Hong et al.,Cell Cycle 2006;5:176−9
【非特許文献9】Murakami et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,2005;102:18034−9
【非特許文献10】Murakami et al.,Biochemical & Biophysical Research Communications,2006;339:533−9
【非特許文献11】Mahoney et al.,Biochem.J.,2005;388:217−25
【非特許文献12】Chan et al.,Cancer Res.,2008;68:2592−8
【非特許文献13】Makita et al.,Am.J.Physiol.Renal.Physiol.,2008;294:F542−53
【非特許文献14】Tian et al.,Molecular & Cellular Biology,2007;27:6383−95
【非特許文献15】Deng ZL et al.,Front Biosci.,2008;13:2001−21
【非特許文献16】Eda et al.,Biochemical & Biophysical Research Communications,2008;366:471−5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、フェニルテトラゾール誘導体またはその薬剤学的に許容される塩を有効成分として含む、骨粗鬆症の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明の他の目的は、前記化合物またはその薬剤学的に許容される塩を有効成分として含む、肥満、糖尿病または高脂血症の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は式1の化合物またはその薬剤学的に許容される塩を有効成分として含む、骨粗鬆症、肥満、糖尿病または高脂血症の予防または治療用医薬組成物を提供する。
【0015】
【化1】

★前記式中、Aはエチルまたはn−ブチルであり;Rは、メチル、−CHOH、−COMe、−CHF、−CH(OCH、−CHOC(=O)CH、−CHOCHSCH、またはスチリルであり;Rは、H、Br、−COCH、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、式2で示される官能基、−CH(OH)Ph、またはスチリルであり;RはHまたはメチルであり;XはCHまたはNであり;PはHまたは−CH(CH)OCHCHである。
【0016】
【化2】

【発明の効果】
【0017】
本発明の式1のフェニルテトラゾール誘導体またはその薬剤学的に許容される塩はTAZタンパク質を調節するため、これを含む本発明の医薬組成物は骨粗鬆症、肥満、糖尿病、または高脂血症の予防または治療に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による医薬組成物をさらに詳しく説明する。
【0019】
前記式1の化合物は、下記式からなる群より選択されることが好ましい:
{2−エチル−7−メチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル}メタノール(式3):
【化3】

【0020】
2−ブチル−5−メチル−6−ピリジン−3−イル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式4):
【化4】

【0021】
メチル2−ブチル6−ピリジン−2−イル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−カルボキシレート(式5):
【化5】

【0022】
{2−ブチル−7−メチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル}メタノール(式6):
【化6】

【0023】
2−ブチル−5−フルオロメチル−6−(1−オキシピリジン−2−イル)−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式7):
【化7】

【0024】
(2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル)フェニルメタノール(式8):
【化8】

【0025】
{2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル}フェニルメタノール(式9):
【化9】

【0026】
酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル(式10):
【化10】

【0027】
酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル(式11):
【化11】

【0028】
2−ブチル−7−メチル−5−[(メチルスルファニルメトキシ)メチル]−6−フェニル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式12):
【化12】

【0029】
メチル2−ブチル6−スチリル1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシレート(式13):
【化13】

【0030】
及び、メチル2−ブチル−5−スチリル1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート(式14):
【化14】

【0031】
本発明の前記式3〜14の化合物は次の通りである。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
前記式3〜6の化合物は、表1〜3に示された公知の方法(論文または特許)に基づいて製造して用いることができる。以下に式7〜14で表される化合物の製造方法を詳細に説明する。
【0036】
化7の化合物は反応式1により製造することができる:
【化15】

【0037】
<段階1>
式1−1の化合物を適切な溶媒中で式1−2の化合物と塩基条件下で反応させて式1−3の化合物を得る。この際、好ましい塩基としては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、またはトリエチルアミンであり、好ましい溶媒としてはジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリルまたはテトラヒドロフラン(THF)であり、反応条件は室温で3時間程度反応させることが好ましい。
【0038】
<段階2>
前記段階1で得られた式1−3化合物をジクロロメタンに溶解させた後、DAST(ジエチルアミノサルファートリフルオリド)(例えば、1.2当量)を−78℃でゆっくり加え、徐々に0℃に上げて10分間反応させて式1−4の化合物を得る。
【0039】
<段階3>
前記段階2で得られた式1−4の化合物をトルエンに溶解し、2−トリブチルスズピリジン(例えば、1〜3当量)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(例えば0.03当量)を加えた後、反応温度を120℃で、15時間反応させて式1−5の化合物を得る。
【0040】
<段階4>
前記段階3で得られた式1−5の化合物を適切な溶媒に溶解した後、適切な酸化剤(例えば、1.3〜5当量)を添加し、室温で1時間〜10時間反応させて式1−6の化合物を得る。前記酸化剤としてはメタクロロ過安息香酸(MCPBA)、オキソン、ヒドロペルオキシド、または過酢酸が好ましく、溶媒としてはジクロロメタン、アセトン、メタノール、酢酸、または水が好ましいが、MCPBA(1.5当量)とジクロロメタン溶媒とを用いて室温で5時間程度反応させることが特に好ましい。
【0041】
<段階5>
前記段階3で得られた式1−6の化合物をメタノール、エタノール、またはテトラヒド
ロフランに溶解した後、酸(例えば、1〜5当量)を添加し、室温で10分〜3時間反応させてテトラゾールの保護基が除去された式7の化合物を得る。前記の酸は、好ましくは無水塩酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、MeSOH、または酢酸である。
【0042】
前記反応式1で用いられる式1−1及び1−2の化合物は、WO95/21838号、WO95/34564号、韓国公開特許公報第96−00884号及び第95−25039号の公知の方法を用いて製造することができる。
【0043】
式8及び9の化合物は、反応式2により製造することができる:
【化16】

【0044】
<段階1>
式2−1の化合物を出発物質として用いることを除いて、反応式1の段階1と同様の方法で式2−2の化合物を得る。
【0045】
<段階2>
前記段階1で得られた化学式2−2の化合物をN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した後、1−フェニルビニルボロン酸(例えば、1〜1.5当量)を加えてPd(PPh(例えば、5mol%)、3M−NaCO(例えば、2当量)またはPd(OAc)(例えば、3mol%)、PPh(例えば、10mol%)、及びトリエチルアミン(例えば、2当量)を加え、110℃で5時間反応させて式2−3の化合物を得る。
【0046】
<段階3>
前記段階2で得られた式2−3の化合物を1,4−ジオキサン/水(3:1)に溶解し、それにOsO(例えば、3〜10mol%)及びNaIO(例えば、2〜3当量)を加えた後に、室温で3時間反応させるか、またはジクロロメタンに溶解して−78℃でオゾンガスを添加しながら2時間反応させて、式2−4のアルデヒド化合物を得る。
【0047】
<段階4>
前記段階3で得られた式2−4の化合物をテトラヒドロフランまたはジエチルエーテル
に溶解した後、PhMgBrまたはPhMgCl(例えば、1〜2当量)を添加し、−78℃〜0℃で1時間反応させて式8の目的化合物を得る。
【0048】
<段階5>
前記段階4の式8の化合物を出発物質として用いることを除いて、反応式1の段階5と同様の方法で式9の化合物を得る。
【0049】
前記反応式2で用いられる式2−1の化合物は、公知の方法(WO95/21838号、韓国公開特許公報95−25039号)を用いて製造することができる。
【0050】
式10及び11の化合物は反応式3のように製造することができる:
【化17】

【0051】
<段階1>
式3−1の化合物を出発物質として用いることを除いては、反応式1の段階1と同様の方法で式10の化合物を得る。
【0052】
<段階2>
前記式10の化合物を出発物質として用いることを除いては、反応式1の段階5と同様の方法で式11の化合物を得る。
【0053】
前記反応式3で用いられる化3−1の化合物は、公知の方法(WO95/21838号、US5691348、韓国公開特許公報第95−25039号)のように製造して用いることができる。
【0054】
式12の化合物は反応式4により製造することができる:
【化18】

【0055】
<段階1>
式4−1の化合物を出発物質として用いることを除いては、反応式1の段階1と同様の方法で式4−2の化合物を得る。
【0056】
<段階2>
前記反応式2の段階1で得られた式4−2の化合物を、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解した後、塩基として水素化ナトリウム(NaH;例えば、1.5当量)を添加し、ClCHSMe(例えば、1.1当量)、及びヨウ化ナトリウム(例えば、0.3〜1当量)を添加し、0℃〜室温で3時間反応させる。これによって、アルキル化された式4−3の化合物を得る。
【0057】
<段階3>
前記式4−3の化合物を出発物質として用いることを除いて、反応式1の段階5と同様の方法で式12の化合物を得る。
【0058】
前記反応式4で用いられる式4−1の化合物は、公知の方法(WO95/21838号、US5691348、韓国公開特許公報第95−25039号)に従って製造して用いることができる。
【0059】
式13及び14の化合物は反応式5に従って製造することができる:
【化19】

【0060】
前記反応式5の式5−2のR及びRは、BrまたはCOOMeであり(ただし、ここでRとRが同じ場合は除く)、前記式5−2のRがBrの場合、式5−3のRはスチリルであり、前記式5−2のRがCOOMeの場合、式5−3のRはスチリルである。
【0061】
<段階1>
式5−1の化合物を出発物質として用いることを除いては、反応式1の段階1と同様の方法で式5−2の化合物を得る。この時、異性体化合物も同一な割合で得られる。
【0062】
<段階2>
前記段階1の式5−2の化合物を出発物質として用いることを除いては、反応式2の段階2と同様の方法で鈴木・宮浦カップリングされた式5−3の化合物を得る。
【0063】
<段階3>
前記段階2の式5−3の化合物を出発物質として用いることを除いては、反応式1の段階5と同様の方法で式13及び14の目的化合物を得る。
【0064】
前記反応式5で用いられる式5−1の化合物は、公知の方法(WO95/21838号、US5691348、韓国公開特許公報第95−25039号)を用いて製造することができる。
【0065】
本発明の前記式1の化合物の薬剤学的に許容される塩としては、薬剤学的に許容される遊離酸(free acid)との酸付加塩が有用である。遊離酸としては有機酸と無機酸を用いることができ、無機酸としては塩酸、臭素酸、硫酸、亜黄酸、リン酸などを用いることができ、有機酸としてはクエン酸、硝酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、酢酸、グリコール酸、コハク酸、タルタル酸、4−トルエンスルホン酸
、ガラクツロン酸、エンボネート、グルタミン酸、クエン酸、アスパラギン酸などを用いることができ、好ましくは、メタンスルホン酸または塩酸を用いる。
【0066】
本発明による付加塩は、通常の方法、すなわち、式1の化合物を水混和性有機溶媒、例えばアセトン、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルなどに溶解し、当量または過量の有機酸を加えるか、無機酸の酸水溶液を加えた後に、沈殿または結晶化させて製造するか、または溶媒や過量の酸を蒸発させた後に乾燥するか析出された塩を吸引濾過させて製造することができる。
【0067】
本発明は前記式1の化合物及びその薬剤学的に許容される塩のみならず、同じように製造することができる溶媒和物、水化物、及び立体異性質体を全て発明の範疇内に含む。
【0068】
本発明の式1で表される化合物は、骨粗鬆症、肥満、糖尿病または高脂血症の予防または治療用途を有する。本発明の式3〜13で表される化合物は、転写因子補助調節因子であるTAZタンパク質の核への移動を促進し(実験例1)、核へ移動したTAZタンパク質はPPARγとの結合を通じてPPARγの活性を阻害することにより脂肪細胞への分化を抑制するだけでなく(実験例2)、ひいては転写因子であるRUNX2との結合を通じてRUNX2の活性を促進することによって造骨細胞の分化を促進する(実験例3)。また、細胞を対象に実験した結果、本発明の化合物は脂肪細胞への分化を抑制し、造骨細胞の分化を促進する(実験例4)。したがって、本発明の化合物は骨粗鬆症、肥満、糖尿病、または高脂血症の予防または治療に有用である。
【0069】
本発明によれば、前記式1の化合物またはその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物は、様々な経口または非経口投与形態で剤形化することができる。経口投与用剤形としては例えば、錠剤、丸薬、硬・軟質カプセル剤、液剤、懸濁液剤、乳化剤、シロップ剤、顆粒剤、エリキシル剤(elixirs)などがあるが、これら剤形は、有効成分の他に希釈剤(例:ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及び/またはグリシン)、潤滑剤(例:シリカ、タルク、ステアリン酸及びそのマグネシウムまたはカルシウム塩及び/またはポリエチレングリコール)を含むことができる。錠剤は、またケイ酸アルミニウムマグネシウム、でんぷん糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/またはポリビニルピロリジンのような結合剤を含むことができ、場合によってはでんぷん、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩のような崩壊剤または沸騰混合物及び/または吸収剤、着色剤、香味剤、及び甘味剤を含んでいてもよい。
【0070】
また、前記式1で表される化合物を有効成分とする医薬組成物は非経口投与することができ、非経口投与には、皮下注射、静脈注射、筋肉内注射または胸部内注射方法がある。この時、非経口投与用剤形に製剤化するために、前記式1の化合物またはその薬学的に許容される塩を安定剤または緩衝剤とともに水に混合して溶液または懸濁液に製造し、これをアンプルまたはバイアルの単位投与型で製造してもよい。
【0071】
前記組成物は滅菌され、及び/または防腐剤、安定剤、湿潤剤または乳化促進剤、浸透圧調節のための塩及び/または緩衝剤などの補助剤、及びその他の治療に有用な物質を含むことができ、通常の方法である混合、顆粒化またはコーティング方法により製剤化することができる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例及び実験例を挙げて本発明を詳細に説明する。但し、下記実施例及び実験例は本発明を例示するだけのものであり、本発明の内容が下記実施例及び実験例によって限定されるのではない。
【0073】
本発明では、赤外線分光法、核磁気共鳴分光法、質量分光法、液体クロマトグラフィー法、X−線構造結晶法、または代表的な化合物の元素分析計算値と実測値との比較により化合物の分子構造を確認した。
【0074】
実施例1:2−ブチル−5−フルオロメチル−6−(1−オキシピリジン−2−イル)−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式7)の製造
【0075】
<1−1>(2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−6−ブロモ−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル)メタノール(式1−3)の製造
(2−ブチル−6−ブロモ−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル)メタノール(0.70g、2.49mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド10mLに溶解した後、ここに炭酸カリウム(1.03g、7.5mmol)及び5−(4’−(ブロモメチル)ビフェニル−2−イル)−1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール(1.2g、3.0mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。前記反応液に水60mLを加えて希釈させ、酢酸エチルで抽出(60mL×2回)した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過した後、溶媒を減圧下で蒸発及び濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製して標題化合物(0.92g、収率63%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ0.94(t,3H),1.06(t,3H),1.43(m,2H),1.64(d,3H),1.82(m,2H),2.84(t,2H),3.23(m,1H),3.42(m,1H),4.18(t,1H,OH),4.71(d,2H),5.52(s,2H),5.87(q,1H),7.09−7.17(m,4H),7.32−7.53(m,3H),7.86(d,1H),7.89(s,1H);MS(m/e,M):590.
【0076】
<1−2>メタンスルホンサン2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−6−ブロモ−5−フッ素メチル−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式1−4)の製造
前記<1−1>で得られた式1−3の化合物(0.56g、0.95mmol)をジクロロメタン10mLに溶解した後、−78℃に冷却させてジエチルアミノサルファートリフルオリド(DAST)(0.14mL、1.05mmol)をゆっくり滴加した後、0℃に徐々に上げて10分程度さらに攪拌し、水を加えて反応を終結した。前記反応液に水50mLを加えて希釈し、酢酸エチルで抽出(50mL×2回)した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過した後、溶媒を減圧下で蒸発及び濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製して標題化合物(0.32g、収率57%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ0.90(t,3H),1.06(t,3H),1.39(m,2H),1.63(d,3H),1.76(m,2H),2.80(t,2H),3.20(m,1H),3.42(m,1H),5.46(s,2H),5.59 and 5.75(s,1H,CH2F),5.87(q,1H),7.05(d,2H),7.13(d,2H),7.37−7.53(m,3H),7.86(dd,1H),8.18(s,1H);MS(m/e,M):592.
【0077】
<1−3>2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−5−フルオロ−メチル−6−ピリジン−2−イル−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式1−5)の製造
前記<1−2>で得られた式1−4の化合物(200mg、0.34mmol)をトルエン10mLに溶解し、2−トリブチルスズピリジン(250mg、0.68mmol)及びPd(PPh(20mg、0.017mmol)を加えて120℃で16時間反応させた。前記反応液を減圧下で蒸発及び濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1.n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1、2.酢酸エチル)で精製してオイル状の標題化合物(160mg、収率80%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ0.92(t,3H),1.07(t,3H),1.41(m,2H),1.64(d,3H),1.81(m,2H),2.83(t,2H),3.20(m,1H),3.42(m,1H),5.54(dd,2H),5.58 and 5.74(s,1H,CH2F),5.87(q,1H),7.12(d,2H),7.15(d,2H),7.41−7.61(m,5H),7.84(m,2H),8.13(s,1H),8.72(d,1H);MS(m/e,M):590.
【0078】
<1−4>2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−5−フルオロメチル−6−(1−オキシ−ピリジン−2−イル)−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式1−5)の製造
前記<1−3>で得られた式1−5の化合物(240mg、0.40mmol)をジクロロメタン5mLに溶解し、メタクロロ過安息香酸(m−CPBA)(200mg、0.81mmol)を加えた後、室温で3時間攪拌した。反応溶液を減圧下で蒸発及び濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1.n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1、2.5%メタノール/ジクロロメタン)で精製して固体状の標題化合物(170mg、収率70%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)d0.92(t,3H),1.08(t,3H),1.42(m,2H),1.65(d,3H),1.80(m,2H),2.83(t,2H),3.20(m,1H),3.42(m,1H),5.52(s,2H),5.46 and 5.62(s,1H,CHF),5.87(q,1H),7.13−7.14(m,4H),7.37−7.53(m,6H),7.86(dd,1H),8.00(s,1H),8.45(d,1H);MS(m/e,M):606.
【0079】
<1−5>2−ブチル−5−フルオロメチル−6−(1−オキシ−ピリジン−2−イル)−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式7)の製造
前記<1−4>で得られた式1−6の化合物(120mg、0.19mmol)をメタノール3mLに溶解し、3N−HClの1mLを加えた後、室温で20分間攪拌した。反応液に1N−NaOHを加えてpH4程度に合わせ、水20mLに希釈させて酢酸エチルで抽出(20mL×2回)した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過した。その後、溶媒を減圧下で蒸発及び濃縮して得られた残留物をn−ヘキサン/酢酸エチルで精製して標題化合物(100mg、収率94%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ0.78(t,3H),1.29(m,
2H),1.60(br−s,2H),2.66(br−s,2H),5.10 and
5.45(d,2H),5.60(br−s,2H),6.73(d,2H),6.95(d,2H),7.15(d,1H),7.39−7.48(m,5H),7.48(d,1H),7.75(s,1H),8.38(d,1H);FAB−MS(m/e,M):535(M+1).
【0080】
実施例2:(2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル)フェニルメタノール(式8)の製造
【0081】
<2−1>6−ブロモ−2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式2−2)の製造
式1−1の化合物の代りに式2−1の化合物である6−ブロモ−2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(1.8g、5.48mmol)を用いることを除いて、実施例<1−1>と同様の方法で実験して標題化合物(1.91g、収率55%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ0.92(t,3H),1.06(t,3H),1.42(m,2H),1.63(d,3H),1.79(m,2H),2.79(t,2H),3.21(m,1H),3.42(m,1H),3.48(s,6H),5.47(s,2H),5.79(s,1H),5.86(q,1H),7.08(d,2H),7.12(d,2H),7.37(dd,1H),7.44−7.55(m,2H),7.85(dd,1H),8.16(s,1H);MS(m/e,M):634.
【0082】
<2−2>2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−6−スチリル−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式2−3)の製造
前記<2−1>で得られた式2−2の化合物(0.5g、0.79mmol)を10mLの1,2−ジメトキシエタンに溶解した後、ここにトランス−2−フェニルビニル−ボロン酸350mg(2.37mmol、3eq)、Pd(PPh 46mg(0.04mmol、0.05eq)及び3M−NaCO 0.79mL(2.37mmol、3eq)を添加して90℃で5時間還流攪拌した。前記反応を完了した混合物を酢酸エチルで希釈し、セライトで濾過してから溶媒を減圧蒸留して除去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して薄い黄色い泡沫固体形態の標題化合物(355mg、収率68%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.93(t,3H),1.08(t,3H),1.43(m,2H),1.66(d,3H),1.81(m,2H),2.80(t,2H),2.80(t,2H),3.23(m,1H),3.46(m,1H),3.48(s,6H),5.49(d,2H),5.55(s,1H),5.87(q,1H),7.00(d,1H,J=16.2Hz),7.11(m,3H),7.29(m,2H),7.39(m,3H),7.51(m,2H),7.55(m,2H),7.88(m,2H),8.29(s,1H);MS(m/e,M):657.
【0083】
<2−3>2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−カルバルデヒド(式2−4)の製造
前記<2−2>で得られた式2−3の化合物(355mg、0.54mmol)を6mLの1,4−ジオキサン及び2mLの水に溶解した後、触媒剤としてNaIO 346mg(1.62mmol、3eq)及びOsO (2−メチル−2−プロパノールに溶解した2.5重量%溶液)を少量添加してから室温で2時間攪拌した。その後、前記反応を完了した混合物を15mLの水に希釈し、酢酸エチルで抽出(15mL)しながら水と塩水とで洗滌した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過した後、溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製して黄色のオイル状の標題化合物(255mg、収率81%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.92(t,3H),1.07(t,3H),1.41(m,2H).1.65(d,3H),1.80(m,2H),2.81(t,2H),3.23(m,1H),3.45(m,1H),3.51(s,6H),5.51(s,1H),5.89(q,1H),7.08(d,2H,J=8.1Hz),7.14(d,2H,J=8.3Hz),7.40(dd1H,J=1.7,7.5Hz),7.51(m,2H),7.87(dd,1H,J=1.7,7.5Hz),8.61(s,1H),10.75(s,1H,−CHO);MS(m/e,M):583.
【0084】
<2−4>(2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル)フェニルメタノール(式8)の製造
前記<2−3>で得られた式2−4の化合物(255mg、0.44mmol)を6mLのテトラヒドロフランに溶解した後、−78℃でフェニルマグネシウムブロマイド溶液(ジエチルエーテルに溶解した3.0Mの溶液)0.44mL(1.31mmol、3eq)を添加した後、同一な温度で30分間攪拌した。その後、前記反応を完了した混合物を15mLの水に希釈し、酢酸エチルで抽出(15mL)しながら水と塩水で洗滌した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過した後、溶媒を減圧下で蒸発させて除去し残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)に精製して白泡沫形態の標題化合物(220mg、収率76%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.90(t,3H),1.07(t,3H),1.38(m,2H).1.65(d,3H),1.77(m,2H),2.74(t,2H),3.22(m,1H),3.43(m,1H),3.49(s,3H),3.59(s,3H),3.67(s,1H),5.47(s,2H),5.52(s,1H),5.88(q,1H),6.77(s,1H),7.11(m,4H),7.39(m,3H),7.50(m4H),7.70(s,1H),7.87(d,1H,J=7.2Hz);MS(m/e,M):661.
【0085】
実施例3:{2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル}フェニルメタノール(式9)の製造
【0086】
式1−6の化合物の代りに式8の化合物(100mg、0.15mmol)を用いることを除いて、実施例<1−5>と同様の方法で実験して標題化合物(80mg、収率90%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.85(t,3H),1.31(m
,2H),1.65(m,2H),2.63(t,2H),3.41(s,3H),3.50(s,3H),5.38(m,2H),5.54(s,1H),6.64(s,1H),6.97(m,4H),7.36(m,3H),7.41(d,2H,J=7.1Hz),7.53(m,2H),7.65(s,1H),7.93(d,1H,J=7.5Hz);MS(m/e,M):589.
【0087】
実施例4:酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル(式10)の製造
【0088】
式1−1の化合物の代りに式3−1の化合物である酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル(300mg、0.92mmol)を用いることを除いて、実施例<1−1>と同様の方法で実験して標題化合物(340mg、収率59%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.16(s,1H),7.88(dd,J=7.5,1.6Hz,1H),7.50(m,2H),7.41(dd,J=7.5,1.6Hz,1H),7.14(d,J=8.4Hz,2H),7.08(d,J=8.4Hz,2H),5.88(q,1H),5.42(m,4H),3.42(m,1H),3.20(m,1H),2.80(t,2H),2.14(s,3H),1.78(m2H),1.63(d,J=6.0Hz,3H),1.41(m,2H),1.05(t,3H),0.92(t,3H).
【0089】
実施例5:酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル(式11)の製造
【0090】
式1−6の化合物の代りに前記実施例4で得られた式10の化合物(150mg、0.23mmol)を用いることを除いて、実施例<1−5>と同様の方法で実験して標題化合物(126mg、収率95%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ7.98(d,J=7.3Hz,1H),7.58−7.67(m,3H),7.42(d,J=7.3Hz,1H),7.03(d,J=6.8Hz,2H),6.94(d,J=6.8Hz,2H),5.41(s,2H),5.36(s,2H),2.73(t,2H),2.10(s,3H),1.69(m,2H),1.35(m,2H),0.89(t,2H).
【0091】
実施例6:2−ブチル−7−メチル−5−[(メチルスルファニルメトキシ)メチル]−6−フェニル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式12)の製造
【0092】
<6−1>(2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−7−メチル−6−フェニル−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル)メタノール(式4−2)の製造
式1−1の化合物の代りに式4−1の化合物である(2−ブチル−7−メチル−6−フェニル−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル)メタノール(0.5g、1.69mmol)を用いることを除いて、実施例<1−1>と同様の方法で実験して標題化合物(0.58g、収率57%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.92(t,3H),1.08(t3H),1.40(m,2H),1.66(d,3H),1.78(m,2H),2.35(s,3H),2.75(t,2H),3.24(m,1H),3.42(m,1H),4.78(d,2H,J=5.3Hz),5.28(t,1H,−OH),5.48(s,2H),5.87(q,1H),7.15(m,4H),7.21(d,2H,J=7.8Hz),7.39−7.54(m,6H)7.88(dd,1H,J=1.0,7.3Hz);Mass:601.
【0093】
<6−2>2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−7−メチル−5−メチルスルファニルメトキシメチル−6−フェニル−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式4−3)の製造
前記実施例<6−1>で得られた式4−2の化合物(0.53g、0.88mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド5mLに溶解した後、0℃に冷却させ、ここに水素化ナトリウム(60%;53mg、1.32mmol)、クロロメチルメチルスルフィド(0.12mL、1.32mmol)及びNaI(0.13g、0.88mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。前記反応液を水50mLに希釈させ、酢酸エチルで抽出(50mL×2回)した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥及び濾過した。その後、溶媒を減圧下で蒸発及び濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製して標題化合物(0.49g、収率85%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.93(t,3H),1.10(t3H),1.38(m,2H),1.70(d,3H),1.76(m,2H),2.07(s,3H),2.35(s,3H),2.76(t,2H),3.23(m,1H),3.45(m,1H),4.50(s,2H),4.95(s,2H),5.45(s,2H),5.84(q,1H),7.10(m,4H),7.20(d,2H,),7.25−7.50(m,6H)7.90(m,1H);Mass:661.
【0094】
<6−3>2−ブチル−7−メチル−5−[(メチルスルファニルメトキシ)メチル]−6−フェニル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン(式12)の製造
式1−6の化合物の代りに前記実施例<6−2>で得られた式4−3の化合物(0.22g.0.33mmol)を用いることを除いて、実施例<1−5>と同様の方法で実験して標題化合物(0.18g、収率91%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.95(t,3H),1.43(m,2H),1.80(m,2H),2.07(s,3H),2.35(s,3H),2.85(t,2H),4.55(s,2H),4.85(s,2H),5.30(s,2H),7.00(m,4H),7.20(m,2H),7.32(m,2H)7.45(m,5H);Mass:589.
【0095】
実施例7:メチル2−ブチル−6−スチリル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシレート(式13)の製造
【0096】
<7−1>メチル6−ブロモ−2−ブチル−1−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシレート(式5−2a;R=Br,R=COOMe)及びメチル5−ブロモ−2−ブチル−1−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート(式5−2b;R=COOMe、R=Br)の製造
式1−1の化合物の代りに式5−1の化合物であるメチル6−ブロモ−2−ブチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシレート(2.5g、8.0mmol)を用いることを除いて、実施例<1−1>と同様の方法で実験してオイル状の標題化合物5−2a(1.87g、収率38%)及び5−2b(1.97g、収率40%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)V−2a:δ0.93(t,3H),1.05(t,3H),1.42(m,2H),1.65(d,3H),1.82(m,2H),2.83(t,2H),3.22(m,1H),3.43(m,1H),3.93(s,3H),5.34(s,2H),5.86(q,1H),6.93(d,1H,J=8.1Hz),7.16(d,1H,J=8.1Hz),7.46(d,1H,J=7.5Hz),7.46−7.57(m,2H),7.50(s,1H),7.89(d,1H,J=7.5Hz),8.24(s,1H);Mass:619.
H−NMR(300MHz,CDCl)V−2b:δ0.93(t,3H),1.04(t,3H),1.43(m,2H),1.64(d,3H),1.81(m,2H),2.82(t,2H),3.21(m,1H),3.42(m,1H),3.91(s,3H),5.34(s,2H),5.86(q,1H),6.93(d,1H,J=8.0Hz),7.14(d,1H,J=8.0Hz),7.40(d,1H,J=7.6Hz),7.46−7.56(m,2H),7.76(s,1H),7.88(d,1H,J=7.6Hz),8.02(s,1H);Mass:619.
【0097】
<7−2>メチル2−ブチル−1−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−6−スチリル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシレート(式5−3a;R=スチリル、R=COOMe)及びメチル2−ブチル−1−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−5−スチリル−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート(式5−3b;R=COOMe、R=スチリル)の製造
式2−2の化合物の代りに前記実施例<7−1>で得られた式5−2の化合物(1.0g、1.62mmol)を用いることを除いて、実施例<2−2>と同様の方法で実験してオイル状の標題化合物5−3a(0.72g、収率70%)及び5−3b(0.69g、収率67%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)V−3a:δ0.92(t,3H),1.01(t,3H),1.45(m,2H),1.61(d,3H),1.84(m,2H),2.84(t,2H),3.20(m,1H),3.36(m,1H),3.92(s,3H),5.39(s,2H),5.80(q,1H),6.85(d,1H,J=16.2Hz),6.98(d,1H,J=8.2Hz),7.16(d,1H,J=8.2Hz),7.24(m,1H),7.31−7.36(m,2H),7.41(dd,1H),7.47−7.55(m,4H),7.48(s,1H),7.88(dd,1H),8.08(d,1H,J=16.1Hz),8.38(s,1H);Mass:642.
H−NMR(300MHz,CDCl)V−3b:δ0.94(t,3H),1.06(t,3H),1.45(m,2H),1.64(d,3H),1.85(m,2H),2.83(t,2H),3.22(m,1H),3.42(m,1H),3.91(
s,3H),5.36(s,2H),5.87(q,1H),6.95(d,1H,J=8.2Hz),6.98(d,1H,J=15.8Hz),7.27(m,1H),7.33−7.58(m,7H),7.87(d,1H,J=7.6Hz),7.90(s,1H),8.05(s,1H),8.07(d,1H,J=15.8Hz);Mass:642.
【0098】
<7−3>メチル2−ブチル−6−スチリル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシレート(式13)の製造
式1−6の化合物の代りに前記実施例<7−2>で得られた式5−3aの化合物(0.21g、0.32mmol)を用いることを除いて、実施例<1−5>と同様の方法で実験して標題化合物(0.154g、収率85%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.83(t,3H),1.29(m,2H),1.59(m,2H),2.41(t,2H),3.89(s,3H),5.29(s,2H),6.71(d,2H,J=8.1Hz),6.76(d,1H,J=16.1Hz),6.91(d,2H,J=8.1Hz),7.23−7.32(m,5H),7.37(s,1H),7.47(s,1H),7.49(m,1H),7.54−7.65(m,2H),7.90(d,1H,J=16.1Hz),8.00(dd,1H);Mass:568.
【0099】
実施例8:メチル2−ブチル−5−スチリル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート(式14)の製造
【0100】
式1−6の化合物の代りに前記実施例<7−2>で得られた式5−3bの化合物(0.25g、0.39mmol)を用いることを除いて、実施例<1−5>と同様の方法で実験して標題化合物(0.19g、収率87%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ0.86(t,3H),1.30(m,2H),1.62(m,2H),2.44(t,2H),3.88(s,3H),5.26(s,2H),6.62(d,1H,J=16.0Hz),6.71(d,2H,J=8.1Hz),6.92(d,2H,J=8.1Hz),7.14(s,1H),7.29−7.34(m,2H),7.37−7.43(m,2H),7.49−7.55(m,4H),7.62(s,1H),7.85(d,1H,J=16.0Hz),7.98(m,1H);Mass:568.
【0101】
本発明の化合物の置換基は下記表4の通りである。
【0102】
【表4】

【0103】
前記式3〜14の化合物に対して下記のような実験を行って様々な薬理効果を評価した。
【0104】
実験例1:本発明の化合物がTAZタンパク質の核への移動に及ぼす影響検証
本発明による式1の化合物が細胞内TAZタンパク質の核への移動に及ぼす影響を調査するために、TAZタンパク質に緑色蛍光タンパク質(green fluorescence protein;gFP)を連結したベクター(pEGFP−TAZ)及び細胞内核の位置を確認するための赤色蛍光タンパク質(Red fluorescence protein;RFP)が連結された核特異的ヒストンタンパク質(RFP−H2B)発現ベクターを用意した。具体的に、pEGFP−TAZベクターは全長TAZ cDNAをPCR方法で得た後、pEGFPベクター(Invitrogen社、Carlsbad,CA,USA)に挿入してクローニングし、また、RFP−H2B発現ベクターは全長ヒストンH2B cDNAをRFP発現ベクター(Clontech Laboratories,Inc.,Palo Alto,CA,USA)に挿入してクローニングした後、使用した。
【0105】
96−ウェルプレートにCos7細胞(American Type Culture
Collection;ATCC,Manassas,VA)(5×10cells/well)をのせて安定化させた後、イフェクチン(effectene;Qiagen社)方法でpEGFP−TAZ及びRFP−H2Bベクターを細胞内に導入した。ベクター導入48時間後、前記細胞に本発明による式3〜13の化合物をそれぞれ10μM濃度で処理した。処理30分後、BDパスウェイ(BD pathway high−content bioimager,BD bioscience社)機器を用いて細胞内で緑色蛍光色の核への移動をリアルタイムで確認した。定量化プログラム(BD IPLabTM for PathwayとBDTM Image Data Explorer)を用いてRFP信号を発現する細胞でGFP信号における核の発現程度を定量化した。
【0106】
化合物を未処理対照群細胞から発現するTAZタンパク質の核におけるGFP信号発現程度を100%と決め、本発明の化合物による変化を%で示した。
【0107】
測定結果は下記表5の通りである。
【0108】
【表5】

その結果、本発明の12個の化合物のうち、9個の化合物がTAZタンパク質の核での発現を130%以上顕著に増加することが明らかになった。したがって、本発明の化合物は、TAZタンパク質の核への移動を促進することにより脂肪細胞分化及び造骨細胞分化に影響を及ぼすものとして期待された。
【0109】
実験例2:本発明の化合物がPPARγ機能を抑制するTAZ活性に及ぼす影響検証
PPARγ機能を抑制するTAZ活性に対する本発明の化合物の影響を調査するために、293T細胞(ATCC)を48−ウェルプレート(1×10細胞/ウェル)にのせて安定化させた後、PPARγ、TAZ発現ベクターとともにaP2−luc(adipose fatty acid binding protein 2 promoter linked to luciferase)及びpCMVβベクターを導入した(Hong et al.,Science 2005;309:1074−8、参照)。PPARγまたはTAZタンパク質発現による標的遺伝子の転写活性に及ぼす影響を観察するために、aP2−lucリポーター遺伝子を共に細胞内に導入し、細胞内導入効率を補正するためにpCMVβベクターを全て同量で細胞内に導入して、β−ガラクトシダーゼ活性を測定してルシフェラーゼ活性値に補正した。
【0110】
24時間後、前記細胞に本発明による式3〜13の化合物をそれぞれ10μMの濃度で処理し、24時間さらに培養した。前記培養した細胞からNP−40を含む溶解溶液を用いて細胞タンパク質を抽出し、ルシフェラーゼ活性を測定した(Promega社,Sunnyvale,CA,USA)。PPARγによるaP2プローモーター活性増加がTAZ発現によって減少し、本発明による化合物を未処理細胞における減少された数値を100%と決め、本発明による化合物による活性阻害効果を%で示した。
【0111】
測定結果は下記表6の通りである。
【0112】
【表6】

【0113】
前記表6に示した通り、本発明の11個の化合物のうち、10個の化合物が追加抑制効果を表し、特に、式4、9、12及び13の化合物の場合、60%以上の非常に強い抑制効果を表す。よって、本発明の化合物は、TAZとPPARγとの間の結合を通じてPPARγの脂肪細胞分化活性を阻害するため、肥満予防または治療に効果的であることが分かった。
【0114】
実験例3:本発明の化合物がRUNX2機能を促進するTAZ活性に及ぼす影響検証
RUNX2機能を促進するTAZ活性に対する本発明の化合物の影響を調査するために、293T細胞にRUNX2及びTAZ発現ベクターと共に、6XOSE−luc(osteocalcin−specific element linked to luciferase,six copies of RUNX2−binding site in the osteocalcin promoter linked to luciferase)を導入した(Hong et al.,Science 2005;309:1074−8、参照)。本実験は、RUNX2タンパク質が発現されることによってOSEプローモーターに結合が増加するため、ルシフェラーゼ活性の増加を測定するためのものであると共に、TAZ発現による追加的な活性促進効果を観察するためのものであった。
【0115】
24時間後、前記細胞に式3〜13の化合物をそれぞれ10μM濃度に処理し、24時間培養した。実験例2と同様な方法で細胞タンパク質を抽出した後、リポーター遺伝子分析を行って、TAZのRUNX2促進機能に対する化合物の影響を定量化した。この時、形質転換効率を比べるために、293T細胞にβ−ガラクトシダーゼを発現するpCMVβベクターを導入した後、β−ガラクトシダーゼ活性を測定して補正した。その結果、RUNX2によるオステオカルシン(osteocalcin)プローモーター活性増加が観察されて、化合物を未処理細胞における数値を100%と決めた。TAZタンパク質の
追加発現により、平均570%増加することを確認し、これを上回る活性を有する化合物の場合、追加活性促進効果を有するものと判断した。
【0116】
測定結果は下記表7の通りである。
【0117】
【表7】

【0118】
前記表7に示したように、前記12個の化合物のうち、式9、10、11及び12の化合物から追加促進活性が現れた。よって、本発明の化合物はTAZと転写因子であるRUNX2との間の結合によりRUNX2の造骨細胞への分化を促進するため、骨粗鬆症の予防または治療に効果的であることを分かった。
【0119】
実験例4:本発明の化合物が脂肪細胞あるいは造骨細胞分化に及ぼす影響分析
本発明の化合物が脂肪細胞あるいは造骨細胞への分化に及ぼす影響を観察するために、3T3−L1細胞を脂肪細胞への分化を誘導し、C3H10T1/2細胞を用いて造骨細胞への分化を誘導した。
【0120】
<4−1>3T3−L1細胞の脂肪細胞への分化誘導
3T3−L1細胞の脂肪細胞への分化を誘導するために、3T3−L1脂肪前駆細胞(ATCC CL−173)を10%のウシ胎児血清(FBS)を含むDMEM培地に懸濁してから、24−ウェルプレート(3×10細胞/ウェル)の底面に48時間培養した。その後、10%のウシ胎児血清が添加された培地に2μMのロシグリタゾン(rosiglitazone)、5μg/mLのインシュリン及び1μMのデキサメタゾン(dexamethasone)を添加して脂肪細胞への分化を誘導した。48時間後、培地を5μg/mLのインシュリン及び10%のウシ胎児血清を含むDMEM培地に交換し、さらに48時間後に10%のウシ胎児血清を含むDMEM培地に交換し、48時間ごとに培地を新しく交換して脂肪細胞分化を観察した。本発明による化合物は、培地を交換する時に追加供給した。分化誘導8日後、細胞を10%のホルマリンで固定した後、オイルレッドO(Oil−red O)染色を行って細胞から生成された脂肪を確認した。
【0121】
測定結果、本発明による化合物が脂肪細胞への分化を減少させる効果があり、特に、化4、5及び13の化合物によって脂肪細胞への分化が格段に減少することが分かった。また、濃度を異にして処理した場合、式8の化合物によって追加的な脂肪細胞抑制効果が顕著に観察された。
【0122】
<4−2>C3H10T1/2細胞の造骨細胞への分化誘導
C3H10T1/2細胞の造骨細胞への分化を誘導するために、C3H10T1/2細胞(ATCC CCL 226)を10%のウシ胎児血清を含むa−MEM培地で希釈し、96−ウェルプレート(1×10細胞/ウェル)で48時間培養した後、48時間間隔で培地を交換しながら造骨細胞への分化を観察した。本発明による化合物は分化開示日に10μMの濃度で処理した。分化誘導20日後、骨細胞内で生成が増加されたカルシウムと反応するアリザリンレッド染色(Alizarin red staining)を通じて確認した。分化された細胞を70%のエタノールで固定した後、アリザリンレッドS溶液で染色した。造骨細胞への分化の程度が高いほど、赤い光が強くなるため、染色程度を通じて分化程度を比較することができる。
【0123】
測定結果、実験した10個の化合物が造骨細胞への分化をある程度促進することが明らかになり、特に、式4及び式6の化合物が造骨細胞への分化を顕著に促進させることが分かった。
【0124】
したがって、本発明の化合物は脂肪細胞の分化を抑制し、造骨細胞の分化を促進するため、肥満抑制または骨粗鬆症の改善に効果的に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物またはその薬剤学的に許容される塩を有効成分として含む、骨粗鬆症の予防または治療用医薬組成物:
【化1】

前記式中、
Aはエチルまたはn−ブチルであり;
は、メチル、−CHOH、−COMe、−CHF、−CH(OCH、−CHOC(=O)CH、−CHOCHSCH、またはスチリルであり;
は、H、Br、−COCH、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、式2で示される官能基、−CH(OH)Ph、またはスチリルであり;
はHまたはメチルであり;
XはCHまたはNであり;
PはHまたは−CH(CH)OCHCHである。
【化2】

【請求項2】
前記式1の化合物が次のいずれかの1つであることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物:
{2−エチル−7−メチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル}メタノール;
2−ブチル−5−メチル−6−ピリジン−3−イル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン;
メチル2−ブチル−6−ピリジン−2−イル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−カルボキシレート;
{2−ブチル−7−メチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル}メタノール;
2−ブチル−5−フルオロメチル−6−(1−オキシピリジン−2−イル)−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン;
(2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−
1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル)フェニルメタノール;
{2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル}フェニルメタノール:
酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル;
酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル;
2−ブチル−7−メチル−5−[(メチルスルファニルメトキシ)メチル]−6−フェニル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン;
メチル2−ブチル−6−スチリル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシレート;及び
メチル2−ブチル−5−スチリル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート。
【請求項3】
式3の化合物またはその薬剤学的に許容される塩を有効成分として含む、肥満、糖尿病または高脂血症の予防または治療用医薬組成物:
【化3】

前記式中、
Aはエチルまたはn−ブチルであり;
は、メチル、−CHOH、−COMe、−CHF、−CH(OCH、−CHOC(=O)CH、−CHOCHSCH、またはスチリルであり;
は、H、Br、−COCH、フェニル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、式4で示される官能基、−CH(OH)Ph、またはスチリルであり; RはHまたはメチルであり;
XはCHまたはNであり;
PはHまたは−CH(CH)OCHCHである。
【化4】

【請求項4】
前記式3の化合物が次のいずれかの1つであることを特徴とする請求項3に記載の医薬
組成物:
{2−エチル−7−メチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル}メタノール;
2−ブチル−5−メチル−6−ピリジン−3−イル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン;
メチル2−ブチル−6−ピリジン−2−イル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−カルボキシレート;
{2−ブチル−7−メチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イル}メタノール;
2−ブチル−5−フルオロメチル−6−(1−オキシピリジン−2−イル)−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン;
(2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル)フェニルメタノール;
{2−ブチル−5−ジメトキシメチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−6−イル}フェニルメタノール:
酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3−{2’−[1−(1−エトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イル]ビフェニル−4−イルメチル}−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル;
酢酸6−ブロモ−2−ブチル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン−5−イルメチルエステル;
2−ブチル−7−メチル−5−[(メチルスルファニルメトキシ)メチル]−6−フェニル−3−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−3H−イミダゾール[4,5−b]ピリジン;
メチル2−ブチル−6−スチリル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキシレート;及び
メチル2−ブチル−5−スチリル−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキシレート。

【公開番号】特開2010−280658(P2010−280658A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126866(P2010−126866)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(504473278)コレア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー (4)
【Fターム(参考)】