説明

フェニルプロピオンアミド化合物およびそれらの使用

本発明は、式(I)のフェニルプロピオンアミド化合物、ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物に関し、式中、A、B、R、R、R、R、およびRは、本明細書に記載の通りに定義される。本発明はまた、オピオイド受容体、特にμ−オピオイド受容体の活性化に応答する障害を治療、予防、または緩和するための、式(I)の化合物の使用を対象とする。本発明の化合物は、特に疼痛の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医化学分野に存する。本発明は、オピオイドアゴニストとして作用する新規フェニルプロピオンアミド化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、患者が医療の助言および治療を求める最も一般的な症候である。疼痛は、急性または慢性の場合がある。急性疼痛が通常自己限定的である一方、慢性疼痛は3カ月以上持続し、患者の人格、生活様式、機能的能力、または全体的な生活の質に著しい変化をもたらす恐れがある(K.M.Foley,Pain,in Cecil Textbook of Medicine 100〜107頁、J.C.BennettおよびF.Plum編集、第20版、1996年)。
【0003】
疼痛は、従来、それに限定されるものではないが、アセチルサリチル酸、トリサリチル酸コリンマグネシウム、アセトアミノフェン、イブプロフェン、フェノプロフェン、ジフルシナル(diflusinal)、およびナプロキセンを含む非オピオイド鎮痛薬、または同じくそれに限定されるものではないが、モルヒネ、ヒドロモルフォン、メタドン、レボルファノール、ファンタニル、オキシコドン、およびオキシモルフォンを含むオピオイド鎮痛薬を投与することによって対処されてきた。
【0004】
Yakshの米国特許第6,576,650号、同第6,166,039号および同第5,849,761号、ならびにYakshらの米国特許第6,573,282号には、末梢作用性の抗痛覚過敏アヘン剤として使用するための1,4−置換ピペリジン誘導体が記載されている。
【0005】
Mogiらの米国特許第6,362,203B1号には、末梢性鎮痛作用を有する4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン誘導体が記載されている。
【0006】
Carronらのカナダ特許公開第949560号には、鎮痛薬として使用するためのピペリジン誘導体が記載されている。
【0007】
Dunnらの国際PCT公開WO第02/38185A2号には、抗痛覚過敏アヘン剤として使用するための1,4−置換ピペリジン化合物が記載されている。
【0008】
国際PCT公開WO第01/70689A1号には、オピオイドδ受容体アゴニストとして使用するためのピペリジン誘導体が記載されている。
【0009】
従来のオピオイド鎮痛薬は、血液脳関門(BBB)を一旦通過すると、薬理活性を発揮する。しかし、BBBへの通過は、呼吸抑制、薬物耐性の増大、薬物依存の増大、便秘、および望ましくない陶酔感などの、望ましくない中枢神経系(CNS)媒介性副作用をもたらす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
疼痛を治療または予防するために使用でき、従来の療法に伴う1つまたは複数の副作用を低減または回避する新規薬物が依然必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、オピオイド受容体のアゴニストとしての、以下の式Iで表されるフェニルプロピオンアミド化合物、ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物の使用に関する。式Iの幾つかの化合物は、μオピオイド受容体に対して選択性を示すことが期待される。式Iの幾つかの化合物は、BBBを容易には通過せず、したがって末梢に効果的に残ることが期待される。
【0012】
本発明はまた、オピオイド受容体の活性化に応答する障害を罹患している哺乳動物において、本明細書に記載の有効量の式Iの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物を投与することによって、かかる障害を治療、予防、または緩和することに関する。より具体的には、本発明は、CNSの外部(即ち末梢神経系)にあるオピオイド受容体の活性化に応答する障害に罹患している哺乳動物において、本明細書に記載の有効量の式Iの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物を投与することによって、かかる障害を治療、予防、または緩和することに関する。
【0013】
一態様では、本発明は、オピオイド受容体の活性化に応答する障害を罹患している哺乳動物において、本明細書に記載の有効量の式Iの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物を投与することによって、かかる障害を治療、予防、または緩和することを対象とする。特に、オピオイド受容体の活性化によって治療、予防、または緩和される好ましい障害は、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、変形性関節炎による疼痛、関節リウマチによる疼痛、癌性疼痛、脊髄損傷による疼痛、手術による疼痛、または急性疼痛などの疼痛、下痢、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、不安症、うつ病、ストレス障害、例えばアルツハイマー病および/または認知症による記憶障害、あるいはてんかんなどの神経障害である。さらに本発明の化合物は、麻酔剤、神経保護剤、パーキンソン病などの神経障害の治療剤、抗不安剤、抗うつ剤、ストレス障害の治療剤、例えばアルツハイマー病および(または認知症による記憶障害の治療剤、抗てんかんまたは抗痙攣剤として使用することができる。
【0014】
一態様では、本発明は、式Iの新規化合物、ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物を提供する。
【0015】
さらなる一態様では、本発明は、オピオイド受容体の活性化に応答する障害を治療、予防、または緩和するために有用な医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、1つまたは複数の医薬として許容可能な担体または賦形剤と任意選択で混合した、有効量の式Iの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物を含有する。
【0016】
さらなる一態様では、本発明は、有効量の式Iの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物を、かかる治療、予防、または緩和を必要とする哺乳動物に投与することによって、疼痛(例えば、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、手術による疼痛、または急性疼痛)、または下痢を治療、予防、または緩和する方法を提供する。
【0017】
さらなる一態様では、本発明は、オピオイド受容体を、有効量の式Iの少なくとも1つの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物に曝露するステップを含む、オピオイド受容体における活性を調節する方法を提供する。
【0018】
さらなる一態様では、本発明は、哺乳動物の疼痛(例えば、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、手術による疼痛、または急性疼痛)を治療、予防、または緩和するため、あるいは哺乳動物の下痢を治療、予防、または緩和するための医薬品の製造における、式Iの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0019】
さらなる一態様では、本発明は、式Iの放射標識化合物、およびオピオイド受容体に結合する放射性リガンドとしてのかかる化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の使用を提供する。かかる放射標識(例えば、H、11C、または14C放射標識)化合物を利用することによって、本発明はさらに、オピオイド受容体への結合能について候補化合物をスクリーニングする方法を提供する。この方法は、a)放射標識化合物が受容体と結合して複合体を形成することができる条件下で、一定濃度の放射標識化合物を受容体に導入するステップ、b)該複合体を候補化合物で滴定するステップ、およびc)前記受容体への候補化合物の結合性を決定するステップを含む。
【0020】
本発明のさらなる実施形態および利点は、以下の説明で部分的に示され、該説明から導かれようし、または本発明の実施によって知ることができる。本発明の実施形態および利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘される要素および組合せによって実現され、達成されよう。
【0021】
以上の概要および以下の詳細な説明は、共に例示的かつ説明的なものに過ぎず、特許請求する本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、オピオイド受容体アゴニストとして有用な、以下に定義の式Iの化合物、ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物を提供する。式Iの化合物、ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物は、μオピオイド受容体を選択的に活性化することが期待されており、したがって、μオピオイド受容体の選択的活性化に応答する障害の治療、予防、または緩和に有用である。
【0023】
したがって、本発明は、式Iで表される化合物、ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物を提供する
【0024】
【化1】

[式中、
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
は、
Hもしくはハロ、または
いずれも置換されていてもよい、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−O−C1〜6アルキル、−O−C2〜6アルケニル、もしくは−O−C2〜6アルキニル、または
およびRのそれぞれが、H、置換されていてもよいC1〜6アルキル、置換されていてもよいC2〜6アルケニル、および置換されていてもよいC2〜6アルキニルからなる群から独立に選択される−NRであり、
は、いずれも置換されていてもよい、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−C(=O)C1〜6アルキル、−C(=O)C2〜6アルケニル、−C(=O)C2〜6アルキニル、−S(=O)C1〜6アルキル、−S(=O)C2〜6アルケニル、−S(=O)C2〜6アルキニル、SO1〜6アルキル、SO2〜6アルケニル、SO2〜6アルキニル、−CO1〜6アルキル、−CO2〜6アルケニル、もしくは−CO2〜6アルキニルであり、
Bは、mが整数0〜12、好ましくは1、2、または3である(CHであり、
およびRは、それぞれ独立に、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
は、H、シアノ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−C(=O)NHC1〜6アルキル、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、またはシクロアミノカルボニルである]。
【0025】
一実施形態では、Aは、アリールまたはヘテロアリールである。好ましい一実施形態では、Aは、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリドジニル(pyridzinyl)、ピロリル、オキサゾリル、チエニル、ピリジル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびフラニルから選択することができる。好ましい一実施形態では、Aはフェニルである。
【0026】
別の実施形態では、Aは、シクロアルキル、好ましくはC5〜9シクロアルキルである。かかる環の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、およびシクロノニルが含まれる。
【0027】
別の実施形態では、Rは、Hまたはハロである。
【0028】
別の実施形態では、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC2〜6アルキニルである。
【0029】
別の実施形態では、Rは−NRである。
【0030】
別の実施形態では、Rは、−C(=O)C1〜6アルキルである。かかる置換基の例には、カルボニルメチル、カルボニルエチル、カルボニルプロピル、カルボニルブチル、およびカルボニルペンチル、カルボニルヘキシルが含まれる。
【0031】
別の実施形態では、Rは、−C(=O)C2〜6アルケニルまたは−C(=O)C2〜6アルキニルである。
【0032】
別の実施形態では、Rは、−S(=O)C1〜6アルキル、−S(=O)C2〜6アルケニル、−S(=O)C2〜6アルキニル、SO1〜6アルキル、SO2〜6アルケニル、またはSO2〜6アルキニルである。
【0033】
別の実施形態では、mは、1、2、または3である。
【0034】
本発明の有用な化合物には、
N−(1−(3,3−ジフェニルプロピル)ピペリジン−4−イル)−N−フェニルプロピオンアミド、
N−(1−(3−シアノ−3,3−ジフェニルプロピル)ピペリジン−4−イル)−N−フェニルプロピオンアミド、
N,N−ジメチル−2,2−ジフェニル−4−(4−N−フェニルプロピオンアミド)ピペリジン−1−イル)ブタンアミド、
N−(1−(4−オキソ−3,3−ジフェニル−4−ピロリジン−1−イル)ブチル)ピペリジン−4−イル)−Ν−フェニルプロイオンアミド(phenylproionamide)、
ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物が含まれる。
【0035】
本明細書で使用する場合、「シクロアルキル」は、C〜C12シクロアルキル、好ましくはC5〜9シクロアルキルから選択される基を指す。一般的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、およびシクロノニルが含まれる。
【0036】
本明細書で使用する場合、「ヘテロシクロアルキル」は、飽和した3〜12員の単環式環から選択される基を指し、これらの環は、炭素原子ならびにO、N、および/またはSからなる群から独立に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する。複素環系の例には、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、モルホリン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ベンゾジアゼピン等が含まれる。
【0037】
本明細書で使用する場合、「アリール」は、C6〜14アリール、特にC6〜10アリールから選択される基を指す。一般的なC6〜14アリール基には、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル(anthracyl)、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニレニル、およびフルオレニル基が含まれる。
【0038】
本明細書で使用する場合、「ヘテロアリール」は、5〜14個の環原子、環配列中に共有された6、10、または14個のπ電子を有し、炭素原子ならびに1、2、または3個の酸素、窒素、および/または硫黄ヘテロ原子を含有する基を指す。ヘテロアリール基の例には、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフタ[2,3−b]チエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフラニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾニル(benzooxazonyl)、クロメニル、キサンテニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、プテリジニル、4aH−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナンスロリニル(phenanthrolinyl)、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、およびフェノキサジニルが含まれる。
【0039】
本明細書で使用する場合、ハロまたはハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0040】
本明細書で使用する場合、「C〜Cアルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖および分岐の非環式炭化水素から選択される。例示的な直鎖−C〜Cアルキル基には、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル、および−n−ヘキシルが含まれる。例示的な分岐−C〜Cアルキルには、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、−ネオペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、および3,3−ジメチルブチルが含まれる。
【0041】
本明細書で使用する場合、「C〜Cアルケニル」は、2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む直鎖および分岐の非環式炭化水素から選択される。例示的な直鎖および分岐C〜Cアルケニル基には、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、−イソブチレニル、−1−ペンテニル、−2−ペンテニル、−3−メチル−1−ブテニル、−2−メチル−2−ブテニル、−2,3−ジメチル−2−ブテニル、−1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、および3−ヘキセニルが含まれる。
【0042】
本明細書で使用する場合、「C〜Cアルキニル」は、2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む直鎖および分岐の非環式炭化水素から選択される。例示的な直鎖および分岐C〜Cアルキニル基には、−アセチレニル、−プロピニル、−1−ブチニル、−2−ブチニル、−1−ペンチニル、−2−ペンチニル、−3−メチル−1−ブチニル、−4−ペンチニル、−1−ヘキシニル、−2−ヘキシニル、および−5−ヘキシニルが含まれる。
【0043】
本明細書で使用する場合、「アミノ」または「アミノ基」という用語は、−NHを指す。
【0044】
有用なアルキルアミノカルボニル基には、N−メチルアミノカルボニル、N−エチルアミノカルボニル、N−プロピルアミノカルボニル、N−ブチルアミノカルボニル、N−ペンチルアミノカルボニル、N−ヘキシルアミノカルボニル、およびN−オクチルアミノカルボニルが含まれる。
【0045】
有用なジアルキルアミノカルボニル基には、N,N−ジメチルアミノカルボニル−、N,N−ジエチルアミノカルボニル、N,N−ジプロピルアミノカルボニル、およびN−エチル−N−メチルアミノカルボニルが含まれる。
【0046】
有用なシクロアミノカルボニル基には、1−アジリジニルカルボニル、1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、1−ピペリジニルカルボニル、およびN−メチルピペリアジニルカルボニル(methylpiperiazinylcarbonyl)が含まれる。
【0047】
本明細書で使用する場合、「置換されていてもよい」という用語は、非置換であるか、または1つもしくは複数の置換基で置換されている基を指す。例えば、基C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、−O−C〜Cアルキル、−O−C〜Cアルケニル、および−O−C〜Cアルキニルが置換されていてもよいと称する場合、それらは置換されていても置換されていなくてもよい。置換されている場合には、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール(C1〜6)アルキル、アリール(C2〜6)アルケニル、アリール(C2〜6)アルキニル、シクロアルキル(C1〜6)アルキル、ヘテロシクロ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシル(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、カルボキシ(C1〜6)アルキル、アルコキシ(C1〜6)アルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、チオール、アルキルカルボニルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、およびC1〜6アルキルチオールからなる群から選択される基で置換することができる。好ましい任意選択の置換基には、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシル(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシル、ニトロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、およびアミノが含まれる。任意選択の置換基の好ましい数は、1、2、または3である。
【0048】
本明細書に開示の本発明はまた、開示の化合物のプロドラッグを包含する。プロドラッグは、式Iの活性な化合物をin vivoで放出する、任意の共有結合した担体であるとみなされる。プロドラッグの非限定的な例には、式Iの化合物のエステルが含まれ、これらは、かかる化合物を無水コハク酸などの無水物と反応させることによって調製することができる。
【0049】
本明細書に開示の本発明はまた、式Iの同位体標識(即ち、放射標識)化合物を包含する。開示の化合物に組み込むことができる同位体の例には、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Cl、好ましくはH、11C、および14Cなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、および塩素の同位体が含まれる。本発明の同位体標識(または放射標識)化合物は、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。例えば、式Iの滴定化合物は、式Iの特定の化合物にトリチウムを導入することによって、例えばトリチウムでの触媒脱ハロゲン化によって調製できる。この方法は、式Iの化合物の適切なハロゲン置換前駆体を、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または不在下でトリチウムガスと反応させるステップを含むことができる。滴定化合物を調製するための他の適切な方法は、Filer、Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences、第1巻、Labeled Compounds(PartA)、第6章(1987年)に見ることができる。14C標識化合物は、14C炭素を有する出発材料を用いることによって調製することができる。
【0050】
本発明はまた、オピオイド受容体上の結合部位に対する放射性リガンドとしての、式Iの放射標識化合物、ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物の使用を対象とする。式Iの放射標識化合物を使用して、試験または候補化合物の特異的受容体結合を特徴付けることができる。かかる放射標識化合物の結合アッセイは、構造活性相関を評価するために動物試験の代替とすることができる。非限定的な一実施形態では、本発明は、a)放射標識化合物が受容体と結合して複合体を形成することができる条件下で、一定濃度の放射標識化合物を受容体に導入するステップ、b)該複合体を候補化合物で滴定するステップ、およびc)前記受容体への候補化合物の結合性を決定するステップを含む、オピオイド受容体への結合能について、候補化合物をスクリーニングする方法を提供する。
【0051】
本明細書に開示の化合物の幾つかは、1つまたは複数の不斉中心を含有することができ、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性体を生じ得る。本発明は、全てのかかる可能な形態、ならびにそれらのラセミ体および分割体、および混合物とそれらの使用とを包含することを意図している。個々のエナンチオマーは、本開示を考慮して、当業者に公知の方法に従って分離することができる。本明細書に記載の化合物が、オレフィン二重結合または他の幾何学的非対称中心を含有する場合、別段の指定が無い限り、それらはE、Z両方の幾何異性体を含むことを意図している。全ての互変異性体も、本発明によって包含されることを意図している。
【0052】
本明細書で使用する場合、「立体異性体」という用語は、空間において原子の配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体に対する一般用語である。これには、エナンチオマー、および互いに鏡像ではない複数のキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を含む。
【0053】
「キラル中心」という用語は、4個の異なる基が結合する炭素原子を指す。
【0054】
「エナンチオマー」および「エナンチオマー性」という用語は、その鏡像上に重ね合わせることができず、したがって光学的に活性な分子を指し、このエナンチオマーは一方向に偏光面を回転させ、その鏡像化合物は逆方向に偏光面を回転させる。
【0055】
「ラセミ」という用語は、光学的に不活性な、エナンチオマーの等量混合物を指す。
【0056】
「分割」という用語は、ある分子の2種のエナンチオマー体の一方の分離または濃縮または減少を指す。
【0057】
「a」および「an」という用語は、1つまたは複数を指す。
【0058】
本明細書に開示の本発明はまた、開示の化合物の全ての塩を包含する。一実施形態では、本発明は、開示の化合物のありとあらゆる無毒で医薬として許容可能な塩を含む。医薬として許容可能な塩の例には、無機および有機の酸付加塩および塩基性塩が含まれる。医薬として許容可能な塩には、それに限定されるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩などの金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの無機酸塩;クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩;およびアルギン酸塩、グルタミン酸塩などのアミノ酸塩等が含まれる。
【0059】
酸付加塩は、本発明の特定の化合物の溶液と、塩酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸、シュウ酸、ジクロロ酢酸などの医薬として許容可能で無毒な酸の溶液とを混合することによって形成できる。塩基性塩は、本発明の特定の化合物の溶液および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウムなどの医薬として許容可能で無毒な塩基を混合することによって形成できる。
【0060】
本明細書に開示の本発明はまた、開示の化合物の溶媒和物を包含する。溶媒和物の1種は、水和物である。溶媒和物は一般に、該化合物の生理的活性または毒性にさほど寄与せず、したがって薬理学的な等価物として機能することができる。
【0061】
式Iの化合物は、オピオイド受容体アゴニストとして有用となり得ることから、これらの化合物を用いることによって、オピオイド受容体の活性化によって媒介される幾つかの疾患および状態を治療することができる。したがって本発明は、哺乳動物の疼痛(例えば、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、手術による疼痛、または急性疼痛)、または下痢を治療、予防、または緩和する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、疼痛を治療する方法を提供する。一実施形態では、疼痛の種類は慢性疼痛である。別の実施形態では、疼痛の種類は慢性神経因性疼痛である。別の実施形態では、疼痛の種類は炎症性疼痛である。別の実施形態では、疼痛の種類は手術による疼痛である。別の実施形態では、疼痛の種類は急性疼痛である。それぞれの場合、かかる治療、予防、または緩和方法は、かかる治療、予防、または緩和を必要としている哺乳動物に、所望の結果(即ち、治療、予防、または緩和)を実現するのに治療上有効な量の本発明の化合物を投与することを必要とする。一実施形態では、かかる化合物の量は、オピオイド受容体をin vivoで活性化するのに有効な量である。
【0062】
慢性疼痛には、それに限定されるものではないが、炎症性疼痛、術後疼痛、癌性疼痛、変形性関節炎疼痛、三叉神経痛、急性ヘルペス性およびヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、カウザルギー、腕神経叢裂離、後頭神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛、痛風、幻肢痛、灼熱痛、ならびに他種の神経痛、神経障害性および特発性疼痛症候群が含まれる。
【0063】
慢性体性痛は一般に、神経絞扼、外科手術、癌、または関節炎などの組織損傷に応答する炎症反応からもたらされる(Brower、Nature Biotechnology 2000年;18:387〜391頁)。
【0064】
炎症過程は、組織損傷または異物の存在に応答して活性化した、複雑な一連の生化学的および細胞イベントである(Levine、Inflammatory Pain;In:Textbook of Pain、WallおよびMelzack編集、第3版、1994年)。炎症は、損傷組織または異物の部位で生じることが多く、組織修復および治癒の過程に寄与する。炎症の基本的な徴候には、紅斑(赤み)、熱、浮腫(腫れ)、疼痛、および機能喪失が含まれる。炎症性疼痛を伴う患者の大部分は、継続的に疼痛を経験するものではないが、炎症部位が移動または接触される場合に強い疼痛を経験する。炎症性疼痛には、それに限定されるものではないが、変形性関節炎および関節リウマチが含まれる。
【0065】
慢性神経因性疼痛は、病因が不明の異種性(heterogenous)疾患状態である。慢性神経因性疼痛では、該疼痛は、多数の機構によって媒介され得る。この種の疼痛は一般に、末梢または中枢神経組織への損傷から生じる。その症候群には、脊髄損傷、多発性硬化症、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、幻想痛、カウザルギー、および反射性交感神経性ジストロフィー、および腰痛に関連する疼痛が含まれる。慢性神経因性疼痛の患者が、自発性疼痛、継続的な浅達性灼熱痛、および/または深い疼く疼痛として説明され得る異常な痛覚を患うという点において、慢性疼痛は急性疼痛とは異なっている。該疼痛は、温感、冷感、および機械的痛覚過敏によって、または温感、冷感、または機械的異痛によって生じ得る。
【0066】
慢性神経因性疼痛は、末梢感覚神経の損傷または感染によって生じ得る。それには、それに限定されるものではないが、末梢神経外傷、ヘルペスウィルス感染症、糖尿病、カウザルギー、神経叢裂離、神経腫、手足の切断、および血管炎による疼痛が含まれる。神経因性疼痛は、慢性アルコール依存症、ヒト免疫不全ウィルス感染症、甲状腺機能低下、尿毒症、またはビタミン欠乏による神経損傷によっても生じ得る。卒中(脊髄または脳)および脊髄損傷によっても、神経因性疼痛が誘発され得る。癌関連神経因性疼痛は、隣接する神経、脳、または脊髄の腫瘍増殖による圧迫により生じる。さらに、化学療法および放射線療法を含む癌治療は、神経損傷を生じ得る。神経因性疼痛には、それに限定されるものではないが、例えば糖尿病患者が患う疼痛などの神経損傷によって生じる疼痛が含まれる。
【0067】
急性疼痛は、連続で3カ月未満継続する任意の疼痛であり、それに限定されるものではないが、手術、微小な傷、足首捻挫、軽度の火傷、または物体による打身の結果として受ける疼痛が含まれる。
【0068】
本発明はまた、より具体的には、オピオイド受容体の活性化、特にμ−オピオイド受容体の選択的活性化によって治療することができる障害に罹患している動物において、前記障害を治療する方法を対象とし、前記方法は、オピオイド受容体を活性化することができる、より具体的にはμ−オピオイド受容体を活性化することができる量の式Iの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物をその動物に投与するステップを含む。式Iの化合物は、μ−オピオイド受容体のKi(以下に記載のものと類似のin vitroアッセイによって決定される)が、δ−およびκ−オピオイド受容体のKiよりも低い場合に、μ−オピオイド受容体の活性化に対して選択的であるとみなされる。一実施形態では、式Iの化合物は、μ−オピオイド受容体のKiより少なくとも約5倍高いδ−およびκ−オピオイド受容体のKiを有する。別の実施形態では、式Iの化合物は、μ−オピオイド受容体のKiより少なくとも約10倍高いδ−およびκ−オピオイド受容体のKiを有する。別の実施形態では、式Iの化合物は、μ−オピオイド受容体のKiより少なくとも約100倍高いδ−およびκ−オピオイド受容体のKiを有する。別の実施形態では、式Iの化合物は、μ−オピオイド受容体のKiより少なくとも約500倍高いδ−およびκ−オピオイド受容体のKiを有する。別の実施形態では、式Iの化合物は、μ−オピオイド受容体のKiより少なくとも約1000倍高いδ−およびκ−オピオイド受容体のKiを有する。別の実施形態では、式Iの化合物は、μ−オピオイド受容体のKiより少なくとも約10,000倍高いδ−およびκ−オピオイド受容体のKiを有する。
【0069】
本発明はまた、オピオイド受容体を活性化することによって治療できる障害に罹患している動物の、前記障害を治療するための医薬品の製造における、式Iの化合物、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の使用を提供する。一実施形態では、該障害は、μ−オピオイド受容体を選択的に活性化することによって治療できる。別の実施形態では、該障害は、疼痛または下痢である。
【0070】
化合物の合成
本発明の化合物は、本開示を考慮して、当業者に公知の方法を使用して調製することができる。例えば、Aがフェニルであり、RがHであり、RがMeCHCOであり、BがCHであり、RおよびRがそれぞれフェニルであり、RがH、CN、CONMe、またはCON(CH)である式Iの化合物は、スキーム1に示すように調製することができる。
【0071】
【化2】

【0072】
WはCRであり、各Zは(C〜Cアルキル)基である。
【0073】
化合物の試験
in vitroでのμ−オピオイド受容体結合アッセイ
μ−オピオイド受容体結合アッセイ手順:μ−オピオイド受容体に対する放射性リガンドの用量置換・結合アッセイでは、最終体積500μlの結合バッファー(10mMのMgCl、1mMのEDTA、5%のDMSO、50mMのHEPES、pH7.4)中、0.2nM[H]−ジプレノルフィン(NEN、マサチューセッツ州ボストン)と膜タンパク質5〜20mg/ウェルを使用した。高濃度の非標識ナロキソンの非存在下または存在下で反応を実施した。全ての反応を、96ディープウェルのポリプロピレンプレート中、室温で1〜2時間実施した。96ウェルの組織ハーベスター(Brandel、メリーランド州ゲーサースバーグ)を使用して0.5%のポリエチレンイミンに予浸した96ウェルのUnifilter GF/Cフィルタープレート(Packard、コネチカット州メリデン)上に急速濾過し、その後500μlの氷冷結合バッファーで3回濾過洗浄することによって結合反応を終了させた。その後、フィルタープレートを50℃で2〜3時間乾燥した。BetaScintシンチレーションカクテル(Wallac、フィンランド、トゥルク)を添加し(50μl/ウェル)、Packardトップカウントを使用して、1分/ウェルでプレートを計数した。GraphPad PRISMv.3.0(カリフォルニア州サンディエゴ)の1部位競合曲線適合機能または1部位競合曲線適合用の内部機能を使用して、データを分析した。
【0074】
μ−オピオイド受容体結合データ:一般に、疼痛または下痢の治療においては、Ki値が低いほど、フェニルプロピオンアミド化合物は効果的となろう。一般に、フェニルプロピオンアミド化合物は、μ−オピオイド受容体との結合のために、約300以下のKi(nM)を有することになろう。一実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約100以下のKi(nM)を有することになろう。一実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約50以下のKi(nM)を有することになろう。一実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約20以下のKi(nM)を有することになろう。別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約10以下のKi(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約1以下のKi(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約0.1以下のKi(nM)を有することになろう。例示的なフェニルプロピオンアミド化合物であるN−(1−(4−オキソ−3,3−ジフェニル−4−(ピロリジン−1−イル)ブチル)ピペリジン−4−イル)−N−フェニルプロピオンアミドは、μ−オピオイド受容体との結合のために、19.17のKi(nM)を有する。
【0075】
in vitroでのORL−1受容体結合アッセイ
ORL−1受容体結合アッセイ手順:氷冷低張バッファー(2.5mMのMgCl、50mMのHEPES、pH7.4)(10ml/10cmの皿)に細胞を溶解し、その後ティッシュグラインダー/Teflon内筒でホモジナイズすることによって、ヒトのオピオイド受容体様受容体(ORL−1)を発現する組換えHEK−293細胞からの膜(Receptor Biology)を調製した。4℃で15分間、30,000×gで遠心分離することによって膜を収集し、ペレットを低張バッファーに再懸濁して、最終濃度1〜3mg/mlにした。BioRadタンパク質アッセイ試薬と、標準としての牛血清アルブミンを使用して、タンパク質濃度を決定した。ORL−1受容体膜の一定分量を、−80℃で保存した。
【0076】
放射性リガンド結合アッセイ(スクリーニングおよび用量置換)では、最終体積500μlの結合バッファー(10mMのMgCl、1mMのEDTA、5%のDMSO、50mMのHEPES、pH7.4)中、0.1nMの[H]−ノシセプチン(NEN;87.7Ci/mmole)と膜タンパク質10〜20μgを使用した。10nMの非標識ノシセプチン(American Peptide Company)の存在下で非特異的結合性を決定した。全ての反応を、96ディープウェルのポリプロピレンプレート中、室温で1時間実施した。0.5%のポリエチレンイミン(Sigma)に予浸した96ウェルのUnifilter GF/Cフィルタープレート(Packard)上に急速濾過することによって結合反応を終了させた。96ウェルの組織ハーベスター(Packard)を使用して回収を実施し、その後500μlの氷冷結合バッファーで3回濾過洗浄した。その後、フィルタープレートを50℃で2〜3時間乾燥した。50μl/ウェルのシンチレーションカクテル(BetaScint;Wallac)を添加し、Packardトップカウントで、1分/ウェルでプレートを計数した。それぞれMicrosoft ExcelおよびGraphPad PRISM(商標)v.3.0または1部位競合曲線適合用の内部機能を使用して、スクリーニングおよび用量置換実験からのデータを分析した。
【0077】
ORL−1受容体結合データ:一般に、フェニルプロピオンアミド化合物は、ORL−1受容体との結合のために、約300以下のKi(nM)を有することになろう。一実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約100以下のKi(nM)を有することになろう。一実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約50以下のKi(nM)を有することになろう。一実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約20以下のKi(nM)を有することになろう。別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約10以下のKi(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約1以下のKi(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約0.1以下のKi(nM)を有することになろう。
【0078】
in vitroでのμ−オピオイド受容体機能アッセイ
μ−オピオイド受容体機能アッセイ手順:新しく融解したμ−受容体膜を使用して、[35S]GTPγS機能アッセイを実施した。その後、以下の試薬(最終濃度は指示通り):膜タンパク質(0.026mg/ml)、サポニン(10mg/ml)、GDP(3mM)、および[35S]GTPγS(0.20nM;NEN)を氷上で結合バッファー(100mMのNaCl、10mMのMgCl、20mMのHEPES、pH7.4)に添加することによって、アッセイ反応物を調製した。ジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製したアゴニストDAMGOの20×濃縮原液10μlを含有する96シャローウェルのポリプロピレンプレートに、調製した膜溶液(190μl/ウェル)を移した。撹拌しながらプレートを室温で30分間インキュベートした。96ウェルの組織ハーベスター(Brandel、メリーランド州ゲーサースバーグ)を使用して96ウェルのUnifilter GF/Bフィルタープレート(Packard、コネチカット州メリデン)上に急速濾過し、その後200μlの氷冷洗浄バッファー(10mMのNaHPO、10mMのNaHPO、pH7.4)で3回濾過洗浄することによって反応を終了した。その後、フィルタープレートを50℃で2〜3時間乾燥した。BetaScintシンチレーションカクテル(Wallac、フィンランド、トゥルク)を添加し(50μl/ウェル)、Packardトップカウントを使用して、1分/ウェルでプレートを計数した。GraphPad PRISMv.3.0のS字型用量反応曲線適合機能または非線形S字型用量反応曲線適合のための内部機能を使用して、データを分析した。
【0079】
μ−オピオイド受容体機能データ:μGTP EC50は、μ−オピオイド受容体における化合物に対する最大反応の50%をもたらす化合物濃度である。一般に、約5000以下のμGTP EC50(nM)を有するフェニルプロピオンアミド化合物が、μ−オピオイド受容体機能を刺激する。一実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約1000以下のμGTP EC50(nM)を有することになろう。一実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約500以下のμGTP EC50(nM)を有することになろう。一実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約200以下のμGTP EC50(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約100以下のμGTP EC50(nM)を有することになろう。一実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約60以下のμGTP EC50(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約10以下のμGTP EC50(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約1以下のμGTP EC50(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約0.1以下のμGTP EC50(nM)を有することになろう。
【0080】
μGTP E最大%は、標準のμアゴニストである[D−Ala2、N−メチル−Phe4 Gly−ol5]−エンケファリン(DAMGO)が誘発する効果に対する、ある化合物が誘発する最大効果である。一般に、μGTP E最大(%)値は、疼痛または下痢を治療または予防する化合物の有効性を測定するものである。一般に、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、50%を超えるμGTP E最大(%)を有することになろう。一実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、75%を超えるμGTP E最大を有することになろう。さらに別の実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、88%を超えるμGTP E最大を有することになろう。さらに別の実施形態では、100%を超えるμGTP E最大を有することになろう。
【0081】
in vitroでのORL−1受容体機能アッセイ
ORL−1受容体[35]GTPγS結合アッセイ手順:氷冷低張バッファー(2.5mMのMgCl、50mMのHEPES、pH7.4)(10ml/10cmの皿)に細胞を溶解し、その後ティッシュグラインダー/Teflon内筒でホモジナイズすることによって、ヒトのオピオイド受容体様(ORL−1)を発現する組換えHEK−293細胞からの膜(Receptor Biology)を調製した。4℃で15分間、30,000×gで遠心分離することによって膜を収集し、ペレットを低張バッファーに再懸濁して、最終濃度1〜3mg/mlにした。BioRadタンパク質アッセイ試薬と、標準としての牛血清アルブミンを使用して、タンパク質濃度を決定した。ORL−1受容体膜の一定分量を、−80℃で保存した。
【0082】
機能的結合アッセイを以下のように実施した。最終濃度0.066μg/μlのORL−1膜タンパク質、10μg/mlのサポニン、3μMのGDP、および0.20nMの[35S]GTPγSを氷上で結合バッファー(100mMのNaCl、10mMのMgCl、20mMのHEPES、pH7.4)に逐次添加することによって、ORL−1膜溶液を調製した。DMSO中で調製したアゴニスト/ノシセプチンの20×濃縮原液10μlを含有する96シャローウェルのポリプロピレンプレートに、調製した膜溶液(190μl/ウェル)を移した。撹拌しながらプレートを室温で30分間インキュベートした。96ウェルの組織ハーベスター(Packard)を使用して96ウェルのUnifilter GF/Bフィルタープレート(Packard)上に急速濾過し、その後200μlの氷冷結合バッファー(10mMのNaHPO、10mMのNaHPO、pH7.4)で3回濾過洗浄することによって反応を終了した。その後、フィルタープレートを50℃で2〜3時間乾燥した。50μl/ウェルのシンチレーションカクテル(BetaScint;Wallac)を添加し、Packardトップカウントで、1分/ウェルでプレートを計数した。GraphPad PRISMv.3.0のS字型用量反応曲線適合機能または非線形S字型用量反応曲線適合のための内部機能を使用して、データを分析した。
【0083】
ORL−1受容体機能データ:ORL−1 GTP EC50は、ORL−1受容体における化合物に対する最大反応の50%をもたらす化合物濃度である。一般に、約5000以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有するフェニルプロピオンアミド化合物がORL−1受容体機能を刺激する。一実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約1000以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約100以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、約10以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約1以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有することになろう。さらに別の実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、約0.1以下のORL−1 GTP EC50(nM)を有することになろう。
【0084】
ORL−1 GTP E最大%は、標準のORL−1アゴニストであるノシセプチンが誘発する効果に対する、ある化合物が誘発する最大効果である。一般に、本発明のフェニルプロピオンアミド化合物は、50%を超えるORL−1 GTP E最大(%)を有する。一実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、75%を超えるORL−1 GTP E最大(%)を有する。さらに別の実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、88%を超えるORL−1 GTP E最大(%)を有する。さらに別の実施形態では、フェニルプロピオンアミド化合物は、100%を超えるORL−1 GTP E最大(%)を有する。
【0085】
in vivo薬理試験
本発明の化合物は、Hunskaar、S.、O.B.Fasmer、およびK.Hole、J Neurosci Methods 14:69〜76頁(1985年)に記載されている、ホルマリンモデルにおけるそれらの抗侵害受容活性について試験することができる。全ての実験で、雄性Swiss Webster NIHマウス(20〜30g;Harlan、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用することができる。実験日には食餌を抜く。マウスを少なくとも1時間、プレキシガラス瓶に入れてその環境に順化させる。順化期間後、マウスを秤量し、腹腔内もしくは経口で投与される対象化合物、または対照としての適切な体積の媒体(10%のTween−80)のいずれかを与える。腹腔内投与15分後および経口投与30分後、マウスには右後脚の背面にホルマリン(生理食塩水中5%のホルムアルデヒド溶液20μl)を注入する。マウスをプレキシガラス瓶に移し、注入した脚を舐めるまたは噛む時間をモニターする。ホルマリン注入後1時間、舐めるおよび噛む時間を5分間隔で記録する。明サイクル中、全ての実験を盲式で行う。ホルマリン注入後、ホルマリン反応の初期を0〜5分の間の舐める/噛むとして測定し、後期を15〜50分測定する。媒体群および薬物処置群の間の差異は、一元配置分散分析(ANOVA)によって分析することができる。p値<0.05が有意であるとみなされる。化合物が、ホルマリンによって誘発される脚を舐める活動の初期および第2段階の両方を阻害する活性を有する場合、それらは急性および慢性疼痛の治療に有効であるとみなされる。
【0086】
末梢神経障害(KimおよびChung、Pain 50:355〜363ページ(1992年))のChungモデルを使用して、慢性疼痛を治療する化合物の潜在能力(即ち、抗異痛および抗痛覚過敏活性)について、化合物を試験することができる。200〜225gの間の体重の雄性Sprague−Dawleyラットを、ハロタン(空気70%および酸素30%の混合物中1〜3%)で麻酔し、麻酔中、恒温ブランケットを使用することにより体温を制御する。次いで、L5およびL6の脊髄神経において2cmの背面正中切開を行い、傍脊椎筋群を両側に引込める。次いで、L5およびL6脊髄神経を曝露し、分離し、6−0または7−0絹縫合でしっかりと結紮する。陰性対照として結紮なしに反対側のL5およびL6脊髄神経を曝露し、疑似手術を実施する。
【0087】
接触性異痛:動物の非有害な機械的刺激に対する感受性を測定して、接触性異痛を評価することができる。ラットを、ワイヤーメッシュの床を有する上昇試験ケージに移し、5〜10分間順化させる。後脚の足底面に一連のvonFreyモノフィラメントを適用して、動物が後退する閾値を決定する。使用する第1のフィラメントは、座屈(buckling)重量9.1g(0.96対数値)を有し、最大5回適用して、それが後退反応を誘発するかどうかをみる。動物が後退反応を有すると、次いでその連続において次に最も軽いフィラメントを最大5回適用して、それがやはり反応を誘発し得るかどうかが決定されよう。反応がなくなり、反応を誘発する最も軽いフィラメントの識別が記録されるまで、次に小さいフィラメントを用いてこの手順を反復する。動物が最初の9.1gのフィラメントから退行反応を有さない場合には、フィラメントが反応を誘発し、このフィラメントの識別が記録されるまで、重量を増大した次のフィラメントを適用する。各動物について全ての時点で3つの測定を実施して、退行の平均閾値の決定を行う。試験は、薬物投与の前、およびその後1、2、4、および24時間後に実施することができる。
【0088】
機械的痛覚過敏:脚への加圧試験を使用して、動物の有害機械刺激に対する感受性を測定して、機械的痛覚過敏を評価することができる。ラットにおいて、有害機械刺激に反応するグラムで測定される後脚退行閾値(「PWT」)を、Stein(Biochemistry & Behavior 31:451〜455頁(1988年))に記載のように、analgesymeter(イタリアのUgo Basileから市販のModel 7200)を使用して決定する。ラットの脚を小型の台に置き、最大250グラムまで段階的に重量を適用する。脚が完全に後退する重量を終点とする。各時点において各ラットにつきPWTを1度決定する。PWTは、損傷した脚のみ、または損傷した脚および損傷していない脚の両方において測定することができる。非限定的な一実施形態では、ラットにおいて、神経損傷によって誘発される疼痛(神経因性疼痛)に関連する機械的痛覚過敏を評価することができる。手術前にラットを試験して、ベースラインまたは正常なPWTを決定する。ラットは、術後2〜3週目に、薬物投与前および薬物投与後の様々な時点で(例えば、1、3、5、および24時間)再度試験される。薬物投与後のPWT増大は、試験化合物が機械的痛覚過敏を低減することを示している。
【0089】
医薬組成物
本発明の化合物は、他の任意成分の存在なしに原料化学物質の形態で哺乳動物に投与することができるが、本化合物は、好ましくは適切な医薬として許容可能な担体と組み合わせた化合物を含有する医薬組成物の一部として投与される。かかる担体は、医薬として許容可能な賦形剤および助剤から選択することができる。
【0090】
本発明の範囲内の医薬組成物には、本発明の化合物が医薬として許容可能な担体と組み合わされる全ての組成物が含まれる。好ましい一実施形態では、本化合物は、その所期の治療目的を達成するのに有効な量で組成物中に存在する。個々の要求は変わり得るが、各化合物の有効量の最適な範囲の決定は、当業者によってなされる。一般に化合物は、哺乳動物、例えばヒトに、哺乳動物の体重1kg当たり約0.0025〜約1500mgの用量で、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の、特定の障害を治療、予防、または緩和するための1日当たりの当量で経口投与することができる。哺乳動物に投与される本発明の化合物の有用な経口用量は、哺乳動物の体重1kg当たり約0.025〜約50mg、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の当量である。筋肉注射については、用量は一般に経口用量のおよそ半分である。
【0091】
経口単位用量は、化合物約0.01〜約50mg、好ましくは約0.1〜約10mgを含むことができる。単位用量は、1日1回または複数回、例えば化合物約0.01mg〜約50mg、または医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、もしくは溶媒和物の当量をそれぞれ含有する、1つまたは複数の錠剤またはカプセル剤として投与することができる。
【0092】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の有益な効果を受けることができる任意の動物に投与することができる。かかる動物の中でも第1のものは、哺乳動物、例えばヒトおよびペットであるが、本発明はそれに限定されるものではない。
【0093】
本発明の医薬組成物は、その所期の目的を達する任意の手段によって投与することができる。例えば、経口、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、鼻腔内、経粘膜、直腸、膣内、または口腔経路によって、または吸入によって投与することができる。投与用量および投与経路は、特定の対象の環境に依存し、レシピエントの年齢、健康状態、および体重、治療される状態または障害、もしあれば同時治療の種類、治療頻度、ならびに所望の効果の性質などの要素が考慮されて変わることになろう。
【0094】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口投与することができ、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、または経口液体調製物に配合される。一実施形態では、経口配合物は、本発明の化合物を含む押出し型複合微粒子(multiparticulate)を含む。
【0095】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、直腸投与されるように、即ち坐剤として配合される。
【0096】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、注入によって投与されるように配合される。
【0097】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、経皮投与されるように、例えばパッチ配合物として配合される。
【0098】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、吸入によってまたは鼻腔内もしくは経粘膜投与によって投与されるように配合される。
【0099】
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、膣内経路によって投与されるように配合される。
【0100】
本発明の医薬組成物は、約0.01〜99重量パーセント、好ましくは約0.25〜75重量パーセントの活性化合物(複数可)を含有することができる。
【0101】
本発明の医薬組成物は、好ましくは、例えば従来の混合、造粒、糖衣錠製造、溶解、押出し、または凍結乾燥プロセスによって、本開示を考慮してそれ自体知られるであろう方法で製造される。したがって、経口使用のための医薬組成物は、活性化合物を固体賦形剤と混合し、所望または必要に応じて適切な助剤を添加した後、得られた混合物を任意選択で粉砕し、顆粒の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠の核を得ることによって得られる。
【0102】
適切な賦形剤には、サッカリド(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール)、セルロース調製物、リン酸カルシウム(例えば、リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム)などの充填剤、ならびにデンプンペースト(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、またはジャガイモデンプンを使用する)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤が含まれる。所望ならば、上記デンプンおよびカルボキシメチル−デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの1つまたは複数の崩壊剤を添加することができる。
【0103】
助剤は、一般に例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、およびポリエチレングリコールなどの流量調節剤および潤滑剤である。糖衣錠の核は、胃液に耐性のある適切なコーティングを施される。この目的では、濃縮サッカリド溶液を使用することができ、これはアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適切な有機溶媒、または溶媒混合物を任意選択で含有することができる。胃液に耐性のあるコーティングを生成するために、フタル酸アセチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチル−フタル酸セルロースなどの適切なセルロース調製液を使用することができる。例えば識別のために、または活性化合物の用量の組合せを特徴付けるために、染料または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに添加することができる。
【0104】
経口で使用することができる他の医薬調製物の例には、ゼラチン製の押込み型カプセル、またはゼラチンおよびグリセロールもしくはソルビトールなどの可塑剤製の軟性封止カプセルが含まれる。押込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意選択で安定剤と混合することができる顆粒の形態、あるいは押出し型複合微粒子の形態の化合物を含有することができる。軟性カプセルでは、活性化合物を、好ましくは脂肪油または液体パラフィンなどの適切な液体に溶解または懸濁させる。さらに安定剤を添加することができる。
【0105】
直腸投与に可能な医薬調製物には、例えば、1つまたは複数の活性化合物と坐剤基剤との組合せからなる坐剤が含まれる。適切な坐剤基剤は、中でも天然および合成トリグリセリド、ならびにパラフィン炭化水素を含む。活性化合物と、例えば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、またはパラフィン炭化水素などの基剤材料との組合せからなるゼラチン製直腸用カプセルを使用することも可能である。
【0106】
非経口投与に適切な配合物は、例えば水溶性塩などの水溶性形態、アルカリ性溶液、または酸性溶液としての活性化合物の水溶液を含む。あるいは、油性懸濁液として活性化合物の懸濁液を調製することができる。懸濁液などに適切な親油性溶媒または媒体は、脂肪油(例えば、ゴマ油)、合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル)、トリグリセリド、またはポリエチレングリコール−400(PEG−400)などのポリエチレングリコールを含むことができる。水性懸濁液は、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、および/またはデキストランを含む、懸濁液の粘度を増大するための1つまたは複数の物質を含有することができる。懸濁液は、任意選択で安定剤を含有することができる。
【0107】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物を徐放配合物に組み込むことによって調製され、それによって式Iの化合物の定常状態の血漿濃度を維持することができる。
【0108】
これらの定常状態の血漿濃度を得ることができる一方法は、適切な技術、例えば適切な放出プロファイルをもたらすように選択された徐放配合を使用することである。適切な放出プロファイルは、例えば単一または複合微粒子送達系を使用して達成することができる。単一送達系の例には、それに限定されるものではないが、ワックスマトリックス錠剤、親水性マトリックス錠剤、および徐放コーティングを有する錠剤が含まれる。複合微粒子系の例には、それに限定されるものではないが、溶融押出し複合微粒子(MEM)などのマトリックス系、またはコーティングされたビーズなどの徐放コーティングをベースとする系が含まれる。
【0109】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口投与後約12時間〜約24時間の期間、式Iの化合物の治療上定常な状態の血漿濃度を提供する。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口投与後約6時間〜約12時間の期間、式Iの化合物の治療上定常な状態の血漿濃度を提供する。
【0110】
オピオイド受容体の活性化によって治療、予防、または緩和することができる障害を、それを必要としている動物において治療、予防、または緩和する方法などの本発明の方法は、第2の治療剤を本発明の化合物と組み合わせて動物に投与するステップをさらに含むことができる。一実施形態では、他の治療剤は、有効量で投与される。
【0111】
他の治療剤の有効量は、他の治療剤の識別に依存して当業者には知られるものである。ただし、他の治療剤の最適な有効量の範囲の決定は当業者の範囲内に存する。
【0112】
本発明の化合物(即ち、第1の治療剤)および第2の治療剤は、付加的に、または一実施形態では相乗的に作用することができる。一実施形態では、本発明の化合物は第2の治療剤と同時に投与され、例えば、有効量の式Iの化合物および有効量の第2の治療剤の両方を含む単一組成物を投与することができる。したがって、本発明は、本発明の化合物、第2の治療剤、および医薬として許容可能な担体の組合せを含む医薬組成物をさらに提供する。あるいは、有効量の式Iの化合物を含む第1の医薬組成物および有効量の第2の治療剤を含む第2の医薬組成物を同時に投与することができる。別の実施形態では、有効量の本発明の化合物は、有効量の第2の治療剤の投与の前または後に投与される。この実施形態では、本発明の化合物は、第2の治療剤がその治療効果を発揮する間に投与され、あるいは本発明の化合物が、障害または状態を治療、予防、または緩和する治療効果を発揮する間に第2の治療剤が投与される。
【0113】
第2の治療剤は、オピオイドアゴニスト、非オピオイド鎮痛薬、非ステロイド系抗炎症剤、抗偏頭痛剤、抗嘔吐剤、Cox−II阻害剤、β−アドレナリン遮断薬、抗痙攣剤、抗うつ剤、抗癌剤、中毒性障害の治療剤、パーキンソン病およびパーキンソニズムの治療剤、不安症の治療剤、てんかんの治療剤、発作の治療剤、卒中の治療剤、掻痒状態の治療剤、精神病の治療剤、ALSの治療剤、認識障害の治療剤、偏頭痛の治療剤、嘔吐の治療剤、運動障害の治療剤、うつ病の治療剤、または下痢の治療剤、あるいはそれらの混合物であってよい。
【0114】
有用なオピオイドアゴニストの例には、それに限定されるものではないが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルフォン(diamorphone)、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフィナシルモルファン(levophenacylmorphan)、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノぺリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、医薬として許容可能なその塩、およびそれらの混合物が含まれる。
【0115】
幾つかの実施形態では、オピオイドアゴニストは、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、モルヒネ、トラマドール、オキシモルフォン、医薬として許容可能なその塩、およびそれらの混合物から選択される。
【0116】
有用な非オピオイド鎮痛薬の例には、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、べノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン(flubufen)、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン(pramoprofen)、ムロプロフェン(muroprofen)、トリオキサプロフェン(trioxaprofen)、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン(fluprofen)、ブクロキシン酸(bucloxic acid)、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、チオピナク(tiopinac)、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク(oxpinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸、トルフェナム酸、ジフルリサル(diflurisal)、フルフェニサル(flufenisal)、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム、および医薬として許容可能なその塩、およびそれらの混合物などの非ステロイド系抗炎症剤が含まれる。他の適切な非オピオイド鎮痛薬の例には、以下の非限定的な化学的クラスの鎮痛薬、解熱剤、非ステロイド系抗炎症薬:アスピリン、サリチル酸ナトリウム、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サルサラート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸(salicylsalicylic acid)、スルファサラジン、およびオルサラジンを含むサリチル酸誘導体;アセトアミノフェンおよびフェナセチンを含むパラアミノフェノール誘導体;インドメタシン、スリンダク、およびエトドラクを含むインドールおよびインデン酢酸;トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラックを含むヘテロアリール酢酸;メフェナム酸およびメクロフェナム酸を含むアントラニル酸(フェナマート類(fenamates));オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)およびピラゾリジンジノン(フェニルブタゾン、オキシフェンタルタゾン(oxyphenthartazone))を含むエノール酸;ならびにナブメトンを含むアルカノンが含まれる。NSAIDのさらなる詳述については、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Paul A.Insel、Analgesic Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Employed in the Treatment of Gout,in Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 617〜57頁(Perry B.Molinhoff and Raymond W.Ruddon編集、9版、1996年)およびGlen R.Hanson,Analgesic,Antipyretic and Anti Inflammatory Drugs in Remington:The Science and Practice of Pharmacy Vol II 1196〜1221年(A.R.Gennaro編集、19版、1995年)参照のこと。適切なCox−II阻害剤および5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ならびにそれらの組合せは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,136,839号に記載されている。有用なCoxII阻害剤の例には、それに限定されるものではないが、ロフェコキシブおよびセレコキシブが含まれる。
【0117】
有用な抗偏頭痛剤の例には、それに限定されるものではないが、アルピロプリド(alpiropride)、ブロモクリプチン、ジヒドロエルゴタミン、ドラセトロン、エルゴコルニン、エルゴコルニニン、エルゴクリプチン、エルゴノビン、エルゴ、エルゴタミン、酢酸フルメドキソン(flumedroxone)、フォナジン(fonazine)、ケタンセリン、リスリド、ロメリジン、メチルエルゴノビン、メチセルジド、メトプロロール、ナラトリプタン、オキセトロン、ピゾチリン、プロプラノロール、リスペリドン、リザトリプタン、スマトリプタン、チモロール、トラゾドン、ゾルミトリプタン、およびそれらの混合物が含まれる。
【0118】
有用なβ−アドレナリン遮断薬の例には、それに限定されるものではないが、アセブトロール、アルプレノロール、アモスラボール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エパノロール、エスモロール、インデノロール、ラベタロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラナロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ネビバロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、チモロール、トリプロロール、およびキシベノロールが含まれる。
【0119】
有用な抗けいれん剤の例には、それに限定されるものではないが、アセチルフェネトライド、アルブトイン、アロキシドン(aloxidone)、アミノグルテチミド、4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸、アトロラクタミド(atrolactamide)、ベクラミド、ブラマート(buramate)、臭化カルシウム、カルバマゼピン、シンロミド(cinromide)、クロメチアゾール、クロナゼパム、デシメミド(decimemide)、ジエタジオン、ジメタジオン、ドキセニトロイン(doxenitroin)、エテロバルブ(eterobarb)、エタジオン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フルオレソン、ガバペンチン、5−ヒドロキシトリプトファン、ラモトリジン、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウム、メフェニトイン、メフォバルビタール、メタルビタール、メテトイン(methetoin)、メスクシミド、5−メチル−5−(3−フェナントリル)−ヒダントイン、3−メチル−5−フェニルヒダントイン、ナルコバルビタール、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オキシカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェネタルビタール(phenetharbital)、フェネトライド、フェノバルビタール、フェンスクシミド、フェニルメチルバルビツール酸、フェニトイン、フェセニレート(phethenylate)ナトリウム、臭化カリウム、プレガバリン(pregabaline)、プリミドン、プロガビド、臭化ナトリウム、ソラナム、臭化ストロンチウム、スクロフェニド(suclofenide)、スルチアム、テトラントイン(tetrantoin)、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、バルプロ酸、バルプロミド、ビガバトリン、およびゾニサミドが含まれる。
【0120】
有用な抗うつ剤の例には、それに限定されるものではないが、ビネダリン(binedaline)、カロキサゾン(caroxazone)、シタロプラム(citalopram)、(S)−シタロプラム、ジメタザン(dimethazan)、フェンカミン(fencamine)、インダルピン(indalpine)、塩酸インデロキサジン、ネフォパム(nefopam)、ノミフェンシン、オキシトリプタン、オキシペルチン、パロキセチン、セルトラリン、チアゼシム(thiazesim)、トラゾドン、ベンモキシン(benmoxine)、イプロクロジド、イプロニアジド、イソカルボキサジド、ニアラミド、オクタモキシン、フェネルジン、コチニン、ロリシプリン(rolicyprine)、ロリプラム(rolipram)、マプロチリン、メトラリンドール(metralindole)、ミアンセリン、ミルタゼピン(mirtazepine)、アジナゾラム(adinazolam)、アミトリプチリン、アミトリプチリノキシド(amitriptylinoxide)、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デメキシプチリン(demexiptiline)、デシプラミン、ジベンゼピン、ジメタクリン、ドチエピン(dothiepin)、ドキセピン、フルアシジン(fluacizine)、イミプラミン、イミプラミンN−オキシド、イプリンドール、ロフェプラミン、メリトラセン、メタプラミン(metapramine)、ノルトリプチリン、ノキシプチリン(noxiptilin)、オピプラモール、ピゾチリン(pizotyline)、プロピゼピン(propizepine)、プロトリプチリン、キヌプラミン、チアネプチン、トリミプラミン、アドラフィニル、ベナクチジン(benactyzine)、ブプロピオン、ブタセチン(butacetin)、ジオキサドロール(dioxadrol)、デュロキセチン、エトペリドン、フェバルバメート、フェモキセチン(femoxetine)、フェンペンタジオール(fenpentadiol)、フルオキセチン、フルボキサミン、ヘマトポルフィリン、ヒペリシン、レボファセトペラン(levophacetoperane)、メジホキサミン、ミルナシプラン、ミナプリン、モクロベミド、ネファゾドン、オキサフロザン(oxaflozane)、ピベラリン(piberaline)、プロリンタン、ピリスクシデアノール(pyrisuccideanol)、リタンセリン、ロキシンドール(roxindole)、塩化ルビジウム、スルピリド、タンドスピロン、トザリノン(thozalinone)、トフェナシン(tofenacin)、トロキサトン、トラニルシプロミン、L−トリプトファン、ベンラファキシン、ビロキサジン(viloxazine)、およびジメルジンが含まれる。
【0121】
有用な抗癌剤の例には、それに限定されるものではないが、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール(acodazole)、アクロニン(acronine)、アドゼレシン(adozelesin)、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン(ambomycin)、酢酸アメタントロン(ametantrone)、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン(anthramycin)、アスパラギナーゼ、アスペルリン(asperlin)、アザシチジン、アゼテパ(azetepa)、アゾトマイシン(azotomycin)、バチマスタット(batimastat)、ベンゾデパ(benzodepa)、ビカルタミド、塩酸ビスアントレン(bisantrene)、ビスナフィドジメシラート(bisnafide dimesylate)、ビセレシン(bizelesin)、硫酸ブレオマイシン、ブレキナール(brequinar)ナトリウム、ブロピリミン(bropirimine)、ブスルファン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルステロン(calusterone)、カラセミド(caracemide)、カルベチマー(carbetimer)、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン(carubicin)、カルゼレシン(carzelesin)、セデフィンゴール(cedefingol)、クロラムブシル、シロレマイシン(cirolemycin)、およびシスプラチンが含まれる。
【0122】
中毒性障害の治療または予防に有用な治療剤には、それに限定されるものではないが、メタドン、デシプラミン、アマンタジン、フルオキセチン、ブプレノルフィン、アヘン剤アゴニスト、3−フェノキシピリジン、またはセロトニンアンタゴニストが含まれる。
【0123】
パーキンソン病およびパーキンソニズムの治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、カルビドパ/レボドパ、ペルゴリド、ブロモクリプチン、ロピニロール、プラミペキソール、エンタカポン、トルカポン、セレギリン、アマンタジン、および塩酸トリヘキシフェニジルが含まれる。
【0124】
不安症の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、アルプラゾラム、ブロチゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート(clorazepate)、デモキセパム(demoxepam)、ジアゼパム、エスタゾラム、フルマゼニル、フルラゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラムなどのベンゾジアゼピン;ブスピロン、ジェピロン、イプサピロン(ipsapirone)、チオスピロン(tiospirone)、ゾルピコーン(zolpicone)、ゾルピデム、およびザレプロンなどの非ベンゾジアゼピン剤;バルビツレート、例えばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタルビタール、メフォバルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、およびチオペンタールなどのトランキライザー;ならびにメプロバメートおよびチバメート(tybamate)などのプロパンジオールカルバメートが含まれる。
【0125】
てんかんまたは発作の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、カルバマゼピン、エトスクシミド、ガバペンチン、ラモトリギン、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、バルプロ酸、トリメタジオン、ベンゾジアゼピン、γ−ビニルGABA、アセタゾラミド、およびフェルバメートが含まれる。
【0126】
卒中の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、ヘパリンなどの抗凝固剤、ストレプトキナーゼまたは組織プラスミノゲン活性化因子などの血餅を分解する薬剤、マンニトールまたはコルチコステロイドなどの膨張軽減剤、およびアセチルサリチル酸が含まれる。
【0127】
掻痒状態の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、ナルトレキソン;ナルメフェン;ダナゾール;アミトリプチリン、イミプラミン、およびドキセピンなどの三環系抗うつ薬;以下に示すものなどの抗うつ剤;メントール;ショウノウ;フェノール;プラモキシン;カプサイシン;タール;ステロイド;ならびに抗ヒスタミン剤が含まれる。
【0128】
精神病の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、塩酸クロルプロマジン、ベシル酸メソリダジン、および塩酸ソリダジン(thoridazine)などのフェノチアジン;クロロプロチキセン(chloroprothixene)および塩酸チオチキセンなどのチオキサンテン;クロザピン;リスペリドン;オランザピン;クエチアピン;フマル酸クエチアピン;ハロペリドール;ハロペリドールデカノエート;コハク酸ロキサピン;塩酸モリンドン;ピモジド;ならびにジプラシドンが含まれる。
【0129】
ALSの治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、バクロフェン、神経栄養因子、リルゾール、チザニジン、クロナゼパムおよびダントロレンなどのベンゾジアゼピンが含まれる。
【0130】
意識障害の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、タクリンなどの認知症を治療または予防する薬剤;ドネペジル;イブプロフェン;チオリダジンおよびハロペリドールなどの抗精神病剤;以下に示すものなどの抗うつ剤が含まれる。
【0131】
偏頭痛の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、スマトリプタン;メチセルギド;エルゴタミン;カフェイン;ならびにプロプラノロール、ベラパミル、およびジバルプロエクスなどのβ−遮断薬が含まれる。
【0132】
嘔吐の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、オンダンセトロン、ドラセトロン、グラニセトロン、およびトロピセトロンなどの5−HT3受容体アンタゴニスト;プロクロルペラジン、チエチルペラジン、クロルプロマジン、メトクロプラミド、およびドンペリドンなどのドーパミン受容体アンタゴニスト;デキサメタゾンなどのグルココルチコイド;ならびにロラゼパムおよびアルプラゾラムなどのベンゾジアゼピンが含まれる。
【0133】
運動障害の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、レセルピンおよびテトラベナジンが含まれる。
【0134】
うつ病の治療または予防に有用な治療剤の例には、それに限定されるものではないが、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、クロミプラミン、デシプラミン、ドキセピン、イミプラミン、マプロチリン、ネファザドン(nefazadone)、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トラゾドン、トリミプラミン、およびベンラファキシンなどの三環系抗うつ薬;シタロプラム、(S)−シタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリンなどの選択的セロトニン再取込み阻害薬;イソカルボキサジド、パルジリン、フェネルジン、およびトラニルシプロミンなどのモノアミン酸化酵素阻害薬;ならびにデキストロアンフェタミンおよびメチルフェニデートなどの精神刺激薬が含まれる。
【0135】
有用な抗下痢剤の例には、それに限定されるものではないが、ロペラミド、ジフェノキシレートとアトロピン、クリニジン、オクトレオチド、およびコレスチラミンが含まれる。
【0136】
以下の実施例は例示的なものであり、本発明の化合物、組成物、および方法を制限するものではない。臨床療法において通常遭遇し、本開示を考慮して当業者には明らかとなる様々な条件およびパラメータの適切な改変および適合は、本発明の精神および範囲に含まれる。
(実施例)
【実施例1】
【0137】
N−(1−(3−シアノ−3,3−ジフェニルプロピル)ピペリジン−4−イル)−N−フェニルプロピオンアミド
【0138】
【化3】

(A)(Acros Organics USA)(0.5mmol)および(B)(Acros Organics USA)(0.5mmol)のMeCN(1.5mL)中溶液に、室温でトリエチルアミン(2.87mmol)を添加した。次いで混合物を60℃で終夜撹拌した。順相フラッシュクロマトグラフィー(70%ヘキサン/30%EtOAc/3%EtN)によって、所望の生成物を75%の収率で白色固体として得た。
【0139】
化合物(1):純度(HPLC)>97%;MS: m/z 452.1 (M+1); 1H NMR (CDCl3): δ 7.40-7.24 (m, 13H), 7.06 (m, 2H), 4.62 (m, 1H), 2.86 (m, 2H), 2.52 (m, 2H), 2.38 (m, 2H), 2.08 (dt, 2H, J=2.0, 11.9 Hz), 1.91 (q, 2H, J=7.5, 14.9 Hz), 1.75 (m, 2H), 1.33 (dq, 2H, J=3.7, 12.3 Hz), 1.00 (t, 3H, J=7.6 Hz) ppm
【実施例2】
【0140】
N−(1−3,3−ジフェニルプロピル)ピペリジン−4−イル)−N−フェニルプロピオンアミド
【0141】
【化4】

(A)(0.5mmol)および(C)(Acros Organics USA)(0.5mmol)のMeCN(1.5mL)中溶液に、室温でトリエチルアミン(2.87mmol)を添加した。次いで混合物を60℃で終夜撹拌した。順相フラッシュクロマトグラフィー(70%ヘキサン/30%EtOAc/3%EtN)によって、所望の生成物を75%の収率で白色固体として得た。
【0142】
化合物(2):純度(HPLC)>97%;MS: m/z 427.1 (M+1); 1H NMR (CDCl3): δ 7.37 (m, 3H), 7.25-7.12 (m, 10H), 7.06 (m, 2H), 4.62 (m, 1H), 3.88 (t, 1H, J=7.3 Hz), 2.87 (d, 2H, J=11.3 Hz), 2.19 (m, 4H), 2.02 (dt, 2H, J=2.0, 12.1 Hz), 1.91 (q, 2H, J=7.4, 14.9 Hz), 1.74 (m, 2H), 1.37 (dq, 2H, J=4.0, 12.1 Hz), 1.00 (t, 3H, J=7.4 Hz) ppm
【実施例3】
【0143】
N,N−ジメチル−2,2−ジフェニル−4−(4−(N−フェニルプロピオンアミド)ピペリジン−1−イル)ブタンアミド
【0144】
【化5】

【0145】
【化6】

4−ブロモ−2,2−ジフェニル酪酸(D)(Aldrich Chemical Company,Inc.)(23g、72mmol)を、クロロホルム(150mL)に懸濁し、塩化チオニル(20mL)を滴加した。塩化チオニルの添加後、DMF(0.2mL)を添加し、得られた溶液を4時間加熱還流した。次いで反応混合物を減圧下で濃縮して、4−ブロモ−2,2−ジフェニル酪酸塩化物(E)を、薄黄色油として得、それをさらなる精製なしに次のステップで使用した。
【0146】
ジメチルアミン(THF中2M、50mL)および飽和水性NaCO(100mL)の溶液に、先に記載のように調製した化合物(E)のトルエン(100ml)中溶液を0℃で滴加した。得られた混合物を12時間撹拌した。混合物をトルエン(1×30mL)およびクロロホルム(3×100mL)で抽出した。混合抽出物を水(1×30mL)で洗浄し、KCOで乾燥した。乾燥するまで蒸発させ、メチルイソブチルケトンで結晶化した後、所望の生成物(F)であるジメチル(テトラヒドロ−3,3−ジフェニル−2−フリリデン)アンモニウムブロミドを、53%の収率で得た。
【0147】
(A)(0.5mmol)および(F)(0.5mmol)のMeCN(1.5mL)中溶液に、トリエチルアミン(2.87mmol)を室温で添加した。次いで混合物を60℃で終夜撹拌した。順相フラッシュクロマトグラフィー(70%ヘキサン/30%EtOAc/3%EtN)によって、所望の生成物を75%の収率で白色固体として得た。
【0148】
化合物(3):純度(HPLC)>97%;MS: m/z 498.1 (M+1); 1H NMR (CDCl3): δ 7.38-7.22 (m, 13H), 7.06 (m, 2H), 4.56 (m, 1H), 2.96 (m, 2H), 2.78 (m, 2H), 2.32 (m, 4H), 1.96 (m, 5H), 1.88 (q, 2H, J=7.5, 14.8 Hz), 1.64 (s, 3H), 1.29 (dq, 2H, J=3.3, 7.2 Hz), 0.98 (t, 3H, J=7.4 Hz) ppm
【実施例4】
【0149】
N−(1−(4−オキソ−3,3−ジフェニル−4−(ピロリジン−1−イル)ブチル)ピペリジン−4−イル)−N−フェニルプロピオンアミド
【0150】
【化7】

化合物(F)ジメチル(テトラヒドロ−3,3−ジフェニル−2−フリリデン)アンモニウムブロミドの合成と同じ手順に従って、ピロリジンを用いて化合物(G)1−(3,3−ジフェニル−ジヒドロフラン−2−イリデン)−ピロリジニウムブロミドを調製した。
【0151】
(A)(0.5mmol)および(G)(0.5mmol)のMeCN(1.5mL)中溶液に、トリエチルアミン(2.87mmol)を室温で添加した。次いで混合物を60℃で終夜撹拌した。順相フラッシュクロマトグラフィー(70%ヘキサン/30%EtOAc/3%EtN)によって、所望の生成物を75%の収率で白色固体として得た。
【0152】
化合物(4):純度(HPLC)>97%;MS: m/z 524.1 (M+1); 1H NMR (CDCl3): δ 7.37-7.22 (m, 13H), 7.06 (m, 2H), 4.56 (m, 1H), 3.56 (t, 2H, J=7.0 Hz), 2.80 (br d, 2H, J=11.8 Hz), 2.44 (t, 2H, J=6.4 Hz), 2.37 (m, 2H), 2.00 (m, 4H), 1.88 (q, 2H, J=7.4, 14.8 Hz), 1.66 (m, 4H), 1.50 (m, 2H), 1.29 (dq, 2H, J=3.9, 12.3 Hz), 0.98 (t, 3H, J=7.2 Hz) ppm
【実施例5】
【0153】
本発明の化合物を、μ−オピオイド受容体結合および機能について試験した。表1は、幾つかの化合物に関する結合および機能データを含有するものである。
【0154】
【表1】

【実施例6】
【0155】
本発明の化合物を、ORL−1受容体結合および機能について試験した。表2は、表1に提示したものと同じ化合物についての結合および機能データを含有するものである。「ND」という用語は、「未決定」を意味する。
【0156】
【表2】

【0157】
ここに本発明を完全に記載してきたが、本発明の範囲またはその任意の実施形態に影響を及ぼすことなく、幅広く等価の範囲の条件、配合物、および他のパラメータ内において同じものを実施できることを当業者は理解されよう。
【0158】
本発明の他の実施例は、本明細書に開示の本発明の明細書および実施を考慮することによって当業者には明らかとなろう。本明細書および実施例は、ほんの例示的なものとしてみなされるものであり、本発明の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0159】
本明細書に引用した全ての特許文書および公開資料は、その全体が参照によって本明細書に完全に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、ならびに医薬として許容可能なその塩、プロドラッグ、および溶媒和物
【化8】

[式中、
Aは、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、
は、
Hもしくはハロ、または
いずれも置換されていてもよい、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−O−C1〜6アルキル、−O−C2〜6アルケニル、もしくは−O−C2〜6アルキニル、
およびRのそれぞれが、H、いずれも置換されていてもよいC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、およびC2〜6アルキニルからなる群から独立に選択される−NRであり、
は、いずれも置換されていてもよい、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−C(=O)C1〜6アルキル、−C(=O)C2〜6アルケニル、−C(=O)C2〜6アルキニル、−S(=O)C1〜6アルキル、−S(=O)C2〜6アルケニル、−S(=O)C2〜6アルキニル、SO1〜6アルキル、SO2〜6アルケニル、SO2〜6アルキニル、−CO1〜6アルキル、−CO2〜6アルケニル、もしくは−CO2〜6アルキニルであり、
ここで、置換されていてもよいとは、該基が、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール(C1〜6)アルキル、アリール(C2〜6)アルケニル、アリール(C2〜6)アルキニル、シクロアルキル(C1〜6)アルキル、ヘテロシクロ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシル(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、カルボキシ(C1〜6)アルキル、アルコキシ(C1〜6)アルキル、ニトロ、アミノ、ウレイド、シアノ、アルキルカルボニルアミノ、ヒドロキシル、チオール、アルキルカルボニルオキシ、アジド、アルコキシ、カルボキシ、アミノカルボニル、およびC1〜6アルキルチオールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基、好ましくは1、2、または3個の置換基で置換されていてもよく、好ましくは、ハロ、ハロ(C1〜6)アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、ハロ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシル(C1〜6)アルキル、アミノ(C1〜6)アルキル、ヒドロキシル、ニトロ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、およびアミノで置換されていることを意味し、
Bは、mが整数0〜12、好ましくは1、2、または3である(CHであり、
およびRは、それぞれ独立に、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、
は、H、シアノ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−C(=O)NHC1〜6アルキル、−C(=O)N(C1〜6アルキル)、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、またはシクロアミノカルボニルである]。
【請求項2】
Aが、アリールまたはヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aがフェニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aがシクロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、Hまたはハロである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、またはC2〜6アルキニルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が−NRである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が−C(=O)C1〜6アルキルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
がC(=O)CHCHである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、−C(=O)C2〜6アルケニルまたは−C(=O)C2〜6アルキニルである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
mが、1、2、または3である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
N−(1−(3,3−ジフェニルプロピル)ピペリジン−4−イル)−N−フェニルプロピオンアミド、
N−(1−(3−シアノ−3,3−ジフェニルプロピル)ピペリジン−4−イル)−N−フェニルプロピオンアミド、
N,N−ジメチル−2,2−ジフェニル−4−(4−N−フェニルプロピオンアミド)ピペリジン−1−イル)ブタンアミド、
N−(1−(4−オキソ−3,3−ジフェニル−4−(ピロリジン−1−イル)ブチル)ピペリジン−4−イル)−Ν−フェニルプロピオンアミド
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物、
ならびに医薬として許容可能なその塩および溶媒和物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物および少なくとも1つの医薬として許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
オピオイド受容体の活性化によって治療、予防、または緩和することができる動物の障害を治療、予防、または緩和する方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の有効量の化合物を、かかる治療、予防、または緩和を必要としている動物に投与するステップを含む方法。
【請求項15】
前記障害が、疼痛、下痢、または嘔吐からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記疼痛が、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、変形性関節炎による疼痛、関節炎による疼痛、関節リウマチによる疼痛、癌性疼痛、脊髄損傷による疼痛、手術による疼痛、術後疼痛、または急性疼痛からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、μオピオイド受容体を活性化する、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、前記μオピオイド受容体を選択的に活性化する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
有効量のオピオイド鎮痛薬を前記動物に共投与するステップをさらに含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
有効量の非オピオイド鎮痛薬を前記動物に共投与するステップをさらに含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
有効量の抗偏頭痛剤を前記動物に共投与するステップをさらに含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
有効量の抗てんかん剤を前記動物に共投与するステップをさらに含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
有効量の抗下痢剤を前記動物に共投与するステップをさらに含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
有効量の抗嘔吐剤を前記動物に共投与するステップをさらに含む、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
オピオイド受容体の活性化によって治療、予防、または緩和される動物の障害を治療、予防、または緩和するのに有用な医薬品の製造における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項26】
前記障害が、疼痛、下痢、または嘔吐からなる群から選択される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
前記疼痛が、慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、変形性関節炎による疼痛、関節炎による疼痛、関節リウマチによる疼痛、癌性疼痛、脊髄損傷による疼痛、手術による疼痛、術後疼痛、または急性疼痛からなる群から選択される、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記化合物が、μオピオイド受容体を活性化する、請求項25から37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
前記化合物が、前記μオピオイド受容体を選択的に活性化する、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
医薬品として使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
オピオイド受容体の活性化によって治療、予防、または緩和され、疼痛、下痢、または嘔吐からなる群から好ましくは選択される動物の障害の治療、予防、または緩和における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
慢性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、変形性関節炎による疼痛、関節炎による疼痛、関節リウマチによる疼痛、癌性疼痛、脊髄損傷による疼痛、手術による疼痛、術後疼痛、または急性疼痛からなる群から選択される疼痛の治療、予防、または緩和における、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−508260(P2010−508260A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533981(P2009−533981)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/IB2007/003411
【国際公開番号】WO2008/053352
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(508150854)パーデュー、ファーマ、リミテッド、パートナーシップ (18)
【Fターム(参考)】