説明

フェノール樹脂

本発明は、1)ノボラック樹脂組成物及び2)非ホルムアルデヒド硬化剤に基づく強化複合材料の生成に有用な配合物並びに前記強化複合材料を用いた製品の製造方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本出願は、2003年3月7日に出願された米国特許出願第10/383,272号の一部継続出願である、2004年4月23日に出願された米国特許出願第10/830,808号の一部継続出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は、強化複合材料の製造に有用なフェノール樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
フェノール樹脂は広くはノボラック樹脂及びレゾール樹脂の2つに大別される。ノボラック樹脂は一般にホルムアルデヒドが不充分であるとして特徴づけられる。即ち、フェノール基に対するホルムアルデヒドの比が<1である。レゾール樹脂は一般にホルムアルデヒドが多いことで特徴づけられている。即ち、フェノール基に対するホルムアルデヒドの比が>1である。ノボラック樹脂及びレゾール樹脂は、共に、フェノール、レゾルシノール、ビスフェノール類、フロログルシノール、クレゾール類、アルキルフェノール、フェニルエーテル、タンニン類及びリグニン類を含む(これらに限定するものではない)種々のフェノール化合物を単独で又は組合せて混和することができる。同様に、ホルムアルデヒドは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、シクロヘキサンジカルボキサルデヒド類、ベンズアルデヒド類、フルフラール及び他のアリール又は複素環式アルデヒドを含む(これらに限定するものではない)他のアルデヒドで全部又は一部分を置き換えることができる。
【0004】
ノボラック樹脂は、通常、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド供与硬化剤化合物又はホルムアルデヒド等価化合物を用いて硬化する(架橋し、硬化される)。ノボラックの硬化には、商業的にはヘキサメチレンテトラミン(ヘキサ)及びパラホルムアルデヒドを用いることが多い。ホルムアルデヒド源の他に、硬化速度及び硬化度を高めるために加熱及び触媒の存在が通常用いられる。触媒としては、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムのような無機塩基、塩化亜鉛若しくは酢酸亜鉛のようなルイス酸又はトリエチルアミンのようなアミンが挙げられる。
【0005】
引抜成形、フィラメント巻き又は真空支援樹脂トランスファー(vacuum assisted resin transfer)のような複合材料用途のための理想的なフェノール樹脂は、以下のような多くの重要な属性を有するであろう:
−不活性溶媒をほとんど又は全く用いずに、周囲温度又はほぼ周囲温度で液体樹脂を生成するように配合することができる;
−遊離フェノール系モノマー量が少ない;
−標準的構成材料を用いて製造された加工装置を使用できる;
−硬化剤との反応によって硬化可能である。
【0006】
レゾール樹脂は、分子量に応じて固体又は液体であることができる。レゾール樹脂は、単独で又はより典型的には酸触媒の存在下で加熱することによって硬化させることができる。複合材料用途は現在、ノボラック樹脂をほとんど除外して、液体レゾール樹脂配合物が中心となっている。しかし、レゾール樹脂は、それらの酸触媒が高価な耐酸性材料でできた加工装置の使用を必要とするので、理想溶液がない。更に、硬化に必要な酸触媒は、それらの加工ウィンドウ(可使時間)及び貯蔵安定性を大きく制限する。レゾール樹脂の別の欠点は、配合物の粘度を許容され得る加工パラメーター内に保持するのに比較的高い溶媒量が必要であることである。
【0007】
ノボラック樹脂は典型的には固体であって、架橋樹脂へと硬化するためには硬化剤(ホルムアルデヒド源又は相当物)の存在下で加熱することを必要とする。これらの生成物は、樹脂が硬化剤、充填剤及び強化材と配合(ブレンド)される成形用途に最適である。しかし、接着剤及び複合材料のようないくつかの用途では、液体樹脂系の使用がより有利である。液体ノボラック樹脂は、ほとんどの場合、次の3つの方法の1つで得られる:
−固体樹脂を塩基水溶液と混合する;
−樹脂を有機溶媒に溶解させる;
−反応性希釈剤として働く大過剰のフェノール系モノマーを用いる。
【0008】
水及び有機溶媒を基材とする配合物は、接着剤用途に又はある種のプリプレグの製造に適当であることができるが、閉じこめられた溶媒が気孔を生成する場合には複合材料用途には望ましくない。過剰のフェノール系モノマーを含む配合物に関しては、溶媒のオフガスは問題ではない。むしろ、大過剰の遊離モノマーが、不所望に長い硬化時間又は作業者の暴露の問題を生じるおそれがある。
【0009】
フェノール樹脂に基づく繊維強化複合材料の潜在的有用性は長い間認識されている。フェノール樹脂は、火災の状況における優れた火炎、煙及び毒性(FST)特性により、航空機の内装、客車及び避難経路が限られた、人間が多く集中する他の部分の建造に最適の材料になった。残念ながら、フェノール系ポリマー及びそれらの複合材料系はまた、加工が困難であることが知られており、最終製品が脆い。
【0010】
密接な関係がある2つの特許文献である特許文献1及び2において、Daileyは、加工能力の改良されたフェノール樹脂系の必要性を述べている。具体的には、Daileyは、フェノールレゾール樹脂とレゾルシノールに基づくノボラック樹脂との混合物を用いて、フェノール樹脂の優れたFST特性を保持しながら、低温硬化系を生成することを開示している。Daileyは更に、液体メチレン供与体を用いてパラホルムアルヒドを部分溶解させ、それによって樹脂配合物の総溶媒量を減少させることを述べている。これは、気孔量の減少によって最終複合材料製品の物理的性質を向上させることが予想された。
【0011】
Sheaもまた、複合材料用の耐火性フェノール樹脂組成物に関するいくつかの特許を有する。特許文献3において、Sheaは、アルデヒドとパラホルムアルデヒドとの混合物を用いて、レゾルシノールに基づくノボラック樹脂を硬化させることを述べている。アルデヒドは、FST特性を犠牲にせずに、耐亀裂性及び耐脆化性を改善すると述べられた。特許文献4において、Sheaは、パラホルムアルデヒドと水性ホルムアルデヒドとを併用して、FST特性を犠牲にせずに耐脆化性が改善されたレゾルシノールに基づくノボラック樹脂を硬化させることを開示している。Sheaの特許(特許文献5〜8)は、ホルムアルデヒドと他のアルデヒドとの混合物を用いて硬化された、レゾルシノールに基づくノボラック樹脂を述べている点で、前述のSheaの技術と同様である。特許文献9において、Sheaは特に、複合材料に有用なフェノール樹脂系のための、4成分ホルムアルデヒド非含有硬化剤の使用を述べている。Sheaの硬化剤は、非ホルムアルデヒドメチレン供与体、pH調整剤、粘度調整剤及び重合を遅らせるための重合停止剤からなる。Sheaはまた、硬化剤系中の少量の水が適切な硬化を得るのに必要であると述べている。
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,075,413号
【特許文献2】米国特許第5,075,414号
【特許文献3】米国特許第4,053,447号
【特許文献4】米国特許第4,107,127号
【特許文献5】米国特許第4,076,873号
【特許文献6】欧州特許出願公開0368927
【特許文献7】国際出願公開WO89/01013
【特許文献8】米国特許第5,202,189号
【特許文献9】米国特許出願第2004/0036056号
【発明の開示】
【0013】
ノボラック樹脂は、水溶液又は有機溶媒溶液中ヘキサ、パラホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドのような標準的な硬化剤を用いて硬化させることができる。しかし、好ましい硬化剤を、オキサゾリジン類、ニトロアルコール類、ヒドロキシルアミン類、アミノニトロアルコール類、ニトロアミン類、ニトロオレフィン類、ニトロアセタール類、ニトロン類、アミン類、イミン類、ハロニトロパラフィン類、オキサジン類、アザアダマンタン類、ヘキサメチレンテトラミン塩、イミダゾリジン類、トリアジン類、ニトロオキサゾリジン類、イミダゾリジン−オキサゾリジン混成物及びヘキサヒドロピリジミン類を単独で又は相互の及び/又はヘキサ若しくはパラホルムアルデヒドとの種々の組合せで含む、いくつかの種類の新規硬化剤の中から選ぶことは本発明の範囲内であると想定される。硬化剤系は、同時係属の米国特許出願第10/830,808号及び第10/383,272号の主題である。これらの特許の開示を参照することによって本明細書に引用する。これらの硬化剤は、広範なフェノールノボラック樹脂の硬化に有効である。単独で又は種々の組合せで使用するこれらの硬化剤の慎重な選択によって、これらのフェノール樹脂系の加工パラメーターを有利に変えることが可能である。より速い硬化速度、揮発分排出の減少及び後硬化サイクルの減少は、標準的なヘキサ硬化系に比較して有利な改良点である。これらのプロセスの改良及びサイクル時間の減少は、明らかに経済的に有利である。
【0014】
本発明において記載した樹脂系は、接着剤、成形コンパウンド、鋳物材料、研磨剤、摩擦材料、絶縁材、積層品、被覆、プリプレグ、電子機器、耐火性及び難燃性最終用途を含む(これらに限定するものではない)、フェノール樹脂が使用する全ての用途に適用できる。これらの液体ノボラック樹脂配合物は、引抜成形、フィラメント巻き、及び真空支援樹脂トランスファー(vacuum assisted resin transfer)の複合材料用途に適している。具体的には、本発明者らは、引き抜き成形及びフィラメント巻きに最適に配合された配合物を作成した。配合物、引抜成形加工、フィラメント巻き加工及び最終複合材料製品は全て、本発明の範囲内である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、1)ノボラック樹脂組成物及び2)非ホルムアルデヒド硬化剤に基づく強化複合材料の作成に有用な配合物を含む。これらの配合物は、液体であり、粘度が中程度であって、複合材料の製造に使用するのに適している。更に、強化材の存在下におけるこれらの配合物の硬化方法及び得られる硬化プラスチックもまた、本発明の範囲に含まれる。ノボラック樹脂は、芳香族モノマーの組合せに基づくことができ、このような樹脂は本明細書の実施例中に記載してある。更に、樹脂系は、溶媒を含んでも含まなくてもよく製造方法に応じてpHが変化する。本発明に関しては、樹脂は、pHが8〜12の、反応性希釈剤又は溶媒中の溶液として使用する。反応性希釈剤の例は、フェノール、置換フェノール、ホルムアルデヒド以外の脂肪族アルデヒド、フルフラール又はフルフリルアルコール及び低分子量フェノールレゾール樹脂である。溶媒の例としては、メタノール、エタノール、高級アルコール、ベンジルアルコール、グリコール類、グリコールエーテル、エステル、水及びノボラック樹脂を溶媒和する他の典型的な低コスト有機溶媒が挙げられる。
【0016】
硬化剤(curing agent)、即ち、硬化剤(hardener)及び触媒は、種々の既存及び新規オキサゾリジン類、ニトロアルコール、ニトロアセタール、ニトロオレフィン、ニトロアミン、アミノニトロアルコール、ヘキサヒドロピリミジン類、ニトロン類、ヒドロキシルアミン類、イミン類、オキサジン類、トリアザアダマンタン類、ヘキサ塩(hexa salts)及びこれらの化合物のハロゲン化誘導体から選ぶことができる。これらは、米国特許出願第10/830,808号及び同時係属の米国特許出願第10/383,272号によく記載されている。これらの特許出願の開示を、引用することによって本明細書中に組み入れる。本発明に関してより詳細には、硬化剤は理想的にはオキサゾリジン類、ニトロアルコール、ヘキサヒドロピリジミン類及びそれらの混合物である。
【0017】
繊維強化材は典型的には、繊維又はマットとしてのガラスである。炭素、玄武岩(basalt)、グラファイト又は合成繊維若しくはマットのような他の繊維強化材の使用も本発明の範囲内である。本発明の系と所与の強化材との併用を制限する臨界パラメーターは、加工温度である。強化材の融解/分解点が、樹脂系に必要な加工温度より高い場合には、それは使用することができる。
【0018】
これらの新規配合物が、簡単で、液体の、樹脂(a)及び硬化剤(b)の2成分パッケージが、古典的なフェノール樹脂系の優れたFST特性を保持しながら従来のレゾール樹脂よりも優れた物理的性質を有する複合材料製品の製造に充分である点で、既知の技術よりも優れていることが、実施例から明らかになるであろう。更に、実証された多くの可能な硬化剤は、所定のノボラック樹脂系に有用な広範囲の加工条件を提供する。
【実施例】
【0019】
Durez PFノボラック樹脂Varcum29−607を、市販サンプルとした。アニスアルデヒド、フェニルエーテル(DPE)、アニソール、フェノール、レゾルシノール、クレゾール類、4−t−ブチルフェノール、4−ノニルフェノール、酢酸亜鉛、並びに全ての一般的な実験室用の酸、塩基、溶媒及び試薬は、Aldrich Chemical Companyから入手した。オキサゾリジン類である5−エチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン、4,4−ジメチル−1−オキサ−3−アザシクロペンタン、ニトロアルコールであるトリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタンは全て、ANGUS Chemical Companyから入手した。5−ヒドロキシメチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン(M−3P)はUniroyalから入手した。2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール(Bronopol)はDow Biocidesから入手した。他の材料は、米国特許出願第10/830,808号及び同時係属の米国特許出願第10/383,272号に記載されたようにして合成した。これらの特許出願の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0020】
GPC分析:
GPC分析は、Plgelカラムを有するWaters Model 590LCシステム及びTHF溶離剤を用いて実施した。ポリスチレン基準を較正に用いた。
【0021】
DSC分析:
DSC分析は、TA Instruments Model Q100示差走査熱量計を用いて実施した。Varcum, 29−607ノボラックに関する硬化剤をスクリーニングするための走査は、50cc/分の窒素流を用いて25℃から400℃までΔT=10℃/分で行った。非密封アルミニウムパンを用いた。圧着の前に上部に小さな孔を開けた。低融点/液体ノボラック樹脂に関するTgデータを得るための走査は、高容積(100μL)アルミニウムパンを使用して、50cc/分の窒素流を用いて−50℃から150℃までΔT=10℃/分で行った。低融点/液体ノボラック樹脂に基づく配合物の硬化性能を分析するための走査は、高容積アルミニウムパンを使用して、50cc/分の窒素流を用いて25℃から250℃までΔT=10℃/分で行った。サンプルを最大温度に10分間保持した後、サンプルを室温まで冷却し戻し、次いで走査を再び行って、Tgデータを得た。
【0022】
例1−反応性希釈剤ブレンド
硬化剤とフェノール系モノマーとの一連の物理的混合物を製造した。この例の目的は、水も、硬化の間に気体を放出して硬化製品中に気孔及び層間剥離を生じる他の有機溶媒も用いずに、ノボラック樹脂の粘度を低下させるのに使用できる反応性ノボラック成分(「反応性希釈剤」)の液体ブレンドを作成することであった。製造したブレンドを、下記表中に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
例2−比較DSCデータ調査−新規硬化剤
本発明において開示した硬化剤の有用性を実証するために、市販PFノボラック樹脂を1つだけ(Durez Varcum 29−607)用いて一連の配合物を製造した。従って、これらの配合物の硬化性において観察される変動は全て、評価される硬化剤/触媒によるものと考えることができた。ヘキサが当業界で最も広範に使用される硬化剤であるので、ヘキサを比較のための基準として用いた。
【0025】
硬化事象が起こる場合の硬化開始及びピーク温度並びに硬化熱を観察するために、配合物を示差走査熱量計(DSC;TA Instruments Model Q100)を用いて評価した。DSC走査は、50cc/分の窒素流下で25℃から400℃までΔT=10℃/分で行った。この研究において得られたデータを、以下の表に要約する。
【0026】
ここで評価した硬化剤の種類は、米国特許出願第10/830,808号及び同時係属の米国特許出願第10/383、272号に開示されたものであり、これらの特許出願の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0027】
新規フェノール樹脂
Durez PFノボラック29−607との比較DSC調査
TA Instruments Model Q 100 DSC
ラン条件:50cc/分でN2を用いながら、25℃から400℃まで10℃/分。
【0028】
種類:
Am=アミン
NAm=ニトロアミン
OX=オキサゾリジン
NIT=ニトロン
HA=ヒドロキシルアミン
AZA=トリアザアダマンタン
NA=ニトロアルコール
Hex−S=ヘキサメチレンテトラミン塩
OZ=オキサジン
Phen=置換フェノール塩
【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】
前記表中のDSCデータは、使用した硬化剤に応じて硬化性の幅広い変動を示す。硬化性のこの変動は、硬化開始温度、配合物可使時間及び硬化時間を所定の用途に最適化できるので、配合物の作成において重要である。
【0032】
硬化剤パッケージ及び反応性希釈剤は、複合材料用途に必要な総配合物の一部にすぎない。フェノールノボラック樹脂の性質はまた、所与の配合物の用途を決定する上で重要な役割を果たす。本発明の範囲を充分に規定するためには、広範なフェノールノボラック樹脂の有用性を実証することが必要であった。低分子量ノボラック樹脂の変種は数種しか市販されていないので、本発明者らはモノマーの組合せを用いて種々のノボラック樹脂を合成した。
【0033】
広範な性質を有する液体又は低融点(低Tg)ノボラック樹脂は、芳香族モノマー、アルデヒド及びフェノール系モノマーから選ばれる成分を慎重に選択することによって合成できる。これらの種の化合物のいくつかの具体例を挙げると以下の通りであるが、これらに限定するものではない:
【0034】
芳香族モノマーの例
【0035】
【化1】

【0036】
アルデヒドの例
【0037】
【化2】

【0038】
フェノール系モノマーの例
【0039】
【化3】

【0040】
硬化又は非硬化ノボラック樹脂のいくつかの望ましい性質を得るために、前記種類のそれぞれからの1種又はそれ以上の成分を混和することができる。樹脂は、選択された成分の反応性のために必要に応じて酸性、塩基性又はルイス酸触媒を用いて一段法又は二段法によって合成できる。
【0041】
例3−芳香族モノマー及び代替アルデヒドを含むノボラック樹脂の二段合成
芳香族モノマー及び代替アルデヒドを含むノボラック樹脂(方法A): 下記の一般的な二段法を用いて、DPE及び/又はアニソールを組み込んだいくつかの樹脂を合成した。ホルムアルデヒドの代わりにm−及び/又はp−アニスアルデヒドを含む樹脂の製造においても同じ方法に従った。樹脂の特性データを以下の表に要約する。
【0042】
500mLのジャケット付き重合がまに、DPE 34.04g(0.20モル)、アニソール21.63g(0.20モル)、氷酢酸73.11g(1.22モル)及び37重量%ホルムアルデヒド水溶液50.37g(0.62モル)を装入した。この溶液を窒素ブランケット下で撹拌し、次いで濃硫酸10mLを添加した。溶液は淡いオリーブグリーンに変わった。溶液を窒素下で95℃において24時間撹拌し、次にフェノール41.5g(0.44モル)を15分かけて4回で添加した。95〜100℃における加熱を更に10時間続けた。反応混合物を室温に冷却し、次いで酢酸エチル250mLを添加した。溶液を濾過して、少量の不溶性固形分を除去した。酢酸及び硫酸の大部分を、最初は固体炭酸水素ナトリウムを少しずつ添加することによって、そして最後は炭酸水素ナトリウム飽和水溶液の添加によって中和した。水400mLの添加によって、混合物は下層の水層と上層の酢酸エチル中生成物溶液に分離できた。生成物溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、次いで回転蒸発によって溶媒を除去して、生成物100.4g(93%)を透明な褐色の粘稠な樹脂として生成した。GPC分析は、MW=2223及びMN=718を示した。DSC分析は、Tg=8℃を示した。
【0043】
例4−ノボラック樹脂の一段合成
酢酸亜鉛触媒を用いた一段合成(方法B): 下記の酢酸亜鉛触媒を用いた一般的な一段法を用いて、この研究で用いるいくつかの樹脂を合成した。樹脂特性データを、以下の表に要約する。
【0044】
加熱マントル、機械的撹拌機、目盛り付け受け器を有する蒸留ヘッド、温度調整用の熱電対及びN2ブランケットを装着した3つ口フラスコに、p−クレゾール(34.86g,0.30モル)、パラホルムアルデヒド(6.0g,0.2モル)及び酢酸亜鉛二水和物(0.90g,0.004モル)を装入した。混合物を105℃にすると、均質溶液が得られた。2時間後、混合物を125℃に加温すると、反応器から水が留出し始めた。反応混合物にゆっくり真空を適用して、水の残りを留出させた。20分で40トルの真空に到達し、これを更に5分間保持した。反応をN2下で冷却によって停止し;約3.5mLの水を回収した(理論値3.6mL)。生成物は不透明な黄褐色の固体であった。GPC分析はMw=595及びMn=334を示し、DSC分析はTg=30℃を示した。
【0045】
シュウ酸触媒を用いた一段合成(方法C): 加熱マントル、機械的撹拌機、目盛り付き受け器を有する蒸留ヘッド、温度調節のための熱電対及び窒素ブランケットを装着した3つ口フラスコに、フェノール(28.7g,0.31モル)、4−t−ブチルフェノール(45.29g,0.31モル)、ホルムアルデヒド(37%水溶液37.2mL,0.5モル)及びシュウ酸(0.9g,0.01モル)を装入した。混合物を80℃にすると、均質溶液が得られた。80分後、混合物は濁った。180分後、混合物を100〜110℃に加温すると、反応器から水が留出した。35分後、約25mLの水が回収された(水の理論量=34g)。この反応混合物に真空をゆっくりと適用して、水の残りを留出させた。15分で170トルの真空に到達し、これを更に15分間保持した。反応をN2下で冷却によって停止し;留出物35mL(水34mL,油相1mL)が回収された。生成物はオフホワイトの半透明の固体マスであった。GPC分析は、MW=979及びMN=425を示した。DSC分析はTg=32℃を示した。
【0046】
樹脂の製造技術に熟練した者には明らかであるように、樹脂系は製造方法に応じてpHが変化する。本発明に関しては、樹脂のpHは8〜12の範囲でなければならない。pHを上昇又は低下させるために樹脂配合物に調整を行うことができる。樹脂のpHを上昇させるのに使用する典型的な物質としては、金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム;アミン化合物、トリエチルアミン、DABCO、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、DBN、DBU、アルコキシド、フェノキシド、水酸化第四アンモニウム及び他の有機又は無機塩基が挙げられるが、これらに限定するものではない。樹脂のpHを低下させるのに有用な物質としては、鉱酸、硫酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、カルボン酸、燐酸並びに他の有機及び無機酸が挙げられる。
【0047】
好ましくはないが、8〜12のpH範囲以外の樹脂も使用できたことも本発明の範囲内である。これらの場合には、前記物質を用いるpH調整は、最終配合物に直接行うことができる。
【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
例5―低融点/液体ノボラック樹脂の比較配合物調査
本発明の主要な目的は、水を含まないが、最小量の不活性溶媒を含み且つ25〜40℃の温度において妥当な流動性を示すノボラック樹脂配合物の作成であった。これらの配合物は、繊維への熱硬化性液体樹脂の被覆を必要とする繊維強化複合材料用途において有用であると予想される。引抜成形及びフィラメント巻きは、このような複合材料用途例の2つである。
【0051】
本明細書中には多数の新規硬化剤を開示し、かなりの数の反応性希釈剤ブレンドを記載してある。反応性希釈剤/硬化剤と前述において製造した種々のノボラック樹脂とを組合せることによって、これらの成分から生成できるであろう膨大な数の配合物を生成する。従って、この概念を実証するために、この配合物の調査を、成分の代表的な選択を用いて実施した。配合物を最適化する試みは行わなかった。また、配合物のほとんどは均衡されていない。即ち、配合物のほとんどは、樹脂受容体容量に対して硬化剤当量が不足している。
【0052】
配合物の流れ特性を40℃及び70℃の両温度において観察したが、この低い方の温度における配合物の流れ特性の方が重要であった。配合物調査データを以下の表中に要約する。
【0053】
液体/低融点ノボラック樹脂配合物の組成及び性質
Ox1=5−エチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン
NA2=2−エチル−2−ニトロ−1,3−プオロパンジオールと2−ニトロ−1−ブタノールとの60/40(w/w)混合物
NA3=25重量%(w/w)トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタンで希釈されたNA2
【0054】
【表6】

【0055】
【表7】

【0056】
【表8】

【0057】
【表9】

【0058】
表中の配合物データから、いくつかの一般化を行うことができる:
−前記結果から、出発樹脂の粘度は、それを用いて製造された配合物の粘度からは予測されないことが明白である。これは、ノボラック15A(粘稠な液体)がIPA−OZ(油)とブレンドされた配合物18−2によって明らかに実証される。得られた配合物は、樹脂自体よりも粘稠であった。
【0059】
−配合物の流れ特性は、温度を40から70℃に上昇させる際に予想されるほどは変化しなかった。
【0060】
−40℃において流動性を示す配合物の生成において最も有効な硬化剤/反応性希釈剤はOx1及びNA2であった。
【0061】
−樹脂分子量は配合物の粘度の良好な予測判断材料ではなかった。
【0062】
−流動性を有する配合物に最も容易にブレンドされるノボラック樹脂は16Gであった。
【0063】
−樹脂配合物の粘度は、より粘度の低い樹脂とのブレンドによって改善できる。配合物18−76、77及び78は、40℃において容易に流動する樹脂16Bと15Cとのブレンドを示している。16Bのみを含む同様な配合物は40℃において流動しなかった。配合物18−2の結果を考えると、これは自明の結果ではない。
【0064】
例6−選択された低融点/液体ノボラック樹脂配合物に関するDSC硬化データ
40℃又は70℃で流動性を示すこれらの樹脂配合物を、それらの硬化性を特定するDSC分析のために選択した。粘稠すぎて流動しないいくつかの樹脂配合物も含めた。これは、調査配合物が最適化されないこと及び極めて粘稠な配合物のいくつかが、他の流動性配合物を生成する樹脂に基づくものであるためであった。
【0065】
硬化性能データは、50cc/分の窒素流下で25℃から250℃までΔT=10℃/分でDSC分析を行うことによって得た。次いで、サンプルを250℃に10分間保持し、次に−50℃に冷却した。次いで、50cc/分の窒素流下で−50℃から250℃までΔT=10℃/分でDSC分析を行うことによって硬化配合物のTg値を求めた。次に、サンプルを−50℃に冷却し戻し、再び、前述のように250℃に再加熱した。高容積(100μL)パンをこれらの分析に用いた。
【0066】
これらの分析の多くにおいて、硬化事象は、走査の250℃の温度限界においては完了しなかった。これらの場合には、基準を測定することができなかったので、硬化熱(J/g)を求めることはできなかった。
【0067】
いくつかの実験において、ランの冷却サイクルの間にTgを検出することは、再加熱サイクルの場合よりも容易であった。他の実験においては、加熱サイクル又は冷却サイクルのいずれにおいても基準の偏差は観察できなかった。これらのサンプルは>250℃のTg値を有していたか、又は温度がより低かったが小さすぎて検出できなかった。Tg値は、これらの硬化配合物に関しては「なし」と報告した。
【0068】
これらの硬化の研究結果を、以下の表に要約する。
【0069】
新規フェノール樹脂
DSC硬化の研究
硬化条件:高容積パンを用いて10℃/分で25℃から250℃まで走査し;250℃に10分間保持し;25℃に冷却し戻し;−50℃から250℃までTg走査を行う。
【0070】
【表10】

【0071】
DSC評価のために選択された樹脂配合物は、少なくとも30phrの硬化剤/反応性希釈剤を含んでおり、ほとんどは40℃において樹脂流動性を示した。配合物18−63及び18−64は、室温でも樹脂流動性を有していた。これらの固形分100%の低融点/液体樹脂配合物は全て、DSCによって良好な硬化性を示した。
【0072】
配合物のほとんどは単一の硬化事象を示した。硬化開始温度は約140℃から約225℃までの範囲であり、硬化ピーク温度は200℃から250℃の範囲であった。前に述べたように、実験の250℃温度限界に達する前は硬化事象は完了せず、従って、基準を求めることができなかったので、多くの実験において総硬化熱(J/g)を得ることができなかった。
【0073】
前述のように、Tg走査は、配合物を250℃に10分間保持した後に行った。多くの実験において、実験の加熱サイクル又は冷却サイクルのいずれの間においても基準の偏差は観察されず、従って、250℃未満ではTgが観察されなかった。他の実験においては、弱い転移(通常は、<100℃において)のみが、サイクルの1つの間に観察できた。これは疑わしかったが、Tg値として記録した。
【0074】
表中のデータは、所与の樹脂の場合であっても、硬化性能及びTg値にかなりの変動を示す。これによって、硬化剤/反応性希釈剤の選択が配合物の硬化性だけでなく、最終的には硬化樹脂の物理的性質にも大きな効果を持つことができることが確認された。これは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド又はヘキサを硬化剤として用いて硬化されたノボラック樹脂とは大いに異なる。
【0075】
例7−複合材料プラックの製造
これらの高固形分の低融点/液体ノボラック樹脂配合物が発熱事象を示すことがDSCによって確認されたが、それらは硬化反応ではなく硬化剤/樹脂分解である可能性があると言うことができる。同様に、Tg値の増加又はその欠如は、硬化樹脂によるのではなく、チャー形成による可能性がある。これらの高固形分の低融点/液体ノボラック樹脂配合物は複合材料用途において有用であるという決定的な実証は、複合材料のプラックを作ることであった。この実証の為に選択した樹脂は、Ox1−フルフラール−m−クレゾール硬化剤/反応性希釈剤組合せと配合された16Fであった。
【0076】
配合物の製造: ノボラック樹脂16F(15g)を、4−ozジャー中に量り入れ、Ox1 3.4gを添加した。混合物を70℃のオーブン中で加温し、透明で粘稠な溶液を生成した。まだ0℃である間に、Ox1 5.44g、フルフラール3.65g及びm−クレゾール4.11gの混合物を添加した。混合物を70℃において撹拌して、透明な黄色溶液を生成した。室温に冷却後、配合物はハチミツに近いコンシステンシーを有していた。
【0077】
プラックの製造: ガラス繊維織布(AircraftSpruce,#7781)を、重さがそれぞれ約6.9gの一辺6インチの正方形に切断した。正方形のガラス布を平面に置くことによって、プラックを作った。次いで、3〜4gの樹脂配合物を、このガラス布状に均一に振りかけた。樹脂を、この四角形の表面全体に広げ、4インチのインキローラーを用いて布中に入り込ませた。4枚の樹脂含浸ガラス布をサンドイッチ状に積み重ね、ローラーを用いて圧縮した。次に、このサンドイッチを2枚のアルミ箔シートの間に、次いで2枚の1/16インチのアルミニウムプレートの間に入れた。このアセンブリーを185℃の強制空気炉中に入れた。15分間硬化させた後、複合材料プラックを取り出し、半分に切断した。プラックの半分を室温に冷却し(プラックA)、もう一方の半分を更に15分間硬化させた(プラックB)。
【0078】
プラックAは、残臭も粘着性もない、剛いキツネ色(golden brown)の複合材料であった。プラックBは、これもまた残留臭も粘着性もない、剛い暗褐色の複合材料であった。プラックの剛性並びに粘着性及び臭気の欠如は、配合物が完全に硬化されていることを示した。
【0079】
例8−複合材料プラックの速硬性
引抜成形のためには、適度な製造速度を達成できるように速硬性配合物を得ることが重要である。フェノールレゾール樹脂を、10”/分から32”/分までの速度で引抜成形する。18”/分の速度で完全硬化製品を得るためには、典型的な引抜成形ダイの長さは36”であるので、<2分で完全に硬化させることが必要である。本発明の新規な、完全に配合された高固形分ノボラック樹脂系の一部を、この時間枠で完全な硬化を行うのにはどのような温度範囲が必要であるかを確かめるために試験した。硬化度は、視覚的印象及び触感を用いて確認した。結果を以下の表中にまとめる。
【0080】
【表11】

【0081】
データから、温度が充分に高ければ、配合物の全てに関して適度な引抜成形速度(例えば、少なくとも12”/分)が得られるはずであることが明白に示される。更に、予想通り、所与の硬化サイクルの硬化度は温度が高いほど増加する。
【0082】
例9−引抜成形の研究
引抜成形の研究は、Plustar 804機器上で1”×1/8”のダイプロファイルを用いて行った。電気プラテンを用いて、3つの独立した12”のゾーン中で36”ダイを加熱した。Johns Manville 507A連続ガラスロービングを用い;32本のガラス素糸を用いて、ガラス68%(容積/容積)/樹脂32%の製品を作った。三点曲げ試験を、長さ5”の試験片についてMTS機械試験装置上で4インチのスパン幅で行った。3つの全く同じ製品を試験に供し、平均値を記録した。用いた方法は、ASTM D−790−90である。
【0083】
前記例で得られた結果に基づき、一連の配合物を製造し、実際の引抜成形の試行において試験した。固形分100%の配合物及び最低限の不活性溶媒を含む配合物を用いた。市販のレゾールを基材とするフェノール引抜成形用樹脂と比較した。引抜成形加工性、引抜成形速度、製品仕上げ、及び完成品の機械的結着性を評価した。試験した配合物を以下の表に示す。いずれの場合にも、実行可能な固体製品が得られた。
【0084】
【表12】

【0085】
【表13】

【0086】
製品の表面仕上げは主に、使用した離型剤による。RA1、RA2、RA4及びRA5を用いて製造した製品は、かなりの量の表面塵を有していたが、清浄にすると製品は滑らかになった。RA3を用いて製造した製品は、粉立ちがなく、非常に滑らかで且つ光沢があった。
【0087】
配合物の加工の成功にはまた、離型剤の選択も影響を与えた。引抜成形の成功を可能にするが、プロセスの変更又は混乱がダイ中で製品を破損させる点で、この場合もやはり、RA1、RA2、RA4及びRA5は類似していた。離型剤RA3は、種々の引抜成形パラメーターにおいてはるかに大きい許容範囲を示すことがわかった。
【0088】
製品の結着性に対する引抜成形のプロセスパラメーターの影響について、以下の例で述べる。
【0089】
例10−硬化速度に対する温度の影響
3つのほとんど同じ配合物を用いて、硬化速度対ダイ温度の研究を行った。プラック硬化実験と同様に、ダイ温度の増加は、依然として固体製品を生成しながら、引取速度の増加を可能にした。
【0090】
【表14】

【0091】
例11−樹脂/硬化剤比の影響
各配合物について完全に硬化された、実行可能な製品を製造するために示した引抜成形条件を用いて、硬化製品の物理的性質に対する樹脂/硬化剤比の影響を実証した。表からわかるように、レゾール樹脂対照よりも優れた物理的性質を依然として維持しながら、樹脂/硬化剤の比をかなり変化させることができる。
【0092】
【表15】

【0093】
例12−樹脂中和の影響
前述のように、望ましいpH範囲に達するには、樹脂は、製造方法に応じて、製造したまま使用するか、酸性化するか、又は塩基性化することができる。表中に示されるように、塩基で処理した樹脂は、引抜成形速度及び最終製品結着性に影響を与え得ることが実証された。
【0094】
【表16】

【0095】
例13−反応性希釈剤の影響
粘度、溶媒レベル、硬化製品の機械的性質、反応性、配合物コスト又は他の考慮事項を変更するために、反応性希釈剤又は代替架橋剤を配合物に添加するのが望ましい場合がある。表中に示されるように、実行し得る引抜成形製品の製造能力を依然として維持しながら、種々の材料を添加できる。示した全ての配合物が、固体の完全硬化された、実行可能な製品を生成した。
【0096】
【表17】

【0097】
例14−FST試験
本発明の新規系を用いて優れたFST特性が得られることを実証するために、配合物ANGA03及びANGA04の引抜成形によって生成された製品について、ASTM E662−95試験を行った。「発炎モード」及び[非発炎モード」の両方で試験を行った。結果を以下の表に示す:
【0098】
【表18】

【0099】
これらの結果は、樹脂(a)及び硬化剤(b)に基づく本発明の二成分樹脂配合物が、卓越したFST特性を有する複合材料製品を生成するのに充分なものであることを明白に示している。反応性希釈剤の使用もまた、FST性能を更に改善する点で潜在的に有利であることが示された。
例15−フィラメント巻き
引抜成形の例は、繊維質の基材への適用時に、本発明の配合物が加熱によって硬化されて固体製品を形成できることを明白に示した。フィラメント巻きは、複雑な複合材料製品の製造によく使用される別の製造技術である。本発明の配合物は、フィラメント巻きされた複合材料製品の製造にも同様に適用できる。
【0100】
フィラメント巻きの実証として、連続ガラスロービングに配合物ANGC13を充分に含浸させ、それを室温で円筒形のマンドレル上に巻き付けた。マンドレルを炉中に入れ、連続回転させながら30分かけて25℃から125℃に加温し、次いで更に20分間125℃に保持した。冷却後、完全に硬化された固体複合材料の円筒形のチューブをマンドレルから取り外した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.低分子量ノボラック樹脂;並びに
b.オキサゾリジン類、ニトロアルコール類、ニトロン類、ハロニトロパラフィン類、オキサジン類、アザアダマンタン類、ヘキサメチレンテトラミン塩類、ニトロアミン類、イミダゾリジン類、トリアジン類、ニトロオキサゾリジン類及びイミダゾリジン−オキサゾリジン混成物類からなる群から選ばれた非ホルムアルデヒド硬化剤
を含んでなる複合材料を製造するための配合樹脂系。
【請求項2】
内部離型剤、不活性溶媒、反応性希釈剤、充填剤及び着色剤からなる群から選ばれた追加成分を更に含む請求項1に記載の樹脂系。
【請求項3】
前記内部離型剤が1850HT、Pul−14及びTechlube 721からなる群から選ばれる請求項2に記載の樹脂系。
【請求項4】
前記不活性溶媒が低級アルコール類、グリコール類、グリコール誘導体類、エステル類、水及びベンジルアルコールからなる群から選ばれる請求項2に記載の樹脂系。
【請求項5】
前記反応性希釈剤がフェノール系モノマー類、フルフラール及びフルフリルアルコールからなる群から選ばれる請求項2に記載の樹脂系。
【請求項6】
前記非ホルムアルデヒド硬化剤がニトロアルコールと混合されたオキサゾリジンを含む請求項1に記載の樹脂系。
【請求項7】
前記樹脂系が
a.ノボラック樹脂45〜85重量%;
b.非ホルムアルデヒド硬化剤15〜55重量%;
c.内部離型剤0〜6重量%;
d.不活性溶媒0〜30重量%;
e.反応性希釈剤0〜50重量%;
f.充填剤0〜40重量%
を含み、且つ配合された樹脂系が25℃において粘度<1MMcpsを有する請求項2に記載の樹脂系。
【請求項8】
前記非ホルムアルデヒド硬化剤がエチル−1−アザ−3,7−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタンである請求項1に記載の樹脂系。
【請求項9】
a.低分子量ノボラック樹脂及び非ホルムアルデヒド硬化剤を含む液体樹脂系を準備し;
b.前記液体樹脂系を繊維質の基材に移し;
c.前記樹脂湿潤繊維質基材を所望の形状に配置し;そして
d.造形された樹脂湿潤繊維質基材を、エネルギーの適用によって、硬化させる
工程を含んでなる複合材料製品の製造方法。
【請求項10】
a.低分子量ノボラック樹脂及び非ホルムアルデヒド硬化剤を含む液体樹脂系を準備し;
b.前記液体樹脂系を連続繊維質基材に移し;
c.前記樹脂湿潤繊維質基材を所望の形状に連続的に配置し;そして
d.造形された樹脂湿潤繊維質基材を、エネルギーの適用によって連続的に硬化させる
工程を含んでなる複合材料製品の連続製造方法。
【請求項11】
a.樹脂湿潤繊維質基材を所望の形状に配置し;
b.低分子量ノボラック樹脂及び非ホルムアルデヒド硬化剤を含む液体樹脂系を準備し;
c.前記液体樹脂系を造形された繊維質基材に移し;
d.造形された樹脂湿潤繊維質基材を、エネルギーの適用によって、硬化させる
工程を含んでなる複合材料製品の連続製造方法。
【請求項12】
熱エネルギーを用いて硬化を行う請求項8に記載の方法。
【請求項13】
熱エネルギーを用いて硬化を行う請求項9に記載の方法。
【請求項14】
熱エネルギーを用いて硬化を行う請求項10に記載の方法。
【請求項15】
樹脂湿潤繊維質基材を不活性コアに適用する工程を更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項16】
樹脂湿潤繊維質基材を不活性コアに適用する工程を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項17】
樹脂湿潤繊維質基材を不活性コアに適用する工程を更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項18】
硬化された繊維質基材の引抜成形工程を更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項19】
硬化された繊維質基材の引抜成形工程を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項20】
硬化された繊維質基材の引抜成形工程を更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項21】
硬化された繊維質基材のフィラメント巻き工程を更に含む請求項8に記載の方法。
【請求項22】
硬化された繊維質基材のフィラメント巻き工程を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項23】
硬化された繊維質基材のフィラメント巻き工程を更に含む請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2007−533820(P2007−533820A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509448(P2007−509448)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/024471
【国際公開番号】WO2005/108454
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(591252611)アンガス ケミカル カンパニー (32)
【Fターム(参考)】